JP6841087B2 - 塗料用キット、及び塗料用組成物を製造する方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る塗料用キットの一態様は、
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)と、
架橋剤(B1)と、
液状媒体と、
を含有する第一の組成物と、
架橋剤(B2)と、
液状媒体と、
を含有する第二の組成物と、
を備えることを特徴とする。
適用例1の塗料用キットにおいて、
架橋剤(B1)と架橋剤(B2)が異なる化合物であることができる。
適用例1または適応例2の塗料用キットにおいて、
重合体(A)が粒子として第一の組成物中に分散していることができる。
適用例3の塗料用キットにおいて、
粒子が、含フッ素系重合体を含有することができる。
本発明に係る塗料用組成物を製造する方法の一態様は、
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)と
架橋剤(B1)と
液状媒体と、
を含有する第一の組成物へ、
架橋剤(B2)と、
液状媒体と、
を含有する第二の組成物と、
を混合することを特徴とする。
適用例5の塗料用組成物を製造する方法において、
重合体(A)100質量部に対して、
架橋剤(B1)を0.1〜30質量部
架橋剤(B2)を0.1〜30質量部
となるように混合することができる。
本発明の一実施形態に係る塗料用キット(以下、単に「キット」ともいう。)は、
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)と、
架橋剤(B1)と、
液状媒体と、
を含有する第一の組成物と、
架橋剤(B2)と、
液状媒体と、
を含有する第二の組成物と、
を備えることを特徴とする。以下、各キット構成について、詳細に説明する。
本実施の形態に係るキットは、
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)と
架橋剤(B1)と、
液状媒体と
を含有する第一の組成物を含む。
1.1.1.1.不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位
本実施の形態に係る第1の組成物に含有される、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)(以下、単に「重合体(A)」ともいう。)は、液状媒体中に粒子として分散されたラテックス状であることが好ましい。第1の組成物に含有される重合体(A)がラテックス状であると、着色剤と混合して作製される第1の組成物の安定性が良好となり、また本実施の形態に係るキットを用いて作成される塗料用組成物の塗布性が良好となるため好ましい。
重合体(A)が液状媒体中に粒子として分散されたラテックス状である場合、前記粒子は以下に説明する含フッ素系重合体を含有することが好適である。含フッ素系重合体は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。
上記一般式(3)中のR2としては、例えば炭素数1〜12のフッ化アルキル基、炭素数6〜16のフッ化アリール基、炭素数7〜18のフッ化アラルキル基等が挙げられるが、これらの中でも炭素数1〜12のフッ化アルキル基であることが好ましい。上記一般式(3)中のR2の好ましい具体例としては、例えば2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、β−(パーフルオロオクチル)エチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル基、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノニル基、1H,1H,11H−パーフルオロウンデシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
重合体(A)は、上述した単量体以外の単量体に由来する繰り返し単位を有してもよい。その他の単量体としては、国際公開第2014/112252号等に記載の単量体を使用することができる。例えば不飽和カルボン酸エステル、α,β−不飽和ニトリル、カルボニル基含有化合物、共役ジエン、芳香族ビニル、ビニルエーテル、アリルエーテル、アルコキシシラン等が挙げられる。これらの単量体については、含フッ素重合体粒子を構成する重合体の繰り返し単位の合計を100質量部としたときに、20〜99.9質量部の割合で含有することができる。
(式中、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜8の有機基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
R5 mSiO(4−m)/2 ・・・・・(3)
(式中、R5は炭素数1〜8の有機基を表し、mは0〜3の数を表す。)
