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JP7573371B2 - 表皮材及び表皮材の製造方法 - Google Patents

表皮材及び表皮材の製造方法 Download PDF

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JP7573371B2 JP2020034153A JP2020034153A JP7573371B2 JP 7573371 B2 JP7573371 B2 JP 7573371B2 JP 2020034153 A JP2020034153 A JP 2020034153A JP 2020034153 A JP2020034153 A JP 2020034153A JP 7573371 B2 JP7573371 B2 JP 7573371B2
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Description

本開示は、表皮材及び表皮材の製造方法に関する。
インストルメントパネル、ドアトリム、座席などの自動車内装部品には、天然皮革や繊維シートに代えて、皮革様シートが用いられている。
このような皮革様シートは、意匠性に優れる外観とするために、表面に凹凸、即ち、シボ模様を有している。
皮革様シートにシボ模様を付与する方法として、フラットな表面に型押しによりエンボス模様を付与する「エンボス型押し法」、予めエンボス模様を付与した離型紙上に重合体液を塗布乾燥することにより離型紙のエンボス模様を転写する「離型紙法」がある。
エンボス型押し法は、被処理面の制約が少ないこと、模様が自由に調整できること、一体感のある風合いが得られること、コストが低いこと等の特徴により、広く実施されている。
例えば特許文献1には、皮革様シートの、特定の基体層の表面に特定の表面層を有しエンボス模様が付与されてなる皮革様シート状物において、表面層に特定の微粒子を含有している皮革様シート状物が記載されている。
特開平4-333674号公報
エンボス型押し法により型押しした皮革様シートの表面は、全体としてみれば比較的良好なエンボス状態となっていたとしても、細部において微妙な凹凸の再現性が十分でなく、シャープさに欠ける傾向にある。
また、微細な凹凸を十分に再現するように、エンボス条件を強くする場合、風合いを損なう、生産性の低下を招く等の問題がある。
皮革様シートの風合いを損なうことなく、微細な凹凸をシャープに再現したエンボス加工を行うことは困難であった。
特許文献1の皮革用シート状物において、エンボス型押し法によりシボ模様の高い転写率を達成することは困難であると推測される。
本開示の発明者らは、高い転写率を達成する観点から表皮層の貯蔵弾性率に着目し、鋭意検討を行った。その結果、表皮層の特定の温度領域における貯蔵弾性率が低いほど、エンボス型押し法によるシボ模様の転写率が高くなることを見いだし本開示の発明を完成するに至った。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、エンボス型押し法によるシボ模様の転写率に優れる表皮材、及び表皮材の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1> 160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下である表皮層を含む表皮材。
<2> 前記表皮層が、ポリウレタンを含む<1>に記載の表皮材。
<3> 前記表皮層に含まれる架橋剤の含有量が、表皮層に含まれる主剤となる樹脂の100質量部に対して3質量部以下である<1>又は<2>に記載の表皮材。
<4> 前記表皮層に含まれる架橋剤の含有量が、表皮層に含まれる主剤となる樹脂の100質量部に対して0質量部である<1>~<3>のいずれか1つに記載の表皮材。
<5> 前記表皮層が、少なくとも一方の面に凹凸を含む<1>~<4>のいずれか1つに記載の表皮材。
<6> 前記表皮層の厚みが、10μm~300μmである<1>~<5>のいずれか1つに記載の表皮材。
<7> 前記表皮層と、接着層と、基布とが、表皮層の厚さ方向に対して、この順に配置されている<1>~<6>のいずれか1つに記載の表皮材。
<8> <7>に記載の表皮材の製造方法であって、
表皮層形成用組成物を用いて、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下である前記表皮層を形成する工程と、
前記表皮層又は前記基布の一方に接着層を形成する工程と、
前記接着層を介して前記表皮層と前記基布とを接着する工程と、
