JP7003844B2 - 電池システム - Google Patents
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Description
本開示は、ニッケル水素電池を備える電池システムに関する。
特開2018-14210号公報(特許文献1)には、ニッケル水素電池を備える電池システムが開示されている。この電池システムは、電流センサおよび電圧センサを用いて所定期間における電流変化量および電圧変化量を用いてニッケル水素電池の内部抵抗を推定する(特許文献1参照)。
一般に、制御システムなどにおいて、算出値の精度を向上させるために学習制御が用いられることがある。ニッケル水素電池の内部抵抗の算出においても、算出精度向上のために、たとえば、特許文献1のように、推定されたニッケル水素電池の内部抵抗を用いた学習制御を行なうことが考えられる。
ここで、学習制御においては、一定回数以上の学習を継続して行なうことによって、その学習値が内部抵抗の真値(理論値)に収束する。学習制御においては、早期に学習値を真値に近づけることが望ましい。
しかしながら、学習制御においては、ロバスト性と応答性とが背反の関係にある。早期に学習値を真値に近づけるために応答性を向上させると、ロバスト性が低下してしまうため、推定誤差の大きい内部抵抗値が学習に用いられた場合に、学習値が真値から乖離してしまう可能性がある。一方で、ロバスト性を向上させると、応答性が低下してしまうため、学習値が真値に収束するまでに時間を要する可能性がある。そこで、学習制御において、応答性を向上させつつも、ロバスト性を低下させないようにすることが望まれている。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ニッケル水素電池を備える電池システムにおいて、内部抵抗の算出精度を向上させることである。
この開示に係る電池システムは、ニッケル水素電池と、所定期間におけるニッケル水素電池の電流変化量および電圧変化量を用いてニッケル水素電池の内部抵抗を推定し、推定した内部抵抗を用いて学習することによってニッケル水素電池の内部抵抗を算出する制御装置とを備える。制御装置は、電流変化量が大きい場合には、電流変化量が小さい場合よりも推定した内部抵抗を学習に反映させる比率を大きくする。
たとえば、I-Vプロット法により所定期間におけるニッケル水素電池の電流変化量および電圧変化量から内部抵抗が推定される場合、電流変化量が大きいほど内部抵抗の推定精度が向上し得る。上記構成によれば、電流変化量が大きい場合には、電流変化量が小さい場合よりも推定した内部抵抗を学習に反映させる比率が大きくなる。これによって、推定精度が高い(電流変化量が大きい)内部抵抗ほど、学習値に反映される比率が大きくなる。ゆえに、学習値を早期に真値に収束させることができるので、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。
本開示によれば、ニッケル水素電池を備える電池システムにおいて、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<実施の形態>
図1は、本実施の形態に係る電池システム5が搭載された車両1の全体構成を概略的に示す図である。車両1は、たとえば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車および燃料電池自動車などの電動車両である。本実施の形態においては、車両1は電気自動車である例について説明する。
車両1は、組電池10と、システムメインリレー(System Main Relay)20と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」ともいう)40と、モータジェネレータ(Motor Generator:MG)50と、駆動輪60と、ECU(Electronic Control Unit)100と、監視ユニット200とを備える。電池システム5は、組電池10、ECU100および監視ユニット200を含んで構成される。
組電池10は、複数の電池が積層された構成を有する。電池は、充放電可能なニッケル水素電池である。監視ユニット200は、たとえば、電圧センサ210、電流センサ220および温度センサ230などを含む。電圧センサ210は、組電池10の電圧を検出し、その検出結果を示す信号VBをECU100に出力する。電流センサ220は、組電池10に入出力される電流を検出し、その検出結果を示す信号IBをECU100に出力する。なお、電池電流IBが正の値である場合は電池の放電を示し、負の値である場合は電池の充電を示す。温度センサ230は、組電池10の温度を検出し、その検出結果を示す信号TBをECU100に出力する。なお、必ずしも組電池単位で電圧および温度が監視される必要はなく、たとえば、電池単位で電圧および温度が監視されてもよい。この場合には、電圧センサ210は、組電池10に含まれる各電池の電圧を検出し、その検出結果を示す信号VBをECU100に出力する。温度センサ230は、組電池10に含まれる各電池の温度を検出し、その検出結果を示す信号TBをECU100に出力する。
