本発明の一実施形態に係る光電変換装置は、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面の側に形成され、第1導電型を有する第1非晶質半導体層が少なくとも1つ形成された第1非晶質半導体部と、前記半導体基板の前記一方の面の側に形成され、かつ前記半導体基板の面内方向において前記第1非晶質半導体部に隣接して形成され、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2非晶質半導体層が少なくとも1つ形成された第2非晶質半導体部と、前記第1非晶質半導体部の上に、互いに離間して配置された複数の第1電極と、前記第2非晶質半導体部の上に、互いに離間して配置された複数の第2電極と、を備え、一の前記第1非晶質半導体層の上に、複数の前記第1電極が配置され、一の前記第2非晶質半導体層の上に、複数の前記第2電極が配置されている(第1の構成)。
第1の構成によれば、基板の一方の面の側に、第1非晶質半導体部と第2非晶質半導体部が面内方向に隣接して形成され、第1非晶質半導体部と第2非晶質半導体部は、少なくとも1つの第1非晶質半導体層と第2非晶質半導体層がそれぞれ形成されている。第1非晶質半導体部の上には、複数の第1電極が互いに離間して配置され、第2非晶質半導体部の上には、複数の第2電極が互いに離間して配置されている。一の第1非晶質半導体層の上には複数の第1電極が配置され、一の第2非晶質半導体層の上には複数の第2電極が配置されている。そのため、一の第1非晶質半導体層と、一の第2非晶質半導体層において、第1電極と第1電極の間や、第2電極と第2電極の間の電極間領域が形成される。電極間領域によって、第1電極と第2電極の自重による応力やこれら電極の内部応力が小さくなるため、電極の応力による半導体基板の反りや撓みを抑制することができる。
第2の構成に係る光電変換装置は、第1の構成において、前記第1非晶質半導体部は、互いに離間して配置された複数の第1非晶質半導体層が形成され、前記複数の第1非晶質半導体層のそれぞれの上に、少なくとも1つの前記第1電極が配置され、前記第2非晶質半導体部は、互いに離間して配置された複数の第2非晶質半導体層が形成され、前記複数の第2非晶質半導体層のそれぞれの上に、少なくとも1つの前記第2電極が配置されていることとしてもよい。
第2の構成によれば、第1非晶質半導体部は複数の第1非晶質半導体層が離間して形成され、第2非晶質半導体部は複数の第2非晶質半導体層が離間して形成されている。そのため、第1非晶質半導体層と第2非晶質半導体層が一つながりに形成される場合と比べ、第1非晶質半導体層と第2非晶質半導体層の応力による半導体基板の反りや撓みが抑制される。
また、第3の構成に係る光電変換装置は、第1の構成において、前記第1非晶質半導体部、及び前記第2非晶質半導体部の少なくとも一方の半導体部は、当該半導体部における第1非晶質半導体層又は第2非晶質半導体層の半導体層において、前記面内方向に沿って形成された第1の溝状部を少なくとも1つ有し、前記第1の溝状部を挟んで隣接する前記半導体層の上面のそれぞれの上に、少なくとも1つの前記第1電極又は前記第2電極が配置されていることとしてもよい。
第3の構成によれば、第1非晶質半導体部と第2非晶質半導体部の少なくとも一方の半導体部における半導体層に第1の溝状部が形成されている。これにより、第1の溝状部における半導体層の膜厚は第1の溝状部以外の領域と比べて薄くなり、当該半導体層の応力が緩和され、当該半導体層の応力による半導体基板の反りや撓みが軽減される。また、第1の溝状部における半導体層の膜厚は薄くなるため、この部分におけるドーパント濃度は他の領域よりも高くなる。その結果、当該半導体層の導電性が高くなり、当該半導体層の第1の溝状部において発生したキャリアの収集効率を向上させることができる。
また、第4の構成に係る光電変換装置は、第3の構成において、さらに、前記半導体基板の前記一方の面と、前記第1非晶質半導体部及び前記第2非晶質半導体部との間に形成された真性非晶質半導体層を備え、前記真性非晶質半導体層は、前記第1の溝状部に対応する位置に第2の溝状部を有することとしてもよい。
第4の構成によれば、真性非晶質半導体層において第1の溝状部に対応する位置に第2の溝状部が形成されている。そのため、真性非晶質半導体層において第2の溝状部が設けられていない場合と比べ、半導体基板の一方の面上の第2の溝状部における膜厚は薄くなり、真性非晶質半導体層の応力が軽減され、半導体基板にかかる応力をさらに抑制することができる。
また、第5の構成に係る光電変換装置は、第1から第4のいずれかの構成において、隣接する前記第1電極と前記第1電極の間、又は、隣接する前記第2電極と前記第2電極の間の距離は500μm以下であることとしてもよい。
第5の構成によれば、第1非晶質半導体部の上における第1電極と第1電極の間や、第2非晶質半導体の上における第2電極と第2電極の間の電極間領域に発生するキャリアの収集効率を向上させることができる。
第6の構成に係る光電変換装置は、第1から第5のいずれかの構成において、前記半導体基板は、前記第1導電型を有し、前記第1非晶質半導体部の上に配置される前記第1電極の数は、前記第2非晶質半導体部の上に配置される前記第2電極の数よりも多いこととしてもよい。
第6の構成によれば、キャリアの消滅を抑制しつつ、電極の応力による半導体基板の反りや撓みを抑制することができる。
第7の構成に係る光電変換装置は、第1から第6のいずれかの構成において、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層の少なくとも一方の半導体層、又は、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の電極における、前記複数の第1電極又は前記複数の第2電極の配列方向の長さは、前記配列方向に直交する方向の長さの300倍以下であることとしてもよい。
第7の構成によれば、半導体基板にかかる応力を緩和し、半導体基板の反りや撓みを抑制することができる。
以下、図面を参照し、本発明の光電変換装置の実施の形態を詳しく説明する。本明細書において、光電変換装置は、光電変換素子、光電変換素子を用いた光電変換モジュール、光電変換モジュールを備えた太陽電池発電システム、を含む。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置の平面を示す模式図である。また、図2は、図1に示す光電変換装置1のA−A断面を示す模式図である。
図1、図2に示すように、光電変換装置1は、シリコン基板101、i型非晶質シリコン層102i、n型非晶質半導体部102n、p型非晶質半導体部102p、電極103、反射防止膜104を備える。
シリコン基板101は、例えば、n型の単結晶シリコン基板である。シリコン基板101の厚さは、例えば、100〜150μmである。
図2に示すように、シリコン基板101の一方(Z軸負方向側)の面を覆うように反射防止膜104が形成されている。反射防止膜104は、例えば、厚さ20nm程度の酸化シリコン膜と、厚さ60nm程度の窒化シリコン膜をこの順に積層したものである。反射防止膜104は、シリコン基板101の表面反射率を低下させ、短絡電流を増加させる。以下の説明において、反射防止膜104が形成された面を受光面と称し、他方(Z軸正方向側)の面を裏面と称する。
また、シリコン基板101の裏面には,i型非晶質半導体層102iが形成されている。i型非晶質半導体層102iは、実質的に真性で、水素を含有する非晶質半導体の膜である。i型非晶質半導体層102iは、例えば、i型非晶質シリコン、i型非晶質シリコンゲルマニウム、i型非晶質ゲルマニウム、i型非晶質シリコンカーバイド、i型非晶質シリコンナイトライド、i型非晶質シリコンオキサイド、i型非晶質シリコンカーボンオキサイド等からなる。i型非晶質半導体層102iの厚さは、例えば、10nm以下である。i型非晶質半導体層102iの膜厚が10nmよりも薄くなるとパッシベーション性は低下するが、i型非晶質半導体層102iの膜厚を厚くすると直列抵抗成分が高くなる。そのため、パッシベーション性及び直列抵抗成分を考慮すると、i型非晶質半導体層102iの膜厚は10nm以下が望ましい。
i型非晶質半導体層102iの上には、p型非晶質半導体部102pとn型非晶質半導体部102nが形成されている。図1に示すように、p型非晶質半導体部102pとn型非晶質半導体部102nは、シリコン基板101上において、Y軸方向に交互に配置されている。
図1に示すように、p型非晶質半導体部102pには、略長方形の形状を有する3つのp型非晶質半導体層1020pが形成されている。また、n型非晶質半導体部102nには、略長方形の形状を有する4つのn型非晶質半導体層1020nが形成されている。なお、p型非晶質半導体部102とn型非晶質半導体部102nは、少なくとも1つのp型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nがそれぞれ形成されていればよく、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nの数はこれに限られない。
