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JP6765665B2 - 不稔化植物、不稔化植物の作出方法、及びベクター - Google Patents

不稔化植物、不稔化植物の作出方法、及びベクター Download PDF

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Description

本発明は、不稔化植物、不稔化植物の作出方法、及びベクターに関する。
新たに作出した品種の栽培やその遺伝情報の拡散を制御するため、植物の不稔化が望まれている。不稔化方法の一例として、例えば、花粉を生産する雄ずいや、花粉を受粉する雌ずいの形成を制御することにより植物を不稔化する方法が試みられている。
トレニアは、鑑賞用として、世界中で広く栽培される有用な植物である。
トレニアの花器官の形成制御に関して、非特許文献1には、トレニアのクラスC遺伝子であるTfFARINELLI(TfFAR)遺伝子及びTfPLENA1(TfPLE1)遺伝子を単離したことが報告されている。
非特許文献2には、TfFAR遺伝子の発現領域にトランスポゾンが挿入され、TfFAR遺伝子の発現が低下した植物体が得られたこと、この植物体では複数ある雄ずいの一部が花弁に変換していたことが開示されている。
Narumi, T. et al."Chimeric AGAMOUS repressor induces serrated petal phenotype in Torenia fournieri similar to that induced by cytokinin application" Plant Biotechnology、2008年、第25巻、p.45-53 西島隆明、仁木智哉、「トレニアの易変性系統『雀斑』の自殖後代に現れた新規変異体『八重咲』」、2013年、園芸学研究、12(別1)、p.183
非特許文献1には、TfFAR遺伝子の機能が抑制された植物体を作出したが、この植物体は花弁の縁に切り込みが入るのみであったとの記載があり、同様に、TfPLE遺伝子の機能が抑制された植物体を作出したが、この植物体は花弁の縁に切り込みが入るのみであったとの記載がある。したがって、完全不稔化された植物体は得られていない。
また、非特許文献2では、TfFAR遺伝子の発現領域にトランスポゾンが挿入され、TfFAR遺伝子の発現が低下した植物体が得られているが、この植物体は交雑が可能であるとの記載があり、完全不稔化された植物体は得られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、花器官の形態形成が制御されたことによる不稔化植物、不稔化植物の作出方法、及びベクターを提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能が欠損又は抑制されており、
以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、アゼトウガラシ科の植物であり、前記植物個体が有する全ての花器官の稔性が失われた完全不稔化植物。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
[2]雌蕊が花被化しており、雄蕊が花被化している形態(ただし、本来の心皮の形成領域を中心として、該形成領域の内側方向に向けて同心円状に、花被の形成領域のウォールがさらに2層以上繰り返される八重咲の形態を除く。)により前記植物個体が有する全ての花器官の稔性が失われた、前記[1]に記載の完全不稔化植物。
]前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターに改変部位を有することによって、欠損又は抑制されており、
前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターに改変部位を有することによって、欠損又は抑制されている、前記[1]又は[2]に記載の完全不稔化植物。
]前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されており、
前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されている、前記[1]又は[2]に記載の完全不稔化植物。
]前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(g)〜(i)のいずれかの核酸であり、
前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(j)〜(l)のいずれかの核酸である、前記[]に記載の完全不稔化植物。
(g)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(h)配列番号7で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(i)配列番号7に記載の塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(j)配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(k)配列番号8で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(l)配列番号8に記載の塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
[6]アゼトウガラシ科の植物内において、
以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能を欠損又は抑制させ、
以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能を欠損又は抑制させ、前記植物個体が有する全ての花器官の稔性を失わせる、完全不稔化植物の作出方法。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
[7]雌蕊が花被化しており、雄蕊が花被化している形態(ただし、本来の心皮の形成領域を中心として、該形成領域の内側方向に向けて同心円状に、花被の形成領域のウォールがさらに2層以上繰り返される八重咲の形態を除く。)により前記植物個体が有する全ての花器官の稔性を失わせる、前記[6]に記載の完全不稔化植物の作出方法。
]前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制し、
前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制する、前記[6]又は[7]に記載の完全不稔化植物の作出方法。
]前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制し、
前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制する、前記[6]又は[7]に記載の完全不稔化植物の作出方法。
10]前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(g)〜(i)のいずれかの核酸であり、
前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(j)〜(l)のいずれかの核酸である、前記[]に記載の完全不稔化植物の作出方法。
(g)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(h)配列番号7で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(i)配列番号7で表される塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(j)配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(k)配列番号8で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(l)配列番号8で表される塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
[11]前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制し、
前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制し、
前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制する核酸が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための、以下の(s)の核酸であり、
前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制する核酸が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための、以下の(t)の核酸である、前記[8]に記載の完全不稔化植物の作出方法。
(s)前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
(t)前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
本発明により、不稔性に優れた植物を得ることができる。
実施例において、TfFAR cDNA及びTfPLE cDNAのうち、サイレンシングベクターに用いた領域を模式図的に示す図である。 実施例において作製された発現カセットを模式的に示す図である。 実施例において使用したベクターのマップ図である。 実施例において使用したベクターのマップ図である。 実施例における、TfFAR/TfPLE遺伝子の発現解析結果を示す写真である。 実施例において作製された、TfFAR/TfPLE−IR 組換えトレニアとコントロール植物との花の形態を比較した写真である。 実施例において作製された、TfFAR/TfPLE−IR 組換えトレニアとコントロール植物との花の形態を比較した写真である。 実施例において作製された発現カセットを模式的に示す図である。 実施例において作製された発現カセットを模式的に示す図である。 実施例において使用したベクターのマップ図である。 実施例において作製された、TfFAR target 1&2/TfPLE target 1&2ゲノム編集トレニアとコントロール植物との花の形態を比較した写真である。 実施例における、TfFAR/TfPLE遺伝子の発現解析結果を示す写真である。
