以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
本発明は、その被膜が火災等の温度上昇(加熱)により炭化断熱層を形成する被覆材であり、前記被覆材は、被膜形成成分(A)として、ポリオール成分(a1)及びポリイソシアネート成分(a2)を必須成分として含む。上記ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)は、反応して被膜を形成する成分である。
上記被膜形成成分(A)の硬化被膜は、熱重量測定法(TG法)において重量減少を示すものである。ここで、重量減少とは、150℃から800℃に昇温した際に、重量が減少すること(800℃における重量が、150℃における重量よりも小さいこと)をいう。本発明の被膜形成成分(A)の硬化被膜は、熱重量測定法における10%熱重量減少温度(10重量%重量減少時の温度)が300℃未満(好ましくは200〜295℃、さらに好ましくは205〜290℃)であることを特徴とする。このような場合、火災等による温度上昇に際し、発泡性が向上し、優れた炭化断熱層を形成することが可能であり、基材の耐熱保護性能を高めることができる。なお、本発明において「α〜β」は「α以上β以下」と同義である。
その作用機構は、限定されるものではないが、例えば、被膜形成成分(A)の硬化被膜は、熱重量減少開始温度付近から軟化し始め、その後、温度上昇に伴いウレタン結合等の分解反応が進行するものである。被膜形成成分(A)の硬化被膜の熱重量測定法における10%熱重量減少温度が上記温度範囲内である場合、分解があまり進行せずに被膜が適度に軟化した状態で、効率的に発泡、炭化反応が進行することができるため、発泡性が向上し、さらには炭化断熱層を安定して形成することができると考えられる。
また、本発明の被膜形成成分(A)の硬化被膜は、25%熱重量減少温度(25重量%重量減少時の温度)が、好ましくは230〜350℃(さらに好ましくは235〜345℃)、50%熱重量減少温度(50重量%重量減少時の温度)が、好ましくは250〜400℃(さらに好ましくは255〜380℃)であり、さらには、25%熱重量減少温度と、50%熱重量減少温度との差が好ましくは10℃以上(より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上)である。これにより、火災等による温度上昇に際し、発泡性が向上するとともに、優れた炭化断熱層を安定して形成、さらには形成した炭化断熱層の脱落等を抑制することが可能であり、基材の耐熱保護性能をいっそう高めることができる。また、25%熱重量減少温度、50%熱重量減少温度がそれぞれ上記下限値以上であることにより、十分な難燃性を発揮し、かつ優れた発泡性を有するとともに、安定して炭化層を形成することができる。また、25%熱重量減少温度、50%熱重量減少温度がそれぞれ上記上限値以下であることにより、十分な発泡性を確保することができる。
その作用機構は、限定されるものではないが、例えば、上記25%熱重量減少温度、または50%熱重量減少温度とは、被膜形成成分(A)に由来するウレタン結合等の分解反応がそれぞれ約25%または約50%(半分)進行した温度であり、この温度が上記範囲である場合、効率的に発泡、炭化することができる。このため、優れた発泡性を示し、さらには炭化断熱層を安定して形成することができると考えられる。
さらに、本発明の被膜形成成分(A)の硬化被膜は、示差熱分析法(DTA法)において発熱ピークを有するものである。具体的に、本発明の被膜形成成分(A)は、好ましくは150〜800℃(より好ましくは180〜600℃)の温度範囲に発熱ピークを有するものである。また、その発熱ピークの極大値が好ましくは200〜400℃(より好ましくは250〜380℃)の温度範囲のものである。
なお、本発明において、被膜形成成分(A)の硬化被膜の熱重量測定法、及び示差熱分析法は、上記ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)を含む硬化被膜を試料として測定したものである。熱重量測定法、及び示差熱分析法は、示差熱分析装置(例えば、「示差熱天秤 Thermo
plus EVO2 TG−DTAシリーズ」Rigaku社製、等)を用いて測定したものであり、白金のサンプルパンに試料を3±1mg取り、標準物質としてα−アルミナを使用し、昇温速度20℃/分で、100〜900℃まで変化させて測定したものである。
本発明では、被膜形成成分(A)が、イソシアヌレート環を有することが好ましい。これにより、火災等による温度上昇に際し、安定した炭化断熱層を形成することが可能であり、特に高温時における基材との密着性に優れ、炭化断熱層の脱落等を抑制することができる。
その作用機構は、限定されるものではないが、被膜形成成分(A)がイソシアヌレート環を有することにより、硬化被膜の50%重量減少温度を高温側にシフトさせる作用を有する。すなわち、被膜形成成分(A)の硬化被膜の難燃性を高め、分解を抑制することができる。さらに、イソシアヌレート環を有する場合であっても、硬化被膜の軟化は阻害されにくいため、被膜を効率的に発泡させ、安定した炭化断熱層を形成することができ、さらには形成した炭化断熱層の脱落等を抑制することができると考えられる。
