以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、適宜変更することができる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るめっき電極を模式的に示した斜視図である。図2は、実施の形態1に係るめっき電極であって、環状部材を環状方向に回転させる仕組みを模式的に示した説明図である。図3は、実施の形態1に係るめっき電極であって、めっき液含浸布を環状部材に固定させた状態を模式的に示した断面図である。図4は、実施の形態1に係るめっき電極であって、被めっき物にめっき膜を形成した状態を模式的に示した斜視図である。図5は、実施の形態1に係るめっき電極であって、凹部を有する被めっき物にめっき膜を形成する場合の一例を示した説明図である。なお、図1、図2及び図4に示した白抜き矢印aは、めっき液含浸布1及び環状部材2の回動方向を示している。また、図2に示した白抜き矢印bは、第1回転部材3及び第2回転部材4の回転方向を示している。
本実施の形態に係るめっき電極100は、被めっき物200の被めっき部200aにめっき膜を形成するために用いられるものである。被めっき部200aとは、被めっき物200の表面のうち、めっき膜が形成される領域である。めっき電極100は、図1に示すように、めっき液含浸布1と、環状部材2と、第1回転部材3と、第2回転部材4と、モーター6と、めっき液供給手段7と、を備えている。
めっき液含浸布1は、図1及び図2に示すように、環状とされ、環状の外面が被めっき物200の被めっき部200aに接触してめっき膜を形成するものである。めっき液含浸布1は、環状の内部に、環状部材2、第1回転部材3及び第2回転部材4が配置されている。めっき液含浸布1は、めっき液を含ませることができ、且つめっき液と反応しない材料で形成されている。一例として、めっき液含浸布1は、織布、不織布又はスポンジなどで形成されている。
環状部材2は、例えば導電性を有するメッシュである。環状部材2は、使用するめっき液に溶解しない材料又は溶解し難い材料で形成されている。一例として、環状部材2は、白金(Pt)、チタン-白金(Ti-Pt)、チタン-酸化イリジウム(Ti-IrO2)、ステンレス(SUS)、カーボン(C)などで形成されている。
環状部材2は、図2に示すように、めっき液含浸布1の環状の内部に配置され、めっき液含浸布1の内面に外面を密着させて設けられている。環状部材2の外面とめっき液含浸布1の内面とを密着させる方法としては、例えば図3に示すように、めっき液含浸布1の環状の端縁を内方に向かって折り返した折り返し部1aを、環状部材2の環状の端縁に掛け止めて、固定部材20で固定する方法がある。固定部材20は、めっき液と反応しない素材から成るクリップ等である。なお、この場合、環状部材2の環状の端縁を、環状の内側に向かって斜めに曲げることで、固定部材20と被めっき物200とが接触する事態を防ぐことができる。また、その他の方法としては、めっき液と反応しない素材の糸を用いて、環状部材2をめっき液含浸布1に縫い付けることにより、環状部材2の外面とめっき液含浸布1の内面とを密着させることができる。
また、環状部材2の内側には、第1回転部材3及び第2回転部材4が配置されている。環状部材2は、第1回転部材3と電気的に接続されている。環状部材2は、第1回転部材3及び第2回転部材4の回転と同期して環状方向に回動する。環状部材2が環状方向に回動することにより、環状部材2に密着するめっき液含浸布1も第1回転部材3及び第2回転部材4の回転と同期して、環状方向に回動する。
なお、図示は省略したが、環状部材2は、環状の端縁2aに切り欠きを形成することが好ましい。環状部材2の環状の端縁2aに切り欠きを形成することにより、第1回転部材3及び第2回転部材4と環状部材2とが接触する際に、環状部材2に発生する過度な張力を抑制でき、環状部材2の端部の破損を防ぐことができる。
また、環状部材2は、上記したメッシュに限定されず、第1回転部材3と電気的に接続したまま、第1回転部材3及び第2回転部材4の回転と同期して環状方向に回動することができれば、薄板などの他の部材で構成してもよい。
第1回転部材3は、回転軸30と該回転軸30と電気的に接続された円柱形状の回転体31とを有する回転接続コネクターである。第1回転部材3は、環状部材2の内側に設けられている。第1回転部材3は、環状部材2に電気的に接続され、回転軸30及び回転体31の導電性を確保しながら回転可能に構成されている。
第1回転部材3は、使用するめっき液に溶解しない材料又は溶解し難い材料で形成されている。一例として、第1回転部材3は、白金(Pt)、チタン-白金(Ti-Pt)、チタン-酸化イリジウム(Ti-IrO2)、ステンレス(SUS)、カーボン(C)などで形成されている。なお、第1回転部材3は、例えば、カーボン製のブラシ、水銀・ガリウム合金、ローラー集電子などを用いて回転軸30と回転体31の導電性を確保している市販のコネクターを用いてもよい。
第1回転部材3の回転軸30は、直流化電源5の陽極が導線5aを介して電気的に接続されている。被めっき物200は、直流化電源5の陰極が導線5bを介し電気的に接続されている。第1回転部材3の回転体31は、回転軸30から独立して回転させることができる。なお、直流化電源5とは、直流の出力電圧が常に一定の値になるように制御された電源回路を有するものである。
図2に示すように、第1回転部材3は、環状部材2の開き目よりも幅が小さい複数の突起部32を有している。突起部32は、回転体31の外周面において、回転体31の回転方向に沿って間隔をあけて設けられている。回転体31は、突起部32を有することで、歯車状とされている。突起部32は、第1回転部材3の回転によって、環状部材2の開き目に嵌り込む。これにより、環状部材2を回転体31の回転に同期させることができ、環状部材2を環状方向に回転させることができる。なお、環状部材2を回転体31の回転に同期させる手段は、回転体31に突起部32を設ける構成に限定されない。例えば回転体31と環状部材2との間で張力を発生させ、摩擦力によって環状部材2を回転体31の回転に同期させてもよいし、その他の構成でもよい。
第2回転部材4は、回転軸40と該回転軸40によって回転する円柱形状の回転体41とを有している。第2回転部材4は、使用するめっき液に溶解しない材料又は溶解し難い材料で形成されている。一例として、第2回転部材4は、白金(Pt)、チタン-白金(Ti-Pt)、チタン-酸化イリジウム(Ti-IrO2)、ステンレス(SUS)、カーボン(C)などで形成されている。
回転軸40は、回転体41の円中心に設けられている。回転軸40の一端には、電源(図示省略)に接続されたモーター6に接続されている。第2回転部材4は、モーター6の駆動により、回転軸40を中心として回転体41が回転する。
図2に示すように、第1回転部材3は、環状部材2の開き目よりも幅が小さい複数の突起部42を有している。突起部42は、回転体41の外周面において、該回転体41の回転方向に沿って間隔をあけて設けられている。回転体41は、突起部42を有することで、歯車状とされている。突起部42は、第2回転部材4の回転によって、環状部材2の開き目に嵌り込む。これにより、環状部材2を回転体41の回転に同期させることができ、環状部材2を環状方向に回転させることができる。なお、環状部材2を回転体41の回転に同期させる手段は、回転体41に突起部42を設ける構成に限定されない。例えば回転体41と環状部材2との間で張力を発生させ、摩擦力によって環状部材2を回転体41の回転に同期させてもよいし、その他の構成でもよい。
なお、回転体31及び41は、図示した円柱形状に限定されない。回転体31及び41は、例えば軸付きの球体、歯車が複数連なった形状、軸付きの多角柱、又は円柱が複数連なった構成でもよい。また、環状部材2を同期させて回動させる回転部材は、図示した第1回転部材3及び第2回転部材4の2つに限定されず、用途及び被めっき物200の形状等に応じて、3つ以上で構成してもよい。例えば、図5に示すように、凹部を有する被めっき物200にめっきをする場合には、第3回転部材11を加えて第3つの回転部材で構成することで、凹部に均一なめっき膜を得ることが可能となる。
めっき液供給手段7は、めっき液含浸布1にめっき液70を供給する装置である。図1に示しためっき液供給手段7は、めっき液含浸布1に向かってめっき液70を滴下させて供給する構成である。なお、めっき液供給手段7は、図示した構成に限定されず、めっき液含浸布1にめっき液70を供給することができれば、他の形態でもよい。また、めっき電極100は、めっき液供給手段7を必ずしも設けなくてもよい。例えばめっき液70を満たした槽を別途用意し、該槽内にめっき液含浸布1を入れて、予めめっき液をめっき液含浸布1に含浸させてもよい。
