ある実施形態は、ナノ構造(例えば、ナノワイヤ)の導電性層に基づく、透明導体を対象とする。種々の実施形態では、導電性層は、金属ナノワイヤの疎ネットワークを含む。加えて、導電性層は、透明かつ可撓性であって、導電性である、少なくとも1つの表面を含むことができる。それは、可撓性および剛性基板を含む、種々の基板上に被膜または積層することができる。導電性層はまた、マトリクス材または保護膜およびナノワイヤを含む、複合構造の一部を形成することができる。マトリクス材は、典型的には、複合構造に対して、ある化学、機械、および光学特性を付与することができる。他の実施形態は、導電性層を加工およびパターン化する方法を説明する。
導電性ナノ構造
本明細書で使用されるように、「導電性ナノ構造」または「ナノ構造」とは、概して、電気的に導電性のナノサイズの構造を指し、その少なくとも1つの寸法(すなわち、幅または直径)は、500nm未満、より典型的には、100nmまたは50nm未満である。種々の実施形態では、ナノ構造の幅または直径は、10から40nm、20から40nm、5から20nm、10から30nm、40から60nm、50から70nmの範囲内である。
ナノ構造は、任意の形状または幾何学形状であることができる。所与のナノ構造の幾何学形状を画定するための方法の1つは、ナノ構造の長さおよび幅(または、直径)の比率を指す、その「縦横比」によるものである。ある実施形態では、ナノ構造は、等方的に成形される(すなわち、縦横比=1)。典型的等方性または実質的等方性ナノ構造は、ナノ粒子を含む。好ましい実施形態では、ナノ構造は、異方的に成形される(すなわち、縦横比≠1)。異方性ナノ構造は、典型的には、その長さに沿って、縦軸を有する。例示的異方性ナノ構造は、ナノワイヤ(少なくとも10、より典型的には、少なくとも50の縦横比を有する、中実ナノ構造)、ナノロッド(10未満の縦横比を有する、中実ナノ構造)、およびナノチューブ(中空ナノ構造)を含む。
縦方向に、異方性ナノ構造(例えば、ナノワイヤ)は、長さ500nm超、または1μm超、または10μm超である。種々の実施形態では、ナノ構造の長さは、5から30μmの範囲内、または15から50μm、25から75μm、30から60μm、40から80μm、または50から100μmの範囲内である。
ナノ構造は、任意の導電性材料であることができる。より典型的には、ナノ構造は、元素金属(例えば、遷移金属)または金属化合物(例えば、金属酸化物)を含む、金属材料から形成される。金属材料はまた、2種類以上の金属を含む、二元金属材料または金属合金であることができる。好適な金属は、銀、金、銅、ニッケル、金めっき銀、白金、およびパラジウムを含むが、それらに制限されない。本開示は、主に、ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を説明するが、前述の定義内の任意のナノ構造を等しく採用することができることに留意されたい。
図1は、直径d1で割られる長さL1に相当するアスペクト比を有するナノワイヤ2を示す。適切なナノワイヤは、一般的に、10から100,000の範囲のアスペクト比を有する。アスペクト比が大きいと、より効果的な導電網が形成可能になると共に、高透明性のためにワイヤの全体密度が低くなることから、透明導電体層を得るために有利になる。すなわち、高アスペクト比を有する導電性ナノワイヤが使用される場合、導電網を達成するナノワイヤの密度は、導電網が実質的に透明になるように十分低くなることが可能である。
層の透明性を定義する一つの方法として、吸収係数がある。層を通過する光の照度は、
I=I0e−ax
として定義され、
ここで、I0は、層の第一の側面上の入射光であり、Iは、層の第二の側面上の照明レベルであり、e−axは、透明度要因である。透明度要因において、aは吸収係数であり、xは層の厚さである。1に近いが1未満の透明度要因を有する層は、実質的に透明であると考えられる。
図2〜5は、導電性ナノワイヤの光学的および電気的特徴のいくつかを示す。
図2は、さまざまな光波長での銀のナノ楕円体の光吸収の理論モデルを示す。幅と長さに応じて、銀のナノ楕円体は、400と440ナノメートルとの間の範囲の波長における光の狭帯域および700nmを越える光波長に対して高い吸光係数を示す。しかしながら、それらは、約440から約700nmの間の範囲において実質的に透明であり、可視領域に入る。
図3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板に蒸着される銀ナノワイヤの層の吸収スペクトルを示す。吸収プロファイルで示されるように、PET基板上の銀ナノワイヤ層は、約440nmから700nmまでの範囲で実質的に透明であり、図2に示される理論モデルの結果と一致する。
図4および5は、金属ナノワイヤのその直径に基づく抵抗性の理論モデルの結果を示す。ナノワイヤの直径が大きくなると抵抗性は実質的に減少するが、より多くの光を吸収する。図4でわかるように、粒界および表面散乱に基づく抵抗性への影響は、10nm未満で大きくなる。直径が大きくなるとこれらの影響は急激に減少する。したがって、全体の抵抗性は、直径が、10nmから100nmにかけて大幅に減少する(図5も参照)。しかしながら、電気的特性におけるこの改善は、透明導電体を必要とする適用についての透明性減少とのバランスをとらなければならない。
図6は、二つのその他の電気端子6aおよび6bの間で延在して、端子6aから6bまでの電気伝導経路を提供する単一のAgナノワイヤ4を示す。「端子」という用語には、導体パッド、伝導ノード、ならびに電気的に接続され得るその他のいかなる始点および終点も含まれる。ナノワイヤのアスペクト比、サイズ、形状、および物理的パラメーター分布は、所望の光学的かつ電気的な特性を提供するように選択される。Agナノワイヤの一定密度を提供するこのようなワイヤの数は、端子6aと端子6bを連結するために許容可能な電気伝導性を提供するように選択される。例えば、何百ものAgナノワイヤ4は、低抵抗の電気伝導経路を提供するために端子6aから端子6bに延出し、密度、アスペクト比、サイズ、および形状は、実質的な透明導電体を提供するために選択されることができる。よって、透明な電気伝導は、複数のAgナノワイヤを使用して端子6aから端子6bに提供される。
理解されるように、端子6aから端子6bまでの距離は、所望の光学的特性が単一のナノワイヤで得られないような距離であってもよい。複数の多くのナノワイヤは、さまざまな点で相互に連結される必要があり、端子6aから端子6bまでの伝導経路を提供するようにしてもよい。本発明によれば、ナノワイヤは、所望の光学的特性に基づいて選択される。次いで、所望の伝導経路およびその経路の全体の抵抗性を提供するナノワイヤの数が、端子6aから端子6bまでの電気伝導層の許容可能な電気的特性を達成するように選択される。
透明層の導電率は、a)単一ナノワイヤの伝導性、b)端子間のナノワイヤの数、およびc)ナノワイヤの連結性、によって主に制御される。特定のナノワイヤ密度(パーコレーション閾値または電気的パーコレーションレベルと呼ばれる)未満では、端子間の伝導性はゼロとなり、つまり連続的な電流路は、ナノワイヤが離れすぎているために提供されなくなる。この密度を越えると、少なくとも一つの電流路が可能になる。より多くの電流路が提供されると、層の全体の抵抗性は減少する。
導電性ナノワイヤには、高アスペクト比(例えば、10より高い)を有する、金属ナノワイヤおよびその他の伝導性粒子が含まれる。非金属ナノワイヤの例として、カーボンナノチューブ(CNT)、金属酸化物ナノワイヤ、導電性高分子繊維などが挙げられるがそれだけに限定されない。
本明細書で使用される際、「金属ナノワイヤ」は、元素金属、金属合金、または金属化合物(金属酸化物を含む)を含む金属ワイヤを言及する。金属ナノワイヤの少なくとも一つの断面寸法は、500nm未満および200nm未満、より好ましくは100nm未満である。上述のように、金属ナノワイヤは、10を越える、好ましくは50を越える、さらに好ましくは100を越えるアスペクト比(長さ:直径)を有する。適切な金属ナノワイヤは、銀、金、胴、ニッケル、および金めっきの銀を含むがそれだけに限定されないいかなる金属にも基づくことができる。
金属ナノワイヤは、当技術分野で既知の方法で調製可能である。具体的には、銀ナノワイヤは、ポリオール(例えば、エチレングリコール)およびポリ(ビニルピロリドン)の存在下で、銀塩(例えば、硝酸銀)の液相還元により合成可能である。均一サイズの銀ナノワイヤの大量生産は、例えば、Xia,Y.et al.,Chem.Mater.(2002)、14、4736−4745およびXia,Y.et al.,Nanoletters(2003)3(7)、955−960に記載される方法に準じて調製可能である。
あるいは、金属ナノワイヤは、鉱化可能である生物学的鋳型(または生物学的骨格)を使用して調製可能である。例えば、ウイルスおよびファージなどの生物学的物質は、金属ナノワイヤを形成するために、鋳型として機能することができる。特定の実施形態において、生物学的鋳型は、金属または金属酸化物などの特定の種類の材料の選択的親和性を示すように設計することができる。ナノワイヤの生物学的な作製のさらなる詳細は、参照することにより本明細書に組み込まれる、例えば、Mao,C.B.et al.,“Virus−Based Toolkit for the Directed Synthesis of Magnetic and Semiconducting Nanowires”、(2004)Science、303、213−217、Mao,C.B.et al.,“Viral Assembly of Oriented Quantum Dot Nanowires”、(2003)PNAS、vol.100,no.12、6946−6951、Mao,CB.et al.,“Viral Assembly of Oriented Quantum Dot Nanowires”、(2003)PNAS、100(12)、6946−6951、米国出願第10/976,179号、および米国仮出願第60/680,491号、に記載される。
より具体的には、導電性材料または導電体(例えば、金属ナノワイヤ)は、生物学的鋳型における導電性材料と特定の結合部位(例えば、ペプチド配列)との間の親和性に基づき、生物学的テンンプレートに直接結合することができる。
その他の実施形態において、導電性材料は、核生成過程によって形成可能で、その過程中に、前駆体は、生物学的鋳型に結合する伝導性粒子に変換され、その伝導性粒子は、連続的な導電層へとさらに成長することができる。本過程は、「鉱化」または「めっき」とも呼ばれる。例えば、金属前駆体(例えば、金属塩)は、還元剤の存在下で元素金属に変換可能である。結果として生成される元素金属は、生物学的鋳型に結合し、連続的な金属層に成長する。
その他の実施形態において、シード物質層が、生物学的物質上にまず核生成される。その後、金属前駆体は、金属に変換されて、シード物質層にめっき可能である。シード物質は、例えば、対応する金属前駆体を含む溶液から、核生成よび金属成長をもたらす物質に基づいて選択可能である。例えば、パラジウムを含むシード物質層は、CuまたはAuの鉱化をもたらすことができる。特定の例として、Cu導体を形成するための許容可能なシード物質は、パラジウム、パラジウムベースの分子、Au、またはAuベースの分子を含んでもよい。酸化物導体については、核生成物質として酸化亜鉛が使用されてもよい。シード物質の例として、Ni、Cu、Pd、Co、Pt、Ru、Ag、Co合金、またはNi合金が挙げられる。めっき可能な金属、金属合金、および金属酸化物には、Cu、Au、Ag、Ni、Pd、Co、Pt、Ru、W、Cr、Mo、Ag、Co合金(例えば、CoPt)、Ni合金、Fe合金(例えば、FePt)またはTiO2,、Co3O4、Cu2O、HfO2、ZnO、酸化バナジウム,酸化インジウム,酸化アルミニウム、酸化インジウムスズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、または酸化ジルコニウムが含まれるがそれだけに限定されない。
タンパク質、ペプチド、ファージ、バクテリア、ウイルス、および同様なものなど、さまざまないかなる生物学的物質も、金属ナノワイヤを形成するための鋳型を提供するために使用可能である。所望の金属または導電性材料に結合する生物化学的物質を選択、生成、および設計するための技術は、米国特許番号第10/155,883および10/158,596に記載され、そのいずれもが、Cambrios Technologies Corporationの名において出願されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。
上述のとおり、タンパク質、ペプチド、またはその他の生物学的物質などの生物学的鋳型は、選択されるシード物質または選択される導電性材料について親和性部位を有するように設計可能である。特定の物質に親和性を有するタンパク質またはペプチドは、ファージ提示法、イースト提示法、細胞表層提示法、またはその他などのタンパク質発現プロセスによって特定可能である。例えば、ファージ提示法の場合、ファージのライブラリー(例えば、M13ファージ)は、種々の異なるペプチドの配列をファージ集団に挿入することによって、形成可能である。特定の標的分子に対する高親和性を有するタンパク質は隔離可能で、そのペプチド構造は特定可能である。
具体的には、生体分子の遺伝子配列は、ファージ分子の特定のタイプにおける特定のペプチド配列の多くのコピーを提供するように制御可能である。例えば、P8タンパク質の約3000コピーは、M13ファージ分子の長さに沿って、秩序配列で配置可能である。P8タンパク質は、導電性材料の形成の核となり、導電性材料と結合可能な特定のペプチド配列を含むことによって、高伝導性の導電性ナノワイヤを提供するように修正可能である。本技術により、有利に、生物学的鋳型分子、例えば、具体的には設計または制御されるペプチド配列を有するタンパク質を使用することによって、ナノワイヤの形状および結晶構造を制御する能力が可能になる。そのために、ファージ構造に組み込み可能な銀、金、またはパラジウムに対して結合親和性を有するペプチドまたはタンパク質が特定されて、ファージ分子の寸法に基づく寸法でナノワイヤを形成する。
ファージ以外の生物学的物質は、導電性ナノワイヤの形成のための鋳型として使用可能である。例えば、長さが数十ミクロンの長鎖に自己組織化する糸状タンパク質は、代替えの鋳型として使用可能である(図7参照)。有利には、そのような鋳型のタンパク質は、ファージよりも大幅に大きいアスペクト比を有するように合成可能であり、結果として導電性ナノワイヤのパーコレーション閾値密度が低くなる。さらに、タンパク質は、ファージ分子よりも大量に合成し易い。清浄分散剤として使用される酵素などのタンパク質の大量製造は、十分開発されている。
図8は、伝導性粒子8bと結合する多くの結合部位8aを有するタンパク質骨格8の概略図版を示す。結合部位は、Au、Ag、Cu、およびNiなどの伝導性粒子に対して親和性を有するように選択される。あるいは、結合部位8aは、Cuなどの伝導性粒子をさらに核にすることが可能なシード物質層(例えば、PdおよびAu)に対して親和性を有する。また、タンパク質骨格8は、そのような親和性を複数の結合部位8aを有するように設計可能である。それらは、最終的な導電層の伝導性を高めるために、その長さにそって頻繁および一定に間隔を空けることが好ましい。
タンパク質などの生物学的物質の長さならびにその寸法は、既知の技術を使用して容易に設計される。それは、光学的特定のために的確な寸法を有するように設計される。サイズ、形状、およびアスペクト比が選択されると、生物学的物質は、金属または金属の前駆体などの導電性材料8bに暴露可能である。
図9は、生物学的鋳型を使用して導電性ナノワイヤを作製するさらなる実施形態を示す。タンパク質骨格8は、関連ペプチド9aおよび9bのような結合パートナーを各端に含むようにさらに設計可能である。結合パートナーは、イオン相互作用、共有結合、水素結合、疎水性相互作用、および同様なものなどのいかなる種類の結合性相互作用によっても相互に結合可能である。図8の最終配列で示されるように、関連ペプチド9aと9bとの間の相互作用によって、導電性ナノワイヤの2−D相互連結メッシュ網への自己組織化が促進される。関連ペプチドおよびその位置は、メッシュ形成、端間連結、交差連結、および導電層のその他の所望の形状を促進する種類であってもよい。図8に示される例において、導電性材料8bは、タンパク質骨格が網を形成する前にタンパク質骨格8に既に結合している。タンパク質骨格8は、導電性材料の結合前に網を形成可能であることも理解されたい。
したがって、関連ペプチドまたはその他の結合パートナーを有する生物学的鋳型を使用することによって、ランダムなナノワイヤで考えられ得るものよりも、より連結した導電層の形成が可能になる。ゆえに、生物学的鋳型の特定の網は、導電層の所望の秩序度を達成するように選択可能である。
鋳型に基づく合成は、特定の寸法、形態、および組成を有するナノワイヤの作製に特に適している。ナノ材料の生物学的ベースの製造に関するさらなる利点として、導電層の高スループット、常温蒸着、および優れた適合性、生産について修正可能である溶解処理が挙げられる。
導電層および基板
例示されるように、図10Aは、基板14上に被覆される導電層12を備える透明導電体10を示す。導電層12は、複数の金属ナノワイヤ16を備える。金属ナノワイヤは、導電網を形成する。
図10Bは、導電層12’が基板14上に形成される透明導電体10’の別の例を示す。導電層12’は、マトリクス18に埋め込まれる複数の金属ナノワイヤ16を含む。
「マトリクス」は、金属ナノワイヤが分散または埋め込まれる固体材料を言及する。ナノワイヤの一部は、導電網にアクセス可能にするようにマトリクス材から突出してもよい。マトリクスは、金属ナノワイヤの宿主であり、導電層の物理的形状を提供する。マトリクスは、腐食および摩耗などの有害環境要因から金属ナノワイヤを保護する。具体的には、マトリクスは、湿気、微量の酸、酸素、硫黄、および同様なものなどの環境における腐食要因の透過性を大幅に軽減する。
さらに、マトリクスは、有益な物理的および機械的性質を導電層に提示する。例えば、基板に接着を提供することができる。さらに、金属酸化物皮膜とは違って、金属ナノワイヤに埋め込まれる高分子または有機マトリクスは、頑丈でかつ柔軟性がある。本明細書でさらに詳しく説明されるように、柔軟性を有するマトリクスにより、低コストで高スループットのプロセスで透明導電体を作製することが可能になる。
さらに、導電層の光学的特性は、適切なマトリクス材を選択することによって調整することができる。例えば、反射損および不要なグレアは、所望の屈折率、組成、および厚さを有するマトリクスを使用することによって軽減可能である。
一般的に、マトリクスは、光学的に透明材料である。材料の光透過性が、可視領域(400nm〜700nm)で少なくとも80%である場合、材料は、光学的に透明または光透過性であることが考えられる。別途規定のない限り、本明細書で説明される透明導電体の全ての層(基板およびナノワイヤネットワーク層を含む)は、好ましくは、光学的に透明である。マトリクスの光学的透明度は、屈折率(RI)、厚さ、その厚さ全体のRI一貫性、表面(界面を含む)反射、およびヘイズ(表面粗度および/または埋め込み分子によってもたらされる分散損失)を含むがそれだけに限定されない多数の要因によって、一般的に決定される。
特定の実施形態において、マトリクスは、約10nmから5μmの厚さ、約20nmから1μmの厚さ、または約50nmから200nmの厚さである。その他の実施形態において、マトリクスは、約1.3から2.5または1.35から1.8の屈折率を有する。
特定の実施形態において、マトリクスは高分子であり、高分子マトリクスとしても呼ばれる。光学的に透明な高分子は、当技術分野において既知である。適切な高分子マトリクスの例として、ポリメタクリル酸(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、およびポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコンおよびその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、および炭化水素オレフィン(例えば、Lumiflon(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子のCYTOP(登録商標)またはデュポンのTeflon(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
他の実施形態では、本明細書に記載されるポリマーマトリクスは、部分的に重合または部分的に硬化されるポリマーを備える。完全に重合または完全に硬化されるマトリクスと比較して、部分的に硬化されるマトリクスは、低度の架橋結合および/または重合、ならびに低分子量を有する。したがって、部分的に重合されるマトリクスは、ある条件下でエッチングすることができ、パターン化は、フォトリソグラフィを使用して可能である。適切な重合条件下では、部分的に硬化されるマトリクスは、さらに硬化され、それによって、さらなる架橋結合および重合を行い、部分的に硬化されるマトリクスよりも高分子量のマトリクスを提供してもよい。部分的に硬化されるマトリクスをエッチングし、その後、さらなる硬化ステップに続き、パターン化され、完全に硬化された透明導電体膜を提供することができる。好適な部分的に硬化されるポリマーの実施例は、部分的に硬化されるアクリレート、シリコーン・エポキシ、シロキサン、ノボラック、エポキシ、ウレタン、シルセスキオキサン、またはポリイミドを含むが、それらに限定されない。
当業者は、重合度が、部分的に重合されるマトリクスおよび/またはナノワイヤが溶解され得るエッチング条件(液)に影響を及ぼす場合があることを理解するであろう。典型的には、重合度が高い程、マトリクスをエッチングすることは困難となる。
好ましくは、部分的に硬化されるマトリクスは、許容程度の物理的完全性を有し、その中のナノワイヤを保護する。エンドユーザは、独自のパターン化および後続の硬化を行い、最終透明導電体膜を得るため、このことは望ましい。
さらなる実施形態において、マトリクスは、無機材料である。例えば、シリカ、ムライト、アルミナ、SiC、MgO−Al2O3−SiO2、Al2O3−SiO2、MgO−Al2O3−SiO2−Li2O、またはその組み合わせに基づくゾルゲルマトリクスが使用可能である。
特定の実施形態において、マトリクス自体は導電性である。例えば、マトリクスは導電性高分子である。導電性高分子は、当技術分野においてよく知られており、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリチオフェン、およびポリジアセチレンを含むがそれだけに限定されない。
「導電層」または「導電膜」は、透明導電体の導電性媒体を提供する金属ナノワイヤの網層を言及する。マトリクスが存在する場合、金属ナノワイヤの網層とマトリクスとの組み合わせも、「導電層」と呼ばれる。伝導性は、一方の金属ナノワイヤから別の金属ナノワイヤまでの電荷浸透によって達成されるため、十分な金属ナノワイヤが、導電層に存在し、電気パーコレーション閾値に到達し、導電性を有するようにしなければならない。導電層の表面伝導率は、当技術分野で既知の方法で測定可能であるシート抵抗とも呼ばれるその表面抵抗率に反比例する。
同様に、マトリクスが存在する場合、マトリクスは、導電性であるために、十分な金属ナノワイヤに充填されている。本明細書で使用される際、「閾値荷重度」は、導電層が約106Ω/□以下の導電層の荷重後の、重量による金属ナノワイヤの割合を言及する。より具体的には、表面抵抗率は、105Ω/□よりも下、104Ω/□よりも下、1,000Ω/□よりも下、500Ω/□よりも下、100Ω/□よりも下であり得る。閾値荷重度は、金属ナノワイヤのアスペクト比、整列度、凝集度、および抵抗度などの要因によって決まる。
当技術分野に精通する者に理解されるように、マトリクスの機械的および光学的特性は、その中の分子の高荷重によって変化または影響を受ける可能性がある。有利には、金属ナノワイヤの高アスペクト比により、銀ナノワイヤに関して、好ましくは約0.05μg/cm2から約10μg/cm2、さらに好ましくは、約0.1μg/cm2から約5μg/cm2、およびさらに好ましくは、約0.8μg/cm2から約3μg/cm2の閾値表面荷重度で、マトリクスによる導電網の形成が可能になる。これらの表面荷重度は、マトリクスの機械的または光学的特性に影響を及ぼさない。これらの値は、ナノワイヤの寸法および空間分散に大きく依存する。有利には、調整可能な伝導率(または表面抵抗率)および光透過性を有する透明導電体が、金属ナノワイヤの荷重度を調整することによって提供可能である。
特定の実施形態において、導電層は、図10Bに示されるようにマトリクスの全層に及ぶ。有利には、金属ナノワイヤの特定部分は、マトリクス材(例えば、高分子)のマトリクスの表面張力によりマトリクスの表面19に露出される。本特徴は、タッチスクリーン用途に特に有用である。具体的には、透明導電体は、その少なくとも一つの表面に表面伝導率を呈することができる。図10Cは、マトリクスに埋め込まれる金属ナノワイヤの網の表面伝導率達成がいかに考えられるかを示す。図示されるように、ナノワイヤ16aなどのいくつかのナノワイヤが、マトリクス18に全体的に「沈んで」いてもよく、一方、端16bなどのその他のナノワイヤの端は、マトリクス18の表面19に突出してもよい。また、中間部分16cなどのナノワイヤの中間部分は、マトリクス18の表面19上に突出してもよい。ナノワイヤの端16bおよび中間部分16cが、マトリクス18から十分に突出する場合、透明導電体の表面は導電性になる。図10Dは、透明導電体のマトリクス上に突出するナノワイヤの端および中間部分の輪郭を示す透明導電体の一実施形態の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
