以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。また、図中の各構成要素の比率、寸法は、実際の各構成要素の比率、寸法を表すものではない。
本実施形態に係る還元鉄の製造方法は、媒体粒子が流動して形成された流動層で、鉄分を含有するメディアン径が0.05mm以下の原料微粉から造粒粉を造粒する造粒工程と、造粒粉が流動して形成された流動層で、少なくとも造粒粉を還元する還元工程と、を有する。造粒工程では造粒装置10が用いられ、還元工程では還元装置20が用いられる。以下に造粒装置10および還元装置20について説明する。
<造粒装置10>
図1を参照して、造粒装置10を説明する。図1は、本実施形態に係る造粒装置の一例を示す図である。造粒装置10は、粉粒流動層(Particulate fluidized bed;PFB)を形成する。造粒装置10は、例えば、図1に示すように、底部に配されたガス供給口111と、ガス供給口111よりも上方に配された、複数の通気口を有し、ガスの流れを整流する分散板113とを有する造粒容器110を備える。造粒容器110の内部における分散板113より上方には、原料微粉403より粒径が大きな媒体粒子401が装入されている。粉粒流動層400は、ガス供給口111から供給され、分散板113の複数の通気口を通って整流されたガスによって媒体粒子401が流動して形成される。なお、流動層を形成するためのガスの通気方法・形態は図に示す分散板113、多孔質板やスリット板のような平板型のほか、単純なノズル型やノズル先端に各種形態の吹き出し孔付きキャップを設けたキャップ型、チューブ側面に複数の穴をあけたグリッドチューブを配置したパイプ型など、ガスを造粒容器110に導入し、粒子を吹き上げて流動層を形成可能なものであればその具体的な形態は限定されない。
粉粒流動層400が形成された造粒容器110内に原料微粉403が供給される。粉粒流動層400には、媒体粒子401と、供給ガスの気泡402と、原料微粉403が存在する。この粉粒流動層400によって、原料微粉403からより大きな造粒粉が造粒される。なお、気泡402は流動状態に依存してその形態はさまざまであり、流動状態によっては明確な気泡が形成されない場合もある。
原料微粉403は、鉄分を含有する微粉であり、例えば、選鉱された微粉鉱石、篩い分けられた微小粒径鉱石、または各種製鉄プロセスから排出・回収されるダスト等が用いられる。選鉱された微粉鉱石には、具体的には、従来ペレットの原料として用いられるペレットフィードのほか、マグネタイト精鉱、シンターフィード等が挙げられる。また、ここで言うダストとは、転炉で発生するいわゆる転炉ダストや、還元装置20で発生し得る一部未還元の鉱石の微粒子や還元鉄の微粒子等を含む。
原料微粉403は、難流動性を示すサイズであり、造粒容器110に供給される供給ガスの密度によるが、通常、鉄鉱石の場合は、例えば、メディアン径が0.05mm以下である。メディアン径が0.05mmを超えるような鉄鉱石微粉は、造粒装置10を用いて造粒せずに還元装置20に直接供給して還元鉄を製造することができる。また、メディアン径が0.05mm超であると、凝集により造粒粉が過度に大きくなりやすく、流動化の停止などを引き起こし、造粒容器110内で安定的に流動化させながら所望の粒径へ造粒することが困難となる。さらに、原料微粉403のメディアン径が0.05mm超であると、原料微粉403が造粒した造粒粉の粒径と媒体粒子401の粒径との差が小さくなる。この粒径差が小さい場合、粒径差を用いて造粒粉と媒体粒子401とを分離する場合、これらの分離が困難になる場合がある。よって、原料微粉403のメディアン径は、0.05mm以下である。原料微粉403のメディアン径は、好ましくは0.03mm以下である。一方、メディアン径が0.001mm以下の粉末は、回収・ハンドリングが困難であり、原料として用いづらい。そのため、原料微粉403のメディアン径は、好ましくは、0.001mm超である。ただし、原料微粉403のメディアン径は、この範囲に限定されるということではなく、0.001mm以下の粉末や0.05mm超の粉末であっても、凝集制御のための条件調整や媒体粒子との分離操作を適切に行えば原料微粉403として使用可能である。
原料微粉403のメディアン径は、以下の方法で測定することができる。すなわち、湿式測定装置であるレーザ回折式粒子径測定装置(Malvern Panalytical社製、Mastersizer 3000)を用いて測定した篩下積算分布における体積基準の粒子径d50である。測定時の設定条件は、分散媒:水、分散媒屈折率:1.33、粒子屈折率:2.918(酸化鉄Fe2O3の屈折率)である。粒径の大きな粒子が混合した原料粉の場合は、乾式篩により篩分けし、篩下の原料微粉より任意にサンプリングした粉末の粒子径を3回上記のレーザ回折式粒子径測定装置により測定し、そのd50平均値をメディアン径とすればよい。
媒体粒子401は、炭化物、酸化物または窒化物の少なくとも1種以上を含む粒子であることが好ましい。造粒工程では、供給ガスとして還元性ガスが用いられ、原料微粉403が還元されながら造粒される場合や、酸化性ガスが用いられ、原料微粉403が酸化されながら造粒される場合がある。そのため、媒体粒子401は、原料微粉403の酸化反応を行う温度範囲が1200℃程度以下、還元反応を行う温度範囲が900℃程度以下であることから、融点が1200℃以上であり、少なくとも1200℃の温度で溶融熱分解が進行しない高融点材料であることが好ましい。更に、媒体粒子401は、還元性ガスを用いる場合には、水素やCOガス等の還元雰囲気下でも安定な材料、酸化性ガスを用いる場合にはO2ガス雰囲気下で安定な材料であることがより好ましい。このような材料として、各種の高融点材料、例えば、炭化物、窒化物または酸化物が挙げられる。炭化物としては、SiC、TiC、TaCまたはWC等が挙げられる。窒化物としては、Si3N4またはBN等が挙げられる。酸化物としては、SiO2、ZrO2またはMgO等が挙げられる。
媒体粒子401のメディアン径は、0.2mm以上0.8mm以下であることが好ましい。媒体粒子のメディアン径が0.2mm以上0.8mm以下であると、媒体粒子401がガス供給により均一に流動化し、粉粒流動層400が形成されやすい。媒体粒子401のメディアン径は、より好ましくは、0.3mm以上である。また、媒体粒子401のメディアン径は、より好ましくは、0.6mm以下である。媒体粒子401のメディアン径は、より一層好ましくは、上記範囲において、原料微粉403のメディアン径の5倍以上、更に好ましくは10倍以上である。媒体粒子401のメディアン径が、0.3mm以上0.6mm以下であり、かつ、原料微粉のメディアン径の10倍以上であると、粒径の小さな原料微粉403自体の自重より、近接する媒体粒子401への付着力の効果が相対的に支配的となる。そのため、原料微粉403が媒体粒子401に付着してその周りにまとわりつくようにして原料微粉403も媒体粒子401とともに流動化しやすくなり、粉粒流動層400が形成されやすい。
