特許法第30条第2項適用 (1)発行日:平成29年11月9日 (2)刊行物:J.Am.Chem.Soc.,2018,140(4),pp 1195-1198 (3)公開者:松井晃平、小田晋、吉浦一基、中嶋貴一、安田伸広および畠山琢次 (4)公開された発明の内容:松井晃平、小田晋、吉浦一基、中嶋貴一、安田伸広および畠山琢次が、JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2018,140(4),pp 1195-1198において、畠山琢次が発明した多環芳香族化合物の合成方法について公開した。
1.フッ素置換された多環芳香族化合物およびその多量体
本願発明は、下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体であり、好ましくは、下記一般式(2)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体であり、これらの化合物または構造における少なくとも1つの水素はフッ素で置換されている。なお式(1)において「A」および「C」と共にリング内の「B」はそれぞれリングで示される環構造を示す符号であり、その他の符号は上述する定義と同じである。
一般式(1)におけるA環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換または無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、置換または無置換のジアリールアミノ、置換または無置換のジヘテロアリールアミノ、置換または無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換もしくは無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換または無置換のアルキル、置換または無置換のシクロアルキル、置換または無置換のアルコキシまたは置換または無置換のアリールオキシが好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられる。また、上記アリール環またはヘテロアリール環は、Y1、X1およびX2から構成される一般式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。
ここで、「縮合2環構造」とは、一般式(1)の中央に示した、Y1、X1およびX2を含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば上記一般式(2)で示すように前記縮合2環構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、前記縮合2環構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。
一般式(1)におけるA環(またはB環、C環)は、一般式(2)におけるa環とその置換基R1~R3(またはb環とその置換基R8~R11、c環とその置換基R4~R7)に対応する。すなわち、一般式(2)は、一般式(1)のA~C環として「6員環を有するA~C環」が選択された構造に対応する。その意味で、一般式(2)の各環を小文字のa~cで表した。
一般式(2)では、a環、b環およびc環の置換基R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。したがって、一般式(2)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(2-1)および式(2-2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(1)におけるそれぞれA環、B環およびC環に対応する。また、各式中のR1~R11、a、b、c、Y1、X1およびX2の定義は一般式(2)における定義と同じである。
上記式(2-1)および式(2-2)中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(2)で説明すれば、置換基R1~R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。また、上記式(2-1)および式(2-2)から分かるように、例えば、b環のR8とc環のR7、b環のR11とa環のR1、c環のR4とa環のR3などは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
上記式(2-1)や式(2-2)で表される化合物は、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるA’環(またはB’環またはC’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環A’(または縮合環B’または縮合環C’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
一般式(1)におけるY1は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであり、前記Si-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルである。P=O、P=S、Si-RまたはGe-Rの場合には、A環、B環またはC環と結合する原子はP、SiまたはGeである。Y1は、B、P、P=O、P=SまたはSi-Rが好ましく、Bが特に好ましい。この説明は一般式(2)におけるY1でも同じである。
一般式(1)におけるX1およびX2は、それぞれ独立して、O、N-R、SまたはSeであり、前記N-RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記N-RのRは連結基または単結合により前記B環および/またはC環と結合していてもよく、連結基としては、-O-、-S-または-C(-R)2-が好ましい。なお、前記「-C(-R)2-」のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルである。この説明は一般式(2)におけるX1およびX2でも同じである。
ここで、一般式(1)における「前記N-RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合している」との規定は、一般式(2)では「前記N-RのRは-O-、-S-、-C(-R)2-または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合している」との規定に対応する。
この規定は、下記式(2-3-1)で表される、X1やX2が縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(2)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してX1(またはX2)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。形成されてできた縮合環B’(または縮合環C’)は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(2-3-2)や式(2-3-3)で表される、X1および/またはX2が縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(2)におけるa環であるベンゼン環に対してX1(および/またはX2)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環A’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
一般式(1)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6~30のアリール環があげられ、炭素数6~16のアリール環が好ましく、炭素数6~12のアリール環がより好ましく、炭素数6~10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、一般式(2)で規定された「R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m-テルフェニル、o-テルフェニル、p-テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。
一般式(1)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2~25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2~20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、一般式(2)で規定された「R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環などがあげられる。
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「シクロアルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」で置換されていてもよいが、この第1の置換基としての「アリール」や「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、「ジアリールボリル」のアリール、また「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。
また第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
また第1の置換基としての「シクロアルキル」としては、炭素数3~24のシクロアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどが挙げられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
また第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1~24の直鎖または炭素数3~24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1~18のアルコキシ(炭素数3~18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1~12のアルコキシ(炭素数3~12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数3~6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1~4のアルコキシ(炭素数3~4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。
また第1の置換基としての「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(-R)2、>O、>Sまたは>N-R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(-R)2および>N-RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
具体的には、第1置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、好ましくは以下の構造式(S-1)~(S-94)のいずれかで表される基であり、より好ましくは、式(S-1)、式(S-2)、式(S-5)、式(S-9)~式(S-19)、式(S-24)~式(S-50)および式(S-51)~式(S-94)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは、式(S-1)、式(S-2)、式(S-5)、式(S-9)、式(S-10)、式(S-15)、式(S-16)、式(S-24)、式(S-30)、式(S-46)、式(S-48)、式(S-50)、式(S-51)、式(S-56)~式(S-58)、式(S-70)、式(S-71)、式(S-73)、式(S-74)、式(S-76)、式(S-79)、式(S-80)、式(S-83)および式(S-84)のいずれかで表される基である。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt-ブチルを表す。
第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「シクロアルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されていてもよい。この第2の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられ、それらの具体的な置換基は、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基、また第1の置換基としての「アルキル」または「シクロアルキル」の説明を参照することができる。また、第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素が、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチルなどのアルキル(具体例は上述した基)またはシクロヘキシルなどのシクロアルキル(具体例は上述した基)で置換された基も第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2の置換基がカルバゾリル基の場合には、9位における少なくとも1つの水素が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキルで置換されたカルバゾリル基も第2の置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
一般式(2)のR1~R11におけるアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、ジアリールボリルのアリール、またはアリールオキシのアリールとしては、一般式(1)で説明した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。また、R1~R11におけるアルキル、シクロアルキルまたはアルコキシとしては、上述した一般式(1)の説明における第1の置換基としての「アルキル」、「シクロアルキル」または「アルコキシ」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルも同様である。また、R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基であるヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ、および、さらなる置換基であるアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルについても同様である。
一般式(1)のY1におけるSi-RおよびGe-RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6~10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数1~4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5~10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)におけるY1でも同じである。
一般式(1)のX1およびX2におけるN-RのRは上述した第2の置換基で置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、アリールやヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は例えばアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。このアリール、ヘテロアリール、アルキルおよびシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6~10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2~15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1~4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5~10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)におけるX1およびX2でも同じである。
一般式(1)における連結基である「-C(-R)2-」のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアルキルおよびシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数1~4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)または炭素数5~10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)における連結基である「-C(-R)2-」でも同じである。
また、本願発明は、一般式(1)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体、好ましくは、一般式(2)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1~3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態(連結型多量体)に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態(環縮合型多量体)であってもよいが、環共有型多量体および環縮合型多量体が好ましく、環共有型多量体がより好ましい。
このような多量体としては、例えば、下記式(2-4)、式(2-4-1)、式(2-4-2)、式(2-5-1)~式(2-5-4)または式(2-6)で表される多量体化合物があげられる。下記式(2-4)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2-4-1)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、2つの一般式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2-4-2)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、3つの一般式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2-5-1)~式(2-5-4)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2-6)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体化合物(環縮合型多量体)である。