上記一般式(2)及び(3)で表される単量体において、R3及びR5は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。R4としては、例えば、炭素数1〜8の、アルキル基、アリール基、アシル基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。アシル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアシル基であり、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等が挙げられる。上記一般式(2)中に複数存在するR3やR4は、相互に同一でも異なってもよい。これらのアルコシキシランは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A)は、上記の単量体、及び任意的に他の不飽和単量体を、公知の方法に従って乳化重合することにより容易に製造することができる。重合体(A)が液状媒体中に粒子として分散されたラテックス状である場合、重合体(A)の粒子は、重合体(A)の繰り返し単位が上記のような構成を取るものである限り、その合成方法は特に限定されないが、例えば公知の乳化重合工程又はこれを適宜に組み合わせることによって、容易に合成することができ、国際公開第2014/112252号等に記載の方法などで作製することができる。
<転移温度>
重合体(A)の粒子が含フッ素系重合体粒子である場合、JIS K7121に準拠する示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、−50℃〜+80℃の温度範囲における吸熱ピークが少なくとも1つ存在することが好ましい。重合体(A)の有するこの吸熱ピークの1つの温度は、−30℃〜+70℃の範囲にあることがより好ましく、−20〜+60℃の範囲にあることがさらに好ましい。含フッ素系重合体粒子の有する1つの吸熱ピークの温度が前記範囲にある場合には、該粒子は塗膜に対してより良好な柔軟性と粘着性とを付与することができ、従って密着性をより向上させることができる点で好ましい。
重合体(A)の粒子の平均粒子径(Da)は30〜400nmの範囲にあることが好ましく、50〜250nmの範囲にあることがより好ましい。重合体(A)の粒子の平均粒子径(Da)が前記範囲にあると、製膜した際に緻密な塗膜を作製することができるので、耐候性の劣化を効果的に抑制することができる。
重合体(A)のTHF不溶分は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。THF不溶分は、得られる塗膜の耐溶剤性の指標となる。このため、THF不溶分が前記範囲であれば、本実施の形態に係る塗料用組成物又は塗料を用いて塗膜を作製した後、その上にさらに有機溶剤系の塗膜を積層するような場合でも、有機溶剤系塗膜への重合体(A)の溶出を抑制できるため良好であると考えられる。また、THF不溶分は、得られる塗膜の耐久性の指標の一つともなり得る。このため、THF不溶分が前記範囲にあれば、有機溶剤を取り扱う工場のタンク等の表面に塗膜を形成することにより、耐久性が向上するものと考えられる。
本実施の形態に係る塗料用キットに含有される架橋剤(B1)は、液状媒体中に溶解していることが好ましい。第一の組成物が架橋剤(B1)を含有することにより、本願発明の塗料用キットを混合することにより作製される塗料用組成物により作製される塗膜が架橋により緻密化することができ、耐水性を付与することで、長期の屋外暴露に使用することができると考えられる。
本実施の形態に係る第一の組成物は、液状媒体を含有する。液状媒体としては、水を含有する水系媒体であることが好ましい。この水系媒体には、水以外の非水系媒体を含有させることができる。その塗布性を改善する観点から、60〜350℃の標準沸点を有する非水系媒体を含有することができる。このような非水系媒体の具体例としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリン等の炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等のアミン化合物;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトン等のラクトン;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド・スルホン化合物等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。液状媒体(C)が水及び水以外の非水系媒体を含有する場合、液状媒体(C)の全量100質量%中、90質量%以上が水であることが好ましく、98質量%以上が水であることがより好ましい。本実施の形態に係る塗料用組成物は、液状媒体(C)として水系媒体を使用することにより、環境に対して悪影響を及ぼす程度が低くなり、取扱作業者に対する安全性も高くなる。
本実施の形態に係る第一の組成物は、必要に応じて前述した成分以外の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、例えば増粘剤、架橋剤、消泡剤、成膜助剤、凍結防止剤(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、pH調整剤(アンモニア水、エタノールアミン等)、濡れ性改善剤(ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、本実施の形態に係る塗料用組成物の固形分換算100質量部に対して、40質量部以下とすることができる。