その他の実施形態において、導電層は、図10Eに示されるように、マトリクスの一部に埋め込まれる金属ナノワイヤによって形成される。導電層12”は、マトリクス18の一部のみを占め、マトリクス18に完全に「沈んで」いる。
加えて、ナノワイヤ充填導電層は、1つ以上の誘電被膜(例えば、オーバーコートまたは防幻膜)によって重層され、導電層の性能を保護または向上させてもよい。これらの状況では、導電層は、表面導電性でなくてもよいが、面内導電率によって特徴付けられる。
ある実施形態では、オーバーコート内の表面導電率は、オーバーコート内の複数のナノサイズ導電性粒子を内包することによって、確立することができる。図10Fに示されるように、ナノワイヤを基材とする導電層10は、基板14上に蒸着される。導電層10は、ナノワイヤ16を備え、パーコレーション閾値に到達し、面内導電率を確立する。オーバーコート17は、電層10上に形成される。複数の導電性粒子17aは、オーバーコート17内に内蔵される。有利には、ナノサイズオーバーコート内の導電性粒子の装填レベルは、パーコレーション閾値に到達し、表面導電率を呈する必要はない。導電層は、通電媒体のままであって、ナノワイヤは、電気的パーコレーションレベルに到達する。オーバーコート内の導電性粒子は、オーバーコート厚を通じた下層のナノワイヤとのその接触の結果、表面導電率を提供する。
したがって、一実施形態は、基板と、基板上に形成される導電層であって、第1の複数の金属ナノワイヤを備え、第1の複数の金属ナノワイヤは、電気的パーコレーションレベルに到達する導電層と、導電層上に形成されるオーバーコートであって、第2の複数の導電性粒子を内包し、第2の複数の導電性粒子は、電気的パーコレーションレベルを下回る、オーバーコートとを備える、多層構造を提供する。
本明細書で使用されるように、ナノサイズ導電性粒子とは、500nm以下、より典型的には、200nm以下の少なくとも1つの寸法を有する導電性粒子を指す。好適な導電性粒子の実施例は、ITO、ZnO、ドープZnO、金属ナノワイヤ(本明細書に記載されるものを含む)、金属ナノチューブ、カーボンナノチューブ(CNT)等を含むが、それらに限定されない。
「基板」または「選択の基板」は、その上に導電層が被覆または積層される材料を言及する。基板は、剛性または柔軟性を有することができる。基板は、透明または不透明であることができる。「選択の基板」という用語は、本明細書で説明される場合、一般的に、積層プロセスに関して使用される。適切な剛性基板は、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル、および同様なものを含む。適切な柔軟性を有する基板は、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、直鎖、分枝、および環状ポリオレフィン)、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリアクリレート、および同様なもの)、セルロースエステルベース(例えば、三酢酸セルロース、酢酸セルロース)、リエーテルスルホンなどのポリスルホン、ポリイミド、シリコン、およびその他の従来の高分子膜を含むがそれだけに限定されない。適切な基板の追加の例は、例えば、米国特許第6,975,067号に見られる。
一般的に、導電層の光学的透明性または透明度は、光透過性およびヘイズを含むパラメーターによって定量的に規定可能である。「光透過性」は、媒体を介して透過される入射光線の割合を言及する。さまざまな実施形態において、導電層の光透過性は、少なくとも80%であり、高くても98%であることが可能である。導電層が基板上に蒸着または積層される透明導電体について、全体構造の光透過性が、わずかに低下する場合がある。接着層、反射防止層、防眩層などの性能向上層により、透明導電体の全体の光透過性がさらに低減してもよい。さまざまな実施形態において、透明導電体の光透過性(T%)は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%であり、高くても少なくとも91%から92%、または少なくとも95%であることが可能である。
ヘイズ(H%)は、光拡散の指数である。入射光線から分散および透過中に散乱される光の量の割合を言及する。主に媒体の特性である光透過性と違って、ヘイズは、多くの場合、生産関連事項であり、一般的に、媒体の表面粗度および埋め込み分子または組成不均質性によってもたらされる。さまざまな実施形態において、透明導電体のヘイズは、10%以下、8%以下、または5%以下で、低くても2%から0.5%以下であってもよい。典型的には、導電性膜の曇価は、ナノ構造の直径によって著しく影響を受け得る。より大きな直径のナノ構造(例えば、より厚いナノワイヤ)は、典型的には、より高い曇価と関連付けられる。種々の実施形態では、透明導体の曇価は、10%以下、8%以下、または5%以下であって、2%以下、1%以下、または0.5%以下、または0.25%以下程度であってもよい。
性能向上層
上述のように、導電層は、マトリクスにより優れた物理的および機械的特徴を有する。これらの特徴は、透明導電体構造に追加の層を導入することによってさらに向上可能である。したがって、その他の実施形態において、反射防止層、防眩層、接着層、障壁層、および硬質被膜などの一つ以上の層を備える多層の透明導電体が記載される。
実例として、図11は、上に記載されるように、導電層12および基板14を備える多層透明半導体20を示す。多層透明導電体20は、導電層12の上に位置する第一の層22、導電層12と基板14との間に位置する第二の層24、および基板14の下に位置する第三の層26をさらに備える。別段表記の無い限り、層22、24、および26の各々は、一つ以上の反射防止層、防眩層、接着層、障壁層、硬質被膜、および保護膜であることが可能である。
層22、24、および26は、透明導電体の全体の光学的性能の向上および機械的特性の改善など、さまざまな機能の役割を果たす。これらの追加の層も、「性能向上層」と呼ばれ、一つ以上の反射防止層、防眩層、接着層、障壁層、および硬質被膜であることが可能である。特定の実施形態において、一つの性能向上層によって、多くの利益が提供される。例えば、反射防止層は、硬質被膜および/または障壁層としての役割も果たすことができる。それらの特定の特性に加え、性能向上層は、本明細書で定義されるように、光学的に透明である。
一実施形態において、層22は反射防止層であり、層24は接着層であり、層26は硬質被膜である。
別の実施形態において、層22は硬質被膜であり、層24は障壁層であり、層26は反射防止層である。
さらに別の実施形態において、層22は、反射防止層、防眩、障壁層、および硬質被膜の組み合わせであり、層24は接着層であり、層26は反射防止層である。
「反射防止層」は、透明導電体の反射面における反射損を低減可能な層を言及する。したがって、反射防止層は、透明導電体の外側に、または層の間の接触面として位置することができる。反射防止層の適切な材料は、当技術分野において既知であり、フッ素重合体混合または共重合体を含むがそれだけに限定されず、例えば、米国特許番号第5,198,267号、5,225,244号、および7,033,729号を参照すること。
その他の実施形態において、反射損は、反射防止層の厚さを制御することによって効果的に低減可能である。例えば、図11を参照すると、層22の厚さは、表面28および表面30の光反射が相殺するように制御可能である。したがって、さまざまな実施形態において、反射防止層は、約100nmまたは200nmの厚さである。
反射損は、織り目加工の表面の適切な使用によっても低減可能であり、例えば、米国特許第5820957号およびMacDiarmid Autotype社のAutoflex MARAGTMおよびMotheyeTM製品についての文献を参照すること。
「防眩層」は、反射を散乱する表面上に細かい粗さを提供することによって透明導電体の外側で不要な反射を低減する層を言及する。適切な防眩材料は、当技術分野においてよく知られており、シロキサン、ポリスチレン/PMMA混合、ラッカー(例えば、酢酸ブチル/ニトロセルロース/ワックス/アルキド樹脂)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリウレタン、ニトロセルロース、およびアクリレートを含むがそれだけに限定されず、それら全ては、コロイド状または溶融状シリカなどの光拡散材料を含んでもよい。例えば、米国特許第6,939,576号、5,750,054号、5,456,747号、5,415,815号、および5,292,784号を参照のこと。これらの材料の混合および共重合体は、防眩するための光拡散挙動を提示可能である微少の組成不均一性を有することができる。
「硬質被膜」または「耐摩耗層」は、キズおよび摩耗に対して付加的な表面保護を提供する被覆を言及する。適切な硬質被膜の例として、ポリアクリル酸、エポキシ、ポリウレタン、ポリシラン、シリコン、ポリ(シリコ−アクリル)などの合成高分子が挙げられる。一般的に、硬質被膜はコロイド状シリカも含む(例えば、米国特許第5,958,514号、7,014,918号、6,825,239号、およびそこに引用される参考文献を参照)。硬質被膜の厚さは、一般的に約1から50μmである。硬度は、当技術分野の既知の方法、例えば、スチールウール#000の被覆に、300g/cm2の荷重下で2往復/秒、2cm間隔で往復50回傷を付けるなどして評価可能である(米国特許第6,905,756号参照)。硬質被膜は、当技術分野における既知の方法によって、防眩プロセスまたは反射防止処理にさらに暴露されてもよい。
「接着層」は、いずれの層の物理的、電気的、または光学的特性に影響を及ぼすことなく、二つの隣接する層(例えば、導電層および基板)を接着するいかなる光学的に透明な材料も言及する。光学的に透明な接着材料は、当技術分野においてよく知られており、アクリル樹脂、塩素化オレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の樹脂、マイレン酸樹脂、塩化ゴム樹脂、環化ゴム樹脂、ポリアミド樹脂、クマロンインデン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体の樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、ポリシロキサン、および同様なものを含むがそれだけに限定されない。
「障壁層」は、ガスまたは流体の透明導電体への透過を低減または防止する層を言及する。腐食した金属ナノワイヤは、導電層の大幅な導電率低下ならびに大幅な光透過性低下をもたらす可能性があることが証明されている。障壁層は、大気の腐食性ガスが導電層に入り、マトリクス内の金属ナノワイヤに接触しないように効果的に抑制することができる。障壁層は、当技術分野においてよく知られており、例えば、米国特許出願第2004/0253463号、米国特許第5,560,998号および4,927,689号、欧州特許第132,565号、日本国特許第57,061,025を参照を含むがそれだけに限定されない。さらに、反射防止層、防眩層、および硬質被膜のいずれも、障壁層としても役割も果たすことができる。
特定の実施形態において、多層透明導電体は、導電層上に保護膜をさらに備えてもよい(例えば、層22)。保護膜は、一般的に柔軟性を有し、柔軟性を有する基板と同一材料から形成可能である。保護膜の例として、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン−架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン、ポリオレフィン、または同様なものが挙げられるがそれだけに限定されず、具体的には、その高力のため、PET、PC、PMMA、またはTACが好ましい。
(腐食防止剤)
その他の実施形態において、透明導電体は、上記の障壁層に加えて、またはそれの代わりに腐食防止剤を備えてもよい。異なる腐食防止剤により、異なる機序に基づいて、金属ナノワイヤに保護が提供されてもよい。腐食防止剤の適切な選択が、不都合な環境の影響(酸化および硫化を含む)に対する、金属ナノワイヤの一定の範囲の保護を提供し得ることを理解されたい。
一機序によると、腐食防止剤は、金属ナノワイヤに容易に結合し、金属表面において保護膜を形成する。それらは、障壁形成腐食防止剤とも呼ばれる。
一実施形態において、障壁形成腐食防止剤は、芳香族トリアゾール、イミダゾール、およびチアゾールなどの特定の窒素含有および硫黄含有有機化合物を含む。これらの化合物は、金属表面上に安定複合体を形成し、金属とその環境の間に障壁を提供することが立証されている。例えば、ベンゾトリアゾール(BTA)は、銅または銅合金のための一般的な有機腐食防止剤である(スキーム1)。トリルトリアゾールおよびブチルベンジルトリアゾールなどのアルキル置換ベンゾトリアゾールも使用可能である(例えば、米国特許第5,270,364号参照)。腐食防止剤の付加的な適切な例として、2−アミノピリミジン、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、および2−メルカプトベンゾイミダゾールが挙げられるがそれだけに限定されない。
別の種類の障壁形成腐食防止剤には、金属表面に特定の親和性を示す生体分子が含まれる。これらには、例えば、システイン、および合成ペプチド、ならびにEEEEなどの金属に対して親和性を有する融合ペプチド配列を有するタンパク質骨格などの小さな生体分子が含まれ、米国出願第10/654,623号、10/665,721号、10/965,227号、10/976,179号、および11/280,986号、米国仮出願第60/680,491号、60/707,675号、および60/680,491号を参照すること。
その他の障壁形成腐食防止剤には、ジチオチアジアゾール、アルキルジチオチアジアゾール、およびアルキルチオールが含まれ、アルキルは飽和C6−C24直鎖状炭化水素である。本種類の腐食防止剤は、金属表面で自己組織化し、単層を形成することによって(スキーム2)、金属表面を腐食から保護することができる。
具体的な実施形態において、透明導電体は、腐食防止剤を含む容器を備え、腐食防止剤を気相に連続的に供給することができる。そのような除放に適した腐食防止剤には、「気相制御剤」(VPI)が含まれる。VPIは、一般的に、金属ナノワイヤの表面上で単層を昇華および形成する揮発性固形物質である。有利には、VPIは、金属表面に放出されて、長期的に保護するために持続的に補充可能である。適切なVPIには、本明細書で記載されるように、トリアゾール、ジチオチアジアゾール、アルキルジチオチアジアゾール、およびアルキルチオールなどの障壁形成防止剤が含まれる。
図12は、タッチスクリーンに適したそのような透明導電体構造を示す。より具体的には、端封32およびスペーサー36は、二つの導電層12の間に位置する。その二つの導電層12の間の空間に、一つ以上の容器40が存在する。容器40は、その存在によって透明導電体の透過率が低下しないように、微視的であり、かつ疎に分散される。容器は、高分子マトリクスに組み込むまたは多孔質材料に浸透する腐食防止剤を含み、そこから気相に昇華され、金属ナノワイヤの表面上に単層44を形成することができる(差し込み図参照)。
別の機序によれば、腐食防止剤は、金属ナノワイヤとよりも、腐食要素(例えば、H2S)とより容易に結合する。これらの腐食防止剤は、金属と競合して腐食要素を封鎖する「捕捉剤」または「ゲッター」として知られている。H2S捕捉剤の例として、アクロレイン、グリオキサル、トリアジン、およびn−クロロコハク酸イミドを含むがそれだけに限定されない(例えば、米国公報出願第2006/0006120号参照)。
特定の実施形態において、腐食防止剤(例えば、H2S捕捉剤)は、マトリクスに分散可能であるが、但し、その存在が、導電層の光学的または電気的特性に悪影響を及ぼさない場合に限る。
その他の実施形態において、金属ナノワイヤは、基板に蒸着される前または後に、腐食防止剤で調製可能である。例えば、金属ナノワイヤは、例えばBTAおよびジチオトレイトールなどの障壁形成腐食防止剤で調製可能である。さらに、金属ナノワイヤは、錆び止め溶液で処理されることもできる。金属錆び止め処理は当技術分野において既知である。H2S腐食を対象とする特定の処理は、例えば、米国特許第4,083,945号および
米国公報出願第2005/0148480号に記載される。
なおさらにその他の実施形態において、金属ナノワイヤは、大気中元素により腐食傾向の低い別の金属と、合金またはめっき可能である。例えば、銀ナノワイヤは、酸化および硫化を受けにくい金でめっき可能である。
特定の実施形態において、本明細書で記載される透明導電体は、シート被覆および高スループットウェブ被覆をはじめとするさまざまな被覆方法によって、作製可能である。その他の実施形態において、積層方法が使用可能である。有利には、本明細書に記載される作製プロセスは、金属酸化物皮膜の現在の作製とは対称的に、真空蒸着を必要としない。代わりに、作製プロセスは、従来の溶解処理器具を使用して実行可能である。さらに、作製プロセスは、透明導電体の直接的なパターンに適合する。
(ナノワイヤ蒸着および透明導電体作製)
特定の実施形態において、本明細書に記載される透明導電体を作製する方法は、複数の金属ナノワイヤを基板上に蒸着するステップであって、その金属ナノワイヤが流体で分散されるステップと、その流体を乾燥させて金属ナノワイヤ網層を基板上に形成ステップとを含む。
金属ナノワイヤは、上記のように調製可能である。金属ナノワイヤは、一般的に、蒸着しやすいように流体に分散される。本明細書で使用される際、「蒸着」および「被覆」はほぼ同じ意味で使用されることが理解されたい。金属ナノワイヤが安定分散(「金属ナノワイヤ分散」とも呼ばれる)を形成可能ないかなる非腐食性流体も使用可能である。好ましくは、金属ナノワイヤは、水、アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、または芳香族溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)において分散される。さらに好ましくは、その流体は、揮発性であり、200℃以下、150℃以下、または100℃以下の沸点を有する。
さらに、金属ナノワイヤ分散は、粘度、腐食、接着、およびナノワイヤ分散を制御するために、添加剤および結合剤を含んでもよい。適切な添加剤および結合剤の例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンゴム(XG)、およびエトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド、および酸化プロピレンなどの界面活性剤、およびそれらの共重合体、スルホン酸塩、硫酸塩、ジスルホン酸塩、塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、およびふっ素系界面活性剤(例えば、DuPont社のZonyl(登録商標))が挙げられるがそれだけに限定されない。
一例において、ナノワイヤ分散または「インク」には、重量0.0025%から0.1%の界面活性剤(例えば、好適な範囲は、Zonyl(登録商標) FSO−100で0.0025%から0.05%である)、0.02%から4%の粘度調整剤(例えば、好適な範囲は、HPMCで0.02%から0.5%である)、94.5%から99.0%の溶媒、および0.05%から1.4%の金属ナノワイヤが含まれる。適切な界面活性剤の代表例として、Zonyl(登録商標) FSN、Zonyl(登録商標) FSO、Zonyl(登録商標) FSH、Triton(x100、x114、x45)、Dynol(604、607)、n−Dodecyl b−D−maltoside、およびNovekが挙げられる。適切な粘度調整剤の例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、キサンタンゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。適切な溶媒の例として、水およびイソプロパノールが挙げられる。
上記分散内のナノワイヤの密度は、例えば厚さ、導電性(表面導電性を含む)、光透過性、およびナノワイヤネットワーク層の機械的性質等のパラメータに影響を与えたり、決定したりし得る。溶媒の比率は、分散内のナノワイヤの所望の密度を提供するために調整され得る。しかしながら、好適な実施形態において、その他の成分の相対比率は変更しない。具体的には、粘度調整剤に対する界面活性剤の比率は、好ましくは、約80から約0.01の範囲内であり、金属ナノワイヤに対する粘度調整剤の比率は、好ましくは、約5から約0.000625の範囲内であり、ならびにに界面活性剤対する金属ナノワイヤの比率は、好ましくは、約560から約5の範囲内である。分散成分の比率は、使用される基板および用途の方法に応じて修正してもよい。ナノワイヤ分散の好適な粘度の範囲は、約1から100cPまでである。
任意で、基板は、ナノワイヤのその次の蒸着を十分に受けるために、前処理されて、表面を調製することができる。表面前処理は多くの機能の役割を果たす。例えば、表面前処理によって、均一なナノワイヤ分散層の蒸着が可能になる。さらに、表面前処理によって、次の処理工程のためにナノワイヤを基板に固定することが可能になる。さらに、前処理は、ナノワイヤのパターン蒸着を形成するために、パターン工程と併用して実行可能である。以下により詳しくさらに説明されるように、前処理には、適切な化学またはイオン状態をナノワイヤ蒸着に提示するために、任意でパターン化される中間層の溶媒または化学薬品洗浄、加熱、蒸着に加え、プラズマ処理、紫外オゾン処理、またはコロナ放電などの表面処理がさらに含まれる。
蒸着後、流体は蒸発によって除去される。蒸発は、加熱(例えば、焼成)によって促進可能である。結果としてもたらされるナノワイヤ網層は、電気的に導電性を付与するために後処理を必要としてもよい。本後処理は、以下に記載されるように、熱、プラズマ、コロナ放電、紫外オゾン、または圧力への暴露を伴うプロセス工程であることが可能である。
特定の実施形態において、本明細書に記載される透明導電体を作製する方法は、複数の金属ナノワイヤを基板上に蒸着するステップであって、その金属ナノワイヤが流体で分散されるステップと、その流体を乾燥させて金属ナノワイヤ網層を基板上に形成ステップと、その金属ナノワイヤ網層にマトリクス材を被覆するステップと、マトリクスを形成するためにそのマトリクス材を硬化するステップとを含む。
「マトリクス材」は、本明細書で定義されるように、マトリクスに硬化可能な材料または材料の組み合わせを言及する。「硬化する」または「硬化」は、単量体または部分的な高分子(150単量体未満)が、重合および/または架橋して、固体高分子マトリクスを形成するプロセスを言及する。適切な重合条件は、当技術分野においてよく知られており、一例として、可視光線または紫外線、電子線、および同様なものによる単量体の加熱、単量体の照射が含まれる。さらに、溶媒除去によって同時にもたらされる高分子/溶媒系の「凝固」も、「硬化」の意味に含まれる。
硬化の度合いは、単量体の初期の密度と架橋の量とを選択することによって制御され得る。これはさらに、重合が可能な時間や重合が実行される温度等の硬化パラメータを調整することによって操作され得る。特定の実施形態において、特に硬化されたマトリックスは、硬化プロセスを抑えるために、除去され得る。効果または重合の度合いは、例えば硬化高分子の分子量によって、または、反応化学種を示す波長での光吸収性によって、監視され得る。
したがって、特定の実施形態において、マトリクス材は、全体的または部分的に硬化され得る高分子を含む。光学的に透明な高分子は、当技術分野において既知である。適切な高分子マトリクスの例として、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、およびポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、およびポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ−シリコン−エポキシ、ポリオレフィン、(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコンおよびその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、シリコン−シロキサン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、およびフッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、またはポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、および炭化水素オレフィン(例えば、Lumiflon(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子のCYTOP(登録商標)またはデュポンのTeflon(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
その他の実施形態において、マトリクス材はプレポリマーを含む。「プレポリマー」は、本明細書で記載されるように、重合および/または架橋して高分子マトリクスを形成可能な、単量体の混合物またはオリゴマーまたは部分的な高分子の混合物を言及する。当技術分野に精通する者は、所望の高分子マトリクスの観点から適切な単量体または部分的な高分子を選択することについて認識している。
