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JP6731199B2 - 酸素還元反応用触媒及び金属空気二次電池用空気極 - Google Patents

酸素還元反応用触媒及び金属空気二次電池用空気極 Download PDF

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Description

本発明は、高活性の酸素還元反応用触媒及び金属空気二次電池用空気極に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2015年2月18日出願の日本特願2015−029856号および2015年9月4日出願の日本特願2015−174841号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
リチウムイオン二次電池は様々なところで利用されており、最近では化石燃料を使わないクリーンな電気自動車への搭載も進められている。しかしながらその容量は十分とは言えず、ガソリン車並みの走行距離を実現するには更なる高容量化が必須であり、リチウムイオン二次電池に代わる革新的蓄電池の開発が盛んに行われている。中でも金属空気二次電池は正極反応の燃料として外気から取り入れた空気を用いるため、電池本体の大部分に負極燃料を充填することができる。そのため、例えば安全性に優れている亜鉛空気二次電池においても、理論的には現状のリチウムイオン二次電池の5〜10倍もの高容量化が可能である。
しかしながら現状では様々な課題が残されており、その1つとして挙げられるのが、正極に用いられる高活性酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction (ORR))触媒の開発である。一般にORRには大きな過電圧が生じることが知られており、このために十分な出力での放電ができていないのが現状である。またこのことは同じく正極反応がORRであり、既に実用化されているアルカリ形燃料電池においても言えることである。そのため、放電時の電圧を大きく左右する高活性ORR触媒の開発が急務となっている。
一般的にORRに対して高活性な触媒として、PtやPdなどの貴金属触媒が知られているが、これら貴金属はコストが高く埋蔵量も少ないため、広く普及させるためには貴金属を含まないORR触媒の開発が必要である。
最近では貴金属を含まない非貴金属ORR触媒として、ペロブスカイト型遷移金属酸化物ABO3が報告されている。ペロブスカイト型酸化物はBサイトに遷移金属を有し、酸素6つと結合した八面体構造から成る。最近ではこのBサイト遷移金属のeg電子数がそのORR活性と関連していることが報告されており、eg電子数が1付近のLaNiO3などが高活性 [非特許文献1,2]であることが報告されている。
非特許文献1:J. Suntivich, H. A. Gasteiger, N. Yabuuchi, H. Nakanishi, J. B. Goodenough and Y. S.-Horn, Nature Chem. 2012, 3, 546-550.
非特許文献2:J. Suntivich, H. A. Gasteiger, N. Yabuuchi and Y. S.-Horn, J. Electrochem. Soc. 2010, 157, B1263-B1268.
非特許文献3:F. Millange et al., Mater. Res. Bull. 1999, 34, 1.
非特許文献4:C. Perca et al., Chem. Mater. 2005, 17, 1835.
非特許文献5:A. J. Williams et al., Phys. Rev. B 2005, 72, 024436.
非特許文献6:V. Vashook et al., Solid State Ionics 2008, 179, 135.
しかし、非特許文献1及び2に記載の遷移金属酸化物触媒においてもその触媒活性は十分とは言えず、更なる高活性遷移金属酸化物群の開発が必要である。
そこで本発明の目的は、非特許文献1及び2に記載の遷移金属酸化物より、さらに高活性な貴金属を含まないORR触媒を提供することにある。さらに本発明は、この触媒を用いた空気極及び空気二次電池を提供することも発明の目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々の検討を行った結果、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物が優れたORR触媒を有することを見出して本発明を完成させた。
本発明は以下のとおりである。
[1]
ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む酸素還元反応用触媒。
[2]
前記ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物が、一般式BaLnMn2O5+δ(式中、LnはY,Er,Ho,Dy,Tb,Gd,Eu,Sm,Nd,Pr,及びLaから成る群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属であり、δは0〜1の数値である)で表される[1]に記載の酸素還元反応用触媒。
[3]
前記一般式BaLnMn2O5+δは、AサイトにBaとLn、Bサイトにマンガンを有するペロブスカイト関連化合物であり、酸素6つと結合した八面体構造、あるいは酸素5つと結合したピラミッド構造から成る[2]に記載の酸素還元反応用触媒。
[4]
前記酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物が、A1-xA’xB1-yB’yO3-δ(A: +3価のカチオン、A’: +2価のカチオン、B、B’: 独立に遷移金属イオン、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、δ>0)で表される[1]に記載の酸素還元反応用触媒。
[5]
前記一般式A1-xA’xB1-yB’yO3-δは、一般式A1-xA’xMn1-yNiyO3-δで表される酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物である[4]に記載の酸素還元反応用触媒。
[6]
前記一般式A1-xA’xMn1-yNiyO3-δにおいて、AはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、及びGdから成る群から選ばれる少なくとも1種の希土類であり、A’はCa及び/又はSrである[5]に記載の酸素還元反応用触媒。
[7]
前記酸素還元反応が水溶液中での酸素分子の還元反応である[1]〜[6]のいずれかに記載の酸素還元反応用触媒。
[8]
表面積が0.1〜100m2/gの範囲である[1]〜[7]のいずれかに記載の酸素還元反応用触媒。
[9]
空気電極用である[1]〜[8]のいずれかに記載の酸素還元反応用触媒。
[10]
[1]〜[8]のいずれかに記載のダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物の酸素還元反応用触媒又は空気電極用触媒としての使用。
[11]
[1]〜[8]のいずれかに記載の触媒を含む金属空気二次電池用空気極。
[12]
前記ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物は酸素還元反応用触媒として含有され、酸素発生用触媒をさらに含む[11]に記載の空気極。
[13]
多孔質構造を有し、かつ導電性材料をさらに含む[11]又は[12]に記載の空気極。
[14]
[11]〜[13]のいずれかに記載の空気極と、負極活物質を含有する負極と、前記空気極と前記負極との間に介在する電解質と、を有する金属空気二次電池。
[15]
酸素還元用触媒を含む酸素還元用空気極をさらに含む[14]に記載の金属空気二次電池。
本発明によれば、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることで、LaNiO3よりさらに高活性のORR触媒を提供することができる。さらに、本発明によれば上記ORR触媒を用いた金属空気二次電池用空気極、及びこの空気極を用いた金属空気二次電池も提供できる。
