JP7365020B2 - ゲルを有する物体の製造法 - Google Patents
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Description
以下、第1の実施の形態に係るゲルを有する物体の製造法について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係る成形型の製造法のフロー図である。図2は、第1の実施の形態で使用する一組の成形型の斜視図である。図3は、第1の実施の形態で使用する一組の成形型の図面代用写真である。図4は、第1の実施の形態の一組の成形型が閉じた状態を示す斜視図である。図5は、第1の実施の形態に係る成形の状態を示す模式図である。
A1+B1→C1
A2+B2→C2
といったデータの操作を行い、三次元CADデータ(C1)と、三次元CADデータ(C2)を得る。三次元CADデータ(C1)は、成形型1aの三次元CADデータであり、三次元CADデータ(C2)は、成形型1bの三次元CADデータである。これらの操作も、コンピュータで三次元CADのソフトウェアを操作して行う。
成形材料は、熱可逆性、熱硬化性、カチオン反応性のいずれかによりゲル化する特性を有するハイドロコロイドより選択される。
熱可逆性のゲルは、加熱により溶解し冷却により凝固する性質を持ち、例えば、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ゼラチン、キサンタンガム、カシアガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、フェヌグリークガム、グルコマンナン、タマリンドガム、ジェランガム、ネーティブジェランガム、澱粉より選ばれる1以上の材料が例示される。このうち例えばキサンタンガムはカシアガム、タラガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガムのいずれか1以上との複合物によりゲル化する特性を持つ。
熱硬化性のゲルは、水またはぬるま湯で溶解し、加熱により凝固する性質を持ち、例えば、カードラン、卵白、卵白加工物などが例示される。
カチオン反応性を有するゲルは、溶解した水溶液にカルシウムイオンなどのカチオンを加えて架橋構造をとるなどにより凝固する性質を持ち、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなど)、ペクチン、グアーガム、ポリビニルアルコールなどが例示される。
熱可逆性、熱硬化性、カチオン反応性のいずれかによりゲル化する特性を有するハイドロコロイドは、ゲル化を阻害しない限りにおいて、上記材料から選ばれるいずれか1以上を配合することとしても良い。
これらの材料は、粉体の場合、事前に配合し混合されていてもいいし、この混合粉体を溶解して成形液にしてもいい。これらは使いやすいように計量され、包装されていることが好ましい。熱可逆性の成形液(液状の成形材料または成形物を言う、以下同じ)は常温に保存されゲル化している場合には、成型時には加熱再溶解して使用される。
カチオン反応性の成形液は、成形時にカルシウムなどカチオンを同時に加えて使用される。さらに成型物が腐敗しないように必要に応じて、メチルパラベンやエチルパラベンなどの防腐剤を加えることができる。
生体組織を模したゲルを有する物体の物性は、それぞれの生体組織に合わせることが好ましい。このために、熱可逆性、熱硬化性、カチオン反応性のいずれかによりゲル化する特性を有するハイドロコロイドの物性が重要である。
従来の3Dプリンタにおける工業材料では、その硬度にショア硬さを用いる場合が多い。本発明のショア硬さとしては、生体組織それぞれにより異なるが、例えばゴムショア硬さA10以下程度の硬さと表すことができる。
一方、本発明では、ゲル状物のレオロジー特性を表す測定として、テクスチャーアナライザーやレオメーターによる破断強度と破断歪みにより表現することができ、精度の高い生体組織の模倣が可能になった。
破断強度は、本発明のゲルに応力をかけ破断するときの荷重であり、破断歪みは本発明のゲルに応力をかけ破断するまでの変形距離で表すことができる。それぞれの生体組織に合わせて本発明のゲルを有する物体の材料を組み合わせることが出来る。
本実施の形態における、ゲルを有する物体として好ましく使用できる皮膜素材について述べる。皮膜が均一に適度な厚さに形成されるために皮膜素材に要求される条件としては、
(1)皮膜を塗布する時に、ゲル化力を有するハイドロコロイド溶液(ゾル)の粘度が低いこと。粘度が高いと厚い皮膜になり、目的とする薄さの皮膜が得られない。
(2)塗布される温度付近のゾル粘度と、ゾルからゲルに転移する温度(ゲル化転移温度)付近のゾル粘度との差が小さく且つ低粘度であること(塗布後速やかにゲル化させるため、塗布はなるべくゲル化転移温度に近い温度で行うことが好ましいため)。