図1に示すように、シリコン基板101上において、3つのp型非晶質半導体層1020pと4つのn型非晶質半導体層1020nはそれぞれ、X軸方向に離間して配置されている。また、隣接するn型非晶質半導体層1020nとn型非晶質半導体層1020nの間の位置と、隣接するp型非晶質半導体層1020pとp型非晶質半導体層1020pの間の位置とがX軸方向においてずれている。この例において、隣接するn型非晶質半導体層1020nの間の距離と、隣接するp型非晶質半導体層1020pの間の距離はそれぞれ約2mm以下であり、シリコン基板101で発生するキャリア(電子及び正孔)の拡散長(例えば約2mm)よりも短い。よって、このように構成することにより、キャリアの再結合が抑制され、キャリアの収集効率を向上させることができる。
n型非晶質半導体層1020nは、水素を含有するn型の非晶質半導体層である。n型非晶質半導体層1020nは、例えばリン(P)を不純物として含有する、n型非晶質シリコン、n型非晶質シリコンゲルマニウム、n型非晶質ゲルマニウム、n型非晶質シリコンカーバイド、n型非晶質シリコンナイトライド、n型非晶質シリコンオキサイド、n型非晶質シリコンオキシナイトライド、n型非晶質シリコンカーボンオキサイド等であってもよい。n型非晶質半導体層1020nの厚さは、例えば、5〜20nmである。
p型非晶質半導体層1020pは、水素を含有するp型の非晶質半導体層である。p型非晶質半導体層1020pは、例えばボロン(B)を不純物として含有する、p型非晶質シリコン、p型非晶質シリコンゲルマニウム、p型非晶質ゲルマニウム、p型非晶質シリコンカーバイド、p型非晶質シリコンナイトライド、p型非晶質シリコンオキサイド、p型非晶質シリコンオキシナイトライド、p型非晶質シリコンカーボンオキサイド等であってもよい。p型非晶質半導体層1020pの厚さは、例えば、5〜20nmである。
なお、本明細書において、非晶質半導体には、微結晶相が含まれても良いものとする。微結晶相は、平均粒子径が1〜50nmである結晶を含む。
そして、図1及び図2に示すように、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nのそれぞれの上には、略長方形の形状を有する電極103が形成されている。以下、p型非晶質半導体層102pの上に形成された電極103と、n型非晶質半導体層102nの上に形成された電極103とを区別するときは、p型電極103p及びn型電極103nと表す。
本実施形態では、一のp型非晶質半導体部102pの上に配置されるp型電極103pの数が、当該p型非晶質半導体部102pにおけるp型非晶質半導体層1020pの数以上になるように、各p型非晶質半導体層1020pの上に、p型電極103pが配置されている。
また、同様に、一のn型非晶質半導体部102nの上に配置されるn型電極103nの数が、当該n型非晶質半導体部102nにおけるn型非晶質半導体層1020nの数以上になるように、各n型非晶質半導体層1020nの上に、n型電極103nが配置されている。
つまり、図1の例では、一のp型非晶質半導体部102pにおける3つのp型非晶質半導体層1020pのそれぞれの上には、p型電極103pが2つずつ設けられ、p型非晶質半導体層1020pの数以上のp型電極103pが配置されている。また、一のn型非晶質半導体部102nにおける4つのn型非晶質半導体層1020nのそれぞれの上には、n型電極103nが1又は2つ設けられ、n型非晶質半導体層1020nの数以上のn型電極103nが配置されている。
このように構成することで、p型非晶質半導体部102pの上には、p型電極103pとp型電極103pの間の電極間領域が5つ形成され、n型非晶質半導体部102nの上には、n型電極103nとn型電極103nの間の電極間領域が5つ形成される。電極間領域が多く存在するほど電極103の自重による応力や電極103の内部応力を小さくすることができ、厚みが200μm以下のシリコン基板101を用いた場合でもシリコン基板101の反りや撓みを抑制できる。
また、この例では、p型非晶質半導体部102pにおけるp型非晶質半導体層1020pが分離されて配置され、n型非晶質半導体部102nのn型非晶質半導体層1020nが分離されて配置されている。そのため、p型非晶質半導体層1020pとp型非晶質半導体層1020pの間の領域(以下、分離領域Spと称する)や、n型非晶質半導体層1020nとn型非晶質半導体層1020nの間の領域(以下、分離領域Snと称する)の存在によって、シリコン基板101にかかるp型非晶質半導体層1020p及びn型非晶質半導体層1020nの応力が緩和され、シリコン基板101の反りや撓みがさらに抑制できる。
なお、電極103は、p型非晶質半導体層102p及びn型非晶質半導体層102nのそれぞれの上に配置されていることが好ましい。隣接するp型非晶質半導体部102pとn型非晶質半導体部102nの間のギャップ領域、分離領域Sp、及び分離領域Snに電極103が形成されると、これら領域において、i型非晶質半導体層102iを介してpn接合のリーク電流が増大するからである。
また、図1に示すように、隣接するn型電極103nとp型電極103は、距離Lを隔てて形成されている。また、図2に示すように、一のp型非晶質半導体部102pの上に配置されるp型電極103pはそれぞれ、距離d1を隔てて形成されている。また、一のn型非晶質半導体部102nの上に配置されるn型電極103nはそれぞれ、距離d1を隔てて形成されている。後述する理由により、距離d1は約500μm以下が好ましい。
n型電極103n、p型電極103pは、例えば、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Sn(錫)、Pt(プラチナ)、Au(金)、Ti(チタン)等の金属、ITO等の酸化物導電体膜、又はこれらの金属の合金、又はこれら金属の積層膜で構成されている。n型電極103n及びp型電極103pは、導電率の高い金属により構成されていることが好ましい。n型電極103n及びp型電極103pの厚さは、例えば50nm〜1μm程度である。
本実施形態において、例えば、p型非晶質半導体層1020pは、図3Aに示す断面構造を有していてもよい。以下、この断面構造について具体的に説明する。図3Aに示すように、p型非晶質半導体層1020pは、p型非晶質半導体層1020pの面内方向(幅方向)において、フラット領域FTと、膜厚減少領域TDとを有する。フラット領域FTは、p型非晶質半導体層1020pのうち、最も厚い膜厚を有し、かつ、膜厚がほぼ一定である部分からなる。
フラット領域FTの両端の点をA点とし、膜厚の減少率が第1の減少率から第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点をB点としたとき、膜厚減少領域TDは、p型非晶質半導体層1020pの面内方向においてA点からB点までの領域である。
そして、膜厚減少領域TDは、p型非晶質半導体層1020pの面内方向においてフラット領域FTの両側に配置される。
p型非晶質半導体層1020pが膜厚減少領域TDを有するのは、後述するように、p型非晶質半導体層1020pは、メタルマスクを用い、プラズマCVD法によって形成されるからである。膜厚減少領域TDは、フラット領域FTよりも薄い膜厚を有するので、膜厚減少領域TDのドーパント濃度は、フラット領域FTのドーパント濃度よりも高い。
そして、電極103pは、p型非晶質半導体層1020pのフラット領域FTの全体と膜厚減少領域TDの一部とに接して配置される。
なお、図3Aでは、p型非晶質半導体層1020pを例示しているが、本発明の実施形態において、p型非晶質半導体層1020pおよびn型非晶質半導体層1020nの少なくとも一方が膜厚減少領域を有していればよい。n型非晶質半導体層1020nが図3Aと同様の構造を有する場合、n型電極103nは、n型非晶質半導体層1020nのフラット領域FTの全体と膜厚減少領域TDの一部とに接して配置される。
その結果、キャリア(正孔)がp型非晶質半導体層1020pを介してp型電極103pへ到達するときの抵抗は、i型非晶質半導体層102iの面内方向において一定の膜厚を有するp型非晶質半導体層が形成される場合に比べ低抵抗になる。また、キャリア(電子)がn型非晶質半導体層1020nを介してn型電極103nへ到達するときの抵抗は、i型非晶質半導体層102iの面内方向において一定の膜厚を有するn型非晶質半導体層が形成される場合に比べ低抵抗になる。従って、光電変換装置1の変換効率を向上できる。
なお、p型電極103pは、p型非晶質半導体層1020pの膜厚減少領域TDの全体に接していてもよく、n型電極103nは、n型非晶質半導体層1020nの膜厚減少領域TDの全体に接していてもよい。
また、p型非晶質半導体層1020pは、図3Aに示す断面構造に代えて、例えば、図3Bに示す断面構造を有していてもよい。図3Bを参照して、光電変換装置1は、p型非晶質半導体層1020pに代えて、p型非晶質半導体層1021pを備え、p型電極103pに代えてp型電極1031pを備えていてもよい。
p型非晶質半導体層1021pにおいて、膜厚が最大である点をC点とし、膜厚の減少率が第1の減少率から第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点をD点とする。この場合、膜厚減少領域TDは、p型非晶質半導体層1021pの面内方向においてC点からD点までの領域である。
そして、p型非晶質半導体層1021pは、p型非晶質半導体層1021pの面内方向において2つの膜厚減少領域TDを有する。2つの膜厚減少領域TDは、p型非晶質半導体層1021pの面内方向において相互に接して配置される。
