以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示さない場合がある。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、一重項励起状態(S*)は、励起エネルギーを有する一重項状態のことである。一重項励起状態のうち、最も低いエネルギーを有する励起状態を、最低励起一重項状態という。また、一重項励起エネルギー準位は、一重項励起状態のエネルギー準位のことである。一重項励起エネルギー準位のうち、最も低い励起エネルギー準位を、最低励起一重項エネルギー(S1)準位という。なお、本明細書等において、単に一重項励起状態および一重項励起エネルギー準位と表記した場合であっても、最低励起一重項状態およびS1準位を表す場合がある。
また、本明細書等において、三重項励起状態(T*)は、励起エネルギーを有する三重項状態のことである。三重項励起状態のうち、最も低いエネルギーを有する励起状態を、最低励起三重項状態という。また、三重項励起エネルギー準位は、三重項励起状態のエネルギー準位のことである。三重項励起エネルギー準位のうち、最も低い励起エネルギー準位を、最低励起三重項エネルギー(T1)準位という。なお、本明細書等において、単に三重項励起状態および三重項励起エネルギー準位と表記した場合であっても、最低励起三重項状態およびT1準位を表す場合がある。
また、本明細書等において蛍光材料とは、一重項励起状態から基底状態へ緩和する際に可視光領域に発光を与える材料である。燐光材料とは、三重項励起状態から基底状態へ緩和する際に、室温において可視光領域に発光を与える材料である。換言すると燐光材料とは、三重項励起エネルギーを可視光へ変換可能な材料の一つである。
なお、本明細書等において、室温とは、0℃乃至40℃のいずれかの温度をいう。
また、本明細書等において、青色の波長帯域とは、400nm以上550nm以下の波長帯域であり、青色の発光とは、該帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する発光である。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子について、図1及び図2を用いて以下説明する。
<発光素子の構成例>
まず、本発明の一態様の発光素子の構成について、図1(A)(B)及び(C)を用いて、以下説明する。
図1(A)は、本発明の一態様の発光素子150の断面模式図である。
発光素子150は、一対の電極(電極101及び電極102)間に設けられたEL層100を有する。EL層100は、少なくとも発光層130を有する。なお、本実施の形態においては、一対の電極のうち、電極101を陽極として、電極102を陰極として説明するが、発光素子150の構成としては、逆であっても構わない。
また、図1(A)に示すEL層100は、発光層130の他に、機能層を有する。機能層は、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、及び電子注入層119を有する。なお、EL層100の構成は、図1(A)に示す構成に限定されず、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、及び電子注入層119の中から選ばれた少なくとも一つを有する構成とすればよい。または、EL層100は、正孔または電子の注入障壁を低減する、正孔または電子の輸送性を向上する、正孔または電子の輸送性を阻害する、または電極による消光現象を抑制する、ことができる等の機能を有する機能層を有する構成としてもよい。
また、図1(B)は、図1(A)に示す発光層130の一例を示す断面模式図である。図1(B)に示す発光層130は、少なくともホスト材料131と、ゲスト材料132と、を有する。
ホスト材料131は、三重項励起エネルギーをTTAによって一重項励起エネルギーに変換する機能を有すると好ましい。そうすることで、発光層130で生成した三重項励起エネルギーの一部を、ホスト材料131におけるTTAによって一重項励起エネルギーに変換することができ、TTAにより生成した一重項励起エネルギーをゲスト材料132に移動することで、蛍光発光として取り出すことが可能となる。そのためには、ホスト材料131の最低励起一重項エネルギー(S1)準位は、ゲスト材料132のS1準位より高いことが好ましい。また、ホスト材料131の最低励起三重項励起エネルギー(T1)準位は、ゲスト材料132のT1準位より低いことが好ましい。
なお、ホスト材料131は単一の化合物で構成されていても良く、複数の化合物から構成されていても良い。また、ゲスト材料132としては、発光性の有機材料を用いればよく、該発光性の有機材料としては、蛍光を発することができる材料(以下、蛍光材料ともいう)であると好適である。以下の説明においては、ゲスト材料132として、蛍光材料を用いる構成について説明する。なお、ゲスト材料132を蛍光材料として読み替えてもよい。
<発光素子の発光機構>
まず、発光素子150の発光機構について、以下説明を行う。
本発明の一態様の発光素子150においては、一対の電極(電極101及び電極102)間に電圧を印加することにより、陰極から電子が、陽極から正孔(ホール)が、それぞれEL層100に注入され、電流が流れる。そして、注入された電子及び正孔が再結合することによって、励起子が形成される。キャリアの再結合によって生じる励起子のうち、一重項励起子と三重項励起子の比は、統計的確率により、1:3となる。したがって、一重項励起子の生成確率は25%である。
なお、励起子とは、キャリア(電子及び正孔)対のことである。励起子は励起エネルギーを有するため、励起子が形成された材料は、励起状態となる。
また、以下の2つの過程により、EL層100において一重項励起子が生成し、ゲスト材料132からの発光が得られる。
(α)直接生成過程
(β)TTA過程
≪(α)直接生成過程≫
まず、EL層100が有する発光層130においてキャリア(電子または正孔)が再結合し、一重項励起子が形成される場合を説明する。
ホスト材料131においてキャリアが再結合した場合、励起子の生成によってホスト材料131の励起状態(一重項励起状態または三重項励起状態)が形成される。このとき、ホスト材料131の励起状態が一重項励起状態であるとき、ホスト材料131のS1準位から、ゲスト材料132のS1準位へ、一重項励起エネルギーがエネルギー移動し、ゲスト材料132の一重項励起状態が形成される。なお、ホスト材料131の励起状態が三重項励起状態であるときは、後述の(β)TTA過程にて説明する。
また、キャリアが、ゲスト材料132において再結合する場合、励起子の生成によってゲスト材料132の励起状態(一重項励起状態または三重項励起状態)が形成される。
形成されたゲスト材料132の励起状態が一重項励起状態であるとき、ゲスト材料132の一重項励起状態から発光が得られる。このとき、高い発光効率を得るためには、ゲスト材料132の蛍光量子収率は、高いことが好ましい。
一方、ゲスト材料132の三重項励起状態が形成されたとき、ゲスト材料132は蛍光材料であるため、ゲスト材料132の三重項励起状態は、熱失活し発光に寄与しない。しかしながら、ホスト材料131のT1準位が、ゲスト材料132のT1準位より低い場合、ゲスト材料132の三重項励起エネルギーは、ゲスト材料132のT1準位から、ホスト材料131のT1準位へ、エネルギー移動することが可能となる。その場合、後述の(β)TTA過程によって、三重項励起エネルギーから一重項励起エネルギーへの変換が可能となる。
また、ホスト材料131のT1準位が、ゲスト材料132のT1準位より高い場合においては、ホスト材料131とゲスト材料132との重量比において、ゲスト材料132の重量比を低くすることで、ゲスト材料132でキャリアが再結合する確率を低減させることができる。また、ホスト材料131のT1準位からゲスト材料132のT1準位へのエネルギー移動が生じる確率を低減させることができる。具体的には、ホスト材料131が1に対するゲスト材料132の重量比としては、0より大きく0.05以下が好ましい。
≪(β)TTA過程≫
次に、発光層130におけるキャリアの再結合過程において形成された三重項励起子によって、一重項励起子が形成される場合について、説明する。
ここでは、ホスト材料131のT1準位がゲスト材料132のT1準位よりも低い場合について説明する。このときのエネルギー準位の相関を表す模式図を図1(C)に示す。また、図1(C)における表記及び符号は、以下の通りである。なお、ホスト材料131のT1準位がゲスト材料132のT1準位よりも高くても構わない。
・Host(131):ホスト材料131
・Guest(132):ゲスト材料132(蛍光材料)
・SFH:ホスト材料131のS1準位
・TFH:ホスト材料131のT1準位
・SFG:ゲスト材料132(蛍光材料)のS1準位
・TFG:ゲスト材料132(蛍光材料)のT1準位
キャリアがホスト材料131において再結合し、励起子の生成によってホスト材料131の励起状態が形成される。このとき、生成した励起子が三重項励起子であるとき、生成した2つの三重項励起子同士が近接することにより、その一方がホスト材料131のS1準位(SFH)のエネルギーを有する一重項励起子に変換される反応が生じる場合がある(図1(C) TTA参照)。これは、以下の一般式(G11)または(G12)で表される。
3H+3H → 1H*+1H (G11)
3H+3H → 3H*+1H (G12)
一般式(G11)は、ホスト材料131において、2つの三重項励起子(3H)のスピン量子数の合計が0である2つの三重項励起子(3H)から一重項励起子(1H*)が生成する反応である。また、一般式(G12)は、ホスト材料131において、2つの三重項励起子(3H)のスピン量子数の合計が1(原子単位)である2つの三重項励起子(3H)から、電子的または振動的に励起された三重項励起子(3H*)が生成する反応である。なお、一般式(G11)(G12)中、1Hはホスト材料131における一重項基底状態を表す。
一般式(G11)と一般式(G12)とは、同じ確率で生じるが、スピン量子数の合計が1(原子単位)の三重項励起子のペアは、スピン量子数の合計が0のペアと比べて3倍多く存在する。すなわち、2つの三重項励起子から生成される励起子のうち、新たに生成される一重項励起子と三重項励起子の比は、統計的確率により、1:3となる。また、発光層130における三重項励起子の密度が十分に高い場合(例えば、1×10−12cm−3以上)では、三重項励起子単体の失活を無視し、2つの近接した三重項励起子による反応のみを考えることができる。
したがって、一般式(G11)の1つの反応と、一般式(G12)の3つの反応とにより、一般式(G13)のように、8個の三重項励起子(3H)から、1個の一重項励起子(1H*)と3個の電子的または振動的に励起された三重項励起子(3H*)が生成することになる。
83H → 1H*+33H*+41H (G13)
一般式(G13)で生成した電子的または振動的に励起された三重項励起子(3H*)は、緩和により三重項励起子(3H)となり、その後に再び他の三重項励起子と一般式(G13)の反応を繰り返す。そのため、一般式(G13)において、三重項励起子(3H)の全てが一重項励起子(1H*)に変換されるとすると、5個の三重項励起子(3H)から1個の一重項励起子(1H*)が生成することになる(一般式(G14))。
53H → 1H*+41H (G14)
一方、一対の電極から注入されたキャリアの再結合により直接生成する一重項励起子(1H*)と三重項励起子(3H)の統計的な生成比率は、1H*:3H=1:3である。すなわち、一対の電極から注入されたキャリアの再結合によって一重項励起子が直接生成する確率は、25%である。
したがって、一対の電極から注入されたキャリアの再結合により直接生成した一重項励起子と、TTAにより生成した一重項励起子とをあわせることで、一対の電極から注入されたキャリアの再結合により直接生成した20個の励起子(一重項励起子および三重項励起子の合計)から8個の一重項励起子が生成可能となる(一般式(G15))。すなわち、TTAによって、一重項励起子生成確率を従来の25%から、最大で40%(=8個/20個)まで向上させることが可能となる。
51H*+153H → 51H*+(31H*+121H) (G15)
上記過程により生成した一重項励起子によって形成されたホスト材料131の一重項励起状態においては、ホスト材料131のS1準位(SFH)から、それよりも低いエネルギー準位であるゲスト材料132のS1準位(SFG)へ、エネルギー移動が生じる(図1(C) Route A参照)。そして、一重項励起状態となったゲスト材料132が蛍光発光する。
なお、ゲスト材料132においてキャリアが再結合し、生成した励起子によって形成される励起状態が三重項励起状態であるとき、ホスト材料131のT1準位(TFH)がゲスト材料のT1準位(TFG)よりも低い場合、TFGの三重項励起エネルギーは失活することなくTFHにエネルギー移動(図1(C) Route B参照)し、TTAに利用される。
また、ゲスト材料132のT1準位(TFG)がホスト材料131のT1準位(TFH)よりも低い場合においては、ホスト材料131とゲスト材料132との重量比は、ゲスト材料132の重量比が低い方が好ましい。具体的には、ホスト材料131が1に対するゲスト材料132の重量比としては、0より大きく0.05以下が好ましい。そうすることで、ゲスト材料132でキャリアが再結合する確率を低減させることができる。また、ホスト材料131のT1準位(TFH)からゲスト材料132のT1準位(TFG)へのエネルギー移動が生じる確率を低減させることができる。
以上のように、TTAによって、発光層130で形成する三重項励起子は、一重項励起子へと変換されるため、ゲスト材料132からの発光を、効率よく得ることが可能となる。
<TTA効率について>
上記のように、TTAによって、一重項励起子の生成確率を向上させ、発光素子の発光効率を向上させることが可能となるが、高い発光効率を得るためには、TTAが生じる確率(TTA効率ともいう)を高めることが重要である。すなわち、発光素子が呈する発光のうち、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合が高いことが重要である。
上記で説明したように、TTA過程によって、一重項励起子の生成確率を向上させることが可能であり、一対の電極から注入されたキャリアの直接再結合により生成する25%の一重項励起子と合せて、一重項励起子生成確率は最大で40%まで向上させることが可能である。すなわち、発光素子が呈する発光のうち、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合は、(40%−25%)/40%=37.5%まで向上させることが可能である。
青色の発光を呈する発光素子において、ホスト材料として一般的に用いられているアントラセン化合物は、発光のうちTTAによる遅延蛍光成分の占める割合が10%程度である。一方、TTA効率がより高い化合物として知られているテトラセン化合物は、黄色または黄色より長波長な発光を呈する化合物であるため、テトラセン化合物を青色の発光を呈する発光素子のホスト材料に用いることは困難である。
したがって、青色の発光を呈する発光素子において、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合を高め、高い発光効率を得るためには、テトラセンのように、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合が高く、アントラセンのように、高い励起エネルギーを有する、という化合物をホスト材料に用いることが必要となる。
<量子化学計算>
そこで、3環の芳香族炭化水素であるアントラセン、4環の芳香族炭化水素であるテトラセンおよびベンゾ[a]アントラセンについて、量子化学計算を用いて、励起エネルギー準位(S1準位およびT1準位)、及び一重項基底状態から最低励起一重項状態への遷移双極子モーメントと振動子強度を算出した。計算を行った化合物を図2に、計算結果を表1に示す。なお、図2(A)がアントラセン、図2(B)がテトラセン、図2(C)がベンゾ[a]アントラセンである。また、計算方法に関しては以下の通りである。
上記化合物のS1準位、T1準位、遷移双極子モーメント、及び振動子強度を算出するため、各化合物の一重項基底状態における最安定構造を、密度汎関数法(DFT)を用いて計算した。量子化学計算プログラムとしては、Gaussian09を使用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(SGI社製、ICE X)を用いて行った。基底関数としては、6−311G(d,p)を用い、汎関数はB3LYPを用いた。さらに、時間依存密度汎関数法(TD−DFT)を用いて、S1準位、T1準位、及び一重項基底状態から最低励起一重項状態への遷移双極子モーメントを算出した。なお、DFTの全エネルギーは、ポテンシャルエネルギー、電子間静電エネルギー、電子の運動エネルギーと複雑な電子間の相互作用を全て含む交換相関エネルギーの和で表される。DFTでは、電子密度で表現された一電子ポテンシャルの汎関数(関数の関数の意)で交換相関相互作用を近似しているため、計算は高精度である。
表1に示すように、ベンゾ[a]アントラセンは4環の芳香族炭化水素でありながら、3環の芳香族炭化水素であるアントラセンと同程度に高いS1準位およびT1準位を有することが分かる。
また、ベンゾ[a]アントラセンの遷移双極子モーメントは、アントラセンやテトラセンと同程度に大きく、振動子強度も十分に大きいことがわかる。なお、表1で示した遷移双極子モーメント及び振動子強度は、各化合物の一重項基底状態から最低励起一重項状態への遷移に係わる遷移双極子モーメント及び振動子強度である。また、遷移双極子モーメントの向き(x、y、及びz)は、図2(A)(B)(C)の矢印で示す向きに相当する。なお、z方向は紙面に対して垂直の方向である。また、ベンゾ[a]アントラセンの遷移双極子モーメントがマイナスであるのは、遷移双極子モーメントの向きが図2で示すx方向およびy方向と逆であるためであり、遷移双極子モーメントの大きさは、その絶対値で評価することができるため、ベンゾ[a]アントラセンの遷移双極子モーメントは十分に大きいことが分かる。
一重項基底状態から最低励起一重項状態への遷移双極子モーメントと振動子強度が大きいことは、最低励起一重項状態が生成しやすいことを意味する。すなわち、ここで示したアントラセン、テトラセン、ベンゾ[a]アントラセンは、最低励起一重項状態が生成しやすいため、TTA過程においても高いTTA効率を示しやすい化合物であると言える。
中でも、テトラセンのような4環の芳香族炭化水素化合物でありながら、アントラセンと同程度の高い一重項励起エネルギーを有する、非直線系の構造を有する4環の芳香族炭化水素化合物(例えば、ベンゾ[a]アントラセン)は、高い励起エネルギーを有し、且つ高いTTA効率を示しやすい化合物であるため、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合を高めることができる。
アントラセン化合物をホスト材料に有する発光素子より、高い発光効率を得るためには、アントラセン化合物をホスト材料に有する発光素子より、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合が高いことが好ましい。具体的には、発光素子が呈する発光成分のうちTTAによる遅延蛍光成分の占める割合が20%以上であることが好ましい。
