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JP6747291B2 - ニッケルマンガン複合水酸化物粒子およびその製造方法 - Google Patents

ニッケルマンガン複合水酸化物粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質の前駆体である、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子およびその製造方法に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高エネルギ密度を有する小型で軽量な二次電池に対する要求が高まっている。また、ハイブリット自動車をはじめとする電気自動車の電源として、高出力の二次電池の開発が強く望まれている。
このような要求を満たす二次電池として、非水系電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池がある。このリチウムイオン二次電池は、負極、正極、電解液などにより構成され、その負極および正極の材料として用いられる活物質には、リチウムを脱離および挿入することが可能な材料が使用される。
リチウムイオン二次電池については、現在、研究開発が盛んに行われているところであるが、その中でも、層状またはスピネル型のリチウム遷移金属複合酸化物粒子からなる正極活物質を正極材料として用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギ密度を有する材料として実用化が進められている。
このような正極活物質として、現在、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)、埋蔵量の少ないコバルトよりも安価であるニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)、正極材料として広く使われているマンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.52)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/32)などのリチウム遷移金属複合酸化物が提案されている。
これらの正極活物質の中でも、正極材料として、コバルトを用いずに熱安定性に優れかつ高容量である、リチウムニッケルマンガン複合酸化物、あるいは、サイクル特性が良好で、低抵抗で高出力を取り出すことが可能である、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物が、現在、注目を集めている。
このようなリチウムイオン二次電池が良好な性能、具体的には、高サイクル特性、低抵抗、および高出力であるという電池特性を得るためには、正極活物質として用いるリチウム遷移金属複合酸化物を構成する粒子の平均粒径、粒度分布、比表面積、および結晶子径などの粉体特性やその結晶性などを厳密に制御することが要求される。
正極活物質の製造方法として、さまざまな方法が提案されている。その中でも、晶析反応により得られる遷移金属複合水酸化物質粒子を正極活物質の前駆体として用いる方法は、晶析条件を適切に制御することにより、原子レベルで均一な組成を有し、かつ、粉体特性に優れた正極活物質を得ることができるという利点がある。
また、リチウム遷移金属複合酸化物粒子に含有される不純物成分は、電池特性の低下を引き起こす可能性があるため、上述した粉体特性や結晶性と同様に、製造上の重要な管理項目となる。すなわち、正極活物質の前駆体となる遷移金属複合水酸化物粒子に含有される不純物量を低減させて、その最適化を図ることが必要である。
特開2013−171743号公報および特開2013−171744号公報には、晶析反応により遷移金属複合水酸化物粒子を得るとともに、得られた遷移金属複合水酸化物粒子を、濾過した後または濾過する前に、遠心分離機や吸引濾過機などを用いて洗浄することにより、この遷移金属複合水酸化物粒子に含まれる余剰の塩基やアンモニアを除去することが記載されている。
このような晶析反応を用いた製造方法においては、中和剤として安価な水酸化ナトリウム水溶液が用いられている。このため、晶析反応により得られた遷移金属複合水酸化物粒子には、水酸化ナトリウム水溶液に起因するナトリウムが不純物として混入する。このようなナトリウムは、上述のような多量の水を用いた長時間の洗浄により、ある程度除去することが可能である。しかしながら、粒子中に様々な状態で含まれるナトリウムのすべてを十分に除去することは困難である。
ところで、国際公開第WO2012/131881号公報には、核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃でのpH値が10.5〜12.0となるように制御するとともに、粒子成長工程の開始時から粒子成長工程の全体に対して0%〜40%の範囲で酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の酸素と不活性ガスの混合雰囲気に切り替えて、前記核を成長させる粒子成長工程とからなる晶析工程により、微細一次粒子からなる中心部を有し、この中心部の外側に前記微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部を有する、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を、工業規模の量産工程により得ることが開示されている。
このような構造のニッケルマンガン複合水酸化物粒子を前駆体として用いることにより、凝集した一次粒子が焼結している外殻部と、その内側に存在する中空部とからなる中空構造を備えた、粉体特性に優れた正極活物質が得られる。
ただし、このような構造のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の場合、単に得られたニッケルマンガン複合水酸化物粒子を洗浄することのみによっては、特に微細一次粒子からなる中心部に含有されているナトリウムを除去することがきわめて困難である。
このような工業規模の量産工程において、晶析反応により得られた遷移金属複合水酸化物粒子を洗浄した場合でも、この遷移金属複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いた二次電池において、粒子中のナトリウムに起因して充放電容量や出力特性などの電池特性の低下やばらつきが生じている。このように、非水系電解質二次電池の分野では、二次電池の電池特性に影響を及ぼす、正極活物質中のナトリウムの存在が、大きな問題となっている。
特開2013−171743号公報 特開2013−171744号公報 国際公開第WO2012/131881号公報
本発明は、特に、工業規模の量産において、電池特性の低下やばらつきが抑制された非水系電解質二次電池を製造可能な正極活物質とその前駆体である遷移金属複合水酸化物粒子、特に、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を提供することを目的とする。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法は、中和剤として水酸化ナトリウムを用いた晶析反応により、一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表されるニッケルマンガン複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る晶析工程と、前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数を2.4以下に制御した状態で、該ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を洗浄する洗浄工程と、を備えることを特徴とする。