好適な実施形態において、プレポリマーは光硬化型であり、つまり、プレポリマーは、照射に暴露されて重合および/または架橋する。より詳しく説明されるように、光硬化型なプレポリマーに基づくマトリクスは、選択領域において照射に暴露することによってパターン化されることができる。その他の実施形態において、プレポリマーは熱硬化型であり、熱源に選択的に暴露することによってパターン化されることができる。
一般的に、マトリクス材は流体である。マトリクス材は、任意で溶媒を含んでもよい。マトリクス材を効果的に溶媒和または分散するいかなる非腐食性溶媒も使用可能である。適切な溶媒の例として、水、アルコール、ケトン、テトラヒドロフラン、炭化水素(例えば、シクロヘキサン)、または芳香族溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)が挙げられる。さらに好ましくは、溶媒は、揮発性であり、200°C以下、150°C以下、または100°C以下の沸点を有する。
特定の実施形態において、マトリクス材は、架橋剤、重合開始剤、安定剤(例えば、酸化防止剤および製品寿命長期化のための紫外線安定剤、および保存期間改善のための重合防止剤)、界面活性剤、および同様なものを含んでもよい。その他の実施形態において、マトリクス材は、腐食防止剤をさらに含んでもよい。
本明細書で述べられるように、透明導電体は、例えば、シート被覆、ウェブ被覆、印刷、および積層によって作製可能である。
(a)シート被覆
シート被覆は、いかなる基板上、具体的には剛性基板に導電層を被覆することに適している。
図13A〜13Bは、シート被覆による透明導電体の作製の実施形態を示す。金属ナノワイヤ分散(図示せず)は、基板14にまず蒸着可能である。ローラー100は、基板14の上面105で回転し、金属ナノワイヤの分散層110を上面105上に置く(図13A)。層110は、乾燥可能になり、金属ナノワイヤ網層114が、表面105上に形成される(図13B)。
基板は、次のプロセス工程で基板に接着する均一なナノワイヤ分散層110の蒸着を可能にするために、前処理を必要としてもよい。本処理には、適切な化学またはイオン状態をナノワイヤ蒸着に提示するために、任意でパターン化される中間層の溶媒または化学薬品洗浄、加熱、蒸着に加え、プラズマ処理、紫外オゾン処理、またはコロナ放電などの表面処理がさらに含まれる。
例えば、中間層は、ナノワイヤを固定するために、基板の表面に蒸着可能である。中間層は、基板を機能的にして修正することによって、ナノワイヤと基板との接着を促進する。特定の実施形態において、中間層は、ナノワイヤに蒸着する前に基板上に被覆可能である。その他の実施形態において、中間層は、ナノワイヤと同時に蒸着可能である。
特定の実施形態において、ポリペプチドなどの多機能生体分子が、中間層として使用可能である。ポリペプチドは、ペプチド(アミド)結合によって接合されるアミノ酸(単量体)の高分子配列を言及する。ポリペプチドにおけるアミノ酸単量体は、同一または異なることができる。側鎖官能基を有するアミノ酸(例えば、アミノまたはカルボン酸基)が好ましい。適切なポリペプチドの例として、ポリ−L−リジン、ポリ−L−グルタミン酸、および同様なものが挙げられる。ポリペプチドは、ナノワイヤ蒸着前に基板上に被覆可能である。あるいは、ポリペプチドは、ナノワイヤ蒸着と同時に基板に蒸着可能である。ガラス、ポリエステル基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を含む基板の多くは、ポリペプチドに対して親和性を示す。
有利には、中間層は、同一のパターンに基づきナノワイヤの蒸着を可能にする既定のパターンで蒸着可能である。
その他の処理方法も、パターン蒸着を実行する目的で、パターン化工程と併用して実行可能である。例えば、プラズマ表面処理は、所望のパターンを有するアパーチュアマスクを介して実行可能である。したがって、基板の表面は、少なくとも一つの前処理領域および少なくとも一つの未処理領域を備える。前処理領域に蒸着されるナノワイヤは、未処理領域に接着するよりもうまく基板に接着する。したがって、パターン蒸着は、未処理領域のナノワイヤを、例えば、洗浄して除去することによって達成可能である。
上記の前処理は、以下の説明に準じて透明導電体を作製するその他の方法にも適用することが理解されたい。
形成されるナノワイヤ網層は、電気的に導電性を付与するために後処理をさらに必要としてもよい。本後処理は、以下にさらに詳しく説明されるように、熱、コロナ放電、紫外オゾン、または圧力への暴露を伴うプロセス工程であることが可能である。
いくつかの実施形態において、マトリクス材は、ナノワイヤ網層114上に被覆されて、マトリクス材層116を形成することができる(図13C)。図13Dに示されるように、マトリクス材層116は、図10A〜10Eのマトリクスおよび構造を得るために硬化可能である。
ブラシ、スタンプ、スプレー塗布器、スロットダイ塗布器、またはその他のいかなる適切な塗布器も、ローラー100の代わりに使用可能であることが理解されたい。さらに、以下にさらに説明されるように、正逆グラビア印刷、スロットダイ被覆、正逆ビード被覆、およびドローダウンテーブルも、ナノワイヤを基板に蒸着するのに使用可能である。有利には、既定のパターンの陥凹を有するローラーまたはスタンプが、パターン化される金属ナノワイヤ分散層またはマトリクス材層を被覆して、パターン化される導電層を印刷する(例えば、グラビア印刷)ために使用可能である。また、導電層は、アパーチュアマスクを介してナノワイヤまたはマトリクス製剤を基板に噴射することによって、パターン化が可能である。マトリクス材層がパターン化層に蒸着または硬化される場合、パーコレーション閾値以下にナノワイヤの密度を落とすために、十分な数のナノワイヤを取り除くことによって金属ナノワイヤ層に転写可能である。ナノワイヤは、適切な溶媒で洗浄またはブラッシングすること、または粘着性または接着性のあるローラーに移行することにより除去可能である。
付加的な蒸着または被覆が実行可能であると共に、二つの連続的な被覆工程の間に乾燥または硬化可能であることがさらに理解されたい。例えば、いかなる数の性能向上層も、上記と同一の方法で被覆可能である。
(b)ウェブ被覆
ウェブ被覆は、高速(高スループット)被覆用途のために、繊維産業および製糸業において用いられてきた。それは、透明導電体作製の蒸着(被覆)プロセスと一致する。有利には、ウェブ被覆は、従来の器具を使用し、完全に自動化可能であるため、透明導電体の作製のコストを大幅に削減する。具体的には、ウェブ被覆によって、均一かつ再生可能な
導電層が柔軟性を有する基板に生産される。プロセス工程は、完全に統合したラインまたは別々の動作として連続的に作動可能である。
図14Aは、膜またはウェブの形状の柔軟性を有する基板が、動作経路に沿って連続的に被覆可能である実施形態を示す。より具体的には、リール118に取付けられた基板14は、モーター(図示せず)によって引張され、移動経路120に沿って動く。基板は、直接、またはコンベヤーベルトシステム(図示せず)を介してリールに供給可能である。貯蔵タンク122は、基板14の上に位置する。貯蔵タンク122は、金属ナノワイヤ蒸着のための金属ナノワイヤ分散124を含む。貯蔵タンク122の開口部128は、金属ナノワイヤ分散132の連続的な流れを基板14に放出し、基板14の上面105上に層110を形成する。
マトリクス材が別の貯蔵タンク(図示せず)に保管され、マトリクス材が上記と同じ方法で被覆可能であることが理解されたい。
噴射装置(例えば、圧縮分散を放出する噴霧器)、ブラッシング装置、注入装置、および同様なものを含むいかなる調剤装置も、貯蔵タンクの代わりに使用可能であることがさらに理解されたい。シート被覆のように、印刷装置も、パターン化被覆を提供するために使用可能である。
図14Bは、基板の底面で被覆が実行されるウェブ被覆の代替方法を示す。図14Aに示される方法のように、基板14は移動経路120に沿って動く。被覆ローラー140は、基板の下に位置し、貯蔵タンク122に貯蔵される金属ナノワイヤ分散124に部分的に浸される。被覆ローラー140は、金属ナノワイヤ分散層110を基板14の底面144に放出する。被覆ローラー140は、移動経路120の方向または反対方向に回転することができる。マトリクス材の被覆は、同一の方法で実行可能である。
図14Aおよび14Bに記載されるプロセスにおいて、さまざまな表面処理が、各蒸着工程の前または後に適用可能であることが留意されたい。以下にさらに詳しく記載されるように、表面処理によって、形成される導電層の透明性および/または伝導性を向上することができる。適切な表面処理には、溶媒または化学薬品洗浄、プラズマ処理、コロナ放電、紫外オゾン処理、または加圧処理、およびその組み合わせなどが含まれるがそれだけに限定されない。
図15Aは、透明導電体を作製する総合的なプロセス流れを示す。図示されるように、ウェブ被覆システム146は、モーター(図示せず)によって駆動される巻き取りリール147を備える。巻き取りリール147は、移動経路150に沿って、基板14(例えば、柔軟性を有する高分子膜)を繰り出しリール148から引張する。次に、基板14は、移動経路150に沿って順次処理および被覆プロセスを受ける。リール速度、蒸着速度、マトリクス材密度、ならびに乾燥および硬化プロセスの適正は、形成される導電層の均一性および厚さを決定する要因に含まれることが、当技術分野に精通する者にとって明白であろう。
さらに、特定の実施形態において、前処理は、次の被覆プロセスのために基板を調製するために実行される。さらに具体的には、基板14は、前処理機構160で任意で表面処理され、次のナノワイヤ蒸着の効率を改善可能である。さらに、蒸着前の基板の表面処理により、後に蒸着されるナノワイヤの均一性を向上することができる。
表面処理は、当技術分野における既知の方法によって実行可能である。例えば、プラズマ表面処理は、基板の表面の分子構造を修正するために使用可能である。アルゴン、酸素、または窒素などの気体を使用して、プラズマ表面処理は、低温で極めて反応性の高いものを生成することができる。一般的に、基板上のわずかな原子層がプロセスに含まれて、基板(例えば、高分子膜)のバルク特性が、化学反応によって変化しないようにする。多くの事例において、プラズマ表面処理によって、湿潤および接着結合の改善のための十分な表面活性化がもたらされる。実例として、酸素プラズマ処理が、150W、30秒、O2流れ:62.5sccm、圧力:〜400mTorrである動作パラメーターを使用して、March PX250システムにおいて実行可能である。
その他の実施形態において、表面処理には、中間層を基板に蒸着することも含んでもよい。上述のように、中間層は、一般的に、ナノワイヤと基板との両方に対して親和性を示す。したがって、中間層は、ナノワイヤを固定し、ナノワイヤが基板に接着するようにすることができる。中間層として適切な代表的な材料として、ポリペプチド(例えば、ポリ−L−リジン)を含む多機能生体分子が含まれる。
その他の例示的な表面処理には、溶媒、コロナ放電、および紫外オゾン処理による表面洗浄が含まれ、その全ては、当技術分野に精通する者に既知である。
その後、基板14は、本明細書に定義されるように、金属ナノワイヤ分散166を放出する金属ナノワイヤ蒸着機構164に進む。蒸着機構は、図14Aに記載されるような貯蔵タンク、噴霧装置、ブラッシング装置、および同様なものであることが可能である。金属ナノワイヤ分散層168は、表面105に蒸着される。あるいは、印刷装置は、金属ナノワイヤ分散の基板上のパターン化被覆を適用するために使用可能である。例えば、既定のパターンの陥凹を有するローラーまたはスタンプが使用可能である。スタンプまたはローラーは、当技術分野の既知の方法によって、金属ナノワイヤ分散に連続的に浸されることができる。
層168は、洗浄機構172において任意で洗浄可能である。その後、層168は、乾燥機構176において乾燥されて、金属ナノワイヤ網層180を形成する。
任意により、網層180は、後処理機構184において処理可能である。例えば、金属ナノワイヤのアルゴンまたは酸素プラズマによる表面処理により、網層180の透明性および伝導性が改善可能である。実例として、ArまたはN2プラズマは、300W、90秒(または45秒)、ArまたはN2気体流れ:12sccm、加圧〜300mTorrの動作パラメーターを使用して、March PX250システムにおいて実行可能である。コロナ放電または紫外オゾン処理などのその他の既知の表面処理も使用されてもよい。例えば、Enerconシステムは、コロナ処理に使用可能である。
後処理の一部として、網層は、さらに加圧処理可能である。より具体的には、網層180は、網層180の表面185に圧力を加えるローラー186および187を介して供給される。単一のローラーも使用可能であることが理解されたい。
有利には、本明細書に記載の方法に準じて作製される金属ナノワイヤ網への加圧によって、導電層の伝導性を高めることができる。
具体的には、圧力は、一つ以上のローラー(例えば、円筒棒)を使用して、本明細書に記載の方法に準じて作製される導電性シートの透明導電体の片側または両側の表面に加えられてもよいが、そのローラーの一つまたは両方は、導電層の幅寸法より大きい長さ寸法を有する必要はない。単一のローラーが使用される場合、網層は、剛性基板に配置されてもよく、単一のローラーは、ローラーに圧力が加えられる間に、既知の方法を使用して導電層の露出表面で回転する。二つのローラーが使用される場合、図15Aに示されるように、網層は二つのローラー間を回転してもよい。
一実施形態において、50から10,000psiが、一つ以上のローラーによって透明導電体に加えられてもよい。100から1000psi、200から800psi、または300から500psiが加えられてもよいことも考えられる。好ましくは、圧力は、いかなるマトリクス材の適用前に透明導電体に加えられる。
導電性シートに圧力を加えるために二つ以上のローラーが使用される場合、「ニップ」ローラーまたは「ピンチ」ローラーが使用されてもよい。ニップロローラーまたはピンチローラーは、当技術分野においてよく理解されており、例えば、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる3M Technical Bulletinの2004年3月「Lamination Techniques for Converters of Laminating Adhesives」において説明されている。
金属ナノワイヤ網層への加圧により、上記プラズマ処理の適用前または後に、その伝導性が改善され、前のまたは次のプラズマ処理の適用するしないにかかわらず実行されてもよいことが分かった。図15Aに示されるように、ローラー186および187は、網層180の表面185で、単数回または多数回、回転してもよい。ローラーが、網層180で頻繁に回転する場合、その回転は、シートの回転表面に平行な軸に対して同一方向(例えば、移動経路150に沿って)または異なる方向(図示せず)で実行されてもよい。
図15Bは、ステンレス鋼のローラーを使用して約1000psiから約2000psiを加圧した後の、金属ナノワイヤ導電網810の一部のSEM画像である。導電網810は、交差点812a、812b、および812cなどの複数のナノワイヤ交差点を含む。図示されるように、少なくとも上側のナノワイヤ814、816、および818は、交差点812a、812b、および812cの各々において、加圧によって交差するワイヤが相互に圧迫された、ナノワイヤ導電網の伝導性だけでなく連結性が向上する平坦な交差部分を有する。
本段階で、後処理として加熱が使用されてもよい。一般的に、透明導電体は、80℃から250℃で最大10分間のあらゆる範囲において暴露され、より好ましくは、100℃から160℃で約10秒から約2分間のあらゆる範囲において暴露される。透明導電体は、250℃より高い温度に暴露可能で、基板の種類に応じて400℃まで上げることもできる。例えば、ガラスの基板は、約350℃から400℃までの温度範囲で加熱処理可能である。しかしながら、高温(例えば、250℃より高い)による後処理は、窒素または希ガスなどの非酸化的雰囲気の存在を必要とする。
加熱は、オンラインまたはオフラインで実行可能である。例えば、オフライン処理において、透明導電体は、既定の時間、一定の温度に設定されるシート乾燥炉に配置可能である。そのような方法による透明導電体の加熱により、本明細書に記載のように作製される透明導電体の伝導性が改善可能である。例えば、本明細書で記載されるリール間プロセスを使用して作製される透明導電体は、200℃の温度で30秒間の設定でシート乾燥炉に配置された。本加熱後処理前、透明導電体の表面抵抗率は、約12kΩ/□であったが、後処理後、約58Ω/□に低下した。
別の例において、第二の同様に調製される透明導電体は、シート炉において100℃で30秒間加熱された。第二の透明導電体の抵抗率は、約19kΩ/□から約400Ω/□に低下した。透明導電体は、シート炉以外の方法を使用して加熱されてもよいことも考えられる。例えば、赤外線ランプは、透明導電体を加熱するためのインラインまたはオフライン方法として使用可能である。RF電流も、金属ナノワイヤ網を加熱するために使用されてもよい。RF電流は、マイクロ波放射またはナノワイヤ網への電気接触を介して誘導される電流により金属ナノワイヤ網に誘導されてもよい。
さらに、透明導電体に加熱と加圧との両方を適用する後処理が使用可能である。具体的には、加圧のために、透明導電体は、上記のように一つ以上のローラーを介して配置可能である。同時に加熱するために、ローラーが加熱されてもよい。ローラーによる加圧は、好ましくは、10から500psiであり、さらに好ましくは、40から200psiである。好ましくは、ローラーは、約70℃と200℃との間に加熱され、より好ましくは、約100℃と175℃との間に加熱される。加圧と併用して加熱することにより、透明導電体の伝導性を改善することができる。加圧と加熱を同時に行なうために使用されてもよい機械は、カリフォルニア州テメキュラのBanner American Products社のラミネーターである。加圧と併用した加熱は、以下に記載されるように、マトリクスまたはその他の層の蒸着および硬化前または後に実行可能である。
透明導電体の伝導性を高めるために使用可能な別の後処理技術は、本明細書で開示されるように作製される透明導電体の金属ワイヤ導電網を、金属還元剤に暴露することである。具体的には、銀ナノワイヤ導電網は、好ましくは、水素化ホウ素ナトリウムなどの銀の還元剤に、好ましくは、約10秒から約30分の、さらに好ましくは、約1分から約10分のあらゆる範囲で暴露可能である。当技術分野において通常の技術を有する者に理解されるように、そのような暴露はインラインまたはオフラインで実行可能である。
上述のように、このような処理によって、透明導電体の伝導性を高めることができる。例えば、PET基板上の、本明細書に開示されるリール間方法に準じて調製された銀ナノワイヤの透明導電体は、2%のNaBH4に1分間暴露されて、水中で洗浄されて、空気中で乾燥された。後処理前、透明導電体の抵抗率は、約134Ω/□であったが、本後処理後、透明導電体の抵抗率は、約9Ω/□になった。別の例において、ガラス基板上の銀ナノワイヤの透明導電体は、2%のNaBH4に7分間暴露されて、水中で洗浄されて、空気中で乾燥された。後処理前、透明導電体の抵抗率は、約3.3MΩ/□であったが、本後処理後、透明導電体の抵抗率は、約150Ω/□になった。水素化ホウ素ナトリウム以外の還元剤が、本後処理のために使用可能である。その他の適切な還元剤として、水素化ホウ素ナトリウムなどのその他のホウ化水素、ジメチルアミノボレン(DMAB)などのホウ素窒素化合物、および水素ガス(H2)などのガス還元剤が含まれる。
その後、基板14は、本明細書で定義されるようなマトリクス材190を放出するマトリクス蒸着機構188に進む。マトリクス蒸着機構188は、図14Aに記載されるような貯蔵タンク、噴霧装置、ブラッシング装置、印刷装置、および同様なものであることが可能である。マトリクス材192の層は、網層180に蒸着される。有利には、マトリクス材は、パターン化層を形成するために、印刷装置によって蒸着可能である。
層192は、次に、硬化機構200において硬化することができる。マトリクス材が高分子/溶媒系である場合、層192は、溶媒を蒸発することによって硬化可能である。硬化プロセスは、加熱(例えば、焼成)によって促進可能である。マトリクス材が、照射硬化型プレポリマーを含む場合、層192は、照射によって硬化可能である。プレポリマーの種類によって、熱硬化(熱によって誘発される重合)も使用可能である。
任意で、マトリクス材192の層が硬化される前にパターン化工程が実行可能である。パターン化機構198は、マトリクス蒸着機構188の後かつ硬化機構200の前に配置可能である。パターン化工程は、以下にさらに詳しく説明される。
硬化プロセスは、マトリクス210に金属ナノワイヤ網層180を含む導電層204を形成する。導電層204は、後処理機構214によってさらに処理可能である。
一実施形態において、導電層204は、導電層の表面上の金属ナノワイヤの一部を露出するために、後処理機構214において表面処理可能である。例えば、微量のマトリクスは、溶媒、プラズマ処理、コロナ放電、または紫外オゾン処理によってエッチング処理される。露出された金属ナノワイヤは、特に、タッチスクリーン用途に有用である。
別の実施形態において、金属ナノワイヤの一部は、硬化プロセス後、表面に露出され(図10Cおよび10Dも参照)、エッチング工程は必要ない。具体的には、マトリクス材層192の厚さおよびマトリクス形成の表面張力が適切に制御される場合、マトリクスは、金属ナノワイヤ層の上部をぬらさず、金属ナノワイヤの一部は、導電層の表面に露出される。
導電層204および基板14は、次に、巻き取りリール147によって引張される。作製のこの流れプロセスは、「リール間」または「ロール間」プロセスとも呼ばれる。任意で、基板は、コンベヤーベルトに沿って移動することによって安定化可能である。
「リール間」プロセスににおいて、動く基板の移動経路に沿って多くの被覆工程が実行可能である。したがって、ウェブ被覆システム146は、カスタマイズ可能であり、または、必要に応じてあらゆる数の追加の被覆機構も組み込むように構成可能である。例えば、性能向上層の被覆(反射防止、接着、障壁、防眩、保護の層または膜)は、完全に流れプロセスに統合可能である。
有利には、リール間プロセスにより、高速かつ低コストで均一な透明導電体を生産可能である。具体的には、被膜プロセスの連続的な流れにより、被覆される層には立ち上がり端部がない。
(c)積層
その多用途性をよそに、「リール間」プロセスは、ガラスなどの剛性基板と適合しない。剛性基板は、シート被覆によって被覆可能であり、コンベヤーベルト上で運ばれることが可能であるが、一般的に、端部欠けおよび/または均一性の欠如が認められる。さらに、シート被覆は、スループットプロセスがより低く、生産コストを大幅に増加させる可能性がある。
したがって、柔軟性を有するドナー基板を使用することによって透明導電体を作製するための積層プロセスが本明細書に記載される。本プロセスは、剛性の基板および柔軟性の基板の両方に適合する。より具体的には、積層プロセスは、柔軟性を有するドナー基板上に導電層を被覆するステップであって、その導電層は、マトリクス内に埋め込まれる複数の金属ナノワイヤを含むステップと、柔軟性を有するドナー基板から導電層を分離するステップと、導電層を選択の基板に移行するステップとを含む。有利には、柔軟性を有するドナー基板への被覆工程は、ドナー基板が柔軟性を有するため、リール間プロセスによって実行可能である。そうして形成された導電層は、次に、通常の積層プロセスによって剛性または柔軟性であることが可能な選択の基板に移行可能である。ナノワイヤのみが柔軟性を有するドナー基板に蒸着される場合ならびにマトリクス材が使用されない場合、選択の基板に導電層を装着するために積層接着が使用されてもよい。
「柔軟性を有するドナー基板」は、シート、膜、および同様なものの形状である柔軟性を有する基板を言及する。柔軟性を有するドナー基板は、導電層から分離可能であるということに特に限定されない。柔軟性を有するドナー基板は、本明細書に記載されるいかなる柔軟性を有する基板であってもよい。さらに、柔軟性を有するドナー基板は、織布または不織布、紙、および同様なものであることが可能である。柔軟性を有するドナー基板は、任意により透明である必要はない。
特定の実施形態において、柔軟性を有するドナー基板は、導電層の被覆前に剥離層によって事前に被覆可能である。「剥離層」は、ドナー基板に接着され、その上に導電層がウェブ被膜によって形成可能である薄層を言及する。剥離層により、導電層を損傷することなく、導電層からのドナー基板の取り外しが確実に容易になる。一般的に、剥離層は、低表面エネルギーを有する材料から形成され、シリコンベースの高分子、フッ素化高分子、でんぷん、および同様なものを含むがそれだけに限定されない。
図16Aは、柔軟性を有するドナー基板240、柔軟性を有するドナー基板240上に被覆される剥離層244、および剥離層244上に被覆される導電層250を備える、積層構造230の例を示す。
積層構造230は、柔軟性を有するドナー基板を使用して、図15Aに関連して記載された方法と同じように作製可能である。金属ナノワイヤの蒸着前に、剥離層244が、柔軟性を有するドナー基板上に蒸着または被覆される。導電層250は、金属ナノワイヤの蒸着によって形成可能であり、その後、本明細書に記載されるようにマトリクス蒸着が続く。