システムメインリレー20は、一端が組電池10と電気的に接続され、他端がPCU40と電気的に接続される。システムメインリレー20は、ECU100からの制御信号に従って開閉状態が切り替えられる。システムメインリレー20が開状態であると組電池10からPCU40への電力の供給が遮断される。システムメインリレー20が閉状態であると組電池10からPCU40への電力の供給が可能となる。
PCU40は、組電池10から電力を受けてモータジェネレータ50を駆動するための電力変換装置を総括して示したものである。たとえば、PCU40は、モータジェネレータ50を駆動するためのインバータ、および、組電池10から出力される電力を昇圧してインバータへ供給するコンバータなどを含む。
モータジェネレータ50は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。モータジェネレータ50のロータは、動力伝達ギア(図示せず)を介して駆動輪60に機械的に接続される。モータジェネレータ50は、車両1の回生制動動作時には、駆動輪60の回転力によって発電することができ、その発電された電力をPCU40へ出力する。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)100aと、メモリ(より具体的にはROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))100bと、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)とを含んで構成される。ECU100は、各センサおよび機器からの信号、並びにメモリ100bに格納されたプログラムなどに基づいて、各機器の制御を行なう。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
ECU100は、さらにタイマ回路100cを含む。タイマ回路100cは、予め設定された所定期間(後述)を計測可能に構成される。
(内部抵抗の推定)
ECU100は、監視ユニット200から取得した電池情報(電池電圧VB,電池電流IB,電池温度TB)を用いて組電池10の内部抵抗を推定する。内部抵抗の推定には、たとえば、いわゆるI-Vプロット法が用いられる。具体的には、ECU100は、ある単位時間毎に電池電流IBと電池電圧VBとの組(IB,VB)を監視ユニット200から取得して、横軸に電流IB、縦軸に電圧VBを取った二次元座標にプロットする。そして、プロットされた複数の点を近似する直線の傾きを算出し、算出された直線の傾きを組電池10の内部抵抗とすることができる。なお、概略的には、本実施の形態においては、2つの時刻における電池電流IBおよび電池電圧VBから求まる直線の傾きから組電池10の内部抵抗を推定する。図2を用いて、本実施の形態における組電池10の内部抵抗の推定について具体的に説明する。
図2は、本実施の形態に係る電池システム5における内部抵抗の推定方法を説明するための図である。図2の横軸には時刻tが示され、縦軸には電池電流IBが示されている。図2には、所定期間において単位時間毎に取得した電池電流IBの時間変化が示されている。
所定期間とは、たとえば、数百ミリ秒あるいは数秒などに設定される。所定期間は、たとえば、電池温度TBに応じて設定されてもよい。本実施の形態においては、一例として所定期間が1秒に設定される例について説明する。図2に示される時刻t1から時刻t11までが1秒に相当する。本実施の形態においては、時刻t1に取得された電池電流を第1電流として定義する。そして、時刻t1から単位時間(たとえば、0.1秒)後の時刻t2に取得された電池電流を第2電流i2、時刻t2から単位時間後の時刻t3に取得された電池電流を第3電流i3、同様にして第4電流i4~第11電流i11を定義する。第1電流i1は所定期間の開始時刻(時刻t1)における電池電流であり、第11電流i11は所定期間の終了時刻(時刻t11)における電池電流である。なお、第1電流i1に対応した電圧を「第1電圧v1」、同様に第2電流i2~第11電流i11に対応した電圧をそれぞれ第2電圧v2~第11電圧v11と定義する。
