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JP6762001B2 - 非天然アミノ酸含有ペプチドライブラリ - Google Patents

非天然アミノ酸含有ペプチドライブラリ Download PDF

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Description

本発明は、ペプチドの翻訳後修飾方法に関する。より詳細には、cDNAディスプレイ法を用いて得られた、cDNAディスプレイ分子上の非天然アミノ酸を含むペプチドの翻訳後修飾方法に関する。
従来、医薬品としては、種々の生理活性を有する菌の二次代謝産物、そうした二次代謝産物の誘導体、それらの構造に基づきドラッグデザインを行なった合成化合物等が用いられてきた。
生理活性を有する中分子を多数の候補分子の中から選択するには、効率のよいスクリーニング方法が必要とされ、そうしたスクリーニング方法の1つとして、無細胞翻訳系を用いたディスプレイ法が挙げられる。こうしたディスプレイ法の例としては、例えば、mRNAディスプレイ法、cDNAディスプレイ法等を挙げることができる(非特許文献1、以下、「従来技術1」という)。
一方で、種々の機能性物質、例えば、医薬の候補化合物を作り出すために、クリックケミストリーが確立された(非特許文献2)。クリックケミストリーは、「Click(カチッと音を立てて結合する)」という用語に示されるように、簡便に強固な結合を形成させることができ、選択性及び収率の高い、高速反応を基盤技術として用いることを特徴としている。そして、クリックケミストリーの代表的な反応として、アジドとアルキンとを用いるヒュスゲン環化(Huisgen[3+2]環化)が知られている(以下、「従来技術2」という)。
実際に、シャープレスは、クリックケミストリーに基づく手法を用いて、2つの阻害剤をアセチルコリンエステラーゼ(AChE)内で架橋させ、リンカーの探索を行い、その結果、AchE阻害剤を発見することに成功している(非特許文献3)。
一方で、分子量が50〜1000Da程度の低分子医薬品は、血液脳関門を通過して、脳内に入ることができ、また、細胞膜の中や核にまで入りこむことができるため、標的となるタンパク質に結合して薬の効果を発揮することが期待できる。
また、副作用の低減を目的とした抗体医薬等も開発されてきた。抗体医薬は、抗体という巨大分子を用いるために人工合成が難しく、また、生物に産生させるにしても、量産が難しく、精製に時間と手間がかかる。このため、次世代医薬品として、ペプチドや、次世代抗体等の「中分子」を含む、中分子医薬品が注目されるようになってきた(以下、「従来技術3」という)。
J. Yamaguchi, et al. Nucleic Acids Res, Vol.37, e108 (2009) Kolb, H. C.; Finn, M. G.; Sharpless, K. B. Angew. Chem. Int. Ed. 2001 Sharpless, K. B. et al. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 6686
従来技術1における無細胞系翻訳は、穏やかな条件の下で多様性を持つペプチドライブラリを作製する上では優れた方法である。しかしながら、mRNAがリボソームに取り込まれて翻訳される工程で問題が起こることがある。すなわち、リボソームは嵩高い側鎖のついたアミノ酸(以下、「非天然アミノ酸」ということがある。)を取り込むことができず、このため、ペプチド中に取り込ませることができる非天然アミノ酸が限定されてしまい、十分な多様性を持った機能性ペプチドライブラリを作製できないという問題があった。
また、従来技術2におけるヒュスゲン環化付加反応は、周囲の環境や条件にほとんど影響を受けず、水中や生体適合条件下でも進行し、信頼性が高いという点では優れた反応である。しかしながら、上記のヒュスゲン環化付加反応では、金属触媒を使用するため、環化反応中に生成されたペプチドの切断が起こるという問題があった。また、銅イオンは反応性に富むために活性酸素などの不安定分子を作り出してDNAなど生物にとって重要な分子を無差別に壊してしまう問題があった。
一方で、従来技術3における低分子化合物のなかには、薬理作用を有するものの標的分子に対する特異性が低いため、有効に使用できないといった問題があった。
また、低分子医薬品となり得る候補薬剤、ペプチド及び次世代抗体等の「中分子」を含む中分子医薬品となり得る候補化合物を得るためには、候補となるペプチドを単にスクリーニングするだけでなく、それらに、新たな機能を付与すること、さらに、優れた候補を選択できるようにすることが必要である。このため、ライブラリサイズを現状より大きい1012程度とすることが必要であるが、実際には作成されていない。
このため、上記のcDNAディスプレイ法で翻訳産物として得られたペプチドを修飾し、効率的、かつ収率の高い方法に対する強い社会的要請があった。
こうした状況の下で、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねて本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明の態様は、(1)所定の配列を有するmRNAをリンカーと結合させてmRNA-リンカー連結体を得るリンカー結合工程と;(2)無細胞翻訳系から終結因子を除去する終結因子除去工程と;(3)非天然アミノ酸アミノアシル化酵素を用いて非天然アミノ酸とtRNAとを結合させ、アミノアシル化tRNAを調製するアミノアシル化工程と;(4)前記mRNA-リンカー連結体を、前記アミノアシル化tRNAを含む、前記終結因子を除去した無細胞翻訳系で翻訳し、前記非天然アミノ酸を含むペプチドを、前記mRNA−リンカー連結体にディスプレイする、cDNAディスプレイ分子作製工程と;
(5)前記cDNAディスプレイ分子を固相と結合させる固相化工程と;(6)前記固相化工程で固相化されたcDNAディスプレイ分子を精製する精製工程と;(7)前記精製工程で得られたcDNAディスプレイ分子に結合されているペプチドに、金属錯体を使用しないヒュスゲン環化付加反応を利用して嵩高い官能基を導入し、前記非天然アミノ酸を含むペプチドを修飾する修飾工程と;(8)前記修飾されたcDNAディスプレイ分子を固相から切り離す切断工程と;を備えることを特徴とする、ペプチドの翻訳後修飾方法である。
また、前記tRNAは、終止コドンを認識するアンチコドン、又は4〜6塩基の拡張コドンに対するアンチコドンを有することが、非天然アミノ酸をペプチドに配列させる点から好ましい。また、前記アミノアシル化工程では、非天然アミノ酸アミノアシル化酵素を使用することが非天然アミノ酸をtRNAに効率よく結合させる点から好ましく、チロシルtRNA合成酵素、ピロリシルtRNA合成酵素、トリプトファニルtRNA合成酵素、フェニルアラニルtRNA合成酵素、ロイシルtRNA合成酵素、リシルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素及びこれらの変異体、及びフレキシザイムからなる群から選ばれるいずれかの酵素を使用することがより好ましい。
また、前記金属錯体は、Cu(I)であることが、ヒュスゲン環化付加反応時に、合成したペプチドや、DNAやRNAを分解する傾向を抑える点で好ましい。また前記嵩高い官能基は、一般式Iで表される化合物に含まれることが、ヒュスゲン環化付加反応を効率よく行う点で好ましい。
式中、−Xは、炭素鎖又は少なくとも酸素原子を含む炭素鎖で構成される側鎖と、その末端に結合した、ビオチン、蛍光色素、蛍光タンパク質、薬剤候補となる低分子化合物、及び錯体金属を含む環状化合物からなる群から選ばれるいずれかの分子を備える嵩高い官能基である。
前記非天然アミノ酸は、側鎖にアジドを有することが前記嵩高い官能基とのヒュスゲン環化付加反応を効率よく行う点で好ましく、化学式II〜Vで表される化合物からなる群から選ばれるいずれかであることが、前記非天然アミノ酸アミノアシル化酵素及び前記嵩高い官能基の両方との反応に適している点からより好ましい。
本発明の翻訳後修飾方法によれば、金属錯体によるDNA、RNA及びペプチドの分解を抑えつつ、cDNAディスプレイ法を用いて得られた非天然アミノ酸を含むペプチドライブラリを、翻訳後に修飾することができる。
図1は、ヒュスゲン環化付加反応による翻訳後のペプチド修飾の模式図である。 図2Aは、嵩高い官能基の一例を示した図(1)である。 図2Bは、嵩高い官能基の一例を示した図(2)である。 図2Cは、嵩高い官能基の一例を示した図(3)である。 図2Dは、嵩高い官能基の一例を示した図(4)である。
図3は、光架橋型リンカーの模式図である。 図4は、光架橋型リンカーとmRNAとの結合の一例を示した図である。 図5は、酵素型リンカーを示す模式図である。 図6は、アミノアシル化tRNAの電気泳動写真である。
図7は、銅触媒を用いずにヒュスゲン環化付加反応させた場合の、cDNAディスプレイの電気泳動写真である。 図8は、銅触媒を用いてヒュスゲン環化付加反応させた場合の、cDNAディスプレイ状態を示す電気泳動写真である。 図9は、銅触媒を用いずにヒュスゲン環化付加反応させた場合の、非天然アミノ酸の導入効率を調べたゲルシフトアッセイの結果を示す写真である。
以下に、本発明を、図1を参照しつつ、詳細に説明する。
本発明は、上述したように(1)リンカー結合工程と;(2)終結因子除去工程と;(3)アミノアシル化工程と;(4)cDNAディスプレイ分子作製工程と;(5)固相化工程と;(6)精製工程と;(7)修飾工程と;(8)切断工程と;を備えることを特徴とする、ペプチドの翻訳後修飾方法である。
上記(1)のリンカー結合工程では、まずDNAライブラリから所望の配列のDNAを選別する。ここで、「所望の配列」とは、目的のタンパク質やペプチドをコードするDNA配列及びそれらに類似する配列をいい、終止コドンを有するmRNAと相補的な塩基配列を有するDNA配列及びそれらに類似する配列であることが好ましい。
上記選別したDNAと、所望のプロモーター、及びフルコンストラクトDNA作製に必要なその他の配列を用いて、mRNAを調製する。ここで、「フルコンストラクトDNAの作製に必要なその他の配列」としては、mRNAの終止コドンに相補的な配列、Hisタグ等の精製用のタグ配列等を挙げることができる。上記のような配列を含むDNA断片を作製し、伸長PCRによってDNAを増幅させ、二本鎖のフルコンストラクトDNAを得ることができる。
また、得られた二本鎖のフルコンストラクトDNAを常法に従って転写し、mRNAを得ることができる。ここで、ScriptMAX(R) Thermo T7 Transcription Kit(東洋紡(株)社製)やRiboMAX(登録商標) Large Scale RNA Production System-T7(プロメガ社製)、T7 Transcription Kit(コスモバイオ(株)社製)その他の市販の転写キットを使用すると、迅速、簡便、かつ精度よく転写を行い、mRNAを調製することができる。
上記で得られたmRNAをリンカーと結合させて、リンカー−mRNA連結体を調製する。リンカーとしては、T4RNAリガーゼを用いてリンカーとmRNAのライゲーションを行う、酵素型リンカーを用いることができる。
また、光架橋連結型リンカーを使用することが、短時間でライゲーションを行うことが出来る点で好ましい。こうした光架橋連結型リンカーとしては、高速光架橋型人工核酸(3−シアノビニルカルバゾール)(以下、「cnvk」ということがある。)を主鎖中に含む光架橋型リンカーを使用することが、迅速かつ効率よく、リンカー−mRNA連結体を得られる点で好ましい。
上記(2)の終結因子除去工程では、無細胞翻訳系から、終結因子であるRF1、RF2及びR3を除去する。これにより、リボソームの小サブユニットでmRNA上の終止コドンが解読された場合においても翻訳が終結しないようになる。すなわち、後述する非天然アミノ酸によってtRNAがアミノアシル化され、かつ終止コドンに対応するアンチコドンを有するtRNAが、終止コドン部位に運ばれ、非天然アミノ酸がペプチドに配列され、その後も翻訳が継続する。
終結因子を除去した無細胞翻訳系は、大腸菌で翻訳反応に関与する開始因子(IF1、IF2及びIF3)、伸長因子(EF-Tu、EF-Ts及びEF-G)、リボソーム再生因子(RRF)、20種類のアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)、メチオニルtRNAフォルミル転移酵素(MTF)、リボソーム、T7 RNAポリメラーゼ等を個別に精製した後、アミノ酸、NTP、tRNA等と混合して再構成することで得ることができる。
また、PUREfrex(登録商標)(ジーンフロンティア(株)製)等から、終結因子を除去した無細胞翻訳系を購入して使用することもできる。
