JP7541275B1 - インピーダーシート、電縫管製造装置のマンドレル及び電縫管の製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、金属の外側を囲むように誘導コイルを巻き、この誘導コイルに一次電流を流すことにより、金属に誘導電流を直接発生させる方法、及び、成形途上で閉断面となる前の開口した金属帯板の両端部にそれぞれ金属製の電極を押し当て、電源から電流を直接通電する方法が開示されている。
電縫管製造装置900は、図13及び図14に模式的に示したように、大きくは、誘導コイル2と、従来の内周電流抑制装置6としてのインピーダーと、オープン管1の側面から圧力を加えるスクイズロール901と、図示はしないが管斜め上方から接合部を押し付けるヘッドロールとから、構成されている。また、図13及び図14において、符合1はオープン管、符合11はオープン管開口部、符合111はオープン管開口部端部、符合112はオープン管開口部端部、符合12は接合部、符合3は誘導電流、符合31は下流側誘導電流、符合32は下流側誘導電流、符合33は上流側誘導電流、符合34は上流側誘導電流である。ここで、誘導電流31~34は、図示はしていないがオープン管1の端面を流れる電流も含め、便宜的に管上面を流れているように書いている。
1)造管する径に合わせた幅にスリットされた、走行するオープン管1を、複数の成形ロールで曲げながら筒状に成形し、オープン管開口部端部111、112を対向させる。
2)誘導コイル2により、筒状に成形されたオープン管1に発生する誘導電流によって、オープン管開口部端部111、112を加熱溶融させる。
3)誘導コイル2の下流において、オープン管1の対向するオープン管開口部端部111、112を突き合わせ、スクイズロール901で押しつけて密着させて、オープン管開口部端部111、112を接合(溶接)する。この時、接合部12を斜め上方から押さえつけるヘッドロール(図示せず。)を用いることが多い。
図15の側断面図に示すように、従来の内周電流抑制装置6を、筒状に成形された金属帯板1の内部に配置する。かかる内周電流抑制装置6は、以下で図16を参照しながら改めて説明するように、インピーダーケース62の内部空間に対し、ソフトフェライトあるいは電磁鋼などの強磁性体製のインピーダー61が収容されたものである。
図16においてインピーダー61は、棒状のものであり、比較的径が大きいマンドレル902を有する電縫管製造装置900に用いられることが多い。この例では、インピーダーケース62に棒状のインピーダー61を円周方向に取り付け、インピーダーケース62に蓋をすることで、インピーダーケース62の内部を冷却水が流れるようになっている。
また、従来の内周電流抑制装置6の設置場所としては、通常、図15に記載される管内面接合部12のビードを研削するためのマンドレル902に装着されて誘導コイル2の直下からその前後に設置される。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(2)前記シートは、耐熱性を有する絶縁体を素材とし、高周波電流による誘電損を生じないものである、(1)に記載のインピーダーシート。
(3)前記シートの表面には、棒状又は粉末状の前記強磁性体を収容可能な袋状のホルダーが設けられており、前記強磁性体は、前記袋状のホルダー内に設けられる、(1)に記載のインピーダーシート。
(4)前記前記複数の強磁性体として、板状の強磁性体が積層されて一体化した強磁性体コアが用いられており、前記強磁性体コアは、前記板状強磁性体の積層方向が前記シートの表面法線方向に対して直交する方向となるように、前記シート上に配置される、(1)~(3)の何れか1つに記載のインピーダーシート。
(5)前記複数の強磁性体として、強磁性を示す磁性素材の焼成体が用いられる、(1)~(3)の何れか1つに記載のインピーダーシート。
(6)前記シートは、当該シートの端部に連結具を有し、複数枚の前記シートを相互に連結可能とした、(1)~(5)の何れか1つに記載のインピーダーシート。
(7)(1)~(6)の何れか1つに記載のインピーダーシートが、電縫管製造装置のマンドレルの外周部の少なくとも半周以上を覆うように巻き付けられた、電縫管製造装置のマンドレル。