また、発光素子が呈する発光スペクトルは、青色の波長帯域に発光スペクトルピークを有すると好ましい。具体的には、400nm以上550nm以下の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有すると好ましい。
なお、遅延蛍光を示す発光素子において、遅延蛍光が生じる要因としては、TTAの他に、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差が生じることによる熱活性化遅延蛍光があり得る。逆項間交差が効率よく生じるためには、S1準位とT1準位とのエネルギー差が0.2eV以下であることが好ましい。換言すると、S1準位とT1準位とのエネルギー差が0.2eVより大きいと、逆項間交差が生じにくくなる。したがって、TTAが効率よく生じるためには、TTAが生じる化合物において、最低励起一重項エネルギー準位と、最低励起三重項エネルギー準位と、のエネルギー差が0.2eVより大きいことが好ましく、0.5eV以上であるとさらに好ましい。
なお、最低励起一重項エネルギー準位は、有機化合物が一重項基底状態から最低励起一重項状態へ遷移する際の吸収スペクトルから観測することができる。もしくは、有機化合物の蛍光発光スペクトルのピーク波長から最低励起一重項エネルギー準位を推定しても良い。また、最低励起三重項エネルギー準位は、有機化合物が一重項基底状態から最低励起三重項状態へ遷移する際の吸収スペクトルから観測することができるが、該遷移が禁制であることから、観測することが困難な場合がある。その場合には、有機化合物の燐光発光スペクトルピーク波長より、最低励起三重項エネルギー準位を推定しても良い。したがって、有機化合物における、蛍光発光スペクトルのピーク波長と、燐光発光スペクトルのピーク波長と、のエネルギー換算値差が0.2eVより大きいと好ましく、0.5eV以上であるとさらに好ましい。
<材料>
次に、本発明の一態様に係わる発光素子の構成要素の詳細について、以下説明を行う。
≪発光層≫
発光層130中では、ホスト材料131が少なくともゲスト材料132より重量比で多く存在し、ゲスト材料132(蛍光材料)は、ホスト材料131中に分散される。発光層130において、ホスト材料131に用いることができる材料としては、呈する発光のうち三重項−三重項消滅(TTA)による遅延蛍光成分の占める割合が高い有機化合物が好ましい。具体的には、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合が20%以上である有機化合物が好ましい。その中でも特に、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物が好ましい。また、発光層130において、ホスト材料131は、一種の化合物から構成されていても良く、複数の化合物から構成されていても良い。
また、発光層130において、ゲスト材料132としては、特に限定はないが、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体などが好ましく、例えば以下の材料を用いることができる。
5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン6、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、5,10,15,20−テトラフェニルビスベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン、などが挙げられる。
なお、発光層130において、ホスト材料131およびゲスト材料132以外の材料を有していても良い。
なお、発光層130に用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)などを挙げることができる。また、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物が複数含まれていても良い。また、これら及び公知の物質の中から、上記ゲスト材料132のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。
なお、発光層130は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層130とする場合、第1の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。この場合においても、少なくとも一つの発光層にベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物が含まれていることが好ましい。
次に、図1(A)に示す発光素子150のその他の構成の詳細について、以下説明する。
≪一対の電極≫
電極101及び電極102は、発光層130へ正孔と電子を注入する機能を有する。電極101及び電極102は、金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物や積層体などを用いて形成することができる。金属としてはアルミニウムが典型例であり、その他、銀、タングステン、クロム、モリブデン、銅、チタンなどの遷移金属、リチウムやセシウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどの第2族金属を用いることができる。遷移金属としてイッテルビウム(Yb)などの希土類金属を用いても良い。合金としては、上記金属を含む合金を使用することができ、例えばMgAg、AlLiなどが挙げられる。導電性化合物としては、酸化インジウム−酸化スズ(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物が挙げられる。導電性化合物としてグラフェンなどの無機炭素系材料を用いても良い。上述したように、これらの材料の複数を積層することによって電極101及び電極102の一方または双方を形成しても良い。
また、発光層130から得られる発光は、電極101及び電極102の一方または双方を通して取り出される。したがって、電極101及び電極102の少なくとも一つは可視光を透過する。光を取り出す方の電極に金属や合金などの光透過性の低い材料を用いる場合には、可視光を透過できる程度の厚さ(例えば、1nmから10nmの厚さ)で電極101及び電極102の一方または双方を形成すればよい。
≪正孔注入層≫
正孔注入層111は、一対の電極の一方(電極101または電極102)からのホール注入障壁を低減することでホール注入を促進する機能を有し、例えば遷移金属酸化物、フタロシアニン誘導体、あるいは芳香族アミンなどによって形成される。遷移金属酸化物としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物などが挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、フタロシアニンや金属フタロシアニンなどが挙げられる。芳香族アミンとしてはベンジジン誘導体やフェニレンジアミン誘導体などが挙げられる。ポリチオフェンやポリアニリンなどの高分子化合物を用いることもでき、例えば自己ドープされたポリチオフェンであるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)などがその代表例である。
正孔注入層111として、正孔輸送性材料と、これに対して電子受容性を示す材料の複合材料を有する層を用いることもできる。あるいは、電子受容性を示す材料を含む層と正孔輸送性材料を含む層の積層を用いても良い。これらの材料間では定常状態、あるいは電界存在下において電荷の授受が可能である。電子受容性を示す材料としては、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプターを挙げることができる。具体的には、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT−CN)等の電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物である。また、遷移金属酸化物、例えば第4族から第8族金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどである。中でも酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
これら正孔輸送性の高い材料として、例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14乃至炭素数42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層112は正孔輸送性材料を含む層であり、正孔注入層111の材料として例示した材料を使用することができる。正孔輸送層112は正孔注入層111に注入された正孔を発光層130へ輸送する機能を有するため、正孔注入層111の最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital、HOMOともいう)準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有することが好ましい。
上記正孔輸送性材料として、正孔注入層111の材料として例示した材料の他に、正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に1×10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物を、正孔輸送層112を構成する材料として用いても良い。
≪電子輸送層≫
電子輸送層118は、電子注入層119を経て一対の電極の他方(電極101または電極102)から注入された電子を発光層130へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体などが挙げられる。
例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に1×10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物も好適に用いることができる。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層118は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、電子輸送層118と発光層130との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
≪電子注入層≫
電子注入層119は電極102からの電子注入障壁を低減することで電子注入を促進する機能を有し、例えば第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などを用いることができる。また、先に示す電子輸送性材料と、これに対して電子供与性を示す材料の複合材料を用いることもできる。電子供与性を示す材料としては、第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物などを挙げることができる。
なお、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層には、上述した材料の他、無機化合物または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
≪基板≫
また、発光素子150は、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に作製すればよい。基板上に作製する順番としては、電極101側から順に積層しても、電極102側から順に積層しても良い。
なお、発光素子150を形成できる基板としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレートからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子、及び光学素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。あるいは、発光素子、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
例えば、様々な基板を用いて発光素子150を形成することが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光素子を形成してもよい。または、基板と発光素子との間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に発光素子を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも発光素子を転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いて発光素子を形成し、その後、別の基板に発光素子を転置し、別の基板上に発光素子を配置してもよい。発光素子が転置される基板の一例としては、上述した基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、壊れにくい発光素子、耐熱性の高い発光素子、軽量化された発光素子、または薄型化された発光素子とすることができる。
また、上述した基板上に、例えば電界効果トランジスタ(FET)を形成し、FETと電気的に接続された電極上に発光素子150を作製してもよい。これにより、FETによって発光素子150の駆動を制御するアクティブマトリクス型の表示装置を作製できる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。例えば、本発明の一態様では、EL層が呈する発光は、三重項−三重項消滅による遅延蛍光成分の占める割合が20%以上であり、且つ、青色に発光スペクトルピークを有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、EL層が呈する発光は、遅延蛍光成分の占める割合が20%以上でなくてもよい。または、青色に発光スペクトルピークを有さなくともよい。または、400nm以上550nm以下の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有さなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、EL層は、最低一重項励起エネルギー準位と、最低三重項励起エネルギー準位と、のエネルギー差が0.5eV以上である有機化合物を有し、EL層が呈する発光は、遅延蛍光成分の占める割合が20%以上であり、且つ、青色に発光スペクトルピークを有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、EL層は、最低一重項励起エネルギー準位と、最低三重項励起エネルギー準位と、のエネルギー差が0.5eV以上である有機化合物を有さなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、EL層は、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物を有し、EL層が呈する発光は、遅延蛍光成分の占める割合が20%以上である場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、EL層は、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する化合物を有さなくても良い。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子に好適に用いることができる化合物について、以下説明する。
本実施の形態における化合物は、ベンゾ[a]アントラセン骨格の7位に、少なくともアリーレン基を介してカルバゾール骨格が結合したカルバゾール誘導体を有する化合物である。当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、呈する発光のうちTTAによる遅延蛍光成分の占める割合が高いことから、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物を発光素子に用いることで、発光効率の良好な発光素子を作製することができる。また、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物はバンドギャップが広いことから、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物を発光素子に用いることで、発光効率の良好な発光素子を作製することができる。また、特に発光効率の良好な青色を呈する発光素子を作製することができる。また、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物はキャリア輸送性に優れることから、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物を発光素子に用いることで、駆動電圧の小さい発光素子を作製することができる。また、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物が酸化および還元の繰返しに良好な耐性を有することから、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物を発光素子に用いることで、駆動寿命の良好な発光素子を作製することができる。以上のように、本実施の形態の化合物を発光素子に用いることで、優れた発光特性を有する高性能な発光素子を作製することができる。
当該アリーレン基の炭素数が6乃至13である場合、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、比較的低分子量の低分子化合物となるため、真空蒸着に適した(比較的低温で真空蒸着できる)構成となる。また、一般には分子量が低いと成膜後の耐熱性が乏しくなることが多いが、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、ベンゾ[a]アントラセン骨格の剛直な骨格の影響により、分子量が低くても十分な耐熱性を確保できる利点がある。
また、カルバゾール骨格が、アリーレン基を介してベンゾ[a]アントラセン骨格の7位に結合することで、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物のキャリア輸送性は優れたものとなる。したがって、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物を用いた発光素子は、低い電圧で駆動することができる。
