再生医療分野では、近年、iPS細胞やES細胞等の多能性幹細胞を用いた研究が盛んに行われている。一般に細胞は透明であって通常の光学顕微鏡では観察しにくいため、従来、細胞の観察には位相差顕微鏡が広く利用されている。しかしながら、位相差顕微鏡では顕微画像を撮影する際に焦点合わせを行う必要があるため、広い観察対象領域を細かく区画したそれぞれの小領域についての顕微画像を取得するような場合、測定に時間が掛かりすぎるという問題がある。これを解決するため、近年、デジタルホログラフィ技術を用いたデジタルホログラフィック顕微鏡が開発され実用に供されている(特許文献1、2、非特許文献1等参照)。
デジタルホログラフィック顕微鏡では、光源からの光が物体表面で反射又は透過してくる物体光と同一光源から直接到達する参照光とがイメージセンサ等の検出面で形成する干渉縞(ホログラム)を取得し、そのホログラムに基づいた光波の逆伝播演算処理等を実施することで位相情報や振幅(強度)情報を取得し、再構成画像として強度画像や位相画像を作成する。こうしたデジタルホログラフィック顕微鏡では、ホログラムを取得したあとの演算処理の段階で任意の距離における位相情報等を得ることができるため、撮影時にいちいち焦点合わせを行う必要がないという利点がある。
デジタルホログラフィック顕微鏡には、インライン(in-line)型、オフアクシス(off-axis)型、位相シフト型などの方式がある。これら各方式では主として、ホログラムを取得するための光学系の構成が相違している。オフアクシス型では通常、レーザ光源から出射した光を参照光と物体に照射される照射光とに分割し、該照射光に対し物体を透過して来た物体光と参照光とを互いに異なる入射角で以てイメージセンサに入射させる。一方、インライン型では、レーザ光源から出射した光を分割せずに物体に照射し、物体を透過して来た物体光と物体を透過せずに該物体の近傍を通過した参照光とを共にイメージセンサに略垂直に入射させる。また、位相シフト型では、位相シフト干渉計を用い分割した参照光の光路長を複数段階に変化させることで、位相が複数段階に相違するホログラムを取得する。
いずれの方式であってもデジタルホログラフィック顕微鏡では、取得したホログラムデータに基づいて光波の位相情報及び振幅情報を算出し、それを画像化する処理をコンピュータで行う必要がある。例えば特許文献1、非特許文献2等には、インライン型デジタルホログラフィック顕微鏡で取得される複数の波長光についてのホログラムに基づく光波伝播の反復計算による位相回復方法が提案されているが、こうした計算はかなり複雑で計算量も多い。
培養中の生体細胞を観察するための細胞観察装置では、培養プレート全体又は該プレートに形成されているウェル全体の広い範囲について各細胞が詳細に観察できる程度の高い解像度の画像を作成する必要がある。デジタルホログラフィック顕微鏡を用いた細胞観察装置で、こうした位相画像や強度画像を得るためには、観察対象領域(例えば培養プレート全体)を細かく区切った多数の小領域についてそれぞれホログラムを取得し、そのホログラムに基づく演算処理を行って小領域毎の位相情報や振幅情報の2次元分布を求め、多数の小領域のそうした2次元分布を合成して観察対象領域についての画像を再構成する必要がある。
上述したように、位相情報等の算出や画像の再構成処理の計算量はもともと多いため、多数の小領域毎にこうした計算を行う場合、その計算量はかなり膨大になる。そのため、或る程度性能の高いコンピュータを使用したとしても、測定を開始してから観察対象領域についての位相画像が再現されるまでには時間が掛かる。
本発明者らの検討によれば、例えば培養プレート全面を900個程度の小領域に分割し、各小領域についてそれぞれ高い解像度(例えば4000×3000画素/枚)で複数の波長についてのホログラムを取得する装置において、測定開始から位相画像の再構成処理が終了するまで1時間以上掛かる。即ち、測定開始時点から1時間以上の時間が経過したあとでないと、試料の位相画像や強度画像を観察することができない。
観察対象である培養プレート中に異物の混入などの不具合があったり、測定の失敗又は不手際があったりした場合、測定自体が無駄になるが、上述したようにそうした不具合が判明するのは測定開始時点からかなり時間が経過してからである。そのため、測定時間が無駄に費やされてしまうことになり、細胞の観察作業や解析作業の効率を低下させるという問題がある。
こうした課題に対し、既存の装置では、ホログラフィック顕微鏡において観察対象領域全体のホログラム画像が得られると、それを直ちに該顕微鏡の制御用のコンピュータの画面上に表示し、作業者がそれを確認できるようにしている。ホログラム画像は画像再構成によって得られる位相画像や強度画像とは異なり、個々の細胞についての情報は殆ど得られないものの、培養プレート中のウェルの輪郭や大きな異物などは十分に視認が可能である。そこで、作業者は表示されたホログラム画像を見て、例えば装置への培養プレートの設置の不具合や大きな異物の混入などの異常状態を確認したならば、その時点で処理の続行を中止させて状況を確認する。これにより、一部の不具合については、再構成された位相画像を確認する前に、即ち撮影終了の直後に、不具合を見つけて無駄な処理が実行されることを回避することができる。
