以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1Aおよび図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る給水ユニットを示す図である。給水ユニットは、ビルまたはマンションなどの建物に水を給水する給水装置であり、本発明に係るポンプユニットの一例である。図示されるように、給水ユニットは、水(水道水)を圧送するための3台の立形ポンプ1と、これらの立形ポンプ1の運転を制御する制御盤(制御装置)2と、それぞれの立形ポンプ1に接続される配管部3と、立形ポンプ1が載置される架台9とを備えている。立形ポンプ1は、複数段の羽根車(図示せず)と、羽根車の上方に配置される軸封部(図示せず)と、これらの羽根車や軸封部を収容するケーシング(図示せず)と、羽根車を回転駆動するモータ7とを備えている。立形ポンプ1の下部には吸込口5および吐出口6が設けられており、これらは同じ高さに位置している。吸込口5は受水槽25または図示しない水道本管に接続され、吐出口6は配管部3に接続されている。
配管部3は、3本の連結配管11と1本の吐出配管(吐出ヘッダ)12と吸込配管(吸込ヘッダ;図示せず)とを備えている。連結配管11の上流側の端部は各立形ポンプ1の吐出口6にそれぞれ接続されており、各連結配管11の下流側の端部は吐出配管12に接続されている。このような構成により、それぞれの立形ポンプ1から吐出された水は各連結配管11を介して吐出配管12に移送され、吐出配管12内で水の流れが合流される。
連結配管11には、流量が所定量以下である場合に切り替わるフロースイッチ14と、水の逆流を防止する逆止弁15と、連結配管11の開閉を行うスルース弁16とが設けられている。フロースイッチ14の信号線は制御盤2に接続されており、フロースイッチ14から制御盤2に流量が所定量以下の信号(小水量)が送信されるようになっている。連結配管11に流入した水は、フロースイッチ14、逆止弁15、スルース弁16の順に通過し、吐出配管12を介して外部に吐出される。なお、吐出配管12の出口12aは、例えば建物に設置されている水供給配管に接続され、水供給配管は建物内の水の需要先(例えば蛇口)に接続される。
各立形ポンプ1の吐出側には図示しない圧力センサが設けられており、立形ポンプ1から吐出された水の圧力(以下、吐出圧力ともいう)を検出する。圧力センサは制御盤2に接続されており、圧力センサから制御盤2に圧力センサの検出値が送信されるようになっている。
制御盤2はインバータ(図示せず)を備えており、このインバータによって立形ポンプ1のモータ7の回転速度が加減速されるようになっている。そして、制御盤2は、立形ポンプ1のモータ7の回転速度を制御する。
本実施形態に係る給水ユニットは自動モードを備える。自動モードでは、需要先にて水が使用(例えば、建物内の蛇口を開ける)されると立形ポンプ1を小停再始動して給水を行い、水の使用が終了(例えば、建物内の蛇口を全て閉める)すると立形ポンプ1を小水量停止する。具体的には制御盤2は、全ての立形ポンプ1が停止中に吐出圧力が任意の値(始動圧)を下回ったら、需要先にて水の使用があったと認識して立形ポンプ1を始動する。そして、圧力センサから送られてきた検出値(水の吐出圧力)に基づき、該知の推定末端圧一定制御もしくは吐出圧力一定制御にて立形ポンプ1のモータ7の回転速度を制御する
。需要先での使用水量が増加すると必要に応じて停止中の立形ポンプ1を追加する。逆に需要先での使用水量が減少すると、並列運転中の立形ポンプ1を解列する。ポンプ運転台数が1台となり、運転中の立形ポンプ1におけるフロースイッチ14が小水量の検知を行うと立形ポンプ1を停止する。停止する前に必要に応じて圧力タンク(不図示)へ昇圧してもよい。この全ての立形ポンプ1が小水量にて停止した状態を小水量停止とする。小水量停止中に上述したように吐出圧力が始動圧を下回ったら、立形ポンプ1を小停再始動する。通常は、このような自動運転モードのポンプ制御により、吸込口5から吸い込まれた水は、立形ポンプ1によって所定の圧力に昇圧され、配管部3を介して需要先にて必要な水量の搬送液が供給される。
本実施形態では、逃がし配管は、3台の立形ポンプ1のそれぞれに接続された3本の個別配管22、および3本の個別配管22が合流する集合配管23を含む。また、個別配管22は、各立形ポンプ1の羽根車より上部のケーシング部分に設けられる。各個別配管22は、他のポンプからの逆流を防ぐための逆止弁27とメンテナンス等に使用する仕切弁24(ボール弁、グローブ弁等も可)で構成され、集合配管23に接続される。集合配管23は、受水槽25または排水経路(図示せず)に通じる。さらに、集合配管23には逃がし弁26が設置される。制御盤2は、以下で説明する例のように、温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度に応じて逃がし弁26を開閉制御する。逃がし弁26は電磁弁、電動弁等の電気信号にて開閉できる流路開閉器が用いられる。また、逃がし弁26が開にて逃がし配管に水が流れ、立形ポンプ1外へ排水される。