p型電極1031pは、2つの膜厚減少領域TDのうち、一方の膜厚減少領域TDの一部と他方の膜厚減少領域TDの一部とに接して配置される。
また、光電変換装置1は、n型非晶質半導体層1020nに代えて、図3Bに示すp型非晶質半導体層1021pと同じ構造からなるn型非晶質半導体層を備えていてもよい。
このように構成することにより、キャリア(正孔)がp型非晶質半導体層1021pを介してp型電極1031pへ到達するときの抵抗は、i型非晶質半導体層102iの面内方向において一定の膜厚を有するp型非晶質半導体層が形成される場合に比べ低抵抗になる。また、キャリア(電子)がp型非晶質半導体層1021pと同じ構造を有するn型非晶質半導体層を介してn型電極へ到達するときの抵抗は、i型非晶質半導体層102iの面内方向において一定の膜厚を有するn型非晶質半導体層が形成される場合に比べ低抵抗になる。従って、光電変換装置1の変換効率を向上できる。
なお、p型電極1031pは、p型非晶質半導体層1021pと、p型非晶質半導体層1021pと同じ構造を有するn型非晶質半導体層とにおいて、2つの膜厚減少領域TDの全体に接して配置されていてもよい。
また、p型非晶質半導体層1020pは、図3Aに示す断面構造に代えて、例えば、図3Cに示す断面構造を有していてもよい。図3Cを参照して、光電変換装置1は、p型非晶質半導体層1020pに代えてp型非晶質半導体層1022pを備え、p型電極103pに代えて、p型電極1032pを備えていてもよい。
p型非晶質半導体層1022pにおいて、膜厚が最大である点をE点とし、膜厚の減少率が第1の減少率から第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点をF点とし、膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点をG点とする。この場合、膜厚減少領域TD1は、p型非晶質半導体層1022pの面内方向においてE点からF点までの領域であり、膜厚減少領域TD2は、p型非晶質半導体層1022pの面内方向においてE点からG点までの領域である。
よって、p型非晶質半導体層1022pは、p型非晶質半導体層1022pの面内方向において2つの膜厚減少領域TD1と2つの膜厚減少領域TD2とを有する。
2つの膜厚減少領域TD2は、p型非晶質半導体層1022pの面内方向における膜厚分布がG点を通る線に対して対称になるように配置される。2つの膜厚減少領域TD1は、p型非晶質半導体層1022pの面内方向において2つの膜厚減少領域TD2の両側に配置される。
p型電極1032pは、2つの膜厚減少領域TD2の全体と、一方の膜厚減少領域TD1の一部と、他方の膜厚減少領域TD1の一部とに接して配置される。
また、光電変換装置1は、n型非晶質半導体層1020nに代えて、図3Cに示すp型非晶質半導体層1022pと同じ構造からなるn型非晶質半導体層を備えていてもよい。
このように構成することにより、キャリア(電子)がn型非晶質半導体層を介してn型電極103nへ到達するときの抵抗は、i型非晶質半導体層102iの面内方向において一定の膜厚を有するn型非晶質半導体層が形成される場合に比べ低抵抗になる。また、キャリア(正孔)がp型非晶質半導体層1022pを介してp型電極1032pへ到達するときの抵抗は、i型非晶質半導体層102iの面内方向において一定の膜厚を有するn型非晶質半導体層が形成される場合に比べ低抵抗になる。従って、光電変換装置1の変換効率を向上できる。
なお、p型電極1032pは、p型非晶質半導体層1022pと、p型非晶質半導体層1022pと同じ構造を有するn型非晶質半導体層とにおいて、2つの膜厚減少領域TD1の全体と、2つの膜厚減少領域TD2の全体とに接して配置されていてもよい。
このように、光電変換装置1は、膜厚減少領域TD(TD1,TD2)を有するp型非晶質半導体層およびn型非晶質半導体層を備える。そして、この発明の実施の形態においては、膜厚減少領域は、膜厚減少領域TD,TD1,TD2のいずれかからなる。
従って、p型非晶質半導体層またはn型非晶質半導体層の膜厚が最大である点を第1の点とし、p型非晶質半導体層またはn型非晶質半導体層の面内方向において、膜厚の減少率が第1の減少率から第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点、または膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点を第2の点としたとき、膜厚減少領域は、p型非晶質半導体層またはn型非晶質半導体層の面内方向において、第1の点から第2の点までの領域である。
上記の例では、シリコン基板101の表面が平坦である場合について説明したが、実際には、シリコン基板101には、ダメージ層を除去するために行うエッチングの影響等によって、テクスチャが形成されていない面にも1μm程度の凹凸が存在する場合がある。ここで、シリコン基板101の表面に凹凸がある場合の非晶質半導体層の膜厚の測定方法について説明する。
表面に凹凸が形成されているシリコン基板101上に、i型非晶質半導体層102iを形成し、i型非晶質半導体層102iの上に膜厚減少領域を有するn型非晶質半導体層1020n又はp型非晶質半導体層1020pを形成する。そして、走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、そのシリコン基板101の断面写真を撮影する。撮影結果から、i型非晶質半導体層102iとシリコン基板101との界面を容易に確認することができる。図3Dの(a)は、i型非晶質半導体層102iとシリコン基板101の表面との界面Sからn型非晶質半導体層1020n又はp型非晶質半導体層1020pの表面までの膜厚hを測定した結果を表す模式図である。図3Dの(a)に示す各膜厚hをプロットし直すことにより、図3Dの(a)に示す各膜厚hを、図3Dの(b)に示すように表すことができる。つまり、シリコン基板101の表面が略平坦なものとして非晶質半導体層(n型非晶質半導体層、p型非晶質半導体層)の膜厚を特定できる。
また、シリコン基板101の両面にテクスチャが形成されている基板を用いた場合においても、上記と同様の方法でテクスチャ上の膜厚を測定してプロットし直すことで、膜厚減少領域を判断することができる。
なお、シリコンウェハーのテクスチャ構造が形成されていない面は、最大で2μm程度の高低差を有するが、テクスチャ構造が形成された面(最大で数10μmの高低差)に比べると、高低差が非常に小さく、ほぼフラットである。
従って、後述する配線シート等の外部配線とのコンタクトのし易さ、および電極103間の短絡の生じ難さを考慮すると、i型非晶質半導体層102i、n型非晶質半導体層1020nおよびp型非晶質半導体層1020p等は、本来、比較的フラットである裏面(テクスチャ構造が形成されていない面)上に形成されるのが好ましい。しかし、入射光を効率よくシリコン基板101に閉じ込めるためには、シリコン基板101の裏面にテクスチャが形成されることが好ましく、更に、シリコン基板101の裏面にテクスチャ構造を有することで、シリコン基板101の表面積が増加し(1.7倍程度)、コンタクト抵抗を下げることができる。また、シリコン基板101の片面にだけテクスチャ構造を有する場合には、異方性エッチングを行う際、テクスチャを形成しない面を保護する工程が必要となる。一方、シリコン基板101の両面にテクスチャ構造を形成する場合には、シリコン基板101の両面を保護する必要がないので、プロセス工数を低減することができる。
次に光電変換装置1のモジュール化を行う場合の構成について説明する。光電変換装置1をモジュール化する際、光電変換装置1を外部配線回路(以下、配線シート)と電気的に接続する。図4は、本実施形態における配線シートの一部を拡大した模式図である。
配線シート300は、絶縁性基板301の上に、n型用配線材302nと、p型用配線材302pとが形成されている。
絶縁性基板301は、絶縁性の材料であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリイミド等を用いてもよい。絶縁性基板301の膜厚は特に限定されないが、25μm以上、150μm以下程度が好ましい。また、絶縁性基板301は、1層構造でもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。
n型用配線材302nと、p型用配線材302pは、櫛歯形状を有し、所定の間隔を隔てて交互に配置されている。光電変換装置1の裏面に形成されたn型電極103nとp型電極103pは、それぞれ、n型用配線材302n、p型用配線材302pと接合される。絶縁性基板301の表面には、接続用配線(図示略)が形成されている。接続用配線によって、隣接する光電変換装置1のn型用配線材302nとp型用配線材302pとが電気的に接続され、配線シート300上の隣接する光電変換装置1は互いに電気的に接続されている。これにより、光電変換装置1の受光面に光が入射することによって発生した電流を、p型用配線材302p、及びn型用配線材302nを介して外部に取り出すことができる。
n型用配線材302nと、p型用配線材302pは、導電性の材料で構成されていればよく、例えば、Cu、Al、Ag等のいずれかの金属でもよいし、又はこれらいずれかの金属を主成分とする合金等であってもよい。
