以下、本発明の粘着テープおよび粘着テープ用基材について詳細に説明する。
まず、本発明の粘着テープおよび粘着テープ用基材を説明するのに先立って、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)17とを有している。
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、端子21は、半導体チップ20に形成されている面側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材が充填され、このアンダーフィル材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
さらに、インターポーザー30の上側には、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように形成されたモールド部17が半導体封止材料の硬化物(封止材)で構成されており、これにより、半導体装置10内において半導体チップ20が封止され、半導体チップ20に対する異物や水分等の浸入が防止される。
半導体チップ20(半導体素子)は、図1に示すように、半導体チップ本体部23(半導体素子本体部)と、半導体チップ本体部23の下面側から突出して設けられた端子21とを有している。半導体チップ本体部23は、その上面側に回路(図示せず)が作り込まれており、主としてSi、SiC、GaNまたはGa2O3のような半導体材料で構成されている。
かかる構成の半導体装置10および半導体チップ20は、例えば、粘着テープを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
<半導体装置の製造方法>
図2、図3は、図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図、図4は、図2中の点線で囲まれた領域[A]に位置するニードルの周辺を拡大した拡大断面図である。なお、以下の説明では、図2~図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
[1A]まず、基材4と、基材4の上面に積層された粘着層2とを有する積層体により構成された粘着テープ100を用意し、図2(a)に示すように、その中心部122に半導体基板7(半導体用ウエハ)を、粘着層2の上に置き、軽く押圧し、半導体基板7を積層(貼付)する(貼付工程)。
この半導体基板7には、その上面に個片化することで形成される半導体チップ20(半導体チップ本体部23)が備える回路が予め形成され、また、下面には端子21が予め形成されており、半導体基板7は、回路が形成されている側の上面を粘着層2側にして粘着テープ100に貼付されている。そのため、粘着層2には、半導体基板7の回路が形成されている側の上面、すなわち凹凸が形成されている凹凸面が接合される。
[2A]次に、図2(b)に示すように、半導体基板7が積層された粘着テープ100をダイサーテーブル200の上に設置する。
[3A]次に、粘着層2の外周部121をウエハリング9で固定し、その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて基板としての半導体基板7を切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化することで粘着テープ100上に部品としての半導体チップ20を得る(個片化工程;図2(c)参照)。
この際、粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、半導体基板7を切断する際の割れ、欠け等を防止する。
また、ブレードを用いた半導体基板7の切断は、図2(c)に示すように、基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施する。これにより、半導体基板7の個片化を確実に実施することができる。
なお、この際、半導体基板7の切断時に生じる粉塵が飛散するのを防止すること、さらには、半導体基板7が不必要に加熱されるのを抑制することを目的に、半導体基板7には切削水を供給しつつ、半導体基板7が切断される。
[4A]次に、ウエハリング9で固定した、半導体基板7を貼付した粘着テープ100をダイシング装置(図示せず)からピックアップ装置(図示せず)に移し、粘着層2の外周部121においてウエハリング9により固定した状態で、テーブル300の外周部320に対して、その中心部310を上方に突き上げることで、粘着テープ100を放射状に伸ばし、これにより、個片化した半導体基板7すなわち部品としての半導体チップ20同士の間に、一定の間隔を有する間隙を形成する(エキスパンディング工程;図2(d)参照。)。
[5A]次に、前記工程[4A]を経ることにより、間隙が形成された状態で、ステージ400上において、半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程;図2(e)参照。)。
この半導体チップ20のピックアップは、前記工程[4A]における、粘着テープ100を放射状に伸ばす前記エキスパンディング工程の後に、ニードル430(図2においては図示せず)を、図4(a)に示すように、エジェクターヘッド410に収納されている状態から、図4(b)に示すように、エジェクターヘッド410から突出された状態とする。すなわち、ニードル430を、厚さ方向に突出させる。その結果、粘着テープ100に貼付された半導体チップ20が、ニードル430を用いて突き上げられ、これにより、粘着テープ100から剥離させた状態とされ、その後、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等により、図4(c)に示すように、半導体チップ20がピックアップされる。
この本工程[5A]において、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[5A]における部品としての半導体チップ20のピックアップにおいて、粘着テープ100として、粘着テープ100が備える基材4における、JIS Z 1707に規定の突刺し強さ試験に準拠して測定される突刺し強さが4.0N以上8.0N以下であり、かつ、突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下であることを満足しているものが用いられる。
そのため、本工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップするのに十分量の大きさでニードル430により半導体チップ20を突き上げた状態としたとしても、基材4における破断の発生を的確に防止しつつ、優れた精度で半導体チップ20をピックアップすることができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