前記表皮層の前記接着層とは反対の面側にエンボスロールを接触させてエンボス加工を行い、凹部を形成する工程と、を有する表皮材の製造方法。
本開示の一実施形態によれば、エンボス型押し法によるシボ模様の転写率に優れる表皮材、及び表皮材の製造方法を提供することができる。
本開示の表皮材の層構成の一態様を示す概略断面図である。 凹凸模様が形成された本開示の表皮材の層構成の一態様を示す概略断面図である。 表皮材に対するエンボス加工の一態様を示す概略図である。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
≪表皮材≫
本開示の表皮材は、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下である表皮層を含む。
これによって、本開示の表皮材は、エンボス型押し法によるシボ模様の転写率に優れる。
まず、本開示の表皮材の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の図面において同一の符号は、同一の構成要素を表す。
図1は、本開示の表皮材を形成するための積層体10Aの層構成の一態様を示す概略断面図である。図1に示す態様は、本開示の表皮材の簡易な層構成の例を示している。
図1に示す態様では、表皮材を形成するための積層体10Aは、基布12上に、接着層14と、ウレタン樹脂を含む表皮層16とをこの順に有する。この積層体10Aをエンボス加工して凹凸模様を形成することで、図2に示す前記表皮層16側に凹部18を有する本開示の表皮材10が得られる。
図2に示すように、表皮材10は、基布12上に、接着層14と、ウレタン樹脂を含む表皮層16とをこの順に有し、前記表皮層16側に凹部18を有する。
なお、凹部18は、接着層14と基布12との界面を超えて、基布12の内部まで到達する深さであってもよい。
本開示の表皮材は、上記表皮層を含んでいればよく、以下に詳述する表皮層、接着層及び基布を備えていてもよい。
本開示の表皮材は、表皮層と、接着層と、基布とが、表皮層の厚さ方向に対して、この順に配置されていてもよい。
また、本開示の表皮材は、本開示の効果を損なわない範囲で、表皮材に通常備えられるその他の層を有していてもよい。その他の層については後述する。
<表皮層>
(貯蔵弾性率)
本開示における表皮層は、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下である。
エンボス型押し法によるシボ模様の転写率に優れる観点から、本開示における表皮層は、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が、0.8MPa以下であることが好ましく、0.7MPa以下であることがより好ましく、0.6MPa以下であることがさらに好ましい。
また、エンボス型押し法による加工性の観点から、本開示における表皮層は、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が、0.003MPa以上であることが好ましく、0.005MPa以上であることがより好ましい。
なお、貯蔵弾性率は、JIS K 7244(1998年)に準拠して測定する。
本開示の表皮材における表皮層は、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂(本明細書中、単にポリウレタンともいう)、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、耐久性及び弾力性が良好であり、凹部を形成する際の加工性が良好である観点から、本開示における表皮層は、ポリウレタンを含むことが好ましい。
表皮層の形成に用いられる樹脂は、1種のみ用いてもよく、2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよく、目的に応じて、上記で挙げた樹脂を適宜選択して組み合わせて用いてもよい。
表皮層の形成に使用されるポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物等が挙げられる。
本開示の表皮材が、自動車用内装材、椅子等の長期耐久性が必要な用途に用いられる場合、本開示の表皮材における表皮層はポリカーボネート系ポリウレタンを含むことが好ましい。
本開示における樹脂は、表皮層の全質量に対して、90質量%以上含まれることが好ましく、95質量%以上含まれることがより好ましい。
(架橋剤)
