以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[排ガス浄化用触媒]
先ず、本発明の排ガス浄化用触媒について説明する。本発明の排ガス浄化用触媒は、金属酸化物粒子の成形体からなりかつ平均細孔直径が0.5〜20μmのマクロ孔を有する担体と、
該担体に担持された貴金属と、
を備え、かつ、電子プローブマイクロアナライザーを用いて前記担体に担持された貴金属の分布状態を確認した場合に、全測定点における貴金属の担持量の平均値(A)に対して、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)が1.1倍以上となっていることを特徴とするものである。
このような担体を構成する前記金属酸化物粒子としては特に制限されず、排ガス浄化用触媒の担体等に利用することが可能な公知の金属酸化物からなる粒子を適宜利用することができる。このような金属酸化物粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、酸化セリウム(CeO2、セリア)、酸化ジルコニウム(ZrO2、ジルコニア)、酸化珪素(SiO2、シリカ)、酸化イットリウム(Y2O3、イットリア)及び酸化ネオジム(Nd2O3)等の酸化物又はこれらの複合酸化物からなる多孔質酸化物粒子を挙げることができる。このような金属酸化物粒子の中でも貴金属との相互作用(活性な状態の維持)の観点から、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウムを利用することが好ましく、酸化アルミニウムが特に好ましい。また、このような金属酸化物粒子は、それ自体に貴金属が担持されたものを使用してもよい。
このような担体を構成する前記金属酸化物粒子の平均粒子径としては特に制限されないが、1〜10μmであることが好ましく、3〜8μmであることがより好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では成形体が緻密になり、ガス拡散性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると成形体がもろくなり、強度が不足する傾向にある。このような平均粒子径はスラリーの粒度分布測定により求めることができる。例えば、測定対象となる金属酸化物粒子を利用してスラリーを調製し、レーザー回折法を用いた粒度分布測定装置を用いてスラリーの粒度分布を求めて、その結果から粒子の算術平均径を平均粒子径として算出することで求めてもよい。
また、前記金属酸化物粒子の成形体の形態は特に制限されず、例えば、基材に担持されたコート層、ペレット、粒子の凝集体等の形態とすることができ、目的の設計に応じて、その形態を適宜変更することができる。なお、基材に担持する場合、その基材としては、特に制限されず、排ガス浄化用触媒の基材として用いることが可能な公知の基材が使用できる。
また、このような金属酸化物粒子の成形体からなる担体は、平均細孔直径が0.5〜20μmのマクロ孔を有する。このような平均細孔直径が前記下限未満ではガスの拡散性が低下して、十分に高度な触媒活性を達成することができなくなり、他方、前記上限を超えると、成形体の強度が低下したり、必要以上に成形体の嵩が大きくなるためハニカム構造の担体にコートした形態の触媒を調製した場合に圧力損失が大きくなる、等といった不具合が生じる。また、このような担体が有するマクロ孔の平均細孔直径としては、ガスの拡散の点でより高い効果が得られることから、1〜10μmであることがより好ましく、2〜10μmであることが更に好ましく、3〜10μmであることが特に好ましい。なお、このようなマクロ孔は、例えば、後述の造孔材を鋳型(テンプレート)として利用することで金属酸化物粒子の成形体中に容易に形成することができる。また、このような担体が有するマクロ孔の平均細孔直径は、以下のようにして測定することができる。すなわち、前記マクロ孔の平均細孔直径は、例えば、測定装置として、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA:例えば日本電子社製の商品名「JXA−8500F」)を用いて、先ず、50μm角の領域を1視野として、任意の複数の測定視野(測定領域)について50μm角の反射電子像をそれぞれ測定(面分析)し、得られた全ての反射電子像(全測定視野の面分析結果)に基づいて、任意の20点以上の細孔(マクロ孔)について、各細孔ごとに、細孔の開口部の長手方向(細孔の開口部の長さをあらゆる方向に測った場合に最も長さが長くなる方向)に対して垂直な方向の細孔の開口部の長さの最大のもの(長手方向に対して垂直な方向の細孔の開口部の長さの最大長)をそれぞれの細孔の直径として測定し、その直径(前記最大長)の平均を算出することにより測定することができる。特に、マクロ孔が後述の繊維状造孔材を鋳型(テンプレート)として利用して形成されたものである場合には、EPMAによる反射電子像において、担体の表面上に確認される細孔(マクロ孔)の開口部は基本的に長手方向が確認されるような細長い形態のものとなるため、上述の測定方法を採用して、長手方向に対して垂直な方向の細孔の開口部の長さの最大長を細孔の直径と擬制することで平均細孔直径を求めることができる。なお、このような電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)による測定の方法は、例えば、後述の電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて担体に担持された貴金属の分布状態を確認する方法において採用している条件(装置、加速電圧等の条件)と同様の条件を採用して、任意の複数の測定視野において反射電子像をそれぞれ測定する方法を採用できる。なお、このような平均細孔直径は、例えば、測定装置としてSEMやX線CT等を利用して、成形体の断面像や三次元像を測定して直径に相当する部位の長さを算出することによっても確認できる。
このような担体が有する細孔の平均アスペクト比は9〜40の範囲内であることが好ましく、9〜30の範囲内であることがより好ましく、9〜28の範囲内であることが特に好ましい。このような平均アスペクト比が前記下限未満では、ガス拡散性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、拡散性が大きくなり過ぎることにより、触媒活性点と接触せずに素通りするガスの割合が増えて十分な触媒性能が得られなくなる傾向にある。このように、細孔の平均アスペクト比が前記範囲内にある場合には、ガス拡散性と触媒性能のバランスがより向上する傾向にある。なお、このような細孔の平均アスペクトは、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA:例えば日本電子社製の商品名「JXA−8500F」)を用いて、50μm角の領域を1視野として、任意の複数の測定視野(測定領域)について50μm角の反射電子像をそれぞれ測定(面分析)し、得られた全ての反射電子像(全測定視野の面分析結果)に基づいて、任意の20点以上の細孔(マクロ孔)について、各細孔ごとに「細孔の開口部の長手方向の長さ/長手方向に垂直な方向の細孔の開口部の長さの最大長」の値(アスペクト比)を求めて平均化することにより求めることができる。
このような担体としては、比表面積が10m2/g以上であることが好ましく、比表面積が50m2/g以上であることがより好ましい。このような比表面積が前記下限未満ではマクロ孔部(マクロ孔の細孔壁の近傍部分)に貴金属を高分散に担持することが困難となる傾向にある。このような比表面積は、窒素ガスの吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。なお、吸着等温線は、担体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法(ガス吸着法)あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットすることにより求めることができる。