以上のような工程[1A]~工程[5A]を経ることにより、粘着テープ100を用いて、半導体基板7から半導体チップ20が分離(個片化)される。すなわち、粘着テープ100が備える粘着層2上に、半導体基板7を固定した状態で、半導体基板7から基材4の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、半導体基板7を個片化することで複数の半導体チップ20を形成する。その後、半導体チップ20同士の間に一定間隔の間隙を形成した後に、さらに、基材4側から半導体チップ20を突き上げた状態として、基材4の反対側から引き抜くことにより、半導体チップ20が粘着層2から分離される。
[6A]次に、ピックアップした半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットから実装用プローブ等に受け渡して上下反転させた後、図3(a)に示すように、この半導体チップ20が備える端子21と、インターポーザー30が備える端子41とを、端子41上に設けられた半田バンプ85を介して対向させて、インターポーザー30上に載置する。すなわち、半導体チップ20の端子21が形成された面を下側にして、半導体チップ20(半導体素子)をインターポーザー30(基板)上に載置する。
[7A]次に、図3(b)に示すように、端子21と端子41との間に介在した半田バンプ85を加熱しつつ、インターポーザー30と半導体チップ20とを接近させる。
これにより、溶融した半田バンプ85が端子21および端子41の双方に接触し、この状態で、冷却することで、接続部81が形成され、その結果、接続部81を介して、端子21と端子41とが電気的に接続される(搭載工程;図3(c)参照。)。
[8A]次に、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に形成された間隙に、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材(封止材)を充填し、その後、このアンダーフィル材を硬化させることにより、アンダーフィル材の硬化物で構成された封止層80を形成する(封止層形成工程;図3(d)参照。)。
[9A]次に、インターポーザー30の上側に、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように、モールド部17(封止部)を形成することで、半導体チップ20をインターポーザー30とモールド部17とで封止するとともに、インターポーザー30が備えるビアを介して端子41の一部に電気的に接続された、バンプ70をインターポーザー30の下側から突出するように形成する(図3(e)参照。)。
ここで、モールド部17による封止は、例えば、形成すべきモールド部17の形状に対応した内部空間を備える成形型を用意し、この内部空間内に配置された半導体チップ20とインターポーザー30とを覆うように、粉末状をなす半導体封止材料を内部空間に充填する。そして、この状態で、半導体封止材料を加熱することにより硬化させて、半導体封止材料の硬化物とすることにより行われる。
以上のような工程を有する半導体装置の製造方法により、半導体装置10が得られる。より詳しくは、前記工程[1A]~[9A]を実施した後に、前記工程[4A]~[9A]を繰り返して実施することで、1つの半導体基板7から複数の半導体装置10を一括して製造することができる。
以下、このような半導体装置10の製造方法に用いられる、本発明の粘着テープ100について説明する。
<粘着テープ100>
図5は、粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
粘着テープ100は、基材4と、粘着性を有するベース樹脂を主材料として含有し、この基材4の上面(一方の面)に積層された粘着層2とを備える積層体により構成され、本実施形態では、半導体基板7(基板)および半導体チップ20(部品)を仮固定して用いられるものであり、さらに、基材4は、JIS Z 1707に規定の突刺し強さ試験に準拠して測定される突刺し強さが4.0N以上8.0N以下であり、かつ、突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下であることを満足するものである。
ここで、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、半導体チップ20をピックアップするのに十分量の大きさでニードル430により半導体チップ20を突き上げた状態としたとしても、粘着テープ100が備える基材4における破断の発生を的確に防止して、半導体チップ20をピックアップし得ることが求められる。
このように求められる粘着テープ100の要求特性に対して、本発明者の検討により、上記の通り、粘着テープ100が備える基材4は、JIS Z 1707に規定の突刺し強さ試験に準拠して測定される突刺し強さが4.0N以上8.0N以下、かつ、突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下に設定されている。
この基材4の突刺し強さは、JIS Z 1707:2019(食品包装用プラスチックフィルム通則)の規定に準拠して測定され、具体的には、温度(23±2℃)、相対湿度(50±5%RH)の雰囲気において、中央に直径15mmの開口を備える試験台上に治具を用いて試験片としての基材4を固定し、この基材4に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50±5mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大応力[N]として測定される。そして、基材4の突き破りまでの変位は、針が貫通したときの針の先端の試験台が備える開口からの突出量[mm]として測定される。
このようにして測定される基材4の突刺し強さ、および、基材4の突き破りまでの変位が、本発明では、それぞれ、前記範囲内に設定されている。すなわち、前記工程[5]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップするのに十分量の大きさで、かつ、この十分量の大きさとするのに必要とされる力の大きさでニードル430により半導体チップ20を突き上げた状態としたとしても、基材4における破断の発生が的確に防止されていると言うことができる。