しかしながら、上述したようにホログラム画像は位相画像や強度画像とは異なり、個々の細胞が明瞭に観察できる画像ではなく、小さな異物等が混入していても判別するには困難である。そのため、例えば細胞の培養条件が不適切あって分化が異常に進行してしまっていたり目的のものとは異なる細胞が混入してしまっていたりして廃棄する必要があるような試料であっても、位相画像や強度画像を確認するまで分からず、無駄な時間と人手を費やしてしまうことになる。こうしたことから、煩雑で時間が掛かる処理の実行前に或いは処理の実行開始後であってもその初期段階で、上述したような試料や撮影の不具合を検出できる装置が強く要望されている。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ホログラフィック顕微鏡により取得されたホログラムに基づいて位相回復等の演算処理を行って細胞を含む試料についての位相画像や強度画像を再構成する細胞観察装置において、試料の不具合や測定の不手際などの発生をユーザが迅速に且つ的確に把握することで、無駄な時間や人手を費やすことを回避することができる細胞観察装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、ホログラフィック顕微鏡を利用した細胞観察装置であって、
a)光源部と、
b)前記光源部からの出射光を細胞を含む試料に照射したときの物体波と参照波との干渉縞であるホログラムを取得する検出部と、
c)前記試料上の測定位置が移動するように前記光源部及び前記検出部と前記試料との一方又は両方を移動させる移動部と、
d)前記移動部により前記試料上の測定位置を移動させつつ所定の観察対象領域内の各測定位置におけるホログラムの取得を繰り返すように前記光源部、前記検出部、及び前記移動部を制御する測定制御部と、
e)前記測定制御部による制御の下で、所定の観察対象領域内の各測定位置において得られたホログラムデータに基づいて位相情報及び/又は強度情報を算出するとともに、前記観察対象領域に対応する位相情報の2次元分布を示す位相画像及び/又は強度情報の2次元分布を示す強度画像を作成する第1再構成画像作成部と、
f)前記第1再構成画像作成部による処理に先立って又は該処理と並行して、ユーザにより指定された特定の一又は複数の測定位置又は範囲において得られたホログラムデータに基づいて位相情報及び/又は強度情報を算出するとともに、当該測定位置又は範囲に対応する位相情報の2次元分布を示す部分位相画像及び/又は強度情報の2次元分布を示す部分強度画像を作成する第2再構成画像作成部と、
g)前記第2再構成画像作成部で作成された部分位相画像及び/又は部分強度画像を表示部に表示する表示処理部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る細胞観察装置では、典型的には、前記試料は細胞の培養容器であり、前記ホログラフィック顕微鏡によるホログラムデータの取得が可能な最大の領域はその培養容器全体又はその一部の領域であるものとすることができる。上記培養容器は、一又は複数のウェルが形成された細胞培養プレート、シャーレ、大量培養を目的とした培養フラスコなどである。したがって、本発明に係る細胞観察装置は、こうした培養容器において培養中である生体細胞を非侵襲で観察するのに好適な装置である。
本発明に係る細胞観察装置において、移動部は例えば、その位置が固定された培養プレートに対して光源部及び検出部を一体に移動させることで、該培養プレート上で光源部から出射した光が照射される測定位置を変化させる。測定制御部は該移動部により例えば光源部及び検出部を一体にステップ的に移動させつつ、培養プレート内の一つの測定位置に光(一般的にはコヒーレント光)を照射し、それにより検出部の検出面上に形成されるホログラムによる光強度の2次元分布を示すデータ(ホログラムデータ)を取得する、という動作を繰り返す。
第1再構成画像作成部は、異なる測定位置においてそれぞれ得られたホログラムデータに基づいて位相情報及び/又は強度情報を算出し、得られた位相情報及び/又は強度情報に基づいて観察対象領域に対応する位相画像及び/又は強度画像を作成する。但し、一般に多数の測定位置での測定が行われるため、ホログラムデータは膨大な量であり、位相画像や強度画像の作成には時間が掛かる。一方、第2再構成画像作成部は、第1再構成画像作成部による処理よりも先行して又はその処理と並行して、ユーザにより指定された特定の一又は複数の測定位置か一つの測定位置中若しくは複数の測定位置に跨る所定の範囲において得られたホログラムデータのみに基づいて位相情報及び/又は強度情報を算出し、得られた情報に基づいて部分位相画像及び/又は部分強度画像を作成する。この部分位相画像及び/又は部分強度画像が作成される範囲は、観察対象領域全体に比べれば遙かに小さな領域に限定される。即ち、部分位相画像又は部分強度画像は観察対象領域全体の中のごく一部に対応する画像である。そして表示処理部はこの部分位相画像及び/又は部分強度画像を表示部の画面上に表示する。
第2再構成画像作成部での処理の対象であるホログラムデータの量は第1再構成画像作成部での処理の対象であるホログラムデータに比べて格段に少ない。そのため、第2再構成画像作成部がホログラムデータを読み込むのに要する時間は第1再構成画像作成部がホログラムデータを読み込むのに要する時間に比べて遙かに短いし、第2再構成画像作成部における演算処理や画像再構成に要する時間は第1再構成画像作成部におけるそれに比べて遙かに短い。そのため、部分位相画像や部分強度画像は、測定が終了した時点から比較的短い時間で表示される。