上記(3)のアミノアシル化工程では、まず、ペプチドに配列させる非天然アミノ酸を選択しtRNAを調製する。次いで、選択した非天然アミノ酸を、化学的アミノアシル化法又は非天然アミノアシル化酵素を使用して、調製したtRNAに結合させる。
化学的アミノアシル化法による非天然アミノ酸のアミノアシル化は、常法によって行うことができる。例えば、非天然アミノ酸としてtert-ブトキシカルボニル基で保護されたN-Boc‐ニトロフェニルアラニンを選択した場合、まず、当該非天然アミノ酸をシアノメチル化し、リン酸-デオキシシトシン-リン酸-アデノシン(pdCpA)ジヌクレオチドを付加した後、トリフルオロ酢酸で処理してBocを除去する。次いで、ニトロフェニルアラニル-pdCpAをtRNAに結合させ、ニトロフェニルアラニル-tRNAを得ることができる。
非天然アミノ酸アミノアシル化酵素を使用する場合は、当該酵素を使用できる非天然アミノ酸とtRNAとのペアを選択する。例えば、非天然アミノ酸アミノアシル化酵素にチロシルtRNA合成酵素を選択した場合、例えば3-ヨード-L-チロシンのようなチロシンと構造が似ている非天然アミノ酸及びtRNATryを選択するとよい。また、ピロリシルtRNA合成酵素を使用する場合は、例えばピロリシンのような側鎖の末端にピロリン環が結合したリシンと構造が似た非天然アミノ酸及びtRNAPylを選択するとよい。
アミノアシル化の効率を向上させるために、上記非天然アミノ酸アミノアシル化酵素の変異体を使用することもできる。本明細書中、「非天然アミノ酸アミノアシル化酵素の変異体」とは、当該酵素のアミノ酸配列上の一部のアミノ酸を、他のアミノ酸に置換した酵素をいう。例えば、チロシルtRNA合成酵素の場合、37番目のチロシンをバリンに、195番目のグルタミンをシステインに置換することで、L-チロシンに比べて3-ヨード-L-チロシンとtRNATryとのアミノアシル化反応が10倍近く向上する。
また、上記非天然アミノ酸アミノアシル化酵素を変異させることで、変異前とは異なる非天然アミノ酸とtRNAとのアミノアシル化を行うことができる。例えば、ピロリシルtRNA合成酵素の309番目のロイシンをアラニンに、348番目のシステインをバリンに置換することで、Z-リシンとRNAPlyのアミノアシル化を行うことができる。
非天然アミノ酸アミノアシル化酵素にフレキシザイムを使用する場合、非天然アミノ酸を認識できるよう、必要に応じて非天然アミノ酸基質の調製及びtRNAの調製を行い、その後tRNAのアミノアシル化を行う。ここで、終止コドンに対応するアンチコドンを有するtRNAを用いることが、mRNA-リンカー連結体上のペプチド連結部位に、所望の非天然アミノ酸を配置させやすい点で好ましい。
非天然アミノ酸アミノアシル化酵素は、チロシルtRNA合成酵素、ピロリシルtRNA合成酵素、トリプトファニルtRNA合成酵素、フェニルアラニルtRNA合成酵素、ロイシルtRNA合成酵素、リシルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素及びこれらの変異体、及びフレキシザイムからなる群から選ばれるいずれかであることが、所望の非天然アミノ酸をtRNAに特異性が高く効率よく結合させることができる点で好ましい。非天然アミノ酸アミノアシル化酵素の変異体の例は上述したとおりである。
非天然アミノ酸は、後述する修飾工程における嵩高い官能基を有する化合物とヒュスゲン環化付加反応によって結合させるため、側鎖にアジドを有する化合物を選択するのが好ましく、以下の化学式II〜Vで表される化合物からなる群から選ばれるいずれかであることが、嵩高い官能基を有する化合物との反応性を高める点で好ましい。
ここで、本明細書中、「嵩高い官能基」とは、炭素鎖又は少なくとも酸素原子を含む炭素鎖で構成される側鎖と、その末端に、ビオチン、蛍光色素、蛍光タンパク質、薬剤候補となる低分子化合物、及び錯体金属を含む環状化合物からなる群から選ばれるいずれかの分子を備える官能基をいう。
ここで、側鎖の炭素数は3以上で、側鎖中にカルボニル又はエーテルとし少なくとも酸素原子が含まれることが好ましい。
側鎖と結合する蛍光色素は、例えばAlexa Fluor(登録商標)系蛍光色素、Pacific Blue、Pacifc Green、Pacific Orange、Coumarin、FITC、ローダミン等の蛍光色素、及びそれらの類似体が挙げられる。蛍光タンパク質はGFP、RFP、CFP等の蛍光タンパク質、及びそれらの類似体である。
薬剤候補となる低分子化合物は、分子量が50〜1000Daの化合物であることが好ましく、分子量が300〜500Daであることが、薬剤吸収の観点からさらに好ましい。薬剤候補としては、以下のものを挙げることができる。例えば、がん分子標的薬剤としては、血管内皮増殖因子受容体、繊維芽細胞増殖因子受容体及びヤーヌスキナーゼ等を標的とするチロシンキナーゼ標的型薬剤;分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ及びプロテインキナーゼC等のチロシンキナーゼ以外のキナーゼを標的とする薬剤;ヒストン脱アセチラーゼ及びテロメラーゼ等を標的とするエピジェティクス、テロメア制御及び遺伝子発現に作用する薬剤;ポリ(ADP-ribose)ポリメラーゼやヒートショックタンパク質90等を標的とするタンパク質翻訳後修飾・分解・フォールディング、分子モーター、核外輸送に作用する薬剤;及びアポトーシス阻害因子等を標的とするアポトーシス及びオートファジーに作用する薬剤等である。、
また、錯体金属を含む環状化合物としては、例えばポルフィリン、フタロシアニン、コロール、コリン、クロリン及びそれらの類縁体等を配位子とし、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、鉄、銅、ニッケル及びモリブデン等の金属を錯体金属として構成される化合物を挙げることができる。
嵩高い官能基の具体例を図2A〜図2Dに示した。これらは、抗HIV薬や抗結核活性化化合物等の様々な医薬候補化合物の探索や、機能性材料の合成及びウイルス表面の修飾等のバイオコンジュゲーション等に使用される。また、嵩高い官能基は、市販のクリックケミストリー用試薬の中からも選択できるが、銅(I)が存在しない条件でも反応する化合物であることが、迅速かつ効率よく生体分子のイメージングやラベリングに使用できる点で好ましい。
例えば、非天然アミノ酸アミノアシル化酵素として後述するフレキシザイムdFxを選択した場合、認識部位として3,5-ジニトロベンジルエステル基、及び基質部位として3,5-ジニトロベンジル基を有し、嵩高い官能基、例えばシクロオクチンやその誘導体とヒュスゲン環化付加反応するためのアジド基を有する、非天然アミノ酸を選択することが好ましい。例えば、上記化学式IIIで表される化合物を選択することが、後述するアミノ酸基質の調製をすることなく、アミノアシル化に使用できる点で好ましい。
また、後述するフレキシザイムeFxを選択した場合、認識部位として芳香環及び基質部位としてシアノメチル基を有し、かつヒュスゲン環化付加反応後においても有するアジド基を有する非天然アミノ酸を選択することが好ましい。例えば、化学式IIで表される化合物を選択することが好ましく、化学式IVで表される4-アジド-L-フェニルアラニンや、化学式Vで表されるN-Boc-アジド-L-フェニルアラニン化合物を選択することが、アミノ酸基質の調製をすることなく、アミノアシル化に使用できる点で好ましい。
これにより、官能基の三重結合部分と非天然アミノ酸のアジド基との間のクリック反応によって、簡便かつ高収率に両者を結合することができる。
フレキシザイムは、非天然アミノ酸中の特定の構造をした部位を認識し、活性化した基質部位にtRNAの3'末端を結合させる人工アミノアシル化酵素である。高効率のアミノアシル化の観点から、主にジニトロベンジルフレキシザイム(以下、dFxということがある)、エンハンスドフレキシザイム(以下、eFxということがある)、アミノフレキシザイム(以下、aFxということがある)等を使用することができる。
例えば、dFxは3,5−ジニトロベンジルエステル基を認識部位とし、活性化した3,5−ジニトロベンジル基を基質部位として、tRNAの3'末端をアミノアシル化する。また、eFxは、芳香環を認識部位とし、活性化したシアノメチル基を基質部位として、アミノアシル化する。aFxは、芳香環を認識部位とし、4-[(2-アミノエチル)カルバモイル]ベンジルエステル基を基質部位として認識する。
フレキシザイムの調製は、アミノアシル化に使用する非天然アミノ酸に応じて、フレキシザイムを選択して合成する。各フレキシザイムは、それぞれ所望のプライマーを合成し、PCRによってDNAを調製した後、転写によって得ることができる。
非天然アミノ酸基質の調製は、上記で選択した非天然アミノ酸が、フレキシザイムの認識部位及びtRNAが結合する基質部位を有しないか、有していたとしても、特定のフレキシザイムを使用する目的などの必要性に応じて、上記認識部位又は基質部位を有するように調製する。例えば、eFxの認識部位として芳香環を有する非天然アミノ酸に対して、3,5-ジニトロベンジルクロリドを反応させて、3,5−ジニトロベンジルエステル基を有する非天然アミノ酸を合成することで、dFxを使用することができる。また、認識部位の芳香環を有しているもの、基質部位であるシアノメチル基を有さない場合、例えば、クロロアセトニトリル又はシアノメチルエステルと反応させて、シアノメチル基を有する非天然アミノ酸を合成することで、eFxを使用することができる。
終止コドンに対応するアンチコドンを有するtRNAは、終止コドンであるUAG、UAA又はUGAに対応する各アンチコドンAUC、AUU又はACUのいずれか一つを含むtRNA合成に必要なプライマーを合成し、PCRによってDNAを調製した後、転写によって得ることができる。
上記で得られたtRNAのアミノアシル化は、フレキシザイム及びtRNAを所望のバッファーに溶かした溶液を加熱した後放冷し、氷上で非天然アミノ酸基質を加えて反応させることで行う。
本明細書中、「拡張コドン」とは、タンパク質を構成するアミノ酸に対応する3塩基連鎖からなるヌクレオチド配列であるコドンを、人工的に4以上の塩基連鎖からなるヌクレオチド配列に拡張したコドンをいう。対応するアンチコドンを有するtRNAによって、効率よく解読され非天然アミノ酸をペプチドに配列することができる点で、以下の4〜6塩基の拡張コドンが好ましい。4塩基の拡張コドンは、例えば、CGGU、CGCU、CCCU、CUAU及びGGGU;5塩基の拡張コドンは、例えば、CGGUA、CGGUU、CGGUC、CGGUG、CGGAA、CGGAU、CGGAC、CGGAG、CGGCA、CGGCU、CGGCC、CGGCG、CGGGA、CGGGU、CGGGC及びCGGGG;6塩基の拡張コドンは、例えば、CGGUAGが挙げられる。
上記拡張コドンに対するアンチコドンを有するtRNAは、所望のtRNA用のプラスミドを構築し、これと所望の配列を有するプライマーを用いてPCRにより鋳型DNAを調製し、これを転写することで得ることができる。
例えば、拡張コドンAGGUに対するアンチコドンを有するtRNAACCUを調製する場合、まず、tRNAACCU用のプラスミドAを構築する。当該プラスミドの調製は、まず、下記配列番号1及び2の2つのオリゴヌクレオチドを合成し、所定の濃度のdNTP及びDNAポリメラーゼを用いてPCRを行う。反応液をフェノール/クロロホルム溶液及びクロロホルムで抽出した後、エタノール沈殿によりDNAを得る。次いで、EcoRIで処理したしたのち、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化する。
[配列番号1]
5'-CTGCAGTGCGAATTCTGTGGATCGAACACAGGACCTCCAGATTACCTAGTCTGGCGCTCT-3'
[配列番号2]
5'-GGGCTCGAGTAATACGACTCACTATAGCGGATTTAGCTCAGTTGGGAGAGCGCCAGACT-3'
得られたDNA断片を8%ゲル電気泳動(PAGE)で分離し、94bpsのバンドを切り出し、溶出バッファーに3時間浸漬する。この溶液にフェノール/クロロホルム溶液及びクロロホルムを加えて水相にDNA断片を抽出した後、エタノール沈殿によりDNAを得る。続いて、得られたDNA断片を、DNAライゲーションキットを用いて、EcoRI‐SmaI断片が欠損したpUC18プラスミドに導入したのち、これを用いて大腸菌MV1184を形質転換する。シングルコロニーをYT培地で培養し、例えばプラスミドミニプレップキット(GMbiolab社製)を使用して、プラスミドAを単離する。