媒体粒子13のメディアン径は、原料微粉403のメディアン径の測定方法と同様の方法で測定でき、この場合、使用する媒体粒子の材料によって粒子屈折率を設定する。
媒体粒子401と原料微粉403の体積の割合(以下では、媒体粒子401と原料微粉403を合わせた全体の体積に対するそれぞれの割合を単に体積割合と呼称することがある。)について、例えば、原料微粉403の体積の割合は1体積%以上30体積%以下であり、好ましくは、3体積%以上である。原料微粉403の体積割合が3体積%以上であると、原料微粉の造粒処理効率が向上する。また、原料微粉403の体積割合が30体積%以下であると、原料微粉403に近接して存在する媒体粒子401が増加し、原料微粉403の媒体粒子401への付着が増加するため、原料微粉403単体のまま流動化ガスにより吹き飛ばされてしまうことが抑制される。また、原料微粉403の体積割合が30体積%以下であると、原料微粉403同士での接触頻度が減少するため、流動化が困難になったり、凝集が過大に進行したりすることが抑制される。原料微粉403の体積割合は、好ましくは、20体積%未満である。
媒体粒子401と原料微粉403を合わせた全体の体積に対する原料微粉403の割合および媒体粒子401の割合は、以下の方法で測定することができる。すなわち、媒体粒子401および原料微粉403それぞれの乾燥状態での嵩密度を予め測定し、所定の体積割合となるそれぞれの重量を嵩密度から求める。使用される媒体粒子401の体積割合および原料微粉403の体積割合は、測定された嵩密度に対応した重量に基づいて算出することができる。嵩密度の測定にはPOWDER TESTER PT-X(ホソカワミクロン製)を用い、ゆるめ嵩密度測定モードにより嵩密度を測定する。
供給ガスとしては、特段制限されず、酸化性ガス、還元性ガス、または不活性ガスを使用することができる。しかしながら、造粒容器110に供給されるガスは、酸化性ガスまたは還元性ガスであることが好ましい。
酸化性ガスは、例えば、酸素を含むガスであり、空気であってもよい。酸化性ガスを用いることで、造粒容器110内の原料微粉403が酸化焼結し、容易に造粒することが可能となる。
還元性ガスは、例えば、水素ガス、水素と窒素の混合ガス、水素とArの混合ガス、COガス、または、合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)等である。還元性ガスは、水素と水蒸気の混合ガスや、水素と水蒸気、窒素の混合ガスであっても良い。還元性ガスを用いることで、造粒容器110内の原料微粉403の表面が還元して原料微粉403同士が融着しやすくなる。そのため、容易に造粒することが可能となる。還元性ガスは、より好ましくは、水素ガスである。水素ガスであれば、COガスに比較して還元速度が大きく、COガスまたは合成ガスを用いた場合に発生する二酸化炭素の発生もないため、環境負荷が小さい。
供給ガスの流速は、例えば、0.02m/s以上0.8m/s以下である。供給ガスの流速は、より好ましくは0.03m/s以上である。また、供給ガスの流速は、より好ましくは0.6m/s以下である。粒径の大きな媒体粒子401を安定的に流動化させる観点から、供給ガスの流速は、媒体粒子401の最小流動化速度の1.2倍以上3倍以下程度であることが好ましい。最小流動化速度とは、流動層における圧力損失がガス流速の増大に対して一定化する最小のガス流速であり、以下の方法で実験的に測定することができる。すなわち、粒子の存在する層より下部と上部の圧力差(分散板113下のガスだめ部分と層上部の空間部分(フリーボード部)における圧力の差)を測定し、粒子を装入しない場合の差圧(分散板のみの圧力損失)を差し引くことで粒子層の圧力損失が得られる。この粒子層の圧力損失をガス空塔速度に対してプロットし、圧力損失が一定化する最小のガス流速を求める。ただし、初期の粒子充填構造の依存性を排除し、再現性のあるデータを取得するため、ガス流速は流動化に十分な大きさから徐々に減少させることで圧力損失が一定の領域から減少し始める点として最小流動化速度を決める。
供給ガスの流速は、造粒容器110に導入する単位時間当たりのガス流量を容器の断面積で除した値であり、ガス流量は、ガス導入配管に取り付けた流量計で測定することができる。
造粒容器110内の粉粒流動層400における温度は、特段制限されないが、供給ガスが酸化性ガスの場合には800℃以上1200℃程度以下、還元性ガスの場合には500℃以上900℃以下であることが好ましい。粉粒流動層400における温度がこれらの範囲であれば、原料微粉403の酸化反応または還元反応が促進され、効率よく造粒することが可能となる。なお、粉粒流動層400内の温度制御方法は特に限定されないが、粉粒流動層400の特徴として、ガスと物質の混合が極めて良好であり、粉粒流動層400内の温度は均温化することから、粉粒流動層400の温度制御は他の反応制御方法と比較して容易である。加熱方法としては造粒容器110を断熱材で囲い、所定の温度に予め加熱した粒子とガスを導入して混合することで粉粒流動層400内の反応温度を調整することができる。また、外部から造粒容器110を加熱して容器壁面と熱交換させて粉粒流動層400内の温度を所定の温度に調整することも可能である。
供給ガスの温度は、粒子を装入した層の下部(分散板の下部)の位置で測定された温度である。
原料微粉403の造粒容器110中の平均滞留時間は、所望の造粒粉の粒径や生産性を考慮して決定すればよく、温度の高い条件であればより短時間で所望の粒径への造粒が可能となるが、例えば、3分以上60分以下である。平均滞留時間は、造粒の処理効率の観点、造粒粉が過度に凝集することを避ける観点から、好ましくは、30分以下である。平均滞留時間は、供給ガス速度や粉粒流動層400の高さと造粒容器110からの粒子抜き出し速度等を変更して制御することができる。
