JP7035671B2 - 回折光学素子 - Google Patents
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Description
また、光を整形する別の手段として、回折光学素子(Diffractive Optical Element :DOE)が挙げられる。これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは、基本的に単一波長の光に対して設計されるものであるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、前述のLSDにおいては、照射領域内の光強度がガウシアン分布となるのに対し、DOEでは、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化や、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる(例えば、特許文献1参照)。
また、DOEは、レーザのような平行光源や、LEDのような拡散光源のいずれにも対応可能であり、また、紫外光から可視光、赤外線までの広い範囲の波長に対して適用可能である。
図1は、本発明による回折光学素子の第1実施形態を示す平面図である。
図2は、図1の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図3は、図1中の矢印A-Aの位置で回折光学素子を切断した断面図である。
図4は、回折光学素子を説明する図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
なお、光源部210と、光源部210が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、本実施形態の回折光学素子10とを組み合わせることにより、光を成形した状態で照射可能な光照射装置とすることができる。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
第1実施形態の回折光学素子10は、4段階の高さの異なる多段階形状により構成されている。そして、回折光学素子10は、異なる周期構造を持つ複数の単位領域(セル、又は、部分周期構造とも呼ぶ)をマトリックス状に多数配置した、グレーティングセルアレイ型の回折光学素子である。図2では、部分周期構造の一例を抽出して示している。
基本セル10aは、本実施形態では、いずれも正方形に形成されており、この基本セル10aは、複数並べて配置されている。
合成セル10bは、本実施形態では、特定数として2つの基本セル10aを組み合わせ、さらに、組み合わせた2つの基本セル10aを特定数である2つに分割した形状となっている。すなわち、合成セル10bは、正方形の基本セル10aを2つ図中の上下方向に並べて組合せ、これを図中の左右方向に2つに分割した長方形形状となっている。この分割する方向は、本実施形態では、合成セル10bの長さが基本セル10aの長さよりも長い特定の方向としての上下方向に交差(直交)する左右方向に分割している。
本実施形態の回折光学素子10は、従来のグレーティングセルアレイを基本形態として、その中に合成セル10bが配置されている点で、従来のグレーティングセルアレイと異なった形態となっている。
この図5のような設計は、従来からプログラムにより半自動的に設計が行われるものである。図5中には、説明の便宜上、各セルに1~16の番号を併記した。なお、ここでは、簡単のため、4×4=16個のセルにより説明を行うが、これは通常、より大きな行列数に構成されている。例えば、200×200=40000個のセルにより4mm角の回折光学素子10を構成する。
図5において、セル番号7,14では、2~3段程度しか含まれていない。本実施形態の4レベルの回折格子では、4段で1ピッチとなるので、図5の状態では、セル番号7,14内には、1ピッチ分の回折格子が含まれていない。このように配置される回折格子が1ピッチに満たない状態では、該当するセルは、回折格子として機能することができない。この場合、このような領域(セル)自体が実質的に無駄な領域となるだけでなく、本来そのセルが担うべきであった向きへ出光する光が正しく出光できなくなり、従来は回折効率の低下を招いていた。
先ず、図5のような基本設計を従来のグレーティングセルアレイの設計手法により行った後、セルの移動(場所交換)処理が行われる。
この例では、セル番号11とセル番号14とを場所交換して配置し直した。ここで、場所交換の狙いは、1ピッチ分が含まれていない、すなわち、1ピッチの長さが基本セル10a内に収まらない程度に大きい回折格子を含むセル(ここでは、セル番号7,14のセル)を並べて配置し、これら繋げると1ピッチの長さを超える長さのセルとなるように配置することである。ここで、並べて配置するセル(セル番号7,14のセル)は、これらのセル内における回折格子の凸部11aが並ぶ方向に最も近い方向に並べる必要がある。この条件を満たせば、並べる位置は、図6の例に限らない。例えば、セル番号7の下にセル番号14を配置するようにしてもよい。