温度センサ20は、締切運転や小水量運転した際に最も水温が上昇する部分に取付けるのが最も効果的である。締切運転や小水量運転の時には、羽根車の回転エネルギーが熱エネルギーに変換され水温が上昇するため、立形ポンプ1において最も水温が上昇する部分は羽根車最終段近辺であり、ケーシング上部になる。温度センサ20は最上段羽根車近傍に埋め込んでも良いし、ケーシングの外面に貼り付けても良い。ケーシングの外側に温度センサ20を取り付けることにより、ポンプを分解しなくても温度センサ20を取り付け又は取り外しすることができメンテナンス性が向上するとともに、温度センサ20を非防水とすることができ、更には温度センサ20の制御盤2への信号線の配線も容易に行うことができるという効果がある。また、上述したように立形ポンプ1のケーシング内には、羽根車の上部に軸封部が設けられている。軸封部は摺動するため発熱しやすい。温度センサ20を立形ポンプ1の羽根車より上部に取り付けることにより、軸封部の発熱をより正確に検知することが出来るため、より効果的に逃がし弁26の制御を行うことが出来る。
ここで、例えば制御盤2の故障などによって逃がし弁26が制御できない場合には、常時逃がし配管にて排水するように、逃がし弁26は通電時閉となる流路開閉器を使用することが好ましい。制御盤2からの信号線が断線等にて故障した場合には、立形ポンプ1の温度に関わらず逃がし弁26が開かれることで、水の無駄は発生するものの、立形ポンプ1が高温となり立形ポンプ1が運転不可となるのを防止して給水を継続することができる。
図2は、本発明の第1の実施形態における逃がし弁26の制御について模式的に示す図である。図示された例において、制御盤2は、例えば締切運転のために運転中のポンプの温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇した場合には、需要先にて水の使用中であっても該当する立形ポンプ1を停止させる。一方、制御盤2は、温度Tが第1の閾値T1よりも低い第2の閾値T2(50℃)まで上昇した場合に逃がし弁26を開く。図では、逃がし弁26を開いたことによって温度Tが低下した場合(実線)と、温度Tがさらに上昇した場合(破線)との温度変化が、時刻tに沿って模式的に示されている。なお、以下の説明において、「逃がし弁26を開く」ことは、逃がし弁26が閉じられている場合には逃がし弁26を開き、逃がし弁26が既に開かれている場合にはその状態を維持すること
を意味する。同様に、「逃がし弁26を閉じる」ことは、逃がし弁26が開かれている場合には逃がし弁26を閉じ、逃がし弁26が既に閉じられている場合にはその状態を維持することを意味する。
ここで、立形ポンプ1は高温で運転継続するとケーシングが熱変形したり、例えば軸封部などの摺動部にて接触回転し焼き付きを招いたりして故障する虞がある。第1の閾値T1は、第1の閾値T1にて長時間運転すると立形ポンプ1が故障する虞がある温度とする。また、本実施形態の給水ユニットは搬送液として水道水や井戸水、工業用水等であり、立形ポンプ1を通過する前の搬送液の水温Twは0℃〜40℃程度である。立形ポンプ1の運転中は、ケーシング内で軸動力が熱に変わるため立形ポンプ1内の搬送液の水温は上昇する。そのため第2の閾値T2は搬送液の水温Twよりも高い温度とする。
図2の実線にて示された例において、需要先にてある程度の水量を使用されている場合、立形ポンプ1は搬送液にて冷却されるので温度Tは閾値T2以下である。そのため、制御盤2は逃がし弁26を閉じた状態で、3台の立形ポンプ1の全部または一部を運転している。例えば、需要先にてごく少量の水しか使われていない場合、小水量運転(締切運転含む)となる。小水量運転の場合、立形ポンプ1内に搬送液が長時間滞留し搬送液の水温が上昇し、更には立形ポンプ1の温度Tが上昇する。いずれかの立形ポンプ1で温度Tが第2の閾値T2(50℃)まで上昇した場合に制御盤2は逃がし弁26を開く。小水量運転の場合、逃がし配管から滞っていた高温の搬送液が排出され代わりに水温がTwの搬送液が吸込口5より立形ポンプ1内に入ることによって、温度Tは低下する。その場合、制御盤2は、すべての立形ポンプ1で温度Tが第4の閾値T4(45℃)まで低下した場合に逃がし弁26を閉じてもよい。第4の閾値T4は、第2の閾値T2よりも低く、搬送液の水温Tw以上である。