上述したように、部分位相画像や部分強度画像は観察対象領域全体の中のごく一部分に対応する画像であるが、ユーザが適切な又は特に重要な測定位置や範囲を指定することで、表示された部分位相画像や部分強度画像から、測定(撮影)の適否や細胞の異常の有無、或いは異物の混入などを、観察対象領域全体の位相画像が作成される前に確認することができる。それにより、観察対象領域全体の位相画像等の再構成処理が不要であると作業者が判断したときには、その処理を実施しないことで、或いは処理が開始されてしまっていてもその処理を途中で中止させることで、無駄な時間や手間が費やされることを回避することができる。
なお、本発明において、インライン型、オフアクシス型、位相シフト型などのホログラフィック顕微鏡の方式は問わないが、光学系の構成が簡素であって試料と光源部との距離を複数段階に変化させる必要がないために駆動機構も簡素になるという点で、複数の波長におけるホログラムを利用するインライン型の構成が望ましい。
また本発明において、好ましくは、
前記所定の観察対象領域内の各測定位置において得られたホログラムデータに基づくホログラム画像を作成して表示部の画面上に表示するホログラム画像作成部と、
前記第2再構成画像作成部により作成される部分位相画像及び/又は部分強度画像に対応する測定位置又は範囲を、前記ホログラム画像作成部により表示されたホログラム画像上でユーザが指示するための指示入力部と、
をさらに備える構成とするとよい。
ホログラム画像は位相画像等と異なり、測定終了後直ちに表示することが可能である。また、測定中であっても一つの測定位置についての測定が終了する度にその測定位置に対応する部分的なホログラム画像を表示することもできる。このホログラム画像はホログラムに対応する光強度の2次元分布であるので、生体細胞については十分に可視化されないことが多いものの、大きな段差があるウェルの縁部などについては十分に視認可能な画像である。そこで、作業者は、測定実行中又は測定終了直後に、表示されたホログラム画像上で例えばどのウェルのどの部分の部分位相画像や部分強度画像を見たいかを指示入力部により指示する。これにより、作業者は所望の測定位置や範囲の部分位相画像や部分強度画像を短い待ち時間で確認することができる。
また本発明では、部分位相画像と部分強度画像とのいずれか一方のみを表示するようにしてもよいが、部分位相画像では細胞は見え易いものの塵埃などの異物は見えにくい傾向にある。逆に、部分強度画像では異物は見え易いものの細胞は見えにくい傾向にある。したがって、より好ましくは、同じ範囲の部分位相画像と部分強度画像との両方を表示するほうがよい。
即ち、本発明において、好ましくは、
前記第2再構成画像作成部は、特定の測定位置又は範囲に対応する部分位相画像及び部分強度画像を作成し、
前記表示処理部は、前記部分位相画像及び前記部分強度画像を同一画面上に表示する構成とするとよい。
また、ホログラフィック顕微鏡で得られたホログラムデータを用いれば、演算処理によって異なる焦点位置の位相情報や強度情報を求めることができる。そこで、本発明において、
前記第2再構成画像作成部は、複数の焦点位置における部分位相画像及び/又は部分強度画像を作成し、
前記表示処理部は、ユーザが焦点位置を指示する焦点指示入力部を含み、該指示入力部により指示された焦点位置における部分位相画像及び/又は部分強度画像を表示する構成とするとよい。
また上記構成の一実施態様として、前記焦点指示入力部は、画面上に表示されたスライダーと、該スライダーのノブを移動させる操作部と、を含み、該ノブの位置に応じて焦点位置が変化するものである構成とすることができる。
この構成によれば、焦点位置が異なる部分位相画像や部分強度画像を容易に比較することができるので、作業者は、例えば細胞の状態が最も鮮明に観察できる部分位相画像を選択したうえで試料の良否や測定の適否などを判断することができる。それにより、より適切な判断を下すことができる。
また上記構成の別の実施態様として、
前記試料は複数のウェルが形成された培養プレートであり、
前記表示処理部より前記位相画像及び/又は強度画像が表示部に表示されるときに、ウェル毎にユーザが焦点位置を指示する焦点指示入力部をさらに備え、
前記第1再構成画像作成部は、前記焦点指示入力部により指示されたウェル毎の焦点位置における位相画像及び/又は強度画像を作成する構成とすることもできる。
複数のウェルが培養プレートに形成されている場合、ウェルの底面の高さやウェル内の培地の高さがウェル毎に異なり、そのために合焦位置がウェル毎に異なることがしばしばある。これに対し上記構成によれば、培養プレート全体の位相画像や強度画像を作成する前に、部分位相画像や部分強度画像を作成した段階で各ウェルの合焦位置をそれぞれ決めることができる。それにより、培養プレート全体の位相画像や強度画像を作成する段階で各ウェルの合焦位置における位相画像や強度画像のみを作成すればよく、不必要な焦点位置の画像を作成する時間や手間を軽減することができる。
なお、本発明において、第1再構成画像作成部及び第2再構成画像作成部は測定制御部及び表示処理部と同じコンピュータや同一筐体に収容されたハードウェア回路でそれら機能を実現するように構成してもよいが、別々のコンピュータ又は全く別体であるハードウェア回路でそれぞれの機能を実現するように構成してもよい。
