以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合について説明する。
本実施の形態にかかる水晶振動子101は、図1に示すように、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を備えて構成されている。この水晶振動子101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されることによって、略直方体のサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
水晶振動板2では、一方の主面である第1主面211に第1励振電極221が形成され、他方の主面である第2主面212に第2励振電極222が形成されている。そして、水晶振動子101においては、水晶振動板2の両主面(第1主面211、第2主面212)のそれぞれに第1封止部材3及び第2封止部材4が接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、内部空間13に第1励振電極221及び第2励振電極222を含む振動部22(図4、図5参照)が気密封止されている。
本実施の形態にかかる水晶振動子101は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、後述するスルーホール(貫通孔)を用いて電極の導通を図っている。また、水晶振動子101は、温度センサ付きの水晶振動子として構成されており、水晶振動子101のパッケージ12に、振動部22の温度(内部空間13の温度)を検知するための温度センサ部5が備えられている。温度センサ部5は、本実施の形態では、第1封止部材3の第1主面311(第1封止部材3における水晶振動板2との接合面と反対側の主面)に設けられている。
次に、上記した水晶振動子101における水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4の各部材について、図1〜図7を用いて説明する。なお、ここでは、接合されていないそれぞれ単体として構成されている各部材について説明を行う。
水晶振動板2は、図4、図5に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(第1主面211、第2主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図4、図5に示す水晶振動板2では、水晶振動板2の両主面211,212が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板2の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板2の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、及び光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸及びZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸及びZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y´軸方向及びZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
水晶振動板2の両主面211,212には、一対の励振電極(第1励振電極221、第2励振電極222)が形成されている。水晶振動板2は、略矩形に形成された振動部22と、この振動部22の外周を取り囲む外枠部23と、振動部22と外枠部23とを連結することで振動部22を保持する保持部24とを有している。すなわち、水晶振動板2は、振動部22、外枠部23及び保持部24が一体的に設けられた構成となっている。
本実施の形態では、保持部24は、振動部22と外枠部23との間の1箇所のみに設けられている。また、振動部22及び保持部24は、基本的には外枠部23よりも薄く形成されている。このような外枠部23と保持部24との厚みの違いにより、外枠部23と保持部24の圧電振動の固有振動数が異なることになり、保持部24の圧電振動に外枠部23が共鳴しにくくなる。なお、保持部24の形成箇所は1か所に限定されるものではなく、保持部24は、振動部22と外枠部23との間の2箇所(例えば、−Z´軸方向の両側)に設けられていてもよい。
保持部24は、振動部22の+X方向且つ−Z´方向に位置する1つの角部のみから、−Z´方向に向けて外枠部23まで延びている(突出している)。このように、振動部22の外周端部のうち、圧電振動の変位が比較的小さい角部に保持部24が設けられているので、保持部24を角部以外の部分(辺の中央部)に設けた場合に比べて、保持部24を介して圧電振動が外枠部23に漏れることを抑制することができ、より効率的に振動部22を圧電振動させることができる。また、保持部24を2つ以上設けた場合に比べて、振動部22に作用する応力を低減することができ、そのような応力に起因する圧電振動の周波数シフトを低減して圧電振動の安定性を向上させることができる。