本開示の表皮材における表皮層は、架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤を含むことで、表皮層の強度を向上させることができる。しかし、その一方で、表皮層が架橋剤を多量に含む場合には、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率を1.0MPa以下とすることが困難となる傾向にある。
そのため、表皮層は架橋剤を含んでいてもよいが、比較的少量に抑えることが好ましい。
具体的には、本開示の表皮材は、表皮層に含まれる架橋剤の含有量が、表皮層に含まれる主剤となる樹脂の100質量部に対して、3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、本開示において、表皮層に含まれる主剤となる樹脂とは、表皮層の全質量に対して、60質量%以上含まれる樹脂を意味する。
また、本開示の表皮材は、前記表皮層に含まれる架橋剤の含有量が、表皮層に含まれる主剤となる樹脂の100質量部に対して0質量部であることが好ましい。即ち、本開示の表皮材は、前記表皮層に架橋剤を含まないことが好ましい。
本開示における架橋剤としては、オキサゾリン、カルボジイミド、ジイソシアネート等を用いることができる。
(他の成分)
表皮層は、上記に加え、他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、着色剤、充填剤、安定化剤、難燃剤、上記以外の合成樹脂、ゲル化促進剤などが挙げられる。
表皮層は着色剤を含んでもよい。表皮層が着色剤を含むことで、表皮材に所望の色相を付与することができ、意匠性に優れた表皮材とすることができる。
表皮層が着色剤を含む場合の着色剤には特に制限はなく、染料、顔料などを適宜選択して使用することができる。耐久性、及び耐光性により良好であるという観点からは、顔料が好ましい。
着色剤としては、チタン白(二酸化チタン)、亜鉛華、群青、コバルトブルー、弁柄、朱、黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、キナクリドン、パーマネントレッド4R、イソインドリノン、ハンザイエローA、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料又は染料、アルミニウム及び真鍮等金属の箔粉からなる群より選択される金属顔料、二酸化チタン被覆雲母及び塩基性炭酸鉛の箔粉からなる群より選択される真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
着色剤として顔料を用いる場合には、界面活性剤、高分子分散剤などの顔料分散剤を併用してもよい。
表皮層は、充填剤を含有してもよい。充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ(二酸化硅素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、マイカ(雲母)、タルク、硫酸バリウム等の無機充填剤が挙げられる。表皮層は、充填剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
表皮層は、安定化剤を含有してもよい。安定化剤を含有することで、表皮層の耐熱性が向上する。
安定化剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩、フェノール、ナフトール等のナトリウム化合物、亜鉛、バリウム等の金属塩、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレートなどの有機スズ化合物、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイトなどの亜リン酸エステル類等が挙げられる。表皮層は、安定化剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
表皮層は、難燃剤を含有してもよい。表皮層が難燃剤を含むことで、表皮材に難燃性を付与することができる。難燃剤としては、公知の無機系又は有機系の難燃剤を適宜選択して用いることができる。表皮層は、難燃剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
表皮層は、膜物性改良などの目的で、ポリウレタン等の上述の樹脂以外の、他の合成樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、表皮層の全固形分100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましい。
(表皮層の形成)