造粒粉のメディアン径は、好ましくは、0.05mm超である。造粒粉のメディアン径が0.05mm超であれば、造粒粉が流動性を示し、還元装置20で循環流動層または気泡流動層により造粒粉を還元することができる。よって、造粒粉のメディアン径は、0.05mm超であることが好ましい。一方、造粒粉のメディアン径は、0.10mm未満であることが好ましい。造粒粉のメディアン径は、より好ましくは、0.08mm以下である。これは、凝集により造粒粉のメディアン径が大きくなりすぎると、造粒容器110内での安定的な流動化が妨げられる惧れがあり、場合によっては分散板113など造粒容器110内の部分的な閉塞をもたらす可能性があるためである。また、造粒粉が媒体粒子401の粒子径と同等まで大きくなると、媒体粒子401と造粒粉を粒径差で分離する場合、分離が困難になるためである。
造粒粉のメディアン径は、上述した、媒体粒子401の成分、媒体粒子401のメディアン径、媒体粒子401の体積に対する原料微粉の体積の割合、供給ガスの種類、供給ガス速度、温度、および滞留時間等を変更して調整することができる。調整においては、一定の温度、ガス流速の条件下で、造粒容器110内からの粒子の抜き出し速度(単位時間当たり、もしくは一定の時間間隔毎の排出量)を変え、造粒容器110内での平均滞留時間を変化させて、所望の粒径に造粒される抜き出し速度を見出すことが最も容易な調整法である。
造粒粉のメディアン径は、原料微粉403のメディアン径の測定方法と同様の方法で測定できる。
供給ガスが還元性ガスの場合、造粒粉の還元率は、33%以上80%以下であることが好ましく、さらに40%以上70%以下であることが好ましい。還元率は、以下の方法で算出することができる。すなわち、0.1g程度の造粒粉を、窒素雰囲気のグローブボックス中で石英セルに計り取り、造粒粉が空気と接触するのを避けるため、造粒粉をベンゼンで浸す。石英セルを熱天秤(真空理工、TGD7000)内に設置し、系内を真空排気する。その後、窒素を2.00×10-4m3/分で流し、20℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、ベンゼンを蒸発させる。その後、20℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、温度および天秤が安定した後、酸素を系内に導入し、重量増加がなくなるまで保持する。次いで、系内を100℃以下まで冷却した後、真空排気、窒素置換し、20℃/minの昇温速度で700℃まで再び昇温する。そして、水素ガスを2.00×10-4m3/分で流し、重量変化が認められなくなるまで保持する。上記による重量変化をもとに下記式(1)より還元率を求める。
X={(mFe203-msample)-0.329×(mFe203-mFe)}/{0.671×((mFe203-mFe)} ・・・式(1)
ここで、式中、Xは、還元率(%)であり、mFe203は酸化後の造粒粉の重量(酸素導入後、重量増加がなくなったときの造粒粉の重量)であり、msampleは造粒粉の質量であり、mFeは還元後の造粒粉の重量(水素ガス導入後、重量増加がなくなったときの造粒粉の重量)である。なお、熱天秤による酸化後および還元後の造粒粉の化学形態は、X線回折によって、各々、Fe203およびFeであることを確かめることができる。
還元率が33%以上となることによって、原料微粉の表面に金属鉄が現れ、金属鉄の接触による融着を利用して造粒を進めることが可能となる。還元率が小さいと、融着による造粒が進行しない一方、還元率が80%を超えて大きくなり過ぎると、金属鉄同士の融着が過度に進行しやすくなり、造粒による粒径の制御が困難になる。原料微粉の形態、脈石成分の含有量にも依存するため、一概に特定することはできないが、好ましくは40%以上70%以下の範囲となるように条件を設定するのが良い。
造粒装置10はバッチ式の処理装置であってもよいし、連続式の処理装置であってもよい。バッチ式の場合は、造粒処理後の造粒粉は媒体粒子401とともに、例えば、造粒容器110の下部に設けられた開閉可能な取り出し口(図示せず)から抜き取られる。連続式の場合は、例えば、造粒容器110に設けられた開閉可能な取り出し口の弁が一定の時間間隔または連続的に開かれ、媒体粒子401とともに造粒粉が抜き取られるとともに、造粒容器110の上部より媒体粒子401が補給される。
造粒装置10では、排ガス(オフガス)に、原料微粉403が含まれる場合がある。そこで、乾式集塵機120を用いて、オフガスに含まれる原料微粉403を捕集することが好ましい。乾式集塵機120で捕集された原料微粉403は、再度造粒容器110に装入することができる。乾式集塵機120としては、例えば、サイクロンやマルチクロン、セラミックフィルターなどを用いることができる。
造粒装置10で製造された造粒粉は、造粒粉分離装置130(図6参照)によって媒体粒子401から分離回収される。造粒粉を媒体粒子401から分離回収する方法は、磁選、篩い分け、風力分級、または、沈降分級等の公知の方法であってよい。媒体粒子401とともに抜き取られた造粒粉は、例えば、十分に大きな媒体粒子401との粒径差を利用した篩分けによって媒体粒子401と分離される。この際、所定の粒径まで造粒されていない原料微粉403は篩分けによって所定の粒径範囲となった造粒粉と分離し、媒体粒子401とともに再度造粒容器110に戻すようにしても良い。
ここまで造粒装置10について説明した。
<還元装置20>
続いて、図2~4を参照して還元装置20を説明する。図2は、本実施形態に係る還元装置を構成可能な循環流動層還元装置の模式図である。図3は、気泡流動層を説明するための模式図である。図4は、本実施形態に係る還元装置を構成可能な気泡流動層還元装置の模式図である。
還元装置20は、造粒装置10で造粒された造粒粉が流動して形成された流動層で、少なくとも当該造粒粉を還元する。還元装置20は、例えば、循環流動層を形成する一つ以上の循環流動層還元装置200または気泡流動層(Bubbling fluidized bed;BFB)を形成する一つ以上の気泡流動層還元装置300の少なくともいずれかを備える。以下に循環流動層還元装置200および気泡流動層還元装置300について説明する。
(循環流動層還元装置200)
循環流動層還元装置200は、例えば、図2に示すように、造粒粉が還元される容器であるライザー部210、ライザー部210の上部に設けられた出口214に接続されたサイクロン220、および、サイクロン220の底部から下方に延びてライザー部210の下部に接続される循環ライン230、を備える。