n型用配線材302nと、p型用配線材302pの膜厚は特に限定されないが、例えば、10μm以上、100μm以下が好ましい。n型用配線材302nと、p型用配線材302pの膜厚が10μmよりも薄くなると配線抵抗が高くなることがある。また、100μmよりも厚くなると、n型用配線材302n及びp型用配線材302pと光電変換装置1とを貼り合せる際に熱をかける必要がある。その結果、100μmよりも厚くなるとn型用配線材302n及びp型用配線材302pと、光電変換装置1のシリコン基板101の熱膨張係数の違いなどにより、配線シート300の反りが大きくなるため、n型用配線材302n及びp型用配線材302pの膜厚は100μm以下がより好ましい。
また、n型用配線材302n及びp型用配線材302pの表面の一部には、ニッケル、金、白金、パラジウム、銀、錫、インジウム、ITOなどの導電性材料が形成されていてもよい。このように構成することで、n型用配線材302n及びp型用配線材302pと光電変換装置1のn型電極103n及びp型電極103pとの電気的接続が良好となり、n型用配線材302n及びp型用配線材302pの耐候性が向上する。n型用配線材302n及びp型用配線材302pは、1層構造でもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。
ここで、上述した電極103間の距離d1が500μm以下であることが好ましい理由を具体的に説明する。
図5Aの(a)は、図5Aの(b)に示すように、p型電極103p間の距離d1が300μmと500μmの光電変換装置のX軸方向に沿ってレーザー光を照射し、それぞれの光電変換装置に生じるレーザー光線誘起電流(LBIC:Laser Beam Induced Current)を測定した結果を示す図である。以下、距離d1=300μmの光電変換装置を光電変換装置A、距離d1=500μmの光電変換装置を光電変換装置Bとする。
図5Aの(a)の実線は、光電変換装置Bの測定結果を示し、破線は、光電変換装置Aの測定結果を示している。図5Aの(a)の横軸は、光電変換装置A、Bの断面のX軸方向の位置を示している。また、縦軸は、光電変換装置A、Bにおけるp型電極103pが形成されている領域のp型非晶質半導体層1020pで生じた電流を100%とし、光電変換装置A、Bのそれぞれの電極間領域Dpa、Dpbにおける電流を規格化した値(%)を示している。
図5Aの(a)における実線及び破線で示すように、電極間領域Dpa、Dpbでは、生成された電流が減少していることが分かる。特に、p型電極103pから離れるほど、電極間領域Dpa、Dpbにおける生成電流は小さくなっている。光電変換装置Bの場合、p型電極103pとp型電極103pの間の略中間の位置における生成電流は約70%近くまで減少している。また、光電変換装置Aの場合には、p型電極103pとp型電極103pの間の略中間の位置における生成電流は約80%近くまで減少している。つまり、電極間領域Dpa、Dpbにおける生成電流の減少率は、p型電極103pからの距離に比例する。
p型非晶質半導体層1020pにおいてp型電極103pが形成されている領域と、p型電極103pが形成されていない領域は、それぞれ、レーザー光が照射されたときは同等の電流が生成される。しかしながら、電極間領域Dpでは、生成されたキャリアがp型電極103pに到達するまでに消滅する割合が大きく、生成したキャリアの収集割合が減少し、電極間領域Dpにおいて生成電流が減少するものと考えられる。
図5Bは、図5Aとは別に、200μm〜700μmの間で距離d1を変えた光電変換装置を作製し、各光電変換装置にレーザー光を照射して上記と同様に生成電流を測定した結果を示している。ここでの光電変換装置は、p型非晶質半導体層1020pのX軸方向の長さが約30mm、p型電極103pのX軸方向の長さが約5mmである。図5Bでは、距離d1が500μmの光電変換装置で、X軸方向の長さが30mmのp型非晶質半導体層1020pにおける生成電流の合計を100%とし、他の光電変換装置のX軸方向の長さ30mmのp型非晶質半導体層1020pの生成電流の合計を規格化している。
図5Bに示す電流値から、距離d1が小さくなるほど、p型非晶質半導体層1020p上のp型電極103pが占める面積が増加し、電極間領域Dpにおける生成キャリアが収集されやすくなることが分かる。また、図5Bに示すように、距離d1=500μmを境に、距離d1が500μmよりも小さい場合の生成電流の減少率よりも、距離d1が500μmよりも大きい場合の生成電流の減少率が大きくなっている。つまり、距離d1=500μmは、生成電流の減少率が変化する変曲点であり、距離d1が500μm以下では、距離d1が500μmより大きい場合よりも生成キャリアが消滅する割合が小さくなる。従って、距離d1を500μm以下にすることで生成キャリアの消滅を低減することができ、変換効率を向上させることができる。より好ましくは、距離d1を400μm以下にすることで、さらに多くのキャリアを収集することが可能となる。
次に、図6A〜6Fを参照し、光電変換装置1の製造方法の一例について説明する。
まず、バルクのシリコンから100〜300μmの厚さのウェハを切り出し、ウェハ表面のダメージ層を除去するためのエッチングと、厚さを調整するためのエッチングとを行う。これらのエッチングされたウェハの片面に保護膜を形成する。保護膜は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン等からなる。保護膜が形成されたウェハを、NaOH、KOH等のアルカリ溶液(例えば、KOH:1〜5wt%、イソプロピルアルコール:1〜10wt%の水溶液)を用いてウェットエッチングを行う。このとき、異方性エッチングによって、保護膜が形成されていない面101aにテクスチャ構造が形成される。エッチング後に保護膜を除去することにより、図6Aに示すシリコン基板101が生成される。
続いて、図6Bに示すように、シリコン基板101の受光面101aに、反射防止膜104を形成する。以下、反射防止膜104は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とを積層した積層構造である場合について説明する。
この場合、まず、シリコン基板101の表面を熱酸化させ、受光面101aに酸化膜を形成する。その後、受光面101aの酸化膜の上に窒化シリコン膜を形成することにより反射防止膜104を形成する。シリコン基板101の酸化は、ウェット処理および熱酸化処理のいずれを用いてもよい。ウェット処理の場合、例えば、シリコン基板101を過酸化水素、硝酸、又はオゾン水等に浸漬し、その後、ドライ雰囲気で800〜1000℃に加熱する。また、熱酸化処理の場合には、例えば、シリコン基板101を酸素又は水蒸気の雰囲気で900〜1000℃に加熱する。窒化シリコン膜の形成は、スパッタ法、EB(Electron Beam)蒸着法、TEOS(TetraEthOxySilane)法等によって行うことができる。なお、シリコン基板101と窒化シリコン膜の間に、i型非晶質半導体層102i及びn型非晶質半導体層1020nを順次形成して挟んでもよいが、この場合には、低温プロセスでスパッタ処理を行う。
次に、シリコン基板101の受光面101aと反対側の裏面に、i型非晶質半導体層102iを形成する。i型非晶質半導体層102iの成膜は、例えば、プラズマCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)法を用いて行う。この場合、プラズマCVD装置が備える反応室に導入される反応ガスは、シランガス、水素ガスである。そして、例えば、シリコン基板101の温度を130〜210℃、水素ガス流量を0〜100sccm、シランガス(SiH4)流量を約40sccm、反応室内の圧力を40〜120Pa、高周波(13.56MHz)電力密度を5〜15mW/cm2とする条件を用いて成膜してもよい。これにより、図6Cに示すように、シリコン基板101の裏面全体に、i型非晶質半導体層102iが形成される。
続いて、i型非晶質半導体層102iの上に、図7に示すメタルマスク500を配置し、p型非晶質半導体層1020pを形成する。メタルマスク500は、p型非晶質半導体層1020pを形成するための複数の開口部501を有する。図7に示すように、複数の開口部501は、X軸方向に離間して配置されるとともに、Y軸方向に一定の間隔を隔てて配置されている。Y軸方向に隣接する開口部501と開口部501の間隔GAは、約2mm以下である。
シリコン基板101で発生するキャリア(電子及び正孔)の拡散長は2mm程度である。p型非晶質半導体部102pの間隔GAがキャリア(電子及び正孔)の拡散長(約2mm)より大きければ、p型非晶質半導体部102pとp型非晶質半導体部102pの間でキャリアが消滅し、光電変換効率が低下する。本実施形態では、間隔GAが2mm以下であるため、キャリアを消滅させず、光電変換効率を向上させることができる。
メタルマスク500は、ステンレス鋼、銅、ニッケル、ニッケルを含む合金(例えば、SUS430、42アロイ、又はインバー材等)、モリブデン等の金属で構成されていてもよい。上記メタルマスク500に代えて、ガラス、セラミック(アルミナ、ジルコニア等)、有機フィルム等で構成されたマスクを用いてもよい。また、シリコン基板をエッチングしたマスクを用いてもよい。また、メタルマスク500の厚さは、例えば50μm〜300μm程度が好ましい。この場合、メタルマスク500が磁力で曲がったり、浮いたりしにくい。