次に、導電層は、選択の基板に均一に移行される。具体的には、一般的にリール間被覆プロセスに適応しない剛性基板(例えば、ガラス)が、導電層に積層可能である。図16Bに示されるように、積層構造230は、導電層250の表面262を基板260に接触させることによって、基板260(例えば、ガラス)に移行される。特定の実施形態において、高分子マトリクス(例えば、PET、PU、およびポリアクリレート)は、基板260に適切に接着する。その後、図16Cに示されるように、柔軟性を有するドナー基板240は、剥離層244を導電層250から剥離することによって、除去可能である。
その他の実施形態において、接着層が、積層工程中に、導電層と基板との間のより優れた結合を提供するために使用可能である。図17Aは、柔軟性を有するドナー基板240、剥離層244、および導電層250の他に、オーバーコート274および接着層278を備える積層構造270を示す。接着層278は接着表面280を有する。
積層構造270は、ウェブ被覆システム146が、接着層およびオーバーコート膜を被覆するための追加の機構を提供するように構成されるという理解のもと、図15Aに関連して説明されたリール間プロセスにより作製可能である。接着層は、本明細書で定義されるようなもの(例えば、ポリアクリレート、ポリシロキサン)であり、感圧、熱溶解、照射硬化型、および/または熱硬化型である。オーバーコート層は、硬質被膜、反射防止層、保護膜、障壁層、および同様なものを含む性能向上層のうちの一つ以上であることができる。
図17Bにおいて、積層構造270は、接着表面280を介して基板260と結合される.その後、図17Cに示されるように、柔軟性を有するドナー基板240は、オーバーコート274から剥離層244を剥離することによって除去される。
特定の実施形態において、接着層(または接着層がない場合は導電層)と基板との結合を強化するために、積層プロセス中に熱または圧力が使用可能である。
その他の実施形態において、柔軟性を有するドナー基板および選択の基板に対する導電層の親和性の違いにより、剥離層は必要なくなる。例えば、導電層は、織物状のドナー基板よりも、ガラス基板に対して、より高い親和性を有してもよい。積層プロセスの後、織物状のドナー基板は除去可能であるが、導電層は、ガラス基板にしっかりと結合される。
特定の実施形態において、パターン化移行が積層プロセス中に可能である。例えば、基板は、既定のパターンに応じて、基板上の加熱領域および非加熱領域を提供する温度勾配によって加熱可能である。加熱領域のみが、親和性(例えば、接着)が強化されることによって導電層に積層され、パターン化された導電層を基板上に提供する。基板上の加熱領域は、例えば、加熱される基板部分の下に配置されるニクロム線ヒーターによって生成可能である。
その他の実施形態において、パターン化移行は、特定のマトリクス材または接着剤に示される感圧親和性に基づく圧力勾配によって作用可能である。例えば、パターン化される積層ローラーは、既定のパターンに応じて異なる圧力を加えるために使用可能である。パターン化される積層ローラーは、加圧領域と非加圧領域との親和性の違いを推進するために加熱も可能である。
さらにその他の実施形態において、導電層は、積層プロセス前に、既定のパターンに応じて事前に切り込み(例えば、打抜)可能である。事前に切り込まれる導電層を基板に移行した後に、既定のパターンの導電層は保持されるが、残りは、事前に切り込まれる輪郭に沿って除去される。
(パターン化)
上述のとおり、パターン化される導電層は、パターンに応じてプレポリマー被覆を選択的に硬化することによって形成可能である。硬化プロセスは、光分解または熱によって実行可能である。図18は、導電層が光によってパターン化される実施形態を示す。より具体的には、金属ナノワイヤの網層114は、本明細書に記載される方法(例えば、図13A〜13D)に準じて基板14に蒸着される。基板14は、柔軟性を有するドナー基板をはじめとするいかなる基板でもよいことが理解されたい。
その後、プレポリマー被覆300は、金属ナノワイヤ114の網層に蒸着される。照射源310は、プレポリマー被覆を硬化するために光子エネルギーを提供する。マスク314は、プレポリマー被覆300と照射源310との間に配置される。暴露されると、照射に暴露される領域のみが硬化され(つまり、領域320)、非硬化領域324のプレポリマー被覆およびナノワイヤは、適切な溶媒で洗浄またはブラッシングされること、あるいは粘着性のあるローラーでそれらを持ち上げることによって除去可能である。
光硬化型プレポリマーは、当技術分野においてよく知られている。特定の実施形態において、光硬化型プレポリマーは、例えば、鎖延長および架橋に適した水酸化物またはヒドロキシル基などの、一つ以上の二重結合または官能基を備える単量体を含む。その他の実施形態において、光硬化型プレポリマーは、例えば、架橋および鎖延長に適した水酸化物またはヒドロキシルなどの、一つ以上の二重結合または官能基を含有する部分的な高分子またはオリゴマーを含む。
二重結合を含有する単量体の例として、アルキルまたはヒドロキシルアクリレートまたはメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル、および2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのメタクリル酸塩、イソボルニルアクリレート、メタクリル酸メチルおよびエチルメタクリル酸塩、シリコンアクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルなどのビニルエステル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル、およびハロスチレンなどのビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、および塩化ビニリデンが挙げられる。
二つ以上の二重結合を含有する単量体の例として、エチレングリコール,プロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ヘキサメチレングリコールのジアクリレート、およびビスフェノールAのジアクリレート、ならびに4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパンリン酸トリメチロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートまたはテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、コハク酸ジメチル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、またはトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
部分的なポリマーの例として、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエステル、ビニルエーテルまたはエポキシ基を含有するポリエステル、ポリウレタンおよびポリエーテル、不飽和ポリエステル樹脂が挙げられるがそれだけに限定されない。好適な実施形態において、プレポリマーはアクリレートである。用語「アクリレート」は、アクリル基を含む単量体(例えば、メタアクリレート)を意味するが、「アクリレート」はまた、アクリル基を含む単量体を重合化することによって形成される部分的なポリマーまたはポリマーをも意味する。アクリレートの例は、本明細書中で議論される。
任意で、重合および/または架橋反応を開始するために、光開始剤が使用可能である。光開始剤は、光子エネルギーを吸収し、鎖延長および架橋を含むラジカル重合のカスケードを開始するラジカルを生成する。光開始剤は、当技術分野においてよく知られている。適切な光開始剤の例として、オキシムエステル、フェニルケトン、オニウム塩、およびホスフィンオキシドが挙げられるがそれだけに限定されず、例えば、米国特許第6,949,678号、6,929,896号、および6,803,392号、N.Buhler&D.Bellus、“Photopolymers as a powerful tool in modern technology”Pure&Appl.Chem。、Vol.67、No.1、pp.25〜31、1995、J.Crivello in Advances in Polymer Science,Vol.62、pp.1〜48(1984)を参照のこと。好適な実施形態において、光開始剤は、Ciba IrgacureTM754である。一般的に、光開始剤を使用して、プレポリマー被覆は5分以内で硬化可能であり、より好ましくは30秒以内で硬化可能である。
その他の実施形態において、熱パターン化は、硬化されるマトリクス材の層の領域のみを熱源に暴露する断熱板(例えば、アパーチュアマスク)を使用して実行可能である。あるいは、マスクの無いアプローチにおいて、レーザーによる直接書き込み技術が、プレポリマー被覆層に加熱パターンを直接「書き込む」ために使用可能である。熱硬化型マトリクス材は、当技術分野に精通する者に知られている。例えば、マトリクス材は、エポキシ、樹脂、およびソルゲル複合材料であることが可能である。
光パターン化方法および熱パターン化方法の両方は、上記の「リール間」プロセスに適合する。例えば、光パターン化機構198は、図15Aに示されるように、ウェブ被覆システム146の一部であることが可能である。光パターン化機構198は、プレポリマー被覆の連続的な露出および硬化を可能にする多くの方法で構成可能である。
一実施形態において、図19Aに示されるように、回転円筒330は、光パターン化機構198の一部である(ウェブ被覆システム146は図示されない)。プレポリマー被覆300に被膜される基板14は、コンベヤーベルト332に沿って動く。回転円筒は、コンベヤーベルト332と同じ速度で回転する。照射源310は、回転円筒330内に配置される。回転転倒330の外側334が、パターン化され、穿孔され、または開口部338を備え、光がプレポリマー被覆300照射できるようにする。任意で、迷光を防止するための保護スリットまたはコリメータ340が、動く基板上に近接して配置可能である。
図19Bに示される関連の構成において、パターン化または穿孔の外部352を有するパターンベルト350が使用可能である。パターンベルト350は、ローラー354によって駆動され、そのローラーの一つは、モーター(図示せず)に接続される。パターンベルト350は、動くコンベヤーベルト332と同じ速度で動き、プレポリマー被覆300を開口部360を介して照射源310に連続的に暴露することができる。任意で、保護スリット340が使用可能である。
図20は、パターン化される導電層を基板上に形成するための部分的に統合されたシステム400を示す。システム400は、ウェブ被覆システム146に完全に統合されることができる。具体的には、光パターン化機構198は、図19Aに示されるものと同一である。光の暴露および硬化の後、プレポリマー被覆300は、選択的な領域で硬化され、いかなる非硬化のプレポリマーも除去するように洗浄機構370でさらに処理される。ここで硬化領域380および裸金属ナノワイヤ領域374を含む基板14は、回転粘着性ローラー384に移動する。粘着性ローラー384は、裸金属ナノワイヤ領域374に接触して、それを除去する。裸金属ナノワイヤの除去後、基板は、非導電性領域386の間の導電性領域380で被覆される。
さらなる実施形態では、導電層は、エッチングすることによって、パターン化することができる。導電層の組成物に応じて、種々のエッチング液を使用して、非マスク領域内の導電層の一部を溶解し、除去することができる。
一実施形態では、硝酸(HNO3)を含む酸性エッチング液を使用することができる。典型的には、硝酸は、0.01−40%存在し、より典型的には、硝酸は、0.01−10%存在する。酸性エッチング液は、微量(例えば、約1−100ppm)の過マンガン酸カリウム(KMnO4)をさらに含んでもよい。一実施形態では、酸性エッチング液は、約1%HNO3、1%NaNO3、および微量(100万分のいくらか)の過マンガン酸カリウム(KMnO4)を含む。エッチング液は、金属ナノワイヤを洗浄によって除去可能な可溶性金属塩に変換する。例えば、銀ナノワイヤは、銀塩(Ag+)に変換することができ、例えば、水等の溶剤によって、洗い流すことができる。
ある実施形態では、エッチング液は、完全または部分的に硬化されるポリマーから成るマトリクスに影響を及ぼす、あるいはそれを溶解しない。パターン化は、所望のパターンに従って、ポリマーマトリクス材料をナノワイヤ層上に蒸着および硬化することによって、行うことができる。マトリクスが硬化され(完全または部分的に)、許容程度の硬度および物理的形状を達成すると、マトリクスは、その中に内蔵されるナノワイヤが、後続のエッチングステップの際、エッチング除去されないように保護する。非保護領域内のナノワイヤ(マトリクス材料が重合されない、またはマトリクスが存在しない)は、エッチングおよび除去することができる。したがって、一実施形態は、導電層を基板上に形成するステップであって、導電層は、複数のナノワイヤを備える、ステップと、パターンに従って、マトリクスを導電層上に形成するステップであって、パターンは、マトリクスおよび非保護ナノワイヤによって保護されるナノワイヤを備える、ステップと、導電層をエッチングし、非保護ナノワイヤを溶解するステップと、を備える、パターン化方法を記載する。非保護ナノワイヤは、除去または定位置に残すことができる。
本明細書に記載される酸性エッチング液内のKMnO4量は、エッチング力に影響を及ぼし得ることが分かっている。例えば、酸性エッチング液内のKMnO4量は、エッチング速度に影響を及ぼし得る。典型的には、より高濃度のKMnO4は、より高速エッチングをもたらす。故に、酸性エッチング液内のKMnO4濃度を調整することによって、エッチング液の酸性度を変更せずに、エッチング効率を調節することができる。
また、酸性エッチング液内のより高濃度のKMnO4は、マトリクス内へエッチング液をより効果的に拡散させ、原位置でのナノワイヤのより高速またはより完全な溶解をもたらし得ることが認められている。例えば、実施例9、10、および11に示されるように、KMnO4がエッチング液内に20ppm未満存在する場合、マトリクス(標準厚約150nm)は、その中に内蔵されるナノワイヤが、エッチングされることを防止することができる。KMnO4量が約20ppmに増加するが、HNO3およびNaNO3濃度は一定のままである場合、エッチング液は、マトリクス(約150nm厚)内に拡散し、その中に内蔵されるナノワイヤを溶解する。
実施例11と関連して詳述されるように、厚いオーバーコート(約1μm)は、酸性エッチング液の拡散を効果的に防止し、ナノワイヤが、エッチングされるのを防止することができる一方、厚いオーバーコートによって非保護のナノワイヤ/マトリクスは、酸性エッチング液(例えば、20ppmKMnO4、1%HNO3、および1%NaNO3)によって溶解される。
したがって、一実施形態では、エッチング液は、マトリクス内に拡散し、ナノワイヤを溶解可能であるものが選択され得る。これらの実施形態では、マトリクス内にナノワイヤを備える導電層は、保護マスク(例えば、フォトレジスト)を使用することによって、エッチングすることができる。したがって、パターン化は、標準フォトリソグラフィ方法に従って行うことができ、非マスク領域内のナノワイヤは、エッチングされる。
さらなる実施形態では、非マスク領域をエッチングするステップは、第1のエッチング液を使用して、非マスク領域内のマトリクスをエッチングするステップと、第2のエッチング液を使用して、非マスク領域内のナノワイヤをエッチングするステップとを備える。例えば、第1のエッチング液(例えば、過酸化水素)を使用して、マトリクスを除去し、非マスク領域内のナノワイヤを暴露または脱保護することができる。その後、本明細書で論じられる酸性エッチング液等の第2のエッチング液を使用して、マトリクスによってもはや保護されていないナノワイヤを溶解または除去することができる。
したがって、他の実施形態は、マスクを使用して、透明導電体をパターン化する方法を記載する。マスクは、厚いオーバーコートとして作用し、下のナノワイヤ/マトリクス層を保護する。本方法は、導電層を基板上に形成するステップであって、導電層は、マトリクスと、その中に内蔵される複数の導電性ナノワイヤとを備える、ステップと、マスクを導電層上に載置し、マスク領域および非マスク領域を画定するステップと、酸性エッチング液を使用して、非マスク領域をエッチングし、パターン化された導電性領域を形成するステップとを備える。本方法は、エッチングされた領域を除去し、パターンを形成するステップをさらに備えてもよい。
エッチング効率に寄与し得る他の要因は、マトリクスの硬化度を含むが、それに限定されない。例えば、同一エッチング液および同一モノマーであると仮定すると、部分的に硬化されるポリマーによって形成されるマトリクスは、完全に硬化されるポリマーによって形成されるマトリクスよりも容易に溶解する傾向にある。パターン化後、部分的に硬化されるマトリクスは、追加硬化ステップを受け、マトリクスを完全に硬化させてもよい。
また、より効率的エッチングは、エッチング前に、透明導電体のエッチング表面を活性化することによって、達成することができる。そのような事前処理は、液体エッチング液が透明導電体のエッチング表面と接触する湿式エッチングプロセスに特に有益である。典型的には、透明導電体のエッチング表面は、ナノワイヤ/マトリクス層の上表面、または一部の例では、オーバーコート層の上表面であることができる。マトリクス層およびオーバーコート層は、下層のナノワイヤを腐食要素および剥離から保護する。その存在は、しかしながら、液体エッチング液の不十分な湿潤を生じさせ得る。透明導電体のエッチング表面を事前処理することによって、表面を活性化し、その湿潤挙動を改善することができる。その結果、液体エッチング液は、マトリクスおよび/またはオーバーコート層によって保護される金属ナノワイヤへのアクセスを得ることができる。
したがって、前述のパターン化方法は、導電層のエッチング表面を事前処理し、その湿潤挙動を改善するステップをさらに備えることができる。
湿潤挙動の変化は、水接触角測定値によって、査定することができる。水接触角とは、液体/蒸気界面が固体表面(すなわち、エッチング表面)に一致する角度を指す。典型的には、より高い水接触角は、固体表面の不十分な湿潤と相関する。表1に示されるように、処理の種類に応じて、表面処理後、水接触角は、実質的に、約50%〜80%減少する。
さらに実施例13に詳述されるように、同一強度のエッチング液の使用によって、表面処理された透明導電体のエッチング速度は、非処理の透明導電体のエッチング速度と比較して、有意に改善した。
故に、透明導電体膜は、エッチングされる領域を事前処理することによって、効率的にパターン化することができる。
さらに、エッチング液の種類および/または強度を調節することによって、実質的均一光学特性または低可視パターンを伴う、パターン化された透明導電性膜を生成することが可能である。低可視パターンを伴う、これらの透明導体は、タッチスクリーン等のディスプレイ内の構成要素として、特に有用である。
本明細書で使用されるように、「実質的に、光学的に均一」、「光学的に均一」、または「光学的均一性」とは、個別の伝導率の少なくとも2つの領域を有する、パターン化された透明導体膜の光学特性を指し、エッチングされた領域の抵抗率対エッチングされていない領域の抵抗率の比率は、少なくとも103、または少なくとも104、または少なくとも105、または少なくとも106であって、2つの領域の光透過率(T%)間の差異は、5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満、または0.5%未満、またはゼロであって、2つの領域の曇価値(H%)間の差異は、0.5%未満、0.1%未満、0.07%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.01%未満、またはゼロである。パターン化された導電性膜のエッチングされた領域とエッチングされていない領域との間の光学差異を最小限または排除する、本プロセスはまた、「低可視パターン化」とも称される。これらの範囲内では、ナノワイヤは、完全にエッチングまたは溶解されないが、エッチングされた領域内のナノワイヤネットワークは、エッチングされていない領域内のものより低導電性となっていると考えられる。対照的に、本明細書に説明される「低可視パターン化」では、導電性媒体(例えば、金属ナノワイヤ)を実質的または完全に溶解する、エッチングプロセスは、光散乱の低減によって、エッチングされた領域内に、実質的に曇価の低下をもたらし、その場合、エッチングされた領域とエッチングされていない領域との間の光学差異は、エッチングされたパターンがよりクリアに可視であれば、実質的に十分であり得る。
したがって、さらなる実施形態では、導電性層は、ナノワイヤを完全に破壊または除去せずに、非導電性領域、あるいは必ずしも非導電性ではない改変された抵抗率を有する領域を生成することによって、パターン化することができる。このように、エッチングされた領域の光学特性(すなわち、透過率および曇価)のいかなる変化も、比較的に最小であり得るが、導電性媒体(すなわち、相互接続されたナノワイヤネットワーク)の抵抗率は、所定のパターンに従って、エッチングされた領域内で改変される。より具体的には、本実施形態は、導電性層を基板上に形成するステップであって、導電性層は、マトリクスと、その中に内蔵される電気的に導電性のナノワイヤのネットワークと、を含む、ステップと、導電性層の領域を処理し、領域内の電気的に導電性ナノワイヤのネットワークの抵抗率を改変し、それによって、第1の抵抗率を有する処理領域と、第2の抵抗率を有する非処理領域と、を含む、パターン化された導電性層を形成するステップと、を含む、方法を提供する。処理領域は、非導電性にされてもよいが、そうである必要はない。本明細書で使用されるように、「非導電性」とは、少なくとも106Ω/□の表面抵抗率を指す。ある実施形態では、第1の抵抗率対第2の抵抗率の比率は、少なくとも1000である(すなわち、エッチングされた領域は、エッチングされていない領域より低導電性である)。他の実施形態では、第1の抵抗率対第2の抵抗率の比率は、少なくとも104、または少なくとも105、または少なくとも106である。
加えて、基板と、マトリクス内に内蔵される電気的に導電性のナノワイヤのネットワークを有する、パターン化された導電性層と、を含む、透明伝導体が開示される。パターン化された導電性層は、ネットワークが、第1の抵抗率を有する、透明伝導体の第1の領域と、ネットワークが、第2の抵抗率を有する透明伝導体の第2の領域と、を画定する。2つの領域間の光学特性(すなわち、透過率および曇価)変化または差異は、比較的に小さい。例えば、それぞれ、第1の領域の透過率および曇価の差異は、第2の領域よりもそれぞれ、0.7%および0.62%未満だけ異なる一方、2つの領域間の抵抗変化は、約1500Ω/□を上回るが、これに制限されるわけではない。
本明細書に記載されるように、光学的にクリアな導電性層は、処理またはエッチングされた領域の光学特性に影響を及ぼさずに、本明細書に記載されるパターン化方法に従って、処理またはエッチングすることができる。実施例14にさらに例証されるように、透過率(T%)および曇価(H%)を含む、光学特性の変化は、得られたエッチングパターンが、低可視性を有するほど、パターン化ステップ前後において、比較的に小さかった。そのような「不可視パターン化」または「低可視パターン化」方法では、導電性層は、外見上、光学的に均一のままであるが、所定のパターンに従って、非処理(または、エッチングされていない)領域内において導電性であって、処理またはエッチングされた領域は、非導電性にされる、または異なるより低い伝導率を有する。本実施形態では、ナノワイヤネットワークの抵抗率を変更するステップは、ナノワイヤ間の接続の導電率を破壊または劣化させる、あるいはナノワイヤ自体を非導電性にすることによって、達成することができるが、それらに限定されない。一実施形態では、導電性ナノワイヤネットワークを処理するステップは、導電性ナノワイヤを非導電ナノワイヤまたはより高い抵抗率を有するワイヤに化学的に形質転換するステップを備える。そのような化学的形質転換は、例えば、酸化、硫化、またはナノワイヤの下層の導電性材料を電気的絶縁材料に変換する任意の他のプロセスを含んでもよい。例えば、元素金属または金属合金(例えば、銀)によって形成される導電性ナノワイヤは、金属が、電気的絶縁および不溶性金属塩(例えば、塩化銀)に変換されると、非導電性になることできる。本実施例では、元素銀は、最初に酸化し、銀イオン(Ag+)に変換することができる。酸化は、陰イオン(例えば、Cl−)の存在下、仕上へとさらに駆動され得、正電荷を持つ銀イオンは、不溶性塩(AgCl)を形成することができる。金属イオンを不溶性金属塩内に容易に沈着させる陰イオンの他の実施例は、例えば、臭化物、ヨウ化物、および硫酸塩を含む。
好適な酸化剤の実施例は、過酸化物(例えば、過酸化水素)、過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウム)、ペルオキソ化合物(例えば、過硫酸ナトリウムまたはカリウム)、ハロゲンまたはハロゲンを基材とする酸化塩(例えば、塩素または次亜塩素酸塩)、酸化金属塩(例えば、パラジウム、マンガン、コバルト、銅、または銀塩)、7,7’,8,8’−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の有機酸化剤、および空気、酸素、オゾン等の気体酸化剤を含むが、それらに限定されない。
