JP6948285B2 - 顔料分散剤及びその製造方法、水性顔料分散液、並びに水性インクジェットインク - Google Patents
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Description
[1]アルカリで中和することで水に親和する水性の顔料分散剤であって、メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上であり、数平均分子量が2,500〜22,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.0以下である、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cを含むABCトリブロックコポリマーであり、前記ポリマー鎖Aは、酸基を有しないメタクリル酸エステルに由来する構成単位(a1)の含有量が98質量%以上であり、数平均分子量が1,000〜10,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下であり、前記ポリマー鎖Bは、メタクリル酸に由来する構成単位(b1)及びメタクリル酸エステルに由来する構成単位(b2)を含み、数平均分子量が1,000〜10,000であり、酸価が50〜200mgKOH/gであり、前記ポリマー鎖Cは、メタクリル酸に由来する構成単位(c1)を含み、数平均分子量が2,000以下であるとともに、前記ポリマー鎖Bの数平均分子量の1/2以下であり、酸価が200mgKOH/gを超えて653mgKOH/g以下であり、前記ポリマー鎖A、前記ポリマー鎖B、及び前記ポリマー鎖Cの順に含むABCトリブロックコポリマーである顔料分散剤。
[2]前記ポリマー鎖Cの酸価が300mgKOH/g以上653mgKOH/g以下である前記[1]に記載の顔料分散剤。
[3]前記構成単位(a1)を構成する酸基を有しないメタクリル酸エステルが、メタクリル酸ベンジル、シクロアルキル基含有メタクリル酸エステル、及び炭素数6〜18のアルキル基を含むメタクリル酸エステルの少なくともいずれかであり、前記構成単位(b2)を構成するメタクリル酸エステルが、メタクリル酸ベンジル及びシクロアルキル基含有メタクリル酸エステルの少なくともいずれかである前記[1]又は[2]に記載の顔料分散剤。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の顔料分散剤の製造方法であって、水性有機溶媒中、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cの順にリビングラジカル重合することを含む顔料分散剤の製造方法。
[5]重合開始化合物として、ヨウ素を含む有機化合物を用いる前記[4]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[6]2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)を重合開始助剤として使用し、前記ポリマー鎖B及び前記ポリマー鎖Cを50℃以下でリビングラジカル重合する前記[4]又は[5]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[7]コハク酸イミド、N−アイオドコハク酸イミド、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、ジフェニルメタン、及びテトラブチルアンモニウムアイオダイドからなる群より選択される少なくとも一種の有機触媒を用いてリビングラジカル重合する前記[4]〜[6]のいずれかに記載の顔料分散剤の製造方法。
[8]顔料5〜60質量%、顔料分散剤0.5〜20質量%、アルカリ0.5〜5質量%、水性有機溶媒30質量%以下、及び水20〜80質量%を含有し、前記顔料分散剤が、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の顔料分散剤である水性インクジェットインク用の水性顔料分散液。
[9]前記水性有機溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる群より選択される少なくとも一種である前記[8]に記載の水性顔料分散液。
[10]アクリル樹脂エマルジョン及びウレタン樹脂エマルジョンの少なくともいずれかのエマルジョンをさらに含有し、前記エマルジョンの含有量が、固形分換算で、5〜20質量%である前記[8]又は[9]に記載の水性顔料分散液。
[11]前記[8]〜[10]のいずれかに記載の水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインク。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の顔料分散剤は、アルカリで中和することで水に親和する水性の顔料分散剤であり、メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上である、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cを含むABCトリブロックコポリマーである。
