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JP7293873B2 - ニッケル硫化物の製造方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

ニッケル硫化物の製造方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケルを含む硫酸酸性溶液に硫化水素ガスと共に水硫化ナトリウム溶液を添加して硫化反応を生じさせることによりニッケル硫化物を製造する方法、及びその方法を硫化工程に適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
ニッケル酸化鉱石を原料とする湿式製錬においては、高圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)法と称する、高温高圧下にてニッケルやコバルト等の有価金属を酸浸出する技術が実用化されている。このHPAL法では、ニッケル酸化鉱石から浸出されたニッケルやコバルト等の有価金属を含む浸出液に対して、加圧下で硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化反応を生じさせてそれら有価金属を硫化物として回収する方法である。このような方法では、低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石であっても有価金属を効率よく回収できるという利点を有している。
より具体的に、HPAL法に基づくニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスでは、まず、数種類の低品位ニッケル酸化鉱石を所定のニッケル品位、不純物品位となるように混合し、それらを水と混合してスラリー化したものを篩にかけ、所定のアンダーサイズの鉱石のみを調合する(鉱石調合工程)。
次に、鉱石のスラリーをオートクレーブに供給して高温及び加圧の状態でニッケルを硫酸浸出させる(浸出工程)。
次に、浸出して得られた浸出スラリーに対して中和処理(予備中和処理)を施し、残留遊離酸を、石灰石を用いて中和する(予備中和工程)。その後、浸出スラリーをシックナー等の固液分離装置にて、浸出液と浸出残渣とに固液分離する(固液分離工程)。
分離された浸出残渣は、最終中和工程にて重金属類を所定の濃度まで除去したのちテーリングダムへと送液される。一方、固液分離にて得られた浸出液は、不純物を除去する中和工程を経たのちに、硫化水素ガス等の硫化剤を用いた硫化処理が施される硫化工程へと送液される。なお、中和工程を経て得られた中和後液中に亜鉛が含まれている場合には、その中和後液に所定条件で硫化処理が施されて、亜鉛を硫化物として除去する浄液処理が行われる(浄液工程(脱亜鉛工程))。硫化工程を経て、ニッケルが分離された硫化後液(貧液)の一部は、予備中和工程での処理後の固液分離工程での処理で再利用され、余剰分は最終中和の処理を行う工程(最終中和工程)に送液される。
ここで、上述した湿式製錬プロセスにおける硫化工程についてより具体的に説明する。硫化工程では、中和処理を経て得られた中和後液(あるいは浄液工程後の浄液後液)が、多段に構成された反応槽(硫化反応槽)に送られ、各反応槽の気相部に吹き込んだ硫化水素ガスの気液接触による連続硫化反応によって、ニッケルを含む硫化物(ニッケル硫化物)を析出させる。析出したニッケル硫化物を含むスラリーが固液分離処理の前に曝気されることにより、溶液中に溶存した硫化水素ガスが回収され、リサイクルガスとして硫化反応に再利用される。また、ニッケル硫化物の一部は、種晶として反応槽に繰り返される(例えば、特許文献1参照)。
硫化反応槽は、密閉容器であり、多段に構成された反応槽のうちの後段の反応槽に設置された排気ラインによって反応槽内の圧力調整を行っている。反応槽から排出された硫化水素を含むガスは、除害設備に送られて苛性ソーダ水溶液による硫化水素の除害処理が施され、その後に大気に放出される。苛性ソーダ水溶液とガス中の硫化水素とが反応して生成された硫化水素ナトリウム(水硫化ナトリウム)溶液の一部は、硫化反応槽に返送され、硫化反応の補助剤として反応に使用され、残りは最終中和工程へ送られる(例えば、特許文献2参照)。
硫化反応の補助剤として水硫化ナトリウム溶液を添加することにより、中和後液(あるいは浄液後液)に含まれるニッケルの収率を向上させることができる。ところが一方で、水硫化ナトリウム溶液を過剰に添加した場合には、析出生成するニッケル硫化物の粒径が細かくなるため、固液分離処理において脱水不良を招き、ニッケル硫化物中の不純物品位の上昇や、ニッケル硫化物のハンドリング性の悪化を誘発する。さらに、固液分離後に得られる硫化後液中へのニッケル硫化物のリーク量が増加するため、ニッケルの収率が低下してしまう。
このような問題に対して、余剰分の水硫化ナトリウム溶液を最終中和工程へ払い出すことが考えられるが、このことは、除害設備で使用した苛性ソーダを廃棄するのに等しい。そのため、ニッケルの収率や原単位の観点からすると、生成した水硫化ナトリウム溶液は全量系内へ繰り返すことが望ましくなる。
このようなことから、上述したニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、ニッケル収率の向上及び原単位削減のために、除害設備で生成した水硫化ナトリウム溶液を全量回収しながら、硫化反応で生成するニッケル硫化物の粒径を適切に制御できる方法が望まれている。