前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記スラリーを、酸素分圧を10Pa以下に制御した非酸化性雰囲気中に保持することが好ましい。
代替的または追加的に、前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記スラリーを、液温25℃基準でのpH値を10.5〜13.0の範囲に制御した状態で保持することが好ましい。
なお、前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記pH値を制御しつつ、前記スラリーを大気雰囲気中で保持する場合には、保持時間を10時間以下とすることが好ましい。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法は、晶析反応によって得られる、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子によって構成されたニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造に適用されるが、特に、前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子が、微細一次粒子からなる中心部を有し、かつ、該中心部の外側に、前記微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部を有する二次粒子から構成されるニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造に、好適に適用される。この場合、具体的には、前記晶析工程を、核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃でのpH値が10.5〜12.0となるように制御するとともに、粒子成長工程の開始時から粒子成長工程の全体に対して0%〜40%の範囲で酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の酸素と不活性ガスの混合雰囲気に切り替えて、前記核を成長させる粒子成長工程と、により構成する。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子は、一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、かつ、アルカリ金属の含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする。
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子は、微細一次粒子からなる中心部を有し、かつ、該中心部の外側に、前記微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部を有する二次粒子により構成されることが好ましい。
なお、本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子は、一般式(B):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.6、0.2≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.02、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表される組成を有することが好ましい。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を前駆体とするリチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子からなることを特徴とする。
本発明によれば、特に、工業規模の量産において、中和剤として安価な水酸化ナトリウムを用いた晶析反応により、構成金属元素としてマンガンを含む、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を得た場合でも、そのアルカリ金属の含有量、特にナトリウム含有量を低減させることができる。このようなニッケルマンガン複合水酸化物粒子を前駆体として得られる非水系電解質二次電池用正極活物質では、アルカリ金属の含有量が少ないという粉体特性を継承するため、この正極活物質を正極材料として用いることにより、アルカリ金属の存在に起因する電池特性の低下やばらつきが抑制された非水系電解質二次電池が提供される。このため、本発明の工業的意義はきわめて大きい。
本発明者らは、上述した問題に鑑みて、遷移金属複合水酸化物粒子、特に、構成金属元素としてマンガンを含む、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いて二次電池を構成した場合に、その電池特性の低下やばらつきが生じる原因について鋭意研究を重ねた。
その結果、洗浄時のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の酸化状態がアルカリ金属、特にナトリウムの除去に影響を及ぼすとの知見を得て、本発明に至ったものである。
1.ニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法は、中和剤として水酸化ナトリウムを用いた晶析反応により、一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表されるニッケルマンガン複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る晶析工程と、前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数を2.4以下に制御した状態で、該ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を洗浄する洗浄工程と、を備えることを特徴とする。
晶析反応によって得られるニッケルマンガン複合水酸化物粒子(以下、単に「複合水酸化物粒子」という)は、通常、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子から構成される。晶析時に一次粒子表面に付着したアルカリ金属塩は、晶析後の水洗によって大部分が除去される。しかしながら、不純物として含有されるアルカリ金属は、一次粒子表面に付着したアルカリ金属塩のみならず、一部は複合水酸化物粒子の結晶中に取り込まれた状態で存在する。このようなアルカリ金属は、晶析後の水洗で除去することが困難であり、結晶中に取り込まれるアルカリ金属が増加すると、不純物としてのアルカリ金属の含有量が増加する。
本発明者は、詳細は不明であるが、複合水酸化物粒子中のマンガンの酸化に伴って、複合水酸化物粒子の結晶中にアルカリ金属、特にナトリウムが取り込まれるとの知見を得た。すなわち、複合水酸化物粒子中のマンガンは酸化しやすく、晶析反応により得られた複合水酸化物粒子が、酸素の存在する雰囲気中に置かれると、複合水酸化物粒子が酸化されるに伴って、特にマンガンが酸化される程度が大きくなる。このようにマンガンが酸化される程度が大きくなると、これに伴って、結晶中に取り込まれるアルカリ金属の含有量が多くなる。このように結晶中に取り込まれてしまったアルカリ金属については、晶析工程後に水洗を施したとしても、その除去はきわめて困難となる。
したがって、あらかじめ複合水酸化物粒子の酸化の程度を制御することにより、具体的には、洗浄工程開始時における複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数を2.4以下に制御することによって、前記結晶中に取り込まれるアルカリ金属を抑制することが可能となる。