多量体化合物は、式(2-4)、式(2-4-1)または式(2-4-2)で表現される多量化形態と、式(2-5-1)~式(2-5-4)のいずれかまたは式(2-6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(2-5-1)~式(2-5-4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(2-6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(2-4)、式(2-4-1)または式(2-4-2)で表現される多量化形態と式(2-5-1)~式(2-5-4)のいずれかで表現される多量化形態と式(2-6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
また、一般式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部がシアノ、塩素、臭素、ヨウ素または重水素であってもよい。例えば、式(1)においては、A環、B環、C環(A~C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A~C環への置換基、Y1がSi-RまたはGe-RであるときのR(=アルキル、シクロアルキル、アリール)、ならびに、X1およびX2がN-RであるときのR(=アルキル、シクロアルキル、アリール)における水素がシアノ、塩素、臭素、ヨウ素または重水素で置換されうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素がシアノ、塩素、臭素、ヨウ素または重水素で置換された態様があげられる。塩素、臭素またはヨウ素の中では、好ましくは塩素または臭素、より好ましくは塩素である。
また、本発明に係る多環芳香族化合物およびその多量体は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。特に、有機電界発光素子においては、発光層のドーパント材料として、Y1がB、X1およびX2がN-Rである化合物、Y1がB、X1がO、X2がN-Rである化合物、Y1がB、X1およびX2がOである化合物が好ましく、発光層のホスト材料として、Y1がB、X1がO、X2がN-Rである化合物、Y1がB、X1およびX2がOである化合物が好ましく、電子輸送材料として、Y1がB、X1およびX2がOである化合物、Y1がP=O、X1およびX2がOである化合物が好ましく用いられる。
また、一般式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の少なくとも1つの水素はフッ素置換されており、全ての水素または一部の水素がフッ素であってもよい。
フッ素置換の形態として、式(1)のA~C環に直接フッ素が置換した形態や、式(2)のR1~R11として選択された水素がフッ素で置換された形態に加えて、上述した第1の置換基である、アリール、ヘテロアリール(特にカルバゾリル基またはベンゾカルバゾリル基)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの水素の少なくとも1つ、上述した第2の置換基である、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルの水素の少なくとも1つがフッ素で置換された形態であってもよい。また、N-RのRとしての、アリール、ヘテロアリール、アルキルもしくはシクロアルキル(以上、第1の置換基)、またはこれらへの置換基(第2の置換基)における水素の少なくとも1つがフッ素で置換された形態であってもよい。他には、ペンタフルオロスルファニル基(-SF5)などもあげられる。
フッ素置換の他の形態としては、一般式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体が、例えば、フッ素置換されたアリール基、フッ素置換されたアルキル基もしくはシクロアルキル基、フッ素置換されたアルコキシ基、フッ素置換されたジアリールアミノ基、フッ素置換されたジアリールボリル基(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、フッ素置換されたカルバゾリル基またはフッ素置換されたベンゾカルバゾリル基で置換された例が挙げられる。「アリール基」、「アルキル基」、「シクロアルキル基」、「アルコキシ基」、「ジアリールアミノ基」および「ジアリールボリル基」については上記「第1の置換基」として説明した基があげられる。ジアリールアミノ基、ジアリールボリル基、カルバゾリル基およびベンゾカルバゾリル基へのフッ素の置換形態としては、これらの基におけるアリール環またはベンゼン環の一部または全ての水素がフッ素で置換された例が挙げられる。一般式(1)または(2)中のX1およびX2がN-Rであって、当該Rがフッ素置換されたアリール(特にフッ素置換されたフェニル)であることが好ましく、また、第1の置換基または第2の置換基としてのジアリールアミノ基のアリールがフッ素置換されたアリール(特にフッ素置換されたフェニル)であることが好ましく、X1およびX2がN-Rであって、当該Rがフッ素置換されたアリール(特にフッ素置換されたフェニル)であることがより好ましい。
フッ素が置換した「アリール」としては、当該アリールの水素の少なくとも1つがフッ素で置換された基があげられるが、具体的には以下の構造式(S-100)~(S-110)のいずれかで表される基などがあげられる。これらの中でも、好ましくは式(S-100)~式(S-107)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(S-100)、式(S-103)、式(S-104)および式(S-105)のいずれかで表される基である。「ジアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル」または「アリールオキシ」のアリール部位にフッ素が置換した場合もこの説明が当てはまる。
フッ素が置換した「アルキル」としては、当該アルキルの水素の少なくとも1つがフッ素で置換された基があげられるが、具体的にはトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルなどがあげられ、トリフルオロメチルが好ましい。「アルコキシ(アルキルオキシ)」のアルキル部位にフッ素が置換した場合もこの説明が当てはまる。また、フッ素が置換した「シクロアルキル」としては、当該シクロアルキルの水素の少なくとも1つがフッ素で置換された基があげられる。
また、さらに具体的な例としては、一般式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体におけるR2が、フッ素置換されたジアリールアミノ基、フッ素置換されたジアリールボリル基(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)またはフッ素置換されたカルバゾリル基である例があげられる。
この一例として、下記一般式(2-A)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(2-A)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体があげられる。構造式中の各符号の定義は一般式(2)中の各符号の定義と同じである。
また、本発明のフッ素置換された多環芳香族化合物およびその多量体の具体的な例としては、化合物中の1個または複数個の芳香環における少なくとも1つの水素が1個または複数個のフッ素で置換された化合物があげられ、例えば1~2個のフッ素で置換された化合物があげられる。
具体的には、以下の構造式で表される化合物があげられる。下記構造式中のnはそれぞれ独立して0~2、好ましくは1である。なお、下記構造式中の「F」はフッ素、「OPh」はフェノキシ基、「Me」はメチル基を示す。
本発明のフッ素置換された多環芳香族化合物のさらに具体的な例としては、以下の構造式で表される化合物があげられる。なお、下記構造式中の「F」はフッ素、「D」は重水素、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「tBu」はt-ブチル基を示す。
2.フッ素置換された多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法
一般式(1)や(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、基本的には、まずA環(a環)とB環(b環)およびC環(c環)とを結合基(X1やX2を含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合基(Y1を含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えばエーテル化反応であれば、求核置換反応、ウルマン反応といった一般的反応が利用でき、アミノ化反応で有ればブッフバルト-ハートウィッグ反応といった一般的反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。また、これらの反応工程のどこかで、フッ素化された原料を用いたり、フッ素化やフッ素含有置換基導入の工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
第2反応は、下記スキーム(1)や(2)に示すように、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合するY1を導入する反応であり、例としてY1がホウ素原子、X1およびX2が酸素原子の場合を以下に示す。まず、X1とX2の間の水素原子をn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムまたはt-ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム-ホウ素の金属交換を行った後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。なお、下記スキーム(1)および(2)中、さらにその後のスキーム(3)~(28)中の各構造式における符号の定義は上述した定義と同じである。
なお、上記スキーム(1)や(2)は、一般式(1)や(2)で表される多環芳香族化合物の製造方法を主に示しているが、その多量体については、複数のA環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を有する中間体を用いることで製造することができる。詳細には下記スキーム(3)~(5)で説明する。この場合、使用するブチルリチウム等の試薬の量を2倍量、3倍量とすることで目的物を得ることができる。
上記スキームにおいては、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入したが、下記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子等を導入し、ハロゲン-メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。
また、スキーム(3)で説明した多量体の製造方法についても、上記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子や塩素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン-メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる(下記スキーム(8)、(9)および(10))。
この方法によれば、置換基の影響でオルトメタル化ができないようなケースでも目的物を合成することができ有用である。
上述の合成法を適宜選択し、使用する原料も適宜選択することで、所望の位置がフッ素化され、所望の位置に置換基を有し、Y1がホウ素原子、X1およびX2が酸素原子である多環芳香族化合物およびその多量体を合成することができる。
次に、例としてY1がホウ素原子、X1およびX2が窒素原子の場合を下記スキーム(11)および(12)に示す。X1およびX2が酸素原子である場合と同様に、まずX1とX2の間の水素原子をn-ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三臭化ホウ素等を加え、リチウム-ホウ素の金属交換を行った後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。ここでは反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。さらに下記スキーム(12’)のように、200℃程度の高温で反応させれば、三臭化ホウ素だけで目的物を得ることもできる。また、これらの反応工程のどこかで、フッ素化された原料を用いたり、フッ素化やフッ素含有置換基導入の工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
また、Y1がホウ素原子、X1およびX2が窒素原子の場合の多量体についても、上記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子や塩素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン-メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる(下記スキーム(13)、(14)および(15))。さらに下記スキーム(13’)のように、三ヨウ化ホウ素とトリフェニルボランを用いて、ハロゲン-メタル交換を利用しなくとも、Y1がホウ素原子、X1およびX2が窒素原子の場合の多量体を合成することもできる。
次に、例としてY1がリンスルフィド、リンオキサイドまたはリン原子であり、X1およびX2が酸素原子である場合を下記スキーム(16)~(19)に示す。これまでと同様に、まずX1とX2の間の水素原子をn-ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化リン、硫黄の順に添加し、最後に三塩化アルミニウム等のルイス酸およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムホスファフリーデルクラフツ反応させ、Y1がリンスルフィドである化合物を得ることができる。また、得られたリンスルフィド化合物をm-クロロ過安息香酸(m-CPBA)で処理することでY1がリンオキサイドである化合物を得ることができ、トリエチルホスフィンで処理することでY1がリン原子である化合物を得ることができる。また、これらの反応工程のどこかで、フッ素化された原料を用いたり、フッ素化やフッ素含有置換基導入の工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
また、Y1がリンスルフィド、X1およびX2が酸素原子の場合の多量体についても、上記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子や塩素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン-メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる(下記スキーム(20)、(21)および(22))。また、このようにしてできたY1がリンスルフィド、X1およびX2が酸素原子の場合の多量体も、上記スキーム(18)および(19)のようにして、m-クロロ過安息香酸(m-CPBA)で処理することでY1がリンオキサイドである化合物を得ることができ、トリエチルホスフィンで処理することでY1がリン原子である化合物を得ることができる。
ここでは、Y1が、B、P、P=OまたはP=Sであり、X1およびX2がOまたはNRである例を記載したが、原料を適宜変更することで、Y1が、Al、Ga、As、Si-RまたはGe-Rであったり、X1およびX2がSである化合物も合成することができる。
上記スキームでは、目的物を製造するための工程の例としてハロゲン-メタル交換やカップリング反応を用いる例を挙げた。ハロゲンの中にはフッ素原子も含まれるが、一般的に炭素-フッ素結合は非常に不活性であるため、ハロゲンとしてフッ素を用いた場合には一般的にはハロゲン-メタル交換やカップリング反応は起こらない。そのため、ほとんどの場合でフッ素原子が共存していても反応は、塩素、臭素あるいはヨウ素の位置で選択的に進行するので、フッ素原子を含む原料を用いても上述した反応の進行を阻害することはなく、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
またフッ素原子置換のみならず、フッ素置換のアルキル基、フッ素置換のアリール基、フッ素置換のヘテロアリール基、フッ素置換のアリールオキシ基またはペンタフルオロスルファニル基(-SF5)などが置換された原料を用いたり、あるいはこれらの官能基を導入する工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
以上の反応で用いられる溶媒の具体例は、t-ブチルベンゼンやキシレンなどである。
また、一般式(2)では、a環、b環およびc環の置換基R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよい。したがって、一般式(2)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記スキーム(23)および(24)の式(2-1)および式(2-2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。これらの化合物は下記スキーム(23)および(24)に示す中間体に上記スキーム(1)~(19)で示した合成法を適用することで合成することができる。また、これらの反応工程のどこかで、フッ素化された原料を用いたり、フッ素化やフッ素含有置換基導入の工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
上記式(2-1)および式(2-2)中のA’環、B’環およびC’環は、置換基R1~R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。
また、一般式(2)における「N-RのRは-O-、-S-、-C(-R)2-または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合している」との規定は、下記スキーム(25)の式(2-3-1)で表される、X1やX2が縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物や、式(2-3-2)や式(2-3-3)で表される、X1やX2が縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現することができる。これらの化合物は下記スキーム(25)に示す中間体に上記スキーム(1)~(19)で示した合成法を適用することで合成することができる。また、これらの反応工程のどこかで、フッ素化された原料を用いたり、フッ素化やフッ素含有置換基導入の工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