また、本実施例の給水ユニットでは先述したように、需要先にてごく少量の水しか使われていない小水量運転の場合、フロースイッチ14が小水量の検知を行う。フロースイッチ14が小水量の検知が任意の時間継続した場合、小水量運転として温度Tの検出値に関わらず逃がし弁26を開いてもよい。この場合、フロースイッチ14が小水量の検知がない且つ温度Tが第4の閾値T4(45℃)以下のタイミングにて逃がし弁26を閉じてもよい。こうすれば、小水量運転にて温度Tが上昇するのを防ぐことが出来る。また、温度センサ20が故障した場合でも小水量運転時に逃がし弁26を開くことができるため、図2の実線のように温度Tを下げることが可能となる。
一方、例えば、異物の噛みこみ等により立形ポンプ1の羽根車がロックした場合はモータ7に過電流が発生し高温となり、その熱がポンプ1に伝わり温度Tが上昇する。この場合、図2の破線にて示すように、逃がし弁26を開いても温度Tが上昇し続ける。制御盤2は、いずれかの立形ポンプ1で温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇した時点で、当該立形ポンプ1を強制的に停止させる。当該立形ポンプ1が停止したことにより吐出圧力が低下した場合には、起動可能な他の立形ポンプ1を起動(ポンプローテーション)して給水を継続するが、起動可能な他の立形ポンプ1が存在しない場合は断水する。その後、該当する立形ポンプ1で温度Tが第3の閾値T3(55℃)まで低下した時点で、該当する立形ポンプ1が再起動可能になる。
なお、制御盤2は、立形ポンプ1で温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇した時点で、該当ポンプの過熱警報を出力しても良い。更には、該当ポンプを停止することにより異物の噛みこみが取れて正常に運転できる可能性もあるため、ポンプ過熱警報を出力するまでに複数回リトライを行っても良い。具体的には、制御盤2は、温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇し該当ポンプを停止させ、温度Tが第3の閾値T3(55℃)まで低下するまで運転不可とする。これを任意の回数繰り返し再度立形ポンプ1の運転中に
温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇したらポンプ過熱警報としてオペレータへの警報を出力してもよい。
つまり、本実施形態では、温度Tが第1の閾値T1(60℃)よりも低い第2の閾値T2(50℃)まで上昇した時点で逃がし弁26を開き、逃がし配管から水を排出しながら立形ポンプ1の運転を継続することによって、立形ポンプ1を搬送液にて冷却でき効果的に温度Tを低下させることができる可能性が高くなる。それにより、小水量運転によるポンプ過熱を回避し、更には供給先にて水を使用中にポンプ停止することを回避することができる。これは、需要先にて水の使用中に意図せぬポンプローテションによる圧力変動や断水を回避することとなる。
ここで、上述したように自動モードにて立形ポンプ1が小停再起動するタイミングは需要先にて水の使用が確認されたときであり、立形ポンプ1の起動によって逃がし配管から排水せずとも温度Tを低下させることができる可能性がある。従って、制御盤2は、温度Tが第2の閾値T2(50℃)に達したときに逃がし弁26を開いたにもかかわらず温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇した場合、立形ポンプ1を停止させた後、温度Tが第3の閾値T3(55℃)まで下降して立形ポンプ1が再起動可能になった場合に逃がし弁26を閉じてもよい。あるいは、制御盤2は、いずれかの立形ポンプ1で温度Tが第1の閾値T1(60℃)まで上昇しこの時点で該当する立形ポンプ1を停止させるとともに、他に運転中の立形ポンプ1がなければ、逃がし弁26を閉じてもよい。例えば立形ポンプ1の吸込口5に水道本管の圧力がかかるような場合、立形ポンプ1の停止中にも逃がし配管を通じて立形ポンプ1内の水が排出される。従って、すべての立形ポンプ1が停止されるのであれば、節水のために逃がし弁26を閉じることが有効である。