真空封管法により調製したBaLnMn2O5(Ln: Y, Gd, Nd, La)のX線回折パターン(単一相が合成できていることを確認)。 不活性雰囲気下焼成法により調製したBaLaMn2O5においても、X線回折より、やや結晶性は低いものの相生成を確認した。 真空封管により合成した試料についての走査型電子顕微鏡(SEM)による粒径及び表面積の評価結果を示す。どの試料についても平均粒径が1〜2μm程度であった。 不活性雰囲気下焼成法により合成したBaLaMn2O5の走査型電子顕微鏡(SEM)では、数百nm程度と微粒子化されており、窒素吸着法により評価した表面積は3.93 m2 g-1と真空封管法により合成したものの約10倍であることが分かった。 電極作製条件及び電気化学測定条件を示す。 真空封管法により合成したBaLnMn2O5(Ln: Y, Gd, Nd, La)について電気化学測定結果を示す。 不活性雰囲気下焼成法で調製したBaLaMn2O5について電気化学測定結果を示す。 本発明の金属空気二次電池の一構成例を示す。 クエン酸ゲル化法により調製したLa1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)のX線回折パターン。Ca+Niの置換量が50%以上において、600℃でも単一相が合成できていることを確認した。 クエン酸ゲル化法により調製したLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5)のX線回折パターン。Ca置換量が30%以上では、不純物相としてNiの生成を確認。またCa置換量の増加により連続的なピークの高角側へのシフトを確認した(連続的なMn、あるいはNiの価数増加を示唆)。 クエン酸ゲル化法により調製したLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5)の走査型電子顕微鏡(SEM)による粒径及び表面積の評価結果を示す。どの試料についても平均粒径が30〜40 m程度であった。 クエン酸ゲル化法により調製したLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5)について電気化学測定結果を示す。 クエン酸ゲル化法により調製したLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5)ついてのエックス線吸収微細構造(XAFS)解析より求めた動径分布関数を示す。 La1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(x = 0, 0.1, 0.2)について熱重量(TG)分析を行って求めた各試料の酸素含有量、およびCa置換量0〜50%試料のORR過電圧を示す。 クエン酸ゲル化法により調製したLa0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-δにいて電気化学測定結果を示す。 La0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-d(x=0.4、y=0.1)の試料について、ORR条件下での安定性評価前後でのX線回折結果を示す。 La0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-d(x=0.4、y=0.1)の試料について、ORR条件下での安定性評価前後でのORR活性評価結果を示す。
<酸素還元反応用触媒>
本発明は、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物(Double perovskite-type transition metal oxides)及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物(Oxygen-deficient perovskite-type transition metal oxides)から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む酸素還元反応用触媒(Catalysts for oxygen reduction reaction)に関する。
ペロブスカイト、及びダブルペロブスカイト(酸素欠損なし)について
a. 一般にペロブスカイトは、一般式「ABO3(A: 希土類など、B: 遷移金属など)」であらわされる化合物で、A:B:O=1:1:3を満たす。具体例としては、LaMnO3、LaCoO3、LaNiO3などが該当する。
b. 次に、Aサイト、及びBサイトに複数の元素を有しているペロブスカイトは、例えば、AサイトにA、A’、BサイトにB、B’とそれぞれ2種類の元素を含んでいる場合には、A1-xA’xB1-yB’yO3(0≦x≦1、0≦y≦1) で表され、[(1-x)A+xA’]: [(1-y)B+yB’]:O=1:1:3を満たす。具体例としては、Ba0.8Sr0.2Co0.5Fe0.5O3などが該当する。
c. 上記bにおいて、AとA’、あるいはBとB’が規則的に配列しているペロブスカイトを特別に、ダブルペロブスカイトと呼ぶ(ダブルペロブスカイトの構造は、後述する)。この際、化学式でペロブスカイトと区別できるように、ダブルペロブスカイトは、bのそれぞれの原子数を2倍して、A2(1-x)A’2xB2(1-y)B’2yO6(0≦x≦1、0≦y≦1)と表記する。例えば、Ba0.5La0.5MnO3とBaLaMn2O6とを比較すると(ここではB=B’=Mn)、前者がAサイトにBaとLaが1:1でランダムに混ざっているペロブスカイトであるのに対し、後者はAサイトにBaとLaが交互に積層しているペロブスカイト、つまりダブルペロブスカイトを表す。
<ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物>
本発明のダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物は、例えば、一般式BaLnMn2O5+δで表される遷移金属酸化物であることができ、式中のLnはY,Er,Ho,Dy,Tb,Gd,Eu,Sm,Nd,Pr,及びLaからなる少なくとも1種の遷移金属酸化物であることができる。
ダブルペロブスカイトは、前述のように一般には、一般式A2(1-x)A’2xB2(1-y)B’2yO6(0≦x≦1、0≦y≦1)と表記される化合物であり、6個の酸素原子を含む。一方、本発明における上記一般式BaLnMn2O5+δで表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物は、δが0〜1の範囲の数値である。δ=1の場合は、上記A2(1-x)A’2xB2(1-y)B’2yO6(0≦x≦1、0≦y≦1)と表記される化合物に相当する。δが0以上、1未満の範囲の数値の場合には、上記化学式における酸素原子の個数は6個未満であり、酸素欠損状態である。一般式A2(1-x)A’2xB2(1-y)B’2yO6(0≦x≦1、0≦y≦1)と表記されるダブルペロブスカイトが酸素欠損状態となるのは、化合物の電荷は0(ゼロ)であるから、A、A’、B、及びB’の少なくとも1つの原子が+3価未満の価数を有する原子である場合である。また、A、A’、B、及びB’の少なくとも1つの原子が、+3価未満の価数を有する原子であるダブルペロブスカイトが酸素欠損のない状態(δ=1に相当する)となる場合もあり、具体的には、+3価未満の価数を有する原子以外の少なくとも1つの原子が+3価を超える価数を有する場合である。
本発明の上記一般式BaLnMn2O5+δで表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の場合、Baが+2価の原子であるので、Ln及びMnが+3価の場合、δ=0.5である。それに対して、δ=0の場合には、Mnの少なくとも一部が+3価未満の価数であり、δ=0.5の場合と同様に、化合物は酸素欠損状態である。一方、δ=1の場合には、Mnの少なくとも一部が+3価を超える価数であり、酸素欠損のない状態である。
一般式BaLnMn2O5+δで表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の酸素還元反応用触媒の性能は、Lnの種類によって変化する。酸素還元反応用触媒の活性が高いという観点から、LnはNdまたはLaであることが好ましく、Laであることが特に好ましい。δは0〜1の範囲の数値であり、主に0、0.5または1を取るが、実際の化合物では、それぞれの場合において、多少の酸素欠陥や酸素過剰(見かけ上、δが1を超える)の状態もあり得る。δ=0は酸素放出状態の化合物であり、δ=0.5は酸素部分吸収状態の化合物であり、δ=1は酸素吸収状態の化合物である。
一般式BaLnMn2O5+δで表される遷移金属酸化物であるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物は、AサイトにBaとLnを有し、Bサイトにマンガンを有するペロブスカイト関連化合物(perovskite-related compounds)であり、酸素6つと結合した八面体構造(octahedrally-coordinated structures)、あるいは酸素5つと結合したピラミッド構造(pyramidally-coordinated structures)から成る。結晶構造の模式図を以下に示す。酸素6つと結合した八面体構造はδ=0.5とδ=1の化合物において現れ、酸素5つと結合したピラミッド構造はδ=0とδ=0.5の化合物に現れる。δ=0.5の場合は、八面体構造とピラミッド構造が共存する。
