(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した従来のメンテナンス案内システムに関し、以下の問題が生じることを見出した。
従来のメンテナンス案内システムでは、画像認識による認識結果を利用しているが、当該認識結果は、フィーダの不調を適切に表している訳ではない。一般に、部品実装機では、部品を吸着するノズルの位置を補正した上で、部品の吸着が行われる。つまり、画像認識による認識結果は、位置が補正された後のノズルによる吸着の位置ずれを表している。
このため、認識結果を利用したとしても、補正前の本来のノズル及びフィーダの不調の程度が判別できない。例えば、本来はメンテナンスが必要な程に不調なフィーダ又はノズルであっても、ノズルの位置が補正されていることにより、不調ではない、つまり、メンテナンスは不要であると判定されることが起こりうる。
このように、従来のメンテナンス案内システムでは、メンテナンスの要否の適切な判定を行うことができない。そこで、本開示は、部品実装機が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を支援することができる管理装置、管理方法及び部品実装システムなどを提供する。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る管理装置は、部品実装機の管理装置であって、前記部品実装機は、各々が複数の構成要素を含む複数の構成要素群の各々から選択された構成要素を用いて複数の部品を基板に実装し、前記複数の構成要素群の一の構成要素群は、複数のノズルを含むノズル群であり、前記管理装置は、前記複数の部品の各々を対象部品として、前記対象部品と前記複数のノズルの1つであって前記対象部品を吸着する対象ノズルとのずれ量である吸着ずれ量と、前記対象部品を吸着するときの前記対象ノズルの位置のオフセット量である補正量との和である真のずれ量を、前記対象部品毎に算出する算出部と、前記真のずれ量を用いた所定の統計モデルに対し、パラメータ推定を行うことで、前記構成要素毎の第1不調度を算出する統計処理部とを備える。
これにより、構成要素毎の第1不調度の算出に、吸着ずれ量と補正量との和である真のずれ量を用いるので、算出された第1不調度は、構成要素の不調の程度が適切に表されている。第1不調度が適切な値になるため、当該第1不調度を利用することで、構成要素毎のメンテナンスの要否を適切に判定することができる。
このように、本態様に係る管理装置によれば、部品実装機が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を支援することができる。
一般的に、吸着ミスは、各構成要素に由来するずれが大きいために発生する。本開示では、各構成要素に由来するずれを第1不調度として可視化することにより、部品の吸着ミスが多発する前に、ミスの多発には至らないが、不調度が高い構成要素に対して、予防的なメンテナンスを行うことができる。これにより、部品の吸着ミスが発生することによる製造工程の遅れ及び損失などの発生を抑制することができる。
また、本態様に係る管理装置が算出した第1不調度を利用することで、第1不調度が高まった場合にのみメンテナンスを行うことができる。したがって、定期的なメンテナンスを実行する場合に比べて、メンテナンスの回数を減らすことができる。
また、定期的なメンテナンスを実行する場合であっても、ノズルなどの経時劣化が大きいときには、次のメンテナンスを行う前に吸着ミスが発生する恐れがある。これに対して、本態様に係る管理装置が算出した第1不調度を利用することで、経時劣化が大きい場合でも不調度が高まったときにメンテナンスを行うことができるので、部品の吸着ミスが実際に発生する可能性を低減することができる。メンテナンスの要否が適切に判定されることで、製造物の生産効率及び品質の低下を抑制することができる。
対象部品を吸着した対象ノズルが移動した際に、対象ノズルの移動に伴う対象部品のずれ、すなわち、移動ずれが発生する場合がある。例えば、対象部品が重い場合、又は、加減速が大きい場合に移動ずれが発生しやすい。この場合、認識装置で吸着位置のずれを認識したとき、吸着位置のずれには、対象ノズルによる対象部品を吸着した時点での吸着ずれだけでなく、移動ずれが含まれる。
そこで、例えば、本開示の一態様に係る管理装置では、前記吸着ずれ量は、前記対象ノズルが前記対象部品を吸着した後の移動によって発生するずれ量を含んでいてもよい。
これにより、ずれの原因の分析精度が高まるので、第1不調度の確度を高めることができる。したがって、メンテナンスの要否の判定精度を高めることができるので、製造物の生産効率及び品質の低下を抑制することができる。
また、例えば、前記統計モデルのパラメータ推定は、最尤推定、事後確率最大化推定、又は、ベイズ推定であってもよい。
これにより、最尤推定、事後確率最大化推定、又は、ベイズ推定に基づいた処理を行うので、第1不調度の確からしさを高めることができる。つまり、算出された第1不調度が、構成要素毎の不調の程度をより適切に表すことができる。したがって、本態様に係る管理装置によれば、部品実装機が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の高精度な判定を支援することができる。
また、例えば、本開示の一態様に係る管理装置は、さらに、前記第1不調度が予め定められた第1閾値を超えた場合に、前記第1閾値を超えた第1不調度に対応する構成要素を示す情報を出力する出力部を備えてもよい。
これにより、出力された情報が示す構成要素をメンテナンス対象の構成要素として特定することができる。メンテナンス対象の構成要素が特定されることにより、メンテナンスに要する時間などを削減することができる。このため、例えば、部品実装機の稼働時間を長く確保することができる。
また、例えば、前記複数の構成要素群の別の一の構成要素群は、複数のフィーダを含むフィーダ群であり、前記管理装置は、さらに、前記第1不調度が予め定められた第1閾値を超えた場合に、前記複数のフィーダの少なくとも1つの送り機構のずれ量を取得する取得部を備え、前記統計処理部は、さらに、前記取得部によって取得されたずれ量を用いて統計処理することで、第2不調度を算出し、前記管理装置は、さらに、前記第2不調度が予め定められた第2閾値を超えた場合に、メンテナンス指示を出力する出力部を備えてもよい。
これにより、第1不調度と第1閾値との比較と、第2不調度と第2閾値との比較とを2段階で行うので、メンテナンスの要否の判定を精度良く判定することができる。また、第2不調度と第2閾値との比較は、第1不調度が第1閾値以下である場合には行われない。このため、第1不調度が第1閾値以下であって、部品実装機が不調である可能性が低い場合には、第2不調度の算出に必要な、フィーダの送り機構のずれ量を取得する処理を行わなくてよい。このように、メンテナンスの要否の判定に関わる処理を省略することで、部品実装機の生産効率の低下を抑制することができる。また、第1不調度が第1閾値を超えており、部品実装機の不調の可能性が高い場合には、第2不調度と第2閾値との比較が行われるので、部品実装機の不調を確度良く検出することができる。
また、例えば、前記部品実装機は、さらに、前記複数のノズルを保持するヘッドと、前記ヘッドの移動を制御するヘッド制御装置と、前記ヘッドに取り付けられた撮像装置とを備え、前記出力部は、さらに、前記第1不調度が前記第1閾値を超えた場合に、所定の信号を前記ヘッド制御装置に出力し、前記ヘッド制御装置は、前記所定の信号を受信した場合に、前記ヘッドを移動させて前記撮像装置に撮像を行わせることにより、前記送り機構を含む画像を生成させ、前記取得部は、前記撮像装置によって生成された前記画像に基づいて前記送り機構のずれ量を取得してもよい。
これにより、ヘッドに取り付けられた撮像装置を利用して、第2不調度の算出に必要な、送り機構のずれ量を取得することができる。ヘッドに取り付けられた撮像装置は、通常、部品の吸着位置のキャリブレーションのために設けられている。したがって、送り機構のずれ量を取得するための専用の撮像装置などを必要としないので、部品実装機の構成の複雑化及び高コスト化を抑制することができる。なお、ヘッドに取り付けられた撮像装置が送り機構の撮像を行う期間は、部品実装が行えない。このため、第1不調度が第1閾値を越えた場合にのみ、撮像装置による送り機構の撮影を行わせることで、部品実装が行えない期間を短くすることができ、生産効率の低下を抑制することができる。
