以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。
[1.複合ガスバリア積層体の概要]
図1〜図3は、本発明の一例としての複合ガスバリア積層体10、20及び30を、その主面に垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図1〜図3に示す例のように、複合ガスバリア積層体10、20及び30は、第一フィルム層110及び第一無機層120を備える第一ガスバリア積層体100;第二フィルム層210及び第二無機層220を備える第二ガスバリア積層200;並びに、前記第一ガスバリア積層体100と前記第二ガスバリア積層体200との間に設けられた接着層300を備える。そして、前記の接着層300は、20℃90%Rhにおいて24時間静置した場合の重量変化率が所定の範囲にある粒子310を含む。以下の説明において、前記の粒子310を、適宜「吸湿性粒子」と呼ぶことがある。
[2.第一ガスバリア積層体]
第一ガスバリア積層体は、第一フィルム層、及び、前記第一フィルム層の少なくとも一方の面に設けられた第一無機層を備える。第一無機層は、第一フィルム層の一方の面のみに設けられていてもよく、第一フィルム層の両方の面に設けられていてもよい。通常は、第一無機層は第一フィルム層の面に直接に設けられているので、第一無機層と第一フィルム層とは接している。但し、第一無機層のクラックの原因となりうる表面の凸部が第一フィルム層に多い場合等は、オーバーコート層などの有機層を、第一無機層と第一フィルム層との間に形成していてもよい。
〔2.1.第一フィルム層〕
第一フィルム層は、第一無機層を支持し、第一ガスバリア積層体の強度を維持しうる層である。第一フィルム層は、2層以上を含む複層構造のフィルム層であってもよいが、通常は、1層のみを含む単層構造のフィルム層である。このような第一フィルム層は、通常、樹脂を含む樹脂フィルム層である。
第一フィルム層に含まれる樹脂は、複合ガスバリア積層体の用途に応じて任意に選択しうる。中でも、第一フィルム層に含まれる樹脂としては、水蒸気を通し難い樹脂が好ましく、脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂とは、脂環式オレフィン重合体と、必要に応じてその他の任意の成分とを含む樹脂である。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、水蒸気透過率が低い。したがって、脂環式ポリオレフィン樹脂を含む第一フィルム層は、高いガスバリア性を有するので、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を高めることができる。
また、脂環式ポリオレフィン樹脂は、アウトガスの発生が少ない。したがって、第一フィルム層として脂環式ポリオレフィン樹脂のフィルム層を採用することにより、第一無機層を形成する、系内の減圧を含む工程(例えば、蒸着、スパッタリング等)における、フィルム層から減圧系内へのアウトガスの放出量を少なくできる。よって、良好な第一無機層を形成することができるので、その結果、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を高めることができる。
さらに、脂環式ポリオレフィン樹脂は、吸湿が小さいので、当該脂環式ポリオレフィン樹脂が含む水分量が小さい。そのため、アウトガスとしての水蒸気を、特に少なくできる。したがって、接着層における吸湿性粒子の量を少なくできるので、複合ガスバリア積層体のヘイズを小さくできる。
また、脂環式ポリオレフィン樹脂のフィルム層は、複合ガスバリア積層体を有機EL発光体の製造に用いる際の減圧に際してのアウトガスの放出量が少ない。さらに、脂環式ポリオレフィン樹脂のフィルム層は、有機EL発光体の使用に際しての発光体内へのアウトガスの放出量が少ない。そのため、第一フィルム層として脂環式ポリオレフィン樹脂のフィルム層を採用することにより、高品質な有機EL発光体を、容易に製造することができる。
さらに、脂環式ポリオレフィン樹脂を溶融押し出しして製造したフィルム層は、通常、表面の平滑性が良好で、無機層のクラックの原因となる表面の凸が小さい。そのため、脂環式ポリオレフィン樹脂のフィルム層の表面には、表面平滑性の悪いフィルム層に比べて、薄い無機層で水蒸気透過率を小さくすることができる。したがって、脂環式ポリオレフィン樹脂のフィルム層を第一フィルム層として採用することにより、複合ガスバリア積層体の生産性および可撓性を高めることができる。
脂環式オレフィン重合体は、脂環式構造を有する熱可塑性重合体である。脂環式オレフィン重合体は、主鎖に脂環式構造を有していてもよく、側鎖に脂環式構造を有していてもよく、主鎖及び側鎖の両方に脂環式構造を有していてもよい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。脂環式構造を構成する炭素原子数をこの範囲にすることにより、樹脂の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式オレフィン重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式オレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、樹脂の透明性及び耐熱性が良好となる。
脂環式オレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、透明性と成形性が良好であるので、ノルボルネン重合体が特に好ましい。
ノルボルネン重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素化物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素化物は、例えば、開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素化触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素化することによって製造しうる。
脂環式オレフィン重合体としては、これらの重合体のうち1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、第一フィルム層は、複数種類の脂環式ポリオレフィン樹脂のそれぞれが層をなした構成であってもよい。
脂環式オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあることにより、第一フィルム層の機械的強度及び成型加工性が高度にバランスされる。
脂環式オレフィン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、第一フィルム層の安定性を高めることができる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いた(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の値として測定しうる。
脂環式ポリオレフィン樹脂における脂環式オレフィン重合体の量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。脂環式オレフィン重合体の量をこのような範囲に収めることにより、脂環式ポリオレフィン樹脂の所望の物性が得られる。
脂環式ポリオレフィン樹脂が含みうる任意の成分としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤、脂環式オレフィン重合体以外の重合体、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
第一フィルム層に含まれる樹脂は、高い透明性を有するものが好ましい。具体的には、第一フィルム層に含まれる樹脂を厚み1mmの試験片として測定した全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
第一フィルム層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらにより好ましくは100μm以下である。第一フィルム層の厚みは、接触式膜厚計により測定しうる。具体的には、ある直線上において等間隔で厚みを10点測定し、その平均値を求め、これを厚みの測定値としうる。
第一フィルム層の熱膨張率は、70ppm/K以下であることが好ましく、50ppm/K以下であることがより好ましく、40ppm/K以下であることが更に好ましい。かかる熱膨張率は、第一フィルム層を20mm×5mmの試料片とし、荷重5.0g、窒素100cc/分、昇温速度0.5℃/分の条件で、30℃から130℃にわたり昇温した際の試料片の長さの伸びを測定することにより測定しうる。
また、第一フィルム層の湿度膨張率は、30ppm/%Rh以下であることが好ましく、10ppm/%Rh以下であることがより好ましく、1.0ppm/%Rh以下であることが更に好ましい。かかる湿度膨張率は、第一フィルム層を20mm×5mmの試料片とし、荷重5.0g、窒素100cc/分、温度25℃、速度5.0%Rh/分の条件で、30%Rhから80%Rhにわたり湿度を上昇した際の試料片の長さの伸びを測定することにより測定しうる。
さらに、第一フィルム層に含まれる樹脂のガラス転移温度は、110℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることが特に好ましい。高いガラス転移温度を有することにより、高温環境などの熱履歴前後における第一フィルム層の熱収縮を抑えることができる。また、高いガラス転移温度を有することにより、複合ガスバリア積層体の製造において、レターデーションの不所望の変動を伴わずに、加熱圧着を行なうことができる。
かかる好ましい熱膨張率、湿度膨張率及びガラス転移温度を得ることにより、高温高湿の環境下におけるガスバリア性の低下が抑制された複合ガスバリア積層体を得ることができる。
また、第一フィルム層の第一無機層とは反対側の面は、ブロッキングの抑制のために、凹凸構造を有していてもよい。
第一フィルム層の製造方法に特に制限は無く、溶融成形法及び溶液流延法のいずれを用いてもよい。溶融成形法は、さらに詳細には、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類しうる。これらの方法の中でも、機械強度及び表面精度に優れた第一フィルム層を得るために、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましく、中でも効率よく簡単に第一フィルム層を製造できる観点から、押出成形法が特に好ましい。
第一フィルム層の製造方法は、フィルムを延伸する延伸工程を含んでいてもよい。延伸工程を含む製造方法により、第一フィルム層として、延伸フィルムを得ることができる。第一フィルム層として延伸フィルムを用いた場合には、第一フィルム層の熱膨張率を抑制することができ、高温高湿の環境下におけるガスバリア性の劣化を更に低減することができる。
〔2.2.第一無機層〕
第一無機層は、無機材料で形成された層である。この第一無機層は、第一ガスバリア積層体の表面及び裏面の一方の面から他方の面への、水分及び酸素等の成分の透過を抑制できる。したがって、第一無機層によって、水分及び酸素等の、外気中に存在する成分であって有機EL発光体の内部の構成要素(例えば、発光層等)を劣化させうる成分を、バリアすることができる。
第一無機層に含まれうる無機材料の好ましい例を挙げると、金属;珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物;アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物;DLC(ダイヤモンドライクカーボン);及びこれらの2以上が混合した材料;などが挙げられる。中でも、透明性の点では、珪素を含有する材料が好ましく、珪素酸化物及び珪素窒化酸化物が特に好ましい。また、第一フィルム層の材料である脂環式ポリオレフィン樹脂との親和性の点では、DLCが特に好ましい。
珪素の酸化物としては、例えば、SiOxが挙げられる。ここでxは、第一無機層の透明性及び水蒸気バリア性を両立させる観点から、1.4<x<2.0が好ましい。また、珪素の酸化物としては、SiOCも挙げることができる。
珪素の窒化物としては、例えば、SiNyが挙げられる。ここでyは、第一無機層の透明性及び水蒸気バリア性を両立させる観点から、0.5<y<1.5が好ましい。
珪素の窒化酸化物としては、例えば、SiOpNqが挙げられる。ここで、第一無機層の密着性の向上を重視する場合には、1<p<2.0、0<q<1.0として、第一無機層を酸素リッチの膜とすることが好ましい。また、第一無機層の水蒸気バリア性の向上を重視する場合には、0<p<0.8、0.8<q<1.3として、第一無機層を窒素リッチの膜とすることが好ましい。
アルミニウムの酸化物、窒化物及び窒化酸化物としては、例えば、AlOx、AlNy、及びAlOpNqを挙げることができる。
中でも、無機バリア性の観点からは、SiOpNq及びAlOx、並びにそれらの混合物が、特に好ましい。