表皮層の形成方法としては特に制限はなく、上記した各成分を含む表皮層形成用組成物を調製し、カレンダー法、ペースト加工法、溶融押出し法等によりシート状に成形することで表皮層を形成することができる。また、剥離基材上に直接表皮層形成用組成物を付与して、表皮層を形成することもできる。
表皮層は、少なくとも一方の面に凹凸を含むことが好ましい。
例えば、表皮層の表面に対してエンボスロールを用いてエンボス加工を行うことによって、表皮層の表面に微細な凹凸が形成することができる。
表皮層の厚みには特に制限はないが、柔軟性、感触等が良好であるという観点から、本開示における表皮層の厚みは、10μm~300μmであることが好ましく、20μm~200μmであることがより好ましく、20μm~80μmであることがさらに好ましい。
<接着層>
本開示の表皮材は、基布と表皮層との間に、さらに接着層を有していてもよい。
接着層は、例えば、層同士の接着性を向上させる等の目的で設けられる。
接着層は、例えば、表皮層の裏面(表皮層の接着層側の面)に接着剤を付与し、乾燥することで形成することができる。接着剤の積層は、転写法により行っても、塗布法により行ってもよい。
所望により設けられる接着層の形成に使用される接着剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。接着層の形成に使用しうる樹脂は、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンなど要求される性能から最適なものを選択すればよい。車両内装材における使用実績の観点からは、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルが好適である。より具体的には、例えば(1)ウレタン系エマルジョン接着剤、(2)塩化ビニル系接着剤、(3)2液硬化型ポリエステル系接着剤、(4)2液硬化型ウレタン接着剤などが好適に使用される。
通常は、基布と表皮層とを積層する際には、表皮層の裏面に接着剤を付与することで、接着層を形成することができる。
表皮材は、接着層を1層のみ有してもよく、必要に応じて2層以上を有してもよい。
既述のように、接着剤を付与する方法としては、転写法、塗布法など公知の方法をいずれも使用できる。
また、接着層を転写法で形成する場合には、予め作製された接着層の表面保護のため、接着層表面に保護シートを有していてもよい。保護シートとしては、樹脂フィルム、離型処理された紙、樹脂をラミネートした紙などを適宜、用いることができる。
接着層の厚みとしては、5μm~100μmが好ましく、20μm~90μmがより好ましく、40μm~80μmがさらに好ましい。
<基布>
本開示の表皮材の基布としては、必要な強度、耐久性を有するものであれば、特に制限はなく、公知の基布から目的に応じて適宜選択して用いることができる。基布は、編布、織布、及び不織布のいずれであってもよい。
表皮材を凹凸のある成形体に適用する場合には、ある程度の伸縮性を有する編布、織布等を用いることが好ましく、感触及び形状追従性が良好であるという観点からは、編布を使用することがより好ましい。
基布としては、例えば、車両用シートの表皮材として用いる場合には、伸縮性、厚み制御の容易性の観点から、メリヤス編み地、変成メリヤス編み地などの編布を使用してもよい。
また、表地と裏地との間に空隙を有する立体構造基布、三次元不織布などを使用してもよい。
基布の編成、織成に使用される繊維(糸)の材質は、ポリエステル、レーヨン、麻、綿、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アラミド、アクリル、フェノール、炭素系繊維等が挙げられ、これらの繊維を含む混紡繊維であってもよい。
エンボス加工性などの観点から、基布は、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、アラミド繊維、及びアクリル繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を含む編布であることが好ましく、なかでも、車両内装材としての耐久性や価格面からポリエステル繊維を含むことがより好ましい。
基布としては、メリヤス編み地の他、例えば、特開2013-72141号公報に記載のポンチローマ編みを用いた合成皮革用基布などを用いることもできる。
基布の厚みは表皮材の使用目的に応じて適宜選択されるが、感触に優れ、柔軟性を低下させない範囲、例えば、0.15mm~10.0mmの範囲が好ましく、0.3mm~1.5mmの範囲がより好ましい。