上記しためっき液含浸布1、環状部材2、第1回転部材3、第2回転部材4及びモーター6は、図1に示すように、保持具8によって保持されている。具体的には、第1回転部材3の回転軸30と、第2回転部材4の回転軸40とが、保持具8に回転自在に接続されることで、めっき液含浸布1及び環状部材2も一緒に保持具8に保持されている。なお、第2回転部材4の回転軸40の一端は、モーター6を介して保持具8に接続されている。
保持具8は、第1回転部材3、第2回転部材4及び環状部材2の外側を経由してめっき電極100を保持する構成とすることが望ましい。第1回転部材3、第2回転部材4及びモーター6の回転を妨げないようにするためである。また、めっき液含浸布1、環状部材2及び第1回転部材3の導通を妨げないようにするためである。更に、めっき液含浸布1の回動経路と干渉しないようにするためでもある。
保持具8には、図示省略のロボット等のアームを含む操作機構が接続されている。操作機構は、保持具8を介してめっき電極100を自在に移動させることができる他に、例えば被めっき部200aに対するめっき液含浸布1の接触圧を調整できるように構成されている。なお、操作機構は、作業者による手動操作が可能な把持部を含む構成でもよい。この場合、把持部は樹脂等の絶縁材料で形成される。
次に、上記めっき電極を用いためっき方法について説明する。めっき方法は、脱脂工程、酸洗浄工程、中和工程、めっき工程の順に行う。以下に、各工程について詳しく説明する。なお、ここでは、一例として、めっき処理の対象として汎用性が高い銅合金材に銀めっきを行う方法について説明する。
<脱脂工程>
先ず、設定された形状に加工された銅合金材を被めっき物200として準備する。そして、脱脂処理剤を用いて被めっき物200の脱脂処理を行う。これにより、被めっき物200の表面から有機異物等の表面汚染物が除去され、液ぬれ性が確保される。脱脂処理剤は、例えば水酸化ナトリウム系又は炭酸ナトリウム系の市販アルカリ脱脂剤などを使用することができる。
<酸洗浄工程>
次に、酸洗浄剤を用いて被めっき物200の酸洗浄処理を行う。これにより、銅合金材の表面から無機異物等の表面汚染物及び酸化膜が除去される。酸洗浄工程では、活性な金属表面を露出させることで液ぬれ性を確保し、後のめっき工程で形成されるめっき膜と素地である被めっき物200との密着性を確保する。酸洗浄剤は、例えば硝酸若しくは硫酸を希釈したエッチング液、又は市販酸洗浄剤などを使用することができる。
<中和工程>
次に、中和処理剤を用いて被めっき物200の中和処理を行う。これにより、銅合金材の表面に残存している酸の痕跡が除去され、銅合金素材の腐食が抑制される。中和処理剤は、例えばシアン系のシアン化ナトリウム、希釈調合した水酸化ナトリウム系洗浄液、又は市販中和処理剤などを使用することができる。
<めっき工程>
次に、電気銀めっき手法により、銀めっき液を用いて被めっき物200の銀めっき処理を行う。めっき工程では、被めっき物200の表面のうち、被めっき部200aに銀めっき膜を形成する。電気銀めっき手法としては、めっき処理で一般的に行われている陰極電解処理を行う。
電気銀めっき手法では、めっき時間、電流密度及び銀めっき液の液温の条件を適宜設定できる。めっき時間は、銀めっき液をしみ込ませためっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させる時間である。例えば、めっき時間を30秒とし、電流密度を20A/dm2とし、銀めっき液の液温を25℃とすることで、5μmの銀めっき膜が得られる。なお、銀めっき液の液温は、25℃付近が適温である。不適当な温度で銀めっき膜を形成してしまうと、成膜速度の低下、銀めっき液の分解、銀めっき膜の欠陥の発生、又は銀めっき膜の荒れの発生等が生じるおそれがある。
めっき工程で用いる銀めっき液は、従来公知の銀めっき用めっき液が使用される。従来公知の銀めっき用めっき液とは、例えば、金属塩として1wt%~5wt%の銀イオン、30wt%~40wt%のヨウ化カリウム、1wt%~5wt%のメタンスルホン酸を用いてpHを7に調整したものである。或いは、金属塩として3wt%~15wt%の銀イオン、5wt%~15wt%の遊離シアン、2wt%~7wt%の炭酸カリウムを用いて調整したものである。なお、wt%とは、調整した溶液全体に対する値をいう。
めっき工程では、先ず、被めっき物200を固定し、保持具8に接続された図示省略の操作機構を用いてめっき電極100を保持する。このとき、めっき電極100は、被めっき物200から離しておく。
次に、被めっき部200aに接触させるめっき液含浸布1の接触圧を設定する。接触圧は、被めっき部200aに形成されるめっき膜の膜厚が目標の膜厚となるように調整される。接触圧は、0.25kgf/cm2~2.0kgf/cm2であることが好ましい。銀めっき膜では、接触圧が0.25kgf/cm2未満である場合、めっき膜の焼けが発生し易く、健全なめっき膜が得られない問題があるからである。また、接触圧が2.0kgf/cm2より大きい場合、析出しためっき膜がめっき液含浸布1によって磨耗し、めっき膜の成長が妨げられ、目標とするめっき厚が得られない問題があるからである。
被めっき物200に対するめっき電極100の接触圧を設定した後、モーター6を駆動させて第2回転部材4を回転させる。これにより、第2回転部材4に同期して環状方向に回動する環状部材2を介してめっき液含浸布1を環状方向に回動させることができる。
次に、めっき液含浸布1を回動させた状態で、直流化電源5をオフ状態からオン状態にする。直流化電源5をオン状態にした後、図示省略の操作機構を操作して保持具8を移動させ、被めっき部200aにめっき液含浸布1を設定した接触圧で接触させる。めっき液含浸布1が被めっき部200aに接触した瞬間に通電が開始される。この状態で、めっき液含浸布1を被めっき部200aに摺動させることで銀めっき処理が行われる。めっき時間は、例えば30秒である。めっき時間は、目標とされるめっき膜厚により、適宜決定される。
なお、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度は、12.5m/min~17.5m/minの範囲となることが好ましい。銀めっきにおいては、摺動速度が12.5m/min未満である場合、めっき膜の焼けが発生し、健全なめっき膜が得られない問題があるからである。また、摺動速度が17.5m/minより大きい場合、析出しためっき膜とめっき液含浸布1との間で磨耗が大きくなり、めっき膜の成長が妨げられ、目標とするめっき厚が得られない問題があるからである。
また、めっき液含浸布1が回動した状態で通電するのであれば、上記手順を変更してもよい。例えば被めっき部200aにめっき液含浸布1を接触させた後、めっき液含浸布1を回動させ、その後、直流化電源5をオン状態にして通電してもよい。ただし、銅合金材に対する銀めっき処理のように、被めっき物200よりもめっき膜の金属の方がイオン化傾向が小さい場合には、直流化電源5をオン状態にした後、めっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させる手順が望ましい。めっき液含浸布1が被めっき部200aに接触した時点で、密着力が小さい置換めっき膜が形成されてしまうためである。
被めっき部200aに銀めっき膜を形成後、図4に示すように、図示省略の操作機構を操作し、保持具8を利用してめっき電極100を移動させ、めっき液含浸布1を被めっき物200から離す。そして、必要に応じて被めっき物200に対して後処理を行い、水洗工程を経ることで、銀めっき膜200bを得ることができる。後処理とは、例えばクロメートなどの化成処理、又は変色防止処理等である。めっき液の中には、直接水に触れると表面に不要な反応生成物が生じるものがある。そのような場合には、めっき処理後の水洗前に、特殊な液でめっき液を除去する後処理が行われる。なお、後処理は、めっき液の種類に応じて様々な処理が行われる。
なお、各工程の終了後に、めっき液含浸布1を純水に浸漬させ、その後乾燥させる水洗工程を加えてもよい。水洗工程により、めっき液含浸布1に含まれる劣化した処理液を除去することができる。
また、めっき処理の対象は、銅合金材に限定されない。また、めっきの種類は、銀めっきに限定されない。上記めっき方法では、例えば、めっき処理の対象としてアルミ合金材に、ニッケルめっきを形成し、更にニッケルめっきの上面にすずめっきを形成する等、複数のめっき層の形成にも適用できる。