第一無機層の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは80nm以上、特に好ましくは100nm以上であり、好ましくは2500nm以下、より好ましくは2000nm以下、特に好ましくは1500nm以下である。第一無機層の厚みが前記範囲の下限値以上であることにより、良好なガスバリア性を得ることができる。また、前記範囲の上限値以下であることにより、十分なガスバリア性を維持しながら、複合ガスバリア積層体が黄色等の色に着色されるのを抑えることができる。
第一無機層は、例えば、支持体となる第一フィルム層の表面に、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト蒸着法、アーク放電プラズマ蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法等の成膜方法により形成しうる。中でも、熱CVD法、プラズマCVD法等の化学気相成長法を用いることが好ましい。化学気相成長法によれば、製膜に用いるガス成分を調整することにより、可撓性のある第一無機層を形成できる。また、可撓性のある第一無機層を得ることで、第一フィルム層の変形、及び、高温高湿環境下での第一フィルム層の寸法変化に、第一無機層が追随することが可能になる。また、化学気相成長法によれば、低い真空度の環境で高い製膜レートで製膜可能であり、良好なガスバリア性を実現できる。第一無機層が、このように化学気相成長法によって形成される場合、第一無機層の厚みは、好ましくは300nm以上、より好ましくは500nm以上であり、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1500nm以下である。
第一ガスバリア積層体において、第一無機層は、第一フィルム層の両方の面に設けられてもよいが、通常は一方の面に設けられる。この際、第一無機層は、第一フィルム層の接着層側の面に設けられていてもよく(図2参照)、第一フィルム層の接着層とは反対側の面に設けられていてもよい(図1及び図3参照)。
第一無機層が、第一フィルム層の接着層とは反対側の面に設けられている場合、通常は、複合ガスバリア積層体の最表面に第一無機層が位置する。これにより、有機EL発光体において複合ガスバリア積層体上に設けられる第一電極は、十分に第一無機層に密着するので、複合ガスバリア積層体から剥がれにくくなる。これは、多くの電極材料は、一般に、第一フィルム層に含まれる材料に比べ、第一無機層に含まれる無機材料の方に、高い接着力で接着できるためである。同様に、複合ガスバリア積層体と、第一電極の周囲の電極が形成されていない領域の上方に配置される層との密着性の確立が、容易になる。また、第一フィルム層上に直接に有機EL発光体の第一電極を形成し、さらにその上に有機発光層を形成する場合は、第一フィルム層内に含まれる水分が、有機発光層に影響する可能性がある。しかし、第一無機層が、第一フィルム層の接着層とは反対側の面に設けられている場合、第一フィルム層と有機発光層との間に第一無機層があるので、第一フィルム層内に含まれる水分の影響を抑えて、有機発光層の劣化を抑えることができる。
他方、第一無機層が、第一フィルム層の接着層側の面に設けられている場合、第一無機層は第一フィルム層の内側に位置するので、外力による第一無機層の傷付きを防止できる。したがって、第一無機層にクラックが発生し難く、ガスバリア性を損なわれ難くできる。また、通常は第一無機層は第一フィルム層及び接着層の両方に対して高い接着性を有するので、第一無機層が第一フィルム層の接着層側の面に設けられている場合には、第一ガスバリア積層体と接着層との接着性を高めることができる。
第一無機層は、第一フィルム層の一面あたり、1層のみ設けてもよく、2層以上設けてもよい。製造コスト及び可撓性の確保の観点からは、1層のみを設けることが好ましいが、第一無機層を2層以上設けて、よりガスバリア性を高めてもよい。第一無機層を2層以上重ねて設ける場合は、それらの合計の厚みが、前記の好ましい厚みの範囲内であることが好ましい。
〔2.3.任意の層〕
第一ガスバリア積層体は、第一フィルム層及び第一無機層に組み合わせて、更に任意の層を備えうる。例えば、第一フィルム層の一方の面に2層以上の第一無機層が設けられている場合、第一ガスバリア積層体は、前記の2層以上の第一無機層の間に、有機層を備えていてもよい。
〔2.4.第一ガスバリア積層体の物性〕
第一ガスバリア積層体の水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%Rhの環境において、通常5.0×10−2g/m2/day以下、好ましくは5.0×10−3g/m2/day以下、より好ましくは5.0×10−4g/m2/day以下である。ここで、前記の単位「g/m2/day」は、1日にガスバリア積層体を透過する水蒸気の単位面積当たりの重量を表す。前記の水蒸気透過率で表されるように優れたガスバリア性を、第一ガスバリア積層体が有することにより、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を顕著に高めることができる。水蒸気透過率の下限は、0g/m2/dayであることが望ましいが、それ以上の値であっても、上記上限以下の範囲内であれば、好適に使用しうる。
ここで、あるフィルムの水蒸気透過率は、下記の方法によって測定しうる。
測定対象としてのフィルムを、適切な大きさに打ち抜いて、サンプルを得る。直径8cmの円形の測定領域を有する差圧式測定装置を用い、40℃90%Rh相当の水蒸気による圧力をサンプルの両側で形成して、水蒸気透過率を測定しうる。
第一ガスバリア積層体のカール量は、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、特に好ましくは3mm以下である。第一ガスバリア積層体のカール量が前記のように小さいことにより、複合ガスバリア積層体のカール量を小さくできるので、複合ガスバリア積層体の取り扱い性を良好にできる。
ここで、あるフィルムのカール量は、下記の方法によって測定しうる。
測定対象としてのフィルムを5cm角に打ち抜いて、サンプル片を得る。このサンプル片を、水平な台の上に配置する。この際、鉛直上方に凹状のカールが生じる向きで、サンプル片を配置する。配置されたサンプル片のコーナー部4点の、台からの距離を測定する。測定された4点における距離の平均値を計算し、この平均値をカール量とする。
[3.第二ガスバリア積層体]
第二ガスバリア積層体は、第二フィルム層、及び、前記第二フィルム層の少なくとも一方の面に設けられた第二無機層を備える。第二無機層は、第二フィルム層の一方の面のみに設けられていてもよく、第二フィルム層の両方の面に設けられていてもよい。通常は、第二無機層は第二フィルム層の面に直接に設けられているので、第二無機層と第二フィルム層とは接している。但し、第二無機層のクラックの原因となりうる表面の凸部が第二フィルム層に多い場合等は、オーバーコート層などの有機層を、第二無機層と第二フィルム層との間に形成していてよい。
〔3.1.第二フィルム層〕
第二フィルム層としては、第一フィルム層として説明した範囲から選択される任意のフィルム層を用いうる。したがって、第二フィルム層の材料、厚み、物性及び製造方法は、第一フィルム層と同様にしうる。第二フィルム層は、第一ガスバリア積層体において第一フィルム層が発揮したのと同様の効果を、第二ガスバリア積層体において発揮できる。
複合ガスバリア積層体のカールを抑制する観点では、第二フィルム層の材料及び厚みは、第一フィルム層と同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
〔3.2.第二無機層〕
第二無機層としては、第一無機層として説明した範囲から選択される任意の無機層を用いうる。したがって、第二無機層の材料、厚み、物性及び製造方法は、第一無機層と同様にしうる。第二無機層は、第一ガスバリア積層体において第一無機層が発揮したのと同様の効果を、第二ガスバリア積層体において発揮できる。
複合ガスバリア積層体のカールを抑制する観点では、第二無機層の材料及び厚みは、第一無機層と同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
第二ガスバリア積層体において、第二無機層は、第二フィルム層の両方の面に設けられてもよいが、通常は一方の面に設けられる。この際、第二無機層は、第二フィルム層の接着層側の面に設けられていてもよく(図2及び図3参照)、第二フィルム層の接着層とは反対側の面に設けられていてもよい(図1参照)。特に、複合ガスバリア積層体のカールを抑制する観点では、第二無機層は、接着層に対して第一ガスバリア積層体と第二ガスバリア積層体とが面対称となるように設けることが好ましい。よって、第一無機層が第一フィルム層の接着層側の面に設けられている場合、第二無機層は、第二フィルム層の接着層側の面に設けられていることが好ましい。また、第一無機層が第一フィルム層の接着層とは反対側の面に設けられている場合、第二無機層は、第二フィルム層の接着層とは反対側の面に設けられていることが好ましい。
また、第二無機層は、第二フィルム層の一面あたり、1層のみ設けてもよく、2層以上設けてもよい。
〔3.3.任意の層〕
第二ガスバリア積層体は、第二フィルム層及び第二無機層に組み合わせて、更に任意の層を備えうる。例えば、第二フィルム層の一方の面に2層以上の第二無機層が設けられている場合、第二ガスバリア積層体は、前記の2層以上の第二無機層の間に、有機層を備えていてもよい。
〔3.4.第二ガスバリア積層体の物性〕
第二ガスバリア積層体の水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%Rhの環境において、通常5.0×10−2g/m2/day以下、好ましくは5.0×10−3g/m2/day以下、より好ましくは5.0×10−4g/m2/day以下である。前記の水蒸気透過率で表されるように優れたガスバリア性を、第二ガスバリア積層体が有することにより、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を顕著に高めることができる。水蒸気透過率の下限は、0g/m2/dayであることが望ましいが、それ以上の値であっても、上記上限以下の範囲内であれば、好適に使用しうる。
第二ガスバリア積層体のカール量は、第一ガスバリア積層体と同様に、小さいことが好ましい。第二ガスバリア積層体の具体的なカール量は、第一ガスバリア積層体のカール量の範囲と同様の範囲に収まることが好ましい。また、接着層に対して第一ガスバリア積層体と第二ガスバリア積層体とが面対称となっている場合には、第一ガスバリア積層体のカール量と第二ガスバリア積層体のカール量とは、同じであることが好ましい。カール量が同じであることにより、第一ガスバリア積層体のカールを生じさせようとする応力と第二ガスバリア積層体のカールを生じさせようとする応力とが打ち消し合うので、複合ガスバリア積層体のカールを効果的に抑制できる。
[4.接着層]
接着層は、第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体を接着する層であって、第一ガスバリア積層体と第二ガスバリア積層体との間に設けられている。この接着層は、吸湿性粒子を含む。吸湿性粒子は、吸湿性を有するので、第一ガスバリア積層体又は第二ガスバリア積層体を透過して接着層に浸入した水分を、捕捉することができる。複合ガスバリア積層体は、第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体が有するガスバリア性と、接着層に含まれた吸湿性粒子が有する吸湿性とを組み合わせることによって、ガラス基材と同様以上に優れたガスバリア性を実現している。
〔4.1.吸湿性粒子〕
吸湿性粒子は、20℃90%Rhにおいて24時間静置した場合の重量変化率が所定の範囲に収まる粒子である。重量変化率の具体的な範囲は、通常3%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。重量変化率の上限に特段の制限は無いが、好ましくは100%以下である。このように高い吸湿性を有する吸湿性粒子を用いることにより、高いガスバリア性を有する複合ガスバリア積層体を実現できる。
前記の重量変化率は、下記の式(A1)によって計算しうる。下記の式(A1)において、W1は、20℃90%Rhの環境に静置する前の粒子の重量を表し、W2は、20℃90%Rhの環境に24時間静置した後の粒子の重量を表す。
重量変化率=(W2−W1)/W1×100 (A1)