したがって、ニードル430の先端が粘着テープ100の粘着層2側に到達することに起因した、半導体チップ20における欠陥の発生、および、半導体チップ20に対して粘着層2の一部が残存する糊残りの発生を的確に抑制または防止しつつ、半導体チップ20の突き上げた状態を維持することができる。そのため、真空コレットまたはエアピンセットを用いた吸着等による半導体チップ20のピックアップを優れた精度で実施することができる。
以下、このような粘着テープ100(ダイシングテープ)が有する、基材4および粘着層2について、詳述する。
<基材4>
基材4(粘着テープ用基材)は、主として樹脂材料から成り、シート状をなしており、この基材4上に設けられた粘着層2を支持する機能を有している。また、前記工程[4A]における、粘着テープ100を面方向に対して伸長するエキスパンディング工程において、その伸長を実現させるためのものである。さらに、前記工程[5A]における、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップするピックアップ工程において、ニードル430による突き上げを、このものにおける破断の発生を的確に防止しつつ、実現させるためのものである。そして、本発明では、前述の通り、JIS Z 1707に規定の突刺し強さ試験に準拠して測定される突刺し強さが4.0N以上8.0N以下であり、かつ、突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下であることを満足する。
かかる樹脂材料としては、前記突刺し強さおよび前記突き破りまでの変位がそれぞれ前記範囲内に設定し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのようなポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。
特に、樹脂材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂およびポリスチレン系樹脂、または、これらの混合物を用いることが好ましい。これらの樹脂材料を用いることで、前記突刺し強さおよび前記突き破りまでの変位を、比較的容易に、それぞれ前記範囲内に設定し得る。したがって、前記ピックアップ工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップするのに十分量の大きさでニードル430により半導体チップ20を突き上げた状態としたとしても、基材4において、破断が生じるのを的確に防止することができる。また、前記エキスパンディング工程[4A]において、その伸長性(エキスパンド性)を基材4に確実に付与し得るとともに、前記工程[3A]におけるダイシングの際に、基材4の切削屑により、粘着テープ100が汚染されるのを的確に抑制または防止することができる。
かかるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリレート共重合体(EMAA)や、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体またはカリウムイオン架橋体としてのエチレン系アイオノマー等のアイオノマーのようなポリエチレンコポリマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、ポリプロピレンおよびポリエチレンコポリマーであることが好ましい。これらのポリオレフィン系樹脂を用いることで、前記突刺し強さおよび前記突き破りまでの変位を、より容易に、それぞれ前記範囲内に設定し得る。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂は、-CH2-CHCl-で表される基を繰り返し単位として、複数有するポリマーであり、具体的には、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体(重合性モノマー)との共重合体が挙げられ、また、後塩素化塩化ビニル重合体も含まれ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、単独重合体を用いるのが一般的である。
なお、塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体との共重合体としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-アクリル共重合体等が挙げられる。
さらに、ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリクロロスチレン、ポリ(m-プロピルスチレン)、高耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、スチレン-メタアクリル酸共重合体、スチレン-メタアクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレン-メタアクリル酸・グリシジルエステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-フマル酸共重合体の他、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体のようなスチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、スチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることで、前記突刺し強さおよび前記突き破りまでの変位を、より容易に、それぞれ前記範囲内に設定し得る。
また、基材4は、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生を的確に抑制または防止することができる。
このように、基材4が導電性材料を含有する場合、基材4の粘着層2と反対側の表面における表面抵抗率は、1.0×1013(Ω/□)以下に設定されていることが好ましく、1.0×1011(Ω/□)以下に設定されていることがより好ましい。これにより、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエーテルとポリオレフィンブロックポリマー系列、ポリエステルアミド系列、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン系列等の全てのIDPを用いることができる。
また、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
さらに、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