なお、例えば特許文献3には、ニッケルよりも貴な金属の塩と保護コロイド剤との複合コロイド粒子が分散したコロイド水溶液と、錯化剤と、アルカリ性物質と、還元剤とを混合した混合液にニッケル塩水溶液を添加した後に、水硫化ナトリウム、硫化水素アンモニウム、硫化ナトリウム又は硫化アンモニウムのいずれか一つ以上の硫化物を添加することを特徴とする硫黄含有ニッケル粉末の製造方法について開示されている。しかしながら、硫黄含有ニッケル粉末の粒径制御に関しては述べられていない。
特開2016-160526号公報 特開2010-126778号公報 特開2015-160978号公報
本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、例えばニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、硫化処理によりニッケル硫化物を生成させるにあたり、硫化水素ガスを除害処理して生成した水硫化ナトリウム溶液を全量して再利用しながら、生成するニッケル硫化物の粒径を適切に制御する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、直列に接続された2基以上の反応槽を使用し、硫化水素ガスを除害処理して生成した水硫化ナトリウム溶液の全量を、最も上流側の第1の反応槽と、その第1の反応槽の後段の反応槽とに分配して添加するとともに、その第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を特定の範囲とすることで、水硫化ナトリウム溶液を全量して再利用しながら、生成するニッケル硫化物の粒径を適切に制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、ニッケルを含む硫酸酸性溶液を反応槽に収容し、硫化水素ガスを添加して硫化反応を生じさせることでニッケル硫化物を得るニッケル硫化物の製造方法であって、前記硫酸酸性溶液に添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を前記硫化水素ガスと共に該硫酸酸性溶液に添加して硫化反応を生じさせる工程を含み、前記反応槽は、直列に接続された2基以上の反応槽から構成されており、最も上流側の第1の反応槽と、該第1の反応槽の後段の反応槽とに前記水硫化ナトリウム溶液を分配して添加し、前記水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の前記第1の反応槽への該水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲とする、ニッケル硫化物の製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の前記第1の反応槽へ分配する水硫化ナトリウム溶液以外を、該第1の反応槽に連続する第2の反応槽に分配して添加する、ニッケル硫化物の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、生成するニッケル硫化物の50%粒径が50~80μmとなるようにする、ニッケル硫化物の製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する前記水硫化ナトリウム溶液の添加比率を所定の範囲に調整しながら、該水硫化ナトリウム溶液を添加する、ニッケル硫化物の製造方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する前記水硫化ナトリウム溶液の添加比率が0.72~1.09m/t-Niとなるように、該水硫化ナトリウム溶液を添加する、ニッケル硫化物の製造方法である。
(6)本発明の第6の発明は、ニッケル酸化鉱石に対して硫酸を用いてニッケルを浸出し、得られた浸出液からニッケル硫化物を生成するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、前記浸出液を反応槽に収容し、硫化水素ガスを添加して硫化反応を生じさせることでニッケル硫化物を生成する硫化工程を含み、前記硫化工程は、前記浸出液に添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を前記硫化水素ガスと共に該浸出液に添加して硫化反応を生じさせる工程を含み、前記反応槽は、直列に接続された2基以上の反応槽から構成されており、最も上流側の第1の反応槽と、該第1の反応槽の後段の反応槽とに前記水硫化ナトリウム溶液を分配して添加し、前記水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の前記第1の反応槽への該水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲とする、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明によれば、硫化処理によりニッケル硫化物を生成させるにあたり、硫化水素ガスを除害処理して生成した水硫化ナトリウム溶液を全量して再利用しながら、生成するニッケル硫化物の粒径を適切に制御することができる。
硫化処理の流れの一例を示す工程図である。 直列に接続された2基以上の多段の反応槽の構成と、未反応の硫化水素ガスを除害処理して生成される水硫化ナトリウム溶液を供給の流れを説明するための模式図である。 ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の流れの一例を示した工程図である。 実施例の結果に基づいて、第1の反応槽へ各分配比率で水硫化ナトリウム溶液を添加させたときの、水硫化ナトリウム溶液の添加比率に対するニッケル硫化物のD50粒径の関係を示したグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書にて、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.ニッケル硫化物の製造方法≫