また、前記担体に担持される貴金属としては、特に制限されないが、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)及びルテニウム(Ru)からなる群から選択される少なくとも1種のものを用いることが好ましい。これらの中でも、触媒性能という観点から、Pt、Rh、Pd、Ir及びRuからなる群から選択される少なくとも一種がより好ましく、Pt、Rh及びPdからなる群から選択される少なくとも一種が特に好ましい。
また、本発明においては、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて前記担体に担持された貴金属の分布状態を確認した場合に、全測定点における貴金属の担持量の平均値(A)に対して、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)が1.1倍以上となっている必要がある。このように貴金属の担持量の平均値(B)が貴金属の担持量の平均値(A)の1.1倍以上となるという条件は、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域に存在する貴金属の量(濃度)が、他の部位と比較して高いことを意味しており、本発明においては、このように、ガスの主たる流路であるマクロ孔の壁面近傍おける貴金属の量が担体上の他の位置を比較して多いため、ガスと触媒活性点である貴金属との接触頻度をより高めることができ、これにより、より高度な触媒活性を得ることを可能とする。以下、このような平均値(A)及び平均値(B)の測定方法(電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて担体に担持された貴金属の分布状態を確認する方法)を、図面を用いながら説明する。
ここで、このような平均値(A)及び(B)の測定方法を説明するにあたり、先ず、図1を用いて、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域について簡単に説明する。図1は、マクロ孔の開口部Oが形成されている部位の周辺部位に存在する担体Sと貴金属Nとの状態を模式的に示す、担体Sのマクロ孔の開口部Oの近傍の部位の断面の模式図である。なお、図中のPは、担体Sとマクロ孔の開口部O(空隙部分)との境界部位であるマクロ孔の壁面(細孔壁)を示し、矢印D1は図の左側の担体Sの壁面Pに対して担体側の方向を示し、矢印D2は図の左側の担体Sの壁面Pに対してマクロ孔の空隙側の方向を示す。本発明においては、図1中の左側の担体Sを参照すると、前記合計領域は、マクロ孔の壁面Pから担体側(D1方向)に向かって3μmの領域A1と、マクロ孔の壁面Pから該マクロ孔の空隙側(D2方向)に向かって1μmの領域A2と合わせた領域(A1+A2)となる。そして、このような平均値(A)及び(B)の測定に際しては、先ず、貴金属Nが担持された担体Sに関して、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA:例えば日本電子社製の商品名「JXA−8500F」)を用いて、加速電圧:10KV、試料電流:100nA、ビーム径:1μm以下となる条件で、1視野を50μm角の大きさとして、任意の複数の測定視野(測定領域)において、それぞれ面分析を行い、各測定視野ごとに50μm角の反射電子像をそれぞれ測定する。このような面分析においては、全ての測定点(画素:ピクセル)の大きさを縦200nm×横200nm(200nm角)として分析する。このような測定により、得られる反射電子像は測定点(画素:ピクセル)の個数(総数)が62500個(250ピクセル×250ピクセル)となり、その反射電子像中の測定点(ピクセル)のそれぞれの位置において、貴金属の濃度のデータを得ることができる。なお、ここにいう測定点(画素:ピクセル)ごとの貴金属の濃度は、各測定点に存在する全元素(貴金属も含めた全元素)に対する貴金属の割合であり、貴金属の分布状態の確認に際しては、その濃度をそのまま測定点ごとの貴金属の量と置き換えることができる。そして、各測定視野(各反射電子像)ごとに、測定点の総数(62500点)と、全ての測定点における貴金属の量の総和を求め、かかる総和を前記測定点の総数(62500点)で割ることにより、各測定視野(反射電子像)ごとに、全測定点(62500点)における「貴金属の担持量の平均値(a)」を求めることができる。そして、全ての測定視野(全ての測定領域)ごとに求められた「貴金属の担持量の平均値(a)」を利用して、平均値(a)の平均を算出することで「貴金属の担持量の平均値(A)」を求めることができる。このように、本発明においては、前記平均値(a)の平均の値を「貴金属の担持量の平均値(A)」として採用する。なお、このような測定方法から「貴金属の担持量の平均値(A)」は面分析の結果として求められる値であるといえる。次いで、上述の「貴金属の担持量の平均値(a)」を求めた全ての測定視野(測定領域)に対して、測定視野ごとに、その測定結果として求められる反射電子像(EPMAの分析結果)に基づいて線分析を行う。このような線分析は、前記測定視野(測定領域:前記反射電子像)ごとに、任意の3本以上のライン状の領域を測定することにより行う。なお、このような線分析は、線分析するラインの一部が必ず細孔の開口部Oの上を通るようにして測定する部位(測定するライン)を選択する必要があり、開口部Oがない部位(担体の表面のみしか測定できない部位)は線分析する部位としては選択しない。なお、このような線分析は、上記測定視野(測定領域:前記反射電子像)ごとに、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて加速電圧:10KV、試料電流:100nA、ビーム径:1μm以下、分析するライン(線)の長さ:50μmとなる条件で、任意の3本以上のライン状の領域について行う線分析となる。また、このような線分析においては、ライン上の測定点(大きさ:200nm角、総数:250ピクセル)ごとに、貴金属の濃度のデータを求める。そして、このような線分析の結果から、線分析の測定ライン上の測定点であってかつマクロ孔の壁面Pから担体側に向かって3μmの領域A1と前記マクロ孔の壁面Pから該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域A2との合計領域(A1+A2)中の測定点の数と、該合計領域(A1+A2)中の測定点ごとの貴金属の量をそれぞれ求める。そして、全ての測定視野(全ての反射電子像)の線分析の結果から、全測定視野における前記合計領域(A1+A2)中に存在する測定点の数の合計数(合計数A:全測定視野中の全測定ライン上の測定点であってかつ前記合計領域(A1+A2)中に存在する測定点の数の合計数)と、全測定視野における前記合計領域(A1+A2)中に存在する全ての測定点(全測定視野中の全測定ライン上の測定点であってかつ前記合計領域(A1+A2)中に存在する測定点)の貴金属の量の総和を求めて、その総和を前記合計数Aで割ることにより、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域の測定点における「貴金属の担持量の平均値(B)」を求めることができる。このようにして、全ての測定視野(全ての反射電子像)の線分析の結果から、全測定視野における全ての測定ライン上の全ての前記合計領域(A1+A2)中に存在する全ての測定点の数(合計数A)と、全測定視野における全ての測定ライン上の全ての前記合計領域(A1+A2)中に存在する全測定点の貴金属の量の総和とを求めて、貴金属の量の平均([前記貴金属の量の総和]/[合計数A])を算出することで、「貴金属の担持量の平均値(B)」を求めることができる。このように、「貴金属の担持量の平均値(B)」は、全測定視野の全測定ライン上の全合計領域(A1+A2)中の全ての測定点における貴金属の量の平均値(全ての測定視野の全ての線分析の結果から、全ての測定視野の全合計領域(A1+A2)中の全ての測定点における貴金属の量を求め、その貴金属の量の平均値)として求められる値である。このようにして、全測定視野(全反射電子像)の測定結果(面分析の結果、線分析の結果)をそれぞれ利用して、上述のようにして「平均値(A)」と「平均値(B)」をそれぞれ求めることができる。
