JP7289275B2 - 熱硬化性粉体塗料、該塗料を用いて形成された塗膜、及び該塗膜を備えた被塗装体 - Google Patents
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Description
エポキシ樹脂粉体塗料としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール系硬化促進剤及び又はイミダゾリン系硬化促進剤を含有したものが知られている(特許文献1)。
なお、塗膜形成に用いる粉体塗料は、塗装対象物表面に粉体(固体)の状態で付着させた後、加熱することにより粉体を溶融(液体化)させ、さらに加熱することで造膜(固体化)させて塗膜を形成するが、溶融時に必要以上のタレが生ずることがないなど塗装時の作業性が良好であることも要求される。
また本発明によれば、以下に示す構成の熱硬化性粉体塗料を熱硬化させた塗膜と、該塗膜が塗装対象物の少なくとも一部に形成された被塗装体も提供される。
(A):エポキシ当量600~800g/eq(但し800g/eqを除く)のビスフェノール型エポキシ樹脂、
(B):ゴム変性エポキシ樹脂、
(C):ビスフェノール型フェノール樹脂硬化剤、
(D):(C)を活性化させる化合物、
(D1):イミダゾール化合物、
(D2):アミン-エポキシアダクト系化合物、
とする。
硬化物を形成するための塗料であって、
組成物の微粉砕物で構成してあり、
前記組成物は、(A)、(C)、及び(D)を含み、かつ(B)を含まず、
(D)は、(D1)及び(D2)を含み、(D1):1に対する(D2)の質量比が1.0以上3.7以下であることを特徴とする。
該塗膜を100~300μmの厚さで表面に形成した試験片を、JIS K 5600-5-1:1999のタイプ1に準拠した方法(円筒形マンドレル法)により、0℃の低温環境下で、塗膜が外側となるように直径4mmの円筒マンドレルに巻き付けたとき、その巻き付け部分の塗膜に割れ及び剥がれを生じない可とう性と、
前記塗膜を100~300μmの厚さで
表面に形成した試験片を用いた、210℃及び800時間の加熱(熱エージング)後にクラックを生じない耐熱性と、
を備えたものとすることができる。
耐熱性については、外観保持(210℃及び800時間の加熱後にクラックを生じないこと)に加え、あるいはこれとは別に、210℃及び1000時間の加熱(熱エージング)後に耐電圧の初期値に対する50%以上の低下を生じないものであってもよい。
すなわち、本発明によれば、塗装時の作業性に優れつつも、耐熱性とともに低温でも高い可とう性が付与され、その結果、耐熱性と曲げ加工時の耐クラック性とを備えた硬化物を形成しうる熱硬化性粉体塗料を提供することができる。また、この特定塗料の硬化物からなり、耐熱性と曲げ加工時の耐クラック性とを備えた塗膜を提供することができる。さらに、この特定塗膜を塗装対象物上に備えた被塗装体を提供することができる。
すなわち、本発明の粉体塗料は、(A)、(C)及び(D)を含み、かつ(B)を含まない組成物の微粉砕物で構成される。
本発明の粉体塗料では、主剤((A))として、ビスフェノール型のエポキシ樹脂(フェノール類を前駆体とするグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の一例)を用いる。具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型もしくはAD型エポキシ樹脂等を使用することができる。
本発明の粉体塗料では、(B)のゴム変性エポキシ樹脂は用いない。(B)のゴム成分は、(A)の架橋反応には寄与せず、かつガラス転移温度が低く、柔軟性が高いため、ゴム成分が存在することで、塗装対象物表面での塗膜の弾性率と耐熱性がともに低下する。この塗膜の性能低下を抑制すべく、(B)を用いないこととしたものである。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらのゴム成分とエポキシ樹脂とを公知の重合方法により適宜の配合比に反応させた生成物が本発明において配合が除外される(B)である。(B)の配合を除外することで、塗膜形成後(硬化塗膜)の耐熱性低下を抑制することができ、要求される耐熱性維持に寄与することができる。
