実施形態に係る模型眼システム及び眼科装置について、幾つかの例示的な態様を説明する。例示的な態様に係る眼科装置は、例示的な態様に係る模型眼システムを含んでいる。また、例示的な態様に係る模型眼システムを用いて眼科装置の性能評価を行うことができる。
以下に説明する例示的な態様に係る眼科装置は、OCTA(及び/又はOCT血流計測)を実行可能なOCT装置を眼底カメラに組み合わせた複合機であるが、例示的な態様に係る眼科装置はこれに限定されず、OCTA機能(及び/又はOCT血流計測機能)を有する任意の眼科装置であってよい。幾つかの例示的な態様に係る眼科装置は、性能評価機能を有している。幾つかの例示的な態様の眼科装置は、性能評価のための模型眼システムを含んでいる。
以下に説明する例示的な態様の眼科装置に含まれるOCT装置にはスペクトラルドメインOCTが採用されているが、例示的な態様に係る眼科装置に適用可能なOCTの種別はスペクトラルドメインOCTに限定されず、例えばスウェプトソースOCTであってもよい。
ここで、スペクトラルドメインOCTは、低コヒーレンス光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検物からの測定光の戻り光を参照光と重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル分布を分光器で検出し、検出されたスペクトル分布にフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。
一方、スウェプトソースOCTは、波長可変光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検物からの測定光の戻り光を参照光と重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光をバランスドフォトダイオード等の光検出器で検出し、波長の掃引及び測定光のスキャンに応じて収集された検出データにフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。
このように、スペクトラルドメインOCTは空間分割でスペクトル分布を取得するOCT手法であり、スウェプトソースOCTは時分割でスペクトル分布を取得するOCT手法である。なお、タイムドメインOCTなどの他のOCT手法を用いてもよい。
幾つかの例示的な態様の眼科装置は、OCT機能を有していなくでもよい。一般に、例示的な態様の眼科装置は、少なくとも光学系を利用して眼のデータを取得する機能を有する。幾つかの例示的な態様の眼科装置は、光学系に加え、それにより取得されたデータを処理する機能を有していてもよい。このように、例示的な態様の眼科装置は、眼のデータを光学的に(つまり、光学的な手法で)取得する機能を有している。特に、例示的な態様の眼科装置は、眼血管系の循環状態を測定することが可能である。OCT装置以外の眼科装置としては、例えば、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、手術用顕微鏡、LSFG装置などがある。
同様に、幾つかの例示的な態様の模型眼システムは、OCT装置の評価に用いられる。一般に、例示的な態様の模型眼システムは、少なくとも光学系を利用して眼のデータを取得する機能を有する眼科装置の評価に使用される。幾つかの例示的な態様の模型眼システムは、このような光学系の評価に用いられる。幾つかの例示的な態様の模型眼システムは、光学系により取得されたデータを処理する機能を有する眼科装置の評価に用いられ、より具体的には、光学系の評価及び/又はデータ処理系の評価に用いられる。データ処理系の評価としては、ハードウェアの評価、ソフトウェアの評価、設定されているパラメータの評価、参照されるデータや情報の評価などがある。このように、例示的な態様の模型眼システムは、眼のデータを光学的に(つまり、光学的な手法で)取得する機能を有する眼科装置の評価に利用される。特に、例示的な態様の模型眼システムは、眼血管系の循環状態を測定する機能の評価に利用される。なお、幾つかの例示的な態様の模型眼システムは、眼血管系の循環状態と同等又は等価なデータを取得する機能の評価、眼血管系の循環状態に影響を与えるデータを取得する機能の評価、又は、眼血管系の循環状態から影響を受けるデータを取得する機能の評価のために利用されてもよい。
本明細書において、特に言及しない限り、「画像データ」と、それに基づく視覚的情報である「画像」とを区別しない。また、特に言及しない限り、被検眼の部位又は組織と、それに対応する模型眼システムの部分とを区別しない。更に、特に言及しない限り、被検眼の部位又は組織とその画像とを区別せず、模型眼システムの部分とその画像とを区別しない。
<眼科装置の構成>
例示的な態様の眼科装置の構成を図1~図3Bに示す。眼科装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100、及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼Eの正面画像を取得するための光学系や機構と、OCTを実行するための光学系や機構とが設けられている。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系や機構が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の処理(演算、制御等)を実行するように構成された1以上のプロセッサを含んでいる。
本明細書に開示された要素の機能の少なくとも一部は、回路構成(circuitry)又は処理回路構成(Processing circuitry)を用いて実装される。回路構成又は処理回路構成は、開示された機能の少なくとも一部を実行するように構成及び/又はプログラムされた、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路構成、及びそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む。プロセッサは、トランジスタ及び/又は他の回路構成を含む、処理回路構成又は回路構成とみなされる。本開示において、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、開示された機能の少なくとも一部を実行するハードウェア、又は、開示された機能の少なくとも一部を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されたハードウェアであってよく、或いは、記載された機能の少なくとも一部を実行するようにプログラム及び/又は構成された既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが或るタイプの回路構成とみなされ得るプロセッサである場合、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、このソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサを構成するために使用される。
<眼底カメラユニット2>
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Ef(及び前眼部)を撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efのデジタル画像(眼底像、眼底写真等と呼ばれる)は、一般に、観察画像、撮影画像等の正面画像である。観察画像は、近赤外光を用いた動画撮影により得られる。撮影画像は、可視領域のフラッシュ光を用いた静止画像である。
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は、被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eに照射された照明光の戻り光を検出する。OCTユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれる。被検眼E(例えば、眼底Ef)に投射された測定光の戻り光は、眼底カメラユニット2内の同じ光路を通じてOCTユニット100に導かれる。