ライザー部210は、底部に配され、供給ガスがライザー部210の内部に供給されるガス供給口211と、鉱石粉が供給される鉱石粉供給口212と、ガス供給口211よりも上方に配された分散板213と、を有する。循環ライン230は、サイクロン220の下部に接続された、サイクロン220でガスと分離された鉱石粉の流路であるダウンカマー231と、ダウンカマー231の下端に一端が接続され、ライザー部210の分散板213の上方に他端が接続されたループシール部232と、を有する。ループシール部232は、一時的に溜められた鉱石粉によりシールの効果を果たす。なお、造粒装置10の造粒容器110における流動層と同様に、循環流動層を形成するためのガスの通気方法・形態は、分散板213については多孔質板やスリット板のような平板型のほか、単純なノズル型やノズル先端に各種形態の吹き出し孔付きキャップを設けたキャップ型、チューブ側面に複数の穴をあけたグリッドチューブを配置したパイプ型など、ガスをライザー部210に導入し、粒子を吹き上げて流動層を形成可能なものであればその具体的な形態は限定されない。
鉱石粉供給口212から供給される鉱石粉は、少なくとも、造粒装置10で造粒された造粒粉を含む。鉱石粉は、造粒装置10で造粒された造粒粉に限られず、例えば、流動性を示す粒径を有する微粉鉱石等を含んでもよい。
ガス供給口211からライザー部210の内部に供給される供給ガスは、例えば、水素ガス、COガス、もしくは、合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)等の還元性ガス、または、還元性ガスと不活性ガスの混合ガスであってもよい。ライザー部210の内部に供給されるガスは、還元性ガスと不活性ガス、水蒸気の組み合わせであってもよい。上記の供給ガスにより鉱石が還元されて還元鉄が得られる。還元性ガスは、より好ましくは、水素ガスである。従来のシャフト炉を用いた還元鉄の製造では、還元反応で天然ガスや石炭、COガスを使用するため、地球温暖化の一因となり得るCO2が発生し、環境負荷が大きい。一方で、ライザー部210に供給する還元性ガスに水素ガスを用いれば、還元反応によるCO2の発生が無く、環境に与える負荷を抑制することができる。
供給ガスの流速は、鉱石粉の粒径に依存するが、例えば、1.0m/s以上10m/s以下である。供給ガスの流速(ガス空塔速度)は、循環流動層の利点として挙げられるガスとの反応効率の向上の観点から、平均ガス速度と粒子の平均速度の差(スリップ速度)が大きくなるように設定することが好ましい。一般的な鉄鉱石の比重と、造粒粉の粒径範囲から、供給ガスの流速は好ましくは、3.0m/s以上7.0m/s以下である。
供給ガスの流速は、鉱石粉を吹き上げるライザー部210の位置での空塔速度であり、導入する単位時間当たりのガス流量を容器のライザー部210の断面積で除した値であり、ガス導入配管に取り付けた流量計で測定することができる。
還元装置20内の還元反応温度は、500℃以上900℃以下であることが好ましい。還元装置20内の還元反応温度が500℃以上900℃以下であれば、鉱石粉の還元反応が促進され、製造性が向上する。還元装置20内の還元反応温度は、鉱石粉の還元速度を向上させ、効率よく還元鉄を得る観点から、より好ましくは、550℃以上である。また、還元装置20内の還元反応温度は、鉱石粉同士の融着による凝集の過度な進行を抑制する観点から、より好ましくは、750℃以下である。
サイクロン220は、排ガスとともに飛散する粒子を捕集する。捕集された粒子は、循環ライン230を通ってライザー部210に戻され、排ガスは、乾式集塵機240を介して循環流動層還元装置200外へ排出される。
鉱石粉供給口212から供給された鉱石粉は、ガス供給口211から供給され、分散板213の複数の通気口を通って整流された供給ガスによって流動化される。詳細には、鉱石粉は、ライザー部210の内部において、下方から上方へ輸送され、サイクロン220および循環ライン230を通り、循環流動層還元装置200の内部を循環する。したがって、循環流動層還元装置200の内部が循環流動層となっている。なお、ループシール部232では、鉱石粉が暫く滞留している。鉱石粉は、主にライザー部において流動しながら供給ガスによって還元されて還元鉄となる。還元鉄は、開閉可能な還元鉄取り出し口(図示せず)から排出される。一般的には、循環流動層のサイクロン220の下部(ダウンカマー231途中)に取り出し口が設けられる場合が多い。循環流動層還元装置200による還元反応がバッチ式の処理の場合は、還元処理後の粉末は、例えば、サイクロン220の下部(ダウンカマー231途中)に設けられた開閉可能な取り出し口(図示せず)から抜き取られる。還元処理が連続式の場合は、例えば、ライザー部210に設けられた開閉可能な取り出し口の弁が一定の時間間隔または連続的に開かれ、処理後の粉末が抜き取られるとともに、鉱石粉供給口212より鉱石粉が補給される。
循環流動層還元装置200内に滞留する鉱石粉の平均滞留時間は、還元反応の温度に依存するが、3分以上120分以下であることが好ましい。平均滞留時間が3分以上であれば、高い還元率の還元鉄が得られる。一方、平均滞留時間が120分以下であると、還元装置としての処理効率が高く維持される。また、平均滞留時間が120分以下であると、過剰な還元の進行による鉱石粉の強度低下、または循環中の鉱石同士もしくは鉱石と装置との衝突により鉱石が微粉化し、還元鉄としての回収効率が低下することが抑制される。よって、平均滞留時間は120分以下であることが好ましい。循環流動層還元装置200内に滞留する鉱石粉の平均滞留時間は、より好ましくは、5分以上60分以下である。平均滞留時間の調整は、時間当たりに取出し口から抜き取る鉱石粉の量を調整することで行う。
鉱石粉の平均滞留時間は、以下の方法で算出することができる。すなわち、トレーサー粒子として、例えば、メディアン径が等しく、脈石成分の異なる鉱石粉を一定量投入し、排出される還元鉄の脈石成分の含有率の時間変化を調べる。これにより得られる、投入したトレーサー鉱石粉を特徴づける脈石成分の含有率が最も高くなるピークの時間帯を鉱石粉の平均滞留時間とする。上記の方法から、平均滞留時間を実験的に測定することが可能である。
ここまで循環流動層還元装置200を説明した。続いて、気泡流動層還元装置300を説明する。
(気泡流動層還元装置300)
気泡流動層還元装置300は、例えば、図3に示すような、鉱石粉501による流動層においてガスによる気泡502が形成されている状態の流動層である気泡流動層500を形成する。気泡502は流動状態に依存してその形態はさまざまであり、流動状態によっては明確な気泡が形成されない場合もある。気泡流動層還元装置300は、例えば、図4に示すように、気泡流動層500を形成し、鉱石粉501が還元される容器である反応器310を備える。反応器310は、基本的に循環流動層還元装置200のライザー部210と同様である。