≪不稔化植物≫
本発明の不稔化植物は、
以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能が欠損又は抑制されており、
以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能が欠損又は抑制されている。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
<FAR遺伝子、PLE遺伝子>
被子植物の花の発生を説明するモデルとして、ABCモデルが知られている。ABCモデルでは、クラスA遺伝子、クラスB遺伝子、クラスC遺伝子の発現パターンによって、花器官の発生が制御される。クラスA遺伝子単独の発現領域では、萼が形成され、クラスA遺伝子とクラスB遺伝子の発現領域では、花弁が形成される。クラスB遺伝子とクラスC遺伝子の発現領域では雄ずいが形成され、クラスC遺伝子単独の発現領域では心皮が形成される。クラスC遺伝子としてはシロイヌナズナの AGAMOUS (AG)が知られている。
しかし、上記モデルはシロイヌナズナやキンギョソウ等の一部の植物種を対象とした研究で明らかにされたものであり、他のあらゆる植物種においても上記モデルが同様に適用できるか、また、どの遺伝子が各クラスの遺伝子として機能しているかは不明である。
トレニアにおいても、これまでにクラスC遺伝子の一つと考えられる、TfFAR遺伝子及びTfPLE遺伝子がそれぞれ単離され、これらの各遺伝子の機能が抑制された植物体が作出されたことが報告されている。しかし、観察された花の形態異常は、極めて軽微なものであった。
発明者らは、後述の実施例に示すように、トレニア(Torenia fournieri)から、FAR遺伝子及びPLE遺伝子をクローニングした。さらに、発明者らは、トレニアのFAR遺伝子の発現を抑制する核酸、及びトレニアのPLE遺伝子の発現を抑制する核酸が導入された植物体では、雄ずい及び雌ずいが花弁化され、完全不稔化された植物体が得られることを見出した。
本発明に係るFAR遺伝子は、前記(A)〜(C)のいずれかの遺伝子である。
一般的に、何らかの生理機能を有するタンパク質は、本来の機能を損なうことなく、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加可能なことが知られている。
前記(B)のタンパク質において、配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されていてもよいアミノ酸の数は、1〜30個が好ましく、1〜20個がより好ましく、1〜10個がさらに好ましく、1〜5個が特に好ましい。
前記(C)のタンパク質において、配列番号1で表されるアミノ酸配列との同一性は、80%以上100%未満であり、90%以上100%未満であることが好ましく、95%以上100%未満であることがより好ましく、98%以上100%未満であることがさらに好ましい。
アミノ酸配列同士の同一性は、公知の各種相同性検索プログラムを用いて求めることができる。本発明におけるアミノ酸配列同士の同一性は、公知の相同性検索ソフトウェアBLASTPにより得られた値を採用できる。本発明におけるアミノ酸配列同士の同一性は、後述する実施例に示すように市販の遺伝情報処理ソフトウェアGENETYXにより得られた値を採用できる。
本発明に係るPLE遺伝子は、前記(D)〜(F)のいずれかの遺伝子である。
一般的に、何らかの生理機能を有するタンパク質は、本来の機能を損なうことなく、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加可能なことが知られている。
前記(E)のタンパク質において、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されていてもよいアミノ酸の数は、1〜30個が好ましく、1〜20個がより好ましく、1〜10個がさらに好ましく、1〜5個がさらに好ましい。
前記(F)のタンパク質において、配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性は、80%以上100%未満であり、90%以上100%未満であることが好ましく、95%以上100%未満であることがより好ましく、98%以上100%未満であることがさらに好ましい。
アミノ酸配列同士の同一性は、公知の各種相同性検索プログラムを用いて求めることができる。本発明におけるアミノ酸配列同士の同一性は、公知の相同性検索ソフトウェアBLASTPにより得られた値を採用できる。本発明におけるアミノ酸配列同士の同一性は、後述する実施例に示すように市販の遺伝情報処理ソフトウェアGENETYXにより得られた値を採用できる。
前記(A)〜(F)のタンパク質は、転写制御機能を有する。転写制御機能とは、転写因子が有する機能である。タンパク質が転写制御機能を有しているかどうかは、公知の転写因子測定用試薬を用いた手法等により調べることができる。
前記(B)及び(C)のタンパク質は、前記(A)のタンパク質と同等の転写制御機能を有することが好ましく、前記(E)及び(F)のタンパク質は、前記(D)のタンパク質と同等の転写制御機能を有することが好ましい。
前記(A)の配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、当該アミノ酸配列のみからなるタンパク質であってもよく、転写制御機能を有する範囲において、当該アミノ酸配列からなるタンパク質に任意の配列が付加されていてもよい。
前記(D)の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、当該アミノ酸配列のみからなるタンパク質であってもよく、転写制御機能を有する範囲において、当該アミノ酸配列からなるタンパク質に任意の配列が付加されていてもよい。
前記任意の配列とは、例えば、リンカー配列、タグ配列、タンパク質安定化のための修飾配列等が挙げられる。
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、公知の手法により製造可能である。また、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、公知の手法により製造可能である。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを、発現ベクターに組み込み、これを発現させることで、これを合成してもよい。または、ポリペプチド合成装置により配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質を合成してもよい。
本発明に係るFAR遺伝子は、本発明に係るFARタンパク質をコードするものであり、以下の(a)〜(c)のいずれかのポリヌクレオチドである。ここで遺伝子は、イントロン及びエクソンを含む概念である。なお、前記FAR遺伝子は、DNA結合ドメインであるMADSボックスドメインの3’側に位置する第2イントロンにプロモーター領域が存在しているとされる。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり転写制御機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド
(c)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり転写制御機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド
また、本発明に係るPLE遺伝子は、本発明に係るPLEタンパク質をコードするものであり、以下の(d)〜(f)のいずれかのポリヌクレオチドである。ここで遺伝子は、イントロン及びエクソンを含む概念である。なお、前記PLE遺伝子は、DNA結合ドメインであるMADSボックスドメインの3’側に位置する第2イントロンにプロモーター領域が存在しているとされる。
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド
(e)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり転写制御機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド
(f)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり転写制御機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド
前記(a)〜(f)に示されるポリヌクレオチドにおけるタンパク質としては、前記(A)〜(F)に示される遺伝子において説明したタンパク質と同様である。
前記(a)における配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列としては、配列番号3で表される塩基配列であってもよく、配列番号40で表される塩基配列であってもよい。
前記(d)における配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列としては、配列番号4で表される塩基配列であってもよく、配列番号41で表される塩基配列であってもよい。
本発明に係るポリヌクレオチドは、公知の手法により製造可能である。本発明に係るFARタンパク質をコードするDNAは、例えば、取得したcDNAライブラリーを鋳型とし、配列番号3の塩基配列等に基づいて設計したプライマーにより、本発明に係るFARタンパク質をコードするDNAをPCR等により増幅し、得ることができる。
本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子において、「遺伝子の機能が欠損又は抑制」されているとは、該遺伝子またはその発現を制御されることにより、該遺伝子産物の活性が欠損又は抑制されている、或いは、該遺伝子の発現が欠損又は抑制されていることを指す。
