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JP7035283B1 - 新規乳酸菌株、及び新規乳酸菌株を含有する組成物 - Google Patents

新規乳酸菌株、及び新規乳酸菌株を含有する組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規な乳酸菌株、特に新規なクレモリスFC株、及びその用途を提供する。本発明の乳酸菌株は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)FC46株(受託番号:NITE BP-03310)、またはその継代株である。

Description

NPMD NITE BP-03310
本発明は、新規な乳酸菌株に関する。また本発明は、当該乳酸菌株を含有する組成物(種菌、経口組成物)、及び当該乳酸菌株を用いた発酵飲食物の製造方法など、当該乳酸菌株の種々の用途に関する。
近年、生活者の健康志向の高まりと共に、乳酸菌を含む飲食物への需要が高まっており、発酵乳や乳酸菌飲料等の製造に、広く乳酸菌が利用されている。乳酸菌の一種であるラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス菌(Lactococcus lactis subsp. cremoris)は、古くからヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品の生産菌として使用されており、前記クレモリス菌には粘性多糖を産生する菌種があることが知られている。そのうち本件出願人により分離されたクレモリス菌(以下、「クレモリスFC株」と称する)を主たる発酵乳酸菌として用いて発酵させて得られたヨーグルト(商品名「カスピ海ヨーグルト」、出願人登録商標、登録第5761425号)は、従来の発酵乳とは全く異なる特異な粘性を有しており、クレモリスFC株やクレモリスFC株が産生する粘性多糖には、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、免疫賦活作用、インフルエンザウイルス感染防御、アレルギー抑制および運動コンディション改善等、種々の生理作用があることが報告されている(非特許文献1~6参照)。
このため、上記の生理作用を期待して発酵乳のみならず、発酵用の種菌やサプリメント等のクレモリスFC株含有製品が開発されているが、このような生理作用を腸内で十分発揮するためにはクレモリスFC株を継続的に摂取することが必要とされている。しかし、通性嫌気性菌である乳酸菌は、好気的条件下や酸性(低pH)条件下では生残性が低下することが知られており、クレモリスFC株においても例外ではない。このため、ヨーグルト等の酸性飲食物や乳酸菌サプリメント等の乾燥粉末において、長期保存中に生じる生菌数の低下が抑制され、有用な生理作用を維持したクレモリスFC株含有製品の開発が求められている。
本発明は、前記従来の課題に鑑み、酸耐性(低pH耐性)が向上され、好気的条件下および乾燥条件下においても生残性が向上された新たなクレモリスFC株、言い換えると、発酵乳等の酸性飲食物や乾燥粉末状態においても良好な生残性を有するクレモリスFC株を提供することを課題とする。また、本発明は当該酸耐性及び好気的条件下、乾燥条件下での生残性に優れたクレモリスFC株を用いた発酵用の種菌、サプリメントや発酵飲食物等の経口組成物、及び発酵飲食物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねていたところ、クレモリス株として出願人が所有するクレモリスFC株(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC, FERM P-20185)と同じ菌学的特性を有しながらも、それよりも酸耐性及び好気的条件下、乾燥条件下での生残性の両面において優れた特性を有する、新しいクレモリスFC株を見出し、さらに検討を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
なお、以下、従来公知のクレモリスFC株を「クレモリスFC株」、「既存クレモリスFC株」または「親FC株」と称し、新たに見出した本発明のクレモリスFC株をこれと区別するために「本クレモリスFC株」、「クレモリスFC46株」または「FC46株」と称する。
本発明は下記の実施形態を有するものである。
(I)新規乳酸菌クレモリス株(本クレモリスFC株)
(I-1)ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)FC46株(受託番号:NITE BP-03310)、またはその継代株である乳酸菌。
(I-2)乾燥状態にある、(I-1)に記載する乳酸菌。
(II)発酵用種菌
(II-1)ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスFC46株(受託番号:NITE BP-03310)、またはその継代株を含有する発酵用種菌。
(II-2)更にストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)を含有する(II-1)に記載する発酵用種菌。
(II-3)ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスFC46株(受託番号:NITE BP-03310)、またはその継代株と、
ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)との
共棲体である、(II-2)に記載する発酵用種菌。
(II-4)乾燥状態にある、(II-1)~(II-3)のいずれかに記載する発酵用種菌。
(III)経口組成物
(III-1)(I-1)又は(I-2)に記載する乳酸菌を含有する経口組成物。
(III-2)飲食物、経口医薬品、または経口医薬部外品である、(III-1)に記載する経口組成物。
(III-3)発酵飲食物である、(III-1)または(III-2)に記載する経口組成物。
(IV)発酵飲食物の製造方法、及び発酵飲食物
(IV-1)発酵飲食物原料に、(I-1)又は(I-2)に記載する乳酸菌、又は(II-1)~(II-4)のいずれか1に記載する発酵用種菌を植菌し、発酵する工程をする、発酵飲食物の製造方法。
本発明の本クレモリスFC株は、既存のクレモリスFC株と同じ菌学的性質や有用な生理作用を有しながらも、既存クレモリスFC株と比較して、pH4付近の低pH条件下での生残性及び粘性維持効果が高く、酸耐性に優れている。また、本クレモリスFC株は、既存クレモリスFC株と比較して、乾燥条件下および好気的条件下での生残性が高く乾燥や好気的条件下に対する耐性に優れている。このため、本クレモリスFC株は、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の酸性の飲食物や乾燥状態にあるサプリメント等の経口組成物中での安定性に優れており、経口組成物の形態で、その有用な生理作用を長期に維持し、発揮することができる。
実施例2において、酸性培地中での各クレモリスFC株(FC46株、親FC株)の生菌数(cfu/ml)を経時的に測定した結果を示す。
(I)新規乳酸菌クレモリス株(本クレモリスFC株)
本クレモリスFC株は、下記の菌学的性質を有するラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)に属する菌株であり、その一部は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、2020年11月6日付けで、識別の表示:Lactococcus lactis subsp. cremoris FC46、受託番号:NITE BP-03310として国際寄託されている。
(a)菌学的性質
本クレモリスFC株を、TY-Glu培地(1%グルコース、0.5% Bacto(TM)Tryptone (Thermo Fisher Scientific社)、0.5% Bacto(TM)Yeast Extract (Thermo Fisher Scientific社)、0.5% NaCl)(pH7.0)もしくはMRS培地(Difco社製)を用いて、好気的条件下で静置培養した場合の菌学的性質(形態的・生理学的特徴、炭素源資化性)は、以下、表1、表2に記載の通りである。
Figure 0007035283000001
Figure 0007035283000002
(b)形態的特徴
細胞の形態:(連鎖)球菌
コロニー形状:円形(半球状)直径0.5~1.0mm
コロニーの色:白色
胞子形成:なし
(c)生理学的特徴
グラム染色:陽性
運動性:なし
カタラーゼ活性:なし
グルコースからのガス産生:なし
乳酸旋光性:L
10℃での生育:生育可
45℃での生育:生育不可
至適温度:25~30℃
至適pH:pH6~7
乳酸発酵:ホモ型
(d)炭素源資化性(糖発酵性)
下記炭素源に対して資化性あり
D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、D-ラクトース、N-アセチルグルコサミン、エスクリン。
(e)その他、当該微生物を特徴づける性質
以上の諸性質を、K.H.Schleifer et al., “Transfer of Streptococcus lactis and Related Streptococci to the Genus Lactococcus gen. nov.”System. Appl. Microbiol. 6, 183-195 (1985)に照らし、また16SrRNA遺伝子による相同性検索の結果から、本クレモリスFC株は登録されている既存のクレモリスFC株(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC, FERM P-20185)と100%の相同性を有しており、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)に属する菌株と同定された。本クレモリスFC株の16SrRNA遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号1に記載する。
本クレモリスFC株は、上記の菌学的性質に加えて、既存クレモリスFC株と同様に、粘性多糖を産生する。このため、本クレモリスFC株は、既存クレモリスFC株と同様に、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、免疫賦活作用、インフルエンザウイルス感染防御作用、アレルギー抑制及び運動コンディション改善などの種々の有用な生理作用を有すると考えられる。