また、上記ベンゾ[a]アントラセン化合物は、換言すると、ベンゾ[a]アントラセン骨格に、アリールカルバゾール誘導体が結合したベンゾ[a]アントラセン化合物ということもできる。当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は合成する際、純度良く合成することが容易であることから、不純物による劣化を抑制することが可能である。なお、素子特性の安定性及び信頼性の観点から、ベンゾ[a]アントラセン骨格に結合するアリールカルバゾール誘導体のアリール基の炭素数は6乃至13であることが好ましい。この場合、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、上述したように比較的低温で真空蒸着できるため、蒸着時の熱分解等の劣化が起こりにくい。また、当該化合物は、信頼性だけでなく駆動電圧にも優れる。これは、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物が、ベンゾ[a]アントラセン骨格の7位にアリーレン基を介してカルバゾール骨格が結合した分子構造を有するため、電気化学的な安定性や高いキャリア輸送性が得られていることにも起因する。
また、カルバゾール骨格が9位において、アリーレン基を介してベンゾ[a]アントラセン骨格に結合したベンゾ[a]アントラセン化合物は、バンドギャップが広くなるため、特に青色などエネルギーの高い発光を呈する発光素子に好適に用いることができる。なお、上記カルバゾール骨格とベンゾ[a]アントラセン骨格との間には、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基を介して結合することが好ましい。
また、上述の理由により、アリーレン基を介してカルバゾール骨格の9位とベンゾ[a]アントラセン骨格の7位が結合したベンゾ[a]アントラセン化合物がより好ましい。これは、ベンゾ[a]アントラセン骨格の7位に(9−カルバゾリル)アリール基が結合したベンゾ[a]アントラセン化合物がより好ましいということができる。なお、化合物の安定性及び発光素子の安定性の観点から、ベンゾ[a]アントラセン骨格に結合する(9−カルバゾリル)アリール基におけるアリール基の炭素数は6乃至13であることが好ましい。すなわち、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、上述した蒸着の容易性、電気化学的安定性、キャリア輸送性に加え、9−カルバゾリル基の骨格の影響によりバンドギャップが広いという特性をも有する。したがって、発光素子における発光層のホスト材料として当該ベンゾ[a]アントラセン化合物を用い、ゲスト材料として発光材料を発光層に添加する構成において有利に働く。その中でも特に、青色発光素子のホスト材料として用いることが好適である。
<化合物の例1>
上記のベンゾ[a]アントラセン化合物は、下記一般式(G1)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物である。
上記一般式(G1)において、Aは、置換または無置換のカルバゾリル基を表す。当該カルバゾリル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12の置換もしくは無置換のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
また、R1乃至R10は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。また、R11は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表す。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基などを具体例として挙げることができる。さらに、上述したアリール基やフェニル基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
また、Arは、炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、前記アリーレン基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような例としては、例えば、フルオレニル基の9位の炭素が置換基としてフェニル基を二つ有し、当該フェニル基同士が結合することによって、スピロフルオレン骨格を形成するような場合が挙げられる。炭素数6乃至13のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などを具体例として挙げることができる。なお、前記アリーレン基が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
<化合物の例2>
また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物において、カルバゾリル基が9位においてアリーレン基を介してベンゾ[a]アントラセン骨格と結合した構成を有するベンゾ[a]アントラセン化合物は、バンドギャップが広くなるため、特に青色などエネルギーの高い発光を呈する発光素子に好適に用いることができるため、好ましい構成である。また、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物がキャリア輸送性に優れるため、これを用いた発光素子は低い電圧で駆動できるため、好ましい構成である。上記ベンゾ[a]アントラセン化合物は、下記一般式(G2)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物である。
上記一般式(G2)において、R1乃至R10、R21乃至R28は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。また、R11は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表す。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基などを具体例として挙げることができる。さらに、上述したアリール基やフェニル基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
また、Arは、炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、前記アリーレン基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような例としては、例えば、フルオレニル基の9位の炭素が置換基としてフェニル基を二つ有し、当該フェニル基同士が結合することによって、スピロフルオレン骨格を形成するような場合が挙げられる。炭素数6乃至13のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などを具体例として挙げることができる。なお、前記アリーレン基が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
<化合物の例3>
また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物において、カルバゾリル基が1位から4位のいずれかにおいてアリーレン基を介してベンゾ[a]アントラセン骨格と結合した構成を有するベンゾ[a]アントラセン化合物は、キャリア輸送性に優れるため、これを用いた発光素子は低い電圧で駆動できるため、好ましい構成である。上記ベンゾ[a]アントラセン化合物は、下記一般式(G3)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物である。
上記一般式(G3)において、R1乃至R10、R31乃至R35は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。また、R11は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表す。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基などを具体例として挙げることができる。さらに、上述したアリール基やフェニル基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
また、Arは、炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、前記アリーレン基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような例としては、例えば、フルオレニル基の9位の炭素が置換基としてフェニル基を二つ有し、当該フェニル基同士が結合することによって、スピロフルオレン骨格を形成するような場合が挙げられる。炭素数6乃至13のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などを具体例として挙げることができる。なお、前記アリーレン基が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。
また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物において、カルバゾリル基が置換または無置換のフェニレン基、もしくは置換または無置換のビフェニルジイル基のいずれかを介してベンゾ[a]アントラセン骨格と結合した構成を有するベンゾ[a]アントラセン化合物は、安定性が向上し、また、純度良く合成することが可能であるため、好ましい構成である。また、当該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、キャリア輸送性に優れるため、これを用いた発光素子は低い電圧で駆動できる。
また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物において、カルバゾリル基が置換または無置換のm−フェニレン基を介してベンゾ[a]アントラセン骨格と結合した構成を有するベンゾ[a]アントラセン化合物は、バンドギャップが広くなるため、特に青色などエネルギーの高い発光を呈する発光素子に好適に用いることができるため、好ましい構成である。
<化合物の例4>
また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物において、カルバゾリル基が置換または無置換のp−フェニレン基を介してベンゾ[a]アントラセン骨格と結合した構成を有するベンゾ[a]アントラセン化合物は、安定性が向上し、また、純度良く合成することが可能であるため、好ましい構成である。該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、下記一般式(G4)または一般式(G5)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物である。
上記一般式(G4)において、R1乃至R10、R21乃至R28、及びR41乃至R44は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。また、R11は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表す。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基などを具体例として挙げることができる。さらに、上述したアリール基やフェニル基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。なお、R1乃至R10はすべて水素であることが、合成の容易さや原料の価格の面で有利である。
上記一般式(G5)において、R1乃至R10、R31乃至R35、及びR41乃至R44は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。また、R11は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表す。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至13のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基などを具体例として挙げることができる。さらに、上述したアリール基やフェニル基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至12のアリール基も置換基として選択することができる。炭素数1乃至6のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至6のシクロアルキル基としては具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げることができる。なお、R1乃至R10はすべて水素であることが、合成の容易さや原料の価格の面で有利である。
<置換基の例>
一般式(G1)において、Aとして表されるカルバゾリル基としては、例えば、下記構造式(Cz−1)乃至(Cz−7)で表される基を適用することができる。なお、Aとして用いることのできる基はこれらに限られない。
また、上記一般式(G1)乃至(G3)において、Arで表されるアリーレン基は、例えば、下記構造式(Ar−1)乃至(Ar−18)で表される基を適用することができる。なお、Arとして用いることのできる基はこれらに限られない。
また、上記一般式(G1)乃至(G5)のR1乃至R10、一般式(G2)及び(G4)のR21乃至R28、一般式(G3)及び(G5)のR31乃至R35、一般式(G4)及び(G5)のR41乃至R44、で表されるアルキル基またはアリール基は、例えば、下記構造式(R−1)乃至(R−29)で表される基を適用することができる。なお、アルキル基またはアリール基として用いることのできる基はこれらに限られない。
また、上記一般式(G1)乃至(G5)のR11で表されるアルキル基またはフェニル基は、例えば、上記構造式(R−1)乃至(R−22)で表される基を適用することができる。なお、アルキル基またはフェニル基として用いることのできる基はこれらに限られない。
<化合物の具体例>
上記一般式(G1)乃至(G5)として表されるベンゾ[a]アントラセン化合物の具体的な構造としては、下記構造式(100)乃至(125)で表されえる物質などが挙げられる。なお、一般式(G1)乃至(G5)として表されるベンゾ[a]アントラセン化合物は下記例示に限られない。
以上のように、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物は、TTAによる遅延蛍光成分の割合が高いことから、発光素子のホスト材料として好適である。これにより、発光効率の良好な発光素子を作製することができる。また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物は、バンドギャップが広いことから、特に青色の発光素子のホスト材料やキャリア輸送材料として好適である。これにより、発光効率の良好な青色発光素子を作製することができる。また、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物は、キャリア輸送性に優れることから、発光素子のホスト材料やキャリア輸送材料として好適である。これにより、駆動電圧の小さい発光素子を作製することができる。また、本実施の形態のベンゾ[a]アントラセン化合物は、酸化および還元の繰返しに良好な耐性を有することから、該ベンゾ[a]アントラセン化合物を発光素子に用いることで、駆動寿命の良好な発光素子を作製することができる。以上のように、本実施の形態のベンゾ[a]アントラセン化合物は、発光素子に用いるのに好適な材料である。
なお、本実施の形態におけるベンゾ[a]アントラセン化合物は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法を用いて成膜することができる。
なお、本実施の形態に示す化合物は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、一般式(G1)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物の合成方法について説明する。ベンゾ[a]アントラセン化合物の合成方法としては種々の反応を適用することができる。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、一般式(G1)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物を合成することができる。なお、本発明の一態様であるベンゾ[a]アントラセン化合物の合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
一般式(G1)で表される化合物は、下記合成スキーム(A−1)のように合成することができる。すなわち、ベンゾ[a]アントラセン化合物(a1)と、アリール化合物(a2)とを、カップリングさせることにより、一般式(G1)の化合物を得ることができる。
合成スキーム(A−1)において、Aは、置換または無置換のカルバゾリル基を表し、X1およびX2は、それぞれ独立に、ハロゲン基、トリフルオロメタンスルホニル基、ボロン酸基、有機ホウ素基、ハロゲン化マグネシウム基、又は有機錫基等を表す。X1がハロゲン基またはトリフルオロメタンスルホニル基のとき、X2はボロン酸基、有機ホウ素基、ハロゲン化マグネシウム基、又は有機錫基等を表す。また、X1がボロン酸基、有機ホウ素基、ハロゲン化マグネシウム基、又は有機錫基等のとき、X2はハロゲン基またはトリフルオロメタンスルホニル基を表す。
合成スキーム(A−1)において、R1乃至R10は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表し、R11は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数3乃至6のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基のいずれかを表し、Arは、炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、前記アリーレン基は置換基を有していてもよく、前記置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
合成スキーム(A−1)において、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦カップリング反応を行う場合、X1及びX2は、ハロゲン基、ボロン酸基、有機ホウ素基、又はトリフルオロメタンスルホニル基を表し、ハロゲン基としては、ヨウ素、臭素、又は塩素が好ましい。当該反応では、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム化合物と、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(n−ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、トリ(オルト−トリル)ホスフィン等の配位子を用いることができる。当該反応では、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、メタノール、水等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、これらの試薬類に限られるものではない。