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、凹面鏡12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ系17、リレーレンズ18、絞り19、及びリレーレンズ系20を経由して孔開きミラー21に導かれる。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)を照明する。観察照明光の被検眼Eからの戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によりイメージセンサー35の受光面に結像される。イメージセンサー35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。なお、撮影光学系30のフォーカスは、眼底Ef若しくはその近傍に合致するように調節可能であり、且つ、前眼部若しくはその近傍に合致するように調節可能である。
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの撮影照明光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、結像レンズ37によりイメージセンサー38の受光面に結像される。
液晶ディスプレイ(LCD)39は、視線の誘導及び固定を行うための固視標(固視標画像)を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aに反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。
アライメント光学系50は、被検眼Eに対する光学系のアライメントに用いられるアライメント指標を生成する。発光ダイオード(LED)51から出力されたアライメント光は、絞り52、絞り53、及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。アライメント光の被検眼Eからの戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサー35に導かれる。その受光像(アライメント指標像)に基づいてマニュアルアライメントやオートアライメントを実行することができる。
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調節に用いられるスプリット指標を生成する。撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、フォーカス光学系60は照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱される。フォーカス調節を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。フォーカス光の被検眼Eからの戻り光(眼底反射光等)は、アライメント光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサー35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカシングやオートフォーカシングを実行できる。
孔開きミラー21とダイクロイックミラー55との間の撮影光路に、視度補正レンズ70及び71を選択的に挿入することができる。視度補正レンズ70は、強度遠視を補正するためのプラスレンズ(凸レンズ)である。視度補正レンズ71は、強度近視を補正するためのマイナスレンズ(凹レンズ)である。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用光路とOCT用光路(測定アーム)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。測定アームには、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、及びリレーレンズ45が設けられている。リトロリフレクタ41は、これに入射する測定光LSの光路に沿って移動可能とされ、それにより測定アームの長さが変更される。測定アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調節などに利用される。分散補償部材42は、参照アームに配置された分散補償部材113(後述)とともに、測定光LSの分散特性と参照光LRの分散特性とを合わせるよう作用する。OCT合焦レンズ43は、測定アームのフォーカス調節を行うために測定アームに沿って移動される。なお、撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。光スキャナ44は、実質的に、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。光スキャナ44は、測定アームにより導かれる測定光LSを偏向する。光スキャナ44は、例えば、2次元走査が可能なガルバノスキャナである。
<OCTユニット100>
図2に示す例示的なOCTユニット100には、スペクトラルドメインOCTを実行するための光学系が設けられている。この光学系は干渉光学系を含む。この干渉光学系は、低コヒーレンス光源(広帯域光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eに投射された測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせて干渉光を生成する。干渉光学系により生成された干渉光のスペクトル分布が分光器で検出する。干渉光のスペクトル分布の検出により得られたデータ(検出信号)は、演算制御ユニット200に送られる。
光源ユニット101は、広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(SLD)、LED、半導体光増幅器(SOA)等の光出力デバイスを含む。なお、スウェプトソースOCTが採用される場合、光源ユニットは、例えば、出射光の波長を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調節される。偏光状態が調節された光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。測定光LSを導く光路は測定アーム(sample arm)などと呼ばれ、参照光LRを導く光路は参照アーム(reference arm)などと呼ばれる。
ファイバカプラ105により生成された参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、リトロリフレクタ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、測定アームに配置された分散補償部材42とともに、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。リトロリフレクタ114は、これに入射する参照光LRの光路に沿って移動可能であり、それにより参照アームの長さが変更される。参照アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調節などに利用される。リトロリフレクタ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調節され、光ファイバ119を通じてアッテネータ120に導かれてその光量が調節され、光ファイバ121を通じてファイバカプラ122に導かれる。
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127を通じてコリメータレンズユニット40に導かれて平行光束に変換され、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、及びリレーレンズ45を経由し、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに投射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。測定光LSの被検眼Eからの戻り光は、測定アームを逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光LCを生成する。ファイバカプラ122により生成された干渉光LCは、光ファイバ129を通じて分光器130に導かれる。分光器130は、例えば、入射された干渉光LCをコリメータレンズによって平行光束に変換し、平行光束に変換された干渉光LCを回折格子によってスペクトル成分に分解し、回折格子により分解されたスペクトル成分をレンズ114によってイメージセンサーに投射する。このイメージセンサーは、例えばラインセンサーであり、干渉光LCの複数のスペクトル成分を検出して電気信号(検出信号)を生成する。生成された検出信号は、演算制御ユニット200に送られる。