一般式BaLnMn2O5+δで表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物は、例えば、非特許文献3〜5において報告されており、物質としては知られている。一般式BaLnMn2O5で表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物(δ=0)の製法は、例えば、金属硝酸塩等の塩を出発原料とし、クエン酸法(citrate routes)により作製した前駆体を用いて、真空封管法(vacuum encapsulation method)により合成することができる。あるいは、金属酢酸酸塩等の塩を出発原料とし不活性雰囲気下で焼成する方法(不活性雰囲気下焼成法(firing under inert atmospheres))によっても合成することはできる。
また、δ=0.5とδ=1の化合物は、一般式BaLnMn2O5で表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物(δ=0)を含酸素雰囲気中でのポストアニール(post-annealing)(後熱処理(post-heat treatment))すること、あるいは電解酸化すること(electrochemical oxidation)で得られる。ポストアニールによるδ=0.5の化合物及びδ=1の化合物の調製は、Lnの種類及びδに応じて、含酸素雰囲気中の酸素濃度及び温度条件をコントロールすることで実施できる。δ=0.5の化合物は、δ=0の化合物を酸化する以外にδ=1の化合物を還元雰囲気下で部分還元することでも調製できる。δ=1の化合物は、例えば、酸素または空気あるいはその他の含酸素雰囲気中で、200〜600℃、0.5〜12時間の条件で調製することができる。δ=0.5の化合物は、δ=1まで酸化が進まず、δ=0.5で止めるために、δ=1の化合物の調製の場合に比べてLnの種類に応じて酸化条件を厳密に制御する必要がある。LnがYの場合、δ=0の化合物を、例えば、0.1vol%以下の酸素濃度の含酸素雰囲気中で700〜750℃、3〜12時間加熱することで、δ=0.5の化合物が得られる。あるいは、δ=1の化合物(相)を調製し、これを窒素中で750℃、3〜12時間加熱することでもδ=0.5の化合物が得られる。LnがLa, Nd, Gdの場合、δ=0の化合物を、例えば、0.1vol%以下の酸素濃度、200〜350℃で加熱しながらTGで重量の経時変化を測定し、δ=0.5に相当する重量増加の所で試料を急冷することでδ=0.5の化合物が得られる。
さらに、一般式BaLnMn2O5+δで表されるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物のδ=0、δ=0.5及びδ=1の各化合物は、X線回折実験(X-ray diffraction analyses) により判別できる。
真空封管法では、硝酸バリウム、遷移金属酸化物(transition metal oxides)及び希土類硝酸塩(rare earth element nitrates)を所定の比率でクエン酸と混合してゲル化した後、ゲル化した混合物を空気中で350〜600℃で0.1〜6時間、次いで窒素雰囲気下で900〜1000℃で1〜72時間加熱して酸化物前駆体を形成する。次いで酸化物前駆体を酸素ゲッター(例えば、一酸化鉄FeO)の存在下に真空封管し、1000〜1200℃で1〜72時間加熱し、加熱終了後に急冷することで、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物が得られる。
不活性雰囲気下焼成法では、酢酸バリウム、遷移金属酢酸塩及び希土類酢酸塩を所定の比率で混合し、酢酸水溶液とした後、得られた酢酸水溶液を60〜70℃で加熱して水を除去し、次いで空気中で350〜600℃で0.1〜6時間加熱して前駆体を形成する。次いで前駆体を窒素雰囲気下(好ましくは窒素気流中)、900〜1100℃で1〜72時間加熱することで、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物が得られる。
真空封管法の方が、結晶性が良好なダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物が得られる傾向があり、不活性雰囲気下焼成法では、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の結晶性がやや劣ることがある。一方、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の表面積は、不活性雰囲気下焼成法で得られた試料の方が大きい傾向がある。但し、結晶性及び表面積については、不活性雰囲気下焼成法の条件を最適化することで、より良好な結晶性を有し、かつ触媒として有利なより大きな表面積を有するダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物を得ることができる。また、不活性雰囲気下焼成法の方が、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の量産には向いている。
ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の同定は、X線回折実験(例えば、Rigaku Ultima IV利用)により行うことができ、酸素量の分析は、例えば、ヨウ素滴定(iodometric titration)により行うことができる。ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の表面積は、例えば、0.1〜100m2/gの範囲であることができ、好ましくは、0.2〜100m2/gの範囲であることができ、より好ましくは、0.3〜100m2/gの範囲であることができる。本発明で用いるダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の粒径については特に制限はないが、平均粒径は例えば、10nm〜10μm、好ましくは100nm〜5μm、より好ましくは200nm〜2μm程度である。但しこれらは単なる例示であり、これらの範囲に限定される意図ではない。
ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物が触媒する酸素還元反応は、例えば、水溶液中での酸素分子の還元反応である。
実施例において具体的に示すが、いずれの試料も高いORR活性を示すことが判明したが、中でもLnにLaやNdを用いたBaLaMn2O5、BaNdMn2O5が特に優れていた。さらに微粒子化したBaLaMn2O5では、4 mol dm-3 KOH水溶液中で約0.925 V vs RHE@50μA/cm2というORRに対する小さな過電圧(overvoltage)、及び、約-0.73 mA/cm2@0.8 V vs RHEという大きな還元電流を観測した。これは同条件で測定した従来材料であるLaNiO3の0.910 V vs RHE@50μA/cm2よりも過電圧が小さく、-0.36 mA/cm2 @0.8 V vs RHEの電流値の約2倍もの値であった。
本発明のダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物BaLnMn2O5では、Lnサイトの元素を変えることによりMnの形式価数が同一であるにもかかわらず、ORR活性を変化させることができ、特にLaやNdを用いることで高活性ORR触媒として働く。さらに不活性雰囲気下焼成法によりグラムオーダーで作製したBaLaMn2O5微粒子試料では、遷移金属高活性触媒としてこれまで報告されているLaNiO3の2倍ものORR活性を達成した。
これは、次世代型高容量二次電池(New generation high capacity secondary (rechargeable) batteries)として期待されている金属空気二次電池(metal-air secondary batteries)やアルカリ形燃料電池(alkaline fuel cells)の空気極(air electrodes)として極めて有望である。
<酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物>
酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物は酸素欠損を有することを特徴とし、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物と同様に、ORR反応において優れた触媒活性を有する。ペロブスカイト型遷移金属酸化物触媒に酸素欠損を意図的に導入することで、酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物触媒を得ることができる。