第1励振電極221は振動部22の第1主面211側に設けられ、第2励振電極222は振動部22の第2主面212側に設けられている。第1励振電極221、第2励振電極222には、これらの励振電極を外部電極端子に接続するための引出配線(第1引出配線223、第2引出配線224)が接続されている。第1引出配線223は、第1励振電極221から引き出され、保持部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン27に繋がっている。第2引出配線224は、第2励振電極222から引き出され、保持部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン28に繋がっている。このように、保持部24の第1主面211側に第1引出配線223が形成され、保持部24の第2主面212側に第2引出配線224が形成されている。
水晶振動板2の両主面(第1主面211、第2主面212)には、水晶振動板2を第1封止部材3及び第2封止部材4に接合するための振動側封止部がそれぞれ設けられている。第1主面211の振動側封止部としては、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成されている。また、第2主面212の振動側封止部としては、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されている。第1励振電極221、第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
また、水晶振動板2には、図4、図5に示すように、第1主面211と第2主面212との間を貫通する5つのスルーホール(貫通孔)が形成されている。具体的には、4つの第1貫通孔261は、外枠部23の4隅(角部)の領域にそれぞれ設けられている。第2貫通孔262は、外枠部23であって、振動部22のZ´軸方向の一方側(図4、図5では、−Z´方向側)に設けられている。第1貫通孔261の周囲には、それぞれ接続用接合パターン253が形成されている。また、第2貫通孔262の周囲には、第1主面211側では接続用接合パターン254が、第2主面212側では接続用接合パターン28が形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の外側に第1貫通孔261が形成され、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の内側に第2貫通孔262が形成されている。
第1貫通孔261及び第2貫通孔262には、第1主面211と第2主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第1貫通孔261及び第2貫通孔262それぞれの中央部分は、第1主面211と第2主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。なお、貫通電極は、貫通部分を有するものに限らず、貫通部分のない中実の状態で形成されていてもよい。
水晶振動板2において、第1励振電極221、第2励振電極222、第1引出配線223、第2引出配線224、第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン253,254,27,28は、同一のプロセスで形成することができる。具体的には、これらは、水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地膜と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された接合膜とから形成することができる。なお、本実施の形態では、下地膜には、Ti(もしくはCr)が用いられ、接合膜にはAuが用いられている。
第1封止部材3は、図2、図3に示すように、水晶により形成された略直方体状の基板であり、この第1封止部材3の第2主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、第1封止部材3として、上述した水晶振動板2と同様のATカット水晶板が用いられている。
第1封止部材3の第1主面311(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、図2に示すように、水晶振動板2の振動部22の温度を検知するための温度センサ部5が設けられている。また、第1封止部材3の第1主面311には、2つの電極パターン37と、温度センサ部5に接続される2つの電極パターン38が形成されている。本実施の形態では、温度センサ部5は、薄膜サーミスタを有する構成になっているが、温度センサ部5の詳細については後述する。
