本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、エネルギー管理システム(Energy Management System)を、「EMS」と表記する。また、分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resource)を、「DER」と表記する。
図1は、本開示の実施の形態に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。図1を参照して、電力システム1は、電力系統PGと、マイクログリッドMGと、サーバ100,200と、DER群500と、受変電設備501とを含む。
サーバ100は、マイクログリッドMGの需給を管理するコンピュータである。サーバ100は、マイクログリッドMGの管理者に帰属する。サーバ100は、CEMS(Community EMS)サーバに相当する。マイクログリッドMGは、1つの街(たとえば、スマートシティ)全体に電力を供給する電力網である。マイクログリッドMGにおいて複数のDERをネットワーク化するための電力線は、自営電力線であってもよい。マイクログリッドMGは、電力系統PGに並列及び解列可能に構成される。マイクログリッドMGは、本開示に係る「電力網」の一例に相当する。
受変電設備501は、マイクログリッドMGの連系点(受電点)に設けられ、電力系統PGとマイクログリッドMGとの並列(接続)/解列(切離し)を切替え可能に構成される。マイクログリッドMGが電力系統PGと接続された状態で連系運転しているときには、受変電設備501は、電力系統PGから交流電力を受電し、受電した電力を降圧してマイクログリッドMGへ供給する。マイクログリッドMGが電力系統PGから切り離された状態で自立運転しているときには、電力系統PGからマイクログリッドMGへの電力供給は行なわれない。受変電設備501は、高圧側(一次側)の開閉装置(たとえば、区分開閉器、断路器、遮断器、及び負荷開閉器)、変圧器、保護リレー、計測機器、及び制御装置を含んで構成される。サーバ100は、マイクログリッドMGに関する情報(たとえば、電力波形)を受変電設備501から受信するとともに、受変電設備501へ並列/解列を指示するように構成される。
サーバ200は、電力系統PGの需給を管理するコンピュータである。電力系統PGは、図示しない発電所及び送配電設備によって構築される電力網である。この実施の形態では、電力会社が発電事業者及び送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PG(商用電力系統)を保守及び管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。サーバ200は、電力会社に帰属する。
サーバ100は、サーバ200及びDER群500の各々と通信可能に構成される。通信プロトコルは、OpenADRであってもよい。DER群500は、マイクログリッドMGに電気的に接続可能な複数のDERを含む。サーバ100は、DER群500に含まれる複数のDERを管理するように構成される。サーバ100は、サーバ200から電力系統PGの需給調整を要請されたときに、DER群500に対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。また、サーバ100は、需給調整市場の要請に応じてDER群500に対してDRを実施してもよい。また、サーバ100は、マイクログリッドMGの需給調整を行なうために、DER群500に対してDRを実施してもよい。
DER群500に含まれる複数のDERはマイクログリッドMGを介して相互に電気的に接続されている。DER群500は、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)20と、住宅30と、商業施設40と、工場50と、ESS(Energy Storage System)60と、FCS(Fuel Cell System)70と、水素ステーション80と、自然変動電源91と、発電機92とを含む。これらの各々が、DERとして機能し得る。
DER群500は、EV(Electric Vehicle)11とFCV(Fuel Cell Vehicle)12とをさらに含む。EVSE20は、車両(たとえば、EV11)と電気的に接続された状態でDERとして機能する。たとえば、EVSE20の充電コネクタがEV11のインレットに挿入(プラグイン)されることによって、EVSE20とEV11とが電気的に接続される。図1には、EV11及びFCV12を1台ずつしか示していないが、DER群500に含まれる車両の数は任意であり、10台以上であってもよいし、100台以上であってもよい。DER群500は、POVを含んでもよいし、MaaS車両を含んでもよい。POVは、個人が所有する車両である。MaaS車両は、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理する車両である。
DER群500に含まれるEVSE20、住宅30、商業施設40、工場50、ESS60、FCS70、水素ステーション80、自然変動電源91、及び発電機92の各々の数も任意である。この実施の形態では、1つの街の中に、EVSE20、住宅30、商業施設40、工場50、ESS60、FCS70、水素ステーション80、自然変動電源91、及び発電機92の各々が多数設けられている。
EV11は蓄電装置B1を備える。蓄電装置B1は、車両外部の給電設備(たとえば、EVSE20)に接続可能に構成される。蓄電装置B1に蓄えられた電力は、EV11の走行用モータ(図示せず)を駆動するために使用されたり、EV11に搭載された機器で消費されたりする。FCV12は、発電装置H2と、蓄電装置B2とを備える。発電装置H2は、水素を貯留する水素タンクと、水素と酸素との化学反応によって発電する燃料電池と(いずれも図示せず)を含む。燃料電池は、水素タンクから供給される水素を使って発電を行なう。発電装置H2によって発電された電力は、FCV12の走行用モータ(図示せず)を駆動するために使用されたり、FCV12に搭載された機器で消費されたり、蓄電装置B2に蓄えられたりする。FCV12のユーザは、街の中に設置された水素ステーション80で水素を補給できる。また、EV11及びFCV12はそれぞれ、ECU(Electronic Control Unit)11a及び12aと、サーバ100と無線通信を行なうための通信装置11b及び12bとを備える。