種々の実施形態では、以下の実施例14および15に記載されるように、酸化剤の濃度、剤の種類、および剤への暴露時間は、導電層の化学的形質転換の程度を決定し得る。強力および/またはより濃縮された酸化剤は、ナノワイヤおよびマトリクス層を溶解させ得ることが可能である(例えば、実施例14参照)。
ある実施形態では、ナノワイヤの下層の材料を導電性から低導電性または非導電性に形質変換するステップに加えて、あるいはその代わりに、ナノワイヤを物理的に脆弱させ得ることも可能である。例えば、ナノワイヤを損傷または短縮状態にさせ、それによって、その相互接続性レベルを低減してもよい。その結果、一部には、電気的絶縁材料の形成のため、一部には、ナノワイヤ間の相互接続性の破壊のため、処理領域の全体抵抗率は、非処理領域と比較して増加する。ナノワイヤの物理的構造のそのような変化は、顕微鏡レベルでのみ生じ得、したがって、導電層の肉眼的外観(例えば、光学特性)に影響を及ぼすことはないであろうことを留意されたい。故に、本明細書に記載される導電層を処理し、本明細書に記載される光学的に均一である導電性パターンを形成しもよい。
図42Aおよび42Bは、それぞれ、エッチングされた導電性膜およびエッチングされていない導電性膜の横に並べられた図を示す。前者(図42A)は、非導電性であるが、後者(図42B)と比較して、その光学特性に殆どまたは全く差異がない。また、実施例18も参照されたい。
したがって、一実施形態は、基板と、複数の相互接続ナノ構造を含む、基板上の導電性膜であって、導電性膜上のパターンが、(1)第1の抵抗率と、第1の透過率と、第1の曇価と、を有する、エッチングされていない領域と、(2)第2の抵抗率と、第2の透過率と、第2の曇価と、を有する、エッチングされた領域と、を画定する、導電性膜と、を含み、エッチングされた領域が、エッチングされていない領域より低導電性であって、第1の抵抗率対第2の抵抗率の比率が、少なくとも1000であって、第1の透過率(T%)が、第2の透過率(T%)と5%未満だけ異なる、パターン化された光学的に均一な導電性導体を説明する。
他の種々の実施形態では、第1の抵抗率対第2の抵抗率の比率は、少なくとも104、または少なくとも105、または少なくとも106である。
ある他の実施形態では、第1の透過率(T%)は、第2の透過率(T%)と4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満、または0.5%未満、またはゼロだけ異なる。
さらなる実施形態では、第1の曇価(H%)は、第2の曇価(H%)と0.5%未満、0.1%未満、0.07%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.01%未満、またはゼロだけ異なる。
エッチング液は、少なくともいくつかのナノ構造が、より短いセグメントに分割されるように、金属ナノ構造(例えば、銀ナノワイヤ)内に小カットを生成するように選択される。小カットはナノ構造の導電性を弱化させ、エッチングされた領域内の導電性膜を非導電性または低導電性にするが、エッチングされていない領域のものと比較して、エッチングされた領域の光学特性(T%および/またはH%)を著しく改変しない。
図43は、エッチングされていない領域910および部分的にエッチングされた領域920を含む、ナノワイヤ膜900を示す。部分的にエッチングされた領域内のナノワイヤは、概して、無傷であるように見えるが、しかしながら、ナノワイヤの長さに沿って、小カット930を観察することができる。
図44A(また、Sun Y.et al,Nano.Lett.3:955−960(2003)も参照されたい)に図式的に示されるように、金属ナノワイヤは、{111}ファセット(970)によって終端され、側面表面は、{100}ファセット(980)によって境界される。{100}面をエッチングすることによって、より薄いワイヤをもたらす一方、2つの端部からの{111}表面または表面上に欠陥をエッチングすることによって、短いワイヤセグメントをもたらすであろう。したがって、ナノワイヤの長さに沿って、カットを生成するために、エッチング液は、異方性エッチング、すなわち、{100}をエッチングすることなく、{111}の表面をエッチングするであろう。図45Bは、異方性エッチングのエッチング方向990を示す。
Cl−イオンは、いくつかの化学物質(CuCl2/HClおよびFeCl3/HCl)内に示され、ワイヤを非常に効率的にカットする。しかしながら、Cl−イオン自体は、エッチングされる金属の電気化学電位を上回る溶液の電気化学電位をもたらすための他の酸化剤(O2等)が存在しない限り、金属ナノワイヤをエッチング/カットすることはない。
ある実施形態では、効果的部分エッチング液は、水性または有機溶媒中に、3つの成分を含んでもよい。第1の成分は、FeCl3、CuCl2、HNO3、I2、H2O2、O2等の酸化剤であって、第2の成分は、結晶平面{111}を選択的にエッチングし、最終的に、金属ナノワイヤにカットを生成することができる、第1のアニオン(ハロゲン化物等)を提供し、第3の成分は、金属イオンと錯体を形成し、それらをエッチング液内で可溶性にする、第2のアニオンであってもよい。本明細書で使用されるように、ハロゲン化物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であってもよい。好ましいアニオンは、塩化物である。
他の実施形態では、エッチング液は、2つの成分を含んでもよく、その1つは、二官能性である。例えば、アニオン(例えば、塩化物またはヨウ化物)は、選択的にエッチングし、かつ金属イオンと可溶性錯体を形成することができる。
理論に拘束されることを所望するわけではないが、本明細書に開示されるエッチング液のエッチング化学物質は、エッチングされた金属と可溶性塩を形成する、エッチング液イオンを伴うと考えられる。実施例として、FeCl3:HClを使用する場合、銀ナノワイヤは、以下の半反応に従って、エッチングすることができると考えられる。
結果として生じたAgClは、エッチング液内に存在する、酸(例えば、HCl)中で可溶性である。
したがって、AgClは、取り除かれていないと考えられるため、AgClの不完全溶解が、エッチングされたパターンのさらなる不可視性につながる可能性がある。事後処理として、3%NH4OH溶液中での洗浄または浸漬を利用して、AgCl沈殿物を収縮または除去してもよい。加えて、または代替として、130℃でのアニーリングを利用して、AgCl沈殿物を収縮または除去してもよい。
一実施形態は、HNO3、HCl、および溶媒を含む、エッチング液を提供する。溶媒は、水、またはポリビニルアルコール(PVA)等のより濃度のある水溶液であることができる。HNO3およびHClの濃度は、大きく変動するが、部分的にエッチングされた膜を一貫して生成することができる。例えば、HNO3の濃度は、0.1%〜40%の範囲内であってもよい。ある好ましい実施形態では、HNO3の濃度は、0.8%、1.5%、3%、6%、14%、または20%であってもよい。HClの濃度は、1%〜50%の範囲内であってもよい。ある実施形態では、40:20:40重量比におけるHCl:HNO3:水を使用することができる。他の実施形態では、低濃縮HNO3を伴うエッチング液、例えば、10:1:10重量比におけるHCl:HNO3:水を使用してもよい。
塩化物イオンが、ナノワイヤをカットする役割を果たすことを確認するために、HClをNaClおよびNH4Clの同一モル量と置換することができる。部分的エッチングも同様に、達成することができるが、より高い温度およびより長い時間となる。さらに、塩化物イオンは、28%NMP、10%NH4I、1%I2、61%溶媒(水中5重量%PVA)を含む、エッチング液において実証されるように、他のハロゲン化物と置換することができる。実施例20を参照されたい。同様に、HNO3は、O2(気泡)、CuCl2(エッチング液CuCl2/HCl/H2O)、FeCl3(FeCl3/HCl/H2O)等の他の酸化剤と置換することができる。
ある実施形態では、エッチング溶液は、約12から24%CuCl2および約1.4から6.8%HCl(w/w%)を含み、エッチング溶液の残りは、水である。他の実施形態では、エッチング溶液は、約30%FeCl3および約4%HCl(w/w%)を含む。
いくつかのパラメータは、導電性面積および非導電性面積を含む、良好な不可視パターンを達成する際、重要な役割を果たす。例えば、エッチング液内の成分の濃度、エッチング時間、エッチング温度を調節することができる。典型的には、金属塩のより高い濃度および/または強酸は、エッチングのより高い比率につながる。エッチングは、典型的には、エッチング液内の低酸化剤または低温によって、非常にゆっくりであって、多くのカットをもたらすが、ワイヤは、貫通せず、接続されたままであって、かつ導電性であり得る。反対に、酸化剤のより高い濃度またはより高い温度は、ナノワイヤを切断する、より深いカットにつながるであろう。典型的には、所与のエッチング液に対して、具体的温度および時間を最適化することができる。
エッチングの程度は、エッチングされた領域の抵抗率によって、判定することができる。エッチングされた領域は、概して、エッチングされていない領域より低導電性である。例えば、エッチングされた領域の抵抗率は、エッチングされていない領域の抵抗率の少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも104倍、少なくとも105倍、または少なくとも106倍であることができる。エッチングの種々の程度は、エッチング時間および/またはエッチング液の強度(すなわち、濃度)の制御を通して、制御することができる。エッチングステップが生じる温度もまた、エッチングの割合および程度に影響を及ぼすことができる。典型的には、より高い温度におけるエッチングは、より高いエッチングの割合をもたらす。種々の実施形態では、エッチングは、約20から60oCで行われる。
別の実施形態では、低可視パターン化プロセスは、初期部分的エッチングステップおよび後続加熱ステップを含む。より具体的には、プロセスは、第1の中間抵抗率対第2の中間抵抗率の第1の比率が、1000未満である、(1)第1の中間抵抗率を有する、エッチングされていない領域と、(2)第2の中間抵抗率を有する、エッチングされた領域と、を提供するように、パターンに従って、導電性膜をエッチングするステップと、
エッチングされた領域が、第1の最終抵抗率を有し、エッチングされていない領域が、第2の最終抵抗率を有するように、導電性膜を加熱するステップであって、第1の最終抵抗率対第2の最終抵抗率の第2の比率が、少なくとも1000であって、エッチングされた領域およびエッチングされていない領域が、光学的に均一である、ステップと、
を含む。
ある実施形態では、部分的エッチングステップ後の中間抵抗率の第1の比率は、5未満または2未満である一方、加熱ステップ後の最終抵抗率の第2の比率は、少なくとも104、または少なくとも105Ω/□、または少なくとも106である。したがって、加熱ステップと組み合わせられる場合、初期エッチングステップは、後続加熱ステップが、エッチングプロセスを完了することができる程度にのみ、部分的にエッチングしてもよい。完全非導電性(例えば、少なくとも106Ω/□の抵抗率を有する)となるようにエッチングする、完全エッチングと比較して、部分的エッチングは、最終抵抗率のものより低い中間抵抗率によって反映されるように、ナノ構造にあまり損傷を及ぼさない。その結果、(部分的に)エッチングされた領域とエッチングされていない領域との間の抵抗率の第1の比率は、実質的に、完全エッチングが、達成したであろうもの(すなわち、第2の比率)より小さい。それでもなお、ナノ構造は、後続加熱プロセスによって完全に切断され、第1の比率より大きい、エッチングされた領域とエッチングされていない領域との間の抵抗率の第2の比率をもたらし得る、部分的エッチングによって、十分に損傷される。
本「加熱プロセスによるエッチング」は、部分的エッチングステップから、寸法がより小さくなる(すなわち、より薄くなる)のに伴う、溶融挙動に対するナノ構造の感度増加による可能性が高い。例えば、CuCl2溶液によるエッチングは、ワイヤの長さに沿って、非常に小さい面積内のナノワイヤの直径を減少させ、したがって、損傷されたナノワイヤは、特に、「加熱プロセスによるエッチング」によって、完全破壊の影響を受けやすい。
概して、加熱ステップは、膜導電性に反対の影響を及ぼし得るため、加熱ステップが、部分的にエッチングされた領域を低導電性または非導電性にすることは、予想外である。本明細書に説明されるように、加熱ステップは、事後処理ステップとして採用され、所与の試料の膜導電性を増加させてもよい。一方、部分的にエッチングされた膜では、部分的エッチングによって生成された損傷は、予想外にも、溶融挙動に対するナノ構造の感度を変化させ、ナノ構造を破壊の影響を受けやすくし、膜導電性の減少をもたらす。
有利には、「加熱プロセスによるエッチング」によって調製されたパターン化された導電性膜のエッチングされた領域およびエッチングされていない領域は、光学的に均一であって、低可視パターンをもたらす。部分的エッチングは、完全エッチングより低程度にナノ構造を薄化し、したがって、曇価にあまり変化をもたらさないと考えられる。さらに、付加的加熱ステップは、プロセスをより強固にする。例えば、任意の理由から、初期エッチングステップが、予想より効果的ではない場合、後続加熱ステップが、導電性膜のエッチングされた領域を低導電性または非導電性にするプロセスを完了することができる。
随意に、事前処理ステップを、エッチング表面の湿潤挙動を改善し、表面エネルギーを変化させることによって、不可視または低可視パターンを形成する前に行うことができる。論じられるように、酸素プラズマおよび紫外オゾンは、好適な事前処理の実施例である。
(ナノワイヤを基材とする透明導電体の用途)
本明細書に記載されるように、透明導電体は、現在、金属酸化膜等の透明導電体を利用する任意のデバイスを含む、種々のデバイス内の電極として使用可能である。好適なデバイスの実施例は、LCD、プラズマ表示パネル(PDP)、カラーフラットパネル表示装置のためのカラーフィルタ、タッチスクリーン、電磁遮蔽、機能性ガラス(例えば、エレクトロクロミックウインドウのため)、ELランプおよび光起電性セルを含む、光電子デバイス等のフラットパネル表示装置を含む。加えて、本明細書の透明導電体は、可撓性表示装置およびタッチスクリーン等の可撓性デバイス内で使用可能である。
(a) 液晶表示装置
LCDは、外部電場によって、光透過率を制御することによて、画像を表示するフラットパネル表示装置である。典型的には、LCDは、液晶セルのマトリクス(または、「画素」)と、画素を駆動するための駆動回路とを含む。各液晶セルは、共通電極に対し、電場を液晶セルに印加するための画素電極を備える。画素電極のそれぞれが、薄膜トランジスタ(TFT)にともに接続される場合、スイッチングデバイスとして機能する、すなわち、画素電極は、TFTを介して印加されるデータ信号に従って、液晶セルを駆動する。
TFT LCDパネルは、その間に介在される液晶セルを有する2つの基板を備える。画素電極は、各液晶セルに対し、下基板上に提供される一方、共通電極は、上対向基板の表面全体に一体的に形成される。したがって、TFTアレイ基板またはTFTバックプレーンとも称される下基板は、対応する画素電極に接続される薄膜トランジスタのアレイを備える。上対向基板は、カラーフィルタ上に被膜され得る共通電極を備え、その組み合わせは、カラーフィルタ基板と称される場合がある。
従来、画素電極は、十分な光を透過させるために、高透過性ITO膜から成る。前述のように、ITO膜は、加工費用が高く、可撓性基板上で使用される場合、亀裂を受けやすい場合がある。本明細書に記載されるナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、TFT画素電極加工の代替アプローチを提供する。
概して、本明細書に記載される薄膜トランジスタは、当該分野において任意の既知の方法に従って、加工可能である。ナノワイヤを基材とする画素電極は、ナノワイヤ透明導電体膜を有するTFTバックプレーンを被膜し、その後、パターン化ステップによって形成可能である。代替的に、透明導電体層のパターン化は、被膜前に行うこともできる。また、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜のパターン化は、本明細書に記載されるハイスループット方法に従って、達成可能である。
パターン化可能であることに加えて、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜はまた、TFT LCD製造および適用、すなわち、TFTを基材とするスイッチングデバイスの一部として、必要とされる適合性および高温抵抗を有する。
図21Aは、SEM画像であって、その表面に外形または起伏特徴を有する基板上へのナノワイヤを基材とする透明導電体膜の適合性を示す。示されるように、透明導電体膜387は、少なくとも部分的に、基板上に溝388に適合する。基板は、カラーフィルタであって、溝388は、幅約2μm〜3μmを有する。また、より大きいまたはより小さい幅の溝が、共形的に、透明導電体膜によって被覆されてもよい。例えば、最小0.1μm〜2μmおよび最大3μm以上の幅を有する溝を、共形的に被膜することができる。加えて、溝以外の外形または起伏特徴を有する基板が、少なくとも部分的に、共形的に、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜によって被膜されてもよい。例えば、制限されるものではないが、外形または起伏特徴は、ステップ、斜面、段部、および/または凹面もしくは凸面縁を含むことができる。図21Bは、図21Aの拡大画像を示す。示されるように、ナノワイヤネットワークは、無傷のままであって、溝388に適合する。図21A−21Bは、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜が、表面幾何学形状、例えば、TFTと十分に共形であることを示す。ナノワイヤネットワークが、少なくとも部分的、基板の外形または起伏特徴に適合することは、有利には、そのような外形または起伏特徴にわたる導電率を可能にし、それに適合せずに、外形または起伏特徴を単に橋設するであろう導電層よりも堅牢であり得る。ナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、LCDの加工および操作の際の温度条件に耐性を有することができる。より具体的には、その光学および電気特性は、比較的変動が少ない。図22は、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜の温度抵抗のグラフ図である。光学および電気特性(例えば、ヘイズ、透過率、およびシート抵抗)は、X軸上の時間(t)に測定した。それぞれ、ヘイズ、透過率、およびシート抵抗に対し、389、390、ならびに391として示される保持率[Y(t)/Y(0)]は、時間(t)に対し示される。3つの線はすべて、ほぼ線形であって、1に近い傾斜を有し、光学および電気特性の保持率が、試験時間枠内において、高温でほぼ一定のままであることを示す。
また、ナノワイヤを基材とする導電性膜は、共形的に、外形または起伏特徴を有する表面を被膜するその能力のため、LCD−TFTプレート内にビア接点を形成するために好適な材料である。典型的LCD−TFTプレートに対し、ビアが、不動態化層SiNx内にエッチングされ、ドレインを接続する。現在、スパッタITO膜を使用して、ビア接点が確立される。しかしながら、スパッタITO膜は、本明細書に記載されるナノワイヤを基材とする導電性膜によって置換可能である。
典型的プロセスは、金属ナノワイヤ分散(例えば、銀ナノワイヤ、HPMC、およびZonyl(R))をビア内に回転被膜させ、その後、、例えば、180℃で90秒間の後焼付ステップを備える。典型的には、ビア接点を確立するために、さらなる後処理が必要とされる。例示的後処理は、以下の方法のうちの1つ以上を含む。被膜されたビアに抗電流を流す、被膜されたビアを脱イオン(DI)水ですすぐ、アルゴン(Ar)プラズマまたは紫外オゾンで処理する、追加導電性材料で被膜する、およびワイヤ密度または寸法を調整する。
特に、DI水ですすがれた、またはArプラズマで処理されたナノワイヤ被膜ビアは、5μmの小ビア内に接点を確立したことが示される。すすぎまたはプラズマ処理は、ビア下側の電極表面ならびにナノワイヤを清掃し、それによって、電極とナノワイヤとの間のより清潔な接触を提供し、接触抵抗を低減すると考えられる。
ナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、LCD技術において現在使用されているあらゆるTFT構成と互換性がある。一般に、薄膜トランジスタは、ボトムゲート型およびトップゲート型の2つの広義のカテゴリに分類される。ボトムゲートTFTでは、ゲート電極は、活性層の下方に配置される一方、トップゲートTFTでは、ゲート電極は、活性層の上方に配置される。ボトムゲート薄膜トランジスタは、典型的には、トップゲート薄膜トランジスタと比較して、優れた信頼性を有する。これらの構造構成は、例えば、Modern Liquid Crystal Process Technologies ’99 (Press Journal, 1998, pp. 53 to 59)およびFlat Panel Display 1999 (Nikkei BP, 1998, pp. 132 to 139)に詳述されている。さらに、活性領域を形成する材料の種類に応じて、薄膜トランジスタはまた、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、および有機半導体を基材とすることができる。
図23は、一実施形態による、TFTバックプレーンのスイッチングデバイスの断面図を示す。示されるように、スイッチングデバイス394は、ボトムゲート薄膜トランジスタ396と、ナノワイヤを基材とする画素電極398とを備える。薄膜トランジスタは、基板402上に形成されるゲート電極400を含む。ゲート電極は、フォトリソグラフィによって画定される金属層(例えば、Mo−Al−Cd)であることができる。ゲート絶縁層406は、ゲート電極400上にある。薄膜トランジスタ396は、絶縁層410と、第1の半導体層414(例えば、アモルファスシリコン)と、第2の半導体層418(例えば、n+ドープアモルファスシリコン)とをさらに含み、すべて島形状構造を形成するように画定される。ソース電極422およびドレイン電極426は、チャネル430を画定し、第1の半導体層414(すなわち、活性層)の一部を暴露する。さらなる保護層434は、島構造、ソース電極、およびドレイン電極を被覆する一方、接触孔438を暴露する。保護層434は、例えば、窒化シリコン層である。ナノワイヤを基材とする透明導電体膜442は、薄膜トランジスタ396上に被膜される。ナノワイヤを基材とする透明導電体膜442は、本明細書に記載されるように、蒸着およびパターン化され、画素電極398を形成することができる。また、TFTバックプレーンの他の部分では、同一ナノワイヤを基材とする透明導電体膜442がパターン化され、信号線領域446を画定することができる。
さらなる実施形態では、前述のスイッチングデバイスは、液晶表示装置(LCD)デバイス内に組み込むことができる。
図24は、TFTバックプレーン501と、カラーフィルタ基板502とを備える、LCDデバイス500を概略的に示す。バックライト504は、偏光子508およびガラス基板512を通して、光を投影する。複数の第1の透明導電ストリップ520は、下ガラス基板512と第1の配向層522(例えば、ポリイミド層)との間に位置付けられる。各透明導電ストリップ520は、データ線524と交互する。スペーサ530は、第1の配向層522と第2の配向層532との間に位置付けられ、配向層は、その間に液晶536を挟入する。複数の第2の透明導電ストリップ540は、第2の配向層532上に位置付けられ、第2の透明導電ストリップ540は、第1の透明導電ストリップ520から直角に指向する。第2の透明導電ストリップ540は、不動態化層544、着色マトリクスのカラーフィルタ548、上ガラス基板550、および偏光子554によって、さらに被膜されてもよい。有利には、透明導電ストリップ520および540は、パターン化され、それぞれ、下ガラス基板および配向層上で積層プロセスに移行することができる。従来採用されていた金属酸化ストリップ(ITO)と異なり、費用のかかる蒸着またはエッチングプロセスを必要としない。
図25は、別の実施形態による、トップゲートTFTに基づく、LCDの断面図を示す。示されるように、LCD542は、TFT基板544と、それらの間に介在される液晶層548を伴うカラーフィルタ基板546とを有する。前述のように、TFT基板544では、薄膜トランジスタ550および画素電極552は、下透明基板554上でマトリクス構成に配列される。共通電極556は、共通電圧が供給され得、カラーフィルタ558が上透明基板560上に配置される。その間の液晶548と互いに対向する、画素電極552と共通電極556との間に印加される電圧は、液晶セル(画素)を駆動する。
下透明基板554上の画素のそれぞれに対し配置される薄膜トランジスタ550は、トップゲート型TFTであって、そのゲート電極562は、活性層564の上方に位置する。TFTの活性層564は、当該分野において既知の方法に従って、下基板554上にパターン化される。ゲート絶縁層566は、活性層564上にあって、それを被覆する。ゲート電極562に対向する活性層564の一部は、チャネル領域564cである。不純ドープを有するドレイン領域564dおよびソース領域564sは、チャネル領域564cのそれぞれの側に位置付けられる。活性層564のドレイン領域564dは、ゲート電極562を被覆する内層絶縁層568内に形成される接触孔を通して、データ線に接続され、また、ドレイン電極566としても機能する。また、絶縁層570は、データ線およびドレイン電極566を被覆するように配置される。画素電極552を形成するナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、絶縁層570上に位置付けられる。画素電極552は、接触孔を通して、活性層564のソース領域564sに接続される。第1の配向層572は、画素電極上に位置付けられてもよい。