本発明において、被膜形成成分(A)がイソシアヌレート環を有するには、ポリオール成分(a1)、ポリイソシアネート成分(a2)の少なくとも一方に、イソシアヌレート環を有する化合物を含む態様、あるいは、被膜形成成分(A)として、さらにイソシアヌレート環を有する化合物(a3)を含む(ただし、ポリオール成分(a1)、ポリイソシアネート成分(a2)は除く。)態様等が挙げられる。本発明では、特にポリオール成分(a1)として、イソシアヌレート環を有する化合物を含む態様が好ましい。これにより、本発明の効果を十分に得ることができる。
以下、具体的に本発明の被膜形成成分(A)の構成について説明する。
被膜形成成分(A)は、ポリオール成分(a1)及びポリイソシアネート成分(a2)を含むものである。
本発明のポリオール成分(a1)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシ含有ポリオール、シリコーン含有ポリオール、フッ素含有ポリオール、ひまし油、ひまし油変性ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール等が挙げられ、これから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、ポリオール成分(a1)として、ポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。ポリエーテルポリオールの分子量は、好ましくは1000以上(より好ましくは3000以上20000以下、さらに好ましくは5000以上18000以下、特に好ましくは6000以上15000以下、最も好ましくは6500以上12000以下)である。このようなポリオール成分を含むことにより、熱重量測定法における10%熱重量減少温度が上記範囲を十分に満たすことができ、優れた発泡性を有し、安定した炭化断熱層を形成することが可能であり、基材の耐熱保護性能をいっそう高めることができる。なお、本発明においてポリオール成分(a1)の分子量は、数平均分子量(Mn)であり、ポリスチレン重合体をリファレンスとして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めた、いわゆるポリスチレン換算分子量である。
上記ポリエーテルポリオールは、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール誘導体、ソルビトール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加重合により得られるものである。本発明では、上記多価アルコール類と、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドとの付加重合により得られる重合体が好適であり、末端にエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドが付加されたものがより好適である。さらに、上記のポリエーテルポリオールとして、活性水素原子を有する官能基が3つ以上(官能基数3以上)のポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。この場合、硬化性に優れ、安定して被膜を形成することができるため本発明の効果が得られやすい。活性水素原子を有する官能基としては水酸基が好適である。
このようなポリエーテルポリオールとしては、水酸基価が好ましくは3〜150mgKOH/g(より好ましくは5〜100mgKOH/g、さらに好ましくは7〜40mgKOH/g、最も好ましくは10〜30mgKOH/g)である。このようなポリオール成分を使用することにより、優れた発泡性を示し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
また、上記ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール成分(a1)全量に対して、50重量%以上(より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上)であることが好ましい。
また、本発明では、ポリオール成分(a1)として、フッ素含有ポリオールを含むことが好ましい。これにより、火災等による温度上昇に際し、優れた発泡性を発揮するとともに安定して炭化断熱層を形成することが可能であり、炭化断熱層の脱落等を抑制することができる。
このようなフッ素含有ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、フルオロオレフィンモノマー、フルオロアルキル基含有アクリル系モノマー等の含フッ素モノマーと、水酸基含有ビニル系モノマーと、必要に応じて他の重合性モノマーとを共重合することにより得られるものである。フルオロオレフィンモノマーしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、等のパーフルオロオレフィン類、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等が挙げられる。フルオロアルキル基含有アクリル系モノマーとしては、例えば、パーフルオロメチルメタクリレート、パーフルオロイソノニルメチルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。本発明では、好ましくはテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンから選ばれる1種以上、より好ましくはクロロトリフルオロエチレンを使用することが好ましい。