ESS60は、マイクログリッドMGに対して充放電可能に構成される定置式の蓄電装置である。ESS60としては、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、又はNAS(ナトリウム硫黄)電池が採用されてもよい。
FCS70は、水素と酸素との化学反応によって発電する定置式の燃料電池71と、水素タンク72と、水素生成装置73とを含む。燃料電池71は水素タンク72と接続され、水素タンク72は水素生成装置73と接続されている。燃料電池71は、水素タンク72から供給される水素を使って発電し、発電した電力をマイクログリッドMGに対して供給するように構成される。水素生成装置73は、水素を生成し、生成した水素を水素タンク72へ供給する。水素生成方法としては任意の方法を採用可能である。たとえば、水素生成装置73において、副生水素法、水分解法、化石燃料改質法、バイオマス改質法、又はIS(ヨウ素/硫黄)プロセスのような公知の方法が採用されてもよい。水素生成装置73は、マイクログリッドMGから供給される電力を用いて、水素を生成するように構成される。
DER群500は、街に整備されたインフラストラクチャとして、複数のEVSE20及び複数の水素ステーション80を含む。マイクログリッドMGとEVSE20とは電力授受可能に接続されている。水素ステーション80は、基本的には、FCS70と同様の構成を有する。すなわち、水素ステーション80は、定置式の燃料電池、水素タンク、及び水素生成装置を含む。そして、水素ステーション80は、マイクログリッドMGから供給される電力を用いて、水素を生成するように構成される。ただし、水素ステーション80は、FCV12に水素を供給可能に構成される。
EVSE20及び水素ステーション80の各々は、車両ユーザが所定の認証を行なうことによって利用できる公共の設備である。認証の方式は、充電カード方式であってもよいし、通信による認証(たとえば、Plug and Charge)であってもよい。EV11のユーザは、EV11をケーブルを介してEVSE20につないだ後、EV11及びEVSE20の少なくとも一方を操作することにより、EVSE20からEV11へ電力を供給することができる。FCV12のユーザは、FCV12をケーブルを介して水素ステーション80につないだ後、FCV12及び水素ステーション80の少なくとも一方を操作することにより、水素ステーション80からFCV12へ水素を供給することができる。サーバ100とEVSE20及び水素ステーション80の各々とは、通信可能に構成されている。サーバ100は、上記の認証により、EVSE20及び水素ステーション80を利用するユーザを特定することができる。
DER群500は、複数の住宅30(たとえば、街に住む人々の家)を含む。マイクログリッドMGは、複数の住宅30に電力を供給するように構成される。住宅30は、各種の家庭用電気機械器具(たとえば、照明器具、空調設備、調理器具、情報機器、テレビ、冷蔵庫、及び洗濯機)を含む。さらに、住宅30は、充放電器(たとえば、家庭用EVSE)と、自然変動電源(たとえば、屋根に設置される太陽光パネル)と、ESSと、FCSと、コージェネレーションシステム(たとえば、自家発電時に発生する熱を利用した給湯機、又はヒートポンプ給湯機)との少なくとも1つを備えてもよい。住宅30におけるエネルギーの需給は、たとえば図示しないHEMS(HOME EMS)によって管理されている。この実施の形態では、サーバ100と各住宅30とがHEMSを介して通信する。マイクログリッドMGと各住宅30とは電力授受可能に接続されている。
DER群500は、複数の商業施設40を含む。商業施設40は、たとえば、オフィスビルと、商店とを含む。商店の例としては、デパート、ショッピングセンタ、スーパーマーケット、又はコンビニエンスストアが挙げられる。商業施設40に含まれる各施設におけるエネルギーの需給は、たとえば図示しないBEMS(Building EMS)によって管理されている。BEMSは、施設ごと個別にエネルギーの需給を管理してもよいし、複数の施設におけるエネルギーの需給をまとめて管理してもよい。この実施の形態では、サーバ100がBEMSを介して商業施設40と通信する。商業施設40に含まれる各施設とマイクログリッドMGとは電力授受可能に接続されている。
DER群500は、複数の工場50を含む。工場50は、たとえば自動車製造工場であってもよいし、他の工場であってもよい。工場50は、たとえば、生産ラインと、空調用の集中熱源とを含む。また、工場50は、自然変動電源(たとえば、太陽光発電設備又は風力発電設備)と、発電機(たとえば、ガスタービン発電機又はディーゼル発電機)と、コージェネレーションシステムとの少なくとも1つを備えてもよい。工場50におけるエネルギーの需給は、たとえば図示しないFEMS(Factory EMS)によって管理されている。この実施の形態では、サーバ100と各工場50とがFEMSを介して通信する。マイクログリッドMGと各工場50とは電力授受可能に接続されている。
DER群500は、複数の自然変動電源91を含む。自然変動電源91は、気象条件によって発電出力が変動する電源であり、発電した電力をマイクログリッドMGへ出力する。マイクログリッドMGは、自然変動電源91から電力の供給を受けるように構成される。自然変動電源91によって発電された電力は、変動性再生可能エネルギー(VRE)に相当する。自然変動電源91は、たとえば太陽光発電設備及び風力発電設備を含む。
DER群500は、複数の発電機92を含む。発電機92は、化石燃料を用いて発電する定置式の発電機である。発電機92は、たとえばガスタービン発電機又はディーゼル発電機であってもよい。発電機92は、非常用の電源として使用されてもよい。
サーバ100は、プロセッサ110と、記憶装置120と、通信装置130とを含んで構成される。プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶装置120は、各種情報を保存可能に構成される。記憶装置120には、プロセッサ110に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。通信装置130は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。サーバ100は、通信装置130を通じて外部と通信するように構成される。