また、例えば、本開示の一態様に係る管理装置は、さらに、前記対象部品毎に、前記対象ノズルを含む、前記対象部品の実装に用いた複数の構成要素の組み合わせを示す要素情報と、前記吸着ずれ量と、前記補正量とを対応付けてメモリに記憶する蓄積部を備えてもよい。
これにより、真のずれ量及び不調度の算出に用いる情報がメモリに記憶されているので、任意のタイミングで真のずれ量及び不調度の算出を行うことができる。例えば、不調度の上昇が確認された場合に、不調度の算出を行う頻度を高めることで、メンテナンスの要否の判定回数を増加させることができる。これにより、部品の吸着ミスが発生する前にメンテナンスを行うことができる。
また、本開示の一態様に係る部品実装システムは、前記管理装置と、前記部品実装機とを備える。
これにより、管理装置が算出した不調度を利用して、部品実装機が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を行うことができる。
また、本開示の一態様に係る管理方法は、部品実装機の管理方法であって、前記部品実装機は、各々が複数の構成要素を含む複数の構成要素群の各々から選択された構成要素を用いて複数の部品を基板に実装し、前記複数の構成要素群の一の構成要素群は、複数のノズルを含むノズル群であり、前記管理方法は、前記複数の部品の1つである対象部品と前記複数のノズルの1つであって前記対象部品を吸着する対象ノズルとのずれ量である吸着ずれ量を取得し、前記対象部品を吸着するときの前記対象ノズルの位置のオフセット量である補正量を取得し、前記吸着ずれ量と前記補正量との和である真のずれ量を算出し、前記真のずれ量を用いた所定の統計モデルに対し、パラメータ推定を行うことで、前記構成要素毎の不調度を算出する。
これにより、上述した管理装置と同様に、部品実装機が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を支援することができる。
また、本開示の一態様に係るプログラムは、上記管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
これにより、上述した管理装置と同様に、部品実装機が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を支援することができる。
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る管理装置を備える部品実装システムの構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る管理装置50を備える部品実装システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、部品実装システム1は、部品実装機10と、認識装置20と、制御装置30と、メモリ40と、管理装置50とを備える。なお、図1には、部品実装機10が、基板90に実装される複数の部品のうちの1つである対象部品91を基板90に実装する様子を模式的に示している。
部品実装機10は、各々が複数の構成要素を含む複数の構成要素群を備える。部品実装機10は、複数の構成要素群の各々から選択された構成要素を用いて複数の部品を基板に実装する。
複数の構成要素群は、具体的には、ノズル群及びフィーダ群を含んでいる。ノズル群には、各々が部品の吸着を行う複数のノズル11が含まれている。フィーダ群には、各々が部品の供給を行う複数のフィーダ12が含まれている。部品実装機10では、フィーダ群から選択された1つのフィーダ12によって供給された部品である対象部品91を、ノズル群から選択された1つのノズル11によって吸着し、吸着した対象部品91を基板90に実装する。なお、構成要素群には、各々がノズル11を保持する複数のヘッドを含むヘッド群、及び、複数の部品を収容するキャリアテープが各々に巻き付けられる複数のリールを含むリール群、複数の形状が存在する複数の部品種を含む部品種群が含まれてもよい。つまり、本実施の形態において、構成要素群には、部品実装機10を構成するノズルなどの構成部材だけでなく、部品実装機10による実装の対象となる部品も含まれてもよい。具体的には、実装の対象となる複数の部品は、その形状毎に複数の部品種に分類される。複数の部品種の各々は、部品実装機10の構成要素の1つである。
図2は、本実施の形態に係る部品実装システム1が備える部品実装機10の平面図である。図3は、本実施の形態に係る部品実装システム1が備える部品実装機10のフィーダ12の構成例を示す側面図である。図2及び図3に示されるX軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸に相当する。X軸及びY軸は、基板90に平行な平面内で互いに直交する二軸である。X軸は、基板90の搬送方向に平行であり、Y軸は、キャリアテープ92の送り方向に平行である。Z軸は、平面に直交する。
図2に示されるように、部品実装機10は、基台13の中央に配置された2台の基板搬送機構14を備える。基板搬送機構14は、基板90をX軸に沿って搬送し、部品実装の作業位置に位置決めする。基板搬送機構14の両側には、複数のフィーダ12が併設された部品供給部15が配設されている。複数のフィーダ12の各々は、キャリアテープ92をピッチ送りすることにより、部品取り出し口に部品を供給する。
フィーダ12は、図3に示されるように、スプロケット12a及び押さえ部材12bを有する。スプロケット12aは、図示しないモータに接続されており、モータの回転に合わせて回転する。
図3に示されるように、キャリアテープ92は、ベーステープ93と、カバーテープ94とを有する。ベーステープ93には、スプロケット12aの歯(スプロケットピン)が挿入される送り穴93aが設けられている。スプロケット12aの回転が送り穴93aに伝えられ、キャリアテープ92がY軸の正側に向かって移動される。
ベーステープ93には、複数の部品を1つずつ収容するための複数の凹部93bが設けられている。凹部93bは、カバーテープ94によって覆われているが、部品取り出し口の近傍で押さえ部材12bによってカバーテープ94が引き剥がされて、凹部93bが露出する。これにより、ノズル11は、露出した凹部93bに収容された対象部品91を吸着することができる。
図2に示されるように、基台13のX軸方向の一端部には、リニア駆動機構を備えるY軸移動テーブル16が配設されている。Y軸移動テーブル16には、リニア駆動機構を備えた2つのX軸移動テーブル17が結合されている。X軸移動テーブル17には、ノズル11を保持するヘッド18が取り付けられている。ヘッド18は、X軸移動テーブル17のリニア駆動機構によってX軸に沿って移動可能である。2つのX軸移動テーブル17は、Y軸移動テーブル16のリニア駆動機構によってY軸に沿って移動可能である。これにより、ヘッド18に保持されたノズル11は、XY平面内を移動可能になる。
ヘッド18が移動することで、ノズル11は、キャリアテープ92の凹部93bに収容された対象部品91を吸着し、基板90の実装位置まで移動した後、吸着した対象部品91を基板90上に配置する。なお、ヘッド18には、複数のノズル11が取り付けられており、1回の移動で複数の部品が実装されてもよい。
このように、1つの部品を実装するのに、フィーダ12及びノズル11を含む複数の構成要素が互いに協働して用いられる。具体的には、部品実装機10が備える複数の構成要素群の各々から、少なくとも1つずつの構成要素が選択され、選択された構成要素を用いて1つの部品が実装される。
本実施の形態では、部品実装機10は、制御装置30によって制御され、かつ、管理装置50によって管理される。
認識装置20は、対象部品91と、対象部品91を吸着するノズル(対象ノズル)11との位置関係を認識する装置である。対象部品91は、ノズル11による吸着対象となる部品である。
具体的には、認識装置20は、部品取り出し口などの対象部品91の吸着処理を行う範囲、又は、対象部品91を吸着したノズル11が通過する範囲を撮影するカメラである。認識装置20は、対象部品91と、対象部品91を吸着している状態のノズル11とを撮影することで画像を生成する。認識装置20は、例えば、図2に示されるように、基板搬送機構14と部品供給部15との間に配置されている。
認識装置20と制御装置30とは、有線又は無線で接続されており、互いに情報の送受信を行うことができる。認識装置20は、撮影により生成された画像を制御装置30に出力する。