なお、スウェプトソースOCTが採用される場合、測定光と参照光とを重ね合わせて生成された干渉光が所定の分岐比(例えば1:1)で分岐されて一対の干渉光を生成し、生成された一対の干渉光が光検出器に導かれる。光検出器は、例えばバランスドフォトダイオードを含む。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光をそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを含み、これらにより得られた一対の検出信号の差分を出力する。光検出器は、この出力(差分信号等の検出信号)をデータ収集システム(DAQ)に送る。データ収集システムには、光源ユニットからクロックが供給される。クロックは、光源ユニットにおいて、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニットは、例えば、各出力波長の光を分岐して2つの分岐光を生成し、これら分岐光の一方を光学的に遅延させ、これら分岐光を合成し、得られた合成光を検出し、その検出信号に基づいてクロックを生成する。データ収集システムは、光検出器から入力される検出信号(差分信号)のサンプリングをクロックに基づいて実行する。このサンプリングで得られたデータが画像構築などの処理に供される。
図1及び図2に示すように、本例の眼科装置1には、測定アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ41)と、参照アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ114、又は参照ミラー)との双方が設けられているが、幾つかの例示的な態様ではこれら要素のうちの一方のみが設けられる。測定アーム長と参照アーム長とを相対的に変化させることにより(つまり、測定アームと参照アームとの間の光路長差を変更することにより)、コヒーレンスゲート位置が変更される。光路長差を変更するための要素は本態様に開示された要素には限定されず、任意の要素(光学部材、機構など)であってよい。
<演算制御ユニット200>
演算制御ユニット200は、眼科装置1の各部の制御を実行する。また、演算制御ユニット200は、各種の演算を実行する。例えば、演算制御ユニット200は、分光器130により取得されたスペクトル分布にフーリエ変換等の信号処理を施すことによって、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、演算制御ユニット200は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することによって画像データを形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインOCTと同様である。演算制御ユニット200は、例えば、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含む。ハードディスクドライブ等の記憶装置には各種のコンピュータプログラムが格納されている。演算制御ユニット200は、操作デバイス、入力デバイス、表示デバイスなどを含んでいてもよい。
図3Aに示すように、ユーザーインターフェイス240は、表示部241と操作部242とを含む。表示部241は、例えば表示装置3を含む。操作部242は、各種の操作デバイスや入力デバイスを含む。ユーザーインターフェイス240は、例えばタッチパネルのような表示機能と操作機能とが一体となったデバイスを含んでいてもよい。幾つかの例示的な態様に係る眼科装置は、ユーザーインターフェイスの少なくとも一部を含まなくてよい。例えば、表示デバイス及び/又は操作デバイスは、眼科装置の周辺機器であってよい。
<処理系>
眼科装置1の処理系の構成の例を図3A及び図3Bに示す。制御部210、画像形成部220、及びデータ処理部230は、例えば演算制御ユニット200に設けられる。
<制御部210>
制御部210は、プロセッサを含み、眼科装置1の各部を制御する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。
<主制御部211>
主制御部211は、プロセッサを含み、眼科装置1の各要素(図1~図3Bに示された要素を含む)を制御する。主制御部211は、例えば、回路を含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働により実現される。
撮影光路に配置された撮影合焦レンズ31と照明光路に配置されたフォーカス光学系60とは、主制御部211の制御の下に、図示しない撮影合焦駆動部によって、一体的に又は連係的に移動される。測定アームに設けられたリトロリフレクタ41は、主制御部211の制御の下に、リトロリフレクタ(RR)駆動部41Aによって移動される。測定アームに配置されたOCT合焦レンズ43は、主制御部211の制御の下に、OCT合焦駆動部43Aによって移動される。OCT合焦レンズ43の移動は、撮影合焦レンズ31及びフォーカス光学系60の移動と連係的に実行される。参照アームに配置されたリトロリフレクタ114は、主制御部211の制御の下に、リトロリフレクタ(RR)駆動部114Aによって移動される。ここに例示した機構のそれぞれは、典型的には、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。測定アームに設けられた光スキャナ44は、主制御部211の制御の下に動作する。主制御部211は、偏波コントローラ103、偏波コントローラ118、アッテネータ120、各種光源、各種光学要素、各種デバイス、各種機構など、眼科装置1に含まれる任意の要素を制御することができる。移動機構150は、例えば、少なくとも眼底カメラユニット2を3次元的に移動する。移動機構150は、主制御部211の制御の下に動作する1以上のアクチュエータを含む。主制御部211は、眼科装置1に接続された任意の周辺機器の制御や、眼科装置1によりアクセス可能な任意の装置、機器、デバイス等の制御を実行可能であってよい。
<記憶部212>
記憶部212は各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば、OCTデータ、眼底像、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者情報や、左眼/右眼の識別情報や、電子カルテ情報などを含む。
<画像形成部220>
画像形成部220は、分光器130により取得されたデータに基づいてOCT画像データを形成する。画像形成部220は、プロセッサを含む。画像形成部220は、例えば、回路を含むハードウェアと、画像形成ソフトウェアとの協働により実現される。
画像形成部220は、分光器130により取得されたデータに基づいて断面像データを形成することができる。この画像形成処理は、従来のスペクトラルドメインOCTと同様に、サンプリング(A/D変換)、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、高速フーリエ変換(FFT)などの信号処理を含む。
画像形成部220により形成されるOCT画像データは、OCTスキャンが適用されたエリアに配列された複数のAライン(z方向に沿うスキャンライン)における反射強度プロファイルを画像化することによって形成された一群の画像データ(一群のAスキャン画像データ)を含むデータセットである。
OCT画像データは、例えば、1以上のBスキャン画像データ、又は、複数のBスキャン画像データを単一の3次元座標系に埋め込んで形成されたスタックデータである。画像形成部220は、スタックデータにボクセル化処理を施してボリュームデータ(ボクセルデータ)を構築することも可能である。スタックデータ及びボリュームデータは、3次元座標系により表現された3次元画像データの典型的な例である。
画像形成部220は、3次元画像データを加工することができる。例えば、画像形成部220は、3次元画像データにレンダリングを適用して新たな画像データを構築することができる。レンダリングの手法としては、ボリュームレンダリング、最大値投影(MIP)、最小値投影(MinIP)、サーフェスレンダリング、多断面再構成(MPR)などがある。また、画像形成部220は、3次元画像データをz方向(Aライン方向、深さ方向)に投影してプロジェクションデータを構築することができる。また、画像形成部220は、3次元画像データの一部(3次元部分画像データ)をz方向に投影してシャドウグラムを構築することができる。なお、3次元部分画像データは、例えば、3次元画像データにセグメンテーションを適用することによって設定される。
本態様の眼科装置1は、OCT血管造影データを生成するためのOCTAを実行可能であってよい。OCTAを実行するとき、眼科装置1は、眼底Efの同じ領域を所定回数だけ繰り返しスキャンする。画像形成部220は、この繰り返しスキャンにより収集されたデータセットからモーションコントラスト画像を構築する。このモーションコントラスト画像は、眼底Efの血流に起因する干渉信号の時間的変化を強調して画像化した血管造影画像である。典型的には、眼底Efの3次元領域に対してOCTAが適用され、眼底Efの血管の3次元的な分布を表す画像データ(3次元血管造影画像データ)が得られる。