図2に示されるように、所定期間において(第1電流i1,第1電圧v1)~(第11電流i11,第11電圧v11)の11点の電池情報が取得される。ECU100は、内部抵抗の推定精度を向上させるために、上記11点の電池情報が以下に説明する2つの条件(第1条件,第2条件)を満たした場合に、時刻t1に取得された電池情報(i1,v1)と時刻t11に取得された電池情報(i11,v11)とを用いて、時刻t1から時刻t11までの間における電流変化量および電圧変化量から組電池10の内部抵抗を推定する。
第1条件は、I-Vプロット法を用いて、組電池10の内部抵抗を推定するにあたり、ある一定以上の電流変化があったことを保証するために設定される条件である。具体的には、第1条件は、第1電流i1と第2電流i2との電流変化量(以下「第1変化量」ともいう)di1が第1所定量TH1以上であることである。第1所定量TH1は、電池の特性および使用環境などに応じて適切に設定される値であり、たとえば、数十アンペア程度に設定される。なお、本実施の形態における第1条件は、第1電流i1と第2電流i2との電流変化量di1が第1所定量TH1以上であることとしているが、これに限られるものではなく、所定期間において第1電流i1から第1所定量TH1以上の電流変化があればよい。たとえば、第1電流i1と第3電流i3との電流変化量が第1所定量TH1以上であった場合には、第1条件を満たすとものとしてもよい。
図3は、第1条件を説明するための図である。図3-1は、電流変化量(di)が小さい場合における内部抵抗の推定を概略的に示す図である。たとえば、図3-1の下図に示されるように、電流i1と電流i11との電流変化量diが小さかった場合には、近接した2点で近似直線が引かれることになる。この場合、たとえば、電流センサまたは/および電圧センサの検出精度などに起因した誤差が小さなものであっても、当該誤差が近似直線の傾きに与える影響が大きくなる。そのため、近似直線の傾きから推定される組電池10の内部抵抗の推定精度が低下してしまうことが懸念される。
図3-2は、電流変化量(di)が大きい場合における内部抵抗の推定を概略的に示す図である。たとえば、図3-2の下図に示されるように、電流i1と電流i11との電流変化量diが大きかった場合には、2点間の距離が大きくなるので、上記の誤差が近似直線の傾きに与える影響は、2点間の距離が小さい場合よりも小さくなる。そのため、2点間の距離を一定以上にすることによって、I-Vプロット法による近似直線の傾きから推定される組電池10の内部抵抗の推定精度を確保することができる。
図2に戻り、第2条件は、時刻t11において取得された電池情報が、組電池10に入出力される電流が安定した状態で取得された値であることを保証するために設定される条件である。電池は、電池の充放電履歴の影響を受けることが知られている(ヒステリシス)。電池の充放電を行なうと電池では分極が生じるが、分極が生成される速度と解消される速度とが異なることによってヒステリシスが生じる。ヒステリシスが生じると、ある時間に取得した電流に対応した電圧を正確に取得できない可能性がある。そのため、組電池10の内部抵抗を精度よく推定するためには、ヒステリシスの影響が緩和されている状態で取得された電池情報を用いることが望ましい。
そこで、ECU100は、第2条件を満たすか否かを判定することによって、ヒステリシスの影響が緩和されているかを判定する。第2条件は、第1電流i1から第1変化量di1以上の電流変化があった後の電池電流の変動幅di2が第2所定量TH2以下となっていることである。本実施の形態においては、第2電流i2から第11電流i11までの電池電流の変動幅が変動幅di2に相当する。時刻t2から時刻t11における電池電流の変動幅di2が第2所定量TH2以下に収まっていれば、電流の変動幅が小さい状態であるので、ヒステリシスの影響が内部抵抗の推定精度に与える影響は少ない(緩和されている)といえる。つまり、第2条件が満たされることによって、組電池10の内部抵抗の推定に用いられる時刻t11(終了時刻)に取得された電池情報が、組電池10が安定した状態で取得された情報であることが保証される。第2所定量TH2は、第1所定量TH1よりも小さい値に設定される。第2所定量TH2は、たとえば、数アンペア程度に設定される。
なお、本実施の形態においては、第1条件および第2条件が満たされることによって、第1電流i1と第11電流i11との電流変化量diが一定以上となることを保証している。
(内部抵抗の学習)
以上のようにして、内部抵抗の推定精度が向上されている。しかしながら、一度の推定処理で推定された内部抵抗は、たとえば、各センサの信号線がノイズの影響などを受けることによって推定誤差を生じる可能性がある。そこで、一度の推定処理で推定された内部抵抗を、現時点における内部抵抗として用いるのではなく、推定された内部抵抗を用いて学習することによって現在の内部抵抗を算出することが考えられる。これによって、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。学習には、たとえば、学習係数τを用いた以下に示す式(1)が用いられる。