シリコン基板101の熱膨張係数と、原料コストとを考慮するとメタルマスク500は42アロイがより好ましい。メタルマスク500の厚さに関し、製造コストを考慮すると、メタルマスク500を1回で使い捨てることは問題となる。メタルマスク500を何度も使用することによって生産のランニングコストを抑制することができるため、メタルマスク500を再生して多数回使用することが好ましい。この場合、メタルマスク500に付着する成膜物を、弗酸やNaOHを用いて除去する。
p型非晶質半導体層1020pは、例えばプラズマCVD法を用いて形成される。プラズマCVD装置が備える反応室に導入される反応ガスは、シランガス、水素ガス、及び水素希釈されたジボランガス(ジボラン濃度は例えば約2%)である。この場合、水素ガス流量を0〜100sccm、シランガス流量を40sccm、ジボランガス流量を40sccm、シリコン基板101の温度を150〜210℃とし、反応室内の圧力を40〜120Pa、高周波電力密度を5〜15mW/cm2とする条件を用いて成膜してもよい。これにより、図6Cに示すように、i型非晶質半導体層102iの上に、ボロン(B)がドープされたp型非晶質半導体層1020pがY軸方向に離間して形成される。なお、p型非晶質半導体層1020pは、X軸方向にも離間して形成される。
次に、図6Dに示すように、i型非晶質半導体層102iの上に、n型非晶質半導体層1020nを形成する。n型非晶質半導体層1020nは、図8に示すメタルマスク600を半導体基板101の裏面側に配置し、例えば、プラズマCVD法を用いて形成される。メタルマスク600は、n型非晶質半導体層1020nを形成するための複数の開口部601を有する。図8に示すように、複数の開口部601は、X軸方向に離間して配置されるとともに、Y軸方向に一定の間隔を隔てて配置されている。Y軸方向に隣接する開口部601の間隔GBは、約500〜1500μmである。メタルマスク600は、上述したメタルマスク500と同様の材料及び厚さを有するものとしてもよい。
n型非晶質半導体層1020nは、例えば、プラズマCVDを用いて形成される。プラズマCVD装置が備える反応室に導入される反応ガスは、シランガス、水素ガス、及び水素で希釈されたホスフィンガス(ホスフィン濃度は例えば1%)である。この場合、シリコン基板101の温度を例えば約170℃、水素ガス流量を0〜100sccm、シランガス流量を約40sccm、ホスフィンガス流量を約40sccm、反応室内の圧力を約40Pa、高周波電力密度を約8.33mW/cm2とする条件を用いて成膜してもよい。これにより、図6Dに示すように、リンがドープされたn型非晶質半導体層1020nがX軸方向及びY軸方向に離間して形成される。
n型非晶質半導体層1020nとp型非晶質半導体層1020pは、重ならなくてもよいし、n型非晶質半導体層1020nとp型非晶質半導体層1020pの一部が重なってもよい。n型非晶質半導体層1020nとp型非晶質半導体層1020pとが重ならない場合、図6Dに示すように、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nは、間隔Kを隔てて形成される。p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nの間の領域は、i型非晶質半導体層102iによってパッシベーションされているため、シリコン基板101中で発生したキャリアが殆ど消滅しない。
一方、n型非晶質半導体層1020nとp型非晶質半導体層1020pとが一部重なる場合、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nとの間に、これら半導体層が一部重なるオーバーラップ領域が形成される。しかしながら、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nは導電率が低いため、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nとの間で電流は流れず、pn接合の短絡は生じない。
次に、n型非晶質半導体層1020nの形成後、図6Eに示すように、p型非晶質半導体層1020p及びn型非晶質半導体層1020nの上に、p型電極103pとn型電極103nをそれぞれ形成する。
p型電極103pとn型電極103nは、シリコン基板101の上に、図9に示すメタルマスク700を配置し、例えば、蒸着法やスパッタ法によって形成される。メタルマスク700は、n型電極103nを形成するための複数の開口部701nと、p型電極103pを形成するための複数の開口部701pとを有する。開口部701p,701nは、長辺WLは5mm〜40mmの長さを有し、短辺WCは0.3mm〜2mmの長さを有する。短辺WC方向に隣接する電極103と電極103の間隔GC1、つまり、p型電極103pとn型電極103nのギャップ幅Lは、約100〜300μmである。
n型電極103n及びp型電極103pの膜厚は、50nm〜1μmが好ましく、50nm〜500nmがさらに好ましい。電極103が厚くなるとシリコン基板101にかかる応力が強くなり、シリコン基板101の反りの原因となるからである。これにより、光電変換装置1が形成される。
メタルマスク700は、上述のメタルマスク500と同様、金属、セラミック、ガラス、有機物等の材料が用いられる。メタルマスク700に用いられる材料や加工方法によって、メタルマスク700を用いて形成された電極103の端部は、メタルマスク700の開口部701p、701nのように角張った形状になりにくく、以下に示す形状となる場合がある。
図10A〜図10Cは、メタルマスク700を用いてp型非晶質半導体層1020p又はn型非晶質半導体層1020nの上に形成された電極103を上から見た模式図である。図10Aに例示する電極103の端部は、電極103の外側に向かって円弧状に突出するように形成され、丸みを帯びた形状を有する。また、図10Bに例示する電極103の端部は、電極103の内側に向かって円弧状に凹んだ形状を有する。また、図10Cに例示する電極103の端部は、電極103の外側に向かって尖った形状を有する。図10A〜10Cの場合、隣接する電極103の端部の破線枠で示す先端の間の長さが電極間の距離d1となる。このように2つの電極103の間を結ぶ最短距離を電極間距離d1とする。
なお、メタルマスク500、600、700を用いて、p型非晶質半導体層1020p、n型非晶質半導体層1020n、電極103を形成する際、磁石を用いてメタルマスクをシリコン基板101に密着させる。磁石による磁場が強すぎるとメタルマスクが撓み、p型非晶質半導体層1020p、n型非晶質半導体層1020n、電極103を所望する形状に形成することが難しい。
図11は、磁石による磁場の強さと、メタルマスクの開口部の長辺と短辺の長さの比(アスペクト比)と、メタルマスクの撓み量の関係とを示す図である。なお、この例では、材料に42アロイを用い、300μmの厚みを有するメタルマスクを用いている。
図11における曲線Jは、横軸の各磁場の強さで、縦軸の各アスペクト比を有するメタルマスクをシリコン基板101に配置する際、シリコン基板101における所定位置を基準として10μmの範囲内に配置できるか否かの境界を示している。曲線Jより右又は上側の領域Aは、メタルマスクを所定の範囲内に配置できない領域であり、曲線Jより左又は下側の領域Bは、メタルマスクを所定の範囲内に配置できる領域である。つまり、領域Aでは、メタルマスクが受ける磁場の影響が強く、メタルマスクをシリコン基板101の所定範囲内に配置できず、所望の形状のp型非晶質半導体層、n型非晶質半導体層、及び電極を形成することができない。一方、領域Bでは、メタルマスクが受ける磁場の影響が弱く、メタルマスクをシリコン基板101の所定範囲内に配置することができ、所望の形状のp型非晶質半導体層、n型非晶質半導体層、及び電極を形成することができる。
なお、メタルマスクをシリコン基板101の上に配置する際、0.1mT未満の磁場を制御することは難しいため、少なくとも0.1mT以上の磁場を用いることが好ましいが、光電変換装置を量産する上では、1.0mT程度以上の磁場を用いることがより好ましい。従って、0.1mT以上の磁場を用い、一定の精度で所望の形状を得るためには、図11に示すように、メタルマスク500、600、700のアスペクト比は300以下であることが好ましい。従って、これらメタルマスクによって形成されるp型非晶質半導体層1020p、n型非晶質半導体層1020n、及び電極103の長辺と短辺の長さの比(アスペクト比)も300以下となる。
上述した第1実施形態における光電変換装置1は、シリコン基板101の裏面全体に形成されたi型非晶質半導体層102iの上に、複数のn型非晶質半導体層1020nが離間して配置されたn型非晶質半導体部102nと、複数のp型非晶質半導体層1020pが離間して配置されたp型非晶質半導体部102pとが面内方向に交互に形成される。そして、n型非晶質半導体部102n及びp型非晶質半導体部102pのそれぞれの上に、複数のn型電極103nと複数のp型電極103pが配置されており、一のp型非晶質半導体層1020pの上には、複数のp型電極103pが配置され、一のn型非晶質半導体層1020nの上には、複数のn型電極103nが配置されている。これにより、一のp型非晶質半導体層1020pの上に電極間領域Dpが形成され、n型非晶質半導体部102nの上に電極間領域Dnが形成される。そのため、電極間領域Dp、Dnが無い場合、つまり、p型非晶質半導体層1020p及びn型非晶質半導体層1020nの上に一つながりの電極が形成される場合と比べ、電極間領域Dp、Dnによって、電極103の自重による応力や電極103の内部応力が小さくなり、シリコン基板101の厚みが200μm以下であってもシリコン基板101の反りや撓みを低減することができる。
