JP7331313B2 - 生分解処理方法 - Google Patents
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Description
そのため、1,1,1-TCA、TCEの汚染サイトは、1,1,1-TCA、TCE、1,1-DCE、VC等の有機塩素化合物、ジオキサンによる深刻な複合汚染が発生している場合がある。
また、本発明者らは、N23株が好気で塩素化エチレン類を分解可能であること、塩素化エチレン類の存在下で環状エーテル類の分解が阻害されないことを見出し、本件出願時には未公開であるが、特許文献2において、N23株による塩素化エチレン類の生分解処理方法を提案している。
1.受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株をプロパンと接触させる工程、
次いで、前記N23株により、好気環境下で有機塩素化合物またはベンゼンを生分解する工程、を含むことを特徴とする生分解処理方法。
2.前記有機塩素化合物の炭素原子数が1~3であり、かつ、塩素原子数が1~3であることを特徴とする1.に記載の生分解処理方法。
3.前記有機塩素化合物が、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレンの1種以上であることを特徴とする1.または2.に記載の生分解処理方法。
4.受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株を、好気環境下でトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む有機塩素化合物と接触させる工程を含むことを特徴とする、有機塩素化合物の生分解処理方法。
N23株により、トランス-1,2-ジクロロエチレンの生分解処理を行うことができる。
N23株は、受託番号NITE BP-02032として、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(郵便番号292-0818))に、2015年4月10日付で国際寄託されている。N23株のSEM画像を図1に示す。N23株は、グラム染色性が陽性、カタラーゼ反応が陽性である。
本発明の生分解処理方法は、N23株を、プロパンと接触させる工程を含むことを特徴とする。N23株は、誘導せずとも有機塩素化合物またはベンゼンを生分解することができる構成型の分解菌であるが、プロパンと接触させることで分解能力を向上させることができる。プロパンは、常温で気体であり、水への溶解度は62.4ppm(20℃水)である。N23株をプロパンと接触させる場合、水溶液として接触させることが効率的であり、その濃度は5ppm以上60ppm以下が好ましく、10ppm以上50ppm以下がより好ましい。
本発明は、プロパンと接触させて分解能力が向上したN23株により、好気環境下で有機塩素化合物またはベンゼンを生分解する工程を有する。本発明において、生分解処理する有機化合物は、有機塩素化合物とベンゼンの混合物であってもよく、有機塩素化合物も2種以上の混合物であってもよい。
N23株により生分解する有機塩素化合物としては、N23株が生分解できる化合物であれば特に限定されない。例えば、炭素原子数が1~3であり、かつ、塩素原子数が1~3である有機塩素化合物が挙げられ、炭素原子数が1~3であり、かつ、塩素原子数が1~2である有機塩素化合物が好ましい。具体的には、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン等が挙げられる。これらの中で、特に、1,2-ジクロロプロパン、1,1,2-トリクロロエタンは、本発明者らが調査したところ、これまでに嫌気性微生物による生分解しか報告されておらず、1,2-ジクロロプロパン、1,1,2-トリクロロエタンの好気性微生物による生分解は、N23株が世界初の事例である。また、トランス-1,2-ジクロロエチレンは、メタンやプロパン等の誘導物質を添加することにより共代謝することは知られているが、本発明者らが調査したところ、誘導物質なしでの生分解は、N23株が世界初の事例である。なお、N23株は、当然にプロパンと接触させることなく、これらの有機塩素化合物、ベンゼンを生分解することができる。
N23株は、培養液からろ別した菌体、凍結保存した菌体、乾燥保存した菌体、凍結乾燥した菌体、N23株を樹脂等に固定化した固定化担体、あるいは培養液やその濃縮液等のN23株を含む懸濁液等の任意の形態で生分解処理に用いることができる。
300mL容量のバッフル付の三角フラスコにMGY培地(Malt Extract:10g/L、グルコース:4g/L、Yeast Extract:4g/L、pH7.3)を100mL添加し、オートクレーブにて滅菌処理(121℃、15分)を行った。その後、N23株を一白金耳で植菌し、回転振盪培養(28℃、120rpm)を7日間行った(前々培養)。
培養後、MGY培地に植え継ぎ、同様の条件にて培養を行った(前培養)。
前培養にて得られた培養液を遠心分離によって集菌・回収し、無機塩培地(組成:1g/L K2HPO4、1g/L (NH4)2SO4、50mg/L NaCl、200mg/L MgSO4・7H2O、10mg/L FeCl3、50mg/L CaCl2、pH:7.3)を加えて、菌体の洗浄を行った。洗浄後の菌体を、無機塩培地で懸濁したものを植菌液とした。
