JP7542221B2 - イオン透過膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
前記イオン伝導体粒子は、前記繊維基材内部に埋め込まれた部分と、前記繊維基材表面に露出した部分を有し、
前記繊維基材は、膨潤性高分子を含み、
前記空隙の最大寸法は5μm未満であり、
前記イオン透過膜の厚さ方向において前記露出した部分によって上面から下面まで連続した接続部を有する、イオン透過膜である。
前記含フッ素ポリマーが、モノマー単位としてフッ化ビニリデン単位、テトラフルオロエチレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位からなる群より選択されるいずれか1つ以上を含む、態様1~3のいずれか1つに記載のイオン透過膜である。
少なくともイオン伝導体粒子と膨潤性高分子とを、共に紡糸処理して紡糸膜を得ることと、
前記紡糸膜を極性溶媒に含浸させてから乾燥させることと、
乾燥させた前記紡糸膜をプレス処理することと、を含む態様1~4のいずれか1つに記載のイオン透過膜の製造方法である。
以上のような構成をとることにより、イオン透過膜1は十分な機械的強度およびイオン透過機能を示すようになる。
図3Bはイオン透過膜1の厚さ方向(Z方向)を含む断面の走査型電子顕微鏡による観察結果の一例である。図3Bに示すように、イオン透過膜1は、厚さ方向においても空隙4の最大寸法が5μm未満に制御されている。
図4Bはイオン透過膜1の製造過程における紡糸膜5の厚さ方向(Z方向)における断面の走査型電子顕微鏡による観察結果の一例である。図4Bに示すように紡糸膜5においては厚さ方向Zにおいても空隙4が大きく、最大寸法が5μm以上の空隙4が多数存在している。
また、上記割合は、95体積%以下にしておくことが好ましい。これにより、繊維基材3が一定以上の体積を占めることとなり、十分な破断伸び率を確保しやすくなるとともに、イオン伝導体粒子の埋込部2aを確保しやすくなり、イオン伝導体粒子の脱落を抑制できる。より好ましくは90体積%以下であり、さらに好ましくは85体積%以下である。
繊維基材3は膨潤性高分子を含むことにより柔軟性を有し、その結果イオン透過膜1が十分な破断伸び率を有するようになる。なお、JIS K7161の試験方法により測定される破断伸び率が1%以上の場合、材料が柔軟性を有すると判断する。
繊維基材3は疎水性を有することが好ましい。疎水性を有することで、イオン透過膜による処理の対象、例えば海水などが、そのままイオン透過膜を透過してしまう現象(以下、「クロスオーバー現象」ともいう)を効果的に抑制することができる。例えば、ASTM D-570の試験方法により測定される吸水率が0.1%以下の場合、材料が疎水性を有すると判断する。
空隙率(%) = 1-Wa/(Va×(Dip×rip+Df×rf))×100 ・・・(1)
ここで、Waは、イオン透過膜1の重量(g)であり、Vaはイオン透過膜1の体積(cm3)であり、Dipはイオン伝導体粒子2の密度(g/cm3)であり、ripはイオン伝導体粒子2と繊維基材3との合計体積に対するイオン伝導体粒子2の体積比(%)であり、Dfは繊維基材3の密度(g/cm3)であり、rfはイオン伝導体粒子2と繊維基材3との合計体積に対する繊維基材3の体積比(%)である。
上記は、Liイオン伝導体粒子を用いたイオン透過膜の場合を例示しているが、Liイオン以外のイオン伝導体粒子を用いた場合も同様である。例えば、Naイオン伝導体粒子を用いたイオン透過膜の場合、Naイオンのイオン回収率を10.0%以上、Naイオンのイオン移動速度を0.2mg/hr以上且つクロスオーバー率を0.01%未満にすることができる。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜1の製造方法は、
(a)少なくともイオン伝導体粒子と膨潤性高分子とを、共に紡糸処理して紡糸膜を得ることと、
(b)前記紡糸膜を極性溶媒に含浸させてから乾燥させることと、
(c)乾燥させた前記紡糸膜をプレス処理することと、を含む。