例えば、対象とする遺伝子のゲノムに人為的に改変又は変異を加えることにより、機能的な遺伝子産物の生成が欠損又は抑制された植物体を得てもよい。例えば、突然変異誘発剤の処理により、対象とする遺伝子の機能が欠損又は抑制された植物体をスクリーニングして得る方法が挙げられる。また例えば、遺伝子ターゲッティング法や、ゲノム編集技術、トランスジェニック等によって、対象とする遺伝子のゲノムに人為的に改変又は変異を加えることにより、機能的な遺伝子産物の生成が欠損又は抑制された植物体を得てもよい。対象とする遺伝子としては、本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子である。
ゲノム編集技術としては、例えば、CRISPR-Casシステムや、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、DNAの塩基配列を改変可能なその他手法が挙げられる。
又は、対象とする遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が人為的に導入されることによって、遺伝子産物の生成が欠損又は抑制された植物体を得てもよい。
本発明の不稔化植物において、本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子のそれぞれについて、該遺伝子産物の活性の欠損又は抑制の程度、或いは、該遺伝子の発現の欠損又は抑制の程度は、植物体の不稔化が達成される程度であればよく、植物体の完全不稔化が達成される程度であることが好ましい。
本発明の不稔化植物において、本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子のそれぞれについて、該遺伝子産物の活性の欠損又は抑制の生じる部位、或いは、該遺伝子の発現の欠損又は抑制の生じる部位は、植物体の不稔化が達成される程度であればよく、植物体の完全不稔化が達成される程度であることが好ましい。例えば、遺伝子産物の活性が花で特異的に欠損又は抑制することで、植物の不稔化又は完全不稔化が達成されてもよい。
本発明及び本明細書において、不稔化とは、植物個体が有する花器官のうち一部若しくは全部の雄ずい及び/又は雌ずいの稔性が失われることである。雌性不稔化とは、植物個体が有する花器官のうち一部若しくは全部の雌ずいの稔性が失われることである。雄性不稔化とは、植物個体が有する花器官のうち一部若しくは全部の雄ずいの稔性が失われることである。完全不稔化とは、植物個体が有する花器官の全ての雄ずい及び雌ずいの稔性が失われることである 。
雄ずいの不稔化としては、雄ずいが正常に形成されず花粉が生産されないことによるもの、雄ずいが他の器官に置き換わり花粉が生産されないことによるもの、花粉は生産されたが稔性を有さないことによるもの等が挙げられる。同様に、雌ずいの不稔化としては、雌ずいが正常に形成されないことによるもの、雌ずいが他の器官に置き換わることによるもの、雌ずいは形成されるが稔性を有さないことによるもの等が挙げられる。
雄ずい側の不稔は、雄ずいが花弁等の他の器官に置き換わる等を形態観察により調べてもよく、正常個体の雌ずいとの掛け合わせにより種子が形成されるかどうかによっても容易に調べることができる。雌ずい側の不稔は、雌ずいが花弁等の他の器官に置き換わる等を形態観察により調べてもよく、正常個体の雄ずいとの掛け合わせにより種子が形成されるかどうかによっても容易に調べることができる。
本発明において不稔化植物とは植物体のみならず、植物体を作出した場合に不稔化されているものであれば、細胞を包含する意味で用いている。細胞は、組織又は器官の状態であってもよい。本発明において不稔化植物とは、それらの後代若しくはクローンの生物又は細胞であってもよい。例えば、前記クローンの植物体としては挿し木または挿し芽等により得られた植物体が挙げられる。
本発明の不稔化植物は、前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターが改変されることによって、欠損又は抑制されているものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物は、前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターが改変されることによって、欠損又は抑制されているものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物は、
前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターに改変部位を有することによって、欠損又は抑制されており、
前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターに改変部位を有することによって、欠損又は抑制されているものであることが好ましい。
遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸の一態様として、CRISPR-Casシステムに使用される核酸が挙げられる。
前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸として、以下の(s)の核酸が挙げられる。
(s)前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸として、以下の(t)の核酸が挙げられる。
(t)前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
ガイドRNAは、CRISPR-CasシステムにおけるガイドRNAである。ガイドRNAの一部として連結される配列は、PAM配列の存在、CRISPR-Casの核酸の切断活性等を考慮して設計可能である。
前記(s)の核酸において、ガイドRNAの一部として連結されるFAR遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列は、例えば、FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列に基づき、1又は2以上の配列を適宜設計可能であり、1又は2つ以上の配列を適宜使用可能である。2以上の配列を使用する場合それらは適宜組み合わせて使用できる。該配列は、例えば、配列番号40で表されるFAR遺伝子の配列中の連続する17〜24塩基の配列であってもよく、配列番号26及び/又は配列番号29で表される塩基配列を好ましいものとして例示できる。FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変可能なものであれば、前記配列番号26又は29で表される塩基配列に代えて、配列番号26又は29で表される塩基配列において1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるものであってよい。
前記(t)の核酸において、ガイドRNAの一部として連結されるPLE遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列は、例えば、PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列に基づき、1又は2以上の配列を適宜設計可能であり、1又は2つ以上の配列を適宜使用可能である。2以上の配列を使用する場合それらは適宜組み合わせて使用できる。該配列は、例えば、配列番号41で表されるPLE遺伝子の配列中の連続する17〜24塩基の配列であってもよく、配列番号32及び/又は配列番号35で表される塩基配列を好ましいものとして例示できる。PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変可能なものであれば、前記配列番号32又は35で表される塩基配列に代えて、配列番号32又は35で表される塩基配列において1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるものであってよい。
ここで、ガイドRNAの一部として適宜設計可能な2つ以上の配列は、遺伝子とそのプロモーターあたり2〜4つであってよく、2つが好ましい。
配列番号26、配列番号29、配列番号32及び配列番号35で表される塩基配列において前記1〜数個とは、1〜3個であってもよく、1〜2個であってもよく、1個であってもよい。
本発明の不稔化植物は、前記FAR遺伝子の機能の欠損又は抑制が、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されているものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物は、前記PLE遺伝子の機能の欠損又は抑制が、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されているものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物は、
前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されており、
前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されているものであることが好ましい。
遺伝子の発現を抑制させる核酸としては、RNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、リボザイム等が挙げられる。RNAi誘導性核酸としては、siRNA、miRNA、shRNA、これらの前駆体となる核酸等が挙げられる。
本発明において核酸とは、RNA、DNAの他、LNA等の核酸アナログや、ペプチド核酸(PNA)、およびそれらの混成物も包含する意味で用いている。
アンチセンス核酸としては、例えば、抑制対象となる遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有する核酸が挙げられる。
配列番号5で表される塩基配列は、本発明に係るFAR遺伝子のcDNAの塩基配列である。配列番号5で表される塩基配列のうち、759〜1021番目の領域は3’UTRの領域である。
本発明に係るFAR遺伝子の発現を抑制するアンチセンス核酸は、当業者であれば、配列番号5で表される塩基配列に基づき設計可能である。
配列番号6で表される塩基配列は、本発明に係るPLE遺伝子のcDNAの塩基配列である。配列番号6で表される塩基配列のうち、784〜999番目の領域は3’UTRの領域である。