サーバ100は、マイクログリッドMGに接続されるDER群500を制御することにより、DER群500をVPP(仮想発電所)として機能させる。より具体的には、サーバ100は、IoT(モノのインターネット)を利用したエネルギーマネジメント技術により、DER群500を遠隔・統合制御することによってあたかも1つの発電所のように機能させる。
図2は、サーバ100の構成要素を機能別に示す機能ブロック図である。図1とともに図2を参照して、サーバ100は、損失取得部111と、選定部112と、貯蔵制御部113と、情報管理部114とを含む。たとえば、図1に示したプロセッサ110と、プロセッサ110により実行される記憶装置120内のプログラムとによって、上記各部が具現化される。ただしこれに限られず、これら各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。この実施の形態に係るサーバ100は、本開示に係る「サーバ」の一例に相当する。
サーバ100は、通信装置130を通じて、携帯端末10及びDERの各々と通信するように構成される。
各車両(EV11及びFCV12を含む)のユーザは、携帯端末10を携帯している。図2には、1つの携帯端末10のみを示しているが、携帯端末10は各車両ユーザに携帯される。この実施の形態では、携帯端末10として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。ただしこれに限られず、携帯端末10としては、任意の携帯端末を採用可能であり、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)、又は電子キーなども採用可能である。携帯端末10には所定のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)がインストールされており、携帯端末10は、そのアプリを通じてサーバ100と情報のやり取りを行なうように構成される。ユーザは、携帯端末10を操作することにより、車両の走行計画をサーバ100へ送信することができる。車両の走行計画の例としては、POVの運転計画(たとえば、出発時刻、行き先、及び到着時刻)、又はMaaS車両の運行計画が挙げられる。
DER群500に含まれる各DERは、発電型DERと蓄電型DERと負荷型DERとに大別される。
発電型DERでは、自然エネルギー(たとえば、太陽光又は風力)又は燃料(たとえば、軽油、天然ガス、又は水素)を用いて発電機が発電を行ない、発電された電力が電力変換回路を経てマイクログリッドMGへ出力される。蓄電型DERでは、蓄電装置とマイクログリッドMGとの間での電力のやり取りが電力変換回路を介して行なわれる。各DERにおける電力変換回路は、サーバ100からの制御信号に従って動作し、所定の電力変換を行なうように構成される。電力変換回路はインバータ及びコンバータの少なくとも一方を含んでもよい。また、電力変換回路は、DERとマイクログリッドMGとの接続/遮断を切り替えるリレーを含んでもよい。
たとえば、図1に示したDER群500において、ESS60は蓄電型DERとして機能する。また、FCS70、自然変動電源91、及び発電機92の各々は、発電型DERとして機能する。自然変動電源91の発電電力は基本的には気象条件によって決まるが、自然変動電源91の発電出力を制限することは可能である。
EV11は蓄電型DERとして機能する。EV11は、マイクログリッドMGと接続される蓄電装置B1の充放電を行なうことによって蓄電型DERとして機能する。FCV12は、発電型DERとして機能する。FCV12は、発電装置H2によって発電した電力をマイクログリッドMGへ出力することによって発電型DERとして機能する。また、FCV12は、蓄電型DERとして機能するように構成されてもよい。蓄電装置B2の容量及び充放電性能が十分であれば、FCV12は蓄電型DERとしても機能し得る。電力変換回路は、車両(EV11、FCV12)に搭載されてもよいし、EVSE20に搭載されてもよい。たとえば、車両からDC方式のEVSE20へ直流電力が出力され、EVSE20に内蔵されるインバータによってDC/AC変換が行なわれてもよい。また、車両が備える蓄電装置から放電される電力に対して車載インバータがDC/AC変換を行ない、変換後の交流電力が車両からAC方式のEVSEへ出力されてもよい。
図2には示していないが、マイクログリッドMGの電力を消費する電気機器も、DER(負荷型DER)として機能し得る。マイクログリッドMGと接続される電気機器の電力負荷が大きくなるほどマイクログリッドMGの電力消費量は大きくなる。たとえば、図1に示した住宅30と商業施設40と工場50との各々における需要家は、電気機器の電力負荷を調整することによって、マイクログリッドMGの需給調整を行なうことができる。マイクログリッドMGと接続される電気機器の電力消費が抑制されたとき、電気機器はマイクログリッドMGに対して発電機と同様の働きをする。すなわち、電気機器(負荷型DER)は仮想的な発電機(電源)として機能し得る。
情報管理部114は、サーバ100に登録された各ユーザの情報(以下、「ユーザ情報」とも称する)と、サーバ100に登録された各車両の情報(以下、「車両情報」とも称する)と、サーバ100に登録された各定置式DERの情報(以下、「リソース情報」とも称する)とを管理するように構成される。ユーザ情報、車両情報、リソース情報は、それぞれユーザごと、車両ごと、DERごとに識別情報(ID)で区別されて記憶装置120に記憶されている。
車両情報は、車両スペックと、車両の位置と、入出力電力と、エネルギー残量と、走行計画とを含む。EV11のエネルギー残量は、蓄電装置B1のSOC(State Of Charge)を含む。FCV12のエネルギー残量は、発電装置H2の水素タンク内の水素残量を含む。