また、p型非晶質半導体部102pとn型非晶質半導体部102nは、それぞれ、複数のp型非晶質半導体層1020pと複数のn型非晶質半導体層1020nが離間して配置され、シリコン基板101上に、p型非晶質半導体層1020pとn型非晶質半導体層1020nの分離領域Sp、Snが形成される。そのため、シリコン基板101上に分離領域Sp、Snが無い場合、つまり、p型非晶質半導体部102pとn型非晶質半導体部102nにおいて、一つながりのp型非晶質半導体層1020p、n型非晶質半導体層1020nがそれぞれ配置されている場合と比べ、分離領域Sp、Snによって、p型非晶質半導体部102pとn型非晶質半導体部102nによる応力が小さくなり、シリコン基板101の反りや撓みをさらに低減することができる。
また、上述した第1実施形態の光電変換装置1において、隣接するp型電極103pの間や、隣接するn型電極103nの間の電極間の距離d1が500μm以下であるため、電極間領域Dp、Dnにおける生成キャリアの収集効率が向上し、変換効率を向上させることができる。
また、上述した第1実施形態の光電変換装置1の製造工程に用いるメタルマスク500、600、700の開口領域の長辺と短辺の長さの比(アスペクト比)は300以下である。そのため、これらメタルマスクを、磁場を用いてシリコン基板101に密着させる際、メタルマスクが磁場の影響によって撓みにくく、一定の精度でメタルマスクをシリコン基板101に密着させることができる。その結果、これらメタルマスクによって、所望の形状のp型非晶質半導体層1020p、n型非晶質半導体層1020n、及び電極103が形成される。
<第2実施形態>
図12Aは、第2実施形態に係る光電変換装置の平面を示す模式図である。また、図12Bは、図12Aに示す光電変換装置1AのC−C断面を示す模式図である。光電変換装置1Aは、第1実施形態の光電変換装置1(図1参照)と以下の点で異なる。
図12A及び図12Bに示すように、光電変換装置1Aは、一つながりのp型非晶質半導体層1120pが形成されたp型非晶質半導体部112pと、一つながりのn型非晶質半導体層1120nが形成されたn型非晶質半導体部112nとを備える。つまり、光電変換装置1Aは、シリコン基板101上に分離領域Sp、Snが形成されていない点で第1実施形態と異なる。
本実施形態に係る光電変換装置1Aは、第1実施形態と同様の製造方法によって形成されるが、図6C、6Dの工程において用いるメタルマスクが第1実施形態と異なる。つまり、p型非晶質半導体層1120pを形成する図6Cの工程において、メタルマスク500に替えて、図13Aに示すメタルマスク510を用いる。メタルマスク510は、p型非晶質半導体層1120pを形成するための複数の開口部511を有する。また、n型非晶質半導体層1120nを形成する図6Dの工程では、メタルマスク600に替えて、図13Bに示すメタルマスク610を用いる。メタルマスク610は、n型非晶質半導体層1120nを形成するための複数の開口部611を有する。なお、この例では、p型非晶質半導体層1120pとn型非晶質半導体層1120nに配置される電極103の数は、第1実施形態と同様であるため、本実施形態では、第1実施形態と同様のメタルマスク700を用いるが、p型非晶質半導体層1120pとn型非晶質半導体層1120nに配置される電極103に応じた数の開口部が設けられたメタルマスクを用いればよい。これらメタルマスク510、610の開口部511、611の長辺と短辺の比(アスペクト比)は、第1実施形態と同様に300以下である。
光電変換装置1Aの場合、光電変換装置1と比べ、シリコン基板101は、n型非晶質半導体部112n及びp型非晶質半導体層112pの応力を受けやすい。しかしながら、光電変換装置1Aにおいても、一のp型非晶質半導体層1120pの上には、複数のp型電極103pが形成され、n型非晶質半導体部112nの上には、一のn型非晶質半導体層1120nの上には、複数のn型電極103nが形成されている。なお、光電変換装置1Aにおける電極間の距離d1は500μm以下である。従って、光電変換装置1Aにおいても、p型非晶質半導体112p及びn型非晶質半導体部112nのそれぞれの上に、電極103の数に応じた電極間領域Dp、Dnが形成される。そのため、電極間領域Dp、Dnによって、電極103の自重による応力や電極103の内部応力が緩和され、電極103の応力によるシリコン基板101の反りや撓みを低減することができる。
また、光電変換装置1Aは、分離領域Sp、Snが無く、全ての電極間領域Dp、Dnにp型非晶質半導体層1120p又はn型非晶質半導体層1120nが形成されている。そのため、シリコン基板101のパッシベーション性が損なわれず、電極間領域Dp、Dnにおける生成キャリアが消滅しにくいので、変換効率を向上させることができる。
<第3実施形態>
図14Aは、第3実施形態に係る光電変換装置の平面を示す模式図である。また、図14Bは、図14Aに示す光電変換装置1AのD−D断面を示す模式図である。
図14Aに示すように、光電変換装置1Bは、p型非晶質半導体部112pとn型非晶質半導体部112nの上に配置されている電極103の数が異なる点で第2実施形態の光電変換装置1A(図12A)と異なる。
つまり、光電変換装置1Bは、n型非晶質半導体部112nの上に配置されるn型電極103nの数がp型非晶質半導体部112pの上に配置されるp型電極103pの数よりも多い。そのため、n型非晶質半導体部112nに形成される電極間領域Dnは、p型非晶質半導体部112pに形成される電極間領域Dpよりも多い。この例において、シリコン基板101は、n型の単結晶シリコン基板が用いられているため、光によって生成される電子は多数キャリアである。そのため、このように構成した場合であっても、キャリアの消滅の影響が小さく、変換効率が低下しにくい。
また、光電変換装置1Bでは、光電変換装置1Aに比べてp型非晶質半導体部112pにおける電極間領域Dpが少ないが、n型非晶質半導体部112nにおける電極間領域Dnによって、シリコン基板101にかかる電極103による応力が緩和され、シリコン基板101の反りや撓みを低減することができる。
なお、光電変換装置1Bの電極103を形成する工程では、上述したメタルマスク710に替えて、図15に示すメタルマスク710を用いる。メタルマスク710は、p型電極103pを形成するための複数の開口部711pと、n型電極103nを形成するための複数の開口部711nとを有する。メタルマスク710の開口部711p、711nの長辺と短辺の比(アスペクト比)は、第1実施形態と同様に300以下である。
<第4実施形態>
図16Aは、第4実施形態における光電変換装置の平面を示す模式図である。また、図16Bは、図16Aに示す光電変換装置1CのE−E断面を示す模式図である。図16A及び16Bにおいて、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる構成について説明する。
本実施形態では、図16A及び図16Bに示すように、p型非晶質半導体部122pにおけるp型非晶質半導体層1220pと、n型非晶質半導体部122nにおけるn型非晶質半導体層1220nにおいて、Y軸方向に沿って溝状に形成された溝状部1221を複数設けられている点で第1実施形態の光電変換装置1と異なる。
図16Bに示すように、p型非晶質半導体層1220pにおいて、溝状部1221の膜厚T1は、溝状部1221が形成されていない他の領域の膜厚T2の50%程度の厚みを有する。図示を省略するが、n型非晶質半導体層1220nにおける溝状部1221の膜厚も、溝状部1221が形成されていない他の領域の膜厚の50%程度の厚みを有する。溝状部1221における膜厚は他の領域よりも薄いため、溝状部1221が設けられていない一つながりのp型非晶質半導体層1220p、n型非晶質半導体層1220nの場合と比べ、シリコン基板101にかかるp型非晶質半導体層1220pとn型非晶質半導体層1220nの応力が軽減され、シリコン基板101の反りや撓みが抑制される。
本実施形態に係る光電変換装置1Cは、第1実施形態と同様の製造工程を行うことによって形成されるが、図6C及び図6Dに示すp型非晶質半導体層1220p及びn型非晶質半導体層1220nを形成する工程が第1実施形態と異なる。本実施形態では、図6Cの工程と同様、i型非晶質半導体層102iを形成した後、図17の(a)に示すメタルマスク520を用い、プラズマCVD法によってp型非晶質半導体層1220pを形成する。図17の(b)は、メタルマスク520のF−F断面を示す模式図である。
図17の(a)(b)に示すように、メタルマスク520は、p型非晶質半導体層1220pを形成するための開口領域521を有する。開口領域521は、溝状部1221以外のp型非晶質半導体層1220pを形成するための開口部521aと、溝状部1221を形成するための凸部521bとを有する。
凸部521bは、深さ(Z軸方向の長さ)が、開口部521aのZ軸方向の長さの約1/2のとなるようにハーフエッチングされている。凸部521bのX軸方向の長さは200μm以上、600μm以下であり、Y軸方向の長さは200μm以上、1500μm以下である。