画像形成部220は、この3次元血管造影画像データから、任意の2次元血管造影画像データ及び/又は任意の擬似的3次元血管造影画像データを構築することが可能である。例えば、画像形成部220は、3次元血管造影画像データにMPRを適用することによって、眼底Efの任意の断面を表す2次元血管造影画像データを構築することができる。また、画像形成部200は、3次元血管造影画像データにセグメンテーションを適用することにより特定された所定組織に相当する画像領域(スラブ)から正面画像データを構築することができる。この正面画像データはシャドウグラムの例である。典型的には、網膜浅層、網膜深層、脈絡膜などの様々な深さエリアについて正面画像データが構築される。OCTAについては、例えば、本出願人による特開2019-42264号公報に記載されている。なお、OCTAに関する処理の一部をデータ処理部230が実行するように構成してもよい。
本態様の眼科装置1は、OCT血流データを生成するためのOCT血流計測を実行可能であってよい。OCT血流計測を実行するとき、眼科装置1は、例えば、眼底の注目血管の注目断面を繰り返しスキャンして時系列データを取得し、この時系列データから時系列位相画像を形成する。また、眼科装置1は、注目断面の近傍の断面をスキャンして、注目断面における注目血管の向き(傾き)を求める。更に、眼科装置1は、ドップラーOCTの手法を用いて、これらのデータから血流速度(時系列変化)を求める。また、眼科装置1は、上記の時系列データから注目断面の断面像を形成し、この断面像に基づいて注目血管の径(断面径)を求め、血流速度と断面径とに基づいて血流量を求める。このようにして得られたOCT血流データは、例えば、時系列変化グラフ、注目断面におけるカラーマップ(時系列変化)などの方式で視覚化される。OCT血流計測については、例えば、本出願人による特開2019-42264号公報に記載されている。なお、OCT血管造影に関する処理の一部をデータ処理部230が実行するように構成してもよい。例えば、断面像形成や位相画像形成を画像形成部220が実行し、これら以外の処理をデータ処理部230が実行するように構成することができる。
<データ処理部230>
データ処理部230は、各種のデータ処理を実行する。例えば、データ処理部230は、OCTデータや眼底像を処理する。データ処理部230は、プロセッサを含む。データ処理部230は、例えば、回路を含むハードウェアと、データ処理ソフトウェアとの協働により実現される。
<機能構成>
次に、図1~図3Aに示す要素(ハードウェア要素、ソフトウェア要素)により実現される眼科装置1の機能構成について説明する。眼科装置1の機能構成の一例を図3Bに示す。本例は、模型眼システム500を用いて眼科装置1の評価を行うための構成を提供している。
模型眼システム500は、例示的な態様に係る模型眼システムであり、眼科装置1の性能評価のために、アダプター450を介して配置される。本態様では、模型眼システム500は、アダプター450を介して眼科装置1のスキャン部410に接続される。複数のアダプターを準備し、評価対象の眼科装置の機種に応じたアダプターを選択的に使用するようにしてもよい。
模型眼システム500の配置態様はこれに限定されず、任意であってよい。例えば、模型眼システム500をスキャン部410に接続することなく、スキャン部410から離間した位置に模型眼システム500を配置させるようにしてもよい。
スキャン部410は、眼のデータを光学的に取得するための要素であり、模型眼システム500に対してOCTスキャンを適用する。スキャン部410は、例えば、図1に示す測定アームを形成する要素群と、図2に示すOCTユニット2とを含む。処理部420は、スキャン部410により収集されたデータを処理してOCTデータを生成する。処理部420は、例えば、図3Aに示す画像形成部220を少なくとも含み、データ処理部230を更に含んでいてもよい。スキャン部410及び処理部420の組み合わせは、眼のデータを光学的に取得するためのデータ取得部の例であり、模型眼システム500(後述する、液体が内部を流動している模擬血管)からデータを取得する。
OCTAが実行される場合、スキャン部410は、模型眼システム500からのデータの収集(OCTスキャン)を少なくとも2回実行し、処理部420は、スキャン部410により収集された2以上のデータ(2回以上のOCTスキャンに対応する)を処理してOCT血管造影データを生成する。例えば、スキャン部410は、模型眼システム500の特定の3次元領域に対するOCTスキャン(ボリュームスキャン、ボリューメトリックスキャン)を4回実行する。処理部420は、この反復的ボリュームスキャンにより当該3次元領域から収集された4つの3次元OCTデータを処理することによって当該3次元領域のOCT血管造影データを生成する。
OCT血流計測が実行される場合、スキャン部410は、模型眼システム500からのデータの収集を繰り返し実行し、処理部420は、スキャン部410により収集された時系列データを処理してOCT血流データを生成する。例えば、スキャン部410は、模型眼システム500の特定の断面(注目断面)に対するOCTスキャン(Bスキャン)を所定時間(例えば2秒間)にわたって繰り返し実行する。更に、スキャン部410は、注目断面の近傍断面に対してOCTスキャン(Bスキャン)を実行する。処理部420は、この反復的Bスキャンにより収集された時系列データと近傍断面から収集されたデータとを処理することによってOCT血流データを生成する。
他の計測法が適用される場合、スキャン部410は、その計測法に応じた方式のOCTスキャンを模型眼システム500に適用し、処理部420は、その計測法に応じた処理を当該OCTスキャンで収集されたデータに適用する。
評価部430は、スキャン部410及び処理部420により模型眼システム500から取得されたデータに基づいて評価情報を生成する。評価部430が実行可能な評価処理の例の詳細については後述するが、幾つかの例示的な態様の概要について以下に説明する。
OCT機能の評価が実行される場合、スキャン部410は、模型眼システム500にOCTスキャンを適用してデータを収集し、処理部420は、この収集データを処理してOCTデータを生成する。評価部430は、このOCTデータに基づいて、OCT機能に関する評価情報を生成する。
OCTA機能の評価が実行される場合、スキャン部410は、模型眼システム500からのデータの収集を2回以上実行して2以上のデータを収集し、処理部420は、これら2以上のデータを処理してOCT血管造影データを生成する。評価部430は、このOCT血管造影データに基づいて、OCTA機能に関する評価情報を生成する。
OCT血流計測機能の評価が実行される場合、スキャン部410は、模型眼システム500からのデータの収集を繰り返し実行して時系列データを収集し、処理部420は、この時系列データを処理してOCT血流データを生成する。評価部430は、このOCT血流データに基づいて、OCT血流計測機能に関する評価情報を生成する。
<模型眼システム500>
模型眼システム500の例示的な構成を図4に示す。模型眼システム500は、模型眼600を含む。模型眼600は、模擬血管としてのキャピラリー601を含む。キャピラリー601は、眼底血管(例えば、網膜血管又は脈絡膜血管)と同等の径(内径)を有する管状部材である。キャピラリー601の径は、例えば180マイクロメートルに設計される。模型眼600の例示的な構成については後述する。
模型眼に設けられるキャピラリーの個数は任意である。2個以上のキャピラリーが設けられる場合、これらキャピラリーの径は等しくてもよいし、異なってもよい。また、2個以上のキャピラリーの内部を流動する液体の動態(流速、流量、圧力など)は、同一(同等)でもよいし、異なってもよい。キャピラリーの形状は任意であり、例えば、直線状又は曲線状であってよい。2つ以上の模型眼を選択的に使用可能であってもよい。
模型眼システム500は、更に、キャピラリー601に模擬血液(液体)を供給するための流路を含む。流路の径は、キャピラリー601の径よりも大きく設計されている。流路の径は、例えば1.5ミリメートルに設計されており、キャピラリー601の径180マイクロメートルよりも十分に大きい。
模型眼システム500の流路は、第1流路501を含んでいる。第1流路501の上流端501Uは、ポンプ530の吐出口に接続されている。ポンプ530と第1流路501とは、互いに着脱可能であってよい。ポンプ530は、上流端501Uから第1流路501に液体を流入させる液流発生部として機能する。第1流路501の下流端501Dは、キャピラリー601の上流端601Uに接続されている。模型眼600(キャピラリー601)と第1流路501とは、互いに着脱可能であってよい。このような流路構成により、上流端501Uから第1流路501に流入した液体の少なくとも一部が、下流端501D及び上流端601Uを介してキャピラリー601に流入する。
