以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の実施形態に係る車両の運転支援装置を、車両に搭載された運転支援システムに適用した場合を例として説明する。本実施形態の運転支援装置の実施の形態は限定されず、車両コントローラと情報の授受が可能な携帯端末装置に適用することもできる。運転支援装置、運転支援システム及び携帯端末装置は、いずれも演算処理を実行する運転制御用のコンピュータである。
図1は、運転支援システム1000のブロック構成を示す図である。本実施形態の運転支援システム1000は、運転支援装置100と車両コントローラ200とを備える。本実施形態の運転支援装置100は通信装置111を有し、車両コントローラ200も図外の通信装置を有し、両装置は有線通信又は無線通信により互いに情報の授受を行う。
運転支援システム1000は、センサ1と、ナビゲーション装置2と、読み込み可能な記録媒体に記憶された地図情報3と、自車情報検出装置4と、環境認識装置5と、物体認識装置6と、運転支援装置100と、車両コントローラ200とを備える。各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
センサ1は、自車両の周囲(前方、側方、後方の全周囲)の障害物の存在を含む走行環境に関する情報を検知する。センサ1は、カメラを含む。本実施形態のカメラは、例えばCCD等の撮像素子を備えるカメラである。本実施形態のカメラは自車両に設置され、自車両の周囲を撮像し、自車両の周囲に存在する対象車両を含む画像データを取得する。カメラは、自車両周囲の環境情報を認識するための装置であり、イメージセンサのみならず、超音波カメラ、赤外線カメラなどを含む。センサ1は、測距センサを含む。測距センサは、自車両と対象物との相対距離および相対速度を演算する。測距センサにより検出された対象物の情報は、プロセッサ10に向けて出力される。測距センサとしては、レーザーレーダー、ミリ波レーダーなど(LRF等)、LiDAR(light detection and ranging)ユニット、超音波レーダーなどの出願時に知られた方式のものを用いることができる。センサ1は、一又は複数のカメラ、測距センサを採用することができる。本実施形態のセンサ1は、カメラの検知情報と測距センサの検知情報など複数の異なるセンサ情報を統合し、もしくは合成することにより補完し、自車両周囲の環境情報とするセンサフュージョン機能を備える。このセンサフュージョン機能は、環境認識装置5や物体認識装置6やその他のコントローラやロジックに組み込まれるようにしてもよい。
センサ1が検知する対象物は、車線境界線、センターライン、路面標識、中央分離帯、ガードレール、縁石、高速道路の側壁、道路標識、信号機、横断歩道、工事現場、事故現場、交通制限を含む。対象物は、自車両以外の自動車(他車両)、オートバイ、自転車、歩行者を含む。対象物は、障害物を含む。障害物は、自車両の走行に影響を与える対象物である。センサ1は、少なくとも障害物に関する情報を検知する。
ナビゲーション装置2は、地図情報3を参照し、自車情報検出装置4により検出された現在位置から目的地までの走行レーン/走行経路を算出する。走行レーン又は走行経路は、自車両が走行する道路、方向(上り/下り)及び車線が識別された線形である。走行経路は、走行レーンの情報を含む。以下、走行レーンをレーンと省略して記載することもある。
地図情報3は、運転支援装置100、車載装置、又はサーバ装置に設けられた記録媒体に読み込み可能な状態で記憶される。地図情報3は、経路算出及び/又は運転制御に用いられる。地図情報3は、道路情報、施設情報、それらの属性情報を含む。道路情報及び道路の属性情報には、道路幅、曲率半径、路肩構造物、道路交通法規(制限速度、車線変更の可否)、道路の合流地点、分岐地点、車線数の増加・減少位置、交差点の位置等の情報が含まれている。本実施形態の地図情報3は、いわゆる高精細地図情報である。高精細地図情報によれば、レーンごとの移動軌跡を把握できる。高精細地図情報は、各地図座標における二次元位置情報及び/又は三次元位置情報、各地図座標における道路・レーンの境界情報、道路属性情報、レーンの上り・下り情報、レーン識別情報、接続先レーン情報を含む。
自車情報検出装置4は、自車両の状態に関する検知情報を取得する。自車両の状態とは、自車両の現在位置、速度、加減速度、姿勢、車両性能を含む。これらは、自車両の車両コントローラ200から取得してもよいし、自車両の各センサから取得してもよい。自車情報検出装置4は、自車両のGPS(Global Positioning System)ユニット、ジャイロセンサ、オドメトリから取得した情報に基づいて自車両の現在位置を取得する。自車情報検出装置4は、自車両の車速センサから自車両の速度・加減速度を取得する。自車情報検出装置4は、自車両の慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)から自車両の姿勢データを取得する。
環境認識装置5は、センサ1が取得した位置情報、自車両周囲の画像情報及び測距情報から得られた物体認識情報、及び地図情報に基づいて構築された環境に関する情報を認識する。環境認識装置5は、複数の情報を統合することにより、自車両の周囲の環境情報を生成する。物体認識装置6も、地図情報3を用いて、センサ1が取得した自車両周囲の画像情報及び測距情報を用いて、自車両周囲の物体の認識や動きを予測する。
車両コントローラ200は、電子コントロールユニット(ECU:Electronic Control Unit)などの車載コンピュータであり、車両の運転を律する駆動機構210を電子的に制御する。車両コントローラ200は、駆動機構210に含まれる駆動装置、制動装置、および操舵装置を制御して、自車両を目標経路に従って走行させる。駆動機構210には、走行駆動源である電動モータ及び/又は内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、動力伝達装置を制御する駆動装置、及び車輪を制動する制動装置などが含まれる。車両コントローラ200は、アクセル操作及びブレーキ操作による入力信号、車両コントローラ200又は運転支援装置100から取得した制御信号に基づいてこれら駆動機構210の各制御信号を生成し、車両の加減速を含む運転制御を実行させる。駆動機構210に制御情報を送出することにより、車両の加減速を含む運転制御を自動的に行うことができる。
車両コントローラ200は、地図情報3が記憶するレーン情報、環境認識装置5が認識した情報、及び物体認識装置6で取得した情報の内の何れか一つ以上を用いて、自車両が走行経路(軌跡)に対して所定の横位置を維持しながら走行するように操舵装置の制御を行う。本明細書における走行レーン/走行経路は、自車両の走行する軌跡に対応する経路であり、道路、道路の上り/下り、道路の車線ごとに識別可能である。操舵装置は、ステアリングアクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、ステアリングのコラムシャフトに取り付けられるモータ等を含む。操舵装置は、車両コントローラ200から取得した制御信号、又は運転者のステアリング操作により入力信号に基づいて車両の操舵制御を実行する。