以下、本発明の複合水酸化物粒子の製造方法について、(1)晶析工程と、(2)晶析工程終了から洗浄工程開始まで、および、(3)洗浄工程とに分けて、詳細に説明する。
(1)晶析工程
晶析工程は、晶析反応により、複合水酸化物粒子を得る工程である。より具体的には、主要金属元素であるニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)、もしくは、ニッケル、マンガン、およびコバルト(Co)と、添加元素Mとを含む混合水溶液に、中和剤としての水酸化ナトリウム水溶液と、アンモニア水などの錯化剤とを供給することにより反応水溶液を形成し、複合水酸化物粒子を晶析させ、この複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る工程である。
[晶析条件]
本発明において、晶析工程における条件は特に制限されることなく、目的とする複合水酸化物粒子の組成、粒子構造または粉体特性などに応じて適宜選択される。
一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表される複合水酸化物粒子を得る場合、複合水酸化物粒子の組成と同様の組成となるように金属化合物の割合を調整して、これらの金属化合物を水に溶解させることにより、混合水溶液を作製する。
また、晶析工程を、反応水溶液のpH(液温25℃基準でのpH値)を制御することにより、主として核生成を行う核生成工程と、主として核生成工程で生成した核を粒子として成長させる粒子成長工程とに分けることが好ましい。このような工程により、原子レベルで均一な組成を有し、かつ、一次粒子が凝集することより得られた二次粒子から構成され、粒度分布が狭いといった粉体特性に優れた複合水酸化物粒子が得られる。
特に、微細一次粒子からなる中心部と、中心部の外側に形成され、前記微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部とにより構成された粒子構造を備える複合水酸化物粒子を得ようとする場合、たとえば、国際公開第WO2012/131881号公報に記載されているように、核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃でのpH値が10.5〜12.0となるように制御するとともに、粒子成長工程の開始時から粒子成長工程の全体に対して0%〜40%の範囲で酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の酸素と不活性ガスの混合雰囲気に切り替えて、前記核を成長させる粒子成長工程とにより、晶析工程を構成する。
ただし、晶析工程において、晶析反応中の反応場(反応水溶液中)を含む反応槽内の雰囲気(以下、「反応雰囲気」という)は、酸化性雰囲気を選択する必要がある場合を除き、非酸化性雰囲気とすることが好ましく、窒素雰囲気とすることがより好ましい。具体的には、反応雰囲気中の酸素分圧を1013Pa以下とすることが好ましく、1000Pa以下とすることがより好ましく、990Pa以下とすることがさらに好ましい。ただし、本発明では、晶析終了から洗浄開始までの間で、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を含むスラリーを、酸素分圧が10Pa以下に制御された非酸化性雰囲気中に保持することが好ましく、このような条件を採用する場合には、晶析工程における非酸化性雰囲気についても、その酸素分圧が10Pa以下となるように調整することも可能である。このような反応雰囲気で晶析工程を行うことにより、晶析反応中におけるマンガンの酸化を抑制して、結晶中に取り込まれるアルカリ金属、特にナトリウムをさらに低減させることが可能となる。
(2)晶析工程終了から洗浄工程開始まで
晶析工程における晶析反応によって得られた複合水酸化物粒子は、洗浄工程に付される。しかしながら、一般的には、複合水酸化物粒子を安定化させるため、スラリー中で保持される。さらに、工業規模の生産においては、晶析工程からの洗浄工程への移行が円滑になされることはなく、通常は、その移行に数時間から24時間を超える時間が必要とされる。
したがって、晶析工程終了後、直ちに洗浄工程に付されることはなく、この間、たとえば、バッチ式晶析法においては、保持されるスラリー中の複合水酸化物粒子の凝集を抑制するため、晶析工程で得られたスラリーは、一定の速度で撹拌される。また、連続晶析法における回収では、このスラリーを別途用意した槽に回収した上で、スラリーは一定の速度で撹拌しながら保持される。
[金属元素の平均価数]
晶析工程終了時点において、晶析反応により得られた複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は、概ね2.00〜2.15の範囲にある。しかしながら、上述の通り、工業規模の量産においては、複合水酸化物粒子は、スラリーの状態で、通常は大気雰囲気中において保持される。また、このスラリーは、複合水酸化物粒子の凝集を防止する観点から、その間は撹拌されながら保持される。大気雰囲気などの酸素が存在する雰囲気中では、複合水酸化物粒子は容易に酸化するため、スラリーの撹拌の程度や大気雰囲気との接触状態にも影響されるが、時間の経過とともに金属元素の平均価数が上昇する。この平均価数が2.4を超えると、複合水酸化物粒子を構成するマンガンの酸化の程度が大きくなり、これに伴って、結晶中に取り込まれるアルカリ金属も多くなる。このような結晶中に取り込まれたアルカリ金属は、晶析後の水洗によっても除去することが困難であり、複合水酸化物粒子中に残存するアルカリ金属の含有量を低減させることができない。
このように、複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数を2.4以下に制御することにより、結晶中に取り込まれるアルカリ金属を抑制して、晶析後の水洗によって主として一次粒子の表面に存在するアルカリ金属を除去する。これにより、具体的には、複合水酸化物粒子に残存するアルカリ金属の含有量、特にナトリウムの含有量を、500質量ppm以下に低減させることが可能となる。
なお、複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数は、複合水酸化物粒子に含まれるニッケル、コバルト、マンガン、および添加元素Mの価数の算術平均値を意味し、複合水酸化物粒子を塩酸にて溶解して得られた溶液を酸化還元滴定することにより求めることができる。
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間において、複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数は、好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.15以下に制御される。
[雰囲気制御]
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間の雰囲気(以下、「保持雰囲気」という)は、非酸化性雰囲気とすることが好ましく、窒素雰囲気とすることがより好ましい。すなわち、保持雰囲気中の酸素分圧を10Pa以下、好ましくは、5Pa以下に制御することが好ましい。保持雰囲気をこのような範囲に制御することにより、晶析反応終了から洗浄工程を開始するまでの時間が長時間、たとえば、12時間以上となった場合であっても、主要金属元素Mの平均価数を2.4以下に維持し続けることができる。一方、保持雰囲気中の酸素分圧が10Paを超えると、晶析反応終了から洗浄工程を開始するまでの時間が長時間、たとえば、12時間以上となった場合に、複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数が、2.4を超えてしまう場合がある。