模型眼システム500の流路は、第2流路502を含んでいる。第2流路502の上流端502Uは、キャピラリー601の下流端601Dに接続されている。模型眼600(キャピラリー601)と第2流路502とは、互いに着脱可能であってよい。また、第2流路502の下流端502Dは、ポンプ530の吸入口に接続されている。ポンプ530と第2流路502とは、互いに着脱可能であってよい。このような流路構成により、キャピラリー601の下流端601Dから第2流路502に流入した液体の少なくとも一部が、下流端502Dを介してポンプ530に流入する。
このように、模型眼システム500の流路は、第1流路501、キャピラリー601、及び第2流路502からなり、且つ、ポンプ530を始点及び終点とする、循環流路(閉流路)を含んでいる。この循環流路には、第1分岐流路511及び第2分岐流路512が設けられている。
第1分岐流路511の上流端511Uは、第1流路501の第1位置501aにおいて第1流路501に接続されている。また、第1分岐流路511の下流端511Dは、第2流路502の第1位置502aにおいて第2流路502に接続されている。第1位置501a(上流端511U)において第1流路501から第1分岐流路511に流入した液体は、下流端511D(第1位置502a)において第2流路502に流入してポンプ530に戻る。
第2分岐流路512の上流端512Uは、第1流路501の第2位置501bにおいて第1流路501に接続されている。また、第2分岐流路512の下流端512Dは、第2流路502の第2位置502bにおいて第2流路502に接続されている。第2位置501b(上流端512U)において第1流路501から第2分岐流路512に流入した液体は、下流端512D(第2位置502b)において第2流路502に流入してポンプ530に戻る。
ここで、第1流路501の第2位置501bは、第1位置501aとポンプ530との間にある。また、第2流路502の第2位置502bは、第1位置502aとポンプ530との間にある。すなわち、ポンプ530を始点及び終点として、第2分岐流路512を含む循環流路は、第1分岐流路511を含む循環流路の内側に設けられている。
模型眼システム500は、流入路521及び流出路522を更に含んでいる。流入路521及び流出路522は、模型眼システム500の流路(キャピラリー601、第1流路501、第2流路502、第1分岐流路511、及び第2分岐流路512)を液体で満たすために外部から液体を供給するための液体供給部として機能する。液体は、外部から流入路521を介して模型眼システム500の流路に導かれる。また、模型眼システム500の流路内にある液体や気体は、流出路522を介して外部に導かれる。本例では、流入路521は、第1流路501の第3位置501cにおいて第1流路501に接続されており、流出路522は、第2流路502の第3位置502cにおいて第2流路502に接続されている。
模型眼システム500には、各種のバルブが設けられている。バルブは、流路の開閉や、流路を流れる液体の量の調節などに用いられる。本例では、バルブ541、542、551、552、553及び554が設けられている。
バルブ541及び542は、キャピラリー601を通過する液体の動態(流速、流量、圧力など)を調節するために用いられる。バルブ541は、第1分岐流路511に設けられており、第1分岐流路511の開閉と、第1分岐流路511を通過する液体の量の調節とに用いられる。バルブ542は、第2分岐流路512に設けられており、第2分岐流路512の開閉と、第2分岐流路512を通過する液体の量の調節とに用いられる。前述したように、第2分岐流路512を含む循環流路は、第1分岐流路511を含む循環流路の内側に設けられている。第2分岐流路512に設けられたバルブ542は、第1流路501の第2位置501bよりも下流の流路に導かれる液体の量を調節するために使用される。また、第1分岐流路511に設けられたバルブ541は、第1流路501の第1位置501aよりも下流の流路(したがって、キャピラリー601)に導かれる液体の量を調節するために使用される。
バルブ551、552、553及び554は、流入路521及び流出路522を用いて模型眼システム500の流路(キャピラリー601、第1流路501、第2流路502、第1分岐流路511、及び第2分岐流路512)を液体で満たす作業を行うときに使用される。
模型眼システム500の流路を液体で満たす作業の例を説明する。本例の作業は、以下の第1~第7の手順を含む。第1の手順では、バルブ551及び554のみを開けた状態で、外部から流入路521を通じて模型眼システム500の流路に液体を注入する。これにより、流入路521と、第2流路502の第3位置502cから下流端502Dまでの区間と、第1流路501の上流端501Uから第3位置501cまでの区間と、流出路522とに、液体が注入される。第2の手順では、バルブ541のみを開けた状態でポンプ530を駆動することにより、第1分岐流路511に液体を導くとともに、第1分岐流路511内の空気を第2流路502(例えば、第1位置502aから第2位置502bまでの区間)に導く。第3の手順では、再びバルブ551及び554のみを開けた状態として外部から液体を注入することで、第2の手順で第2流路502に導かれた空気を流出路522を通じて外部に排出する。第4の手順では、バルブ542のみを開けた状態でポンプ530を駆動することにより、第2分岐流路512に液体を導くとともに、第2分岐流路512内の空気を第1流路501の上流端501Uから第2位置501bまでの区間と第2流路502の第2位置502bから下流端502Dまでの区間とに導く。第5の手順では、再びバルブ551及び554のみを開けた状態として外部から液体を注入することで、第4の手順で第1流路501の上流端501Uから第2位置501bまでの区間と第2流路502の第2位置502bから下流端502Dまでの区間とに導かれた空気を流出路522を通じて外部に排出する。なお、第2及び第3の手順と、第4及び第5の手順とを、逆の順序で行ってもよい。第6の手順では、バルブ541、552及び553のみを開けた状態でポンプ530を駆動することにより、キャピラリー601に液体を導くとともに、キャピラリー601内の空気、第1流路501の第3位置501cから下流端501Dまでの区間内の空気、及び、第2流路502の上流端502Uから第3位置502cまでの区間内の空気を、第2流路502(例えば、第1位置502aから第2位置502bまでの区間)に導く。ここで、バルブ541は、キャピラリー601に導かれる液体の量を調節するために開けられている。バルブ541を閉じた状態で第6の手順を行うと、キャピラリー601に過大な量の液体が導かれて液漏れや破損(破裂)を引き起こすおそれがある。最後に、第7の手順では、再度バルブ551及び554のみを開けた状態として外部から液体を注入することにより、第6の手順で第2流路502に導かれた空気を流出路522を通じて外部に排出する。これにより、模型眼システム500の流路全体が液体で満たされる。第7の手順の完了後、バルブ551及び554を閉じる。流入路521の上流端(流入口)及び流出路522の下流端(流出口)を封止材又は封止部材によって封止してもよい。以上の作業により、液体で満たされた閉流路(循環流路)が実現される。
流路を形成する部材の材質によっては、流路内の液体が自然に外部に漏れることがある。例えば、フレキシブルな部材が用いられる場合、分子レベルの微細な孔から液体が漏れる(蒸発する)ことがある。このような液体の目減りが機能評価に影響を与えるおそれがある。この不都合を回避するために、上記のような作業を定期的又は適時に行って流路全体を液体で満たした状態を維持することが望ましいと考えられる。
模型眼システム500には流量計560が設けられている。流量計560は、模型眼システム500の流路内を流動する液体の流量(例えば、単位時間あたりの流量)を測定する機器であり、キャピラリー601内を流動する液体の流量の目安を提供する。流量計560の配置は任意であるが、本例では第2流路502の第1位置502aよりも下流に配置されている。その理由を以下に説明する。