このように、凸部521bが設けられることにより、開口領域521の長辺と短辺の長さの比(アスペクト比)を小さくすることができる。その結果、メタルマスク520の機械的強度が増し、メタルマスクの洗浄や加熱を行った場合でも、メタルマスク520の反りを抑制することができる。
また、プラズマCVD法を用いてp型非晶質半導体層1220pを成膜することにより、ハーフエッチングされた凸部521bの下側に反応ガスが回り込み、開口部521aに成膜されるp型非晶質半導体層1220pよりも膜厚が薄いp型非晶質半導体層1220pが凸部521bの下側に成膜される。なお、凸部521bの大きさにもよるが、凸部521bの下側に成膜されるp型非晶質半導体層1220pの膜厚は、開口部521aに成膜されるp型非晶質半導体層1220pの30%〜80%程度であってもよい。
なお、n型非晶質半導体層1220nを形成する工程の具体的な説明は省略するが、n型非晶質半導体層1220nを形成する場合も、p型非晶質半導体層1220pを形成する工程と同様、n型非晶質半導体層1220nを形成するための開口領域を有するメタルマスクを用い、プラズマCVD法によってn型非晶質半導体層1220nを成膜すればよい。そして、n型非晶質半導体層1220nの形成後、第1実施形態の図6Eに示す工程を行う。これにより、光電変換装置1Cが形成される。
光電変換装置1Cのp型非晶質半導体層1220pの溝状部1221におけるボロンの濃度は他の領域よりも高く、n型非晶質半導体層1220nの溝状部1221におけるリンの濃度は他の領域よりも高い。つまり、溝状部1221におけるp型非晶質半導体層1220pとn型非晶質半導体層1220nの膜厚は薄くなっているが、ドーパント濃度は他の領域よりも高くなる。そのため、p型非晶質半導体層1220p及びn型非晶質半導体層1220nの長辺方向(X軸方向)の導電性は高くなり、溝状部1221において生成されたキャリアを効率良く収集することができる。
なお、第4実施形態では、p型非晶質半導体層1220p、及びn型非晶質半導体層1220nの両方において溝状部1221が形成されている例を説明したが、p型非晶質半導体層1220pとn型非晶質半導体層1220nの少なくとも一方の非晶質半導体層に溝状部1221が形成されていればよい。このように構成した場合であっても、一方の非晶質半導体層による応力が小さくなるため、シリコン基板101の反りや撓みを軽減することができる。
<第5実施形態>
図18Aは、第5実施形態における光電変換装置の平面を示す模式図である。また、図18Bは、図18Aに示す光電変換装置1DのG−G断面を示す模式図である。図18A、18Bにおいて、第4実施形態と同様の構成には、第4実施形態と同じ符号を付している。以下、第4実施形態と異なる構成について説明する。
図18Bに示すように、光電変換装置1Dは、p型非晶質半導体層1220p、n型非晶質半導体層1220nにおいて第4実施形態と同様の溝状部1221が形成され、さらに、i型非晶質半導体層122iにおいて、溝状部1221に対応する位置にY軸方向に沿って溝状部1222が形成されている。
図18Bに示すように、i型非晶質半導体層122iにおける溝状部1222の膜厚M1は、溝状部1222以外の領域の膜厚M2よりも薄くなっているため、シリコン基板101にかかるi型非晶質半導体層122iの応力が軽減され、シリコン基板101の反りや撓みをさらに抑制することができる。
本実施形態に係る光電変換装置1Dは、第1実施形態と同様の製造工程を行うことにより形成されるが、図6C及び図6Dに示す、i型非晶質半導体層122i及びp型非晶質半導体層1220pとn型非晶質半導体層1220nをそれぞれ形成する工程が第1実施形態と異なる。つまり、本実施形態では、図6Aの工程の後、シリコン基板101の受光面に反射防止膜104を形成した後(図6B参照)、第1実施形態と同様、シリコン基板101の裏面に、i型非晶質半導体層102iを成膜する。そして、i型非晶質半導体層102iの成膜後、i型非晶質半導体層102iの上にレジストを塗布してパターニングし、溝状部1222を形成する領域をハーフエッチングした後、レジストを除去する。これにより、シリコン基板101の裏面において、膜厚が薄い溝状部1222が形成されたi型非晶質半導体層122iが形成される(図19参照)。
そして、i型非晶質半導体層122iの形成後、第4実施形態と同様、i型非晶質半導体層122iの上にメタルマスク710を配置し、プラズマCVD法によりp型非晶質半導体層1220pを形成する(図20参照)。
p型非晶質半導体層1220pの形成後、第4実施形態と同様にn型非晶質半導体層1220nを形成し、第1実施形態の図6Eの工程を行う。これにより光電変換装置1Dが形成される。
上述の第5実施形態では、p型非晶質半導体層1220p、n型非晶質半導体層1220nにおいて溝状部1221が形成されているとともに、i型非晶質半導体層122iに溝状部1222が形成されている。そのため、p型非晶質半導体層1220pとn型非晶質半導体層1220nの応力に加え、i型非晶質半導体層122iの応力が緩和され、シリコン基板101の反りや撓みがさらに抑制される。
なお、第5実施形態において、p型非晶質半導体層1220p、n型非晶質半導体層1220nにおいて溝状部1221が形成されている例を説明したが、p型非晶質半導体層1220pとn型非晶質半導体層1220nの少なくとも一方の非晶質半導体層に溝状部1221が形成されていればよい。この場合には、i型非晶質半導体層122iにおいて、一方の非晶質半導体層に形成された溝状部1221に対応する位置に溝状部1222が形成されていればよい。このように構成した場合であっても、一方の非晶質半導体層による応力が小さくなり、溝状部1222が形成されていない場合よりi型非晶質半導体層122iの応力も小さくなるため、シリコン基板101の反りや撓みを軽減することができる。
<第6実施形態>
本実施形態では、上述した第1実施形態から第5実施形態の少なくとも1つの光電変換装置を備えた光電変換モジュールについて説明する。図21は、第6実施形態に係る光電変換モジュールの構成を示す概略図である。光電変換モジュール1000は、複数の光電変換装置1001と、カバー1002と、出力端子1003,1004とを備える。
複数の光電変換装置1001は、例えば、光電変換装置1、1A〜1Dのいずれかに配線シートが接合されたものを適用してもよい。また、配線シート上にいずれかの光電変換装置がアレイ状に配置され、直列に接続されたものあってもよいし、直列に接続する代わりに、並列接続、または、直列と並列を組み合わせて接続されたものでもよい。
カバー1002は、耐候性のカバーからなり、複数の光電変換装置1001を覆う。カバー1002は、例えば、光電変換装置1001の受光面側に設けられた透明基材(例えばガラス等)と、光電変換装置1001の裏面に設けられた裏面基材(例えば、ガラス、樹脂シート等)と、前記透明基材と前記樹脂基材との間の隙間を埋める封止材(例えばEVA等)とを含む。
出力端子1003は、直列に接続された複数の光電変換装置1001の一方端に配置される光電変換装置1001に接続される。
出力端子1004は、直列に接続された複数の光電変換装置1001の他方端に配置される光電変換装置1001に接続される。
なお、光電変換モジュール1000は、複数の光電変換装置1001の少なくとも1つが第1〜第5実施形態の光電変換装置のいずれかからなる限り、上記構成に限定されず、いかなる構成も取り得る。
<第7実施形態>
図22Aは、第7実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す概略図である。太陽光発電システム1100は、光電変換モジュールアレイ1101と、接続箱1102と、パワーコンディショナー1103と、分電盤1104と、電力メーター1105とを備える。太陽光発電システム1100には、「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS:Home Energy Management System)」、「ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム(BEMS:Building Energy Management System)」等の機能を付加することができる。これにより、太陽光発電システム1100の発電量の監視、太陽光発電システム1100に接続される各電気機器類の消費電力量の監視・制御等を行うことができ、エネルギー消費量を削減することができる。
接続箱1102は、光電変換モジュールアレイ1101に接続される。パワーコンディショナー1103は、接続箱1102に接続される。分電盤1104は、パワーコンディショナー1103および電気機器1110に接続される。電力メーター1105は、分電盤1104および商用電力系統に接続される。
光電変換モジュールアレイ1101は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力を接続箱1102に供給する。
接続箱1102は、光電変換モジュールアレイ1101が発電した直流電力を受け、その受けた直流電力をパワーコンディショナー1103へ供給する。
パワーコンディショナー1103は、接続箱1102から受けた直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を分電盤1104に供給する。
