図1および図2は、本発明の一の実施形態に係るダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXを表す。図1はダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの平面図であり、図2は、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの断面模式図である。ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXは、チップ背面保護膜を伴う半導体チップを得るための過程で使用することのできるものであり、フィルム10とダイシングテープ20とを含む積層構造を有する。フィルム10は、本発明の一の実施形態に係る半導体背面密着フィルムであり、ワークである半導体ウエハの回路非形成面である裏面ないし背面に貼り合わされることとなるフィルムである。ダイシングテープ20は、基材21と粘着剤層22とを含む積層構造を有する。粘着剤層22は、フィルム10側に粘着面22aを有する。粘着剤層22ないしその粘着面22aに対し、フィルム10は剥離可能に密着している。また、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXは、ワークである半導体ウエハに対応するサイズの円盤形状を有する。
半導体背面密着フィルムであるフィルム10は、レーザーマーク層11と接着層12とを含む積層構造を有する。レーザーマーク層11は、フィルム10においてダイシングテープ20側に位置し、ダイシングテープ20ないしその粘着剤層22に密着している。レーザーマーク層11におけるダイシングテープ20側の表面には、半導体装置の製造過程においてレーザーマーキングが施されることとなる。レーザーマーク層11は、本実施形態では、熱硬化性の樹脂組成物層が既に熱硬化された状態にあるものである。接着層12は、フィルム10においてワークが貼り合わされる側に位置してワーク密着面12aを有し、本実施形態では、熱可塑性を有する非熱硬化型の樹脂組成物層である。これらレーザーマーク層11および接着層12を含む積層構造を有するフィルム10は、実質的に熱硬化性を有しない非熱硬化型フィルムである。
フィルム10におけるレーザーマーク層11は、樹脂成分として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有してもよいし、硬化剤と反応して結合を生じ得る熱硬化性官能基を伴う熱可塑性樹脂を含む組成を有してもよい。
レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類の熱硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化性樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂は、フィルム10から後記のように形成される背面保護膜による保護の対象である半導体チップの腐食原因となりうるイオン性不純物等の含有量が少ない傾向にあることから、フィルム10のレーザーマーク層11中の熱硬化性樹脂として好ましい。レーザーマーク層11は、エポキシ当量が好ましくは150~900g/eq、より好ましくは150~700g/eq、のエポキシ樹脂を好ましくは2~20質量%の割合で含有する。また、エポキシ樹脂に熱硬化性を発現させるための硬化剤としては、フェノール樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、およびテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂も挙げられる。また、レーザーマーク層11は、一種類のエポキシ樹脂を含有してもよいし、二種類以上のエポキシ樹脂を含有してもよい。
フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として作用しうるものであり、そのようなフェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、およびノニルフェノールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。また、当該フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、および、ポリパラオキシスチレンなどのポリオキシスチレンも挙げられる。レーザーマーク層11中のフェノール樹脂として特に好ましいのは、フェノールノボラック樹脂やフェノールアラルキル樹脂である。また、レーザーマーク層11はエポキシ樹脂の硬化剤として、一種類のフェノール樹脂を含有してもよいし、二種類以上のフェノール樹脂を含有してもよい。
レーザーマーク層11がエポキシ樹脂とその硬化剤としてのフェノール樹脂とを含有する場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対してフェノール樹脂中の水酸基が好ましくは0.5~2.0当量、より好ましくは0.8~1.2当量である割合で、両樹脂は配合される。このような構成は、レーザーマーク層11の硬化にあたって当該エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の硬化反応を充分に進行させるうえで好ましい。
レーザーマーク層11における熱硬化性樹脂全量の含有割合は、レーザーマーク層11を適切に硬化させるという観点からは、好ましくは15~60質量%、より好ましくは20~55質量%である。
レーザーマーク層11中の熱可塑性樹脂は例えばバインダー機能を担うものであり、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6-ナイロンや6,6-ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびフッ素樹脂が挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類の熱可塑性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂を含有してもよい。アクリル樹脂は、イオン性不純物が少なく且つ耐熱性が高いことから、レーザーマーク層11中の熱可塑性樹脂として好ましい。
レーザーマーク層11が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味するものとする。
アクリル樹脂のモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステル、即ち、アクリル樹脂の構成モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s-ブチルエステル、t-ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、およびエイコシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のシクロペンチルエステルおよびシクロヘキシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルおよび(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。アクリル樹脂の構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、アクリル樹脂は、それを形成するための原料モノマーを重合して得ることができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、および懸濁重合が挙げられる。
アクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーを構成モノマーとしてもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルが挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