前述したように、キャピラリー601の径は、第1流路501等の径よりも十分に小さい。よって、第1流路501の第1位置501aに到達した液体のうちキャピラリー601に導かれる液体の量は、第1分岐流路511に導かれる液体の量と比較して十分に少ない。つまり、キャピラリー601における流量は非常に少ない。一方、流量計560は固有の分解能を有する。一般的な流量計の分解能は、眼底血管と同等の径(180マイクロメートル)の管状部材内を眼底血流と同等の流速(10~20ミリメートル毎秒)で移動する液体の流量を正確に測定できるほど小さくない。超高分解能(したがって非常に高価格)の流量計を採用しない限り、キャピラリー601における流量を直接に測定することはできない。換言すると、第1流路501の第1位置501aよりも下流の第1流路501の位置、又は、第2流路502の第1位置502aよりも上流の第2流路502の位置に流量計560を配置することは、現実的とは言えない。このような事情を考慮し、本例の流量計560は、第2流路502の第1位置502aよりも下流に配置されている。
なお、超高分解能の流量計を使用できる場合には、第1流路501の第1位置501aよりも下流の第1流路501の位置、又は、第2流路502の第1位置502aよりも上流の第2流路502の位置に、流量計を配置することができる。また、第1流路501の第1位置501aの上流及び下流(第1流路501の位置又は第1分岐流路511の位置)にそれぞれ流量計を配置するか、或いは、第2流路502の第1位置502aの上流(第2流路502の位置又は第1分岐流路511の位置)及び下流にそれぞれ流量計を配置するとともに、それら2つの流量計の測定値に基づきキャピラリー601内の流量を算出するようにしてもよい。
流量計560は、液体の動態を計測する液流動態計測部として機能する。計測される液流動態は流量に限定されない。例えば、液流動態計測部は、流速、圧力などの任意の液流動態を計測するように構成されてよい。
流路を形成する部材(管状部材)の素材(材質)は任意であってよい。また、流路と流路との接続の態様は任意であってよく、例えば、直接に接続されていてもよいし、継手(ジョイント)を介して接続されていてもよい。キャピラリーと流路との接続の態様についても同様である。
流路内を流動する液体は模擬血液である。模擬血液は、例えば、微粒子が添加された液体である。模擬血液のベースは、例えば、水若しくは水系、アルコール若しくはアルコール系、又は、グリコール若しくはグリコール系であってよいが、これに限定されるものではない。模擬血液の粘度は、例えば、0.5~100ミリパスカル秒の範囲内であってよいが、これに限定されるものではない。また、液体に添加される微粒子の材料は、例えば金属錯体(銅錯体、鉄錯体など)であってよいが、これに限定されるものではない。また、液体に添加される微粒子の濃度は、0.01重量パーセント~5.00重量パーセントの範囲内であってよいが、これに限定されるものではない。
<模型眼600>
模型眼システム500に含まれる模型眼600の例示的な構成を図5に示す。本例の模型眼600は、角膜に相当する角膜部610(角膜相当レンズ:模擬角膜)と、虹彩に相当する虹彩部620と、水晶体に相当する水晶体部650(水晶体相当レンズ:模擬水晶体)と、硝子体に相当する硝子体部660と、眼底に相当する眼底部670とを含む。眼底部670にはキャピラリー601が設けられている。模型眼600に含まれる要素の個数(例えば、レンズの枚数)は任意である。
虹彩部620は、瞳孔に相当する開口640を形成する。また、開口640の大きさ(開口径)を変化させるための可変部630が虹彩部620に設けられていてよい。可変部630は、例えば、虹彩部620に対して着脱可能であり、異なる開口径に対応する複数の部材が選択的に適用される。或いは、可変部630は、虹彩部620に対して移動可能に構成される。なお、開口640のサイズは固定であってもよい。硝子体部660には、例えば、オイル等の液体が充填されている。なお、硝子体部660に充填される物質は任意であり、例えば、任意の気体、任意の液体、及び任意の固体のいずれかであってよい。角膜部610と水晶体部650との間の空間には、典型的には、気体(空気)が存在する。なお、角膜部610と水晶体部650との間の空間に設けられる物質は任意であり、例えば、任意の気体、任意の液体、及び任意の固体のいずれかであってよい。
眼底部670は、ヒト眼底に応じた積層構造を備えている。例えば、眼底部670は、ヒト眼底の任意の組織に相当する1以上の層を備えている。眼底の組織としては、内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、網膜色素上皮層、ブルッフ膜、脈絡膜、強膜などがある。眼底部670の各層の厚さや屈折率は、対応する1又は2以上の組織の厚さや屈折率と同等であってよい。眼底部670の形状は、図5のような平板形状には限定されず、球面形状又は楕円面形状などの曲面形状であってもよい。また、眼底部670は、人眼の任意の部位や組織に相当する構造を備えていてよい。例えば、眼底部670は、血管に相当する構造(キャピラリー601)に加えて、黄斑部に相当する構造、視神経乳頭に相当する構造などを備えていてよい。また、眼底部670は、任意の疾患や任意の病態や任意の病変に相当する構造を備えていてもよい。例えば、加齢黄斑変性状(AMD)に相当する構造(ドルーゼン等)、網膜剥離に相当する構造、出血に相当する構造、腫瘍に相当する構造、萎縮に相当する構造などを備えていてよい。
模型眼600のパラメータの値は、人眼と同等又は類似の値に設計されていてよい。模型眼600のパラメータの値は、例えば、標準的な模型眼又は臨床データから得られる。標準的な模型眼としては、Gullstrand模型眼、Navarro模型眼、Liou-Brennan模型眼、Badal模型眼、Arizona模型眼、Indiana模型眼、任意の規格化模型眼、及び、これらのいずれかと同等の模型眼などがある。また、模型眼600は、強度近視などの疾患を有する眼に基づいて設計されてもよい。また、模型眼600は、任意の疾患や任意の病態や任意の病変に相当する構造を備えていてもよい。例えば、模型眼600は、任意の角膜疾患、任意の水晶体疾患などに相当する構造を備えていてよい。また、模型眼600は、人工物に相当する構造を備えていてよい。例えば、模型眼600は、眼内レンズ(IOL)などの人工物(眼内に移植されるデバイス)に相当する構造を備えていてもよい。
角膜部610の前面の中心位置(角膜頂点に相当する位置)と眼底部670の前面との間の距離は、人眼の眼軸長に基づき設計されていてよい。また、角膜部610、水晶体部650、及び硝子体部660の全体としての焦点距離は、人眼の焦点距離と同等の値に設計されていてよい。例えば、水晶体部650と眼底部670との間の光学距離を変更するための手段(例えば、スペーサー)を有していてよい。これにより、模型眼600の屈折力を変化させることが可能となり、例えば、眼軸長が長い眼に対する撮影や測定の評価を行うことが可能である。
虹彩部620(可変部630)の前面(角膜部610側の面)の反射率は、人眼のそれと同等の反射率に設計されていてよい。この反射率は、例えば赤外波長の反射率であってよい。同様に、角膜部610の前面などについても、人眼のそれと同等の反射率に設計することが可能である。また、模型眼600は、虹彩部620(可変部630、開口640)の入射瞳が人眼の虹彩の入射瞳と同等の位置に配置されるように設計されていてもよい。
スキャン部410により用いられる光(本態様では測定光LS)や、アライメントにおいて用いられる光が模型眼600の内部において多重反射することを防止するために、レンズ等に反射防止膜を設けることや、内部部材に反射防止塗料を塗布することが可能である。
眼底部670は積層体を含んでいてよい。眼底部670に適用可能な積層体の例示的な態様について、図6A、図6B、及び図7を参照しつつ説明する。
図6Aは例示的な態様の眼底部(積層体)670の側面図(側方断面図)であり、図6Bは眼底部670の上面図である。眼底部670は、複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nを含む。ここで、Nは2以上の整数である。複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nのうちの任意の1つを符号672-nで示すことがある(n=1、2、・・、N)。複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nは、例えば、互いに異なる散乱特性を有している。
層672-nの形状は任意であり、例えば平板状又は曲板状に形成されていてよい。また、複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nのうち互いに隣接する2つの層672-n及び672-(n+1)(n=1、・・・、N-1)は、一方の層が硬化された後に他方の層が形成される。これにより、層672-nの材料と層672-(n+1)の材料とが混ざり合うことがなく、それぞれの層の意図した特性が発揮される。