なお、このような平均値(A)及び平均値(B)の測定について、図2を参照しながら更に説明する。図2は、担体の表面上の縦50μm、横50μmの任意の領域(測定視野のうちの一つ)に対してEPMAを用いて面分析を行った場合に測定される反射電子像(250ピクセル×250ピクセル)の一形態を示す図面である(なお、図中の黒く塗りつぶされた領域はマクロ孔の開口部Oである)。このように、図2は、1視野を50μm角の大きさとして面分析した場合に得られる反射電子像(250ピクセル×250ピクセル)の一形態であり、EPMAによる該反射電子像の測定においては、該像を形成する各ピクセル(各画素)のそれぞれの位置において貴金属の濃度のデータを求めることができる。そして、かかる面分析の結果(反射電子像)から、該反射電子像中の測定点の合計数(62500点)と、その測定点における貴金属の量の総和を求めて、その測定領域(反射電子像)中の全測定点の「貴金属の担持量の平均値(a)」を求めることができる。そして、本発明においては、任意の複数の測定視野(測定領域)ごとに、それぞれ「貴金属の担持量の平均値(a)」を求め、全ての測定領域(全測定視野)の平均値(a)の平均として「貴金属の担持量の平均値(A)」を求めることができる。また、本発明においては、「貴金属の担持量の平均値(B)」を求めるために、上述のように、平均値(a)を求めた各測定視野においてそれぞれ線分析を行う。このような線(ライン)分析としては、前記反射電子像内(1視野)において、測定するラインとして任意の3本以上の線上の領域(図2に示す形態においては、ラインL1、ラインL2、ラインL3の任意の3本のライン、各ラインの長さ:50μm)を選択する。このように、前記反射電子像の測定結果に基づいて、線分析の任意の測定領域(測定するライン)としてラインL1、ラインL2、ラインL3を選択した場合、図2(250×250ピクセル)に示す反射電子像おいては、それぞれのラインごとに(測定部位ごと)に測定点(画素:ピクセル)の個数は250点となり(各画素のサイズは200nm角である)、これらの測定点ごとに貴金属の濃度のデータが得られることから、そのデータに基づいて、ラインL1〜L3ごとに、ライン上の前記領域A1と前記領域A2との合計領域(A1+A2)中の測定点(ライン上の測定点)の数と、その合計領域(A1+A2)中の測定点(ライン上の測定点)ごとの貴金属の量とを求めることができる。そして、このような線分析を各測定視野においてそれぞれ行って、全ての測定視野における測定(線分析)の結果から、全ての測定視野内の全ての測定ライン上に存在する前記合計領域(A1+A2)中の測定点の数の合計数(合計数A)と、全ての測定視野内の全ての測定ライン上に存在する前記合計領域(A1+A2)中の全ての測定点の貴金属の量の総和を求めて、その総和を合計数Aで割ることにより、「貴金属の担持量の平均値(B)」を求めることができる。このようにして、「貴金属の担持量の平均値(A)」と「貴金属の担持量の平均値(B)」を求めることができる。
本発明においては、上述のように、貴金属の担持量の平均値(A)に対して貴金属の担持量の平均値(B)は1.1倍以上である必要がある。また、本発明においては、貴金属の担持量の平均値(A)に対して貴金属の担持量の平均値(B)は1.1〜5.5倍であることがより好ましく、1.15〜5.5倍であることが更に好ましく、1.2〜4.0倍であることが特に好ましい。このような貴金属の担持量の平均値(B)の貴金属の担持量の平均値(A)に対する倍率が前記下限未満ではガス流路に選択的に貴金属を担持した効果が小さくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると貴金属の担持密度が過度となり、貴金属の粒子径が大きくなって活性が低下する傾向にある。
本発明において貴金属の担持量は、前記担体100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.02〜5質量部であることがより好ましく、0.03〜2質量部であることが特に好ましい。このような貴金属の担持量(総量)が前記下限未満では活性点が不足するために活性が発現しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると貴金属の粒成長が促進されたり、コストアップにつながる傾向にある。
このような本発明の排ガス浄化用触媒は、担体の成形体の形態に応じて様々な形態とすることができる。例えば、基材と、該基材の表面に形成されたコート層として担持されてた触媒成分(排ガス浄化用触媒)とからなる形態としてもよい。このような基材としては、特に制限されず、排ガス浄化用触媒の基材として用いることが可能な公知の基材が使用でき、ハニカム形状の基材を好適に利用することができる。このようなハニカム形状の基材としては、特に制限されず、排ガス浄化用触媒の基材として用いることが可能な公知のハニカム形状の基材が使用でき、具体的には、ハニカム形状のモノリス基材(ハニカムフィルタ、高密度ハニカム等)等が好適に採用される。また、このような基材の材質も特に制限されず、コージエライト、炭化ケイ素、シリカ、アルミナ、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。これらの中でも、コストの観点から、コージエライトであることが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒としては、マクロ孔の空隙率が2〜30容量%であることが好ましく、5〜20容量%であることがより好ましい。このような空隙率が前記範囲外では触媒活性が低下する傾向にある。なお、このような触媒のマクロ孔の空隙率(容量%)は、後述の造孔材(繊維状造孔材)を使用して排ガス浄化用触媒を形成した場合には、例えば、金属酸化物粒子の使用量と繊維状造孔材の使用量とから、繊維状造孔材の比重を1とした場合の各成分の比重に基づいて、製造時に粒子中に取り込まれた繊維状造孔材が占める部位の総容積を求めて、その値をマクロ孔の空隙部分の容積(細孔の容量)とみなすことにより見積ることができる。また、このような触媒のマクロ孔の空隙率(容量%)は、水銀ポロシメータやガス吸着測定法で該当する細孔の容積を求めることにより測定することもできる。なお、マクロ孔の空隙率(容量%)は、FIB−SEM(Focused Ion Beam−Scanning Electron Microscope)又はX線CT等で得られるマクロ孔の三次元情報から断面画像を解析することにより確認することもできる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒を基材に担持したコート層の形態とする場合、そのコート層は平均厚さを20〜300μmとすることが好ましく、50〜200μmとすることがより好ましい。このような平均厚さが前記下限未満では触媒量が不足し、活性が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとガス流路が狭まって圧力損失が大きくなったり、コート層の下部にガスが拡散しなくなる傾向にある。なお、ここにいう「厚さ」とは、前記コート層の基材の平坦部の中心に対して垂直な方向の長さを言う。なお、このような厚さは、前記触媒コート層を走査型電子顕微鏡写真(SEM)観察や光学顕微鏡観察等により求め、任意の10個以上の部分について厚さを測定し、「平均厚さ」はその厚さの平均値を算出することにより測定することができる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒を基材に担持したコート層の形態とする場合、基材に対する触媒の被覆量(コート層の量)が前記基材の単位体積当たり20〜300g/L(より好ましくは50〜250g/L)の範囲内であることが好ましい。前記被覆量が前記下限未満では、触媒活性性能が十分に得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、圧力損失が増大し燃費が低下する傾向にある。