水酸基含有ビニル系単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアリルエーテル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
その他の重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー等が挙げられ、必要に応じこれらの1種または2種以上が使用できる。
このようなフッ素含有ポリオールとしては、フッ素含有量が、15重量%〜50重量%(より好ましくは20〜40重量%)であることが好ましい。また、水酸基価が、5〜100mgKOH/g(より好ましくは10〜80mgKOH/g)であることが好ましい。さらに、分子量[数平均分子量(Mn)]が、5000〜100000(より好ましくは8000〜60000)であることが好ましい。このようなフッ素含有ポリオールを含むことにより、火災等による温度上昇の際には、被膜が優れた発泡性を発揮し炭化断熱層を形成し、高温雰囲気下でも灰化・収縮を抑制することができ、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
フッ素含有ポリオールの含有量は、被膜形成成分(A)の硬化被膜において、熱重量測定法における10%熱重量減少温度の範囲を満たす範囲であればよく、ポリオール成分(a1)の全量に対して、固形分換算で好ましくは0.1〜30重量%(より好ましくは1〜10重量%)である。この範囲を満たすことにより、本発明の効果を十分に発揮することができる。
さらに、本発明では、ポリオール成分(a1)としてイソシアヌレート環を有するポリオール化合物(a1’)含むことが好ましい。イソシアヌレート環を有するポリオール化合物(a1’)としては、イソシアヌレート環(式1)と2以上の水酸基を有する化合物が挙げられ、
(式1)
例えば、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシアルキル)エステル等が使用できる。イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシアルキル)エステルとしては、例えば、イソシアヌル酸トリス(2ヒドロキシエチル)、イソシアヌル酸トリス(2ヒドロキシプロピル)、イソシアヌル酸トリス(2ヒドロキシブチル)、イソシアヌル酸トリス(2,3ジヒドロキシプロピル)等のイソシアヌレート環と水酸基を有するアルキルエステルが挙げられる。
また、イソシアヌレート環を有するポリオール化合物(a1’)としては、例えば、イソシアヌレート環を有するアクリルポリオール等も使用できる。このような化合物としては、例えば、アクリルポリオール製造時に、ビニル基、アクリロイル基、チオール基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、及びグリシジル基等から選ばれる反応性官能基を有するイソシアヌル酸誘導体を反応させることにより得ることができる。ここでの反応は、例えば、重合性不飽和二重結合とビニル基、アクリロイル基、またはチオール基、アルコキシシリル基どうし、グリシジル基とカルボキシル基、アミノ基とグリシジル基等の組み合わせを用いればよい。
イソシアヌレート環を有するポリオール化合物(a1’)は、ポリオール成分(a1)中に、好ましくは0.01〜20重量%(より好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%)である。これにより、火災等による温度上昇に際し、安定した炭化断熱層を形成することが可能であり、特に高温時における基材との密着性に優れ、炭化断熱層の脱落等を抑制することができる。
本発明のポリイソシアネート成分(a2)としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等、あるいはこれらをアロファネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化した誘導体;及び、これらをアルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等でブロックした、ブロックイソシアネート等が挙げられ、これから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、ポリイソシアネート成分(a2)として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)及び/またはその誘導体(以下「HMDI類」ともいう。)を含むことが好ましい。上記HMDI類の含有量は、ポリイソシアネート成分(a2)の全量に対して、90重量%以上(より好ましくは95重量%以上)であることが好ましい。また、ポリイソシアネート成分(a2)が、HMDI類のみからなる態様も好適である。