基布の表皮層側の面には、必要に応じて起毛加工を施してもよい。また、基布は、基布の表皮層側の面にパイルが形成されたパイル編み地を用いてもよい。基布の表面に起毛又はパイルを有することで、隣接する層(例えば、接着層等)との接着性がより向上する。
<他の層>
本開示の表皮材は、目的に応じて、上記表皮層及び上記接着層以外の他の層を有していてもよい。
他の層としては、例えば、表面処理層等が挙げられる。
<表面処理層>
表皮材は、表皮層の、接着層側とは反対側の面に、さらに表面処理層を有していてもよい。
表皮材が、表面処理層を有することで、表皮材に任意の良好な感触を付与したり、外観をより向上したり、耐久性をより向上したりすることができる。
表面処理層は、少なくとも樹脂を含み、感触をより向上させる目的で設ける場合には、所望により、感触向上剤として、フィラーである有機粒子、意匠性向上を目的とする着色剤などを含んでもよい。
また、表皮材の最表面に位置して所望により形成される表面処理層は、目的に応じて着色されたり、印刷が施されたり、絞模様に代表される天然皮革様の凹凸が形成されたりしてもよい。
表面処理層に含まれ得る樹脂としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられ、感触が良好であるという点からは、ポリウレタンを主材として用いることが好ましい。ここで「主材」とは、樹脂を複数種併用する場合に、含有比率の最も高い樹脂を意味する。
表面処理層に使用されるポリウレタンとしては、水系ポリウレタンが好ましいものとして挙げられる。
また、表面処理層に使用されるアクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるメタクリル酸又はメタクリル酸エステルの重合体或いは共重合体、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体などが挙げられる。
表面処理層にフィラーとしての有機粒子を含むことで、従来、つや消し剤として使用されていた不定形無機フィラーを使用した場合に比較して、表皮材にしっとりとした温か味の有る触感を付与することができる。
有機粒子としては、ウレタンビーズ、アクリルビーズなどの有機樹脂粒子、コラーゲン粒子などのタンパク質系フィラーなどが挙げられる。
有機粒子の形状は、感触がより良好になるという観点からは、真球状又は真球状に近い球形、例えば、長径と短径との比が1.5以下、であることが好ましく、平均粒子径としては、1μm~20μmの範囲であることが好ましく、5μm~10μmの範囲であることがより好ましい。粒子径が上記範囲であることで、表面処理層からの粒子の脱落や外観への悪影響が抑制され、良好な外観と優れた風合いを長期間維持しうる。
なお、有機粒子の平均粒子径は、堀場製作所製の自動粒径測定装置(型番:CAPA-300)を用い、分散媒を水とした光透過遠心沈殿法によりディスク回転速度3000rpm(回転/分)で測定し、容積基準のメディアン径を測定する方法により測定した値を用いている。
有機粒子は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
表面処理層は、必要に応じて意匠性を付与するために着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、表皮層において挙げた汎用の着色剤を同様に用いることができ、好ましい添加量も同様である。
また、耐摩耗性をより向上させることを目的として、架橋構造を含む表面処理層を形成することもできる。
表面処理層の厚みは、2μm~10μmの範囲であることが好ましく、2μm~5μmの範囲がより好ましい。
本開示の表皮材は、エンボス加工による微細な凹凸が再現されるため、車両用内装材等の意匠性を必要とする種々の用途に好適に使用しうる。
≪表皮材の製造方法≫
本開示の表皮材の製造方法としては、特に制限はないが、以下に示す態様Aが好ましい。
<態様A>
態様Aに係る表皮材の製造方法は、本開示の表皮材の製造方法であって、表皮層形成用組成物を用いて、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下である表皮層を形成する工程(工程(I))と、前記表皮層の一方の面に接着層を形成する工程(工程(II))と、前記接着層の前記表皮層側とは反対の面に基布を接着する工程(工程(III))と、前記表皮層の接着層とは反対の面側にエンボスロールを接触させてエンボス加工を行い、凹部を形成する工程(工程(IV))と、を有する。
(工程(I))
工程(I)は、表皮層形成用組成物を用いて、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下である表皮層を形成する工程である。