吸湿性粒子に含まれる材料としては、例えば、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等の、無機金属酸化物;特開2005−298598号公報に記載の、有機金属化合物;ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の、水分を物理的に吸着しうる物質;などが挙げられる。これらの中でも、吸湿性粒子の材料としては、ゼオライト、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムからなる群より選択される1種類以上の物質が好ましい。ゼオライト、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムは、特に高い吸湿能力を有し、例えば、20℃90%Rhにおいて24時間静置した場合に10%〜30%といった高い重量変化率を容易に実現できる。また、ゼオライトは、乾燥によって水を放出するので、再利用が可能である。さらに、酸化マグネシウムは、吸湿すると水酸化マグネシウムに変わるものであり、吸湿性は比較的緩やかであるが、分散性が良好である。また、酸化カルシウムは、吸湿性及び分散性の両方に優れる。前記のような吸湿性粒子の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
吸湿性粒子の平均粒子径は、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは150nm以下、特に好ましくは30nm以下である。吸湿性粒子の平均粒子径が、前記範囲の下限値以上であることにより、接着層中での吸湿性粒子の分散性を高めることができ、また、前記範囲の上限値以下であることにより、接着層の厚さを均質にすることができる。さらに、吸湿性粒子の平均粒子径が30nm以下であれば、ヘイズ値を小さくして、接着層の透明性を高めることができる。
本願において、別に断らない限り、粒子の平均粒子径とは、体積平均粒子径を表す。粒子の体積平均粒子径は、粒子をスラリー状態にして測定しうる。また、粒子径がナノオーダーの粒子の測定装置としては、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計「UPA−EX」(日機装株式会社製)を用いうる。さらに、粒子径が0.1μm〜500μm程度の粒子の測定装置としては、マイクロトラック粒度分布測定装置「9320−HRA」(日機装株式会社製)を用いうる。
接着層における吸湿性粒子の量は、通常0.1g/m2以上、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1g/m2以上であり、通常40g/m2以下、好ましくは25g/m2以下、より好ましくは15g/m2以下である。ここで、前記の単位「g/m2」は、接着層の単位面積当たりの吸湿性粒子の重量を表す。吸湿性粒子の量が、前記範囲の下限値以上であることにより、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を効果的に高めることができる。また、前記範囲の上限値以下であることにより、複合ガスバリア積層体の透明性、柔軟性及び加工性を高めることができる。
〔4.2.接着層が含みうる吸湿性粒子以外の成分〕
通常、接着層は、吸湿性粒子及び重合体を含む樹脂の層であり、前記の重合体が接着層の接着能力を実現している。接着層に含まれる樹脂は、接着層から放出されるアウトガスを少なくする観点から、無溶媒の材料によって製造できる樹脂が好ましい。このように無溶媒の材料によって製造できる好ましい樹脂としては、紫外線硬化樹脂及び熱可塑性エラストマー樹脂が挙げられる。
紫外線硬化樹脂は、硬化前の状態においては、紫外線によって重合しうるモノマー、オリゴマー又は重合性ポリマーを含んでいる。そして、この紫外線硬化樹脂から形成される接着層は、前記のモノマー、オリゴマー又は重合性ポリマーを重合させた重合体を含む硬化した樹脂の層として得られる。ここで、硬化前の紫外線硬化樹脂は、溶媒を含まなくても流体状となりうるので、接着層は、一般に、残留溶媒を含まないか、含むとしてもその量は少ない。よって、紫外線硬化樹脂を含む接着層は、アウトガスを少なくできるので、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を効果的に高めることができる。
紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エン/チオール樹脂、イソシアネート樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂は、複数個の重合性官能基を有する重合体を含むものが好ましい。また、これらは、1種類を単独でもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性エラストマー樹脂は、熱可塑性エラストマーを含む樹脂である。熱可塑性エラストマーとは、加硫処理を施さなくても室温でゴム弾性を有する重合体である。ここで室温とは、通常、25℃をいう。熱可塑性エラストマー樹脂は、高温では通常の熱可塑性樹脂と同じく、既存の成形機を使用して成形可能である。よって、熱可塑性エラストマー樹脂は、一般に、残留溶媒を含まないか、含むとしてもその量は少ない。したがって、熱可塑性エラストマー樹脂を含む接着層は、アウトガスを少なくできるので、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を効果的に高めることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エレストマー、オレフィン系熱可塑性エレストマー、塩化ビニル系熱可塑性エレストマー、ポリエステル系熱可塑性エレストマー、ウレタン系熱可塑性エレストマーなどが挙げられる。中でも、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーは、その分子の構造単位として、芳香族ビニル化合物単位を有する熱可塑性エラストマーである。ここで芳香族ビニル化合物単位とは、スチレン等の芳香族ビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位のことをいう。熱可塑性エラストマーは、一般に、弾性を有するゴム成分(即ちソフトセグメント)と、塑性変形を防止するための分子拘束成分(即ちハードセグメント)とを分子中に有している。スチレン系熱可塑性エラストマーは、通常、ハードセグメントとして前記の芳香族ビニル化合物単位を有している。
スチレン系熱可塑性エラストマーの好ましい例としては、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体及びその水素化物が挙げられる。ここで、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体とは、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物単位を含む重合体ブロック[B]とを有するブロック共重合体のことをいう。また、鎖状共役ジエン化合物単位とは、鎖状共役ジエン化合物を重合して形成される構造を有する構造単位のことをいう。これらのブロック共重合体及びその水素化物は、例えばアルコキシシラン、カルボン酸、カルボン酸無水物等で変性されていていてもよい。
中でも、芳香族ビニル化合物としてスチレンを用いた芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体(以下、適宜「スチレン−共役ジエンブロック共重合体」ということがある。)及びその水素化物が好ましく、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素化物が特に好ましい。以下、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体及びその水素化物について、具体的に説明する。
前記の通り、重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物単位を含む。この芳香族ビニル化合物単位に対応する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、4−モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、4−モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレンなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、吸湿性の面で極性基を含有しないものが好ましい。更に、工業的入手のし易さ、耐衝撃性の観点から、スチレンが特に好ましい。
重合体ブロック[A]において、芳香族ビニル化合物単位は、通常、主成分となっている。具体的には、重合体ブロック[A]における芳香族ビニル化合物単位の含有率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。重合体ブロック[A]において芳香族ビニル化合物単位の量が前記のように多いことにより、複合ガスバリア積層体の耐熱性を高めることができる。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物単位以外に、任意の構造単位を含んでいてもよい。任意の構造単位としては、例えば、鎖状共役ジエン化合物単位、芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位、などが挙げられる。
鎖状共役ジエン化合物単位に対応する鎖状共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、吸湿性の面で極性基を含有しないものが好ましく、具体的には1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物としては、例えば、鎖状ビニル化合物;環状ビニル化合物;ニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、又はハロゲン基を有するビニル化合物;不飽和の環状酸無水物;不飽和イミド化合物などが挙げられる。好ましい例を挙げると、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサン等の環状オレフィン;などの、極性基を含有しないものが吸湿性の面で好ましい。中でも、鎖状オレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック[A]における任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体における重合体ブロック[A]の数は、好ましくは2個以上であり、好ましくは5個以下、より好ましくは4個以下、特に好ましくは3個以下である。複数個ある重合体ブロック[A]は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
1分子の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体に、異なる重合体ブロック[A]が複数存在する場合、重合体ブロック[A]の中で、重量平均分子量が最大の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(A1)とし、重量平均分子量が最少の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(A2)とする。このとき、Mw(A1)とMw(A2)との比「Mw(A1)/Mw(A2)」は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。これにより、各種物性値のばらつきを小さく抑えることができる。
前記の通り、重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物単位を含む。この鎖状共役ジエン化合物単位としては、例えば、重合体ブロック[A]に含まれていてもよいものとして例示したものが、同様に挙げられる。
重合体ブロック[B]において、鎖状共役ジエン化合物単位は、通常、主成分となっている。具体的には、重合体ブロック[B]における鎖状共役ジエン化合物単位の含有率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。重合体ブロック[B]において鎖状共役ジエン化合物単位の量を前記のように多くすることにより、複合ガスバリア積層体の低温での耐衝撃性を向上させることができる。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物単位以外に、任意の構造単位を含んでいてもよい。任意の構造単位としては、例えば、芳香族ビニル化合物単位、並びに、芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位などが挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物単位、並びに、芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位は、例えば、重合体ブロック[A]に含まれていてもよいものとして例示したものが、同様に挙げられる。