また、上記スキーム(1)~(17)および(20)~(25)の合成法では、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加える前に、X1とX2の間の水素原子(またはハロゲン原子)をブチルリチウム等でオルトメタル化することで、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応させた例を示したが、ブチルリチウム等を用いたオルトメタル化を行わずに、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等の添加により反応を進行させることもできる。
また、Y1がリン系の場合には、下記スキーム(26)や(27)に示すように、X1とX2(下記式ではO)の間の水素原子をn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムまたはt-ブチルリチウム等でオルトメタル化し、次いで、ビスジエチルアミノクロロホスフィンを加え、リチウム-リンの金属交換を行った後、三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えることで、タンデムホスファフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。この反応方法は国際公開第2010/104047号公報(例えば27頁)にも記載されている。また、これらの反応工程のどこかで、フッ素化された原料を用いたり、フッ素化やフッ素含有置換基導入の工程を追加したりすることで、所望の位置がフッ素化された本発明の化合物を製造することができる。
なお、上記スキーム(26)や(27)においても、ブチルリチウム等のオルトメタル化試薬を中間体1のモル量に対して2倍、3倍のモル量を使用することで多量体化合物を合成することができる。また、リチウム等のメタルを導入したい位置にあらかじめ臭素原子や塩素原子等のハロゲンを導入しておき、ハロゲン-メタル交換することで所望の位置へメタルを導入することができる。
その他、一般式(2-A)で表される多環芳香族化合物については、下記スキーム(28)のように、フッ素化された中間体を合成し、それを環化させることで所望の位置がフッ素原子で置換された多環芳香族化合物を合成できる。スキーム(28)中、Xはハロゲンまたは水素を表し、その他の符号の定義は一般式(2)中の符号の定義と同じである。
スキーム(28)中の環化前の中間体も、スキーム(1)等に示されている方法で合成することができる。すなわちBuchwald-Hartwig反応や鈴木カップリング反応、または求核置換反応やUllmann反応などによるエーテル化反応などを適宜組み合わせることで、所望の置換基を有する中間体を合成することができる。これらの反応において、フッ素化された前駆体となる原料は市販品を利用することもできる。
フッ素化されたジフェニルアミノ基を有する一般式(2-A)の化合物は、例えば次のような方法でも合成できる。すなわち、市販のブロモペンタフルオロフェニルベンゼンとトリハロゲン化アニリンとをBuchwald-Hartwig反応のようなアミノ化反応によってフッ素化されたジフェニルアミノ基を導入した後、X1、X2がN-Rである場合にはBuchwald-Hartwig反応のようなアミノ化反応にて、X1、X2がOである場合にはフェノールを用いたエーテル化によって中間体(M-3)へと誘導し、その後、例えばブチルリチウムのようなメタル化試薬を作用させトランスメタル化した後、三臭化ホウ素のようなハロゲン化ホウ素を作用させた後、ジエチルイソプロピルアミンのようなブレンステッド塩基を作用させることによるタンデムボラフリーデルクラフツ反応によって、一般式(2-A)の化合物を合成することができる。これらの反応は、その他のフッ素化された化合物にも応用することができる。
なお、上記スキーム(1)~(28)で使用するオルトメタル化試薬としては、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどの有機アルカリ化合物があげられる。
なお、上記スキーム(1)~(28)で使用するメタル-Y1の金属交換試薬としては、Y1の三フッ化物、Y1の三塩化物、Y1の三臭化物、Y1の三ヨウ化物などのY1のハロゲン化物、CIPN(NEt2)2などのY1のアミノ化ハロゲン化物、Y1のアルコキシ化物、Y1のアリールオキシ化物などがあげられる。
なお、上記スキーム(1)~(28)で使用するブレンステッド塩基としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、2,6-ルチジン、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、トリフェニルボラン、テトラフェニルシラン、Ar4BNa、Ar4BK、Ar3B、Ar4Si(なお、Arはフェニルなどのアリール)などがあげられる。
上記スキーム(1)~(28)で使用するルイス酸としては、AlCl3、AlBr3、AlF3、BF3・OEt2、BCl3、BBr3、GaCl3、GaBr3、InCl3、InBr3、In(OTf)3、SnCl4、SnBr4、AgOTf、ScCl3、Sc(OTf)3、ZnCl2、ZnBr2、Zn(OTf)2、MgCl2、MgBr2、Mg(OTf)2、LiOTf、NaOTf、KOTf、Me3SiOTf、Cu(OTf)2、CuCl2、YCl3、Y(OTf)3、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、ZrBr4、FeCl3、FeBr3、CoCl3、CoBr3などがあげられる。
上記スキーム(1)~(28)では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応の促進のためにブレンステッド塩基またはルイス酸を使用してもよい。ただし、Y1の三フッ化物、Y1の三塩化物、Y1の三臭化物、Y1の三ヨウ化物などのY1のハロゲン化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素といった酸が生成するため、酸を捕捉するブレンステッド塩基の使用が効果的である。一方、Y1のアミノ化ハロゲン化物、Y1のアルコキシ化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、アミン、アルコールが生成するために、多くの場合、ブレンステッド塩基を使用する必要はないが、アミノ基やアルコキシ基の脱離能が低いために、その脱離を促進するルイス酸の使用が効果的である。
また、本発明の多環芳香族化合物やその多量体には、少なくとも一部の水素原子がシアノで置換されている構造や塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲンで置換されている構造や重水素で置換されている構造も含まれるが、このような化合物などは所望の位置がシアノ化、塩素化、臭素化、ヨウ素化または重水素化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。
3.有機デバイス
本発明に係るフッ素置換された多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。
3-1.有機電界発光素子
以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100~5Ω/□、好ましくは50~5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50~300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N4,N4’-ジフェニル-N4,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、N4,N4,N4’,N4’-テトラ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、ホスト材料と、例えばドーパント材料としての上記一般式(1)で表される多環芳香族化合物とを用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50~99.999重量%であり、より好ましくは80~99.95重量%であり、さらに好ましくは90~99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001~50重量%であり、より好ましくは0.05~20重量%であり、さらに好ましくは0.1~10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセン、ピレン、ジベンゾクリセンまたはフルオレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体などがあげられる。特に、アントラセン系化合物、フルオレン系化合物またはジベンゾクリセン系化合物が好ましい。
<アントラセン系化合物>
ホストとしてのアントラセン系化合物は、例えば下記一般式(3)で表される化合物である。
一般式(3)では、Xはそれぞれ独立して上記式(3-X1)、式(3-X2)または式(3-X3)で表される基であり、式(3-X1)、式(3-X2)または式(3-X3)で表される基は*において式(3)のアントラセン環と結合する。好ましくは、2つのXが同時に式(3-X3)で表される基になることはない。より好ましくは2つのXが同時に式(3-X2)で表される基になることもない。
また、式(3)で表される構造を単位構造として多量体(好ましくは二量体)を形成してもよい。この場合、例えば式(3)で表される単位構造同士がXを介して結合する形態が挙げられ、このXとしては単結合、アリーレン(フェニレン、ビフェニレンおよびナフチレン等)およびヘテロアリーレン(ピリジン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環およびフェニル置換カルバゾール環などが二価の結合価を有する基)等が挙げられる。
式(3-X1)および式(3-X2)におけるナフチレン部位は1つのベンゼン環で縮合されていてもよい。このようにして縮合した構造は以下のとおりである。
Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニリル、または、上記式(A)で表される基(カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基およびフェニル置換カルバゾリル基も含む)である。なお、Ar1またはAr2が式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-X1)または式(3-X2)中のナフタレン環と結合する。
Ar3は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニリル、または、上記式(A)で表される基(カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基およびフェニル置換カルバゾリル基も含む)である。なお、Ar3が式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-X3)中の直線で表される単結合と結合する。すなわち、式(3)のアントラセン環と式(A)で表される基が直接結合する。
また、Ar3は置換基を有していてもよく、Ar3における少なくとも1つの水素はさらに炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニリル、または、上記式(A)で表される基(カルバゾリル基およびフェニル置換カルバゾリル基も含む)で置換されていてもよい。なお、Ar3が有する置換基が式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3-X3)中のAr3と結合する。
Ar4は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、ナフチル、または炭素数1~4のアルキル(メチル、エチル、t-ブチルなど)および/もしくは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されているシリルである。
シリルに置換する炭素数1~4のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、シクロブチルなどがあげられ、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、これらのアルキルで置換されている。
具体的な「炭素数1~4のアルキルで置換されているシリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi-プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec-ブチルシリル、トリt-ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i-プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i-プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec-ブチルジエチルシリル、t-ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec-ブチルジプロピルシリル、t-ブチルジプロピルシリル、メチルジi-プロピルシリル、エチルジi-プロピルシリル、ブチルジi-プロピルシリル、sec-ブチルジi-プロピルシリル、t-ブチルジi-プロピルシリルなどがあげられる。
シリルに置換する炭素数5~10のシクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルネニル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられ、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、これらのシクロアルキルで置換されている。
具体的な「炭素数5~10のシクロアルキルで置換されているシリル」としては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
置換されているシリルとしては、2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したジアルキルシクロアルキルシリルと、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したアルキルジシクロアルキルシリルもあり、置換するアルキルおよびシクロアルキルの具体例としては上述した基があげられる。
また、一般式(3)で表されるアントラセン系化合物の化学構造中の水素は上記式(A)で表される基で置換されていてもよい。式(A)で表される基で置換される場合は、式(A)で表される基はその*において式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する。
式(A)で表される基は、式(3)で表されるアントラセン系化合物が有しうる置換基の1つである。
上記式(A)中、Yは-O-、-S-または>N-R29であり、R21~R28はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、置換されていてもよいアミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであり、R21~R28のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、R29は水素または置換されていてもよいアリールである。
R21~R28における「置換されていてもよいアルキル」の「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
R21~R28における「置換されていてもよいシクロアルキル」の「シクロアルキル」としては、炭素数3~24のシクロアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどがあげられる。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
R21~R28における「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
具体的な「アリール」としては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニリル、o-テルフェニリル、p-テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
R21~R28における「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1~5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニル、フリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾチエニル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアントレニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニルなどがあげられる。
R21~R28における「置換されていてもよいアルコキシ」の「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1~24の直鎖または炭素数3~24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1~18のアルコキシ(炭素数3~18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1~12のアルコキシ(炭素数3~12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数3~6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1~4のアルコキシ(炭素数3~4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的な「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。
R21~R28における「置換されていてもよいアリールオキシ」の「アリールオキシ」としては、-OH基の水素がアリールで置換された基であり、このアリールは上述したR21~R28における「アリール」として説明した基を引用することができる。
R21~R28における「置換されていてもよいアリールチオ」の「アリールチオ」としては、-SH基の水素がアリールで置換された基であり、このアリールは上述したR21~R28における「アリール」として説明した基を引用することができる。
R21~R28における「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述したR21~R28における「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1~4のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、シクロブチルなどがあげられる。