制御装置30は、部品実装機10の動作を制御する。図1に示されるように、制御装置30は、吸着ずれ量取得部31と、補正量決定部32と、制御部33とを備える。
吸着ずれ量取得部31は、吸着ずれ量を取得する。吸着ずれ量は、図4に示される吸着ずれ量Dであって、吸着対象である対象部品91と、対象部品91を吸着するノズル11とのずれ量である。なお、図4は、本実施の形態に係る部品実装システム1の部品実装機10が有する1つのノズル11が対象部品91を吸着した様子を示す側面図である。吸着ずれ量D、並びに、後述する補正量C及び真のずれ量Eについては、後で詳細に説明する。
具体的には、吸着ずれ量取得部31は、認識装置20から出力される画像を取得し、エッジ抽出処理などの画像処理を行うことで、画像内でノズル11と対象部品91とを特定する。吸着ずれ量取得部31は、特定されたノズル11と対象部品91との位置関係から、ノズル11と対象部品91とのずれ量(すなわち、吸着ずれ量D)を算出することで、吸着ずれ量Dを取得する。
吸着ずれ量取得部31が取得した吸着ずれ量Dは、補正量決定部32及び管理装置50の蓄積部51に出力される。なお、画像処理及び吸着ずれ量Dの算出は、認識装置20によって行われてもよい。この場合、認識装置20は、算出した吸着ずれ量Dを示す情報を制御装置30に出力する。吸着ずれ量取得部31は、認識装置20から出力された情報を取得することで、吸着ずれ量Dを取得する。
補正量決定部32は、吸着ずれ量Dに基づいて補正量を決定する。補正量は、図4に示される補正量Cであって、対象部品91を吸着するときの、対象部品91を吸着するノズル11のオフセット量である。ノズル11は、補正量決定部32によって決定された補正量Cだけずれた位置で部品の吸着を行う。
補正量決定部32は、例えば、吸着ずれ量Dが小さくなるように、補正量Cを決定する。補正量決定部32が決定した補正量Cは、制御部33及び管理装置50の蓄積部51に出力される。決定された補正量Cは、次の部品の吸着時に利用される。
なお、補正量Cは、理想的には、吸着ずれ量Dが0になるように決定されればよい。しかしながら、例えば、1つのヘッド18に複数のノズル11が固定されている場合には、複数のノズル11が一体的に移動するため、複数のノズル11の全ての吸着ずれ量Dを0にするような補正量Cを決定することができない。この場合、補正量決定部32は、例えば、複数の吸着ずれ量Dの平均又は分散が0に近づくように、複数のノズル11に対し、1つの補正量Cを決定してもよい。
制御部33は、部品実装機10が備える複数の構成要素の動作を制御する。具体的には、制御部33は、複数の構成要素群の各々から、対象部品91の実装に用いる構成要素を少なくとも1つずつ選択し、選択した複数の構成要素を制御する。例えば、制御部33は、対象部品91を供給するフィーダ12、及び、対象部品91を吸着するノズル11の各々を制御する。このとき、制御部33は、補正量決定部32によって決定された補正量Cだけ、ノズル11の吸着位置をずらして対象部品91の吸着を行わせる。
このように、制御装置30は、部品実装機10の実装処理のフィードバック機能を有する。つまり、ノズル11の実際の吸着位置、すなわち、補正後のノズル11の吸着位置と対象部品91とのずれ量である吸着ずれ量Dに基づいて補正量Cを決定し、次の部品の吸着時には、決定した補正量Cだけずらしてノズル11に部品を吸着させる。例えば、吸着ずれ量Dが小さくなるように補正量Cを決定することで、部品の吸着の精度を高めることができる。
制御装置30は、例えば、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで実現される。吸着ずれ量取得部31と、補正量決定部32と、制御部33とはそれぞれ、プロセッサによって実行されるソフトウェアで実現されてもよく、複数の回路素子を含む電子回路などのハードウェアで実現されてもよい。
メモリ40は、蓄積情報41を記憶するための記憶装置の一例である。メモリ40は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。
図5は、本実施の形態に係る管理装置50がメモリ40に蓄積する蓄積情報41の一例を示す図である。蓄積情報41は、部品実装機10による実装ログ情報を含んでいる。実装ログ情報は、具体的には図5に示されるように、実装した複数の部品の各々に対して、部品を実装した時刻、実装に利用した構成要素の組み合わせを示す要素情報、補正量C及び吸着ずれ量Dを含んでいる。
時刻は、例えば、部品をノズル11が吸着した時刻であるが、吸着した部品を基板90に配置した時刻でもよい。あるいは、時刻は、認識装置20による撮影時刻であってもよい。時刻は、例えば、年/月/日で示される日付と、時:分:秒で示される時刻とで表される。なお、時刻は、ミリ秒などの秒より下の単位で表されていてもよい。
要素情報は、具体的には、構成要素群毎に選択された構成要素を示している。本実施の形態では、各構成要素には固有の識別情報が割り当てられているので、要素情報は、構成要素群毎に選択された構成要素に割り当てられた識別情報を示している。
例えば、図5に示されるように、ノズル群に含まれる複数のノズル11にはそれぞれ、“N”と三桁の番号とで表される識別情報が割り当てられている。フィーダ群に含まれる複数のフィーダ12にはそれぞれ、“F”と三桁の番号とで表される識別情報が割り当てられている。なお、識別情報は、各構成要素が判別可能であれば、いかなるものであってもよい。
補正量Cは、制御装置30の補正量決定部32によって決定された補正量である。
吸着ずれ量Dは、制御装置30の吸着ずれ量取得部31によって取得された吸着ずれ量である。
さらに、蓄積情報41には、真のずれ量Eが含まれている。真のずれ量Eは、管理装置50によって算出された値であり、補正量Cと吸着ずれ量Dとの和で表される。
図5に示される例では、部品P001は、識別番号が“N001”であるノズル11、及び、識別番号が“F001”であるフィーダ12などによって実装されたことを示している。部品P001を吸着したときのノズル11の補正量Cは“0.6”であり、吸着ずれ量Dは“0.2”である。真のずれ量Eは、補正量Cと吸着ずれ量Dとの和であるので、“0.8”となる。
管理装置50は、部品実装機10の管理を行う。具体的には、管理装置50は、部品実装機10が備える複数の構成要素の各々の不調度を算出し、算出した不調度に基づいて、各構成要素のメンテナンスの要否を判定するのに利用可能な情報を出力する。
本実施の形態では、図1に示されるように、管理装置50は、蓄積部51と、真のずれ量算出部52と、統計処理部53と、出力部54とを備える。
蓄積部51は、対象部品毎に、要素情報と、吸着ずれ量Dと、補正量Cとを対応付けてメモリ40に記憶する。本実施の形態では、さらに、蓄積部51は、対象部品毎に、真のずれ量Eを対応付けて記憶する。蓄積部51が各情報をメモリ40に記憶させることで、蓄積情報41が生成される。
真のずれ量算出部52は、吸着ずれ量Dと補正量Cとの和である真のずれ量Eを、対象部品毎に算出する。具体的には、真のずれ量算出部52は、メモリ40に記憶された蓄積情報41を読み出し、読み出した蓄積情報41に含まれる補正量Cと吸着ずれ量Dとの和を、対象部品毎に算出することで、対象部品に対応する真のずれ量Eとして算出する。算出した真のずれ量Eは、対象部品に対応付けてメモリ40に記憶される。
統計処理部53は、真のずれ量Eを用いた所定の統計モデルに対して所定のパラメータ推定を行うための演算処理を行うことで、構成要素毎の不調度を算出する。所定のパラメータ推定を行うための演算処理は、例えば、最尤推定、事後確率最大化推定、ベイズ推定などである。詳細については、後で説明する。
構成要素毎の不調度は、第1不調度の一例であり、構成要素毎に推定した不調の程度を示している。例えば、不調度は、対応する構成要素のずれの推定量で表される。あるいは、不調度は、対応する構成要素のずれの平均と標準偏差とで表されてもよい。「ずれ」とは、正常な状態からのずれを示しており、例えばノズル11の場合、真のずれ量Eに相当する。
出力部54は、不調度が予め定められた閾値を超えた場合に、閾値を超えた不調度に対応する構成要素を示す情報を、メンテナンス指示として出力する。具体的には、出力部54は、構成要素毎に、統計処理部53によって算出された不調度と閾値とを比較することで、不調度が閾値を超えたか否かを判定する。