(8)誘導コイル、スクイズロール、及び、マンドレルにより構成される電縫管製造装置を用いて、筒状に曲げられてきた金属帯板を電縫溶接する、電縫管の製造方法であって、(1)~(6)の何れか1つに記載のインピーダーシートが、前記マンドレルの外周部の少なくとも半周以上を覆うように巻き付けられる、電縫管の製造方法。
(9)前記インピーダーシートは、前記マンドレルにおいて前記誘導コイルよりも前記走行方向の上流側に位置する部分を少なくとも覆うように巻き付けられる、(8)に記載の電縫管の製造方法。
本発明の第1の実施形態に係るインピーダーシートは、電縫管製造装置のマンドレルの外周部に対して巻き付け自在なシートと、このシート上に配置された、絶縁性を示す複数の強磁性体と、を有するインピーダーシートである。かかるインピーダーシートは、例えば各種の鋼やステンレス鋼等の金属帯板を、走行させながら筒状に曲げた上で溶接によって管形状を実現する、電縫管の製造方法に利用可能なものである。
図1において、符合41はインピーダーシート、符合411はシート、符合412は強磁性体、符合414はシート連結具である。本実施形態に係る電縫管製造用のインピーダーシート41は、シート411に、強磁性体412を、所定密度で直接敷き詰めて密着させたものである。
図2Bに示したように、図2Aに示した強磁性体コア413を用いたインピーダーシート41を、電縫管製造装置のマンドレル902に装着する際には、薄板状の強磁性体の積層方向がマンドレル902の周方向に沿うように(各強磁性体コア413の設置位置において、薄板状の強磁性体の積層方法が、マンドレル902の周の接線と略平行となるように)、インピーダーシート41を配置することが好ましい。このようにインピーダーシート41をマンドレル902に装着することで、強磁性体コア413に磁束が入ったとしても、磁束による渦電流の発生を防止することができ、本実施形態に係るインピーダーシート41のインピーダーとしての機能を、保持し続けることが可能となる。
図3において、符合41はインピーダーシート、符合411はシート、符合412はインピーダー、符合414はシート連結具である。
図3は、図1のインピーダーシート41(シート411)の4枚を、面ファスナーのような着脱自在なシート連結具414で連結した例を示している。
本発明の第2の実施形態に係るインピーダーシートは、電縫管製造装置のマンドレルの外周部に対して巻き付け自在なシートと、このシート上に配置された、絶縁性を示す棒状の強磁性体を保持する袋状のホルダーと、を有するインピーダーシートである。かかるインピーダーシートは、例えば各種の鋼やステンレス鋼等の金属帯板を、走行させながら筒状に曲げた上で溶接によって管形状を実現する、電縫管の製造方法に利用可能なものである。
本発明の第3の実施形態に係るインピーダーシートは、電縫管製造装置のマンドレルの外周部に対して巻き付け自在なシートと、このシート上に配置された、絶縁性を示す粉末状又は粒状のインピーダーを保持する袋状のホルダーと、を有するインピーダーシートである。かかるインピーダーシートは、例えば各種の鋼やステンレス鋼等の金属帯板を、走行させながら筒状に曲げた上で溶接によって管形状を実現する、電縫管の製造方法に利用可能なものである。
本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態に係るインピーダーシートが内周電流抑制装置として用いられた、電縫管製造装置のマンドレルに関するものである。なお、以下では、第1の実施形態に係るインピーダーシートを内周電流抑制装置として用いた場合を例に挙げて説明を行うが、第1の実施形態に係るインピーダーシートに換えて、第2の実施形態又は第3の実施形態に係るインピーダーシートを用いても良い。
図8に示すように、第1の実施形態に係るインピーダーシート41を、1枚又は複数枚使用することで、電縫管製造装置のマンドレル902の外周を1周分覆うような内周電流抑制装置4を構成することができる。