本発明では、ポリイソシアネート成分(a2)の好ましい誘導体として、ビウレット構造を有する化合物(以下、単に「ビウレット体」ともいう。)、及び/またはイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物(以下、単に「イソシアヌレート体」ともいう。)が挙げられる。ビウレット体を含む場合、形成被膜の硬化性に優れ、火災等による温度上昇に際し、より優れた発泡性を発揮し、基材の耐熱保護性を高めることができる。また、イソシアヌレート体を含む場合、火災等による温度上昇に際し、安定した炭化断熱層を形成することが可能であり、特に基材との密着性に優れ、炭化断熱層の脱落等を抑制することができる。これらは併用することもできる。
ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)の混合は、ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)のNCO/OH当量比で好ましくは0.6〜3.5(より好ましくは1.0〜2.5、さらに好ましくは1.1〜1.9)となるような比率で行う。このような場合、硬化性に優れ、所望の厚さで均一な被膜が形成可能であり、発泡性をよりいっそう高め、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
本発明では、被膜形成成分(A)として、上記ポリオール成分(a1)と上記ポリイソシアネート成分(a2)に加えて、イソシアヌレート環を有する化合物(a3)を含むこともできる。イソシアヌレート環を有する化合物(a3)は、上記ポリオール成分(a1)、及び/またはポリイソシアネート成分(a2)と反応して被膜を形成するもが好ましく、例えば、アルコキシシリル基、カルボキシル基、グリシジル基等の反応性官能基を少なくとも1種以上有するイソシアヌル酸誘導体が挙げられる。この場合、上記ポリオール成分(a1)、及び/または上記ポリイソシアネート成分(a2)として、アルコキシシリル基、グリシジル基、カルボキシル基、アミノ基等を有するものを用いればよい。
上記イソシアヌレート環を有する化合物(a3)の配合量は、上記ポリオール成分(a1)と上記ポリイソシアネート成分(a2)の固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部(より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部)である。このような場合、本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明では、ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)の反応を促進する硬化触媒を併用することができる。硬化触媒とはイソシアネート基が反応して硬化するのを促進させる作用を有する物質である。硬化触媒としては、アミン系触媒、有機金属系触媒、及び無機系触媒等各種が挙げられる。例えば、アミン系触媒としては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及び、ヘキサメチレンジアミンもしくはこれらの誘導体または溶剤との混合物等が挙げられる。有機金属系触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等の有機金属化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸アルミニウム、オクチル酸錫等の有機金属塩等が挙げられる。無機系触媒としては、塩化スズ等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用でき、溶剤と混合して使用することもできる。本発明では、特に、有機金属系触媒を含むことが好適である。この場合、硬化を促進するとともに、被膜形成成分(A)の硬化性を高めることができ、本発明の効果を高めることができる。
さらに本発明の被覆材には、例えば、発泡剤(B)、炭化剤(C)、難燃剤(D)、及び充填材(E)等を含むことができる。
発泡剤(B)としては、例えば、メラミン及びその誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アゾビステトラゾーム及びその誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。発泡剤(B)の含有量は、上記被膜形成成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部(より好ましくは20〜150重量部)である。なお、本発明の発泡剤(B)は、火災時等の温度上昇によって被膜に発泡作用を付与するものであり、具体的には、被膜表面の温度が好ましくは200℃以上となった場合に発泡作用を付与するものである。
炭化剤(C)としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、デンプン、カゼイン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、特にペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが脱水冷却効果と炭化断熱層形成作用に優れている点で好ましい。炭化剤(C)の含有量は、上記被膜形成成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部(より好ましくは20〜120重量部)である。なお、本発明の炭化剤(C)は、火災時等の温度上昇によって、上記被膜形成成分(A)の炭化とともに脱水炭化することにより、炭化断熱層を形成する作用を付与するものである。