閾値は、第1閾値の一例であり、例えば、構成要素群毎に異なっている。このとき、不調度に正の数及び負の数のいずれも含まれる場合、閾値には、正側の閾値と負側の閾値との2つが含まれていてもよい。例えば、ノズル群で用いる閾値は、“-2.0”及び“2.0”であり、フィーダ群で用いる閾値は、“-1.2”及び“2.0”である。なお、閾値は、全ての構成要素群で共通であってもよい。
出力部54は、例えば、メンテナンス対象の構成要素を製造管理者又はメンテナンス作業者などに知らせるための画像である通知画像を、メンテナンス指示として生成して出力する。通知画像は、例えば、閾値を超えたと判定した不調度に対応する構成要素、すなわち、不調な構成要素を示す画像である。例えば、通知画像には、不調な構成要素の識別情報を表すテキストなどが含まれる。通知画像は、表示装置などに出力され、表示装置に表示される。なお、表示装置は、管理装置50と有線又は無線で接続されており、管理装置50から出力された画像を表示する。
なお、出力部54は、通知画像ではなく、不調な構成要素を示す音声情報を生成してもよい。出力部54は、スピーカーなどの音声出力部に音声情報を出力し、スピーカーが音声情報を音声に変換して出力してもよい。なお、管理装置50が、表示装置又はスピーカーなどを備えてもよい。また、出力の形態は、紙などの印刷物への印字など、特に限定されない。
また、出力される情報は、不調な構成要素のみを示す情報であってもよく、全ての構成要素に対して不調か否かを対応付けてリスト化した情報であってもよい。不調か否かを対応付ける代わりに、メンテナンスの要否が対応付けられてもよい。
管理装置50は、例えば、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで実現される。蓄積部51と、真のずれ量算出部52と、統計処理部53と、出力部54とはそれぞれ、プロセッサによって実行されるソフトウェアで実現されてもよく、複数の回路素子を含む電子回路などのハードウェアで実現されてもよい。
続いて、補正量C、吸着ずれ量D及び真のずれ量Eの詳細について、図4を用いて説明する。
図4に示される基準位置は、例えば、対象部品91及びノズル11などの各構成要素が全て正常である場合に吸着が正しく行われる位置である。図4に示される例では、対象部品91が基準位置から一方向矢印の正側に距離|A|(=Aの絶対値)だけずれている。また、補正が行われずに吸着を行おうとしたときのノズル11bの位置は、基準位置から一方向矢印の反対側に距離|B|だけずれている。なお、距離Bは、負の数である。
図4では、2つのノズル11a及び11bが図示されている。ノズル11aは、吸着位置が補正された後のノズル11である。つまり、ノズル11aは、対象部品91を実際に吸着しているノズル11である。ノズル11bは、吸着位置が補正されなかったときのノズル11である。つまり、ノズル11bとノズル11aとの位置のずれ量が補正量Cに相当する。
本実施の形態では、図4の太線の一方向矢印によって、補正量C、吸着ずれ量D及び真のずれ量Eの各々の正負を定義している。なお、ノズル11の位置、及び、対象部品91の位置はそれぞれ、ノズル11の中心を通る線(図4の一点鎖線)の位置、及び、対象部品91の中央を通る線(図4の二点鎖線)の位置とする。
例えば、補正量Cの絶対値は、補正されなかったノズル11bを基準としたときのノズル位置をオフセットする距離であると定義する。補正量Cの正負は、補正する方向を表す。例えば、図4に示されるように、補正されなかったノズル11bを一方向矢印と一致する方向に移動させる場合、補正量Cは、正の値になる。反対に、ノズル11bを一方向矢印と反対方向に移動させる場合、補正量Cは、負の値になる。
吸着ずれ量Dの絶対値は、補正後のノズル11aを基準としたときの、対象部品91に対する正確な吸着位置までの距離であると定義する。なお、対象部品91に対する正確な吸着位置は、例えば、対象部品91の中央であり、図4の二点鎖線で示される。吸着ずれ量Dの正負は、ノズル11aに対する対象部品91の正確な吸着位置の方向を表す。
例えば、図4に示されるように、補正後のノズル11aから対象部品91の中央に向かう方向が一方向矢印に一致する場合、吸着ずれ量Dは、正の値となる。反対に、ノズル11aから対象部品91の中央に向かう方向が一方向矢印の反対方向である場合、吸着ずれ量Dは、負の値になる。
真のずれ量Eは、補正量Cと吸着ずれ量Dとの和である。つまり、真のずれ量Eは、吸着位置の補正が行われなかったときのノズル11bの吸着位置と、対象部品91に対する正確な吸着位置、すなわち、対象部品91の中央位置とのずれ量を表している。
真のずれ量Eは、補正されなかったノズル11bを基準として正負が定められている。真のずれ量Eが正の値である場合、ノズル11bに対して、一方向矢印の正側に対象部品91が位置していることを意味する。逆に、真のずれ量Eが負の値である場合、ノズル11bに対して、一方向矢印の負側に対象部品91が位置していることを意味する。
なお、補正量C、吸着ずれ量D及び真のずれ量Eの正負の定義は一例に過ぎず、例えば、各々の正負を反対方向で定義してもよい。また、補正量C、吸着ずれ量D及び真のずれ量Eは、一方向(一次元)で示したが、各々がXY平面内の二次元で定義されてもよい。この場合、X軸方向とY軸方向とで別々に演算処理してもよく、ベクトル演算によって処理してもよい。
続いて、本実施の形態に係る管理装置50の動作について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る管理装置50の動作を示すフローチャートである。
図6に示されるように、まず、管理装置50では、蓄積部51が一定区間の吸着ずれ量D及び補正量Cを示す情報を取得する(S10)。蓄積部51は、吸着ずれ量D及び補正量Cを、吸着処理毎、つまり、対象部品91毎に取得する。蓄積部51は、さらに、対象部品91毎に、当該対象部品の吸着に利用した構成要素を示す要素情報を取得する。
一定区間は、一日若しくは一時間などの所定の期間、又は、同一基板ロットに対する実装区間などの所定の処理単位の区間である。なお、蓄積部51は、吸着ずれ量D及び補正量Cの情報を、対象部品91の吸着処理毎に取得してもよく、一定区間の情報をまとめて取得してもよい。
蓄積部51は、取得した情報を処理毎に対応付けてメモリ40に蓄積情報41として保存する(S11)。処理毎とは、例えば1つの対象部品91の吸着処理毎である。したがって、例えば、図5に示されるように、対象部品91の識別情報毎に、吸着ずれ量D及び補正量Cが対応付けられる。さらに、対象部品91の識別情報毎に、要素情報が対応付けられる。要素情報は、フィーダ又はノズルといった構成要素であってもよく、ヘッドの速度状態などのずれ量に影響する設定要素であってもよい。
次に、真のずれ量算出部52は、蓄積情報41に基づいて、対象部品91毎に真のずれ量Eを算出する(S12)。具体的には、真のずれ量算出部52は、メモリ40から蓄積情報41に含まれる吸着ずれ量Dと補正量Cとを読み出し、読み出した吸着ずれ量Dと補正量Cとの和を対象部品91毎に算出することで、対象部品91の吸着時の真のずれ量Eを算出する。真のずれ量算出部52は、蓄積部51を介して、算出した真のずれ量Eを蓄積情報41に保存する。
次に、統計処理部53は、真のずれ量Eを用いた所定の統計モデルに対してパラメータ推定を行うための演算処理を行うことで、構成要素毎のずれ量を不調度として算出する(S13)。
ここで、統計処理部53が行う演算処理の具体例について説明する。
例えば、統計処理部53は、統計モデルのパラメータを最尤推定する。具体的には、統計処理部53は、式(1)に示されるように、部品毎に算出された真のずれ量Truezureが正規分布Nに依存するとみなして最尤推定を行う。
(1)Truezure~N(feeder[n] + nozzle[n] + …, σ)
なお、上記式(1)において、「~」は、確率変数Truezureが確率分布Nに依存することを意味している。確率分布N(μ,σ)は、平均μ、標準偏差σである正規分布を意味する。確率分布は、正規分布に限らず、t分布、コーシー分布、又は、ラプラス分布であってもよい。
正規分布Nの平均は、部品実装機10が備える複数の構成要素群に含まれる全ての構成要素の不調度の和を表している。具体的には、式(1)におけるfeeder[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの不調度を示している。同様に、nozzle[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの不調度を示している。統計処理部53は、式(1)の不調度を求めるために最尤推定を行う。