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、排ガス浄化用触媒に用いられる他の金属酸化物や添加剤等を用いることができる。このような他の成分としては、具体的には、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、ランタン(La)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)等の希土類元素、鉄(Fe)等の遷移金属等の一種以上が挙げられる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒は、他の触媒と組み合わせて利用してもよい。このような他の触媒としては、特に制限されず、公知の触媒(例えば、自動車の排ガス浄化用触媒の場合は、酸化触媒、NOx還元触媒、NOx吸蔵還元型触媒(NSR触媒)、希薄NOxトラップ触媒(LNT触媒)、NOx選択還元触媒(SCR触媒)等)を適宜用いてもよい。
なお、このような本発明の排ガス浄化用触媒を排ガスの浄化に利用した場合の効果に関して、平均細孔直径が0.5〜20umの細孔(マクロ孔)が主たるガスの流通部となって他の部位よりもマクロ孔内へのガスの拡散性が高くなり、触媒中へのガスの拡散性が高く、また、かかる触媒が、そのマクロ孔の壁面に選択的に、他の部位よりも高濃度で貴金属が担持されている状態にあるため、ガスと貴金属との接触機会もより増加させることができ、貴金属を担体全体に均一に分散させて担持(分布)させた触媒と比較して、触媒活性をより高度なものとすることが可能であるものと本発明者らは推察している。また、本発明の排ガス浄化用触媒においては、上述のように、触媒中へのガスの拡散性が高くかつガスと貴金属との接触機会もより増加することから、特にガス雰囲気の変化に対する感度をより高度な水準のものとすることも可能であると本発明者らは推察する。また、このように、本発明の排ガス浄化用触媒においては、ガスと貴金属の接触機会がより向上するようにマクロ孔に選択的に貴金属が担持されているため、貴金属の利用効率が向上し、貴金属の使用量自体や触媒体格をより低減させることも可能であると本発明者らは推察する。
[排ガス浄化用触媒の製造方法]
次に、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法を説明する。本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、平均直径が0.7〜15μmの繊維状造孔材に対して貴金属を担持して貴金属担持造孔材を得る工程(I)と、
金属酸化物粒子と前記貴金属担持造孔材とを混合して触媒スラリーを得る工程(II)と、
前記触媒スラリーを成形した後に焼成することにより、金属酸化物粒子の成形体からなる担体と該担体に担持された貴金属とを備える上記本発明の排ガス浄化用触媒を得る工程(III)と、
を含むことを特徴とする方法である。以下、各工程を分けて説明する。
〈貴金属担持造孔材を得る工程(I)〉
このような工程(I)は、平均直径が0.7〜15μmの繊維状造孔材に対して貴金属を担持して貴金属担持造孔材を得る工程である。
このように、本発明においては、繊維状造孔材を利用する。そして、このような繊維状造孔材に貴金属を担持した後、これを触媒スラリーに含有させ、その後の工程における焼成などにより繊維状造孔材の少なくとも一部を除去することで、繊維状造孔材の形状と同等形状の空隙を金属酸化物粒子の成形体の内部に形成することを可能とし、更に、繊維状造孔材に担持されていた貴金属を金属酸化物粒子の成形体中の該造孔材が存在していた部位の近傍に担持(転写)することを可能とする。本発明においては、このようにして貴金属担持造孔材が存在していた部位の近傍に貴金属を選択的に担持する。このように、繊維状造孔材は、マクロ孔を形成するための鋳型(テンプレート)として利用されるとともに、マクロ孔の細孔壁の近傍に貴金属を選択的に担持するための材料として利用される。そのため、このような繊維状造孔材としては、金属酸化物粒子の凝集物等の成形体に細孔を形成するための鋳型(テンプレート)として利用することが可能であり、かつ、貴金属を担持することが可能である繊維状の有機物が好ましく、その種類は特に制限されるものではない。
このような繊維状造孔材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、セルロース繊維が挙げられる。このような繊維状造孔材の中でも、加工性と焼成温度のバランスの観点から、PET繊維及びナイロン繊維からなる群から選択される少なくとも1種のものを用いることが好ましい。
また、本発明にかかる繊維状造孔材は、平均直径(平均繊維径)が0.7〜15μmであることが必要である。前記繊維状造孔材の平均直径が前記下限未満では、マクロ孔を形成することができなくなって、得られる排ガス浄化用触媒の触媒性能が低下し、他方、前記上限を超えると、得られる触媒の嵩が必要以上に大きくなってしまうか、あるいは、嵩が大きくなることを抑制するために繊維状造孔材の添加量を少なくすると形成される細孔のガス流路としての機能が低下してしまう。なお、繊維状造孔材の平均直径(平均繊維径)は、ガス拡散性に適した範囲の大きさであるという観点から、1〜12μmの範囲内であることが好ましく、2〜10μmの範囲内であることが特に好ましい。このような平均直径(平均繊維径)は、無作為に50以上の繊維状造孔材を抽出し、これら繊維状造孔材の繊維径を測定して平均することによって求めることができる。
また、このような触媒スラリー調製工程において用いる繊維状造孔材としては、平均アスペクト比が9〜40の範囲内であることが好ましく、9〜30の範囲内であることがより好ましく、9〜28の範囲内であることが特に好ましい。このような平均アスペクト比が前記下限未満では、細孔の連通性が不十分になるため、ガス拡散性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、拡散性が大きくなり過ぎることにより、触媒活性点と接触せずに素通りするガスの割合が増えて、十分な触媒性能が得られなくなる傾向にある。このように平均アスペクト比が前記範囲内にある場合には、ガス拡散性と触媒性能のバランスがより向上する傾向にある。なお、このような繊維状造孔材の平均アスペクトは「平均繊維長/平均直径(平均繊維径)」と定義する。ここで、繊維長とは繊維の始点と終点を結ぶ直線距離とする。平均繊維長は、無作為に50以上の繊維状造孔材を抽出し、これら繊維状造孔材の繊維長を測定して平均することによって求めることができる。なお、平均直径については前述の通りである。
また、このような工程(I)においては、前記繊維状造孔材に対して貴金属を担持する。このように繊維状造孔材に対して貴金属を担持する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することが可能である。このような繊維状造孔材に対して貴金属を担持する方法としては、例えば、貴金属(例えば、Pt、Rh、Pd、Ru等、又はその化合物)の塩(例えば、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、クエン酸塩、ジニトロジアンミン塩、等)又はそれらの錯体(例えば、テトラアンミン錯体)を水、アルコール等の溶媒に溶解した溶液を繊維状造孔材に含浸担持た後、溶媒を除去して、繊維状造孔材に貴金属を担持する方法を挙げることができる。