以下、本実施形態の運転支援装置100について説明する。運転支援装置100は、自車両の運転を制御することにより、自車両の走行を支援する制御を実行する。
図1に示すように、本実施形態の運転支援装置100は、プロセッサ10を備える。プロセッサ10は、自車両の運転制御を実行させるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、運転支援装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えるコンピュータである。本実施形態のプロセッサ10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。プロセッサ10は、通信装置111を備える出力装置110を備え、各種の出力又は入力の指令、情報の読み込み許可又は情報提供の指令を車両コントローラ200、各構成2-6へ送出する。プロセッサ10は、センサ1、上述した各構成2-6、及び車両コントローラ200と相互に情報の授受を行う。
プロセッサ10は、目的地設定機能120と、経路プランニング機能130と、運転計画機能140と、運転可能ゾーン算出機能150と、経路算出機能160と、運転行動制御機能170と備える。本実施形態のプロセッサ10は、上記各機能を実現する又は各処理を実行するためのソフトウェアと、上述したハードウェアとの協働により各機能を実行する。
プロセッサ10の各機能の実現による制御手順の内容を図2に基づいて説明する。図2のステップS1において、プロセッサ10は、目的地設定機能120により、自車情報検出装置4の検出結果に基づいて自車両の現在位置を取得する処理を実行させる。そして、ステップS2において、プロセッサ10は、目的地設定機能120により、自車両の目的地を設定する処理を実行させる。目的地はユーザが入力したものであってもよいし、予測されたものであってもよい。ステップS3において、プロセッサ10は、経路プランニング機能130により、地図情報3を含む各種検出情報を取得する。ステップS4において、プロセッサ10は、経路プランニング機能130により、目的地設定機能120により設定した目的地に対する走行レーン(又は走行経路)を設定する。プロセッサ10は、経路プランニング機能130により、地図情報3や自己位置情報に加え、環境認識装置5や物体認識装置6から得られた情報を用いて、走行レーンを設定する。この経路プランニング機能130により、走行する道路を設定するが、道路に限らず、道路内において自車両が走行する車線を設定する。ステップS5において、プロセッサ10は、運転計画機能140により、経路上の各地点における自車両の運転行動を計画する処理を実行させる。運転計画は、各地点における進行(GO)、停止(No-GO)といった運転行動が規定される。例えば、交差点を右折する場合では、停止線の位置で停止するのか否かの判定や、対向車線の車両に対する進行判定を実行する。ステップS6において、ステップS5で計画した運転行動を実行するために、プロセッサ10は、運転可能ゾーン算出機能150により、地図情報3や自己位置情報に加え、環境認識装置5や物体認識装置6から得られた情報を用いて、自車両の周囲で走行可能な領域を算出する処理を実行する。ステップS7において、プロセッサ10は、運転行動制御機能170により、自車両が走行する走行軌跡を算出する処理を実行させる。
さらに、プロセッサ10は、運転行動制御機能170により、走行軌跡に沿って走行する時の目標車速/加減速度、目標加減速度、それらのプロファイルを決定する。なお、決定した目標速度/加減速度、目標加減速度を、走行軌跡の算出処理にフィードバックして、車両の挙動変化及び車両の乗員が違和感を覚える動き(挙動)を抑制するように、走行軌跡を生成するようにしてもよい。決定した走行軌跡を目標速度/加減速度、目標加減速度を算出する処理にフィードバックして、車両の挙動変化及び車両の乗員が違和感を覚える動き(挙動)を抑制するように、目標速度/減速度、目標加減速度を算出するようにしてもよい。ステップ8において、プロセッサ10は、算出された走行軌跡を自車両に走行させる運転計画を立案する処理を実行させる。そして、ステップ9において、プロセッサ10の出力装置110は、通信装置111を介して運転計画に基づく制御命令、制御指令値を車両コントローラ200に出力し、各種アクチュエータである駆動機構210を動作させる。
本実施形態では、プロセッサ10は、運転行動制御機能170により、自車両が交差点に向けて走行している時に、センサ1が取得した情報により、交差点の信号表示を認識できなかった場合には、交差点の停止位置に車両を停止させるための目標車速を算出する。具体的には、プロセッサ10は、運転行動制御機能170により、自車情報検出装置4が取得した自車両の車速情報、環境認識装置5や物体認識装置6から得られた交差点の停止位置に関する情報や自車両の周囲を走行する他車両等の周囲環境に関する情報を取得する。そして、当該情報に基づき、信号表示が不認識のときに自車両の現在位置から停止位置に自車両を停止させるまでの車速プロファイルを生成する。そして、生成された車速プロファイルを目標車速プロファイルに設定し、設定された目標車速プロファイルに基づき、目標車速を算出する。また、プロセッサ10は、運転行動制御機能170により、認識された信号表示が停止信号または中間信号であった場合には、信号表示が停止信号または中間信号であるときに車両を交差点の停止位置に停止させるまでの車速プロファイルを生成する。中間信号は、進行許可を示す進行信号から停止信号に変わる間に表示される信号である。そして、生成された車速プロファイルを目標車速プロファイルに設定し、設定された目標車速プロファイルに基づき、目標車速を算出する。また、プロセッサ10は、運転行動制御機能170により、認識された信号表示が停止信号または中間信号以外である場合には、信号表示に応じた走行制御を行うための目標車速を算出する。例えば、車両が日本国内の道路を走行する場合には、信号表示が青信号であれば、交差点を通過するための目標車速を算出する。各車速プロファイル生成および目標車速プロファイル設定の詳細については、後述する。
車両コントローラ200は、プロセッサ10からの指令値に基づいて、自車両の走行位置を制御する縦力及び横力を入力する。これらの入力に従い、自車両が目標とする走行レーン(走行経路)に追従して自律的に走行するように、車体の挙動及び車輪の挙動が制御される。これらの制御に基づいて、車体の駆動機構210の駆動アクチュエータ、制動アクチュエータの少なくとも一方、必要に応じてステアリングアクチュエータが自律的に動作し、目的地に至る自律的な運転制御が実行される。手動操作に基づく指令値に従い、駆動機構210を操作することもできる。
図3は、プロセッサ10により実行される目標車速を算出する制御手順を示すフローチャートである。本制御手順は、自車両が交差点に向かって走行している時の、図2のステップS7における目標車速の算出の制御手順を示しているものである。以下、図3を用いて、目標車速を算出する手順を説明する。