また、上記しためっき方法では、脱脂工程、酸洗浄工程、中和工程、めっき工程後の後処理及び水洗工程においても電解処理を適用することができる。例えば、脱脂工程で適用する電解処理は、電解脱脂である。この場合、脱脂処理剤として脱脂液をめっき液含浸布1に染み込ませて、めっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させる。その状態で、第1回転部材3の回転軸30に直流化電源5の陽極を接続し、被めっき物200に直流化電源5の陰極を接続し、直流化電源5をオン状態にして通電することで、脱脂処理に陰極電解処理を適用することができる。一方、第1回転部材3の回転軸30に直流化電源5の陰極を接続し、被めっき物200に直流化電源5の陽極を接続し、直流化電源5をオン状態にして通電することで、脱脂処理に陽極電解処理を適用することができる。なお、めっき工程以外の工程で電解処理を適用する場合、必ずしもめっき液含浸布1を被めっき部200aに摺動させなくてもよい。
ちなみに、上記しためっき方法では、環状部材2を用いず、めっき液含浸布1を第1回転部材3及び第2回転部材4に直接接触させ、めっき液含浸布1を回動させて、めっき膜200bを形成することもできる。しかしながら、この場合、被めっき部200aのうち、陽極の役割を果たす第1回転部材3の近傍部分の電流密度が他の部分より著しく大きくなり、正常なめっき膜が得られず、膜厚の均一性も悪化するおそれがある。つまり、環状部材2を介在させることで電流の密度分布を均一化させることができ、膜厚の均一性を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態1に係るめっき電極100は、環状に形成されためっき液含浸布1と、めっき液含浸布1の環状の内部に配置され、めっき液含浸布1の内面に外面を密着させて設けられた導電性の環状部材2と、を備えている。また、環状部材2の内側に設けられ、該環状部材2に電気的に接続され、導電性を確保しながら回転可能とされた第1回転部材3と、環状部材2の内側に設けられ、モーター6の駆動に同期して回転する第2回転部材4と、を備えている。第1回転部材3には直流化電源5の陽極が電気的に接続され、被めっき物200には直流化電源5の陰極が電気的に接続されている。第1回転部材3及び第2回転部材4の回転に同期して環状部材2を回動させることで、めっき液含浸布1を環状方向に回動させ、被めっき物200の被めっき部200aに接触させて摺動させる。
よって、本実施の形態1に係るめっき電極100及びめっき方法によれば、第1回転部材3を介して直流化電源5の陽極に電気的に接続された環状部材2に密着させためっき液含浸布1が、直流化電源5の陰極に電気的に接続された被めっき物200の被めっき部200aに接触しながら摺動することにより、めっき液含浸布1が接触した被めっき部200aのみにめっき膜を形成することができる。よって、マスキング材で被めっき部以外を保護するマスキング作業が不要であり、被めっき物200の一部の表面にのみ選択的にめっき膜を形成することができる。
環状部材2は、メッシュ状とされている。第1回転部材3及び第2回転部材4は、環状部材2の開き目よりも幅が小さい突起部32又は42を有している。突起部32及び42は、第1回転部材3及び第2回転部材4の回転によって、環状部材2の開き目に嵌り込む。よって、環状部材2と、第1回転部材3及び第2回転部材4との間に摩擦力を発生させることができ、第1回転部材3及び第2回転部材4の回転に同期して環状部材2を環状方向に回動させることができる。
めっき液含浸布1は、環状の端縁を内方に向かって折り返した折り返し部1aを有している。折り返し部1aは、環状部材2の環状の端縁に掛け止められて固定部材20で固定されている。よって、めっき液含浸布1を環状部材2に確実に密着させることができる。
本実施の形態1に係るめっき電極100は、めっき液含浸布1が回動する回動経路に配置され、めっき液含浸布1にめっき液70を供給するめっき液供給手段7を、更に備えている。よって、本実施の形態1に係るめっき電極100及びめっき方法は、めっき処理を行いつつ、めっき液含浸布1にめっき液70を供給することができるので、めっき液含浸布1におけるめっき液70の不足を抑制でき、めっき膜の品質低下を抑制できる。
次に、図6及び図7を参照して、実施の形態1に係るめっき方法の変形例1を説明する。図6は、実施の形態1に係るめっき方法の変形例1で用いられる構成要素のブロック図である。図6に示した変形例1のめっき方法では、上記しためっき工程において、めっき電極100を保持する保持具8の移動を操作機構80で操作し、めっき電極100の荷重を計測する荷重計測手段の計測値に基づいて、被めっき部200aに接触させるめっき液含浸布1の接触圧が、予め設定した目標の接触圧となるように操作機構80を制御する。操作機構80は、ロボット等のアームを含む構成とされ、保持具8に接続されている。操作機構80は、制御装置81によって制御される。制御装置81は、例えばマイコン又はCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成される。なお、制御装置81は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアにより構成されてもよい。荷重計測手段82は、一例として力覚センサーが好適であるが、他の構成でもよい。力覚センサーから成る荷重計測手段82は、操作機構80に組み込まれる。
図7は、実施の形態1に係るめっき方法の変形例1のフローチャートである。先ず、ステップS101において、制御装置81は、モーター6を駆動させて第2回転部材4を回転させることで、めっき液含浸布1を環状方向に回動させる。次に、ステップS102において、制御装置81は、操作機構80を制御してめっき液含浸布1を被めっき物200の被めっき部200aに接触させる。なお、めっき液含浸布1が回動した状態で通電するのであれば、ステップS101とステップS102は、順序を入れ替えてもよい。つまり、操作機構80を制御してめっき液含浸布1を被めっき物200の被めっき部200aに接触させた後、モーター6を駆動させてめっき液含浸布1を環状方向に回動させてもよい。
次に、ステップS103において、制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下でないと判定した場合、ステップS104に進み、操作機構80を制御し、めっき電極100を被めっき物200に近づける方向に移動させて接触圧を調整する。そして、制御装置81は、再び、ステップS103に戻り、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。
制御装置81は、ステップS103において、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であると判定した場合、ステップS105に進む。ステップS105において、制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であるか否かについて判定する。制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上でないと判定した場合、ステップS106に進み、操作機構80を制御し、めっき電極100を被めっき物200から遠ざける方向に移動させて接触圧を調整する。そして、制御装置81は、再び、ステップS105に戻り、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であるか否かについて判定する。
制御装置81は、ステップS105において、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であると判定した場合、ステップS107に進む。ステップS107において、制御装置81は、めっき時間が予め設定した目標時間を経過したか否かについて判定する。制御装置81は、めっき時間が予め設定した目標時間を経過していないと判定した場合、再び、ステップS103に戻り、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。一方、制御装置81は、ステップS107において、めっき時間が予め設定した目標時間を経過したと判定した場合、ステップS108に進み、モーター6の駆動を停止させて、めっき液含浸布1の回動を終了させる。
次に、図8及び図9を参照して、実施の形態1に係るめっき方法の変形例2を説明する。図8は、実施の形態1に係るめっき方法の変形例2で用いられる構成要素のブロック図である。図8に示した変形例2のめっき方法では、上記しためっき工程において、めっき電極100を保持する保持具8の移動を操作機構80で操作し、めっき電極100の荷重を計測する荷重計測手段82の計測値に基づいて、被めっき部200aに接触させるめっき液含浸布1の接触圧が、予め設定した目標の接触圧となるように操作機構80を制御する。このとき、荷重計測手段82が計測した計測値に基づき、被めっき部200aに接触させるめっき液含浸布1の接触圧が、予め設定した目標の接触圧であるか否かを報知手段83で報知させる。