ここで、合成セルを分割する方向は、2つのセルを並べた方向(特定の方向:図中の上下方向)に交差する方向である図中の左右方向に分割する。これにより、1つの合成セルの面積を基本セルの面積と同じとしながら、合成セルの特定の方向(図中の上下方向)の長さを2倍にすることができる。そして新たにできた図中の上下方向に長い2つの合成セルのそれぞれを、新たにセル番号4,14として割り振り直して、それぞれに、元のセル番号4,14と同じ回折格子を配置する。これにより、新たにできた合成セルであるセル番号4,14のそれぞれには、ピッチの長い回折格子が1ピッチ分を含んで構成可能である。また、基本セル10aと合成セル10bとは、その面積が同じであるので、それぞれのセルが担う光の光量に変化は生じない。
図8は、本発明による回折光学素子の第2実施形態を示す平面図である。
第2実施形態の回折光学素子10は、合成セル10bの構成が第1実施形態と異なる他は、第1実施形態と同様な構成をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図8の例では、2つの合成セル10bは、それらの間にセル番号15の基本セル10aを挟んで間隔を空けて並べて配列されている。この合成セル10bのそれぞれのセル、すなわち、間を空けて並べて配列されたセル番号7同士、及びセル番号14同士には、それらの組合せで同一のピッチ及び回転方向に配置された同一の回折格子が配置されている。これを図9を用いてより分かりやすく説明する。
第2実施形態の回折光学素子10は、合成セル10bを並べずに、間隔を空けて配置しているが、その間隔を空けて配置した回折格子は、回折格子の間が抜けた形ではあるものの、両者の間には、連続した関係、すなわち、両者は、同一の回折格子の一部をそれぞれ構成している。回折格子は、このように途中の部分が欠落していても、全体として同一の回折格子を構成していれば、回折格子としての所望の性能を発揮できる。よって、第2実施形態の回折光学素子10は、第1実施形態と同様な作用及び効果を奏することができる。
図10は、本発明による回折光学素子の第3実施形態を示す平面図である。
第3実施形態の回折光学素子10についても、合成セル10bの構成が第1実施形態と異なる他は、第1実施形態と同様な構成をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第3実施形態では、例えば、基本セル10aの対角線方向に近い向きに凸部11aが並ぶ場合に有効な形態である。
図11に示すように、2つのセル番号7は、同一の回折格子の一部を構成しており、同様に、2つのセル番号14は、同一の回折格子の一部を構成している。そして、2つの合成セルを組み合わせて表される回折格子は、いずれも、1ピッチ以上の回折格子を含んだものとなっている。よって、斜め方向であっても、第3実施形態の回折光学素子10は、第1実施形態及び第2実施形態と同様な作用及び効果を奏することができる。
図12は、本発明による回折光学素子の第4実施形態を示す平面図である。
第4実施形態の回折光学素子10についても、合成セル10bの構成が第2実施形態と異なる他は、第2実施形態と同様な構成をしている。よって、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
上記の各実施形態に相当するシミュレーションを行った結果を以下に示す。
図13は、シミュレーションに用いた回折格子を模式的に示す図である。
シミュレーションは、図13中のPを1ピッチとした4段の回折格子をモデルとしている。
図14は、シミュレーションを行った合成セル10bの配置パターンを示す図である。
図15は、シミュレーションを行った合成セル10bの配置パターンをグリッドと併せて示す図である。
シミュレーションは、図14(a)及び図15(a)の形態を基本セルとして、図14(b)及び図15(b)のように図中の縦方向(回折格子の段が並ぶ方向と一致する方向)に連続して長く配置した合成セル10b(第1実施形態に相当する形態であり、以下、縦2倍セルとも呼ぶ)と、図14(c)及び図15(c)のように図中の縦方向(回折格子の段が並ぶ方向と一致する方向)に間を空けて配置した合成セル10b(第2実施形態に相当する形態であり、以下、縦抜きセルとも呼ぶ)と、図14(d)及び図15(d)のように図中の縦方向(回折格子の段が並ぶ方向と一致する方向)と左右方向(回折格子の段が並ぶ方向と直交する方向)とのそれぞれの方向について間を空けて配置した合成セル10b(第4実施形態に相当する形態であり、以下、縦横抜きセルとも呼ぶ)とについて行った。
図16に示す回折角が、本来の回折角、すなわち、設計狙いとなる回折角である。
ここで、シミュレーションは、Synopsys社製のRsoft-BeamPROPシミュレータを用いている。これは、ビーム伝播法によるシミュレーションであり、ビーム伝播法については、例えば、丸善出版・小舘香椎子、神谷武志監修「回折光学素子の数値解析とその応用」に述べられている。