車両情報には、エネルギー損失を求めるための損失情報がさらに含まれる。EV11の損失情報は、蓄電装置B1の自己放電率(すなわち、放置中の蓄電装置から単位時間あたりに放出される電力量を示す情報)と、蓄電装置B1のSOC/温度/抵抗マップ(すなわち、SOCと温度と電気抵抗との関係を示すマップ)とを含む。詳細は後述するが、損失取得部111は、蓄電装置B1のSOC/温度/抵抗マップを参照して、EV11に余剰電力を貯蔵した場合に生じる入出力損失を予測する。また、蓄電装置B1の自己放電率は、EV11の貯留損失を求めるために使用される。FCV12の損失情報は、FCV12の水素/電力変換効率(すなわち、水素から電力を生成する際に失われるエネルギーの割合を示す情報)を含む。電力システム1が車種の異なる複数のFCVを含む場合には、各FCVの水素/電力変換効率は、電力システム1に含まれる複数のFCVの平均的な水素/電力変換効率であってもよい。詳細は後述するが、損失取得部111は、FCV12の水素/電力変換効率を参照して、水素ステーション80に余剰電力を貯蔵した場合に生じる出力損失を予測する。
車両の位置及び状態(たとえば、蓄電装置の温度、入出力電力、及びエネルギー残量)は、各車両に搭載された各種センサによって取得され、各車両からサーバ100へ送信される。各車両は、所定周期で最新の車両の位置及び状態を逐次送信してもよいし、蓄積したデータを所定タイミングで(たとえば、走行終了時に)まとめて送信してもよい。走行計画は、携帯端末10からサーバ100へ送信される。ただし、サーバ100が車両の履歴データから車両の走行計画を予測してもよい。上記自己放電率、SOC/温度/抵抗マップ、及び水素/電力変換効率は、予め実験又はシミュレーションによって求められて記憶装置120に記憶されてもよい。
サーバ100には、EVSE20と、住宅30と、商業施設40と、工場50と、ESS60と、FCS70と、水素ステーション80と、自然変動電源91と、発電機92とが、定置式DERとして登録されている。リソース情報は、各定置式DERの位置、スペック、及び入出力電力を含む。EVSE20及び水素ステーション80の各々のリソース情報には、車両接続の有無がさらに含まれる。また、EV11と接続されたEVSE20と、ESS60と、FCS70と、水素ステーション80との各々のリソース情報には、エネルギー残量がさらに含まれる。EV11と接続されたEVSE20のエネルギー残量は、蓄電装置B1のSOCである。ESS60のエネルギー残量は、ESS60のSOCである。FCS70及び水素ステーション80の各々のエネルギー残量は、水素タンク内の水素残量である。サーバ100は、各定置式DERとの通信により、各定置式DERの状態(たとえば、入出力電力及びエネルギー残量)を取得できる。
ESS60とFCS70と水素ステーション80との各々のリソース情報には、エネルギー損失を求めるための損失情報がさらに含まれる。ESS60の損失情報は、ESS60の自己放電率と、ESS60のSOC/温度/抵抗マップとを含む。また、FCS70の損失情報は、水素タンク72の水素漏れ率(すなわち、放置中の水素タンクから単位時間あたりに放出される水素の量を電力量に換算して示す情報)と、水素生成装置73の電力/水素変換効率(すなわち、電力から水素を生成する際に失われるエネルギーの割合を示す情報)と、燃料電池71の水素/電力変換効率とを含む。水素ステーション80の損失情報は、水素タンクの水素漏れ率と、水素生成装置の電力/水素変換効率とを含む。
ユーザ情報には、ユーザが携帯する携帯端末10の通信アドレスと、ユーザに帰属する車両の車両IDと、ユーザに帰属する定置式DERのリソースIDとが含まれる。
さらに、情報管理部114は、エネルギーマネジメントに関する情報(以下、「EM情報」とも称する)を管理するように構成される。EM情報は、時刻で区別されて記憶装置120に記憶されている。この実施の形態では、EM情報が、以下に説明する気象データ及び需要履歴データを含む。
気象データは、地域ごとの気象情報の予測値及び実測値を含む。気象情報は、たとえば、天気、気温、日射強度、及び風力を含む。天気は、たとえば晴れ/曇り/雨/雪のように分類される。情報管理部114は、公知の気象サービス(たとえば、気象庁、情報技術企業、又は通信会社等によって提供されるサービス)を利用して、気象情報の予測値及び実測値を取得してもよい。情報管理部114は、対象地域及び時刻(測定時刻又は予測時刻)で区別して、気象データを管理する。
需要履歴データは、過去に測定されたマイクログリッドMGの毎日の需要電力プロファイル(需要電力の推移)を含んでもよい。需要電力が測定時刻及び気象データ(たとえば、気温)と紐付けられて記憶装置120に蓄積されてもよい。情報管理部114は、受変電設備501から需要電力プロファイルを取得してもよい。マイクログリッドMGの需要電力は、受変電設備501に設けられた電力計(図示せず)によって測定され、測定時刻と紐付けられて記憶装置120に蓄積されてもよい。需要電力プロファイルのデータ間隔は、10分以下であってもよいし、約30分であってもよいし、1~3時間であってもよい。需要履歴データは、たとえば過去3年間分のデータを含んでもよいし、より長い年数のデータを含んでもよい。
サーバ100は、DER群500を用いて、マイクログリッドMGのエネルギーマネジメントを行なうように構成される。図3は、この実施の形態に係るエネルギーマネジメント方法について説明するための図である。図3を参照して、サーバ100は、たとえば自然変動電源91の発電によってマイクログリッドMGに余剰電力が生じたときに、EV11に接続されたEVSE20と、ESS60と、FCS70と、水素ステーション80との中から、余剰電力の貯蔵先を選択する。以下、EV11に接続されたEVSE20を、「EV-EVSE」と記載する場合がある。DER群500において、EV-EVSEは、EVSE20がマイクログリッドMGから受電した電力をEV11の蓄電装置B1に貯蔵することができる。ESS60は、マイクログリッドMGから供給される電力を貯蔵することができる。FCS70及び水素ステーション80の各々は、マイクログリッドMGから供給される電力を水素に変換して水素タンクに貯蔵することができる。この実施の形態では、DER群500に含まれる、EV11と接続されたEVSE20と、ESS60と、FCS70と、水素ステーション80との各々が、本開示に係る「電力貯蔵リソース」の一例に相当する。