第一の組成物のpHは、6以上9以下であり、好ましくは7以上8以下である。第一の組成物のpHが前記範囲である場合、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)の粒子の凝集を効果的に抑制できる。
本実施の形態に係る塗料用キットは、架橋剤(B2)と、液状媒体と、を含有する、第2の組成物を含むキット構成である。
本実施の形態に係る第二の組成物に含有される架橋剤(B2)は、液状媒体中に溶解していることが好ましい。第二の組成物が架橋剤(B2)を含有することにより、本願発明の塗料用キットを混合することにより作製される塗料用組成物により作製される塗膜が架橋により、常温低温のいずれの条件においても速やかに乾燥が完了し、さらに塗膜を緻密化することができる。その結果、より高度な耐水性、耐酸性、耐アルカリ性を付与することで、より長期の屋外暴露に使用することができると考えられる。
本実施の形態に係る第二の組成物は、液状媒体を含有する。液状媒体としては、第一の組成物で使用される液状媒体と同様のものを使用することができ、第一の組成物の液状媒体と同じ成分であることが好ましい
1.2.3.その他の添加剤
本実施の形態に係る第二の組成物は、必要に応じて前述した成分以外の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、前述の第一の組成物同様の成分を使用することができる。
第二の組成物のpHは、第1の組成物と混合して塗料用組成物のpHを7程度にすることができることが好ましい。具体的には、8以上12以下であり、好ましくは9以上11以下である。第二の組成物のpHが前記範囲であると、架橋剤(B2)の分解を効果的に抑制し、貯蔵安定性をより良好にすることができる。
本実施の形態に係る塗料用組成物は、
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)と
架橋剤(B1)と、
液状媒体と、
を含有する第一の組成物へ、
架橋剤(B2)と、
液状媒体と、
を含有する第二の組成物と
を含むキットを混合し作製することができる、
本願発明に係る塗料用キットより作成された塗料用組成物は、重合体(A)100質量部に対して、架橋剤(B1)を0.1〜30質量部含有することが好ましく、0.5〜5質量部含有することがさらに好ましい。また、重合体(A)100質量部に対して、架橋剤(B2)を0.1〜30質量部含有することが好ましく、0.5〜10質量部含有することがさらに好ましい。このような組成になるように混合することにより、良好な特性の塗膜を得ることができる塗料用組成物を製造することができる。
本願発明における「塗料」とは、保護、美装、又は独自な機能を付与するために、基材の表面に塗り付ける流動体のことをいう。本願発明における「塗膜」とは、塗料を基材の表面に塗布した後、乾燥させて形成された膜のことをいう。
本実施の形態に係る塗料は、上述の塗料用組成物と、着色剤と、を含有することを特徴とする。本実施の形態に係る塗料によれば、着色による美装だけではなく、上述の塗料用組成物に由来する機能、すなわち基材との密着性や、強度(例えば耐候性、耐水性、耐久性)及び安定性に優れた塗膜を形成することができる。以下、本実施の形態に係る塗料に含まれる成分について詳細に説明する。ただし、塗料用組成物については、上述した通りであるから説明を省略する。
着色剤は、特に制限はなく、目的とする塗膜に応じて適宜適当な材料を選択することができる。
本実施の形態に係る塗料は、必要に応じて前述した成分以外の成分を含有することができる。このような成分としては、例えば非水系媒体、増粘剤、充填材、消泡剤、表面調整剤等が挙げられる。
上記塗料は、その塗布性を改善する観点から、60〜350℃の標準沸点を有する非水系媒体を含有することができる。このような非水系媒体の具体例としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリン等の炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等のアミン化合物;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトン等のラクトン;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド・スルホン化合物等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。これらの中でも、重合体粒子の安定性、塗料を塗布する際の作業性等の点から、N−メチルピロリドンを使用することが好ましい。
上記塗料は、その塗工性を改善する観点から、増粘剤を含有することができる。増粘剤の具体例としては、上記「1.4.その他の添加剤」に記載した各種化合物が挙げられる。
上記充填材としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、2硫化モリブデン、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記塗料は、その塗工性を改善する観点から、消泡剤を含有することができる。消泡剤の具体例としては、上記「1.4.その他の添加剤」に記載した各種化合物が挙げられる。
上記塗料は、その塗工性を改善する観点から、表面調整剤を含有することができる。表面作製剤としてはシロキサン化合物、アクリル系共重合体、メタクリル系共重合体等が挙げられる。