まず、ステップS101では、プロセッサ10は、環境認識装置5や物体認識装置6から得られた周囲環境に関する情報を取得する。ここで取得する周囲環境に関する情報は、自車両の周囲を走行する他車両の情報、交差点に関する情報を含む。交差点の情報は、交差点にある信号機の信号表示に関する情報を含む。信号表示としては、進行許可を示す進行信号と、停止信号と、進行信号から停止信号に変わる間に表示される中間信号がある。例えば、日本国内では、青色の灯火が進行信号を示し、赤色の灯火が停止信号を示し、黄色の灯火が中間信号を示す。信号表示が中間信号の場合、原則として、停止信号と同じく、自車両を交差点の停止位置で停止させることになる。自車両の周囲を走行する他車両の情報としては、他車両の車速、位置および加減速度に関する情報である。情報が取得される対象となる他車両は、自車両が走行するレーンの前方を走行する周囲車両や後方を走行する周囲車両を含み、自車両の進行方向の道路にレーンが複数ある場合には、自車両が走行するレーン以外のレーンを走行する周囲車両を含む。また、プロセッサ10は、地図情報3から、交差点の停止位置に関する情報を取得する。交差点の停止位置に関する情報としては、交差点の停止線あるいは、交差点の停止線に既に停止している車両が存在する場合には、当該車両の後方位置に関する情報である。
ステップS102では、プロセッサ10は、自車両の情報を取得する。ここで取得する自車両の情報は、自車両の位置、速度、加減速度に関する情報である。例えば、自車両の位置情報は、交差点などの道路設備に対する相対的な位置情報としてもよい。
ステップS103では、プロセッサ10は、自車両が交差点に接近しているか否かを判定する。具体的には、地図情報3から取得した交差点の位置情報と自車両の位置情報に基づき、交差点から所定の距離の範囲内に自車両が位置するか否かを判定し、交差点から所定の距離以内に自車両が位置すると判定される場合には、自車両が交差点に接近していると判定する。所定の距離以内に自車両が位置すると判定されない場合には、自車両は交差点に接近していないと判定する。また、センサ1によって取得した画像情報の中から、画像認識によって、交差点の信号機を特定できるか否かによって自車両が交差点に接近しているか否かを判定することとしてもよい。自車両が交差点に接近していると判定されると、ステップS104に進む。自車両が交差点に接近していると判定されない場合には、ステップS101に戻り、以下、フローを繰り返す。
ステップS104では、プロセッサ10は、自車両の現在位置から自車両を交差点の停止位置で停止させる第1車速プロファイルを設定する。第1車速プロファイルは、所定の第1減速度で交差点の停止位置に自車両を停止させる車速プロファイルである。このとき、所定の第1減速度は、信号表示が停止信号または中間信号である場合に交差点の停止位置に車両を停止させるときの通常の減速度(以下、通常減速度という)、すなわち乗員に違和感なく自車両を停止させることができる減速度である。図4は、第1車速プロファイルと第2車速プロファイルを示す図であり、これらの車速プロファイルは、自車両の現在位置D0からの距離に対応づけられた車速を示す。P1は第1車速プロファイルであり、自車両の現在位置D0から減速開始位置D1まで自車両の現在自車速V1で走行し、減速開始位置D1から通常減速度で減速し、停止位置Deで停止するまでの車速プロファイルを示す。第2車速プロファイルについては、後述する。第1車速プロファイルP1は、所定の通常減速度、自車両の現在位置から交差点の停止位置までの距離及び自車両の現在自車速に基づき設定される。具体的には、プロセッサ10は、所定の通常減速度と、自車両の現在位置から交差点の停止位置までの距離に基づき、自車両の現在位置から通常減速度で減速し、交差点の停止位置で車速がゼロになる通常減速度車速プロファイルを生成し、通常減速度車速プロファイル上で自車両の現在位置から停止位置までの各地点に対応する通常車速をそれぞれ算出する。そして、各地点における通常車速と自車両の現在自車速とをそれぞれ比較し、通常車速と現在自車速のうち、最小値となる車速をそれぞれ選択し、各地点においてそれぞれ選択された車速を用いて、第1車速プロファイルを生成する。このとき、通常車速と現在自車速が一致する地点が減速開始タイミングに対応する減速開始位置となる。あるいは、通常減速度車速プロファイル上で現在自車速に対応する地点、すなわち減速開始位置を求め、自車両の現在位置から減速開始位置までは現在自車速を維持し、減速開始位置から通常減速度車速プロファイル上の車速に遷移する車速プロファイルを第1車速プロファイルとすることとしてもよい。
なお、第1車速プロファイルについて、自車両が取得する周囲環境情報には、自車両の後方を走行する後続車両の位置、速度及び加減速度に関する後続車両情報を含み、プロセッサ10は、後続車両情報に基づいて、第1車速プロファイルを生成することとしてもよい。具体的には、例えば、プロセッサ10は、後続車両の位置、速度及び加減速度に関する情報から、後続車両の現在位置から交差点の停止位置までの後続車両車速プロファイルを生成し、後続車両との車間距離を一定に維持する車速プロファイルを設定する。または、後続車両の位置、速度及び加減速度に関する情報に基づき、生成された第1車速プロファイルを補正することとしてもよい。これにより、第1車速プロファイルにしたがって自車両の減速を開始する時に、後続車両に接近しすぎることを回避することができる。
ステップS105では、プロセッサ10は、第1車速プロファイル上における減速開始タイミングに対応する減速開始位置の手前に自車両が位置するか否かを判定する。例えば、自車両の現在位置から停止位置までの距離と、減速開始位置から停止位置までの距離をそれぞれ算出し、自車両の現在位置から停止位置までの距離のほうが大きい場合には、自車両が減速開始位置の手前に位置すると判定される。自車両が減速開始位置の手前に位置すると判定される場合には、ステップS106に進む。自車両が減速開始位置の手前に位置すると判定されない場合には、ステップS110に進む。
ステップS106では、プロセッサ10は、交差点の信号機の信号表示が認識できるか否かを判定する。例えば、信号表示が認識できないというのは、センサ1が画像として信号機を撮像できたとしても、逆光等の事情により、信号表示が判別できないということであり、または、オクルージョンにより、信号機の手前に他車両等が存在していてセンサ1が信号機を撮像できない状態が発生しているということである。プロセッサ10が、交差点の信号機の信号表示を認識できないと判定される場合には、ステップS200に進み、信号表示が不認識のときに自車両を交差点の停止位置に停止させるための目標車速の算出処理を実行する。交差点の信号機の信号表示が認識できると判定される場合には、ステップS107に進む。
ステップS107では、プロセッサ10は、画像認識により、認識された信号表示が停止信号または中間信号であるか否かを判定する。信号表示が停止信号または中間信号であると判定される場合には、ステップS108に進む。信号表示が停止信号または中間信号であると判定されない場合には、ステップS109に進む。