これらの中でも、導電性材料としては、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属酸化物材料およびカーボンブラックのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらのものは、抵抗率の温度依存性が小さいものであることから、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、基材4が加熱されたとしても、その表面抵抗率の変化量を小さくすることができる。
なお、基材4に導電性材料を含有させることなく、前記半導体チップ20における静電気の発生を防止する場合には、導電性材料を含有する帯電防止層を、粘着層2と反対側の表面に形成してもよい。これにより、基材4に導電性材料を含有させた場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、基材4は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
また、基材4が主材料としての樹脂材料以外の構成材料を含む場合、基材4における前記樹脂材料の含有量は、50重量%以上95重量%以下であることが好ましく、65重量%以上90重量%以下であることがより好ましい。樹脂材料の含有量を前記範囲内に設定することにより、前記突刺し強さおよび前記突き破りまでの変位を、それぞれ前記範囲内に比較的容易に設定し得るとともに、樹脂材料以外の構成材料を含有させることにより得られる効果を確実に発揮させることができる。
かかる構成をなす基材4は、JIS Z 1707に規定の突刺し強さ試験に準拠して測定される突刺し強さが4.0N以上8.0N以下であり、かつ、突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下であることを満足していれば良いが、前記突刺し強さは、4.3N以上8.0N以下であることが好ましく、4.5N以上7.8N以下であることがより好ましい。前記突刺し強さの大きさが、前記範囲内に設定されることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、基材4において破断が生じるのを、より的確に防止することができ、また、ニードル430により突き上げた状態とされた、半導体チップ20のピックアップを、より的確に実施することができる。
さらに、前記突き破りまでの変位は、2.5mm以上7.5mm以下であることが好ましく、5.0mm以上7.0mm以下であることがより好ましい。前記突き破りまでの変位の大きさが、前記範囲内に設定されることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、基材4において破断が生じるのを、より的確に防止することができる。
また、基材4の厚さは、例えば、70μm以上150μm以下であるのが好ましく、80μm以上120μm以下であるのがより好ましい。基材4の厚さがこの範囲内であると、基材4としての機能をより確実に発揮させて、前記工程[3A]における半導体基板7のダイシングを、優れた作業性により実施することができる。また、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、基材4において破断が生じるのを、より的確に防止することができる。そのため、前記工程[5A]において、ニードル430により突き上げた状態とされた、個片化された半導体チップ20のピックアップを、より優れた精度で実施することができる。
さらに、基材4は、その粘着層2と反対側の表面において、JIS B 0601(2013)で規定される表面粗さを表すパラメータである、粗さ曲線要素の平均長さSmが、例えば、30μm以上100μm以下であるのが好ましく、40μm以上70μm以下であるのがより好ましい。基材4の粗さ曲線要素の平均長さSmがこの範囲内であると、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップに先立って実施する前記工程[4A]時の粘着テープ100のエキスパンドの際に、粘着テープ100とピックアップ装置が備えるテーブル300とが接する部分の滑りが良くなることで、半導体チップ20同士の間隔が広がり、半導体チップ20同士の間に、一定の間隔を有する間隙を確実に形成することができる。そのため、前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップ時に、隣接するチップ同士が接触することを、的確に抑制または防止できるとともに、粘着テープ100の円周方向に粘着テープ100に対してテープ張力がかかり、基材4の全体において前記円周方向に沿った張りが生じることとなるため、半導体チップ20のピックアップ性が向上する。
なお、基材4は、その表面に、粘着層2に含まれる構成材料と反応性を有する、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していてもよい。
また、基材4は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
<粘着層2>
粘着層2は、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[5A]において、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20をピックアップし得る粘着性を有するものである。
このような粘着層2は、本実施形態では、粘着性を有するベース樹脂(1)を主材料として含有する樹脂組成物で構成され、粘着層2を硬化させる硬化性樹脂の添加が省略され、粘着層2に対してエネルギーを付与したとしても、その粘着力が低下しないものであり、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が、好ましくは100cN/20mm以上600cN/20mm以下、より好ましくは200cN/20mm以上450cN/20mm以下であることを満足するものである。前記引き剥がし強度が前記範囲内に設定されることで、粘着テープ100が、エネルギーの付与により、半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着テープ100が備える粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、前記工程[5A]において、半導体チップ20を確実にピックアップすることができる。