分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力および/または電力メーター1105を介して受けた商用電力を電気機器1110へ供給する。また、分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力が電気機器1110の消費電力よりも多いとき、余った交流電力を、電力メーター1105を介して、商用電力系統へ供給する。
電力メーター1105は、商用電力系統から分電盤1104へ向かう方向の電力を計測するとともに、分電盤1104から商用電力系統へ向かう方向の電力を計測する。
図23は、図22Aに示す光電変換モジュールアレイ1101の構成を示す概略図である。図23を参照して、光電変換モジュールアレイ1101は、複数の光電変換モジュール1120と、出力端子1121,1122とを含む。
複数の光電変換モジュール1120は、アレイ状に配列され、直列に接続される。複数の光電変換モジュール1120の各々は、図21に示す光電変換モジュール1000からなる。
出力端子1121は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1120の一方端に位置する光電変換モジュール1120に接続される。
出力端子1122は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1120の他方端に位置する光電変換モジュール1120に接続される。
太陽光発電システム1100における動作を説明する。光電変換モジュールアレイ1101は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力を、接続箱1102を介してパワーコンディショナー1103へ供給する。
パワーコンディショナー1103は、光電変換モジュールアレイ1101から受けた直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を分電盤1104へ供給する。
分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力が電気機器1110の消費電力以上であるとき、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力を電気機器1110に供給する。そして、分電盤1104は、余った交流電力を、電力メーター1105を介して商用電力系統へ供給する。
また、分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力が電気機器1110の消費電力よりも少ないとき、商用電力系統から受けた交流電力およびパワーコンディショナー1103から受けた交流電力を電気機器1110へ供給する。
なお、本実施形態による太陽光発電システムは、図22Aに示す構成に限らず、第1実施形態から第5実施形態に係る光電変換装置のいずれかを用いる限り、どのような構成であってもよい。また、図22Bに示すようにパワーコンディショナー1103には蓄電池1106が接続されていてもよい。この場合、日照量の変動による出力変動を抑制することができるとともに、日照のない時間帯であっても蓄電池1106に蓄電された電力を供給することができる。蓄電池1106はパワーコンディショナー1103に内蔵されていてもよい。
<第8実施形態>
図24Aは、第8実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す概略図である。太陽光発電システム1200は、サブシステム1201〜120n(nは2以上の整数)と、パワーコンディショナー1211〜121nと、変圧器1221とを備える。太陽光発電システム1200は、図22A、22Bに示す太陽光発電システム1100よりも規模が大きい太陽光発電システムである。
パワーコンディショナー1211〜121nは、それぞれ、サブシステム1201〜120nに接続される。
変圧器1221は、パワーコンディショナー1211〜121nおよび商用電力系統に接続される。
サブシステム1201〜120nの各々は、モジュールシステム1231〜123j(jは2以上の整数)からなる。
モジュールシステム1231〜123jの各々は、光電変換モジュールアレイ1301〜130i(iは2以上の整数)と、接続箱1311〜131iと、集電箱1321とを含む。
光電変換モジュールアレイ1301〜130iの各々は、図22Aに示す光電変換モジュールアレイ1101と同じ構成からなる。
接続箱1311〜131iは、それぞれ、光電変換モジュールアレイ1301〜130iに接続される。
集電箱1321は、接続箱1311〜131iに接続される。また、サブシステム1201のj個の集電箱1321は、パワーコンディショナー1211に接続される。サブシステム1202のj個の集電箱1321は、パワーコンディショナー1212に接続される。以下、同様にして、サブシステム120nのj個の集電箱1321は、パワーコンディショナー121nに接続される。
モジュールシステム1231のi個の光電変換モジュールアレイ1301〜130iは、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力を、それぞれ接続箱1311〜131iを介して集電箱1321へ供給する。モジュールシステム1232のi個の光電変換モジュールアレイ1301〜130iは、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力をそれぞれ、接続箱1311〜131iを介して集電箱1321へ供給する。以下、同様にして、モジュールシステム123jのi個の光電変換モジュールアレイ1301〜130iは、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力をそれぞれ、接続箱1311〜131iを介して集電箱1321へ供給する。
そして、サブシステム1201のj個の集電箱1321は、直流電力をパワーコンディショナー1211へ供給する。
サブシステム1202のj個の集電箱1321は、同様にして直流電力をパワーコンディショナー1212へ供給する。
以下、同様にして、サブシステム120nのj個の集電箱1321は、直流電力をパワーコンディショナー121nへ供給する。
パワーコンディショナー1211〜121nは、それぞれ、サブシステム1201〜120nから受けた直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を変圧器1221へ供給する。
変圧器1221は、パワーコンディショナー1211〜121nから交流電力を受け、その受けた交流電力の電圧レベルを変換して商用電力系統へ供給する。
なお、本実施形態による太陽光発電システムは、図24Aに示す構成に限らず、第1実施形態から第5実施形態に係る光電変換装置のいずれかを用いる限り、どのような構成であってもよい。
また、図24Bに示すようにパワーコンディショナー1211〜121nに蓄電池1213が接続されていてもよいし、蓄電池1213がパワーコンディショナー1211〜121nに内蔵されていてもよい。この場合、パワーコンディショナー1211〜121nは、集電箱1321から受けた直流電力の一部または全部を適切に電力変換して、蓄電池1213に蓄電することができる。蓄電池1213に蓄電された電力は、サブシステム1201〜120nの発電量に応じて適宜パワーコンディショナー1211〜121n側に供給され、適切に電力変換されて変圧器1221へ供給される。
<変形例>
以上、本発明の第1〜第5実施形態にかかる光電変換装置、及び、第6〜第8実施形態において、第1〜第5実施形態のいずれかの光電変換装置を用いた光電変換モジュール、及び太陽光発電システムについて説明した。本発明の光電変換装置は上述の各実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
(1)上述した第1実施形態〜第8実施形態において、光電変換装置におけるシリコン基板101の導電型がn型の場合を説明したが、シリコン基板101はp型であってもよい。
(2)上述した第1実施形態〜第8実施形態の光電変換装置は、シリコン基板101の受光面に反射防止膜104が形成されている例を説明したが、反射防止膜104が形成されていなくてもよい。また、反射防止膜104に代えて、高濃度のn型ドーパントが拡散されたn+層が形成されていてもよい。あるいは、シリコン基板101の受光面と反射防止膜104との間に、高濃度のn型ドーパントが拡散されたn+層が形成されていてもよい。または、シリコン基板101と反射防止膜104との間に、i型非晶質半導体層102i及びn型非晶質半導体層102nを順次形成して挟んでもよい。
(3)上述した第1実施形態〜第5実施形態の光電変換装置は、シリコン基板101の裏面の全面に、i型非晶質半導体層を形成した後、i型非晶質半導体層の上にp型非晶質半導体層を形成し、その後、n型非晶質半導体層を形成する例を説明したが、p型非晶質半導体層とn型非晶質半導体層の形成順序はこれに限定されない。例えば、i型非晶質半導体層を形成した後、n型非晶質半導体層をi型非晶質半導体層の上に形成し、その後、p型非晶質半導体層をi型非晶質半導体層の上に形成してもよい。
(4)上述した第1実施形態〜第8実施形態の光電変換装置は、シリコン基板101の受光面にテクスチャが形成されている例を説明したが、シリコン基板101の裏面にテクスチャが形成されていてもよい。