ステップS108では、プロセッサ10は、第1車速プロファイルに基づき、目標車速を算出する。目標車速は、第1車速プロファイルを追従するように算出される。算出される目標車速は、第1車速プロファイル上で、現在位置からプレビュー時間相当分、離れた位置における車速である。プレビュー時間は、操舵制御などの制御入力に対する出力の遅延時間に相当する時間であって、制御遅れ(応答遅れ)を時間で示したものである。プロセッサ10は、第1車速プロファイル上で、当該プレビュー時間後の自車両の位置に対応する目標車速を算出する。目標車速を算出すると、図2のステップS8に戻る。
ステップS109では、プロセッサ10は、信号表示が停止信号でも中間信号でもない、すなわち進行信号であるときに当該信号表示に応じた目標車速を算出する。例えば、日本国内であれば、信号表示が青信号であるとき、交差点を通過するための目標車速を算出する。例えば、自車両が走行している自車線の制限速度を目標車速として算出する。または、前方車両に追従して走行する場合には、前方車両の車速に基づき、目標車速を算出する。プロセッサ10が目標車速を算出すると、図2のステップS8に進む。
ステップS110では、プロセッサ10は、画像認識により、交差点の信号機の信号表示が認識できるか否かを判定する。プロセッサ10が、交差点の信号機の信号表示を認識できないと判定される場合には、ステップS200に進み、信号表示が不認識のときに自車両を交差点の停止位置に停止させるための目標車速の算出処理を実行する。交差点の信号機の信号表示が認識できると判定される場合には、ステップS112に進む。
ステップS200では、プロセッサ10は、信号表示が不認識であるときの目標車速を算出する。具体的には、図5に示されるフローチャートにしたがい、目標車速プロファイルを設定し、設定された目標車速プロファイルに基づき、目標車速を算出する。以下、図5を用いて、目標車速算出の処理手順を説明する。
まず、ステップS201では、プロセッサ10は、所定の第2減速度で自車両を減速させて自車両の現在位置から交差点の停止位置で停止させるまでの第2車速プロファイルを生成する。第2車速プロファイルは、自車両の位置、自車速、減速度及び停止位置に関する情報に基づき生成される、自車両の現在位置から停止位置に自車両を停止させるまでの車速プロファイルである。所定の第2減速度は、交差点の停止位置に自車両を適切に停止させる走行制御が可能な範囲の減速度のうち最大の減速度(以下、最大減速度という)である。このとき、最大減速度は、通常減速度より大きい減速度である。
また、図4において、P2は第2車速プロファイルであり、自車両の現在位置D0から距離D2まで現在自車速V1で自車両を走行させ、距離D2を減速開始位置として最大減速度で減速させて、停止位置Deで自車両を停止させるまでの車速プロファイルを示す。第2車速プロファイルP2は、所定の最大減速度で自車両の現在位置D0から停止位置Deに車両を停止させるまでの最大減速度車速プロファイルと現在自車速に基づき、生成される。具体的には、プロセッサ10は、最大減速度車速プロファイル上で現在位置から停止位置までの各地点に対応する最大車速をそれぞれ算出し、算出した各地点における最大車速と現在自車速とを比較する。各地点における現在自車速は、現在位置D0における車速と同一車速とする。そして、比較結果に基づき、最大車速と現在自車速のうち、より値が低い車速をそれぞれ選択し、各地点においてそれぞれ選択された車速を用いて、第2車速プロファイルを生成する。このとき、第2車速プロファイルの減速開始位置D2は、最大車速と現在自車速が一致する地点であり、第1車速プロファイルの減速開始位置D1よりも停止位置Deに近い。第2車速プロファイルは、減速開始位置D2をできるだけ停止位置Deに近づけるようなプロファイルになっている。そのため、例えば、信号表示を認識できない状態で、自車両が第2車速プロファイル上の車速で走行した場合には、自車両が減速開始位置D2に到達するまでは、信号表示の認識制御を継続しながら、第2車速プロファイル上の車速で走行する。これにより、自車両が前記交差点に向かって走行している時には、信号表示の認識結果を得られるように、自車両が減速開始位置D2に到達するまで、停止位置に停止するための減速制御の開始タイミングを遅らせている。一方、第1車速プロファイルは、停止位置Deに対して、減速開始位置D1を減速開始位置D2より遠くなるようなプロファイルになっている。そのため、信号表示が停止信号または中間信号であることが認識でき、自車両が第1車速プロファイル上の車速で走行した場合には、停止信号または中間信号に備えて、早めに減速を開始できる。
ステップS202では、プロセッサ10は、センサ1の検知範囲内に、自車両の周囲を走行する周囲車両が存在するか否かを判定する。周囲車両としては、例えば、前方を走行する前方車両や隣接車線を走行する車両や後方を走行する後方車両を含む。センサ1により、周囲車両が検知される場合には、周囲車両が存在すると判定され、ステップS203に進む。周囲車両が検知されない場合には、周囲車両が存在すると判定されず、ステップS206に進む。
ステップS203では、プロセッサ10は、周囲車両車速プロファイルを生成する。周囲車両車速プロファイルは、自車両の現在位置情報、停止位置情報及び自車両の周囲を走行する周囲車両の位置、車速、加減速度に関する周囲環境情報に基づき、運動方程式を用いて生成される、自車両の現在位置から交差点の停止位置までの車速プロファイルである。周囲車両の位置は、自車両の現在位置に対する相対的な位置である。図6は、周囲車両Aが距離Daの位置において車速Vaで走行している時の、自車両の現在位置D0から停止位置Deまでの周囲車両車速プロファイルを示す図であり、周囲車両車速プロファイルP3は、車両の現在位置D0からの距離に対応づけられた周囲車両車速を示す。図6で示されるように、周囲車両車速プロファイルP3は、周囲車両Aの位置Daから停止位置Deまでの車速プロファイルのみならず、自車両の現在位置D0から周囲車両Aの位置Daまでの車速プロファイルを含みものである。ステップS203で周囲車両車速プロファイルを生成すると、ステップS204に進む。
また、自車両の周囲を走行する周囲車両が複数存在する場合には、それぞれの周囲車両について周囲車両車速プロファイルを生成することとしてもよい。例えば、センサ1により、自車両の周囲を走行する周囲車両が複数検知された場合には、プロセッサ10は、複数の周囲車両それぞれの位置や車速、加減速度に関する情報から、それぞれの周囲車両車速プロファイルを生成し、複数の周囲車両車速プロファイル上で自車両の現在位置から停止位置までの各地点に対応する周囲車両車速をそれぞれ算出する。そして、各地点における複数の周囲車両車速の平均車速を地点ごとにそれぞれ算出し、それぞれ算出された平均車速を各地点における周囲車両車速として用いて、周囲車両車速プロファイルを生成する。