本発明で触媒として用いる酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物は、例えば、一般式Ln1-xA”xMn1-yB”yO3-δで示すことができる。Lnは、La、Pr、Nd、Sm、Eu、及びGdからなる少なくとも1種の遷移金属であることができる。A”は、価数が+3価未満の原子であり、例えば、アルカリ土類金属(例えば、Ca、Sr)原子であることができる。B”は、価数が+3価未満の原子であり、例えば、+3価未満の価数を示す遷移金属原子であることができる。式中のx及びyは、例えば、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5であることができる。また、δは、化合物を構成する原子の種類と量により適宜変化するが、例えば、0<δ<(x+y)/2を満たす範囲である。但し、この範囲に限定される意図ではない。
前述のように一般にペロブスカイトは一般式ABO3で示され、AやBサイトに+3価のカチオンを有しており、化合物全体として価数が0になっている。そこで、AやBサイトの一部を+2価のカチオンで一部置換することで、化合物全体のカチオンを減らし、これに伴い酸素アニオンを減少させることで酸素欠損が導入される。
一例として、一般式Ln1-xA”xMn1-yB”yO3-δにおけるA”がCaであり、B”がNiである化合物は、一般式La1-xCaxMn1-yNiyO3-δで示され、酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物である。以下、La1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、δ>0)を例に、ペロブスカイト型遷移金属酸化物について説明する。
La1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、δ>0)で表される遷移金属酸化物である酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物は、Aサイトに例えば、LaとCaを有し、BサイトにMnとNiを有するペロブスカイト関連化合物であり、酸素6つと結合した八面体構造、酸素5つと結合したピラミッド構造、あるいは酸素4つと結合した平面四角形構造(square-coordinated structures)などから成る。結晶構造の模式図を以下に示す。酸素5つと結合したピラミッド構造は、酸素欠損と隣接するMn、あるいはNiサイトに存在する。
La1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)で表される遷移金属酸化物である酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物は、例えば、非特許文献6において報告されており、物質としては知られている。La1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)で表される遷移金属酸化物である酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物の製法は、例えば、金属硝酸塩等の塩を出発原料とし、クエン酸法により作製した前駆体を用いて、クエン酸ゲル化法(citrate polymerization methods)により合成することができる。
また、La1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、δ>0)で表される遷移金属酸化物である酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物は、X線回折実験により判別できる。
クエン酸ゲル化法では、硝酸ランタン、硝酸カルシウム、及び遷移金属酸化物を所定の比率でクエン酸と混合してゲル化した後、ゲル化した混合物を空気中で350〜450℃で0.1〜6時間加熱して酸化物前駆体を形成する。次いで、600〜1000℃で3〜12時間加熱することで、酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物が得られる。
酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物の同定は、X線回折実験(例えば、Rigaku Ultima IV利用)により行うことができ、酸素量の分析は、例えば、ヨウ素滴定または水素還元分解時の熱重量分析により行うことができる。ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物の表面積は、例えば、0.1〜100 m2/gの範囲であることができ、好ましくは、0.2〜100m2/gの範囲であることができ、より好ましくは、0.3〜100m2/gの範囲であることができる。本発明で用いる酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物の粒径については特に制限はないが、平均粒径は例えば、10nm〜10μm、好ましくは100nm〜5μm、より好ましくは200nm〜2μm程度である。但しこれらは単なる例示であり、これらの範囲に限定される意図ではない。
酸素欠損を有するペロブスカイト型遷移金属酸化物が触媒する酸素還元反応は、例えば、水溶液中での酸素分子の還元反応である。
実施例において具体的に示すが、例えばLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5、δ>0)において、x=0.1〜0.3の試料が高いORR活性を示すことが判明したが、中でもx=0.1を用いたLa0.9Ca0.1Mn0.5Ni0.5O3-δが特に優れていた。さらにNi/Mn比を調整することで、x=0.4、y=0.1のLa0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-δにおいて、4 mol dm-3KOH水溶液中で約0.940 V vs RHE@50μA/cm2というORRに対する小さな過電圧、及び、約-0.55 mA/cm2@0.9 V vs RHEという大きな還元電流を観測した。これは同条件で測定した従来材料であるLaNiO3の0.910 V vs RHE@50μA/cm2よりも過電圧が小さく、-0.09 mA/cm2 @0.9 V vs RHEの電流値の約6倍もの値であった。
本発明のLa1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)では、AサイトのCa置換量、及びBサイトのNi置換量を変えることにより酸素欠損を導入し、ORR活性を変化させることができ、特に10%程度のCa置換を行うことで高活性ORR触媒として働く。さらにCa置換量、及びNi置換量を最適化したLa0.9Ca0.1Mn0.5Ni0.5O3-δでは、遷移金属高活性触媒としてこれまで報告されているLaNiO3の6倍ものORR活性を達成した。
これは、次世代型高容量二次電池として期待されている金属空気二次電池やアルカリ形燃料電池の空気極として極めて有望である。
<空気極>
空気極は、通常、多孔質構造(porous structures)を有し、酸素還元反応触媒の他、導電性材料(electro-conductive material)を含む。また、空気極は、必要に応じて、酸素発生反応(Oxygen Evolution Reaction (OER))触媒、バインダー等を含んでいてもよい。二次電池における空気極には、充電(charging)時の機能としてOER触媒活性と、放電(discharging)時の機能としてORR触媒活性を有することを要する。本発明の触媒はORR触媒であるので、空気極には、この触媒に加えて、OER触媒を含有させることもできる。空気極における充電及び放電時の化学式を以下に示す。
空気極における本発明の触媒(ORR触媒)の含有量は、特に限定されないが、空気極の酸素還元反応性能を高める観点から、例えば、1〜90質量%であることが好ましく、特に10〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
OER触媒の例としては、特に制限はないが、例えば、貴金属酸化物(例えば、IrO2、RuO2など)、NiまたはNi系材料(例えば、NiOなど)、Co系材料(例えば、Co3O4、)、ペロブスカイト酸化物(例えば、BaxSr1-xCoxFe1-xO3、SrCoO3、LaNiO3、La1-xCaxCoO3、LaFe1-xNixO3、LaMnO3など)、スピネル酸化物(例えば、CoFe2O4、NiCo2O4、MnxCu1-xCo2O4、など)、金属有機構造体(例えば、CoやFeを含むMOFなど)、錯体系(例えば、Co-ポルフィリン錯体、など)、グラフェン複合系(例えば、CoO/グラフェン、Co-Fe/グラフェン、など)、その他(例えば、NiCo2S4、Mn2O3、など)を挙げることができる。