ポリマー鎖Aは、酸基を有しないメタクリル酸エステルに由来する構成単位(a1)の含有量が90質量%以上、好ましくは98質量%以上のポリマーブロックである。ポリマー鎖Aは、アルカリで中和した場合であってもポリマー鎖Aが水に溶解しない範囲であれば、メタクリル酸などの酸基を有するメタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を含有していてもよい。ポリマー鎖A中の酸基を有するメタクリル酸系モノマーに由来する構成単位(a2)の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であること(すなわち、含まないこと)が特に好ましい。
ポリマー鎖Bは、メタクリル酸に由来する構成単位(b1)及びメタクリル酸エステルに由来する構成単位(b2)を含むポリマーブロックである。すなわち、ポリマー鎖Bは、メタクリル酸に由来するカルボキシ基を有するポリマーブロックである。
ポリマー鎖Cは、メタクリル酸に由来する構成単位(c1)を含むポリマーブロックである。ポリマー鎖Cを有しない、前述のポリマー鎖Aとポリマー鎖BからなるABジブロックコポリマーの場合、ポリマー鎖Bはカルシウムと結合する可能性があるが、カルボキシ基が隣接して存在する確率が少なく、キレート化しにくい。このため、カルシウムなどの無機充填剤を多く含有する紙には顔料が浸透しやすく、発色性が低下する。これに対して、ポリマー鎖Cを含むABCトリブロックコポリマーとすることで、無機充填剤を多く含有する紙に対しても発色性に優れた画像を記録することができる。
本発明の顔料分散剤は、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cを含むABCトリブロックコポリマーである。ABCトリブロックコポリマーの数平均分子量は2,500〜22,000であり、好ましくは3,000〜18,000、さらに好ましくは5,000〜15,000である。ABCトリブロックコポリマーの数平均分子量が2,500未満であると、分子量が小さすぎるため、ポリマー鎖Aやポリマー鎖Bの効果を得ることができない。すなわち、顔料に対する吸着性が不十分になるとともに、顔料を安定的に分散させることが困難になる。一方、ABCトリブロックコポリマーの数平均分子量が22,000超であると、分子量が大きすぎるため、調製される水性顔料分散液の粘度が過度に上昇したり、顔料に対して多く配合する必要が生じたりする。また、ABCトリブロックコポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は2.0以下であり、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.6以下である。
本発明の顔料分散剤の製造方法は、上述の顔料分散剤を製造する方法であり、水性有機溶媒中、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cの順にリビングラジカル重合することを含む。
「ポリマーの理論分子量」=「重合開始化合物1モル」×「モノマー分子量」×「モノマーのモル数/重合開始化合物のモル数」 ・・・(1)
本発明の水性顔料分散液は、水性インクジェットインク用の水性顔料分散液であり、顔料5〜60質量%、前述の顔料分散剤0.5〜20質量%、アルカリ0.5〜5質量%、水性有機溶媒30質量%以下、及び水20〜80質量%を含有する。
本発明の水性インクジェットインク(以下、単に「インク」とも記す)は、前述の水性顔料分散液を含有する。製造方法、配合処方、及び後処理方法等に特に制限はなく、前述の水性顔料分散液を用いること以外は、従来公知の方法にしたがって本発明のインクとすることができる。なお、インク中の顔料の含有量は、4〜20質量%であることが好ましい。
(実施合成例1)
撹拌機、逆流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた反応容器に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)347.0部、2−シアノ−2−アイオドプロパン3.12部、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)2.62部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)69.6部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)40.4部、メタクリル酸メチル(MMA)24.0部、及びN−アイオドコハク酸イミド(NIS)0.4部を入れた。65℃で5時間重合して、ポリマー鎖Aを得た。反応液の一部をサンプリングし、テトラヒドロフランを展開溶媒とするGPCにより測定したポリマー鎖Aの数平均分子量(Mn)は3,600であり、分子量分布(PDI=重量平均分子量/数平均分子量)は1.13であった。サンプリングした反応液を恒量に達するまで180℃で加熱して測定した固形分は28.9%であり、この固形分から算出した重合率は約100%であった。サンプリングした反応液を水に添加したが溶解しなかった。これにより、ポリマー鎖Aは水に不溶な疎水性ポリマーであることを確認した。