続いて、所定の濃度の下記配列番号3のプライマー、配列番号4のプライマー、プラスミドA、dNTP及びDNAポリメラーゼを含むPCR混合液を調製する。PCR増幅後、6%PAGEで分離して、水に溶解させる。プラスミドAの変わりにPCR産物を加えたPCR混合液を用いて再度PCRを行い、精製キットでPCR産物を精製する。その後、所定の濃度のNTP、GMP、MgCl2、DTT、スペルミジン、BSA、無機ピロホスファターゼ、RNase阻害剤、T7RNAポリメラーゼ、Tris-HCl(pH 8.0)に精製したPCR産物を加えた混合液中で転写を行う。転写反応は、37℃で8〜16時間行い、常法に従って精製して目的のtRNAACCUを得ることができる。
[配列番号3]
5'-CAGACTACCGAATCTGGAG-3'
[配列番号4]
5'-CTGCGAATTCTGTGGATCGA-3'
この他、例えば(株)プロテインエクスプレスなどのペプチド合成を行う会社に、所望の拡張コドンに対するアンチコドンを含むtRNAの合成を委託し、さらに、これに所望の非天然アミノ酸が結合した、非天然アミノ酸アミノアシル化tRNAの合成を委託することもできる。
上記(4)のcDNAディスプレイ分子作製工程では、mRNA-リンカー結合工程で得られたmRNA-リンカー連結体を、前記アミノアシル化工程で得られた非天然アミノ酸と結合したアミノアシルtRNAを用いて、所望の条件下、終結因子除去工程で得られた無細胞翻訳系で翻訳する。これにより、mRNA-リンカー連結体上のmRNAが翻訳され、mRNA-リンカー連結上のペプチド結合部位に、非天然アミノ酸が結合したペプチド配列がディスプレイされたcDNAディスプレイ分子を得ることができる。
上記(5)の固相化工程では、上記で得られたcDNAディスプレイ分子を、リンカーを介して所望の固相に固定化することができる。リンカーとの固相との結合を形成する分子としては、例えば、固相にアビジン及びストレプトアビジン等が結合されている場合にはビオチン、マルトース結合タンパク質が結合されている場合にはマルトース、Gタンパク質が結合されている場合にはグアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチドが結合されている場合にはNi又はCo等の金属が好ましい。
また、グルタチオン−S−トランスフェラーゼが結合されている場合にはグルタチオン、配列特異的なDNA又はRNA結合タンパク質が結合されている場合にはこれらに特異的な配列を有するDNA又はRNA、抗体又はアプタマーが結合されている場合には抗原又はエピトープペプチド、カルモジュリンが結合されている場合にはカルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質が結合されている場合にはATP、エストラジオール受容体タンパク質が結合されている場合にはエストラジオール等を挙げることができる。これらの中でも、ビオチン、マルトース、Ni又はCo等の金属分子、グルタチオン、抗原分子及びエピトープペプチド等からなる群から選ばれる分子を使用することが好ましく、リンカー合成の容易さの面から、ビオチンを使用することが好ましい。
上記(6)の精製工程では、固相化したcDNAディスプレイ分子を、例えば、His-タグタンパク質精製用ビーズを用いて精製することができる。こうしたHis-タグタンパク質精製用ビーズとしては、His MagセファロースNi(GE healthcare社製)等を使用することができる。まず、His-タグタンパク質精製用ビーズを、予めHis-タグ洗浄バッファーで洗浄し、洗浄済の上記His-タグタンパク質精製用ビーズに、回収した上記cDNAディスプレイ分子を加え、所望の条件でインキュベートする。次いで、上記ビーズを上記His-タグ洗浄バッファーで洗浄した後に、His-タグタンパク質溶出バッファーを加えて所望の条件で撹拌し、精製したcDNAディスプレイ分子を得ることができる。
上記(7)の修飾工程では、精製したcDNAディスプレイ分子中の非天然アミノ酸と、嵩高い官能基とを、金属錯体を使用しないヒュスゲン環化付加反応によって結合させ、cDNAディスプレイ上のペプチドを修飾する。ここで、嵩高い官能基は、一般式Iで表される分子を用いることが、穏やかな条件下でペプチドを修飾できる点で好ましい。
また、金属錯体が、金属錯体がCu(I)であることが、細胞に対して毒性を示す銅(I)イオンを使用しないことにより、DNAの安定性及びタンパク質等を標識でき、細胞内での利用も可能である点で好ましい。
上記(8)の切断工程では、エンドヌクレアーゼV、RNase T1、及びRNase A等の制限酵素を用いて、リンカーから固相結合部位ごと固相を切り離すことによって、cDNAディスプレイを得ることができる。
以下に、非天然アミノ酸のN-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニンを使用する場合を例に挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
(I)mRNA-リンカー連結体の合成
(i)終止コドンを有するmRNAの調製
終止コドンを有するmRNAは、天然又は人工のペプチドやタンパク質をコードするDNA断片、終止コドンを有するmRNAに相補的なDNA断片及び所望のプライマーを用いて合成する。例えば、Aタンパク質のBドメイン(以下、BDAタンパク質ということがある)をコードするDNA配列(配列番号5)に、終止コドンUAG、UAA又はUGAを有するmRNAに相補的な、下記DNA断片(以下、BDA-UAG配列のようにいう)を導入する。
[配列番号5]
5'-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGATAACAAATTCAACAAAGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTACATTTACCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCCTAAAAGATGACCCAAGCCAAAGCGCTAACCTTTTAGCAGAAGCTAAAAAGCTAAATGATGCTCAAGCACCAAAAGCTGACAACAAATTCAACGGGGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGCGGCGTGGAAA-3'
[配列番号6]
BDA-UAG配列:5'-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGCTAATGATGATGGCT-3'
[配列番号7]
BDA-UAA配列:5'-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGTTAATGATGATGGCT-3'
[配列番号8]
BDA-UGA配列:5'-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGTGAATGATGATGGCT-3'
これらのうち一つの配列を選択し、例えば、Newleft配列やHis-tagを有する配列とを含む、25〜75μLのPCR反応液(1xPrimeSTAR バッファー(Mg2+)、0.1〜0.4mMのdNTPs、0.01〜0.04U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ(株)製))を調製し、以下のPCRプログラムを用いてPCRを行う。PCRプログラムは、例えば、(a)92〜96℃(30秒〜3分)、(b)92〜96℃(5〜45秒)、(c)50〜70℃(2〜30秒)、(d)65〜80℃(10〜40秒)、(e)65〜80℃(1〜3分)とし、ステップ(b)〜(d)を10〜40サイクル行うことが、十分な増幅産物を入手できる点から好ましい。
次に、このPCR産物に、例えば、Newleft配列やNewYtag配列を含む、25〜75μLのPCR反応液(1xPrimeSTAR バッファー(Mg2+)、0.1〜0.4mMのdNTPs、0.01〜0.04U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ(株)製))を調製し、以下のPCRプログラムを用いてPCRを行う。PCRプログラムは、例えば、(a)92〜96℃(30秒〜3分)、(b)92〜96℃(5〜45秒)、(c)50〜70℃(2〜30秒)、(d)65〜80℃(10〜40秒)、(e)65〜80℃(1〜3分)とし、ステップ(b)〜(d)を10〜40サイクル行うことが、十分な増幅産物を入手できる点から好ましい。
以上のPCRによって得られた二本鎖DNAは、例えば、スピンカラムを用いて精製することができる。この溶出液から50〜100μLをとり、ここにNuclease-free waterを80〜180μLで加え、さらに共沈剤を1/20〜1/5倍量添加してエタノール沈殿させる。その後、10〜30μLのNuclease-free waterに溶解させ、−20℃でストックすることができる。
上記精製には、例えば、FavorPrep PCR Clean-Up Mini Kit(Favorgen社製)を用いることができる。得られた溶出液に加えるNuclease-free waterは、例えば、上記Kitに付属している製品を使用することができる、また、共沈剤としては、例えば、Quick-Precip Plus Solution, EdgeBioを使用することができる。
(ii)転写
上記のようにして得た二本鎖DNAを市販のキットを用いて転写することができる。例えば、プロメガ社製のキット(RiboMAX(登録商標) Large Scale RNA Production Systems-T7)を使用して、付属のプロトコルに従い、1〜5pmolの二本鎖DNAを用いて、適当なスケール、例えば、20μLのスケールで転写を行う。例えば、35℃〜39℃で1〜3時間インキュベーションした後に、上記キットに付属するDNaseをこの系に0.5〜2μL加え、さらに35〜39℃で10分〜30分間インキュベートすることにより、mRNAを合成することができる。合成されたmRNAは、例えば、After Tri-Reagent RNA Clean-Up Kit(Favorgen社製)を使用して精製することができる。
そのほか、ScriptMAX(R) Thermo T7 Transcription Kit(東洋紡(株)社製)やT7 Transcription Kit(コスモバイオ(株)社製)を用いて、付属のマニュアルに従って転写することもできる。
(iii)リンカーの調製
mRNA-リンカー連結体に使用するリンカーは、例えばUVを照射して合成する光架橋型リンカーや、リガーゼを用いて合成する酵素型リンカーを使用ことが出来る。本明細書において、「cDNAディスプレイ分子」とは、cDNAディスプレイ法における、mRNA-リンカー連結体を翻訳してペプチドをディスプレイした分子、その後当該分子を逆転写してcDNAを連結させた分子、及びさらにその後にmRNAを分解した分子を含む。また、本明細書において、「リンカー」とは、cDNAディスプレイ法で使用される、mRNA-リンカー連結体、cDNAディスプレイ分子の形成に使用されるリンカーのことをいう。
リンカーは、主としてDNAで構成されるが、図4に示すcnvkを含む光架橋型リンカーを使用することが、mRNAと短時間で光架橋できることから好ましい。また、デオキシイノシン、ビオチン修飾デオキシチミン、フルオレセイン修飾デオキシチミン等の、DNAアナログを含んでいてもよく、全体として、柔軟性と親水性を有するように、設計することが好ましい。
光架橋型リンカーの主鎖は、(p1)前記リンカーを固相に結合する固相結合部位と、(p2)側鎖を結合する結合部位と、(p3)mRNA結合部位を有する主鎖と、(p4)前記固相から前記リンカーを切り離す切断部位とを備え、前記側鎖は、(s1)主鎖と結合する主鎖結合部位と、(s2)mRNA-リンカー連結体の検出用標識を結合する標識結合部位と、(s3)mRNAに対応して合成された配列を有するペプチドが結合するペプチド結合部位とを備えている。そして、上記側鎖の標識結合部位には、1以上のスペーサー配列で構成されていてもよく、蛍光標識が結合されている。さらに、上記ペプチド結合部位は、ピューロマイシン又はその類縁体で構成されていてもよい(図3参照)。
前記固相結合部位(p1)は、上述したcDNAディスプレイ分子を、リンカーを介して固相に結合させるための部位であり、少なくとも1〜10塩基で構成されている。例えば、ビオチン修飾デオキシチミジン(dT)、ビオチン、ストレプトアビジンアルキン、クリックケミストリーによるアジ化物、アミノ基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)、SH基、及びAuからなる群から選ばれるいずれかの化合物と、前記化合物に結合したポリAとで構成されていることが好ましい。上記ポリAは、少なくとも10個以上のアデニンが結合していることが、固相と適度な間隔を維持することができ、後述する固相からの切り離しがうまくできることから好ましく、約20個のアデニンが結合していることがさらに好ましい。