再び図1とともに図2を参照して、損失取得部111は、DER群500に含まれるEV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々について、当該DERにエネルギーを貯蔵した場合に生じるエネルギー損失を取得するように構成される。損失取得部111によって取得されるエネルギー損失は、全体損失である。DERにエネルギーを貯蔵すると、DERがエネルギーを貯留しているときにエネルギー損失(すなわち、貯留損失)が生じる。また、DERにエネルギーを貯蔵すると、DERに対するエネルギーの入出力時にエネルギー損失(すなわち、入出力損失)が生じる。全体損失は、貯留損失と入出力損失との総和である。
この実施の形態では、損失取得部111が、マイクログリッドMGに余剰電力が生じたときに、DER群500に含まれるEV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々について貯留期間を予測するように構成される。損失取得部111によって予測される貯留期間は、DERに余剰電力を貯蔵した場合に余剰電力が当該DERに貯留する期間である。貯留期間が長くなるほど貯留損失は大きくなる。
損失取得部111は、予測された貯留期間を用いて、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の貯留損失を取得するように構成される。損失取得部111は、記憶装置120内の損失情報を用いて、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の入出力損失を取得するように構成される。そして、損失取得部111は、貯留損失と入出力損失とを加算することにより、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の全体損失を求めるように構成される。
選定部112は、上記のようにして予測された全体損失を用いて、DER群500の中から、余剰電力を貯蔵するためのDERを選定するように構成される。より具体的には、選定部112は、余剰電力を貯蔵するためのDERを、全体損失が小さいDERから順に選定するように構成される。
貯蔵制御部113は、選定部112により選定された1以上のDERに余剰電力を貯蔵するように、DER群500を制御する。貯蔵制御部113は、たとえば、選定部112により選定されたDERのみにマイクログリッドMGの余剰電力が貯蔵されるように、DER群500に含まれる各DERの電力変換回路を制御する。
図4は、サーバ100によって実行されるエネルギーマネジメントに係る処理について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
図1及び図2とともに図4を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)11では、マイクログリッドMGに余剰電力が生じたか否かを、選定部112が判断する。たとえば、気象条件に依存する自然変動電源91の発電出力が大きくなると、マイクログリッドMGの供給電力がマイクログリッドMGの需要電力を上回ることがある。S11においてNO(余剰電力は生じていない)と判断されている間は、S11の処理が繰り返される。他方、S11においてYES(余剰電力が生じた)と判断されると、処理は次のステップ(S12)に進む。
S12では、以下に説明する図5に示す処理が実行される。図5は、サーバ100によって実行されるDERの選定に係る処理を示すフローチャートである。図1及び図2とともに図5を参照して、損失取得部111は、S21~S24の処理により、DER群500に含まれるEV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の全体損失を取得する。
S21では、損失取得部111が、DER群500に含まれるEV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々について貯留期間を予測する。図6は、貯留期間を予測する処理(S21)について説明するための図である。
図1及び図2とともに図6を参照して、損失取得部111は、EV11の走行計画を用いて、EV-EVSEの貯留期間を予測する。EV11が備える蓄電装置B1に貯蔵された電力は、EV11が走行を開始することによって、走行のために放出される可能性が高い。この実施の形態に係る損失取得部111は、現時点(すなわち、マイクログリッドMGに余剰電力が生じたタイミング)からEV11の走行が開始されるまでの期間を、EV-EVSEの貯留期間とする。
損失取得部111は、FCV12の水素残量及び走行計画を用いて、FCV12の水素補給タイミングを予測し、予測された水素補給タイミングを用いて、水素ステーション80の貯留期間を予測する。FCV12は、走行によって水素を消費し、発電装置H2の水素タンク内の水素残量が少なくなると、水素ステーション80で水素を補給すると考えられる。このため、損失取得部111は、FCV12の水素残量及び走行計画を用いて、FCV12の水素補給タイミング(すなわち、FCV12が水素ステーション80で水素を補給するタイミング)を予測することができる。水素ステーション80に貯蔵された水素は、FCV12に水素を供給するために放出される。この実施の形態に係る損失取得部111は、現時点からFCV12の水素補給タイミングまでの期間を、水素ステーション80の貯留期間とする。
損失取得部111は、マイクログリッドMGの供給十分期間(すなわち、マイクログリッドMGに余剰電力が生じてからマイクログリッドMGの需要電力が供給電力を上回るまでの期間)を予測し、予測された供給十分期間を用いて、ESS60及びFCS70の各々の貯留期間を取得する。ESS60及びFCS70の各々に貯蔵されたエネルギーは、マイクログリッドMGの需要電力が供給電力を上回ったときに、需要を賄うために放出される可能性が高い。このため、ESS60及びFCS70の各々の貯留期間は、上記供給十分期間が長くなるほど、長くなると考えられる。この実施の形態では、ESS60、FCS70が、それぞれ本開示に係る「定置式の蓄電装置」、「定置式の燃料電池」の一例に相当する。