具体的な「トリアルキルシリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi-プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec-ブチルシリル、トリt-ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i-プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i-プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec-ブチルジエチルシリル、t-ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec-ブチルジプロピルシリル、t-ブチルジプロピルシリル、メチルジi-プロピルシリル、エチルジi-プロピルシリル、ブチルジi-プロピルシリル、sec-ブチルジi-プロピルシリル、t-ブチルジi-プロピルシリルなどがあげられる。
R21~R28における「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述したR21~R28における「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5~10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的な「トリシクロアルキルシリル」としては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したジアルキルシクロアルキルシリルと、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したアルキルジシクロアルキルシリルの具体例としては、上述した具体的なアルキルおよびシクロアルキルから選択される基が置換したシリルがあげられる。
R21~R28における「置換されていてもよいアミノ」の「置換されたアミノ」としては、例えば2つの水素がアリールやヘテロアリールで置換されたアミノ基があげられる。2つの水素がアリールで置換されたアミノがジアリール置換アミノであり、2つの水素がヘテロアリールで置換されたアミノがジヘテロアリール置換アミノであり、2つの水素がアリールとヘテロアリールで置換されたアミノがアリールヘテロアリール置換アミノである。このアリールやヘテロアリールは上述したR21~R28における「アリール」や「ヘテロアリール」として説明した基を引用することができる。
具体的な「置換されたアミノ」としては、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、フェニルナフチルアミノ、ジピリジルアミノ、フェニルピリジルアミノ、ナフチルピリジルアミノなどがあげられる。
R21~R28における「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
R21~R28として説明した基のうち、いくつかは上述するように置換されてもよく、この場合の置換基としてはアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールがあげられる。このアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは上述したR21~R28における「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」または「ヘテロアリール」として説明した基を引用することができる。
Yとしての「>N-R29」におけるR29は水素または置換されていてもよいアリールであり、このアリールとしては上述したR21~R28における「アリール」として説明した基を引用することができ、またその置換基としてはR21~R28に対する置換基として説明した基を引用することができる。
R
21~R
28のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。環を形成しない場合が下記式(A-1)で表される基であり、環を形成した場合としては例えば下記式(A-2)~式(A-14)で表される基があげられる。なお、式(A-1)~式(A-14)のいずれかで表される基における少なくとも1つの水素はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、ジアリール置換アミノ、ジヘテロアリール置換アミノ、アリールヘテロアリール置換アミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノで置換されていてもよい。
隣接する基が互いに結合してできた環としては、炭化水素環であれば例えばシクロヘキサン環があげられ、アリール環やヘテロアリール環としては上述したR21~R28における「アリール」や「ヘテロアリール」で説明した環構造があげられ、これらの環は上記式(A-1)における1つまたは2つのベンゼン環と縮合するように形成される。
式(A)で表される基としては、例えば上記式(A-1)~式(A-14)のいずれかで表される基があげられ、上記式(A-1)~式(A-5)および式(A-12)~式(A-14)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(A-1)~式(A-4)のいずれかで表される基がより好ましく、上記式(A-1)、式(A-3)および式(A-4)のいずれかで表される基がさらに好ましく、上記式(A-1)で表される基が特に好ましい。
式(A)で表される基は、式(A)中の*において、式(3-X1)または式(3-X2)中のナフタレン環、式(3-X3)中の単結合、式(3-X3)中のAr3と結合し、また式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換することは上述したとおりだが、これらの結合形態の中でも式(3-X1)または式(3-X2)中のナフタレン環、式(3-X3)中の単結合および/または式(3-X3)中のAr3と結合した形態が好ましい。
また、式(A)で表される基の構造中で、式(3-X1)または式(3-X2)中のナフタレン環、式(3-X3)中の単結合、式(3-X3)中のAr3が結合する位置、また、式(A)で表される基の構造中で、式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する位置は、式(A)の構造中のいずれの位置であってもよく、例えば式(A)の構造中の2つのベンゼン環のいずれかや、式(A)の構造中のR21~R28のうち隣接する基が互いに結合して形成されたいずれかの環や、式(A)の構造中のYとしての「>N-R29」におけるR29中のいずれかの位置で結合することができる。
式(A)で表される基としては、例えば以下の基があげられる。式中のYおよび*は上記と同じ定義である。
また、一般式(3)で表されるアントラセン系化合物の化学構造中の水素は、その全てまたは一部が重水素であってもよい。
アントラセン系化合物の具体的な例としては、例えば、下記式(3-1)~式(3-72)で表される化合物があげられる。なお、下記構造式中の「Me」はメチル基、「D」は重水素、「tBu」はt-ブチル基を示す。
式(3)で表されるアントラセン系化合物は、アントラセン骨格の所望の位置に反応性基を有する化合物と、X、Ar4および式(A)の構造などの部分構造に反応性基を有する化合物を出発原料として、鈴木カップリング、根岸カップリング、その他の公知のカップリング反応を応用して製造することができる。これらの反応性化合物の反応性基としては、ハロゲンやボロン酸などがあげられる。具体的な製造方法としては、例えば国際公開第2014/141725号公報の段落[0089]~[0175]における合成法を参考にすることができる。
<フルオレン系化合物>
一般式(4)で表される化合物は基本的にはホストとして機能する。
上記式(4)中、
R1からR10は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して上記式(4)におけるフルオレン骨格と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8またはR9とR10がそれぞれ独立して結合して縮合環またはスピロ環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(4)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
上記式(4)の定義における各基の詳細は、上述した、式(1)の多環芳香族化合物における説明を引用することができる。
R1からR10におけるアルケニルとしては、例えば、炭素数2~30のアルケニルがあげられ、炭素数2~20のアルケニルが好ましく、炭素数2~10のアルケニルがより好ましく、炭素数2~6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2~4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、または5-ヘキセニルである。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(4-Ar1)、式(4-Ar2)、式(4-Ar3)、式(4-Ar4)または式(4-Ar5)の化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基もあげられる。
式(4-Ar1)から式(4-Ar5)中、Y
1は、それぞれ独立して、O、SまたはN-Rであり、Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、
上記式(4-Ar1)から式(4-Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、連結基を介して、上記式(4)におけるフルオレン骨格と結合していてもよい。すなわち、式(4)におけるフルオレン骨格と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCH2CH2-、-CH2CH2O-、または、-OCH2CH2O-などがあげられる。
また、式(4)中のR1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7またはR7とR8がそれぞれ独立して結合して縮合環を、R9とR10が結合してスピロ環を形成していてもよい。R1からR8により形成された縮合環は、式(4)におけるベンゼン環に縮合する環であり、脂肪族環または芳香族環である。好ましくは芳香族環であり、式(4)におけるベンゼン環を含めた構造としてはナフタレン環やフェナントレン環などがあげられる。R9とR10により形成されたスピロ環は、式(4)における5員環にスピロ結合する環であり、脂肪族環または芳香族環である。好ましくは芳香族環であり、フルオレン環などがあげられる。
一般式(4)で表される化合物は、好ましくは、下記式(4-1)、式(4-2)または式(4-3)で表される化合物であり、それぞれ、一般式(4)においてR
1とR
2が結合して形成されたベンゼン環が縮合した化合物、一般式(4)においてR
3とR
4が結合して形成されたベンゼン環が縮合した化合物、一般式(4)においてR
1からR
8のいずれもが結合していない化合物である。
式(4-1)、式(4-2)および式(4-3)におけるR1からR10の定義は式(4)において対応するR1からR10と同じであり、式(4-1)および式(4-2)におけるR11からR14の定義も式(4)におけるR1からR10と同じである。
一般式(4)で表される化合物は、さらに好ましくは、下記式(4-1A)、式(4-2A)または式(4-3A)で表される化合物であり、それぞれ、式(4-1)、式(4-1)または式(4-3)においてR
9とR
10が結合してスピロ-フルオレン環が形成された化合物である。
式(4-1A)、式(4-2A)および式(4-3A)におけるR2からR7の定義は式(4-1)、式(4-2)および式(4-3)において対応するR2からR7と同じであり、式(4-1A)および式(4-2A)におけるR11からR14の定義も式(4-1)および式(4-2)におけるR11からR14と同じである。
また、式(4)で表される化合物における水素は、その全てまたは一部がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
<ジベンゾクリセン系化合物>
ホストとしてのジベンゾクリセン系化合物は、例えば下記一般式(5)で表される化合物である。
上記式(5)中、
R1からR16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して上記式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、R1からR16のうち隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(5)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
上記式(5)の定義における各基の詳細は、上述した、式(1)の多環芳香族化合物における説明を引用することができる。
上記式(5)の定義におけるアルケニルとしては、例えば、炭素数2~30のアルケニルがあげられ、炭素数2~20のアルケニルが好ましく、炭素数2~10のアルケニルがより好ましく、炭素数2~6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2~4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、または5-ヘキセニルである。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(5-Ar1)、式(5-Ar2)、式(5-Ar3)、式(5-Ar4)または式(5-Ar5)の化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基もあげられる。
式(5-Ar1)から式(5-Ar5)中、Y
1は、それぞれ独立して、O、SまたはN-Rであり、Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、
上記式(5-Ar1)から式(5-Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、連結基を介して、上記式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい。すなわち、式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCH2CH2-、-CH2CH2O-、または、-OCH2CH2O-などがあげられる。
一般式(5)で表される化合物は、好ましくは、R1、R4、R5、R8、R9、R12、R13およびR16は水素である。この場合、式(5)中のR2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、上記式(5-Ar1)、式(5-Ar2)、式(5-Ar3)、式(5-Ar4)もしくは式(5-Ar5)の構造を有する1価の基(当該構造を有する1価の基は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCH2CH2-、-CH2CH2O-、または、-OCH2CH2O-を介して、上記式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい)、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルであることが好ましい。
一般式(5)で表される化合物は、より好ましくは、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R15およびR16は水素である。この場合、式(5)中のR3、R6、R11およびR14の少なくとも1つ(好ましくは1つまたは2つ、より好ましくは1つ)は、単結合、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、-OCH2CH2-、-CH2CH2O-、または、-OCH2CH2O-を介した、上記式(5-Ar1)、式(5-Ar2)、式(5-Ar3)、式(5-Ar4)または式(5-Ar5)の構造を有する1価の基であり、
前記少なくとも1つ以外(すなわち、前記構造を有する1価の基が置換した位置以外)は水素、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、メチル、エチル、プロピル、あるいは、ブチルで置換されていてもよい。
また、式(5)中のR2、R3、R6、R7、R10、R11、R14およびR15として、上記式(5-Ar1)から式(5-Ar5)で表される構造を有する1価の基が選択された場合には、当該構造における少なくとも1つの水素は式(5)中のR1からR16のいずれかと結合して単結合を形成していてもよい。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9’-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(4’-(2,2’:6’2”-テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM-1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
上記式(ETM-1)中、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R
13~R
16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
上記一般式(ETM-1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM-1-1)で表される化合物や下記一般式(ETM-1-2)で表される化合物が好ましい。
式(ETM-1-1)中、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R
13~R
16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、X
1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0~3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0~4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
式(ETM-1-2)中、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R
13~R
16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、X
1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
X
1の具体的な例としては、下記式(X-1)~式(X-9)のいずれかで表される2価の基があげられる。
(各式中、R
aは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM-2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)で表される化合物である。
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