合成スキーム(A−1)において行う反応は、鈴木・宮浦カップリング反応に限られるものではなく、有機錫化合物を用いた右田・小杉・スティルカップリング反応、グリニヤール試薬を用いた熊田・玉尾・コリューカップリング反応、有機亜鉛化合物を用いた根岸カップリング反応等を用いることができる。
以上のように、一般式(G1)のベンゾ[a]アントラセン化合物を合成することができる。
なお、本実施の形態に示す化合物は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では実施の形態2で説明したベンゾ[a]アントラセン化合物を用いた発光素子の構成例について図3乃至図5を用いて以下に説明する。
<発光素子の構成例1>
図3における発光素子152は、一対の電極間にEL層105を有し、EL層105中のいずれかの層に、実施の形態2で説明したベンゾ[a]アントラセン化合物が用いられている発光素子である。
また、EL層105の構成としては、発光層135の他に、実施の形態1で示した正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、電子注入層119を有する構成とすることができる。なお、EL層105の積層構造については、これに限らない。
また、本実施の形態における一対の電極(電極101及び電極102)、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、電子注入層119としては、実施の形態1で記載した材料を用いることができる。また、発光層135に用いるゲスト材料137は、実施の形態1で示したゲスト材料132で記載した材料を用いることができる。
実施の形態2で説明したベンゾ[a]アントラセン化合物は、発光のうちTTAによる遅延蛍光成分の割合が高いことから、発光素子152の中でも特にホスト材料136として好適である。すなわち、実施の形態2で説明したベンゾ[a]アントラセン化合物を発光素子152のホスト材料136として用いることで、発光効率の良好な発光素子を作製することができる。また、該ベンゾ[a]アントラセン化合物を有し、EL層105が呈する発光のうち遅延蛍光成分の占める割合が20%以上である発光素子を作製することができる。また、該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、バンドギャップが広いことから、特に青色の発光素子のホスト材料やキャリア輸送材料として好適である。したがって、本実施の形態の構成を用いることにより、発光効率が良好で、青色に発光スペクトルピークを有する発光素子を作製することができる。また、該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、キャリア輸送性に優れることから、発光素子のホスト材料やキャリア輸送材料として好適である。したがって、本実施の形態の構成を用いることで、駆動電圧の小さい発光素子を作製することができる。また、該ベンゾ[a]アントラセン化合物は、酸化および還元の繰返しに良好な耐性を有することから、駆動寿命の良好な発光素子を作製することができる。
<発光素子の構成例2>
次に、図3に示す発光素子と異なる構成例について、図4を用いて、以下説明を行う。
図4は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図4において、図3に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図4に示す発光素子250は、基板200側に光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子である。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を基板200と反対の方向に光を取り出す上面射出(トップエミッション)型の発光素子、または発光素子が形成される基板200の上方および下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型の発光素子であっても良い。
発光素子250は、基板200上に電極101と、電極102とを有する。また、電極101と電極102との間に、発光層123Bと、発光層123Gと、発光層123Rと、を有する。また、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。
発光素子が、ボトムエミッション型である場合、電極101は、光を透過する機能を有することが好ましい。また、電極102は、光を反射する機能を有することが好ましい。
図4に示す発光素子250は、電極101と電極102とで挟持された領域221B、領域221G、及び領域221R、の間に、隔壁140を有する。隔壁140は、絶縁性を有する。隔壁140は、電極101の端部を覆い、該電極と重畳する開口部を有する。隔壁140を設けることによって、各領域の基板200が有する電極101を、それぞれ島状に分離することが可能となる。
発光層123B、発光層123G、発光層123Rは、それぞれ異なる色を呈する機能を有する発光材料を有することが好ましい。例えば、発光層123Bは青色に、発光層123Gは緑色に、発光層123Rは赤色に、呈する機能を有する発光材料を有すると、発光素子250はフルカラー表示が可能な表示装置に用いることができる。また、それぞれの発光層の膜厚は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
また、発光層123B、発光層123G、発光層123R、の少なくとも一つの発光層で、実施の形態2で示したベンゾ[a]アントラセン化合物を有することが好ましい。そうすることで、該発光層が呈する発光のうち、遅延蛍光成分の占める割合が20%以上である領域を有する発光素子を作製することができる。特に、発光層123Bに実施の形態2で示したベンゾ[a]アントラセン化合物を用いることで、発光効率の良好な青色に発光スペクトルピークを有する発光素子を作製することができる。
なお、発光層123B、発光層123G、発光層123R、のいずれか一つまたは複数の発光層は、2層以上が積層された構成としても良い。
以上のように、少なくとも一つの発光層に実施の形態2で示したベンゾ[a]アントラセン化合物を有し、該発光層を有する発光素子250を、表示装置の画素中の各副画素に用いることで、発光効率の高い表示装置を作製することができる。すなわち、該発光素子250を有する表示装置は、消費電力を低減することができる。
<発光素子の構成例3>
次に、図3及び図4に示す発光素子と異なる構成例について、図5(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図5(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図5(A)(B)において、図3及び図4に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図5(A)(B)は、一対の電極間に、複数の発光層が電荷発生層115を介して積層されるタンデム型発光素子の構成例である。図5(A)に示す発光素子252は、基板200と反対の方向に光を取り出す上面射出(トップエミッション)型の発光素子、図5(B)に示す発光素子254は、基板200側に光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子である。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を発光素子が形成される基板200の上方および下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型であっても良い。
発光素子252及び発光素子254は、基板200上に電極101と、電極102と、電極103と、電極104とを有する。また、電極101と電極102との間、及び電極102と電極103との間、及び電極102と電極104との間に、発光層160と、電荷発生層115と、発光層170と、を有する。また、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、電子輸送層113と、電子注入層114と、正孔注入層116と、正孔輸送層117と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。
また、電極101は、導電層101aと、導電層101a上に接する導電層101bと、を有する。また、電極103は、導電層103aと、導電層103a上に接する導電層103bと、を有する。電極104は、導電層104aと、導電層104a上に接する導電層104bと、を有する。
図5(A)に示す発光素子252、及び図5(B)に示す発光素子254は、電極101と電極102とで挟持された領域222B、電極102と電極103とで挟持された領域222G、及び電極102と電極104とで挟持された領域222R、の間に、隔壁140を有する。隔壁140は、絶縁性を有する。隔壁140は、電極101、電極103、及び電極104の端部を覆い、該電極と重畳する開口部を有する。隔壁140を設けることによって、各領域の基板200が有する該電極を、それぞれ島状に分離することが可能となる。
また、発光素子252及び発光素子254は、領域222B、領域222G、及び領域222Rから呈される光が取り出される方向に、それぞれ光学素子224B、光学素子224G、及び光学素子224Rを有する基板220を有する。各領域から呈される光は、各光学素子を介して発光素子外部に射出される。すなわち、領域222Bから呈される光は、光学素子224Bを介して射出され、領域222Gから呈される光は、光学素子224Gを介して射出され、領域222Rから呈される光は、光学素子224Rを介して射出される。
また、光学素子224B、光学素子224G、及び光学素子224Rは、入射される光から特定の色を呈する光を選択的に透過する機能を有する。例えば、光学素子224Bを介して射出される領域222Bから呈される光は、青色を呈する光となり、光学素子224Gを介して射出される領域222Gから呈される光は、緑色を呈する光となり、光学素子224Rを介して射出される領域222Rから呈される光は、赤色を呈する光となる。
なお、図5(A)(B)において、各光学素子を介して各領域から射出される光を、青色(B)を呈する光、緑色(G)を呈する光、赤色(R)を呈する光、として、それぞれ破線の矢印で模式的に図示している。
また、各光学素子の間には、遮光層223を有する。遮光層223は、隣接する領域から発せられる光を遮光する機能を有する。なお、遮光層223を設けない構成としても良い。
≪マイクロキャビティ≫
さらに、発光素子252及び発光素子254は、マイクロキャビティ構造を有する。
発光層160、及び発光層170から呈される光は、一対の電極(例えば、電極101と電極102)の間で共振される。発光素子252及び発光素子254においては、各領域で導電層(導電層101b、導電層103b、及び導電層104b)の厚さを調整することで、発光層160及び発光層170から呈される光の波長を強めることができる。なお、各領域で正孔注入層111及び正孔輸送層112のうち、少なくとも一つの厚さを異ならせることで、発光層160及び発光層170から呈される光の波長を強めても良い。
例えば、電極101乃至電極104において、光を反射する機能を有する導電性材料の屈折率が、発光層160または発光層170の屈折率よりも小さい場合においては、電極101が有する導電層101bの膜厚を、電極101と電極102との間の光学距離がmBλB/2(mBは自然数、λBは領域222Bで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。同様に、電極103が有する導電層103bの膜厚を、電極103と電極102との間の光学距離がmGλG/2(mGは自然数、λGは領域222Gで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。さらに、電極104が有する導電層104bの膜厚を、電極104と電極102との間の光学距離がmRλR/2(mRは自然数、λRは領域222Rで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。
上記のように、マイクロキャビティ構造を設け、各領域の一対の電極間の光学距離を調整することで、各電極近傍における光の散乱および光の吸収を抑制し、高い光取り出し効率を実現することができる。なお、上記構成においては、導電層101b、導電層103b、導電層104bは、光を透過する機能を有することが好ましい。また、導電層101b、導電層103b、導電層104b、を構成する材料は、互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。また、導電層101b、導電層103b、導電層104bは、それぞれ2層以上の層が積層された構成であっても良い。
なお、図5(A)に示す発光素子252、上面射出型の発光素子であるため、電極101が有する導電層101a、電極103が有する導電層103a、及び電極104が有する導電層104aは、光を反射する機能を有することが好ましい。また、電極102は、光を透過する機能と、光を反射する機能とを有することが好ましい。
また、図5(B)に示す発光素子254は、下面射出型の発光素子であるため、電極101が有する導電層101a、電極103が有する導電層103a、電極104が有する導電層104aは、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有することが好ましい。また、電極102は、光を反射する機能を有することが好ましい。
また、発光素子252及び発光素子254において、導電層101a、導電層103a、または導電層104a、に同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。導電層101a、導電層103a、導電層104a、に同じ材料を用いる場合、発光素子252及び発光素子254の製造コストを低減できる。なお、導電層101a、導電層103a、導電層104aは、それぞれ2層以上の層が積層された構成であっても良い。
また、発光層160、または発光層170の少なくとも一つの発光層に、実施の形態2で示したベンゾ[a]アントラセン化合物を用いることが好ましい。そうすることで、該発光層が呈する発光のうち、遅延蛍光成分の占める割合が20%以上である領域を有する発光素子を作製することができる。特に、領域222Bにおいては、発光効率の良好な青色に発光スペクトルピークを有する発光素子とすることができる。
また、発光層160及び発光層170は、例えば発光層170a及び発光層170bのように、それぞれ2層が積層された構成とすることができる。2層の発光層に、第1の化合物及び第2の化合物という、異なる色を呈する機能を有する2種類の発光材料をそれぞれ用いることで、複数の発光を同時に得ることができる。特に発光層160と、発光層170と、が呈する発光により、白色となるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
また、発光層160または発光層170は、それぞれ3層以上が積層された構成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
以上のように、少なくとも一つの発光層に実施の形態2で示したベンゾ[a]アントラセン化合物を有し、該発光層を有する発光素子252または発光素子254を、表示装置の画素に用いることで、発光効率の高い表示装置を作製することができる。すなわち、発光素子252または発光素子254を有する表示装置は、消費電力を低減することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、実施の形態1および実施の形態4に示す構成と異なる構成の発光素子、及び当該発光素子の発光機構について、図6及び図7を用いて、以下説明を行う。
<発光素子の構成例1>
図6(A)は、発光素子450の断面模式図である。
図6(A)に示す発光素子450は、一対の電極(電極401及び電極402)の間に、複数の発光ユニット(図6(A)においては、発光ユニット441及び発光ユニット442)を有する。1つの発光ユニットは、図1(A)で示すEL層100または図3で示すEL層105と同様な構成を有する。つまり、図1(A)及び図3で示した発光素子150、発光素子152は、1つの発光ユニットを有し、発光素子450は、複数の発光ユニットを有する。なお、発光素子450において、電極401が陽極として機能し、電極402が陰極として機能するとして、以下説明するが、発光素子450の構成としては、逆であっても構わない。
また、図6(A)に示す発光素子450において、発光ユニット441と発光ユニット442とが積層されており、発光ユニット441と発光ユニット442との間には電荷発生層445が設けられる。なお、発光ユニット441と発光ユニット442は、同じ構成でも異なる構成でもよい。例えば、発光ユニット441に、図1(A)で示すEL層100または図3に示すEL層105を用い、発光ユニット442に発光材料として燐光材料を有する発光層を用いると好適である。
すなわち、発光素子450は、発光層420と、発光層430と、を有する。また、発光ユニット441は、発光層420の他に、正孔注入層411、正孔輸送層412、電子輸送層413、及び電子注入層414を有する。また、発光ユニット442は、発光層430の他に、正孔注入層416、正孔輸送層417、電子輸送層418、及び電子注入層419を有する。
電荷発生層445には、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料が含まれている。該複合材料には、実施の形態1に示す正孔注入層111に用いることができる複合材料を用いればよい。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1×10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物とアクセプター性物質の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。なお、発光ユニット442のように、発光ユニットの陽極側の面が電荷発生層445に接している場合は、電荷発生層445が発光ユニットの正孔注入層または正孔輸送層の役割も担うことができるため、該発光ユニットには正孔注入層または正孔輸送層を設けなくとも良い。
なお、電荷発生層445は、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と他の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、透明導電膜を含む層とを組み合わせて形成してもよい。