本発明に係るPLE遺伝子の発現を抑制するアンチセンス核酸は、当業者であれば、配列番号6で表される塩基配列に基づき設計可能である。
リボザイムは、触媒活性を有するRNAである。リボザイムは、標的となる核酸と反応する活性部位、及び標的となる核酸と結合する基質結合部位を有する。リボザイムとしては、例えば、基質結合部位として、抑制対象となる遺伝子のmRNAの配列と相補的な配列を有するリボザイムが挙げられる。
本発明に係るFAR遺伝子の発現を抑制するリボザイムは、当業者であれば、配列番号5で表される塩基配列に基づき設計可能である。本発明に係るPLE遺伝子の発現を抑制するリボザイムは、当業者であれば、配列番号6で表される塩基配列に基づき設計可能である。
RNAi誘導性核酸としては、shRNA、siRNA、miRNA、それらの前駆体等が挙げられ、例えば、抑制対象となる遺伝子のmRNAの配列と同一の塩基配列又はその部分配列を有する二本鎖構造のRNAがあげられる。抑制対象となる遺伝子の発現を抑制可能な範囲において、RNAi誘導性核酸は、抑制対象となる遺伝子のmRNAの配列と同一の塩基配列又はその部分配列を有する二本鎖構造のRNAであってもよい。
FAR遺伝子の発現を抑制する核酸の一態様として、以下の(g)〜(i)のいずれかの核酸を挙げることができる。
(g)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(h)配列番号7で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(i)配列番号7で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸
PLE遺伝子の発現を抑制する核酸の一態様として、以下の(j)〜(l)のいずれかの核酸を挙げることができる。
(j)配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(k)配列番号8で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(l)配列番号8で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
配列番号7で表される塩基配列に対応するアンチセンス鎖が発現するだけでもアンチセンス核酸となり、FAR遺伝子の発現を抑制し得る。配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸が発現することで、2本鎖RNAが形成され、siRNAの形成などにより、植物体内でサイレンシングが効率よく引き起こされる。
同様に、配列番号8で表される塩基配列に対応するアンチセンス鎖が発現するだけでもアンチセンス核酸となり、PLE遺伝子の発現を抑制し得る。配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸が発現することで、2本鎖RNAが形成され、siRNAの形成などにより、植物体内でサイレンシングが効率よく引き起こされる。
一般的に、何らかの生理機能を有する核酸は、本来の機能を損なうことなく、1〜数個の塩基配列が欠失、置換及び/又は付加可能なことが知られている。
前記(h)の核酸において、配列番号7で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加されていてもよい塩基の数は、1〜30個が好ましく、1〜20個がより好ましく、1〜10個がさらに好ましく、1〜5個がさらに好ましい。
前記(i)の塩基において、配列番号7で表される塩基配列との同一性は、80%以上100%未満であり、90%以上100%未満であることが好ましく、95%以上100%未満であることがより好ましく、98%以上100%未満であることがさらに好ましい。
塩基配列同士の同一性は、公知の各種相同性検索プログラムを用いて求めることができる。本発明における塩基配列同士の同一性は、公知の相同性検索ソフトウェアBLASTにより得られた値を採用できる。本発明における塩基配列同士の同一性は、後述する実施例に示すように市販の遺伝情報処理ソフトウェアGENETYXにより得られた値を採用できる。
一般的に、何らかの生理機能を有する核酸は、本来の機能を損なうことなく、1〜数個の塩基配列が欠失、置換及び/又は付加可能なことが知られている。
前記(k)の核酸において、配列番号8で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加されていてもよい塩基の数は、1〜30個が好ましく、1〜20個がより好ましく、1〜10個がさらに好ましく、1〜5個がさらに好ましい。
前記(l)の塩基において、配列番号8で表される塩基配列との同一性は、80%以上100%未満であり、90%以上100%未満であることが好ましく、95%以上100%未満であることがより好ましく、98%以上100%未満であることがさらに好ましい。
塩基配列同士の同一性は、公知の各種相同性検索プログラムを用いて求めることができる。本発明における塩基配列同士の同一性は、公知の相同性検索ソフトウェアBLASTにより得られた値を採用できる。本発明における塩基配列同士の同一性は、後述する実施例に示すように市販の遺伝情報処理ソフトウェアGENETYXにより得られた値を採用できる。
前記(g)〜(l)に示される核酸において、センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖は、該センス鎖又はその一部と完全に相補する配列からなるものが好ましいが、植物内でセンス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能で、抑制対象となる遺伝子の発現を抑制可能なものであれば、該センス鎖と部分的に相補する配列からなるものであってもよい。
前記(g)〜(i)に示される核酸において、配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖の一部とは、配列番号7で表される塩基配列中の連続する19個以上の塩基からなるものを例示できる。
前記(g)〜(i)に示される核酸において、センス鎖の一部となる配列番号7で表される塩基配列中の連続する19個以上の塩基長としては、抑制対象となる遺伝子によって適宜定めればよく、一例として19〜493塩基程度、100〜493塩基程度、300〜493塩基長程度、19〜400塩基程度、20〜100塩基程度、21〜50塩基程度とすることができる。
前記(g)〜(i)に示される核酸において、センス鎖の一部となる配列番号7で表される塩基配列中の連続する19個以上の塩基は、配列番号7で表される塩基配列中の366〜494番目の塩基配列からなる領域の一部(連続する19個以上の塩基)又は全部を含むものが好ましい。配列番号7で表される塩基配列中の366〜494番目の塩基配列からなる領域は、配列番号5で表される塩基配列のうちの3’UTRの領域に対応する。
前記(j)〜(l)に示される核酸において、配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖の一部とは、配列番号8で表される塩基配列中の連続する19個以上の塩基からなるものを例示できる。
前記(j)〜(l)に示される核酸において、センス配列の一部となる配列番号8で表される塩基配列中の連続する19個以上の塩基長としては、抑制対象となる遺伝子によって適宜定めればよく、一例として19〜506塩基程度、100〜506塩基程度、300〜506塩基程度、19〜400塩基程度、20〜100塩基程度、21〜50塩基程度とすることができる。
前記(j)〜(l)に示される核酸において、センス鎖の一部となる配列番号8で表される塩基配列中の連続する19個以上の塩基は、配列番号8で表される塩基配列中の450〜507番目の塩基配列からなる領域の一部(連続する19個以上の塩基)又は全部を含むものが好ましい。配列番号8で表される塩基配列中の450〜507番目の塩基配列からなる領域は、配列番号6で表される塩基配列のうちの3’UTRの領域に対応する。
前記(g)〜(i)の核酸は、FAR遺伝子の発現を抑制する活性を有する。(g)〜(i)の核酸が、FAR遺伝子の発現を抑制する活性を有しているかどうかは、常法により調べることができる。例えば、後述する実施例において例示するように、(g)〜(i)のいずれかの核酸が導入された植物と、(g)〜(i)のいずれかの核酸が導入されていない植物とを比較し、(g)〜(i)のいずれかの核酸が導入された植物で、FAR遺伝子の発現量が有意に減少している場合に、(g)〜(i)のいずれかの核酸が、FAR遺伝子の発現を抑制する活性を有していると判断できる。
前記(j)〜(l)の核酸は、PLE遺伝子の発現を抑制する活性を有する。(j)〜(l)の核酸が、PLE遺伝子の発現を抑制する活性を有しているかどうかは、常法により調べることができる。例えば、後述する実施例において例示するように、(j)〜(l)のいずれかの核酸が導入された植物と、(j)〜(l)のいずれかの核酸が導入されていない植物とを比較し、(j)〜(l)のいずれかの核酸が導入された植物で、PLE遺伝子の発現量が有意に減少している場合に、(j)〜(l)のいずれかの核酸が、PLE遺伝子の発現を抑制する活性を有していると判断できる。
前記(g)〜(i)に示される核酸は、FAR遺伝子の発現を抑制可能なものであれば、前記各センス鎖又はその一部、及び前記各アンチセンス鎖又はその一部の他に、任意の核酸が付加されていてもよい。
前記(j)〜(l)に示される核酸は、PLE遺伝子の発現を抑制可能なものであれば、前記各センス鎖又はその一部、及び前記各アンチセンス鎖又はその一部の他に、任意の核酸が付加されていてもよい。
前記FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現は、前記FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されてもよい。
FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸の一態様として、以下の(m)〜(o)のいずれかの核酸を挙げることができる。
(m)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、
配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖又はその一部と、を含む核酸、