なお、全ての構成要素とは、統計処理の対象となったデータに含まれる全ての構成要素であり、部品の実装に利用した全ての構成要素である。つまり、部品の実装に一度も使用されていない構成要素は除外されていてもよい。具体的には、図5に示される蓄積情報41に含まれる要素情報が示す構成要素を対象として、統計処理部53は、上記式(1)に基づく統計処理を行う。
あるいは、統計処理部53は、事後確率最大化推定を行ってもよい。具体的には、統計処理部53は、最尤推定の場合と同様に、式(1)に基づき、部品毎に算出された真のずれ量Truezureが正規分布Nに依存するとみなして事後確率の最大化(MAP推定)を行う。
このとき、各構成要素の事前分布は、共通の事前分布として、正規分布N(0,σ)とする。なお、事前分布標準偏差σは、一定値とみなす。統計処理部53は、式(1)に基づいて、かつ、各構成要素の事前分布として正規分布N(0,σ)を用いて、事後確率の最大化を行うことで、各構成要素のずれの推定量を不調度として算出する。また、事前分布としてラプラス分布を用いてもよい。
次に、出力部54は、構成要素毎に算出されたずれの推定量、すなわち、不調度と閾値とを比較する(S14)。少なくとも1つのずれの推定量が閾値より高い場合(S14でYes)、出力部54は、メンテナンス指示を出力する(S15)。メンテナンス指示は、例えば、閾値を超えた不調度に対応する構成要素を特定するための情報である。
全てのずれの推定量が閾値より低い場合(S14でNo)、管理装置50による管理処理を終了する。なお、全てのずれの推定量が閾値より低い場合、出力部54は、メンテナンスが不要であることを製造管理者、メンテナンス作業者などに知らせる情報を出力してもよい。
なお、図6に示す管理方法は、例えば、一定区間の実装処理が完了する度に管理装置50によって行われる。例えば、管理装置50は、一日毎に、又は、一時間毎に管理方法を実施する。あるいは、管理装置50は、算出した不調度に基づいて、管理方法を実行するタイミング又は頻度を変更してもよい。例えば、不調度が閾値を超えていないが、閾値に近づいている場合には、管理方法を実行する頻度を多くしてもよい。
また、例えば、メンテナンス直後の正常状態の一定期間に、不調度を一日毎に、又は、一時間毎に取得し、それらの不調度に正規分布をフィッティングし、新規不調度が得られたときに、その不調度の発生確率を計算してもよい。この場合、不調度の発生確率に閾値を設定する。
以上のように、本実施の形態に係る管理装置50では、真のずれ量Eを用いて所定の統計モデルに対してパラメータ推定を行うための演算処理を行うことで、構成要素毎のずれの推定量を不調度として算出する。
このように、吸着ずれ量Dと補正量Cとの和である真のずれ量Eを用いるので、算出されたずれの推定量は、構成要素の不調の程度が適切に表されている。ずれの推定量が適切な値になるため、当該ずれの推定量を利用することで、構成要素毎のメンテナンスの要否を適切に判定することができる。
以上のように、本実施の形態に係る管理装置50によれば、部品実装機10が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を支援することができる。
(変形例)
以下では、統計処理の別の例に沿った動作について説明する。
図7は、本実施の形態に係る管理装置50の動作の別の一例を示すフローチャートである。
図7に示されるように、真のずれ量Eを算出するまでの処理(S10~S12)は、図6に示すフローチャートと同様である。以下では、図6に示すフローチャートと同じ点の説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
次に、統計処理部53は、真のずれ量Eを用いた所定の統計モデルに基づいた演算処理を行うことで、構成要素毎のずれの平均及び標準偏差を不調度として算出する(S23)。
本変形例では、統計処理部53は、事後確率最大化モデルの一例としてベイズ推定に基づく演算処理を行う。ベイズ推定によりパラメータを推定する統計モデルとしては、例えば、以下のものが利用できる。
例えば、式(2)で示されるように、構成要素群毎に異なる標準偏差を仮定する。
(2) Truezure~N(feeder[n] + nozzle[n] + …, σ)
feeder[n]~N(0, feeder_σ)、feeder_σ~N+(0, hyper_a)
nozzle[n]~N(0, nozzle_σ)、nozzle_σ~N+(0, hyper_b)
式(2)において、feeder[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの不調度に相当する変数を示しており、平均が0、標準偏差がfeeder_σである正規分布に従っている。nozzle[n]は、ノズル群に含まれる第nのノズルの不調度に相当する変数を示しており、平均が0、標準偏差がnozzle_σである正規分布に従っている。なお、正規分布の代わりに、t分布、コーシー分布、又は、ラプラス分布などに従うと仮定してもよい。
また、式(2)において、feeder_σ及びnozzle_σは定数であってもよい。さらに式(2)に示す通り、feeder_σ及びnozzle_σに事前分布を設定し、階層ベイズ化してもよい。N+は、半正規分布を表している。つまり、feeder_σは、平均が0、標準偏差がhyper_aである半正規分布に従っている。nozzle_σは、平均が0、標準偏差がhyper_bである半正規分布に従っている。hyper_a及びhyper_bは定数である。なお、半正規分布の代わりに、半t分布、指数分布、又は、ガンマ分布などの弱情報事前分布に従うと仮定してもよい。なお、フィーダ及びノズル以外の構成要素群についても同様の確率分布が仮定される。
また、例えば、式(3)で示されるように、構成要素群毎に、異なる平均及び異なる標準偏差を仮定してもよい。
(3) Truezure~N(feeder[n] + nozzle[n] + …, σ)
feeder[n]~N(feeder_mean_n, feeder_σ_n)
feeder_mean_n~N(0, hyper_a1)
feeder_σ_n~N+(0, hyper_b1)
nozzle[n]~N(nozzle_mean_n, nozzle_σ_n)
nozzle_mean_n~N(0, hyper_a2)
nozzle_σ_n~N+(0, hyper_b2)
式(3)において、feeder[n]は、平均がfeeder_mean_n、標準偏差がfeeder_σ_nである正規分布に従う確率変数であり、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの不調度に相当する。feeder_mean_n及びfeeder_σ_nは定数であってもよい。さらに式(3)に示す通り、feeder_mean_n及びfeeder_σ_nに事前分布を設定し、階層ベイズ化してもよい。feeder_mean_nは、平均が0、標準偏差がhyper_a1である正規分布に従っている。feeder_σ_nは、第nフィーダの標準偏差であり、平均が0、標準偏差がhyper_b1である半正規分布に従っている。
同様に、nozzle[n]は、平均がnozzle_mean_n、標準偏差がnozzle_σ_nである正規分布に従う確率変数であり、ノズル群に含まれる第nのノズルの不調度に相当する。nozzle_mean_n及びnozzle_σ_nは定数であってもよい。さらに式(3)に示す通り、nozzle_mean_n及びnozzle_σ_nに事前分布を設定し、階層ベイズ化してもよい。nozzle_mean_nは、第nのフィーダの平均であり、平均が0、標準偏差がhyper_a2である正規分布に従っている。nozzle_σ_nは、平均が0、標準偏差がhyper_b2である半正規分布に従っている。
ここで、正規分布の代わりに、t分布、コーシー分布、又は、ラプラス分布などの弱情報事前分布に従うと仮定してもよい。また、半正規分布の代わりに、半t分布、指数分布、又は、ガンマ分布などの弱情報事前分布に従うと仮定してもよい。フィーダ及びノズル以外の構成要素群についても同様の確率分布が仮定される。