気泡流動層500は、ガス供給口311から供給され、分散板313の複数の通気口を通って整流されたガスによって鉱石粉が流動して形成される。なお、造粒装置10の造粒容器110における流動層や循環流動層と同様に、気泡流動層を形成するためのガスの通気方法・形態は、分散板313については多孔質板やスリット板のような平板型のほか、単純なノズル型やノズル先端に各種形態の吹き出し孔付きキャップを設けたキャップ型、チューブ側面に複数の穴をあけたグリッドチューブを配置したパイプ型など、ガスを反応器310に導入し、粒子を吹き上げて流動層を形成可能なものであればその具体的な形態は限定されない。
鉱石粉501は、循環流動層還元装置200に使用される鉱石粉と同様であり、少なくとも、造粒装置10で造粒された造粒粉を含む。鉱石粉501は、造粒装置10で造粒された造粒粉に限られず、例えば、流動性を示す粒径を有する微粉鉱石等を含んでもよい。
ガス供給口311から反応器310の内部に供給される供給ガスは、例えば、水素ガス、COガス、もしくは、合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)等の還元性ガス、または、還元性ガスと不活性ガスの混合であってもよく、還元性ガスと不活性ガス、水蒸気の組み合わせであってもよい。還元性ガスは、環境負荷低減の観点から、好ましくは、水素ガスである。
供給ガスの流速は、鉱石粉の粒径に依存するが、例えば、0.2m/s以上1.0m/s未満である。気泡流動層還元装置300に導入される供給ガスの流速(ガス空塔速度)は、循環流動層還元装置200に使用される供給ガスの流速より小さく、気泡流動層500から飛び出す鉱石粉は極めて少ない。気泡流動層還元装置300に導入される供給ガスの流速は、好ましくは、0.3m/s以上0.8m/s以下である。
供給ガスの流速は、鉱石粉の気泡流動層500が実現される気泡流動層還元装置300内での空塔速度であり、導入する単位時間当たりのガス流量を気泡流動層還元装置300の反応器310の流動層部断面積で除した値であり、ガス導入配管に取り付けた流量計で測定することができる。
気泡流動層還元装置300内の還元反応温度は、500℃以上900℃以下であることが好ましい。気泡流動層還元装置300内の還元反応温度が500℃以上900℃以下であれば、鉱石粉の還元反応が促進され、製造性が向上する。気泡流動層還元装置300内の還元反応温度は、鉱石粉の還元速度を向上させ、効率よく還元鉄を得る観点から、より好ましくは、550℃以上である。また、気泡流動層還元装置300内の還元反応温度は、鉱石粉同士の融着による凝集の過度な進行を抑制する観点から、より好ましくは、750℃以下である。
気泡流動層還元装置300内に滞留する鉱石粉の平均滞留時間は、3分以上180分以下であることが好ましい。平均滞留時間が3分以上であれば、高い還元率の還元鉄が得られる。一方、平均滞留時間が180分以下であると、還元装置としての処理効率が高く維持される。また、平均滞留時間が180分以下であると、過剰な還元の進行による鉱石粉の強度低下、または循環中の鉱石同士もしくは鉱石と装置との衝突により鉱石が微粉化し、還元鉄としての回収効率が低下することが抑制される。よって、平均滞留時間は180分以下であることが好ましい。気泡流動層還元装置300内に滞留する鉱石粉の平均滞留時間は、より好ましくは、5分以上150分以下である。平均滞留時間の調整は、循環流動層還元装置200の場合と同様に、時間当たりに取出し口から抜き取る鉱石粉の量を調整することで行う。平均滞留時間の測定は、循環流動層還元装置200における鉱石粉の平均滞留時間の測定方法と同様の方法で行うことができる。
鉱石粉供給口312から供給された鉱石粉は、ガス供給口311から供給され、分散板313の複数の通気口を通って整流された供給ガスによって流動化される。詳細には、鉱石粉は、反応器310の内部において、気泡流動層500を形成し、流動しながら供給ガスによって還元されて還元鉄となる。還元鉄は、開閉可能な還元鉄取り出し口(図示せず)から排出される。
上記の反応器310は、一段の気泡流動層を形成する反応器であるが、気泡流動層還元装置300に備えられる反応器は、反応器310に限られず、例えば、図5に示すような、内部に複数の還元室を有する反応器310Aであってもよい。図5は、同実施形態に係る気泡流動層還元装置の反応器の別の例を示す模式図である。
反応器310Aは、例えば、長手方向の一方の側面に設けられた鉱石粉供給口312と、長手方向の他方の側面設けられた出口314と、長手方向に並列した複数のガス供給口311と、各ガス供給口311の上方に設けられた分散板313と、隣り合うガス供給口311の間に設けられた仕切り板315と、を備えてもよい。反応器310Aの内部には、仕切り板315により複数の還元室が形成されている。仕切り板315の高さは、気泡流動層500の高さよりも短い。このような構成の反応器310Aは、鉱石粉の平均滞留時間を長くすることができ、到達還元率を高めることができる。なお、鉱石粉供給口の設置位置および設置数、出口の設置位置および設置数、ならびに仕切り板の設置位置および設置数等は、図5に示す態様に限られず、適宜変更されてよいことは言うまでもない。
ここまで気泡流動層還元装置300を説明した。
還元装置20では、排ガス(オフガス)に、微粉化した還元率が低い鉱石や還元鉄が含まれる場合がある。そこで、乾式集塵機240、320を用いて、オフガスに含まれる微粉化した還元率が低い鉱石や還元鉄を捕集することが好ましい。乾式集塵機240、320で捕集された鉱石や還元鉄は、造粒装置10に供給される原料微粉として利用することができる。これにより、ダストロスを低減して投入原料の総重量に対する製品還元鉄重量の歩留りを向上させた還元システムの実現が可能である。つまり、造粒装置10では、原料微粉403として、例えば、粒径の小さなペレットフィード等の微粉鉱石や、粒度分布の広いシンターフィードなどの粉鉱石から篩分けした微粒子の鉱石、または、還元が途中まで進行しウスタイトを多く含む転炉ダストやマグネタイト精鉱等の再酸化性のある微粉を対象に、還元装置20の前段に設けた造粒装置10によってこれらの微粉を造粒する。流動化容易な粒径に造粒された造粒粉は、その後段で還元装置20に移送されて十分な滞留時間で還元処理されるが、還元装置20内では新たにダストが生成される。ダストは、オフガスから回収して再度造粒装置10へ戻すことで、原料微粉403を出発原料とした還元処理を高歩留りで効率的に行うことが可能となる。なお、乾式集塵機240、320は、発明に係る捕集装置に対応する。