前記リンカーの3'末端側近傍に位置する側鎖結合部位(p2)は、後述する側鎖が結合する部位である。また、例えば、リンカーの側鎖結合部位(p2)が、Amino-Modifier C6 dTで構成されている場合には、前記側鎖の5'末端を5'-Thiol-Modifier C6として、EMCS(N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド)を用いて架橋させ、主鎖と側鎖と結合させることができる。
プライマー領域(PR)は、前記リンカーの3'末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域であり、前記側鎖結合部位(p2)の3'側に隣接している。この領域は、約1〜15塩基からなることが好ましく、特に3〜5塩基からなることが好ましい。15塩基を超えると、リンカーとしての結合効率が悪くなるため、リンカーとの結合効率及びプライマーとしの反応効率という面から、上記の塩基数とすることが好ましい。
前記ペプチド結合部位は、ピューロマイシン又はその類縁化合物で構成されていることが好ましい。前記ピューロマイシンの類縁体としては、3'-N-アミノアシルピューロマイシン(PANS-アミノ酸)及び3'-N-アミノアシルアデノシンアミノ酸のヌクレオシド(AANS-アミノ酸)等を使用することができ、PANS-アミノ酸のアミノ酸部分がグリシンである場合、PANS-Gly、バリンであるPANS-Val、アラニンであるPANS-Ala、PANSアミノ酸の混合物、AANSのアミノ酸部分がグリシンであるAANS-Gly、バリンであるAANS-Val、アラニンであるAANS-Ala、AANSアミノ酸の混合物からなる群から選ばれるいずれかの化合物であることがさらに好ましい。
前記側鎖が、前記ペプチド結合部位と、前記側鎖結合部位との間に、蛍光基を有することで、cDNAディスプレイ法においてリンカーとの結合の有無を容易に検出することが可能となる。蛍光基としては、例えば、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、ホスホアミダイドに変換可能な水酸基、又はアミノ基等のフリーの官能基を融資、標識された塩基としてリンカーに結合することができる蛍光化合物を使用することが好ましい。このような化合物としては、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Cy dye、AlexaR Fluor等を挙げることができ、FITCを使用することがコストの面から好ましい。
以上のような、光架橋型リンカーは、以下のようにして作製することができる。
まず、cnvkが固相結合部位と、主鎖と側鎖が結合する部位との間の所望の位置になるように、リンカーの主鎖(以下、「poly A + cnvk セグメント」ということがある。)を設計し、DNAの化学合成を常法に従って行う。このようなDNA鎖の化学合成は、合成を行う会社に委託して得ることもできる。
このような主鎖としては、例えば、図3に示すような逆転写開始部位と、側鎖連結部位と、cnvkからなる高速光架橋部位と、固相結合部位とを含むように設計することができる。図3に示す主鎖のうち、修飾された部位を除く主鎖の塩基配列を、下記の配列(配列番号9)に示す。下記の主鎖は、5'末端にBioTEGが付加されている。また、下記の塩基配列中、Rはイノシンを表し、YはアミノC6-dTを表す。
5'-AAAAAAAAAAAAAAAAAAAARTTCCAGCCGCCCCCCGYCCT-3'・・・・・[配列番号9]
リンカーの側鎖(以下、「ピューロマイシン−セグメント」ということがある。)も、所望の配列となるように設計し、Poly A + cnvk セグメントと同様に、DNAの化学合成を常法に従って行う。このようなDNA鎖の化学合成は、合成を行う会社に委託して得ることもできる。
このような側鎖としては、例えば、図3に示すように、側鎖連結部位と、蛍光標識と、ペプチド結合部位とを含むように設計することが好ましい。上記側鎖のうち、修飾された部位を除く塩基配列(配列番号10)は、下記の通りである。下記側鎖のうち、遊離末端となるP(下記配列のK)は、ペプチド結合部位としてのピューロマイシンである。また、下記の塩基配列中、Rは5'Thiol C6を、YはFITC-dTを、そしてMはSpacer18をそれぞれ表す。
5' RTCTYMMCCK・・・・・・・[配列番号10]
例えば、上記のような配列を有する主鎖を10〜20nmol含む、0.1〜0.3Mのリン酸ナトリウム(pH7.0〜7.4)に、EMCS((株)同仁化学研究所製)を終濃度が15〜18mMとなるように加えて、約37℃で20〜40分インキュベートし、その後、エタノール沈殿させる。好ましくは、10〜20nmolの上記主鎖を含む0.1〜0.3Mのリン酸ナトリウム溶液(pH7.0〜7.4)に、EMCSを終濃度約16.7mMとなるように加え、約37℃で20〜40分インキュベートし、その後、例えば、Quick-Precip Plus Solution(Edge BioSystems社製)等を用いてエタノール沈殿させて、修飾する。
次に、30〜45nmol分の側鎖を40〜60mMのDTTを含む0.8〜1.5Mのリン酸水素ナトリウム水溶液に溶解し、シェーカを用いて、室温で0.75〜1.5時間撹拌する。引き続き、この溶液についてバッファー交換を行う。例えば、NAPカラム等を用いて、0.1〜0.2MのNaClを含む0.1〜0.2Mのリン酸ナトリウム(pH7.0〜7.4)にバッファー交換し、還元側鎖を得る。
続いて、上記のようにバッファー交換を行った還元側鎖を含む溶液を、上記のEMCS修飾済みの主鎖のエタノール沈殿産物と混合し、2〜6℃で一晩放置する。その後、終濃度が40〜60mMとなるようにDTTを、上記反応液に投入し、室温で15〜60分間撹拌する。その後、エタノール沈殿を行い、得られたエタノール沈殿産物を50〜200μLのヌクレアーゼフリー水に溶解して精製を行う。
好ましくは、上記のバッファー中にて、バッファー交換した還元側鎖を含む溶液を、上記のEMCS修飾済み主鎖のエタノール沈殿産物と混合し、3〜5℃で一晩放置する。その後、終濃度が40〜60mMとなるようにDTTを上記の反応液中に加え、室温で20分〜40分間撹拌し、その後、例えば、Quick-Precip Plus Solution(Edge BioSystems社製)を用いて、エタノール沈殿を行なう。得られたエタノール沈殿産物を、約100μLのヌクレオチドフリー水に溶解し、例えば、以下の条件でC18カラムを用いたグラジエント溶出によりHPLCで精製を行い、光架橋型リンカーを得ることができる。
グラジエント溶出に使用する溶出液は、例えば、A液を0.05〜0.2Mの酢酸トリメチルアンモニウム(超純水中)、B液を75〜85%アセトニトリルとし、開始時の溶出期中のA液の割合を、40〜50分かけて、20%ほど低下させるようにしてもよい。流速は0.5〜1.5ml/分とし、画分は0.5〜1.5mLとすることができる。好ましくは、A液を0.1〜0.3Mの酢酸トリメチルアンモニウム(超純水中)、B液を70〜90%アセトニトリルとし、開始時の溶出期中のA液の割合(80〜90%)を、40〜50分かけて、60〜70%に低下させるようにする。流速は1.0〜1.5ml/分、画分は1.0〜1.5mLとすることが好ましい。
上記の画分中の成分を蛍光及び紫外吸収(例えば、280nm)で確認し、双方の検出手段でピークが見られる画分を集めて、溶媒を真空エバポレターを用いて蒸発させ、その後、エタノール沈殿を行ない、ヌクレオチドフリー水に溶解することによって、本発明のリンカーを製造することができる。例えば、30〜32分までの画分で、蛍光とUVの両方でピークが見られる場合には、30〜32分までの画分を集め、溶媒を例えば真空エバポレターを用いて留去させる。その後、例えば、Quick-Precip Plus Solutionを用いてエタノール沈殿を行ない、光架橋リンカーを得る。得られた光架橋リンカーは、ヌクレアーゼフリー水に溶解させて約−20℃で保存すればよい。
また、本発明では、酵素型リンカーを使用することもできる。酵素型リンカーは、例えば、ピューロマイシンセグメント(PS)と短いビオチンセグメント(SBS)の2つのセグメントを、EMCSを用いて、化学架橋により結合させ合成する。最終的なコンストラクトは、リガーゼを用いてmRNAの連結させる連結部位、逆転写用のプライマー領域、固相の表面へビオチン−ストレプトアビジンの結合を利用して固定するためのビオチン部位、及び固相からmRNA/cDNAタンパク質融合体を遊離させるためのRNase T1用の切断部位という、4つの部分を含む(図5参照)。さらに、このリンカーは、発現されたタンパク質をmRNAに共有結合させるためのピューロマイシン及び検出と定量のためのFITCとを含む。
主鎖の設計に際しては、各種のmRNAのコード配列を参考にすることができる。例えば、配列が知られている各種のレセプタータンパク質をコードするmRNA、各種抗体又はその断片をコードするmRNAその他のmRNA等を挙げることができる。mRNAのコード配列から翻訳されて生成されたポリペプチド鎖のC末端に、ピューロマイシンやその類縁体といったアミノアシルtRNAの3'末端アナログが取り込まれ、前記ポリペプチド鎖とリンカー-mRNA連結体とが結合されるためには、終止コドンを含まない配列を選択する。こうしたmRNAは、in vitro転写反応、化学合成、生体・細胞・微生物からの抽出その他の各種の方法を用いて得ることができるが、in vitro転写反応を用いて作製すると、リンカーとの結合及び無細胞翻訳の反応効率が高い。
また、5'末端の7-メチル化グアノシンキャップ構造、又は3'末端のポリA尾部構造の少なくとも一方の構造を有するものであることが、タンパク質の合成効率の点から好ましい。Kozak配列や、Shine-Dalgarno配列を有することが、翻訳の開始を促進することから、さらに好ましい。ここで使用するmRNAの長さは、原則として本発明を利用して分子進化させるべきタンパク質又はポリペプチドの長さより規定されるコード領域の長さに依存する。50〜1,000塩基長であることが、反応効率の面から好ましく、200〜500塩基であることが、最も高い反応効率を得られることから、さらに好ましい。
(iv)ライゲーション
光架橋型リンカーの場合は、上記転写によって得られたmRNAと光架橋型リンカーを300〜400nmの長波長のUVを0.5〜5分間照射してライゲーションを行い、mRNA−リンカー連結体を得ることができる。長波長でしかも照射時間も短いことから、合成されたcDNA中でチミンダイマーが形成されるといった障害が発生することもなく、使用したmRNAに対応する所望のペプチドを得ることができるという利点がある。
酵素型リンカーの場合は、上記転写によって得られたmRNAに、所定の量の酵素型リンカーと、所定の濃度のバッファー、例えば、10xT4 RNAリガーゼバッファ、及び0.05〜2% BSAとを加え、さらにNuclease-free waterを加えて、所望の合計量となるように調製する。85〜95℃で0.5〜2分間インキュベートした後に、65〜75℃で0.5〜2分間インキュベートし、0.02〜0.06℃/秒の速さで約20〜27℃まで降温させる。所望量のT4ポリヌクレオチドキナーゼ及びT4 RNAリガーゼ、例えば、4〜6μlのT4 ポリヌクレオチドキナーゼ及び8〜12μlのT4 RNAリガーゼを加えて、約23〜27℃で、0.5〜2時間インキュベートしてリンカー−mRNA連結体を得ることができる。
(II)終結因子の除去
終結因子を除去した無細胞翻訳用の混合液の調製は、まず、大腸菌から得た20種のアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)、メチオニルtRNAフォルミル転移酵素(MTF)、T7 RNAポリメラーゼ、ヌクレオシド2リン酸キナーゼ、開始因子(IF1、IF2及びIF3)、伸長因子(EF-Tu、EF-Ts及びEF-G)、リボソーム再生因子(RRF)の遺伝子を常法に従って、PCRにより増幅させる。次いで、得られた遺伝子を例えば、pET21a(Novagen社製)、pQE30又はpQE60(Qiagen社製)の各ベクターに挿入し、Hisタグ付きのプラスミドを構築する。続いて、このプラスミドを用いて例えば、大腸菌株BL21/pREP4(pQEシリーズ)又はBL21/DE3(pETシリーズ)を形質転換する。