第1封止部材3には、図2、図3に示すように、電極パターン37,38のそれぞれと接続され、第1主面311と第2主面312との間を貫通する6つのスルーホール(貫通孔)が形成されている。具体的には、4つの第3貫通孔322が、第1封止部材3の4隅(角部)の領域に設けられている。第4、第5貫通孔323,324は、図2、図3のA2方向及びA1方向にそれぞれ設けられている。なお、図2、図3、図6、図7のA1及びA2方向は、図4、図5の−Z´方向及び+Z´方向にそれぞれ一致し、図2、図3、図6、図7のB1及びB2方向は、図4、図5の−X方向及び+X方向にそれぞれ一致する。
第3貫通孔322及び第4、第5貫通孔323,324には、第1主面311と第2主面312とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第3貫通孔322及び第4、第5貫通孔323,324それぞれの中央部分は、第1主面311と第2主面312との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。なお、貫通電極は、貫通部分を有するものに限らず、貫通部分のない中実の状態で形成されていてもよい。
第1封止部材3の第2主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部としての封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されている。封止側第1接合パターン321の外側に第3貫通孔322が形成され、封止側第1接合パターン321の内側に第4、第5貫通孔323,324が形成されている。
また、第1封止部材3の第2主面312では、第3貫通孔322の周囲には、それぞれ接続用接合パターン34が形成されている。第4貫通孔323の周囲には接続用接合パターン351が、第5貫通孔324の周囲には接続用接合パターン352が形成されている。さらに、接続用接合パターン351に対して第1封止部材3の長軸方向の反対側(A2方向側)には接続用接合パターン353が形成されており、接続用接合パターン351と接続用接合パターン353とは配線パターン33によって接続されている。なお、接続用接合パターン353は、接続用接合パターン352とは接続されていない。
第1封止部材3において、封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン34,351〜353、及び配線パターン33は、同一のプロセスで形成することができる。具体的には、これらは、第1封止部材3の第2主面312上に物理的気相成長させて形成された下地膜と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された接合膜とから形成することができる。なお、本実施の形態では、下地膜には、Ti(もしくはCr)が用いられ、接合膜にはAuが用いられている。
第2封止部材4は、図6、図7に示すように、水晶により形成された略直方体状の基板であり、この第2封止部材4の第1主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、第2封止部材4として、上述した水晶振動板2と同様のATカット水晶板が用いられている。
この第2封止部材4の第1主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部としての封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されている。
第2封止部材4の第2主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する4つの外部電極端子43a〜43dが設けられている。外部電極端子43a〜43dは、第2封止部材4の4隅(角部)にそれぞれ位置する。
第2封止部材4には、図6、図7に示すように、第1主面411と第2主面412との間を貫通する4つのスルーホール(貫通孔)が形成されている。具体的には、4つの第6貫通孔44は、第2封止部材4の4隅(角部)の領域に設けられている。第6貫通孔44は、封止側第2接合パターン421の外側に形成されている。
第6貫通孔44には、第1主面411と第2主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第6貫通孔44それぞれの中央部分は、第1主面411と第2主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。また、第2封止部材4の第1主面411では、第6貫通孔44の周囲には、それぞれ接続用接合パターン45が形成されている。なお、貫通電極は、貫通部分を有するものに限らず、貫通部分のない中実の状態で形成されていてもよい。