損失取得部111は、気象データと需要履歴データとを用いて、マイクログリッドMGの翌日の需要電力プロファイル(需要電力の推移)を予測する。たとえば、損失取得部111は、需要履歴データ(たとえば、前年同時期の需要電力)を用いて、マイクログリッドMGの翌日の需要電力プロファイルを予測することができる。さらに、損失取得部111は、気象データ(たとえば、気温の予測値)を用いて空調設備の稼働状況を予測してもよい。そして、損失取得部111は、需要履歴データから予測したマイクログリッドMGの翌日の需要電力プロファイルを、予測された空調設備の稼働状況に基づいて補正してもよい。たとえば、翌日の気温が前年同時期の気温よりも高く、暖房のために空調設備を稼働する住宅30、商業施設40、及び工場50が多くなると予想される場合には、損失取得部111は、マイクログリッドMGの翌日の需要電力の予測値を大きくする側に補正してもよい。損失取得部111は、1週間単位の気象予測(たとえば、梅雨明け)と数ヶ月単位の気象予測(たとえば、冷夏)との少なくとも一方を用いて、需要予測を行なってもよい。
損失取得部111は、気象データ(たとえば、天気、日射強度、及び風力)を用いて、自然変動電源91の翌日の発電電力プロファイル(発電電力の推移)を予測する。たとえば、損失取得部111は、天気予報と日射強度の予測値とを用いて、自然変動電源91による翌日の太陽光発電電力プロファイルを予測することができる。また、損失取得部111は、天気予報と風力の予測値とを用いて、自然変動電源91による翌日の風力発電電力プロファイルを予測することができる。
損失取得部111は、上記のように予測される翌日の需要電力プロファイル及び発電電力プロファイルを用いて、マイクログリッドMGの需要電力が供給電力を上回るタイミングを予測してもよい。マイクログリッドMGの供給電力が需要電力を上回る状態が翌々日まで続く場合には、損失取得部111は、より未来の予測データ(たとえば、翌々日の需要電力プロファイル及び発電電力プロファイル)も用いて、マイクログリッドMGの需要電力が供給電力を上回るタイミングを予測してもよい。
損失取得部111は、上記のように予測されるマイクログリッドMGの供給十分期間を、ESS60及びFCS70の各々の貯留期間とする。
再び図1及び図2とともに図5を参照して、S22では、損失取得部111が、S21で予測された貯留期間と、記憶装置120内の損失情報とを用いて、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の貯留損失Raを取得する。S23では、損失取得部111が、記憶装置120内の損失情報を用いて、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の入出力損失Rbを取得する。S24では、損失取得部111が、貯留損失Raと入出力損失Rbとを加算することにより、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の各々の全体損失Rtを取得する。
より具体的には、損失取得部111は、記憶装置120から損失情報(蓄電装置B1の自己放電率を含む)を取得し、蓄電装置B1の自己放電率とEV11の貯留期間との積がEV-EVSEの貯留損失Raであると予測する(S22)。損失取得部111は、記憶装置120から損失情報(SOC/温度/抵抗マップを含む)を取得し、蓄電装置B1のSOC/温度/抵抗マップを用いて、蓄電装置B1のSOC及び温度に対応する蓄電装置B1の電気抵抗を求める。損失取得部111は、式「入力損失=Iin×Iin×Rin」(Iin:入力電流、Rin:入力時の電気抵抗)に従ってEV-EVSEの入力損失を求めるとともに、式「出力損失=Iout×Iout×R」(Iout:出力電流、Rout:出力時の電気抵抗)に従ってEV-EVSEの出力損失を求める。Iin及びIoutの各々は、所定値であってもよいし、過去の入出力データにおける平均値であってもよい。損失取得部111は、上記のようにして得た入力損失と出力損失との和がEV-EVSEの入出力損失Rbであると予測する(S23)。そして、損失取得部111は、上記のようにして得たEV-EVSEの貯留損失Raと入出力損失Rbとの和がEV-EVSEの全体損失Rtであると予測する(S24)。
損失取得部111は、上述したEV-EVSEと同様に、ESS60の自己放電率とESS60の貯留期間との積がESS60の貯留損失Raであると予測する(S22)。また、損失取得部111は、EV-EVSEと同様の方法により、ESS60の入力損失及び出力損失を求める。損失取得部111は、得られた入力損失と出力損失との和がESS60の入出力損失Rbであると予測する(S23)。そして、損失取得部111は、上記のように得たESS60の貯留損失Raと入出力損失Rbとの和がESS60の全体損失Rtであると予測する(S24)。
損失取得部111は、記憶装置120から損失情報(水素漏れ率を含む)を取得し、水素タンク72の水素漏れ率とFCS70の貯留期間との積がFCS70の貯留損失Raであると予測する(S22)。なお、水素漏れ率は自己放電率よりも小さい。損失取得部111は、水素生成装置73の電力/水素変換効率を用いてFCS70の入力損失を求める。損失取得部111は、燃料電池71の水素/電力変換効率を用いてFCS70の出力損失を求める。損失取得部111は、得られた入力損失と出力損失との和がFCS70の入出力損失Rbであると予測する(S23)。そして、損失取得部111は、上記のように得たFCS70の貯留損失Raと入出力損失Rbとの和がFCS70の全体損失Rtであると予測する(S24)。なお、FCS70の入出力損失Rbは、ESS60の入出力損失Rbよりも大きい。
損失取得部111は、上述したFCS70と同様に、水素ステーション80の水素タンクの水素漏れ率と、水素ステーション80の貯留期間との積が、水素ステーション80の貯留損失であると予測する(S22)。損失取得部111は、水素ステーション80の水素生成装置の電力/水素変換効率を用いて、水素ステーション80の入力損失を求める。損失取得部111は、FCV12の水素/電力変換効率を用いて、水素ステーション80の出力損失を求める。損失取得部111は、得られた入力損失と出力損失との和が水素ステーション80の入出力損失Rbであると予測する(S23)。そして、損失取得部111は、上記のように得た水素ステーション80の貯留損失Raと入出力損失Rbとの和が水素ステーション80の全体損失Rtであると予測する(S24)。なお、水素ステーション80の入出力損失Rbは、EV-EVSEの入出力損失Rbよりも大きい。