重合体ブロック[B]における任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。特に、重合体ブロック[B]における芳香族ビニル化合物単位の含有率を低くすることにより、接着層の低温での柔軟性を向上させて、複合ガスバリア積層体の低温での耐衝撃性を向上させることができる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体における重合体ブロック[B]の数は、通常1個以上であるが、2個以上であってもよい。芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体における重合体ブロック[B]の数が2個以上である場合、重合体ブロック[B]は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
また、1分子の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体に、異なる重合体ブロック[B]が複数存在する場合、重合体ブロック[B]の中で、重量平均分子量が最大の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(B1)とし、重量平均分子量が最少の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(B2)とする。このとき、Mw(B1)とMw(B2)との比「Mw(B1)/Mw(B2)」は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。これにより、各種物性値のばらつきを小さく抑えることができる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体のブロックの形態は、鎖状型ブロックでもよく、ラジアル型ブロックでもよい。中でも、鎖状型ブロックが、機械的強度に優れ、好ましい。芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体が鎖状型ブロックの形態を有する場合、その両端が重合体ブロック[A]であることが、樹脂のベタツキを所望の低い値に抑えることができるので、好ましい。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の特に好ましい形態は、[A]−[B]−[A]で表されるように、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体;[A]−[B]−[A]−[B]−[A]で表されるように、重合体ブロック[A]の両端に重合体ブロック[B]が結合し、更に、該両重合体ブロック[B]の他端にそれぞれ重合体ブロック[A]が結合したペンタブロック共重合体である。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体において、全重合体ブロック[A]が芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]が芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとする。このとき、wAとwBとの比(wA/wB)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは35/65以上、特に好ましくは40/60以上であり、好ましくは80/20以下、より好ましくは65/35以下、特に好ましくは60/40以下である。wA/wBが前記範囲の下限値以上であることにより、複合ガスバリア積層体の耐熱性を向上させることができる。また、前記範囲の上限値以下であることにより、接着層の柔軟性を高めて、複合ガスバリア積層体のガスバリア性を安定して良好に維持することができる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、特に好ましくは50,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、特に好ましくは100,000以下である。
また、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。
前記の重量平均分子量及び分子量分布は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算の値として測定しうる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の製造方法は、例えば3つの重合体ブロックを有するブロック共重合体を製造する場合、下記の製造方法1及び2が挙げられる。ここで、「モノマー組成物」と称する材料は、2種類以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。
(製造方法1) 芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a1)を重合させて重合体ブロック[A]を形成する第一工程と、
かかる重合体ブロック[A]の一端において、鎖状共役ジエン化合物を含有するモノマー組成物(b1)を重合させて重合体ブロック[B]を形成し、[A]−[B]のジブロックの重合体を得る第二工程と、
かかるジブロックの重合体の、ブロック[B]側の末端において、芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a2)を重合させて、ブロック共重合体を得る第3工程とを有する方法。ただし、モノマー組成物(a1)とモノマー組成物(a2)とは、同一でも異なっていてもよい。
(製造方法2) 芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a1)を重合させて重合体ブロック[A]を形成する第一工程と、
かかる重合体ブロック[A]の一端において、鎖状共役ジエン化合物を含有するモノマー組成物(b1)を重合させて重合体ブロック[B]を形成し、[A]−[B]のジブロックの重合体を得る第二工程と、
かかるジブロックの重合体の、重合体ブロック[B]側の末端同士を、カップリング剤によりカップリングさせて、ブロック共重合体を得る第3工程とを有する方法。
モノマー混合物を重合してそれぞれの重合体ブロックを得る方法としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位アニオン重合、配位カチオン重合などを用いうる。重合操作及び後工程での水素化反応を容易にする観点では、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などを、リビング重合により行う方法が好ましく、リビングアニオン重合により行う方法が特に好ましい。
前記のモノマー混合物の重合は、重合開始剤の存在下で、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、特に好ましくは20℃以上、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、特に好ましくは70℃以下の温度範囲において行う。
リビングアニオン重合の場合は、重合開始剤として、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム等のモノ有機リチウム;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物;などが使用可能である。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合反応の形態は、例えば、溶液重合及びスラリー重合などを採用しうる。中でも、溶液重合を用いると、反応熱の除去が容易である。
溶液重合を行う場合、溶媒としては、各工程で得られる重合体が溶解しうる不活性溶媒を用いうる。不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒として脂環式炭化水素を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用でき、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の溶解性が良好であるため、好ましい。溶媒の使用量は、全使用モノマー100重量部に対して、通常200重量部〜2000重量部である。
それぞれのモノマー混合物が2種以上のモノマーを含む場合、ある1成分の連鎖だけが長くなるのを防止するために、例えばランダマイザーを使用しうる。特に重合反応をアニオン重合により行う場合には、例えばルイス塩基化合物等をランダマイザーとして使用することが好ましい。ルイス塩基化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体は、水素化して使用することが、好ましい。芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物を含む熱可塑性エラストマー樹脂を、接着層が含むことにより、接着層からのアウトガスの発生量を更に小さくできる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物は、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものである。ここで、前記の炭素−炭素不飽和結合には、芳香族性及び非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合をいずれも含む。その水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、接着層の耐熱性及び耐光性を良好にできる。ここで、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定により求めうる。
特に、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の水素化率は、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の水素化率を高めることにより、接着層の耐光性及び耐酸化性を更に高くできる。
また、芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上である。芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の水素化率を高めることにより、重合体ブロック[A]を水素化して得られる重合体ブロックのガラス転移温度が高くなるので、複合ガスバリア積層体の耐熱性を効果的に高めることができる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、特に好ましくは45,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、特に好ましくは100,000以下である。また、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnを前記の範囲に収めることにより、複合ガスバリア積層体の機械強度及び耐熱性を向上させることができる。前記ブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量及び分子量分布は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の値で測定しうる。
芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物における、全重合体ブロック[A]がブロック共重合体全体に占める重量分率wAと、全重合体ブロック[B]がブロック共重合体全体に占める重量分率wBとの比(wA/wB)は、通常、水素化する前のブロック共重合体における比wA/wBと同様の値となる。
さらに、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物は、その分子構造にアルコキシシリル基を有していてもよい。このアルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物は、例えば、アルコキシシリル基を有さないブロック共重合体の水素化物に、アルコキシシリル基を導入することにより得られる。アルコキシシリル基を導入する際、ブロック共重合体の水素化物に、アルコキシシリル基を直接結合させてもよく、例えばアルキレン基などの2価の有機基を介して結合させてもよい。
アルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物を含む熱可塑性エラストマー樹脂は、接着性に特に優れる。そのため、複合ガスバリア積層体の強度を顕著に向上させることができる。
アルコキシシリル基の導入量は、アルコキシシリル基の導入前の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。アルコキシシリル基の導入量を前記範囲に収めると、水分等で分解されたアルコキシシリル基同士の架橋度が過剰に高くなることを防止できるので、接着層の接着性を高く維持することができる。
アルコキシシリル基の導入量は、1H−NMRスペクトルにて計測しうる。また、アルコキシシリル基の導入量の計測の際、導入量が少ない場合は、積算回数を増やして計測しうる。
アルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の分子量は、通常は、導入されるアルコキシシリル基の量が少ないため、アルコキシシリル基を導入する前のブロック共重合体の水素化物の分子量から大きく変化しない。ただし、アルコキシシリル基を導入する際には過酸化物の存在下で芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物を変性反応させるので、その水素化物の架橋反応及び切断反応が進行し、分子量分布は大きく変化する傾向がある。アルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、特に好ましくは50,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、特に好ましくは120,000以下である。また、アルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下である。アルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnがこの範囲であると、複合バリア積層体の良好な機械強度及び引張り伸びが維持できる。前記のアルコキシシリル基を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量及び分子量分布は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算の値として測定しうる。
前述したような芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の製造方法は、通常、前述した芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体を水素化することを含む。水素化方法としては、水素化率を高くでき、ブロック共重合体の鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。このような好ましい水素化方法としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれも使用可能である。また、水素化反応は、有機溶媒中で行うのが好ましい。
不均一系触媒は、例えば、金属又は金属化合物のままで用いてもよく、適切な担体に担持して用いてもよい。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化ケイ素、フッ化カルシウムなどが挙げられる。触媒の担持量は、触媒及び担体の合計量に対して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。また、担持型触媒の比表面積は、好ましくは100m2/g〜500m2/gである。さらに、担持型触媒の平均細孔径は、好ましくは100Å以上、より好ましくは200Å以上であり、好ましくは1000Å以下、好ましくは500Å以下である。ここで、比表面積は、窒素吸着量を測定しBET式を用いて求めうる。また、平均細孔径は、水銀圧入法により測定しうる。
均一系触媒としては、例えば、ニッケル、コバルト、チタン又は鉄の化合物と有機金属化合物とを組み合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒;などを用いることができる。
ニッケル、コバルト、チタン又は鉄の化合物としては、例えば、各金属のアセチルアセトナト化合物、カルボン酸塩、シクロペンタジエニル化合物等が挙げられる。
また、有機金属化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;並びに有機リチウム化合物などが挙げられる。
有機金属錯体触媒としては、例えば、ジヒドリド−テトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリド−テトラキス(トリフェニルホスフィン)鉄、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル等の遷移金属錯体が挙げられる。
これらの水素化触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
水素化触媒の使用量は、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。
水素化反応の温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、特に好ましくは180℃以下である。このような温度範囲で水素化反応を行なうことにより、水素化率を高くでき、また、ブロック共重合体の分子切断を少なくできる。
また、水素化反応時の水素圧力は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1MPa以上、特に好ましくは2MPa以上であり、好ましくは30MPa以下、より好ましくは20MPa以下、特に好ましくは10MPa以下である。このような水素圧力で水素化反応を行なうことにより、水素化率を高くでき、ブロック共重合体の分子鎖切断を少なくでき、操作性が良好となる。
前記のように芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体を水素化することにより、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物が生成物として得られる。この水素化物は、通常、ブロック共重合体の水素化物、水素化触媒及び重合触媒を含む反応液として得られる。そこで、ブロック共重合体の水素化物は、この反応液から濾過及び遠心分離等の分離方法によって水素化触媒及び重合触媒を除去した後に、反応液から回収されうる。反応液から水素化物を回収する方法としては、例えば、水素化物が溶解した溶液からスチームストリッピングにより溶媒を除去するスチーム凝固法;減圧加熱下で溶媒を除去する直接脱溶媒法;水素化物の貧溶媒中に溶液を注いで水素化物を析出及び凝固させる凝固法;などが挙げられる。
回収された芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物の形態は、その後の成形加工又は変性反応に供し易いように、ペレット形状とすることが好ましい。例えば、直接脱溶媒法により反応液から水素化物を回収した場合、溶融状態の水素化物をダイスからストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーでカッティングしてペレット状にして、各種の成形に供してもよい。また、凝固法を用いる場合は、例えば、得られた凝固物を乾燥した後、押出機により溶融状態で押し出し、上記と同様にペレット状にして各種の成形又は変性反応に供してもよい。
水素化反応によって得られた芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物に対し、必要に応じて、アルコキシシランによる変性処理を施してもよい。前記の変性処理により、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物に、アルコキシシリル基を導入することができる。
アルコキシシリル基の導入方法としては、例えば、アルコキシシリル基を導入する前の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物と、エチレン性不飽和シラン化合物とを、過酸化物の存在下で反応させる方法を用いうる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物とグラフト重合でき芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物にアルコキシシリル基を導入できるものを用いうる。このようなエチレン性不飽和シラン化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び2−ノルボルネン−5−イルトリメトキシシランなどが挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシランが好ましい。また、エチレン性不飽和シラン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和シラン化合物の量は、アルコキシシリル基を導入する前のブロック共重合体の水素化物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。
過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物から選択される1種類以上を用いることができる。中でも、1分間半減期温度が170℃〜190℃のものが好ましく、例えば、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)、ジ−t−ブチルパーオキシドなどが好ましい。また、過酸化物は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
過酸化物の量は、アルコキシシリル基を導入する前の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、特に好ましくは2重量部以下である。
上記の芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物とを過酸化物の存在下で反応させる方法は、例えば、加熱混練機及び反応器を用いて行いうる。具体例を挙げると、ブロック共重合体の水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物と過酸化物との混合物を、二軸混練機を用いて、ブロック共重合体の水素化物の溶融温度以上で加熱溶融させて、所望の時間混練することにより、ブロック共重合体の水素化物にアルコキシシリル基を導入することができる。混練時の具体的な温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、特に好ましくは200℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、特に好ましくは220℃以下である。また、混練時間は、好ましくは0.1分以上、より好ましくは0.2分以上、特に好ましくは0.3分以上であり、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下、特に好ましくは5分以下である。二軸混練機、単軸押出機などの連続混練設備を使用する場合は、滞留時間が上記範囲になるようにして、連続的に混練及び押出しを行いうる。
熱可塑性エラストマー樹脂は、上述した吸湿性粒子及び重合体に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、耐候性及び耐熱性を向上させるための、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、無機フィラー等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、構造中に例えば3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基、又は、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基などを有している化合物が特に好ましい。