上記(a)~(c)について、以下に説明する。
まず、イオン伝導体粒子2と繊維基材3の原料(少なくとも膨潤性高分子)を混合する。この際、混錬機を用いて溶媒に分散することもできるが、熱可塑性樹脂の場合には、粉体混合機によるドライブレンドを行うこともできる。
電界紡糸法により紡糸する場合、繊維基材3の原料の重量固形分濃度により、繊維基材3の繊維径を調整することができる。すなわち、繊維基材3の原料の重量固形分率を増大させることにより繊維基材3の繊維径を太くすることができ、繊維基材3の原料の重量固形分率を減少させることにより、繊維基材3の繊維径を細くすることができる。
ここで、イオン伝導体粒子2の埋込部2aおよび露出部2bを十分に確保するために、イオン伝導体粒子2の平均粒子径との関係において、繊維基材3の原料の重量固形分率により繊維基材3の繊維径を適宜調整すればよい。
また、繊維基材3の原料が粉体のドライブレンドの場合には、通常の溶融紡糸法、または、溶融紡糸法と電界紡糸法とを組み合わせた紡糸法によって、イオン伝導体粒子2と繊維基材3の原料(少なくとも膨潤性高分子)を共に紡糸処理することができる。
紡糸処理することにより図2A~図2Cに示すような紡糸膜5を得ることができる。
図2A~図2Cに示すような紡糸膜5を極性溶媒に含浸させる。親水性の高い極性溶媒に含侵させることで、膨潤度を高くすることができる。また極性溶媒とすることで、後に実施し得るアルコール類での洗浄(溶媒置換)も容易となる。含侵方法として、例えば、極性溶媒を充填した液槽に、上記のようにして得た紡糸膜5を入れることで極性溶媒を含侵させることができる。これにより、紡糸膜5中の繊維基材3に含まれる膨潤性高分子が、極性溶媒を吸収して膨潤する。通常のディップコーティング装置などを用いることにより、ディップ速度及び/又は時間を制御できるため、極性溶媒による膨潤度合いを制御することもできる。好ましい膨潤度(膨潤後の体積/膨潤前の体積)としては、1.2倍以上である。これにより、空隙の最大寸法を小さくしやすくなる。
ここで、使用する極性溶媒としては、非プロトン性のものが望ましく、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)からなる群より選択されるいずれか1つを含むことが好ましいが、非プロトン性極性溶媒であれば、これに限らない。非プロトン性極性溶媒とすることで、膨潤度をより高くすることができる。
その後、通常の乾燥炉によって紡糸膜5を乾燥させることができる。乾燥速度が速すぎると反り及び/又は割れなどが発生しやすくなるため、できるだけ遅く乾燥させる方が好ましい。
また、極性溶媒は乾燥しにくいため、乾燥前にエタノールなどのアルコール類で洗浄して溶媒置換を行ってもよい。
乾燥の程度としては、極性溶媒(及び/又は溶媒置換後のアルコール類)を全て揮発等により除去させてもよく、あるいは多少極性溶媒(及び/又は溶媒置換後のアルコール類)が残存していてもよく、例えば乾燥前後の重量変化が、含侵前後の重量変化の80%以上であることが好ましい。
乾燥後の紡糸膜5は収縮し、紡糸膜5の寸法(面積、厚さ)は小さくなる。
乾燥させた紡糸膜5を通常の平板プレスまたはロールプレス装置によってプレス処理する。この際、イオン伝導体粒子2および繊維基材3の原料(例えば膨潤性高分子)が溶融または変質しない程度に温度をかけてプレス処理してもよい。例えばプレス線圧0.1kN/cm以上で、3回以上プレス処理を繰り返すことによって、空隙4の最大寸法が5μm未満であるイオン透過膜1を作製することができる。
以下の製造方法によってイオン透過膜を製造した。