形質転換したBL21は、LB培地中で0.5〜0.9xOD600になるまで培養する。次いで、最終濃度が0.1〜0.3mMになるようにイソプロピル-β-チオガラクトピラノシドを加え、37℃で3〜5時間培養する。続いて、回収した細胞を、40〜60mM HEPES-KOH (pH 7.6)、0.5〜1.5M NH4Cl、5〜15mM MgCl2、0.2〜0.4mg/ml リゾチーム、0.1〜0.3% Triton X-100、0.1〜0.3mM フッ化フェニルメチルスルフォニル(PMSF)、及び6〜8mM β-メルカプトエタノールを含むバッファーで再懸濁し、超音波処理して溶解させる。夾雑物を遠心分離で除去した後、上清を10mlのNi2+固定化His Trap Chelating カラム(アマシャムファルマシアバイオテック(株)製)に通して精製する。次いで、8〜12mM イミダゾールを含むHTバッファー(45〜55mM HEPES-KOH Buffer (pH 7.5)、0.8〜1.2M NH4Cl、8〜12mM MgCl2、6〜8mM β-メルカプトエタノール)で洗浄する。
各因子は、HTバッファー中のイミダゾールから、リニアグラジエント溶出により分離し、Hisタグ付きのタンパク質を含むフラクションは、透析によりストックバッファーで保存する。また、リボソームは例えば大腸菌A19細胞から、ショ糖密度勾配遠心により得ることができる。
上記で得られた各因子等から、12 pmolのリボソーム、1〜3μgのIF1、1〜3μgのIF2、1〜2μgのIF3、1〜3μgのEF-G、1〜3μgのEF-Tu、1〜3μgのEF-Ts、0.5〜1.5μgのRRF、30〜300ユニットの各ARSとMTF、0.1〜0.3μgのクレアチンキナーゼ(ロシュ社製)、0.10〜0.20μgのミオキナーゼ、0.03〜0.07μgのヌクレオシド2リン酸キナーゼ、0.05〜0.15Uのピロフォスファターゼ(いずれもシグマアルドリッチ社製)及び0.1〜1μgのT7 RNAポリメラーゼを含むファクターミックスを調製する。
上記調製したファクターミックス、8〜10mM 酢酸マグネシウム、4〜6mM リン酸カリウム(pH 7.3)、90〜100mM グルタミン酸カリウム、4〜6mM 塩化アンモニウム、0.5〜1.5mM スペルミジン、6〜10mM プトレシン、0.5〜1.5mM DTT、1〜3mM ATP、1〜3mM GTP、0.5〜1.5mM CTP、0.5〜1.5mM UTP、8〜12mM クレアチンリン酸、2.8 A280 Unit tRNA mix (ロシュ社製)、0.5〜1μgの 10-ホルミル-5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸及び0.1〜0.3mMの各アミノ酸からなる、終結因子を除去した無細胞翻訳用の混合液を調製することができる。
また、PUREfrex(登録商標)(ジーンフロンティア(株)製)から、終結因子のみを除去した無細胞翻訳系を購入して使用することもできる。
(III)アミノアシル化工程
(i)アミノ酸基質の調製
嵩高い官能基とヒュスゲン環化付加反応するアジド基を有する非天然アミノ酸として、N-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニンを選択した場合のアミノ酸基質の調製について以下に説明する。
N-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニンは、dFxの認識部位の3,5‐ジニトロベンジル基及び基質部位のジニトロベンジルエステル基を持たない。そこで、dFxによるアミノアシル化を可能とするため、ジニトロベンジルエステル基を有するよう基質部位を以下のように調製する。
まず、8〜10mgのN-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニン、4〜6mgの3,5‐ジニトロベンジルクロリド、6〜8μLトリエチルアミン及び4〜6μLのジメチルホルムアルデヒドをエッペンドルフチューブに入れ、室温で10〜14時間撹拌する。
次いで、400〜500μLのジメチルエーテルを加え、100〜200μLの0.5M 塩酸で2〜4回、100〜200μLの5% 炭酸水素ナトリウム水溶液で2〜4回洗浄した後、50〜150μLの4M塩酸/酢酸エチルを加え、室温で10〜30分間静置する。続いて、200〜400μLのジエチルエーテルを加え、減圧留去した。この操作を3〜5回繰り返した後濾過することで、カルボキシ末端に3,5‐ジニトロベンジル基を有する非天然アミノ酸基質を得ることができる。
また、N-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニンは、eFxの認識部位であるベンゼン環を有するものの、基質部位のシアノメチル基を持たない。そこで、eFxによるアミノアシル化を可能とするため、シアノメチル基を有する基質部位を以下のように調製する。
まず、8〜10mgのN-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニン、1〜4mgのシアノメチルエステル、6〜8μLトリエチルアミン及び4〜6μLのジメチルホルムアルデヒドをエッペンドルフチューブに入れ、室温で4〜6時間撹拌する。
次いで、常法に従ってHPLCによる精製し、精製物を凍結乾燥させた後、50〜150μLの4M塩酸/酢酸エチルを加え、室温で10〜30分間反応させることで、カルボキシ末端にシアノメチル基有するの非天然アミノ酸基質を得ることができる。
(ii)フレキシザイムの調製
フレキシザイムは、必要なプライマーを合成しPCRによって調製する。プライマーの合成は、合成を行う会社に委託して得ることもできる。
例えば、eFxは以下の4つのプライマーを用いて調製する。
[配列番号11]
Fx-Fプライマー:5'-GTAATACGACTCACTATAGGATCGAAAGATTTCCGC-3'
[配列番号12]
eFx-R1プライマー:5'-ACCTAACGCTAATCCCCTTTCGGGGCCGCGGAAATCTTTCGATCC-3'
[配列番号13]
eFx-R2プライマー:5'-ACCTAACGCTAATCCCCT-3'
[配列番号14]
T7-Fプライマー:5'-GGCGTAATACGACTCACTATAG-3'
まず、dFx用鋳型DNAを調製する。PCRチューブに、0.25〜0.75μLの200μM Fx‐Fプライマー、0.25〜0.75μLの200μM eFx-R1プライマー及び100〜150μLのPCR反応液(200〜300mM MgCl2、2〜3mM dNTP混合物、DNAポリメラーゼ)を入れて撹拌し、以下のプログラムを用いてPCRを行う。PCRプログラムは、(a)90〜95℃(30秒〜1分30秒) 、(b)48〜55℃(10秒〜1分)、及び(c)68〜75℃(30秒〜1.5分) とし、ステップ(b)〜(c)を3〜15サイクル行う。
次いで、PCR産物と、0.5〜1.0μLの200μM T7-Fプライマー、0.5〜1.0μLの200μM eFx-R2プライマー、300μLのPCR反応液及びPCR産物1.5μLを入れて撹拌した後、以下のプログラムを用いてPCRを行い、フレキシザイムeFx用鋳型DNAを得ることができる。PCRプログラムは、(a)90〜95℃(30秒〜1分30秒)、(b)93〜95℃(20〜1分)、(c)48〜55℃(10秒〜1分)、及び(d)68〜75℃(30秒〜1.5分) とし、ステップ(b)〜(d)を5〜15サイクル行う。
また、dFx用鋳型DNAも上記と同様に調製することができる。この場合、eFx-R1プライマーに代えて下記配列のdFx-R1プライマーを、またeFx-R2プライマーに代えて下記配列のdFx-R2プライマーをそれぞれ使用する。
[配列番号15]
dFx-R1プライマー:5'-ACCTAACGCCATGTACCCTTTCGGGGATGCGGAAATCTTTCGATCC-3'
[配列番号16]
dFx-R2プライマー:5'-ACCTAACGCCATGTACCCT-3'
上記で調製したeFx用鋳型DNA又はdFx用鋳型DNAの転写は、常法に従って行うことができる。まず、10〜100μLのT7バッファー、50〜150μLの100mM DTT、60〜120μLの250mM MgCl2、100〜200μLの25mM NTPs、10〜15μLの2M KOH、25〜75μLの100mM GMP、75〜125μLのフレキシザイムeFx用鋳型DNA又はdFx用鋳型DNA及び10〜30μLのT7 RNAポリメラーゼを240〜350μLのRNasae free水に溶解させ、転写用混合液を調製する。次いで、当該混合液を37℃で3〜6時間インキュベートした後、10〜30μLの100mM MnCl2及び3〜5μLのDNaseIを加え、37℃で20〜40分間インキュベートする。
その後、50〜100μLの500mM EDTA(pH 8)、75〜125μLの3M NaCl及び0.5〜1.5mL,のイソプロパノールを加えて良く撹拌し、室温で1〜10分間静置する。静置後、室温下で5〜15分間15,000xgで遠心分離する。上清を完全に取り除き、蓋を開けて、室温で10分間乾燥させて、フレキシザイムeFx又はdFxを得ることができる。
(iii)tRNAの調製
UAG、UAA及びUGAの各終止コドンに相補的なアンチコドンを有するtRNAは、それぞれに必要なプライマーを合成してPCRにより調製する。例えば、UAGに相補的名アンチコドンを有するtRNAを合成する際は、まず、以下のプライマーを合成する。プライマーの合成は、合成を行う会社に委託して得ることもできる。
[配列番号17]
UAG-Fプライマー:5'-GTAATACGACTCACTATAGGCTCTGTAGTTCAGTCGGTAGAACGGCGGA-3'
[配列番号18]
UAG-T7-Fプライマー:5'-GGCGTAATACGACTCACTATAG-3'
[配列番号19]
R1プライマー:5'-GAACCAGTGACATACGGATTTAGAGTCCGCCGTTCTACCGACT-3'
[配列番号20]
R2プライマー:5'-TGGCGGCTCTGACTGGACTCGAACCAGTGACATACGGA-3'
[配列番号21]
R3プライマー:5'-TGGCGGCTCTGACTGGACTC-3'
次いで、PCRチューブに、0.3〜0.7μLの20μM UAG-Fプライマー、0.3〜0.7μLの20μM R1プライマーと及び90〜130μLのPCR用反応液(200〜300mM MgCl2、2〜3mM dNTP混合物、DNAポリメラーゼ)を入れて撹拌し、以下のプログラムを用いてPCRを行う。PCRプログラムは、(a)93〜95℃(30秒〜1分30秒)、(b)47〜53℃(30秒〜1分30秒)、及び(c)70〜74℃(30秒〜1分30秒) とし、ステップ(b)〜(c)を3〜10サイクル行う。
続いて、0.3〜0.7μLの200μM UAG-T7-Fプライマー、0.3〜0.7μLの200μM R2プライマー、150〜250μLのPCR用反応液及び5〜15μLのPCR産物を入れて撹拌し、以下のプログラムを用いてPCRを行う。PCRプログラムは、(a)93〜95℃(30秒〜1分30秒)、(b)93〜95℃(30秒〜1分)、(c)47〜53℃(30秒〜1分30秒)、及び(d)70〜74℃(30秒〜1分30秒)とし、ステップ(b)〜(d)を3〜10サイクル行う。
次いで、2.0〜3.0μLの200μM UAG-T7-Fプライマー、2.0〜3.0μLの200μM R3プライマー、800〜1200μLのPCR混合液Aを及びPCR産物3〜10μLを入れて撹拌した後、以下のプログラムを用いてPCRを行い、tRNA用鋳型DNAを得ることができる。PCRプログラムは、
(a)93〜95℃(30秒〜1分30秒)、(b)93〜95℃(30秒〜1分)、(c)47〜53℃(30秒〜1分30秒)、及び(d)70〜74℃(30秒〜1分30秒) とし、ステップ(b)〜(d)を5〜15サイクル行う。
tRNA用鋳型DNAは、例えばFavorgen社製のFavorPrep PCR Clean-Up Mini Kitを用いてマニュアルに従って精製することができる。得られたtRNA用鋳型DNAを転写することで目的のtRNAを得る。
転写は以下のようにして行うことができる。まず、50〜150μLの10xT7バッファー、50〜150μLの100mM DTT、60〜120μLの250mM MgCl2、100〜200μLの25mM NTPs、5〜15μLの2M KOH、25〜75μLの100mM GMP、50〜150μLのtRNA用鋳型DNA及び10〜30μLのT7 RNAポリメラーゼを250〜350μLのRNasae free水に溶解させ、転写用混合液を調製する。
次いで、上記転写用混合液を37℃で2〜8時間インキュベートし、10〜30μLの100mM MnCl2及び2〜6μLのDNaseIを加え、37℃で15〜45分間インキュベートする。
その後、50〜100μLの500mM EDTA(pH 8)、75〜125μLの3M NaCl及び1mL,のイソプロパノールを加えて良く撹拌し、室温で1〜10分間静置する。静置後、室温下で3〜10分間15,000xgで遠心分離し、上清を完全に取り除いた後、蓋を開け、室温で5〜15分間乾燥させて、終止コドンのUAGに相補的なアンチコドンを有するtRNAを得ることができる。