光安定剤の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(1−ベンジル−2−フェニルエチル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(2−(1−ピロリジル)エチル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(2−(4−モルホリニル)エチル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−(2−(4−モルホリニル)エチル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(2−(ジイソプロピルアミノ)エチル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(2,4,6−トリメチルベンジル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(3−(2−エチルヘキソキシ)プロピル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(3,4−(メチレンジオキシ)ベンジル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル)−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−1,2,2−トリメチルプロピル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−1、3−ジメチルブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−1−ベンジルエチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−2,2−ジメチルプロピル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−2−エチルヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−3−メチルブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−4−ヒドロキシブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−4−ヒドロキシブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−i−プロピル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−i−プロピル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−t−ブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−イソプロピルベンジル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−エトキシエチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−エトキシプロピル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−オクタデシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−オクチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−オクチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−クロロベンジル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−ジエチルアミノエチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−シクロドデシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−シクロヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルカルボニルピペリジン、4−(N−シクロヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピリジン、4−(N−シクロヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、4−(N−シクロペンチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−シクロペンチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−ジメチルアミノプロピル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−デシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−デシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−ドデシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−ピリジニルメチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−フェニルエチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピリジン、4−(N−フェニルエチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、4−(N−ブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−ブチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−フルオロベンジル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−ヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−ヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−ペンチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(N−ペンチル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−メチルシクロヘキシル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、4−(N−メチルベンジル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(N−メトキシベンジル−N−ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、4−(ホルミルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−〔N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N−ホルミルアミノ〕−2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピリジン、4−〔N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N−ホルミルアミノ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−アミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4ーN−メチルピペリジル)−N,N’−ジホルミル−1,4−キシリレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−N−メチルピペリジル)−N,N’−ジホルミル−トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4ーN−メチルピペリジル)−N,N’−ジホルミル−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−N−メチルピペリジル)−N,N’−ジホルミル−エチレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−1,4−キシリレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルエチレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミル−トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンアクリル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンアラキン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンアンゲリカ酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンウンデシル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンウンデシレン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンオレイン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンガドレイン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンカプリル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンカプリン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンカプロン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンクロトン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンシトロネル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンステアリン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンゾーマリン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレントリデシル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンノナデシル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンパルミチン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンブレンツテレビン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンプロピオン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンヘプタン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンベヘン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンペラルゴン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンペンタデシル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンマルガリン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンミリスチン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンラウリン酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレンリンデル酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレン吉草酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレン酢酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレン抹香酸アミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスヘキサメチレン酪酸アミド、
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重合体とN−ブチル−1−ブタンアミンとN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物などが挙げられる。
これらの中でも、耐候性に優れる点で、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−N−メチルピペリジル)−N,N’−ジホルミル−アルキレンジアミン類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルアルキレンジアミン類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスアルキレン脂肪酸アミド類、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕が好ましく、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルアルキレンジアミン類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重合体とN−ブチル−1−ブタンアミンとN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物が特に好ましい。