一方、本クレモリスFC株は、後述する実施例2及び3に示すように、既存クレモリスFC株と比較して、pH4付近の低pH条件下での生残性および粘性維持効果が高く、酸耐性に優れているという特性を有する。また、本クレモリスFC株は、後述する実施例4に示すように、既存クレモリスFC株と比較して、乾燥条件下および好気的条件下での生残性が高く乾燥や好気的な条件に対する耐性に優れているという特性を有する。このため、本クレモリスFC株は、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の酸性の飲食物や乾燥状態にあるサプリメント等の経口組成物中での安定性に優れており、経口組成物の形態で、その有用な生理作用を長期に維持し、発揮することができる。
本クレモリスFC株には、受託番号:NITE BP-03310として国際寄託されているクレモリスFC株(寄託菌)及びその原株のみならず、その継代株も含まれる。
本クレモリスFC株の継代は、乳酸菌の継代に一般的に使用される定法に従って行うことができ、特に制限されない。例えば、前記TY-Glu培地(pH7.0)を入れた試験管に本クレモリスFC株を植菌して、至適温度25~30℃程度で12~48時間程度培養する方法を挙げることができる。培養により継代されたクレモリスFC株は、最終濃度が10~30 w/v% となるようにグリセロールを添加し、使用するまで-80℃で保存することができる。
本クレモリスFC株の培地としては、前記TY-Glu培地のほか、炭素源、窒素源、無機イオン、さらに必要に応じ有機微量栄養素を含有する通常の培地が使用できる。炭素源としては、資化可能な炭素源を含有するものであればよく、例えば、D-グルコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、D-マンノース、及びD-ラクトースなどの炭水化物が良好に用いられる。窒素源としては、資化可能な窒素化合物またはこれを含有するものであればよく、例えば、硫安、カザミノ酸、ペプトンなどが使用される。また、リン酸、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、銅、カルシウムなどの無機塩類を適宜使用することができる。さらに必要に応じて、菌の生育に必要なアミノ酸、ビオチン、リボフラビン、ピリドキシン、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、チアミンなどのビタミン類などを培地に添加して用いることができる。
本クレモリスFC株の培養は、温度15℃以上、好ましくは25~30℃ 程度で、pH5以上、好ましくはpH6~7程度で行うことにより増殖を亢進することができる。本クレモリスFC株は、好気的条件下での静置培養により行うことができるが、好ましくは嫌気的条件下で行うことにより増殖を亢進することができる。
本クレモリスFC株は、前述するように乾燥状態および好気的条件下で高い生残性を有することから、培地から単離した後、真空乾燥や噴霧乾燥等の乾燥処理をすることで乾燥物として調製されてもよいし、また、培地成分または賦形剤などの他成分とともに乾燥処理して乾燥物として調製されてもよい。
(II)発酵用種菌
本クレモリスFC株は、その発酵能を利用して、発酵飲食物を製造するときに使用される種菌(発酵用種菌、「乳酸菌スターター」とも称される)として使用することができる。
発酵飲食物としては、乳を主原料とする乳発酵飲食物(ヨーグルト、乳酸菌飲料、チ-ズ等)、豆を主原料とする豆乳発酵飲食物(ヨーグルト、乳酸菌飲料等)、穀物(米、小麦等)を主原料とする穀物発酵飲食物(甘酒、パン等)、野菜果実発酵飲食物(漬物等)を挙げることができる。
本発明の発酵用種菌は、好ましくは、乳または豆乳を主とした原料の発酵に使用され、当該原料の発酵により、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の乳発酵飲食物、または豆乳発酵飲食物が製造される。ここで乳または豆乳を主とした原料(乳原料、豆乳原料)としては、乳または豆(好ましくは、大豆)に由来するタンパク質を含有するものであればよく、乳または豆乳そのものであってもよいし、また脂質を除去または軽減したものなどであってもよい。
なお、本願明細書において、本発明において使用される「乳」は、動物乳を含むものであり、例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等が挙げられ、その形態は特に限定されず、生乳、全脂乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等のいずれの形態の乳を含むものであり使用することができる。また、本発明において使用される「豆乳」とは、いわゆる大豆と水を磨砕後、搾汁して得られる豆乳を含むものであるが、これに限定されるものではなく、豆と水を合わせて液状化した乳化液(大豆乳化液)であり、原料となる豆の種類は特に限定されず、大豆、小豆、えんどう豆、そら豆、いんげん豆、緑豆など何れの豆でもよい。