レーザーマーク層11が、熱硬化性官能基を伴う熱可塑性樹脂を含む組成を有する場合、当該熱可塑性樹脂としては、例えば、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂を用いることができる。この熱硬化性官能基含有アクリル樹脂をなすためのアクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、レーザーマーク層11に含有されるアクリル樹脂の構成モノマーとして上記したのと同様の(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。熱硬化性官能基含有アクリル樹脂をなすためのアクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、レーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものを用いることができる。一方、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂をなすための熱硬化性官能基としては、例えば、グリシジル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、およびイソシアネート基が挙げられる。これらのうち、グリシジル基およびカルボキシ基を好適に用いることができる。すなわち、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂としては、グリシジル基含有アクリル樹脂やカルボキシ基含有アクリル樹脂を好適に用いることができる。また、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂における熱硬化性官能基の種類に応じて、それと反応を生じうる硬化剤が選択される。熱硬化性官能基含有アクリル樹脂の熱硬化性官能基がグリシジル基である場合、硬化剤としては、エポキシ樹脂用硬化剤として上記したのと同様のフェノール樹脂を用いることができる。
レーザーマーク層11を形成するための組成物は、本実施形態では熱硬化触媒を含有する。レーザーマーク層形成用組成物への熱硬化触媒の配合は、レーザーマーク層11の硬化にあたって樹脂成分の硬化反応を充分に進行させたり、硬化反応速度を高めるうえで、好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、アミン系化合物、およびトリハロゲンボラン系化合物が挙げられる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-ウンデシルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチル-4'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、および2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。トリフェニルフォスフィン系化合物としては、例えば、トリフェニルフォスフィン、トリ(ブチルフェニル)フォスフィン、トリ(p-メチルフェニル)フォスフィン、トリ(ノニルフェニル)フォスフィン、ジフェニルトリルフォスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド、およびベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドが挙げられる。トリフェニルフォスフィン系化合物には、トリフェニルフォスフィン構造とトリフェニルボラン構造とを併有する化合物も含まれるものとする。そのような化合物としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、およびトリフェニルホスフィントリフェニルボランが挙げられる。アミン系化合物としては、例えば、モノエタノールアミントリフルオロボレートおよびジシアンジアミドが挙げられる。トリハロゲンボラン系化合物としては、例えばトリクロロボランが挙げられる。レーザーマーク層形成用組成物は、一種類の熱硬化触媒を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化触媒を含有してもよい。
レーザーマーク層11は、フィラーを含有してもよい。レーザーマーク層11へのフィラーの配合は、レーザーマーク層11の弾性率や、降伏点強度、破断伸度などの物性を調整するうえで好ましい。フィラーとしては、無機フィラーおよび有機フィラーが挙げられる。無機フィラーの構成材料としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、窒化ホウ素、結晶質シリカ、および非晶質シリカが挙げられる。無機フィラーの構成材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル等の単体金属や、合金、アモルファスカーボン、グラファイトなども挙げられる。有機フィラーの構成材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、およびポリエステルイミドが挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類のフィラーを含有してもよいし、二種類以上のフィラーを含有してもよい。当該フィラーは、球状、針状、フレーク状など各種形状を有していてもよい。レーザーマーク層11がフィラーを含有する場合の当該フィラーの平均粒径は、好ましくは30~1000nm、より好ましくは40~800nm、より好ましくは50~600nmである。すなわち、レーザーマーク層11は、ナノフィラーを含有するのが好ましい。フィラーとしてこのような粒径のナノフィラーをレーザーマーク層11が含有するという構成は、小片化されることとなるフィルム10について高い分断性を確保するうえで好適である。フィラーの平均粒径は、例えば、光度式の粒度分布計(商品名「LA-910」,株式会社堀場製作所製)を使用して求めることができる。また、レーザーマーク層11がフィラーを含有する場合の当該フィラーの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。同含有量は、好ましくは75質量%未満である。
レーザーマーク層11は、本実施形態では着色剤を含有する。着色剤は、顔料であってもよいし、染料であってもよい。着色剤としては、例えば、黒系着色剤、シアン系着色剤、マゼンダ系着色剤、およびイエロー系着色剤が挙げられる。レーザーマーキングによってレーザーマーク層11に刻印される情報について高い視認性を実現するうえでは、レーザーマーク層11は黒系着色剤を含有するのが好ましい。黒系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト(黒鉛)、ベンタブラック、カーボンナノチューブ、酸化銅、二酸化マンガン、アゾメチンアゾブラックなどアゾ系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色染料、およびアゾ系有機黒色染料が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、およびランプブラックが挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ソルベントブラック3、同7、同22、同27、同29、同34、同43、および同70も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、および同71も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同48、同52、同107、同109、同110、同119、および同154も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ディスパーズブラック1、同3、同10、および同24も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ピグメントブラック1および同7も挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類の着色剤を含有してもよいし、二種類以上の着色剤を含有してもよい。また、レーザーマーク層11における着色剤の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。同含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。着色剤含有量に関するこれら構成は、レーザーマーキングによってレーザーマーク層11に刻印される情報について高い視認性を実現するうえで好ましい。
レーザーマーク層11は、必要に応じて、一種類の又は二種類以上の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、難燃剤、シランカップリング剤、およびイオントラップ剤などが挙げられる。
レーザーマーク層11の厚さは、例えば2~100μmである。
フィルム10における接着層12は、樹脂成分として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有してもよいし、熱硬化性樹脂を含まない組成を有してもよい。
接着層12が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられる。接着層12は、一種類の熱硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化性樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂は、フィルム10から後記のように形成される背面保護膜による保護の対象である半導体チップの腐食原因となりうるイオン性不純物等の含有量が少ない傾向にあることから、フィルム10の接着層12中の熱硬化性樹脂として好ましい。接着層12におけるエポキシ樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂として上記したものが挙げられる。