なお、発光ユニット441と発光ユニット442とに挟まれる電荷発生層445は、電極401と電極402とに電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図6(A)において、電極401の電位の方が電極402の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層445は、発光ユニット441に電子を注入し、発光ユニット442に正孔を注入する。
また、図6(A)においては、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。発光素子450に示すように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長寿命な発光素子を実現できる。また、消費電力が低い発光素子を実現することができる。
なお、複数のユニットのうち、少なくとも一つのユニットに、EL層100またはEL層105の構成を適用することによって、発光効率の高い、発光素子を提供することができる。特に、少なくとも一つの発光層でベンゾ[a]アントラセン化合物を有する構成とすることで、発光効率の高い、発光素子を提供することができる。
また、発光層420は、ホスト材料421と、ゲスト材料422とを有する。また、発光層430は、ホスト材料431と、ゲスト材料432とを有する。また、ホスト材料431は、有機化合物431_1と、有機化合物431_2と、を有する。
また、本実施の形態において、発光層420は、図1(A)に示す発光層130、または図3に示す発光層135と同様の構成とする。すなわち、発光層420が有するホスト材料421、及びゲスト材料422は、発光層130が有するホスト材料131、及びゲスト材料132に、それぞれ相当する。もしくは、発光層420が有するホスト材料421、及びゲスト材料422は、発光層135が有するホスト材料136、及びゲスト材料137に、それぞれ相当する。また、発光層430が有するゲスト材料432が燐光材料として、以下説明する。なお、電極401、電極402、正孔注入層411、正孔注入層416、正孔輸送層412、正孔輸送層417、電子輸送層413、電子輸送層418、電子注入層414、及び電子注入層419は、実施の形態1に示す、電極101、電極102、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、及び電子注入層119に、それぞれ相当する。したがって、本実施の形態においては、その詳細な説明は省略する。
≪発光層420の発光機構≫
発光層420の発光機構としては、図1(A)に示す発光層130、または図3に示す発光層135と同様の発光機構である。
≪発光層430の発光機構≫
次に、発光層430の発光機構について、以下説明を行う。
発光層430が有する、有機化合物431_1と、有機化合物431_2とは励起錯体を形成する。ここでは、有機化合物431_1をホスト材料として、有機化合物431_2をアシスト材料として説明する。
発光層430において、励起錯体を形成する有機化合物431_1と有機化合物431_2との組み合わせは、励起錯体を形成することが可能な組み合わせであればよいが、一方が正孔輸送性を有する材料であり、他方が電子輸送性を有する材料であることが、より好ましい。
発光層430における有機化合物431_1と、有機化合物431_2と、ゲスト材料432とのエネルギー準位の相関を図6(B)に示す。なお、図6(B)における表記及び符号は、以下の通りである。
・Host(431_1):有機化合物431_1(ホスト材料)
・Assist(431_2):有機化合物431_2(アシスト材料)
・Guest(432):ゲスト材料432(燐光材料)
・Exciplex:励起錯体
・SPH:有機化合物431_1の一重項励起状態の最も低い準位
・TPH:有機化合物431_1の三重項励起状態の最も低い準位
・TPG:ゲスト材料432(燐光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
・SE:励起錯体の一重項励起状態の最も低い準位
・TE:励起錯体の三重項励起状態の最も低い準位
有機化合物431_1と有機化合物431_2とにより形成される、励起錯体の一重項励起状態の最も低い準位(SE)と励起錯体の三重項励起状態の最も低い準位(TE)とは互いに隣接することになる(図6(B)Route C参照)。
そして、励起錯体の(SE)と(TE)の双方のエネルギーを、ゲスト材料432(燐光材料)の三重項励起状態の最も低い準位へ移動させて発光が得られる(図6(B)Route D参照)。
なお、上記に示すRoute C及びRoute Dの過程を、本明細書等においてExTET(Exciplex−Triplet Energy Transfer)と呼称する場合がある。
また、有機化合物431_1及び有機化合物431_2は、一方がホールを、他方が電子を受け取り、それらが近接することで速やかに励起錯体を形成する。あるいは、一方が励起状態となると、速やかに他方と相互作用することで励起錯体を形成する。したがって、発光層430における励起子のほとんどが励起錯体として存在する。励起錯体は、有機化合物431_1及び有機化合物431_2のどちらよりもバンドギャップは小さくなるため、一方のホールと他方の電子の再結合から励起錯体が形成されることにより、駆動電圧を下げることができる。
発光層430を上述の構成とすることで、発光層430のゲスト材料432(燐光材料)からの発光を、効率よく得ることが可能となる。
なお、発光層420からの発光が、発光層430からの発光よりも短波長側に発光のピークを有する構成とすることが好ましい。短波長の発光を呈する燐光材料を用いた発光素子は輝度劣化が早い傾向がある。そこで、短波長の発光を蛍光発光とすることによって、輝度劣化の小さい発光素子を提供することができる。
また、発光層420と発光層430とで異なる発光波長の光を得ることによって、多色発光の素子とすることができる。この場合、発光スペクトルは異なる発光ピークを有する発光が合成された光となるため、少なくとも二つの極大値を有する発光スペクトルとなる。
また、上記の構成は白色発光を得るためにも好適である。発光層420と発光層430との光を互いに補色の関係とすることによって、白色発光を得ることができる。
また、発光層420及び発光層430のいずれか一方または双方に発光波長の異なる複数の発光材料を用いることによって、三原色や、4色以上の発光色からなる演色性の高い白色発光を得ることもできる。この場合、発光層420及び発光層430のいずれか一方または双方を層状にさらに分割し、当該分割した層ごとに異なる発光材料を含有させるようにしても良い。
<発光層に用いることのできる材料の例>
次に、発光層420及び発光層430に用いることのできる材料について、以下説明する。
≪発光層420に用いることのできる材料≫
発光層420に用いることのできる材料としては、先の実施の形態1に示す発光層130、または実施の形態4に示す発光層135に用いることのできる材料を援用すればよい。
≪発光層430に用いることのできる材料≫
発光層430中では、有機化合物431_1(ホスト材料)が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料432(燐光材料)は、有機化合物431_1(ホスト材料)中に分散される。
有機化合物431_1(ホスト材料)としては、亜鉛やアルミニウム系金属錯体の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。他の例としては、芳香族アミンやカルバゾール誘導体などが挙げられる。
ゲスト材料432(燐光材料)としては、イリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体が挙げられ、中でも有機イリジウム錯体、例えばイリジウム系オルトメタル錯体が好ましい。オルトメタル化する配位子としては4H−トリアゾール配位子、1H−トリアゾール配位子、イミダゾール配位子、ピリジン配位子、ピリミジン配位子、ピラジン配位子、あるいはイソキノリン配位子などが挙げられる。金属錯体としては、ポルフィリン配位子を有する白金錯体などが挙げられる。
有機化合物431_2(アシスト材料)としては、有機化合物431_1と励起錯体を形成できる組み合わせとする。この場合、励起錯体の発光ピークがゲスト材料432(燐光材料)の三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移の吸収帯、より具体的には、最も長波長側の吸収帯と重なるように有機化合物431_1、有機化合物431_2、およびゲスト材料432(燐光材料)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が飛躍的に向上した発光素子とすることができる。ただし、燐光材料に替えて熱活性化遅延蛍光材料を用いる場合においては、最も長波長側の吸収帯は一重項の吸収帯であることが好ましい。
発光層430に含まれる発光材料としては、三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料であればよい。該三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料としては、燐光材料の他に、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。したがって、燐光材料と記載した部分に関しては、熱活性化遅延蛍光材料と読み替えても構わない。なお、熱活性化遅延蛍光材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位のエネルギー差が、好ましくは0eVより大きく0.2eV以下、さらに好ましくは0eVより大きく0.1eV以下であることが挙げられる。
また、熱活性化遅延蛍光を示す材料は、単独で三重項励起状態から逆項間交差により一重項励起状態を生成できる材料であっても良いし、励起錯体(エキサイプレックス、またはExciplexともいう)を形成する2種類の材料の組み合わせであっても良い。
また、発光層420に含まれる発光材料と発光層430に含まれる発光材料の発光色に限定は無く、同じでも異なっていても良い。各々から得られる発光が混合されて素子外へ取り出されるので、例えば両者の発光色が互いに補色の関係にある場合、発光素子は白色の光を与えることができる。発光素子の信頼性を考慮すると、発光層420に含まれる発光材料の発光ピーク波長は、発光層430に含まれる発光材料のそれよりも短いことが好ましい。
<発光素子の構成例2>
次に、図6に示す発光素子と異なる構成例について、図7(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図7(A)は、発光素子452の断面模式図である。
図7(A)に示す発光素子452は、一対の電極(電極401及び電極402)の間にEL層400が挟まれた構造である。なお、発光素子452において、電極401が陽極として機能し、電極402が陰極として機能する。
また、EL層400は、発光層420と、発光層430と、を有する。また、発光素子452おいて、EL層400として、発光層420及び発光層430の他に、正孔注入層411、正孔輸送層412、電子輸送層418、及び電子注入層419が図示されているが、これらの積層構造は一例であり、発光素子452におけるEL層400の構成はこれらに限定されない。例えば、EL層400において、上記各層の積層順を変えてもよい。または、EL層400において、上記各層以外の機能層を設けてもよい。該機能層としては、例えば、キャリア(電子またはホール)を注入する機能、キャリアを輸送する機能、キャリアを抑止する機能、キャリアを発生する機能を有する構成とすればよい。
また、発光層420は、ホスト材料421と、ゲスト材料422とを有する。また、発光層430は、ホスト材料431と、ゲスト材料432とを有する。ホスト材料431は、有機化合物431_1と、有機化合物431_2とを有する。なお、ゲスト材料422が蛍光材料、ゲスト材料432が燐光材料として、以下説明する。
≪発光層420の発光機構≫
発光層420の発光機構としては、図1(A)に示す発光層130、または図3に示す発光層135と同様の発光機構である。
≪発光層430の発光機構≫
発光層430の発光機構としては、図6(A)に示す発光層430と同様の発光機構である。
≪発光層420と発光層430の発光機構≫
発光層420及び発光層430のそれぞれの発光機構について、既に説明したが、発光素子452に示すように、発光層420と、発光層430とが互いに接する構成を有する場合、発光層420と発光層430の界面において、励起錯体から発光層420のホスト材料421へのエネルギー移動(とくに三重項励起準位のエネルギー移動)が起こったとしても、発光層420にて上記三重項励起エネルギーを発光に変換することができる。
なお、発光層420のホスト材料421のT1準位が、発光層430が有する有機化合物431_1及び有機化合物431_2のT1準位よりも低いと好ましい。また、発光層420において、ホスト材料421のS1準位がゲスト材料422(蛍光材料)のS1準位よりも高く、且つ、ホスト材料421のT1準位がゲスト材料422(蛍光材料)のT1準位よりも低いと好ましい。
具体的には、発光層420にTTAを用い、発光層430にExTETを用いる場合のエネルギー準位の相関を図7(B)に示す。なお、図7(B)における表記及び符号は、以下の通りである。
・Fluorescence EML(420):蛍光発光層(発光層420)
・Phosphorescence EML(430):燐光発光層(発光層430)
・SFH:ホスト材料421の一重項励起状態の最も低い準位
・TFH:ホスト材料421の三重項励起状態の最も低い準位
・SFG:ゲスト材料422(蛍光材料)の一重項励起状態の最も低い準位
・TFG:ゲスト材料422(蛍光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
・SPH:ホスト材料(有機化合物431_1)の一重項励起状態の最も低い準位
・TPH:ホスト材料(有機化合物431_1)の三重項励起状態の最も低い準位
・TPG:ゲスト材料432(燐光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
・SE:励起錯体の一重項励起状態の最も低い準位
・TE:励起錯体の三重項励起状態の最も低い準位
図7(B)に示すように、励起錯体は励起状態でしか存在しないため、励起錯体と励起錯体との間の励起子拡散は生じにくい。また、励起錯体の励起準位(SE、TE)は、発光層430の有機化合物431_1(すなわち、燐光材料のホスト材料)の励起準位(SPH、TPH)よりも低いので、励起錯体から有機化合物431_1へのエネルギーの拡散も生じない。また、励起錯体から有機化合物431_2へのエネルギー拡散も同様に生じない。すなわち、燐光発光層(発光層430)内において、励起錯体の励起子拡散距離は短いため、燐光発光層(発光層430)の効率を保つことが可能となる。また、蛍光発光層(発光層420)と燐光発光層(発光層430)の界面において、燐光発光層(発光層430)の励起錯体の三重項励起エネルギーの一部が、蛍光発光層(発光層420)に拡散したとしても、その拡散によって生じた蛍光発光層(発光層420)の三重項励起エネルギーは、TTAを通じて発光されるため、エネルギー損失を低減することが可能となる。
以上のように、発光素子452は、発光層430にExTETを利用し、且つ発光層420にTTAを利用することで、エネルギー損失が低減されるため、高い発光効率の発光素子とすることができる。また、発光素子452に示すように、発光層420と、発光層430とが互いに接する構成とする場合、上記エネルギー損失が低減されるとともに、EL層400の層数を低減させることができる。したがって、製造コストの少ない発光素子とすることができる。
なお、発光層420と発光層430とは互いに接していない構成であっても良い。この場合、発光層430中で生成する、有機化合物431_1、有機化合物431_2、またはゲスト材料432(燐光材料)の励起状態から発光層420中のホスト材料421、またはゲスト材料422(蛍光材料)へのデクスター機構によるエネルギー移動(特に三重項エネルギー移動)を防ぐことができる。したがって、発光層420と発光層430の間に設ける層は数nm程度の厚さがあればよい。
発光層420と発光層430の間に設ける層は単一の材料で構成されていても良いが、正孔輸送性材料と電子輸送性材料とが含まれていても良い。単一の材料で構成する場合、バイポーラー性材料を用いても良い。ここでバイポーラー性材料とは、電子と正孔の移動度の比が100以下である材料を指す。また、正孔輸送性材料または電子輸送性材料などを使用しても良い。もしくは、そのうちの少なくとも一つは、発光層430のホスト材料(有機化合物431_1または有機化合物431_2)と同一の材料で形成しても良い。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。さらに、正孔輸送性材料と電子輸送性材料とで励起錯体を形成しても良く、これによって励起子の拡散を効果的に防ぐことができる。具体的には、発光層430のホスト材料(有機化合物431_1または有機化合物431_2)あるいはゲスト材料432(燐光材料)の励起状態から、発光層420のホスト材料421あるいはゲスト材料422(蛍光材料)へのエネルギー移動を防ぐことができる。
なお、発光素子452では、キャリアの再結合領域はある程度の分布を持って形成されることが好ましい。このため、発光層420または発光層430において、適度なキャリアトラップ性があることが好ましく、特に、発光層430が有するゲスト材料432(燐光材料)が電子トラップ性を有していることが好ましい。また、発光層420が有するゲスト材料422(蛍光材料)が正孔トラップ性を有していることが好ましい。
なお、発光層420からの発光が、発光層430からの発光よりも短波長側に発光のピークを有する構成とすることが好ましい。短波長の発光を呈する燐光材料を用いた発光素子は輝度劣化が早い傾向がある。そこで、短波長の発光を蛍光発光とすることによって、輝度劣化の小さい発光素子を提供することができる。
また、発光層420と発光層430とで異なる発光波長の光を得ることによって、多色発光の素子とすることができる。この場合、発光スペクトルは異なる発光ピークを有する発光が合成された光となるため、少なくとも二つの極大値を有する発光スペクトルとなる。
また、上記の構成は白色発光を得るためにも好適である。発光層420と発光層430との光を互いに補色の関係とすることによって、白色発光を得ることができる。
また、発光層420に発光波長の異なる複数の発光材料を用いることによって、三原色や、4色以上の発光色からなる演色性の高い白色発光を得ることもできる。この場合、発光層420を層状にさらに分割し、当該分割した層ごとに異なる発光材料を含有させるようにしても良い。
<発光層に用いることのできる材料>
次に、発光層420及び発光層430に用いることのできる材料について、以下説明する。
≪発光層420に用いることのできる材料≫