本実施の形態に係る塗装体は、基材と、前記基材の表面に上述の塗料用組成物又は塗料が塗布及び乾燥されて形成された塗膜と、を備えることを特徴とする。かかる塗膜は、適宜の基材の表面に、上述の塗料用組成物又は塗料を塗布し、それを乾燥させることにより形成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
電磁式撹拌機を備えた内容積約6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)88%、四フッ化エチレン(TFE)6%、六フッ化プロピレン(HFP)6%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cm2に達するまで仕込んだ。重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113溶液25gを窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cm2に維持されるようVDF88%、TFE6%、HFP6%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cm2に維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体の微粒子を40%含有する水系分散体を得た。得られた重合体につき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/TFE/HFP=34/4/5であった。
水系分散体について、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、型式「FPAR−1000」)を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から平均粒子径を求めたところ、重合体S1の粒子の平均粒子径は120nmであった。
得られた水系分散体の約10gを直径8cmのテフロン(登録商標)シャーレへ秤り取り、120℃で1時間乾燥して成膜した。得られた膜(重合体)のうちの1gをテトラヒドロフラン(THF)400mL中に浸漬して50℃で3時間振とうした。次いで、THF相を300メッシュの金網で濾過して不溶分を分離した後、溶解分のTHFを蒸発除去して得た残存物の重量(Y(g))を測定した値から、下記式(6)によってTHF不溶分を求めたところ、上記重合体(A)のTHF不溶分は80%であった。
さらに、得られた重合体S1について示差走査熱量計(DSC)によって測定したところ、吸熱ピークが9℃と90℃にそれぞれ観測された。
単量体の組成と分子量作製剤量を表1に示す量に変更した他は、上記合成例1と同様にして重合体S2〜S20の粒子を含有する水系分散体を作製した。さらに、作製した水系分散体の固形分濃度に応じて水を減圧除去又は追加することにより、重合体S2〜S20の粒子を46質量%含有する水系分散体を得た。
・VDF:フッ化ビニリデン
・TFE:四フッ化エチレン
・HFP:六フッ化プロピレン
・MMA:メタクリル酸メチル
・EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
・CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・MAPS:γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
・BA :アクリル酸ブチル
・PEGMA:メタクリル酸ポリエチレングリコール(日油株式会社製、商品名「PE−200」、平均オキシエチレン付加モル数:4.5)
・PMPMA:メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(株式会社ADEKA製、商品名「LA−82」)
・AA :アクリル酸
・MAA:メタクリル酸
・DAAM:ジアセトンアクリルアミド
・DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
5.3.合成例21〜31
単量体の組成と分子量調節剤量を表8に示す量に変更した他は、上記合成例1と同様にして重合体S22〜S31の粒子を含有する水系分散体を作製した。さらに、作製した水系分散体の固形分濃度に応じて水を減圧除去又は追加することにより、重合体S22〜S31の粒子を46質量%含有する水系分散体を得た。それぞれの平均粒子径、THF不溶分及び吸熱ピーク温度について、合成例1と同様に評価した。結果を表8に示す。
電磁式撹拌機を備えた内容積約6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)88%、四フッ化エチレン(TFE)6%、六フッ化プロピレン(HFP)6%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cm2に達するまで仕込んだ。重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113溶液25gを窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cm2に維持されるようVDF88%、TFE6%、HFP6%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cm2に維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体の微粒子を40%含有する水系分散体を得た。得られた重合体につき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/TFE/HFP=34/4/5であった。