上記式(ETM-2-1)において、R11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。
上記式(ETM-2-2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
ピリジン系置換基は、上記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py-21)~式(Py-44)のいずれかであることが好ましい。
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
R11~R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどがあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1~4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
R11~R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数5~10のシクロアルキルとしては、上記シクロアルキルの説明を引用することができる。
R11~R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6~30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどがあげられ、さらに好ましくはフェニル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはフェナントリルがあげられ、特に好ましくはフェニル、1-ナフチルまたは2-ナフチルがあげられる。
上記式(ETM-2-2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM-3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
上記式(ETM-3)中、X12~X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM-4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM-4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
R1~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM-4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM-4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM-4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(1)や式(2)で表される多環芳香族化合物やその多量体の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM-5-1)で表される化合物である。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R1~R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py-1)~式(Py-12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。
これらの基の中でも、上記式(Py-1)~式(Py-9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py-1)~式(Py-6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
R1~R4における炭素数1~6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1~6の直鎖アルキルまたは炭素数3~6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、または2-エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、またはt-ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt-ブチルがより好ましい。
R1~R4における炭素数3~6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
R1~R4における炭素数6~20のアリールについては、炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6~20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o-,m-,p-)トリル、(2,3-,2,4-,2,5-,2,6-,3,4-,3,5-)キシリル、メシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、(o-,m-,p-)クメニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン-(1-,2-,9-)イル、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、テトラセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6~20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはm-テルフェニル-5’-イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチルまたは2-ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM-5-2)で表される化合物である。
Ar1は、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Ar2は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
R1~R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM-6)で表される化合物である。
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
Ar2は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、2つのAr2は結合して環を形成していてもよい。
Ar2における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシルなどがあげられる。
Ar2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
Ar2における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
2つのAr2は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
R
5は、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
R
6は、CN、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数1~20のヘテロアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数5~20のヘテロアリール、炭素数1~20のアルコキシまたは炭素数6~20のアリールオキシであり、
R
7およびR
8は、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
R
9は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0~4の整数であり、qは1~3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-2)で表される化合物でもよい。
R1~R3は、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Ar1は、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である。Ar2は、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、Ar1およびAr2のうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0~3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基等をあげることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1~20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオ基とは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1~6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、Ar1とR2、Ar1とR3、Ar2とR2、Ar2とR3、R2とR3、Ar1とAr2等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR1同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM-8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-8-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは0~4の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM-9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM-10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-10-1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-11)で表される化合物である。
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~12のシクロアルキルまたは炭素数6~30のアリールであり、上記式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1-フェニル-2-(4-(10-フェニルアントラセン-9-イル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(3-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾールなどがあげられる。
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM-12)または式(ETM-12-1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
各式のR11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。また、上記式(ETM-12-1)においてはR11~R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
R
11~R
18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM-2)におけるR
11~R
18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式があげられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、9,10-ジ(1,10-フェナントロリン-2-イル)アントラセン、2,6-ジ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ピリジン、1,3,5-トリ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ベンゼン、9,9’-ジフルオロ-ビ(1,10-フェナントロリン-5-イル)、バソクプロイン、1,3-ビス(2-フェニル-1,10-フェナントロリン-9-イル)ベンゼンや下記構造式で表される化合物などがあげられる。
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM-13)で表される化合物である。
式中、R
1~R
6は、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1~3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8-キノリノールリチウム、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-1)で表される化合物である。
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-2)で表される化合物である。
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基が下記のチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0~2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属があげられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として印加すればよく、電圧2~40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
3-2.その他の有機デバイス
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造があげられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されない。まず、多環芳香族化合物の合成例について、以下に説明する。
窒素雰囲気下、1,2,3-トリクロロ-5-トリフルオロメチルベンゼン(10.0g)、ビス(4-(t-ブチル)フェニル)アミン(24.8g)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2、0.46g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos、0.82g)、ナトリウム-t-ブトキシド(NaOtBu、9.6g)およびキシレン(130ml)の入ったフラスコを110℃で1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加えて分液した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製し、ヘプタンで再沈殿させることで、中間体Aを得た(17.1g)。
中間体A(17.0g)およびt-ブチルベンゼン(120ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、氷浴で冷却しながら、t-ブチルリチウム/ペンタン溶液(1.62M、28.4ml)を加えた。滴下終了後60℃まで昇温して1時間撹拌して、t-ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。-50℃まで冷却して三臭化ホウ素(11.5g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び氷浴で冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.9g)を加えた。発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却した酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加え分液した後、溶媒を減圧留去しヘプタンで洗浄した。次いで、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製し、更にへプタンで再沈殿させ、最後に昇華精製することで、式(1-1)の化合物を得た(3.2g)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.5(s,18H)、1.5(s,18H)、6.4(s,2H)、7.8(d,2H)、7.3(m,4H)、7.6(dd,2H)、7.7(m,4H)、9.0(d,2H).
窒素雰囲気下、1,3,5-トリブロモベンゼン(1.57g)、4,4’-ジフルオロジフェニルアミン(3.28g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3、0.229g)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.101g)、カルシウム-t-ブトキシド(KOtBu、2.24g)およびトルエン(40ml)の入ったフラスコを100℃で20時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、フロリジル(登録商標)パッドでろ過し、さらにジクロロメタンを流した。ろ液を濃縮した後、濃縮して得られた粗生成物をメタノールで洗浄することで中間体Bを得た(2.84g)。
中間体B(0.137g、0.20mmol)、2,4-ジクロロベンゼン(2.0ml)に窒素雰囲気下、室温で三臭化ホウ素(19.0μl、0.20mmol)を加え、200℃で20時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.10ml、0.6mmol)を加えた後、溶媒を減圧留去した。粗生成物をアセトニトリルで洗浄することで、黄色固体として式(1-82)の化合物を得た(0.128g、収率92%)。
NMR測定および質量分析により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR(δppm in CDCl3);5.44(s,2H)、6.67(dd,2H)、6.82-6.93(m,8H)、7.12(ddd,2H)、7.16-7.23(m,8H)、8.42(dd,2H).
13C NMR(δppm in CDCl3);96.9(2C)、116.0(4C)、118.0(4C)、118.4-118.8(7C)、125.2(2C)、127.7(4C)、132.0(4C)、138.0(2C)、142.2(2C)、144.2(2C)、148.2(2C)、151.9(1C)、157.2(2C)、159.7(2C)、162.3(2C).
HRMS(DART)m/z [M+H]+ calcd for C42H24BF6N3 696.2046, observed 696.2097.