接着層12中の熱可塑性樹脂は例えばバインダー機能を担うものである。接着層12が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱可塑性樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の熱可塑性樹脂として上記したものが挙げられる。接着層12は、一種類の熱可塑性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂を含有してもよい。アクリル樹脂は、イオン性不純物が少なく且つ耐熱性が高いことから、接着層12中の熱可塑性樹脂として好ましい。
接着層12が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのようなアクリル樹脂のモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、レーザーマーク層11が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂の構成モノマーとして上記した(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。接着層12中のアクリル樹脂の構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、当該アクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーを構成モノマーとして含んでもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、レーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものを用いることができる。
接着層12は、フィラーを含有してもよい。接着層12へのフィラーの配合は、接着層12の弾性率や、降伏点強度、破断伸度などの物性を調整するうえで好ましい。接着層12におけるフィラーとしては、例えば、レーザーマーク層11におけるフィラーとして上記したものが挙げられる。接着層12は、一種類のフィラーを含有してもよいし、二種類以上のフィラーを含有してもよい。当該フィラーは、球状、針状、フレーク状など各種形状を有していてもよい。接着層12がフィラーを含有する場合の当該フィラーの平均粒径は、好ましくは30~500nm、より好ましくは40~400nm、より好ましくは50~300nmである。すなわち、接着層12は、ナノフィラーを含有するのが好ましい。フィラーとしてこのような粒径のナノフィラーを接着層12が含有するという構成は、フィルム10に貼着ないしマウントされるワークについて接着層12中含有フィラーに起因してダメージが生ずるのを回避または抑制するうえで好適であり、また、小片化されることとなるフィルム10について高い分断性を確保するうえで好適である。また、接着層12がフィラーを含有する場合の当該フィラーの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。同含有量は、好ましくは75質量%未満である。
接着層12は、着色剤を含有してもよい。接着層12における着色剤としては、例えば、レーザーマーク層11における着色剤として上記したものが挙げられる。フィルム10におけるレーザーマーク層11側のレーザーマーキングによる刻印箇所とそれ以外の箇所との間で高いコントラストを確保して当該刻印情報について良好な視認性を実現するうえでは、接着層12は黒系着色剤を含有するのが好ましい。接着層12は、一種類の着色剤を含有してもよいし、二種類以上の着色剤を含有してもよい。また、接着層12における着色剤の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。同含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。着色剤含有量に関するこれら構成は、レーザーマーキングによる刻印情報について上述の良好な視認性を実現するうえで好ましい。
接着層12は、必要に応じて、一種類の又は二種類以上の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、難燃剤、シランカップリング剤、およびイオントラップ剤などが挙げられる。
接着層12の厚さは、例えば2~100μmである。
以上の構成を有する半導体背面密着フィルムであるフィルム10は、昇温速度10℃/分での示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での発熱量(第1発熱量)と、130℃および2時間の条件の加熱処理を経た後の、昇温速度10℃/分での示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での発熱量(第2発熱量)との差(第1発熱量から第2発熱量を減じた熱量)が、50J/g以下であり、好ましくは30J/g以下、より好ましくは20J/g以下、より好ましくは10J/g以下である。
フィルム10は、幅10mmのフィルム10試料片について初期チャック間距離20mm、周波数1Hzおよび昇温速度10℃/分の条件(弾性率測定条件)で測定される150℃での引張貯蔵弾性率に対する、130℃および2時間の条件の加熱処理を経た後の、前記弾性率測定条件で測定される150℃での引張貯蔵弾性率の比率が、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、より好ましくは5以下、より好ましくは3以下、より好ましくは1.5以下である。
フィルム10全体における無機フィラー含有割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。また、フィルム10全体における無機フィラー含有割合は、好ましくは75質量%未満である。
フィルム10が上述のレーザーマーク層11(硬化済みの熱硬化型層)を有する場合、当該フィルム10全体のガラス転移温度は、好ましくは100~200℃である。
ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおけるダイシングテープ20の基材21は、ダイシングテープ20ないしダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおいて支持体として機能する要素であり、例えばプラスチックフィルムである。基材21の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルスルフィド、アラミド、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、およびシリコーン樹脂が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ブテン共重合体、およびエチレン-ヘキセン共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。基材21は、一種類の材料からなってもよし、二種類以上の材料からなってもよい。基材21は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。また、基材21は、プラスチックフィルムよりなる場合、無延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸フィルムであってもよいし、二軸延伸フィルムであってもよい。基材21は、一種類の材料からなってもよし、二種類以上の材料からなってもよい。基材21上の粘着剤層22が後述のように紫外線硬化性である場合、基材21は紫外線透過性を有するのが好ましい。
基材21における粘着剤層22側の表面は、粘着剤層22との密着性を高めるための物理的処理、化学的処理、または下塗り処理が施されていてもよい。物理的処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、およびイオン化放射線処理が挙げられる。化学的処理としては例えばクロム酸処理が挙げられる。
基材21の厚さは、ダイシングテープ20ないしダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおける支持体として基材21が機能するための強度を確保するという観点からは、好ましくは40μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上である。また、ダイシングテープ20ないしダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおいて適度な可撓性を実現するという観点からは、基材21の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。