本発明の粉体塗料に(C)として配合するビスフェノール型フェノール樹脂硬化剤とは、2官能エポキシ樹脂に過剰の2官能フェノール類を反応させることにより得られ、両末端にフェノール性水酸基を含むが、エポキシ基を含まないものである。
本発明の粉体塗料に用いられる(D)は、(C)を活性化できる化合物を複数、組み合わせてなることが必須であり、特に、(D)として、少なくとも、(D1)イミダゾール化合物と、(D2)アミン-エポキシアダクト系化合物と、を組み合わせて使用する。
本発明において(D)は、(A)の硬化触媒(硬化促進剤)として働く。本発明では(D)として(D1)単独ではなく、これに(D2)を組み合わせて使用することとした理由は次のとおりである。(D1)単体で(D)を構成した場合、反応が急激に進行することにより、塗膜が固く、可とう性が低下してしまうため、(D1)単体に比べ、反応が緩やかに進行する(D2)を併用することとしたものである。また本発明では、特に、(D1)と(D2)を所定の質量比で組み合わせて使用することで、硬化物に十分な可とう性を付与するとともに、効率向上のための速硬化性を実現させる作用を発現する。
(D)の一部に用いられる(D1)には、イミダゾール、イミダゾール誘導体が含まれる。イミダゾール誘導体は、イミダゾールに置換基などが導入された化合物であり、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-アミノメチル-2-メチルイミダゾールなどが含まれる。(D1)は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
(D)の一部に用いられる(D2)は、アミン化合物にエポキシ化合物を付加反応させることにより形成されたものである。(D2)は、緩やかに硬化を進行させることが可能であるため、これを(D1)と併用することにより、硬化促進作用を緩慢にすることができ、保存安定性の向上が期待される。
本発明の粉体塗料には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記成分((A)、(C)および(D))以外の、補助成分を適宜配合することができる。補助成分としては、(A)以外のエポキシ樹脂、(C)以外の硬化剤、(D)以外の硬化促進剤、難燃剤、着色剤、充填剤、レベリング剤、垂れ止め剤、カップリング剤、消泡剤、離型剤、流動性調整剤等が挙げられる。
難燃剤としては、リン系化合物、ハロゲン化合物、アンチモン化合物、金属水酸化物を挙げることができる。
充填剤としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄、バリウムチタン酸化物、アルミナ-シリカ複合酸化物等の酸化物;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性イオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレイ、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ベーマイト、アパタイト、ムライト、スピネル、オリビン等、または、これらを含む化合物等を挙げることができる。
本発明の粉体塗料の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。初めに、ミキサー等により配合成分を乾式混合した後、エクストルーダーを用いて溶融混練等を行う。混合温度や混合時間は、特に限定されず、原料の種類や組成比等に応じて設定される。通常、混合温度は、90~130℃が好ましい。その後、得られた混合物を冷却固化し、固化した混合物(溶融混練物)を微粉砕して、分級することにより粉体塗料が得られる。
本発明の粉体塗料は、少なくとも(A)、(C)、及び(D)を含有する。混合条件によっては、一部重合が進行し、(A)に由来する構造単位を含む重合体を含有する。
本発明の粉体塗料の粒子径は、特に限定されないが、レーザー回折・散乱法(JIS Z 8825)による体積平均粒子径が50~70μmの範囲であることが好ましい。なお、前記体積平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SYMPATEC社製、HELOS and PRODOS 解析ソフト:WINDOX5)を用いて測定することができる。体積平均粒子径が前記範囲の粉体塗料を用いることにより、より優れた成膜性が得られる。