乾式集塵機240、320としては、例えば、サイクロンやマルチクロン、セラミックフィルターなどを用いることができる。循環流動層還元装置200では、例えば、サイクロン220の後方に乾式集塵機240としてサイクロン220より小型のサイクロンを直列に設けてもよい。また、気泡流動層還元装置300では、例えば、反応器310の上部に設けられた出口314の後方に乾式集塵機としてサイクロンが設けられる。
また、循環流動層還元装置200および気泡流動層還元装置300の供給ガスの流速は、造粒装置10における供給ガスの流速より大きく設定することが好ましい。これにより、循環流動層還元装置200のライザー部210内および気泡流動層還元装置300の反応器310内のそれぞれにおいて、鉱石粉は造粒装置10内より激しく流動することで互いに融着せず、鉱石粉が造粒装置10で造粒された粒径を大きく超えてさらに凝集が進行することを抑制することができる。その結果、ライザー部210または反応器310の閉塞を防止することができ、高い生産性を維持することができる。
還元装置20は、一つの循環流動層還元装置200または一つの気泡流動層還元装置300であってもよいし、複数の循環流動層還元装置200または複数の気泡流動層還元装置300であってもよいし、一つ以上の循環流動層還元装置200および一つ以上の気泡流動層還元装置300を組み合わせたものであってもよい。循環流動層は、供給ガスの平均流速と鉱石の平均移動速度の差(スリップ速度)が大きいため、鉱石粉に接触する還元性ガスの交換頻度が高く、鉱石粉の周囲が平衡状態に近づいて還元反応が停滞することが避けられ、鉱石粉が効率よく還元される。一方で、鉱石粉の平均移動速度自体も大きいため、鉱石粉同士の衝突等により、機械的な摩耗や破壊が起こり、ダストが生じやすい。気泡流動層は、循環流動層と比較して供給ガスの平均流速と鉱石の平均移動速度の差(スリップ速度)が小さいため、気泡流動層による鉱石粉の還元効率は、循環流動層による鉱石粉の還元効率に劣る。一方で、ダストの発生については、循環流動層よりも抑制される傾向があるほか、ガス流速を抑えることでガス導入のためのエネルギー・コストを抑えることが可能である。循環流動層および気泡流動層の特徴、ならびに鉱石のメディアン径やFe含有量等を考慮して、還元装置20の構成を決定することが好ましい。
ここで、図6~9を参照して、還元鉄の製造設備の構成例を説明する。図6は、還元装置20として一つの循環流動層還元装置200が備えられた還元鉄の製造設備の一例を示す概略構成図である。図7は、還元装置20として一つの気泡流動層還元装置300が備えられた還元鉄の製造設備の一例を示す概略構成図である。図8は、還元装置20として、一つの循環流動層還元装置200および三つの気泡流動層還元装置300が備えられた還元鉄の製造設備の一例を示す概略構成図である。図9は、還元装置20として、一つの循環流動層還元装置200および内部に複数の還元室を有する一つの気泡流動層還元装置300が備えられた還元鉄の製造設備の一例を示す概略構成図である。なお、図6~9中の実線矢印は、粉体の流れを示し、破線矢印は、ガスの流れを示している。
例えば、図6に示した還元鉄の製造設備では、以下のようにして還元鉄が製造される。まず、媒体粒子401が造粒容器110に装入され、造粒容器110の下部からガスが導入されている。媒体粒子401は、ガス402とともに、造粒容器110の内部で粉粒流動層400を形成している。原料微粉403が造粒容器110に供給され、粉粒流動層400により凝集し、造粒粉404が造粒される。
造粒粉404と媒体粒子401との混合物は造粒粉分離装置130に輸送され、造粒粉分離装置130により、造粒粉404と媒体粒子401とに分離される。分離された媒体粒子401は、再度造粒容器110に装入される。造粒粉404は、循環流動層還元装置200のライザー部210に供給される。
ライザー部210に供給された造粒粉404は、ライザー部210の下部から導入された供給ガス402により、循環流動層を形成する。造粒粉404と循環流動層内で新たに発生したダスト405を含むガスは、サイクロン220で分離され、造粒粉404はライザー部210に再度送入される。この際、造粒粉404は、循環流動層内で、供給ガス402によって還元されて還元鉄406となる。ダスト405を含むオフガスは、乾式集塵機240に送られる。ダスト405は、乾式集塵機240によってオフガスと分離されて回収され、リターン原料微粉として造粒容器110に供給される。
上記のように、例えば、造粒装置10と、還元装置20として一つの循環流動層還元装置200が備えられた還元鉄の製造設備によって、還元鉄が製造可能である。
また、例えば、図7に示した還元鉄の製造設備では、以下のようにして還元鉄406が製造される。造粒粉404と媒体粒子401とが造粒粉分離装置130によって分離され、媒体粒子401が再度造粒容器110に装入されるまでは、図6を用いて説明した例と同様であるため省略する。
造粒粉404は、気泡流動層還元装置300の反応器310に供給される。反応器310に供給された造粒粉404は、反応器310の下部から導入された供給ガス402により、反応器310内で気泡流動層500を形成する。造粒粉404は、気泡流動層500内で還元されて還元鉄406となる。ダスト405を含むオフガスは、乾式集塵機320Bを経て、乾式集塵機320Aに送られる。ダスト405は、乾式集塵機320Aによってオフガスと分離されて回収され、リターン原料微粉として造粒容器110に供給される。図7に示したように、気泡流動層還元装置300は、複数の乾式集塵機320、例えば、乾式集塵機320A、320Bを有していてもよい。これにより、粒度の異なる粉体を、それぞれ回収することができる。そのため、乾式集塵機320Bでは、オフガスに含まれ得る造粒粉404を回収することもできる。乾式集塵機320Bで回収された造粒粉404は、再度反応器310に装入される。
上記のように、例えば、造粒装置10と、還元装置20として一つの気泡流動層還元装置300が備えられた還元鉄の製造設備によって、還元鉄が製造可能である。
また、例えば、図8に示した還元鉄の製造設備では、以下のようにして還元鉄406が製造される。造粒粉404と媒体粒子401とが造粒粉分離装置130によって分離され、媒体粒子401が再度造粒容器110に装入されるまでは、図6を用いて説明した例と同様であるため省略する。