第2封止部材4において、封止側第2接合パターン421、及び接続用接合パターン45は、同一のプロセスで形成することができる。具体的には、これらは、第2封止部材4の第1主面411上に物理的気相成長させて形成された下地膜と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された接合膜とから形成することができる。なお、本実施の形態では、下地膜には、Ti(もしくはCr)が用いられ、接合膜にはAuが用いられている。
上記の水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を含む水晶振動子101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合(Au−Au接合)され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合(Au−Au接合)されて、図1に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321の拡散接合により形成される環状の封止部、及び、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421の拡散接合により形成される環状の封止部によって、パッケージ12の内部空間、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。なお、図1では、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321の拡散接合により形成される封止部、及び、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421の拡散接合により形成される封止部の図示を省略している。
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合(Au−Au接合)される。そして、接続用接合パターン同士の接合により、水晶振動子101では、第1励振電極221、第2励振電極222、及び外部電極端子43c,43dの電気的導通が得られるようになっている。また、温度センサ部5の対向電極51,51及び外部電極端子43a,43bの電気的導通が得られるようになっている。
具体的には、第1励振電極221は、第1引出配線223、接続用接合パターン27と接続用接合パターン353との接合部、配線パターン33、及び接続用接合パターン351、第4貫通孔323内の貫通電極を順に経由して、第1封止部材3の第1主面311の電極パターン37に接続される。第2励振電極222は、第2引出配線224、接続用接合パターン28、第2貫通孔262内の貫通電極、接続用接合パターン254と接続用接合パターン352との接合部、及び第5貫通孔324内の貫通電極を順に経由して、第1封止部材3の第1主面311の電極パターン37に接続される。電極パターン37,37は、それぞれ第3貫通孔322内の貫通電極、接続用接合パターン34と接続用接合パターン253との接合部、第1貫通孔261内の貫通電極、接続用接合パターン253と接続用接合パターン45との接合部、及び第6貫通孔44内の貫通電極を順に経由して、外部電極端子43c,43dに接続される。
また、温度センサ部5の対向電極51,51は、それぞれ電極パターン38、第3貫通孔322内の貫通電極、接続用接合パターン34と接続用接合パターン253との接合部、第1貫通孔261内の貫通電極、接続用接合パターン253と接続用接合パターン45との接合部、及び第6貫通孔44内の貫通電極を順に経由して、外部電極端子43a,43bに接続される。
そして、拡散接合によって製造されたパッケージ12では、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu−Au接合では0.15μm〜1.00μm)である。なお、比較として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm〜20μmとなる。