[ABC−1分散剤]
ポリマー鎖A:Mn3,600、PDI1.13
ABジブロックコポリマー:Mn6,600、PDI1.26、酸価74.1mgKOH/g
ポリマー鎖B:Mn3,000、酸価132mgKOH/g
ABCトリブロックコポリマー:Mn7,600、PDI1.21、酸価104.5mgKOH/g
ポリマー鎖C:Mn1,000、酸価652.4mgKOH/g
ポリマー鎖Cを形成しなかったこと以外は、前述の実施合成例1と同様にして、固形分30%であるABジブロックコポリマーの水溶液(AB−1分散剤水溶液)を得た。ABジブロックコポリマー(AB−1分散剤)の物性を以下に示す。
[AB−1分散剤]
ポリマー鎖A:Mn3,400、PDI1.15
ABジブロックコポリマー:Mn6,900、PDI1.26、酸価73.8mgKOH/g
ポリマー鎖B:Mn3,500、酸価132mgKOH/g
ポリマー鎖C:なし
ポリマー鎖Cの形成に用いたMAAをポリマー鎖Bの形成時に使用し、ポリマー鎖Cを形成しなかったこと以外は、前述の実施合成例1と同様にして、固形分30%であるABジブロックコポリマーの水溶液(AB−2分散剤水溶液)を得た。ABジブロックコポリマー(AB−2分散剤)の物性を以下に示す。
[AB−2分散剤]
ポリマー鎖A:Mn3,300、PDI1.16
ABジブロックコポリマー:Mn7,200、PDI1.19、酸価104.4mgKOH/g
ポリマー鎖B:3,900、酸価179.8mgKOH/g
ポリマー鎖C:なし
ポリマー鎖Cの形成に用いるMAAの量を34.4部としたこと以外は、前述の実施合成例1と同様にして、固形分30%であるABCトリブロックコポリマーの水溶液(ABC−比較分散剤水溶液)を得た。ABCトリブロックコポリマー(ABC−比較分散剤)の物性を以下に示す。
[ABC−比較分散剤]
ポリマー鎖A:Mn3,500、PDI1.14
ABジブロックコポリマー:Mn6,500、PDI1.27、酸価74.1mgKOH/g
ポリマー鎖B:Mn3,000、酸価132mgKOH/g
ABCトリブロックコポリマー:Mn8,600、PDI1.20、酸価132.6mgKOH/g
ポリマー鎖C:Mn1,900、酸価652.4mgKOH/g
(実施例1:水性顔料分散液−1)
実施合成例1で得たABC−1分散剤水溶液233.3部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル70部、及び水311.7部を混合し、若干濁りのある半透明の溶液を得た。得られた溶液にPR−122(キナクリドン顔料、商品名「CFR130P」、大日精化工業社製)350部を添加し、ディスパーを使用して30分撹拌してミルベースを調製した。横型媒体分散機(商品名「ダイノミル0.6リットルECM型」、シンマルエンタープライゼス社製、ジルコニア製ビーズの径:0.5mm)を使用し、周速10m/sで分散処理してミルベース中に顔料を十分に分散させた。水316部を添加して顔料濃度が18%となるように調整した。分散機から取り出したミルベースを遠心分離処理(7,500回転、20分間)した後、ポアサイズ10μmのメンブレンフィルターでろ過した。水で希釈して、顔料濃度14%である水性インクジェットインク用の水性顔料分散液−1を得た。
比較合成例1〜3で得た分散剤水溶液をそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、水性顔料分散液−比較1〜3を調製した。調製した水性顔料分散液−比較1〜3の物性等を表1に示す。
(水性顔料インク−1)
水性顔料分散液−1を用いて、以下に示す処方でインクジェット用の水性顔料インクを調製した。
[インク処方]
水性顔料分散液−1:40部
水:42.2部
1,2−ヘキサンジオール:5部
グリセリン:10部
界面活性剤(商品名「サーフィノール465」、エアープロダクト社製):1部
水性顔料分散液−1に代えて、水性顔料分散液−比較1〜3をそれぞれ用いたこと以外は、前述の水性顔料インク−1と同様にして、水性顔料インク−比較1〜3を得た。得られた水性顔料インク−比較1〜3の物性等を表2に示す。
水性顔料インク−1、水性顔料インク−比較1〜3をそれぞれカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ(商品名「EM930C」、セイコーエプソン社製)に装着した。そして、このインクジェットプリンタを使用し、以下に示す(i)〜(iii)の3種類の紙に最大印刷物濃度におけるベタ域塗りつぶしを行った。
(i)専用写真用光沢紙(PGPP)
(ii)普通紙1(商品名「4024」、ゼロックス社製)
(iii)普通紙2(商品名「ColorLok紙」、ヒューレッドパッカード社製)※炭酸カルシウム(無機充填剤)を多く含有する紙