本発明の発酵用種菌は、乳発酵飲食物または豆乳発酵飲食物の製造に際して、前述する本クレモリスFC株の生菌数が1×10~1×10(cfu/g)程度となるように接種されることが好ましい。このため、使用に際しては、本クレモリスFC株を、予め、例えば乳原料または豆乳原料を用いて培養し、該培養物の生菌数が1×10~1×10(cfu/g)程度となるように調製しておくことが好ましい(種菌組成物)。具体的には、制限されないものの、例えば、予め殺菌処理した発酵用原料(乳原料、豆乳原料)、または酵母エキスを添加した前記発酵用原料(例えば5~10%脱脂粉乳等)に、本クレモリスFC株を接種して至適温度で培養し、上記菌濃度になるように調製したものを例示することができる。なお、本クレモリスFC株の生菌数の測定は、TY-Glu培地(pH7.0)を用いた混釈培養法(25℃)を行い、生育したコロニー数を計測することで実施することができる(コロニーカウント)。菌数と濁度とは相関するため、予め菌数と濁度(波長600nmにおける吸光度)との相関を求めておくと、濁度を測定することによって上記菌数を計数することができる。
本発明の発酵用種菌は、本クレモリスFC株だけからなるものであってもよいし、本発明の効果を妨げないものであれば、発酵能を有する他の微生物を併用することもできる。他の微生物としては、制限されないが、例えばラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、及びラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス・バイオバラエティ・ディアセチラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)等のラクトコッカス属に属する乳酸菌;ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)等のストレプトコッカス属に属する乳酸菌;及びラクトバチルス・カゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ(Lactobacillus casei subsp. casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィラス等のラクトバチルス属に属する乳酸菌を例示することができる。これらの乳酸菌は1種または2種を任意に組み合わせて使用することもできる。
本クレモリスFC株と併用される微生物として、好ましくはストレプトコッカス・サーモフィラス(以下、これを「S.サーモフィラス菌」と称する)である。後述する実施例3に示すように、本クレモリスFC株は、低pH条件下で、S.サーモフィラス菌と共発酵させることで、単独発酵よりも、高い生菌数が維持され(生残性向上)、また保存後の粘性の低下を抑制することができる。本クレモリスFC株とS.サーモフィラス菌とを併用した本発明の発酵用種菌(本クレモリスFC株とS.サーモフィラス菌の共棲体)において、両者の生菌数比は、制限されないものの、本クレモリスFC株:S.サーモフィラス菌=1:0.001~1000を例示することができる。好ましくは本クレモリスFC株:S.サーモフィラス菌=1:0.01~100、より好ましくは1:0.1~10を例示することができる。
なお、S.サーモフィラス菌の生菌数の測定は、BCP加プレートカウントアガール寒天培地(ニッスイ製薬株式会社)を用いた混釈培養法(37℃)によるコロニーカウントにより実施することができる。
また、本クレモリスFC株と併用される微生物として酢酸菌を用いることもできる。酢酸菌としては、制限されないものの、アセトバクター(Acetobactor)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、グルコンアセトバクター(Gluconacetobacter)属等に属する酢酸菌を挙げることができる。
本発明の発酵用種菌は、発酵飲食物の製造に使用される際に発酵能を発揮するものであればよく、その形状は特に制限されない。衛生面、品質保持性、及び取り扱い性等の点から、好ましくは乾燥した固体形状、より好ましくは乾燥粉体または乾燥顆粒体である。培地成分または賦形剤などの他成分とともに乾燥処理して乾燥物として調製されたものであってもよい。
本発明の発酵用種菌による発酵条件(培養条件)としては、培養温度15℃以上、好ましくは25~30℃程度;培養pH5以上、好ましくはpH6~7程度;培養時間3時間以上、好ましくは8~24時間程度を挙げることができる。
(III)経口組成物
本発明の経口組成物は、本クレモリスFC株を含有することを特徴とする。当該経口組成物は、通常の飲食物と同様に、適当な可食性担体(飲食物素材)を利用して、飲食物形態に調製される。また、当該経口組成物は、適当な製剤学的に許容される賦形剤または希釈剤等の製剤用原料を利用して、製剤形態(サプリメント形態、医薬品形態、医薬部外品形態)に調製される。
本クレモリスFC株は、既存クレモリスFC株と同様に、経口的に摂取されることで、体内にて各種の生理作用(整腸作用、血糖値上昇抑制作用、免疫賦活作用、インフルエンザウイルス感染防御作用、アレルギー抑制及び運動コンディション改善作用等)を発揮することが期待される。当該作用は、本クレモリスFC株そのもの、及び/または本クレモリスFC株が産生する粘性多糖の作用であると考えられる。このため、本発明の経口組成物は、本クレモリスFC株を生菌状態で含んでいることが好ましい。但し、少しでも多くの本クレモリスFC株を生菌として含有することが望ましく、本クレモリスFC株を死菌状態で含むことを妨げるものではない。