これにより、水晶振動子101のパッケージ12の高さにバラつきを生じにくくすることができる。例えば、本実施の形態と異なり、封止部材(本実施の形態でいう第1封止部材3,第2封止部材4)と水晶振動板2とのギャップが1μmより大きくなるSn接合材のような金属ペースト封止材を用いた場合、金属ペースト封止材をパターン(振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、封止側第1接合パターン321、封止側第2接合パターン421)上に形成する際の高さにバラつきが生じる。また、接合後においても、形成されたパターン(振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、封止側第1接合パターン321、封止側第2接合パターン421)の熱容量分布により均一なギャップ(本実施の形態でいう第1封止部材3と水晶振動板2とのギャップや、本実施の形態でいう第2封止部材4と水晶振動板2とのギャップ)にならない。そのため、従来の技術では、第1封止部材、第2封止部材、水晶振動板の3枚の部材が積層された構造の場合、これら3枚の部材間での各々ギャップに差が生じる。その結果、積層された3枚の部材は、平行を保てない状態で接合されてしまう。特に、この問題はパッケージ12の低背化に伴い顕著になる。そこで、本実施の形態では、ギャップの上限が1.00μmに設定されているため、第1封止部材3、第2封止部材4、水晶振動板2の3枚の部材を平行に保った状態で積層して接合することができ、本実施の形態はパッケージ12の低背化に対応できる。つまり、本実施の形態では、パッケージ12を低背化しても、厚みが薄く、寸法精度に優位性がある水晶振動子101を提供することができる。さらに、水晶振動子101の積層間容量のバラつきを抑制することができ、これに起因する周波数バラつきも抑制することができる。
本実施の形態では、上記構成の水晶振動子101において、第1封止部材3の第1主面311に、薄膜サーミスタを有する温度センサ部5が設けられていることを特徴としている。本実施の形態の特徴について、以下に説明する。
図2に示すように、温度センサ部5は、所定の対向間隔を隔てて平行に設けられた一対の対向電極51,51と、一対の対向電極51,51間に挟まれた抵抗膜(感温膜)52とを備えた構成になっている。各対向電極51は、第1封止部材3の第1主面311上に物理的気相成長させて形成された下地膜(例えばTi)と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極膜(例えばAu)とから形成されている。なお、対向電極51を、電極パターン38と一体的に形成する構成としてもよい。
抵抗膜52は、第1封止部材3の第1主面311上に物理的気相成長によって成膜されたPVD膜から形成されている。より詳細には、抵抗膜52は、反応性DCマグネトロンスパッタリングや、反応性RFマグネトロンスパッタリングによって成膜された反応性スパッタ膜として形成することが可能である。抵抗膜52は、所定の温度特性を有する材質によって形成されており、例えば、温度が上昇するに従って、抵抗値が略比例的に低下するような特性を有する材質で形成されている。このような抵抗膜52の材質としては、窒化物半導体や、酸化物半導体等が挙げられる。例えばAlN、CrN、SiN、ZrN等がある。なお、第1封止部材3の第1主面311上に抵抗膜52を形成し、この抵抗膜52の上に一対の対向電極51,51を形成する構成としてもよい。
本実施の形態によれば、第1封止部材3及び第2封止部材4によって振動部22を気密封止する内部空間13の外部側に温度センサ部5が配置される構成において、温度センサ部5が薄膜サーミスタを有する構成とされるため、温度センサ付きの水晶振動子101のパッケージ12の低背化を図ることができる。特に、第1封止部材3の第1主面(水晶振動板2に面しない方の主面)311にのみ温度センサ部5が配置される構成では、第1封止部材3の第1主面311における温度センサ部5の占有面積を最大限確保することができる。つまり、第1封止部材3の第1主面311には、外部基板と接合するための接続端子(外部端子)を形成する必要が無いため、温度センサ部5の形成領域をより広く確保することができる。さらに、第2封止部材4の他主面412にのみ温度センサ部5が配置される構成に比べて、第1封止部材3の第1主面311にのみ温度センサ部5が配置される構成では、外部基板等からの熱が温度センサ部5に伝導しにくくなるので、より振動部22の温度に近い温度を検出でき、温度センサ部5による温度検出の精度向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、第2封止部材4の第2主面412に形成された4つの外部電極端子43a〜43dのうち、2つの外部電極端子43a,43bは、温度センサ部5の薄膜サーミスタに電気的に接続されるサーミスタ用外部端子として形成されている。この例では、図7に示すA2方向の端部且つB1方向の端部の外部電極端子43a、及び、A1方向の端部且つB2方向の端部の外部電極端子43bがサーミスタ用外部端子になっている。
一方、残り2つの外部電極端子43c,43dは、第1励振電極221、第2励振電極222に電気的に接続される励振電極用外部端子として形成されている。この例では、図7に示すA1方向の端部且つB1方向の端部の外部電極端子43c、及び、A2方向の端部且つB2方向の端部の外部電極端子43dが励振電極用外部端子になっている。