ダイシングテープ20の粘着剤層22は、粘着剤を含有する。この粘着剤は、外部からの作用によって意図的に粘着力を低減させることが可能な粘着剤(粘着力低減可能型粘着剤)であってもよいし、外部からの作用によっては粘着力がほとんど又は全く低減しない粘着剤(粘着力非低減型粘着剤)であってもよい。
粘着力低減可能型粘着剤としては、例えば、放射線照射によって硬化させることが可能な粘着剤(放射線硬化性粘着剤)が挙げられる。本実施形態の粘着剤層22では、一種類の粘着力低減可能型粘着剤が用いられてもよいし、二種類以上の粘着力低減可能型粘着剤が用いられてもよい。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、またはX線の照射によって硬化するタイプの粘着剤が挙げられ、紫外線照射によって硬化するタイプの粘着剤(紫外線硬化性粘着剤)を特に好適に用いることができる。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤たるアクリル系ポリマーなどのベースポリマーと、放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基を有する放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分とを含有する、添加型の放射線硬化性粘着剤が挙げられる。
上記のアクリル系ポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステル、即ち、アクリル系ポリマーの構成モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられ、より具体的には、フィルム10のレーザーマーク層11におけるアクリル樹脂に関して上記したのと同様の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。アクリル系ポリマーの構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、(メタ)アクリル酸エステルに依る粘着性等の基本特性を粘着剤層22にて適切に発現させるうえでは、アクリル系ポリマーの構成モノマー全体における(メタ)アクリル酸エステルの割合は、例えば40質量%以上である。
アクリル系ポリマーは、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーに由来するモノマーユニットを含んでいてもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルが挙げられ、より具体的には、フィルム10のレーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものが挙げられる。
アクリル系ポリマーは、そのポリマー骨格中に架橋構造を形成するために、(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分と共重合可能な多官能性モノマーに由来するモノマーユニットを含んでいてもよい。そのような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味するものとする。アクリル系ポリマーの構成モノマーとして、一種類の多官能性モノマーが用いられてもよいし、二種類以上の多官能性モノマーが用いられてもよい。(メタ)アクリル酸エステルに依る粘着性等の基本特性を粘着剤層22にて適切に発現させるうえでは、アクリル系ポリマーの構成モノマー全体における多官能性モノマーの割合は、例えば40質量%以下である。
アクリル系ポリマーは、それを形成するための原料モノマーを重合して得ることができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、および懸濁重合が挙げられる。
粘着剤層22ないしそれをなすための粘着剤は、アクリル系ポリマーなどベースポリマーの平均分子量を高めるために例えば、外部架橋剤を含有してもよい。アクリル系ポリマーなどベースポリマーと反応して架橋構造を形成するための外部架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリオール化合物、アジリジン化合物、およびメラミン系架橋剤が挙げられる。粘着剤層22ないしそれをなすための粘着剤における外部架橋剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば0.1~5質量部である。
放射線硬化性粘着剤をなすための上記の放射線重合性モノマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、および1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。放射線硬化性粘着剤をなすための上記の放射線重合性オリゴマー成分としては、例えば、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーが挙げられ、分子量100~30000程度のものが適当である。放射線硬化性粘着剤中の放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分の総含有量は、形成される粘着剤層22の粘着力を適切に低下させ得る範囲で決定され、アクリル系ポリマーなどのベースポリマー100質量部に対して、例えば5~500質量部である。また、添加型の放射線硬化性粘着剤としては、例えば特開昭60-196956号公報に開示のものを用いてもよい。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤としては、例えば、放射線重合性の炭素-炭素二重結合等の官能基をポリマー側鎖や、ポリマー主鎖中、ポリマー主鎖末端に有するベースポリマーを含有する内在型の放射線硬化性粘着剤も挙げられる。このような内在型の放射線硬化性粘着剤は、形成される粘着剤層22内での低分子量成分の移動に起因する粘着特性の意図しない経時的変化を抑制するうえで好適である。
内在型の放射線硬化性粘着剤に含有されるベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。そのような基本骨格をなすアクリル系ポリマーとしては、添加型放射線硬化性粘着剤に関して上述したアクリル系ポリマーを採用することができる。アクリル系ポリマーへの放射線重合性の炭素-炭素二重結合の導入手法としては、例えば、所定の官能基(第1の官能基)を有するモノマーを含む原料モノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得た後、第1の官能基との間で反応を生じて結合しうる所定の官能基(第2の官能基)と放射線重合性炭素-炭素二重結合とを有する化合物を、炭素-炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応または付加反応させる方法が、挙げられる。
第1の官能基と第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基が挙げられる。これら組み合わせのうち、反応追跡の容易さの観点からは、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせや、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが、好ましい。また、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製するのは技術的難易度が高いので、アクリル系ポリマーの作製または入手のしやすさの観点からは、アクリル系ポリマー側の上記第1の官能基がヒドロキシ基であり且つ上記第2の官能基がイソシアネート基である場合が、より好ましい。この場合、放射線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物、即ち、放射線重合性の不飽和官能基含有イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、およびm-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤は、好ましくは光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、例えば、α-ケトール系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール系化合物、芳香族スルホニルクロリド系化合物、光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、およびアシルホスフォナートが挙げられる。α-ケトール系化合物としては、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α'-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、および1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびアニソインメチルエーテルが挙げられる。ケタール系化合物としては、例えばベンジルジメチルケタールが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系化合物としては、例えば2-ナフタレンスルホニルクロリドが挙げられる。光活性オキシム系化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシムが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、および3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、および2,4-ジイソプロピルチオキサントンが挙げられる。粘着剤層22における放射線硬化性粘着剤中の光重合開始剤の含有量は、アクリル系ポリマーなどのベースポリマー100質量部に対して例えば0.05~20質量部である。