先にも説明したように、グレーティングピッチが大きくなると、一つのセルで表現できるピッチ周期数が限定される。例えば、図14(b)の正方形のセルの1辺が20μmの場合、グレーティングピッチが20μmでは1周期分、グレーティングピッチが40μmでは0.5周期分となる。セルの1辺が20μmの正方形であり、グレーティングピッチが20μmの場合、その回折光は、図17に示すように単一の回折角ではなく、本来の回折角2.43°近傍に面として回折光が分布する。
ここでは、面として分布した回折光のx方向-1°から+5°までの面の重心を回折角とした。
図18では、ピッチに対する理想的な回折角と、上述した重心により求めた回折角とを併せて示している。
図18を見ると、20mm角の基本セル(図14(a))の場合、ピッチが40μmになると理想回折角が外れることがわかる。20μm角のセルに対し、縦2倍セル(図14(b))、縦抜きセル(図14(c))、縦横抜きセル(図14(d))では、理想回折角からは外れるものの20μm角のセル(図14(a))の外れ量に対して、外れ量が小さいことがわかる。
図19A、図19B、図19Cは、4段(4-level)の回折格子による回折現象を説明する図である。
回折光は、図19A(a)で示されるような、sin(回折角θ)=波長λ/pitchで定義される回折角となる。
回折光の意味合いは、図19A(b)で示されるように、入射光を平面波とすると、回折格子の媒質中を透過すると、光の速度が(1/屈折率)分遅くなるため、上に現れる位相面が階段状となり、さらに回折角度の面として近似できる。図19A(c’)は、連続的に波面を入射した場合であり、回折角を持つ斜め方向の光の波面が形成できる。
図19B(d)は、図19A(c)の部分的な回折格子を示しており、位相面の範囲は狭くなるが、図19(d’)に示すように図19(c’)と同じ連続波面ができていることがわかる。
図19B(e)は、連続する回折格子で途中には光が透過しない場合を示しており、連続波面を照射した場合には、図19B(e’)に示すように波面がそろうことがわかる。
図19C(f)は、連続しない回折格子で、途中には光が透過しない部分を形成した場合を示している。この場合、連続波面を照射した場合には、図19C(f’)に示すように、a部の波面とb部の波面の連続性が得られず、回折光とはならない。
このように、理論的にも、先に説明した各実施形態の合成セルの有用性が説明できる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
10a 基本セル
10b 合成セル
11 高屈折率部
11a 凸部
11a-1 レベル1段部
11a-2 レベル2段部
11a-3 レベル3段部
11a-4 レベル4段部
11b 側壁部
12 凹部
13 空間
14 低屈折率部
15 回折層
200 スクリーン
201 光
202 照射領域
204 照射領域
210 光源部
Claims (4)
- 断面形状において複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
を有する回折層を備え、
複数のセルが並べて配置されており、セル毎に前記凸部の並ぶピッチと面内の回転方向の配置との少なくとも一方が異なっており、同一セル内では前記凸部のピッチと面内の回転方向の配置とが同一であり、前記セルの集合体としての構成により光を整形する回折光学素子であって、
前記複数のセルには、
前記セルの外形形状が同一形状の複数の基本セルと、
前記基本セルとは外形形状が異なるセルであって、特定の方向の長さが前記基本セルの長さよりも長く形成されて前記凸部の1ピッチ分を少なくとも含む回折格子を有するセル、又は、間隔を空けて並べて配列されている複数のセルによって前記凸部のピッチ及び面内の回転方向の配置が同一であって前記凸部の1ピッチを含む回折格子を有するセルである、合成セルと、
を含み、
前記合成セルが含む回折格子の前記凸部のピッチは、前記基本セルが含む回折格子の前記凸部のピッチよりも大きく、
前記合成セルが構成する回折格子の前記凸部のピッチは、前記基本セルの外形形状の最大長さよりも大きい回折光学素子。 - 請求項1に記載の回折光学素子において、
前記合成セルは、特定数の前記基本セルを組み合わせ、さらに、組み合わせた前記基本セルを前記特定数に分割した形状となっていること、
を特徴とする回折光学素子。 - 請求項2に記載の回折光学素子において、
前記合成セルが間隔を空けて並べて配列されている複数のセルとして構成されている場合には、前記合成セルの前記凸部の形状は、間隔部分となる位置において前記凸部の形状が仮想的に連続しており、空間的な周期が同一の構造であること、
を特徴とする回折光学素子。 - 請求項2又は請求項3に記載の回折光学素子において、
前記合成セルを分割する方向は、前記特定の方向に交差する方向、又は、複数の前記合成セルが間隔を空けて並べて配列されている方向に交差する方向であること、
を特徴とする回折光学素子。
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