終止コドンのUAAに相補的なアンチコドンを有するtRNAは、下記2つのプライマーと、所望のプライマーを用いて、同様に調製することができる。
[配列番号22]
UAA-Fプライマー:5'-GTAATACGACTCATTATAGGCTCTGTAGTTCAGTCGGTAGAACGGCGGA-3'
[配列番号23]
UAA-T7-Fプライマー:5'-GGCGTAATACGACTCATTATAG-3'
同様に、終止コドンのUGAに相補的なアンチコドンを有するtRNAは、下記2つのプライマーと、所望のプライマーを用いて調製することができる。
[配列番号24]
UGA-Fプライマー:5'-GTAATACGACTCATGATAGGCTCTGTAGTTCAGTCGGTAGAACGGCGGA-3'
[配列番号25]
UGA-T7-Fプライマー:5'-GGCGTAATACGACTCATGATAG-3'
(iv)アミノアシル化
上記で調製した非天然アミノ酸及びそれに対応するフレキシザイムを用いて、tRNAをアミノアシル化する。tRNAは、mRNA-リンカー連結体上のmRNAに配列された終止コドンと対応するアンチコドンを有するtRNAを選択する。
まず、1〜5μLの500mM HEPES-KOH Buffer (pH 7.5)、1〜5μLのフレキシザイムeFx又はdFx(50pmol)、1〜5μLのtRNA(50pmol)及び1〜5μLの超純水をエッペンドルフチューブに入れて95℃で1〜5分間加熱した後、室温まで放冷しtRNAの3次元構造を形成させる。次いで、1〜5μLの0.6M MgCl2を加え、1〜10分間室温で反応させる。次いで、1〜5μLの5mM eFx又dFxと反応するように基質を調整したN-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニンを加え、氷上で2〜5時間反応させる。続いて、20〜60μLの0.3M酢酸ナトリウム(pH5.2)及び75〜125μLのエタノールを加え、室温下、15,000xgで10〜20分間遠心分離する。
遠心後、上清を完全に取り除いた後、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.2)を含んだ70%エタノールを25〜75μL加え、室温下、15,000xgで1〜10分間遠心分離する。次いで上清を完全に取り除いた後、再度、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.2)を含んだ70%エタノールを25〜75μL加え、室温下、15,000xgで1〜10分間遠心分離する。続いて、70%エタノールを25〜75μL加え、室温下、15,000xgで1〜10分間遠心分離し、上清を除いた後、室温で1〜10分間乾燥させて、アミノアシル化tRNAを得ることができる。
(IV)cDNAディスプレイ分子の調製
上記で得られたmRNA-リンカー連結体を、終結因子を除いた無細胞翻訳系により翻訳し、mRNA-リンカー連結体上のペプチド結合部位に、mRNAに対応した非天然アミノ酸を含むペプチド配列をディスプレイする。翻訳は、mRNA-リンカー連結体、終結因子を除いた無細胞翻訳用の混合液及びアミノアシル化tRNAを含む反応液を調製し、37℃で20〜40分間反応させて行う。例えば、無細胞翻訳用の混合液に、PUREflex(登録商標)を使用する場合、製品マニュアルに従って、反応液を調製する。次いで、この反応液に、5〜15μLの3M KCl及び1〜5μLの1M MgCl2を加え、を更に37℃で45分間反応させ、cDNAディスプレイ分子を得ることができる。
翻訳反応後、翻訳産物であるペプチドとリンカー−mRNA連結体とを、例えば、約0.3〜約1.6Mの塩化カリウム及び約40〜約170mMの塩化マグネシウムの存在下(濃度はいずれも終濃度)、約27〜約47℃で、約30分〜約1.5時間反応させると、ペプチドを上記連結体と効率よく結合させることができる。
(V)固相化
上記で得られたcDNAディスプレイ分子は、所望の固相を使用して固定化することができる。固相としては、例えば、スチレンビーズ、ガラスビーズ、アガロースビーズ、セファロースビーズ、磁性体ビーズ等のビーズ;ガラス基板、シリコン(石英)基板、プラスチック基板、金属基板(例えば、金箔基板)等の基板;ガラス容器、プラスチック容器等の容器;ニトロシュルロース、ポリビニリデンフロリド等の材料からなるメンブレンなどが挙げられる。
固相がスチレンビーズ、スチレン基板などのプラスチック材料で構成されている場合には、必要に応じて、公知の手法を用いてリンカーの一部を直接それらの固相に共有結合させてもよい(Qiagen社製、LiquiChip Applications Handbook等参照)。cDNAディスプレイ分子にビオチン又はその類縁体が結合されている場合には、固相にアビジンを結合させておけば、上記cDNAディスプレイを容易に固相に結合させることができる。
例えば、固相に磁性体ビーズのStreptavidin(SA) Magnetic beadsを使用する場合、cDNAディスプレイの濃度の8〜15倍容の当該磁性体ビーズを、所望の大きさのProtein LoBindチューブ(Eppendorf社製)に入れ、磁気スタンド上に静置して上澄みを捨てる。ここに、結合バッファーを加えて再懸濁し、磁気スタンド上に静置して上澄みを捨てることにより、磁性体ビーズを洗浄し、RNaseフリーとすることができる。
次いで、cDNAディスプレイ分子を加え、20〜30℃で75〜135分間、ローテーターで撹拌しながらインキュベートし、磁性体ビーズをcDNAディスプレイに結合させる。
また、固相化後に、cDNAディスプレイ分子を逆転写して、mRNAに対応するcDNAをcDNAディスプレイ分子に結合させることも出来る。まず、上記で得られた固定化されたcDNAディスプレイ分子が入ったチューブを、磁気スタンド上で静置して上澄みを捨てる。このチューブに、所望量、例えば50〜150μLの結合バッファーを加えて磁性体ビーズを再懸濁させ、上澄みを捨てるという操作を所望の回数繰り返す。
その後、所望の溶液を用いてcDNAを合成し、cDNAディスプレイ分子にcDNAを結合させる。こうしたcDNA合成には、例えば、例えば、ReverTra Ace(東洋紡(株)製)等の市販品を使用することができる。例えば、ReverTra Ace付属バッファー、dNTP混合液、Rever Tra Ace (100U/μL)、及び超純水を含むcDNA合成用反応溶液を、上記の洗浄済のmRNA-ペプチド連結体を固定化した磁性体ビーズ入りのチューブに加え、約40〜45℃で約60〜120分間ローテーターで攪拌しながらインキュベートすることにより、磁性体ビーズ上に固定されたcDNAディスプレイを(以下、「磁性体結合cDNAディスプレイ分子」ということがある)を得ることができる。
(VI)精製
磁性体結合cDNAディスプレイ分子は、例えば、His-タグタンパク質精製用ビーズを用いて精製する。こうしたHis-タグタンパク質精製用ビーズとしては、His Mag セファロースNi (GE healthcare社製)等を使用することができる。まず、His-タグタンパク質精製用ビーズを、予め1xHis-タグ洗浄バッファー(10〜30mM リン酸ナトリウム(pH7.4), 0.25〜0.75M NaCl, 10〜30mM イミダゾール, 0.025〜0.1%Tween-20を含む)で洗浄する。
次に、洗浄済みの上記His-タグタンパク質精製用ビーズに、回収した上記cDNAディスプレイ分子を加え、所望の条件でインキュベートし、上記ビーズを上記His-タグ洗浄バッファーで洗浄した後に、His-タグタンパク質溶出バッファーを加えて所望の条件で撹拌し、精製cDNAディスプレイ分子を得ることができる。His-タグタンパク質溶出バッファーとしては、10〜30mM リン酸ナトリウム(pH7.4)、0.25〜0.75M NaCl、100〜500mM イミダゾール、0.025〜0.1%Tween20を含む組成のものを使用することができる。
続いて、1xHis-タグ洗浄バッファーで洗浄したHis Mag セファロースNiに、回収した上記磁性体結合cDNAディスプレイ分子のうちの1/5程度、例えば、回収量が50〜200μLであった場合には、10〜40μLを加え、冷却サーモブロックローテーター等を使用して、20〜30℃で0.5〜2時間撹拌する。その後、例えば、50〜200μLの1xHis-タグ洗浄バッファーを用いて2〜4回洗浄し、5〜20μLのHis-タグタンパク質溶出バッファーを加えて、マイクロチューブミキサー(MT-360、(株)トミー精工製)を使用し、室温で10〜20分撹拌する。以上の操作によって、精製された磁性体結合cDNAディスプレイ分子を得ることができる。
(VII)嵩高い官能基の導入
ヒュスゲン環化付加反応を利用して、磁性体結合cDNAディスプレイ分子上の非天然アミノ酸のアジド基と、嵩高い官能基を反応させ、ペプチドを修飾する。嵩高い官能基の例を図2A〜図2Dに示す。
ヒュスゲン環化付加反応は、例えば、磁性体結合cDNAディスプレイ分子を入れたチューブに、例えばメタノールやDMSO等の溶媒に溶かした嵩高い官能基を加え、例えば4℃〜室温で30分〜24時間反応させることで、嵩高い官能基と結合した非天然アミノ酸を含むペプチドを有する磁性体結合cDNAディスプレイ分子(以下、「官能基-磁性体結合cDNAディスプレイ分子」ということがある)を得ることができる。
(VIII)固相からの切断
上記で得られた、官能基-磁性体結合cDNAディスプレイ分子から、磁性体ビーズを除去した、cDNAディスプレイ分子(以下、「官能基結合cDNAディスプレイ分子」ということがある)を回収する。まず、所望のバッファーで洗浄し、次いで遊離剤を加えてインキュベートし、リンカー中の切断部位から切断された官能基結合cDNAディスプレイ分子を遊離させる。こうした洗浄バッファーとしては、例えば、上記1xHis-タグ洗浄バッファーを使用することができる。また、遊離剤としては、所定の濃度のRNA分解酵素、例えば、500〜1,500 UのRNase T1を含む1xHis-タグ洗浄バッファーや5〜15 Uのエンドヌクレアーゼ V (ニューイングランドラボ社製)を含む、1xNEバッファーを使用することができる。
例えば、官能基-磁性体結合cDNAディスプレイ分子を、1xNEバッファーで1回洗浄したのち、10 Uのエンドヌクレアーゼを含む40μLの1xNEバッファーを加え、37℃で60分インキュベートすることで、官能基結合cDNAディスプレイ分子を得ることができる。
(実施例1)mRNA-リンカー連結体の調製
(1)DNAライブラリの作製
終止コドンのUAGに対応するアンチコドンのAUCを有するmRNAと相補的なDNAを、Aタンパク質のBドメイン(配列番号5)を用いて、以下のようにして調整した。
[配列番号5]
5'-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGATAACAAATTCAACAAAGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTACATTTACCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCCTAAAAGATGACCCAAGCCAAAGCGCTAACCTTTTAGCAGAAGCTAAAAAGCTAAATGATGCTCAAGCACCAAAAGCTGACAACAAATTCAACGGGGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGCGGCGTGGAAA-3'
まず、下記配列のDNA断片(以下、BDA-UAG断片という)を、ユーロフィンジェノミクス(株)に依頼して合成した。
[配列番号6]
5'-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGCTAATGATGATGGCT-3'
次に、下記表1のPCR用反応液1を調製し、以下のプログラムを用いてPCRを行った。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)95℃(10秒)、(c)63℃(5秒)、及び(d)72℃(10秒)とし、ステップ(b)〜(d)を30サイクル行った。
得られたPCR産物を、Favorgen社製のFavorPrep PCR Clean-Up Mini Kitを使用して、付属のマニュアルに従って精製した。その後、下記表2のPCR用反応液2を調製し、以下のプログラムを用いてPCRを行った。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)95℃(10秒)、(c)69℃(5秒)、及び(d)72℃(10秒)とし、ステップ(b)〜(d)を25サイクル行った。