貯留損失及び入出力損失の各々を求めるための関係式は上記に限られない。損失取得部111は、過去の実績に基づいて関係式を補正してもよい。損失取得部111は、機械学習により、統計データ(たとえば、ビッグデータ)に基づいて関係式を逐次更新してもよい。
S25では、選定部112が、DER群500に含まれるEV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80の中から、余剰電力を貯蔵するために必要な数のDERを選定する。選定部112は、S21~S24の処理により予測された全体損失Rtが小さいDERから順に選定する。ESS60及びFCS70の各々の全体損失Rtは、翌日の天気の影響を受ける。以下、図7及び図8を用いて、DER選定に係る処理について説明する。
図7は、翌日の天気が晴れであるときの各DERの全体損失Rtの一例を示す図である。図7を参照して、翌日の天気が晴れである場合には、自然変動電源91の太陽光発電によってマイクログリッドMGの供給電力が大きくなり、ESS60及びFCS70の各々の貯留期間が長くなる傾向がある。ESS60の自己放電率は大きいため、余剰電力をESS60に長期間貯留すると、貯留中のESS60の自己放電によって大きなエネルギー損失が生じる傾向がある。一方、FCS70の水素漏れ率は小さいため、余剰電力をFCS70に長期間貯留しても、貯留中のエネルギー損失は大きくなりにくい。こうした傾向に基づき、図7に示す例では、ESS60の全体損失RtがFCS70の全体損失Rtよりも大きくなっている。
図8は、翌日の天気が曇りであるときの各DERの全体損失Rtの一例を示す図である。翌日の天気が曇りである場合には、ESS60及びFCS70の各々の貯留期間は、翌日の天気が晴れである場合よりも短くなる傾向がある。このため、余剰電力をESS60に貯留した場合に生じる貯留中のエネルギー損失は小さくなる傾向がある。その一方で、FCS70の入出力損失RbはESS60の入出力損失Rbよりも大きい。このため、図8に示す例では、FCS70の全体損失RtがESS60の全体損失Rtよりも大きくなっている。
図7に示される各DERの全体損失Rtは、小さい方から、EV-EVSE、FCS70、水素ステーション80、ESS60の順である。このため、図7に示す例では、S25における選定の優先順位も、高い方から、EV-EVSE、FCS70、水素ステーション80、ESS60の順になる。よって、S25において、EV-EVSEはFCS70よりも優先的に選ばれ、FCS70は水素ステーション80よりも優先的に選ばれ、水素ステーション80はESS60よりも優先的に選ばれる。
図8に示される各DERの全体損失Rtは、小さい方から、ESS60、EV-EVSE、FCS70、水素ステーション80の順である。このため、図8に示す例では、S25における選定の優先順位も、高い方から、ESS60、EV-EVSE、FCS70、水素ステーション80の順になる。よって、S25において、ESS60はEV-EVSEよりも優先的に選ばれ、EV-EVSEはFCS70よりも優先的に選ばれ、FCS70は水素ステーション80よりも優先的に選ばれる。
図7及び図8の各々には、1つのEV-EVSEの全体損失Rtのみを示しているが、電力システム1には、複数のEV-EVSEが含まれる。全体損失Rtは、EV-EVSEごとに異なる。全体損失Rtが小さいEV-EVSEは、S25における選定の優先順位が高くなり、全体損失Rtが大きいEV-EVSEは、S25における選定の優先順位が低くなる。
S25の処理が実行されると、図5に示す一連の処理(図4のS12)は終了する。そして、処理は図4のS13に進む。再び図1及び図2とともに図4を参照して、S13では、貯蔵制御部113が、S12で選定されたDERに余剰電力(詳しくは、S11で「発生した」と判断された余剰電力)を貯蔵するように、DER群500を制御する。貯蔵制御部113は、たとえば各DERの電力変換回路を制御して、選定されたDERをマイクログリッドMGに接続し、選定されなかったDERをマイクログリッドMGから切り離す。これにより、S12で選定されたDERのみにマイクログリッドMGの余剰電力が貯蔵されるようになる。選定された各DERに対する貯蔵量は、均等であってもよいし、異なってもよい。貯蔵制御部113は、選定の優先順位が高いDER(すなわち、全体損失Rtが小さいDER)に優先的に電力を貯蔵してもよい。1つのDERに過剰に電力が貯蔵されることを抑制するために、貯蔵量に上限値が設定されてもよい。S13の処理が実行されると、処理は最初のステップ(S11)に戻る。
以上説明したように、この実施の形態に係る電力管理方法は、マイクログリッドMGに電気的に接続可能な複数のDERを用いてマイクログリッドMGの電力管理を行なう方法であって、図5に示したS21~S25を含む。S21~S24では、マイクログリッドMGに余剰電力が生じたときに、サーバ100が、複数のDERの各々について、当該DERにエネルギーを貯蔵した場合に生じる全体損失Rt(すなわち、貯留損失及び入出力損失を含むエネルギー損失)を取得する。S25では、サーバ100が、取得された全体損失Rtを用いて、上記複数のDERの中から、余剰電力を貯蔵するための1以上のDERを選定する。
上記S25では、サーバ100が、余剰電力を貯蔵した場合に生じるエネルギー損失(貯留損失及び入出力損失を含む)を用いて、余剰電力を貯蔵するためのエネルギー貯蔵リソースを選定する。このため、上記電力管理方法によれば、エネルギー損失が少なくなるように余剰電力を貯蔵することが可能になる。
サーバ100は、図5に示した処理に代えて、図9に示す処理を実行してもよい。図9は、図5に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図9中のS21~S25は、図5中のS21~S25と同じである。
図1及び図2とともに図9を参照して、S31では、DER群500の中にエネルギー残量不足のDERが存在するか否かを、選定部112が判断する。選定部112は、たとえば、各DERのエネルギー残量が所定の下限値よりも少ないか否かに基づいて、各DERのエネルギー残量が不足しているか否かを判断する。所定の下限値はDERごとに異なってもよい。