単量体の組成と分子量調節剤量を表9に示す量に変更した他は、上記合成例32と同様にして重合体S33〜S42の粒子を含有する水系分散体を作製した。さらに、作製した水系分散体の固形分濃度に応じて水を減圧除去又は追加することにより、重合体S33〜S42の粒子を46質量%含有する水系分散体を得た。それぞれの平均粒子径、THF不溶分及び吸熱ピーク温度について、合成例1と同様に評価した。結果を表9に示す。
5.6.1.第一の組成物の作製
上記で得られた重合体(A)の粒子を含有する水系分散体311.5質量部(重合体(A)143.3質量部)に、架橋剤(B1)としてカルボジイミド化合物V−02(日清紡株式会社製、商品名「カルボジライトV−02」)を40%含有する水分散液を5.2質量部(カルボジイミド化合物V−02 2.08質量部)仕込み、300rpmで撹拌することにより第一の組成物を作製した。
一般的に塗料用組成物の貯蔵環境は、コストの観点から温度管理を厳密に行うことができず、このため気温の変化により0℃近くの環境に晒される場合も多い。このため、下記の凍結温度の評価において、0℃で凍結することは許容できず、凍結温度が−0.2℃以下であることが要求される。したがって、凍結温度が−0.2℃以下であると良好であり、−0.5℃以下である場合、塗料用組成物の安定性が高く、さらに良好であると判断できる。
架橋剤(B2)としてカルボジイミド化合物V−10(日清紡株式会社製、商品名「カルボジライトV−10」)を40%含有する水分散液を第二の組成物として作製した。
上記で作製した第一の組成物と第二の組成物を、それぞれ別のポリビンに充填密閉し、23℃に設定した貯蔵庫で1ヶ月間貯蔵した。その後、貯蔵後の第一の組成物を316..7質量部(重合体(A)を143.3質量部および架橋剤(B1)を2.08質量部含有)と、貯蔵後の第二の組成物3.57質量部(架橋剤(B2)を1.43質量部含有)と、を混合し、300rpmで撹拌することにより、塗料用組成物を作製した。
<塗膜の初期光沢>
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し150℃で焼成しておいた硬質アルミ基材上に、上記で得られた塗料用組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(23℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜の60°光沢度を、村上色彩技術研究所製「精密光沢計GM−26プロ」を用いて測定した。塗膜に光沢性が要求される場合、初期光沢は大きい方がより好ましいが、65以上であれば良好と判断できる。初期光沢の値を表2に併せて示した。
初期光沢測定用と同様の方法で得られた硬質アルミ基材上に、常温恒湿(23℃、55%RH)条件下、上記で得られた塗料用組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、指触乾燥(指の腹が塗膜に軽く触れたとき、指に塗料が付着しない状態)及び半硬化乾燥(塗面を指先でそっと擦り、塗面に擦り跡が付かない状態)の程度を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・指触乾燥及び半硬化乾燥に至る時間が1時間以内の場合、常温硬化性は非常に良好であると判断して「◎」
・指触乾燥及び半硬化乾燥に至る時間が1時間を超え3時間以内の場合、常温硬化性は良好であると判断して「○」
・指触乾燥及び半硬化乾燥に至る時間が3時間を超え5時間未満の場合、常温硬化性はやや良好であると判断して「△」
・指触乾燥及び半硬化乾燥に至る時間が5時間以上の場合、常温硬化性は不良であると判断して「×」
<低温硬化性評価>
初期光沢測定用と同様の方法で得られた硬質アルミ基材上に、低温恒湿(5℃、30%RH)条件下、上記で得られた塗料用組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、指触乾燥及び半硬化乾燥の程度を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・指触乾燥に至る時間が2時間以内、及び半硬化乾燥に至る時間が3時間以内の場合、低温硬化性は非常に良好であると判断して「◎」
・指触乾燥に至る時間が2時間を超え5時間以内、及び半硬化乾燥に至る時間が3時間を超え8時間以内の場合、低温硬化性は良好であると判断して「○」
・指触乾燥に至る時間が5時間を超え8時間未満、及び半硬化乾燥に至る時間が8時間を超え12時間未満の場合、低温硬化性はやや良好であると判断して「△」
・指触乾燥に至る時間が8時間以上、及び半硬化乾燥に至る時間が12時間以上の場合、低温硬化性は不良であると判断して「×」
<耐水性評価>