具体的には例えば、複雑な計算が必要である第1再構成画像作成部及び第2再構成画像作成部の機能は、測定を担うホログラフィック顕微鏡本体を制御する測定制御部の機能を有するパーソナルコンピュータと通信ネットワークを介して接続されるサーバ(高性能なコンピュータ)で実現するようにするとよい。一方、表示処理部の機能は測定制御部と同じパーソナルコンピュータに持たせ、サーバから受け取ったデータに基づいて表示を行うようにするとよい。また、第1再構成画像作成部と第2再構成画像作成部における処理の多くは基本的に共通するので、それらは実質的に同じ構成要素とすることができる。
本発明に係る細胞観察装置によれば、測定によって取得されたホログラムデータに基づいた画像再構成処理により観察範囲全体の位相画像や強度画像が作成されるのに要する長い時間を待つことなく、作業者は測定の適否や試料の不具合など早期に且つ的確に確認することができる。それにより、そうした不具合等が確認されたときに画像再構成処理の実行を回避したり実行中であっても即座にそれを中止したりすることで、時間が手間が無駄に費やされることを回避することができる。その結果、細胞観察の作業を効率的に行うことができる。
以下、本発明に係る細胞観察装置の一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例の細胞観察装置の全体構成図、図2は本実施例の細胞観察装置における測定用端末の概略構成図である。
本実施例の細胞観察装置は、インターネット、イントラネットなどの通信ネットワーク4を介して接続された測定用端末1と、閲覧用端末3と、サーバ5と、を含む。図1には、測定用端末1及び閲覧用端末3をそれぞれ1台ずつ記載しているが、これらはそれぞれ適宜の数だけ設けることができる。
サーバ5は高性能なコンピュータであり、該コンピュータにインストールされている専用のソフトウェアにより具現化される機能ブロックとして、データ送受信部51、ホログラムデータ記憶部52、第1位相回復演算部53、第2位相回復演算部54、第1画像再構成部55、第2画像再構成部56、画像データ記憶部57等を備える。なお、第1位相回復演算部53と第2位相回復演算部54を別々に、また第1画像再構成部55と第2画像再構成部56を別々に設けているが、後述するように、第1位相回復演算部53と第2位相回復演算部54とで実行されている演算は実質的に同じであり、第1画像再構成部55と第2画像再構成部56とで実行されている処理も一部を除き実質的に同じである。したがって、実質的にはそれらは同じ構成要素とすることができる。
測定用端末1は顕微観察部10と制御・処理部20とから成る。本実施例の細胞観察装置では、顕微観察部10はインライン型デジタルホログラフィック顕微鏡であり、図2に示すように、レーザダイオード等を含む光源部11とイメージセンサ12とを備え、光源部11とイメージセンサ12との間に、観察対象物である細胞14を含む培養プレート13が配置される。光源部11及びイメージセンサ12は例えばモータ等の駆動源を含む移動部15により、互いに直交するX軸、Y軸の二軸方向に一体に移動自在である。
なお、図2では図面が煩雑になるのを避けるために、光源部11とイメージセンサ12とを一つずつ、つまり一組しか記載していないが、実際には、光源部11とイメージセンサ12とは一枚の培養プレート13を挟んで四組設けられており、後述するように、その四組の光源部11とイメージセンサ12とにより一枚の培養プレート13の異なる測定位置についてのホログラムを並行して取得することが可能である。
制御・処理部20の実体は、顕微観察部10の動作を制御するとともに顕微観察部10で取得されたデータをサーバ5に送出する、さらにはサーバ5において処理されたデータを受け取って表示を行うパーソナルコンピュータ(PC)である。このPCにインストールされた専用のソフトウェアにより具現化される機能ブロックとして、撮影制御部21、ホログラムデータ記憶部22、データ送受信部23、ホログラム画像作成部24、確認位置指定受付部25、画像データ記憶部26、表示処理部27、焦点指定受付部28等を備える。また、制御・処理部20には、キーボードやマウス等のポインティングデバイスである入力部201と、表示部202と、が接続されている。
閲覧用端末3は測定用端末1における制御・処理部20と同様に、その実体は一般的なPCである。そして、該PCにインストールされた専用のソフトウェアにより、サーバ5からデータを受領し、該データに基づいて形成される適宜の画像を表示することが可能である。
次に、本実施例の細胞解析装置におけるホログラムデータ取得の際の動作について図3を参照して説明する。図3は本実施例の細胞観察装置における画像再構成処理を説明するための概念図である。
図3(a)は本実施例の細胞観察装置において使用される培養プレート13の略上面図である。この培養プレート13には上面視円形状である6個のウェル13aが形成されており、その各ウェル13a内で細胞が培養される。ここでは、1枚の培養プレート13全体、つまりは6個のウェル13aを含む矩形状の範囲全体が観察対象領域である。顕微観察部10は光源部11及びイメージセンサ12の組を4組備えており、各組の光源部11及びイメージセンサ12はそれぞれ、図3(a)に示すように培養プレート13全体を4等分した四つの4分割範囲81のホログラムデータの収集を担う。つまり、4組の光源部11及びイメージセンサ12が培養プレート13全体に亘るホログラムデータの収集を分担する。