・濃度測定
有機化合物濃度は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析装置(島津製作所社製、GC/MS QP-2010 plus)を用いてJIS K0125に準じて行った。
N23株の菌体タンパク濃度は、既報(Meyers et al., Novel method for rapid measurement of growth of mycobacteria in detergent-free media, J. Clin. Microbiol.,36 (9) 2752~2754 (1998))に準じて測定した。
N23株の菌体濃度は、ガラス繊維濾紙GF/B(粒子保持能 1.0μm、Whatman)を用いて試料をろ過し、105℃にて2時間乾燥した後の重量から、ろ過前のフィルター重量を差し引いて求めた。
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)と無機塩培地、さらにアンモニア、トルエン、プロパンのいずれかを合計で49.5mLとなるように添加した。ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で一晩振盪した。一度開封し、cis-DCE溶液(1000mg/L)を0.5ml添加して再度密栓した。
その後、30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。試験は下記5つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、cis-DCE濃度を測定した。
条件1:N23株及び誘導物質を加えない(コントロール)
条件2:誘導物質を加えない(ポジティブコントロール)
条件3:アンモニア添加 20ppm
条件4:トルエン添加 20ppm
条件5:プロパン添加 20ppm
開始初期のcis-DCEは6mg/L前後であった。2日後の各条件のcis-DCE濃度を見ると、アンモニア、トルエンを添加した条件3、4は、誘導なしの条件2より分解能が低かった。一方で、プロパンを添加した条件5は、誘導なしの条件2より分解能が高くなった。このことから、プロパンが、N23株の有機塩素化合物の分解活性を向上させることが確認できた。
添加したプロパン濃度による影響を検証した。
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、無機塩培地を合計で49.5mLとなるように添加した。プロパン(ガス)は、液相部(50ml)に対し、10ppm、50ppm、飽和(100ppm)となるように添加した。ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で一晩振盪した。一度開封し、cis-DCE溶液(1000mg/L)を0.5ml添加して再度密栓した。
その後、30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。試験は下記5つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、cis-DCE濃度を測定した。
条件6:N23株なし(コントロール)
条件7:プロパンなし(ポジティブコントロール)
条件8:プロパン添加 10ppm
条件9:プロパン添加 50ppm
条件10:プロパン添加 飽和
プロパンなしの条件7と比較すると、プロパンを飽和させた条件10は分解能が低かった。一方でプロパンを10ppm、50ppm添加した条件8、9では分解活性が向上した。
1,1-ジクロロエチレン(1,1-DCE)のプロパン添加による分解促進効果の検討を行った。
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、無機塩培地を合計で45mlとなるように添加した。プロパン(ガス)は液相部(50ml)に対し20ppmとなるように添加した。ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で一晩振盪した。一度開封し、1,1-DCE溶液(100mg/L)5mlを添加して再度密栓した。
その後、30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。試験は下記3つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、1,1-DCE濃度を測定した。
条件11:N23株なし(コントロール)
条件12:プロパンなし(ポジティブコントロール)
条件13:プロパン添加 20ppm
図4より、プロパンと接触させたN23株の1,1-DCE分解活性が向上していることが確認できた。
N23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)と無機塩培地の合計量を49.5mlとし、1,1-DCE溶液に代えて、トリクロロエチレン(TCE)溶液(1000mg/L)0.5mlを添加した以外は、実験3と同様にして、プロパン添加によるTCEの分解促進効果の検討を行った。