本発明の粉体塗料は、その傾斜流れ度が16以下であることが好ましい。一般に傾斜流れ度が大きい粉体塗料は、溶融時に低粘度で塗料が流れやすく、一方、傾斜流れ度が小さい粉体塗料は、溶融時に高粘度で塗料が流れにくい。粉体塗料の傾斜流れ度を16以下とすることで、ピンホール等の塗膜欠陥やタレが生じにくく、目的とする膜厚の良質な塗膜が得られやすい。粉体塗料の傾斜流れ度は、より好ましくは11以下である。塗膜の外観や絶縁性を均一にすべく塗膜の膜厚調整のしやすさの点で、粉体塗料の傾斜流れ度は、7以上であることが好ましい。
本発明の粉体塗料は、25℃で180日保存後の、JIS C 2104準拠による200℃におけるゲル化時間が15秒以上(好ましくは20秒以上)となる保存安定性を備えている。ゲル化時間が15秒以上であれば、保存安定性が優れていると言える。ゲル化時間が長すぎると、塗料の傾斜流れ度が大きくなりすぎ、溶融時に低粘度となって塗料が流れやすくなり、その結果、ピンホール等の塗膜欠陥やタレが生じやすくなることもある。塗料の傾斜流れ度を好ましくは16以下に維持する観点から、粉体塗料のゲル化時間は、30秒以下であることが好ましい。
本発明の粉体塗料の塗装方法は、特に限定されず、公知の塗装方法が適用できる。具体的には、静電塗装、摩擦帯電塗装、無荷電塗装、流動浸漬等が挙げられる。この中でも充分な膜厚の塗膜を得る場合には流動浸漬法であることが好ましい。前記方法により、塗装対象物表面に粉体塗料を塗装した後、硬化することにより塗膜を得ることができる。必要に応じて塗装対象物に予め表面処理を施すことにより、塗膜の密着性等を向上させることもできる。
本発明の粉体塗料から得られる塗膜の膜厚は、特に限定されないが、100~300μmであることが好ましい。
本発明の粉体塗料が適用される塗装対象物(部材)の種類及び形状は、特に限定されないが、本発明の粉体塗料は、特に、塗装した後、硬化することによって硬化塗膜を形成した後、任意の角度に高度な曲げ加工(例えばヘアピンのような屈曲)を施し得る加工鋼材に好適に使用され、本発明の効果が有効に発揮される。塗装対象物としての加工鋼材は、バスバー、鋼管等の金属加工分野に限らず、コンクリート内に包蔵される鉄筋、その他の土木建築分野への使用も可能である。
即ち、本発明の粉体塗料は、塗膜形成後に高度な曲げ加工を施し得る加工鋼材に対しての追従性が良好であることから、例えば、棒状物、線状物、筒状物、波板状物等にも好適に用いられる。
(i)可とう性(耐屈曲性)
本発明の、粉体塗料を塗布後硬化して得られる塗膜(粉体塗料の硬化物)は、該塗膜を150~250μmの厚さで表面に形成した試験片を、JIS K 5600-5-1:1999のタイプ1に準拠した方法(円筒形マンドレル法)により、0℃の低温環境下で、塗膜が外側となるように直径4mmの円筒マンドレルに巻き付けたとき、その巻き付け部分の塗膜に割れ及び剥がれを生じない可とう性を備えている。前記所定条件での試験後の塗膜に割れ及び剥がれを生じるようであれば、要求される可とう性を具備することにはならない。
本発明の、粉体塗料を塗布後硬化して得られる塗膜は、210℃及び800時間の加熱(熱エージング)後にクラックを生じず、および/または、210℃及び1000時間の加熱(熱エージング)後に耐電圧の初期値に対する50%以上の低下を生じない、耐熱性を備えている。210℃及び800時間の加熱後にクラックを生じるようであれば、および/または、210℃及び1000時間の加熱後に耐電圧の初期値に対する50%以上の低下を生じるようであれば、要求される耐熱性を具備することにはならない。なお、上記開示の範囲内で組成を最適化した粉体塗料を用い、塗膜の架橋密度を高めることで、より厳しい条件である、230℃及び200時間の加熱後にクラックを生じない耐熱性を塗膜に付与することも可能である。
本発明の、粉体塗料を塗布後硬化して得られる塗膜は、ガラス転移温度が90℃以上である。前記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定を行い、算出する。具体的には、昇温速度10℃/min、25℃~280℃の温度範囲で測定を行う。Tg測定用の試料は、得られた粉体塗料を約3~8mg精秤したものを用い、170℃で90秒硬化することにより調製する。粉体塗料の硬化物(塗膜)のガラス転移温度が、90℃未満では、もはや耐熱性を備えているということはできない。 粉体塗料の硬化物のガラス転移温度は、100℃以上であることがより好ましい。