中間体B(0.138g、0.20mmol)、1,2-ジクロロベンゼン(5ml)に窒素雰囲気下、室温で三ヨウ化ホウ素(0.391g、0.10mmol)およびトリフェニルボラン(96.7mg、0.40mmol)を加え、200℃で20時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.52ml、3mmol)を加えた後、溶媒を減圧留去した。粗生成物をアセトニトリルで洗浄することで、黄色固体として式(1-701)の化合物を得た(81.9mg、収率58%)。
NMR測定および質量分析により得られた化合物の構造を確認した。
1H NMR(500MHz,(CDCl2)2) δ=5.10(s,1H,a),6.87(dd,J=4.5,9.0Hz,2H),7.14-7.35(m,12H),8.23(dd,J=4.5,9.5Hz,2H),8.38(dd,J=3.0,9.0Hz,2H),8.46(dd,J=3.0,9.0Hz,2H).
13C NMR(101MHz,(CDCl2)2)δ=92.6(2C),93.2(1C),93.7(2C),99.5(1C),110.4(2C),116.3-119.2(m,6C),124.6(2C),125.7(dd,JC-F=7.2,20.4Hz,2C),131.2(2C),131.7(2C),132.1(2C),137.4(2C),142.9(2C),143.7(2C),146.8(2C),149.9(4C),157.5(d,JC-F=242.3Hz,2C),158.9(d,JC-F=245.9Hz,2C),162.4(d,JC-F=254.3Hz,2C).
11B NMR(128MHz,(CDCl2)2) δ=37.2.
19F NMR(376MHz,(CDCl2)2) δ=-123.0,-119.0,-112.3.
HRMS(DART)m/z [M+H]+ calcd for C42H21B2F6N3 704.1888;observed 704.1918.
合成例(4)
化合物(1-883):5,9-ビス(2,6-ジフロオロフェニル)-2,7,12-トリス(2,6-ジメチルフェニル)-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンの合成
窒素雰囲気下、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン(14.2g、50.0mmol)、2,6-ジメチルフェニルボロン酸(7.50g、50.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh
3)
4、1.16g、1.00mmol)、炭酸カリウム(20.7g、150mmol)、トルエン(175ml)、およびメタノール(75.0ml)の入ったフラスコを80℃に加熱し、36時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮して、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン)で精製することで、4’-ブロモ-2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニルを白色固体として得た(9.71g、収率74%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=2.02(s,6H)、7.00-7.04(m,2H)、7.10(d,J=7.5Hz,2H)、7.17(t,J=8.0Hz,1H)、7.53-7.56(m,2H).
窒素雰囲気下、4’-ブロモ-2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル(9.14g、35.0mmol)、2,6-ジフルオロアニリン(5.31ml、52.5mmol)、Pd
2(dba)
3(0.481g、0.525mmol)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP、0.654g、1.05mmol)、NaOtBu(5.05g、52.5mmol)、およびトルエン(175ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:ヘキサン/トルエン=3/1(容量比))で精製し、さらにヘキサンで洗浄することで、N-(2,6-ジフルオロフェニル)-2’,6’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミンを白色固体として得た(9.93g、収率92%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=2.06(s,6H)、5.53(s,1H)、6.87(d,J=8.6Hz,2H)、6.94-7.06(m,5H)、7.07-7.17(m,3H).
窒素雰囲気下、1-ブロモ-3,5-ジクロロベンゼン(11.3g、50.0mmol)、2,6-ジメチルフェニルボロン酸(9.00g、60.0mmol)、Pd(PPh
3)
4(1.16g、1.00mmol)、炭酸カリウム(20.7g、150mmol)、トルエン(175ml)、およびメタノール(75.0ml)の入ったフラスコを65℃に加熱し、16時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン)で精製することで、3’,5’-ジクロロ-2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニルを無色液体として得た(11.8g、収率94%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=2.03(s,6H)、7.05(d,J=1.7Hz,2H)、7.09(d,J=7.5Hz,2H)、7.17(t,J=7.5Hz,1H)、7.35(t,J=1.7Hz,1H).
窒素雰囲気下、3’,5’-ジクロロ-2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル(3.01g、12.0mmol)、N-(2,6-ジフルオロフェニル)-2’,6’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(8.17g、26.4mmol)、Pd
2(dba)
3(0.275g、0.300mmol)、SPhos(0.246g、0.600mmol)、NaOtBu(2.54g、26.4mmol)、およびトルエン(60.0ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、16時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:ヘキサン/トルエン=3/1(容量比))で精製し、さらにメタノールおよびヘキサンで順次洗浄することで、N
3,N
5-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-N
3,N
5-ビス(2’,6’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2’,6’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3,5-ジアミンを白色固体として得た(8.08g、収率85%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=2.01(s,12H)、2.10(s,6H)、6.46(d,J=2.0Hz,2H)、6.83(t,J=2.4Hz,1H)、6.89-6.98(m,8H)、7.03-7.17(m,15H).
窒素雰囲気下、N
3,N
5-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-N
3,N
5-ビス(2’,6’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2’,6’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3,5-ジアミン(1.59g、2.00mmol)、三ヨウ化ホウ素(6.26g、16.0mmol)、および1,2,4-トリクロロベンゼン(20.0ml)の入ったフラスコを150℃に加熱し、12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下で反応液中のヨウ化水素を留去した。ジクロロメタン(150ml)を加えて反応溶液を希釈した後に、リン酸緩衝溶液(pH=7,200ml)を0℃で加え、水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体をトルエン(35.0ml)に溶かし、酢酸(7.00ml、122mmol)を加え、80℃で12時間加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷やし、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(100ml)を室温で加え、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン=2/1(容量比))で精製し、アセトニトリルを用いて80℃で加熱洗浄することで、式(1-883)の化合物を黄色固体として得た(1.09g、収率68%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.99(s,6H)、2.11(s,12H)、6.18(s,2H)、6.83(d,J=8.6Hz,2H)、7.04(d,J=7.5Hz,2H)、7.09-7.18(m,7H)、7.18-7.31(m,6H)、7.50-7.58(m,2H)、8.60(d,J=1.4Hz,2H).
13C-NMR(126MHz,CDCl3):20.8(2C)、21.3(4C)、105.6(2C)、113.5(d,JC-F=22.8Hz,4C)、115.2(2C)、116.3(1C)、118.6(t,JC-F=18.0Hz,2C)、124.4(2C)、127.0(2C)、127.2(1C)、127.4(2C)、127.6(4C)、130.9(t,JC-F=9.6Hz,2C)、133.2(2C)、133.5(2C)、135.8(2C)、136.3(2C)、136.7(4C)、141.6(2C)、142.5(1C)、145.3(2C)、145.9(2C)、146.1(1C)、160.6(dd,JC-F=3.7,250.7Hz,4C).
合成例(5)
化合物(1-1674):N
7,N
13,5,15-テトラキス(2,6-ジフルオロフェニル)-N
7,N
13,9,11-テトラフェニル-5,9,11,15-テトラヒドロ-5,9,11,15-テトラアザ-19b,20b-ジボラジナフト[3,2,1-de:1’,2’,3’-jk]ペンタセン-7,13-ジアミンの合成
窒素雰囲気下、ブロモベンゼン(5.25ml、50.0mmol)、2,6-ジフルオロアニリン(7.59ml、75.0mmol)、Pd
2(dba)
3(0.687mg、0.750mmol)、BINAP(0.934g、1.50mmol)、NaOtBu(7.21g、75.0mmol)、およびトルエン(150ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、4時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:ヘキサン/トルエン=5/1(容量比))で精製することで、2,6-ジフルオロ-N-フェニルアニリンを無色液体として得た(10.1g、収率98%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=5.48(s,1H)、6.81(dd,J=1.2,7.5Hz,2H)、6.89-7.06(m,4H)、7.21-7.27(m,2H).
窒素雰囲気下、1,3-ジブロモ-5-クロロベンゼン(4.87g、18.0mmol)、2,6-ジフルオロ-N-フェニルアニリン(7.39g、36.0mmol)、Pd
2(dba)
3(0.330g、0.360mmol)、SPhos(0.296g、0.720mmol)、NaOtBu(5.19g、54.0mmol)、およびトルエン(90.0ml)の入ったフラスコを100℃に加熱し、3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/トルエン=3/1(容量比))で精製し、さらにメタノールで洗浄することで、5-クロロ-N
1,N
3-ビス(2,6-ジフロオロフェニル)-N
1,N
3-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミンを白色固体として得た(7.17g、収率77%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=6.40(t,J=1.7Hz,1H)、6.45(d,J=1.7Hz,2H)、6.89-6.96(m,4H)、6.98-7.07(m,6H)、7.14-7.25(m,6H).
窒素雰囲気下、国際公開第2018/212169号公報に記載された手法に従って合成したN
1,N
3-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(0.521g、2.00mmol)、5-クロロ-N
1,N
3-ビス(2,6-ジフロオロフェニル)-N
1,N
3-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(2.28g、4.40mmol)、Pd
2(dba)
3(0.0916g、0.100mmol)、SPhos(0.0821g、0.200mmol)、NaOtBu(0.577g、6.00mmol)、およびトルエン(10.0ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、8時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1(容量比))で精製し、さらにヘキサンで洗浄することで、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
3,N
5-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-N
1,N
3,N
5-トリフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)を白色固体として得た(1.96g、収率80%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=6.28-6.31(m,6H)、6.60(dd,J=2.3,8.0Hz,2H)、6.74(t,J=2.2Hz,1H)、6.79-6.98(m,27H)、7.02-7.14(m,16H).
窒素雰囲気下、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
3,N
5-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-N
1,N
3,N
5-トリフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)(1.59g、1.30mmol)および1,2,4-トリクロロベンゼン(19.5ml)の入ったフラスコに、三臭化ホウ素(0.990ml、10.4mmol)を室温で加え、180℃で20時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下で残留した三臭化ホウ素および反応液中の臭化水素を留去した。ジクロロメタン(150ml)を加えて反応溶液を希釈した後に、リン酸緩衝溶液(pH=7,300ml)を0℃で加え、水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体をアセトニトリルにより80℃で加熱洗浄することで、式(1-1674)の化合物を黄色固体として得た(0.886g、収率55%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=5.49(d,J=2.3Hz,2H)、5.59(s,2H)、5.73(s,1H)、6.70-6.82(m,6H)、6.91-7.00(m,6H)、7.00-7.14(m,16H)、7.14-7.19(m,4H)、7.32-7.40(m,4H)、7.46-7.51(m,2H)、9.22(dd,J=1.7,7.5Hz,2H)、10.5(s,1H).