また、センサ1により、周囲車両が複数検知された場合には、プロセッサ10は、複数の周囲車両車速プロファイル上で自車両の現在位置から停止位置までの各地点に対応する周囲車両車速をそれぞれ算出し、算出された複数の周囲車両車速のうち、最も低い車速に基づき、周囲車両車速プロファイルを生成することとしてもよい。具体的には、プロセッサ10は、複数の周囲車両それぞれの位置や車速、加減速度に関する情報から、それぞれの周囲車両車速プロファイルを生成し、複数の周囲車両車速プロファイル上で自車両の現在位置から停止位置までの各地点に対応する周囲車両車速をそれぞれ算出する。そして、各地点において算出された複数の周囲車両車速を比較し、最も低い車速を各地点における周囲車両車速として用いて、周囲車両車速プロファイルを生成する。
さらに、ステップS203では、周囲車両車速プロファイルの生成に利用される周囲環境情報に条件をつけて取捨選択することとしてもよい。例えば、プロセッサ10は、自車両の位置情報と地図情報、車線境界情報に基づき、自車両が走行している自車線や対向車線、右左折専用車線を認識し、対向車線や右左折専用車線を走行している他車両に関する情報を区別して、周囲車両車速プロファイル生成のために利用される周囲環境情報から除外する。あるいは、自車両の進行方向の道路に車線が複数あり、複数の他車両が走行している場合には、プロセッサ10は、自車両が走行している自車線とそれ以外の車線を認識する。そして、自車線以外の車線を走行している周囲車両の車速や加減速度に関する情報よりも、自車線を走行している他車両の車速や加減速度に関する情報に重みづけをして周囲車両車速プロファイルの生成を行うこととしてもよい。これにより、より周囲の状況に即した周囲車両車速プロファイルを生成することができる。
ステップS204では、プロセッサ10は、ステップS104で設定した第1車速プロファイル、ステップS201で生成した第2車速プロファイルとステップS203で生成した周囲車両車速プロファイルを比較する。図7は、第1車速プロファイルP1と第2車速プロファイルP2と周囲車両車速プロファイルP3を示す図である。図7で示されるように、各車速プロファイル上で自車両の現在位置D0から停止位置Deまでの間の各地点に対応する車速を比較して、周囲車両車速プロファイルP3が第2車速プロファイルP1と第1車速プロファイルP2に囲まれた範囲内に位置するか否かを判定する。具体的には、プロセッサ10は、各車速プロファイル上で自車両の現在位置D0から停止位置Deまでの間の各地点に対応する車速をそれぞれ算出し、各地点においてそれぞれ算出された車速を比較する。図7では、周囲車両車速プロファイルP3上で現在自車速V1に対応する距離をD3とすると、D3から停止位置Deまでの距離の間は、周囲車両車速プロファイルP3上で当該距離における各地点に対応する車速は、第1車速プロファイルP1上で当該距離における各地点に対応する車速よりも高く、第2車速プロファイルP2上で当該距離に対応する車速よりも低い。すなわち、周囲車両車速プロファイルP3は、第1車速プロファイルP1と第2車速プロファイルP2に囲まれた範囲に位置する。一方で、自車両の現在位置D0からD3までの距離の間では、周囲車両車速プロファイルP3上で当該距離における各地点に対応する車速は、第2車速プロファイルP2上で当該距離における各地点に対応する車速よりも高い。すなわち、周囲車両車速プロファイルP3は、第1車速プロファイルP1と第2車速プロファイルP2に囲まれた範囲外に位置する。
ステップS204における具体的な車速プロファイルの比較手順は、図8のフローチャートに示されるとおりである。ステップS204では、自車両の現在位置から交差点の停止位置までの間の各地点すべてにおいて、図8で示されるフローチャートに基づき、地点ごとに車速プロファイルの比較が実行される。
ステップS301では、プロセッサ10は、取得した周囲車両の位置における周囲車両車速と、第1車速プロファイルを比較する。まず、プロセッサ10は、周囲車両車速プロファイル上で自車両の現在位置から停止位置までの各地点に対応する周囲車両車速をそれぞれ算出し、第1車速プロファイル上で当該各地点に対応する第1車速を算出する。次に、算出した各地点における周囲車両車速と第1車速をそれぞれ比較し、周囲車両車速が第1車速以下であるか否かを判定する。そして、周囲車両車速が第1車速以下であると判定される場合には、ステップS302に進む。周囲車両車速が第1車速以下であると判定されない場合には、ステップS303に進む。
ステップS302では、プロセッサ10は、第1車速プロファイルの第1車速を選択する。これにより、信号表示が不認識であるときに、第1車速プロファイルよりも低い車速になるような車速プロファイルが生成されることを防ぐことができる。
ステップS303では、プロセッサ10は、取得した周囲車両の位置における周囲車両車速と、第2車速プロファイルを比較する。まず、プロセッサ10は、第2車速プロファイル上で自車両の現在位置から停止位置までの各地点に対応する第2車速をそれぞれ算出する。次に、ステップS203で算出した各地点における周囲車両車速と第2車速をそれぞれ比較し、周囲車両車速が第2車速以上であるか否かを判定する。そして、周囲車両車速が第2車速以上であると判定される場合には、ステップS304に進む。周囲車両車速が第2車速以上であると判定されない場合には、ステップS305に進む。
ステップS304では、プロセッサ10は、第2車速プロファイルの第2車速を選択する。
ステップS305では、プロセッサ10は、周囲車両車速プロファイルの周囲車両車速を選択する。すなわち、周囲車両車速が、第1車速プロファイルと第2車速プロファイルの間にあると判定されると、プロセッサ10は、周囲車両車速を選択することとなる。周囲車両車速プロファイルを選択することで、周囲車両の動きに合わせた車速プロファイルを設定することができる。特に、後続車両に関する情報から生成された周囲車両車速プロファイルを選択することで、減速時に、自車両が後続車両に接近しすぎることを回避することができる。自車両の現在位置から停止位置までの間の各地点全てにおいて、当該地点における車速の選択が終了すると、ステップS107を終了し、ステップS108に進む。
ステップS205では、プロセッサ10は、ステップS204において選択された車速を用いて、信号表示が不認識であるときに自車両を交差点の停止位置に停止させるまでの目標車速プロファイルを設定する。例えば、図7で示された各車速プロファイルの比較によれば、図9で示されるように、目標車速プロファイルP4は、自車両の現在位置D0からD3までの距離では、第2車速プロファイルP2における車速が用いられ、D3から停止位置Deまでの距離では、周囲車両車速プロファイルP3における車速が用いられた車速プロファイルにより設定される。すなわち、自車両の現在位置D0からD3までの距離を自車両の現在自車速V1で走行し、距離D3を減速開始位置として減速を開始し、停止位置Deで停止する目標車速プロファイルが設定される。