造粒粉404は、循環流動層還元装置200のライザー部210に供給される。ライザー部210に供給された造粒粉404は、循環流動層内で供給ガス402によってその還元が進行する。一部還元した造粒粉404は、気泡流動層還元装置300における一段目の反応器310に装入され、反応器310で造粒粉404と供給ガス402とにより形成された気泡流動層500で、造粒粉404の還元が進行する。反応器310内の造粒粉404は、順次、二段目の反応器310、および三段目の反応器310に供給されて還元される。造粒粉404は、最終的に三段目の反応器310内の気泡流動層500で還元されて、還元鉄406となる。
反応器310のそれぞれに接続された乾式集塵機320Bは、オフガスに含まれ得る造粒粉404を回収し、回収された造粒粉404は各反応器310に再度送入される。
循環流動層還元装置200のサイクロン220、気泡流動層還元装置300の乾式集塵機320Bで分離された、ダスト405を含むオフガスは、乾式集塵機240に送られる。乾式集塵機240でオフガスと分離されて回収されたダスト405は、リターン原料微粉として再度造粒容器110に供給される。
上記のように、例えば、還元装置20として、一つの循環流動層還元装置200および三つの気泡流動層還元装置300が備えられた還元鉄の製造設備によって、還元鉄が製造可能である。循環流動層還元装置200の後段に気泡流動層還元装置300が設けられた還元装置20によれば、鉱石粉表面に到達する還元ガスの供給律速で還元反応が急速に進む傾向がある還元初期段階の還元時間を短時間で行い、還元速度が鉱石内部の物質拡散律速となり還元速度が停滞する傾向がある還元後期段階は還元ガスの過剰な利用を省くことができる。また、気泡流動層還元装置300を多段にすることで、鉱石粉の平均滞留時間を確保するとともに滞留時間のばらつきを抑制し、目的とする到達還元率の還元鉄を品質のばらつき少なく得ることができる。
なお、図8には示されていないが、ライザー部210および反応器310には、造粒粉404以外にも例えば、流動性を示す粒径を有する微粉鉱石等が供給されてもよい。
また、例えば、図9に示した還元鉄の製造設備では、以下のようにして還元鉄406が製造される。循環流動層還元装置200内で一部還元した造粒粉404が供給ガス402によって還元されるまでは、図8を用いて説明した例と同様であるため省略する。
一部還元した造粒粉404は、気泡流動層還元装置300における内部に複数の還元室を有する反応器310Aに装入される。造粒粉404は、反応器310Aの複数の還元室を移動する。反応器310A内に形成された気泡流動層により造粒粉404が還元されて還元鉄406となる。反応器310Aに接続された乾式集塵機320Bおよび乾式集塵機240は、図8に示したものと同様である。また、サイクロン220、乾式集塵機320Bを経て、乾式集塵機240でオフガスと分離されて回収されたダスト405は、リターン原料微粉として造粒容器110に供給される。
上記のように、例えば、還元装置20として、一つの循環流動層還元装置200および一つの気泡流動層還元装置300が備えられた還元鉄の製造設備によって、図8の多段にした気泡流動層と同様に、鉱石粉の平均滞留時間を確保するとともに滞留時間のばらつきを抑制し、目的とする到達還元率の還元鉄を品質のばらつき少なく得ることができる。
なお、図9には示されていないが、ライザー部210、反応器310Aには、造粒粉404以外にも例えば、流動性を示す粒径を有する微粉鉱石等が供給されてもよい。
還元装置20によって得られる還元鉄の還元率は、プロセスの目的に沿って設定される。このプロセスを、電気炉で精錬するための一般的な還元鉄製造法として用いる場合には、到達還元率は90%以上であることが好ましい。還元率が90%以上であれば、還元鉄の最終製品として、例えば電気炉で精錬を行うユーザーに提供することができる。なお、高炉に原料として投入し、高炉におけるコークスなどの還元材比使用率を下げる目的であれば、半還元鉄製品として、到達還元率は90%を超えるものである必要はなく、例えば70%程度の到達還元率であってもよい。還元鉄の還元率は、造粒粉の還元率と同様の方法で算出することができる。
本実施形態に係る還元鉄の製造方法は、造粒工程で流動層を用いて難流動性を示す微粉から流動性を示す造粒粉を造粒し、還元工程で流動層を用いてこの造粒粉から還元鉄を製造することができる。そのため、高い歩留りで還元鉄を製造することができる。また、本実施形態に係る還元鉄の製造方法は、従来の塊成化を行う必要がないため、低コストで還元鉄を製造することができる。また、造粒装置および還元装置は複雑ではないため、設備導入コストも低い。
なお、図面に示された造粒装置、循環流動層還元装置および気泡流動層還元装置は、あくまでも一例であって、本実施形態に係る造粒装置、循環流動層還元装置および気泡流動層還元装置は、図面に示された態様に限られないことは言うまでもない。例えば、造粒容器は、当該造粒容器の内部に当該造粒容器と同軸の供給ラインを有し、原料微粉は、この供給ラインから造粒容器の内部に送入されてもよい。還元装置を構成する反応器も同様である。
次に本発明の実施例を示すが、実施例での条件は、本発明の実施可能性および効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1~3に示す条件で原料微粉を造粒し、造粒粉を得た。No.8~10の例は、造粒工程が行われなかった例である。なお、表1~3に示す体積割合は、媒体粒子と合わせた全体の体積に対する原料微粉の体積の割合を意味する。
原料微粉、媒体粒子、および造粒粉のメディアン径は、以下の方法で測定した。すなわち、湿式測定装置であるレーザ回折式粒子径測定装置(Malvern Panalytical社製、Mastersizer 3000)を用いて、分散媒:水、分散媒屈折率:1.33とし、粒子屈折率は、原料微粉および造粒粉の場合は2.918、媒体粒子の場合は使用する媒体粒子に合わせて設定した。例えば、媒体粒子がSiO2の場合は、その屈折率は1.55、である。それぞれの粉体は、投入された粉体を等分に分割することが可能な縮分機により100gまで分割した後、円錐四分法で2gまで取り出し、ここから任意に3回サンプリングした粉末の粒子径を上記のレーザ回折式粒子径測定装置により測定し、測定した篩下積算分布における体積基準の粒子径d50の平均値をメディアン径とした。
媒体粒子と合わせた全体の粒子体積に対する原料微粉の体積は、以下の方法で測定した。すなわち、媒体粒子および原料微粉それぞれの乾燥状態での嵩密度を測定し、所定の体積割合となるそれぞれの重量を嵩密度から求めて投入した。嵩密度の測定にはPOWDER TESTER PT-X(ホソカワミクロン製)を用い、ゆるめ嵩密度測定モードにより嵩密度を測定し、投入重量を導出した。