試験は下記3つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、TCE濃度を測定した。
条件14:N23株なし(コントロール)
条件15:プロパンなし(ポジティブコントロール)
条件16:プロパン添加 20ppm
図5より、プロパンと接触させたN23株のTCE分解活性が向上していることが確認できた。
4種の有機塩素化合物の混合物に対するプロパン添加による分解促進効果の検証を行った。
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、無機塩培地を合計で49.5mLとなるように添加した。プロパン(ガス)は液相部(50ml)に対し20ppmとなるように添加した。ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で一晩振盪した。一度開封し、4種の有機塩素化合物(TCE、1,1-DCE、cis-DCE、VC)を含むガスクロマトグラフィー標準溶液(計100mg/L)を0.5ml添加して再度密栓した。
その後、30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。試験は下記3つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、各物質濃度を測定した。
条件17:N23株なし(コントロール)
条件18:プロパンなし(ポジティブコントロール)
条件19:プロパン添加 20ppm
VC、1,1-DCEについては、分解が早く、プロパン添加による差異が分からなかった(図6、図7)。なお、1,1-DCEについては、上記実験3で、分解活性が向上することが確かめられている。cis-DCE及びTCEに関しては、プロパンにより分解活性が向上することが確かめられた(図8、図9)。このことから、プロパンに接触させたN23株が、複数種の有機塩素化合物を同時に迅速に分解できることが確認できた。
7種の揮発性有機化合物を混在させた条件でのプロパン添加による分解促進効果の検証を行った。
120ml容のバイアル瓶にN23株(菌体濃度:500mg-dry cell/L)、無機塩培地を合計で49.5mLとなるように添加した。プロパン(ガス)は液相部(50ml)に対し50ppmとなるように添加した。ブチルゴム栓で密栓し30℃、120rpmの条件で一晩振盪した。一度開封し、7種の揮発性有機化合物(1,1-DCE、ジクロロメタン(DCM)、cis-DCE、1,2-DCA、TCE、1,1,2-TCA、ベンゼン)が混合しているガスクロマトグラフィー標準溶液(100mg/L)を0.05ml添加して再度密栓した。
その後、30℃、120rpmの条件で振盪しながら試験を行った。実験は下記3つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、各物質濃度を測定した。
条件20:N23株なし(コントロール)
条件21:プロパンなし(ポジティブコントロール)
条件22:プロパン添加 50ppm
プロパンの添加濃度を50mg/Lとし、TCE溶液に代えて、トランス-1,2-ジクロロエチレン(trans-DCE)溶液(1000mg/L)0.5mlを添加した以外は、実験4と同様にして、プロパン添加によるtrans-DCEの分解促進効果の検討を行った。
試験は下記3つの条件を用意して行った。各条件、2連で試験を行い、trans-DCE濃度を測定した。
条件23:N23株なし(コントロール)
条件24:プロパンなし(ポジティブコントロール)
条件25:プロパン添加 20ppm
図10より、プロパンと接触させたN23株のtrans-DCE分解活性が向上していることが確認できた。また、プロパンと接触させずとも、N23株はtrans-DCEを生分解することができた。
Claims (4)
- 受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株をプロパンと接触させる工程、
次いで、前記N23株により、好気環境下で有機塩素化合物またはベンゼンを生分解する工程、を含むことを特徴とする生分解処理方法。 - 前記有機塩素化合物の炭素原子数が1~3であり、かつ、塩素原子数が1~3であることを特徴とする請求項1に記載の生分解処理方法。
- 前記有機塩素化合物が、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロペン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレンの1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解処理方法。
- 受託番号NITE BP-02032として寄託されたN23株を、好気環境下でトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む有機塩素化合物と接触させる工程を含むことを特徴とする、有機塩素化合物の生分解処理方法。
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