一組の光源部11及びイメージセンサ12が1回に撮影可能である範囲は、図3(b)及び(c)に示すように、4分割範囲81の中の1個のウェル13aを含む略正方形状の範囲82をX軸方向に10等分、Y軸方向に12等分して得られる一つの撮像単位83に相当する範囲である。一つの4分割範囲81は予め作業者により指定された所定数の、例えば15×12=180個の撮像単位83を含む。四つの光源部11と四つのイメージセンサ12はそれぞれ光源部11及びイメージセンサ12を含むX-Y面内で、4分割範囲81と同じ大きさである矩形の四つの頂点付近にそれぞれ配置されおり、培養プレート13上の異なる四つの撮像単位83についてのホログラムの取得を同時に行う。
培養プレート13についてのホログラムデータの収集に際し、作業者はまず、観察対象である細胞14が培養されている培養プレート13を顕微観察部10の所定位置にセットし、該培養プレート13を特定する識別番号や測定日時などの情報を入力部201から入力したうえで測定実行を指示する。この測定指示を受けて撮影制御部21は、顕微観察部10の各部を制御して撮影を実行する。
即ち、一つの光源部11は、10°程度の微小角度の広がりを持つコヒーレント光を培養プレート13の所定の領域(一つの撮像単位83)に照射する。培養プレート13及び細胞14を透過したコヒーレント光(物体光17)は、培養プレート13上で細胞14に近接する領域を透過した光(参照光16)と干渉しつつイメージセンサ12に到達する。物体光17は細胞14を透過する際に位相が変化した光であり、他方、参照光16は細胞14を透過しないので該細胞14に起因する位相変化を受けない光である。したがって、イメージセンサ12の検出面(像面)上には、細胞14により位相が変化した物体光17と位相が変化していない参照光16との干渉像、つまりホログラムがそれぞれ形成され、このホログラムに対応する2次元的な光強度分布データ(ホログラムデータ)がイメージセンサ12から出力される。
上述したように、四つの光源部11からは略同時に培養プレート13に向けてコヒーレント光が出射され、四つのイメージセンサ12では培養プレート13上の異なる撮像単位83に対応する領域のホログラムデータが取得される。一つの測定位置での測定が終了する毎に、光源部11及びイメージセンサ12は移動部15により、X-Y面内で一つの撮像単位83に相当する距離だけX軸方向及びY軸方向にステップ状に順次移動される。これによって、4分割範囲81に含まれる180個の撮像単位83での測定が実施され、四組の光源部11及びイメージセンサ12全体で培養プレート13全体の測定が実行されることになる。このようにして顕微観察部10の四つのイメージセンサ12で得られたホログラムデータは、測定日時等の属性情報とともに、ホログラムデータ記憶部22に格納される。
全ての撮像単位83についての測定(撮影)が終了したあと、作業者により後述する所定の操作が行われると、データ送受信部23は、ホログラムデータ記憶部22に格納されたホログラムデータを測定日時等の属性情報とともに、逐次、通信ネットワーク4を介してサーバ5に転送する。なお、各測定用端末1からサーバ5へは生の、つまりは加工されていないホログラムデータを送ればよいが、必要に応じて、各測定用端末1に固有の誤差要因を補正するような加工処理を施したホログラムデータをサーバ5へ送るようにしてもよい。
サーバ5においてデータ送受信部51は測定用端末1から送られて来たホログラムデータを受け取り、測定用端末1を特定するための識別情報、撮影時に入力された培養プレートの識別情報や測定日時などの属性情報とともにホログラムデータをホログラムデータ記憶部52に蓄積する。ホログラムデータを収集したあと、第1位相回復演算部53はホログラムデータ記憶部52から撮像単位毎のホログラムデータを読み出し、光波の伝播計算処理を行うことで位相情報を復元するとともに強度(振幅)情報を求める。位相情報や強度情報の空間分布は撮像単位83毎に求まるから、全ての撮像単位83の位相情報や強度情報が得られたならば、第1画像再構成部55は、その位相情報や強度情報に基づいて、観察対象領域全体の位相画像や強度画像を形成する。
より詳しく述べると、第1画像再構成部55は、撮像単位83毎に算出された位相情報の空間分布に基づき各撮像単位83の位相画像を再構成し、その狭い範囲の位相画像を繋ぎ合わせるタイリング処理(図3(d)参照)を行うことで、観察対象領域つまりは培養プレート13全体についての位相画像を形成する。もちろん、タイリング処理の際には撮像単位83の境界での位相画像が滑らか繋がるように適宜の補正処理を行うとよい。なお、こうした位相情報の算出や画像の再構成の際には、特許文献1、2等の既知の文献に開示されているアルゴリズムを利用すればよい。
また、通常の処理で得られる再構成画像は取得されたホログラムデータにより原理的に求まる最高解像度の画像であるが、それだけでなく、その最高解像度の位相画像を元に、ビニング処理等により解像度を落とした複数段階の解像度(倍率)の位相画像を作成するようにしてもよい。そして、こうして作成した位相画像や強度画像を構成する画像データを画像データ記憶部57に格納する。
サーバ5の性能にも依るが、1枚の培養プレート13から得られるホログラムデータは膨大な量であるため、第1位相回復演算部53や第1画像再構成部55における処理にはかなりの時間を要する。そのため、たとえ測定用端末1側で全ての測定が終了しても、直ちに観察対象領域全体の位相画像や強度画像を閲覧することはできない。そこで本実施例の細胞観察装置では、測定終了後に作業者が測定の不具合や異物の混入などを迅速に把握することができるように、以下に説明する特徴的な処理を実行している。