(n)配列番号7で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、
配列番号8で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(o)配列番号7で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、
配列番号8で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
が挙げられる。
前記(m)〜(o)に示される核酸において、センス鎖、該センス鎖の一部、アンチセンス鎖としては、前記(g)〜(l)に示される核酸において説明したものと同様である。
前記(m)〜(o)に示される核酸は、FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現を抑制可能なものであれば、前記各センス鎖又はその一部、及び前記各アンチセンス鎖の他に、任意の核酸が付加されていてもよい。
前記FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸の一例として、以下の(p)〜(r)のいずれかの核酸を挙げることができる。
(p)配列番号9で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(q)配列番号9で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(r)配列番号9で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
配列番号9で表される塩基配列は、配列番号7で表される塩基配列及び配列番号8で表される塩基配列が連結したものであるので、前記(p)〜(r)に示される核酸において、センス鎖、該センス鎖の一部、アンチセンス鎖としては、前記(g)〜(l)に示される核酸において説明したものと同様である。
前記(p)〜(r)に示される核酸は、FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現を抑制可能なものであれば、前記各センス鎖又はその一部、及び前記各アンチセンス鎖の他に、任意の核酸が付加されていてもよい。
前記(p)の核酸としては、配列番号10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを例示できる。
なお、配列番号10で表される塩基配列において、1〜1001番目の塩基からなる部分は、アンチセンス鎖の部分であり、1002〜1920番目の塩基からなる部分は、スペーサー部分であり、1921〜2921番目に塩基からなる部分はセンス鎖の部分である。
後述する≪不稔化植物の作出方法≫及び実施例において示すように、配列番号10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを植物体に導入することで、前記FAR遺伝子及びPLE遺伝子の発現を抑制可能である。
本発明の不稔化植物は、被子植物であることが好ましく、アゼトウガラシ科(Linderniaceae)の植物であることがより好ましい。アゼトウガラシ科の植物としては、ツルウリクサ属・トレニア属(Torenia)に分類される植物が好ましく、トレニア(Torenia fournieri)が好ましい。
本発明の不稔化植物が、
前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されており、
前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されているものである場合、これらの核酸は少なくとも花において発現していることが好ましい。
当該核酸を花において発現させる場合、花において特異的に核酸を発現させる転写調節領域によって、核酸を発現させてもよく、花を含む植物体全体で核酸を発現させる恒常的プロモーター等の転写調節領域によって、核酸を発現させてもよい。
恒常的プロモーターとしては、CaMV35S(カリフラワーモザイクウイルス35S)プロモーターが挙げられる。
≪不稔化植物の作出方法≫
本発明の不稔化植物の作出方法は、
植物内において、
以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能を欠損又は抑制させ、
以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能を欠損又は抑制させる。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同一であるため、説明を省略する。
遺伝子の機能を欠損又は抑制させる方法としては、例えば、対象とする遺伝子のゲノムに人為的に改変又は変異を加えることにより、機能的な遺伝子産物の生成が欠損又は抑制された植物体を得てもよい。例えば、突然変異誘発剤の処理により、対象とする遺伝子の機能が欠損又は抑制された植物体をスクリーニングする方法が挙げられる。また例えば、遺伝子ターゲッティング法や、ゲノム編集技術、トランスジェニック等によって、対象とする遺伝子のゲノムに人為的に改変又は変異を加えることにより、機能的な遺伝子産物の生成が欠損又は抑制された植物体を得てもよい。対象とする遺伝子としては、本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子である。
又は、対象とする遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を植物に導入することによって、遺伝子産物の生成が欠損又は抑制された植物体を得てもよい。
本発明の不稔化植物において、本発明に係るFAR遺伝子及びPLE遺伝子のそれぞれについて、該遺伝子産物の活性の欠損又は抑制の程度、或いは、該遺伝子の発現の欠損又は抑制の程度は、植物体の不稔化が達成される程度であればよく、植物体の完全不稔化が達成される程度であることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制し、
前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸を導入することによって、欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸を導入することによって、欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に
前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸を導入することによって、欠損又は抑制し、
前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸を導入することによって、欠損又は抑制することが好ましい。
前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を導入することによって、前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を導入することによって、前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に
前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を導入することによって、前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制し、
前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を導入することによって、前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制するものであることが好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法は、植物に
前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を導入することによって、前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制するものであることが好ましい。
前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
本発明の不稔化植物の作出方法は、公知の遺伝子組み換え技術によっても実施可能であり、本発明に係るFAR遺伝子及び本発明に係るPLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸を植物内へ導入する方法が挙げられ、一例として、本発明に係るFAR遺伝子及び本発明に係るPLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸を植物内で発現可能ベクターを、植物内へ導入する方法が挙げられる。他の一例として、本発明に係るFAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸を植物内で発現可能なベクター、及び、本発明に係るPLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸を植物内で発現可能なベクターを、植物内へ導入する方法が挙げられる。導入された遺伝子の発現を抑制させる核酸は、ゲノム上に導入されていてもよく、ゲノム上に導入されていなくてもよいが、ゲノム上に導入されることが好ましい。
遺伝子の発現を抑制する核酸を導入する対象の植物としては、植物体、植物細胞、植物培養細胞、カルス等が挙げられる。
ベクターを用いて形質転換体を作出する方法は、特に限定されず、当技術分野で通常行われている方法により行うことが可能である。当該方法としては、例えば、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法が挙げられ、アグロバクテリウム法が好ましい。
本発明において不稔化植物とは植物体のみならず、細胞から植物体を作出した場合に植物体が不稔化されているものであれば、その由来となる細胞を包含する意味で用いている。細胞は、組織又は器官の状態であってもよい。本発明において不稔化植物とは、それらの後代若しくはクローンの生物又は細胞であってもよい。例えば、前記クローンの植物体としては挿し木または挿し芽等により得られた植物体が挙げられる。