本発明に係るニッケル硫化物の製造方法は、反応槽に収容したニッケルを含む硫酸酸性溶液に、硫化水素ガスを添加して硫化反応を生じさせてニッケル硫化物を得る方法である。例えば、この製造方法は、詳しくは後述するニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化工程に適用することができる。
なお、湿式製錬プロセスでは、処理対象(原料)の硫酸酸性溶液にコバルトも含まれており、硫化反応によってニッケル及びコバルトを含む、いわゆる混合硫化物が得られる。したがって、「ニッケル硫化物」とは、ニッケルを少なくとも含む硫化物であり、ニッケル及びコバルトの混合硫化物も含む。
具体的に、本発明に係るニッケル硫化物の製造方法は、ニッケルを含む硫酸酸性溶液に添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を硫化水素ガスと共にその硫酸酸性溶液に添加して硫化反応を生じさせる工程を含んでいる。
この製造方法において、硫酸酸性溶液を収容して硫化反応が生じる場となる反応槽(硫化反応槽)は、直列に接続された2基以上の反応槽から構成されており、最も上流側の第1の反応槽と、その第1の反応槽の後段の反応槽とに水硫化ナトリウム溶液を分配して添加する。そして、水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲とすることを特徴としている。
ここで、例えば、上述したようにニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスでは、ニッケル酸化鉱石に対して高温高圧下で硫酸を用いてニッケルを浸出し、得られた浸出液からニッケル硫化物を生成させる硫化工程を有する。硫化工程における硫化処理では、例えば純度95%~99%程度の硫化水素ガスを硫化剤として用い、硫化反応によって硫化物を生成させるための必要理論当量よりも多い量(過剰量)の硫化水素ガスを、硫化反応始液であるニッケルを含む硫酸酸性溶液に添加する。これにより、硫酸酸性溶液に含まれるニッケルを硫化物として高い回収率で回収することができる。
一方で、その硫化工程における硫化処理では、過剰量の硫化水素ガスを添加しているために、硫化反応に関与しなかった未反応のガスが反応槽内に残存するようになる。そのため、硫化処理では、添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウムを添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られた水硫化ナトリウム溶液を硫化剤として硫化水素ガスと共に硫酸酸性溶液に添加している。このことにより、硫酸酸性溶液中のニッケルを、硫化物としてより一層高い回収率で回収できるとともに硫化水素ガスの利用効率を向上させることができる。さらに、生成するニッケル硫化物が微細になることを防いで、粒径を適切に制御することができる。
具体的に、未反応の硫化水素ガスを回収して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、その全量を硫化処理に繰り返している。このことから、硫化処理においては、下記[1]式に示されるような硫化水素ガスによる硫化反応に加えて、下記[2]式で示されるような水硫化ナトリウムによる硫化反応が生じる。なお、式中のMはNiやCoを表す。
MSO+HS→MS+HSO ・・・[1]
2NaHS+MSO→NaSO+MS+HS ・・・[2]
図1は、硫化処理の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、硫化処理においては、ニッケルを含む硫酸酸性溶液が反応槽内に装入され、その反応槽の気相中に過剰量の硫化水素ガスが添加され、その硫化水素ガスの気液接触による連続硫化反応によってニッケルを含む硫化物が析出生成する。このとき、ニッケル等の収率の観点からすると、反応槽に吹き込む硫化水素ガス量は、硫化処理に供する硫酸酸性溶液の供給量と、その溶液中に含まれる硫酸ニッケル濃度、つまり供給するニッケル量に依存する。
硫化反応により生成したニッケル硫化物は、ニッケル濃度を低い水準で安定させた貧液(硫化後液)から濃縮スラリーの形態で分離される。濃縮スラリーの形態のニッケル硫化物は、その一部が種晶として抜き出されて反応槽に戻される。これにより、その種晶を核として硫化反応による硫化物の析出が生じるようになるため、生成するニッケル硫化物粒子の粒径を大きくばらつかせることなく安定的に成長させることができる。
一方で、反応槽内に残存した未反応の硫化水素ガスは、回収され、除害設備に装入される。除害設備では、硫化水素ガスによる除害処理が行われ、具体的には水酸化ナトリウム水溶液による除害処理が行われて、硫化水素ナトリウム(水硫化ナトリウム)溶液が生成する。なお、この水硫化ナトリウム溶液は、水酸化ナトリウムを含む溶液であってpHがおよそ13以上である。
生成した水硫化ナトリウム溶液は、硫化処理が行われる反応槽に繰り返され、硫化剤として硫化水素ガスと共にニッケルを含む酸性溶液に添加される。これにより、上記の反応式[1]及び[2]が生じることになる。