上述の粘着力非低減型粘着剤としては、例えば感圧型粘着剤が挙げられる。粘着剤層22のための感圧型粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を用いることができる。本実施形態の粘着剤層22においては、一種類の粘着力非低減型粘着剤が用いられてもよいし、二種類以上の粘着力非低減型粘着剤が用いられてもよい。
粘着剤層22が感圧型粘着剤としてアクリル系粘着剤を含有する場合、当該アクリル系粘着剤のベースポリマーたるアクリル系ポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのようなアクリル系ポリマーとしては、例えば、放射線硬化性粘着剤に関して上述したアクリル系ポリマーが挙げられる。
粘着剤層22ないしそれをなすための粘着剤は、上述の各成分に加えて、架橋促進剤、粘着付与剤、老化防止剤、顔料や染料などの着色剤などを、含有してもよい。着色剤は、放射線照射を受けて着色する化合物であってもよい。そのような化合物としては、例えばロイコ染料が挙げられる。
粘着剤層22の厚さは、例えば2~20μmである。このような構成は、例えば、粘着剤層22が放射線硬化性粘着剤を含む場合に当該粘着剤層22の放射線硬化の前後におけるフィルム10に対する粘着力のバランスをとるうえで、好適である。
以上のような構成を有するダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXは、例えば以下のようにして製造することができる。
ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおけるフィルム10の作製においては、まず、レーザーマーク層11をなすこととなるフィルムと、接着層12をなすこととなるフィルムとを個別に作製する。レーザーマーク層11をなすこととなるフィルムは、レーザーマーク層形成用の樹脂組成物を所定のセパレータ上に塗布して樹脂組成物層を形成した後、当該組成物層を加熱によって乾燥および硬化させることによって、作製することができる。セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、並びに、フッ素系剥離剤や長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙類などが、挙げられる。樹脂組成物の塗布手法としては、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、およびグラビア塗工が挙げられる。レーザーマーク層11をなすこととなるフィルムの作製において、加熱温度は例えば90~160℃であり、加熱時間は例えば2~4分間である。一方、接着層12をなすこととなるフィルムは、接着層形成用の樹脂組成物を所定のセパレータ上に塗布して樹脂組成物層を形成した後、当該組成物層を加熱によって乾燥させることによって、作製することができる。接着層12をなすこととなるフィルムの作製において、加熱温度は例えば90~150℃であり、加熱時間は例えば1~2分間である。以上のようにして、それぞれがセパレータを伴う形態で上述の二種類のフィルムを作製することができる。そして、これらフィルムの露出面どうしを貼り合わせる。これによって、レーザーマーク層11と接着層12との積層構造を有するフィルム10(両面にセパレータを伴う)が作製される。
ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXのダイシングテープ20については、用意した基材21上に粘着剤層22を設けることによって作製することができる。例えば樹脂製の基材21は、カレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法などの製膜手法によって、作製することができる。製膜後のフィルムないし基材21には、必要に応じて所定の表面処理が施される。粘着剤層22の形成においては、例えば、粘着剤層形成用の粘着剤組成物を調製した後、まず、当該組成物を基材21上または所定のセパレータ上に塗布して粘着剤組成物層を形成する。粘着剤組成物の塗布手法としては、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、およびグラビア塗工が挙げられる。次に、この粘着剤組成物層において、加熱によって、必要に応じて乾燥させ、また、必要に応じて架橋反応を生じさせる。加熱温度は例えば80~150℃であり、加熱時間は例えば0.5~5分間である。粘着剤層22がセパレータ上に形成される場合には、当該セパレータを伴う粘着剤層22を基材21に貼り合わせ、その後、セパレータが剥離される。これにより、基材21と粘着剤層22との積層構造を有するダイシングテープ20が作製される。
ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの作製においては、セパレータを伴うフィルム10を所定の直径の円盤形に打ち抜き加工した後、フィルム10のレーザーマーク層11側からセパレータを剥離し、ダイシングテープ20の粘着剤層22側にフィルム10のレーザーマーク層11側を貼り合わせる。貼合わせ温度は例えば30~50℃であり、貼合わせ圧力(線圧)は例えば0.1~20kgf/cmである。次に、このようにしてフィルム10と貼り合わせられたダイシングテープ20を、ダイシングテープ20の中心とフィルム10の中心とが一致するように、所定の直径の円盤形に打ち抜き加工する。粘着剤層22が上述のような放射線硬化性粘着剤を含む場合、当該貼り合わせの前に粘着剤層22に対して紫外線等の放射線を照射してもよいし、当該貼り合わせの後に基材21の側から粘着剤層22に対して紫外線等の放射線を照射してもよい。或いは、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの製造過程では、そのような放射線照射を行わなくてもよい(この場合、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの使用過程で粘着剤層22を放射線硬化させることが可能である)。粘着剤層22が紫外線硬化型である場合、粘着剤層22を硬化させるための紫外線照射積算量は、例えば50~500mJ/cm2である。
以上のようにして、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXを作製することができる。セパレータは、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXを使用する際には当該フィルムから剥がされる。
フィルム10は、上述のような多層構成に代えて単層構成を有してもよい。フィルム10が単層構成を有する場合、そのフィルム10は、実質的に熱硬化を生じない非熱硬化型の樹脂組成物よりなる。そのようなフィルム10は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有してもよいし、熱硬化性樹脂を含まない組成を有してもよい。
単層構成のフィルム10が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられる。フィルム10は、一種類の熱硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化性樹脂を含有してもよい。フィルム10におけるエポキシ樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂として上記したものが挙げられる。単層構成のフィルム10は、好ましくは、エポキシ当量150~900g/eqのエポキシ樹脂を2~20質量%の割合で含有する。前記エポキシ当量は、好ましくは150~700g/eqである。また、エポキシ樹脂に熱硬化性を発現させるための硬化剤としては、フェノール樹脂が好ましい。
単層構成のフィルム10中の熱可塑性樹脂は例えばバインダー機能を担うものである。フィルム10が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱可塑性樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の熱可塑性樹脂として上記したものが挙げられる。フィルム10は、一種類の熱可塑性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂を含有してもよい。