但し、これらに限定される意図ではない。また、各触媒の性能や性質を考慮して複数の触媒を組み合わせて用いることもできる。さらに上記触媒には、助触媒(例えば、TiOx、RuO2、SnO2など)を組み合わせて用いることもできる。OER触媒を併用する場合の含有量は、OER触媒の種類や触媒活性等を考慮して適宜決定することができ、例えば、1〜90質量%であることができる。但し、この数値範囲に限定される意図ではない。
導電性材料としては、特に限定されず、導電助剤として一般的に使用可能なものであればよいが、好適なものとして導電性カーボンが挙げられる。具体的には、メソポーラスカーボン、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等が挙げられる。空気極において多くの反応場を提供することから、比表面積が大きい導電性カーボンが好ましい。具体的には、比表面積が1〜3000m2/g、特に500〜1500m2/gである導電性カーボンが好ましい。空気極の触媒は、導電性材料に担持させてもよい。
空気極における導電性材料の含有量は、特に限定されないが、放電容量を高める観点から、例えば、10〜99質量%であることが好ましく、特に20〜80質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
空気極にバインダーを含有させることで、触媒や導電性材料を固定化し、電池のサイクル特性を向上させることができる。バインダーとしては特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びその共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びその共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。空気極におけるバインダーの含有量は、特に限定されないが、カーボン(導電性材料)と触媒との結着力の観点から、例えば、1〜40質量%であることが好ましく、特に5〜35質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
空気極は、例えば、上記した空気極構成材料を適当な溶媒に分散させて調製したスラリーを基材上に塗布、乾燥することで形成することができる。溶媒としては、特に限定されず、例えば、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。空気極構成材料と溶媒との混合は、通常、3時間以上、好ましくは4時間行うことが好ましい。混合方法は特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。
スラリーを塗布する基材は、特に限定されず、ガラス板、テフロン(登録商標)板等が挙げられる。これら基材は、スラリーの乾燥後、得られた空気極から剥離される。或いは、空気極の集電体や、固体電解質層を、上記基材として扱うこともできる。この場合、基材は剥離せずに、金属空気二次電池の構成部材としてそのまま利用する。
スラリーの塗布方法、乾燥方法は、特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。例えば、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法等の塗布方法、加熱乾燥、減圧乾燥等の乾燥方法を採用することができる。
空気極の厚さは、特に限定されず、金属空気二次電池の用途等に応じて適宜設定すればよいが、通常、5〜100μm、10〜60μm、特に20〜50μmであることが好ましい。
空気極には、通常、空気極の集電を行う空気極集電体が接続される。空気極集電体の材料、形状は特に限定されない。空気極集電体の材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、炭素(カーボン)等が挙げられる。また、空気極集電体の形状としては、箔状、板状、メッシュ(グリッド状)、繊維状等が挙げられ、中でもメッシュ状等の多孔質形状であることが好ましい。多孔質形状の集電体は、空気極への酸素供給効率に優れているからである。
<金属空気二次電池>
本発明の金属空気二次電池は、上記したダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物を含む触媒を含有する空気極と、負極活物質を含有する負極と、空気極と負極との間に介在する電解質と、を有する。本発明の金属空気二次電池の空気極には、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物を含む触媒が含有され、この触媒は優れたORR触媒特性を示す。従って、この触媒を用いた空気極を用いることで、本発明の金属空気二次電池は、充電速度及び充電電圧に優れたものとなる。
また、空気極は前記のようにOER触媒活性を有する触媒を共存させることもできる。あるいは、ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物を含む触媒を含有する酸素発生(ORR)用の空気極とは別に、OER触媒活性を有する触媒を含む酸素反応(OER)用の空気極を設けることもできる。この場合、金属空気二次電池は、酸素還元用の空気極と酸素発生用の空気極とを有することになる(3電極方式)。放電時には酸素還元用の空気極が用いられ、充電時には酸素発生用の空気極が用いられる。OER触媒活性を有する触媒は前述の通りであり、この触媒と上記空気極の説明で記載した導電性材料及びバインダー等を用いて酸素発生用の空気極を得ることができる。
以下、本発明の金属空気二次電池の一構成例について説明する。尚、本発明の金属空気二次電池は、以下の構成に限定されるものではない。図8は、本発明の金属空気二次電池の一形態例を示す断面図である。金属空気二次電池1は、酸素を活物質とする空気極2、負極活物質を含有する負極3、空気極2及び負極3の間でイオン伝導を担う電解質4、空気極2の集電を行う空気極集電体5、及び負極3の集電を行う負極集電体6からなり、これらが図示しない電池ケースに収容されている。空気極2には、該空気極2の集電を行う空気極集電体5が電気的に接続され、空気極集電体5は、空気極2への酸素供給が可能な多孔質構造を有している。負極3には、該負極3の集電を行う負極集電体6が電気的に接続され、空気極集電体5及び負極集電体6の端部のうち一方は、電池ケースから突出している。それぞれ、正極端子(図示せず)、負極端子(図示せず)として機能する。
(負極)
負極は、負極活物質を含有する。負極活物質としては、一般的な空気電池の負極活物質を用いることができ、特に限定されるものではない。負極活物質は、通常、金属イオンを吸蔵・放出することができるものである。具体的な負極活物質としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Al、及びFe等の金属、これら金属の合金、酸化物及び窒化物、並びに炭素材料等が挙げられる。
中でも、亜鉛−空気二次電池(Zinc-air secondary batteries)は安全面において優れており、次世代の二次電池として期待されている。尚、高電圧高出力という観点からはリチウム−空気二次電池及びマグネシウム空気二次電池が有望である。
亜鉛−空気二次電池の例を以下に説明すると、反応式は以下の通りである。
本発明の亜鉛−空気二次電池において、負極としては、亜鉛イオンを吸蔵・放出可能な材料を用いる。このような負極としては、金属亜鉛のほかに、亜鉛合金を用いることもできる。亜鉛合金としては、例えば、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、スズ、チタン、銅、から選択される一種または二種以上の元素を含有する亜鉛合金を挙げることができる。
リチウム−空気二次電池の負極活物質としては、例えば金属リチウム;リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等のリチウム合金;スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等の金属酸化物;スズ硫化物、チタン硫化物等の金属硫化物;リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等の金属窒化物;並びにグラファイト等の炭素材料等を挙げることができ、中でも金属リチウムが好ましい。
さらに、マグネシウム−空気二次電池の負極活物質としては、マグネシウムイオンを吸蔵・放出可能な材料を用いる。このような負極としては、金属マグネシウムのほかに、マグネシウムアルミニウム、マグネシウムシリコン、マグネシウムガリウムなどのマグネシウム合金などを用いることができる。
箔状や板状の金属や合金等を負極活物質として用いる場合には、該箔状や板状の負極活物質を負極そのものとして使用することができる。