そして、サーミスタ用外部端子と温度センサ部5の薄膜サーミスタとの間のサーミスタ用電気的経路と、励振電極用外部端子と第1励振電極221、第2励振電極222との間の励振電極用電気的経路とが、互いに独立になっている。サーミスタ用電気的経路は、第2封止部材4に形成された貫通孔44(この場合、図6、図7に示すA2方向の端部且つB1方向の端部の貫通孔44と、A1方向の端部且つB2方向の端部の貫通孔44)、水晶振動板2に形成された貫通孔261(この場合、図4、図5に示す−X方向の端部且つ+Z´方向の端部の貫通孔261と、+X方向の端部且つ−Z´方向の端部の貫通孔261)、及び、第1封止部材3に形成された貫通孔322(この場合、図2、図3に示すA2方向の端部且つB1方向の端部の貫通孔322と、A1方向の端部且つB2方向の端部の貫通孔322)を含む構成になっている。
一方、励振電極用電気的経路は、第2封止部材4に形成された貫通孔44(この場合、図6、図7に示すA1方向の端部且つB1方向の端部の貫通孔44と、A2方向の端部且つB2方向の端部の貫通孔44)、水晶振動板2に形成された貫通孔261(この場合、図4、図5に示す+X方向の端部且つ+Z´方向の端部の貫通孔261と、−X方向の端部且つ−Z´方向の端部の貫通孔261)、及び、第1封止部材3に形成された貫通孔322(この場合、図2、図3に示すA1方向の端部且つB1方向の端部の貫通孔322と、A2方向の端部且つB2方向の端部の貫通孔322)を含む構成になっている。
本実施の形態によれば、サーミスタ用電気的経路と、励振電極用電気的経路とが、互いに独立に設けられているので、サーミスタ用外部端子から出力される温度センサ部5からの温度情報を、外部基板に搭載された他の電子部品等で利用することが可能になる。例えば、サーミスタ用外部端子から出力された温度センサ部5の抵抗値データと、励振電極用外部端子から出力された第1励振電極221、第2励振電極222の周波数データとを用いて、外部基板に搭載されたICによって温度補償等を行うことが可能になる。
また、サーミスタ用電気的経路が、第2封止部材4、水晶振動板2、及び第1封止部材3にそれぞれ形成された貫通孔を含んで構成されているため、電気的経路(配線)を水晶振動子101の外部に露出することなく形成することができる。これにより、電気的経路(配線)が大気中に晒されることに起因する酸化や腐食等を防止することができ、水晶振動子101の耐環境性能を向上させることができる。
また、本実施の形態では、第1封止部材3の第1主面311に温度センサ部5の薄膜サーミスタが直接的に形成されている。これにより、チップサーミスタを有する温度センサ部を用いる構成とは異なり、温度センサ部5を搭載するための半田等の接合材が不要になる。また、搭載時の温度センサ部5の搭載位置の位置ずれを抑制でき、これに起因する短絡等の不具合を防止することができる。
ここで、温度センサ部5の薄膜サーミスタを、例えば図8、図9に示すように、一対の櫛形電極51a,51aと、当該一対の櫛形電極51a,51aに挟まれた抵抗膜52aを含む構成とすることが可能である。図8、図9では、例えば水晶板等のような絶縁部材5aに形成された薄膜サーミスタを示しているが、第1封止部材3の第1主面311に直接的に薄膜サーミスタを形成してもよい。
図8、図9に示すように、薄膜サーミスタは、絶縁部材5aの第1主面511の略全体にわたって形成されている。抵抗膜52aは、上述した抵抗膜52(図2参照)の場合と同様に、絶縁部材5aの第1主面511上に物理的気相成長によって成膜されたPVD膜から形成されている。より詳細には、抵抗膜52aは、反応性DCマグネトロンスパッタリングや、反応性RFマグネトロンスパッタリングによって成膜された反応性スパッタ膜として形成することが可能である。櫛形電極51aは、上述した対向電極51(図2参照)の場合と同様に、抵抗膜52a上に物理的気相成長させて形成された下地膜(例えばTi)と、当該下地膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極膜(例えばAu)とから形成されている。なお、絶縁部材5aの第1主面511上に櫛形電極51aを形成し、この櫛形電極51aの上に抵抗膜52aを形成する構成としてもよい。
薄膜サーミスタの櫛形電極51aは、絶縁部材5aの長辺方向に沿って設けられた基部51bから、多数の枝部51cが平行に延びた構成になっている。そして、一方の櫛形電極51aの枝部51cと、他方の櫛形電極51aの枝部51cとが、互いに接触しないように、所定の隙間で互い違いに並んでいる。この隙間から抵抗膜52aが露出している。つまり、抵抗膜52aが、一対の櫛形電極51a,51aの対向間に設けられている。抵抗膜52aが露出する幅L(図9)は、一対の櫛形電極51a,51aの対向間隔になっている。
抵抗膜52aは、絶縁部材5aのA2方向の端部且つB1方向の端部から、A1方向の端部且つB2方向の端部まで、蛇行した状態で形成されている。また、抵抗膜52aは、一定の幅L(図9)且つ一本道の状態で形成されている。抵抗膜52aの経路長Wは、一対の櫛形電極51a,51a同士が対向する長さの総和になっている。