発光層420中では、ホスト材料421が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料422(蛍光材料)は、ホスト材料421中に分散される。ホスト材料421のS1準位は、ゲスト材料422(蛍光材料)のS1準位よりも高く、ホスト材料421のT1準位は、ゲスト材料422(蛍光材料)のT1準位よりも低いことが好ましい。
ホスト材料421として、ベンゾ[a]アントラセン化合物を有することが好ましい。そうすることで、発光の遅延蛍光の占める割合が高く、発光効率の高い発光素子を作製することができる。具体的には、実施の形態1または実施の形態2で説明した化合物が挙げられる。
≪発光層430に用いることのできる材料≫
発光層430中では、ホスト材料(有機化合物431_1または有機化合物431_2)が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料432(燐光材料)は、ホスト材料(有機化合物431_1及び有機化合物431_2)中に分散される。発光層430のホスト材料(有機化合物431_1及び有機化合物431_2)のT1準位は、発光層420のゲスト材料422(蛍光材料)のT1準位よりも高いことが好ましい。
ホスト材料(有機化合物431_1および有機化合物431_2)、ゲスト材料432(燐光材料)としては、先の図6の発光素子450で説明した有機化合物431_1、有機化合物431_2、ゲスト材料432を用いることができる。
なお、発光層420及び発光層430は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態2に記載のベンゾ[a]アントラセン化合物を有機半導体素子の一種である縦型トランジスタ(静電誘導トランジスタ:SIT)の活性層として用いる形態を例示する。
素子の構造としては、図8に示すように、実施の形態2に記載のベンゾ[a]アントラセン化合物を含む薄膜状の活性層330をソース電極301およびドレイン電極302で挟み、ゲート電極303が活性層330に埋め込まれた構造を有する。ゲート電極303は、ゲート電圧を印加するための手段に電気的に接続されており、ソース電極301およびドレイン電極302は、ソース電極−ドレイン電極間の電圧を制御するための手段に電気的に接続されている。
このような素子構造において、ゲート電極303に電圧を印加しない状態においてソース電極−ドレイン電極間に電圧を印加すると、電流が流れる(ON状態となる)。そして、その状態でゲート電極303に電圧を印加するとゲート電極303周辺に空乏層が発生し、電流が流れなくなる(OFF状態となる)。以上の機構により、有機半導体素子300はトランジスタとして動作する。
縦型トランジスタにおいては、発光素子と同様、キャリア輸送性と良好な膜質を兼ね備えた材料が活性層に求められるが、実施の形態2に記載のベンゾ[a]アントラセン化合物はその条件を十分に満たしており、好適に用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置について、図9を用いて説明を行う。
なお、図9(A)は、本発明の一態様の表示装置を説明するブロック図であり、図9(B)は、本発明の一態様の表示装置が有する画素回路を説明する回路図である。
<表示装置に関する説明>
図9(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部802という)と、画素部802の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部804という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路806という)と、端子部807と、を有する。なお、保護回路806は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部804の一部、または全部は、画素部802と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部804の一部、または全部が、画素部802と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部804の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部802は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路801という)を有し、駆動回路部804は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、走査線駆動回路804aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、信号線駆動回路804b)などの駆動回路を有する。
走査線駆動回路804aは、シフトレジスタ等を有する。走査線駆動回路804aは、端子部807を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、走査線駆動回路804aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。走査線駆動回路804aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、走査線駆動回路804aを複数設け、複数の走査線駆動回路804aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、走査線駆動回路804aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、走査線駆動回路804aは、別の信号を供給することも可能である。
信号線駆動回路804bは、シフトレジスタ等を有する。信号線駆動回路804bは、端子部807を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。信号線駆動回路804bは、画像信号を元に画素回路801に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、信号線駆動回路804bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、信号線駆動回路804bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、信号線駆動回路804bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、信号線駆動回路804bは、別の信号を供給することも可能である。
信号線駆動回路804bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。信号線駆動回路804bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いて信号線駆動回路804bを構成してもよい。
複数の画素回路801のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路801のそれぞれは、走査線駆動回路804aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路801は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介して走査線駆動回路804aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介して信号線駆動回路804bからデータ信号が入力される。
図9(A)に示す保護回路806は、例えば、走査線駆動回路804aと画素回路801の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路806は、信号線駆動回路804bと画素回路801の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路806は、走査線駆動回路804aと端子部807との間の配線に接続することができる。または、保護回路806は、信号線駆動回路804bと端子部807との間の配線に接続することができる。なお、端子部807は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路806は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図9(A)に示すように、画素部802と駆動回路部804にそれぞれ保護回路806を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路806の構成はこれに限定されず、例えば、走査線駆動回路804aに保護回路806を接続した構成、または信号線駆動回路804bに保護回路806を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部807に保護回路806を接続した構成とすることもできる。
また、図9(A)においては、走査線駆動回路804aと信号線駆動回路804bによって駆動回路部804を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、走査線駆動回路804aのみを形成し、別途用意された信号線駆動回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
<画素回路の構成例>
図9(A)に示す複数の画素回路801は、例えば、図9(B)に示す構成とすることができる。
図9(B)に示す画素回路801は、トランジスタ852、854と、容量素子862と、発光素子872と、を有する。
トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(データ線DL_n)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ852のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(走査線GL_m)に電気的に接続される。
トランジスタ852は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子862の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子862は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ854のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ854のゲート電極は、トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子872のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ854のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子872としては、実施の形態1乃至実施の形態5に示す発光素子を用いることができる。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図9(B)の画素回路801を有する表示装置では、例えば、図9(A)に示す走査線駆動回路804aにより各行の画素回路801を順次選択し、トランジスタ852をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路801は、トランジスタ852がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ854のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子872は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、本発明の一態様の発光素子は、表示装置の画素に能動素子を有するアクティブマトリクス方式、または、表示装置の画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式のそれぞれの方式に適用することができる。
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)として、トランジスタだけでなく、さまざまな能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いることが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ、低消費電力化や高輝度化をはかることが出来る。
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないパッシブマトリクス型を用いることも可能である。能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないため、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることが出来る。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置、及び該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、図10乃至図14を用いて説明を行う。
<タッチパネルに関する説明1>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
図10(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、図10(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(図10(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、及び基板2590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、及び基板2590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することができる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にまで引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509(1)と電気的に接続する。
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接続される。なお、図10(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している。
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、図10(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極2592は、図10(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このとき、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
<表示装置に関する説明>
次に、図11(A)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。図11(A)は、図10(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
以下の説明においては、白色の光を射出する発光素子を表示素子に適用する場合について説明するが、表示素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なる発光素子を適用してもよい。
基板2510及び基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が1×10−5g・m−2・day−1以下、好ましくは1×10−6g・m−2・day−1以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは1×10−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
なお、基板2510は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性基板2510bと、絶縁層2510a及び可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570a及び可撓性基板2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
接着層2510c及び接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂を用いることができる。もしくは、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、図11(A)に示すように、封止層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学的な接合層を兼ねることができる。
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板2510、基板2570、封止層2560、及びシール材で囲まれた領域に発光素子2550Rを有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を充填してもよく、例えば、PVC(ポリビニルクロライド)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)系樹脂、またはEVA(エチレンビニルアセテート)系樹脂を用いることができる。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
また、表示装置2501は、画素2502Rを有する。また、画素2502Rは発光モジュール2580Rを有する。
画素2502Rは、発光素子2550Rと、発光素子2550Rに電力を供給することができるトランジスタ2502tとを有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回路の一部として機能する。また、発光モジュール2580Rは、発光素子2550Rと、着色層2567Rとを有する。
発光素子2550Rは、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極の間にEL層とを有する。発光素子2550Rとして、例えば、実施の形態1乃至実施の形態5に示す発光素子を適用することができる。
また、下部電極と上部電極との間で、マイクロキャビティ構造を採用し、特定波長における光強度を増加させてもよい。
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、発光素子2550Rと着色層2567Rに接する。