負極は、少なくとも負極活物質を含有してればよいが、必要に応じて、負極活物質を固定化する結着材を含有していてもよい。結着材の種類、使用量等については、上述した空気極と同様であるため、ここでの説明は省略する。
負極には、通常、負極の集電を行う負極集電体が接続される。負極集電体の材料、形状は特に限定されない。負極集電体の材料としては、例えば、ステンレス、銅、ニッケル等が挙げられる。また、負極集電体の形状としては、箔状、板状、メッシュ(グリッド状)等が挙げられる。
(電解質)
電解質は、空気極と負極との間に配置される。電解質を介して、負極と空気極との間の金属イオン伝導が行われる。電解質の形態は、特に限定されるものではなく、液体電解質、ゲル電解質、固体電解質等を挙げることができる。
電解液は、負極が亜鉛又はその合金の場合を例に挙げれば、酸化亜鉛を含む水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いてもよいし、塩化亜鉛や過塩素酸亜鉛を含む水溶液を用いてもよいし、過塩素酸亜鉛を含む非水系溶媒や亜鉛ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドを含む非水系溶媒を用いてもよい。また、負極がマグネシウム又はその合金の場合を例に挙げれば、過塩素酸マグネシウムやマグネシウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドを含む非水系溶媒を用いてもよい。ここで、非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)など従来の二次電池やキャパシタに使われる有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。あるいは、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(am)などのイオン性液体を用いることもできる。
本発明の二次電池において、電解液は、デンドライト生成防止剤を含むことが好ましい。デンドライト生成防止剤は、充電時に負極表面に吸着して結晶面間のエネルギー差を小さくし、優先配向を防ぐことによりデンドライトの発生を抑制すると考えられる。デンドライト生成防止剤については特に限定はないが、例えば、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類及び非対称ジアルキルスルフォン類からなる群より選ばれた少なくとも1種のものであることができる(例えば、日本特開2009-93983号公報参照)。また、デンドライト生成防止剤の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば常温常圧で電解液に飽和する量だけ用いてもよいし、溶媒として用いてもよい。
リチウムイオン伝導性を有する液体電解質は、通常、リチウム塩及び非水溶媒を含有する非水電解液である。上記リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6等の無機リチウム塩;並びにLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiC(CF3SO23等の有機リチウム塩等を挙げることができる。
上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン及びこれらの混合物等を挙げることができる。非水溶媒としては、イオン液体を用いることもできる。
非水電解液におけるリチウム塩の濃度は、特に限定されないが、例えば0.1mol/L〜3mol/Lの範囲内であることが好ましく、好ましくは1mol/Lである。尚、本発明においては、非水電解液として、例えばイオン性液体等の低揮発性液体を用いてもよい。
リチウムイオン伝導性を有するゲル電解質は、例えば、上記非水電解液にポリマーを添加してゲル化することで得ることができる。具体的には、上記非水電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF、Arkema社製商品名Kynar(登録商標)など)ポリアクリロニトリル(PAN)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加することにより、ゲル化を行うことができる。
リチウムイオン伝導性を有する固体電解質としては、特に限定されず、リチウム金属空気二次電池で使用可能な一般的な固体電解質を用いることができる。例えば、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43等の酸化物固体電解質;Li2S−P25化合物、Li2S−SiS2化合物、Li2S−GeS2化合物等硫化物固体電解質;を挙げることができる。
電解質の厚さは、電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば10μm〜5000μmの範囲内であることが好ましい。
(付属構成)
本発明の金属空気二次電池において、空気極と負極との間には、これら電極間の電気的絶縁を確実に行うために、セパレータが配置されることが好ましい。セパレータは、空気極と負極との間の電気的絶縁が確保可能であると共に、空気極と負極との間に電解質が介在することが可能な構造を有していれば特に限定されない。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ガラスセラミックス等の多孔膜;及び樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。中でも、ガラスセラミックス製のセパレータが好ましい。
また、金属空気二次電池を収納する電池ケースとしては、一般的な金属空気二次電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースの形状としては、上述した空気極、負極、及び電解質を保持することができれば特に限定されるものではないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。
本発明の金属空気二次電池は、空気極に活物質である酸素が供給されることにより、放電が可能となる。酸素供給源としては、空気の他、酸素ガス等が挙げられ、好ましくは酸素ガスである。供給する空気又は酸素ガスの圧力は特に限定されず、適宜設定すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例1
<ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物>
合成例
ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物BaLnMn2O5(Ln: Y, Gd, Nd,又はLa)は、真空封管法及び不活性雰囲気下焼成法により合成した。
真空封管法
真空封管法では原料としてBa(NO3)2、Ln2O3、Mn(NO3)2を用いて硝酸塩水溶液を調製し、この水溶液を加熱攪拌してゲル化後、空気中450℃で1時間、1000℃で24時間仮焼することで前駆体を合成した。これを酸素ゲッターであるFeOと共に石英管に真空封入し、1100℃で24時間焼成後、氷水中で急冷することで合成した。
不活性雰囲気下焼成法
BaLaMn2O5の不活性雰囲気下焼成法では、原料としてBa(CH3COO)2、La(CH3COO)3・1.5H2O、Mn(CH3COO)2・4H2Oを用いて酢酸塩水溶液を調製し、この水溶液を加熱攪拌してゲル化後、空気中350℃で1時間仮焼することで前駆体を合成した。これを窒素気流中、1000℃で12時間焼成することで合成した。
得られた試料に対してX線回折により相同定および構造解析を行った。シミュレーションにより求めたX線回折パターンおよび既報[1〜4]より、真空封管法によりBaLnMn2O5(Ln: Y, Gd, Nd, La)の単一相が合成できていることを確認した(図1)。また不活性雰囲気下焼成法においても、X線回折より、やや結晶性は低いものBaLaMn2O5が合成できていることを確認した(不純物として若干のMnOあり)(図2)。なお、δ=0.5、あるいはδ=1の場合は、δ=0の場合に比べ、各ピーク位置が0.2°程度高角側にシフトするため、本試料は高角のシフトがないので、δ=0の酸素欠損を有していることも確認できた。

[1] F. Millange, E. Suard, V. Caignaert and B. Raveau, Mater. Res. Bull. 1999, 34, 1-9. (非特許文献3)
[2] M. Karppinen, H. Okamoto, H. Fjellag, T. Motohashi and H. Yamauchi, J. Solid State Chem. 2004, 177, 2122-2128.