植物内に、前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸を導入することによって、前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制させ、前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸を導入することによって、前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制させる場合、これらの核酸は少なくとも花において発現されることが好ましい。
当該核酸を花において発現させる場合、花において特異的に核酸を発現させる転写調節領域によって、核酸を発現させてもよく、花を含む植物体全体で核酸を発現させる恒常的プロモーター等の転写調節領域によって、核酸を発現させてもよい。
恒常的プロモーターとしては、CaMV35S(カリフラワーモザイクウイルス35S)プロモーターが挙げられる。
転写調節領域によって核酸を発現させる方法は公知であり、例えば、発現させるべき核酸をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドに、転写調節領域を作動可能に連結されることが挙げられる。
「作動可能に連結されている」とは、前記転写調節領域が核酸の発現を調節可能であることを意味する。
「転写調節領域」としては、転写開始や転写効率を制御可能な配列であり、プロモーター、エンハンサー、応答配列が挙げられる。
「花において転写調節可能な転写調節領域」とは、花を構成する細胞において核酸の転写を調節可能であることを意味する。より詳しくは、花において転写調節可能な転写調節領域とは、前記核酸が雄ずい及び/又は雌ずいの形成に作用可能なように転写調節可能な転写調節領域であり、花において特異的に遺伝子の発現をもたらし得る転写調節領域が好ましく、雄ずい及び雌ずいにおいて特異的に核酸の発現をもたらし得る転写調節領域がより好ましい。
本発明の不稔化植物の作出方法で作出される植物は、被子植物であることが好ましく、アゼトウガラシ科(Linderniaceae)の植物であることがより好ましい。アゼトウガラシ科の植物としては、ツルウリクサ属・トレニア属(Torenia)に分類される植物が好ましく、トレニア(Torenia fournieri)が好ましい。
≪ベクター≫
本発明のベクターは、以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能を欠損又は抑制させる核酸、及び以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能を欠損又は抑制させる核酸を発現可能である。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
(E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
(F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制させる核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制させる核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
本発明のベクターは、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーター並びに前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸を発現可能なものであることが好ましい。
前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
本発明のベクターは、前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸を発現可能なものであることが好ましい。
前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
前記FAR遺伝子及び前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸としては、上記の≪不稔化植物≫において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
本発明のベクターにおいて、
前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(g)〜(i)のいずれかの核酸であり、
前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(j)〜(l)のいずれかの核酸であることが好ましい。
(g)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(h)配列番号7で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(i)配列番号7で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(j)配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
(k)配列番号8で表される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
(l)配列番号8で表される塩基配列と同一性が80%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
本発明のベクターにおいて、
前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制する核酸が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための、以下の(s)の核酸であり、
前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制する核酸が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための、以下の(t)の核酸であることが好ましい。
(s)前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
(t)前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
ベクターとしては、例えば、プロモーター配列を有するDNA、FAR遺伝子の発現を抑制するDNA、PLE遺伝子の発現を抑制するDNA、ターミネーター配列を有するDNAを含むベクターが挙げられ、これらが上流から順に連結されてなるDNAを含むベクターが好ましい。本発明のベクターは、本発明に係るFAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸、及び本発明に係るPLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸の他に、薬剤耐性配列等の配列を有していてもよい。
本発明のベクターは、周知の遺伝子組み換え技術を用いて、本発明に係るFAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸、及び本発明に係るPLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を、ベクターに組み込むことで製造可能である。当該核酸を組み込む際には、市販の発現用ベクター作製キットを用いてもよい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.遺伝子の単離
まず、トレニア(Torenia fournieri)の雄蕊および雌蕊から抽出した総RNAからRT−PCRによりcDNAを得た。
プライマー:5’‐ATGGAGATTCAAAGCGATCAATC‐3’(配列番号:11)とプライマー:5’‐TATAATATAGCAGCAATCGAAGG‐3’(配列番号:12)を用いて前記cDNAから配列を増幅し、配列番号5で表される塩基配列を含むポリヌクレオチドを得た。
プライマー:5’‐ATGGATTTTCCTAATGATGAATCCG‐3’(配列番号:13)とプライマー:5’‐GTTTTCTTCTAGACACTTAATAACG‐3’(配列番号:14)を用いて前記cDNAから配列を増幅し、配列番号6で表される塩基配列を含むポリヌクレオチドを得た
得られた配列番号5で表される塩基配列を含む配列からオープンリーディングフレームを推定し、それらをアミノ酸配列に変換し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を得た。配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子は、本発明に係るFAR遺伝子である。
得られた配列番号6で表される塩基配列を含む配列からオープンリーディングフレームを推定し、それらをアミノ酸配列に変換し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を得た。配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子は、本発明に係るPLE遺伝子である。
GENETYX(Ver.8)を使用して同一性を算出したところ、配列番号1で表されるアミノ酸配列と、配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性は63%であった。なお、塩基配列では、GENETYX(Ver.8)を使用して同一性を算出したところ、サイレンシングに利用した配列部分での相同性は、TfFAR(配列番号7で表される塩基配列)とTfPLE(配列番号8で表される塩基配列)との相同性は66%であった。サイレンシングに利用していない全体も含めると、TfFAR(配列番号3で表される塩基配列)とTfPLE(配列番号4で表される塩基配列)との相同性は69%であった。
2−1.トレニア形質転換体の作出
図1に示すように、上記で得た配列番号5(TfFAR cDNAの配列)に基づき、MADS domainを含まないように、配列番号5の部分配列である配列番号7で表される494bの塩基配列を選出した。