このような薄膜サーミスタを有する温度センサ部5では、一対の櫛形電極51a,51aに挟まれた抵抗膜52aの経路長Wをより長く確保することができ、これにより、微小なサイズの薄膜サーミスタであっても、より大きなB定数を得ることができる。詳細には、薄膜サーミスタの抵抗値は、抵抗膜52aの幅Lに比例し、また、経路長Wに反比例する。このため、抵抗膜52aの経路長Wをより長くし、また、抵抗膜52aの幅Lをより狭くすることによって、より大きなB定数を有する薄膜サーミスタの抵抗値を低下させることができる。なお、絶縁部材5aの第1主面511の略全体に薄膜サーミスタを形成することによって抵抗膜52aの経路長Wをより長くすることが可能であるが、絶縁部材5aの第1主面511の一部の領域のみに薄膜サーミスタを形成してもよい。
また、図8に示すように、絶縁部材5aのA2方向の端部且つB1方向の端部と、A1方向の端部且つB2方向の端部とには、貫通孔53がそれぞれ設けられている。貫通孔53には、第1主面511と第2主面512とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、貫通孔53の内壁面に沿って形成されている。また、貫通孔53の中央部分は、第1主面511と第2主面512との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。なお、貫通電極は、貫通部分を有するものに限らず、貫通部分のない中実の状態で形成されていてもよい。
図8に示す貫通孔53の貫通電極は、図10に示すように、温度センサ部5の絶縁部材5aを、第1封止部材3の第1主面311上に搭載する場合の電気的接続に利用される。つまり、図10に示す変形例1では、第1封止部材3の第1主面311に薄膜サーミスタを直接的に形成するのではなく、第1封止部材3の第1主面311と薄膜サーミスタとの間に、絶縁部材5aが介在されている。絶縁部材5aを第1封止部材3に搭載した状態では、図8のA1及びA2方向は、図2、図3のA1及びA2方向に一致する。
具体的には、温度センサ部5の絶縁部材5aと、第1封止部材3との接合が、上述した第1封止部材3と水晶振動板2との接合(図1参照)の場合と同様に、拡散接合(Au−Au接合)にて行われる。第1封止部材3の第1主面311に形成された接続用接合パターンと、絶縁部材5aの第2主面512に形成された接続用接合パターンとが、重ね合わせられた状態で拡散接合される。接続用接合パターン同士の接合により、温度センサ部5の櫛形電極51a,51a及び外部電極端子43a,43bの電気的導通が得られるようになっている。温度センサ部5の櫛形電極51a,51aは、それぞれ貫通孔53内の貫通電極、絶縁部材5aの第2主面512の接続用接合パターンと第1封止部材3の第1主面311の接続用接合パターンとの接合部、第3貫通孔322内の貫通電極、接続用接合パターン34と接続用接合パターン253との接合部、第1貫通孔261内の貫通電極、接続用接合パターン253と接続用接合パターン45との接合部、及び第6貫通孔44内の貫通電極を順に経由して、外部電極端子43a,43bに接続される。なお、絶縁部材5aと、第1封止部材3との接合を、ろう材を用いた接合としてもよい。
この変形例1によれば、第1封止部材3と温度センサ部5の薄膜サーミスタとの間に絶縁部材5aが介在していることによって、絶縁部材5aを介した電気伝導が薄膜サーミスタの特性に影響を及ぼすことを抑制できる。つまり、温度センサ部5の薄膜サーミスタを成膜する基材として、絶縁部材5aを好適に用いることが可能である。なお、絶縁部材5aを水晶板とすることによって、第1封止部材3、水晶振動板2、及び第2封止部材4と、絶縁部材5aとが同一の材質になり、温度変化に対する歪を低減できる。これにより、温度変化に伴う水晶振動子101全体の歪を緩和することができる。
ここで、温度センサ部5の抵抗値を低減する観点から、温度センサ部5は、並列に接続された複数の薄膜サーミスタを備えていることが好ましい。図11、図12に、3つの薄膜サーミスタが並列に接続された変形例を示している。図11に示す変形例2では、第1封止部材3の第1主面311上に、温度センサ部5の3つの絶縁部材5aが搭載されている。一方、図12に示す変形例3では、第1封止部材3の第1主面311上に、温度センサ部5の2つの絶縁部材5aが搭載されている。なお、薄膜サーミスタの数は、2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