ところが、反応槽内の硫酸酸性溶液に硫化剤としての硫化水素ガス及び水硫化ナトリウム溶液を単に添加するだけでは、生成するニッケル硫化物の粒子の50%粒径(D50)が80μmを超えるほどの粗大になることがある。また、過剰に水硫化ナトリウム溶液を添加すると、生成するニッケル硫化物の粒子が細かくなりすぎてしまい、固液分離処理での脱水不良を招き、不純物品位を上昇させることもある。一方で、ニッケル等の収率や原単位の観点からすると、除害処理により生成した水硫化ナトリウム溶液は、その全量を系内に繰り返して用いることが望ましい。
そこで、本発明に係るニッケル硫化物の製造方法においては、多段の反応槽、すなわち直列に接続された2基以上の反応槽を用いて、最も上流側の第1の反応槽と、その第1の反応槽の後段の反応槽とに水硫化ナトリウム溶液を分配して添加する。ここで、「後段の反応槽」とは、第1の反応槽、第2の反応槽、・・・第nの反応槽(nは2以上)により上流から下流から構成される多段の反応槽における、第2の反応槽以降の反応槽をいう。
そして、水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲とする。ここで、分配比率とは、水硫化ナトリウム溶液の全量に対して、多段に設けた反応槽のうちの特定の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配添加量をいう。
このように、硫化反応を生じさせる反応槽を多段に構成し、水硫化ナトリウム溶液を、第1の反応槽とその第1の反応槽の後段の反応槽とに分配して添加するとともに、第1の反応槽への分配比率を特定の範囲に調整する、すなわち40~70%の範囲の分配比率に調整することで、生成するニッケル硫化物の粒子の50%粒径(D50)を安定的に制御することができる。具体的には、粒径D50を50~80μm程度の範囲に安定的に制御することができる。また、除害処理により生成した水硫化ナトリウム溶液の全量を、反応槽に分配添加するようにしているため、除害に使用した水酸化ナトリウムを含む水硫化ナトリウム溶液を廃棄する必要がなくなり、廃棄のための処理コストが削減されて、効率的なニッケル硫化物の製造を実現することができる。
第1の反応槽への分配比率に関して、40%未満であるとニッケルの収率が低下する。また、分配比率を増加させるほどニッケル硫化物の粒径が細かくなる傾向にあり、70%を超えると微細になりすぎてしまい、安定的に粒径を制御できなくなる。
図2は、直列に接続された2基以上の多段の反応槽の構成と、未反応の硫化水素ガスを除害処理して生成される水硫化ナトリウム溶液を供給の流れを説明するための模式図である。なお、図2では、連続的に4段で反応槽(第1の反応槽11~第4の反応槽14)が構成された例を示す。
図2に示すように、第1の反応槽11~第4の反応槽14の4段で構成された反応槽において、最も上流側の第1の反応槽11に、ニッケルを含む硫酸酸性溶液(例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける脱亜鉛処理後の浄液後液)が装入されると、硫化剤である硫化水素ガスが吹き込み添加されて硫化反応が生じる。硫化反応により生成したニッケル硫化物を含むスラリーは、第1の反応槽11に続く第2の反応槽12に移送され、その第2の反応槽12においても同様に硫化水素ガスが吹き込み添加されてニッケル硫化物が生成する硫化反応が生じる。そして同様に、ニッケル硫化物を含むスラリーが第3の反応槽13、第4の反応槽14へと順次移送され、各反応槽にて硫化反応が生じる。これにより、ニッケル硫化物を含むスラリーが徐々に濃縮され、固液分離処理を経てニッケル硫化物が回収される。
なお、硫化剤である硫化水素ガスについては、2基以上の多段に構成された反応槽のすべてに添加してもよいが、第1の反応槽のみに添加するようにしてもよい。例えば、硫化水素ガスを第1の反応槽のみ添加することで、その第1の反応槽における硫化反応時間を最大化させて、より効果的にニッケル硫化物の生成させることができ、ニッケルの収率を向上させることができる。
一方、特に限定されないが、第3の反応槽13及び第4の反応槽14からは、硫化反応に関与しなかった未反応の硫化水素ガスが回収されて除害設備21へと移送される。除害設備21では、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム溶液を添加して水流化ナトリウムを生成させる除害処理が行われる。除害設備21での除害処理により無害化されたガス成分は大気へ放出され、また除害処理により生成した水硫化ナトリウム溶液は、硫化処理が行われる反応槽に繰り返され添加される。これにより、反応槽(例えば第1の反応槽11)では、硫化水素ガスと共に水硫化ナトリウム溶液が添加されて、硫化反応が生じる(上記の反応式[1]及び[2])。
このとき、生成した水硫化ナトリウム溶液は、その全量が反応槽に繰り返されるとともに、最も上流側の第1の反応槽11とその第1の反応槽11の後段の反応槽(第2の反応槽12~第4の反応槽の少なくともいずれか1つ)とに分配して添加される。具体的に、図2の模式図では、第1の反応槽11と第2の反応槽12とに、水硫化ナトリウム溶液が分配されている例を示している。
そして、第1の反応槽11と第2の反応槽12に分配して水硫化ナトリウム溶液の全量を添加するに際し、第1の反応槽11に添加する水硫化ナトリウム溶液の分配添加量の割合(分配比率)を40~70%の範囲とする。
ここで、多段に設けた反応槽の数(設置数)は、図2の模式図に示すような4基に限られず、2基であっても3基であってもよく、あるいは5基以上であってもよい。