(3)ゲル化力を有するハイドロコロイド溶液(ゾル)が塗布された後は速やかにゲル化して固まること。
などが挙げられる。
また、ゲル化力を有するハイドロコロイド溶液(ゾル)として、1価または2価のカチオンと反応することにより瞬時にゲル化するものでもよい。
具体的には、
第1のゲル状の皮膜素材については、ゲル化力を有するハイドロコロイド水溶液においてゲル化転移温度より5℃高い溶液粘度と、ゲル化転移温度より20℃高い溶液粘度との差が1~200mPa・sの範囲であり、且つゲル形成能力が極めて高く、ゲル化転移温度より数度低い温度で目的のゲル強度に達し、その後は温度変化によるゲル強度の変化量が少ないことが挙げられ、ネイティブジェランガム、κカラギーナン、寒天が挙げられる。
第2のゲル状の皮膜素材については、ゾルからゲルへの転移が1価または2価のカチオンを介して行われることを特徴とするゲル状の被覆素材が挙げられ、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、LMペクチン、脱アシルジェランガム、アゾトバクタービネランジーガム、ナトリウム型κカラギーナンが挙げられる。
このような皮膜を少なくとも1層以上有する皮膜素材が、本実施の形態における、ゲルを有する物体として好ましく使用できる皮膜素材である。
ここで、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、LMペクチン、脱アシルジェランガム、アゾトバクタービネランジーガムは、カルシウムイオンと反応しゲルを形成する。脱アシルジェランガムはカルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン等と反応してゲルを形成する。ナトリウム型κカラギーナンはカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等と反応してゲルを形成する。
皮膜を形成させる方法としては、第1のゲル状の皮膜素材ではゲルを有する物体に対し、(1)ハイドロゲル化剤を含有する水溶液に含侵させて引き上げる、(2)ハイドロゲル化剤を含有する水溶液を塗布する、(3)ハイドロゲル化剤を含有する水溶液を吹き付ける方法などがある。
第2のゲル状の皮膜素材では、(1)ゲルを有する物体にハイドロゲル化剤を含有する水溶液を浸漬、塗布、吹き付けなどにより付着させた後、1価又は2価いずれか1以上のカチオンを浸漬、塗布、吹き付けなどにより付着させる方法、(2)ゲルを有する物体に1価又は2価いずれか1以上のカチオンを浸漬、塗布、吹き付けなどにより付着や含侵させた後、ハイドロゲル化剤を含有する水溶液を浸漬、塗布、吹き付けなどにより付着させる方法などがある。また、ゲルを有する物体の製造時に1価又は2価いずれか1以上を溶解して混ぜ込み、成型後にハイドロゲル化剤を含有する水溶液を浸漬、塗布、吹き付けなどにより付着させる方法でも良い。
第1のゲル状の皮膜素材および第2のゲル状の皮膜素材としては、上記ハイドロゲル化剤溶液には、糖類、乳化剤、ポリオール、上記外のハイドロコロイド、ミネラル、色素、繊維、などを含んでも良い。糖類には単糖、2糖、オリゴ糖、デキストリン、これらの糖アルコール、乳化剤は一般的に使用されているものであれば特に限定されない。ポリオールはグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどが挙げられる。ハイドロコロイドには、澱粉、ゼラチン、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、フェヌグリークガム、カシアガム、HMペクチン、タマリンドガム、などが挙げられる。ミネラル、色素、繊維は特にこだわらない。
含気させる方法としては、成形材料の溶液に乳化剤、タンパク、ペプチド、などの気泡剤を加え撹拌により気泡させ含気させる方法、成型材料の溶液に直接気体を吹き込んで含気させる方法、成型材料の溶液に重炭酸ナトリウムなどの気体を発生する物質または酸のいずれか一方を溶解しておき、この溶液にもう一方の気体を発生する物質または酸を添加して気体を発生させ含気させる方法などがあるが、含気させることができれば特に方法にこだわるものではない。
ここで、変性素材を臓器モデルに練り込むように含ませる方法を説明する。たとえば、成形材料が熱可逆性のゲルの場合には、成形材料を水に溶解させる前、又は溶解させた後に変性素材を加え溶解する。この変性素材入りの成形材料を有する溶液を、成形型に流し込んで冷却しゲル化させることで、変性素材を熱可逆性のゲルを有する臓器モデルに練り込むように含ませることができる。
また、たとえば、成形材料が熱硬化性のゲルの場合は、成形材料を水又はぬるま湯に溶解又は分散後、また卵白などの溶液状態の成形材料は直接、変性素材を加え、この変性素材入りの成形材料を有する溶液を、成形型に流し込んで加熱しゲル化させる。これで、変性素材を熱硬化性のゲルを有する臓器モデルに練り込むように含ませることができる。