また、本実施形態における目標車速プロファイルの設定について、停止位置直前に停止しようとしている周囲車両がいる場合の設定方法を説明する。図10は、周囲車両Bが距離Dbにおいて車速Vbで走行している場面で、プロセッサ10が、周囲環境情報として、周囲車両Bに関する情報を取得し、当該情報に基づき設定した、自車両の現在位置D0から停止位置Deまでの周囲車両車速プロファイルP3を示す図である。図10で示されるように、周囲車両Bの車速Vbや位置Db、減速度に関する情報から生成された周囲車両車速プロファイルP3上の周囲車両車速と第1車速プロファイルP1上の第1車速を、自車両の現在位置D0から停止位置Deまでの間の各地点において比較すると、常に周囲車両車速が第1車速よりも低い。したがって、このような場合においては、自車両の現在位置から停止位置までの各地点において第1車速が選択されることとなり、第1車速プロファイルが目標車速プロファイルP4として設定される。
また、自車両の現在自車速よりも低い車速で一定速走行する周囲車両がいる場合には、図11で示されるような目標車速プロファイルが設定される。図11は、プロセッサ10が、周囲環境情報として、Dcにおいて速度Vcで一定速走行している周囲車両Cに関する情報を取得し、当該情報に基づき生成した、自車両の現在位置D0から停止位置Deまでの周囲車両車速プロファイルP3を示す図である。このとき、目標車速プロファイルP4は、自車両の現在位置D0から第1車速プロファイルP1上で車速がVcになる距離D4までは、周囲車両車速プロファイルP3上の車速が第1車速プロファイルP1上の車速より低いため、第1車速プロファイルP1上の車速が選択される。距離D4から第2車速プロファイルP2上で車速がVcになる距離D5までの間は、周囲車両車速プロファイルP3上の車速が第1車速プロファイルP1上の車速より高いかつ第2車速プロファイルP2上の車速より低いため、周囲車両車速プロファイルP3上の車速が選択される。そして、距離D5から停止位置Deまでは、周囲車両車速プロファイルP3上の車速が第2車速プロファイルP2上の車速より高いため、第2車速プロファイルP2上の車速が選択される。したがって、このような場合においては、図11で示される車速プロファイルが目標車速プロファイルP4として設定される。
また、本実施形態における目標車速プロファイル設定について、自車両の周囲に加速している周囲車両が存在する場合を説明する。所定値以上の加速度で加速している周囲車両が存在する場合においては、当該周囲車両に関する情報を周囲環境情報から除外して周囲車両車速プロファイルを生成しないか、または周囲車両が自車両の現在自車速と同じ速度で走行しているものとみなして周囲車両車速プロファイルを生成する。これは、加速している車両は、交差点の停止位置をこえて走行すると考えられるため、停止位置で停止するまでの車速プロファイルの設定には利用できないことによるものである。加速している周囲車両が停止状態から加速を始めた場合も走行中に加速を始めた場合もいずれの場合にも同様に処理する。図12は、停止位置付近の距離Ddで加速している周囲車両Dが存在する場合において生成された周囲車両車速プロファイルを示す図である。周囲車両Dが加速している場合には、プロセッサ10は、自車両の現在自車速V1を維持して一定速走行する周囲車両が存在するとみなして周囲車両車速プロファイルP3を生成する。したがって、このときの目標車速プロファイルP4は、距離D2まで現在自車速V1で走行し、距離D2を減速開始位置として減速を開始して停止位置Deで停止するまでの車速プロファイルが設定される。距離Ddを車速Vdで走行している周囲車両Dが加速している場合には、本来、周囲車両車速プロファイルとしては、破線P3′で示される周囲車両車速プロファイルが生成されるところであるが、周囲車両車速プロファイルP3′を用いて目標車速プロファイルを設定すると、目標車速プロファイルは、停止位置に向けて減速している途中で加速を始めて再度減速するという車速プロファイルとなり、車両の挙動として適切な走行ができない。そのため、加速している周囲車両が存在する場合には、目標車速プロファイルP3のように、現在自車速V1で走行する周囲車両が存在するとみなして、周囲車両車速プロファイルP3を生成することとなる。また、加速している周囲車両が存在する場合には、そもそも周囲車両車速プロファイル生成のための情報から、加速している周囲車両に関する情報を除外することとしてもよい。
ステップS206では、センサ1により、自車両の周囲を走行する周囲車両を検知されなかった場合には、プロセッサ10は、第2車速プロファイルを目標車速プロファイルとして設定する。第2車速プロファイルを目標車速プロファイルに設定することによって、自車両は、交差点の停止位置に近い地点まで現在自車速を維持して減速開始タイミングを遅らせることができる。この間に、信号表示が不認識の状態から信号表示が認識できるようになったとしても、走行制御内容を急変させることなく、信号表示に合わせて適切な走行制御の変更を実行することができる。
ステップS207では、プロセッサ10は、ステップS205またはステップS206で設定した目標車速プロファイルに基づき、目標車速を算出する。目標車速は、目標車速プロファイルを追従するように算出される。算出される目標車速は、目標車速プロファイル上で、現在位置からプレビュー時間相当分、離れた位置における車速である。プレビュー時間は、操舵制御などの制御入力に対する出力の遅延時間に相当する時間であって、制御遅れ(応答遅れ)を時間で示したものである。プロセッサ10は、目標車速プロファイル上で、当該プレビュー時間後の自車両の位置に対応する目標車速を算出する。目標車速を算出すると、図2のステップS8に戻る。
ステップS112では、プロセッサ10は、ステップS110で信号表示が認識できると判定されると、認識された信号表示が停止信号または中間信号であるか否かを判定する。信号表示が停止信号または中間信号であると判定される場合には、ステップS113に進む。信号表示が停止信号または中間信号であると判定されない場合には、ステップS115に進む。
ステップS113では、プロセッサ10は、信号表示が停止信号または中間信号であると認識した時点における自車両の現在位置から交差点の停止位置に自車両を停止させるための目標車速プロファイルを設定する。具体的には、プロセッサ10は、自車両の現在位置から交差点の停止位置までの距離、現在自車速に基づき、停止位置に自車両を停止させることができる減速度を算出し、算出された減速度により自車両を減速させて停止位置で車速がゼロになる目標車速プロファイルを設定する。これにより、第1車速プロファイル上の減速開始タイミングよりも後において、信号表示が不認識の状態から信号表示が停止信号または中間信号であると認識できるようになったときにおいても、信号表示に対して適切な停止制御を実行することができる。目標車速プロファイルを設定すると、ステップS114に進む。
ステップS114では、プロセッサ10は、ステップS113で設定した目標車速プロファイルに基づき、目標車速を算出する。目標車速は、目標車速プロファイルを追従するように算出される。算出される目標車速は、目標車速プロファイル上で、現在位置からプレビュー時間相当分、離れた位置における車速である。プレビュー時間は、操舵制御などの制御入力に対する出力の遅延時間に相当する時間であって、制御遅れ(応答遅れ)を時間で示したものである。プロセッサ10は、目標車速プロファイル上で、当該プレビュー時間後の自車両の位置に対応する目標車速を算出する。目標車速を算出すると、図2のステップS8に戻る。