本発明の第5の実施形態は、第4の実施形態に係る内周電流抑制装置4を使用した電縫管の製造方法に関するものである。なお、本実施形態における内周電流抑制装置4においても、第1の実施形態に係るインピーダーシートに換えて、第2の実施形態又は第3の実施形態に係るインピーダーシートを用いても良い。
図9は、既設マンドレル902の既設内周電流抑制装置6の上流側に、本実施形態に係る内周電流抑制装置4を付加した例を説明する図である。
図9において、符合1はオープン管、符合111及び112はオープン管開口部端部、符合12は接合部、符合2は誘導コイル、符合4は本実施形態に係る内周電流抑制装置、符合6は従来の内周電流抑制装置、符合902はマンドレルである。
図10及び図11は、本実施形態に係る内周電流抑制装置4を、マンドレル902の径方向に重ねて、電縫管製造用のインピーダーシート41とした例を説明する図である。
図10及び図11において、符合1はオープン管、符合111及び112はオープン管開口部端部、符合4は本実施形態に係る内周電流抑制装置、符合41はインピーダーシート、符合411はシート、符合412は強誘電体、符合902はマンドレルである。
図11に示した例においては、二重に設けられたインピーダーシート41において、強磁性体412は、径方向に互い違いに配置される。
本実施例では、オープン管を模した被加熱材として、外径89mm、肉厚3mm、長さ1mの鋼管上部に、レーザー加工によって図13に示すような開口部の形状を模擬したものを用いた。このレーザー加工では、図13中における左側端部から、平行開口部の間隔15mm、長さ400mmとなるように鋼管の一部分を除去するとともに、かかる除去部分から連続するように、接合部12にみたてた頂点と両端部との角度が5.7度となるように300mmの長さで鋼管の一部分を除去し、開口部を形成した(開口部の長さは、合計700mmである。)。また、頂点部は0.5Rとした。
実施例で用いた電縫管製造装置では、誘導コイルとして、φ10mmの水冷銅管製の誘導コイル(内径110mm、2ターン、幅50mm)を用い、銅管と鋼管との間を10mm離すとともに、接合部と見立てた開口部の頂点から150mm離した位置に誘導コイルを配置した。
加熱の際は、周波数180kHz~20kWの電力を投入し、静止加熱で最高温度が800℃になるまでの時間を計測した。
加熱温度は、鋼管端部に、50μmのK熱電対を、接合部想定の開口部頂点から20mmピッチで溶着して測温した。
下記各実験においては、接合部の昇温速度を比較した。
なお、各実験においては、スクイズロールは設けない状態で行った。
<インピーダーシート>
厚み5mm、幅10mm、長さ130mmのソフトフェライトコアを、5mmピッチで幅170mm、長さ140mm、厚み2mmのシリコンゴムシートに接着剤で固定したインピーダーシートを製作した。
<電縫管製造>
ゴムシートの端部には、5mm幅で面ファスナーを接着剤で固定した。このインピーダーシートを、上記誘導コイルの上流側100mmの位置から、マンドレルと見立てたポリカーボネートパイプの外周に巻き付けて加熱を行った。
<インピーダーシート>
本発明例1のインピーダーシートを使用した。
<電縫管製造>
図9に示すように、まず1つ目の内周電流抑制装置を構成し、更に、当該内周電流抑制装置の端部に密着させて2つ目の内周電流抑制装置装備を上流側に延長して設置して、加熱を行った。
<インピーダーシート>
本発明例1のインピーダーシートを使用した。
<電縫管製造>
図10に示すように、インピーダーシートを2層にして内周電流抑制装置を構成して加熱を行った。
<電縫管製造>
比較例として、本発明によるインピーダーシートを使わずに、加熱を行った。
ポリカーボネートパイプは、マンドレルと見立てインピーダーを入れた状態で、管全長にわたる長さで、管中心に設置した。
上記本発明例1~3及び比較例1の結果を下記表1に示す。
加熱速度比は、接合部と見立てた開口部頂点の温度が800℃になるときの加熱速度で、比較例の加熱速度を割った値である。
表1より、本発明のインピーダーシートないしインピーダーを付加することで6%加熱速度が向上し(本発明例1)、更に長さを2倍に延長することで13%改善し(本発明例2)、インピーダー厚みを2倍にすることで27%向上することが確認でき(本発明例3)、本発明の効果が大きいことが確認できた。