また、例えば、構成要素群の特性に応じた確率分布を仮定してもよい。例えば、図3に示されるように、フィーダ12は、スプロケット12aが所定角度ずつ回転することにより、キャリアテープ92を1ピッチずつ移動させて、対象部品91を1つずつ供給する。このため、スプロケット12aの回転周期に合わせて、供給される対象部品91の位置に周期性が生じる。例えば、1つのフィーダ12が供給する複数の部品は、供給される位置がα個毎に類似する。αは、自然数であり、スプロケット12aが1回転する間に供給される部品の個数に相当する。
この場合に、例えば、式(4)で示されるように、フィーダ毎に平均と標準偏差とが仮定されてもよい。
(4) Truezure~N(feeder[n][k] + nozzle[n] + …, σ)
feeder[n][k]~N(feeder_mean[n], feeder_σ[n])
feeder_mean[n]~N(0, hyper_a1)
feeder_σ[n]~N+(0, hyper_b1)
nozzle[n]~N(nozzle_mean[n], nozzle_σ[n])
nozzle_mean[n]~N(0, hyper_a2)
nozzle_σ[n]~N+(0, hyper_b2)
式(4)に示されるように、feeder[n][k]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダのα個分の確率変数(不調度に相当)を示している。feeder[n][k]は、平均がfeeder_mean[n]、標準偏差がfeeder_σ[n]である正規分布に従っている。
feeder_mean[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの平均を示しており、平均が0、標準偏差がhyper_a1である正規分布に従っている。feeder_σ[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの標準偏差を示しており、平均が0、標準偏差がhyper_b1である半正規分布に従っている。
同様に、nozzle[n]は、ノズル群に含まれる第nのノズルの確率変数(不調度に相当)を示しており、平均がnozzle_mean[n]、標準偏差がnozzle_σ[n]である正規分布に従っている。nozzle_mean[n]は、第nのノズルの平均であり、平均が0、標準偏差がhyper_a2である正規分布に従っている。nozzle_σ[n]は、第nのノズルの標準偏差であり、平均が0、標準偏差がhyper_b2である半正規分布に従っている。
また、例えば、フィーダ12の送り動作の1つ前の状態に基づいた確率分布を仮定してもよい。フィーダ12は、スプロケット12aの所定角度の回転、すなわち、1回の送り動作によって、対象部品91を1つずつ供給する。したがって、送り動作の1つ前の状態が、現在の対象部品91の供給動作に影響を与える可能性が高い。
この場合に、例えば、式(5)で示されるように、フィーダ毎に標準偏差が仮定されてもよい。
(5) Truezure~N(feeder[n][t] + nozzle[n] + …, σ)
feeder[n][t]~N(feeder[n][t-1], feeder_σ[n])
feeder_σ[n]~N+(0, hyper_b1)
nozzle[n]~N(0, nozzle_σ)
nozzle_σ~N+(0, hyper_b2)
式(5)に示されるように、feeder[n][t]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダのt回目の送り動作の確率変数(不調度に相当)を示している。feeder[n][t]は、平均がfeeder[n][t-1]、標準偏差がfeeder_σ[n]である正規分布に従っている。feeder_σ[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダの標準偏差を示しており、平均が0、標準偏差がhyper_b1である半正規分布に従っている。hyper_b1は定数であってもよい。さらに、hyper_b1に事前分布を設定し、階層ベイズ化してもよい。hyper_b1は、半t分布、指数分布、又は、ガンマ分布などの弱情報事前分布に従うと仮定してもよい。
同様に、nozzle[n]は、ノズル群に含まれる第nのノズルの確率変数(不調度に相当)を示しており、平均が0、標準偏差がnozzle_σ[n]である正規分布に従っている。nozzle_σ[n]は、第nのノズルの標準偏差であり、平均が0、標準偏差がhyper_b2である半正規分布に従っている。hyper_b2は定数であってもよい。さらに、hyper_b2に事前分布を設定し、階層ベイズ化してもよい。hyper_b2は、半t分布、指数分布、又は、ガンマ分布などの弱情報事前分布に従うと仮定してもよい。
また、例えば、フィーダ12の送り動作の1つ前の状態とフィーダ毎のずれ発生量とに基づいた確率分布を仮定してもよい。
(6) Truezure~N(feeder[n][t] + nozzle[n] + …, σ)
feeder[n][t]~N(feeder[n][t-1]+ feeder_mean[n], σ2)
feeder_mean[n]~N(0, hyper_a1)
nozzle[n]~N(0, nozzle_σ)
nozzle_σ~N+(0, hyper_b2)
feeder_mean[n]は、フィーダ群に含まれる第nのフィーダのずれ平均を示しており、平均が0、標準偏差がhyper_a1である正規分布に従っている。hyper_a1は定数であってもよい。また、hyper_a1に事前分布を設定し、階層ベイズ化し、半t分布、指数分布、又は、ガンマ分布などの弱情報事前分布に従うと仮定してもよい。
統計処理部53は、上記式(2)~(6)のいずれかで示される仮定の下でベイズ推定を行うことにより、各構成要素の不調度に対応する変数の事後確率分布を算出する。例えば、feeder[n]の事後確率分布の平均と標準偏差とが、第nのフィーダのずれの平均と標準偏差とに相当する。同様に、nozzle[n]の事後確率分布の平均と標準偏差とが、第nのノズルのずれの平均と標準偏差とに相当する。
次に、出力部54は、構成要素毎に算出された平均及び標準偏差の各々と閾値とを比較する(S24)。少なくとも1つの平均又は標準偏差が閾値より高い場合(S24でYes)、出力部54は、メンテナンス指示を出力する(S15)。メンテナンス指示は、例えば、閾値を超えた不調度に対応する構成要素を特定するための情報である。
全ての平均及び標準偏差が閾値より低い場合(S24でNo)、管理装置50による管理処理を終了する。なお、全ての平均及び標準偏差が閾値より低い場合、出力部54は、メンテナンスが不要であることを製造管理者、メンテナンス作業者などに知らせる情報を出力してもよい。
以上のように、本変形例に係る管理装置50では、真のずれ量Eを用いて所定の統計モデルに基づいた処理を行うことで、構成要素毎のずれの平均及び標準偏差を不調度として算出する。
このように、実施の形態1と同様に、吸着ずれ量Dと補正量Cとの和である真のずれ量Eを用いるので、算出されたずれの平均及び標準偏差は、構成要素の不調の程度が適切に表されている。ずれの平均及び標準偏差が適切な値になるため、当該ずれの平均又は標準偏差を利用することで、構成要素毎のメンテナンスの要否を適切に判定することができる。
以上のように、本変形例に係る管理装置50によれば、部品実装機10が有する構成要素毎のメンテナンスの要否の適切な判定を支援することができる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
実施の形態1では、認識装置20による認識結果に基づいて算出された第1不調度が第1閾値を超えた場合にメンテナンス指示を出力する例を説明した。これに対して、実施の形態2では、第1不調度が第1閾値を超えた場合には、別の手段を用いて第2不調度を算出し、算出した第2不調度と第2閾値とを比較する。第2不調度が第2閾値を超えた場合に、メンテナンス指示を出力する。このように、実施の形態2では、メンテナンス指示を出力するために、不調度と閾値との比較を2段階で行う。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
図8は、本実施の形態に係る管理装置150を備える部品実装システム101の構成を示すブロック図である。図8に示されるように、部品実装システム101は、実施の形態1に係る部品実装システム1と比較して、部品実装機10及び管理装置50の代わりに、部品実装機110及び管理装置150を備える。