また、たとえば、成形材料がカチオン反応性ゲルの場合は、成形材料を水に溶解させる前、又は溶解させた後に変性素材を加え溶解する。この変性素材入りの成形材料を有する溶液に難溶性カルシウム等を加え成形型に流し込んで冷却しゲル化させる。これで、変性素材をカチオン反応性のゲルを有する臓器モデルに練り込むように含ませることができる。
次に、変性素材を、フィルム状にする方法について説明する。まず、寒天、こんにゃく、カラギーナン、ゼラチン、セルロース誘導体、プルラン等のフィルム基材を使用してフィルムを作製する場合において、フィルム基材が溶液の状態のときに、そのフィルム基材に変性素材を加えフィルム化する方法がある。
次に、成膜した状態のフィルムを、溶液状態の変性素材に浸漬したり、溶液状態の変性素材を噴霧したりしてフィルムに含浸させ乾燥する方法により変性素材を含んだフィルムが作製できる。
これらのフィルムを臓器モデルに直接、又は水などに膨潤させた後に発布する。これにより臓器モデルに密着させることができる。
また、予め成形型に接着剤等を使用してフィルムを貼り付け、この成形型に成形材料の溶液を流し込んでゲル化させても良い。
第1の実施の形態は、3Dプリンタで得られた成形型を用いることから、その成形物である人間の心臓の臓器モデル8の製造を容易にすることを可能としている。また、成形型1a,1bは、何度も成形材料の成形に用いることができることから、臓器モデル8の製造の低コスト化を可能とすることができる。
以下、第2の実施の形態に係るゲルを有する物体の製造法について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2の実施の形態に係る血管11(成形物とは異なる生体組織を模したもの、または手術材料)の外観図である。図8は、肝臓の臓器モデルの外観図である。図9は、第2の実施の形態に係る一組の肝臓用の成形型の図面代用写真である。図10は、第2の実施の形態に係る一組の肝臓用の成形型の転写凹部に臓器モデルをはめ込んだ図面代用写真である。図11は、第2の実施の形態に係る臓器モデルの図面代用写真である。なお、特に明記しない限り、第2の実施の形態に係る成形型の製造法、ゲルすなわち成形物21の材料および成形法は、第1の実施の形態と同様とし、その詳細な説明を省略する。
このように、血管11等の生体組織と成形物21は、それぞれ視覚により判別できるように異なる色彩をなすことが好ましく、さらに人体または動物の生体組織を模した色彩をなすことがより好ましい。また、成形物21は、一の生体組織を模したもの(血管11)とは別の、生体組織を模したもの(肝臓)である。
第2の実施の形態は、血管11の部分の触感を異なるものとした人間の肝臓の臓器モデル18を得ることができた。臓器モデル22は、血管11の部分を固くし、成形物21を寒天と水で柔らかくしているため、血管11の部分が際立った臓器モデル22である。
以下、第3の実施の形態に係るゲルを有する物体の製造法について、図面を参照しながら説明する。図12は、第3の実施の形態に係る成形物32に水溶性樹脂を配置した状態を示す断面模式図である。図13は、図12の状態から水溶性樹脂を溶かして、成形物32に空洞を形成した状態を示す断面模式図である。なお、特に明記しない限り、第3の実施の形態に係る成形型の製造法、ゲルすなわち成形物32の材料および成形法は、第1の実施の形態と同様とし、その詳細な説明を省略する。
第3の実施の形態によって臓器モデル33に空洞12を作ることができる。人間の心臓は、右心房、左心房、右心室、左心室等の空洞を有するため、第3の実施の形態によって、臓器モデル33をリアルに作ることが可能となる。また、臓器モデル以外の「物体」の場合には、第3の実施の形態によって、より複雑な形状を容易に作ることができる。
以下、上記ゲル化特性を有する材料の実施例について実験1から5を記述する。
実験1
熱可逆性の成形材料の成形実験
表1に示した配合にて成形物を作製した(作製量1000gとなるよう最終的に水の量を調節した)。
サンプル1~6は、水に成形物素材(成形材料の一部)を添加し分散後に加熱溶解した後、色素、グリセリンを加え混ぜ合わせ、成形材料を作製した。これを3Dプリンタで作製した成形型1a,1bに充填し10℃に冷却することにより成形物を作製した。また、第2の実施形態と同様に、血管11と共に成形材料を3Dプリンタで作製した成形型20a,20bに充填し10℃に冷却することにより、ゲルを有する物体を作製した。
カラギーナン:イナゲルE-150(商品名) 伊那食品工業株式会社製
ローカストビーンガム:イナゲル L-85(商品名) 伊那食品工業株式会社製
グルコマンナン:イナゲルマンナン100(商品名) 伊那食品工業株式会社製
キサンタンガム:イナゲルV-10(商品名) 伊那食品工業株式会社製