(実施合成例2)
撹拌機、逆流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた反応容器に、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル207部、BzMA35.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)13部、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル(DCPOMA)55.6部、ヨウ素2.0部、AMDV4.0部、及びジフェニルメタン(DPM)0.08部を入れた。40℃で5時間重合してポリマー鎖Aを得た。重合率は約100%であり、ポリマー鎖AのMnは7,500であり、PDIは1.19であった。サンプリングした反応液を水に添加したが溶解しなかった。
[ABC−2分散剤]
ポリマー鎖A:Mn7,500、PDI1.19
ABジブロックコポリマー:Mn11,000、PDI1.20、酸価47.6mgKOH/g
ポリマー鎖B:Mn3,500、酸価73.4mgKOH/g
ABCトリブロックコポリマー:Mn12,000、PDI1.29、酸価60.7mgKOH/g
ポリマー鎖C:Mn1,000、酸価300mgKOH/g
(実施例2:水性顔料分散液−2)
実施合成例2で得たABC−2分散剤水溶液83.3部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール50部、及び水366.7部を混合した。C.I.ピグメントホワイト6(白色顔料、商品名「JR−405」、テイカ社製)500部を添加し、ディスパーを使用して撹拌した後、横型媒体分散機を使用して顔料を十分に分散させてミルベースを得た。分散機から取り出したミルベースをポアサイズ10μmのメンブレンフィルターでろ過した。水で希釈して、顔料濃度14%である水性インクジェットインク用の水性顔料分散液−2を得た。
アンモニア水に代えて、水酸化ナトリウムを用いてABジブロックコポリマーを中和したこと以外は、前述の比較合成例2と同様にして、固形分30%であるABジブロックコポリマーの水溶液(AB−3分散剤水溶液)を得た。さらに、得られたAB−3分散剤水溶液を用いたこと以外は、前述の実施例2と同様にして、顔料濃度14%である水性インクジェットインク用の水性顔料分散液−比較4を得た。
(水性顔料インク−2、水性顔料インク−比較4)
水性顔料分散液−2及び水性顔料分散液−比較4をそれぞれ用いて、以下に示す処方でインクジェット用の水性顔料インクを調製した。
[インク処方]
水性顔料分散液:20部
水:53部
グリセリン:26部
界面活性剤:商品名「サーフィノール465」(エアープロダクト社製):1部
(実施合成例3〜6)
各成分の使用量等を表4に示すようにしたこと以外は、前述の実施合成例2と同様にして、ABCトリブロックコポリマーの水溶液(ABC−3分散剤水溶液、ABC−4分散剤水溶液、ABC−5分散剤水溶液、ABC−6分散剤水溶液)を調製した。表4中の略号の意味を以下に示す。
2EHMA:メタクリル酸2−エチルヘキシル
DMAEMA:メタクリル酸ジメチルアミノエチル
BHT:2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール
SI:コハク酸イミド
(実施例3〜7:水性顔料分散液−3〜7)
実施合成例2〜6で得られた分散剤水溶液を用いるとともに、表5に示す顔料をそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして水性顔料分散液−3〜7を調製した。調製した各分散液の物性を表5に示す。
(水性顔料インク−3〜7)
水性顔料分散液−3〜7を用いたこと以外は、前述の水性顔料インク−1と同様にして、インクジェット用の水性顔料インク−3〜7を調製した。調製した各インクの物性を表5に示す。
調製した水性顔料インクを用いたこと以外は、前述の「画像の記録(1)」と同様にして、3種類の紙に最大印刷物濃度におけるベタ域塗りつぶしを行うとともに、印画物(画像)の光学濃度(OD値)をそれぞれ5回測定し、その平均値を算出した。結果を表6に示す。
(水性顔料インク−8)
水性顔料分散液−3を用いて、以下に示す処方でインクジェット用の水性顔料インクを調製した。使用したウレタン樹脂エマルジョンは、イソホロンジイソシアネート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ジメチロールブタン酸、及びヒドラジンからなる、トリエチルアミンで中和したウレタン樹脂(酸価34.2mgKOH/g)の水分散体である。このウレタン樹脂エマルジョンに含まれる、光散乱粒度分布計で測定したウレタン樹脂粒子の数平均粒子径は42.2nmであった。また、ウレタン樹脂エマルジョンの固形分は25.0%であった。
[インク処方]
水性顔料分散液−3:20部
ウレタン樹脂エマルジョン:20部
水:33部
グリセリン:26部
界面活性剤:商品名「サーフィノール465」(エアープロダクト社製):1部