単層構成のフィルム10が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのようなアクリル樹脂のモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、レーザーマーク層11が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂の構成モノマーとして上記した(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。フィルム10中のアクリル樹脂の構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、当該アクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーを構成モノマーとして含んでもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、レーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものを用いることができる。
単層構成のフィルム10は、フィラーを含有してもよい。フィルム10へのフィラーの配合は、フィルム10の弾性率や、降伏点強度、破断伸度などの物性を調整するうえで好ましい。フィルム10におけるフィラーとしては、例えば、レーザーマーク層11におけるフィラーとして上記したものが挙げられる。フィルム10は、一種類のフィラーを含有してもよいし、二種類以上のフィラーを含有してもよい。当該フィラーは、球状、針状、フレーク状など各種形状を有していてもよい。フィルム10がフィラーを含有する場合の当該フィラーの平均粒径は、好ましくは30~1000nm、より好ましくは40~800nm、より好ましくは50~600nmである。すなわち、フィルム10は、ナノフィラーを含有するのが好ましい。フィラーとしてこのような粒径のナノフィラーをフィルム10が含有するという構成は、フィルム10に貼着ないしマウントされるワークについてフィルム10中含有フィラーに起因してダメージが生ずるのを回避または抑制するうえで好適であり、また、小片化されることとなるフィルム10について高い分断性を確保するうえで好適である。また、フィルム10がフィラーを含有する場合の当該フィラーの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。同含有量は、好ましくは75質量%未満である。
フィルム10が単層構成を有する場合、そのフィルム10は着色剤を含有する。フィルム10における着色剤としては、例えば、レーザーマーク層11における着色剤として上記したものが挙げられる。フィルム10におけるレーザーマーク層11側のレーザーマーキングによる刻印箇所とそれ以外の箇所との間で高いコントラストを確保して当該刻印情報について良好な視認性を実現するうえでは、フィルム10は黒系着色剤を含有するのが好ましい。フィルム10は、一種類の着色剤を含有してもよいし、二種類以上の着色剤を含有してもよい。また、フィルム10における着色剤の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。同含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。着色剤含有量に関するこれら構成は、レーザーマーキングによる刻印情報について上述の良好な視認性を実現するうえで好ましい。
単層構成のフィルム10は、必要に応じて、一種類の又は二種類以上の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、難燃剤、シランカップリング剤、およびイオントラップ剤などが挙げられる。
フィルム10が単層構成を有する場合の当該フィルム10の厚さは、例えば2~100μmである。
図3から図7は、上述のダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXが使用される半導体装置製造方法の一例を表す。
本半導体装置製造方法においては、まず、図3(a)および図3(b)に示すように、研削加工によってウエハWが薄化される(ウエハ薄化工程)。研削加工は、研削砥石を備える研削加工装置を使用して行うことができる。ウエハWは、半導体ウエハであり、第1面Waおよび第2面Wbを有する。ウエハWにおける第1面Waの側には各種の半導体素子(図示略)が既に作り込まれ、且つ、当該半導体素子に必要な配線構造等(図示略)が第1面Wa上に既に形成されている。第2面Wbは、いわゆる裏面ないし背面である。本工程では、粘着面T1aを有するウエハ加工用テープT1がウエハWの第1面Wa側に貼り合わされた後、ウエハ加工用テープT1にウエハWが保持された状態で、ウエハWが所定の厚さに至るまで第2面Wbから研削加工され、薄化されたウエハ30が得られる。
次に、図4(a)に示すように、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXがウエハ30およびリングフレーム41に貼り合わせられる。具体的には、ウエハ加工用テープT1に保持されたウエハ30とそれを囲むように配されたリングフレーム41に対し、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXのフィルム10がウエハ30に貼着するとともに、ダイシングテープ20ないしその粘着剤層22がリングフレーム41に貼着するように、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの貼合せ作業が行われる。そして、図4(b)に示すように、ウエハ30からウエハ加工用テープT1が剥がされる。この後、ウエハ30に対するフィルム10の濡れ性や密着性を高めるためのベーキング工程を、例えば後記のダイシング工程までの間に行ってもよい。ベーキング工程では、ウエハ30を保持しているダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXないしそのフィルム10について、100℃以下の温度で数時間以内の加温を行うのが好ましい。
次に、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおけるフィルム10のレーザーマーク層11に対し、ダイシングテープ20越しに(即ちダイシングテープ20の基材21の側から)レーザーを照射してレーザーマーキングを行う(レーザーマーキング工程)。このレーザーマーキングによって、後に半導体チップへと個片化される半導体素子ごとに、文字情報や図形情報などの各種情報が刻印される。本工程では、一のレーザーマーキングプロセスにおいて、ウエハ30内の多数の半導体素子に対して一括的に効率よくレーザーマーキングを行うことが可能である。本工程で用いられるレーザーとしては、例えば、気体レーザーおよび固体レーザーが挙げられる。気体レーザーとしては、例えば、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)およびエキシマレーザーが挙げられる。固体レーザーとしては、例えばNd:YAGレーザーが挙げられる。
次に、ウエハ30とリングフレーム41とを伴うダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXをそのリングフレーム41を介して装置の保持具42に保持させたうえで、図5に示すように、ダイシング装置の備えるダイシングブレードによる切削加工が行われる(ダイシング工程)。図5では、切削箇所を模式的に太線で表す。本工程では、ウエハ30がチップ31へと個片化され、これとともに、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXのフィルム10が小片のフィルム10'に切断される。これにより、チップ背面保護膜をなすためのフィルム10'を伴うチップ31、即ちフィルム10'付チップ31が、得られる。
ダイシングテープ20の粘着剤層22が放射線硬化性粘着剤を含有する場合には、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの製造過程での上述の放射線照射に代えて、上述のダイシング工程の後に、基材21の側から粘着剤層22に対して紫外線等の放射線を照射してもよい。照射積算光量は、例えば50~500mJ/cm2である。ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおいて粘着剤層22の粘着力低減措置としての照射が行われる領域は、例えば図2に示すように、粘着剤層22におけるフィルム10貼合わせ領域内のその周縁部を除く領域Rである。