今回学習値=前回学習値×((τ-1)/τ)+今回推定値×(1/τ)…(1)
ECU100は、前回までに学習された学習値(前回学習値)をメモリ100bから読み出す。ECU100は、推定された内部抵抗(今回推定値)を定められた一定の比率(1/τ)を掛け合わせて前回学習値に加算する。ECU100は、式(1)により算出した今回学習値を現時点における内部抵抗として用いる。そして、ECU100は、算出した今回学習値をメモリ100bに記憶する。学習係数τは、推定した内部抵抗を今回学習値に反映させる比率を表わすための係数であり、学習制御が適用されるシステムに対して適切な値に設定される。学習係数τが小さいほど、推定した内部抵抗を今回学習値に反映させる比率が高くなる。なお、以下においては、今回推定値に乗算される「1/τ」を「ゲイン」ともいう。
このように、一度の推定処理で推定された内部抵抗を、その時点における電池の内部抵抗とするのではなく、推定された内部抵抗を学習することで内部抵抗を算出する。これによって、内部抵抗の推定誤差が生じた場合であっても、電池制御に用いられる内部抵抗の値が大きく変動することがなく、いわゆる、ロバスト性が向上される。
ここで、学習制御においては、ロバスト性の向上と応答性の向上とが背反の関係にあることは周知の事実である。ロバスト性は、式(1)におけるゲイン(1/τ)を小さくすること、すなわち、学習係数τを大きくすることで向上される。一方、応答性は、ゲイン(1/τ)を大きくすること、すなわち、学習係数τを小さくすることで向上される。学習制御においては、ロバスト性の向上と応答性の向上とのバランスを適切に調整することが望まれる。
具体的には、ロバスト性が向上されると、推定された内部抵抗が学習値に反映される比率が小さくなるため、たとえば、内部抵抗の推定誤差が生じた場合であっても学習値に与える影響を小さくできる。応答性が向上されると、推定された内部抵抗が学習値に反映される比率が大きくなるため、たとえば、内部抵抗の変化があった場合に、学習値が早期に変化後の内部抵抗(真値)に収束する。学習制御においては、応答性を向上させつつも、ロバスト性を低下させないようにすることが望まれている。
(学習係数の補正について)
そこで、本実施の形態に係るECU100は、推定された内部抵抗の推定精度によって、学習係数を異ならせる。具体的には、推定された内部抵抗の電流変化量diの大きさが大きいほど、学習係数τが小さくなるように学習係数を補正する。これによって、推定精度の高い内部抵抗ほど、学習値に大きく反映される。なお、以下においては、補正後の学習係数τaを「補正学習係数τa」ともいう。なお、電流変化量diの大きさが大きいほど、内部抵抗の推定精度が向上することは図3において説明したとおりである。
図4は、電流変化量diと推定された内部抵抗との関係の実験結果を示す図である。図4においては、横軸に電流変化量di、縦軸に内部抵抗が示されている。図4においては、ある電池に対して、電流変化量diを様々に変化させたときに推定された内部抵抗がプロットされている。より具体的には、電流変化量diを様々に変化さたときの内部抵抗をI-Vプロット法によりそれぞれ推定し、当該推定された内部抵抗がプロットされている。
図4に示されるように、電流変化量diの大きさ(絶対値)が大きくなるほど、推定される内部抵抗のばらつきが小さくなっており、内部抵抗の推定精度が向上していることがわかる。具体的には、電流変化量diの大きさが大きくなるほど、推定される内部抵抗が抵抗Rt付近の値を示すようになっている。
本実施の形態に係るECU100は、内部抵抗の推定精度(電流変化量diの大きさ)に応じて、ゲイン(1/τ)をデフォルトの値から、1倍から2倍の範囲において補正する。すなわち、ECU100は、内部抵抗の推定精度(電流変化量diの大きさ)に応じて、学習係数τをデフォルトの値から、1/2倍から1倍の範囲において補正する(τ/2≦τa≦τ)。なお、補正する程度は、上記に限られるものではなく、本開示が適用されるシステムに応じて適宜設定することが可能である。
図5は、電流変化量diの大きさと補正学習係数τaとの関係を示す図である。図5には、横軸に電流変化量diの大きさ|di|、縦軸に補正学習係数τaが表わされている。電流変化量diの大きさ|di|は、予め定めされている電流変化量diの大きさの最小値Adiminおよび最大値Adimaxの範囲で変化する。最小値Adiminおよび最大値Adimaxについての詳細は、後述する。補正学習係数τaは、電流変化量diの大きさ|di|に応じて、τ/2からτの範囲で変化する。