図25は、蓄積キャパシタンス素子574をさらに示し、各画素に対し配置可能である。蓄積キャパシタンス素子は、表示内容に対応する電荷を維持し、TFTが選択されない場合、液晶キャパシタンスに印加されるはずである。したがって、画素電極552の電圧変化が維持され、1つのシーケンスの間、表示内容を不変のままとすることを可能にする。
示されるように、活性層564のソース領域564sはまた、蓄積キャパシタンス素子574の第1の電極576として機能する。蓄積キャパシタンス素子574の第2の電極578は、ゲート電極562と同時に、同一層内に形成することができる。また、ゲート絶縁層566は、第1の電極576と第2の電極578との間の誘電体として作用する。ゲート電極566(すなわち、ゲート線)および第2の電極578(すなわち、蓄積キャパシタンス線)は、並列に配列される。それらは、画素電極552から直角に指向し、画素のマトリクスを画定する。
ボトムゲートおよびトップゲートTFT構成の両方に対し、活性層は、任意の許容可能半導体材料であり得ることを理解されたい。典型的には、アモルファスシリコンは、蒸着およびパターン化ステップの容易性および経済性のため、幅広く使用される。また、多結晶シリコンも使用可能である。多結晶シリコンは、アモルファスシリコンよりも優れた電流駆動能力を有するため、スイッチングデバイス内で使用される場合、優れた性能を提供する。多結晶シリコンの低温蒸着が可能であって、多結晶シリコンを基材とするTFTを製造する代替アプローチとして報告されており、例えば、米国特許第7,052,940号を参照されたい。加えて、有機半導体材料も使用可能である。ある実施形態では、有機π共役化合物は、有機半導体材料として使用し、有機TFTの活性を形成することができる。π共役化合物は、当該分野において既知であり、ポリピロール、ポリチオフェン(C60と任意にドープされ得る)、ポリピレン、ポリアセチレン、およびポリベンゾチオフェン等を含むが、それらに限定されない。有機TFTに好適な有機半導体材料のさらなる実施例は、例えば、米国特許第7,018,872号に記載される。
本明細書で論じられるように、TFTバックプレーンは、カラーフィルタ基板に対向するLCD内に位置付けられる(例えば、図24および25参照)。カラーフィルタ基板は、典型的には、透明基板と、黒色マトリクス(または、光遮蔽層)と、着色画素のアレイとを備える。典型的には、着色画素は、あるパターンで、透明基板上に配列される。黒色マトリクスは、各着色画素の周囲にグリッドを形成する。ある実施形態では、各着色画素は、色と関連付けられる。他の実施形態では、各着色画素は、より小さな色素領域(サブ画素と称される)にさらに分割可能であって、各サブ画素は、色と関連付けられる。典型的には、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)等の原色が使用される。例えば、RGB3原色の反復アレイは、種々の色のカラー画像を生成可能である。着色画素またはサブ画素は、原色に制限されず、白色、黄色、シアン色等の他の色も使用可能である。
加えて、カラーフィルタ基板は、TFTバックプレーン内の画素電極に対する基準電極である、共通電極を備える。ある実施形態では、共通電極は、本明細書に記載されるように、ナノワイヤを基材とする透明導電体から形成可能である。
LCDの型に応じて、共通電極および単位カラーフィルタの相対位置は、TN(ねじれネマチック)型と、IPS(面内切替)型とで異なり得る。
図26Aは、一実施形態による、TN型LCD内のカラーフィルタ基板の断面図を示す。カラーフィルタ基板580は、表示表面584を有する透明基板582を含む。また、透明基板582は、最終LCD構成内のTFTバックプレーンに対するその空間関係のため、トップまたは上方透明基板と称され得る(例えば、図25の560)。カラーフィルタ基板580は、格子形状に配置される黒色マトリクス(または、光遮蔽)586をさらに含み、表示表面584と反対の透明基板582上に形成される。外部光が黒色マトリクスによって反射され、表示表面584から出射する。黒色マトリクス586は、金属酸化物および/または金属膜(例えば、クロム/クロム酸化物)から成ることができる。代替的に、黒色マトリクスは、有機樹脂から成ることができる。
カラーフィルタ基板580は、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)光を透過させるために、第1、第2、第3の着色画素588a、588b、および588c等の複数の着色画素を備えてもよい。それらは、透明基板582の少なくとも1つ部分上に形成され、黒色マトリクス586がない。第1、第2、第3の着色画素588a、588b、および588cは、例えば、顔料とともに分散される、アクリル樹脂またはポリイミド基樹脂から成り、黒色マトリクス586と別個に形成され、色の混合を防止する。原色(例えば、RGB)に加えて、カラーフィルタ基板は、他の色、例えばRGBWまたはRG1G2Bを含有してもよい。
ナノワイヤを基材とする透明導電体膜から形成される共通電極590は、着色画素588a、588b、および588c上に位置付けられる。画素電極(図示せず)に対する基準電極であるのに加えて、共通電極はまた、カラーフィルタを液晶層(図示せず)への接触から保護する。任意に、さらなる保護層591が、共通電極590上に置くこともできる。さらなる保護層は、ポリイミド等の透明絶縁体であることができる。また、そのような保護層は、配向層(例えば、図24の532参照)として機能し、例えば、約250℃での摩擦を通して、液晶の偏光方向を誘導してもよい。
図26Bは、別の実施形態による、IPS型LCD内のカラーフィルタ基板の断面図を示す。カラーフィルタ基板592は、表示表面595を有する透明基板594を含む。黒色マトリクス596は、表示表面595と反対の透明基板594上に配置される。それぞれ、R、G、およびBカラー光を透過させるための第1、第2、第3の着色画素598a、598b、および598cは、透明基板594の少なくとも1つの部分上に形成され、黒色マトリクス596がない。保護層600は、第1から第3の着色画素598a、598b、および598c上に形成され、それらを液晶(図示せず)との接触から保護する。保護層600は、典型的には、ポリイミド等の透明絶縁体である。導電性ナノワイヤを基材とする共通電極602は、透明基板594の表示表面595上に形成される。IPS表示装置の場合、共通電極602は、静電放電層として機能し、カラーフィルタプレートの帯電を回避する。
カラーフィルタ基板は、当該分野で既知の方法に従って、加工することができる。ナノワイヤを基材とする透明導電体膜の光透過率および導電率によって、型にかかわらず、LCDのカラーフィルタ基板内の代替電極材料として好適となる。ナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、本明細書に記載される方法に従って、積層構造から、市販のカラーフィルタ上に直接被膜または移送可能である。また、本明細書に記載されるように、透明導電層は、カラー・オン・アレイ表示構造または透明電極を使用する他のLCD構造内で使用可能である。
(b) プラズマ表示パネル
プラズマ表示パネルは、蛍光材料(例えば、蛍光体)をプラズマ放電によって生成される紫外線光によって励起することによって、可視光を放出する。プラズマ表示パネルは、2つの絶縁基板(例えば、ガラスプレート)を採用し、各絶縁基板は、その上に形成される電極およびバリアリブを有し、個々のセル(画素)を画定する。これらのセルは、1つ以上の不活性ガス(例えば、Xe、Ne、またはKr)で充填され、電場下、イオン化され、プラズマを生成することができる。より具体的には、アドレス電極が、後面ガラスプレートに沿って、セルの後に形成される。透明表示電極は、バス電極とともに、前面ガラスプレート上のセルの前面に搭載される。アドレス電極および透明表示電極は、互いに直交し、セルの地点で交差する。作動中、制御回路は、電極を帯電させ、前面と裏面プレートとの間に電圧差を生じさせ、不活性ガスをイオン化し、プラズマを形成させる。
金属酸化透明導電体(例えば、ITO)は、従来、上ガラスプレート上の透明表示電極として使用され、プラズマ生成可視光を通過させる。現在の処理ステップ、特に、バス電極の焼結および前面誘電層の焼成は、高処理温度(400〜550℃まで)を必要とし得る。例えば、適度の透過性を得るために、前面誘電層(表示電極およびバス電極を被覆および保護する)は、約570−580℃で焼成される。これらの温度では、ITOの抵抗率は、約3倍増加する。
ナノワイヤを基材とする透明導電体は、PDP内の表示電極に好適な電極材料である。それらは、高温(例えば、300℃)でも、電気的および光学的に安定することが実証されている。PDPのために所望される特徴サイズ(例えば、100−300μm)にパターン化可能である。特に、本明細書に記載されるハイスループット方法によって、パターン化可能である。
図27は、一実施形態による、PDPの断面図を示す。PDP606は、より小さい透明基板608と、より小さい透明基板608上に形成されるより小さい絶縁層610と、より小さい絶縁層608上に形成されるアドレス電極612と、アドレス電極612およびより小さい絶縁層610上に形成されるより小さい誘電層614と、放電セル618を画定する隔離壁616と、隔離壁616上に位置付けられる黒色マトリクス層620と、黒色マトリクス層620および隔離壁616の側面およびより小さい絶縁層608上に形成される蛍光層622と、上透明基板624と、上透明基板624上に形成され、アドレス電極612に対し直角に位置付けられる表示電極626と、表示電極626の一部上に形成されるバス電極628と、バス電極628、表示電極626、および上透明基板624上に形成される上誘電層630と、上誘電層630上に形成される保護層(例えば、MgO)632とを含む。表示電極は、導電性ナノワイヤ膜によって形成され、本明細書に記載される方法に従って、パターン化される。
ナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、光が、許容可能な効率で透過し、表示パネル上に画像を生成し得るように、透明電極が表示パネル上に位置付けられるPDPの任意の他の構成に好適であることを理解されたい。
(c) タッチスクリーン
さらなる実施形態では、本明細書に記載される透明導電体は、タッチスクリーンの一部を形成する。タッチスクリーンは、電子表示装置上に統合される双方向性入力デバイスであって、ユーザは、スクリーンをタッチすることによって、命令を入力することができる。タッチスクリーンデバイスは、典型的には、スペーサ層によって分離される2つの対向する導電層を備える。導電層は、光学的に透明であって、光および画像を透過させる。現在利用可能タッチスクリーンは、典型的には、金属酸化導電層(例えば、ITO膜)を採用する。前述のように、ITO膜は、加工のための費用がかかり、可撓性基板上で使用される場合、亀裂を受けやすい場合がある。特に、ITO膜は、典型的には、高温および真空内で、ガラス基板上に蒸着される。対照的に、本明細書に記載される透明導電体は、ハイスループット方法および低温で加工可能である。また、それらは、ガラス以外の多様な基板も考慮する。例えば、プラスチック膜等の可撓性かつ耐久性基板は、ナノワイヤによって被膜され、表面導電性となることができる。
したがって、図28は、一実施形態による、抵抗性タッチスクリーンデバイス640を概略的に示す。デバイス640は、上導電性表面648を有する第1の導電層646によって、被膜または積層される第1の基板644を備える下パネル642を含む。上パネル650は、下パネル642と反対に位置付けられ、デバイス640のそれぞれの端部で、接着封入体652および652’によって、そこから分離される。上パネル650は、第2の基板656上に被膜または積層される第2の導電層654を含む。第2の導電層654は、上導電性表面648に対向する内側導電性表面658を有し、スペーサ660上に吊設される。
ユーザが、上パネル650をタッチすると、下パネル642の内側導電性表面658および上導電性表面648が電気接点に接触する。接触抵抗が生成され、静電場内に帯電を生じさせる。コントローラ(図示せず)は、変化を感知し、実際のタッチ座標を分析し、次いで、その情報は、作動システムに転送される。
本実施形態によると、第1および第2の導電層の一方または両方が、本明細書に記載されるように、導電性ナノワイヤ層を基材とする。内側導電性表面658および上導電性表面648はそれぞれ、約10−1000Ω/y、より好ましくは、約10−500Ω/yの
範囲の表面抵抗率を有する。光学的に、上下パネルは、高透過率(例えば、>85%)を有し、画像を透過させる。
ある実施形態では、透明導電層は、保護層(例えば、誘電オーバーコート)によってさらに被膜され得、透明導電層の耐性を改善する。しかしながら、下層の金属ナノワイヤと電気接触させるステップは、接触抵抗が、介在誘電オーバーコートによって、確実に生成することができないため、問題となり得る。加えて、オーバーコート内の若干の厚さ変動さえ、膜上に非接触点をもたらし得る。したがって、これらの実施形態では、オーバーコート層は、導電性粒子を内包して、確実な電気接触を生成し、接触抵抗を改善する。
図28Aは、それぞれオーバーコートを有する2つの対向導電層を概略的に示す。より具体的には、第1の導電層646は、第1のオーバーコート647によって被膜され、第2の導電層654は、第2のオーバーコート655によって被膜される。第1および第2のオーバーコートは、導電性粒子657を埋入する。誘電オーバーコート内の導電性粒子の存在によって、その表面導電率を向上させ、下層のナノワイヤ充填導電層間との電気接続を提供する。
それぞれの下層のナノワイヤ充填透明導電層と比較して、オーバーコートは、非常に高い抵抗率にも耐用性を有し得る。電気パーコレーション閾値を上回る導電性ネットワークを形成し、面内導電率(例えば、抵抗率10−1000Ω/y)を確保しなければならない、下層の導電層646または654内のナノワイヤと異なり、オーバーコート内の導電性粒子は、電気パーコレーション閾値に到達する必要がない。例えば、オーバーコートのシート抵抗は、108Ω/(程も高くあり得る。本レベルでさえ、オーバーコートを通る抵抗率は、タッチスクリーン用途に対して十分低い。
オーバーコートは、本明細書に記載される光学的に透明なポリマーマトリクス材料のいずれかから形成可能である。オーバーコート厚は、典型的には、2μm未満または1μm未満である。典型的には、より厚いオーバーコートは、より高い接触抵抗をもたらし得る。
任意の種類のナノサイズ導電性粒子を使用可能である。導電性粒子の実施例は、本明細書に記載されるように、ITO、ZnO、ドープZnO、金属ナノワイヤ、金属ナノチューブ、またはカーボンナノチューブ(CNT)を含むが、それらに限定されない。導電性粒子のサイズは、典型的には、200nmより小さく、許容可能レベルのヘイズを維持する。より典型的には、100nmよりも小さい。導電性粒子の装填レベルがそのように低いため、その存在は、典型的には、光透過率に影響を及ぼさない。一方、導電性粒子の存在は、ある程度の表面粗度を提供し、グレアを低減するように機能してもよい。
ある実施形態では、導電性粒子は、高導電性粒子(例えば、金属ナノワイヤ)および低導電率粒子(例えば、ITOまたはZnO粉末)の混合物であることができる。金属ナノワイヤは、マトリクス内で導電性ネットワークを形成する必要がない一方(すなわち、電気パーコレーション閾値を超える)、比較的遠距離にわたって高導電路を提供する。電流は、ほとんどがこれらのナノワイヤ内に移送される一方、低導電率粒子は、ナノワイヤ間の電気接続を提供するであろう。有利には、オーバーコートのシート抵抗は、ナノワイヤ対低導電性粒子の比率を調整することによって、より広い範囲で制御可能である。ナノワイヤは、パーコレーションネットワークを形成する必要がないため、最終オーバーコートの抵抗率は、低導電率粉末単独を使用する場合よりも、ナノワイヤ濃度とより直線的関係となり、より高いシート抵抗でも安定することが期待される。金属ナノワイヤおよび導電性粉末の混合物は、一工程プロセスで、マトリクス材料と共蒸着可能である。代替的に、ニ工程プロセスでは、ナノワイヤ層は、低導電性粒子を埋入するオーバーコート層の蒸着前に、蒸着することができる(必ずしも、パーコレーションネットワークを形成せずに)。
第1および第2の基板は、本明細書に記載されるように、種々の材料であることができる。例えば、第1の基板は、剛性であることができる一方(例えば、ガラス、またはポリカーボネートまたはポリアクリレート等の剛性プラスチック)、第2の基板は、可撓性膜であることができる。代替的に、可撓性タッチスクリーン用途に対し、両基板が、可撓性膜(例えば、プラスチック)であることができる。
当該分野で既知のように、タッチスクリーンデバイスはまた、透明導電体を有する単一基板のみを含むように成されてもよく、本種類のタッチスクリーンデバイスおよび前述の2つの導電体の種類は、静電放電層として機能する第3の透明導電体を含んでもよい。本明細書に記載される透明導電体は、これらの種類のタッッチパネルデバイスのいずれかにおいて使用されてもよい。加えて、そのようなデバイス内で使用されるナノワイヤを基材とする透明導電体は、本明細書に記載されるように、または当該分野分野で既知の任意の他の方法のように、パターン化されてもよい。
(d) 光起電性セル
太陽放射は、約0.4eV〜4eVの範囲の光子内で使用可能なエネルギーを提供する。光起電性(PV)セル等の光電子デバイスは、本範囲内のある光子エネルギーを捕捉し、電力に変換することができる。光起電性セルは、本質的に、照射下の半導体接合点である。光は、半導体接合点(または、ダイオード)によって吸収され、電子正孔対は、接合点の両側、すなわち、n型エミッタおよびp型基盤に生成される。これらの電荷担体(基盤からの電子およびエミッタからの正孔)は、次いで、接合点に拡散し、電場によって掃引され、したがって、デバイス全体に電流を生成する。
半導体接合点は、単一材料(例えば、結晶シリコン)をドープすることによって、ホモ接合セル内に形成され、p型およびn型面を形成することができる。PN構造またはP−i−N構造のいずれかを使用することができる。
ヘテロ接合点は、2つの異なる半導体を接触させることによって、形成することができる。典型的には、2つの半導体は、異なるバンドギャップを有する。より高いバンドギャップを有するものは、その透過性のために選択され、上層または窓層として位置付けられる。より小さいバンドギャップを有するものは、下層を形成し、光吸収材料として機能する。窓層によって、ほぼすべての入射光が、下層に到達することができ、光を容易に吸収する。
多接合セルは、太陽のスペクトルのより大きい部分を捕捉するように開発されている。本構成では、個々のヘテロ接合セルは、太陽光が、最大バンドギャップを有する材料上に入射するように、積層される。第1のセル内に吸収されない光子は、第2のセルに伝送され、次いで、残りの太陽放射のより高いエネルギー部分を吸収する一方、より低いエネルギー光子に対し透明のままである。これらの選択的吸収プロセスは、最小バンドギャップを有する最終セルまで継続される。
励起子PVセルでは、pドープおよびnドープ領域の代わりに、異なるバンドギャップの材料を使用して分裂させ、電荷を介した励起子が、一方から他方の半導体へと転移する。電荷分離後、電荷は、電荷収集のための接触電極間の仕事関数の差異のため生成される組み込み電位によって、掃引される。有機光起電性セルは、例えば、1つの半導体が、ポリチオフェンおよび他のC60であり得るように作用する。ポリチオフェンは、光を吸収し、励起子が生成される。電子は、ポリチオフェンからC60(電子のより小さいエネルギー状態)へと急転する。正孔は、バッキーボール間を動き回ることによって、電子のように回収されるまで、ポリチオフェン骨格に沿って移動する。
オーム金属半導体接点は、太陽電池セルのn型およびp型面の両方に提供される。多接合セルでは、それらはまた、2つの隣接セル間に介在する。n型面上に生成される、または接合点によって「収集され」、n型面上に掃引される電子は、ワイヤを通して移動し、負荷に電力を供給し、p型半導体金属接点に到達するまで、継続してワイヤを通過してもよい。
透明導電体(例えば、ITO)によって、光は、窓層を通して、下方の活性光吸収材料へ通過可能であるとともに、オーム接点として機能し、光吸収材料から光生成電荷担体を運搬するため、それらは、太陽電池セルのための接点材料として望ましい。
本明細書に記載されるナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、太陽電池セル内の1つ以上の接点として使用可能である。従来の金属酸化透明導電体と異なり、ナノワイヤを基材とする透明導電体は、高スループット方法によって、可撓性基板上に形成可能である。また、太陽電池セル用途における金属酸化層の使用を費用のかかるものとする特別な蒸着(真空内)を必要としない。
したがって、一実施形態は、上接触子、半導体ダイオード、および下接触子を備え、上接触子および下接触子の一方または両方が、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜から成ることが可能な、ホモ接合太陽電池セルを記載する。図29Aは、ホモ接合太陽電池セル664を示す。太陽電池セル644は、上接触子668、下接触子670、およびその間に介在する半導体ダイオード672を含む。
半導体ダイオードは、例えば、上部にpドープシリコンおよび下部にNドープシリコンを有するPN構造であることができる。シリコンは、典型的には、結晶シリコンである。より経済的代替として、多結晶シリコンが、当該分野において既知の方法に従って、使用可能である。また、半導体ダイオードは、アモルファスシリコンから形成可能であって、その場合、P−i−N構造が好ましい。
上接触子および下接触子は、本明細書に記載される方法によって、調製可能である。上接触子は、典型的には、光学的に透明であって、光入射表面、すなわち、光が、最初に、太陽電池セル内に入射する表面を備える。
任意に、基板674は、下接触子670の下方に存在可能である。また、任意に、バスバー676は、上接触子を覆うように形成可能である。また、バスバー676は、パターン化されたナノワイヤを基材とする透明導電体膜によって形成可能である。
図29Bは、別の実施形態による、ヘテロ接合太陽電池セルを示す。示されるように、ヘテロ接合太陽電池セル680は、上接触子682、下接触子684、およびその間に介在する半導体ヘテロ接合層686を含む。上接触子682および下接触子684の一方または両方が、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜から成ることができる。
ある実施形態では、半導体ヘテロ接合層686は、3層構造(例えば、N−i−P)を備える。したがって、ドープ上半導体層686a、非ドープ中間半導体層686b、およびドープ下半導体層686cを備えてもよい。ある実施形態では、第1の半導体層686aは、第3の半導体層686cよりも高いバンドギャップを有する。
第1、第2、および第3の半導体層は、薄膜層として蒸着可能である。好適な半導体材料は、有機半導体材料(本明細書で論じられるように)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、セレン化銅インジウム(CIS)等を含むが、それらに限定されない。例えば、典型的CdTeセルでは、上層は、p型硫化カドミウム(CdS)であって、中間層は、固有CdTeであって、下層は、n型テルル化亜鉛(ZnTe)である。
また、半導体ヘテロ接合層686は、NP構造内に上半導体層686aおよび下半導体層686cのみを含むことが可能である。
薄膜半導体層を基材とするヘテロ接合セルは、シリコンを基材とする太陽電池セルと比較して、材料費を節約する。しかしながら、薄膜半導体層の劣った性能のため、そのようなデバイスは、エネルギー変換において、ポリシリコンを基材とするセルよりも非効率的である。したがって、一実施形態では、多接合セルが、図29Cと関連して、記載される。示されるように、多接合セル690は、上から下に連続的に、上接触子692、第1のセル694、トンネル層696、第2のセル698、および下接触子700を含み、上接触子692および下接触子700は、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜から成る。簡潔にするために、多接合セル690は、2つのセルのみを含むものとして示される。しかしながら、追加セルが、類似の方法で加工可能であることを理解されたい。
第1のセル692および第2のセル698は両方、図29Bに示される単一接合太陽電池セル680として、同様の3層構造を有する。第1のセルは、衝突光により近接し、したがって、第2のセルより大きいバンドギャップを有するように選択されるべきである。そのようにすることによって、第1のセルは、より小さいエネルギー光子に対し透明であって、第2のセル698によって吸収可能である。
第1および第2のセルは、トンネル層696によって分離され、セル間の電子の流動を可能にする。トンネル層696は、逆ドープ半導体層を備えるPNダイオードであることができる。