複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nは、基板671上に形成されている。複数の層672-1、672-2、・・・、622-Nと基板671とは一体的に構成されている。すなわち、複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nのうち最も下に位置する層672-Nの下面と、基板671の上面とは、直接的に又は間接的に結合されている。間接的結合の例として、層672-Nの下面と基板671の上面との間に反射防止膜を配置することができる。
基板671は、典型的には透明な結晶により形成される。基板671の材料としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ化カルシウム(CaF2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ゲルマニウム(Ge)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、及び、ポリカーボネート樹脂のうちの少なくとも1つを採用することができるが、これに限定されるものではない。なお、幾つかの例示的な態様において、積層体は、基板を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
層672-nは、ヒト眼底の幾つかの組織(層状組織、膜状組織)を模擬した特徴(構成、機能、特性)を有する。例えば、層672-nは、ヒト眼底の1つの組織、1つの組織の1つのサブ組織、1つの組織の2以上のサブ組織の組み合わせ、2以上の組織の組み合わせ、又は、これらのうちのいずれか2つ以上の組み合わせに相当した特徴(構成、機能、特性)を有する。
層672-nは、少なくとも、基材と、この基材中に分散された微粒子とによって形成されている。幾つかの例示的な態様において、複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nにおける複数の基材は、互いに(実質的に)等しい屈折率を有している。この基材屈折率は、ヒト眼底の屈折率又はヒト眼底の1以上のサブ組織の屈折率にしたがって決定される。
基材屈折率がヒト眼底の屈折率にしたがって決定される場合、基材屈折率は、例えば、ヒト眼底の全体としての標準屈折率又はこれに近似した屈折率であってよい。或いは、基材屈折率は、ヒト眼底の複数のサブ組織に対応する複数の標準屈折率から統計的に算出された屈折率(統計値:平均値、中央値など)又はこれに近似した屈折率であってもよい。或いは、基材屈折率は、ヒト眼底の所定の代表サブ組織の標準屈折率又はこれに近似した屈折率であってもよい。標準屈折率は、例えば、標準的な模型眼又は臨床データから得られる。
基材屈折率がヒト眼底の1以上のサブ組織の屈折率にしたがって決定される場合、基材屈折率は、例えば、ヒト眼底の所定部分(1以上のサブ組織)の標準屈折率又はこれに近似した屈折率であってよい。或いは、基材屈折率は、ヒト眼底の2以上のサブ組織に対応する2以上の標準屈折率から統計的に算出された屈折率(統計値:平均値、中央値など)又はこれに近似した屈折率であってもよい。或いは、基材屈折率は、ヒト眼底の所定の代表サブ組織の標準屈折率又はこれに近似した屈折率であってもよい。標準屈折率は、例えば、標準的な模型眼又は臨床データから得られる。基材屈折率を決定するために参照されるヒト眼底の1以上のサブ組織は、ヒト網膜又はヒト網膜の1以上のサブ組織を含んでいてよく、及び/又は、ヒト脈絡膜又はヒト脈絡膜の1以上のサブ組織を含んでいてよい。
例えばヒト網膜の屈折率は1.38程度であり、ヒト眼底と同等の基材屈折率を実現するためには1.40程度又はそれ以下の値を達成する必要があると考えられる。そのために、基材の材料として有機ケイ素化合物を用いることができる。これにより、基材屈折率を1.41程度まで減少させることができる。また、基材の材料としてフッ素化合物を採用することで、基材屈折率を1.40未満まで減少させることができる。
複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nの設計において考慮される特性は、屈折特性(屈折率)に限定されない。例えば、透過特性(透過率、透過度)、拡散特性(拡散率、拡散係数、拡散度)などの任意の光学特性を考慮することができる。
また、複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nの設計には散乱特性(散乱度、散乱強度、散乱係数)が考慮される。前述したように、複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nは、互いに異なる散乱特性を有する。層672-nの散乱特性は、層の特性、基材の特性、微粒子の特性、及び、基材と微粒子との組み合わせ的な特性のいずれか1つ以上にしたがって設計、調整、制御される。層672-nの散乱特性を決定するために、例えば、微粒子の種類、寸法及び添加量のうちの少なくとも1つが参照される。
層672-nの散乱特性が少なくとも微粒子の添加量にしたがって決定される場合、微粒子の添加量を、基材に対する微粒子の重量パーセントとして、例えば0.001重量パーセント~20重量パーセントの範囲内に設定することができるが、これに限定されるものではない。幾つかの例示的な態様において、微粒子の添加量は、0.04重量パーセント~4重量パーセントの範囲内に設定されてよい。
層672-nの散乱特性を決定するために層672-nの厚さが参照される場合、5マイクロメートル~500マイクロメートルの範囲内に層厚を設定することができるが、これに限定されるものではない。また、眼底部670の厚さは、例えば50マイクロメートル~700マイクロメートルの範囲内であってよいが、これに限定されるものではない。
層672-nの散乱特性を決定するために、微粒子の材料として、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、及び、ポリカーボネート樹脂のうちの少なくとも1つを採用することができるが、これに限定されるものではない。
層672-nの散乱特性を決定するために、微粒子の粒径を、10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲内に設定することができるが、これに限定されるものではない。
層672-nの散乱特性を決定するために、微粒子の形状として、真球状、球状、針状、及び星状のうちの少なくとも1つを採用することができるが、これに限定されるものではない。
このようにして構成された積層体中の2つの層の概略構成の例を図7に示す。図7の層672-n1は、図6の複数の層672-1、672-2、・・・、672-Nのいずれか1つに相当し、層672-n2は他の1つの層に相当する。層672-n1の基材673-n1の屈折率と、層672-n2の基材673-n2の屈折率とは、互いに等しい。また、2つの層672-n1、672-n2は、互いに異なる散乱特性を有する。このような散乱特性の制御のために、層672-n1中の微粒子674-n1と、層672-n2中の微粒子674-n2とは、寸法及び添加量の少なくとも一方において互いに異なっている。
図6A、図6Bなどに示すように、本例の眼底部670にはキャピラリー601-1、・・・、601-Mが設けられている。ここで、Mは1以上の整数である。1つ以上のキャピラリー601-1、・・・、601-Mのうちの任意の1つを符号601-m又は符号601で示すことがある(m=1、・・、M)。すなわち、眼底部670には1つ以上のキャピラリー(模擬血管)601-1、・・・、601-Mが設けられている。
キャピラリー601の両端は開口である。キャピラリー601の材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリプロピレン、及び塩化ビニリデン樹脂のうちの少なくとも1つであってよいが、これらに限定されるものではない。また、キャピラリー601の内径(中空領域の径)は、10マイクロメートル~300マイクロメートルの範囲内であってよく、例えば前述のように180マイクロメートルに設計されている。
<模型眼システム500の制御系>
模型眼システム500の制御系の例示的な構成を図8に示す。本例の制御系は、制御部570を含む。制御部570は、回路を含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