図5に示されるように、本実施の形態に係る補正学習係数τaは、電流変化量diの大きさ|di|に比例して線形に変化するように設定される。電流変化量diの大きさ|di|が大きくなるにつれて、補正学習係数τaが小さくなり、推定した内部抵抗が学習に反映される比率が大きくなる。
図6は、図4における電流変化量diが正の部分を拡大した図である。図6に示されるAdiminおよびAdimaxは、予め定めされている電流変化量diの大きさ(絶対値)の最小値および最大値をそれぞれ示している。Adiminは、第1条件における第1所定量TH1の大きさと同値とすることができる。これによって、内部抵抗の推定に用いられる電流変化量diが一定以上となり、内部抵抗の推定精度が確保される。Adimaxは、電池の特性および使用環境などによって適切に設定される。Adimaxが設定されることによって、電流変化量diが想定される基準を超えて急激に大きくなっているような、たとえば、電流センサの明らかな誤検出が発生しているような場合の値が内部抵抗の推定から除外される。電流変化量diと、電流変化量の最小値Adiminおよび最大値Adimaxとの関係は、以下の式(2)で表わされる。
Adimin≦|di|≦Adimax…(2)
式(2)を変形することによって、式(3)を得ることができる。
0≦(|di|-Adimin)/(Adimax-Adimin)≦1…(3)
そして、式(3)の各辺に変数kを加算することによって、式(4)を得ることができる。
k≦((|di|-Adimin)/(Adimax-Adimin))+k≦k+1…(4)
そして、式(4)を用いて、学習係数τと補正学習係数τaとの関係を示す式(5)が表わされる。
τa=τ/((|di|-Adimin)/(Adimax-Adimin)+k)…(5)
なお、本実施の形態に係る補正学習係数τaは、τ/2≦τa≦τの範囲を取るため変数kは1に設定される(k=1)。k=1として式(5)を変形すると、式(6)として表わされる。
τa=τ/((|di|-Adimin)/(Adimax-Adimin)+1)…(6)
式(6)は、電流変化量diによって、その値が定まる。補正学習係数τaは、電流変化量diに比例して定まり、τ/2≦τa≦τの範囲を線形に変化する。具体的には、電流変化量diの大きさが最大値Adimaxである場合(|di|=Adimax)、分母の値が2となるので、τa=τ/2となる。電流変化量diの大きさが最小値Adiminである場合(|di|=Adimin)、分母の値が1となるので、τa=τとなる。
このようにして算出される補正学習係数τaを用いた式(7)により、推定された内部抵抗を用いて学習されることによって内部抵抗が算出される。
今回学習値=前回学習値×((τa-1)/τa)+今回推定値×(1/τa)…(7)
以上を概略的にまとめると、図7として示すことができる。図7は、学習係数τの補正について概略的に示した図である。図7の横軸には、電流変化量diの大きさ|di|が示され、縦軸には、補正学習係数τaの逆数であるτb(τb=1/τa)、つまりゲインが示されている。補正学習係数τaの逆数τbを用いて、式(7)を変形すると、式(8)で表わすことができる。
今回学習値=前回学習値×(1-τb)+今回推定値×τb…(8)
まず、電流変化量diの大きさ|di|が最小値Adimin未満である場合、本実施の形態においては、実質的に学習係数の補正が行なわれない(τa=τ)。すなわち、学習係数τが用いられることとなる。実際的には、第1条件を満たさないこととなるため、内部抵抗の推定自体が行なわれない。
電流変化量diの大きさ|di|が最小値Adimin以上であり、かつ、最大値Adimax以下である場合には、電流変化量diの大きさに応じて補正学習係数τaの逆数τbが決定される。つまり、この場合には、電流変化量diの大きさ|di|に比例して、推定された内部抵抗が学習に反映される比率が大きくなる。
図8は、学習係数τと補正学習係数τaとが適用された場合の学習値の収束速度を比較した図である。図8の横軸には、学習回数が示され、縦軸には、内部抵抗が示されている。点線L1が学習係数τが適用された場合の学習値を示し、実線L2が補正学習係数τaが適用された場合の学習値を示している。