なお、実環境での目標車速制御では、様々な周囲環境に合わせた走行を実現するために、交差点の停止位置への停止制御にかかる目標車速のほかに、制限車速制御や前方車両への追従制御、目標経路の形状に対する走行制御を行う場合があるため、プロセッサ10は、それぞれの目標車速を算出して、算出したそれぞれの目標車速を比較する。そして、交差点の停止位置への停止制御にかかる目標車速が最も低い車速である時に、各ステップにおいて算出される目標車速として選択することとしてもよい。
ステップS115では、プロセッサ10は、信号表示が停止信号でも中間信号でもない、すなわち進行信号であるときに、当該信号表示に応じた目標車速を算出する。例えば、日本国内の走行であれば、信号表示が青信号であるとき、交差点を通過するための目標車速を算出する。例えば、自車両が走行している自車線の制限速度を目標車速として算出する。または、前方車両に追従して走行する場合には、前方車両の車速に基づき、目標車速を算出する。プロセッサ10が目標車速を算出すると、図2のステップS8に進む。
本実施形態では、プロセッサ10は、自車両が交差点に向けて走行している間、繰り返し目標車速プロファイルの設定とその目標車速プロファイルに基づく目標車速の算出を実行する。具体的には、自車両が停止位置に向けて走行している間、プロセッサ10は、図3に示す制御フロー、図5に示す制御フロー及び図8に示す制御フロー(ステップS105における自車両と減速開始位置との相対位置の判定から目標車速の算出までの制御フロー)を、所定の周期で、繰り返し実行する。自車両が走行中には、常に周囲環境情報を取得するため、周囲車両の走行に変化があれば、その都度、周囲車両車速プロファイルが更新され、それに伴い、目標車速プロファイルも更新されることになる。また、同様に、周囲環境情報を取得している中で、信号表示が認識可能になれば、プロセッサ10は、当該信号表示に応じた走行制御を実行する。また、信号表示が認識できる状態から信号表示が不認識になった場合には、不認識のときに自車両を交差点の停止位置に停止させるまでの車速プロファイルを設定し、当該車速プロファイルを目標車速プロファイルとして設定することとしてもよい。
また、前述のとおり、本実施形態では、交差点に接近していることが判定され、第1車速プロファイルが設定された後、交差点の停止位置に自車両が到達するまで、プロセッサ10は、信号表示が認識できるか否かを繰り返し判定する。そして、本実施形態では、信号表示が不認識の状態が続く場合には、プロセッサ10は、第1車速プロファイルにより自車両を減速させる場合の減速開始位置で減速を開始させずに現在自車速を維持させて自車両を走行させる。これにより、信号表示が停止信号または中間信号であるときよりも、現在自車速を維持して走行する時間を長くすることができ、その間に、信号表示が認識できれば、実際の信号表示に合わせた走行制御に変更したとしても、走行制御の内容が急変することを防ぐことができる。例えば、自車両が第1車速プロファイルの減速開始位置の手前の地点を走行している時に、信号表示を認識できた場合には、認識できた信号表示に基づいて車両の走行を制御する。具体的には、停止信号が停止信号または中間信号であると認識できれば、第1車速プロファイルにしたがって、自車両を交差点の停止位置に停止させる。一方で、信号表示が不認識である場合には、第1車速プロファイルにおける減速開始位置を越えて自車速を維持して走行する車速プロファイルを設定する。このとき、第1車速プロファイルの減速開始位置よりも交差点の停止位置に近い減速開始位置が設定されるような車速プロファイルを設定することとしてもよいし、まず、第1車速プロファイルの減速開始位置を現在自車速で通過する車速プロファイルのみを設定し、第1車速プロファイルの減速開始位置を越えた後に、実際の減速開始位置を設定し、当該減速開始位置から減速を開始する車速プロファイルを設定することとしてもよい。
また、例えば、自車両が第1車速プロファイルの減速開始位置を越えた後においても、信号表示が不認識の状態であれば、現在自車速で走行する時間を長くしながら、信号表示が認識できるか否かの判定を繰り返す。ただし、信号表示が不認識の状態のまま交差点の停止位置に自車両が到達する場合には、交差点の停止位置に自車両を停止させることを前提として、プロセッサ10は、最大の減速度で減速させる第2車速プロファイルの減速開始位置を設定し、遅くとも、当該減速開始位置で減速を開始させる。あるいは、周囲車両の走行に自車両の走行を合わせることを優先し、周囲車両の車速プロファイルに基づく減速開始位置を設定することとしてもよい。そして、自車両が第1車速プロファイルの減速開始位置を越えた後において、信号表示が不認識の状態から信号表示が認識できるようになれば、プロセッサ10は、認識された信号表示に基づいて自車両の走行を制御する。例えば、信号表示を認識した時点における自車両の現在位置から交差点の停止位置に自車両を停止させる車速プロファイルを設定する。
以上のように、本実施形態では、センサを用いて、自車両の進行方向の信号機の信号表示を認識し、プロセッサを用いて、所定の第1減速度で自車両を交差点の停止位置に減速させる第1車速プロファイルを設定し、第1車速プロファイルにより自車両を減速させる場合の減速開始タイミングまでに、信号表示が停止信号、または進行許可を示す進行信号から停止信号に変わる間に表示される中間信号であると認識した場合に、第1車速プロファイルに基づいて自車両の走行を制御する運転支援方法であって、プロセッサは、信号表示が認識できるか否かを判定し、信号表示が不認識であると判定している場合、第1車速プロファイルにより自車両を減速させる場合の減速開始タイミング以降において、第1車速プロファイルより車速が高い目標車速プロファイルを設定し、目標車速プロファイルに基づき、自車両を制御する。これによって、車両が交差点に向かって走行している時に、交差点の信号表示を認識できない状態から交差点の信号表示を認識できるようになり、走行制御を変更することになったとしても、走行制御の内容を急変させずに車両の走行を適切に制御することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、信号表示が不認識であると判定している場合、第1車速プロファイルにより自車両を減速させる場合の減速開始タイミングよりも遅く自車両の減速を開始する目標車速プロファイルを設定する。これにより、信号表示が不認識だった場合において、信号表示が停止信号または中間信号であると認識したときに自車両を停止位置で停止させる場合における通常の減速度で自車両を減速させるよりも、不認識の状態から信号表示を認識できるようになったときに、走行制御の内容を急変させずに車両の走行を適切に制御することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、信号表示が不認識であると判定している場合、第1車速プロファイルの所定の第1減速度よりも大きい所定の第2減速度で自車両を停止位置に停止させる第2車速プロファイルを算出し、第2車速プロファイルを用いて、目標車速プロファイルを設定する。これにより、第1車速プロファイル上の自車両が減速を開始するタイミングの後に減速を開始することになっても、交差点の停止位置まで自車両を停止させることができる。