なお、このような雰囲気制御を行うためには、この間に複合水酸化物粒子もしくは複合水酸化物粒子を含むスラリーが保持される閉鎖空間内に、不活性ガス、好ましくは、窒素ガスを導入することにより、晶析反応終了時の酸素分圧(たとえば、1013Pa以下)から、酸素分圧が10Pa以下となるようにすればよい。あるいは、あらかじめ晶析反応時の雰囲気を、非酸化性雰囲気として、晶析工程終了後も、その非酸化性雰囲気を維持するようにすればよい。さらに、オーバーフローによって複合水酸化物粒子を連続的に固液分離して回収する場合も、複合水酸化物粒子が直接的に雰囲気に接触することから、保持される閉鎖空間内を酸素分圧が10Pa以下の雰囲気に保持することが有効である。
本発明において、保持雰囲気として大気雰囲気(酸素分圧:21273Pa)を選択することもできるが、この場合には、複合水酸化物粒子中の金属元素の平均価数が2.4以下となるように制御する。たとえば、スラリーの状態で大気雰囲気を巻き込ませずに凝集を防止する程度に撹拌して保持する場合、晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの時間を12時間以内、好ましくは10時間以内、より好ましくは8時間以内とする必要がある。大気雰囲気を巻き込むような撹拌では、金属元素の酸化が促進されるため、さらにスラリー状態での保持時間を短縮する必要があり、撹拌条件による金属元素の平均価数を2.4以下に制御可能な保持時間を予備試験などで確認しておけばよい。
工業規模の生産において複合水酸化物粒子を大量に生産する場合には、通常、晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでに長時間を要し、大気雰囲気中では撹拌状態を制御しながら前記金属元素の平均価数を2.4以下に維持することが困難であるため、保持雰囲気を非酸化性雰囲気に維持する方が好ましい。
[スラリーのpH値]
晶析工程で得られた複合水酸化物粒子は、これを含むスラリーのpH値が高いほど酸化が進行しやすくなる。このため、スラリーの液温25℃基準でのpH値を13.0以下とすることが好ましく、12.5以下とすることがより好ましく、12.0以下とすることがさらに好ましい。スラリーのpH値をこのような範囲に制御することにより、複合水酸化物粒子の酸化が抑制され、マンガンの酸化によるアルカリ金属の結晶中への取り込みを低減させることができる。ただし、スラリーのpH値は、液温25℃基準で10.5以上とすることが好ましく、11.0以上とすることがより好ましい。スラリーのpH値の下限値をこのような範囲に制御することにより、スラリー中の複合水酸化物粒子の損傷を抑制することができる。
(3)洗浄工程
上述したように、晶析工程で得られた複合水酸化物粒子は、pH値が高いため、酸素が存在する雰囲気中では、直ちに酸化が進行する。特に、酸素を高濃度で含有する雰囲気中や高温雰囲気中では、酸化速度が速く、複合水酸化物粒子の酸化の程度が急激に増加する。このため、洗浄工程を開始する時点において、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数を2.4以下、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.15以下に制御することが重要である。これにより、洗浄工程に供される複合水酸化物粒子におけるマンガンの酸化が抑制され、マンガンの酸化に伴って結晶中に取り込まれるアルカリ金属の量が低減され、アルカリ金属は一次粒子の表面上に存在するにとどまる。このような複合水酸化物粒子の一次粒子の表面に付着して残存するアルカリ金属は、洗浄によって、十分かつ容易に除去することが可能である。
複合水酸化物粒子の洗浄方法は、特に制限されることはなく、たとえば、この複合水酸化物粒子を含むスラリーに適量の洗浄水を加え、撹拌する方法を採用することができる。この際、洗浄水としては、不純物の混入を防止する観点から、可能な限り不純物の含有量が少ないイオン交換水や蒸留水などの純水を用いることが好ましい。また、洗浄は1回のみ行うよりも、複数回に分けて行うことが好ましい。このほか、フィルタープレスなどを用いて複合水酸化物粒子を洗浄することも可能である。さらに、スラリーを濾過した後または濾過する前に、遠心分離機や吸引濾過機などを用いて洗浄することもできる。いずれの方法を採用する場合も、使用する装置の特性や洗浄する複合水酸化物粒子の量などに応じて、洗浄条件を適宜調整することが必要となる。
2.遷移金属複合水酸化物粒子
本発明の複合水酸化物粒子は、上述した本発明の製造方法により得られ、一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、かつ、アルカリ金属の含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする。なお、本発明の複合水酸化物粒子は、洗浄工程終了時点では、金属元素の平均価数が2.4以下の範囲にあるが、その後は、経時的に酸化が進行するため、必ずしも平均価数がこの範囲にあるわけではない。
(1)組成
[主要金属元素]
本発明の複合水酸化物粒子は、主要金属元素として、少なくとも、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とを含み、好ましくは、ニッケル、マンガン、およびコバルト(Co)を含む。本発明は、マンガンの組成を示す、一般式(A)中のyが0.1以上0.55以下となる、マンガンを含む複合水酸化物粒子に対して好適に適用することが可能である。
ニッケルは、電池容量の向上に寄与する元素である。このため、金属元素の合計原子数に対するニッケルの原子数の比(Ni/全金属元素)は、好ましくは0.3〜0.7、より好ましくは0.3〜0.6、さらに好ましくは0.3〜0.5とする。Ni/全金属元素の値が0.3未満では、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いた二次電池が高容量なものとならない。一方、Ni/全金属元素の値が0.7を超えると、コバルトやマンガンの含有量が減少してしまい、その添加効果を十分に得ることができない。
マンガンは、熱安定性の向上に寄与する元素である。このため、金属元素の合計原子数に対する、マンガンの原子数の比(Mn/全金属元素)は、好ましくは0.1〜0.55、より好ましくは0.2〜0.4、さらに好ましくは0.2〜0.35とする。Mn/全金属元素の値が0.1未満では、熱安定性を十分に向上させることができない。一方、Mn/全金属元素の値が0.55を超えると、高温作動時にマンガンの溶出量が増加し、サイクル特性が低下するおそれがある。
コバルトは、サイクル特性の向上に寄与する元素である。本発明において、コバルトの添加は任意であるが、コバルトを添加する場合、金属元素の合計原子数に対する、コバルトの原子数の比(Co/全金属元素)は、好ましくは0.05〜0.4、より好ましくは0.1〜0.4、さらに好ましくは0.2〜0.35とする。コバルトを添加する場合、Co/全金属元素の値が0.05未満では、その添加効果を十分に得ることができない。一方、Co/全金属元素の値が0.4を超えると、初期放電容量が低下するおそれがある。
[添加元素]
本発明の複合水酸化物粒子は、主要金属元素のほかに、添加元素Mを含有することができる。添加元素Mを含有することで、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いた二次電池の充放電容量や出力特性などを向上させることができる。このような添加元素Mとしては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、およびタングステン(W)の群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