以下、この樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、詳述する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、半導体基板7に対する粘着性を粘着層2に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。ベース樹脂としてアクリル系樹脂を用いることにより、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、比較的容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。また、アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、かかる観点からも、ベース樹脂として好ましく用いられる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするもののことを言う。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。また、ベース樹脂としてアクリル酸2-エチルヘキシル(2-エチルヘキシルアクリレート)を用いることにより、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、比較的容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むものが用いられる。
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
アクリル系樹脂は、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、アクリル系樹脂による半導体基板7等の汚染を防止するという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万以上500万以下に設定され、より好ましくは40万以上400万以下に設定され、さらに好ましくは50万以上150万以下に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、30万未満であると、半導体基板7等に対する汚染防止性が低下し、その結果、半導体チップ20を剥離させた際に糊残りが生じるおそれがある。
また、アクリル系樹脂(ベース樹脂)は、そのガラス転移点が、好ましくは-70℃以上-50℃以下、より好ましくは-65℃以上-55℃以下であるものが用いられる。ベース樹脂として、かかる範囲内のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を用いることにより、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、より容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
(2)架橋剤
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、粘着層2を適度な硬さを有するものに調整することができる。また、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、より容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもエポキシ系架橋剤が好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートや、その他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上30重量部以下で配合されることが好ましく、0.1重量部以上20重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することで、樹脂組成物中に、架橋剤を添加することにより発揮される機能を、架橋剤に確実に発揮させることができる。
(3)可塑剤
可塑剤は、硬化性樹脂の添加が省略され、エネルギーの付与により粘着力が低下しない粘着層2において、その柔軟性を向上させることで、前記引き剥がし強度の大きさを、より容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定し得ることから、粘着層2、すなわち、樹脂組成物中に含まれることが好ましい。
この可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ-2-エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ-2-エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着層2すなわち樹脂組成物中における可塑剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上3.0重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、粘着層2の柔軟性を確実に向上させることができる。そのため、前記引き剥がし強度の大きさを、さらに容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
(4)その他の成分
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(3)の他に他の成分として、導電性材料、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
なお、これらのうち導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、前記基材4に含まれる導電性材料として説明したのと、同様のものを用いることができる。
このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
基材4および粘着層2のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材4に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体チップ20に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