表皮層を形成する方法は任意であるが、カレンダー法、ペースト加工法、溶融押出し法等が挙げられる。
好ましくは、適切な剥離基材表面に、予め調整したウレタン樹脂を含む表皮層形成用組成物を、ナイフコーターを用いるなど、公知の塗布法で適用する方法が挙げられる。このとき、表面に微細な凹凸模様を有する剥離基材を用いることで、表皮層の表面に、微細な凹凸模様を転写により形成することもできる。
また、カレンダー法により、組成物をシート状に成形して表皮層としてもよい。
表皮層形成用組成物は、上述の表皮層の項における樹脂、架橋剤、着色剤、その他の成分等を含むことができ、各成分の好ましい態様ついても、上述の表皮層の項について記載した好ましい態様と同様である。
160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率の値の好ましい範囲は、上述の表皮層の項における貯蔵弾性率について記載した好ましい値の範囲と同様である。
(工程(II))
工程(II)は、工程(I)で得られた表皮層又は基布の一方に接着層を形成する工程である。
接着層は、例えば、表皮層の裏面又は基布に接着剤を付与して形成することができる。なかでも、表皮層の裏面に、接着剤を付与し、乾燥して接着層を形成することが好ましい。
所望により設けられる接着層の形成に使用される接着剤は、接着層の項で述べた通りである。
接着剤を付与する方法としては、転写法、塗布法などが挙げられる。
表皮層の裏面又は基布に、接着剤を付与し、付与した接着層を加熱、乾燥させることで、表皮層の裏面又は基布に接着層が形成される。
(工程(III))
工程(III)は、接着層を介して前記表皮層と前記基布とを接着する工程である。
工程(II)において、表皮層に接着層を形成した場合は接着層の表皮層側とは反対の面に基布を接着し、基布に接着層を形成した場合は接着層の基布側とは反対の面に表皮層を接着してもよい。
基布は、接着層と接する側には常法により起毛処理を行ってもよい。
接着層を形成するための接着剤、接着層の好ましい厚みなどは既述の通りである。
(工程(IV))
工程(IV)は、工程(III)で得た基布を接着した積層体の、前記表皮層の接着層とは反対の面側にエンボスロールを接触させてエンボス加工を行い、凹部を形成する工程である。
図3は、工程(III)で得た表皮材形成用の積層体10Aに凹凸を形成して表皮材を得るためのエンボス加工の一態様を示す概略図である。
図3に示すように、表皮材形成用の積層体10Aは、一対のエンボスロールを有するエンボス加工機における賦形用のエンボスロール24とバックアップロール26との間で加熱加圧され、積層体10Aに凹凸模様が形成され、表皮材10が得られる。
エンボス加工の方法としては、ヒーターなどで積層体の表皮層側を加熱した後、エンボスロールで形状を付与する方法のほか、平らなエンボス板を用いてもよい。また、エンボスロール、エンボス板そのものを加熱し形状を付与させてもよい。
エンボス加工の際には、求められる意匠、厚みに応じて表皮材形成用の積層体とエンボスロール、エンボス板の間に任意の隙間を設けることもできる。
エンボス加工機における加工条件は、目的に応じて適宜選択される。
例えば、エンボスロールを用いたエンボス加工の場合、加熱温度は、表皮層の、 エンボスロールと接触する側の表面温度が90℃~210℃の範囲であることが好ましく、130℃~170℃の範囲であることがより好ましい。表面温度が上記範囲となるようにエンボスロールのヒーターを調整すればよい。
エンボス加工を行う際の圧力は、0.1kgf/cm~50kgf/cmが好ましく、0.5kgf/cm~20kgf/cmがより好ましく、1.0kgf/cm~10kgf/cmがさらに好ましく、1.0kgf/cm~5.0kgf/cmが特に好ましい。なお、1kgf/cmは、SI単位の9.80665×10kPaに換算することができる。
エンボス加工を行う際の加工速度は、0.5m/分~20m/分が好ましく、1m/分~10m/分がより好ましく、1.5m/分~5m/分がさらに好ましい。
また、例えば、エンボス板を用いたエンボス加工の場合、加熱温度は、積層体におけるウレタン表皮材側の表面温度で90℃~210℃の範囲が好ましく、130℃~170℃の範囲がより好ましい。表面温度が上記範囲となるようにエンボス板のヒーターを調整すればよい。
押圧時間は、10秒~90秒が好ましく、15秒~80秒がより好ましく、20秒分~70秒がさらに好ましい。
工程(IV)を経て、微細な凹凸模様を有する本開示の表皮材を得ることができる。
(工程(V))