添加元素Mの含有量を示す一般式(A)中のtの値は、0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.02以下である。tの値が0.1を超えると、Redox反応に貢献する金属元素が減少するため、電池容量が低下してしまう。
[水酸基]
本発明の複合水酸化物粒子に含まれる水酸基(OH)の含有量を示す、一般式(A)中のaの値は、晶析工程終了時の複合水酸化物中の金属元素の平均価数によって制御される。すなわち、aは、1×金属元素の平均価数−2と表され、晶析工程終了時の金属元素の平均価数が2.1の場合には、aは0.1である。
[組成の好適例]
本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子は、一般式(B):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.6、0.2≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.02、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表されるものであることが好ましい。
このような組成により、構成金属元素の含有効果および添加効果、すなわち、正極活物質として用いた場合に、サイクル特性がより良好で、低抵抗で高出力が取り出せる正極材料として機能することができる。また、このような組成において、本発明の製造方法による効果が十分に発揮され、アルカリ金属の含有量の抑制による、正極材料として特性の低下を抑制しつつ、その特性の向上を十分に図ることができる。
(2)アルカリ金属の含有量
本発明の複合水酸化物粒子に含まれるアルカリ金属の含有量は、500質量ppm以下であり、好ましくは400質量ppm以下であり、さらに好ましくは270質量ppm以下である。
アルカリ金属は、晶析工程における中和剤として用いられるものであり、工業的には、ナトリウム(Na)やカリウム(K)などが用いられ、得られた複合水酸化物粒子中に不純物として含有される。
複合水酸化物粒子中のアルカリ金属の含有量が多くなると、このような複合水酸化物粒子を前駆体として得られた正極活物質において、電池容量の低下や反応抵抗の増加による出力特性の低下を生じることになる。したがって、複合水酸化物粒子に含まれるアルカリ金属の含有量を500質量ppm以下とすることで、これを前駆体として得られた正極活物質を、電池特性の優れた正極材料として機能させることが可能となる。
特に、中和剤としてナトリウムを用いた場合には、複合水酸化物粒子中にナトリウムが残留して、電池容量や出力特性の低下を生じることになるため、ナトリウムの含有量を500質量ppm以下とする必要があり、400質量ppm以下とすることが好ましく、250質量ppm以下とすることがさらに好ましい。
また、カリウムも電池容量や出力特性を低下させることから、カリウムの含有量を100質量ppm以下とすることが好ましく、50質量ppm以下とすることがより好ましく、20質量ppm以下とすることがさらに好ましい。
(3)粒子構造
本発明の複合水酸化物粒子は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子から構成される限り、その粒子構造が制限されることはない。しかしながら、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を用いた二次電池の出力特性をより向上させるためには、複合水酸化物粒子が、微細一次粒子によって構成される中心部と、中心部の外側に、この微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子によって構成される外殻部とからなる粒子構造を備えることが好ましい。すなわち、このような粒子構造を備えた複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質は中空構造を備えたものとなり、二次電池を構成した場合に電解液との接触面積を十分に確保することができるため、その出力特性を大幅に向上させることが可能となる。
本発明を適用することにより、このような構造の複合水酸化物粒子およびこれを前駆体として得られた正極活物質において、結晶中に含まれるアルカリ金属の含有量を効果的に低減させることが可能となる。
(3)粉体特性
複合水酸化物粒子の粉体特性は、上述した晶析工程における条件によって調整することができる。また、粉体特性は、この複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質に継承されることとなる。すなわち、複合水酸化物粒子の粉体特性は、目的とする正極活物質に要求される粉体特性に応じて、晶析工程における条件を調整することにより制御することが可能である。たとえば、平均粒径が3μm〜20μmの正極活物質を得ようとする場合、その前駆体である複合水酸化物粒子では、平均粒径を3μm〜20μmに制御することが好ましく、3μm〜15μmに制御することがより好ましい。これにより、平均粒径が上述した範囲にある正極活物質を容易に得ることができる。なお、本発明において平均粒径とは、体積基準による平均粒径を意味し、たとえば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
3.非水系電解質二次電池用正極活物質
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」という)は、本発明の製造方法によって得られた、本発明のニッケルマンガン複合水酸化物粒子を前駆体とするリチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子からなることを特徴とする。
具体的には、本発明の正極活物質は、一般式(C):LiuNixMnyCozt 2 (0.95≦u≦1.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなるリチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子により構成され、かつ、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子中のナトリウム含有量が500質量ppm以下である。
上述した一般式(C)において、リチウム(Li)の含有量を示すuの値は、0.95〜1.50、好ましくは1.00〜1.35、より好ましくは1.00〜1.20の範囲に制御される。uの値が0.95未満では、この正極活物質を用いた二次電池の正極抵抗が大きくなるため、電池の出力が低くなってしまう。一方、uの値が1.50を超えると、この正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量が低下してしまう。
なお、本発明の正極活物質の組成は、好ましくは、一般式(D):LiuNixMnyCozt 2 (0.95≦u≦1.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.6、0.2≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.02、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表される。
また、本発明の粒子構造および粉体特性は、本発明の複合酸化物粒子の粒子構造および粉体特性を基本的に継承する。すなわち、本発明の正極活物質は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子から構成される限り、その粒子構造が制限されることはない。ただし、優れた出力特性を備える二次電池を得ようとする場合、正極活物質の粒子構造を中空構造とすることが好ましい。また、本発明の正極活物質の粉体特性は、目的とする二次電池の用途や要求される性能に応じて調整され、特に制限されることはない。高容量の二次電池を得ようとする場合には、正極活物質の平均粒径を、レーザ回折散乱法による体積基準における平均粒径で、3μm〜20μmの範囲に調整することが好ましく、3μm〜15μmの範囲に調整することが好ましい。