得られたPCR産物をFavorgen社製のFavorPrep PCR Clean-Up Mini Kitを使用して、付属のマニュアルに従って精製した。
(2)DNAライブラリの転写
上記で得られたDNAライブラリの転写は、プロメガのキット (RiboMAX(登録商標) Large Scale RNA Production Systems―T7) に付属するプロトコルに従い、11.8 μmolのDNAを、50μLスケールで行った。アルミブロック恒温槽(Anatech社製、Cool Stat 5200)を使用して、37℃で2時間インキューベションした後、キット付属のDNase (RQ1 DNase) を2μL加え、さらに37℃で15分間インキュベートした。合成されたmRNAはFavorgen社製のAfter Tri-Reagent RNA Clean-Up Kitを使用して精製した。
(3)リンカーの調製
ピューロマイシンリンカー(図5参照)は、下記の文献に記載の方法により作製した。
Mochizuki Y, Biyani M, Tsuji-Ueno S, Suzuki M, Nishigaki K, Husimi Y, and Nemoto N. (2011) One-pot preparation of mRNA/cDNA display by a novel and versatile puromycin-linker DNA. ACS Comb. Sci., 13, 478-485
まず、短いビオチン−セグメント・ピューロマイシンリンカー(Short Biotin-segment Puromycin (SBP)-linker)の作製に使用する修飾されたオリゴヌクレオチドである、「ピューロマイシンセグメント(PS)」、及び「短いビオチンセグメント(SBS)」は、ジーンワールド社より入手した。このPSは、以下の構造を有する。
5'-(S)-TC(F)-((Spc18) x 4)-CC-(Puro)-3'
ここで、(S)は5'-チオールモディファイヤーC6を表し、(F)はフルオレセイン-dTを表す。(Puro)はピューロマイシンCPGを表し、(Spc18)はスペーサー・ホスホロアミダイト18を表す。また、上記SBSは以下の構造を有する。
[配列番号28]
5'-CCRCYCRACCCCGCCGCCCCCCGMCCT-3'
ここで、MはアミノモディファイヤーC6 dTを表し、Yは、ビオチン−dTを表す。
RはリボGを表す。EMCSは、(株)同仁化学研究所(熊本、日本国)より購入した。プロテインAのBドメインは、pEZZ 18 プロテインA遺伝子融合ベクター(GEヘルスケア社製)より得た。フォワードプライマーは、T7プロモーター、タバコモザイクウイルスの「オメガ」5'-未翻訳領域、コザック配列、及びATG開始コドンを含んでいた。リバースプライマーは、ヘキサヒスチジンtag、スペーサー配列(GGGGGAGGCAGC:配列番号29)、及びピューロマイシンリンカーDNAの3'末端で、mRNA とピューロマイシンリンカーDNAとの間にライゲーション可能な相補的配列(AGGACGGGGGGCGGGGAAA:配列番号30)を含んでいた。Oct-1のPou特異的DNA結合ドメインof Oct-1 (PDO)の場合には、鋳型はPDOでBドメインが置き換えられて生成された。
(4)mRNAとリンカーのライゲーション
転写によって得られた5μLの5.9μM mRNAに、2μLの10μM SBPピューロマイシンリンカー、2μLの10xT4 RNAリガーゼバッファ(タカラバイオ(株)製)、1.2μLの0.1%BSA及び8.3μLのNuclease-free water(プロメガ社製)を加えて、ライゲーション溶液を調製した。90℃で2分間インキュベートした後に、70℃で1分間インキュベートし、0.02℃/秒のスピードで25℃まで降温させた。次いで、0.5μLのT4 ポリヌクレオチドキナーゼ(タカラバイオ(株)製)及び1μLのT4 RNAリガーゼ(タカラバイオ(株)製)を加え、25℃で1時間インキュベートし、mRNA-リンカー連結体を得た。
(実施例2)tRNAのフレキシザイムによるアミノアシル化
(1)終止コドンUAGに相補的なアンチコドンAUCを有するtRNAの調製
下記の5つの配列のプライマーを、ユーロフィンジェノミクス(株)に依頼して合成した。
[配列番号17]
UAG-Fプライマー:5'-GTAATACGACTCACTATAGGCTCTGTAGTTCAGTCGGTAGAACGGCGGA-3'
[配列番号19]
R1プライマー:5'-GAACCAGTGACATACGGATTTAGAGTCCGCCGTTCTACCGACT-3'
[配列番号20]
R2プライマー:5'- TGGCGGCTCTGACTGGACTCGAACCAGTGACATACGGA -3'
[配列番号21]
R3プライマー:5'-TGGCGGCTCTGACTGGACTC-3'
[配列番号18]
UAG-T7-Fプライマー:5'-GGCGTAATACGACTCACTATAG-3'
200μLのPCRチューブ2本に、それぞれ0.5μLの20μM Fプライマー、0.5μLの20μM R1プライマーと及び10μLの下記表3のPCR用混合液Aを入れて撹拌し、以下のプログラムを用いてPCRを行った。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)60℃(5秒)及び(c)72℃(10秒)とし、ステップ(b)〜(c)を5サイクル行った。その後、2本のチューブを1本にまとめ、伸長産物とした。
次いで、200μLのPCRチューブ2本に、それぞれ0.3μLの200μM T7-Fプライマー、0.3μLの200μM R2プライマー、95μLの表3のPCR用混合液A及び伸長産物5μLを入れて撹拌し、以下のプログラムを用いてPCRを行った。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)95℃(10秒)、(c)60℃(5秒)、及び(d)72℃(10秒)とし、ステップ(b)〜(d)を5サイクル行った。その後、2本のチューブを1本にまとめ、PCR産物とした。
0.75μLの200μM T7-Fプライマー、0.75μLの200μM R3プライマー、300μLの表3のPCR混合液Aを及びPCR産物1.5μLを入れて撹拌した後3本の200μLのPCRチューブ分注し、以下のプログラムを用いてPCRを行い、tRNA用鋳型DNAを得た。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)95℃(10秒)、(c)60℃(5秒)、及び(d)72℃(10秒) とし、ステップ(b)〜(d)を22サイクル行った。
tRNA用鋳型DNAは、Favorgen社製のFavorPrep PCR Clean-Up Mini Kitを用いて、マニュアルに従いエタノール沈殿により精製した。
得られたtRNA用鋳型DNAの転写は以下のように行った。まず、100μLの10xT7バッファー、100mMの100mM DTT、90μLの250mM MgCl2、150μLの25mM NTPs、11.25μLの2M KOH、50μLの100mM GMP、100μLのtRNA用鋳型DNA及び20μLのT7 RNAポリメラーゼを303μLのRNasae free水に溶解させ、転写用混合液Iを調製した。
次いで、調製した転写用混合液Iを37℃で5時間インキュベートした後、20μLの100mM MnCl2及び4μLのDNaseIを加え、37℃で30分間インキュベートした。
転写用混合液Iを12%PAGEにアプライして電気泳動した後、tRNAのバンドをゲルから切り出した。その後、75μLの500mM EDTA(pH 8)、100μLの3M NaCl及び1mL,のイソプロパノールを加えて良く撹拌し、室温で5分間静置した。静置後、室温下で5分間15,000xgで遠心分離した。上清を完全に取り除いたと、蓋を開け、室温で10分間tRNAを乾燥させた。得られたtRNAペレットは−20℃で保存した。
(2)フレキシザイムeFxの調製
下記の3つの配列のプライマーをユーロフィンジェノミクス(株)に依頼して合成した。
[配列番号11]
Fx-Fプライマー:5'-GTAATACGACTCACTATAGGATCGAAAGATTTCCGC-3'
[配列番号12]
eFx-R1プライマー:5'-ACCTAACGCTAATCCCCTTTCGGGGCCGCGGAAATCTTTCGATCC-3'
[配列番号13]
eFx-R2プライマー:5'-ACCTAACGCTAATCCCCT-3'
200μLのPCRチューブに、0.5μLの200μM Fx‐Fプライマー、0.5μLの200μM eFx-R1プライマーと及び100μLの下記表4のPCR用混合液Bを入れて撹拌し、以下のプログラムを用いてPCRを行った。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)60℃(5秒)、及び(c)72℃(10秒)とし、ステップ(b)〜(c)を5サイクル行った。
0.75μLの200μM T7-Fプライマー、0.75μLの200μM eFx-R2プライマー、300μLの表4のPCR用混合液B及びPCR産物1.5μLを入れて撹拌した後、2本の200μLのPCRチューブ分注し、以下のプログラムを用いてPCRを行い、フレキシザイムeFx用鋳型DNAを得た。PCRプログラムは、(a)95℃(30秒)、(b)95℃(10秒)、(c)50℃(5秒)、及び(d)72℃(10秒) とし、ステップ(b)〜(d)を12サイクル行った。
フレキシザイムeFx用鋳型DNAは、Favorgen社製のFavorPrep PCR Clean-Up Mini Kitを用いて、マニュアルに従ってエタノール沈殿により精製した。
得られたフレキシザイムeFx用鋳型DNAの転写は以下のように行った。まず、100μLの10xT7バッファー、100mMの100mM DTT、90μLの250mM MgCl2、150μLの25mM NTPs、11.25μLの2M KOH、50μLの100mM GMP、100μLのフレキシザイムeFx用鋳型DNA及び20μLのT7 RNAポリメラーゼを303μLのRNasae free水に溶解させ、転写用混合液2を調製した。
次いで、調製した転写用混合液2を37℃で5時間インキュベートした後、20μLの100mM MnCl2及び4μLのDNaseIを加え、37℃で30分間インキュベートした。
転写用混合液Iを12%PAGEにアプライして電気泳動した後、tRNAのバンドをゲルから切り出した。その後、75μLの500mM EDTA(pH 8)、100μLの3M NaCl及び1mL,のイソプロパノールを加えて良く撹拌し、室温で5分間静置した。静置後、室温下で5分間15,000xgで遠心分離した。上清を完全に取り除いたと、蓋を開け、室温で10分間フレキシザイムeFxを乾燥させた。得られたフレキシザイムeFxペレットは−20℃で保存した。
(3)アミノ酸基質の調製
エッペンドルフチューブに、9.4gのBoc-4-azido-Phe-OH(SIGMA-ALDRICH社製)、1.8mgのシアノメチルエステル、7μLのトリエチルアミン、5μLのジメチルホルムアミドを入れて、室温で5時間撹拌した。この反応液を常法に従ってHPLCで精製し、凍結乾燥した後、100μLの4M 塩酸/酢酸エチルを加え、室温で20分インキュベートして、フレキシザイムeFx用のアミノ酸基質を調製した。
(4)tRNAのアミノアシル化
まず、1μLの500mM HEPES-KOH Buffer (pH 7.5)、1μLのフレキシザイムeFx(50pmol)、1μLのtRNA(50pmol)及び3μLの超純水をエッペンドルフチューブに入れて95℃で2分間加熱した後、室温まで放冷しtRNAの3次元構造を形成させた。次いで、2μLの0.6M MgCl2を加え、5分間室温で反応させた。さらに、氷上で3分間反応させた後、2μLの5mM フレキシザイムeFx用アミノ酸を加え、氷上で3時間反応させた。続いて、40μLの0.3M酢酸ナトリウム(pH5.2)及び100μL エタノールを加え、室温下、15,000xgで15分間遠心分離した。
上清を完全に取り除いた後、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.2)を含んだ70%エタノールを50μL加え、室温下、15,000xgで5分間遠心分離した。上清を完全に取り除いた後、再度、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.2)を含んだ70%エタノールを50μL加え、室温下、15,000xgで5分間遠心分離した。さらに、70%エタノールを50μL加え、室温下、15,000xgで3分間遠心分離した。上清を除いた後、室温で5分間乾燥させ、アミノアシル化tRNAを得た。