また、本実施形態では、第2減速度は、自車両を停止位置に停止可能な範囲の減速度のうち最大の減速度である。これにより、より停止位置に近い地点から自車両の減速を開始することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、自車両の周囲を走行する周囲車両に関する周囲環境情報を取得し、信号表示が不認識であると判定している場合、周囲環境情報に基づき、周囲車両の停止位置までの周囲車両車速プロファイルを生成し、生成された周囲車両車速プロファイルを用いて目標車速プロファイルを設定する。これにより、周囲車両に関する情報を用いることで、周囲車両の動きに合わせた停止制御を実行することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、周囲車両の車速である周囲車両車速と、自車両に対する周囲車両の相対的な位置を検出し、第1減速度よりも大きい第2減速度で自車両を停止位置に停止させる第2車速プロファイルを生成し、検出された周囲車両の相対的な位置における周囲車両車速が、第1車速プロファイルと第2車速プロファイルの間にあるか否かを判定し、検出された周囲車両の相対的な位置における周囲車両車速が、第1車速プロファイルと第2車速プロファイルの間にある場合に、周囲車両車速プロファイルを用いて目標車速プロファイルを設定する。これにより、第1車速と第2車速の範囲内で、周囲の車両の動きに合わせた目標車速プロファイルを設定することで、周囲の車両の動きに合わせながらもより適切な制御を実行することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、周囲車両の車速である周囲車両車速と、自車両に対する周囲車両の相対的な位置を検出し、検出された周囲車両の相対的な位置における周囲車両車速が、第1車速プロファイルより小さいか否かを判定し、検出された周囲車両の相対的な位置における周囲車両車速が、第1車速プロファイルより小さい場合に、第1車速プロファイルを用いて目標車速プロファイルを設定する。これにより、周囲車両が、通常の減速度で減速する場合における減速開始位置よりも前の地点から減速をしている場合であっても、通常の減速度で減速する場合における減速開始位置で自車両の減速を開始することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、周囲車両の車速である周囲車両車速と、自車両に対する周囲車両の相対的な位置を検出し、所定の第1減速度よりも大きい所定の第2減速度で自車両を停止位置に停止させる第2車速プロファイルを生成し、検出された周囲車両の相対的な位置における周囲車両車速が、第2車速プロファイルより大きいか否かを判定し、検出された周囲車両の相対的な位置における周囲車両車速が、第2車速プロファイルより大きい場合に、第2車速プロファイルを用いて目標車速プロファイルを設定する。これにより、周囲車両が、最大減速度で減速する場合における減速開始位置よりも後の地点から減速をしている場合であっても、最大減速度で減速する場合における減速開始位置で自車両の減速を開始することができる。
また、本実施形態では、周囲環境情報は、自車両の後続車両の位置、車速及び加減速度に関する後続車両情報を含み、プロセッサは、後続車両情報に基づき、第1車速プロファイルを生成する。これにより、自車両を減速させて交差点の停止位置に停止させるときに、後続車両に接近しすぎてしまうということを防ぐことができる。
また、本実施形態では、周囲環境情報は、周囲車両の位置、車速及び加減速度に関する周囲車両情報を含み、プロセッサは、周囲車両情報に基づき、運動方程式を用いて、自車両の現在位置から停止位置までの周囲車両車速プロファイルを生成する。これにより、自車両から離れた周囲車両の情報を用いることで、より周囲車両の動きに合わせた走行を制御することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、周囲車両が所定の加速度以上で加速している場合には、加速している周囲車両に関する情報を周囲環境情報から除外し、または自車両の現在自車速と同じ車速で走行している周囲車両が存在するとみなし、周囲車両車速プロファイルを生成する。これにより、信号を通過しようと加速する車両の走行の影響を防ぐことで、より適切に停止位置に停止することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、周囲車両を複数検知した場合には、複数の周囲車両それぞれに対応する周囲車両車速プロファイルを生成し、複数の周囲車両車速プロファイルの平均車速を用いて、周囲車両車速プロファイルを生成する。これにより、複数の周囲車両の平均車速を用いることにより、多くの周囲車両の動きを考慮した走行制御を実現することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、周囲車両を複数検知した場合には、複数の周囲車両それぞれに対応する周囲車両車速プロファイルを生成し、生成された複数の周囲車両車速プロファイルの内、各地点における最小の周囲車両速度を用いて、周囲車両車速プロファイルを生成する。これにより、複数の周囲車両の最小車速を用いることで、より安全な走行制御を実現することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、信号表示が不認識と判定している場合、周囲車両に関する周囲環境情報を取得し、周囲環境情報を取得できる場合に、周囲環境情報に基づき、周囲車両の停止位置までの周囲車両車速プロファイルを生成し、周囲環境情報を取得できない場合に、所定の第1減速度よりも大きい所定の第2減速度で自車両を停止位置に停止させる第2車速プロファイルを用いて目標車速プロファイルを設定する。これにより、周囲車両が検知できなかった場合であっても、自車両を停止位置で適切に停止させる制御を実行することができる。
さらに、本実施形態では、プロセッサは、減速開始タイミングの後において、信号表示を認識できない状態から信号表示が停止信号または中間信号であると認識できるようになった場合には、自車両を停止位置に停止させる目標車速プロファイルを設定する。これにより、信号表示が認識できる場合には、当該信号表示に即した走行を制御することができる。
また、本実施形態では、プロセッサは、自車両の現在自車速を算出し、停止位置に対して所定の減速度によって停止させる際の車速プロファイルである仮想車速プロファイルを算出し、現在自車速と、仮想車速プロファイルを比較し、比較結果に基づき、最小の車速を用いて第1車速プロファイルを設定する。これにより、交差点の停止位置を超えることなく、また、不必要な加減速をすることなく、停止位置に自車両を停止させる走行制御を設計することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。