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し常温(23℃)下で1週間放置したスレート基板上に、上記で得られた塗料用組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温下で1週間放置することにより塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜付のスレート板を23℃のイオン交換水中に168時間浸漬させ、常温下で2時間放置した後、塗膜の膨れ、割れ、はがれ具合を目視にて観察し、塗膜の耐水性を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・塗膜の膨れ、割れ、はがれが認められない場合には、耐水性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の膨れ、割れ、はがれは認められるがごく僅かである場合には、耐水性は良好であると判断して「○」
・塗膜の膨れ、割れ、はがれが大幅に求められる場合には、耐水性は不良であると判断して「×」
また、上述の目視観察後の塗膜の60°光沢を初期光沢と同様の方法で測定し、光沢保持率(試験後の光沢/試験前の光沢;%)を算出した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・光沢保持率が80%以上のとき、光沢保持率は非常に良好。
・光沢保持率が60%以上80%未満のとき、光沢保持率は良好。
・光沢保持率が60%未満のとき、光沢保持率は不良。
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し常温(23℃)下で1週間放置したガラス基板上に、上記で得られた塗料用組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(23℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜付のスレート板を23℃の0.5%硫酸水溶液中に168時間浸漬させ、常温下で2時間放置した後、塗膜の膨れ、割れ、はがれ具合を目視にて観察し、塗膜の耐水性を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・塗膜の膨れ、割れ、はがれが認められない場合には、耐水性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の膨れ、割れ、はがれは認められるがごく僅かである場合には、耐水性は良好であると判断して「○」
・塗膜の膨れ、割れ、はがれが大幅に求められる場合には、耐水性は不良であると判断して「×」
また、上述の目視観察後の塗膜の60°光沢を初期光沢と同様の方法で測定し、光沢保持率(試験後の光沢/試験前の光沢;%)を算出した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・光沢保持率が80%以上のとき、光沢保持率は非常に良好。
・光沢保持率が60%以上80%未満のとき、光沢保持率は良好。
・光沢保持率が60%未満のとき、光沢保持率は不良。
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し常温(23℃)下で1週間放置したスレート基板上に、上記で得られた塗料用組成物をギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温下で1週間放置することにより塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜付のスレート板を23℃飽和水酸化カルシウム水溶液中に168時間浸漬させ、常温下で2時間放置した後、塗膜の膨れ、割れ、はがれ具合を目視にて観察し、塗膜の耐水性を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・塗膜の膨れ、割れ、はがれが認められない場合には、耐水性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の膨れ、割れ、はがれは認められるがごく僅かである場合には、耐水性は良好であると判断して「○」
・塗膜の膨れ、割れ、はがれが大幅に求められる場合には、耐水性は不良であると判断して「×」
また、上述の目視観察後の塗膜の60°光沢を初期光沢と同様の方法で測定し、光沢保持率(試験後の光沢/試験前の光沢;%)を算出した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・光沢保持率が80%以上のとき、光沢保持率は非常に良好。
・光沢保持率が60%以上80%未満のとき、光沢保持率は良好。
・光沢保持率が60%未満のとき、光沢保持率は不良。
初期光沢測定用と同様の方法で得られた塗膜に対してメタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス製)により促進耐候性試験500hrを行い、塗膜の60°光沢を測定し光沢保持率(試験後の光沢/試験前の光沢;%)を算出した。試験条件は、メタルハライドランプ光源を用いてKF−1フィルターで295〜780nmの光を照射し、照射(63℃50%RH下で75mW/cm2)4hrと暗黒(30℃98%RH)4hrのサイクル条件とした。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に併せて示した。
・光沢保持率が80%以上のとき、耐候性は非常に良好。