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。これにより、発光素子2550Rが発する光の一部は着色層2567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580Rの外部に射出される。
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2567BMが設けられる。遮光層2567BMは、着色層2567Rを囲むように設けられている。
着色層2567Rとしては、特定の波長帯域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトランジスタ2502tを覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を抑制できる。
また、発光素子2550Rは、絶縁層2521の上方に形成される。また、発光素子2550Rが有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に形成してもよい。
走査線駆動回路2503g(1)は、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FPC2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント配線基板(PWB:Printed Wiring Board)が取り付けられていても良い。
また、表示装置2501には、様々な構造のトランジスタを適用することができる。図11(A)においては、ボトムゲート型のトランジスタを適用する場合について、例示しているが、これに限定されず、例えば、図11(B)に示す、トップゲート型のトランジスタを表示装置2501に適用する構成としてもよい。
また、トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tの極性については、特に限定はなく、Nチャネル型およびPチャネル型のトランジスタを有する構造、Nチャネル型のトランジスタまたはPチャネル型のトランジスタのいずれか一方のみからなる構造を用いてもよい。また、トランジスタ2502t及び2503tに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定はない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることができる。また、半導体材料としては、13族の半導体(例えば、ガリウムを有する半導体)、14族の半導体(例えば、ケイ素を有する半導体)、化合物半導体(酸化物半導体を含む)、有機半導体等を用いることができる。トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3eV以上の酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができるため好ましい。当該酸化物半導体としては、In−Ga酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、またはネオジム(Nd)を表す)等が挙げられる。
<タッチセンサに関する説明>
次に、図11(C)を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。図11(C)は、図10(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591及び電極2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターン形成技術により、不要な部分を除去して、電極2591及び電極2592を形成することができる。
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接する電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591及び電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好適に用いることができる。
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられている。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は一対の電極2591を電気的に接続している。
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度より大きく90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
なお、絶縁層2593及び配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595を保護してもよい。
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる。
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
<タッチパネルに関する説明2>
次に、図12(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。図12(A)は、図10(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
図12(A)に示すタッチパネル2000は、図11(A)で説明した表示装置2501と、図11(C)で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
また、図12(A)に示すタッチパネル2000は、図11(A)及び図11(C)で説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2567pと、を有する。
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッチセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
反射防止層2567pは、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2567pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
次に、図12(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、図12(B)を用いて説明する。
図12(B)は、タッチパネル2001の断面図である。図12(B)に示すタッチパネル2001は、図12(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対するタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。また、図12(B)に示す発光素子2550Rは、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する。これにより、発光素子2550Rが発する光の一部は、着色層2567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580Rの外部に射出される。
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている。
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッチセンサ2595を貼り合わせる。
図12(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板の上面及び下面のいずれか一方または双方に射出されればよい。
<タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、図13を用いて説明を行う。
図13(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図13(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図13(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1−X6として、電流の変化を検知する電極2622をY1−Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また、図13(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路2601は、X1−X6の配線に順にパルスを印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1−Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1−Y6の配線では、被検知体の近接、または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
次に、図13(B)には、図13(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図13(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また、図13(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<センサ回路に関する説明>
また、図13(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパッシブマトリクス型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有するアクティブマトリクス型のタッチセンサとしてもよい。アクティブマトリクス型のタッチセンサに含まれるセンサ回路の一例を図14に示す。
図14に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2612と、トランジスタ2613とを有する。
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がトランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSSが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSSが与えられる。
次に、図14に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトランジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2としてトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することができる。
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613としては、酸化物半導体層をチャネル領域が形成される半導体層に用いることが好ましい。とくにトランジスタ2613にこのようなトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示モジュール及び電子機器について、図15及び図16を用いて説明を行う。
<表示モジュールに関する説明>
図15に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチセンサ8004、FPC8005に接続された表示装置8006、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリ8011を有する。
本発明の一態様の発光素子は、例えば、表示装置8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチセンサ8004及び表示装置8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチセンサ8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチセンサを表示装置8006に重畳して用いることができる。また、表示装置8006の対向基板(封止基板)に、タッチセンサ機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示装置8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチセンサとすることも可能である。
フレーム8009は、表示装置8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
<電子機器に関する説明>
図16(A)乃至図16(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有することができる。
図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチセンサ機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図16(A)乃至図16(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図16(A)は、携帯情報端末9100を示す斜視図である。携帯情報端末9100が有する表示部9001は、可撓性を有する。そのため、湾曲した筐体9000の湾曲面に沿って表示部9001を組み込むことが可能である。また、表示部9001はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部9001に表示されたアイコンに触れることで、アプリケーションを起動することができる。
図16(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を省略して図示しているが、図16(A)に示す携帯情報端末9100と同様の位置に設けることができる。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図16(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図16(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図16(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図16(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図16(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図16(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。ただし、本発明の一態様の発光素子は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。また、本実施の形態において述べた電子機器の表示部においては、可撓性を有し、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる構成、または折り畳み可能な表示部の構成について例示したが、これに限定されず、可撓性を有さず、平面部に表示を行う構成としてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用した照明装置の一例について、図17を用いて説明する。
図17は、発光素子を室内の照明装置8501として用いた例である。なお、発光素子は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8502を形成することもできる。本実施の形態で示す発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の壁面に大型の照明装置8503を備えても良い。また、照明装置8501、8502、8503に、タッチセンサを設けて、電源のオンまたはオフを行ってもよい。
また、発光素子をテーブルの表面側に用いることによりテーブルとしての機能を備えた照明装置8504とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光素子を用いることにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のように、発光素子を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、実施の形態2で説明した一般式(G1)で表されるベンゾ[a]アントラセン化合物の一つである、9−[4−(7−ベンゾ[a]アントラセン)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:7CzPaBA、構造式(100))の合成方法について詳しく説明する。
<7CzPaBAの合成>
7−ブロモベンゾ[a]アントラセン3.0g(9.7mmol)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニルボロン酸4.4g(15.4mmol)と炭酸ナトリウム1.1g(10.5mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン35.0mL、エタノール12.5mL、水9.7mLを加え、フラスコ内を減圧しながら攪拌して、この混合物を脱気した。脱気後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.1g(0.1mmol)を加え、この混合物を90℃にし、3.0時間撹拌した。撹拌後、この混合物を吸引ろ過し、ろ物とろ液に分けた。得られたろ物をトルエンに溶かして、フロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し固体を得た。得られた固体をトルエンで洗浄し、目的物を1.8g、収率39%で得た。本反応スキームを以下に示す。
得られた固体1.8gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力3.2Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minでながしながら、240℃で固体を加熱した。昇華精製後、目的の固体を1.7g、回収率94%で得た。
核磁気共鳴法(1H NMR)によって、この化合物が目的物である7CzPaBAであることを確認した。得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。また、得られた物質の1H NMRチャートを図18(A)(B)に示す。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.36(ddd、J=7.7、7.7、0.9Hz、2H)、7.49−7.88(m、16H)、8.20−8.24(m、3H)、8.94(d、J=7.8Hz、1H)、9.33(s、1H)。