また、実験において、本発明のインピーダーは、特に発熱することもなく安定して使用できた。
薄板状の強磁性体を積層した強磁性体コアにおいて、積層方向の違いによるコアの安定性の違いをみるために、厚み30μmの電磁鋼板を積層させることで一体化させて、長さ100mm、一辺が10mmの正方形断面を有する強磁性体コアとした。かかる強磁性体コアを、鋼管長手方向に3個隣接して300mmとし、図12Aに示したように、積層方向がシートの表面法線方向に対して直交する方向となるように配置した場合(本発明例4)と、図12Bに示したように、積層方向が、シートの表面法線方向と平行となるように配置した場合(比較例2)と、を比較した。
上記表2に示したように、本発明例4は、長時間使用しても少し温まる程度で、安定して使用することができた。一方、比較例2は、誘導コイルへの通電後すぐに、誘導コイル近傍側の鋼管開口部直下にある強磁性体コアの先端から、発熱・変形が生じて一部溶損し、シート素材のシリコンゴムに焦げあとが付いたことから、すぐに誘導コイルへの通電を止めざるをえなかった。本実験の周波数での電磁鋼板の浸透深さは、約25μmである。本発明例4の場合には、渦電流が発生しにくく発熱も起きにくかったのに対し、比較例2の場合には、磁束が電磁鋼板の面に入るため、容易に渦電流が発生し発熱に至ったと考えられる。
11 オープン管開口部
111 オープン管開口部端部
112 オープン管開口部端部
12 接合部
2 誘導コイル
3 誘導電流
31 下流側誘導電流
32 下流側誘導電流
33 上流側誘導電流
34 上流側誘導電流
4 内周電流抑制装置
41 インピーダーシート
411 シート
412 強磁性体
413 強磁性体コア
414 シート連結具
420 ホルダー
421 強磁性体
430 ホルダー
431 強磁性体
6 従来の内周電流抑制装置
61 インピーダー
62 インピーダーケース
900 電縫管製造装置
901 スクイズロール
902 マンドレル
Claims (9)
- 電縫管製造装置のマンドレルの外周部に対して巻き付け自在なシートと、
前記シート上に配置された、絶縁性を示す複数の強磁性体と、
を有する、インピーダーシート。 - 前記シートは、耐熱性を有する絶縁体を素材とし、高周波電流による誘電損を生じないものである、請求項1に記載のインピーダーシート。
- 前記シートの表面には、棒状又は粉末状の前記強磁性体を収容可能な袋状のホルダーが設けられており、
前記強磁性体は、前記袋状のホルダー内に設けられる、請求項1に記載のインピーダーシート。 - 前記複数の強磁性体として、板状の強磁性体が積層されて一体化した強磁性体コアが用いられており、
前記強磁性体コアは、前記板状の強磁性体の積層方向が前記シートの表面法線方向に対して直交する方向となるように、前記シート上に配置される、請求項1~3の何れか1項に記載のインピーダーシート。 - 前記複数の強磁性体として、強磁性を示す磁性素材の焼成体が用いられる、請求項1~3の何れか1項に記載のインピーダーシート。
- 前記シートは、当該シートの端部に連結具を有し、複数枚の前記シートを相互に連結可能とした、請求項1~3の何れか1項に記載のインピーダーシート。
- 請求項1~3の何れか1項に記載のインピーダーシートが、電縫管製造装置のマンドレルの外周部の少なくとも半周以上を覆うように巻き付けられた、電縫管製造装置のマンドレル。
- 誘導コイル、スクイズロール、及び、マンドレルにより構成される電縫管製造装置を用いて、所定の走行方向に搬送されながら筒状に曲げられてきた金属帯板を電縫溶接する、電縫管の製造方法であって、
請求項1~3の何れか1項に記載のインピーダーシートが、前記マンドレルの外周部の少なくとも半周以上を覆うように巻き付けられる、電縫管の製造方法。 - 前記インピーダーシートは、前記マンドレルにおいて前記誘導コイルよりも前記走行方向の上流側に位置する部分を少なくとも覆うように巻き付けられる、請求項8に記載の電縫管の製造方法。
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