本発明の正極活物質の製造方法は、前駆体として、上述した本発明の複合水酸化物粒子を用いること以外、従来技術と同様である。すなわち、本発明の非水系電解質二次電池は、上述した複合水酸化物粒子とリチウム化合物を混合した後(混合工程)、得られたリチウム混合物を焼成する(焼成工程)ことにより得られる。なお、このような正極活物質の製造方法において、上記工程のほかに、必要に応じて、熱処理工程、仮焼工程および解砕工程などを適宜行うことも可能である。
[熱処理工程]
熱処理工程は、複合水酸化物粒子を、酸化性雰囲気中、105℃〜750℃で加熱することで複合水酸化物粒子に含まれる水分を除去し、熱処理粒子とする工程である。ここで、熱処理粒子には、熱処理工程において余剰水分を除去された複合水酸化物粒子のみならず、熱処理工程によって転換された遷移金属複合酸化物粒子(以下、「複合酸化物粒子」という)、または、これらの混合物も含まれる。このような熱処理工程を行うことにより、粒子中に、焼成工程まで残留する水分を一定量まで減少させることができるため、得られる正極活物質中の金属の原子数やリチウムの原子数の割合にばらつきが生じることを防止することができる。
[混合工程]
混合工程は、複合水酸化物粒子または熱処理粒子に、リチウム化合物を混合し、リチウム混合物を得る工程である。リチウム化合物は、特に制限されることはないが、入手のしやすさを考慮すると、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウムまたはこれらの混合物を使用することができる。これらの中でも、取り扱いの容易さや品質の安定性を考慮すると、水酸化リチウム、炭酸リチウムまたはこれらの混合物を使用することが好ましい。
なお、リチウム混合物は、焼成前に十分混合しておくことが好ましい。混合が不十分だと、個々の粒子間でLi/Meがばらつき、十分な電池特性が得られない場合がある。
また、混合には、一般的な混合機を使用することができ、たとえば、シェーカミキサ、Vブレンダ、リボンミキサ、ジュリアミキサ、レーディゲミキサなどを用いることができる。いずれの混合機を使用する場合も、複合水酸化物粒子または熱処理粒子の形状が破壊されない程度に、複合水酸化物粒子または熱処理粒子と、リチウム化合物とを十分に混合すればよい。
[仮焼工程]
リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用する場合には、混合工程後焼成工程前に、リチウム混合物を、焼成温度より低く、かつ、350℃〜800℃、好ましくは450℃〜780℃、すなわち、水酸化リチウムや炭酸リチウムと複合酸化物粒子との反応温度(仮焼温度)で仮焼してもよい。これにより、複合水酸化物粒子内へのリチウムの拡散が促進され、より均一なリチウム複合酸化物粒子を得ることができる。
[焼成工程]
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を、所定温度で焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物粒子(以下、「リチウム複合酸化物粒子」という)からなる正極活物質を合成する工程である。
焼成工程における雰囲気は酸化性雰囲気とするが、酸素濃度が18容量%〜100容量%の雰囲気、すなわち、大気〜酸素気流中で行うことが好ましく、コスト面を考慮すると、空気気流中で行うことがより好ましい。酸素濃度が18容量%未満では、酸化反応が十分に進行せず、正極活物質の結晶性が十分なものとならない場合がある。
一方、焼成温度は、リチウム混合物中の複合水酸化物粒子または熱処理粒子の組成、特に主要金属元素Mの組成比により適宜調整することが必要となる。たとえば、本発明の組成の複合水酸化物粒子を用いる場合、焼成温度は、800℃〜1100℃とすることが好ましく、800℃〜950℃とすることがより好ましい。また、焼成時間を3時間以上とすることが好ましい。このような焼成温度および焼成時間を採用することにより、結晶性の高い正極活物質を得ることができる。
[解砕工程]
焼成工程後の正極活物質における凝集または軽度の焼結を除去するために、これら凝集体または焼結体を解砕して、正極活物質の粉体特性を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく二次粒子を分離させて、凝集体をほぐす操作のことをいう。
解砕の方法としては、公知の手段を用いることができ、たとえば、ピンミルやハンマーミルなどを使用することができる。なお、この際、二次粒子を破壊しないように解砕力を適切な範囲に調整することが好ましい。
4.非水液電解質二次電池
本発明の正極活物質が正極材料として適用される、非水系電解質二次電池は、正極、負極、セパレータ、非水系電解液などの、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。
本発明の正極活物質を正極材料として適用した非水系電解質二次電池では、正極材料を構成する正極活物質中のナトリウムの含有量が低減されており、熱安定性、充放電容量、出力特性などの電池特性の低下が抑制され、かつ、そのばらつきが少ないという特徴を有する。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、この実施形態により限定されることはない。
参考例1)
はじめに、反応槽(60L)に、その容積の1/3の量の水を供給した後、槽内温度を50℃まで加温した。この状態で、反応槽内に窒素を流通し、酸素分圧を5Paに調整した。同時に、イオン交換水に、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、および硫酸マンガンを、モル比でNi:Co:Mn=1:1:1となるように溶解し、2.0mоl/Lの混合水溶液を作製した。
次に、反応槽内の水を撹拌しながら、反応槽内に、上述した混合水溶液と、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液と、25質量%のアンモニア水の供給することで反応水溶液を形成し、複合水酸化物粒子を晶析させた。この際、液温25℃基準でのpH値が11.5、アンモニア濃度が10g/Lに維持されるように、混合水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、およびアンモニア水の供給量を調整した。なお、本参考例では、晶析反応を通じて、反応雰囲気を酸素分圧が5Paの窒素雰囲気に、反応水溶液の温度を50℃に保持した。
晶析反応終了の時点において、得られた複合水酸化物粒子を塩酸で溶解した水溶液に対して酸化還元滴定を行ったところ、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は、2.11であった。
上述のようにして得られた複合水酸化物粒子を含むスラリーを、大気雰囲気(酸素分圧:21273Pa)中で、別途用意した容器に分取した後、保持することなく洗浄した。具体的には、複合水酸化物粒子を含むスラリーを、5C定量濾紙を用いて純水(イオン交換水)で洗浄しながら固液分離する操作を2回繰り返した。このように洗浄および固液分離した複合水酸化物粒子に、120℃で12時間の真空乾燥処理を施すことにより、粉末状の複合水酸化物粒子を得た。