S31においてYES(存在する)と判断された場合には、選定部112は、S32において、余剰電力を貯蔵するためのDERとして、エネルギー残量不足のDERを選定する。エネルギー残量不足のDERが複数存在する場合には、それらDERの全てが選定される。図10は、エネルギー残量不足のDERを選定する処理(S32)について説明するための図である。図10を参照して、この例では、EV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80のうち、ESS60のエネルギー残量が所定の下限値を下回っている。このため、図9のS32においては、ESS60が選定される。
再び図1及び図2とともに図9を参照して、S32の後、処理はS33に進む。S33では、余剰電力を貯蔵するためのDERの選定が完了したか否かを、選定部112が判断する。エネルギー残量不足のDERだけで余剰電力を貯蔵できる場合には、S33においてYESと判断され、図9に示す一連の処理(図4のS12)は終了する。そして、図4のS13において、エネルギー残量不足のDERに対して均等に余剰電力が貯蔵される。
他方、エネルギー残量不足のDERだけでは余剰電力を貯蔵できない場合には、S33においてNOと判断され、処理がS34に進む。また、S31においてNO(存在しない)と判断された場合にも、処理がS34に進む。
S34では、マイクログリッドMGから電力の供給を受ける街の中に、エネルギー残量不足の地域が存在するか否かを、選定部112が判断する。S34においてYES(存在する)と判断された場合には、選定部112は、S35において、余剰電力を貯蔵するためのDERの候補を、エネルギー残量不足の地域に存在するDERに限定する。その後、処理はS21に進む。
図11は、選定の候補をエネルギー残量不足の地域内のDERに限定する処理(S34及びS35)について説明するための図である。図1及び図2とともに図11を参照して、この例では、マイクログリッドMGから電力の供給を受ける街が4つの地域A~Dに区分される。そして、情報管理部114が、地域ごとのエネルギー残量を管理するように構成される。この例において、1つの地域のエネルギー残量は、その地域に存在する全てのDERのエネルギー残量の総和を意味する。選定部112は、図9のS34において、各地域のエネルギー残量が所定の下限値よりも少ないか否かに基づいて、各地域のエネルギー残量が不足しているか否かを判断する。所定の下限値は地域ごとに異なってもよい。図11に示す例では、地域A~Dのうち、地域B及びDの各々のエネルギー残量が所定の下限値を下回っている。このため、図9のS34においてYES(存在する)と判断され、図9のS35において、選定の候補(すなわち、余剰電力を貯蔵するためのDERの候補)が、地域B及びDに存在するDERに限定される。すなわち、地域A及びCに存在するDERは、選定の候補から除外される。これにより、図9のS21~S25において、地域B及びDに存在するEV-EVSE、ESS60、FCS70、及び水素ステーション80から、余剰電力を貯蔵するためのDERが選定されるようになる。
なお、地域A~Dの全てのエネルギー残量が所定の下限値以上である場合には、S34においてNO(存在しない)と判断される。この場合、選定の候補が限定されることなく、処理がS21に進む。
上記変形例に係る選定部112は、DER群500の中にエネルギー残量不足のDERが存在する場合(図9のS31にてYES)には、余剰電力を貯蔵するためのDERとして、エネルギー残量不足のDERを選定し(図9のS32)、DER群500の中にエネルギー残量不足のDERが存在しない場合(図9のS31にてNO)には、余剰電力を貯蔵するための1以上のDERを、余剰電力を貯蔵した場合に生じる全体損失Rt(すなわち、貯留損失及び入出力損失を含むエネルギー損失)が小さいDERから順に選定する(図9のS21~S25)。こうした構成によれば、DERのエネルギー残量が少なくなり過ぎることを抑制できる。
上記変形例に係る選定部112は、地域ごとのエネルギー残量を取得する。そして、選定部112は、エネルギー残量不足の地域が存在する場合(図9のS34にてYES)に、余剰電力を貯蔵するためのDERの候補を、エネルギー残量不足の地域に存在するDERに限定する(図9のS35)。こうした構成によれば、エネルギー残量不足の地域に存在するDERに優先的に余剰電力を貯蔵することができる。これにより、地域のエネルギー残量が少なくなり過ぎることを抑制できる。
上記実施の形態では、車両に貯蔵された余剰電力が車両の走行に使用された場合にも、走行で失われたエネルギーをエネルギー損失として扱っている。しかしこれに限られず、車両の走行で失われたエネルギーは、エネルギー損失ではなく、有効に使用されたエネルギーとして扱ってもよい。すなわち、エネルギー損失は、車両の走行で失われたエネルギーを除いて算出されてもよい。
上記実施の形態では、車両の個体差を考慮して、車両ごとの損失情報をサーバ100に用意したが、こうした構成は必須ではない。たとえば、車種ごとの平均的なデータを、その車種に該当する車両の損失情報として用いてもよい。サーバ100は、機械学習により、統計データ(たとえば、ビッグデータ)に基づいて車種ごとの平均的なデータを逐次更新してもよい。
サーバ100は、他のサーバと連携してDER群500を制御してもよい。DER群500に含まれるDERをグループ分けして、グループごとにサーバ(たとえば、グループ内のDERを管理するサーバ)を設けてもよい。たとえばEMSごとに、EMSを制御するサーバが設けられてもよい。そして、サーバ100が、グループごとのサーバを介して、DER群500を制御してもよい。
エネルギー貯蔵リソースとして採用される車両の構成は、上記実施の形態に示した構成に限られない。たとえば、サーバ100と無線通信を行なうための通信装置を車両が備えることは必須ではない。また、プラグインハイブリッド車(PHV)を、エネルギー貯蔵リソースとして採用してもよい。車両は、非接触充電可能に構成されてもよい。車両は、乗用車に限られず、バス又はトラックであってもよい。車両は、自動運転可能に構成されてもよいし、飛行機能を備えてもよい。車両は、無人で走行可能な車両(たとえば、無人搬送車(AGV)又は農業機械)であってもよい。
上記実施の形態では、サーバ及び電力管理方法がAC(交流)グリッドのエネルギーマネジメントに適用されているが、上述のサーバ及び電力管理方法はDC(直流)グリッドのエネルギーマネジメントに適用されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。