図3は給水ユニットにおける制御盤2の概略ブロック構成図である。本実施形態に係る給水ユニットにおける制御装置である制御盤2は、設定部46、記憶部47、演算部48、表示器49、I/O部50、および運転パネル51を備えている。インバータ、フロースイッチ、圧力センサ、温度センサ20、逃がし弁26は、I/O部50と信号線を介して接続されている。設定部46には、給水ユニットの運転制御に関する各種設定値が入力され、リセットボタン52、クリアボタン53を備える。設定部46および表示器49は、運転パネル51に設けられている。表示器49は、ユーザーインターフェースとして機能し、逃がし弁26の開閉状態、温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度、立形ポンプ1の運転状況(運転情報)、警報等を表示する。表示器49は液晶パネルであり、設定部46は操作入力のための各種スイッチまたはタッチパネルなどを含む操作部である。また、表示器49は制御盤2に取り付けられてもよいし、表示器49は制御盤2から離れて配置されてもよい。また、表示器49は液晶パネルと7セグメントLEDや表示灯を組み合わせた構成でもよい。
図4は給水ユニットにおける制御盤2の他の実施形態を示す図である。本実施形態では、表示器49に加えて、外部表示器61がさらに設けられている。図4に示すように、制御盤2は通信部60をさらに備えている。制御盤2は有線通信または無線通信によって外部表示器61に接続されている。外部表示器61として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。本実施形態では、表示器49は7セグメントLEDや表示灯などの簡易な表示器であり、外部表示器61は液晶画面と液晶画面のタッチ入力方式や押圧ボタン方式を用いた高機能表示器である。簡易な表示器49に比べて外部表示器61は表示できる情報量が格段に多いため、外部表示器61に逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を表示することによって、給水ユニットに不慣れなユーザーは誤解することなく、逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を認識することが出来る。また、給水ユニットは外部表示器6
1による各種設定変更を可能としてもよい。
給水ユニットは機械室やポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。本実施形態によれば、給水ユニットに組み込まれる表示器49として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器を使用することにより、外部環境から発生される電気的なノイズにより外部表示器61の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示器49により給水ユニットの運転に必要な最低限度の表示や操作を行うことが可能なため、給水ユニットを電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。さらに、外部表示器61として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットなどの汎用端末機器を使用すると、ユーザーは専用のアプリケーションソフトウエアを用いて、逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を表示させることができるため、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意し使い分けることによりユーザーのレベルに沿った逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度の表示を提供することが可能である。
ここで、制御盤2に表示器49は設けられておらず、代わりに外部表示器(高機能表示器)61のみが設けられてもよい。給水ユニットには表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水ユニット全体のコストを更に下げることが可能である。また、制御盤2は、クリアボタン53を備えておらず、代わりに、外部表示器61に、クリアボタン(不図示)を備えていてもよい。ユーザーが外部表示器61上のクリアボタンを押すと、外部表示器61上に表示されている逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度の表示が消去される。
また、図4において、通信部60は公衆回線やネットワーク、専用回線等を介して保守管理会社または管理人室に設けられた遠隔監視装置(例えば、パソコンやスマートフォン、専用モニター)に接続され、給水ユニットにおける逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を表示する。遠隔監視装置は給水ユニットや立形ポンプ1の故障情報や運転情報等、その他の情報も表示してもよい。