13C-NMR(126MHz,CDCl3):93.7(2C)、96.6(2C)、103.4(1C)、112.1(d,JC-F=24.0Hz,4C)、112.4(2C)、112.9(d,JC-F=22.8Hz,4C)、115.1(2C)、118.4(2C)、118.7(t,JC-F=17.3Hz,2C)、120.9(2C)、122.1(t,JC-F=14.5Hz,2C)、124.0(2C)、124.1(4C)、125.1(2C)、127.3(t,J=11.1Hz,2C)、127.5(2C)、128.8(4C)、129.8(4C)、130.1(4C+2C)、131.1(2C)、135.7(2C)、141.8(2C)、143.7(1C)、144.6(2C)、146.6(2C)、146.8(2C)、148.5(2C)、150.0(2C)、150.4(2C)、160.4(dd,JC-F=4.2,254.7Hz,4C)、160.5(dd,JC-F=4.2,253.6Hz,4C).
合成例(6)
化合物(1-1668):9,11-ビス(2,4-ジフルオロフェニル)-N
7,N
7,N
13,N
13,5,15-ヘキサフェニル-5,9,11,15-テトラヒドロ-5,9,11,15-テトラアザ-19b,20b-ジボラジナフト[3,2,1-de:1’,2’,3’-jk]ペンタセン-7,13-ジアミンの合成
窒素雰囲気下、1,3-ジブロモベンゼン(1.22ml、10.0mmol)、2,4-ジフルオロアニリン(2.54ml、25.0mmol)、Pd
2(dba)
3(0.183g、0.200mmol)、SPhos(0.164g、0.400mmol)、NaOtBu(2.88g、30.0mmol)、およびトルエン(100ml)の入ったフラスコを40℃に加熱し、6時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製し、さらにヘキサンで洗浄することで、N
1,N
3-ビス(2,4-ジフロオロフェニル)ベンゼン-1,3-ジアミンを白色固体として得た(1.94g、収率58%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=5.54(s,2H)、6.55-6.62(m,3H)、6.76-6.83(m,2H)、6.86(ddd,J=2.9,8.6,10.9Hz,2H)、7.15(t,J=8.0Hz,1H),7.26(ddd,J=5.7,9.2,9.2Hz).
窒素雰囲気下、N
1,N
3-ビス(2,4-ジフロオロフェニル)ベンゼン-1,3-ジアミン(0.997mg、3.00mmol)、国際公開第2018/212169号公報に記載された手法に従って合成した5-クロロ-N
1,N
1,N
3,N
3-テトラフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(2.95g、6.60mmol)、Pd
2(dba)
3(0.137g、0.150mmol)、SPhos(0.123g、0.300mmol)、NaOtBu(0.865g、9.00mmol)、およびトルエン(15.0ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、24時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン=3/2(容量比))で精製し、さらに酢酸エチルで洗浄することで、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N
3,N
3,N
5,N
5-テトラフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)を白色固体として得た(2.76g、収率80%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=6.25(d,J=2.3Hz,4H)、6.38(t,J=2.3Hz,2H)、6.41-6.46(m,3H)、6.65-6.74(m,4H)、6.85-7.02(m,27H)、7.09-7.16(m,16H).
窒素雰囲気下、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N
3,N
3,N
5,N
5-テトラフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)(0.173g、0.150mmol)および1,2,4-トリクロロベンゼン(3.00ml)の入ったフラスコに、三臭化ホウ素(0.114ml、1.20mmol)を室温で加え、180℃で20時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下で残留した三臭化ホウ素および反応液中の臭化水素を留去した。ジクロロメタン(30.0ml)を加えて反応溶液を希釈した後に、リン酸緩衝溶液(pH=7,100ml)を0℃で加え、水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体をアセトニトリルにより80℃で加熱洗浄した。続いてトルエンにより110℃で加熱洗浄することで、式(1-1668)の化合物を黄色固体として得た(0.121g、収率69%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl2)2):δ=5.61(d,J=5.7Hz,1H)、5.66(s,2H)、5.66(d,J=1.7Hz,2H)、6.71-6.83(m,6H)、6.90-6.99(m,12H)、7.02-7.13(m,10H)、7.21-7.26(m,4H)、7.29-7.38(m,4H)、7.38-7.49(m,6H)、9.20(dd,J=1.7,8.0Hz,2H)、10.5(s,1H).
13C-NMR(126MHz,CDCl3):93.7(2C)、96.6(2C)、103.4(1C)、112.1(d,JC-F=24.0Hz,4C)、112.4(2C)、112.9(d,JC-F=22.8Hz,4C)、115.1(2C)、118.4(2C)、118.7(t,JC-F=17.3Hz,2C)、120.9(2C)、122.1(t,JC-F=14.5Hz,2C)、124.0(2C)、124.1(4C)、125.1(2C)、127.3(t,J=11.1Hz,2C)、127.5(2C)、128.8(4C)、129.8(4C)、130.1(4C+2C)、131.1(2C)、135.7(2C)、141.8(2C)、143.7(1C)、144.6(2C)、146.6(2C)、146.8(2C)、148.5(2C)、150.0(2C)、150.4(2C)、160.4(dd,JC-F=4.2,254.7Hz,4C)、160.5(dd,JC-F=4.2,253.6Hz,4C).
合成例(7)
化合物(1-1666):9,11-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-N
7,N
7,N
13,N
13,5,15-ヘキサフェニル-5,9,11,15-テトラヒドロ-5,9,11,15-テトラアザ-19b,20b-ジボラジナフト[3,2,1-de:1’,2’,3’-jk]ペンタセン-7,13-ジアミンの合成
窒素雰囲気下、1,3-ジブロモベンゼン(1.22ml、10.0mmol)、2,6-ジフルオロアニリン(3.04ml、30.0mmol)、Pd
2(dba)
3(0.183g、0.200mmol)、SPhos(0.164g、0.400mmol)、NaOtBu(2.88g、30.0mmol)、およびトルエン(50.0ml)の入ったフラスコを60℃に加熱し、2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製し、さらにヘキサンで洗浄することで、N
1,N
3-ビス(2,6-ジフロオロフェニル)ベンゼン-1,3-ジアミンを白色固体として得た(3.20g、収率96%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=5.43(s,2H)、6.26(s,1H)、6.36(d,J=8.0Hz,2H)、6.90-6.98(m,4H)、6.98-7.05(m,2H)、7.09(t,J=8.0Hz,1H).
窒素雰囲気下、N
1,N
3-ビス(2,6-ジフロオロフェニル)ベンゼン-1,3-ジアミン(1.16g、3.50mmol)、国際公開第2018/212169号公報に記載された手法に従って合成した5-クロロ-N
1,N
1,N
3,N
3-テトラフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(3.44g、7.70mmol)、Pd
2(dba)
3(0.160g、0.180mmol)、SPhos(0.144g、0.350mmol)、NaOtBu(1.01g、10.5mmol)、およびトルエン(17.5ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、40時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水に注ぎ込み、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1(容量比))で精製し、さらに酢酸エチルで洗浄することで、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
1-(2,6-ジフルオロフェニル)-N
3,N
3,N
5,N
5-テトラフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)を白色固体として得た(3.03g、収率75%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3):δ=6.29(d,J=1.7Hz,4H)、6.38(t,J=2.3Hz,2H)、6.41(t,J=2.3Hz,1H)、6.51(dd,J=2.3,8.0Hz,2H)、6.73-6.80(m,4H)、6.85-6.91(m,9H)、6.96-7.03(m,18H)、7.09-7.16(m,16H).
窒素雰囲気下、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
1-(2,6-ジフルオロフェニル)-N
3,N
3,N
5,N
5-テトラフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)(2.65g、2.30mmol)および1,2,4-トリクロロベンゼン(50.0ml)の入ったフラスコに、三臭化ホウ素(1.75ml、18.4mmol)を室温で加え、200℃で20時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下で残留した三臭化ホウ素および反応液中の臭化水素を留去した。ジクロロメタン(500ml)を加えて反応溶液を希釈した後に、リン酸緩衝溶液(pH=7,400ml)を0℃で加え、水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた固体をアセトニトリルにより80℃で加熱洗浄した。続いてトルエンにより110℃で加熱洗浄した後、シリカゲルショートパスカラム(溶離液:トルエン)で精製し、さらにトルエンにより110℃で加熱洗浄することで、式(1-1666)の化合物を黄色固体として得た(1.617g、収率60%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl2)2):δ=5.80(s,4H)、5.91(s,1H)、6.81-6.88(m,6H)、6.99(t,J=7.5Hz,4H)、7.03(d,J=8.0Hz,8H)、7.15(t,J=8.0Hz,8H)、7.18-7.26(m,2H)、7.33(d,J=8.0Hz,4H)、7.37-7.45(m,4H)、7.45-7.50(m,2H)、7.53(t,J=8.0Hz,4H)、9.30(d,J=7.5Hz,2H)、10.5(s,1H).
13C-NMR(126MHz,CDCl3):93.7(2C)、96.6(2C)、103.4(1C)、112.1(d,JC-F=24.0Hz,4C)、112.4(2C)、112.9(d,JC-F=22.8Hz,4C)、115.1(2C)、118.4(2C)、118.7(t,JC-F=17.3Hz,2C)、120.9(2C)、122.1(t,JC-F=14.5Hz,2C)、124.0(2C)、124.1(4C)、125.1(2C)、127.3(t,J=11.1Hz,2C)、127.5(2C)、128.8(4C)、129.8(4C)、130.1(4C+2C)、131.1(2C)、135.7(2C)、141.8(2C)、143.7(1C)、144.6(2C)、146.6(2C)、146.8(2C)、148.5(2C)、150.0(2C)、150.4(2C)、160.4(dd,JC-F=4.2,254.7Hz,4C)、160.5(dd,JC-F=4.2,253.6Hz,4C).