本発明の経口組成物は、本クレモリスFC株を含んでいればよく、その限りにおいて、本クレモリスFC株の培養物、培養物の粗精製品または精製品、それらの凍結乾燥物または噴霧乾燥物であってもよい。上記培養物は、制限されないものの、例えば、本クレモリスFC株に適した培地、例えばTY-Glu培地(pH7.0)などを用いて、至適温度25~30℃程度で12~48時間程度培養することにより得ることができる。また本クレモリスFC株の菌体は、上記培養後、培養物を、例えば3,000rpmで10分間程度遠心分離して集菌することによって得ることができる。これらは常法に従い精製することもできる。更に、上記菌体は凍結乾燥または噴霧乾燥することもできる。かくして得られる乾燥菌体も本発明の経口組成物の有効成分として利用することができる。本明細書において、本クレモリスFC株、その培養物、培養物の粗精製品乃至精製品、及びこれらの乾燥品を総括して「本クレモリスFC株及びその培養物」と称する。
本発明の経口組成物中には、必要に応じて更に、本クレモリスFC株の維持や増殖などに適した栄養成分の適量を含有させることができる。該栄養成分の具体例としては、微生物の培養のための培養培地に利用される例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、マンノースなどの炭素源;例えば酵母エキス、ペプトンなどの窒素源;ビタミン類、ミネラル類、微量金属元素、その他の栄養成分などの各成分を挙げることができる。
本発明の経口組成物の飲食物形態、医薬品形態、及び医薬部外品形態への調製は、常法に従うことができる。またこれら各形態への調製に当たって用いられる担体は、可食性担体乃至製剤学的に許容される賦形剤、希釈剤などの担体のいずれでもよい。飲食物形態への調製およびその際利用できる可食性担体の詳細は、後記「飲食物形態の経口組成物」の項において記述する。
本発明の経口組成物中への本クレモリスFC株の配合量は、一般には、本発明の経口組成物中に、本クレモリスFC株の生菌数が1×10~1×1011(cfu)前後となる量から適宜選択することができる。上記本クレモリスFC株の配合量は、上記量を目安として、調製される本発明の経口組成物の形態、及び目的とする作用効果などに応じて適宜変更することができる。
飲食物形態の経口組成物
飲食物形態の本発明の経口組成物は、飲食物として摂取されるものであればよい。制限されないものの、好適な具体例としては、ヨーグルト等の発酵乳や乳酸菌飲料などの乳を原料として製造される乳発酵飲食物、及び大豆ヨーグルトや発酵豆乳飲料などの大豆を原料として製造される豆乳発酵飲食物を例示することができる。その他、本クレモリスFC株を含有する固形製剤(錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、マイクロカプセル及びカプセル剤等)、及び液状製剤(液剤、懸濁剤、シロップ及び乳剤等)などの製剤形態を有する飲食物も含まれる。また、本発明の本クレモリスFC株入りのガム、キャラメル、グミ、ヌガー、及びチョコレートなどの菓子類;発酵野菜飲料や発酵果実飲料等の発酵飲食物;プディング及びババロア等の上記発酵飲食物以外の乳製品などを挙げることができる。なお、本明細書において、「発酵乳」および「乳酸菌飲料」なる用語は、旧厚生省「乳及び乳製品の成分などに関する省令」第二条37「発酵乳」および38「乳酸菌飲料」の定義に従うものとする。即ち、「発酵乳」とは、乳または乳製品を乳酸菌で発酵させた糊状または液状にしたものをいう。従って該発酵乳には飲料形態と共にヨーグルト形態が包含される。また「乳酸菌飲料」とは、乳または乳製品を乳酸菌で発酵させた糊状または液状にしたものを主原料としてこれを水に薄めた飲料をいう。
(IV)発酵飲食物の製造方法、及び発酵飲食物
本発明の発酵飲食物の製造方法は、本クレモリスFC株を含有することを特徴とする。かかる発酵飲食物は、定法に従って製造することができ、例えば、本クレモリスFC株の栄養源を含む適当な発酵用原料(例えば牛乳、豆乳(大豆乳化液)、穀物、野菜類、果実類を含む原料)に本クレモリスFC株を植菌し、これを培養して該原料を発酵させることによって製造することができる。
本クレモリスFC株を用いた発酵は、予めスターターを用意し、これを発酵用原料に接種して発酵させる方法が好ましい。ここでスターターとしては、前述する本発明の発酵用種菌を挙げることができる。こうしたスターターは、本クレモリスFC株の生菌数が1×10~1×10(cfu/ml)程度含んでいることが好ましい。
上記の発酵用原料には、必要に応じて本クレモリスFC株の良好な生育のための発酵促進物、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、マンノース、などの炭素源;酵母エキス、ペプトンなどの窒素源;ビタミン類、ミネラル類、微量金属元素、その他の栄養成分ななどを加えることができる。
本クレモリスFC株の接種量は、例えば牛乳を発酵用原料に使用した場合は、牛乳の中に本クレモリスFC株が1×10(cfu/ml)以上、好ましくは1×10~1×10(cfu/ml)前後含まれる量から選ばれるのが適当である。培養条件は、一般に、発酵温度15℃以上、好ましくは25~30℃程度、発酵時間3~24時間程度から選ばれる。
尚、上記の如くして得られる発酵物は、カード状形態(ヨーグルトまたはプディング様の形態)を有している場合があり、このものはそのまま固形食品として摂取することもできる。該カード状形態の発酵物は、これを更に均質化することにより、所望の飲料形態とすることができる。この均質化は、一般的な乳化機(ホモゲナイザー)を用いて実施することができる。こうした均質化によって、滑らかな食感を有する飲料を得ることができる。尚、この均質化にあたっては、必要に応じて適当に希釈したり、pH調整のための有機酸類を添加したり、また、糖類、果汁、増粘剤、界面活性剤、香料などの飲料の製造に通常用いられる各種の添加剤を適宜添加することもできる。かくして得られる飲料は、適当な容器に無菌的に充填して最終製品とすることができる。