タマリンドガム:イナゲルV-250C(商品名) 伊那食品工業株式会社製
ネーティブジェランガム:LT-100(商品名) CPケルコ製
サイリウムシードガム:イナゲルA-450(商品名) 伊那食品工業株式会社製
実験1の実験結果:サンプル1~7の成形物19,21は、その成形物の形状を力(重力を含む)を加えない状態で維持でき、心臓または肝臓の細かい凹凸を忠実に再現でき、それらの触感とそっくりのものとすることが可能だった。
熱硬化性の成形材料の成形実験
表2に示した配合にて成形物を作製した(作製量1000gとなるよう最終的に水の量を調節した)。
サンプル8は、水にカードランと澱粉、グリセリン、色素を添加し分散後に、3Dプリンタで作製した成形型1a,1bに充填した。これを95℃に加熱することにより成形物を作製した。
また、水にカードランと澱粉、グリセリン、色素を添加し分散後に3Dプリンタで作製した成形型20a,20bに、第2の実施形態と同様に、血管11と共に充填した。これを95℃に加熱することによりゲルを有する物体を作製した。
澱粉 :マツノリンM(商品名) 松谷化学工業株式会社製
実験2の実験結果:サンプル8の成形物19,21は、その成形物の形状を力(重力を含む)を加えない状態で維持でき、心臓または肝臓の細かい凹凸を忠実に再現でき、それらの触感とそっくりのものとすることが可能だった。
カチオン反応性の成形材料の成形実験
表3に示した配合にて成形物を作製した(作製量1000gとなるよう最終的に水の量を調節した)。
サンプル9は、水にアルギン酸ナトリウム、リン酸1カルシウム、グルコノデルタラクトンを溶解し、成形型に充填し24時間放置し成形物を作製した。
サンプル10は水にグリセリン、ポリビニルアルコール、硼砂を溶解し成形型に充填した。60℃に加温しカチオンと反応させ成形物を作製した。
サンプル11は水にジェランガムを分散し加熱溶解した。これに乳酸カルシウムの10%水溶液を添加した。熱時に成形型に充填し、20℃に冷却することによりカルシウムと反応させ成形物を作製した。
これら成形型は、3Dプリンタで作製した成形型1a,1b、および成形型20a,20bである。成形型20a,20bを用いる場合には、第2の実施形態と同様に、血管11と共にサンプル9~11を成形した。
ポリビニルアルコール:ハイビスワコー(商品名) 和光純薬製
ジェランガム:ケルコゲル(商品名) CPケルコ製
寒天:伊那寒天大和(商品名) 伊那食品工業株式会社製
カラギーナン:イナゲルE-150(商品名) 伊那食品工業株式会社製
ローカストビーンガム:イナゲル L-85(商品名) 伊那食品工業株式会社製
グルコマンナン:イナゲルマンナン100(商品名) 伊那食品工業株式会社製
キサンタンガム:イナゲルV-10(商品名) 伊那食品工業株式会社製
タマリンドガム:イナゲルV-250C(商品名) 伊那食品工業株式会社製
実験3の実験結果:サンプル9~11の成形物19,21,32は、その成形物の形状を力(重力を含む)を加えない状態で維持でき、心臓または肝臓の細かい凹凸を忠実に再現でき、それらの触感とそっくりのものとすることが可能だった。
以上のサンプル1~11以外の、熱可逆性、熱硬化性、カチオン反応性のいずれかのゲル化特性を有する成形材料、たとえば、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ゼラチン、キサンタンガム、カシアガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、フェヌグリークガム、グルコマンナン、タマリンドガム、ジェランガム、ネーティブジェランガム、アルギン酸塩、ペクチン、カードラン、澱粉、卵白、卵白加工物、ポリビニルアルコールから選ばれるいずれか1以上を有する成形材料(配合比を変えたものを含む)は、概ねサンプル1~11と同等の実験結果が得られる。
サンプル4で作製したゲルを有する物体に皮膜を形成した。
皮膜1~10は、いずれも良好な皮膜が形成された。
サンプル1、サンプル8、及びサンプル9について含気を行った。
サンプル1は、成形型に充填前の50℃の溶液に重曹を0.5%添加溶解後、10%クエン酸溶液を5%添加して発泡させ含気させ、これを成形型に充填して急冷し成形させた。
サンプル8は、成型型に充填前の40℃の溶液に微細エアノズルを入れて空気を送り込んで含気させた。これを成形型に充填し、95℃に加熱して成形させた。
サンプル9は、成型型に充填前の20℃の溶液に、製菓用粉末卵白を2%添加し高速撹拌機で含気させ、速やかに成形型に充填して24時間放置して成形物させた。
サンプル1、サンプル8、及びサンプル9に含気したゲルを有する物体は、含気しないものに比べ比重が軽く柔らかい感触になった。
サンプル1、サンプル8、及びサンプル9に含気したゲルは、その感触から、人間の肺の臓器モデルの作製に特に適している。