また、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような、粘着層2に含まれる、成分(1)(ベース樹脂)を必須成分とする各成分(1)~(4)の種類、および含有量を適宜選択することにより、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度の大きさが、100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定されていることが好ましいが、200cN/20mm以上450cN/20mm以下であるのがより好ましく、250cN/20mm以上350cN/20mm以下であるのがさらに好ましい。これにより、前記工程[3A]において、半導体基板7を厚さ方向に切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化する際に、粘着テープ100上に半導体基板7をより安定的に固定した状態で、半導体基板7の厚さ方向に対する切断を実施することができる。また、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、粘着テープ100が、エネルギーの付与により、半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着テープ100が備える粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、個片化された半導体チップ20から粘着テープ100をより安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
また、粘着層2の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上50μm以下であるのが好ましく、5μm以上10μm以下であるのがより好ましい。粘着層2の厚さをかかる範囲内とすることで、粘着層2を、前記個片化工程[3A]において、半導体基板7に対する良好な粘着力を発揮し、かつ、前記ピックアップ工程[5A]において、粘着層2と半導体基板7との間において、良好な剥離性を発揮する程度の粘着性を備えるものとし得る。
なお、粘着層2は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
さらに、基材4に粘着層2が積層された構成をなしている粘着テープ100において、この粘着テープ100を平面視で見たとき、基材4と粘着層2との界面に形成されている気泡は、面積が100μm2以上のものの数が、15.0個/mm2以下であることが好ましく、0.01個/mm2以上7.0個/mm2以下であることがより好ましく、0.1個/mm2以上2.0個/mm2以下であることがさらに好ましい。基材4と粘着層2との界面に形成されている気泡の数をコントロールして、面積が100μm2以上のものの数を上記のように設定することで、前記工程[5A]において、半導体チップ20をピックアップして、半導体チップ20から粘着テープ100を剥離させる際に、半導体チップ20に糊残りが生じるのをより的確に抑制または防止することができる。
次に、かかる構成の粘着テープ100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
<粘着テープの製造方法>
図6は、図5に示す粘着テープを製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1B]まず、基材4を用意する(図6(a)参照。)。
基材4の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、カレンダー法、インフレーション押出し法、Tダイ押出し法のような押出成形法、湿式キャスティング法等の一般的な成形方法が挙げられる。なお、基材4が積層体で構成される場合、かかる構成のその基材4の製造方法としては、例えば、共押出し法、ドライラミネート法等の成形方法が用いられる。
また、基材4は、無延伸で用いることができ、さらに、必要に応じて一軸または二軸の延伸処理を施したものを用いるようにしてもよい。
なお、基材4の粘着層2を形成する側と反対の表面における、前記粗さ曲線要素の平均長さSmは、例えば、押出成形機を用いて基材4を成形する場合、押出成形機が備えるロールとして表面粗さが異なるものを用いることで、その大きさを所望の大きさに変更することができる。
[2B]次に、基材4の上面に粘着層2を形成する(図6(b)参照。)。
基材4の表面(上面)には、基材4と粘着層2との密着性を向上させることを目的に、コロナ処理、クロム酸処理、マット処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理、プライマー処理、アンカーコート処理のような表面処理が施されていてもよい。
また、粘着層2は、基材4上に、粘着層2の構成材料である樹脂組成物を溶剤に溶解してワニス状にした液状材料を、塗布または散布した後、溶剤を揮発させることにより得ることができる。
なお、溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、酢酸エチル、ジメチルホルムアルデヒド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基材4上への液状材料の塗布または散布は、例えば、ダイコート、カーテンダイコート、グラビアコート、コンマコート、バーコートおよびリップコート等の方法を用いて行うことができる。
[3B]次に、基材4上に形成された粘着層2に対して、中心側と外周側とが分離されるように、粘着層2の厚さ方向に基材4を残存させて円環状に粘着層2の一部を除去することにより、粘着層2を中心部122と外周部121とを備えるものとする(図6(c)参照。)。
粘着層2の一部を円環状に除去する方法としては、例えば、除去すべき領域を取り囲むように打ち抜いた後、この打ち抜かれた領域に位置する粘着層2を除去する方法が挙げられる。
また、除去すべき領域に対する打ち抜きは、例えば、ロール状金型を用いる方法や、プレス金型を用いる方法を用いて行うことができる。中でも、連続的に粘着テープ100を製造することができるロール状金型を用いる方法が好ましい。
なお、本工程では、粘着層2の一部をリング状(円形状)に打ち抜いて中心部122と外周部121とを形成したが、粘着層2の一部を打ち抜く形状は、前述した半導体装置の製造方法において、粘着層2の外周部121をウエハリング9で固定できる形状となっていれば如何なる形状のものであってもよい。具体的には、打ち抜く形状としては、例えば、上述した円形状の他、楕円状、俵型状のような長円状や、四角形状、五角形状のような多角形状等が挙げられる。
[4B]次に、基材4上に形成された粘着層2に対して、セパレーター1を積層することにより、粘着層2がセパレーター1で被覆された粘着テープ100を得る(図6(d)参照。)。
粘着層2にセパレーター1を積層する方法としては、特に制限されないが、例えば、ロールを用いたラミネート方法、プレスを用いたラミネート方法を用いることができる。これらの中でも、連続的に生産できるという生産性の観点から、ロールを用いたラミネート方法が好ましい。