(5)電気泳動によるアシル化の確認
上記で得られたアミノアシル化tRNAに、3.5μLの7.5mg/mL スルホスクシンチミジル-D-ビオチン(in 0.4M HEPES-K (pH 8.0))溶液を加え、氷上で1時間反応させ、アミノアシル化tRNAを選択的にビオチン化させた。次いで、常法に従ってエタノール沈殿を行ったあと、10mMの酢酸ナトリウム(pH5.2)を用いてRNAペレットを溶解させた。
エッペンドルフチューブに、上記で得られた0.5μLのビオチン化したtRNAを、1.5μLの0.2mg/mLのストレプトアビジン溶液(37mM ピペラジン(pH6.1)、37mM EDTA及び6M 尿素)に溶かし、12%のPAGEで電気泳動を行った(200V、印加時間1.5時間)。RNA染色を、Syber Green II(Molecular Probe)で行い、非天然アミノ酸でアシル化したtRNAを示すバンドが確認された(図6参照)。
(実施例3)非天然アミノ酸によるペプチド修飾
(1)翻訳
実施例1で調製したmRNA−リンカー連結体を、終結因子を含まない無細胞翻訳系により以下のように翻訳した。下記表5に示す組成の反応液を調製し、37℃で25分間反応させた。この反応液に、10μLの3M KCl及び3μLの1M MgCl2を加えた。その後、この溶液を更に37℃で45分間反応させ、cDNAディスプレイ分子を得た。
(2)固相化
ストレプトアビジン(SA)磁性粒子(Dynabeads MyOne Streptavidin C1:Invitrogen社製)を説明書に従って洗浄し、上記cDNAディスプレイ分子を固定するのに必要な量を、エッペンドルフチューブにとり、磁気スタンド上に1分間静置した。その後、上清を除去し、溶液A(100mM NaOH, 50mM NaCl)で再懸濁した。タッピングを1〜2分間行った後、磁気スタンド上に1分間静置した。その後、溶液Aでもう1回、同様の操作を行い、溶液B(100mM NaCl)で1回、同様の操作を行った。
cDNAディスプレイに、7.6μLの0.5M EDTAを加え、室温で5分間インキュベートした。その後、30μL上記ストレプトアビジン磁性粒子、15.2μLの4x結合バッファー(20mMのTris-HCl(pH 7.5), 2MのNaCl、2mMのEDTA、0.2%のTween-20を含む)及び1x結合バッファーを適量加え、室温で45分間撹拌し、固相化された磁性体結合cDNAディスプレイ分子を得た。
(3)逆転写反応
上記磁性体結合cDNAディスプレイ分子に、下記表6の逆転写用反応液を入れ、42℃で30分間ローテーターで撹拌しながらインキュベートし、cDNAが結合した磁性体結合cDNAディスプレイ分子を調製した。
(4)銅触媒を使用しない場合のヒュスゲン環化付加反応による蛍光修飾
上記(3)で得られた、磁性体結合cDNAディスプレイ分子に、表7の蛍光修飾用反応液1を加え、室温で一晩反応させた。
以上のようにして得られた修飾後の官能基‐磁性体結合cDNAディスプレイ分子入りのチューブに、下記表8のRnase溶液を加え、37℃にて15分間インキュベートし、磁性体ビーズからcDNAディスプレイ分子を切り離して官能基結合cDNAディスプレイ分子を得るとともに、官能基結合cDNAディスプレイ分子上のmRNAを分解した。得られた官能基結合cDNAディスプレイ分子を、電気泳動用サンプルに供した。
(5)銅触媒を使用しない場合のヒュスゲン環化付加反応によるビオチン修飾
上記(3)で得られた、磁性体結合cDNAディスプレイに、表9のビオチン修飾用反応液を加え、室温で一晩反応させた。
以上のようにして得られた修飾後の官能基‐磁性体結合cDNAディスプレイ分子入りのチューブに、上記表8のRnase溶液を加え、37℃にて15分間インキュベートし、磁性体ビーズからcDNAディスプレイ分子を切り離して官能基結合cDNAディスプレイ分子を得るとともに、官能基結合cDNAディスプレイ分子上のmRNAを分解した。
その後、1μLの4M NaCl及び1.5μLの0.2mg/mLのストレプトアビジン溶液(37mM ピペラジン(pH6.1)、37mM EDTA及び6M 尿素)を加え、ビオチンとストレプトアビジンを結合させ、得られた官能基結合cDNAディスプレイ分子を電気泳動用サンプルに供した。
(6)銅触媒を使用する場合のヒュスゲン環化付加反応による蛍光修飾
上記(3)で得られた、磁性体結合cDNAディスプレイ分子に、表10の蛍光修飾用反応液2を加え、室温で一晩反応させた。
以上のようにして得られた修飾後の官能基‐磁性体結合cDNAディスプレイ分子入りのチューブに、上記表8のRnase溶液を加え、37℃にて15分間インキュベートし、磁性体ビーズからcDNAディスプレイ分子を切り離して官能基結合cDNAディスプレイ分子を得るとともに、官能基結合cDNAディスプレイ分子上のmRNAを分解した。得られた官能基結合cDNAディスプレイ分子を、電気泳動用サンプルに供した。
(7)銅触媒の有無による化学修飾の成否
上記(4)で調製した、官能基結合cDNAディスプレイ分子を、常法に従い、4%スタッキングゲル−6%分離ゲルのSDS-PAGEにより、フルオレセイン及びSYBR Goldで染色して確認した。フルオレセイン染色はヒュスゲン環化付加反応産物を、SYBR Gold染色はmRNA-リンカー連結体及びcDNAディスプレイ分子を、それぞれ確認するために行った。ここで例えば、フルオレセイン染色した電気泳動のバンドと、SYBR Gold染色した電気泳動のcDNAディスプレイのバンドが同じ位置であった場合、cDNAディスプレイ上の非天然アミノ酸の側鎖上で、ヒュスゲン環化付加反応による修飾が行われていることを意味している。
電気泳動の結果、銅触媒を使用しない反応系では、フルオレセイン染色及びSYBR Gold染色をした場合おいて、ヒュスゲン環化付加反応によって出現したcDNAディスプレイ分子のバンドが確認された(図7参照)。一方、アジド基を含むアミノ酸が存在しない場合、フルオレセイン染色をした場合では、cDNAディスプレイ分子のバンドが確認できなかった。
このことから、アジド基を有する非天然アミノ酸のN-Boc-4-アジド-L-フェニルアラニンを、cDNAディスプレイのペプチド配列上に発現させておくことで、cDNA上の非天然アミノ酸上でヒュスゲン環化付加反応による化学修飾が行われることが確認された。
同様に、上記(6)で調製した、官能基結合cDNAディスプレイ分子上で、化学修飾が行われているかを、SDS-PAGEによりフルオレセイン及びSYBR Goldで染色して確認した。
その結果、銅触媒を使用した反応系では、フルオレセイン染色及びSYBR Gold染色の両方において、cDNAディスプレイ、及び修飾反応前のcDNAディスプレイを示したライゲーション産物の両方のバンドが確認できなかった(図8参照)。これは、cDNAディスプレイ上のcDNAが、銅(I)の存在により分解されたため、バンドが消失したものと推測された。
(8)化学修飾の効率検討
銅触媒を使用しない場合の、ヒュスゲン環化付加反応による修飾効率を検討した。
上記(5)で得られた、ストレプトアビジン‐ビオチン結合cDNAディスプレイ、HEPES-Buffer及びDMSOを、図9中の表に示した各配合量になるように調製した。この調製液1μLを1μLのローディングバッファー(50mM 酢酸ナトリウム、8M 尿素)と混合し、6M 尿素変性ゲル(50mM 酢酸ナトリウム)を用いたゲルシフトアッセイを行った。エチジウムブロマイド(SYBR Gold)で染色し、修飾効率は、バンドの濃さの比較により算出した。
ゲルシフトアッセイの結果、DMSOの配合量が0μLから9μLと増加するにつれて、修飾効率が11%から40%と増大した。HEPES Bufferと比較すると、DMSOの配合量が多いほど化学修飾効率が高まることが確認された(図9参照)
本願発明は、医薬分野、特に診断薬の分野において有用である。
配列番号1:tRNA調製用プライマー
配列番号2:tRNA調製用プライマー
配列番号3:tRNA調製用プライマー
配列番号4:tRNA調製用プライマー
配列番号5:Aタンパク質のBドメインをコードする塩基配列
配列番号6:終止コドンを有するmRNAに相補的な塩基配列
配列番号7:終止コドンを有するmRNAに相補的な塩基配列
配列番号8:終止コドンを有するmRNAに相補的な塩基配列
配列番号9:光架橋型リンカーの主鎖の塩基配列
配列番号10:光架橋型リンカーの側鎖の塩基配列
配列番号11:フレキシザイム調製用プライマー
配列番号12:フレキシザイム調製用プライマー
配列番号13:フレキシザイム調製用プライマー
配列番号14:フレキシザイム調製用プライマー
配列番号15:フレキシザイム調製用プライマー
配列番号16:フレキシザイム調製用プライマー
配列番号17:tRNA調製用プライマー
配列番号18:tRNA調製用プライマー
配列番号19:tRNA調製用プライマー
配列番号20:tRNA調製用プライマー
配列番号21:tRNA調製用プライマー
配列番号22:tRNA調製用プライマー
配列番号23:tRNA調製用プライマー
配列番号24:tRNA調製用プライマー
配列番号25:tRNA調製用プライマー
配列番号26:PCR用フォワードプライマー
配列番号27:PCR用リバースプライマー
配列番号28:ビオチン−セグメント・ピューロマイシンリンカーの塩基配列
配列番号29:スペーサー配列
配列番号30:SBPリンカー配列

Claims (8)

  1. (1)所定の配列を有するmRNAをリンカーと結合させてmRNA−リンカー連結体を得るリンカー結合工程と;
    (2)無細胞翻訳系から終結因子を除去する終結因子除去工程と;
    (3)非天然アミノ酸とtRNAを結合させ、アミノアシル化tRNAを調製するアミノアシル化工程と;
    (4)前記mRNA−リンカー連結体を、前記アミノアシル化tRNAを含む、前記終結因子を除去した無細胞翻訳系で翻訳し、前記非天然アミノ酸を含むペプチドを、前記mRNA−リンカー連結体にディスプレイする、cDNAディスプレイ分子作製工程と;
    (5)前記cDNAディスプレイ分子を固相と結合させる固相化工程と;
    (6)前記固相化工程で固相化されたcDNAディスプレイ分子を精製する精製工程と;
    (7)前記精製工程で得られたcDNAディスプレイ分子に結合されているペプチドに、金属錯体を使用しないヒュスゲン環化付加反応を利用して嵩高い官能基を導入し、前記非天然アミノ酸を含むペプチドを修飾する修飾工程と;
    (8)前記修飾されたcDNAディスプレイ分子を固相から切り離す切断工程と;
    を備えることを特徴とする、ペプチドの翻訳後修飾方法。
  2. 前記tRNAは、終始コドンを認識するアンチコドン、又は4〜6塩基の拡張コドンに対するアンチコドンを有することを特徴とする、請求項1に記載のペプチドの翻訳後修飾方法。
  3. 前記アミノアシル化工程は、非天然アミノ酸アミノアシル化酵素を使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載のペプチドの翻訳後修飾方法。
  4. 前記非天然アミノ酸アミノアシル化酵素は、チロシルtRNA合成酵素、ピロリシルtRNA合成酵素、トリプトファニルtRNA合成酵素、フェニルアラニルtRNA合成酵素、ロイシルtRNA合成酵素、リシルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素及びこれらの変異体、及びフレキシザイムからなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする、請求項3にいずれかに記載のペプチドの翻訳後修飾方法。
  5. 前記金属錯体は、Cu(I)であることを特徴とする、請求項1〜4にいずれかに記載のペプチドの翻訳後修飾方法。
  6. 前記嵩高い官能基は、一般式Iで表される化合物に含まれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のペプチドの翻訳後修飾方法。
    式中、
    −Xは、炭素鎖又は少なくとも酸素原子を含む炭素鎖で構成される側鎖と、その末端に結合した、ビオチン、蛍光色素、蛍光タンパク質、薬剤候補となる低分子化合物、及び錯体金属を含む環状化合物からなる群から選ばれるいずれかの分子を備える前記嵩高い官能基である。
  7. 前記非天然アミノ酸は、側鎖にアジドを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドの翻訳後修飾方法
  8. 前記非天然アミノ酸は、化学式II〜Vで表される化合物からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする、請求項1〜7にいずれかに記載のペプチドの翻訳後修飾方法。
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