点線L1および実線L2の双方とも、学習回数の増加とともに学習値が抵抗Rt(真値)に収束している。具体的には、学習回数がN3の時点においては、点線L1および実線L2の双方とも学習値が抵抗Rtに収束している。一方、学習回数がN1,N2、あるいはN1以下においては、いずれにおいても実線L2の方が、抵抗Rtに近い値を示している。このように、補正学習係数τaが適用された時の方が、学習係数τが適用された時よりも早期に学習値を抵抗Rtに収束させることができる。また、学習値が抵抗Rtに収束した後においても、推定精度が高い内部抵抗が学習値に反映される比率が大きくなるため、内部抵抗が変化した場合における学習値の応答性を向上させることができる。以上のように、学習係数τを補正することによって、学習制御において、応答性を向上させつつも、ロバスト性を低下させないようにすることができる。これによって、推定された内部抵抗を用いて学習することによって内部抵抗を算出する場合において、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。
(内部抵抗の算出の手順)
図9は、電池システム5における組電池10の内部抵抗の算出処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各ステップは、車両1が作動中である場合においてECU100により繰り返し実行される。図9に示すフローチャートの各ステップは、ECU100によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がECU100内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
ECU100は、インデックスである変数nに1を代入して初期化する(ステップ100、以下ステップを「S」と略す)。nは自然数であり、たとえば、所定期間において、時刻t1~t11のそれぞれにおいて電池情報が取得される場合には、1~11の値をとる。ECU100は、変数nに代入されている値を判定する(S105)。
ECU100は、変数nが1である場合(S105においてn=1)、所定期間の開始時刻t1における電池電流および電池電圧を監視ユニット200から第1電流i1および第1電圧v1としてそれぞれ取得し、メモリ100bに記憶する(S110)。
ECU100は、変数nがNであるか否かを判定する(S130)。なお、図2で示した本実施の形態の例においては、Nの値は11である。ECU100は、変数nの値が1であるため(n≠N)、S130においてNOを選択し、処理をS135に進める。S135において、ECU100は、変数nを2として、処理をS105に戻す。
ECU100は、nが2である場合(S105においてn=2)、時刻t2における電池電流および電池電圧を監視ユニット200から第2電流i2および第2電圧v2としてそれぞれ取得し、メモリ100bに記憶する(S115)。
ECU100は、S120において第1条件を満たすか否かを判定する。具体的には、ECU100は、第1電流i1と第2電流i2との差分の大きさである第1変化量di1が第1所定量TH1以上となっているか否かを判定する。ECU100は、第1変化量di1が第1所定量TH1より小さい(di1<TH1)場合(S120においてNO)、I-Vプロット法による組電池10の内部抵抗の推定において一定以上の精度を確保できる程度に電流が変化していないと判定し、組電池10の内部抵抗の推定を行なわずに、処理を終了させる。
一方、ECU100は、第1変化量di1が第1所定量TH1以上(di1≧TH1)である場合(S120においてYES)、処理をS130に進める。そして、ECU100は、変数nの値が2であるので(n≠N)、処理をS135に進めて変数nを3として、処理をS105に戻す。
ECU100は、変数nが3以上である場合(S105においてn≧3)、時刻tnにおける電池電流および電池電圧を監視ユニット200から第n電流inおよび第n電圧vnとしてそれぞれ取得し、メモリ100bに記憶する(S125)。ECU100は、この処理を変数nがNとなるまで繰り返し実行する。
ECU100は、S130において変数nがNに達すると(S130においてYES)、第2条件を満たすか否かを判定する(S140)。具体的には、ECU100は、第2電流i2から第11電流i11までの電池電流の変動幅di2が第2所定量TH2以下(di2≦TH2)であるか否かを判定する。
ECU100は、変動幅di2が第2所定量TH2より大きい(di2>TH2)場合(S140においてNO)、時刻t11において取得された電池情報(第11電流i11,第11電圧v11)が、組電池10に入出力される電流が安定した状態で取得されたものではないと判定し、組電池10の内部抵抗の推定を行なわずに、処理を終了させる。
一方、ECU100は、変動幅di2が第2所定量TH2以下(di2≦TH2)である場合(S140においてYES)、所定期間における電流変化量の大きさ|di|を算出するとともに(|di|=|i1-i11|)、組電池10の内部抵抗を推定する(S145)。なお、ECU100は、時刻t1において取得された電池情報(第1電流i1,第1電圧v1)および時刻t11において取得された電池情報(第11電流i11,第11電圧v11)を用いて、時刻t1から時刻t11までの電流変化量および電圧変化量から組電池10の内部抵抗を推定する。