また、多段に設けた反応槽において、最も上流側の第1の反応槽と、その第1の反応槽の後段の反応槽とに水硫化ナトリウム溶液を分配して添加するに際し、第1の反応槽と、その第1の反応槽に連続する第2の反応槽との2つの反応槽に分配して添加することが好ましい。例えば、図2の模式図の例の場合、4段の反応槽(第1の反応槽11~第4の反応槽14)により構成したとき、第1の反応槽11と第2の反応槽12とに、水硫化ナトリウム溶液の全量を分配する。図2でも示すように、第1の反応槽11では、種晶として所定量のニッケル硫化物が添加され、その種晶を核としてニッケル硫化物が生成する。次の第2の反応槽12では、生成したニッケル硫化物に基づいて、硫化反応により主に粒子の成長が生じる。
したがって、このようにニッケル硫化物の粒子の生成と初期の成長が主として生じる上流側の反応槽である、第1の反応槽と第2の反応槽との2つの反応槽に、水硫化ナトリウム溶液の全量を分配して添加することで、生成するニッケル硫化物の粒子が微細になることを防ぎ、より安定的に、ニッケル硫化物の粒径を制御することができる。
また、水硫化ナトリウム溶液を添加するに際しては、硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率を所定の範囲に調整することが好ましい。このように、ニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率を所定の範囲に調整しながら水硫化ナトリウム溶液を添加することで、生成するニッケル硫化物の粒径を、より一層に安定的に所望の範囲に制御することができる。
具体的には、硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率が0.72~1.09m/t-Niとなるように水硫化ナトリウム溶液を添加することが好ましい。水硫化ナトリウム溶液の添加比率が0.72m/t未満では、除害処理に用いた水酸化ナトリウムの原単位が悪化し、一方で、1.09m/tを超えると、ニッケル硫化物の粒子が細かくなる傾向があり、不純物品位の上昇やハンドリング性の悪化を招くことがある。分配比率40%以下ではニッケルの収率が低下し、比率を増加させるほどニッケル硫化物の粒径が細かくなるため、70%程度に調整するのが好ましい。
なお、生成するニッケル硫化物の粒子の50%粒径(D50)としては、50~80μm程度の範囲であることが好ましい。ニッケル硫化物の粒径がD50で80μm超えると、ニッケル硫化物を原料とした塩素浸出の処理や、オートクレーブでの加圧浸出の処理等において、ニッケル浸出率が低下したり、粗大粒子による撹拌機の磨耗や損傷を引き起こしたりする問題が生ずることがある。
一方で、ニッケル硫化物の粒径がD50で50μm未満であると、ニッケル硫化物を含むスラリーから圧搾濾過器等の固液分離装置を用いて固液分離する際の脱水性が低下し、所望の処理量を確保するためには標準的なものよりも大きな固液分離装置を用いる必要が生じることがある。また、固液分離装置の個数を増やしたりする必要が生じ、設備コストが著しく高くなるおそれがある。また、50μm未満の微細なニッケル硫化物粒子は、酸化されやすいため、品質に悪影響を及ぼすことがある。
≪2.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法≫
本発明に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石に対して高温高圧下で硫酸を用いてニッケルを浸出し、得られた浸出液からニッケル硫化物を生成させる方法である。この湿式製錬方法は、ニッケルを含む硫酸酸性溶液である浸出液を反応槽に収容し、硫化水素ガスを添加して硫化反応を生じさせることでニッケル硫化物を生成する硫化工程を含む。
そして、この湿式製錬方法における硫化工程では、上述したニッケル硫化物の製造方法を適用することができる。
具体的には、硫化工程においては、硫酸酸性溶液である浸出液に添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を硫化水素ガスと共にその浸出液に添加して硫化反応を生じさせる工程を含む。硫化反応を生じさせる反応槽は、直列に接続された2基以上の反応槽から構成されており、最も上流側の第1の反応槽と、その第1の反応槽の後段の反応槽とに水硫化ナトリウム溶液を分配して添加する。そして、水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲とすることを特徴としている。
このような方法によれば、硫化反応を生じさせる反応槽を多段に構成し、水硫化ナトリウム溶液を、第1の反応槽とその第1の反応槽の後段の反応槽とに分配して添加するとともに、第1の反応槽への分配比率を特定の範囲に調整する、すなわち40~70%の範囲の分配比率に調整していることにより、硫化工程にて生成するニッケル硫化物の粒子の50%粒径(D50)を安定的に制御することができる。具体的には、粒径D50を50~80μm程度の範囲に安定的に制御することができる。
また、除害処理により生成した水硫化ナトリウム溶液の全量を、反応槽に分配添加するようにしているため、除害に使用した水酸化ナトリウムを含む水硫化ナトリウム溶液を廃棄する必要がなくなり、廃棄のための処理コストが削減されて、効率的なニッケル硫化物の製造を実現することができる。
以下では、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法についての概要を説明して、その湿式製錬方法における硫化工程での処理に、上述したニッケル硫化物の製造方法を適用した具体的な態様について説明する。なお、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、高温高圧下で浸出を行う高温加圧酸浸出法(HPAL法)による湿式製錬方法を例に説明する。
<ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の各工程について>
図3は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の流れの一例を示した工程図である。図3に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、原料のニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S1と、浸出スラリーから残渣を分離してニッケルを含む浸出液を得る固液分離工程S2と、浸出液のpHを調整して浸出液中の不純物元素を中和澱物として分離し中和後液を得る中和工程S3と、中和後液に硫化水素ガスを添加することでニッケル硫化物を生成させる硫化工程(ニッケル回収工程)S4と、を有する。
(1)浸出工程
浸出工程S1では、オートクレーブ等の高温加圧反応槽を用い、ニッケル酸化鉱石のスラリー(鉱石スラリー)に硫酸を添加して、温度230℃~270℃程度、圧力3~5MPa程度の条件下で撹拌し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成させる。
ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8重量%~2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10重量%~50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。また、浸出工程S1では、このようなラテライト鉱のほかに、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する酸化鉱石、例えば深海底に賦存するマンガン瘤等を用いることができる。
浸出処理では、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。ただし、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等のほかに2価と3価の鉄イオンが含まれる。なお、浸出工程S1では、次工程の固液分離工程S2で生成されるヘマタイトを含む浸出残渣の濾過性の観点から、得られる浸出液のpHが0.1~1.0にとなるように調整することが好ましい。
なお、鉱石スラリーを装入したオートクレーブへの硫酸の添加量としては、特に限定されないが、鉱石中の鉄が浸出されるような過剰量が用いられる。例えば、鉱石1トン当り300kg~400kg程度とする。
(2)固液分離工程
固液分離工程S2では、浸出工程S1で生成した浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケルやコバルト等の有価金属を含む浸出液と浸出残渣とに分離する。
固液分離工程S2では、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、シックナー等の固液分離装置を用いて固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、浸出スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケルやコバルトをその希釈度合に応じて減少させることができる。なお、実操業では、このような機能を持つシックナーを多段に連結して用いることにより、ニッケル及びコバルトの回収率の向上を図ることができる。
(3)中和工程
中和工程S3では、浸出液の酸化を抑制しながら、pHが4以下となるように酸化マグネシウムや炭酸カルシウム等の中和剤を添加して中和処理を施し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用母液である中和後液とを得る。
中和処理では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、得られる中和後液のpHが4以下、好ましくは3.0~3.5、より好ましくは3.1~3.2になるように、浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加し、ニッケル回収用の母液の元となる中和後液と、不純物元素として3価の鉄を含む中和澱物のスラリーとを形成する。中和工程S3では、このように浸出液に対する中和処理(浄液処理)を施すことで、HPAL法による浸出処理で用いた過剰の酸を中和して中和後液と生成するとともに、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等の不純物を中和澱物として除去する。
(4)硫化工程(ニッケル回収工程)
硫化工程S4では、ニッケルを含む硫酸酸性溶液である中和後液を硫化反応始液として、その硫化反応始液に対して硫化剤を添加することで硫化反応を生じさせ、不純物成分の少ないニッケル硫化物と、ニッケル濃度を低い水準で安定させた貧液(硫化後液)とを生成させる。なお、中和後液中に亜鉛が含まれる場合、硫化物としてニッケルを分離するに先立って、亜鉛を硫化物として選択的に分離することができる。脱亜鉛処理を行う工程を浄液工程ともいい、脱亜鉛処理後の溶液を浄液後液ともいう。
硫化処理は、硫化反応槽を用いて行うことができる。具体的には、硫化反応槽に収容させた硫化反応始液(ニッケルを含む硫酸酸性溶液)に対し、反応槽内の気相部分に硫化剤である硫化水素ガスを吹き込み、溶液中に硫化水素ガスを溶解させることで硫化反応を生じさせる。この硫化処理により、硫化反応始液中に含まれるニッケルを硫化物として固定化して回収する。