光安定剤の量は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.02重量部以上、特に好ましくは0.03重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。光安定剤の量を前記範囲の下限値以上とすることにより、耐候性を高くできる。また、上限値以下とすることにより、熱可塑性エラストマー樹脂をフィルム状に成形する溶融成形加工時に、押出し機のTダイ及び冷却ロールの汚れを防止でき、加工性を高めることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、4−ドデカロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
また、サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、4−t−ブチルフェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミジルメチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]などが挙げられる。
紫外線吸収剤の量は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.02重量部以上、特に好ましくは0.04重量部以上であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下である。紫外線吸収剤を前記範囲の下限値以上用いることにより、耐光性を改善することができるが、上限を超えて過剰に用いても、更なる改善は得られ難い。
酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、フェノ−ル系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、着色がより少ないリン系酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物;6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、6−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピンなどの化合物を挙げることができる。
フェノ−ル系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなど化合物を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどなど化合物を挙げることができる。
酸化防止剤の量は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤を前記範囲の下限値以上用いることにより、熱安定性を改善することができるが、上限を超えて過剰に用いても、更なる改善は得られ難い。
〔4.3.接着層の物性〕
接着層は、透明性に優れることが好ましい。よって、接着層に含まれる樹脂は、高い全光線透過率を有することが好ましい。接着層に含まれる樹脂を厚み1mmの試験片として測定した全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
〔4.4.接着層の厚み〕
接着層の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。接着層の厚みが前記範囲の下限値以上であることにより、仮に接着層に小さい異物が混入しても、その異物により接着層の厚みが不均一となることを防止できる。また、前記範囲の上限値以下とすることにより、接着層にクラックが入ることを抑え、さらに貼り合せ後の撓みが抑えられて、均一な複合ガスバリア積層体が形成でき、また、複合ガスバリア積層体の厚みを薄くできる。
〔4.5.接着層の形成方法〕
接着層の形成方法は、接着層の材料に応じて、任意の方法を採用しうる。
例えば、紫外線硬化樹脂によって接着層を形成する場合、紫外線硬化樹脂を第一ガスバリア積層体又は第二ガスバリア積層体の表面に塗工して紫外線硬化樹脂の層を形成し、第一ガスバリア積層体と第二ガスバリア積層体とを紫外線硬化樹脂の層を介して貼り合わせた後で、紫外線硬化樹脂の層を硬化させることにより、形成しうる。
また、例えば、熱可塑性エラストマー樹脂によって接着層を形成する場合、熱可塑性エラストマー樹脂をフィルム状に成形することにより、接着層を形成してもよい。熱可塑性エラストマー樹脂の成形方法に特に制限は無く、溶融成形法及び溶液流延法のいずれを用いてもよい。溶融成形法は、さらに詳細には、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類しうる。これらの方法の中でも、機械強度及び表面精度に優れた接着層を得るために、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましく、中でも効率よく簡単に接着層を製造できる観点から、押出成形法が特に好ましい。また、押出成型直後に、第一ガスバリア積層体又は第二ガスバリア積層体とニップしながら熱い状態でラミネートすることで、薄い接着層を形成することができる。
[5.任意の層]
複合ガスバリア積層体は、上述した第一ガスバリア積層体、第二ガスバリア積層体及び接着層に組み合わせて、更に任意の構成要素を備えていてもよい。
例えば、複合ガスバリア積層体の一方の面に、ブロッキング防止層、帯電防止層、ハードコート層、導電性付与層、汚染防止層、凹凸構造層などを備えていてもよい。また、導電性付与層は、印刷あるいはエッチングによりパターニングされたものであってもよい。かかる任意の層は、例えば、任意の層の材料を塗工し硬化させる方法;任意の層を貼り付けする方法;により形成しうる。
[6.複合ガスバリア積層体の物性]
接着層中に含まれる吸湿性粒子が、浸入してきた水分をトラップするので、上述した複合ガスバリア積層体は、優れたガスバリア性を有する。よって、複合ガスバリア積層体の水蒸気透過率は、通常、低い。複合ガスバリア積層体の具体的な水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%Rhの環境において、好ましくは1.0×10−4g/m2/day以下、より好ましくは1.0×10−5g/m2/day以下である。このように低い水蒸気透過率を有する複合ガスバリア積層体は、有機EL発光体において、ガラス基材の代わりに使用することが可能である。
複合ガスバリア積層体は、通常、柔軟で可撓性に優れる。そのため、複合ガスバリア積層体を折り曲げても、容易には亀裂を生じない。よって、複合ガスバリア積層体は、外力によるガスバリア性の低下を生じ難い。したがって、複合ガスバリア積層体は、曲面ディスプレイ装置の基材として使用可能である。
複合ガスバリア積層体は、通常、低圧環境に置いた場合でもアウトガスの発生量が少ない。このように、複合ガスバリア積層体は、高いガスバリア性を有し、高温又は低圧の環境においてもそのガスバリア性を良好に維持することができる。したがって、有機EL発光体の製造工程における高温環境及び低圧環境において、好適に使用可能である。
複合ガスバリア積層体は、通常、カールを生じ難い。そのため、カール量を、好ましくは1mm以下と小さくすることができる。
複合ガスバリア積層体は、通常、高い透明性を有する。よって、複合ガスバリア積層体の全光線透過率は、通常、高い。複合ガスバリア積層体の具体的な全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定しうる。
複合ガスバリア積層体のヘイズは、用途に応じて設定しうる。例えば、複合ガスバリア積層体を、照明用の有機EL発光体のフィルム基材として用いる場合には、複合ガスバリア積層体のヘイズは大きくてもよい。また、例えば、有機ガスバリア積層体を、ディスプレイ装置用の有機EL発光体のフィルム基材として用いる場合には、複合ガスバリア積層体のヘイズは小さいことが好ましい。通常は、接着層における吸湿性粒子の量を上述した範囲に収めることにより、接着層のヘイズを小さくできるので、複合ガスバリア積層体のヘイズも小さくすることが可能である。複合ガスバリア積層体の具体的なヘイズは、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下である。ヘイズは、JIS K7136に準拠して、ヘイズメーターを用いて測定しうる。
複合ガスバリア積層体の厚みは、好ましくは25μm以上、より好ましくは40μm以上、特に好ましくは50μm以上であり、好ましくは250μm以下、より好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。複合ガスバリア積層体の厚みが、前記範囲の下限値以上であることによって、ガスバリア性を高めることができ、前記範囲の上限値以下にすることによって、透明性を高めることができる。
[7.複合ガスバリア積層体の製造方法]
複合ガスバリア積層体は、所望の複合ガスバリア積層体が得られる任意の製造方法によって、製造しうる。通常、複合ガスバリア積層体は、第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体を用意し、第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体を接着層を介して接着することにより、製造しうる。この際、第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体を長尺のフィルムとして用意することにより、複合ガスバリア積層体を、ロール・トゥ・ロールによって高い製造効率で製造することが可能である。
例えば、吸湿性粒子を含む紫外線硬化樹脂によって接着層を形成する場合には、複合ガスバリア積層体は、
(i)流体状の紫外線硬化樹脂を、第一ガスバリア積層体又は第二ガスバリア積層体の表面に塗工して、紫外線硬化樹脂の層を形成する工程と、
(ii)第一ガスバリア積層体と第二ガスバリア積層体とを、紫外線硬化樹脂の層を介して、貼り合わせる工程と、
(iii)紫外線の照射によって紫外線硬化樹脂の層を硬化させて、複合ガスバリア積層体を得る工程と、
を含む製造方法によって、製造しうる。
また、例えば、吸湿性粒子を含む熱可塑性エラストマー樹脂によって接着層を形成する場合には、複合ガスバリア積層体は、
(iv)熱可塑性エラストマー樹脂をフィルム状に成形して、接着層を得る工程と、
(v)第一ガスバリア積層体、接着層及び第二ガスバリア積層体を、この順に重ねて、加熱圧着することにより、複合ガスバリア積層体を得る工程と、
を含む製造方法により、製造しうる。
[8.複合ガスバリア積層体の用途]
複合ガスバリア積層体は、有機EL発光体用のフィルム基材として用いることが好ましい。
図4は、本発明の一実施形態に係る有機EL発光体400を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る有機EL発光体400は、複合ガスバリア積層体410、第一電極420、発光層430及び第二電極440を、この順に備える。また、通常、第一電極420としては、透明電極を用いる。他方、第二電極440としては、透明電極を用いてもよく、反射電極を用いてもよい。
このような有機EL発光体400では、発光層430で発生した光は、第一電極420及び複合ガスバリア積層体410を通って、有機EL発光体400から出ていく。上述したように、複合ガスバリア積層体410が高い透明性を有するので、前記の有機EL発光体400では、発光層430で発生した光の多くを取り出すことができる。よって、有機EL発光体400の光取出効率を高めることが可能である。
また、通常、複合ガスバリア積層体410のヘイズは、低い。そのため、発光層430で発生した光は、複合ガスバリア積層体410において、散乱され難い。よって、有機EL発光体400をディスプレイ装置を適用した場合に、そのディスプレイ装置の画像のぼやけを抑制できるので、画像の明瞭性を高めることができる。
さらに、複合ガスバリア積層体410が高いガスバリア性を有するので、前記の有機EL発光体400では、複合ガスバリア積層体410を通した水分の浸入を抑制できる。よって、複合ガスバリア積層体410の無い部分に適切な封止材(図示せず。)を設けることにより、有機EL発光体400内の有機材料を、水分から保護できる。したがって、有機EL発光体400の寿命を延ばすことが可能である。
また、通常、複合ガスバリア積層体410が柔軟で可撓性に優れるので、フレキシブルな有機EL発光体400を実現できる。このような有機EL発光体400は、屈曲可能であるので、有機EL発光体400を用いることにより、曲面及び凹凸面のような、平面形状以外の形状を有する光源装置を実現することができる。
前記の有機EL発光体400において、発光層430で発生した光の一部は、第二電極440に入射しうる。第二電極440として反射電極を用いた場合、第二電極440に入射した光は、第二電極440で反射した後、第一電極420及び複合ガスバリア積層体410を通って、有機EL発光体400から出ていく。よって、第二電極440として反射電極を備える有機EL発光体400は、片面発光タイプの発光体となりうる。また、第二電極440として透明電極を用いた場合、第二電極440に入射した光は、第二電極440を通って、有機EL発光体400から出ていく。よって、第二電極440として透明電極を備える有機EL発光体400は、両面発光タイプの発光体となりうる。このように、第二電極440の種類は、有機EL発光体400のタイプに応じて、選択しうる。