イオン伝導体粒子として、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス粉末(オハラ社製、LICGC粉末材)が、ポリフッ化ビニリデン樹脂(スリーエム社製、ダイニオンフッ素ポリマーTHV221)との合計に対して重量比で72%(体積比で60%)となるように秤量し、これらをジメチルアセトアミド(DMA)に重量固形分率が50%となるようにホモミキサーを用いてポリフッ化ビニリデンを溶解させつつイオン伝導体粒子を分散させた。このようにして作製した分散液を気温23℃、湿度50%の恒温恒湿下で、内径φ720μmの金属ニードルノズルに20kVの高電圧を印加し、電界紡糸法によって紡糸処理して、紡糸膜を作製した。上記以外の送液圧力および紡糸距離などの条件については、液滴などが発生せず、完全に繊維化できるように調整を行っている。そして、作製した紡糸膜をロールプレス装置によって、プレス線圧0.18kN/cmで1回のプレス処理を行うことで空隙率を調整し、80mm角サイズに切り出した。
イオン伝導体粒子(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス粉末)を水に分散させたものに対して、平均粒子径を測定した。具体的には、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、MT―3300EXII)を用いて、JIS Z8825(2013)に準拠して、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定により得られた体積基準の積算分率における50%粒子径(D50)を測定した。その結果、実施例1のイオン伝導体粒子の平均粒子径は400nmであった。
SEM(PHENOM-World社製 走査型電子顕微鏡 Phenom G2Pro)を用いて、紡糸処理直後の紡糸膜の表面像を、繊維が数10本表示される程度の倍率で10枚取得した。1枚のSEM像から10本の繊維をランダムに選択し、10枚のSEM像から選択した合計100本の繊維について、イオン伝導体粒子が埋め込まれていない箇所の繊維径および繊維長さを測定した。計測した繊維径から繊維基材の平均繊維径(メジアン繊維径)を算出し、390nmであった。また、計測した繊維長さから繊維基材の平均長さを算出し、平均繊維径の100倍以上であった。
50mm角サイズに切り出したイオン透過膜の密度および内部構造が変化しないよう潰さずにデジタルマイクロメータで膜厚を測定し、重量および原材料の密度を求めた上で、上記式(1)から空隙率を算出した。測定の結果、膜厚175μmであり、リチウムイオン伝導性ガラスセラミック粉末およびポリフッ化ビニリデン樹脂の密度は、それぞれ3.05g/cm3および1.78g/cm3であり、イオン透過膜の重量は0.91gであったことから、空隙率18.1%という結果を得た。
SEM(KEYENCE社製 走査型電子顕微鏡VE-9800)を用いて、作製したイオン透過膜の表面像を、空隙が測定可能な倍率で10枚取得した。1枚のSEM像から最大寸法となる空隙を選択し、10枚のSEM像から選択した合計10個の空隙について最大寸法を求めた。また、イオン透過膜の厚さ方向(Z方向)を含む断面像においても同様の計測を行い、計測した合計20個の空隙から最大寸法を求め、2.2μmの結果を得た。
作製したイオン透過膜を幅10mm、長さ50mmの短冊状試験片に切り出し、引張試験機(AND社製 RTF-1310)にて破断伸び率を測定した。破断伸び率は23%という結果を得た。
図6Aおよび図6Bは、イオン透過機能の評価方法を説明する模式図であり、図6Aはイオン透過前の模式図であり、図6Bはイオン透過後の模式図である。図6Aに示すような貯留槽6を、作製した50mm角のイオン透過膜1で原液側6aと回収側6bに間仕切りし、原液側6aには、イオン7を投入し、回収側6bには、純水のみを投入した。イオン7として、Liイオン、NiイオンおよびCoイオンをそれぞれ、純水に対して100ppmの濃度で投入した。原液側6aをマグネットスターラーで攪拌しながら、24時間後まで1時間毎に、誘導結合プラズマ発光分析装置(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製 iCAP7400)にて、図6Bに示すように回収側6bに移動したイオン7の移動量(mg)を測定した。24時間後の各イオン移動量(mg)を、初期の原液側各イオン量(mg)で除した比(百分率)を各イオン回収率(%)として算出した。