なお、貴金属として白金を用いる場合、白金塩としては、特に制限されないが、例えば、白金(Pt)の酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、クエン酸塩、ジニトロジアンミン塩等又はそれらの錯体が挙げられ、中でも、担持されやすさと高分散性の観点から、ジニトロジアンミン塩が好ましい。また、貴金属としてパラジウムを用いる場合、パラジウム塩としては、特に制限されないが、例えば、パラジウム(Pd)の酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、クエン酸塩、ジニトロジアンミン塩等又はそれらの錯体の溶液が挙げられ、中でも、担持されやすさと高分散性の観点から、硝酸塩やジニトロジアンミン塩が好ましい。さらに、溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水(好ましくはイオン交換水及び蒸留水等の純水)等のイオン状に溶解せしめることが可能な溶媒が挙げられる。
このようにして繊維状造孔材に対して貴金属を担持することで、貴金属担持造孔材を得ることができる。このような繊維状造孔材に対する貴金属の担持量は特に制限されず、目的とする設計等に応じて適宜必要量担持させればよい。このような貴金属の担持量としては、繊維状造孔材100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましく、0.5〜3質量部であることが特に好ましい。このような貴金属の担持量が前記下限未満ではガス流路に選択的に貴金属を配置する効果が小さくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると貴金属の担持密度が過度となり、粒子径が大きくなる傾向にある。
〈触媒スラリーを得る工程(II))
このような工程(II)は、金属酸化物粒子と前記貴金属担持造孔材とを混合して触媒スラリーを得る工程である。
このような金属酸化物粒子としては、上記本発明の排ガス浄化用触媒において説明したもの(担体を構成する金属酸化物粒子)と同様のものである(その好適なものも同様である)。また、このような金属酸化物粒子としては、金属酸化物粒子として貴金属が予め担持された金属酸化物粒子(貴金属担持粒子)を利用してもよい。
さらに、このような工程(II)において用いる前記貴金属担持造孔材の使用量は、前記金属酸化物粒子100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、3〜5質量部であることが特に好ましい。このような貴金属担持造孔材の使用量(混合量)が前記下限未満では、造孔材の量が不十分なものとなって、成形体内に形成されるマクロ孔に十分な細孔連通性が得られなくなるため、ガスの拡散性が低下し、触媒活性が低下してしまう傾向にあり、他方、前記上限を超えると、効果が飽和する、嵩が必要以上に大きくなる、強度が低下する等といった不都合が生じる傾向にある。
また、本発明においては、触媒の製造に用いる貴金属担持造孔材中の貴金属の含有量が、製造する排ガス浄化用触媒中の貴金属の総量の10質量%以上であることが好ましく、12〜100質量%であることがより好ましく、15〜100質量%であることが特に好ましい。このような貴金属の含有量が前記下限未満ではマクロ孔の細孔壁(壁面)近傍以外の部位に存在する貴金属の量が多くなってしまい、触媒中の貴金属の総量に対して、得られる触媒活性が十分なものではなくなる傾向にある。また、このような貴金属の含有量が前記下限未満では上記本発明の排ガス浄化用触媒を製造することが困難となる傾向にある。なお、得られる排ガス浄化用触媒において、貴金属担持造孔材中の貴金属以外の貴金属が担体に担持されている場合、そのような貴金属を担持する方法は特に制限されず、例えば、各工程を実施して触媒を形成した後に、別途担体に貴金属の塩等を担持し、焼成することにより担体に貴金属担持造孔材中の貴金属以外の貴金属を担持する方法を採用してもよく、あるいは、排ガス浄化用触媒の製造に用いる金属酸化物粒子として、貴金属を予め担持した金属酸化物粒子(貴金属担持粒子)を準備し、これを用いて触媒を製造する方法を採用してもよい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒を効率よく製造するといった観点からは、前記金属酸化物粒子として、貴金属が予め担持された金属酸化物粒子(貴金属担持粒子)を利用する場合、その貴金属担持粒子に担持された貴金属の量が、得られる排ガス浄化用触媒中の貴金属の総量の90質量%以下となるようにして利用することが好ましい。このような担持量が前記上限を超えると細孔の壁面近傍に担持した貴金属の濃度を十分に高いものとすることが困難となり、上記本発明の排ガス浄化用触媒を製造することが困難となる傾向にある。このように、上記本発明の排ガス浄化用触媒を効率よく製造するといった観点からは、触媒の製造に用いる貴金属担持造孔材中の貴金属の含有量が、製造する排ガス浄化用触媒中の貴金属の総量の10質量%以上となるという条件を満たすようにして(貴金属担持造孔材中に含有される貴金属の量と、貴金属が予め担持された金属酸化物粒子(貴金属担持粒子)中に含有される貴金属の量との合計量に対して、貴金属担持造孔材中に含有される貴金属の量が10質量%以上となるという条件を満たすようにして)、前記金属酸化物粒子として貴金属担持粒子を利用することが好ましい。
また、このような工程(II)において、前記金属酸化物粒子と前記貴金属担持造孔材とを混合して触媒スラリーを調製する方法としては、特に制限されず、前記金属酸化物粒子と前記貴金属担持造孔材とを混合してスラリーを得ることが可能となるような方法であればよく、公知のスラリーの調製方法と同様の方法を適宜採用することができる。このような触媒スラリーを調製する方法としては、特に制限されないが、例えば、分散媒中に金属酸化物粒子を分散させて金属酸化物粒子を含む分散液を得た後、該分散液に貴金属担持造孔材を混合する方法、分散媒中に貴金属担持造孔材を分散させて貴金属担持造孔材を含む分散液を得た後、該分散液に金属酸化物粒子及び繊維状有機物を混合する方法、分散媒中に貴金属担持造孔材及び金属酸化物粒子を同時に添加して混合する方法等を採用することができる。このような混合の条件としては、貴金属担持造孔材が触媒スラリー中で均一に分散混合できれるように適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば、アトライタミルを用いて、撹拌速度を100〜400rpmとし、処理時間を30分以上とすることが好ましい。また、このようなスラリーの調製に利用する分散媒(溶媒)としては、特に制限されず、触媒製造時にスラリーを製造するために利用することが可能な公知の溶媒を適宜利用でき、例えば、水(好ましくはイオン交換水及び蒸留水等の純水)等の溶媒が挙げられる。
なお、このような触媒スラリーには、前記金属酸化物粒子と前記貴金属担持造孔材以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、排ガス浄化用触媒の製造に利用することが可能な公知の他の成分を適宜含有させてもよい。このような他の成分としては、目的とする排ガス浄化用触媒の設計に応じて排ガス浄化用触媒の製造に利用することが可能な公知のものを適宜選択することができ、例えば、バインダー成分(アルミナゾル等)、アルカリ金属の塩又は錯体、アルカリ土類金属の塩又は錯体、希土類元素の塩又は錯体、遷移金属の塩又は錯体などを挙げることができる。
〈排ガス浄化用触媒を得る工程(III)〉
このような工程(III)は、前記触媒スラリーを成形した後に焼成することにより、金属酸化物粒子の成形体からなる担体と該担体に担持された貴金属とを備える上記本発明の排ガス浄化用触媒を得る工程である。
このような工程(III)においては、先ず、前記触媒スラリーを成形する。このような触媒スラリーを成形する方法としては、特に制限されず、目的の設計に応じて、公知のスラリーの成形方法を適宜採用することでき、例えば、特定の成形型にスラリーを投入し、分散媒(溶媒)を蒸発させることで成形する方法や、得られる排ガス浄化用触媒を基材に担持したコート層の形態とする場合には、前記触媒スラリーを基材の表面に塗布して触媒スラリー層を形成することによりコート層の形態に成形する方法、等を適宜採用することができる。なお、このようなスラリーの成形方法としては、上記方法に制限されるものではなく、例えば、押出成形、射出成形、一軸プレス成形などの公知の成形方法を適宜採用してもよい。