得られた複合水酸化物粒子の組成を、ICP発光分光分析装置(セイコーインスツル株式会社、Plasma Spectrometer SPS3000)を用いて分析した結果、一般式:Ni0.33Mn0.33Co0.334(OH)2.11で表されるものであることが確認された。また、ナトリウム含有量は170質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。さらに、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)を用いた、レーザ回折散乱法による体積基準の平均粒径の測定の結果、平均粒径MVは9.6μmであった。以上の結果を表1に示す。
(実施例2)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを、大気雰囲気(酸素分圧:21273Pa)中で2時間、マグネチックスターラ(アズワン株式会社製、多連式マグネチックスターラHSD−6)を用いて、大気雰囲気を巻き込ませないように、500rpmの回転速度で撹拌しながら保持したこと以外は、参考例1と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.11で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は240質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった
(実施例3)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを4時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.15で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は260質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(実施例4)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを8時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.22で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は280質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(比較例1)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを16時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.41で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は510質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(比較例2)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを24時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.44で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は520質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(比較例3)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを32時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.51で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウムの含有量は520質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(比較例4)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを96時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.66で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は980質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった
(実施例5)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを、窒素雰囲気(酸素分圧:5Pa)を維持した状態で、4時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例2と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.08で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は210質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(実施例6)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを24時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例5と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.07で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は220質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(実施例7)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを32時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例5と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.08で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は220質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
(実施例8)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、複合水酸化物粒子を含むスラリーを96時間、撹拌しながら保持したこと以外は、実施例5と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。上記保持後の酸化還元滴定の結果、複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数は2.08で、水洗後の複合水酸化物粒子中のナトリウム含有量は240質量ppmであり、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
Figure 0006747291
参考例9、実施例10〜12、比較例5〜8、実施例13〜16)
反応槽内の雰囲気を大気雰囲気(酸素分圧:21273Pa)として、反応水溶液のpH値を液温25℃基準で13.0に、アンモニア濃度を15g/Lに維持して、2分30秒間の晶析を行い、核生成を行った(核生成工程)のち、反応水溶液のpH値を液温25℃基準で11.6になるまで、25質量%水酸化ナトリウム水溶液の供給を停止し、その後、その供給を再開して、反応水溶液のpH値を液温25℃基準で11.6に、アンモニア濃度を15g/Lに維持して、30分間の晶析を行い、給液を一旦停止し、反応槽内の雰囲気を窒素雰囲気(酸素分圧;200Pa)となるまで窒素ガスを流通させ、その後、給液を開始し、成長開始から合計で2時間の晶析を行い(粒子成長工程)、粒子成長工程後にさらに窒素ガスを流通させて、雰囲気の酸素分圧を5Paとしたこと以外は、参考例1及び実施例〜4、比較例1〜4、実施例5〜8と同様にして、複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。その測定結果を表2に示す。