工程(V)は、表皮層の表面(表皮層の接着層側とは反対側の面)に、感触及び外観をより優れたものとするために、表面処理層(例えば、感触向上層)を形成する工程である。
工程(V)は、樹脂として含む表面処理層形成用組成物を、表皮層の表面に付与することにより行われる。
表面処理層形成用組成物の付与は、公知の方法を適宜適用して行うことができる。
表面処理層の形成は、例えば、グラビアプリント法による塗布、リバースコーター、ダイレクトコーター等のコーティング装置による塗布などの方法から適宜選択して適用すればよい。なかでも、より均一な層を形成しうるという観点からは、グラビアプリント法が好ましい。
表面処理層の詳細は既述の通りである。
本開示の製造方法は、必要に応じて、さらに外観を向上させるための意匠性を付与する工程を行うことができる。
上記工程(I)~工程(IV)又は、所望により行われる既述のその他の工程を完了した後、意匠性を付与する工程を行うことができる。
意匠性を付与する工程としては、例えば、表皮層又は所望により設けられた表面処理層に、例えば、皮革様の微細な凹凸模様である絞(シボ)模様が彫刻されているエンボスロールを、表面が加熱されている状態で押し当てることにより、表面に絞模様を形成する工程が挙げられる。
本開示の製造方法により得られる本開示の表皮材は、最表面においてエンボス加工による微細な凹凸がシャープに再現され、柔軟性と感触とが良好な表皮層、又は、感触が良好な表面処理層を有することができる。このため、複雑な形状の成形体の表皮材として、意匠性に優れ、耐摩耗性などの耐久性に優れた成形体の加飾用途に好適に使用される。
本開示の表皮材は、既述の本開示の製造方法に代表される簡易な方法で製造することができ、外観、耐久性に優れ、微細な凹凸模様が長期間維持され、且つ、柔軟であることから、自動車用内装材、鉄道車輌・航空機内装部品、家具、靴等の履物、鞄、建装用内外装部材、衣類表装材又は裏地、など種々の分野に好適に使用しうる。
以下、実施例等により本開示をさらに詳細に説明するが、本開示の発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。
各実施例又は比較例において得られた表皮層に含まれる樹脂の分子量は上述と同様の方法により測定した。
〔実施例1〕
JK-831N(明成化学工業株式会社製、ポリカーボネート系ポリウレタン)を、固形分16質量%となる量の水で希釈し、表皮層形成用組成物を調製した。
得られた表皮層形成用組成物をナイフコーターで、剥離紙に、塗布量250g/mとして塗工し、剥離紙の表面に厚み40μmの表皮層を形成した。(工程(I))
ポリウレタン(商品名:TA205、DIC(株)製)100質量部に対しジメチルホルムアミド(DMF)を5質量部、さらに、架橋剤(製品名:バーノックDN950、DIC(株)製)を10質量部加えて接着層形成用組成物を調製した。得られた接着層形成用組成物を150g/mの量で積層塗工し、表皮層上に、厚さ60μmの接着層を形成して積層体を得た。(工程(II))
工程(II)で得た表皮層と接着層との積層体を、予め準備した基布に貼り合わせた。(工程(III))
このようにして、基布、接着層及び表皮層をこの順で有する厚み1.0mmの表皮材形成用の積層体を得た。
得られた表皮材形成用の積層体から剥離紙を剥離して、上記積層体をエンボス加工した。
エンボス加工機は、表皮層側の表面温度で160℃になるようにヒーターを調整し、圧力2kgf/cm、加工速度2m/分でエンボス加工し、微細な立体形状と模様とを有する実施例1の表皮材を得た。(工程(IV))
〔実施例2〕
実施例1における工程Iのポリウレタンを、D-4080(大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の表皮材を得た。
〔実施例3〕
実施例1における工程Iのポリウレタンを、WLS-210(DIC株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の表皮材を得た。
〔実施例4〕
実施例1における工程Iにおいて、さらに架橋剤としてK-2010(株式会社日本触媒製)を、主剤となる樹脂であるポリウレタンの100質量部に対して3質量部となる量にて添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の表皮材を得た。
〔比較例1〕
実施例1における工程Iにおいて、さらに架橋剤としてK-2010(株式会社日本触媒製)を、主剤となる樹脂であるポリウレタンの100質量部に対して6質量部となる量にて添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の表皮材を得た。
〔比較例2〕