変形例2における操作機構80は、作業者による手動操作が可能な把持部を有する構成であり、把持部で保持具8を把持する。荷重計測手段82は、一例としてロードセルが好適であるが、他の構成でもよい。報知手段83は、荷重計測手段82が計測した計測値に基づき、制御装置81によって制御される。報知手段83は、例えばランプ、ブザー又はバイブレーション等である。報知手段83は、ランプである場合、ランプの点灯又は点滅によって報知する。報知手段83は、ブザーである場合、ブザー音によって報知する。報知手段83は、バイブレーションである場合、振動によって報知する。なお、報知手段83は、接触圧を数値として表示する構成としてもよい。
図9は、実施の形態1に係るめっき方法の変形例2のフローチャートである。なお、図9では、報知手段83をランプで構成した場合について説明する。先ず、ステップS201において、モーター6を駆動させて第2回転部材4を回転させることで、めっき液含浸布1を環状方向に回動させる。次に、ステップS202において、制御装置81は、操作機構80を制御してめっき液含浸布1を被めっき物200の被めっき部200aに接触させる。なお、めっき液含浸布1が回動した状態で通電するのであれば、ステップS201とステップS202は順序を入れ替えてもよい。つまり、操作機構80を制御してめっき液含浸布1を被めっき物200の被めっき部200aに接触させた後、モーター6を駆動させてめっき液含浸布1を環状方向に回動させてもよい。
次に、ステップS203において、制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下でないと判定した場合、ステップS204に進み、目標の接触圧でないことを報知するために、報知手段83であるランプを点滅させる。そして、制御装置81は、再び、ステップS203に戻り、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。
ステップS203において、制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であると判定した場合、ステップS205に進む。ステップS205において、制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であるか否かについて判定する。制御装置81は、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上でないと判定した場合、ステップS206に進み、目標の接触圧でないことを報知するために、報知手段83であるランプを点滅させる。そして、制御装置81は、再び、ステップS205に戻り、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であるか否かについて判定する。
制御装置81は、ステップS205において、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であると判定した場合、ステップS207に進む。ステップS205において、制御装置81は、被めっき部200aへ接触させるめっき電極100の接触圧が目標の接触圧であることを報知するために、報知手段83であるランプを点灯させる。これにより、作業者は、被めっき部200aに接触させるめっき液含浸布1の接触圧が目標の接触圧であることを知ることができる。
次に、制御装置81は、ステップS208に進み、めっき時間が予め設定した目標時間を経過したか否かについて判定する。制御装置81は、めっき時間が予め設定した目標時間を経過していないと判定した場合、再び、ステップS203に戻り、荷重計測手段82が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。一方、制御装置81は、ステップS208において、めっき時間が予め設定した目標時間を経過したと判定した場合、ステップS209に進み、モーター6の駆動を停止させて、めっき液含浸布1の回動を終了させる。
なお、報知手段83は、必ずしも設ける必要はない。この場合、被めっき部200aへのめっき電極100の接触は、荷重計測手段82の計測値を確認しながら操作機構80を操作し、適正な接触圧となるように作業者が確認しながら行われる。
次に、図10及び図11を参照して、実施の形態1に係るめっき方法の変形例3を説明する。図10は、実施の形態1に係るめっき方法の変形例3で用いられる構成要素のブロック図である。図10に示した変形例3のめっき電極100では、上記しためっき工程において、モーター6の回転数を回転数計測手段84によって計測し、回転数計測手段84の計測値に基づき、予め設定した目標の回転数となるようにモーター6を制御する。そして、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度が一定となるように、第2回転部材4の回転数を制御して、めっき液含浸布1の回動速度を調整する。回転数計測手段84は、一例としてエンコーダーが好適であるが、他の構成でもよい。
図11は、実施の形態1に係るめっき方法の変形例3のフローチャートである。先ず、ステップS301において、制御装置81は、モーター6を駆動させて第2回転部材4を回転させることで、めっき液含浸布1を環状方向に回動させる。
次に、ステップS302において、操作機構80を制御してめっき液含浸布1を被めっき物200の被めっき部200aに接触させる。なお、操作機構80は、ロボット等のアームを有する構成でもよいし、作業者による手動操作が可能な把持部を有する構成でもよい。なお、めっき液含浸布1が回動した状態で通電するのであれば、ステップS301とステップS302は、順序を入れ替えてもよい。つまり、操作機構80を制御してめっき液含浸布1を被めっき物200の被めっき部200aに接触させた後、モーター6を駆動させてめっき液含浸布1を環状方向に回動させてもよい。
次に、ステップS303において、制御装置81は、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。制御装置81は、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した下限値以下でないと判定した場合、ステップS304に進み、モーター6の回転数を増加させて、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度を上げる。そして、制御装置81は、再び、ステップS303に戻り、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。
制御装置81は、ステップS303において、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であると判定した場合、ステップS305に進む。ステップS305において、制御装置81は、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であるか否かについて判定する。制御装置81は、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した上限値以上でないと判定した場合、ステップS306に進み、モーター6の回転数を減少させて、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度を下げる。そして、制御装置81は、再び、ステップS305に戻り、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であるか否かについて判定する。これにより、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度を一定にすることができるので、摺動速度の変化によるめっき品質の低下を防ぐことができる。
制御装置81は、ステップS305において、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した上限値以上であると判定した場合、ステップS307に進む。ステップS307において、制御装置81は、めっき時間が予め設定した目標時間を経過したか否かについて判定する。制御装置81は、めっき時間が予め設定した目標時間を経過していないと判定した場合、再び、ステップS303に戻り、回転数計測手段84が計測した計測値が、予め設定した下限値以下であるか否かについて判定する。一方、制御装置81は、ステップS307において、めっき時間が、予め設定した目標時間を経過したと判定した場合、ステップS308に進み、モーター6の駆動を停止させて、めっき液含浸布1の回動を終了させる。
実施の形態2.