(比較例9、実施例17、比較例10、11)
晶析工程終了から洗浄工程を開始するまでの間、スラリーのpH値を25℃基準で13.5としたこと(比較例9)以外は実施例12と同様にして、酸素分圧を10Paとしたこと(実施例17)、酸素分圧を50Paおよび200Paとしたこと(比較例10、11)以外は、実施例16と同様にして、それぞれ複合水酸化物粒子を得るとともに、同様の測定を行った。その測定結果を表2に合わせて示す。
なお、参考例9、実施例10〜12,比較例5〜9,実施例13〜17のいずれにおいても、カリウム含有量は20質量ppm未満であった。
Figure 0006747291
(総合評価)
表1および表2より、洗浄工程の開始時点における複合水酸化物粒子を構成する金属元素の平均価数が大きくなるほど、最終的に得られる複合水酸化物粒子中のアルカリ金属の含有量、特にナトリウム含有量が大きくなることが理解される。特に、平均価数が2.4を超えると、ナトリウム単独でもその含有量が500ppmを超えてしまうことが理解される。
したがって、洗浄工程の開始時点において、金属元素の平均価数を2.4以下に制御した状態で複合水酸化物粒子を洗浄することにより、アルカリ金属、特にナトリウムを十分に除去でき、複合水酸化物粒子中に残存するアルカリ金属の含有量を低減させうることが理解される。
このため、本発明によれば、結晶中に残存するアルカリ金属の含有量が少ない正極活物質を得るための前駆体として複合水酸化物粒子が提供されること、および、本発明の複合水酸化物粒子を前駆体とする正極活物質を正極材料として用いることで、電池特性の低下やばらつきが抑制された二次電池を製造することが可能となることが理解される。

Claims (9)

  1. 中和剤として水酸化ナトリウムを用いた晶析反応により、一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.4、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表されるニッケルマンガン複合水酸化物粒子を含むスラリーを得る晶析工程と、
    前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を洗浄する洗浄工程と、
    を備え、
    前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記スラリーに含まれるニッケルマンガン複合水酸化物粒子中の金属原子の平均価数を2.4以下に制御した状態で、該スラリーを撹拌しながら保持する、
    ことを特徴とするニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記スラリーを、酸素分圧を10Pa以下に制御した非酸化性雰囲気中に保持する、請求項1に記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記スラリーを、液温25℃基準でのpH値を10.5〜13.0の範囲に制御した状態で保持する、請求項1または2に記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記晶析工程終了から前記洗浄工程を開始するまでの間、前記スラリーを、大気雰囲気中で、液温25℃基準でのpH値を10.5〜13.0の範囲に制御するとともに、該大気雰囲気を巻き込まないように撹拌しながら保持し、かつ、該保持時間を10時間以下とする、請求項1に記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
  5. 前記晶析工程を、核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpH値が12.0〜14.0となるように制御して、酸素濃度が1容量%を超える酸化性雰囲気中で核生成を行う核生成工程と、該核生成工程において形成された核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃でのpH値が10.5〜12.0となるように制御するとともに、粒子成長工程の開始時から粒子成長工程の全体に対して0%〜40%の範囲で酸化性雰囲気から酸素濃度1容量%以下の酸素と不活性ガスの混合雰囲気に切り替えて、前記核を成長させる粒子成長工程とにより構成し、前記ニッケルマンガン複合水酸化物粒子を、微細一次粒子からなる中心部を有し、かつ、該中心部の外側に、前記微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子からなる外殻部を有する二次粒子として得る、請求項1〜4のいずれかに記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子の製造方法。
  6. 一般式(A):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表され、微細一次粒子が凝集した中心部を有し、かつ、該中心部の外側に、前記微細一次粒子よりも大きな板状一次粒子が凝集した外殻部を有する二次粒子からなり、および、アルカリ金属の含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする、ニッケルマンガン複合水酸化物粒子。
  7. 一般式(B):NixMnyCozt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.6、0.2≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.02、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表される、請求項6に記載のニッケルマンガン複合水酸化物粒子。
  8. 一般式(C):Li u Ni x Mn y Co z t 2 (0.95≦u≦1.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなるリチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子により構成され、かつ、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子中のナトリウム含有量が500質量ppm以下である、非水系電解質二次電池用正極活物質。
  9. 一般式(D):Li u Ni x Mn y Co z t 2 (0.95≦u≦1.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.6、0.2≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0≦t≦0.02、Mは、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)で表され、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなるリチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子により構成され、かつ、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粒子中のナトリウム含有量が500質量ppm以下である、非水系電解質二次電池用正極活物質。
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