その摂取(投与)量は、これを摂取する生体の年齢、性別、体重、疾患の程度などに応じて適宜決定され、特に限定されるものではない。一般には本クレモリスFC株が約1×10~1×1011(cfu/ml)となる範囲から選ばれるのがよい。当該組成物は、一般にその約50~1,000mLを1日ヒト1人あたりに摂取されるように調製することができる。
飲食物形態の本発明の経口組成物の好適な具体例としては、サプリメント形態、具体的には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、マイクロカプセル及びカプセル剤等の固形製剤;並びに液剤、懸濁剤、シロップ及び乳剤等の液状製剤などの製剤形態を有する飲食物を挙げることができる。製剤形態を有する飲食物として、好ましくは乾燥した状態の固形製剤である。
当該サプリメント形態の飲食物は、医薬形態組成物と同様に、製剤担体として、通常、この分野で使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤あるいは賦形剤を用いて製造することができる。
飲食物形態の経口組成物に配合される本発明の乳酸球菌の量は、当該乳酸球菌の作用が発揮される量であればよく、その限りにおいて、広範囲より適宜選択することができる。通常、1摂取(投与)単位形態中に1×10~1×1011(cfu)程度含有されることが好ましい。
上記組成物は経口的に摂取されるものであれば、その投与方法は特に制限がなく、各種形態、対象者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。
上記組成物の摂取量は、その用法、対象者の年齢、性別その他の条件などにより適宜選択されるが、前述するように本クレモリスFC株を1摂取(投与)あたり1×10~1×1011(cfu)程度の割合で服用されることが好ましい。有効成分である本クレモリスFC株の摂取量は1日あたり1×10(cfu)程度以上とするのがよく、1日に数回に分けて摂取することができる。また、本発明の経口組成物は、その効果を効果的に得るためには継続して摂取されることが好ましい。例えば、連続または間歇的に2週間以上に亘って摂取する態様を例示することができる。
本クレモリスFC株を生菌状態で含有する経口組成物は、摂取(投与)されると、既存のクレモリスFC株と同様に、生体内に有用な生理作用を発揮することが期待される。このため、本発明の経口組成物は、その生理作用に基づいて健康増進剤として有効に使用することが可能である。斯くして本発明の経口組成物には、特定の機能を有し、健康維持などを目的として摂食される飲食物が含まれる。具体的には、本発明の経口組成物には、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、免疫賦活作用、インフルエンザウイルス感染防御作用、アレルギー抑制作用、又は/及び運動コンディション改善作用等を有する飲食物が含まれる。またこれらの飲食物には、前記の作用や用途を表示または謳って製造販売される飲食物、例えば保健機能食品(栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品)、特別用途食品(特定保健用食品)、及びこれに類する健康食品等が含まれる。
以上、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
以下、本発明の構成及び効果について、その理解を助けるために、実施例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。以下の実験は、特に言及しない限り、室温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。なお、特に言及しない限り、以下に記載する「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
実施例1 新規乳酸菌クレモリスFC株の単離、及び同定
殺菌済みの8%脱脂粉乳液にクレモリスFC株(FERM P-20185)を植菌(1%)し、その至適温度(25℃)で10時間程度放置し、クレモリスFC株を活性化させた(スターター1)。一方、殺菌済みの8%脱脂粉乳液に、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)(以下、「サーモフィラス菌」と称する)を植菌(1%)し、その至適温度(37℃)で10時間程度放置し、サーモフィラス菌を活性化させた(スターター2)。次いで、別途用意した殺菌済みの牛乳に、上記で調製したスターター1及び2を植菌し、30℃の条件で発酵を行った。カードの形成が認められた時点で、冷却(4℃)を開始した。
得られた発酵乳を、4℃の暗所下にて46日間保存した後、3LのTY-Gal培地(1%ガラクトース、0.5% Bacto(TM) Tryptone (Thermo Fisher Scientific社)、0.5% Bacto(TM) Yeast Extract (Thermo Fisher Scientific社)、0.5% NaCl)(pH7.0)に4%植菌し、26℃で72時間培養した。培養液をTY-Gal寒天培地(pH7.0)に画線して25℃で48時間培養し、生育したコロニーを殺菌済みの8%脱脂粉乳液に培養して保存した。