図4はこの特徴的な処理動作の説明図、図5は撮影終了後に測定用端末で表示される画面の一例を示す図、図6は測定用端末で表示される指定測定位置の位相画像及び強度画像の一例を示す図である。
測定実行前に作業者が入力部201で所定の操作を行うと、表示処理部27は、図5に示すような撮影画像表示画面60を表示部202に表示する。この撮影画像表示画面60には、画像表示領域61とプレート情報表示領域62とが配置されており、さらに右下には、「停止」ボタン63が配置されている。プレート情報表示領域62には、測定中又は測定が終了した培養プレート13の名称(プレート名)や識別番号(プレートID)などの属性情報が表示される。但し、図5に示した画面は測定終了後のものであり、測定開始前には画像表示領域61には実質的な画像は何も表示されていない。
測定が開始されて上述したように培養プレート13上での各撮像単位83に対応する領域についてのホログラムデータが得られると、ホログラム画像作成部24は撮像単位83毎に、得られたデータに基づいて光強度の2次元分布を示すホログラム画像を作成する。このときに作成されるホログラム画像は解像度が最低であるサムネイル画像である。表示処理部27は作成されたホログラムのサムネイル画像を、画像表示領域61内のそれぞれの撮像単位に対応する位置に貼り付けて表示する。即ち、一つの撮像単位のホログラムデータが新たに得られる毎にほぼリアルタイムで、そのデータに基づくホログラムのサムネイル画像が画像表示領域61内の画像に追加して表示される。そして、全ての撮像単位についての測定が終了すると、図5に示すような、観察対象領域全体のホログラム画像が表示される。測定終了後に作業者が撮影画像表示画面60内の「画像作成を実行」ボタン65をクリック操作すると、収集されたホログラムデータがサーバ5が転送され、前述したように全画面の画像再構成処理が実行される。
なお、ホログラム画像では細胞の状態を観察するのは困難であるが、光源部11やイメージセンサ12の損傷等の装置の不具合や測定上の不手際等に起因する現象の多くは画像上で把握可能である。そこで、作業者は測定実行中に画像表示領域61に表示されるホログラム画像を監視し、何らかの問題があると判断できる場合には「停止」ボタン63をクリック操作する。すると、撮影制御部21はこの操作を受けて測定を停止する。このように、測定に何らかの問題がある場合に測定を速やかに停止させることで、残りの無駄な測定に時間を費やすことを回避することができる。
測定終了後速やかに位相画像や強度画像を確認したい場合、作業者は、入力部201の一部であるマウス等のポインティングデバイスにより、図5に示した撮影画像表示画面60内の画像表示領域61に表示されているホログラム画像を構成する多数のサムネイル画像のうちの所望の一つの上にカーソルを移動させる。確認位置指定受付部25はこの操作を受け付け、選択されている撮像単位を示す矩形状のマーク66を画像に重畳して表示する。そして、作業者がポインティングデバイスによるダブルクリック操作を行うと、確認位置指定受付部25はそのときに選択されている一つの撮像単位を、部分位相画像の作成対象であると認識し、これに応じて表示処理部27は図6に示すような指定位置画像表示画面70を表示部202の画面上に表示する。この指定位置画像表示画面70には画像表示領域71が設けられている。
並行して確認位置指定受付部25は、指示された一つの撮像単位について得られたホログラムデータをホログラムデータ記憶部22から読み出し、データ送受信部23は読み出されたデータを通信ネットワーク4を通してサーバ5に転送する。なお、この一つの撮像単位についてのホログラムデータの転送動作は、上述したような撮影対象領域全体のホログラムデータのサーバ5への転送動作と並行して行ってもよいし、それよりも優先的に行ってもよい。後者の場合、撮影対象領域全体のホログラムデータの転送動作がすでに開始されていれば、それを一旦中断して、選択指示された一つの撮像単位についてのホログラムデータの転送を行えばよい。
サーバ5においてデータ送受信部51は、上述したように測定用端末1から送られて来た一つの撮像単位についてのホログラムデータを受け取り、該データをホログラムデータ記憶部52に一旦格納する。このときに転送されて来るデータの量は観察対象領域全体のホログラムデータのデータ量に比べて格段に少ないため、転送時間も格段に短い(図4参照)。
第2位相回復演算部54はホログラムデータ記憶部22に格納された一つの撮像単位のホログラムデータを読み出し、光波の伝播計算処理を行うことで位相情報を復元するとともに強度情報を求める。引き続き、第2画像再構成部56は、算出された位相情報や強度情報に基づいて、一つの撮像単位についての部分位相画像及び部分強度画像を形成する。なお、ホログラムデータから位相情報や強度情報を算出する際には任意の焦点位置の情報を算出することができるが、この時点で設定される焦点位置は、測定用端末1から指定されたデフォルト値(例えば同じ識別番号の培養プレート及びウェルについて最も直近の過去の時点で設定されていた焦点位置など)である。この部分位相画像及び部分強度画像を構成する画像データは画像データ記憶部57に格納されるとともに、データ送受信部51から測定用端末1に送られる。演算処理や画像再構成の処理も一つの撮像単位分のみでよくタイリング処理等の不要であるので、部分位相画像及び部分強度画像が形成されるまでの処理時間も、観察対象領域全体の位相画像及び強度画像を形成するのに要する時間に比べて格段に短い(図4参照)。