上接触子692および下接触子700は、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜である。それらは、本明細書に記載される方法によって調製可能である。
太陽電池セル690は、当業者によって理解されるように、基板、バスバー、反射防止膜等の追加層を含むことができる。さらに、ナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、任意の太陽電池セル構成内の1つ以上の接点として好適であることを理解されたい。
(e) エレクトロルミネセントデバイス。
エレクトロルミネッセンス(EL)は、材料(通常、半導体)内の電子および正孔の放射再結合の結果によるものである。励起電子は、その基底状態に戻るのに伴って、そのエネルギーを光子として放出する。再結合前に、電子および正孔は、材料をドープし、p−n接合点(LED等の半導体エレクトロルミネセントデバイス内)を形成する結果、または強電場によって加速された高エネルギー電子の衝撃による励起を通して(エレクトロルミネセント表示装置内の蛍光体同様に)、分離される。
ELデバイスは、例えば、表示装置用の背面照明として有用である。それらは、典型的には、EL材料を挟入する2つの電極を備え、電極のうちの少なくとも1つは、透明である。ELデバイスの薄膜設計は、導電性薄膜を採用することによって可能である。有利には、パターン化された照明は、電極のうちの1つとして、パターン化された透明導電体を使用することによって達成可能である。従来、ポリ(ジオキシチオフェン)(PDOT)等のポリマー導電性膜が使用され、透明導電体としてパターン化される。
本明細書に記載されるナノワイヤを基材とする透明導電体膜は、ELデバイス内の透明電極として好適である。したがって、図30は、一実施形態による、薄膜ELデバイスを示す。ELデバイス710は、上から下に連続的に、上電極712、誘電層714、EL材料層716、透明電極718、任意のバリア層720、および任意のオーバーコート722を備える。
透明電極718は、本明細書に記載されるように、ナノワイヤ層によって形成される。ナノワイヤ層の光透過率および表面導電率は、透明電極として好適とする。さらに、実施例8で詳述されるように、ナノワイヤは、スクリーン印刷可能インク組成物内に組み込み可能である。インク組成物は、パターン化された電極を提供するように印刷可能であって、PDOT層をパターン化するための現在の製造プロセスと互換性がある。また、スタンピング、スロットダイ等を含む、他のパターン化する方法も使用可能である。
EL材料層716は、任意の許容可能EL材料、例えば、蛍光体であることができる。任意のバリア層720は、湿気等の悪環境要因を防止するフルオロポリマー(例えば、Kyner)であることができる。
(f) 静電散逸材料‐静電防止被膜
静電放電(ESD)は、2つの対象間の静電荷の単事象高速転移であって、通常、異なる電位の2つの対象が、互いに直接接触すると生じる。静電荷の蓄積は、材料の表面上の電子の不均衡の結果生じる。ESDは、半導体業界におけるデバイスの故障の主要原因の1つである。
導電性材料(例えば、導電性膜または被膜)は、有害な静電荷を排除することによって、静電散逸材料として効果的である。典型的には、表面抵抗率108Ω/□以下を有する導電層は、静電荷の蓄積を軽減または廃絶する際に効果的である。より典型的には、静電防止被膜は、表面抵抗率約106Ω/□〜107Ω/□を有する。
故に、本明細書に記載されるナノワイヤを基材とする導電層は、静電防止被膜として好適である。例えば、図10B−10Fに記載される構造のいずれも、その必要性に応じて、基板上で静電防止被膜として使用可能である。したがって、一実施形態は、複数の金属ナノワイヤおよびマトリクス材料を含む合成物を提供するステップと、電磁遮蔽を必要とする基板に合成物を塗布するステップと、マトリクス材料内に分散される複数の金属ナノワイヤを含み、表面導電率108Ω/□以下を有する導電層を形成するステップとを備える、電磁遮蔽を提供するための方法を提供する。
ある実施形態では、静電防止被膜は、下層の基板が可視であるように、光学的に透明である。別の実施形態では、ナノワイヤを基材とする導電層によて被膜される光学的に透明な基板(例えば、プラスチック)は、電子のためのパッケージング材料として使用可能である。光透過性は、パッケージ内の内容物の直接可視化を可能にする。
透明導電体の構造、その電気的および光学的特性、および作製方法が、以下の非限定の例によってさらに詳しく説明される。
実施例1
(銀ナノワイヤの合成)
銀ナノワイヤは、例えば、Y.Sun、B.Gates、B.Mayers、&Y.Xia,“Crystalline silver nanowires by soft solution processing”、Nanoletters、 (2002)、2(2)165〜168に記載される「ポリオール」方法の後、ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で、エチレングリコールに溶解される硫酸銀の還元によって合成された。Cambrios Technologies Corporationの名における米国仮出願第11/766,552号に記載される修正されたポリオール方法によって、従来の「ポリオール」方法よりも、さらに均一の銀ナノワイヤがより高い収率で生産される。この出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例2
(透明導電体の調製)
5μm厚さのAutoflex EBG5ポリエチレンテレフタレート(PET)膜が、基板として使用された。PET基板は、光学的に透明の絶縁体である。PET基板の光透過性およびヘイズが表2に示される。別途記載のない限り、光透過性は、ASTM D1003における手法を使用して測定された。
銀ナノワイヤの水分散体がまず準備された。銀ナノワイヤは、幅が約70nmから80nmで、長さが約8μmである。銀ナノワイヤ(AgNW)の密度は、散体の約0.5%w/vであり、結果として、約0.5の光学密度をもたらした(Molecular Devices Spectra Max M2プレートリーダーで測定された)。散体は、次に、ナノワイヤが基板に堆積可能にすることによって、PET基板上に被覆された。当技術分野に精通する者に理解されるように、狭いチャネルによって測定される流れ、ダイフロー、傾斜の流れ、および同様なものなどのその他の被覆技術が使用可能である。流体の粘度およびせん断挙動だけでなくナノワイヤ間の相互作用が、被覆されるナノワイヤの分布および相互接続性に影響を及ぼしてもよいことがさらに理解されたい。
その後、銀ナノワイヤの被覆層は、水分蒸発による乾燥が可能になる。「網層」とも呼ばれる裸銀ナノワイヤ膜は、PET基板(AgNW/PET)上に形成された。BYK Gardner Haze−gard Plusを使用して光透過性およびヘイズが測定された。表面抵抗率がFluke 175 True RMS Multimeterを使用して測定された。表1に結果が示される。ナノワイヤの相互接続性および基板の面積被覆も、光学または走査顕微鏡で観察された。
マトリクス材は、ポリウレタン(PU)(Minwax Fast−Drying Polyurethane)を、メチルエチルケトン(MEK)に混合させることによって調製され、1:4(v/v)の粘性溶液を生成したマトリクス材は裸銀ナノワイヤ膜の回転被覆で被覆された。当技術分野に既知であるその他の方法、例えば、ドクターブレード、マイヤーロッド、ドローダウンまたはカーテン被覆が使用可能である。マトリクス材は、室温で約3時間硬化され、その間に、溶剤MEKが、蒸発し、マトリクス材は硬くなった。あるいは、硬化は、オーブンで、例えば50℃、2時間で発生可能である。
PET基板上(AgNW/PU/PET)に導電層を有する透明導電体は、このようにして形成された。マトリクスにおける銀ナノワイヤの導電層は、約100nmの厚さであった。その光学的および電気的特性が測定され、その結果は表2に示される。
透明導電体は、さらにテープ試験を受けた。より具体的には、3M Scotch(登録商標)600の粘着テープが、例えば引き剥がすことにより、マトリクスの表面にしっかりと適用された後に除去された。いかなる緩い銀ナノワイヤも、テープと共に除去された。テープ試験の後、透明導電体の光学的および電気的特性が測定され、その結果は表2に示される。
比較するために、マトリクスだけの膜が、上記と同一の状態下でPET基板(PU/PET)上に形成された。PU/PETの光学的特性(光透過性およびヘイズ)および電気的特性も、表2に示される。
表2に示されるように、PET(PU/PET)上のマトリクスだけの膜は、PET基板よりもわずかに高い光透過性ならびにヘイズ値を示した。どちらとも導電性ではなかった。比較すると、PET上の裸銀ナノワイヤ膜は、導電性が高く、表面抵抗率60Ω/□を示した。裸銀ナノワイヤ膜をPET上に蒸着することによって、光透過が低下し、ヘイズが増加した。しかしながら、PET上の裸銀ナノワイヤ膜は、80%以上の光透過性を有し、依然として光学的に透明であると考えられた。PET上の裸銀ナノワイヤ膜の光学的および電気的特性は、一般的に60から400Ω/□の範囲であるPET基板に形成される金属酸化物皮膜(例えば、ITO)に同等またはそれよりも優れていた。
表2にさらに示されるように、ポリウレタンマトリクスにおける銀ナノワイヤベースの透明導電体は、PET上の裸銀ナノワイヤ膜とほとんど同一の光透過性およびわずかに高いヘイズを示した。透明導電体の抵抗性は、裸銀ナノワイヤ膜と同じであり、マトリクス材の被覆が、銀ナノワイヤ膜を阻害しなかったことが示された。このように形成された透明導電体は、光学的に透明であり、PET基板に形成される金属酸化物皮膜(例えば、ITO)と同等または優れた抵抗率を示した。
さらに、テープ試験によって、透明導電体の抵抗性または光透過性は変更せず、ヘイズがわずかに増加しただけだった。
実施例3
(促進H2S腐食試験)
硫化水素(H2S)などの硫化物は、既知の腐食剤である。金属ナノワイヤ(例えば、銀)の電気的特性は、大気硫化物の存在下で潜在的に影響を受ける可能性がある。有利には、透明導電体のマトリクスは、ガス透過障壁としての役割を果たす。これにより、ある程度、大気H2Sがマトリクス中に埋め込まれる金属ナノワイヤに接触することを防止される。金属ナノワイヤの長期的安定は、本明細書に記載されるマトリクスに一つ以上の腐食防止剤を混入することによってさらに得ることができる。
米国において、空気中のH2Sの量は、約10億分の0.11〜0.33である。このレベルで、腐食は長期間で発生すると予測される。したがって、促進H2S腐食試験は、H2S腐食の極端な例を提供するように意図された。
調理直後の卵黄が細かく砕かれて、ビニル袋に入れて密封された。H2S計測器(Indus試行Scientifi社のGasBadge Plus−Hydrogen Sulfine Single Gas Monitor)が袋に挿入されて、卵黄からのH2S放出が観測された。図31は、24時間のH2Sガスの一般的な放出プロファイルを示す。袋におけるH2Sの初期上昇以降、ガスレベルは降下し、ガスが透過性のある袋から拡散したことが示された。それにも関わらず、袋におけるH2Sガスレベル(ピークで7.6ppm)は、大気H2Sガスのレベルをはるかに越えていた。
PET上の裸銀ナノワイヤ膜は、実施例2に準じて調製された。膜は、ビニル袋に調理直後の卵黄と共に置かれた。膜は、二時間以内で黒くなり、銀がさびて黒色Ag2Sが形成されたことが示される。反対に、ポリウレタンマトリクスにおける銀ナノワイヤ膜における変色は、2〜3日後まで認められず、ポリウレタンマトリクスがH2Sガスの透過を遅らせる障壁として役割を果たしたことが示された。
実施例4
(腐食防止剤の混入)
導電膜の以下のサンプルが調製された。PET基板が各サンプルに使用された。特定のサンプルにおいて、ベンゾトリアゾール、ジチオチアジアゾール、およびアクロレインを含む腐食防止剤が、導電膜の調製中に混入された。
サンプル1〜2は、本明細書に記載の方法に準じて調製された。腐食防止剤は存在しなかった。
サンプル1は、裸銀ナノワイヤの導電膜であった。
サンプル2は、ポリウレタンマトリクスにおける銀ナノワイヤの導電膜であった。
サンプル3〜6は、まず裸銀ナノワイヤ膜をPET基板上に形成することによって調製された(つまり、サンプル1)。その後、さまざまな腐食防止剤が、マトリクス材の被覆プロセス中に混入された。
サンプル3は、メチルエチルケトン(MEK)におけるベンゾトリアゾール(BTA)の0.1w/v%溶液を裸銀ナノワイヤ上に被覆することによって調製され、被覆後に溶剤を乾燥させ、その後MEKにおいてポリウレタンのマトリクス材(1:4)を被覆した。
サンプル4は、まず、1.5v/v%のジチオチアジアゾールをマトリクス材PU/MEK(1:4)に混入することにより調製され、その後、マトリクス材を裸銀ナノワイヤ膜に被膜した。
サンプル5は、まず、裸銀ナノワイヤ膜をMEKにおける1.5v/v%のジチオチアジアゾール溶液に浸すことによって調製され、その後、1.5v/v%のジチオチアジアゾールを有するマトリクス材PU/MEK(1:4)で被覆された。
サンプル6は、まず、1.5v/v%のアクロレインをマトリクス材PU/MEK(1:4)に混入することにより調製され、その後、マトリクス材が裸銀ナノワイヤ膜に被覆された。
サンプル1〜6の光学的および電気的特性は、実施例3に記載されるように促進H2S処理前および後に測定された。その結果は、図32A、32B、および32Cに示される。
図32Aは、H2S処理前およびH2S処理後24時間のサンプル1〜6の光透過性の測定を示す。比較のため、各サンプルの光透過性の減少もグラフ化されている。H2S処理前に、全てのサンプルが、光学的に透明であることを示していた(80%の光透過性を有していた)。H2S処理の24時間後、全てのサンプルは、異なる度合いの銀変色により光透過性が減少した。
予想どおり、サンプル1は、光透過性が最も減少した。サンプル3および6は、マトリクスのみのサンプル(サンプル2)よりも優れた性能を示さなかった。しかしながら、サンプル4および5は、マトリクスのみのサンプルに比べて光透過性があまり減少せず、腐食防止剤のジチオチアジアゾールが、銀ナノワイヤの腐食防止において効果的であったことを示した。
図32Bは、H2S処理前およびH2S処理後24時間のサンプル1〜6の抵抗性の測定を示す。比較のため、各サンプルの抵抗性の減少もグラフ化されている。図示されるように、サンプル4以外の全ての抵抗性は劇的に増加し、効果的に非導電性になったが、電気的特性における劣化開始がサンプルによっては大幅に遅れた。サンプル4は、その抵抗性がやや増加しただけであった。サンプル4およびサンプル5におけるH2Sの影響は、両サンプルが同一の腐食防止剤(ジチオチアジアゾール)を含んでいるにも関わらず、大幅に異なることが留意されたい。これにより、被覆プロセスによって一定の腐食防止剤の効果に影響をあたえ得るということになる。
図32Cは、H2S処理前およびH2S処理後24時間のサンプル1〜6のヘイズ測定を示す。比較のため、各サンプルのヘイズの変化もグラフ化されている。全てのサンプルは、ヘイズの測定において増加を示した。サンプル1および6を例外として、ヘイズは、サンプル2〜5の各々について許容範囲内(10%未満)であった。
サンプル4は、腐食H2Sガスへの耐性において全体的に最良の性能を有することが示された。腐食防止剤(ジチオチアジアゾール)をマトリクスに混入することによって、透明導電体は、腐食防止剤が含まれないサンプル2よりも明らかに利点を示した。
これらの促進テストにおけるH2Sレベルは、大気H2Sよりもはるかに大きいことが留意されたい。ゆえに、サンプル4と同様に調製される透明導電体は、大気H2Sの存在下においてさらに優れていることが予測される。
実施例5
(金属ナノワイヤ網層の加圧処理)
表3は、基板上の銀ナノワイヤの網層(または「網層」)の表面に加圧する二つの試行の結果を示す。
具体的に、幅が約70nmから80nmで、長さが約8μmの銀ナノワイヤがAutoflex EBG5 PET基板上に蒸着された。基板は、ナノワイヤの蒸着前にアルゴンプラズマで処理された。網層は、実施例2に記載の方法に準じて形成された。マトリクス材は、加圧処理前に網に適用しなかった。表2に挙げられる試行は、剛性のベンチトップ上で単一のステンレ鋼のローラーを使用して実行された。処理された網層の部分は3から4インチの幅で、3から4インチの長さであった。
加圧前に、網層は「初期値」の列に記載される抵抗を有していた(網層は、プラズマで事前処理されなかった)。表2の各列は、約340psiで網層を横断する後続する単一ロールを示す。
各試行において、網層は、5回ロールをかけられた。その後、プラズマ処理が網層に適用された。各ロール後の抵抗は、二列目(第一の試行)および三列目(第二に試行)に列挙される。第二の試行についての透過性およびヘイズにおける変化は、四列目および五列目にそれぞれ列挙される。示されるように、各試行の網層の伝導性は、その表面に加圧することによって増加したことが分かった。
表3に示されるように、ローラーによる網層への加圧により、層の光透過性が減少し、ヘイズが増加する。以下の表4に示されるように、加圧処理後の洗浄プロセスによって、網層の透過性がさらに改善し、ヘイズが減少可能になる。
表4に示されるように、剛性基板上で単一のステンレス鋼の棒を使用して約340psiで二回ロールして網層へ加圧することにより、網層の光透過性が減少し、ヘイズが増加する。しかしながら、そのロールの後、石けんおよび水で網層を洗浄することによって、透過性が増加し、ヘイズが減少する。アルゴンプラズマ処理によって、透過性およびヘイズがさらに改善された。
ロールすることなしに石けんと水で網を洗浄することも、伝導性をある程度改善するのに効果的である。
加圧または洗浄処理の後に、マトリクス材は、実施例2において前述のように被覆可能である。
実施例6
(導電層の光パターン化)
図33は、ナノワイヤベースの透明導電膜を直接パターン化する一方法を示す。本実施例において、銀ナノワイヤ網層(「網層」)726は、初めに、実施例2に記載の方法に準じてガラス基板728に形成された。二つのホルダー730が、マトリクス形成の範囲732を形作るためにガラス基板726上に置かれた。プレポリマーの混合を含む光硬化型マトリクス材734は、範囲732内の網層726上に被覆された。マスク736は、ホルダー730上に置かれた。マスク736は、約500μm幅の多くの暗線の配列738を有するスライドガラスであった。次に、マトリクス材は、Dymax 5000ランプ下で90秒間照射された。マトリクス材は、光に暴露された領域が硬化し、暗線でマスクされた領域は液体のままであった。
図34A〜34Fは、光学顕微鏡の下での光パターン化された導電体層の画像を示す。図34Aに示されるように、導電膜740は光硬化直後に得られた(5x)。明るい方の領域748は紫外線照射に暴露され、硬化された。暗い領域744は光暴露からマスクされ、マトリクス材は硬化されなかった。導電膜740は、粘着テープまたは粘着性ロールに曝され、硬化されないマトリクス材と非硬化領域744内のナノワイヤとが除去された。図34Bは、粘着テープ処理の後の導電性フィルム740を示しており(5x)、硬化領域748は、非硬化領域744よりも遥かに明るく見える。さらに高い倍率で(図34Cおよび34D、20x)、非硬化領域744は、硬化領域748よりも低いナノワイヤの密度を有することが認められた。この対比は、図34Eおよび34F(100x)においてより明白である。以後の粘着テープ処理において、ナノワイヤの密度は、非硬化領域744内のパーコレーション閾値未満であることがさらに認められた。細いプローブチップを用いた電気的測定は、非硬化領域744が非導電性であることを示した。
粘着テープまたは粘着性ロールを使用して非硬化領域のマトリクス材およびナノワイヤ除去する代替方法として、非硬化領域を洗浄するために溶媒が使用されてもよい。図35A〜Dに示されるように、導電膜750は、上に説明されるように調製され、真ちゅうのアパーチュアマスクを介して紫外線照射に暴露された。図35Aは、エタノールで洗浄されて拭き取った後の硬化領域(導電性領域)752および非硬化領域754を示す。図35B〜Dは、増加倍率において、硬化領域752と比較した非硬化領域754のナノワイヤ密度の対比を示す。非硬化領域754において、非硬化のマトリクス材および銀ナノワイヤのほとんどは、エタノール洗浄によって除去された。したがって、光パターン化は、既定のパターンに応じて導電性領域および非導電性領域を生成する。
実施例7
(光硬化型配合)
実施例6に記載されるマトリクス材は、アクリレート単量体(または本明細書に定義されるプレポリマー)、多官能アクリレート単量体(またはプレポリマー)、および少なくとも一つの光開始剤を混合することによって配合可能である。いかなるアクリレート単量体またはプレポリマーも使用可能であり、例えば、エポキシアクリレート、より具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メタクリル酸塩、および同様なものが挙げられる。いかなる多官能アクリレート単量体(またはプレポリマー)も、架橋高分子網目の形成を促進するために使用可能である。例として、リン酸トリメチロールトリアクリレート(TMPTA)、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、プロポキシ化(3)リン酸トリメチロールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ−アクリレートが挙げられる。いかなる光開始剤、例えばケトンベースの開始剤も使用可能である。特定の例として、Ciba Irgacure754、Ciba Irgacure184などのフェニルケトン、α−ヒドロキシケトン、グリオキシル酸、ベンゾフェノン、α−アミノケトン、および同様なものが挙げられる。より具体的には、即硬化配合が、60%〜70%の2−エチルヘキシルアクリレート、15%〜30%のリン酸トリメチロールトリアクリレート、および約5%のCiba lrgacure754を混合することによって調合可能である。
その他の添加剤は、安定性を強化するためおよび/またはマトリクスとナノワイヤの接着を促進するために添加可能である。例えば、有機物と無機物との結合を促進する接着促進剤(例えば、シラン)が使用可能である。シラン型の接着促進剤の例として、GE Silquest A174、GE Silquest A1100、および同様なものが挙げられる。Ciba Irgonox 1010ff、Ciba Irgonox 245、Irgonox 1035などの酸化防止剤が使用可能である。さらに、光開始剤の効果を促進するために付加的または共開始剤が使用可能である。共開始剤の例として、Sartomer CN373、CN371、CN384、CN386、および同様なものなどのいかなる種類の第3アミンアクリレートも挙げられる。Ciba lrgacure OXE01などの付加的な光開始剤がさらに添加可能である。
以下は、本実施例において使用されるマトリクス材として適切な四つの例示的な光硬化型配合である。
配合1
75% 2−エチルヘキシルアクリレート、
20% リン酸トリメチロールトリアクリレート(TMPTA)、
1% 接着促進剤(GE Silquest A1100)、
0.1% 酸化防止剤(Ciba Irgonox 101 Off)、および
4% 光開始剤(Ciba lrgacure 754)
配合2
73.9% 2−エチルヘキシルアクリレート、
20% リン酸トリメチロールトリアクリレート(TMPTA)、
1% 接着促進剤(GE Silquest A1100)、
0.05% 酸化防止剤(Ciba Irgonox 1010ff)、および
5% 光開始剤(Ciba Irgacure 754)
配合3
73.1% トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)
22.0% リン酸トリメチロールトリアクリレート(TMPTA)
4.9% 光開始剤(Ciba Irgacure 754)
0.03% 酸化防止剤(4−メトキシフェノール)
配合4
68% 2−エチルヘキシルアクリレート、
20% リン酸トリメチロールトリアクリレート(TMPTA)、
1% 接着促進剤(GE Silquest A1100)、
0.1% 酸化防止剤(Ciba Irgonox 1010ff)および
5% 光開始剤I(Ciba Irgacure 754)
5% 共開始剤(Sartomer CN373)
1% 光開始剤II(Ciba Irgacure OXE01)。
実施例8
(ナノワイヤ分散)
ナノワイヤ分散またはインキは、約0.08%wt.のHPMC、約0.36%wt.の銀ナノワイヤ、約0.005%wt.のZonyl(登録商標)FSO−100、および約99.555%wt.の水を混合することによって配合された。初期工程として、HPMC原液が調合された。ナノワイヤ分散の所望の全容積の約3/8に等しい水量がビーカーに入れられ、80℃から85℃の範囲まで加熱板上で加熱された。0.5%wt.のHPMC溶液を生成するのに十分なHPMCが水に添加され、加熱板の電源が切られた。HPMCおよび水の混合液は、HPMCを分散するために撹拌された。全水量のうちの残りは、氷で冷やされ、加熱されたHPMC溶液に添加されて、高RPMで約20分間撹拌された。HPMC溶液は、40μm/70μm(絶対的/標準的)のCuno Betapureフィルターで濾され、溶解されなかったゲルおよび粒子が除去された。次に、Zonyl(登録商標)FSO−100原液が調合された。より具体的には、10gのZonyl(登録商標)FSO100が、92.61mLの水に添加され、Zonyl(登録商標)FSO100が完全に溶解するまで加熱された。最終インキ組成における約0.08%wt.のHPMC溶液を生成するのに必要なHPMC原液量が容器に入れられた。最終インキ組成における約99.555%wt.の水溶液を生成するのに必要なDI水量が添加された。溶液は約15分間撹拌されて、最終インキ組成における約0.36%Agナノワイヤ溶液を生成するのに必要な銀ナノワイヤの量が添加された。最後に、約0.005%wt.のZonyl(登録商標)FSO−100を生成するために必要な、Zonyl(登録商標)FSO−100原液量が添加された。