<7CzPaBAの特性>
得られた7CzPaBAの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速200mL/min)の条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、5%重量減少温度は369℃であり、良好な耐熱性を示した。
次に、トルエン溶液中の7CzPaBAの吸収スペクトル及び発光スペクトルを図19(A)(B)、薄膜状態での7CzPaBAの吸収スペクトル及び発光スペクトルを図20(A)(B)に示す。
吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。トルエン溶液中の7CzPaBAの吸収スペクトルは、7CzPaBAのトルエン溶液を石英セルに入れて測定し、この吸収スペクトルから、石英セルを用いて測定したトルエンの吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、7CzPaBAを石英基板に蒸着してサンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。発光スペクトルの測定にはPL−EL測定装置(浜松ホトニクス社製)を用いた。トルエン溶液中における7CzPaBAの発光スペクトルは、7CzPaBAのトルエン溶液を石英セルに入れて測定した。また、薄膜の発光スペクトルは、7CzPaBAを石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定した。なお、吸収スペクトル及び発光スペクトルを測定した薄膜は、石英基板上に真空蒸着法により成膜することで作製した。また、膜厚は50nmとした。
これにより、7CzPaBAのトルエン溶液中における極大吸収波長は、392nm付近、370nm付近、355nm付近、341nm付近にあり、極大発光波長は396nm付近及び418nm付近(励起波長342nm)にあることがわかった。また、薄膜における極大吸収波長は395nm付近、376nm付近、360nm付近、345nm付近、331nm付近、301nm付近にあり、最大発光波長は429nm付近(励起波長378nm)にあることがわかった。
また、薄膜の7CzPaBAのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電子分光装置(理研計器社製、AC−3)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算した結果、7CzPaBAのHOMO準位は−6.02eVであった。図20(A)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロットから求めた7CzPaBAの吸収端は2.98eVであった。従って、7CzPaBAの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.98eVと見積もられ、先に得たHOMO準位と、このエネルギーギャップの値から、7CzPaBAの最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital、LUMOともいう)準位は−3.04eVと見積もることができた。このように、7CzPaBAは固体状態において2.98eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
本実施例では、本発明の一態様の、発光成分のうちTTAによる遅延蛍光成分の占める割合が高い発光素子の詳細について、図21乃至図24を用いて説明する。
本実施例では、図1(A)に示す発光素子150に相当する発光素子(発光素子1、発光素子2)、及び比較発光素子(比較発光素子1、および比較発光素子2)を作製し、該発光素子の蛍光寿命及び発光素子特性を測定した。
また、使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
<発光素子の作製>
≪発光素子1の作製≫
基板上に電極101として、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)膜を、厚さ110nmになるように形成した。なお、電極101の電極面積としては、4mm2(2mm×2mm)とした。
次に、電極101上にEL層100を形成した。正孔注入層111としては、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)と酸化モリブデン(MoO3)を重量比(PCPPn:MoO3)が1:0.5、厚さが60nmになるように共蒸着した。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。また、正孔輸送層112としては、PCPPnを厚さが30nmになるように蒸着した。
次に、発光層130としては、9−[4−(7−ベンゾ[a]アントラセン)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:7CzPaBA)を厚さが25nmになるように形成した。
また、発光層130上に、電子輸送層118として、2,2’−(ピリジン−2,6−ジイル)ビス(4,6−ジフェニルピリミジン)(略称:2,6(P2Pm)2Py)を厚さが25nmになるよう蒸着した。次に、電子注入層119として、フッ化リチウム(LiF)を厚さが1nmになるように蒸着した。
また、電極102としては、アルミニウム(Al)を厚さが200nmになるように形成した。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、有機EL用封止材を用いて封止基板を、EL層100を形成した基板に固定することで、発光素子1を封止した。具体的には、基板に形成したEL層100の周囲に封止材を塗布し、該基板と封止基板とを張り合わせ、365nmの紫外光を6J/cm2照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子1を得た。
≪発光素子2、比較発光素子1、及び比較発光素子2の作製≫
発光素子2、比較発光素子1、及び比較発光素子2は、先に示す発光素子1の作製と、発光層130の形成工程のみ異なり、それ以外の工程は、発光素子1と同様の作製方法とした。
発光素子2の発光層130としては、7CzPaBAおよびN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)を重量比(7CzPaBA:1,6mMemFLPAPrn)が1:0.03、厚さが25nmになるように共蒸着した。なお、発光層130において、7CzPaBAがホスト材料であり、1,6mMemFLPAPrnがゲスト材料(蛍光材料)である。
比較発光素子1の発光層130としては、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)を厚さが25nmになるように形成した。
比較発光素子2の発光層130としては、cgDBCzPAおよび1,6mMemFLPAPrnを重量比(cgDBCzPA:1,6mMemFLPAPrn)が1:0.03、厚さが25nmになるように共蒸着した。なお、発光層130において、cgDBCzPAがホスト材料であり、1,6mMemFLPAPrnがゲスト材料(蛍光材料)である。
作製した発光素子(発光素子1、発光素子2、比較発光素子1、及び比較発光素子2)の素子構成の詳細を表2に示す。
<蛍光寿命の測定>
作製した発光素子1、発光素子2、比較発光素子1、及び比較発光素子2について、蛍光寿命を測定した。なお、発光素子1では7CzPaBAが呈する青色発光を、比較発光素子1はcgDBCzPAが呈する青色発光を、発光素子2および比較発光素子2では蛍光材料である1,6mMemFLPAPrnが呈する青色発光を、観測した。測定には、ピコ秒蛍光寿命測定システム(浜松ホトニクス社製)を用いた。本測定では、発光素子における蛍光発光の寿命を測定するため、発光素子に矩形パルス電圧を印加し、その電圧の立下りから減衰していく発光をストリークカメラにより時間分解測定した。パルス電圧は10Hzの周期で印加し、繰り返し測定したデータを積算することにより、S/N比の高いデータを得た。また、測定は室温(300K)で、印加パルス電圧を5.0V(発光素子1および発光素子2の場合)、または3.5V(比較発光素子1および比較発光素子2の場合)とし、発光素子に流れる電流が、いずれの発光素子でも同様になるように、それぞれの発光素子で印加パルス電圧を調整した。また、印加パルス時間幅を100μsec、負バイアス電圧を−5Vとし、測定時間範囲は50μsの条件で行った。発光素子の蛍光寿命を測定した結果を図21(A)(B)に示す。なお、図21(A)(B)において、縦軸は、定常的にキャリアが注入されている状態(パルス電圧のON時)における発光強度で規格化した強度で示す。また、横軸は、パルス電圧の立下りからの経過時間を示す。
図21(A)(B)に示す減衰曲線について、指数関数によるフィッティングを行った。その結果、発光素子1および発光素子2の蛍光寿命τはそれぞれ2.1μs、2.2μs、比較発光素子1および比較発光素子2の蛍光寿命τはそれぞれ3.2μs、3.1μsと見積もることができた。通常、蛍光発光の寿命は数nsであることから、発光素子1、発光素子2、比較発光素子1、及び比較発光素子2、はいずれも遅延蛍光成分を含む蛍光発光が観測されているといえる。
なお、図21(A)(B)で示した蛍光測定において、遅延蛍光が生じる要因として、三重項−三重項消滅(TTA)による一重項励起子生成以外に、パルス電圧OFF時に発光素子の内部にキャリアが残存している場合に、この残存キャリアの再結合による一重項励起子生成に起因する遅延蛍光が生じる可能性もある。しかし、本測定は、測定時の条件で負バイアス電圧(−5V)を印加しているため、該残存キャリアの再結合が抑制されている条件下での測定である。したがって、図21(A)(B)の測定結果に示される遅延蛍光成分は、三重項−三重項消滅(TTA)に由来した発光によるものであるといえる。
次に、全発光成分に対する遅延蛍光成分の占める割合を算出した。各発光素子の遅延蛍光成分が占める割合を表3に示す。
その結果、発光素子1は、遅延蛍光成分の割合が25%であり、比較発光素子1に比べて遅延蛍光の割合が高いという結果が得られた。従って、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する7CzPaBAを発光層に用いた発光素子1の方が、アントラセン骨格を有するcgDBCzPAを発光層に用いた比較発光素子1よりもTTAをより多く発生していると言える。
また、発光素子2は、遅延蛍光成分の割合が20%であり、比較発光素子2に比べて遅延蛍光の割合が高いという結果が得られた。したがって、ゲスト材料(蛍光ドーパント)である1,6mMemFLPAPrnからの発光を観測する場合においても、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する7CzPaBAをホスト材料として用いた発光素子2の方が、アントラセン骨格を有するcgDBCzPAをホスト材料に用いた比較発光素子2よりもTTAをより多く発生していると言える。
<発光素子の発光特性>
次に、作製した発光素子1、発光素子2、比較発光素子1、及び比較発光素子2の発光特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
ここで、1000cd/m2付近における発光素子の発光特性を以下の表4に示す。また、発光素子の電流効率−輝度特性を図22に、外部量子効率−輝度特性を図23に、輝度−電圧特性を図24に、それぞれ示す。
なお、発光素子1の発光スペクトルピークは435nm、比較発光素子1の発光スペクトルピークは440nmであり、発光素子1では7CzPaBAが呈する青色発光を、比較発光素子1はcgDBCzPAが呈する青色発光を観測した。また、発光素子2の発光スペクトルピークは466nm、比較発光素子2の発光スペクトルピークは464nmであり、発光素子2および比較発光素子2では蛍光材料である1,6mMemFLPAPrnが呈する青色発光を観測した。すなわち、いずれの発光素子からの発光も、400nm以上550nm以下の波長帯域に発光スペクトルピークを有する青色の発光を呈している。また、発光素子2および比較発光素子2において、蛍光材料が呈する発光のみを観測したことから、TTAによって生成した一重項励起エネルギーは、ホスト材料から蛍光材料へエネルギー移動しているといえる。
また、図22、図23、及び表4の結果より、発光素子1は比較発光素子1より高い効率であり、発光素子2は比較発光素子2より高い効率であることが分かる。これは、発光素子の発光層に、7CzPaBAを用いた発光素子1及び発光素子2の方が、cgDBCzPAを用いた比較発光素子1及び比較発光素子2よりも、高い発光効率が得られた結果である。すなわち、TTAによる遅延蛍光成分の割合が20%以上であるベンゾ[a]アントラセン骨格を有する7CzPaBAを発光層に用いることで、高い発光効率を示す青色発光素子を作製することができた。
以上のような構成によって、発光成分のうちTTAによる遅延蛍光成分の占める割合が20%以上であり、且つ、青色に発光スペクトルピークを有する発光素子を作製することができる。また、発光成分のうちTTAによる遅延蛍光成分の占める割合が20%以上であり、且つ、400nm以上550nm以下の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する発光素子を作製することができる。
<一重項励起エネルギーおよび三重項励起エネルギー準位の測定>
なお、図21(A)(B)で示した蛍光測定において、遅延蛍光が生じる要因として、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差が生じて熱活性化遅延蛍光を呈している可能性もある。該逆項間交差が効率よく生じるためには、S1準位とT1準位とのエネルギー差が0.2eV以下であることが好ましい。したがって、図21(A)(B)で示した遅延蛍光がTTAに起因するものであることを確認するため、上記で作製した発光素子の発光層に用いた材料について、そのS1準位およびT1準位の測定を行った。
S1準位およびT1準位の測定は、7CzPaBA、cgDBCzPA、及び1,6mMemFLPAPrnについて、行った。なお、本発明の一態様の発光素子は、蛍光発光素子である。蛍光性の有機材料は項間交差が起こりにくく、T1準位からの発光が微弱であるため、T1準位の測定が困難な場合がある。そこで、量子化学計算によるT1準位の算出も行った。
まず、S1準位を見積もるため、石英基板上に薄膜(約50nm)を真空蒸着法により成膜し薄膜サンプルとし、吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。測定したサンプルのスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いた。薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロットを作成し、そこからS1準位を見積もった。
次に、T1準位を見積もるため、燐光発光測定を行った。本発明の一態様である発光素子に用いる物質は蛍光量子収率が非常に高く、材料単体を用いた薄膜サンプルでは、低温PL測定法で燐光を直接観測することは非常に困難であった。そのため、以下で説明する三重項増感剤を用いた手法により燐光発光測定を行い、T1準位を見積もった。
T1準位を測定する材料に、三重項増感剤としてトリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)を添加した共蒸着膜を作製し、該共蒸着を低温PL測定法により測定し、測定された燐光発光スペクトルからT1準位を見積もった。測定には、顕微PL装置 LabRAM HR−PL ((株)堀場製作所)を用い、測定温度は10K、励起光としてHe−Cdレーザー(325nm)を用い、検出器にはCCD検出器を用いた。Ir(ppy)3を共蒸着させることにより、測定したい蛍光材料の項間交差の確率を高め、共蒸着をしない場合は困難である、蛍光材料からの燐光発光の測定が可能となる。
なお、薄膜は石英基板上に厚さ50nmで成膜し、その石英基板に対し、窒素雰囲気中で、蒸着面側から別の石英基板を貼り付けた後、測定に用いた。
次に、上記方法で測定したT1準位を確認するため、量子化学計算によるT1準位の算出を行った。
計算方法に関しては以下の通りである。なお、量子化学計算プログラムとしては、Gaussian09を使用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(SGI社製、ICE X)を用いて行った。
最低励起三重項状態および一重項基底状態における最安定構造を密度汎関数法(DFT)で計算した。基底関数として、6−311G(d,p)を用いた。また、汎関数はB3LYPを用いた。そして、一重項基底状態と最低励起三重項状態における最安定構造のエネルギー差から、T1準位のエネルギーを計算した。
以上のように見積もった、S1準位の測定結果(実測)、及びT1準位の測定結果(実測)と計算結果を、表5に示す。
以上の結果から、上記の手法により測定されたT1準位の値と、量子化学計算による算出されたT1準位の値と、の差が小さいことがわかる。従って、本実施例により得られたT1準位の値は、十分に信頼性の有するものであるといえる。
また、表5より、ベンゾ[a]アントラセン骨格を有する7CzPaBAのS1準位は、青色発光を呈する蛍光材料である1,6mMemFLPAPrnのホスト材料131として用いるのに十分に高いエネルギー準位であることが分かる。
また、表5より、7CzPaBAおよびcgDBCzPAのS1準位とT1準位のエネルギー差は、0.5eV以上であることが分かる。遅延蛍光が生じる要因として、三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差に由来する熱活性化遅延蛍光である場合、該逆項間交差が効率よく生じるためには、S1準位とT1準位とのエネルギー差が0.2eV以下であることが好ましい。したがって、本実施例で作製した発光素子の発光層に用いた材料においては、その遅延蛍光成分は熱活性化遅延蛍光に由来するものであるとは言えず、TTAに由来するものであると言える。
また、7CzPaBAの薄膜の蛍光発光のスペクトルピークは429nm(2.89eV)、cgDBCzPAの薄膜の蛍光発光のスペクトルピークは442nm(2.81eV)であった。したがって、7CzPaBAおよびcgDBCzPAの蛍光発光スペクトルのピーク波長と、燐光発光スペクトルのピーク波長と、のエネルギー換算値差は0.5eV以上であった。このことからも、本実施例で作製した発光素子の発光層に用いた材料においては、その遅延蛍光成分は熱活性化遅延蛍光に由来するものではなく、TTAに由来するものであると言える。なお、蛍光発光スペクトルの測定にはPL−EL測定装置(浜松ホトニクス社製)を用いた。
以上のように、TTAによる遅延蛍光成分の占める割合が20%以上であり、発光効率が高く、青色に発光スペクトルピークを有する発光素子を作製することができる。