次に、フィルム10'付チップ31を伴うダイシングテープ20におけるチップ31側を水などの洗浄液を使用して洗浄するクリーニング工程や、フィルム10'付チップ31間の離隔距離を広げるためのエキスパンド工程を、必要に応じて経た後、図6に示すように、フィルム10'付チップ31をダイシングテープ20からピックアップする(ピックアップ工程)。例えば、リングフレーム41付きのダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXをそのリングフレーム41を介して装置の保持具43に保持させたうえで、ピックアップ対象のフィルム10'付チップ31について、ダイシングテープ20の図中下側においてピックアップ機構のピン部材44を上昇させてダイシングテープ20を介して突き上げた後、吸着治具45によって吸着保持する。ピックアップ工程において、ピン部材44の突き上げ速度は例えば1~100mm/秒であり、ピン部材44の突き上げ量は例えば50~3000μmである。
次に、図7に示すように、フィルム10'付チップ31が実装基板51に対してフリップチップ実装される。実装基板51としては、例えば、リードフレーム、TAB(Tape Automated Bonding)フィルム、および配線基板が挙げられる。チップ31は、実装基板51に対してバンプ52を介して電気的に接続されている。具体的には、チップ31がその回路形成面側に有する電極パッド(図示略)と実装基板51の有する端子部(図示略)とが、バンプ52を介して電気的に接続されている。バンプ52は、例えばハンダバンプである。また、チップ31と実装基板51との間には、熱硬化性のアンダーフィル剤53が介在している。
以上のようにして、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXを使用して半導体装置を製造することができる。
上述のように、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの備える半導体背面密着フィルムであるフィルム10は、昇温速度10℃/分での示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での発熱量(第1発熱量)と、130℃および2時間の条件の加熱処理を経た後の、昇温速度10℃/分での示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での発熱量(第2発熱量)との差(第1発熱量から第2発熱量を減じた熱量)が、50J/g以下である。第1発熱量とは、130℃および2時間の条件の加熱処理を経ていないフィルム10についての、昇温速度10℃/分での示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での発熱量である。第2発熱量とは、130℃および2時間の条件の加熱処理を経たフィルム10についての、昇温速度10℃/分での示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での発熱量である。フィルム10におけるこれら発熱量の差(第1発熱量から第2発熱量を減じた熱量)が50J/g以下であるという構成は、当該フィルムが貼り合わされた半導体ウエハが高温環境にさらされる場合に当該ウエハに反りが生ずるのを抑制するうえで好適であることを、本発明者らは見出だした。例えば、後記の実施例および比較例をもって示すとおりである。
フィルム10についての示差走査熱量測定における50~200℃の範囲内での上記各発熱量は、主に、同フィルム内の構成成分間の反応による発熱量(反応熱量)が占めるものである。上記加熱処理を経ていないフィルム10に関する上記第1発熱量と、上記加熱処理を経たフィルム10に関する上記第2発熱量との差が、50J/g以下であるという構成は、上記加熱処理によると50J/g以下の発熱量ないし反応熱量に相当する分の反応がフィルム10内で進行することを意味する。すなわち、同構成は、上記加熱処理によってフィルム10内で進行する反応が発熱量50J/g以下に相当する程度であるほど、上記加熱処理前のフィルム10において反応が既に進行していること(当該フィルムにおける反応率が高いこと)または上記加熱処理によってはフィルム10において反応が進行しにくいことを、意味する。フィルム10におけるこのような構成は、当該フィルム10が高温環境にさらされることにより反応が進行して収縮するその程度を低減するのに適し、従って、当該フィルムが貼り合わされた半導体ウエハが高温環境にさらされる場合に当該ウエハに反りが生ずるのを抑制するのに適する。硬化済みの熱硬化型層(上述の実施形態ではレーザーマーク層11)を含むフィルム10において、半導体背面密着フィルムであるフィルム10の高反応率化は、例えば、熱硬化型層における熱硬化触媒(反応促進剤)の配合量の調整や、フィルム10作製時の熱硬化のための加熱温度および加熱時間の調整によって、行うことができる。
以上のように、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXの備えるフィルム10は、フィルム10が貼り合わされた半導体ウエハに半導体装置製造過程で反りが生ずるのを抑制するのに適する。そのような反りの抑制の観点からは、上記発熱量差は、好ましくは30J/g以下、より好ましくは20J/g以下、より好ましくは10J/g以下である。
上述のように、フィルム10は、幅10mmのフィルム10試料片について初期チャック間距離20m、周波数1Hzおよび昇温速度10℃/分の条件(弾性率測定条件)で測定される150℃での引張貯蔵弾性率に対する、130℃および2時間の条件の加熱処理を経た後の、前記弾性率測定条件で測定される150℃での引張貯蔵弾性率の比率が、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、より好ましくは5以下、より好ましくは3以下、より好ましくは1.5以下である。このような構成は、フィルム10が高温環境にさらされることにより収縮するその程度を低減するのに適し、従って、フィルム10が貼り合わされた半導体ウエハが高温環境にさらされる場合に当該ウエハに反りが生ずるのを抑制するのに適する。
上述のように、フィルム10全体の無機フィラー含有割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。このような構成は、フィルム10ないしそれが貼り合わされた半導体ウエハにおける上述の反りを抑制するうえで好ましい。
上述のように、フィルム10全体の無機フィラー含有割合は、好ましくは75質量%未満である。このような構成は、フィルム10においてレーザーマーキングによる印字性を確保するうえで好適である。
ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXのフィルム10が上述のレーザーマーク層11(硬化済みの熱硬化型層)を有する場合、上述のように、フィルム10全体のガラス転移温度は、好ましくは100~200℃である。このような構成は、フィルム10において、熱収縮による発生応力を低減するとともに、高弾性領域を狭めることによって応力緩和を図るのに適する。
また、ダイシングテープ一体型半導体背面密着フィルムXにおけるフィルム10は、上述のように、好ましくは、エポキシ当量150~900g/eqのエポキシ樹脂を2~20質量%の割合で含有し、前記エポキシ当量は好ましくは150~700g/eqである。このような構成は、フィルム10において、その構成樹脂材料中の架橋点数を抑えつつ良好な粘接着性を確保するのに適する。フィルム10においては、その構成樹脂材料中の架橋点が少ないほど、加熱時の架橋反応を経ての収縮が抑制される傾向にある。
〔実施例1〕
実施例1の半導体背面密着フィルムの作製においては、まず、レーザーマーク層(LM層)をなすこととなる第1フィルムと、接着層(AH層)をなすこととなる第2フィルムとを、個別に作製した。
第1フィルムの作製においては、まず、第1エポキシ樹脂(商品名「JER YL980」,三菱化学株式会社製)7質量部と、第2エポキシ樹脂(商品名「KI-3000-4」,東都化成株式会社製)7質量部と、フェノール樹脂(商品名「MEH-7851SS」,明和化成株式会社製)15質量部と、アクリル樹脂(商品名「テイサンレジン SG-P3」,ナガセケムテックス株式会社製)15質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,株式会社アドマテックス製)50質量部と、熱硬化触媒(商品名「キュアゾール 2PHZ」,四国化成工業株式会社製)4質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)2質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータのシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させ、PETセパレータ上に厚さ15μmの第1フィルム(硬化済みの熱硬化型層であるレーザーマーク層をなすこととなるフィルム)を作製した。