なお、セパレーター1としては、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられる。
また、セパレーター1は、粘着テープ100の使用時に剥がされるために、表面を離型処理されたものを使用してもよい。離型処理としては離型剤をセパレーター1の表面にコーティングする処理や、セパレーター1の表面に細かい凹凸をつける処理等が挙げられる。なお、離型剤としては、シリコーン系、アルキッド系、フッ素系等のものが挙げられる。
以上のような工程を経て、セパレーター1で被覆された粘着テープ100を形成することができる。
なお、本実施形態で製造されたセパレーター1で被覆された粘着テープ100は、前述した粘着テープ100を用いた半導体装置の製造方法において、粘着テープ100をセパレーター1から剥離した後に使用される。
また、セパレーター1が被覆する粘着層2から、このセパレーター1を剥がす際には、粘着層2の面に対してセパレーター1を90°以上180°以下の角度で剥離を行うことが好ましい。セパレーター1を剥離する角度を前記範囲とすることで、粘着層2とセパレーター1との界面以外での剥離を確実に防止することができる。
以上、本発明の粘着テープおよび粘着テープ用基材について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の粘着テープが備える各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成されるものの他、複数の層で構成されるものであってもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えるものであってもよい。
さらに、粘着層は、このものを構成する樹脂組成物に、粘着層2を硬化させる硬化性樹脂を含有し、これにより、粘着層に対するエネルギーの付与により、その粘着力が低下するものであってもよい。
また、粘着テープが備える各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
さらに、粘着テープを用いて形成する半導体装置の構成によっては、半導体装置10が備えるモールド部17の形成を省略することもできる。
また、粘着テープが貼付された半導体基板を厚さ方向に切断(ダイシング)することで、切断片すなわち部品として半導体チップを得る場合に限らず、粘着テープ上に基板を仮固定した状態で、基板を厚さ方向に切断することで部品を得た後に、部品を粘着テープから剥離させる必要が生じる各種の基板加工用途にも、本発明の粘着テープを適用することができる。本発明の粘着テープにより貼付される基板としては、上述した半導体基板(半導体用ウエハ)の他に、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス基板、アルミナ、窒化ケイ素、酸化チタンなどのセラミック基板、アクリル、ポリカーボネート、ゴムなどの樹脂材料基板、金属材料基板等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の粘着テープの製造に用いた原材料を以下に示す。
(ポリオレフィン系樹脂1)
ポリオレフィン系樹脂1として、ポリプロピレン(ホモPP、住友化学社製、「FS2011DG-2」、MFR2.0)を用意した。
(ポリオレフィン系樹脂2)
ポリオレフィン系樹脂2として、ポリプロピレン(ランダムPP、住友化学社製、「FL6632G」、MFR7.0)を用意した。
(ポリオレフィン系樹脂3)
ポリオレフィン系樹脂3として、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMAA、三井ダウポリケミカル社製、「N0903HC」、MFR3.0)を用意した。
(ポリオレフィン系樹脂4)
ポリオレフィン系樹脂4として、低密度ポリエチレン(LDPE、住友化学社製、「スミカセンL705」、MFR7.0)を用意した。
(ポリ塩化ビニル系樹脂1)
ポリ塩化ビニル系樹脂1として、ポリ塩化ビニル(PVC、平均重合度1000)を用意した。
(ポリスチレン系樹脂1)
ポリスチレン系樹脂1として、高衝撃性ポリスチレン(HIPS、PSジャパン社製、「H9152」)を用意した。
(ポリスチレン系樹脂2)
ポリスチレン系樹脂2として、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS、旭化成ケミカルズ社製、「H1062」、スチレン含有率18重量%)を用意した。
(帯電防止剤1)
帯電防止剤1として、ポリエーテル系帯電防止剤(三洋化成工業社製、「ペレクトロンPVL」)を用意した。
(ベース樹脂1)
ベース樹脂1として、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ブチルの4種を混合し、常法によりトルエン溶媒中にて溶液重合させて生成されたアクリル共重合体を用意した。
なお、ベース樹脂(アクリル共重合体)1におけるガラス転移点および重量平均分子量は、それぞれ、ガラス転移点:-37℃、重量平均分子量:60万であった。
(架橋剤1)
架橋剤1として、ポリイソシアネート(東ソー社製、品番:コロネートL)を用意した。
(可塑剤1)
可塑剤1として、ポリエステル系可塑剤(DIC社製、品番:W-230H)を用意した。
(可塑剤2)
可塑剤2として、ジオクチルフタレート(DOP、東京化成工業社製)を用意した。
(安定剤1)
安定剤1として、バリウム-亜鉛系安定剤(日東化成工業社製、品番:PSL-55)を用意した。
2.粘着テープの作製
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂2(60.0重量%)およびポリスチレン系樹脂2(40.0 重量%)が配合された樹脂組成物を押出し機で押し出して、厚さ100μmの基材4を作製した。
また、超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製、「VK9700」)を用いて、基材4の粘着層2を形成するのと反対側の表面における、粗さ曲線要素の平均長さSmを測定した。Smは、JIS B 0601(2013)に準拠して測定した。その結果、粗さ曲線要素の平均長さSmは60.0μmであった。
次に、ベース樹脂1(100.0重量部)、架橋剤1(1.0重量部)および可塑剤1(1.0重量部)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。この液状材料を、乾燥後の粘着層2の厚さが20μmになるようにして基材4にバーコート塗工した後、80℃で1分間乾燥させて、基材4の上面(一方の面)に、厚さ10.0μmの粘着層2を形成することで、実施例1の粘着テープ100を得た。