比較合成例(1)
化合物(C-1):N,N,5,9-テトラフェニル-5,9-ジヒドロ-5,9-ジアザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン-7-アミンの合成
N
1,N
1,N
3,N
3,N
5,N
5-ヘキサフェニル-1,3,5-ベンゼントリアミン(11.6g、20mmol)およびオルトジクロロベンゼン(ODCB、120ml)に、窒素雰囲気下、室温で三臭化ホウ素(3.78ml、40mmol)を加えた後、170℃で48時間加熱撹拌した。その後、60℃で減圧下、反応溶液を留去した。フロリジルショートパスカラムで濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。ヘキサンで粗生成物を洗浄することで、黄色固体として式(C-1)の化合物を得た(11.0g、収率94%)。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=5.62(brs,2H)、6.71(d,2H)、6.90-6.93(m,6H)、7.05-7.09(m,4H)、7.20-7.27(m,6H)、7.33-7.38(m,4H)、7.44-7.48(m,4H)、8.90(dd,2H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3):δ=98.4(2C)、116.8(2C)、119.7(2C)、123.5(2C)、125.6(4C)、128.1(2C)、128.8(4C)、130.2(4C)、130.4(2C)、130.7(4C)、134.8(2C)、142.1(2C)、146.6(2C)、147.7(2C)、147.8(2C)、151.1(4H).
比較合成例(2)
化合物(C-2):N
7,N
7,N
13,N
13,5,9,11,15-オクタフェニル-5,9,11,15-テトラヒドロ-5,9,11,15-テトラアザ-19b,20b-ジボラジナフト[3,2,1-de:1’,2’,3’-jk]ペンタセン-7,13-ジアミンの合成
窒素雰囲気下、1,3-ジブロモベンゼン(25.0g、106mmol)、アニリン(20.3ml、223mmol)、Pd
2(dba)
3(971mg、1.06mmol)、BINAP(1.98g、3.18mmol)、NaOtBu(25.5g、265mmol)およびトルエン(400ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、18時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、シリカゲルを用いて濾過し(溶離液:トルエン)、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をトルエンに溶解させた後、適当量を減圧留去し、ヘキサンを加え再沈殿させることで、N
1,N
3-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミンを白色固体として得た(16.5g、収率60%)。
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=5.63(s,2H)、6.60(dd,2H)、6.74(t,1H)、6.90(t,2H)、7.06(d,4H)、7.12(t,1H)、7.24(dt,4H).
窒素雰囲気下、1,3-ジブロモ-5-クロロベンゼン(8.11g、30mmol)、ジフェニルアミン(10.1g、60mmol)、Pd
2(dba)
3(550mg、0.6mmol)、SPhos(0.493g、1.2mmol)、NaOtBu(8.60g、90mmol)およびトルエン(300ml)の入ったフラスコを80℃に加熱し、15時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、シリカゲルで濾過し(溶離液:トルエン)、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をトルエンに溶解させた後、減圧留去することで飽和溶液を調製し、ヘキサンを加え再沈殿させることで、5-クロロ-N
1,N
1,N
3,N
3-テトラフェニルベンゼン-1,3-ジアミンを白色固体として得た(5.66g、収率43%)。
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=6.56(d,2H)、6.64(t,1H)、7.00(t,4H)、7.05(d,8H)、7.21(dd,8H).
窒素雰囲気下、N
1,N
3-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(1.34g、5.1mmol)、5-クロロ-N
1,N
1,N
3,N
3-テトラフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(4.80g、11mmol)、Pd
2(dba)
3(0.140g、0.15mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン(60.7mg、0.30mmol)、NaOtBu(1.47g、15mmol)およびトルエン(200ml)の入ったフラスコを110℃に加熱し、8時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、シリカゲルを用いて濾過し(溶離液:トルエン)、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をヘキサン、メタノールの順に洗浄することで、N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
1,N
3,N
3,N
5,N
5-ペンタフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)を白色固体として得た(4.80g、収率87%)。
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=6.38(d,4H)、6.41(t,2H)、6.58(dd,2H)、6.70(t,1H)、6.88-6.90(m,14H)、6.85(t,1H)、6.99(d,16H)、7.08-7.15(m,20H).
N
1,N
1’-(1,3-フェニレン)ビス(N
1,N
3,N
3,N
5,N
5-ペンタフェニルベンゼン-1,3,5-トリアミン)(3.24g、3.0mmol)およびオルトジクロロベンゼン(400ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、室温で、三臭化ホウ素(1.13ml、12mmol)を加えた。滴下終了後、180℃まで昇温して20時間撹拌した。その後、再び室温まで冷却して、N-ジイソプロピルエチルアミン(7.70ml、45mmol)を加え、発熱が収まるまで撹拌した。その後、60℃で減圧下、反応溶液を留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をアセトニトリル、メタノール、トルエンの順に洗浄し、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン)で精製後、粗体をo-ジクロロベンゼンで2回再結晶を行い、その後1×10
-4mmHgの減圧下、440℃にて昇華精製することで、式(C-2)の化合物を得た(1.17g)。
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=5.72(s,2H)、5.74(s,2H)、5.86(s,1H)、6.83(d,2H)、6.88-6.93(m,12H)、7.05(t,8H)、7.12-7.19(m,6H)、7.24-7.26(m,4H)、7.05(d,4H)、7.12(dd,8H)、7.12-7.19(m,6H)、7.32(d,4H)、7.38(dd,2H)、7.42(t,2H)、7.46(dd,2H)、7.47(dd,4H)、9.30(d,2H)、10.5(s,1H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3):99.5(2C+2C)、103.4(1C)、116.8(2C)、120.0(2C)、123.1(4C)、125.3(8C)、127.1(2C)、127.6(2C)、128.5(8C)、129.6(4C)、129.8(4C)、130.2(4C+2C)、130.3(4C)、135.0(2C)、142.1(2C)、142.5(2C)、143.3(1C)、146.8(4C)、147.9(2C+2C)、148.0(2C)、150.1(2C)、151.1(2C).
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の多環芳香族化合物を合成することができる。
次に、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
<有機EL素子の評価>
実施例1に係る有機EL素子を作製し、1000cd/m2発光時の特性である電圧(V)、発光波長(nm)、外部量子効率(%)を測定し、次に10mA/cm2の電流密度で定電流駆動した際の初期輝度の98%以上の輝度を保持する時間を測定した。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりまたは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/m2になる電圧を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR-3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
作製した実施例1に係る有機EL素子における各層の材料構成、およびEL特性データを下記表1Aおよび表1Bに示す。
表1Aにおいて、「HI」はN4,N4’-ジフェニル-N4,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンであり、「HAT-CN」は1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT-1」はN-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンであり、「HT-2」はN,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-4-アミンであり、「BH-1」は2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ナフト[2,3-b]ベンゾフランであり、「ET-1」は4,6,8,10-テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4-kl]フェノキサボリニンであり、「ET-2」は3,3’-((2-フェニルアントラセン-9,10-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(4-メチルピリジン)である。「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
<実施例1>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HAT-CN、HT-1、HT-2、BH-1、化合物(1-1)、ET-1およびET-2をそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをぞれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、HAT-CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT-1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、次に、HT-2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、4層からなる正孔層を形成した。次に、BH-1と化合物(1-1)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH-1と化合物(1-1)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。さらに、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET-2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、2層からなる電子層を形成した。ET-2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒であった。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定したところ、波長458nmの青色発光が得られ、駆動電圧は3.90V、外部量子効率は7.89%であった。
作製した実施例2~8および比較例1~2に係る有機EL素子における各層の材料構成、およびEL特性データを下記表2Aおよび表2Bに示す。
表2Aにおいて、「BH-2」は2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ジベンゾ[b、d]フランである。化合物(C-1)および化合物(C-2)と共に以下に化学構造を示す。
<実施例2>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HAT-CN、HT-1、HT-2、BH-2、化合物(1-1)、ET-1およびET-2をそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをぞれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、HAT-CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT-1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、次に、HT-2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、4層からなる正孔層を形成した。次に、BH-2と化合物(1-1)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH-2と化合物(1-1)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。さらに、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET-2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、2層からなる電子層を形成した。ET-2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒であった。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定したところ、駆動電圧は3.80V、外部量子効率は7.50%であった。また10mA/cm2の電流密度で定電流駆動した際の初期輝度の98%以上の輝度を保持する時間を測定したところ、53時間であった。
<実施例3~8および比較例1~2>
実施例2に準じた方法で有機EL素子を作製し(表2A)、EL特性を測定した(表2B)。
<実施例9>
次に、式(1)で表される化合物において、電子受容性のフッ素原子を導入による発光波長の短波長化効果について、蛍光スペクトルを測定して検証した。
蛍光スペクトルの測定は、式(1-1666)、式(1-1674)または式(1-1668)の化合物を2×10
-5Mの濃度でトルエンに溶解させて測定溶液を準備した後、これを石英製の光学セルに入れて、励起波長380nmで励起して蛍光スペクトルを測定した。結果を下記表3Aに示す。
また、比較化合物である式(C-2)の化合物を2×10
-5Mの濃度でトルエンに溶解させて測定溶液を準備した後、これを石英製の光学セルに入れて、励起波長380nmで励起して蛍光スペクトルを測定した。結果を下記表3Bに示す。
以上の結果から、フッ素原子を導入することによる蛍光スペクトルの短波長化効果が確認できた。この結果は分子にフッ素原子を導入することによって、より短波長の青色発光が得られることを示している。