ここで、触媒スラリーを成形する方法の好適な一実施形態である「前記触媒スラリーを基材の表面に塗布して触媒スラリー層を形成することにより、触媒スラリーをコート層の形態に成形する方法」について簡単に説明する。このような成形をする場合において、前記触媒スラリーを基材の表面に塗布する方法として採用することが可能な方法は、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。具体的には、基材を触媒スラリーに浸漬させて塗布する方法(浸漬法)、ウォッシュコート法、触媒スラリーを圧入手段により圧入する方法、等が挙げられる。なお、このような塗布条件としては、前記触媒スラリーを基材の表面に、焼成後の触媒コート層の平均厚さが20〜300μm(より好ましくは50〜200μm)の範囲内となるようにして、触媒スラリーを塗布することが好ましい。また、前記触媒スラリーを塗布する際には、焼成後のコート層の被覆量が前記基材の単位体積当たり20〜300g/L(より好ましくは50〜250g/L)の範囲内となるように触媒スラリーを塗布することが好ましい。なお、このような触媒スラリーをコート層の形態に成形する方法において用いる基材としては、特に制限されないが、例えば、前記本発明の排ガス浄化用触媒において説明した基材と同様のものを用いることができる。このようにして、前記触媒スラリーを基材の表面に塗布して触媒スラリー層を形成することにより、触媒スラリーをコート層の形態に成形することができる。以上、触媒スラリーをコート層の形態に成形する場合に採用することが可能な好適な条件等について説明したが、触媒スラリーを成形する際に採用することが可能な方法や条件は上記の方法等に制限されるものではない。
このようにして触媒スラリーを成形した後、本発明においては、形成された成形物を焼成する。このような焼成工程により、前記成形物を焼成することで、前記成形物の内部に取り込まれている前記貴金属担持造孔材中の繊維状造孔材の少なくとも一部を除去(焼失)することが可能となり、これにより、該造孔材が存在していた部分においては、空隙が形成される。このような空隙は、前記貴金属担持造孔材中の繊維状造孔材の形状に由来したものとなり、本発明においては、平均直径が0.7〜15μmの繊維状造孔材を用いていることから、かかる繊維状造孔材の大きさに由来して、金属酸化物粒子の成形体からなる担体に、平均細孔直径が0.5〜20μmのマクロ孔を形成することが可能となる。なお、このようにして調製されたマクロ孔(空隙)は最終的に得られる触媒において排ガスの拡散流路となるため、得られる排ガス浄化用触媒は高ガス流量の高負荷領域においても優れた触媒性能を発揮し得る。また、このような焼成工程により、本発明においては、前述のようなマクロ孔が形成されるとともに、その貴金属担持造孔材が存在していた部分の近傍に存在する金属酸化物粒子(マクロ孔の壁面を形成する粒子やその粒子の近傍に存在する粒子)に対して、造孔材に担持されていた貴金属を転写して担持することが可能となり、結果として、金属酸化物粒子の成形体からなる担体の細孔(マクロ孔)の壁面の近傍部分に貴金属を選択的に担持することが可能となる。このように、本発明においては、前記焼成工程は、触媒スラリーの成形後に得られる成形物から、前記貴金属担持造孔材中の繊維状造孔材の少なくとも一部を除去し、貴金属を金属酸化物粒子に担持する工程であるともいえる。なお、前記貴金属担持造孔材中の繊維状造孔材を焼成により除去すると、上述のように、貴金属が、担体の細孔(マクロ孔)の壁面の近傍部分に転写されて壁面近傍部分に担持されるが、この際に、マクロ孔の壁面の表面上に貴金属が担持されるとともに、繊維状造孔材を焼失する際に、その一部が溶融して金属酸化物の粒子間に流入するため、その流入に伴ってマクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域に貴金属が侵入して担持される傾向にあることから、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域における貴金属の濃度を高度なものとすることが可能となる。
このような焼成工程としては、前記触媒スラリーを成形した後、300〜800℃の範囲内の温度で焼成せしめることが好ましく、400〜700℃の範囲内の温度で焼成せしめることがより好ましい。前記焼成温度が、前記下限未満では、繊維状造孔材が残存して、細孔を十分に形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、貴金属粒子が粒成長する傾向にある。また、焼成(加熱)時間としては、前記焼成温度により異なるものであるため、一概には言えないが、20分以上であることが好ましく、30分〜2時間であることがより好ましい。さらに、このような焼成工程における雰囲気としては、特に制限されないが、大気中或いは窒素(N2)等の不活性ガス中であることが好ましい。
このようにして触媒スラリーを成形後に焼成することで、金属酸化物粒子の成形体からなる担体と該担体に担持された貴金属とを備える上記本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。なお、このようにして得られる金属酸化物粒子の成形体の形態は、触媒スラリーの成形物の形態に由来したものとなる。そのため、得られる排ガス浄化用触媒の形態も触媒スラリーの成形物の形態に由来したものとなる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
先ず、平均直径が4μmのポリエチレンテレフタラート製の繊維(平均アスペクト比:14)からなる繊維状造孔材に対して、硝酸パラジウム溶液を含浸担持して110℃で12時間乾燥することにより、繊維状造孔材にパラジウム(Pd)を担持し、Pd担持造孔材を得た。なお、かかる含浸担持工程においては、繊維状造孔材100質量部に対するPdの担持量が1質量部となるようにして硝酸パラジウム溶液を用いた。
次に、前記Pd担持造孔材4gと、予め粉砕して平均粒子径を6μmとしたアルミナ粒子(日本軽金属株式会社製の商品名「C20」を粉砕して調製した粒子)100gと、アルミナゾル(日産化学工業株式会社製の商品名「A520」、アルミナの固形分量は20.9質量%)53gとを、イオン交換水125mLに添加し、アトライタミルを用いて撹拌速度300rpmで30分間混合することにより、触媒スラリーを調製した。このように、前記Pd担持造孔材の使用量は、アルミナ粒子100質量部に対して4質量部とした。
次いで、触媒スラリーをコージェライト製のハニカム基材(直径30mm、長さ25mm、容積:17.5ml、セル密度:400cell/inch2)に、焼成後のコート層(排ガス浄化用触媒の層)の担持量(被覆量)がハニカム基材の容量1Lあたりに対して200g/Lとなるようにウオッシュコートすることにより、該ハニカム基材の表面に触媒スラリー層(コート層)を形成した。次いで、前記触媒スラリー層が形成されたハニカム基材を、大気中において500℃の温度条件で1時間焼成することにより、ハニカム基材上のコート層として排ガス浄化用触媒を製造した。なお、このような焼成後のコート層(排ガス浄化用触媒の層)の厚みは100μmであった。
なお、このような500℃での焼成により、焼成前の触媒スラリーのコート層から前記Pd担持造孔材中の繊維状造孔材が焼失して除去され、さらに、前記Pd担持造孔材に担持されていたPdが金属酸化物粒子(アルミナ粒子)に担持(転写)された。そのため、得られた排ガス浄化用触媒においては、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)100質量部に対する貴金属(Pd)の担持量は0.04質量部となった。このようにして得られたコート層を構成する金属酸化物粒子の成形体(担体)の細孔の平均細孔直径を、測定装置として電子プローブマイクロアナライザー(日本電子社製の商品名「JXA−8500F」)を用い、加速電圧:10KV、試料電流:100nA、ビーム径:1μm(最小サイズ)の条件で担体の表面を分析し、任意の複数の50μm角の測定視野(測定領域)に対して、担体の表面の反射電子像(50μm角の正方形の領域についての像)をそれぞれ測定し、得られた全ての反射電子像(全測定視野の面分析の結果)に基づいて、細孔の任意の20点について、細孔の開口部の長手方向に対して垂直な方向の開口部の長さの最大長をそれぞれ求め、得られた全ての前記最大長の値を平均化することにより算出したところ、その平均細孔直径は4μmであり、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)はマクロ孔を有するものであることが確認された。なお、細孔の平均アスペクト比は15であった。