この中から実施例1に記載する方法でスクリーニングした低pH耐性(酸耐性)の高い菌株を取得し、定法に従って菌学的性質を評価した。その結果を表1に示す。また、API50CHL(ビオメリュー・ジャパン株式会社製)を用いて49種類の炭素源に対する資化能(糖発酵能)を評価した。その結果を表2に示す。なお、表1は段落〔0015〕に、表2は段落〔0016〕に前述したとおりである
これらの結果から、得られた菌株は、親株として使用したクレモリスFC株(以下、単に「親FC株」とも称する)と同じ菌学的性質と糖資化性を有していることが確認された。このため、当該菌株を、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)に属する菌株として同定し、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスFC46株(Lactococcus lactis subsp. cremoris FC46)(以下、「クレモリスFC46株」、又は単に「FC46株」と略称する)と命名した。そして、当該クレモリスFC46株を、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室に住所を有する独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに、2020年11月6日付けで、識別の表示:Lactococcus lactis subsp. cremoris FC46、受託番号:NITE BP-03310として国際寄託した(寄託証発行日:2020年11月30日)。
実施例2 酸耐性の評価
上記で得られたFC46株を、TY-Glu培地(1%グルコース、0.5% Bacto(TM) Tryptone、0.5% Bacto(TM) Yeast Extract、0.5% NaCl)(pH7.0)に4%の割合で植菌し、25℃で15時間培養して前培養液を調製した。得られた前培養液を、乳酸を用いてpH4.0に調整したTY-Glu培地40mlに最終濃度が1%になるように接種した。これを26℃で27時間静置培養し、培養液中のFC46株の生菌数(cfu/ml)を、BCP加プレートカウントアガール寒天培地(ニッスイ製薬株式会社)を用いた混釈培養法により経時的に測定し、27時間後の生残率(%)を算出した。比較試験として、上記FC46株に代えて親FC株を用いて同様に培養して、培養液中の親FC株の生菌数(cfu/ml)を経時的に測定し、27時間後の生残率(%)を算出した。
各クレモリス株(FC46株、親FC株)の生菌数(cfu/ml)を経時的に測定した結果を図1に示す。図1に示すように、親FC株は、pH4.0の低pH条件下で急速に死滅し、培養27時間後には生菌数が6.6×10(cfu/ml)(生残率0.2%)にまで減少した。これに対して、FC46株はpH4.0の低pH条件下でも生残性が高く、当該pH条件下で27時間培養した後でも1.9×10(cfu/ml)(生残率33.6%)という高い生菌数を維持していた。これから、FC46株は、親FC株と比較して酸耐性に優れたクレモリス菌株であることが確認された。
実施例3 発酵乳中での安定性評価
FC46株を用いて発酵乳を調製し、発酵乳中での安定性を評価した。また、比較対照として、親FC株を用いて同様に発酵乳を調製し、発酵乳中での安定性を評価した。
1 発酵乳の調製
下記の菌株の活性化菌をスターターとして用いて、4種類の発酵乳1~4を調製した。
(1)発酵乳1:親FC株(スターター1)
(2)発酵乳2:FC46株(スターター3)
(3)発酵乳3:親FC株(スターター1)+サーモフィラス菌(スターター2)
(4)発酵乳4:FC46株(スターター3)+サーモフィラス菌(スターター2)
なお、スターター1及び3は、殺菌済みの8%脱脂粉乳液に、それぞれ親FC株及びFC46株を植菌(1%)し、30℃で10時間程度放置して活性化させて調製した。また、スターター2は、殺菌済みの8%脱脂粉乳液に、サーモフィラス菌を植菌(1%)し、至適温度(37℃)で10時間程度放置して活性化させて調製した。
殺菌済みの牛乳に、上記で調製した各スターターを植菌し、30℃の条件で発酵を行った。カードの形成が認められた時点で、冷却(4℃)を開始し、発酵を抑えることで発酵乳を得た。
2 発酵乳中での菌の安定性評価
発酵乳1~4を調製した後、10℃の暗所下で30日間、静置保存した。
保存後の発酵乳中の生菌数(cfu/ml)(発酵乳1と2はクレモリス菌の生菌数、発酵乳3と4はクレモリス菌及びサーモフィラス菌の各生菌数)を測定した。なお、クレモリス菌の生菌数はTY-Gal培地(pH7.0)を用いた混釈培養法(25℃)で、サーモフィラス菌の生菌数はBCP加プレートカウントアガール寒天培地(pH7.0)を用いた混釈培養法(37℃)を用いて測定した。
また発酵乳中のpH、酸度、及び粘度を下記の方法により、測定した。
[pHの測定]
発酵物中のpHは、発酵物を10℃に調整したうえで、pHメータF-52(堀場製作所社製)を用いて測定した。
[酸度の測定]
発酵物10gを精秤し、同量の蒸留水を加えて、希釈し、指示薬としてフェノールフタレイン液を0.5ml加え、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で30秒間、微紅色が消失しない点を限度として滴定し、その滴定量から試料100g当たりの乳酸のパーセント量を求め、酸度とする。なお、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1mlは、乳酸9mgに相当する。