[実施例2~6、比較例1~2]
基材4の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料、および、粘着層2の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料として、表1に示すものを用い、さらに、各構成材料の含有量を表1に示すように変更して、表1に示す厚さの基材4および粘着層2を形成したこと、および基材4を成形する際に、押出成形機が備えるロールとして表面粗さが異なるものを用いて、基材4の粘着層2を形成する側と反対の表面における、粗さ曲線要素の平均長さSmを変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~6、比較例1~2の粘着テープを作製した。
なお、実施例5で用いた基材4については、以下のようにして作製した。すなわち、ポリ塩化ビニル系樹脂1(73.0重量%)と、安定剤1(3.6重量%)と、可塑剤2(23.4重量%)とを、十分ドライブレンドした後、加圧ニーダーを用いて樹脂温度が140℃になるような条件で溶融混練し、その後、押し出して、ペレットを作製した。そして、このペレットからカレンダー成形によって、厚さ80μmの基材4を作製した。
3.評価
得られた各実施例および各比較例の粘着テープを、以下の方法で評価した。
3-1.基材の突刺し強さ試験
各実施例および各比較例の粘着テープ100が備える基材4について、精密万能試験機(島津製作所社製、「オートグラフAGS-X」)および、突刺し試験治具(イマダ社製、「TKS-20N」)を用い、JIS Z 1707:2019(食品包装用プラスチックフィルム通則)の規定に準拠して、基材4の突刺し強さおよび基材4の突き破りまでの変位を測定した。すなわち、温度(23±2℃)、相対湿度(50±5%RH)の雰囲気において、中央に直径15mmの開口を備える試験台上に治具を用いて試験片としての基材4を固定し、この基材4に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50±5mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大応力を、基材4の突刺し強さ[N]として測定した。また、この針が貫通したときに、針の先端の試験台が備える開口からの突出量を、基材4の突き破りまでの変位[mm]として測定した。
3-2.シリコンウエハからの引き剥がし強度の測定
各実施例および各比較例の幅を20mmとした粘着テープを、それぞれ、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、JIS G 3469に準拠して、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A(ピール強度A)を、剥離解析装置(協和界面科学社製、「VPA-H100」)を用いて測定した。
3-3.シリコンチップのピックアップ性および糊残り性の評価
<1>シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製)を用意し、常法により削りして厚さ230μmのこのシリコンウエハを得た後、厚さ200μmに#2000番ホイールにて研削した後の研削面に、各実施例および各比較例の粘着テープ100を、粘着層2をシリコンウエハ側にして固定した。その後、シリコンウエハを厚さ方向に基材4の途中に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得た。
<2>次いで、シリコンチップを、先端直径が100μmのニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を400[μm]、突き上げ速度を20mm/秒として、突き上げた。
<3>次いで、ニードルによるシリコンチップの突き上げを維持した状態で、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップした。
以上のような工程<1>~<3>を経ることで、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、50個ずつ繰り返して実施した。
そして、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ得られたシリコンチップについて、シリコンチップの吸着によるピックアップの成否(ピックアップ性)と、ピックアップしたシリコンチップの裏面における糊残りの有無とを観察し、これらを、以下の基準にしたがって評価した。
(ピックアップ性評価)
◎:50個のシリコンチップについて、ピックアップすることができた
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
△:40個以上48個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
×:40個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
(糊残り性評価)
ピックアップした50個のシリコンチップのうち
◎:50個のシリコンチップについて、
シリコンチップの裏面において糊残りが認められなかった
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
シリコンチップの裏面において糊残りが認められなかった
△:45個以上48個未満のシリコンチップについて、
シリコンチップの裏面において糊残りが認められなかった
×:45個未満のシリコンチップについて、
シリコンチップの裏面において糊残りが認められなかった
表1に示したように、各実施例の粘着テープ100では、JIS Z 1707に規定の突刺し強さ試験に準拠して測定される、基材4における突刺し強さが4.0N以上8.0N以下であり、かつ、基材4における突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下であることを満足しており、シリコンチップの裏面に糊残りが生じるのを的確に抑制または防止して、優れた精度でシリコンチップをピックアップし得る結果を示した。
これに対して、各比較例の粘着テープでは、基材4における突刺し強さが4.0N以上8.0N以下であり、かつ、基材4における突き破りまでの変位が2.0mm以上8.0mm以下であることを満足しておらず、その結果、優れた精度でシリコンチップをピックアップすることができないか、もしくは、ピックアップし得たとしても、ピックアップしたシリコンチップの裏面に糊残りが生じる結果となった。