以下、第4の実施の形態に係るゲルを有する物体の製造法について、図面を参照しながら説明する。なお、特に明記しない限り、第4の実施の形態に係る成形型の製造法、ゲルすなわち成形物の材料および成形法は、第2の実施の形態と同様とし、その詳細な説明を省略する。また、図16,図17は、第4の実施の形態に係る成形型50a,50bの斜視図であり、図9および図10に示した成形型20a,20bと同じ形状のものである。そのため、成形型20a,20bと実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第4の実施の形態によって、成形型50a,50bの各区画の硬さ、表面の粗さ、耐熱性、弾力性および熱伝導率等を変えることができる。たとえば、成形型50a,50bの各区画の熱伝導率を変えることができると、ゲルの硬化速度を部分的に調整することができる。また、成形型50a,50bの各区画の硬さを変えることができると、成形型50a,50bの頑丈さまたは強度を部分的に調整することができる。また、成形型50a,50bの表面の粗さを変えることができると、成形型50a,50bの意匠性等を部分的に調整することができる。また、成形型50a,50bの各区画の耐熱性を変えることができると、成形型50a,50bの耐熱性を部分的に調整することができる。また、成形型50a,50bの各区画の弾力性を変えることができると、縁部233a,233bによる成形型50a,50bの密閉、または、断面内層53による成形型50a,50bの略全体の柔軟性の付与が実現できる。
上述した第1、第2、第3または第4の実施の形態に係るゲルを有する物体の製造法は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
8,22,33,43 臓器モデル(ゲルを有する物体)
11、52 血管(造形物または成形物、成形物とは異なる生体組織を模したもの、または手術材料)
13 水溶性樹脂(80℃以下の水に溶ける物質)
19,21,32,42 成形物(ゲル)
Claims (8)
- 3Dプリンタを用いて、熱伝導率、表面の粗さ、硬度、または弾力性から選ばれる1以上の物性または色の違う複数の樹脂材料を、成形型の部位毎に配置して、前記成形型を作製する工程と、
熱可逆性、熱硬化性、カチオン反応性のいずれかのゲル化特性を有する成形材料を前記成形型に供給し、成形物を得る工程、または、
熱可逆性、熱硬化性、カチオン反応性のいずれかのゲル化特性を有する1以上の成形材料を、前記成形物の部位毎に異なる物性を有するように、前記成形型を用いて成形し、前記成形物を得る工程と、
を有する、ゲルを有する物体の製造法。 - 前記成形物は、生体組織を模した成形物である請求項1記載のゲルを有する物体の製造法。
- 前記成形物中に、前記成形物とは異なる生体組織を模した成形物、または手術材料の一部または全部を埋設させることを特徴とする、
請求項1または2に記載のゲルを有する物体の製造法。 - 前記生体組織を模した成形物、または手術材料の一部または全部を、物性または色の違う複数の樹脂材料で製造する、
請求項3に記載のゲルを有する物体の製造法。 - 前記成形物とは異なる生体組織を模した成形物、または手術材料は、3Dプリンタを用いて形のあるものを造形する造形物および/または、成形型を用いて成形する第2成形物を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のゲルを有する物体の製造法。 - 前記成形材料が、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ゼラチン、キサンタンガム、カシアガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、フェヌグリークガム、グルコマンナン、タマリンドガム、ジェランガム、ネーティブジェランガム、アルギン酸塩、ペクチン、カードラン、澱粉、卵白、卵白加工物、ポリビニルアルコール、乳清タンパク質素材、ゼラチン酵素反応物、タマリンドガム酵素反応物、サイリウムシードガムから選ばれるいずれか1以上を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のゲルを有する物体の製造法。
- 前記成形物とは異なる生体組織を模した成形物、または手術材料と、前記成形物が、それぞれ視覚により判別できる異なる色彩をなすことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のゲルを有する物体の製造法。
- 前記ゲルを有する物体は、手術練習用、または医療用ロボットの操作の習得用の前記ゲルを有する物体である請求項1から7のいずれか1項に記載のゲルを有する物体の製造法。
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