[粘度の測定] 発酵物中の絶対粘度は、発酵物を10℃に調整したうえで、B型粘度計(ブルックスフィールド社製、スピンドルNo.4)を用いて測定した。ロータの回転時間は1分とした。
保存開始から1日目の結果を表3、保存開始から30日目の結果を表4に示す。
Figure 0007035283000003
Figure 0007035283000004
表3及び4に示すように、親FC株は保存期間中に急速に死滅し、30日後には1mLあたり数個しか生菌が残らなかった(発酵乳1)。一方、FC46株は30日後も1.1×10(cfu/ml)(生残率0.0026%)という高い生菌数を維持していた(発酵乳2)。また、親FC株およびFC46株はいずれも、サーモフィラス菌と共発酵させることで、単独発酵よりも高い生菌数を維持し(発酵乳3及び4)、特にFC46株では5.8×10(cfu/ml)(生残率2.8%)という非常に高い生菌数を示した(発酵乳4)。
さらに、親FC株は30日の保存により粘性の低下が認められたが、FC46株は、親FC株と比較して粘性の低下が抑制されており、サーモフィラス菌と共発酵させた場合も同様の傾向が得られた。
なお本実施例で製造した発酵乳1~4は、外観(色、離水の有無)、香り、及び味はともに良好であり、これらの点で差異は認められなかった。
実施例4 乳酸菌含有組成物の調製と安定性評価
FC46株を用いて乳酸菌含有組成物を調製し、乾燥状態での保存安定性を評価した。なお、比較のため、FC46株に代えて親FC株を用いて乳酸菌含有組成物を調製し、同様に、乾燥状態での保存安定性を評価した。
1 乳酸菌液の調製
FC46株または親FC株を、最終濃度が0.5%になるようにグルコースを添加したDifco M17培地(BD社)に4%の割合で植菌し、25℃で16時間培養して前培養液を調製した。同培地に、前記で調製した前培養液4%を接種し、25℃で16時間培養し、培養液10Lを得た。これを遠心分離(3,000 rpm×10分間)に供し、得られた上清をデカンテーションにより除去した後、残渣を生理食塩水で2回洗浄することによって、FC46株または親FC株がそれぞれ濃縮された乳酸菌液を調製した。
調製した各乳酸菌液に、10%になる割合で脱脂粉乳を加え、さらにこれを、凍結乾燥機(FD-81、東京理化器械社)を用いて常法に従って凍結乾燥処理して、約50gの凍結乾燥乳酸菌体(FC46株菌体、親FC株菌体)を得た。
得られた凍結乾燥乳酸菌体(FC46株菌体、親FC株菌体)0.5gを、滅菌処理したチャック付ラミネートフィルム製の袋(ラミジップ[登録商標]:(株)生産日本社製)に入れて、37℃の暗所条件下で保存した(強制劣化試験)。試験開始(初日)から経時的に凍結乾燥乳酸菌体中のFC46株又は親FC株の生菌数を測定し、生残率(%)を算出した。
結果を表5に示す。
Figure 0007035283000005
親FC株は37℃の温度条件下での保存で急速に死滅し、3週間後の生菌数は3.2×10(cfu/g)(生残率:約1.6%)であったのに対し、FC46株は1.1×1010(cfu/g)(生残率:約14.7%)と非常に高い生菌数を示した。このことから、FC46株は、好気的条件下において乾燥した粉体状態でも、親FC株と比較して保存安定性に優れていることが確認された。
配列番号1は、本クレモリスFC株の16SrRNA遺伝子の塩基配列を示す。

Claims (9)

  1. ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)FC46株(受託番号:NITE BP-03310)、またはその継代株である乳酸菌であって、
    前記継代株は、前記FC46株と同じ、菌学的性質、形態的特徴、生理学的特徴、炭素源資化性、粘性多糖産生性、酸耐性、並びに乾燥条件下及び好気的条件での生残性を有する、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスに属する乳酸菌である
  2. 乾燥状態にある、請求項1に記載する乳酸菌。
  3. 請求項1または2に記載する乳酸菌を含む発酵用種菌。
  4. さらにストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)を含む請求項3に記載する発酵用種菌。
  5. ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリスFC46株(受託番号:NITE BP-03310)、またはその継代株と、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)との共棲体である、請求項4に記載する発酵用種菌。
  6. 乾燥状態にある、請求項4または5に記載する発酵用種菌。
  7. 請求項1または2に記載する乳酸菌を含有する経口組成物。
  8. 発酵飲食物である、請求項7に記載する経口組成物。
  9. 発酵飲食物原料に、請求項1若しくは2に記載する乳酸菌、または請求項3乃至6のいずれか1項に記載する発酵用種菌を植菌し、発酵させる工程を有する、発酵飲食物の製造方法。
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