・光沢保持率が60%以上80%未満のとき、耐候性は良好。
・光沢保持率が60%未満のとき、耐候性は不良。
上記で得られた塗料用組成物をガラス上にギャップ値200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(23℃)で1週間放置することにより塗膜を形成した。このようにして得られた塗膜をカッターで1mm角にクロスカット(5×5の25マス)し、ニチバン製セロテープ(登録商標)を用いた密着試験を行って下記基準で評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表2に示した。
・塗膜の剥離が無い場合には、密着性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の剥離が半数未満の場合には、密着性は良好であると判断して「○」
・塗膜の剥離が半数以上の場合には、密着性は不良であると判断して「×」
<引張伸び評価>
塗布基材の屈曲や、温度変化による伸縮に、塗膜が破断することなくどれだけ追随することができるかの指標の一つとして、引張伸びを評価した。引張伸びが大きいほど、基材追随性がより向上すると判断できる。このような引張伸び特性を、下記の方法により評価した。
・引張り伸び率が300%以上であれば、引張り伸び性が非常に良好と判断して「◎」
・引張り伸び率が200%以上300%未満であれば、引張り伸び性が良好と判断して「○」
・引張り伸び率が200%未満であれば、引張り伸び性が不良と判断して「×」
5.7.実施例2〜46、比較例1〜15
重合体(A)、架橋剤(B1)および添加剤を表2〜4に示す種類と量に変更した以外は実施例1と同様に第一の組成物を作製し、評価した。また、架橋剤(B2)を表2〜4の種類に変更した以外は、実施例1と同様に第二の組成物を作製し、第一の組成物と第二の組成物を備えた塗料用キットを作製した。
・コロイダルシリカ:株式会社ADEKA製、商品名「AT−50」
・カルボジイミド化合物:日清紡株式会社製、商品名「カルボジライトV−02」
・カルボジイミド化合物:日清紡株式会社製、商品名「カルボジライトE−02」
・カルボジイミド化合物:日清紡株式会社製、商品名「カルボジライトE−05」
・オキサゾリン化合物:株式会社日本触媒、商品名「エポクロスWS−700」
・カルボジイミド化合物:日清紡株式会社製、商品名「カルボジライトV−10」
・イソシアネート化合物:旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デュラネートWT30−100」
5.8.比較例16〜61
あらかじめ表5〜7の種類と量になるように、所定量の水へ重合体(A)、架橋剤(B1)及び架橋剤(B2)を順に加えて混合して塗料用組成物を作製し、23℃で1日保管した。その後、実施例1と同様にして塗膜を評価した。その結果を表5〜7に示す。
重合体(A)、架橋剤(B1)および添加剤を表10に示す種類と量に変更した以外は実施例1と同様に第一の組成物を作製し、評価した。また、架橋剤(B2)を表10の種類に変更した以外は、実施例1と同様に第二の組成物を作製し、第一の組成物と第二の組成物を備えた塗料用キットを作製した。作製した塗料用キットを実施例1と同様に貯蔵した。その後、表10に記載の重合体(A)、架橋剤(B1)および架橋剤(B2)の種類と量になるように、貯蔵後の第一の組成物と第二の組成物を実施例1と同様に混合して塗料用組成物を作成し、評価に供した。評価結果を表10に併せて示す。
あらかじめ表11の種類と量になるように、所定量の水へ重合体(A)、架橋剤(B1)及び架橋剤(B2)を順に加えて混合して塗料用組成物を作製し、23℃で1日保管した。その後、実施例1と同様にして塗膜を評価した。その結果を表11に示す。
実施例1〜46によれば、本願発明の塗料用組成物は良好な結果を示すことが明らかとなった。これに対して、本願発明の塗料用組成物ではない比較例1〜15、ならびに第一の組成物と第二の組成物を作製し、その後1日23℃で保管した塗料用組成物の比較例16〜61では、特性が不良となった。
Claims (3)
- 不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位及び含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)の粒子と、
ヒドラジン誘導体(B1)と、
液状媒体と、
を含有する第一の組成物と、
カルボジイミド化合物(B2)と、
液状媒体と、
を含有する第二の組成物と、
を備える、塗料用キット。 - 不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位及び含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体(A)の粒子と、ヒドラジン誘導体(B1)と、液状媒体とを含有する第一の組成物へ、
カルボジイミド化合物(B2)と、液状媒体とを含有する第二の組成物を混合して塗料用組成物を製造する方法。 - 前記重合体(A)の粒子100質量部に対して、
ヒドラジン誘導体(B1)を0.1〜30質量部、
カルボジイミド化合物(B2)を0.1〜30質量部、
となるように混合する、請求項2に記載の塗料用組成物を製造する方法。
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