具体的には、図11に示す変形例2では、上述した変形例1の絶縁部材5a(図10参照)と同様の構成の絶縁部材5aが3つ設けられており、各絶縁部材5aの第1主面511に薄膜サーミスタが成膜されている。温度センサ部5の絶縁部材5aと、第1封止部材3との接合は、上述した変形例1の場合と同様に、拡散接合(Au−Au接合)にて行われる。同様に、温度センサ部5の絶縁部材5a同士の接合も、拡散接合(Au−Au接合)にて行われる。そして、3つの絶縁部材5aにそれぞれ形成された薄膜サーミスタが、並列に接続されている。これにより、温度センサ部5の合成抵抗値を低下させることができ、温度センサ部5の抵抗値を実用的なレベルまで低下させることができる。
図12に示す変形例3では、第1封止部材3の第1主面311上に搭載された絶縁部材5bの第1主面511には、凹部54が形成されており、凹部54の底面513に薄膜サーミスタが成膜されている。また、凹部54の内壁面には、薄膜サーミスタまで延びる壁面電極55が形成されている。このような絶縁部材5bの上に、更に、絶縁部材5cが搭載されている。絶縁部材5cには、第1主面511及び第2主面512の両主面に、薄膜サーミスタが形成されている。この変形例3においても、温度センサ部5の絶縁部材5bと、第1封止部材3との接合は、上述した変形例1の場合と同様に、拡散接合(Au−Au接合)にて行われる。同様に、温度センサ部5の絶縁部材5bと絶縁部材5cの接合も、拡散接合(Au−Au接合)にて行われる。そして、2つの絶縁部材5b,5cに形成された合計3つの薄膜サーミスタが、並列に接続されている。これにより、温度センサ部5の合成抵抗値を低下させることができ、温度センサ部5の抵抗値を実用的なレベルまで低下させることができる。また、変形例3では、変形例2に比べて、絶縁部材の数を1つ減らすことができ、水晶振動子101のパッケージ12の低背化に貢献できる。
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記実施形態では、第1封止部材3の第1主面311に、薄膜サーミスタを有する温度センサ部5が設けられたが、これ以外の箇所に温度センサ部5を設ける構成としてもよい。つまり、第1封止部材3の両主面311,312及び第2封止部材4の両主面411,412のうち、少なくとも1つの主面に、薄膜サーミスタを有する温度センサ部5が設けられていればよい。この場合、第1封止部材3の両主面311,312及び第2封止部材4の両主面411,412のうち、1つの主面のみに温度センサ部5を設けてもよいし、あるいは、2つ以上の主面に温度センサ部5を設けてもよい。例えば、第1封止部材3の第1主面311と、第2封止部材4の第2主面412とに、温度センサ部5をそれぞれ設ける構成としてもよい。
そして、第1封止部材3の第2主面312または第2封止部材4の第1主面411に温度センサ部5が設けられた構成では、第1封止部材3及び第2封止部材4によって振動部22を気密封止する内部空間13側に温度センサ部5が配置されるので、温度センサ付きの水晶振動子101のパッケージ12の低背化を図ることができる。また、温度センサ部5が振動部22と同じ内部空間13内に設けられるため、より振動部22の温度に近い温度を検出でき、温度センサ部5による温度検出の精度向上を図ることができる。
上記実施形態において、薄膜サーミスタを有する温度センサ部5に、並列に接続された抵抗体を備える構成としてもよい。抵抗体の数は、1つであってもよく、あるいは複数であってもよい。抵抗体を設ける箇所は、特に限定されず、例えば、第2封止部材4の第2主面412に設ける構成としてもよい。このような抵抗体を設けることによって、温度センサ部5の合成抵抗値を低下させることができる。
上記実施形態では、励振電極用外部端子と第1励振電極221、第2励振電極222との間の励振電極用電気的経路が、第1封止部材3の第1主面311に設けられた電極パターン37を経由する構成としたが、励振電極用電気的経路は、第1封止部材3の第1主面311を経由しない構成であってもよい。この場合、振動部22を封止する封止部を構成する振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252等の内側に、言い換えれば、平面視で内部空間13の内方に、励振電極用電気的経路を構成する貫通孔を形成することが可能である。
上記実施形態では、水晶振動板としてATカット水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ATカット水晶以外の水晶を用いてもよい。また、第1封止部材3及び第2封止部材4としてATカット水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ATカット水晶以外の水晶や、水晶以外の脆性材料(例えばガラス等)を用いてもよい。また、絶縁部材として水晶板を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばガラス板等を用いてもよい。
以上では、本発明を水晶振動子に適用した場合について説明したが、水晶振動子以外の圧電振動デバイス(例えば水晶発振器)にも本発明を適用することが可能である。