[3] F. Millange, V. Caignaert, B. Domenges and B. Raveau, Chem. Mater. 1998, 10, 1974-1983.
[4] S. V. Trukhanov, I. O. Troyanchuk, M. Hervieu, H. Szymczak and K. Baerner, Phys. Rev. B 2002, 66, 184424/1-84424/10.
これらについて、走査型電子顕微鏡(SEM)において、その粒径、及び表面積を評価した。真空封管により合成した試料は、どの試料についても平均粒径が1〜2μm程度であり、表面積も0.25〜0.75 m2 g-1程度と同程度であることを確認した(図3)。
また不活性雰囲気下焼成法により合成したBaLaMn2O5では、数百nm程度と微粒子化されており、窒素吸着法により評価した表面積は3.93 m2 g-1と真空封管法により合成したものの約10倍であることが分かった(図4)。
電極作製 (図5参照)
得られたBaLnMn2O5(Ln: Y, Gd, Nd, La)と、硝酸に80℃で一晩浸漬した後に洗浄乾燥したアセチレンブラック、及びNaOHで中和したNafion(R)を重量比5:1:1で混合し、適量のエタノールを加えて触媒懸濁液を調製した。これをダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物触媒が1.0 mg/cm2の割合になるようにグラッシーカーボン(GC)電極上に滴下し、室温乾燥することでORR触媒とした。また比較用として、金属硝酸塩を出発原料とし、クエン酸法により作製した前駆体を酸素気流中850℃で焼成して得たLaNiO3遷移金属触媒(表面積3.07 m2 g-1)についても同様の方法でGC電極に塗布した。
電気化学測定(図5参照)
電気化学測定(electrochemical measurements)には三電極式(Three-electrode system)のテフロン(登録商標)製電気化学セル(electrochemical cells)を用い、対極には白金板、参照極(reference electrode)にはHg/HgO/KOHを用いた。掃引速度(sweep rate)1 mV/sで-0.324〜0.076 V vs Hg/HgO/KOH(1.00〜0.60 V vs RHE)の電位範囲で掃引し、電解液にはAr飽和4.0 mol dm-3のKOH水溶液で測定した後、O2飽和溶液にて同じ電位範囲で測定し、これらの電流値の差よりORR活性を評価した。
真空封管法により合成したBaLnMn2O5(Ln: Y, Gd, Nd, La)について電気化学測定を行った結果、BaYMn2O5、BaGdMn2O5、BaNdMn2O5、BaLaMn2O5の全ての試料において、0.9〜0. 85 V vs RHE付近からORRに由来する電流が観測された。またそれぞれにおいて、-50μA cm-2における電位に注目すると、Lnのイオン半径が大きくなるにしたがって、電位が大きくなりORRに対する過電圧が小さくなっていることが分かった。中でもLa、及びNdを用いた際には高いORR活性を示すことを見出した(図6)。
真空封管法はミリグラムオーダーでの合成に適しているが、次世代高容量二次電池として期待されている金属空気二次電池の空気極として応用する際には、グラムオーダーでの合成方法が必要である。
そこで、上述の方法にて最も高活性であったBaLaMn2O5を不活性雰囲気下焼成法により合成した試料について、同様にしてORR活性を評価した。その結果、-50μA cm-2における電位は0.925 V vs RHEであり、真空封管法により合成したものに比べ、0.05 V以上の過電圧の低減に成功した。これは現在、ORRに対して最も高活性が遷移金属酸化物の1つであるLaNiO3(0.910 V vs RHE@50μA/cm2)よりも過電圧が小さい。また電流値についても、0.8 V vs RHEにおいてLaNiO3が-0.36 mA/cm2であるのに対し、不活性雰囲気下焼成法により合成したBaLaMn2O5は-0.73 mA/cm2と2倍以上の還元電流を得ることができており、ORRに対して極めて高活性な遷移金属酸化物触媒の合成に成功した(図7)。
実施例2
<酸素欠損ペロブスカイト型>
合成例
酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物La1-xCaxMn1-yNiyO3-δは、硝酸塩を用いたクエン酸ゲル化法により合成した。原料としてLa(NO3)3・6H2O、Ca(NO3)2・4H2O、Ni(NO3)2・6H2O、Mn(NO3)2・6H2O、クエン酸を用いて混合し、ゲル化後空気中350℃で1時間仮焼することで前駆体を合成した。これをさらに、600℃で12時間焼成することで合成した。
得られた試料に対してX線回折により、相同定および構造解析を行った結果を図9に示す。シミュレーションにより求めたX線回折パターンより、Ca置換量とNi置換量の合計が50%以上の場合に、600℃といった低温でアモルファス相を含まない結晶微粒子の合成が確認された。
図10に600℃焼成により得られたLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5)のXRDパターンを示す。La1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.2)において、単一相が合成できていることを確認した。一方、x > 0.3では、NiOの不純物相の形成を確認した。また、Ca置換量の増加に伴い、XRDピークの高角側へのシフトが確認され、MnやNiの価数の連続的な上昇が示唆された。
図11に各試料のSEM像を示す。どの試料についても平均粒径が30〜40 nm程度であり、また窒素吸着測定により表面積を求めると、表面積も20〜30 m2 g-1程度と同程度であり、高表面積であることを確認した。
電極作製
得られたLa1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、δ>0)と、硝酸に80℃で一晩浸漬した後に洗浄乾燥したアセチレンブラック、及びNaOHで中和したNafion(R)を重量比5:1:1で混合し、適量のエタノールを加えて触媒懸濁液を調製した。これをペロブスカイト型遷移金属酸化物触媒が1.0 mg/cm2の割合になるようにグラッシーカーボン(GC)電極上に滴下し、室温乾燥することでORR触媒とした。また比較用として、金属硝酸塩を出発原料とし、クエン酸法により作製した前駆体を酸素気流中850℃で焼成して得たLaNiO3遷移金属触媒(表面積3.07 m2 g-1)についても同様の方法でGC電極に塗布した。電気化学測定には三電極式のテフロン(登録商標)製電気化学セルを用い、対極には白金板、参照極にはHg/HgO/KOHを用いた。掃引速度1 mV/sで所定の電位範囲で掃引し、電解液にはAr飽和4.0 mol dm-3のKOH水溶液で測定した後、O2飽和溶液にて同じ電位範囲で測定し、これらの電流値の差よりORR活性を評価した。
クエン酸ゲル化法により合成したLa1-xCaxMn0.5Ni0.5O3-δ(0≦x≦0.5)について電気化学測定を行った結果を図12に示す。全ての試料において、0.93〜0.90 V vs RHE付近からORRに由来する電流が観測された。またそれぞれにおいて50 μA cm-2における電位に注目すると、10%Ca部分置換を行うことで、ORRに対する過電圧がLaNiO3よりも小さいことが分かった。これらのORR活性をCa置換量に対してプロットした結果、ORR活性について、10%置換で活性が大きく向上し、その後一定となり、NiO不純物が生成する30%以上から活性が低下することが分かった。即ち、この系では、xは0.1〜0.3の範囲が好ましい。