図5は給水ユニットにおける制御盤2のさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態の制御盤2の基本的構成は図3に示す実施形態の制御盤2の構成と同じであるが、制御盤2が通信部60に代えて、制御盤側アンテナ部67を備えている点、および制御盤側アンテナ部67に接続された集積回路68を備えている点で異なっている。集積回路68は、不揮発性値記憶領域、揮発性記憶領域を有する記憶部47に電気的に接続されている。なお、本実施形態の制御盤2は表示器49を備えていないが、制御盤2に表示器49を設けてもよい。また、給水ユニットは、外部表示器70による各種設定変更を可能としてもよい。
外部表示器70は、電波を送受信する表示器側アンテナ部71と、表示器側アンテナ部71で受信したデータを読み取るデータリーダー74と、データリーダー74によって読み取られたデータ(例えば、逃がし弁26の開閉状態、温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度、立形ポンプ1の運転状態、吐出圧力など)を表示する表示部72と、データリーダー74、表示器側アンテナ部71、および表示部72に電力を供給するバッテリー73とを備えている。外部表示器70として、例えばスマートフォンや携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器でもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器でもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水ユニットのコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器に逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を表示させることができるので、マ
ンションやビルの管理人のような給水ユニットに関する専門知識のないユーザーに対しても、立形ポンプ1の運転情報や逃がし弁26の開閉状態、更には温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を分かり易く知らせることができる給水ユニットを安価に提供することができる。
外部表示器70は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御盤2と接続される。より具体的には、外部表示器70を制御盤2に近づけた状態で、表示器側アンテナ部71が電波を発生すると、その電波を制御盤側アンテナ部67が受け取り、制御盤側アンテナ部67は電波を電力に変換する。この電力は集積回路68および記憶部47に供給されてこれら集積回路68および記憶部47を駆動する。集積回路68は記憶部47に記憶されている上記データを読み取り、制御盤側アンテナ部67にデータを送る。制御盤側アンテナ部67は、データとともに電波を表示器側アンテナ部71に送信する。データリーダー74は、表示器側アンテナ部71が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部72に表示させる。
外部表示器70は、逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度の表示を消去するためのクリアボタン66を備えている。ユーザーがこのクリアボタン66を押すと、表示部72に表示されている逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度の表示が消去される。本実施形態のクリアボタン66は、表示部72の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン66は表示部72の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。本実施形態の制御盤2はクリアボタンを備えていないが、制御盤2にクリアボタンを設けてもよい。なお、これらの操作には、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部表示器70にクリアボタン66を設け、メンテナンス員が主に使用する制御盤2にリセットボタン52を設ける。このように制御盤2にのみリセットボタン52を設けることで、ユーザーのリセットボタン52の誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部表示器70を設けることで、ユーザーの誤操作を防止することができる。