イオン移動速度については、1時間毎に測定した各イオン移動量(mg)のうち最大の値を採用して、それを1時間で除した値(mg/hr)とした。クロスオーバー率は、全イオン(Li、NiおよびCo)回収率の和に対するNiイオン回収率およびCoイオン回収率の和の比(百分率)として計算した。Liイオン回収率は11.1%、Liイオン移動速度は0.75mg/hrとの結果を得た。一方、NiイオンおよびCoイオンについては、イオン回収率は0.0%、イオン移動速度は0.00mg/hrとの結果を得たため、クロスオーバー率は0.00%の結果を得た。また、この測定の前後において、イオン透過膜の重量変化を計測し、([測定前のイオン透過膜の重量(g)]-[測定後のイオン透過膜の重量(g)])/[測定前のイオン透過膜の重量(g)]を粒子脱落率として算出した結果、0重量%という結果を得た。なお、測定後のイオン透過膜については、十分に乾燥を行い、水分を除去した状態で重量を測定している。
比較例1では、実施例1と同様の条件で紡糸膜を作製し、極性溶媒に含浸させてから乾燥させること以降を省略した。評価については実施例1と同様の評価を実施した。
比較例2では、実施例1と同様の条件で紡糸膜を作製し、極性溶媒に含浸させてから乾燥させることは実施したが、その後のプレス処理することを省略した。評価については実施例1と同様の評価を実施した。
比較例3では、イオン透過膜として、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス焼結体(オハラ社製、LICGC焼結体、50mm角サイズ)を用いた。評価については実施例1と同様の評価を実施した。
粒子脱落率について、0重量%を「〇」、0重量%超を「×」とした。
破断伸び率について、15%以上を「〇」、15%未満を「×」とした。
Liイオンのイオン回収率について、10.0%以上を「〇」、10.0%未満を「×」とした。Liイオンのイオン移動速度について、0.2mg/hr以上を「〇」、0.2mg/hr未満を「×」とした。クロスオーバー率について、0.01%未満を「〇」、0.01%以上を「×」とした。
総合判定については、5性能(すなわち、粒子脱落率、破断伸び率、Liイオン回収率、Liイオン移動速度、クロスオーバー率)のうち、すべて「〇」判定のものをA、「×」が1個のものをB、「×」が2個以上のものをC判定として記載した。
1a イオン透過膜の上面
1b イオン透過膜の下面
1c イオン透過膜の接続部
2 イオン伝導体粒子
2a イオン伝導体粒子の埋込部
2b イオン伝導体粒子の露出部
3 繊維基材
4 空隙
5 紡糸膜
5a 紡糸膜の上面
5b 紡糸膜の下面
6 貯留槽
6a 貯留槽の原液側
6b 貯留槽の回収側
7 イオン
Claims (5)
- イオン伝導体粒子と、繊維基材と、空隙とを含むイオン透過膜であって、
前記イオン伝導体粒子は、前記繊維基材内部に埋め込まれた部分と、前記繊維基材表面に露出した部分を有し、
前記繊維基材は、膨潤性高分子を含み、
前記空隙の最大寸法は5μm未満であり、
前記イオン透過膜の厚さ方向において前記露出した部分によって上面から下面まで連続した接続部を有する、イオン透過膜。 - 前記イオン伝導体粒子がリチウム(Li)を含む無機化合物である請求項1に記載のイオン透過膜。
- 前記繊維基材が疎水性である請求項1または2に記載のイオン透過膜。
- 前記繊維基材が含フッ素ポリマーを含み、
前記含フッ素ポリマーが、モノマー単位としてフッ化ビニリデン単位、テトラフルオロエチレン単位およびクロロトリフルオロエチレン単位からなる群より選択されるいずれか1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のイオン透過膜。 - 少なくともイオン伝導体粒子と膨潤性高分子とを、共に紡糸処理して紡糸膜を得ることと、
前記紡糸膜を極性溶媒に含浸させてから乾燥させることと、
乾燥させた前記紡糸膜をプレス処理することと、を含む請求項1~4のいずれか一項に記載のイオン透過膜の製造方法。
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