第2フィルムの作製においては、まず、第1エポキシ樹脂(商品名「JER YL980」,三菱化学株式会社製)7.5質量部と、第2エポキシ樹脂(商品名「KI-3000-4」,東都化成株式会社製)7.5質量部と、フェノール樹脂(商品名「MEH-7851SS」,明和化成株式会社製)16.5質量部と、アクリル樹脂(商品名「テイサンレジン SG-P3」,ナガセケムテックス株式会社製)16.5質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,株式会社アドマテックス製)50質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)2質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータのシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させ、PETセパレータ上に厚さ10μmの第2フィルム(非熱硬化型の接着層をなすこととなるフィルム)を作製した。
そして、上述のようにして作製したPETセパレータ上の第1フィルムとPETセパレータ上の第2フィルムとをラミネーターを使用して貼り合わせた。具体的には、温度100℃および圧力0.6MPaの条件で、第1および第2フィルムの露出面どうしを貼り合わせた。以上のようにして、実施例1の半導体背面密着フィルムを作製した。実施例1ならびに後記の各実施例および比較例における各フィルムの組成を表1に掲げる(表1では、層ごとの組成が成分の質量比で表されている)。
〔実施例2〕
実施例2の半導体背面密着フィルムの作製においては、まず、第1エポキシ樹脂(商品名「JER YL980」,三菱化学株式会社製)7.5質量部と、第2エポキシ樹脂(商品名「KI-3000-4」,東都化成株式会社製)7.5質量部と、フェノール樹脂(商品名「MEH-7851SS」,明和化成株式会社製)16.5質量部と、アクリル樹脂(商品名「テイサンレジン SG-P3」,ナガセケムテックス株式会社製)16.5質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,株式会社アドマテックス製)50質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)2質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータのシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させた。以上のようにして、PETセパレータ上に厚さ25μmの実施例2の半導体背面密着フィルム(非熱硬化型の単層構成のフィルム)を作製した。
〔実施例3〕
実施例3の半導体背面密着フィルムの作製においては、まず、フェノール樹脂(商品名「MEH-7851SS」,明和化成株式会社製)25質量部と、アクリル樹脂(商品名「テイサンレジン SG-P3」,ナガセケムテックス株式会社製)13質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,株式会社アドマテックス製)60質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)2質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータのシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させた。以上のようにして、PETセパレータ上に厚さ25μmの実施例3の半導体背面密着フィルム(非熱硬化型の単層構成のフィルム)を作製した。
〔実施例4〕
第1エポキシ樹脂(商品名「JER YL980」)の配合量を7.5質量部に代えて3.5質量部としたこと、第2エポキシ樹脂(商品名「KI-3000-4」)の配合量を7.5質量部に代えて3.5質量部としたこと、フェノール樹脂(商品名「MEH-7851SS」)の配合量を16.5質量部に代えて8質量部としたこと、アクリル樹脂(商品名「テイサンレジン SG-P3」)の配合量を16.5質量部に代えて8質量部としたこと、および、フィラー(商品名「SO-25R」)の配合量を50質量部に代えて75質量部としたこと、以外は実施例2の半導体背面密着フィルムと同様にして、実施例4の半導体背面密着フィルム(厚さ25μmの非熱硬化型の単層構成のフィルム)を作製した。
〔比較例1〕
熱硬化触媒(商品名「キュアゾール 2PHZ」)の配合量を4質量部に代えて0.5質量部としたこと、および、フィルム厚さを12.5μmに代えて25μmとしたこと、以外は実施例1の第1フィルムと同様にして、比較例1の半導体背面密着フィルム(硬化済みの熱硬化型単層構成のフィルム)を作製した。
〈発熱量の差〉
実施例1~4および比較例1の各半導体背面密着フィルムについて、示差走査熱量計(商品名「DSC Q2000」,TA Instruments社製)を使用して行う示差走査熱量測定により、発熱量Q1を調べた。また、実施例1~4および比較例1の各複合フィルムの半導体背面密着フィルムについて、加熱処理(恒温槽内での130℃で2時間の静置)を施した後、示差走査熱量計(商品名「DSC Q2000」,TAインスツルメンツ社製)を使用して行う示差走査熱量測定により、発熱量Q2を調べた。各示差走査熱量測定では、測定環境を窒素雰囲気下とし、測定温度範囲を-30℃から300℃とし、昇温速度を10℃/分とした。そして、各測定によって得られたDSCチャートにおいて50~200℃の範囲に現れている発熱ピークに関し、当該チャートの50~200℃におけるベースライン以上の熱量の積算値を発熱量(J/g)として求めた。半導体背面密着フィルムごとに、発熱量Q1(J/g)、発熱量Q2(J/g)、および発熱量差Q1-Q2(J/g)を表1に掲げる。
〔引張貯蔵弾性率〕
実施例1~4および比較例1の各半導体背面密着フィルムについて、動的粘弾性測定装置(商品名「RSA3」,TA Instruments社製)を使用して行う動的粘弾性測定に基づき、150℃での引張貯蔵弾性率E1を求めた。また、実施例1~4および比較例1の各半導体背面密着フィルムについて、加熱処理(恒温槽内での130℃で2時間の静置)を施した後、動的粘弾性測定装置(商品名「RSA3」,TA Instruments社製)を使用して行う動的粘弾性測定に基づき、150℃での引張貯蔵弾性率E2を求めた。測定に供される試料片(幅10mm×長さ30mm)は、加熱処理を経てない半導体背面密着フィルムまたは加熱処理を経た半導体背面密着フィルムから、切り出して用意した。また、各測定においては、試料片保持用チャックの初期チャック間距離を20mmとし、測定モードを引張りモードとし、測定環境を窒素雰囲気下とし、測定温度範囲を0℃から200℃とし、周波数を1Hzとし、動的ひずみを0.05%とし、昇温速度を10℃/分とした。半導体背面密着フィルムごとに、引張貯蔵弾性率E1(MPa)、引張貯蔵弾性率E2(MPa)、および、これら引張貯蔵弾性率の比率E2/E1を表1に掲げる。
〈ガラス転移温度〉
実施例1および比較例1の各半導体背面密着フィルムについて、示差走査熱量計(商品名「DSC Q2000」,TA Instruments社製)を使用して行う示差走査熱量測定により、ガラス転移温度を調べた。各示差走査熱量測定では、測定環境を窒素雰囲気下とし、測定温度範囲を-30℃から300℃とし、昇温速度を10℃/分とした。実施例1および比較例1の各半導体背面密着フィルムのガラス転移温度Tg(℃)を表1に掲げる。
〈ウエハ反り量〉
実施例1~4および比較例1の各半導体背面密着フィルムについて、シリコンウエハとともに加熱試験を経た場合に反りを誘発する程度を調べた。具体的には次のとおりである。
まず、半導体背面密着フィルムをシリコンウエハ(厚さ100μm,直径300mm)に貼り合わせた。次に、半導体背面密着フィルムを伴うシリコンウエハを、恒温槽内において130℃で2時間 加熱した(加熱試験)。この加熱試験を経た半導体背面密着フィルム付きウエハを、半導体背面密着フィルムが上面側に位置する態様で、水平なテーブル面を有する実験台の上に置き、2時間静置した。その後、ウエハ周縁部のテーブル対向面においてテーブル面から最も高い位置にある箇所とテーブル面との間の距離を定規で測定した。その測定値を反り量(mm)とした。その測定値を表1に掲げる。
〈印字性評価〉
実施例1~4および比較例1の各半導体背面密着フィルムについて、次のようにして、印字性を調べた。まず、レーザーマーキング装置(商品名「MD-S9920」,株式会社キーエンス)を使用して、半導体背面密着フィルムに対してレーザーを照射してレーザーマーキングによる印字を行った(実施例1の半導体背面密着フィルムに対しては、そのレーザーマーク層表面に対して印字を行った)。このレーザーマーキングにおいて、レーザーパワーは0.23Wであり、マーキングスピードは300mm/秒であり、レーザーの周波数は10kHzである。次に、顕微鏡(商品名「デジタルマイクロスコープ VHX-500」,株式会社キーエンス製)を使用して、レーザーマーキングによる印字の箇所を観察した(明視野観察)。レーザーマーキングによって刻印された文字(印字)について、コントラストが明瞭であって容易に視認可能であること(第1基準)、および、刻印文字の最大深さが1μm以上であること(第2基準)の両方を充足する場合を、印字性が「良」であると評価し、第1および第2基準の少なくとも一つを充足しない場合を、印字性が「不良」であると評価した。その評価結果を表1に掲げる。