本実施形態では、外部表示器70と制御盤2との間で無線通信が行われ、記憶部47に記憶されている逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度などを含むデータは、制御盤2から外部表示器70に送られる。本実施形態によれば、給水ユニットの電源が入っていない場合でも、制御盤側アンテナ部67は外部表示器70から発せられる電波から電力を発生し、集積回路68および記憶部47を駆動することができる。したがって、給水ユニットのメンテンナンス中などにおいて制御盤2に電力が供給されていないときでも、外部表示器70は、制御盤2の記憶部47から逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を含むデータを取得し、該データを表示することができる。
本実施形態で採用される近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)は、数cmの近距離でのみ相互通信が可能な技術である。したがって、外部表示器70に逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度やその他の各種情報を表示させるためには、ユーザーやメンテナンス員は外部表示器70を制御盤2に近づける必要がある。このことは、外部表示器70を操作するときは、ユーザーやメンテナンス員は給水ユニットの近くにいることを意味する。したがって、ユーザーやメンテナンス員は給水ユニットを目視しながら外部表示器70を操作することになり、誤操作に起因した給水ユニットの予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数の給水ユニットが設置された現場では、逃がし弁26の開閉状態、または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を表示したい給水ユニットの近距離でのみ通信可能となる為、無線通信にてよくある意図しない別の給水ユニットの逃がし弁26の開閉状態、
または温度センサ20によって測定される立形ポンプ1の温度を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
本実施形態では、逃がし弁26の制御における第1の閾値T1、第2の閾値T2、第3の閾値T3、および第4の閾値T4は、運転パネル51、外部表示61、外部表示器70にて変更が可能としてもよい。例えば、給水ユニットが給湯器の二次側に設置される場合、立形ポンプ1に吸い込まれる水の温度Twが既に高いため、第2の閾値T2(50℃)とこの水の温度との差が小さいような場合には逃がし弁26が開かれている時間が長くなってしまう。このような場合には、運転パネル51を用いて第2の閾値T2を変更し、より高い温度にすることができる。なお、上記の例における温度Tの閾値(第1の閾値T1が60℃、第2の閾値T2が50℃、第3の閾値T3が55℃、第4の閾値T4が45℃)は一例にすぎない。例えば、各閾値の初期設定値がこれとは異なる値であってもよく、またそれらの値が上述のように運転パネル51を用いて任意に変更可能であってもよい。
また、逃がし弁26が正常に動作するかを試験するために逃がし弁26の開閉を設定部46および/または外部表示61および/または外部表示器70から指令することも可能であり、逃がし弁26の開閉状態は運転パネル51および/または外部表示61および/または外部表示器70に表示されてもよい。更には、運転パネル51および/または外部表示61および/または外部表示器70を用いて試験運転中には、上記の温度Tの閾値に基づく逃がし弁26の制御を中止させることができる。
以上で説明したような本実施形態における逃がし弁26の制御では、制御盤2が、立形ポンプ1が停止される水の温度Tの閾値(第1の閾値T1)よりも低い閾値(第2の閾値T2)で逃がし弁26を開く。立形ポンプ1が停止される前に逃がし弁26を開くことによって、搬送液の液温によって温度Tを低下させ、運転を継続することができる。温度Tがさらに低い閾値(第4の閾値T4)まで低下したとき、逃がし弁26が閉じられる。このような制御によって、立形ポンプ1の小水量運転時における過熱を防止しつつ、逃がし配管における排水量を最小限に抑えることができる。