部品実装機110は、図8に示されるように、複数のノズル11と、複数のフィーダ12と、ヘッド制御装置118と、基板撮像装置119とを備える。なお、図8には示されていないが、部品実装機110は、図2及び図3に示される部品実装機10と同様に、Y軸移動テーブル16、X軸移動テーブル17及びヘッド18などを備える。
ヘッド制御装置118は、ヘッド18の移動を制御する。具体的には、ヘッド制御装置118は、Y軸移動テーブル16及びX軸移動テーブル17のリニア駆動機構を制御することで、ヘッド18の位置を移動させる。ヘッド制御装置118は、対象部品91の実装に関わる処理として、フィーダ12と基板90との間でヘッド18を移動させる。これにより、ヘッド18が保持するノズル11は、フィーダ12から対象部品91を吸着し、基板90の実装位置に配置することができる。
本実施の形態では、ヘッド制御装置118は、管理装置150の出力部154から所定の信号を受信した場合に、対象部品91の実装に関わる処理とは異なる処理を行う。具体的には、ヘッド制御装置118は、所定の信号を受信した場合に、ヘッド18を移動させて基板撮像装置119に撮像を行わせることにより、フィーダ12の送り機構を含む画像を生成させる。
基板撮像装置119は、ヘッド18に取り付けられた撮像装置の一例である。基板撮像装置119は、部品吸着エラーが発生した際に吸着位置をキャリブレーションするために設けられている。具体的には、基板撮像装置119は、対象部品91の吸着位置であって、図3に示されるキャリアテープ92の凹部93bを含む範囲を撮像する。
基板撮像装置119は、ヘッド18の移動に合わせて移動することができ、撮像範囲を変更することができる。例えば、基板撮像装置119は、ヘッド18と共に移動することで、ベーステープ93の送り穴93aに挿入されたスプロケット12aの歯を含む範囲を撮像することができる。スプロケット12aの歯は、フィーダ12の送り機構の一例である。基板撮像装置119は、スプロケット12aの歯を含む画像を生成し、生成した画像を管理装置150のずれ取得部155に出力する。
なお、対象部品91の実装に関わる処理を行う場合のヘッド18の移動範囲では、基板撮像装置119の撮像範囲内にフィーダ12の送り機構が含まれない。このため、ヘッド制御装置118は、所定の信号を受信した場合には、実装時のヘッド18の移動範囲から逸脱した位置、具体的には、スプロケット12aの歯が撮像範囲に入る位置にまでヘッド18を移動させる。したがって、所定の信号を受信した場合には、対象部品91の実装が行えない状態になる。逆に言えば、スプロケット12aの歯を撮像する工程の実施回数を減らすことにより、生産効率の低下を抑制することができる。本実施の形態では、管理装置150の出力部154が所定の信号を出力する回数を減らすことで、生産効率の低下を抑制する。
管理装置150は、図8に示されるように、実施の形態1に係る管理装置50と比較して、新たに、ずれ取得部155を備える点と、統計処理部53及び出力部54の代わりに、統計処理部153及び出力部154を備える点とが相違する。
ずれ取得部155は、複数のフィーダ12の少なくとも1つの送り機構のずれ量を取得する。具体的には、ずれ取得部155は、基板撮像装置119によって生成された、送り機構を含む画像に基づいて送り機構のずれ量を取得する。例えば、ずれ取得部155は、基板撮像装置119によって生成された画像を取得し、取得した画像に対してエッジ抽出処理などの画像処理を行うことで、送り機構のずれ量を取得する。送り機構のずれ量は、例えば、ヘッドから計算することができる、スプロケット12aの歯が理想的には存在する箇所からのずれ量である。ずれ取得部155は、取得したずれ量をメモリ40に蓄積してもよい。例えば、ずれ取得部155は、図5の蓄積情報41に示されるように、撮像時刻と、撮像対象のフィーダ12を示す要素情報と、ずれ量とを対応付けてメモリ40に記憶させてもよい。
統計処理部153は、実施の形態1に係る統計処理部53が行う処理に加えて、ずれ取得部155によって取得されたずれ量を用いた統計処理を行うことで、第2不調度を算出する。例えば、統計処理部153は、ずれ取得部155によって取得された複数のずれ量の平均、標準偏差、変化量平均及び変化量標準偏差の少なくとも1つを、第2不調度として算出する。
出力部154は、第1不調度が第1閾値を超えた場合に、所定の信号をヘッド制御装置118に出力する。これにより、第1不調度が第1閾値以下である場合には、所定の信号が出力されないので、ヘッド18がスプロケット12aの歯を撮像する工程が行われない。したがって、生産効率の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る出力部154は、実施の形態1とは異なり、第1不調度が第1閾値を超えただけでは、メンテナンス指示を出力しない。出力部154は、第1不調度が第1閾値を超え、かつ、第2不調度が第2閾値を超えた場合に、メンテナンス指示を出力する。例えば、基板撮像装置119によって撮像されたスプロケット12aの歯のずれ量が大きい場合に、第2不調度が第2閾値を超えたと判定される。
第2閾値は、例えば、正常時のスプロケット12aのずれ量に基づいて予め算出された平均、標準偏差、変化量平均及び変化量標準偏差の少なくとも1つである。出力部154は、統計処理部153によって算出されたずれ量の平均(第2不調度)が、予め算出された平均(第2閾値)よりも大きい場合に、メンテナンス指示を出力する。この場合に、出力部154は、このスプロケット12aを含むフィーダ12が不調であり、メンテナンスの対象であることを示す情報をメンテナンス指示として出力する。
続いて、本実施の形態に係る管理装置150の動作について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る管理装置150の動作を示すフローチャートである。
図9に示されるように、一定区間の吸着ずれ量D及び補正量Cを示す情報を取得する処理(S10)から、構成要素毎に算出されたずれの推定量、すなわち、第1不調度と第1閾値との比較(S14)を行うまでの処理は、実施の形態1と同じである。また、全てのずれの推定量が第1閾値より低い場合(S14でNo)、実施の形態1と同様に、管理装置50による管理処理を終了する。
ずれの推定量、すなわち、第1不調度が第1閾値より大きい場合(S14でYes)、ヘッド18を移動させる(S115)。具体的にはまず、出力部154が、所定の信号をヘッド制御装置118に出力する。ヘッド制御装置118は、ヘッド18を移動させてフィーダ12の送り機構を、基板撮像装置119に撮像させる。基板撮像装置119は、撮像により得られた画像であって、送り機構(具体的には、スプロケット12aの歯)を含む画像をずれ取得部155に出力する。
次に、ずれ取得部155は、基板撮像装置119によって生成された画像に基づいて、ずれ量を取得する(S116)。ずれ取得部155は、取得したずれ量をメモリ40に蓄積させる。
次に、統計処理部153は、ずれ取得部155によって取得されたずれ量に基づいて統計処理を行う(S118)。例えば、統計処理部153は、ずれ取得部155によって取得されたずれ量の平均、標準偏差、変化量平均及び変化量標準偏差の少なくとも1つを第2不調度として算出する。
次に、出力部154は、統計処理部153によって算出された第2不調度、すなわち、統計処理されたずれ量と第2閾値とを比較する(S119)。出力部154は、第2不調度が第2閾値を超えた場合(S119でYes)、メンテナンス指示を出力する(S15)。また、統計処理されたずれ量が第2閾値以下である場合(S119でNo)、管理装置50による管理処理を終了する。
以上のように、本実施の形態に係る部品実装システム101では、メンテナンス指示を出力するまでに2段階の判定処理(ステップS14及びS119)が行われる。このとき、1段階目の判定に用いられる第1不調度、具体的には、ステップS13で算出されるずれ量は、直接的にフィーダ12の不調を確認することで得られたものではなく、統計処理による演算の結果得られたものである。このため、フィーダ12の第1不調度が第1閾値よりも高いにも関わらず、実際にはフィーダ12が不調ではない場合が発生しうる。つまり、統計処理による不調度の推定に誤りが生じることが起こりうる。