次に、本実施の形態2に係るめっき電極101及び該めっき電極101を用いためっき方法を図1~図11を参照しつつ、図12~図20に基づいて説明する。図12は、実施の形態2に係るめっき電極であって、要部を模式的に示した説明図である。図13は、図12に示した状態からめっき電極を移動させて、被めっき物にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。図14は、図12に示した状態からすべての第1可動接触子を可動させて、被めっき物にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
図12に示した実施の形態2に係るめっき電極101は、1つのめっき電極101のみで、複数パターンの部分めっきを形成できることを特徴としている。実施の形態2に係るめっき電極101は、上記実施の形態1の構成に加えて、可動接触子群9と、張力調整子10とを有している。なお、めっき液含浸布1、環状部材2、第1回転部材3、第2回転部材4、直流化電源5、モーター6、めっき液供給手段7、及び保持具8に関しては、実施の形態1と同じ構成である。
可動接触子群9と張力調整子10は、第1回転部材3及び第2回転部材4と共に、環状部材2の内部に配置されている。可動接触子群9は、円柱体状から成る複数の第1可動接触子9aを、環状部材2の環状方向に沿って並列させて配置した構成である。可動接触子群9は、図示例の場合、5つの第1可動接触子9aの集合体で構成されている。第1可動接触子9aは、使用するめっき液に溶解しない材料又は溶解し難い材料で形成されている。一例として、第1可動接触子9aは、白金(Pt)、チタン-白金(Ti-Pt)、チタン-酸化イリジウム(Ti-IrO2)、ステンレス(SUS)、カーボン(C)などで形成されている。
第1可動接触子9aは、例えば保持具8に移動自在に保持されている。第1可動接触子9aは、環状部材2の内部において、被めっき物200に向かって移動させることができる。第1可動接触子9aの移動は、図示省略の制御部によって制御される。第1可動接触子9aを移動させることで、環状部材2を介してめっき液含浸布1を被めっき部200aに押し付けることができる。可動接触子群9は、すべての第1可動接触子9aを移動させることもできるし、一部の第1可動接触子9aのみを移動させることもできる。
なお、可動接触子群9は、5つの第1可動接触子9aの集合体に限定されず、1つ以上の第1可動接触子9aを有する構成であればよい。第1可動接触子9aの個数は、用途及び被めっき物200の形状に合わせて任意に変更するものとする。また、第1可動接触子9aは、図示した円柱形状に限定されず、環状部材2及びめっき液含浸布1の回動を阻害しない形状であればよい。例えば、第1可動接触子9aは、滑らかな表面を持つ円柱、半円柱、角柱若しくは薄板、又は軸を中心に回転する機構を有した柱状若しくは球状体などで構成することができる。また、第1可動接触子9aは、被めっき部200aの形状に追随するような形状としてもよい。このような形状とすることで、めっき処理時にめっき液含浸布1と被めっき部200aの密着性を向上させることができる。
張力調整子10は、めっき液含浸布1及び環状部材2の張力を一定に保つために設けられている。張力調整子10は、使用するめっき液に溶解しない材料又は溶解し難い材料で形成されている。一例として、張力調整子10は、白金(Pt)、チタン-白金(Ti-Pt)、チタン-酸化イリジウム(Ti-IrO2)、ステンレス(SUS)、カーボン(C)などで形成されている。
張力調整子10は、軸部を中心に回転する機構を有した円柱形状である。張力調整子10は、円柱の外面を環状部材2の内面に接触させた状態で、環状部材2の内部に配置されている。張力調整子10は、環状部材2及びめっき液含浸布1の回動を阻害しないものであれば、滑らかな表面を持つ円柱、半円柱、角柱又は薄板などで構成することができる。また、張力調整子10の個数は、図示した1個に限定されず、用途及び被めっき物200の形状に合わせて任意に変更することができる。
張力調整子10は、例えば保持具8によって移動自在に保持されている。張力調整子10の移動は、図示省略の制御部によって制御される。張力調整子10は、第1可動接触子9aを移動させる際に、第1可動接触子9aと共に移動することで、めっき液含浸布1及び環状部材2の張力を一定に保つことができる。これにより、第1可動接触子9aが移動した際に、めっき液含浸布1及び環状部材2に発生する過度な張力を抑制でき、めっき液含浸布1及び環状部材2の破損を防ぐことができる。なお、張力調整子10は必ずしも設ける必要はなく、第1回転部材3及び第2回転部材4のいずれか一方又は両方を動かすことで、めっき液含浸布1及び環状部材2の張力を一定に保つ構成としてもよい。
なお、第1可動接触子9aは、環状部材2の環状の開口を通じて、環状部材2の内部から外部へ移動させる構成としてもよい。第1可動接触子9aの一部が不要な場合には、他の第1可動接触子9aの邪魔にならないように、不要な第1可動接触子9aを取り除くことができる。また、環状部材2を用いない場合には、張力調整子10をめっき液含浸布1に直接接触させるものとする。
次に、本実施の形態2に係るめっき電極101を用いためっき方法について説明する。本実施の形態2のめっき方法も、実施の形態1と同じく、脱脂工程、酸洗浄工程、中和工程、めっき工程の順に行う。なお、ここでは、一例として、めっき処理の対象として汎用性が高い銅合金材に銀めっきを行う方法について説明する。
脱脂工程、酸洗浄工程、中和工程、めっき工程後の後処理、及び水洗工程は実施の形態1と同様である。また、めっき処理時の銀めっき液、電流密度、めっき時間、めっき液含浸布1の回動に関する条件についても、実施の形態1と同様である。
本実施の形態2のめっき電極101では、図13に示すように、可動接触子群9をめっき液含浸布1に接触させない状態で、図示省略の操作機構を操作し、めっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させることで、実施の形態1と同様に部分めっき処理を行うことができる。
一方、本実施の形態2のめっき電極101では、図14に示すように、被めっき部200aにめっき液含浸布1を接触させる際、可動接触子群9を移動させることで、接触範囲及び接触位置を変更させることができる。具体的には、めっき電極101は、第1可動接触子9aを移動させて環状部材2の内面に接触させ、該環状部材2と共にめっき液含浸布1の一部を被めっき部200aに向かって突出させる。図14では、5つすべての第1可動接触子9aを移動させた場合を示している。めっき液含浸布1の突出させた部分のみを被めっき部200aに接触させることで、形成するめっき膜の範囲を小さくすることができる。