難燃剤(D)としては、例えば、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート等の有機リン系化合物;塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、塩素化パラフィン、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;三酸化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物;三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、リン酸ホウ素、ポリリン酸ホウ素、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム等のリン化合物;その他ホウ酸亜鉛、ホウ酸ソーダ等の無機質化合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、難燃剤(D)として、リン化合物を含むことが好ましい。難燃剤(D)の含有量は、上記被膜形成成分(A)固形分100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部(より好ましくは200〜800重量部)である。
充填剤(E)としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、粘土、クレー、シラス、マイカ、珪砂、珪石粉、石英粉、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。充填剤(E)の含有量は、上記被膜形成成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは3〜200重量部(より好ましくは5〜150重量部)である。
さらに、本発明では、上記成分に加えて金属水和物(F)、繊維(G)を含むこともできる。金属水和物(F)は、温度上昇時に、脱水反応等による吸熱性を示すものであり、上記充填剤(E)とは異なるものである。このような金属水和物(F)としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、金属水和物(F)の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μm(より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.3〜8μm、最も好ましくは0.4〜3μm)である。金属水和物(F)の含有量は、上記被膜形成成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部(より好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは8〜80重量部)である。
本発明では、充填剤(E)と金属水和物(F)を併用することが好ましく、この場合、充填剤(E)と金属水和物(F)は重量比1:9〜9:1(より好ましくは2:8〜8:2)とすることが好ましい。この場合、発泡性、特に高温下における炭化断熱層の収縮等を抑制し、安定した炭化断熱層を形成することができるため、本発明の効果を高めることができる。なお、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される。
繊維(G)は、厚塗り性を高め、被膜のひび割れを抑制することができる。また、繊維(G)は、火災等による温度上昇の際には、被膜のタレ等を生じ難くすることができるとともに、被膜内部の熱伝導性を高めることができる。その結果、優れた発泡性を示し、均一な炭化断熱層を形成して、基材の耐熱保護性能を高めることができる。このような繊維(G)としては、例えば、アクリル繊維、アセテート繊維、アラミド繊維、銅アンモニア繊維(キュプラ)、ナイロン繊維、ノボロイド繊維、パルプ繊維、ビスコースレーヨン、ビニリデン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリクラール繊維、ボリノジック繊維、ポリプロピレン繊維、セルロース繊維等の有機質繊維、炭素繊維、ロックウール繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ−アルミナ繊維、スラグウール繊維、セラミックファイバー、カーボン繊維、炭化珪素繊維等の無機繊維等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
本発明では、繊維(G)として、無機繊維を含むことが好適であり、中でも、ロックウール繊維、スラグウール繊維、ガラス繊維セラミックファイバー等の人造鉱物繊維が好適である。これにより、被膜のひび割れをよりいっそう抑制することができとともに、火災等による温度上昇の際には、被膜のタレ等を生じ難くすることができるとともに、被膜内部の熱伝導性をいっそう高めることができる。その結果、被膜内部(芯部)まで均一に優れた発泡性を示し、より均一な炭化断熱層を形成し、基材の耐熱保護性能をよりいっそう高めることができる。