また、このようにして得られた排ガス浄化用触媒(コート層)の表面を、以下のようにして、EPMAにより分析した。すなわち、このような分析に際しては、測定装置として電子プローブマイクロアナライザー(日本電子社製の商品名「JXA−8500F」)を用い、加速電圧:10KV、試料電流:100nA、ビーム径:1μm(最小サイズ)の条件で、任意の複数の50μm角の測定視野(測定領域)において、それぞれ面分析を行った。なお、このような面分析により、各測定視野ごとに、測定点(画素:ピクセル)の総数が62500(250×250)点となる50μm角の反射電子像をそれぞれ求め、測定点(画素:ピクセル)ごとの貴金属(Pd)の濃度データを求めた。そして、かかる測定点ごとの貴金属の濃度データに基づいて、各測定点(画素:ピクセル)ごとの貴金属の量を算出した(なお、各ピクセルのサイズは200nm角であった)。そして、得られた反射電子像(測定視野)ごとに、全ての測定点の貴金属(Pd)の量の総和を求め、かかる総和を全ての測定点の数(62500点)で割ることにより「貴金属の担持量の平均値(a)」を求めた。このようにして、前記反射電子像(測定視野)ごとに「貴金属の担持量の平均値(a)」を求めた後、全ての測定視野における平均値(a)の平均を求めることにより、全測定点の「貴金属の担持量の平均値(A)」を求めた。次いで、前記面分析を行った全測定視野(全反射電子像)を対象として、前記測定視野ごとに、それぞれ線分析を行った。このような線分析においては、各測定視野(各反射電子像)ごとに、任意の5本の線状の領域(任意の5本の測定ライン)に対して線分析を行った。また、このような線分析において測定するライン(測定箇所)はいずれも、そのラインの一部が必ず細孔の開口部上を通るようにした以外は、表面上の任意の箇所とした。また、このような線分析は、前記反射電子像の測定結果に基づくものであり、測定装置及び測定条件を上記面分析で採用するものと同様として、測定するラインの長さをいずれも50μmとし、各ラインごとの測定点(ピクセル)の数が250点となるようにして測定したものとした(なお、各ピクセルのサイズは200nm角であった)。このような線分析により、線分析をしたライン(線)上の測定点(250ピクセル)ごとの貴金属(Pd)の濃度データを得て、その結果に基づいて、測定点ごとの貴金属の量をそれぞれ求めた。そして、全ての測定視野(全ての反射電子像)の線分析の結果から、全ての測定視野中の全ての測定ライン上の測定点(ピクセル)であってかつマクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域とマクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域の位置に存在する測定点の数の合計数(合計数A:全測定視野における全ライン上の全ての前記合計領域中の測定点の数の総数)と、全測定視野中の全ての測定ライン上の測定点(ピクセル)であってかつマクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域とマクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域の位置に存在する全ての測定点の貴金属の量の総和を求め、その総和を前記合計数Aで割ることにより、全ての測定視野(反射電子像)における全ての測定ライン上の全ての前記合計領域中の全測定点における貴金属(Pd)の担持量の平均値として、前記マクロ孔の壁面から担体側に向かって3μmの領域と前記マクロ孔の壁面から該マクロ孔の空隙側に向かって1μmの領域との合計領域の測定点における「貴金属の担持量の平均値(B)」を求めた。なお、このようなEPMAの測定結果の一部を図3に示す。なお、図3中、(a)にEPMAにより得られた排ガス浄化用触媒の表面の反射電子像、線分析した部位及びその部位のPdの濃度のグラフを併せて示し、(b)にパラジウム(Pd)の分布状態を示す像を示す。また、図4に、図3中の(a)に示すPdの濃度のグラフに関して、該図3中の(a)に点線で記載された領域Xに相当する部分を拡大して示す。
このようなEPMAによる分析の結果、全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)は0.75であり、前記合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)は2.28であった。そのため、得られた排ガス浄化用触媒は、全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)に対する前記合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)は3.04倍であることが分かり、マクロ孔の壁面近傍に選択的に貴金属(Pd)が担持されていることが確認された。このようにして得られた排ガス浄化用触媒の特性を表1に示す。
また、このようにして得られた排ガス浄化用触媒のマクロ孔の空隙率(容量%)を、製造時に利用したアルミナ粒子の量及び繊維状造孔材の量に基づいて、アルミナの比重を4.0とし、繊維状造孔材の比重1として計算することにより求めた。得られた結果を表1に示す。
(参考例2)
繊維状造孔材100質量部に対するPdの担持量が1質量部となるようにして硝酸パラジウム溶液を用いる代わりに、繊維状造孔材100質量部に対するPdの担持量が2質量部となるようにして硝酸パラジウム溶液を用い、かつ、Pd担持造孔材の使用量をアルミナ粒子100質量部に対して4質量部とする代わりにアルミナ粒子100質量部に対して2質量部に変更した以外は、参考例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた排ガス浄化用触媒においては、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)100質量部に対する貴金属(Pd)の担持量は0.04質量部となった。なお、参考例1と同様にして、得られた排ガス浄化用触媒中の金属酸化物粒子の成形体(担体)の細孔の平均細孔直径及び排ガス浄化用触媒の空隙率を確認(測定)するとともに、排ガス浄化用触媒(コート層)の表面をEPMAにより分析して全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)及び前記合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)並びに平均値(A)に対する平均値(B)の倍率を求めた。得られた排ガス浄化用触媒の特性を表1に示す。
(実施例1)