図15は、図12に示した状態から一部の第1可動接触子を可動させて、被めっき物にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。めっき電極101は、図15に示すように、一部の第1可動接触子9aのみを移動させることで、めっき液含浸布1の突出する部分の面積を小さくすることができ、被めっき部200aへ接触するめっき液含浸布1の接触面積を小さくすることができる。図15では、並列させた5つの第1可動接触子9aのうち、真ん中に配置された3つの第1可動接触子9aを移動させた場合を示している。
図16は、図12に示した状態から一部の第1可動接触子を可動させて、被めっき物にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。めっき電極101は、図16に示すように、可動させる第1可動接触子9aを変更することで、めっき液含浸布1の突出する部分の位置が変更され、被めっき部200aへ接触するめっき液含浸布1の接触位置を変更させることができる。図16では、並列させた5つの第1可動接触子9aのうち、左端に配置された2つの第1可動接触子9aを可動させた場合を示している。なお、可動させる第1可動接触子9aの箇所及び個数は、図15及び図16に示した構成に限定されず、用途及び被めっき物200の形状等に応じて、適宜変更するものとする。
図17は、図12に示した状態から第1可動接触子を可動させて、被めっき物の曲面にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。図18は、図12に示した状態から第1可動接触子を可動させて、被めっき物の凸面にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。図17に示すように、被めっき部200aが曲面である場合、該曲面に沿うように可動接触子群9を可動させることで、曲面の一部にめっき液含浸布1を接触させることができる。また、図18に示すように、被めっき部200aが凸面である場合、該凸面に沿うように可動接触子群9を移動させることで、凸面の一部にめっき液含浸布1を接触させることができる。
第1可動接触子9aは、被めっき部200aに対するめっき液含浸布1の接触圧を調整できるように構成されている。接触圧の調整は、例えば制御部によって行われる。これにより、被めっき部200aに形成されるめっき膜の膜厚を目標の膜厚とすることができる。接触圧としては、0.25kgf/cm2~2.0kgf/cm2であることが好ましい。
めっき電極101は、めっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させた状態で、めっき液含浸布1を回動させ、通電することで被めっき部200aに銀めっき膜を形成することができる。実施の形態1と同様に、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度は、12.5m/min~17.5m/minの範囲となることが好ましい。
被めっき部200aに銀めっき膜を形成後、可動接触子群9を移動させ、めっき液含浸布1を被めっき物200から離す。そして、必要に応じて被めっき物200に対して後処理を行い、水洗工程を経ることで、銀めっき膜を形成することができる。
なお、めっき電極101は、直流化電源5の陽極を可動接触子群9に電気的に接続することで、通電時の電気抵抗を低減でき、陽極及び陰極間の導通を確実にすることができる。可動接触子群9は、例えば回転軸と周囲の回転部が電気的に接続された回転接続用コネクターを用いて、直流化電源5の陽極と電気的に接続することができる。回転接続用コネクターは、例えば、カーボン製のブラシ、水銀又はガリウム合金、若しくはローラー集電子などを用いて回転軸と周囲の回転部の導電性を確保している市販のコネクターを用いることができる。
また、めっき処理の対象は、銅合金材に限定されない。また、めっきの種類は、銀めっきに限定されない。上記めっき方法では、例えば、めっき処理の対象としてアルミ合金材に、ニッケルめっきを形成し、更にニッケルめっきの上面にすずめっきを形成する等、複数のめっき層の形成にも適用できる。また、めっき電極101は、主にめっき工程において使用するが、脱脂工程、酸洗浄工程及び中和工程においても使用できる。さらに、上記めっき電極101は、めっき方法の各工程間において実施される水洗工程においても使用できる。
以上のように、本実施の形態2に係るめっき電極101は、環状部材2の内側に配置され、環状部材2を介してめっき液含浸布1を被めっき物200に押し付ける1つ以上の第1可動接触子9aと、環状部材2の内側に移動自在に配置され、めっき液含浸布1及び環状部材2の張力を一定に保つ1つ以上の張力調整子10と、を備えている。
したがって、本実施の形態2に係るめっき電極101及び該めっき電極101を用いためっき方法は、被めっき部200aに接触するめっき液含浸布1の範囲及び位置を自在に変更することができ、複数の部分めっきパターンに対応できる。
図19は、実施の形態2に係るめっき電極の変形例を模式的に示した説明図である。図20は、図19に示した状態から一部の第1可動接触子を可動させて、被めっき物にめっき液含浸布を接触させた状態を模式的に示した説明図である。図19に示した本実施の形態2のめっき電極101は、めっき液含浸布1の環状の外側に、めっき液含浸布1を環状の内側に向かって押し付ける第2可動接触子9bを設けた構成を特徴としている。第2可動接触子9bは、環状部材2の内側に配置した第1可動接触子9aと同一の構成である。第2可動接触子9bは、可動接触子群9と被めっき部200aとの間に配置されている。図19では、並列に配置した5つの第1可動接触子9aのうち、真ん中の第1可動接触子9aと対向する位置に第2可動接触子9bを配置した場合を示している。なお、第2可動接触子9bは、図19に示すように1つでもよいし、2つ以上設けてもよい。
図19に示すめっき電極101は、図20に示すように、並列に配置した5つの第1可動接触子9aのうち、両端の第1可動接触子9aを可動させて環状部材2の内側に接触させ、めっき液含浸布1の一部を突出させる。可動させた第1可動接触子9aの間に位置するめっき液含浸布1は、第2可動接触子9bによって環状部材2の内側へ向かって押し付けられ、被めっき物200との接触が阻まれる。つまり、図19に示すめっき電極101では、第2可動接触子9bを間に挟んだ位置に配置された第1可動接触子9aによって突出した部分のみを被めっき部200aに接触させることができるので、複数の被めっき部200aに同時にめっき膜を形成することができる。よって、図19に示すめっき電極101は、被めっき物200の複数の箇所にめっき膜を形成する場合において、1つのめっき電極101で対応することができるので、複数のめっき電極を用意する必要がなくなり、省スペース化及びめっき電極100を付け替える工程の省略を実現することができ、生産性を向上させることができる。
実施の形態3.