また、繊維(G)の大きさ(繊維長及び繊維径)は、被覆材の性能、適用基材、塗付具等の仕様に応じて設定すればよく、平均繊維長は、好ましくは10〜1000μm(より好ましくは15〜800μm、さらに好ましくは20〜600μm)、平均繊維径は、好ましくは0.5〜10μm(より好ましくは1〜8μm)の範囲内であることが好適である。また、そのアスペクト比(繊維長/繊維径)は、好ましくは3〜300(より好ましくは5〜200)である。上記範囲を満たす場合、厚塗り性が高まり、形成被膜の割れが生じ難くなるとともに、火災等による温度上昇の際には、被膜のタレ等を生じ難くすることができ、安定した炭化断熱層を形成することができる。繊維(G)の含有量は、上記被膜形成成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部(より好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部)である。
本発明の被覆材は、さらに高沸点化合物(H)を含むことが好ましい。高沸点化合物(H)は、20℃において液体であり、沸点が100℃以上(より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上)の高沸点液状化合物である。このような高沸点化合物(H)を含むことにより、上記(B)成分〜上記(G)成分等の粉体成分の分散安定性等を高めることができる。また、ポリイソシアネート成分との混合、反応により、密着性にすぐれた良好な被膜を形成、特に被膜の弾性が向上し被膜の割れ等を防止することができる。さらに、その被膜が火災等によって高温に曝された場合には、被膜の適度な軟化に寄与し発泡性をよりいっそう高め、形成した炭化断熱層の脱落(剥離)等を抑制し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
高沸点化合物(H)としては、上記を満たすものであれば特に限定されず、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル化合物;アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(ブチルジグリコール)、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル化合物;アジピン酸−1,3ブチレングリコール系ポリエステル、アジピン酸−1,2プロピレングリコール系ポリエステル等のアジピン酸系ポリエステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジイソノニル、マレイン酸ジイソデシル等のマレイン酸エステル化合物;リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸−2エチルヘキシルジフェニル等のリン酸エステル化合物;
トリス−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメット酸エステル化合物;メチルアセチルリジノレート等のリシノール酸エステル化合物;エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリル、エポキシ化脂肪酸ブチル、エポキシ化脂肪酸2-エチルヘキシル、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ系エステル化合物;安息香酸グリコールエステル等の安息香酸系エステル化合物;1−フェニル−1−キシリルエタン、1−フェニル−1−エチルフェニルエタン等の芳香族炭化水素化合物、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、石油樹脂(炭素原子数が8〜10である芳香族炭化水素留分重合物)とスチリルキシレン等の混合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
本発明では、高沸点化合物(H)として、フタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、さらには、アルキル基の炭素数が4〜11(より好ましくは5〜10、さらに好ましくは6〜9)のフタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。その具体例としては、例えば、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソノニル、等が好適である。
高沸点化合物(H)の含有量は、上記被膜形成成分(A)の固形分100重量部に対して、好ましくは5〜150重量部(より好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部)である。上記範囲を満たす場合、上記粉体成分の分散性が高まり、厚塗り性に優れ、火災等による温度上昇の際には、優れた発泡性を有し、基材の耐熱保護性能を維持する効果を十分に発揮することができる。
その他、添加剤としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく、例えば、顔料、湿潤剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、希釈溶媒等が挙げられる。