これらの活性向上の原因を調べるために、各試料の放射光によるXAFS測定を行った。その結果を図13に示す。得られた動径分布関数から、ORR活性の向上が見られるCa10%置換において、Mn、Ni原子からもっとも近い酸素に由来するピーク強度が減少しており、また活性がほぼ同じである10%置換と20%置換ではピーク強度がほぼ一定であることが分かった。これらのことは、10%Ca置換の際に、ORR活性サイトであるMnやNiの周りに酸素欠損が生成していることを示唆しており、酸素欠損による活性向上が確認された。一方、Ca置換によりMn、Niの価数の向上も確認されているが、これはCa置換量に対して単調に増加しており、ORR活性変化と一致していない。
また、さらに酸素欠損量をより明確に評価するために、Ca置換量0〜20%の試料について熱重量(TG)分析を行った結果を図14に示す。各試料に対して、酸素中400℃で前処理を行うことで吸着している詩文の除去を行った後、5%水素、95%アルゴン混合雰囲気下において、1℃/minの昇温速度で分析を行った。その結果、Ca置換なしでは酸素量が3.02であるのに対し、Ca10%置換では2.96と酸素量が減少しており、酸素欠損が生じていることが明らかとなった。またCa20%置換においては酸素量が2.97とCa10%置換とほとんど変化しておらず(図14左図)、これらの酸素量の変化とORR過電圧の変化(図14右図)からも、酸素欠損が生じることによりORR活性が向上していることが示唆された。
さらにNi置換量を最適化した際のORR活性を図15に示す。Ni置換量を0.5から0.1に減少させることにより、ORR活性が極めて大きく向上することが分かった。ただし、600℃での低温焼成を行うために、Ni置換量の減少に伴うCa置換量の最適化を行った。その結果、La1-xCaxMn1-yNiyO3-δ(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)において、x=0.4、y=0.1にすることで、50 μA cm-2における電位は約0.940 V vs RHEというこれまでにない小さな過電圧を達成した。これは現在、ORRに対して最も高活性な遷移金属酸化物の1つであるLaNiO3(0.910 V vs RHE@50 μA/cm2)よりも過電圧が0.03 Vほど小さい。また電流値についても、0.9 V vs RHEにおいてLaNiO3が-0.09 mA/cm2であるのに対し、約-0.55 mA/cm2@0.9 V vs RHEという、LaNiO3の6倍もの大きな還元電流を得ることができており、これまで報告してきた酸素欠損を有するダブルペロブスカイト型BaLaMn2O5+δをもしのぐ、ORRに対して極めて高活性な遷移金属酸化物触媒の合成に成功した。
次に最もORR活性に優れていたx=0.4、y=0.1(La0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-d)の試料について、ORR条件下での安定性を評価した。評価条件を以下に示し、結果を図16、17に示す。
安定性は、酸素飽和4 mol dm-3 KOH水溶液中においてORRが起こる0.6 V vs RHEで24 h定電位保持し、その前後でのXRD測定、及びORR活性評価を行うことで評価した。定電位保持前後でのXRD測定の結果(図16)より、定電位保持後もLa0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-dのパターンが確認されており、導電性補助剤として加えているアセチレンブラック(AB)以外のピークも現れていないことから、定電位保持後も不純物が生成しておらず、安定であることが分かった。
また0.6 V vs RHE定電位保持中の電流値変化(図17左図)より、電位保持中に大きな電流変化が起こっていないことが分かった。さらに定電位保持前後でのORR活性比較(図17右図)より、電流電位曲線に大きな変化は見られず、このことからもLa0.6Ca0.4Mn0.9Ni0.1O3-dがORRに対して安定であることが示唆された。
本発明は、二次電池、次世代型高容量二次電池として期待されている金属空気二次電池や、光水分解による水素製造の分野において有用である。

Claims (13)

  1. ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む酸素還元反応用触媒であって、
    前記ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物が、一般式BaLnMn 2 O 5+δ (式中、LnはNd及びLaから成る群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属であり、δは0〜1の数値である)で表され、
    前記酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物が、一般式A 1-x A' x Mn 1-y Ni y O 3-δ (A: +3価のカチオン、A': +2価のカチオン、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、δ>0)で表される
    前記酸素還元反応用触媒。
  2. 前記一般式BaLnMn2O5+δは、AサイトにBaとLn、Bサイトにマンガンを有するペロブスカイト関連化合物であり、酸素6つと結合した八面体構造、あるいは酸素5つと結合したピラミッド構造から成る請求項に記載の酸素還元反応用触媒。
  3. 前記一般式BaLnMn 2 O 5+δ におけるLnはLaである請求項1又は2に記載の酸素還元反応用触媒。
  4. 前記一般式A1-xA'xMn1-yNiyO3-δにおいて、AはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、及びGdから成る群から選ばれる少なくとも1種の希土類であり、A'はCa及び/又はSrである請求項に記載の酸素還元反応用触媒。
  5. 前記酸素還元反応が水溶液中での酸素分子の還元反応である請求項1〜のいずれかに記載の酸素還元反応用触媒。
  6. 表面積が0.1〜100m2/gの範囲である請求項1〜のいずれかに記載の酸素還元反応用触媒。
  7. 空気電極用である請求項1〜のいずれかに記載の酸素還元反応用触媒。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物の酸素還元反応用触媒又は空気電極用触媒としての使用。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の触媒を含む金属空気二次電池用空気極。
  10. 前記ダブルペロブスカイト型遷移金属酸化物及び酸素欠損ペロブスカイト型遷移金属酸化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物は酸素還元反応用触媒として含有され、酸素発生用触媒をさらに含む請求項に記載の空気極。
  11. 多孔質構造を有し、かつ導電性材料をさらに含む請求項9又は10に記載の空気極。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の空気極と、負極活物質を含有する負極と、前記空気極と前記負極との間に介在する電解質と、を有する金属空気二次電池。
  13. 酸素還元用触媒を含む酸素還元用空気極をさらに含む請求項12に記載の金属空気二次電池。
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