次に、本実施の形態3に係るめっき電極102及び該めっき電極102を用いためっき方法を図1~図11を参照しつつ、図21及び図22に基づいて説明する。図21は、実施の形態3に係るめっき電極を模式的に示した説明図である。図22は、図21に示したA線矢視図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
本実施の形態3に係るめっき電極102は、図21に示すように、めっき液供給手段7として、めっき液70を満たしためっき槽71を有する構成である。なお、めっき液含浸布1、環状部材2、第1回転部材3、第2回転部材4、直流化電源5、モーター6、及び保持具8に関しては、実施の形態1と同じ構成である。
めっき槽71は、めっき液含浸布1が回動する経路に配置されている。本実施の形態3に係るめっき電極102では、めっき処理を行いながら、回動するめっき液含浸布1がめっき槽71を通過してめっき液70が供給される。めっき槽71の内部には、第3回転部材11が配置されている。第3回転部材11は、第2回転部材4と同じ構成である。第3回転部材11は、一例として保持具8に保持されている。第3回転部材11は、環状部材2の内部に設けられ、回転体の外面が環状部材2の内面に接触している。
また、本実施の形態3に係るめっき電極102は、めっき液含浸布1が回動する経路において、第1回転部材3と第3回転部材11との間、及び第2回転部材4と第3回転部材11との間に、圧力調整子12及び13が設けられている。圧力調整子12及び13は、一例として、保持具8に保持されている。圧力調整子12及び13は、回動するめっき液含浸布1及び環状部材2に圧力を調整して加えるものである。第1回転部材3と第3回転部材11との間に設けられた圧力調整子12は、環状部材2の内部に配置され、環状の外側に向かって圧力を加えるものである。第2回転部材4と第3回転部材11との間に設けられた圧力調整子13は、めっき液含浸布1の環状の外側に配置され、環状の内側に向かって圧力を加えるものである。これにより、めっき液含浸布1に張力を加えることができ、めっき処理を良好に行うことができる。また、図示省略の操作機構を用いて保持具8を移動させた際に、めっき液含浸布1の張力の変化に対応させることができ、過度な張力によるめっき液含浸布1の破損を防ぐことができる。
操作機構は、被めっき部200aに対するめっき液含浸布1の接触圧を調整できるように構成されている。これにより、被めっき部200aに形成されるめっき膜の膜厚を目標の膜厚とすることができる。接触圧としては、例えば0.25kgf/cm2~2.0kgf/cm2であることが好ましい。
本実施の形態3に係るめっき電極102では、図21及び図22に示すように、めっき液含浸布1を回動させ、直流化電源5をオン状態にして通電した後、めっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させることで、めっき液含浸布1にめっき液70が供給されながら、銀めっき膜を形成することができる。被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度は、12.5m/min~17.5m/minの範囲となることが好ましい。
以上のように、実施の形態3に係るめっき電極102及び該めっき電極102を用いためっき方法によれば、めっき液70をめっき液含浸布1に供給しながら、めっき処理を行えるため、めっき液含浸布1をめっき液70に浸漬させる工程を別途設ける必要がなく、生産性を向上させることができる。また、多量のめっき液70をめっき液含浸布1に供給できるため、めっき液不足によるヤケなどのめっき不良を防ぐことができる。なお、実施の形態3に係るめっき電極102及び該めっき電極102を用いためっき方法は、上記した実施の形態2の構成を適用することができる。
実施の形態4.
次に、本実施の形態4に係るめっき電極100及び該めっき電極100を用いためっき方法を図1~図11を参照しつつ、図23に基づいて説明する。図23は、実施の形態4に係るめっき電極を模式的に示した斜視図である。図23では、図1に示した直流化電源5及びめっき液供給手段7を省略している。また、図23に示した白抜き矢印cは、めっき電極100の回転を示している。また、図23に示した白抜き矢印dは、めっき電極100の移動方向を示している。なお、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
実施の形態4に係るめっき方法で用いられるめっき電極100は、実施の形態1で説明しためっき電極100と同じ構成である。実施の形態4に係るめっき方法は、図23に示すように、めっき液含浸布1が接触する被めっき部200aの面積よりも大きい領域Aに、めっき膜200bを形成する場合に実施される。なお、実施の形態4に係るめっき方法においても、実施の形態1と同様に、脱脂工程、酸洗浄工程、中和工程、めっき工程後の後処理、及び水洗工程が行われる。また、めっき処理時のめっき液は、実施の形態1と同様のものである。
めっき電極100は、図示省略の操作機構を操作して保持具8を移動させ、回動させためっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させる。めっき液含浸布1が被めっき部200aに接触した瞬間に通電が開始される。この状態で、めっき膜200bを形成したい領域Aに沿うように、操作機構を操作してめっき液含浸布1を移動させることで、めっき液含浸布1が接触する被めっき部200aの面積よりも大きい面積のめっき膜200bを形成することができる。
被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度は、12.5m/min~17.5m/minの範囲となることが好ましい。めっき時間は、電流密度、目標の膜厚、めっき液含浸布1が被めっき物200に接触する面積、及びめっき膜200bを形成したい領域Aの面積等から算出して設定する。具体的には下記の関係式(1)を用いて設定する。
t=(TvCdS)/(IsA)・・・・(1)
ここで、tはめっき時間、Tは目標の膜厚、vはめっき金属イオンの原子価、Cはファラデー定数、dはめっき金属の密度、Sはめっき膜200bを形成したい領域Aの面積、Iは電流密度、sはめっき液含浸布1が被めっき物200と接触する面積、Aはめっき金属の原子量である。なお、電流密度は、電圧を印加する時に流れる電流を、めっき液含浸布1が被めっき物200と接触する面積で除したものである。
実施の形態4に係るめっき方法では、操作機構を操作して領域Aに沿うようにめっき液含浸布1を移動させる際において、めっき液含浸布1の回動開始時及びめっき液含浸布1の方向転換時に、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度が変化する。めっき液含浸布1の摺動速度は、めっきの品質に重要な影響を与える。摺動速度の変化は、めっきの品質の低下につながるおそれがある。
そこで、操作機構の操作によるめっき電極100の移動速度の変化に合わせて、モーター6の回転数を変化させ、めっき液含浸布1の回動速度を変化させる。その結果、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度を一定にすることができ、めっき品質の安定化を実現できる。例えば、めっき電極の移動速度が1m/min減少するとき、めっき液含浸布1の回動速度を1m/min増加させるように制御することで、摺動速度の低下を防ぐことができる。また、めっき膜200bを形成したい領域Aに対する垂直方向を軸として、操作機構でめっき電極100を回転させることにより、めっき液含浸布1の摺動方向を変更させることができる。このように、めっき電極100の摺動方向を一定時間ごとに変更させることで、摺動方向に起因するめっき膜の異方性を軽減し、めっき膜の品質のばらつきを抑制することができる。
被めっき部200aにめっき膜を形成後、操作機構を操作して保持具8を移動させ、めっき液含浸布1を被めっき物200から離す。そして、必要に応じて被めっき物200に対して後処理を行い、水洗工程を経ることで、めっき膜200bを得ることができる。
なお、めっき膜200bを成膜したい領域Aは、図23に示した矩形に限定されず、例えば円形等の他の形状でもよい。また、操作機構を操作して、めっき電極100の移動方向を変化させることで、1つの平面に限らず、複数の平面を跨る領域に適用することができるし、曲面に対しても適用することができる。
また、本実施の形態4は、上記した実施の形態3の構成を適用することができる。この場合、めっき液含浸布1の経路に設けためっき槽71も、めっき電極100と連動させて動かすことで、めっき液含浸布1の張力の変化及び損傷を防ぐことができる。
以上のように、本実施の形態4に係るめっき電極100およびめっき方法によれば、めっき液含浸布1が接触する被めっき部200aの面積よりも大きい領域Aにめっき膜200bを形成する場合において、1つのめっき電極100で対応することができる。よって、複数のめっき電極を用意する必要がなくなり、省スペース化及びめっき電極100を付け替える工程の省略を実現することができ、生産性を向上させることができる。
また、被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度が一定となるように、第2回転部材4の回転数を制御して、めっき液含浸布1の回動速度を調整するので、摺動速度の変化によるめっき品質の低下を防ぐことができる。
実施の形態5.