本発明の被塗装体は、本発明の塗膜が塗装対象物の少なくとも一部に形成されていればよく、全部に形成されていてもよい。
Aとして、以下のものを準備した。
・A1; エポキシ当量630g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(GESR902、Epoxy Base Electronic Material Corporation Limited社(CN))
・A2: エポキシ当量810g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(GESR904、Epoxy Base Electronic Material Corporation Limited社(CN))
・A3: エポキシ当量1600g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(GESR907、Epoxy Base Electronic Material Corporation Limited社(CN))
・A4: エポキシ当量1000g/eqのビスフェノールA型(固形)エポキシ樹脂
(エポトートYD-904、日鉄ケミカル&マテリアル社)
・B1: ブタジエン・アクリロニトリルゴム変性エポキシ樹脂
(EPOX-MK SR-35K、プリンテック社、エポキシ当量:1075g/eq、軟化点95℃)
・C1: ビスフェノールA型フェノール樹脂
(jERキュア170、三菱ケミカル社、フェノール性水酸基当量:343g/eq)
・C2: エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート
(酸無水物系硬化剤、リカシッドTMEG-500、新日本理化社、フェノール性水酸基当量:210g/eq)
・C3: ジシアンジアミド
(固体分散型アミン系硬化剤、jERキュアDICY20、三菱ケミカル社)
・D11: 2-メチルイミダゾール
(キュアゾール2MZ-H、四国化成工業社)
・D21: アミン-エポキシアダクト系化合物
(2-メチルイミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂の付加反応物、エピキュアP-101、Hexion社)
・E1: 酸化チタン
(タイペークR-830、石原産業社)
・E2: カーボンブラック
(三菱カーボンブラック、三菱化学社)
[実験例1~12]
表1に示す配合比(質量)で、実験例ごとのすべての材料をドライブレンドした後、エクストルーダーにより混練することによって混練物を得た。得られた混練物を冷却固化した後、微粉砕することにより粉体塗料を得た。
各実験例で得られた粉体塗料について、下記に示す方法で各種特性(傾斜流れ度、保存安定性)を評価した。また、各実験例で得られた粉体塗料の硬化物(熱硬化塗膜)について、下記に示す方法で各種特性(可とう性、耐熱性)を評価した。結果を表1に示す。
各実験例で得られた粉体塗料0.5gを内径13mmφの錠剤成形用金型に入れ、荷重16MPaで60秒加圧し錠剤を得た後、該錠剤の直径(a)と厚み(b)をノギスで測定した。次に、得られた錠剤をスライドガラスに載せ、熱風乾燥機中にて150℃で20分間加熱後、同様に錠剤の直径(c)を測定した。そして、加熱による直径の増加値(c-a)を加熱前の厚み(b)で除することで、各実験例で得られた粉体塗料ごとに傾斜流れ値を算出した。評価基準は、以下のとおりである。
○:傾斜流れ値が11超16以下
×:傾斜流れ値が16超
粉体塗料の保存安定性は、ゲル化時間を測定することにより、以下の基準で評価した。
各実験例で得られた粉体塗料を25℃で180日保存した後、保存後の粉体塗料の約0.05~0.1gを200℃に保持した熱板の円形凹部に入れ、かきまぜ棒でかきまぜ、糸がひかなくなるまでの時間、すなわちゲル化に至るまでの時間(秒)を測定した。JIS C 2104に準じて測定した。評価基準は、以下のとおりである。
○:ゲル化時間が15秒以上20秒未満
×:ゲル化時間が15秒未満
熱硬化塗膜の可とう性は、耐屈曲性を測定することにより、以下の基準で評価した。