制御部570は、模型眼システム500の各部を制御する。例えば、制御部570は、ポンプ530、バルブ541、バルブ542、及びバルブ551~554を制御してもよい。ポンプ530の制御は、例えば、オン/オフの制御、送出圧(流量、流速)の制御などを含む。バルブ541、542、551~554の制御は、そのバルブが設けられている流路の開閉の制御、当該流路を通過する液体の量を調節するための制御などを含む。バルブ541及び542の制御は、例えば、キャピラリー601内における液流動態を調節するために実行され、及び、模型眼システム500の流路に外部から液体を供給するために実行される。バルブ551~554の制御は、例えば、模型眼システム500の流路に外部から液体を供給するために実行される。
制御部570により実行可能な制御はこれらに限定されない。制御部570は、ユーザーインターフェイスの制御を実行可能であってよい。このユーザーインターフェイスは、模型眼システム500に含まれていてもよいし、眼科装置1のユーザーインターフェイス240であってもよい。後者の場合、眼科装置1と模型眼システム500とは、例えば図3Bに示すアダプター450を介して電気的に接続されており、又は、無線通信が可能である。制御部570のハードウェアの少なくとも一部及び/又はソフトウェアの少なくとも一部が眼科装置1の制御部210と共通であってもよい。
ポンプ530、バルブ541、バルブ542、及びバルブ551~554のうちの少なくとも1つを手動で操作できるように構成されていてもよい。その場合、レバー、ノブ、ダイヤル、ボタンなどのハードウェアキーが設けられる。
模型眼システム500の制御系の他の例示的な構成を図9に示す。本例の制御系は、図8に示す構成に流量計560を付加したものである。流量計560は、第2流路502の第1位置502aと第2位置502bとの間の区間における流量の計測値を制御部570に入力する。なお、流量計の設置位置は当該区間に限定されるものではなく、他の区間であってもよい。
流量計560から制御部570に計測値が送られるタイミングは任意であってよく、例えば、予め決められたタイミング、又は、要求に応じたタイミングであってよい。前者の一つの例は、流量計560が所定の時間間隔で流量を計測してその結果を制御部570に送るように構成及び/又は制御される。後者の一つの例は、流量計560が制御部570又はユーザーからの要求に対応して流量を計測してその結果を制御部570に送るように構成及び/又は制御される。
制御部570は、流量計560による計測値(流量計560の設置位置における計測値)と、制御量との対応関係が記録された対応情報を予め記憶している。或いは、制御部570は、このような対応情報が格納されている記憶装置にアクセス可能である。対応情報は、キャピラリー601内の液流動態(流速、流量など)をヒト眼底血流の動態に合致させるようなバルブ制御(及び/又はポンプ制御)を実現するために用いられる。対応情報は、それを実現するための実験によって作成される。
対応情報に記録された制御量は、例えば、バルブ541に対する制御量及びバルブ542に対する制御量の少なくとも一方を含む。制御量は、バルブ552に対する制御量及びバルブ553に対する制御量の少なくとも一方を含んでいてもよい。ここで、バルブに対する制御量は、例えば開度(弁がどの程度開いているか)であってよい。典型的な対応情報には、複数の流量値と複数の開度とが対応付けられている。流速値と制御量(開度など)との対応関係は、任意の形式で表現されており、例えばグラフ形式又は表形式で表現されていてよい。2個以上のバルブが制御される場合、これらバルブの制御量が互いに独立の値として対応情報に記録されていてもよいし、これらバルブの制御量を組み合わせた値が対応情報に記録されていてもよい。同様に、対応情報に記録された制御量は、ポンプ530に対する制御量(例えば、送出圧の制御量)を含んでいてもよい。
制御部570は、流量計560からの計測値を受けると、この計測値に対応する制御量を対応情報に基づき決定し、決定された制御量に基づいてバルブの制御(及び/又はポンプ530の制御)を実行する。これにより、キャピラリー601内の液流動態をヒト眼底血流の動態に合致させるようなバルブ制御(及び/又はポンプ制御)を自動で行うことが可能となる。
<機能評価>
評価部430が実行する眼科装置1の機能評価について、幾つかの例示的な態様を説明する。以下、OCT機能(特に、OCTA機能及びOCT血流計測機能)の評価について説明するが、他のモダリティの機能評価も同様に実行可能である。
眼科装置1は、スキャン部410によって模型眼システム500にOCTスキャンを適用する。このOCTスキャンは、典型的には、OCTA又はOCT血流計測のためのスキャンである。なお、OCTスキャンの前に、模型眼システム500の調整(キャピラリー601内における液流動態の調節)が行われる。これにより、眼底血流と同等の動態で液体が流動しているキャピラリー601に対してOCTスキャンを適用することができる。つまり、実際の眼底における血流動態が高い忠実度で再現された模擬血管(キャピラリー601)に対してOCTスキャンを適用することができる。処理部420は、スキャン部410により収集されたデータを処理してOCTデータを生成する。
評価部430は、処理部420により生成されたOCTデータに基づいて、眼科装置1のOCT機能に関する評価情報を生成する。この評価情報は、スキャン部410により収集されたデータの品質及び/又は処理部420により生成されたOCTデータの品質を示すデータ品質評価情報である。
このような評価情報を生成するために、評価部430は、所定のデータ品質評価処理を実行する。このデータ品質評価処理の例を説明する。眼科装置1は、実際の眼底における血流動態が高い忠実度で再現された模擬血管(キャピラリー601)に対し、スキャン部410によってOCTスキャンを適用する。処理部420(画像形成部220、データ処理部230)は、スキャン部410により収集されたデータからOCTデータを生成する。本例では、OCT血管造影データが生成されたとする。OCT血管造影データは、例えば、血管造影画像である。評価部430は、例えば、この血管造影画像を所定の評価用画像と比較する。この評価用画像は、例えば、実際の眼底における血流動態が高い忠実度で再現された模擬血管(キャピラリー601又は他の模型眼システムのキャピラリー)について予め取得された、高いデータ品質の血管造影画像であってよい。なお、評価用画像は、生体の眼底について予め取得された血管造影画像であってもよい。評価部430は、今回取得された血管造影画像を評価用画像と比較することによってデータ品質評価情報を生成することができる。
データ品質評価情報生成の他の例として、評価部430は、スキャン部410により収集されたデータ及び/又は処理部420により生成されたOCTデータを解析することによって、データ品質を表す所定の評価パラメータの値を求めることができる。この評価パラメータは、例えば、コントラストやSN比などの任意の画像品質評価パラメータであってよい。また、評価パラメータは、例えば、測定確度パラメータや測定精度パラメータなどの測定品質評価パラメータであってもよい。
OCT血流データの評価についても同様に実行されてよい。OCT血流データの評価では、例えば、評価用データ(上記の評価用画像に相当する)が用いられる。この評価用データは、例えば、実際の眼底における血流動態が高い忠実度で再現された模擬血管(キャピラリー601又は他の模型眼システムのキャピラリー)について予め取得された、高いデータ品質のOCT血流データであってよい。なお、評価用データは、生体の眼底について予め取得されたOCT血流データであってもよい。評価部430は、今回取得されたOCT血流データを評価用データと比較することによってデータ品質評価情報を生成することができる。
眼科装置1を用いて模型眼システム500から取得された実際の画像を図10A及び図10Bに示す。図10Aは、キャピラリー601内の液流が無い状態において取得された画像を示す。図10Bは、キャピラリー601内に液流を発生させた状態において取得された画像を示す。いずれの図においても、上段に配置された4つの画像は、OCTAによって取得された異なる深さの水平断面像(シャドウグラム)である。左から順に、網膜表層の水平断面像、網膜深層の水平断面像、網膜外層(outer retina)の水平断面像、及び、脈絡膜の水平断面像である。下段に配置された3つの画像は、左から順に、垂直断面像(Bスキャン像)、赤外正面画像、及びプロジェクション画像である。図10Aと図10Bとの比較から分かるように、眼科装置1(模型眼システム500)によれば、実際の眼底における血流動態が高い忠実度で再現された画像が得られる。
このような例示的な態様によれば、流路の分岐を設けることによって、模擬血管にかかる圧力や流量を調節することができるので、眼血管における実際の血流動態(血管径、血流速度、血流量など)を忠実に再現しつつ模擬血管の損傷や液体の漏れを防止することが可能である。
以上の開示は、この発明の実施の例示に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。