繊維状造孔材100質量部に対するPdの担持量が1質量部となるようにして硝酸パラジウム溶液を用いる代わりに、繊維状造孔材100質量部に対するPdの担持量が0.5質量部となるようにして硝酸パラジウム溶液を用い、Pd担持造孔材の使用量をアルミナ粒子100質量部に対して4質量部とする代わりにアルミナ粒子100質量部に対して2質量部に変更し、かつ、アルミナ粒子をそのまま用いる代わりに該アルミナ粒子に予めPdをアルミナ粒子100質量部に対するPdの担持量が0.03質量部となるようにして担持した、Pd担持アルミナ粒子を用いた以外は、参考例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた排ガス浄化用触媒においては、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)100質量部に対する貴金属(Pd)の担持量は0.04質量部となった。なお、前記Pd担持アルミナ粒子は、予め粉砕して平均粒子径を6μmとしたアルミナ粒子(日本軽金属株式会社製の商品名「C20」を粉砕して調製した粒子)に、Pdの担持量が0.03wt%となるようにして硝酸パラジウム溶液を含浸担持した後、110℃で12時間乾燥し、その後、500℃で3時間焼成することにより製造した。また、参考例1と同様にして、得られた排ガス浄化用触媒中の金属酸化物粒子の成形体(担体)の細孔の平均細孔直径及び排ガス浄化用触媒の空隙率を確認(測定)するとともに、排ガス浄化用触媒(コート層)の表面をEPMAにより分析して全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)及び前記合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)並びに平均値(A)に対する平均値(B)の倍率を求めた。得られた排ガス浄化用触媒の特性を表1に示す。
(比較例1)
先ず、予め粉砕して平均粒子径を6μmとしたアルミナ粒子(日本軽金属株式会社製の商品名「C20」を粉砕して調製した粒子)に、アルミナ粒子100質量部に対するPdの担持量が0.04質量部となるようにして硝酸パラジウム溶液を含浸担持した後、110℃で12時間乾燥し、その後、500℃で3時間焼成することによりPd担持アルミナ粒子を得た。
次に、前記Pd担持アルミナ粒子と、平均直径が4μmのポリエチレンテレフタラート製の繊維(平均アスペクト比:14)からなる繊維状造孔材とを、イオン交換水125mLに添加し、アトライタミルを用いて撹拌速度300rpmで30分間混合することにより、触媒スラリーを調製した。このように、前記繊維状造孔材の使用量は、アルミナ粒子100質量部に対して4質量部とした。
次いで、触媒スラリーをコージェライト製のハニカム基材(直径30mm、長さ25mm、容積:17.5ml、セル密度:400cell/inch2)に、焼成後のコート層(排ガス浄化用触媒の層)の担持量(被覆量)がハニカム基材の容量1Lあたりに対して200g/Lとなるようにウオッシュコートすることにより、該ハニカム基材の表面に触媒スラリー層(コート層)を形成した。次いで、前記触媒スラリー層が形成されたハニカム基材を、大気中において500℃の温度条件で1時間焼成することにより、ハニカム基材上のコート層として排ガス浄化用触媒を製造した。
なお、このようにして得られた排ガス浄化用触媒においては、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)100質量部に対する貴金属(Pd)の担持量は0.04質量部であった。また、このような焼成後のコート層(排ガス浄化用触媒の層)の厚みは100μmであった。また、参考例1と同様にして、得られた排ガス浄化用触媒中の金属酸化物粒子の成形体(担体)の細孔の平均細孔直径及び排ガス浄化用触媒の空隙率を確認(測定)するとともに、排ガス浄化用触媒(コート層)の表面をEPMAにより分析して全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)及び前記合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)並びに平均値(A)に対する平均値(B)の倍率を求めた。得られた排ガス浄化用触媒の特性を表1に示す。
(比較例2)
前記繊維状造孔材の使用量を、アルミナ粒子100質量部に対して4質量部からアルミナ粒子100質量部に対して2質量部に変更した以外は比較例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた排ガス浄化用触媒においては、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)100質量部に対する貴金属(Pd)の担持量は0.04質量部であった。なお、参考例1と同様にして、得られた排ガス浄化用触媒中の金属酸化物粒子の成形体(担体)の細孔の平均細孔直径及び排ガス浄化用触媒の空隙率を確認(測定)するとともに、排ガス浄化用触媒(コート層)の表面をEPMAにより分析して全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)及び前記合計領域の測定点における貴金属の担持量の平均値(B)並びに平均値(A)に対する平均値(B)の倍率を求めた。得られた排ガス浄化用触媒の特性を表1に示す。
(比較例3)
前記繊維状造孔材を使用しなかった以外は、比較例1と同様にして排ガス浄化用触媒を得た。このようにして得られた排ガス浄化用触媒においては、その製造方法からも明らかなように、金属酸化物粒子(アルミナ粒子)の成形体(担体)100質量部に対する貴金属(Pd)の担持量は0.04質量部であった。なお、参考例1と同様にして、得られた排ガス浄化用触媒中の金属酸化物粒子の成形体(担体)の細孔の平均細孔直径を確認(測定)したところ、平均細孔直径が0.5〜20μmとなるようなマクロ孔は確認されなかった。また、参考例1と同様にして、排ガス浄化用触媒の空隙率を求めるとともに、排ガス浄化用触媒(コート層)の表面をEPMAにより分析して全測定点の貴金属の担持量の平均値(A)を求めた(なお、マクロ孔が確認されなかったため、平均値(B)は測定できなかった。)。得られた排ガス浄化用触媒の特性を表1に示す。
[排ガス浄化用触媒の触媒活性の評価]
参考例1〜2、実施例1及び比較例1〜3で得られた排ガス浄化用触媒をそれぞれ用いて、以下のようにして、各触媒の触媒活性を測定した。すなわち、このような触媒活性の測定試験においては、先ず、固定床流通式反応装置を用い、ガス流路に導入された入りガスが排ガス浄化用触媒に接触した後(触媒通過後)にガス流路の出口に向かうように、ガス流路に排ガス浄化用触媒を設置した。次いで、前記ガス流路への入りガスとしてO2(0.28容量%)及びN2(残部)からなるガス(A)を、温度(入りガス温度)を500℃として50000ml/分の流量でガス流路に15分間供給した。その後、入りガスの種類を前記ガス(A)から、O2(0.28容量%)、C3H6(0.15容量%C[炭素換算の容量%])及びN2(残部)からなるガス(B)に変更して、該ガス(B)を、温度(入りガス温度)を500℃として50000ml/分の流量でガス流路に供給し、該ガス(B)の導入を開始(C3H6ガスの導入を開始)した時点から、排ガス浄化用触媒に接触した後(触媒通過後)の出ガス中のCO2の濃度の測定を開始して、CO2の濃度が0.08容量%C(全てのC3H6がCO2とH2Oとに転化した場合の約1/2の量)となるまでの時間(かかる時間を、以下において、場合により「CO2−T50」と称する)を測定した。このような時間(CO2−T50)は、CO2への転化率が約50%に到達するまでの時間(単位:秒)であり(ただし、本測定においてCO2−T50は装置上の応答遅れ時間も含んだ時間とする)、かかる時間によりCO2の生成速度を比較することが可能となる。ガス(A)及び(B)の組成を表2に示し、各排ガス浄化触媒のCO2−T50の測定結果を図5に示す。
図5に示す結果からも明らかなように、500℃の温度条件下において、参考例1〜2及び実施例1で得られた排ガス浄化用触媒はいずれも、比較例1〜3で得られた排ガス浄化用触媒と比較して、CO2の生成速度(転化速度)がより速く、本発明の排ガス浄化用触媒(実施例1)及び参考例1〜2で得られた排ガス浄化用触媒によれば、触媒活性がより高度なものとなることが確認された。
このような結果と、本発明の排ガス浄化用触媒(実施例1)及び参考例1〜2で得られた排ガス浄化用触が表1に示す結果からマクロ孔の近傍の貴金属(Pd)の分布が高いことが明らかであること、比較例3で得られた排ガス浄化用触媒がマクロ孔を有していないこと、等を併せ勘案すれば、本発明の排ガス浄化用触媒(実施例1)及び参考例1〜2で得られた排ガス浄化用触媒は、担体(金属酸化物粒子の成形体)がマクロ孔を有し、かつ、該マクロ孔の近傍の貴金属(Pd)の担持量が他の部位の貴金属の担持量と比較して高くなっていることに基づいて、触媒活性がより高度なものとなったことが明らかである。