なお、硫化反応の終了後においては、得られたニッケル硫化物を含むスラリーをシックナー等の沈降分離装置に装入して沈降分離処理を施し、その硫化物のみをシックナーの底部より分離回収する。なお、回収したニッケル硫化物の一部は種晶として硫化処理の反応槽に戻される(図中のR)。一方で、水溶液成分は、シックナーの上部からオーバーフローさせて貧液として回収する。
硫化処理に使用する硫化反応槽としては、特に限定されないが、直列に連結された2基以上の槽、好ましくは3基以上の槽、より好ましくは4基以上の槽からなる反応槽を用いる(例えば、図2を参照)。2基以上の多段に構成された硫化反応槽においては、最も上流にある反応槽(第1の反応槽)に、硫化反応始液であるニッケルを含む硫酸酸性溶液が供給され、それぞれの反応槽にてガス吹き込み口から硫化水素ガスが吹き込み添加することで、順次連続的に硫化反応を生じさせる。
多段に構成された反応槽において、主として第1の反応槽では、硫化反応に基づくニッケル硫化物の生成反応が生じ、続く第2の反応槽以降では、生成したニッケル硫化物のいわゆる成長が生じる。
ここで、上述した硫化工程S4では、ニッケルを含む硫酸酸性溶液である中和後液(あるいは浄液後液)に対してニッケル硫化物を生成させる硫化処理を行うとともに、添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液を硫化水素ガスと共に硫酸酸性溶液に添加することを含む。
このとき、本発明に係る湿式製錬方法では、硫化水素ガスと共に、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を、直列に接続された2基以上の反応槽のうちの、最も上流側の第1の反応槽とその第1の反応槽の後段の反応槽とに水硫化ナトリウム溶液を分配して添加することで、硫化反応を生じさせる。そして、水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲とする。
硫化工程S4において、このような方法により硫化処理を行うことによって、硫化工程にて生成するニッケル硫化物の粒子の50%粒径(D50)を安定的に制御することができる。具体的には、粒径D50を50~80μm程度の範囲に安定的に制御することができる。また、除害処理により生成した水硫化ナトリウム溶液の全量を、反応槽に分配添加するようにしているため、除害に使用した水酸化ナトリウムを含む水硫化ナトリウム溶液を廃棄する必要がなくなり、効率的なニッケル硫化物の製造を実現することができる。
また、好ましくは、ニッケル硫化物の粒子の生成と初期の成長が主として生じる上流側の反応槽である、第1の反応槽と第2の反応槽との2つの反応槽に、水硫化ナトリウム溶液の全量を分配して添加する。
また、水硫化ナトリウム溶液を添加するに際して、硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率を所定の範囲、より好ましくはその水硫化ナトリウム溶液の添加比率が0.72~1.09m/t-Niとなるようにする。
これらのことにより、生成するニッケル硫化物の粒径を、より一層に安定的に所望の範囲に制御することができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス(HPALプロセス、図3を参照)によりニッケル硫化物を製造した。硫化工程では、ニッケルを含む硫酸酸性溶液である浄液後液(反応始液)を、直列に連結された4基の反応槽のうちの最も上流側の第1の反応槽(図2を参照。第1の反応槽11)に反応始液として供給し、第1の反応槽に硫化剤として純度99容量%の硫化水素ガスを吹き込み添加した。
ニッケルを含む硫酸酸性溶液である浄液後液は、ニッケル濃度が3.7g/Lであり、これを流量1200m/hrで第1の反応槽に供給した。また、第1の反応槽への硫化水素ガスの供給流量を1560Nm/hrとし、それを反応槽の液相部に吹き込んだ。また、第1の反応槽には、最も下流側の第4の反応槽から抜き出したニッケル硫化物を含むスラリーをシックナーで濃縮することで得た、スラリー濃度1130g/Lの濃縮スラリーの一部を種晶として繰り返した。なお、第1の反応槽に単位時間に供給した硫酸酸性水溶液中のニッケル量に対して、単位時間に45質量%のニッケル量が繰り返されるように種晶の添加量を調整した。
また、添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム溶液を添加して除害処理を施して生成させた水硫化ナトリウム溶液を、硫化水素ガスと共に硫化剤として硫酸酸性溶液に添加して硫化反応を生じさせた。
なお、未反応の硫化水素ガスに対する除害処理は、第3の反応槽及び第4の反応槽の気相部から排出されたガスを除害設備に導入し(図2を参照)、その内部を循環する濃度25質量%の水酸化ナトリウム溶液に気液接触させることによって行い、未反応分のガスを水酸化ナトリウム溶液に吸収させて水硫化ナトリウム溶液を生成させた。
そして、実施例1では、生成した水硫化ナトリウム溶液(濃度2%)の全量を、流量3.6m/hr(反応始液である硫酸酸性溶液の供給流量の0.30%に相当)で、第1の反応槽と第2の反応槽とに分配して添加した。ここで、第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率は50~60%の範囲とした。また、反応始液である硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率を0.78~1.06m/t-Niの範囲で変化させた。