鉱石粉の平均滞留時間は、以下の方法で算出した。すなわち、トレーサー粒子としてメディアン径が原料微粉と等しく、脈石成分の異なる鉱石粉として、化学分析値においてMgを5倍以上の成分濃度で含む鉱石を用意した。これを原料微粉を連続的に投入するフィーダーに投入した。このとき、原料微粉が還元鉄として排出される一定の物質流れが実現されている状態であり、そのまま装置を連続運転しながら排出される還元鉄の脈石成分Mgの含有率の時間変化を調べた。これにより得られた、投入したトレーサー鉱石粉を特徴づける脈石成分Mgの含有率が最も高くなるピークの時間帯を平均滞留時間とした。
還元率は、以下の方法で測定した。すなわち、0.1g程度の造粒工程後の造粒粉又は還元工程後の還元粉を、窒素雰囲気のグローブボックス中で石英セルに計り取り、造粒粉又は還元工程後の還元粉が空気と接触するのを避けるため、ベンゼンで浸した。石英セルを熱天秤(真空理工、TGD7000)内に設置し、系内を真空排気した。その後、窒素を2.00×10-4m3/分で流し、20℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、ベンゼンを蒸発させた。その後3℃/sの昇温速度で700℃まで昇温した。温度および天秤が安定した後、酸素を系内に導入し、重量増加がなくなるまで保持した。その後系内を100℃以下まで冷却した後、真空排気、窒素置換し、20℃/minの昇温速度で700℃まで再び昇温した。次いで、水素ガスを2.00×10-4m3/分で流し、重量変化が認められなくなるまで保持した。重量変化をもとに下記式(1)より還元率を求めた。
X={(mFe203-msample)-0.329×(mFe203-mFe)}/{0.671×((mFe203-mFe)} ・・・式(1)
ここで、式中、Xは、還元率(%)であり、mFe203は酸化後の造粒粉又は還元粉の重量(酸素導入後、重量増加がなくなったときの造粒粉又は還元粉の重量)であり、msampleは造粒粉又は還元粉の質量であり、mFeは水素ガス中保持後の造粒粉又は還元粉の重量(水素ガス導入後、重量増加がなくなったときの造粒粉又は還元粉の重量)である。なお、熱天秤による酸化後および水素ガス中保持後の造粒粉および還元粉の化学形態は、X線回折によって、各々、Fe203およびFeであることを確かめた。
得られた造粒粉又は造粒粉と鉱石粉の混合粉を表4~6の条件で還元した。表4~6には、2段の流動層の構成からなる還元槽の場合は、1段目と2段目の還元ガスの流速を記載している。表4~6に示す滞留時間は、還元装置に設けられた循環流動層を有するライザー部または気泡流動層を有する反応器に造粒粉が滞留した合計の時間である。
また、表4~6に示すダスト循環の有無とは、流動層で発生したダストが回収されて造粒装置に再度導入されたか否かであり、「有り」は、当該ダストが造粒装置に再度導入されたことを意味し、「無し」は、当該ダストが造粒装置に導入されなかったことを意味する。No.B7、B11~B30の例は、循環流動層および気泡流動層を有する容器のそれぞれから発生するダストを回収した。なお、ダストの回収には、乾式集塵装置として小型のサイクロンからなるマルチクロンを使用した。
歩留りは、以下のようにして算出した。すなわち、安定した連続処理状態で、単位時間あたりに還元工程に供した鉱石粉に含まれる鉄分の総質量に対して、同じ単位時間当たりに得られる還元鉄に含まれる鉄分の総質量の割合(%)を歩留りとした。
還元率について、表1~6では以下のように記載した。
「A」:90%以上、95%以下
「B」:85%以上、90%未満
「C」:80%以上、85%未満
「D」:75%以上、80%未満
「E」:70%以上、75%未満
「F」:60%以上、70%未満
「G」:50%以上、60%未満
「H」:40%以上、50%未満
歩留りについて、表4~6では以下のように記載した。
「A」:98%以上
「B」:95%以上、98%未満
「C」:90%以上、95%未満
「D」:80%以上、90%未満
「E」:70%以上、80%未満
「F」:60%以上、70%未満
表1~6に示すように、媒体粒子が流動して形成された流動層で、鉄分を含有するメディアン径が0.05mm以下の原料微粉から造粒粉を造粒する造粒工程と、造粒粉が流動して形成された流動層で、少なくとも造粒粉を還元する還元工程と、により、微粉鉱石および微粉鉱石を含む粉状鉄鉱石を高い歩留りで還元することができた。
一方、造粒工程を実施しなかったNo.B8~B10の例は、原料微粉単体で還元装置に投入したために流動化・ハンドリングが困難であり、気泡流動層での流動化不良や、循環流動層のダウンカマー部での滞留・詰まりにより還元鉄の安定な処理と排出が困難であった。そのため、No.B8~B10の例については、処理後の還元鉄が得られず、歩留りの算出自体が不可能であったため、歩留りおよび還元率の算出は行わなかった。しかしながら、No.B8~B10の例は、還元鉄の安定な処理と排出が困難であったため、これらの例の歩留りは、表に示した本発明例と比較して、明らかに低かった。
No.B13、B14の例は原料微粉のメディアン径が0.05mm超であり、粉粒流動化が困難であったほか、造粒容器内で凝集が始まると造粒粉が過度に大きくなり、流動化の停止によって造粒粉の取出しができなかった。そのため、No.B13、B14の例は、還元工程が実施されず、還元鉄の製造ができなかった。よって、No.B13、B14の例では、歩留りおよび還元率の算出は行わなかった。
また、媒体粒子の粒径が異なるNo.B19~B23の例を比較すると、媒体粒子のメディアン径が大きいNo.B23の例では、原料微粉の粒径に対して媒体粒子を流動化させる流速が相対的に大きくなり、原料微粉の造粒容器からの散逸が増加した。その結果、媒体粒子のメディアン径がより小さいNo.B19~B22の例は、No.B23の例に比べて歩留りが高かった。
また、原料微粉の体積割合が異なるNo.B7、B24~B26の例を比較すると、原料微粉の体積割合が小さいほど、造粒容器からガスとともに散逸してしまう原料微粉の割合が小さくなる傾向があり、歩留りが向上した。
造粒粉の粒径を大きくしたNo.B29の例は、造粒粉と媒体粒子の粒径差が小さく、造粒容器から抜き出された媒体粒子と造粒粉の分離がやや困難であった。
No.B30の例では、還元装置で還元する鉱石粉として、造粒容器で造粒された造粒粉に加え、流動性を示す粒径メディアン径70μmの鉱石(シンターフィード:ピソライト鉱石)を用いたものであり、他の実施例と同様に粉状鉄鉱石を高い歩留りで還元することができた。