上述したように、作業者により選択指示された一つの撮像単位についてのホログラムデータの転送及び該データに基づく部分位相画像、部分強度画像の形成に要する時間は短い。したがって、測定用端末1において上述したように作業者が一つの撮像単位に対応するサムネイル画像についてのダブルクリック操作を行った時点から比較的短い時間内に、サーバ5からその測定用端末1に部分位相画像及び部分強度画像を構成する画像データが送られて来る。送られて来た画像データは一旦、画像データ記憶部26に格納される。
表示処理部27はこの画像データに基づき部分位相画像及び部分強度画像を作成し、それら二つの画像を指定位置画像表示画面70内の画像表示領域71に並べて表示する。なお、画像表示領域71に表示する画像の種類は表示画像選択チェックボックス72にチェックマークを入れることで選択することができ、部分位相画像と部分強度画像とのいずれか一方のみを画像表示領域71に表示させることもできる。なお、図6の例において、表示されている部分位相画像及び部分強度画像の焦点位置は5450μmである。
初めに設定されている焦点位置が必ずしも細胞観察における合焦位置であるとは限らないし、また細胞とは高さが相違する異物を観察したい場合には焦点位置を変更する必要がある。そこで、異なる焦点位置における部分位相画像や部分強度画像を観察したい場合、作業者は、指定位置画像表示画面70内のスライス条件設定領域73で複数段階の焦点位置を決める条件を設定する。即ち、焦点位置の範囲とスライス幅(焦点位置のステップ幅)とをそれぞれ数値で入力すると、スライス数(焦点位置の段数)が自動的に計算されて表示される。なお、これら数値もデフォルトのままとすることができる。そして、スライス条件を設定したあと作業者が「スライス画像作成」ボタン74をクリック操作すると、焦点指定受付部28はこの操作を受け付け、設定されたスライス条件をサーバ5に指示する。
サーバ5において第2位相回復演算部54及び第2画像再構成部56は、上記の選択された一つの撮像単位についてのホログラムデータに基づいて、指示されたスライス条件に従って複数の焦点位置における位相情報及び強度情報を算出し、互いに焦点位置の相違する複数の部分位相画像及び部分強度画像を形成する。この複数の焦点位置における部分位相画像及び部分強度画像を構成する画像データは画像データ記憶部57に格納されるとともに、データ送受信部51から測定用端末1に送られる。送られて来た画像データは一旦、画像データ記憶部26に格納される。このように、異なる焦点位置における部分位相画像及び部分強度画像を構成する画像データが用意されると、指定位置画像表示画面70内の焦点位置選択操作領域75中の操作子が有効になる。即ち、焦点位置選択操作領域75中のスライダーのノブをポインティングデバイスで移動させることが可能になるとともに、テキストボックス中に焦点位置の数値を直接入力することも可能になる。
作業者がポインティングデバイスにより焦点位置選択操作領域75中のスライダーのノブを左右に移動させると、焦点指定受付部28はスライダー上のノブの位置に対応した焦点位置を求め、表示処理部27は画像表示領域71に表示している部分位相画像及び部分強度画像をその焦点位置における画像に更新する。図6の例では、スライス数が11であるので、スライダーを操作することで、11段階の異なる焦点位置における部分位相画像及び部分強度画像をそれぞれ確認することができる。作業者は、異なる焦点位置における部分位相画像同士又は部分強度画像同士をそれぞれ比較することで、観察対象である細胞などが最も明瞭に観察できる焦点位置を見つけることができる。
こうして適切な焦点位置における部分位相画像及び部分強度画像が得られたならば、作業者はそれら画像を確認して細胞に異常が発生している、又は細かい異物が多く混入している等、培養に不具合がないかどうか、さらには、撮影に不具合がないかどうかなどを判断する。そして、観察対象領域全体の位相画像や強度画像を作成する必要がないと判断した場合には、ホログラムデータに基づく全画面の位相画像や強度画像の再構成処理の実行を回避する。或いは、図5中の「画像作成を実行」ボタン65の操作により測定用端末1からサーバ5への全ホログラムデータの転送が開始されている場合であっても、所定の操作を行うことでデータ転送を中止させることもできる(図4参照)。こうした判断は撮影終了時点から比較的短い時間内で行うことができるので、全画面の画像再構成処理により位相画像が作成されるまで長い時間待つ必要がない。
また、上述したように異なる焦点位置における部分位相画像及び部分強度画像をそれぞれ比較することで適切な焦点位置が決まったあと、作業者が「この値をウェルの焦点位置に設定」ボタン76をクリック操作すると、焦点指定受付部28はこの操作を受け付け、指示された焦点位置の情報をそのときに表示している部分位相画像等の撮像単位が存在するウェルの識別番号とともにサーバ5に伝える。サーバ5において、指示された焦点位置はウェルの識別番号に対応付けてホログラムデータ記憶部52に保存され、第1位相回復演算部53はその識別番号のウェルに対応する撮像単位の位相情報や強度情報を算出する際に、その識別番号に対応付けられている焦点位置における位相情報及び強度情報を算出する。即ち、撮影対象領域全体の位相画像や強度画像を作成する際のウェル毎の焦点位置を、測定用端末1で部分位相画像及び部分強度画像を確認しながら決めることができる。