次に、本実施の形態5に係るめっき電極103及び該めっき電極103を用いためっき方法を図24~図27に基づいて説明する。図24は、実施の形態5に係るめっき電極を模式的に示した説明図である。図25は、実施の形態5に係るめっき電極の変形例1を模式的に示した説明図である。図26は、実施の形態5に係るめっき電極の変形例2を模式的に示した説明図である。図27は、実施の形態5に係るめっき電極の変形例3を模式的に示した説明図である。なお、実施の形態1~4と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
図24に示すように、本実施の形態5に係るめっき電極103のめっき液含浸布1は、被めっき物200の被めっき部200aに接触させる表面が上方に向くように配置されている。被めっき物200は、めっき液含浸布1の真上に配置される。被めっき物200の被めっき部200aは、めっき液含浸布1と対向するように下向きに配置される。なお、めっき液含浸布1、環状部材2、第1回転部材3、第2回転部材4、直流化電源5及びモーター6、第3回転部材11に関しては、実施の形態1~4と同じ構成である。めっき液供給手段7は、めっき液70を満たしためっき槽71を有する構成である。めっき槽71は、めっき液含浸布1が回動する経路であって、被めっき物200の下方に配置されている。本実施の形態5に係るめっき電極103では、めっき処理を行いながら、回動するめっき液含浸布1がめっき槽71を通過してめっき液70が供給される。めっき槽71の内部には、第3回転部材11が配置されている。第3回転部材11は、第2回転部材4と同じ構成である。第3回転部材11は、環状部材2の内部に設けられ、回転体の外面が環状部材2の内面に接触している。
図25に示しためっき電極103のめっき液含浸布1は、被めっき物200の被めっき部200aに接触させる表面が水平方向を向くように配置されている。被めっき物200の被めっき部200aは、めっき液含浸布1と対向するように、水平方向に向いて配置される。なお、実施の形態5に係るめっき電極103は、図24及び図25に示した構成に限定されない。めっき液含浸布1は、被めっき物200の被めっき部200aに接触させる表面が、水平方向に対して傾斜するように配置してもよい。傾斜角度は、一例として水平方向に対して45度である。めっき電極103は、被めっき物200の形状又はめっき電極103を使用する設備構成に対応させて、めっき液含浸布1を様々な向きに向けて配置する。
図26に示しためっき電極103では、めっき槽71にめっき液含浸布1の周囲を覆う液飛散防止壁72が設けられている。液飛散防止壁72は、めっき槽71に壁部からめっき液含浸布1の表面に沿って配置されている。液飛散防止壁72は、めっき処理中に飛散するめっき液を受け止め、受け止めためっき液70をめっき槽71に戻すために設けられている。液飛散防止壁72の材質は、例えば樹脂材料又はステンレス鋼など、耐薬品性に優れ、めっき処理温度に耐える耐熱性を有し、且つめっき析出が生じない材料であればよい。
図27に示しためっき方法は、図24に基づいて説明しためっき電極103を所定の位置に固定し、被めっき物200を操作機構で移動させて、被めっき部200aをめっき液含浸布1に接触させたものである。操作機構とは、ロボット等のアームを有する構成でもよいし、作業者による手動操作が可能な把持部を有する構成でもよい。図27に示しためっき方法では、処理前の被めっき物200がめっき液含浸布1まで搬送され、被めっき物200をめっき液含浸布1に接触させてめっき処理が行われ、めっき処理後に被めっき物200が次の工程へ搬送される。この一連のめっき工程は、被めっき物200を搬送させる設備によってのみ行われる。
図24~図27に示した本実施の形態5に係るめっき電極103における操作機構では、被めっき部200aに対するめっき液含浸布1の接触圧を調整できるように構成されている。これにより、被めっき部200aに形成されるめっき膜の膜厚を目標の膜厚とすることができる。接触圧としては、例えば0.25kgf/cm2~2.0kgf/cm2であることが好ましい。
また、図24~図27に示した本実施の形態5に係るめっき電極103では、めっき液含浸布1を回動させ、直流化電源5をオン状態にして通電した後、めっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させることで、めっき液含浸布1にめっき液70が供給されながら、めっき膜を形成することができる。被めっき物200に対するめっき液含浸布1の摺動速度は、12.5m/min~17.5m/minの範囲となることが好ましい。
以上のように、本実施の形態5に係るめっき電極103及び該めっき電極103を用いためっき方法によれば、めっき液70をめっき液含浸布1に供給しながら、めっき処理を行うことができるため、めっき液含浸布1にめっき液70を供給する複雑な工程を別途設ける必要がなく、多量のめっき液70をめっき液含浸布1に供給でき、めっき液70の不足によるヤケなどのめっき不良を防ぐことができる。また、重力作用によって被めっき物200に付着しためっき液70の離脱を促進できるため、次工程へ持ち出されるめっき液70の量を削減することができる。また、めっき電極103の下方にめっき槽71が位置するため、離脱しためっき液70の回収が容易となり、めっき液70の損失を最小限に抑えることができる。更に、図27に示しためっき方法では、操作機構で被めっき物200を移動させる構成なので、めっき電極103の構成に合わせた操作機構を設置する必要がなくなり、設備全体を簡素化することができる。
なお、実施の形態5に係るめっき電極103及び該めっき電極103を用いためっき方法は、上記した実施の形態1~4の構成を適用することができる。例えば図27に示しためっき方法を実施の形態4の構成に適用する場合には、操作機構を操作して被めっき物200を移動させ、回動させためっき液含浸布1を被めっき部200aに接触させる。めっき液含浸布1が被めっき部200aに接触した瞬間に通電が開始される。この状態で、めっき膜200bを形成したい領域Aにめっき液含浸布1が沿うように、操作機構を操作して被めっき部200aを移動させることで、めっき液含浸布1が接触する被めっき部200aの面積よりも大きい面積のめっき膜200bを形成することができる。
以上に、めっき電極(100、101、102、103)及び該めっき電極(100、101、102、103)を用いためっき方法を実施の形態に基づいて説明したが、めっき電極(100、101、102、103)は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図示しためっき電極(100、101、102、103)は、一例であって、他の構成要素を含んでもよい。要するに、めっき電極(100、101、102、103)は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。