240℃に予熱した矩形状のSPCC-SB板(長さ100mm、幅50mm、厚さ1mm)を準備し、その片面に、各実験例で得られた粉体塗料を硬化後の厚みが100~300μmとなるように流動浸漬法で塗布した。恒温送風炉にて150℃下、30分間で硬化させ、試験片を得た。
得られた試験片に対し、塗膜屈曲試験器「No.514」(安田精機製作所社製)を用いて、0℃の低温環境下で、JIS K 5600-5-1:1999のタイプ1に規定する耐屈曲性試験を行った。直径4mmの円筒マンドレルをセットとした試験器に、試験片を本体クランプで挟みこみ固定した後、ローラーを試験片の塗膜非形成面に近づけ、ハンドルを1~2秒の時間をかけて急激ではなく均等に180°回した。その後、塗膜の割れ及びSPCC-SB板からの塗膜の割れおよび剥がれを目視により確認した。評価基準は、以下のとおりである。
×:塗膜の、割れまたは剥がれ、あり
熱硬化塗膜の耐熱性は、外観観察と耐電圧評価を行うことにより評価した。
軟鋼板(長さ60mm、幅60mm、厚さ3.2mm)を準備し、その片面に、各実験例で得られた粉体塗料を硬化後の厚みが100~300μmとなるように流動浸漬法で塗布した。恒温送風炉にて150℃下、30分間で硬化させ、試験板を得た。
得られた試験板を210℃で加熱(熱エージング)し、200時間ごとに取り出して、熱硬化塗膜部分にクラックの発生が確認できるまでの時間を調べた。クラック発生の有無は目視で確認した。各実施例について、2つ試料を作製し、評価を行った。評価基準は、以下のとおりである。
〇:1試料が800時間経過時に塗膜のクラック発生あり
×:2試料とも800時間経過時に塗膜のクラック発生あり
得られた試験板を210℃で加熱(熱エージング)し、200時間ごとに取り出して、耐電圧(kV/0.5mm)を測定し、異常が発生するまでの時間を調べた。各実施例について、2つ試料を作製し、評価を行った。評価基準は、以下のとおりである。なお、異常とは、耐電圧の値が、加熱前の初期値を基準にそこから50%以上低下することと定義する。
×:2試料とも1000時間経過時に異常発生あり
表1で示すように、塗料中に(D)として(D1)と(D2)の双方を含めないと(実験例7~11)、塗料の傾斜流れ度、並びに、塗膜の可とう性及び耐熱性、の1つ以上を満足させることができなかった。塗料中に触媒を多く配合し、その結果ゲル化時間が10秒と短かった実験例11では、耐熱性(外観観察)を満足できなかった。これは、硬化時間が短かった結果、塗膜が均一で密な架橋構造を構築できなかったためと思われる。
Claims (5)
- 硬化物を形成するための熱硬化性粉体塗料であって、
組成物の微粉砕物で構成してあり、
前記組成物は、下記に示す(A)、(C)、及び(D)を含み、かつ(B)を含まず、
(D)は、下記に示す(D1)及び(D2)を含み、(D1):1に対する(D2)の質量比が1.0以上3.7以下であり、100質量部の(A)に対する(D)の配合量が1.0質量部以上3.0質量部以下である粉体塗料。
(A):エポキシ当量600~800g/eq(但し800g/eqを除く)のビスフェノール型エポキシ樹脂
(B):ゴム変性エポキシ樹脂
(C):ビスフェノール型フェノール樹脂硬化剤
(D):(C)を活性化させる化合物
(D1):イミダゾール化合物
(D2):アミン-エポキシアダクト系化合物 - 25℃で180日保存後の、JIS C 2104に準じて測定した200℃におけるゲル化時間が15秒以上である請求項1に記載の粉体塗料。
- 150℃及び20分の加熱条件における傾斜流れ度が16以下である請求項1又は2に記載の粉体塗料。
- 請求項1~3のいずれかに記載の熱硬化性粉体塗料を熱硬化して得られる塗膜であって、
該塗膜を100~300μmの厚さで表面に形成した試験片を、JIS K 5600-5-1:1999のタイプ1に準拠した方法(円筒形マンドレル法)により、0℃の環境下で、塗膜が外側となるように直径4mmの円筒マンドレルに巻き付けたとき、その巻き付け部分の塗膜に割れ及び剥がれを生じない可とう性と、
前記塗膜を100~300μmの厚さで表面に形成した試験片を用いた、210℃及び800時間の加熱(熱エージング)後にクラックを生じない耐熱性を備えた塗膜。 - 請求項4に記載の塗膜が塗装対象物の少なくとも一部に形成された被塗装体。
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