このうち酸化防止剤としては、例えば、リン系、硫黄系又はヒンダード型フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このような酸化防止剤を含むことにより、平常時だけでなく、火災等による温度上昇に際しても被膜の劣化を抑制することができ、温度上昇によって形成される炭化断熱層の性状を高めることができる。
本発明の被覆材は、上記ポリオール成分(a1)を含む主剤、及び上記ポリイソシアネート成分(a2)を含む硬化剤を有する2液型の被覆材であることが好ましい。すなわち、流通時には主剤と、硬化剤とを、それぞれ別のパッケージに保存した状態とし、使用時(塗付時)にこれらを混合すればよい。この場合、上記イソシアヌレート環を有する化合物(a3)、上記発泡剤(B)、上記炭化剤(C)、上記難燃剤(D)、及び上記充填剤(E)(さらには、上記金属水和物(F)、繊維(G)、可塑剤(H)、硬化触媒)はそれぞれ、主剤と硬化剤の少なくとも一方に混合すればよいが、本発明では主剤に混合することが好ましい。また、主剤と硬化剤の混合時に、各成分を添加することもできる。
本発明の被覆材は、建築物・土木構築物等の構造物の表面被覆に適用する発泡性耐火被覆材として好適なものである。具体的には、壁、柱、床、梁、屋根、階段、天井、戸等の各種基材に施工することができる。適用可能な基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、煉瓦、プラスチック、木材、金属、鉄骨(鋼材)、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの、何らかの下地処理(防錆処理、難燃処理等)が施されたもの、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
本発明の被覆材を基材に塗付する際には、例えば、スプレー、ローラー、刷毛、こて等の塗付具を使用して、1工程ないし数工程塗り重ねて塗付すれば良いが、1工程あたりの乾燥膜厚が好ましくは400μm以上(より好ましくは500〜5000μm)となるように塗付する。これにより、少ない塗工工程で、厚膜を形成することができる。最終的に形成される被膜厚は、所望の機能性、適用部位等により適宜設定すれば良いが、好ましくは0.4〜5mm程度である。
本発明では、上記被覆材により形成される被膜を保護するために、必要に応じてさらに上塗材を塗付することもできる。このような上塗材は、公知の被覆材を塗付することによって形成することができる。上塗材としては、例えばアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素樹脂系、エポキシ樹脂系、酢酸ビニル樹脂系等の被覆材を用いることができる。これらは1種または2種以上で使用することができ、2種以上の被覆材を積層して塗付することもできる。上塗材の塗付は、公知の塗付方法によれば良く、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
以下に実施例を示して、本発明の特徴をより明確にする。但し、本発明はこの範囲には限定されない。
<被膜形成成分(A1〜A9)>
(a1)成分と(a2)成分について、表1に示すポリオール成分とポリイソシアネート成分のNCO/OH当量比で混合したものを、被膜形成成分(A1)〜(A9)とした。
被膜形成成分(A1)〜(A9)の硬化被膜を、熱重量測定法及び示差熱分析法で測定(150〜800℃)した結果を表1示す。なお、原料としては以下のものを使用した。
・ポリオール成分(a1)
(a1−1):ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量10000、官能基数3、水酸基価17mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−2):ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドとの重合体、数平均分子量7000、官能基数3、水酸基価24mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−3):ポリエーテルポリオール(プロピレングリコールを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量5100、官能基数3、水酸基価33mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−4):ポリエーテルポリオール(プロピレングリコールを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量3000、官能基数3、水酸基価56mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−5):ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたプロピレンオキサイドとの重合体、数平均分子量700、官能基数3、水酸基価225mgKOH/g、末端プロピレンオキサイド付加)
(a1−6):3フッ化エチレン共重合体(クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテル−ヒドロキシアルキルビニルテーテル共重合体、水酸基価52mgKOH/g、固形分60重量%、芳香族炭化水素溶媒含有)