もちろん、一つの撮像単位についての部分位相画像及び部分強度画像に基づいて決めることができる焦点位置は、その撮像単位が存在する一つのウェルについてのみである。したがって、6個のウェルの全てについてそれぞれ個別に焦点位置を設定したい場合には、撮影画像表示画面60の画像表示領域61に表示されているホログラム画像上でウェル毎に一つの撮像単位を選択し、その撮像単位についての部分位相画像及び部分強度画像を指定位置画像表示画面70に表示させ、さらにスライス条件を設定してスライス画像を作成する、という手順を繰り返す必要がある。もちろん、一つのウェルについて設定した焦点位置を他のウェルにも利用することは可能である。
このようにして本実施例の細胞観察装置では、観察対象領域全体の位相画像や強度画像を作成して表示する前に、ウェル毎に適切な焦点位置を設定し、その焦点位置のみの位相画像や強度画像を作成して表示させることができる。それにより、不必要な焦点位置における画像の作成に要する時間を節約することができる。
上記説明では、測定用端末1で測定を実施した直後に該測定用端末1で部分位相画像等を確認する場合について述べたが、顕微観察部10を含まない閲覧用端末3でも、適宜のホログラム画像の表示と、該ホログラム画像上で選択された一つの撮像単位についての部分位相画像の確認と、を行うことができる。図7は、閲覧用端末3でホログラム画像及び部分位相画像を表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
図7に示すように、スライス画像確認表示画面90には、ホログラム画像表示領域91及び部分位相画像表示領域92が設けられている。ホログラム画像表示領域91には、撮影が終了してサーバ5のホログラムデータ記憶部52に保存されているホログラムデータに基づくホログラム画像が表示される。このときに表示するホログラム画像は、例えば培養プレートの識別番号や測定日時などを指定することで、適宜に選択することができる。そして、焦点位置が相違する複数の部分位相画像を見たい場合、作業者は、ホログラム画像上で一つの撮像単位を指定し、スライス条件設定領域93で複数段階の焦点位置を決める条件を設定したうえで「スライス画像プレビュー」ボタン94をクリック操作する。
この指示及び設定内容は、閲覧用端末3からサーバ5へと送られ、サーバ5の第2位相回復演算部54及び第2画像再構成部56は上述したように指定された撮像単位のホログラムデータに基づいて指定された複数の焦点位置における位相情報を計算し、焦点位置毎に部分位相画像を再構成する。そして、焦点位置が異なる複数の部分位相画像を構成する画像データを閲覧用端末3に送信する。閲覧用端末3では受け取った画像データに基づいて部分位相画像を部分位相画像表示領域92に表示する。また、焦点位置選択操作領域95中のスライダーの操作に応じて、表示されている部分位相画像を異なる焦点位置の画像に変更する。これにより、作業者は、過去に撮影された培養プレートの部分位相画像も確認することができる。
また上記実施例では、作業者により指定された一つの撮像単位のホログラムデータから該撮像単位における部分位相画像を再構成していたが、一つの撮像単位の中の一部の範囲を作業者が適宜に指定し、その指定された範囲に含まれるホログラムデータから該範囲における部分位相画像を再構成してもよい。これにより、サーバ5に転送されるデータ量もさらに減るため、データ転送時間や処理時間をさらに一層短くすることができる。
また、一つの撮像単位についての部分位相画像や強度位相画像を表示したあと、その画像において作業者により指定された範囲を拡大して表示できるようにしてもよい。また、ホログラム画像上で一つの撮像単位の中の一部の範囲を作業者が適宜に指定したときに、その撮像単位についての部分位相画像や部分強度画像を再構成したあと、指定された範囲の画像のみを切り出して表示するようにしてもよい。
また、ホログラム画像上で一つのみではなく複数の撮像単位を指定したり、一つの撮像単位よりも大きなサイズの範囲を任意に指定したりできるようにし、その指定された複数の撮像単位又は範囲に対応する部分位相画像や部分強度画像を再構成して表示できるようにしてもよい。但し、指定される撮像単位数が多くなるほど又は指定される範囲が広くなるほど処理対象のデータ量が増加するから、部分位相画像等を表示できるまでも時間が長くなる。そのため、この時間の制約から、指定できる撮像単位数や範囲の広さの上限を予め決めておくとよい。
また、上記実施例において顕微観察部10はインライン型デジタルホログラフィック顕微鏡であるが、顕微観察部10は観察対象領域中の測定位置毎にホログラムを取得するものであればよいので、インライン型に限らず、オフアクシス型や位相シフト型のデジタルホログラフィック顕微鏡であってもよい。
また、上記実施例では、測定用端末1と通信ネットワーク4を介して接続されたサーバ5において位相回復等の演算処理を実施していたが、スタンドアロン型の装置で全ての処理を実施する構成としてもよいことは当然である。
さらにまた、上記実施例及び上記記載の変形例はいずれも本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲でさらに適宜の変更、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。