実施例9
酸エッチング(1)
図36A−36Cは、エッチングの進行と、透明導電体シート758上に形成される最終パターンを示す。より具体的には、最初に、導電性銀ナノワイヤ層をPET基板上に形成した。パターンに従って、UV硬化性アクリレートをナノワイヤ層上に蒸着した。マトリクスを乾燥させ、部分的に硬化させた。マトリクスは、典型的には、約50nm‐300nm厚であった。マトリクスによる保護領域およびマトリクスによる非保護領域において、表面導電率を検出した。
次いで、透明導電体シートを、1%HNO3、1%NaNO3、および5ppmのKMnO4を含む、酸性エッチング液に暴露した。
図36Aは、銀ナノワイヤのエッチングが、マトリクス760による保護領域に隣接する領域から開始した1分以内の図を示す。ナノワイヤ層の溶解および断裂は、マトリクス762による非保護領域である証拠である。
図36Bは、エッチング2分の透明導電体シートを示す。さらに非保護銀ナノワイヤが溶解し、明確に画定されたパターンが出現した。図36Cは、4分終了時の、すべての非保護銀ナノワイヤがエッチングされ、透明導電体シートを水ですすぐことによって除去した状態を示す。保護領域760は、導電性のままである。任意に、マトリクス保護領域760内の部分的に硬化されるマトリクスを、さらに硬化することができる。
実施例10
(酸エッチング(2))
図37Aおよび37Bは、酸性エッチング液内でより高い濃度のKMnO4を使用することによる、エッチング速度への影響を示す。10ppmのKMnO4を使用したことを除き、実施例9に記載のように、透明導電体シート764を調製し、パターン化した。図37Aは、エッチング30秒以内に、非保護ナノワイヤが、エッチング除去された状態を示す。図37Bは、より高い倍率における、約1分間のエッチング後の明確に画定されたパターンを示す。また、図37Bは、マトリクスが存在する領域766が、エッチング液によって、エッチングまたは撹乱されていない状態を示す。実施例9と同様に、保護領域は、エッチング後も表面導電性のままであった。加えて、図37Bは、パターン化された表面の導電性領域と非導電領域との間の界面において、ナノワイヤが、実際は、切断され、エッチング前に、非導電領域内に延在するこれらの切断されたナノワイヤの一部は、エッチング除去される状態を示す。このように、切断されたワイヤの残りの部分は、エッチング前のワイヤの元々の長さよりも短い。
実施例11
(酸エッチング(3))
実施例7(例えば、化1)に記載される方法に従って、透明導電体シートを調製した。ナノワイヤネットワーク層を、約140nm厚のマトリクス層に形成した。シートは、表面抵抗率約500Ω/を有する表面導電性であった。
次いで、シートの導電性表面領域の一定領域を、約1μm厚のオーバーコートによって、保護した。ナノワイヤをオーバーコートによって完全に被覆し、本領域では、表面導電率が検出されなかった。オーバーコートのない領域は、表面導電性のままであった。
次いで、シート全体を、1分間、酸性エッチング液(20ppmKMnO4、1%HNO3、1%NaNO3)内に浸漬した。シートを除去し、水ですすぎ、N2流動下、乾燥させた。シート全体が、非導電性となった。
非被膜領域では、図38Bに示されるように、マトリクスの存在にかかわらず、銀ナノワイヤが、可溶性銀塩内に溶解した。本結果は、より高い濃度のKMnO4(それぞれ、実施例9と10の10ppmおよび5ppminと比較して、20ppm)によって、マトリクス内のナノワイヤの溶解が生じ得ることを示す。非被膜領域は、ナノワイヤネットワーク層の崩壊によって、もはや導電性ではなくなった。
オーバーコート保護領域内の銀ナノワイヤは、エッチングによって影響を受けなかった。オーバーコート厚のため、表面導電は不可能であったが、ナノワイヤネットワーク層は、オーバーコートの下方に残存したままであった(図38A)。
図38Aおよび38Bは、本明細書に記載される透明導電体が、本明細書に記載されるように、厚いオーバーコートとして作用するマスクを使用する標準リソグラフィ方法に従って、パターン化可能であることを示す。
実施例12
(カラーフィルタ被膜)
市販のカラーフィルタを、導電性ナノワイヤ膜によって、直接被膜した。
試料1は、カラーフィルタを有するクロム黒色マトリクスであった。図39Aに示されるように、R、G、およびBカラーフィルタを、互いに平行に配列し、2つの隣接カラーフィルタを、隣接画素間の光透過を防止する溝780によって、互いから分離した。試料1は、溝の方向に表面導電性であって(黒色マトリクスの金属接触のため)、シート抵抗約40Ω/□を記録した。試料は、溝全体で表面導電性ではなかった。
ナノワイヤを、試料1の上表面全体に直接被膜した。被膜された試料は、溝に沿った方向に表面導電性のままであって、表面抵抗約33Ω/□を示した。加えて、ナノワイヤが共形的に被膜されたため(図39A参照)、被膜された試料もまた、溝780全体にわたって表面導電性であって、表面抵抗約100Ω/□を示した。
ナノワイヤ被膜は、試料1の光学特性にほとんど影響を及ぼさなかった。光透過率は、非被膜試料の19.2%と比較して、被膜された試料では18.2%であった。被膜された試料は、単純試料よりも若干霞んでいた。被膜された試料のヘイズは、単純試料の約2.7%から約3.5‐5.3%に上昇した。
試料2は、試料1と同様の配列を有するカラーフィルタを伴う、有機樹脂黒色マトリクスであった。試料2(図39B参照)は、全体的に非表面導電性であった。
また、図39Bは、ナノワイヤ層によって被膜された試料2を示す。被膜された試料2は、溝782に沿った方向に表面導電性となり、表面抵抗約56−76Ω/□を示した。加えて、ナノワイヤは、溝782に適合したため、被膜された試料もまた、溝全体にわたって表面導電性であって、表面抵抗約61Ω/□を示した。全体として、バルク表面抵抗は、約120−130Ω/□で測定された。
光学的に、ナノワイヤ被膜は、試料2にほとんど影響を及ぼさない。光透過率は、被膜された試料では27.5%であった一方、非被膜試料では26.9%であった。被膜された試料は、非被膜試料よりも若干霞み、ヘイズ約1.4%から約4.8%に上昇した。
実施例13
(表面事前処理)
透明導電体試料を、湿式エッチングプロセスによってパターン化した。エッチング前に、透明導電体を、パターンに従ってマスクし(物理的マスクまたはフォトレジストマスク)、非マスク領域内の表面処理を行った。非処理試料と比較して、表面処理された透明導電体は、非常に高速でエッチングされた。
物理的マスクの使用:
所望の透過性および導電率を有するポリカーボネート、ガラス、またはPETを含む基板上に、回転被膜(または、他の蒸着方法)によって銀ナノワイヤ膜を形成することによって、透明導電体試料を調製した。続いて、Addison Clear Wave AC YC−5619ハードコートによって、銀ナノワイヤ膜を被膜した(回転被膜によって)。ハードコート材料を焼成し、完全にUV硬化した。
所望のパターンを有するマスク(例えば、プラスチック膜)を、透明導電体試料のハードコート上に載置し、接触させた。マスクは、エッチングされる領域(非マスク)を画定した。10分間、非マスク領域を、O2プラズマまたは10分間紫外オゾン処理に暴露した。
10秒間、マスクを除去し、試料を除去し、DIですすぎ、空気乾燥する前に、100%Transene Ag Etchant型TFS内に浸漬した。
フォトレジストマスクの使用:
物理的マスクの代わりに、フォトレジスト材料は、銀ナノワイヤ膜(ハードコートを有する)上に回転被膜することが可能である。所望のパターンに従って、UV光に暴露される場合、フォトレジスト材料は、マスク内に硬化する。透明導電体試料は、前述のプロセス後、表面処理し、エッチング可能である。
結果:
示されるように、それぞれ、酸素プラズマおよび紫外オゾンによって事前処理された試料1および2は、エッチング10秒以内に、非導電(無限抵抗率)となった。相対的に、非処理試料3は、エッチング6分後も導電性のままであった。
試料4は、不可視パターン化プロセスを示し、希釈エッチング液を使用した。酸素プラズマ処理後、5%Transene Ag Etchant型TFSを使用したパターン化によって、略均一光学特性を有するパターン化された透明導電体を生成した。希釈エッチング液は、ナノワイヤを完全に除去せずに、透明導電体膜を非導電性にすると考えられる。
実施例14
(低可視パターン化)
HPMC、銀ナノワイヤ、および水の懸濁液を調製した。懸濁液をガラス基板上に回転被膜し、HPMCマトリクス内に銀ナノワイヤの導電性薄膜を形成した。導電層は、光学的に透明であって、光透過率(%T)約88.1%およびヘイズ(%H)約2.85%を有していた。また、導電層は、非常に表面導電性であって、表面抵抗率約25Ω/(を有していた。
その後、導電性膜の一定の領域を、2分間、酸化剤、例えば、0.5%次亜塩素酸塩を有する漂白溶液によって、処理した。次いで、処理膜を水ですすぎ、窒素雰囲気下、乾燥させた。膜の処理領域は、非処理領域の光学特性と比較して、略同一透過率(89.1%T)およびヘイズ(5.85%H)を示した。図40Aは、処理領域820および非処理領域822が、視覚的に均一である状態を示す。
しかしながら、処理領域の表面抵抗率は、数倍上昇し、効果的に絶縁となった。図40Aのさらなる倍率(100x、暗視野)は、銀ナノワイヤが、破壊された、または塩化銀等の不溶性および絶縁銀塩等に変換された可能性を示す(例えば、図40B参照)。
比較として、図41は、より強力かつより濃縮された酸化剤:30%過酸化水素によって処理された銀ナノワイヤを基材とする導電性膜を示す。示されるように、処理領域824では、ナノワイヤおよび有機HPMCマトリクスのほぼすべてが、溶解された。処理領域824および非処理領域826内の光学特性は、著しく異なる。
実施例15
HPMC、銀ナノワイヤ、および水の懸濁液を調製した。懸濁液をガラス基板上に回転被膜し、HPMCマトリクス内に銀ナノワイヤの導電性薄膜を形成した。導電層は、光学的に透明であって、光透過率(%T)約89.1%、ヘイズ(%H)約3.02%、および表面抵抗率約45Ω/ を有していた。
透明導電体の一定の領域を、異なる時間の間、アセトニトリル(ACN)(0.5mg/ml)を有するTCNQ溶液内に浸漬し、すすぎ、窒素雰囲気下、乾燥させた。以下の表5は、TCNQ溶液に暴露された透明導電体の領域の透過性、ヘイズ、および抵抗率が、暴露時間に伴って変化する様子を示す。
表5に示されるように、光学特性に比較的変化のない処理領域の抵抗率の変化は、処理領域が暴露される時間を変化させることによって、制御可能である。
実施例16
また、処理領域の抵抗率の変化は、変化した抵抗率の領域を処理するために使用される化学物質に応じて、制御されてもよい。実施例15に前述のように、透明導電性試料を調製した。試料の一定領域を、可変時間の間、Pd(AcO)2およびACN(1mg/mL)の溶液内に浸漬した。次いで、ACNによって、試料を2回すすぎ、窒素雰囲気下、乾燥させた。以下の表6は、試料が溶液に暴露される時間に応じた、光学特性(透過性およびヘイズ)および抵抗率の変化を示す。
表5および6の比較によって示されるように、時間に伴う暴露領域の抵抗率の変化は、領域が暴露される化学物質に応じて変化し得る。
実施例17
(フォトレジストパターン化方法)
0.2%HPMC、250ppmのTritonX100、および銀ナノワイヤから成る、銀ナノワイヤの分散物を調製した。分散物を基板上に回転被膜し、90秒間180℃で焼成した。次いで、本ナノワイヤ膜を、AZ−3330Fフォトレジストによって回転被膜し、2.5μm透明導電性膜を作製した。次いで、透明導電体を、110℃で60秒間焼成した。フォトマスクをフォトレジスト層の一部と接触させて載置し、透明導電体を、20秒間12mW/cm2で光に暴露した。次いで、導電体を、60秒間110℃で焼成した。
次いで、フォトレジストを、AZ300MIF現像液によって現像し、すすぎ、回転乾燥させた。次いで、10秒間、導電体をTransene銀エッチング液に暴露し、すすぎ、回転乾燥させた。次いで、フォトレジストを、Acetoneを使用して剥離した。透明導電体を、PGME内の2.5%希釈液のPolyset PCX35−39Bによって、オーバーコートし、次いで、45分間180℃で硬化した。結果として生じるパターン化された透明導電体は、線幅5μm〜10μmを有していた。より大きいパターン線幅もまた、フォトレジストおよび本明細書に開示される他のパターン化方法を使用して得られた。例えば、線幅10μm〜300μmおよび10μm〜50μmが得られた。
実施例18
塩化銅エッチング液による低可視パターン化
240gのCuCl2・2H2Oを180gの濃縮HCl(37%w/w)および580gの水と混合することによって、エッチング溶液を調製した。CuCl2の最終濃度は、約19%であって、HClは、6.8%である。
本明細書(例えば、実施例17)に説明される方法に従って、銀ナノワイヤの導電性膜を調製した。導電性膜が、エッチングされ、エッチングされていない領域およびエッチングされた領域は、それぞれ、図42Aおよび42Bに示される。2つの領域は、光学特性に殆ど差異を示さないが、エッチングされた領域は、低導電性であって、約20,000Ω/sqの抵抗率を有することが観察され得る。
水中HClおよびCuCl2を含む、別のエッチング液を調製した。特に、1:7:49 HCl:(CuCl2:2H2O):H2Oを調製し、エッチングステップは、45〜50℃において、2分行った。結果として生じたパターンは、不可視または超低可視性である。エッチングされた試料は、依然として、30分間、130℃で加熱後も、不可視である。
実施例19
低可視パターン化−加熱によるエッチング
実施例19は、部分的エッチングステップおよび後続加熱ステップを組み合わせることによって、導電性膜内に低可視パターンを生成するステップを実証する。本明細書に論じられるように、加熱は、さらに、エッチングされた領域を非導電性または低導電性にすることによって、エッチングを完了する。
表7は、加熱ステップのみによって、実際には、膜導電性を増加させることを示す。試験AおよびBでは、導電性膜(または、試料)を、それぞれ、5分および30分間、加熱し、そのシート抵抗(Rs)は、5%から10%、減少した。
表7
表8は、部分的にエッチングされた試料に及ぼす加熱の影響を示す。列挙された3つの試験では、試料は、そのシート抵抗が約1000Ω/sqとなるまで、CuCl2エッチング液(実施例18に説明されるように)を使用して、化学的にエッチングされた。次いで、5分間だけではなく、また、130℃で1分程度、加熱した。各試験では、加熱ステップは、試料を非導電性にするために十分であった。言い換えると、最初に、エッチングプロセスによって生じたナノワイヤネットワークの損傷は、加熱プロセスによって、完了された。
表8
表9は、初期化学エッチングステップが、不十分である、すなわち、ナノワイヤへの損傷が不十分である場合、後続加熱ステップによっても、試料を非導電性にすることは困難となることを示す。試験Fでは、試料は、その抵抗が、108から120Ω/sqに変化するまで、エッチングされた。130℃で1分間の後続加熱は、試料抵抗を変化させなかった。試験Gでは、別の試料が、その抵抗が、121から198Ω/sqに変化するまで、エッチングされた。最大25分間、130℃での後続加熱は、試料の抵抗率を継続的に増加させたが、しかしながら、シート抵抗は、685Ω/sqを超えることはなかった。これは、初期部分的エッチングにとって、加熱ステップが、エッチングを完了するために、エッチングされた領域を閾値抵抗率(ナノ構造への損傷の程度を示す)に到達させることが重要であることを示す。
表9
表10は、2つのパターン化された試料の光学特性を比較する。試験Iにおける試料は、非導電性となるように、化学的にエッチングされ(CuCl2エッチング液によって)、試験Hにおける試料は、部分的にエッチングされた後、加熱された。
試験Hでは、初期部分的エッチングは、105Ω/sqから602Ω/sqの抵抗率をもたらし、後続加熱ステップが、試料を非導電性にするのに十分であった。示されるように、最終光学特性は、試料の初期特性(エッチング前)は、ほぼ等しく、すなわち、曇価(H%)の差異は、約0.01%であって、透過率(T%)の差異は、0.1%であった。試料は、低可視パターンを有していた。
試験Iでは、試料は、完全に非導電性となるようにエッチングされた。ここでは、透過率は、エッチング前後で同一のままであるが、曇価は、エッチング前曇価値と比較して約0.07%だけ減少した。試験Iの膜のエッチングされた面積とエッチングされていない面積の曇価間のより大きな差異(試験Hと比較して)は、エッチングされた面積を試験Hのものより可視性にする。
表10
実施例20
部分的エッチング-酸化剤/ハロゲン化物エッチング液
銀ナノワイヤをPET上にスピン被膜することによって、導電性膜を調製し、Addison Clear Wave(登録商標)保護膜で被膜した。すべてのエッチング液は、150℃で、5分間、導電性膜に適用された。エッチングの結果は、図45A〜45Cに示される。
70重量%溶媒(水中5重量%PVA)および30%酸(14.8%HCl/14%HNO3)を含有する、HNO3/HClエッチング液を調製した。図45Aに示されるように、部分的にエッチングされた領域(940)では、ナノワイヤは、実質的に、無傷に見えた。しかしながら、ナノワイヤ上の小カットが、部分的にエッチングされた領域を非導電性にしている。
ナノワイヤをカットする際における、塩化物アニオンの役割を実証するための比較として、非酸性の種類のエッチング液もまた、調製する。エッチング液は、28重量%NMP、10%NH4I、1%I2、および61%溶媒(水中5重量%PVA)を含有していた。エッチング液は、同様に、導電性膜を部分的にエッチング(950)する際に効果的であった(図45B)。
さらに、比較として、強酸性エッチング液を調製した。濃縮H3PO4(85%)は、図45Cに示されるように、導電性膜を完全にエッチングする際、有効であって、エッチングされた領域(960)は、実質的に、ナノワイヤが無く、溶解および除去されていた。
より低い濃度のHNO3を含むエッチング液もまた、調製した。エッチング液は、10:1:10重量比において、HCl:HNO3:水を含有していた。3つのエッチングプロセスは、(1)35分間、室温で、(2)5分間、30℃で、(3)10分間、32℃で行った。部分的エッチングが、すべてにおいて観察された。シート抵抗は、安定しており、1週間後も、変化しなかった。
要するに、導電性膜を部分的にエッチングするための効果的エッチング液は、少なくとも、FeCl3、CuCl2、HNO3、I2、H2O2、O2等の酸化剤と、塩化物およびヨウ化物等のハロゲン化物と、を含んでもよい。イオンを湿潤または錯化し、可溶性金属錯体を形成するための界面活性剤等の他の添加剤もまた、そのような機能が、酸化剤またはハロゲン化物イオンによって未だ提供されていない場合、存在してもよい。
本明細書に参照される、および/または出願データシートに列挙される、前述の米国特許、米国特許出願刊行物、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物はすべて、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
上述から、本発明の具体的実施形態が、例証のために、本明細書に記載されたが、種々の修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく成されてもよいことを理解されるであろう。故に、本発明は、添付の請求項による場合を除き、制限されるものではない。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
光学的に均一な透明導体であって、
基板と、
前記基板上の導電性膜であって、前記導電性膜は、複数の相互接続ナノ構造を含み、前記導電性膜上のパターンは、(1)第1の抵抗率と、第1の透過率と、第1の曇価とを有するエッチングされていない領域と、(2)第2の抵抗率と、第2の透過率と、第2の曇価とを有するエッチングされた領域とを画定する、導電性膜と
を含み、
前記エッチングされた領域は、前記エッチングされていない領域より低導電性であり、前記第1の抵抗率対前記第2の抵抗率の比率は、少なくとも1000であり、前記第1の透過率は、前記第2の透過率と5%未満だけ異なる、導体。
(項2)
前記第1の抵抗率対前記第2の抵抗率の比率は、少なくとも105であり、前記第1の透過率は、前記第2の透過率と0.1%未満だけ異なる、上記項1に記載の光学的に均一な透明導体。
(項3)
前記第1の曇価は、前記第2の曇価と0.5%未満だけ異なる、上記項1または上記項2に記載の光学的に均一な透明導体。
(項4)
前記第1の曇価は、前記第2の曇価と0.01%未満だけ異なる、上記項1または上記項2に記載の光学的に均一な透明導体。
(項5)
前記ナノ構造は、銀ナノワイヤである、上記項1−4のいずれかに記載の光学的に均一な透明導体。
(項6)
前記エッチングされた領域は、前記エッチングされていない領域のナノ構造と比較して、より短いセグメントに分割されたナノ構造を含む、上記項1−5のいずれかに記載の光学的に均一な透明導体。
(項7)
前記エッチングされていない領域内に90%超の透過率および2%未満の曇価を有する、上記項1−6のいずれかに記載の光学的に均一な透明導体。
(項8)
複数の相互接続ナノ構造を含む導電性膜を形成するステップと、
(1)第1の抵抗率と、第1の透過率と、第1の曇価とを有するエッチングされていない領域と、(2)第2の抵抗率と、第2の透過率と、第2の曇価とを有するエッチングされた領域とを提供するように、パターンに従って、前記導電性膜をエッチングするステップと
を含み、
前記エッチングされた領域は、前記エッチングされていない領域より低導電性であり、前記第1の抵抗率対前記第2の抵抗率の比率は、少なくとも1000であり、前記第1の透過率は、前記第2の透過率と5%未満だけ異なる、プロセス。
(項9)
前記第1の曇価は、前記第2の曇価と0.5%未満だけ異なる、上記項8に記載のプロセス。
(項10)
前記エッチングステップは、前記導電性膜をエッチング溶液と接触させるステップを含み、前記エッチング溶液は、酸化剤およびハロゲン化物を含む、上記項8または上記項9に記載のプロセス。
(項11)
前記酸化剤は、FeCl3、CuCl2、HNO3、I2、H2O2、またはO2である、上記項10に記載のプロセス。
(項12)
前記ハロゲン化物は、塩化物またはヨウ化物である、上記項10−11のいずれかに記載のプロセス。
(項13)
前記エッチング液は、FeCl3およびHClを含む、または前記エッチング液は、CuCl2およびHClを含む、または前記エッチング液は、HNO3およびHClを含む、上記項10に記載のプロセス。
(項14)
前記第1の抵抗率対前記第2の抵抗率の比率は、少なくとも104であり、前記第1の透過率は、前記第2の透過率と2%未満だけ異なり、前記第1の曇価は、前記第2の曇価と0.05%未満だけ異なる、上記項8−13のいずれかに記載のプロセス。
(項15)
前記エッチングステップは、前記エッチングされた領域の少なくともいくつかのナノ構造を切断するステップを含む、上記項8−14のいずれかに記載のプロセス。
(項16)
前記導電性膜を加熱するステップをさらに含む、上記項8−15のいずれかに記載のプロセス。
(項17)
複数の相互接続ナノ構造を含む導電性膜を形成するステップと、
(1)第1の中間抵抗率を有するエッチングされていない領域と、(2)第2の中間抵抗率を有するエッチングされた領域とを提供するように、パターンに従って、前記導電性膜をエッチングするステップであって、前記第1の中間抵抗率対前記第2の中間抵抗率の第1の比率が、1000未満である、ステップと、
前記エッチングされた領域が、第1の最終抵抗率を有し、前記エッチングされていない領域が、第2の最終抵抗率を有するように、前記導電性膜を加熱するステップであって、前記第1の最終抵抗率対前記第2の最終抵抗率の第2の比率は、少なくとも1000であり、前記エッチングされた領域および前記エッチングされていない領域は、光学的に均一である、ステップと
を含む、プロセス。
(項18)
前記第1の比率は、少なくとも10であり、第2の比率は、少なくとも104である、上記項17に記載のプロセス。
(項19)
前記加熱ステップ後、前記エッチングされていない領域は、第1の透過率および第1の曇価を有し、前記エッチングされた領域は、第2の透過率および第2の曇価を有し、前記第1の透過率は、前記第2の透過率と5%未満だけ異なり、前記第1の曇価は、前記第2の曇価と0.5%未満だけ異なる、上記項17または上記項18に記載のプロセス。
(項20)
前記ナノ構造は、銀ナノワイヤである、上記項17−19のいずれかに記載のプロセス。
(項21)
前記エッチングステップは、前記導電性膜をエッチング溶液と接触させるステップを含み、前記エッチング溶液は、酸化剤およびハロゲン化物を含む、上記項17−20のいずれかに記載のプロセス。
(項22)
前記エッチング溶液は、FeCl3およびHClを含む、または前記エッチング液は、CuCl2およびHClを含む、または前記エッチング液は、HNO3およびHClを含む、上記項21に記載のプロセス。