・イソシアヌレート環を有するポリオール化合物(a1’)
(a1’−1)イソシアヌル酸トリス(2ヒドロキシエチル)(水酸基価645mgKOH/g)
・ポリイソシアネート成分(a2)
(a2−1)ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネート(NCO含有量23.5%)
(a2−2)イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート(NCO含有量23.1%)
・発泡剤(B):メラミン
・炭化剤(C):ペンタエリスリトール
・難燃剤(D):ポリリン酸アンモニウム
・充填剤(E):酸化チタン
・金属水和物(F):水酸化アルミニウム(平均粒子径1μm)
・繊維(G):ロックウール繊維(平均繊維長125μm、平均繊維径4.5μm)
・高沸点化合物(H):フタル酸ジイソノニル(沸点420℃)
・硬化触媒(I):有機金属系触媒
・添加剤1:分散剤、消泡剤等
・添加剤2:可塑剤、希釈溶剤等
(被覆材の製造方法)
表1に示す被膜形成成分、及び表2に示す配合に従い被覆材1〜9を調整した。なお、この際、(a1)成分、(B)成分〜(E)成分、(I)成分及び添加剤を常法により混合し主剤を調製し、次いで、(a2)成分(硬化剤)を混合し被覆材1〜9を得た。
(実施例1〜8、比較例1)
予めさび止め塗装した鋼板(縦150mm×横70mm×厚さ1.6mm)の全面に被覆材をスプレーで塗付(乾燥膜厚1.5mm)し、常温(25℃)で7日間養生させたものを試験体[I]とし、以下の評価を実施した。
<硬化性評価>
形成被膜の硬化性(タックの有無)を指触試験にて評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:タックがなく硬化性良好
B:ややタックが残存
C:かなりタックが残存
D:硬化不良
<耐熱保護性評価1>
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に基づき、電気ヒーター(CONEIII、株式会社東洋精機製)を用いて、試験体表面に50kW/m2の輻射熱を15分間放射したときの発泡倍率、及び鋼板裏面温度を測定した。各評価基準は以下の通りである。また、結果は表1に示す。
(発泡倍率)
AA:発泡倍率35倍超
A:発泡倍率25倍超35倍以下
B:発泡倍率20倍超25倍以下
C:発泡倍率15倍超20倍以下
D:発泡倍率15倍以下
(裏面温度)
AA:430℃未満
A:430℃以上470℃未満
B:470℃以上500℃未満
C:500℃以上550℃未満
D:550℃以上
(緻密性)
発泡倍率を測定した試験体を切断し、その断面における炭化断熱層の緻密性を目視にて確認した。評価基準は、緻密性が高いものを「A」、緻密性が低いものを「D」とする4段階評価(優:A>B>C>D:劣)とした。
<耐熱保護性評価2>
(脱落防止性評価)
試験体[I]の被覆材が下側となるように水平に設置し、該試験体の上側25mmの位置にヒーター(ヒーター温度680℃)を設置し、ヒーターにより試験体を加熱し、鋼板から被覆材が脱落したときの鋼板温度を測定した。評価は次の4段階で行った。結果は表3に示す。
A:脱落温度250℃以上
B:脱落温度220℃以上250℃未満
C:脱落温度200℃以上220℃未満
D:脱落温度200℃未満
実施例1〜7は、発泡性に優れ裏面温度の上昇も十分に抑制でき、特に実施例4〜6においては形成された炭化断熱層の緻密性においても良好であり、耐熱保護性能を十分に発揮できるものであった。実施例8では、実施例1〜7には劣るものの、発泡性を示し、耐熱保護性能を有するものであった。一方、比較例1は、発泡性が不十分であり、耐熱保護性能を得ることはできなかった。
(被覆材10〜15)
表1に示す被膜形成成分、及び表3に示す配合に従い被覆材10〜15を調整した。なお、この際、(a1)成分、(B)成分〜(I)成分、及び添加剤を常法により混合し主剤を調製し、次いで、(a2)成分(硬化剤)を混合し被覆材10〜15を得た。
(実施例9〜17)
さらに、被覆材4〜6、被覆材10〜17について、以下の評価を実施した。
<耐熱性評価3>
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に基づき、電気ヒーター(CONEIII、株式会社東洋精機製)を用いて、試験体[I]表面に50kW/m2の輻射熱を30分間放射したときの発泡倍率、及び鋼板裏面温度を測定した。各評価基準は、上記耐熱性評価1と同様である。また、結果は表3に示す。
<厚膜化評価1>
予めさび止め塗装した鋼板(縦150mm×横70mm×厚さ1.6mm)の全面に被覆材をフィルムアプリケーターにてwet膜厚3mmで塗付し、常温(25℃)で24時間、その後50℃で24時間養生させて、乾燥膜厚を測定し、膜厚の変化を確認した。評価基準は以下の通りである。結果は表3に示す。
A:膜厚減少率が15%未満
B:膜厚減少率が15%以上30%未満
C:膜厚減少率が30%以上45%未満
D:膜厚減少率が45%以上
<厚膜化評価2>
厚膜化評価1において、形成した被膜の状態を目視にて確認した。評価基準は、均一な被膜を形成したものを「A」、被膜にひび割れが生じたものを「D」とする4段階評価(優:A>B>C>D:劣)とした。結果は表3に示す。