図1に示すように、上記で得た配列番号6(TfPLE cDNAの配列)に基づき、MADS domainを含まないように、配列番号6の部分配列である配列番号8で表される507bの塩基配列を選出した。
35S promoterの下流に、配列番号8で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNA(TfPLEのアンチセンス鎖の部分配列)と、配列番号7で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNA(TfFARのアンチセンス鎖の部分配列)と、スペーサーとして配列番号15で表される塩基配列からなるDNA(GUS遺伝子の配列)と、配列番号7で表される塩基配列からなるDNA(TfFARのセンス鎖の部分配列)と、配列番号8で表される塩基配列からなるDNA(TfPLEのセンス鎖の部分配列)と、HSPterとを、この順に連結し、配列番号10で表される塩基配列からなるDNAを得た(図2)。
この図2に模式的に示す発現カセットを、ベクター(P35SSRDXG-HSPter)上のSmaI/SalIサイト(図3)の位置と置換し、LR反応にてpBCKKベクター(図4)に導入したバイナリーベクターを、アグロバクテリウムに導入し、次いでこのアグロバクテリウムを用いて、アグロバクテリウム法によりトレニアに導入し、形質転換体(TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニア)を作製した。
2−2.発現解析
野生型のトレニアの葉、花弁、雄蕊、雌ずいから抽出した総RNA、TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニアの葉、花弁、雄蕊(花弁化)、雌ずい(花弁化)から抽出した総RNAに対し、それぞれRT−PCRを行った。TfFAR遺伝子とTfPLE遺伝子の発現解析を次に示すプライマー[TfFAR;プライマー:5’‐ATGGAGATTCAAAGCGATCAATC‐3’(配列番号:16)とプライマー:5’‐GACAAGGTGAAGAGATGTCTGG‐3’(配列番号:17)および、TfPLE; プライマー:5’‐ATGGATTTTCCTAATGATGAATC‐3’(配列番号:18)とプライマー:5’‐CACGAGCCGAAGGGGTGTTT‐3’(配列番号:19)]を用いて行った。GUS遺伝子の発現解析を次に示すプライマー[5’‐GTCGTCATGAAGATGCGGAC‐3’ (配列番号:20)と5’‐CCCTGCTGCGGTTTTTCACC‐3’ (配列番号:21)]を用いて行った。TfACT3遺伝子の発現解析(ポジティブコントロール)を次に示すプライマー[5’‐AAATACAGTGTTTGGATCGGAGGTTC‐3’ (配列番号:22)と5’‐GAATAGCACACAGAGAATAGCAAACC‐3’ (配列番号:23)]を用いて行った。
図5に、RT−PCRの結果を示す。導入遺伝子(スペーサー部分)の確認にGUSの発現を確認し、TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニアでのサイレンシングベクターの導入が確認された。TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニアでは、TfFAR遺伝子とTfPLE遺伝子の発現が、ほぼサイレンシングされていることが確認された。
2−3.トレニア形質転換体の形質
得られた形質転換体(TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニア)の花の形態を図6に示す。形質転換体(TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニア)の花は、コントロールのトレニア(野生型)の花と比較して、雌蕊が完全に花弁化しており、また雄蕊が完全に花弁化していた。その結果、形質転換体(TfFAR/TfPLE-IR 組換えトレニア)は完全不稔化されていた。
このように、本発明に係るトレニアは、トレニア特有の花の姿が持つ鑑賞性の高さと完全不稔性とを兼ね備えた非常に有用な植物体であった(図7)。
3−1.トレニア形質転換体の作出
配列番号5(TfFAR cDNAの配列)に基づき、プライマー:5’‐ attgCAAGAGAAATCTCGCCGCAG‐3’(配列番号:24)とプライマー:5’‐ aaacCTGCGGCGAGATTTCTCTTG‐3’(配列番号:25)をアニールし、TfFAR target1(CAAGAGAAATCTCGCCGCAG、配列番号:26)で表されるオリゴヌクレオチドを作製および選出した。同じく、配列番号5(TfFAR cDNAの配列)に基づき、プライマー:5’‐ attgCGAGAACACGACGAATCGAC‐3’(配列番号:27)とプライマー:5’‐ aaacGTCGATTCGTCGTGTTCTCG‐3’(配列番号:28)をアニールし、TfFAR target2(CGAGAACACGACGAATCGAC、配列番号:29)で表されるオリゴヌクレオチドを作製および選出した。
配列番号6(TfPLE cDNAの配列)に基づき、プライマー:5’‐ attgCCTGAAGGAACTCAAGAACA‐3’(配列番号:30)とプライマー:5’‐ aaacTGTTCTTGAGTTCCTTCAGG‐3’(配列番号:31)をアニールし、TfPLE target1(CCTGAAGGAACTCAAGAACA、配列番号:32)で表されるオリゴヌクレオチドを作製および選出した。同じく、配列番号6(TfPLE cDNAの配列)に基づき、プライマー:5’‐ attgGCCAGGACCAAACACCCCTT‐3’(配列番号:33)とプライマー:5’‐ aaacAAGGGGTGTTTGGTCCTGGC‐3’(配列番号:34)をアニールし、TfPLE target2(GCCAGGACCAAACACCCCTT、配列番号:35)で表されるオリゴヌクレオチドを作製および選出した。
配列番号5(TfFAR cDNAの配列)に基づいたオリゴヌクレオチド配列であるTfFAR target1(配列番号:26)をpMR217_pDONR_AtU6gRNAベクター(図8)上のBbsIサイトの位置に導入し、新たにpMR217_pDONR_AtU6gRNA-TfFAR_target1ベクターを作製した(図9)。TfFAR target2(配列番号:29)で表される塩基配列を、pMR219_pDONR_AtU6gRNAベクター(図8)上のBbsIサイトの位置に導入し、新たにpMR219_pDONR_AtU6gRNA-TfFAR_target2ベクターを作製した(図9) 。これにより、AtU6promoterの下流に、TfFAR target1(配列番号:26)で表される塩基配列と、sgRNA scaffold配列とをこの順序に連結し、TfFAR target2(配列番号:29)で表される塩基配列と、sgRNA scaffold配列とをこの順序に連結した(図9)。
配列番号6(TfPLE cDNAの配列)に基づいたオリゴヌクレオチド配列であるTfPLE target1(配列番号:32)をpMR204_pDONR_AtU6gRNAベクター(図8)上のBbsIサイトの位置に導入し、新たにpMR204_pDONR_AtU6gRNA-TfPLE_target1ベクターを作製した。TfPLE target2(配列番号:35)で表される塩基配列を、pMR205_pDONR_AtU6gRNAベクター(図8)上のBbsIサイトの位置に導入し、新たにpMR205_pDONR_AtU6gRNA-TfPLE_target2ベクターを作製した。これにより、AtU6promoterの下流に、TfPLE target1(配列番号:32)で表される塩基配列と、sgRNA scaffold配列とをこの順序に連結し、TfPLE target2(配列番号:35)で表される塩基配列と、sgRNA scaffold配列とをこの順序に連結した(図9)。
この図9に模式的に示す発現カセットを、LR反応にてpDeCas9_Kanベクター(pDeCas9;Fauser et al. 2014、の選抜マーカーがハイグロマイシンからカナマイシンに改変されたベクター。Fauser F, Schiml S, Puchta H (2014) Both CRISPR/Cas-based nucleases and nickases can be used efficiently for genome engineering in Arabidopsis thaliana. Plant J 79: 348-359)(図10)に導入し、pDeCas9-TfFAR_target-1&2/TfPLE_target-1&2バイナリーベクターを作製した。pDeCas9-TfFAR_target-1&2/TfPLE_target-1&2バイナリーベクターをアグロバクテリウムに導入し、次いでこのアグロバクテリウムを用いて、アグロバクテリウム法によりトレニアに導入し、形質転換体(TfFAR target 1&2/TfPLE target 1&2ゲノム編集トレニア)を作製した。形質転換体では、TfFAR遺伝子ゲノムの塩基配列が60塩基ほど短くなっており、TfPLE遺伝子ゲノムの塩基配列が460塩基ほど短くなっていることが確認された。
3−2.トレニア形質転換体の形質
上記のpDeCas9-TfFAR_target-1&2/TfPLE_target-1&2バイナリーベクターをアグロバクテリウム法によりトレニアに導入した。得られた形質転換体(TfFAR target 1&2/TfPLE target 1&2ゲノム編集トレニア)の花の形態を図11に示す。形質転換体(TfFAR target 1&2/TfPLE target 1&2ゲノム編集トレニア)の花は、コントロールのトレニア(野生型)の花と比較して、雌蕊が花弁化しており受精に必要な柱頭が存在せず、花弁化が確認された。また雄蕊が消失または、完全に花弁化していた。その結果、形質転換体(TfFAR target 1&2/TfPLE target 1&2ゲノム編集トレニア)は完全に不稔化されていた。
このように、本発明に係るトレニアは、トレニア特有の花の姿が持つ鑑賞性の高さと完全不稔性とを兼ね備えた非常に有用な植物体であった(図11)。
3−3.発現解析