本実施の形態によれば、第1不調度が第1閾値を超えた場合には、基板撮像装置119を利用してフィーダ12の送り機構を撮像し、得られた画像に基づいて第2不調度を算出する。これにより、より確度の高いフィーダ12の不調度が得られるので、メンテナンスの要否の判定の精度を高めることができる。したがって、不要なメンテナンスを行うことが回避できるので、部品実装機110の稼働率の低下を抑制することができ、生産効率の低下を抑制することができる。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。
実施の形態1では、対象部品91をノズル11が吸着した後、ヘッド18の移動に伴う吸着位置のずれを考慮に入れていない場合を説明した。例えば、対象部品91が小型若しくは軽量である場合、又は、ヘッド18の移動時の加減速が小さい場合などには、実施の形態1に係る処理も有用である。これに対し、実施の形態3では、対象部品91をノズル11が吸着した後、ヘッド18の移動に伴う吸着位置のずれを考慮に入れて真のずれ量を算出する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。実施の形態3に係る管理装置及びその動作は、実施の形態1と同様であるので、図1に示される部品実装システム1の構成を利用して説明する。
図10は、本実施の形態に係る部品実装システムの部品実装機が有するノズルによる部品の吸着動作を示す図である。なお、図10には、ノズル11の中心位置L1を表す一点鎖線及び対象部品91の中心位置L2を表す二点鎖線を表している。
図10の(a)は、ノズル11の補正前の状態を示している。ノズル11は、フィーダ12(図示せず)によって供給されるキャリアテープ92に保持された対象部品91を吸着する。このとき、ノズル11、フィーダ12、及び、キャリアテープ92内の対象部品91の位置の少なくとも1つにずれが生じることで、一点鎖線で示されるノズル11の中心位置L1と二点鎖線で示される対象部品91の中心位置L2とにずれが生じている。
図10の(b)に示されるように、ノズル11の位置が補正されることにより、理想的には、ノズル11の中心位置L1と対象部品91の中心位置L2とが一致する。しかしながら、図10の(c)に示されるように、実際に吸着を行った場合、ノズル11の中心位置L1と対象部品91の中心位置L2とには、ずれ量Fの吸着ずれが発生する。
次に、図10の(d)に示されるように、ヘッド18が移動することにより、ずれ量Gの移動ずれが発生する。具体的には、ヘッド18の移動の開始直後の加速度の急速な増加により、移動ずれが発生する。ヘッド18に複数のノズル11が設けられており、複数の対象部品91を吸着する場合、ヘッド18の加減速が繰り返されるので、移動ずれが発生しやすくなる。このように、移動ずれが発生した後に、認識装置20によってノズル11と対象部品91との位置関係が認識される。つまり、認識装置20によって得られる吸着ずれ量D(図4を参照)は、ノズル11が対象部品91を吸着した後の移動によって発生するずれ量Gを含んでいる。具体的には、吸着ずれ量Dは、吸着時点でのずれ量Fと、移動によるずれ量Gとの和に相当する。移動によるずれ量Gは、対象部品91の体積(又は重さ)とヘッド18の移動速度との積に依存する量である。
本実施の形態に係る真のずれ量Eは、実施の形態1と同様に、吸着ずれ量Dと補正量Cとの和である。ここで、吸着ずれ量Dは、吸着時点での吸着ずれ量Fと移動ずれ量Gとの和である。
統計処理部53は、移動ずれ量Gを考慮に入れた統計モデルのパラメータを最尤推定する。具体的には、実施の形態1で説明された式(1)の代わりに、統計処理部53は、式(7)で示されるように、部品毎に算出された真のずれ量Truezureが正規分布Nに依存するとみなして最尤推定を行う。
(7)Truezure~N(feeder[n] + nozzle[n] + move[n] + …, σ)
式(7)において、feeder[n]及びnozzle[n]は、実施の形態1と同様である。また、確率分布は、正規分布に限らず、t分布、コーシー分布、又は、ラプラス分布であってもよい。
式(7)におけるmove[n]は、ヘッド18の移動経路によって複数項含まれてもよい。例えば、ヘッド18が複数のノズル11を保持する場合であって、複数の対象部品91を吸着するために、対象のノズル11が対象部品91を吸着した後、認識装置20によって認識されるまでの間に発生した加減速の回数によって、move[n]の項が追加される。
move[n]は、例えば、対象部品91の体積と、ノズル11の移動速度と、所定の移動パラメータとの積で表される。移動パラメータは、正規分布を事前分布としたベイズ推定又は最尤推定によって決定される。
以上のように、本実施の形態では、対象部品91を吸着後のノズル11の移動による移動ずれ量Gを考慮に入れた統計処理が行われる。これにより、吸着ずれの原因の分析精度が高まるので、第1不調度の確度を高めることができる。したがって、メンテナンスの要否の判定精度を高めることができるので、製造物の生産効率及び品質の低下を抑制することができる。
なお、実施の形態1及びその変形例で説明された式(2)~式(6)においても、同様にmove[n]が追加されてもよい。
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る管理装置、管理方法及び部品実装システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
例えば、実施例では、ずれを構成する要素を、フィーダ、ノズル、移動ずれとしたが、同様に、部品種類及びヘッドなど、ずれに影響を及ぼす他の要素を追加してもよい。
例えば、管理装置50は、不調度と閾値との比較を行わなくてもよい。例えば、管理装置50は、構成要素毎に算出した不調度を蓄積情報41に含めて保存してもよい。これにより、例えば、他の端末装置などを利用してメモリ40から不調度を読み出すことで、不調度と閾値との比較を行うことができる。
また、例えば、管理装置50は、メモリ40を備えていてもよい。メモリ40は、管理装置50に対して着脱自在の記憶装置であってもよい。
また、例えば、管理装置50は、蓄積部51を備えなくてもよい。例えば、部品実装機10の制御装置30が要素情報、吸着ずれ量D及び補正量Cを部品毎に対応付けてメモリ40に保存してもよい。
また、(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニットなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。RAM(Ramdom Access Memory)又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されていてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されていてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)本開示は、上記に示す方法であってもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってもよく、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
(5)本開示は、コンピュータプログラム又はデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものであってもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であってもよい。
(6)本開示は、コンピュータプログラム又はデジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送などを経由して伝送してもよい。
(7)本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムに従って動作してもよい。
(8)プログラム又はデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、あるいは、プログラム又はデジタル信号を、ネットワークなどを経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施してもよい。
また、上記の各実施の形態は、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。