ECU100は、電流変化量の大きさ|di|が最小値Adimin以上であり、かつ、最大値Adimax以下であるか否かを判定する(S147)。ECU100は、電流変化量の大きさ|di|が最小値Adminより小さい、または、最大値Adimaxより大きい場合には(S147においてNO)、学習係数τを補正することなく、処理をS155へ進める。なお、ECU100は、電流変化量の大きさ|di|が最小値Adminより小さい、または、最大値Adimaxより大きい場合には、推定した内部抵抗を学習に反映させることなく、処理を終了するようにしてもよい。
ECU100は、電流変化量の大きさ|di|が最小値Adimin以上であり、かつ、最大値Adimax以下である場合には(S147においてYES)、電流変化量の大きさ|di|に応じた補正学習係数τaを算出する(S150)。具体的には、ECU100は、S145で算出した電流変化量の大きさ|di|と式(6)を用いることによって、補正学習係数τaを算出する。
ECU100は、S150で算出した補正学習係数τaおよびS145で推定した内部抵抗を用いて学習することによって内部抵抗を算出する(S155)。具体的には、ECU100は、S145で推定した内部抵抗および式(7)を用いることによって、今回学習値を算出し、算出した今回学習値を現在の内部抵抗とする。
そして、ECU100は、S155で算出した今回学習値をECU100のメモリ100bに記憶す(S160)。メモリ100bに記憶された今回学習値は、当該フローチャートが次回実施される際に前回学習値として用いられる。
以上のように、本実施の形態に係る電池システム5は、所定期間における電流変化量diおよび電圧変化量から推定された内部抵抗を用いて学習することによって内部抵抗を算出する。そして、電流変化量diが大きい状態で推定された内部抵抗は、電流変化量diが小さい状態で推定された内部抵抗よりも、大きな比率で学習値に反映される。これによって、推定精度が高い(電流変化量diが大きい)内部抵抗ほど、学習値に反映される比率が大きくなる。ゆえに、学習値を早期に真値に収束させることができる。また、学習値が真値に収束した後においても、推定精度が高い内部抵抗が学習値に反映される比率が大きくなるため、内部抵抗が変化した場合における学習値の応答性を向上させることができる。学習係数τを補正することによって、学習制御において、応答性を向上させつつも、ロバスト性を低下させないようにすることができる。これによって、推定された内部抵抗を用いて学習することによって内部抵抗を算出する場合において、内部抵抗の算出精度を向上させることができる。
<変形例>
実施の形態においては、式(6)を用いることによって、補正学習係数τaを算出した。しかしながら、補正学習係数τaの算出方法は、式(6)を用いることに限られるものではない。たとえば、電流変化量の大きさ|di|に応じて、補正学習係数τaを算出するための補正係数Yを予め定めておいてもよい。具体的には、以下の式(9)によって、補正学習係数τaが算出される。
τa=Y×τ…(9)
補正係数Yは、電流変化量の大きさ|di|と補正係数Yとの関係を定めた補正係数マップを用いて算出される。補正係数マップは予め実験などによって求められてECU100のメモリ100bに記憶される。
式(6)に代えて補正係数マップを用いても、実施の形態と同様の効果を奏することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、5 電池システム、10 組電池、20 システムメインリレー、50 モータジェネレータ、60 駆動輪、100 ECU、100a CPU、100b メモリ、100c タイマ回路、200 監視ユニット、210 電圧センサ、220 電流センサ、230 温度センサ、VB 電池電圧、di1 第1変化量、di2 変動幅、IB 電池電流、TB 電池温度。
Claims (1)
- ニッケル水素電池と、
所定期間における前記ニッケル水素電池の電流変化量および電圧変化量を用いて前記ニッケル水素電池の内部抵抗を推定し、前記推定した内部抵抗を用いて学習することによって前記ニッケル水素電池の内部抵抗を算出する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記電流変化量が大きい場合には、前記電流変化量が小さい場合よりも前記推定した内部抵抗を学習に反映させる比率を大きくする、電池システム。
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