野生型のトレニアの雌ずいから抽出した総RNA、ゲノム編集トレニアの雌ずい(花弁化)から抽出した総RNAに対し、それぞれRT−PCRを行った。TfFAR遺伝子とTfPLE遺伝子の発現解析を次に示すプライマー[TfFAR;プライマー:5’‐TGGAGATTCAAAGCGATCAATCAAG‐3’(配列番号:36)とプライマー:5’‐aaacCAGCATCACAAAGCACAGAC‐3’(配列番号:37)および、TfPLE; プライマー:5’‐ATGCCCCTGAAGGAACTCAAG‐3’(配列番号:38)とプライマー:5’‐TTGTTTGTAGCAAGCTAGTTATATC‐3’(配列番号:39)]を用いて行った。TfACT3遺伝子の発現解析(ポジティブコントロール)を次に示すプライマー[5’‐AAATACAGTGTTTGGATCGGAGGTTC‐3’ (配列番号:22)と5’‐GAATAGCACACAGAGAATAGCAAACC‐3’ (配列番号:23)]を用いて行った。
図12に、RT−PCRの結果を示す。ゲノム編集トレニアの花弁化した雌ずいでは、野生型トレニアで見られるTfFAR遺伝子とTfPLE遺伝子の発現が見られなかった。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。

Claims (11)

  1. 以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能が欠損又は抑制されており、
    以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能が欠損又は抑制されている、アゼトウガラシ科の植物であり、前記植物個体が有する全ての花器官の稔性が失われた完全不稔化植物。
    (A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
    (B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
    (C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
    (D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
    (E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
    (F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
  2. 雌蕊が花被化しており、雄蕊が花被化している形態(ただし、本来の心皮の形成領域を中心として、該形成領域の内側方向に向けて同心円状に、花被の形成領域のウォールがさらに2層以上繰り返される八重咲の形態を除く。)により前記植物個体が有する全ての花器官の稔性が失われた、請求項1に記載の完全不稔化植物。
  3. 前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターに改変部位を有することによって、欠損又は抑制されており、
    前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターに改変部位を有することによって、欠損又は抑制されている、請求項1又は2に記載の完全不稔化植物。
  4. 前記FAR遺伝子の機能が、前記FAR遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されており、
    前記PLE遺伝子の機能が、前記PLE遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸が導入されることによって、欠損又は抑制されている、請求項1又は2に記載の完全不稔化植物。
  5. 前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(g)〜(i)のいずれかの核酸であり、
    前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(j)〜(l)のいずれかの核酸である、請求項に記載の完全不稔化植物。
    (g)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
    (h)配列番号7で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
    (i)配列番号7に記載の塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
    (j)配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
    (k)配列番号8で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
    (l)配列番号8に記載の塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
  6. アゼトウガラシ科の植物内において、
    以下の(A)〜(C)のいずれかのFAR遺伝子の機能を欠損又は抑制させ、
    以下の(D)〜(F)のいずれかのPLE遺伝子の機能を欠損又は抑制させ、前記植物個体が有する全ての花器官の稔性を失わせる、完全不稔化植物の作出方法。
    (A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
    (B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
    (C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
    (D)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子
    (E)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜30個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
    (F)配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一性が90%以上のアミノ酸配列からなり、且つ転写制御機能を有するタンパク質をコードする遺伝子
  7. 雌蕊が花被化しており、雄蕊が花被化している形態(ただし、本来の心皮の形成領域を中心として、該形成領域の内側方向に向けて同心円状に、花被の形成領域のウォールがさらに2層以上繰り返される八重咲の形態を除く。)により前記植物個体が有する全ての花器官の稔性を失わせる、請求項6に記載の完全不稔化植物の作出方法。
  8. 前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制し、
    前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変することによって、欠損又は抑制する、請求項6又は7に記載の完全不稔化植物の作出方法。
  9. 前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制し、
    前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子のmRNAの配列であるセンス配列と相補的な塩基配列を有し、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制する、請求項6又は7に記載の完全不稔化植物の作出方法。
  10. 前記FAR遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(g)〜(i)のいずれかの核酸であり、
    前記PLE遺伝子の発現を抑制する核酸が、以下の(j)〜(l)のいずれかの核酸である、請求項に記載の完全不稔化植物の作出方法。
    (g)配列番号7で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
    (h)配列番号7で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
    (i)配列番号7で表される塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記FAR遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
    (j)配列番号8で表される塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含む核酸、
    (k)配列番号8で表される塩基配列において、1〜30個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸、
    (l)配列番号8で表される塩基配列と同一性が90%以上の塩基配列からなるセンス鎖又はその一部と、該センス鎖又はその一部と二重鎖を形成可能なアンチセンス鎖と、を含み、前記PLE遺伝子の発現を抑制可能な核酸
  11. 前記FAR遺伝子の機能を、前記FAR遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制し、
    前記PLE遺伝子の機能を、前記PLE遺伝子の発現を欠損又は抑制させる核酸を前記植物に導入することによって、欠損又は抑制し、
    前記FAR遺伝子の機能を欠損又は抑制する核酸が、前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための、以下の(s)の核酸であり、
    前記PLE遺伝子の機能を欠損又は抑制する核酸が、前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターを改変するための、以下の(t)の核酸である、請求項8に記載の完全不稔化植物の作出方法。
    (s)前記FAR遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
    (t)前記PLE遺伝子及び/又はそのプロモーターの配列から選出された塩基配列を含むガイドRNA
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