図6Aおよび図6Bは、本発明の第2の実施形態に係る給水ユニットを示す図である。図示されるように、給水ユニットは、水(水道水)を圧送するための3台の立形ポンプ1と、これらの立形ポンプ1の運転を制御する制御盤(制御装置)2とを備えている。なお、配管部3、吸込口5、吐出口6、モータ7、架台9、連結配管11、吐出配管12、フロースイッチ14、逆止弁15、およびスルース弁16を含む給水ユニットの構成、並びにポンプの運転制御方法である自動運転モードについては、図1Aおよび図1Bを参照して説明した第1の実施形態と同様であり、制御盤(制御装置)2については図3〜5を参照して説明した実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
本実施形態では、立形ポンプ1に接続された逃がし配管31が集合配管とはされず、個別に受水槽25または排水経路(図示せず)に通じる。この場合、逃がし配管31を経由した立形ポンプ1同士の間での水の逆流は発生しないため、逃がし配管31に逆止弁は設けられなくてよい。3本の逃がし配管31には、それぞれ逃がし弁32が設置される。制御盤2は、以下で説明するように、温度センサ20によって測定される各立形ポンプ1内の水の温度Tに応じてそれぞれの逃がし弁32を個別に開閉制御する。
ここで、第1の実施形態と同様に、制御盤2の故障などによって逃がし弁32が制御できない場合には、常時逃がし配管31にて排水するように、逃がし弁32は通電時閉となる流路開閉器を使用することが好ましい。制御盤2からの信号線が断線等にて故障した場合には、立形ポンプ1の温度に関わらず逃がし弁32が開かれることで、水の無駄は発生するものの、立形ポンプ1が高温となり立形ポンプ1が運転不可となるのを防止して給水
を継続することができる。
既に述べたように、本実施形態では各立形ポンプ1に逃がし配管31が接続され、制御盤2が各逃がし配管31に設置された逃がし弁32を個別に制御する。従って、本実施形態では、上記の第1の実施形態と同様の逃がし弁32の制御が、それぞれの逃がし弁32について独立して実行される。つまり、制御盤2は、各立形ポンプ1における水の温度Tを個別に管理し、それぞれの温度Tが第1〜第4の閾値T1〜T4に達した場合に逃がし弁32の開閉、または立形ポンプ1の停止もしくは再起動の制御を実行する。第1の実施形態と同様に、第1〜第4の閾値T1〜T4は、制御盤2に設けられる運転パネルにおいて変更可能であってもよい。
本実施形態において、制御盤2は、温度Tが第2の閾値T2(例えば50℃)に達したときに逃がし弁32を開いたにもかかわらず温度Tが第1の閾値T1(例えば60℃)まで上昇した場合、立形ポンプ1を停止させるとともに逃がし弁32を閉じてもよい。上記の第1の実施形態とは異なり、ある立形ポンプ1に設置された逃がし弁32の開閉は別の立形ポンプ1に影響を与えない。従って、例えば立形ポンプ1の吸込口5に水道本管の圧力がかかるような場合、制御盤2は制御対象の逃がし弁32が設置された立形ポンプ1が停止された時点で、節水のために逃がし弁32を閉じることができる。
なお、上記の第1および第2の実施形態では、本発明に係るポンプとして立形ポンプを用いた給水ユニットを例示したが、本発明に係るポンプはこのような立形ポンプには限定されない。本発明に係るポンプは、横形ポンプや羽根車が1段の単段ポンプでも同様の効果が期待できる。また、温度センサの位置はケーシングの上部に限らず、発熱部品の温度上昇が検知できる位置に設置すればよい。一例として、配管部分に取り付けてもよい。逃がし配管は、排水することによりポンプが効果的に冷却される位置に設置されるとよい。第1〜第4の閾値T1〜T4を変更可能とすることにより、ポンプの形状や温度センサの位置、更には給水装置の設置環境に関わらず最適な逃がし弁の制御をおこなうことが可能である。更には、給水ユニットのポンプ台数は3台に限定されず、一台または複数台でもよい。
なお、上記の第1および第2の実施形態では、本発明に係るポンプユニットとして給水ユニットを例示したが、本発明に係るポンプユニットはこのような給水ユニットには限定されない。本発明に係るポンプユニットは、例えば消火ポンプユニットをも含む。給水ユニットの自動運転は需要側の水の使用にてポンプを始動し小水量にてポンプ停止するが、消火ポンプユニットの自動運転は、火災発生の信号入力やスプリンクラーの散水による圧力低下をトリガとしてポンプを起動し、その後は水量を制限することなく消火活動が完全に終了して操作盤の停止ボタンを押すまではポンプ運転を継続する。しかしながら、火災発生の誤検知や誤操作にてポンプが起動してしまった場合、もしくは消火完了してバルブを閉めた場合等に、小水量運転や締切運転となりポンプの過熱が生じうる虞がある。同様に、本発明に係るポンプユニットは、例示した給水ユニットおよび消火ポンプユニットに限らず、小水量運転や締切運転によるポンプの過熱が生じうるあらゆる種類のポンプユニットを含みうる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。