このようにして硫化工程における硫化処理を実行し、生成するニッケル硫化物の平均粒径(D50)を測定した。なお、金属の分析はICP発光分析法により行い、ニッケル硫化物の粒径の測定はマイクロトラック粒度分析器(堀場製作所社製、LA-950V2)を用いてレーザー回折散乱法に基づく粒度分布測定により行った。
[実施例2]
実施例2では、第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~50%の範囲とし、また、反応始液である硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率を0.90~1.09m/t-Niの範囲で変化させた。それ以外は、実施例1と同様にして硫化処理を実行し、ニッケル硫化物を製造した。
[実施例3]
実施例3では、第1の反応槽への水硫化ナトリウム溶液の分配比率を60~70%の範囲とし、また、反応始液である硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する水硫化ナトリウム溶液の添加比率を0.72~0.89m/t-Niの範囲で変化させた。それ以外は、実施例1と同様にして硫化処理を実行し、ニッケル硫化物を製造した。
下記表1に、実施例1~実施例3での分配比率及び水硫化ナトリウム溶液の添加比率の条件と、生成したニッケル硫化物のD50粒径の測定結果を示す。また、図4に、測定結果に基づいて、第1の反応槽へ各分配比率で水硫化ナトリウム溶液を添加させたときの、水硫化ナトリウム溶液の添加比率に対するD50粒径の関係を示すグラフ図を示す。
Figure 0007293873000001
実施例1~実施例3の結果に示されるように、水硫化ナトリウム溶液の第1の反応槽への分配比率を特定の範囲とすることで、その水硫化ナトリウム溶液の添加比率に依らず、生成するニッケル硫化物の粒径を50μm~80μmの範囲に制御することができる。
また、このように除害処理により生成した水硫化ナトリウム溶液の全量を系内に添加できるため、ニッケルの収率向上、並びに原単位の削減が可能となる。
ここで、図4のグラフから分かるように、第1の反応槽への分配比率を高くするに従って、生成するニッケル硫化物の平均粒径が小さくなることがわかる。このことから、例えば水硫化ナトリウム溶液の全量を第1の反応槽にのみ添加した場合には、ニッケル硫化物の粒子が微細になってしまうことが推測される。
11 第1の反応槽
12 第2の反応槽
13 第3の反応槽
14 第4の反応槽
21 除害設備

Claims (2)

  1. ニッケルを含む硫酸酸性溶液を反応槽に収容し、硫化水素ガスを添加して硫化反応を生じさせることでニッケル硫化物を得るニッケル硫化物の製造方法であって、
    前記硫酸酸性溶液に添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を前記硫化水素ガスと共に該硫酸酸性溶液に添加して硫化反応を生じさせる工程を含み、
    前記反応槽は、直列に接続された2基以上の反応槽から構成されており、
    最も上流側の第1の反応槽と、該第1の反応槽の後段の反応槽とに前記水硫化ナトリウム溶液を分配して添加し、前記水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の前記第1の反応槽への該水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲に調整するとともに、
    反応始液である前記硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する前記第1の反応槽への前記水硫化ナトリウム溶液の添加比率を0.72~1.09m/t-Niとなるように調整して、
    生成するニッケル硫化物の50%粒径が50~80μmとなるようにする、
    ニッケル硫化物の製造方法。
  2. ニッケル酸化鉱石に対して硫酸を用いてニッケルを浸出し、得られた浸出液からニッケル硫化物を生成するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、
    前記浸出液から得られたニッケルを含む硫酸酸性溶液を反応槽に収容し、硫化水素ガスを添加して硫化反応を生じさせることでニッケル硫化物を生成する硫化工程を含み、
    前記硫化工程は、
    前記硫酸酸性溶液に添加した硫化水素ガスのうちの未反応のガスを回収し、回収した硫化水素ガスに水酸化ナトリウム水溶液を添加して水硫化ナトリウム溶液を生成させ、得られる水硫化ナトリウム溶液の全量を前記硫化水素ガスと共に前記硫酸酸性溶液に添加して硫化反応を生じさせる工程を含み、
    前記反応槽は、直列に接続された2基以上の反応槽から構成されており、
    最も上流側の第1の反応槽と、該第1の反応槽の後段の反応槽とに前記水硫化ナトリウム溶液を分配して添加し、前記水硫化ナトリウム溶液の全量のうち、最も上流側の前記第1の反応槽への該水硫化ナトリウム溶液の分配比率を40~70%の範囲に調整するとともに、
    反応始液である前記硫酸酸性溶液に含まれるニッケル量に対する前記第1の反応槽への前記水硫化ナトリウム溶液の添加比率を0.72~1.09m/t-Niとなるように調整して、
    生成するニッケル硫化物の50%粒径が50~80μmとなるようにする、
    ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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