得られた水性顔料インク−8を用いたこと以外は、前述の「画像の記録(1)」と同様にして、3種類の紙に最大印刷物濃度におけるベタ域塗りつぶしを行うとともに、印画物(画像)の光学濃度(OD値)をそれぞれ5回測定し、その平均値を算出した。その結果、PGPPに記録した画像のOD値は1.68であり、普通紙1に記録した画像のOD値は1.18であり、普通紙2に記録した画像のOD値は1.30であった。バインダー成分として機能するウレタン樹脂エマルジョンを配合したことで、ウレタン樹脂エマルジョンを配合していないインク(水性顔料インク−3)を用いた場合に比べて、画像のOD値が低下している。バインダー成分を配合したことで顔料濃度が低下したためと考えられるが、すべての紙に十分なOD値の画像を記録することができた。
Claims (11)
- アルカリで中和することで水に親和する水性の顔料分散剤であって、
メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位の含有量が90質量%以上であり、数平均分子量が2,500〜22,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.0以下である、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cを含むABCトリブロックコポリマーであり、
前記ポリマー鎖Aは、酸基を有しないメタクリル酸エステルに由来する構成単位(a1)の含有量が98質量%以上であり、数平均分子量が1,000〜10,000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下であり、
前記ポリマー鎖Bは、メタクリル酸に由来する構成単位(b1)及びメタクリル酸エステルに由来する構成単位(b2)を含み、数平均分子量が1,000〜10,000であり、酸価が50〜200mgKOH/gであり、
前記ポリマー鎖Cは、メタクリル酸に由来する構成単位(c1)を含み、数平均分子量が2,000以下であるとともに、前記ポリマー鎖Bの数平均分子量の1/2以下であり、酸価が200mgKOH/gを超えて653mgKOH/g以下であり、
前記ポリマー鎖A、前記ポリマー鎖B、及び前記ポリマー鎖Cの順に含むABCトリブロックコポリマーである顔料分散剤。 - 前記ポリマー鎖Cの酸価が300mgKOH/g以上653mgKOH/g以下である請求項1に記載の顔料分散剤。
- 前記構成単位(a1)を構成する酸基を有しないメタクリル酸エステルが、メタクリル酸ベンジル、シクロアルキル基含有メタクリル酸エステル、及び炭素数6〜18のアルキル基を含むメタクリル酸エステルの少なくともいずれかであり、
前記構成単位(b2)を構成するメタクリル酸エステルが、メタクリル酸ベンジル及びシクロアルキル基含有メタクリル酸エステルの少なくともいずれかである請求項1又は2に記載の顔料分散剤。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料分散剤の製造方法であって、
水性有機溶媒中、ポリマー鎖A、ポリマー鎖B、及びポリマー鎖Cの順にリビングラジカル重合することを含む顔料分散剤の製造方法。 - 重合開始化合物として、ヨウ素を含む有機化合物を用いる請求項4に記載の顔料分散剤の製造方法。
- 2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)を重合開始助剤として使用し、前記ポリマー鎖B及び前記ポリマー鎖Cを50℃以下でリビングラジカル重合する請求項4又は5に記載の顔料分散剤の製造方法。
- コハク酸イミド、N−アイオドコハク酸イミド、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、ジフェニルメタン、及びテトラブチルアンモニウムアイオダイドからなる群より選択される少なくとも一種の有機触媒を用いてリビングラジカル重合する請求項4〜6のいずれか一項に記載の顔料分散剤の製造方法。
- 顔料5〜60質量%、顔料分散剤0.5〜20質量%、アルカリ0.5〜5質量%、水性有機溶媒30質量%以下、及び水20〜80質量%を含有し、
前記顔料分散剤が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料分散剤である水性インクジェットインク用の水性顔料分散液。 - 前記水性有機溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる群より選択される少なくとも一種である請求項8に記載の水性顔料分散液。
- アクリル樹脂エマルジョン及びウレタン樹脂エマルジョンの少なくともいずれかのエマルジョンをさらに含有し、
前記エマルジョンの含有量が、固形分換算で、5〜20質量%である請求項8又は9に記載の水性顔料分散液。 - 請求項8〜10のいずれか一項に記載の水性顔料分散液を含有する水性インクジェットインク。
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