実施例1における工程Iにおいて、さらに架橋剤としてV-02(日清紡ケミカル株式会社製)を、主剤となる樹脂であるポリウレタンの100質量部に対して6質量部となる量にて添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の表皮材を得た。
〔比較例3〕
実施例3における工程Iにおいて、さらに架橋剤としてV-02(日清紡ケミカル株式会社製)を、主剤となる樹脂であるポリウレタンの100質量部に対して4質量部となる量にて添加した以外は、実施例3と同様にして、比較例3の表皮材を得た。
<評価>
(貯蔵弾性率)
各実施例又は比較例において、表皮層の貯蔵弾性率は以下の方法により測定した。
各実施例又は比較例で得られた表皮材を切断して表皮層のみを得る。得られた表皮層について、JIS K 7244(1998年)に準拠して、160℃及び170℃にて表皮層の貯蔵弾性率を測定した。結果を表1に示す。
(絞転写性)
得られた表皮材試験サンプルを目視により観察し、エンボス加工に用いたエンボス型の転写状態を下記評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
~評価基準~
判定基準は以下に示す通りである。下記評価結果のうち、A及びBが実用上問題のないレベルである。
A:凹部の角は、エンボス型の角R形状がシャープで、はっきりと転写されている。
B:エンボス型の形状が転写されているが、凹部の角Rの形状はなだらかである。
C:エンボス型の形状が殆ど転写されていない。

表1に示す通り、表皮層が架橋剤を含んでいない実施例1~実施例3、及び、架橋剤の含有量が3質量部である実施例4は、160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が1.0MPa以下であり、絞転写性に優れていた。
中でも、上記貯蔵弾性率が0.15MPa以下である実施例1は、絞転写性により優れていた。
一方、貯蔵弾性率が1.0MPa超である比較例1~比較例3は、絞転写性に劣っていた。
10 表皮材
10A 表皮材形成用の積層体
12 基布
14 接着層
16 表皮層
18 凹部
24 エンボスロール
26 バックアップロール

Claims (6)

  1. エンボス加工温度である160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が0.003MPa以上0.6MPa以下である表皮層と、
    接着層と、基布と、を含み、
    前記表皮層が、少なくとも一方の面に凹凸を含み、
    前記表皮層が、ポリウレタンを含み、
    前記接着層が、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及びポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1つを含み、
    前記基布の編成又は織成に使用される繊維が、ポリエステル、レーヨン、麻、綿、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アラミド、アクリル、フェノール、及び炭素系繊維からなる群から選択される少なくとも1つの繊維、又は前記繊維を含む混紡繊維を含む表皮材。
  2. 前記表皮層に含まれる架橋剤の含有量が、表皮層に含まれる主剤となる樹脂の100質量部に対して3質量部以下である請求項1に記載の表皮材。
  3. 前記表皮層に含まれる架橋剤の含有量が、表皮層に含まれる主剤となる樹脂の100質量部に対して0質量部である請求項1又は請求項2に記載の表皮材。
  4. 前記表皮層の厚みが、10μm~300μmである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の表皮材。
  5. 前記表皮層と、接着層と、基布とが、表皮層の厚さ方向に対して、この順に配置されている請求項1~請求項のいずれか1項に記載の表皮材。
  6. 請求項に記載の表皮材の製造方法であって、
    表皮層形成用組成物を用いて、エンボス加工温度である160℃~170℃の温度領域における貯蔵弾性率が0.003MPa以上0.6MPa以下である前記表皮層を形成する工程と、
    前記表皮層又は前記基布の一方に接着層を形成する工程と、
    前記接着層を介して前記表皮層と前記基布とを接着する工程と、
    前記表皮層の前記接着層とは反対の面側にエンボスロールを接触させてエンボス加工を行い、凹部を形成する工程と、を有する表皮材の製造方法。
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