有機EL発光体400は、上述した構成要素に組み合わせて、更に任意の構成要素を備えうる。例えば、有機EL発光体400は、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層及び電子注入層等の任意の層(図示せず。)を、第一電極420と第二電極440との間に備えていてもよい。また、有機EL発光体400は、第一電極420及び第二電極440に通電するための配線(図示せず。)、発光層430の封止のための周辺構造(図示せず。)などを備えていてもよい。
有機EL発光体400に含まれる層の材料は、特に限定されないが、具体例としては、下記のものが挙げられる。透明電極の材料としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)が挙げられる。反射電極の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等が挙げられる。正孔注入層の材料としては、例えば、スターバースト系芳香族ジアミン化合物等が挙げられる。正孔輸送層の材料としては、例えば、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられる。黄色発光層のホスト材料としては、例えば、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられ、黄色発光層のドーパント材料としては、例えば、テトラセン誘導体等が挙げられる。緑色発光層の材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体等が挙げられる。青色発光層のホスト材料としては、例えば、アントラセン誘導体等が挙げられ、青色発光層のドーパント材料としては、例えば、ペリレン誘導体等が挙げられる。赤色発光層の材料としては、例えば、ユーロピウム錯体等が挙げられる。電子輸送層の材料としては、例えば、アルミニウムキノリン錯体(Alq)等が挙げられる。
また、発光層420は、複数の層を組み合わせることにより、積層型又はタンデム型と呼ばれる、補色関係にある色の光を発生する発光層としてもよい。補色関係の組み合わせは、例えば、黄/青、又は緑/青/赤等としてもよい。
このような有機EL発光体400は、第一電極420、発光層430及び第二電極440を、スパッタリング等の形成方法により、複合ガスバリア積層体410上に順次形成することによって、製造しうる。フィルム基材としての複合ガスバリア積層体410を用いているので、前記の有機EL発光体400は、ロール・トゥ・ロールによって連続的に製造することが可能である。よって、このような有機EL発光体400は、高い製造効率で量産できる。
さらに、上述した複合ガスバリア積層体は、有機EL発光体用のフィルム基材以外の用途に用いてもよい。例えば、複合ガスバリア積層体は、その優れたガスバリア性を利用して、封止材として用いてもよく、中でもその優れた透明性を利用して、光学用の封止材として用いることが好ましい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温および常圧の条件において行った。
[評価方法]
〔水蒸気透過率の測定方法〕
複合ガスバリア積層体を、適切な大きさに打ち抜いて、サンプルを得た。直径8cmの円形の測定領域を有する差圧式測定装置(technolox社製「デルタパーム」)を用い、40℃90%Rh相当の水蒸気による圧力をサンプルの両側で形成して、水蒸気透過率を測定した。
〔カール量の測定方法〕
サンプルを5cm角に打ち抜いて、サンプル片を得た。このサンプル片を、水平な台の上に配置した。この際、鉛直上方に凹状のカールが生じる向きで、サンプル片を配置した。配置されたサンプル片のコーナー部4点の、台からの距離を測定した。測定された4点における距離の平均値を計算し、この平均値をカール量とした。
[実施例1]
(接着樹脂の製造)
紫外線硬化樹脂(大同化成工業社製「UV硬化樹脂 5790」)に、ゼオライト粒子(平均粒子径10μm)を、撹拌脱泡装置(シンキー社製「RE−250」)を用いて混合して、接着樹脂〔a〕を得た。接着樹脂〔a〕におけるゼオライト粒子の量は、20%であった。
(第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体の製造)
長尺の脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF14」、厚み100μm)の一方の面に、スパッタ装置を用いて、厚み100nmのSiON層を形成して、ガスバリア積層体〔1〕を得た。このガスバリア積層体〔1〕の水蒸気透過率及びカール量を測定した。水蒸気透過率は2×10−2g/m2/day、カール量は4mmであった。その後、SiON層を形成していない側のガスバリア積層体〔1〕の面に、コロナ処理を施した。このようにコロナ処理を施したガスバリア積層体〔1〕を、2枚用意した。
(複合ガスバリア積層体の製造)
一方のガスバリア積層体〔1〕のコロナ処理面に、接着樹脂〔a〕を、厚み50μmで塗工して、接着樹脂〔a〕の層を形成した。ゼオライト粒子の比重を2g/cm3として、前記の接着樹脂〔a〕の層におけるゼオライト粒子の量を計算したところ、ゼオライト粒子の量は13g/m2であった。
その後、もう一方のガスバリア積層体〔1〕のコロナ処理面を、前記の接着樹脂〔a〕の層に貼り合わせた。そして、800mJ/cm2の紫外線を接着樹脂〔a〕の層に照射し、硬化させて、接着層〔A〕を形成した。これにより、SiON層/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/接着層〔A〕/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/SiON層という層構成を有する複合ガスバリア積層体〔I〕を得た。
得られた複合ガスバリア積層体〔I〕の水蒸気透過率を100時間測定したところ、複合ガスバリア積層体〔I〕を透過した水分は検出されなかった。この結果から、複合ガスバリア積層体〔I〕の水蒸気透過率が、測定装置の測定限界以下であり、1.0×10−5g/m2/day以下であることが確認された。
また、複合ガスバリア積層体〔I〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[実施例2]
(接着樹脂の製造)
ゼオライト粒子(平均粒子径20nm)と、分散媒としてのメチルエチルケトンとを含む分散液を用意した。この分散液を、紫外線硬化樹脂(大同化成工業社製「UV硬化樹脂 5790」)に、撹拌脱泡装置(シンキー社製「RE−250」)を用いて混合して、混合物を得た。この混合物を真空乾燥機中に放置し、分散媒を除去して、接着樹脂〔b〕を得た。接着樹脂〔b〕におけるゼオライト粒子の量は、10%であった。
(第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体の製造)
長尺の脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF14」、厚み100μm)の一方の面に、プラズマCVD装置を用いて、厚み350nmのSiON層を形成して、ガスバリア積層体〔2〕を得た。このガスバリア積層体〔2〕の水蒸気透過率及びカール量を測定した。水蒸気透過率は5×10−3g/m2/day、カール量は1.5mmであった。その後、SiON層を形成していないガスバリア積層体〔2〕の面に、コロナ処理を施した。このようにコロナ処理を施したガスバリア積層体〔2〕を、2枚用意した。
(複合ガスバリア積層体の製造)
一方のガスバリア積層体〔2〕のコロナ処理面に、接着樹脂〔b〕を、厚み40μmで塗工して、接着樹脂〔b〕の層を形成した。ゼオライト粒子の比重を2g/cm3として、前記の接着樹脂〔b〕の層におけるゼオライト粒子の量を計算したところ、ゼオライト粒子の量は4g/m2であった。
その後、もう一方のガスバリア積層体〔2〕のコロナ処理面を、前記の接着樹脂〔b〕の層に貼り合わせた。そして、800mJ/cm2の紫外線を接着樹脂〔b〕の層に照射し、硬化させて、接着層〔B〕を形成した。これにより、SiON層/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/接着層〔B〕/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/SiON層という層構成を有する複合ガスバリア積層体〔II〕を得た。
得られた複合ガスバリア積層体〔II〕の水蒸気透過率を100時間測定したところ、複合ガスバリア積層体〔II〕を透過した水分は検出されなかった。この結果から、複合ガスバリア積層体〔II〕の水蒸気透過率が、測定装置の測定限界以下であり、1.0×10−5g/m2/day以下であることが確認された。
また、複合ガスバリア積層体〔II〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[実施例3]
ゼオライト粒子(平均粒子径20nm)の代わりに酸化マグネシウム粒子(平均粒子径30nm)を用いたこと、及び、樹脂中の酸化マグネシウム粒子の量を30%に変更したこと以外は、実施例2の工程(接着樹脂の製造)と同様にして、接着樹脂〔c〕を用意した。
接着樹脂〔b〕の代わりに前記の接着樹脂〔c〕を用いた。以上の事項以外は実施例2と同様にして、SiON層/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/接着層〔C〕/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/SiON層という層構成を有する複合ガスバリア積層体〔III〕を得た。この複合ガスバリア積層体〔III〕において、接着層〔C〕における酸化マグネシウム粒子の量を計算したところ、15g/m2であった。
得られた複合ガスバリア積層体〔III〕の水蒸気透過率を100時間測定したところ、複合ガスバリア積層体〔III〕を透過した水分は検出されなかった。この結果から、複合ガスバリア積層体〔III〕の水蒸気透過率が、測定装置の測定限界以下であり、1.0×10−5g/m2/day以下であることが確認された。
また、複合ガスバリア積層体〔III〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[実施例4]
(接着樹脂の製造)
ガラス転移温度120℃のスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を15%溶解させたシクロヘキサン溶液に、ゼオライト粒子(平均粒子径10μm)を添加し、撹拌脱泡装置(シンキー社製「RE−250」)を用いて混合して、接着樹脂〔d〕を得た。接着樹脂〔d〕におけるゼオライト粒子の量は、25%であった。
(接着層の製造)
離型処理されたポリエステルフィルム(東山フィルム製「HY-US20」)に、接着樹脂〔d〕を、乾燥後厚みが20μmになるように塗布し、乾燥して、接着樹脂〔d〕からなる接着層〔D〕を形成した。その後、接着層〔D〕をポリエステルフィルムから剥離して、ゼオライト粒子を含む20μmの厚さのシート状の樹脂層〔D〕を得た。樹脂層〔D〕におけるゼオライト粒子の量を計算したところ、6g/m2であった。
(第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体の製造)
長尺の脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF16」、厚み50μm)の一方の面に、プラズマCVD装置を用いて、厚み600nmのSiOC層を形成して、ガスバリア積層体〔3〕を得た。このガスバリア積層体〔3〕の水蒸気透過率及びカール量を測定した。水蒸気透過率は1.5×10−3g/m2/day、カール量は8mmであった。その後、SiON層を形成していない側のガスバリア積層体〔3〕の面に、コロナ処理を施した。このようにコロナ処理を施したガスバリア積層体〔3〕を、2枚用意した。
(複合ガスバリア積層体の製造)
2枚のガスバリア積層体〔3〕のコロナ処理面の間に、樹脂層〔D〕を挟み、130℃の温度で熱ラミネートした。これにより、SiON層/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/樹脂層〔D〕/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/SiON層という層構成を有する複合ガスバリア積層体〔IV〕を得た。
得られた複合ガスバリア積層体〔IV〕の水蒸気透過率を100時間測定したところ、複合ガスバリア積層体〔IV〕を透過した水分は検出されなかった。この結果から、複合ガスバリア積層体〔IV〕の水蒸気透過率が、測定装置の測定限界以下であり、1.0×10−5g/m2/day以下であることが確認された。
また、複合ガスバリア積層体〔IV〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[比較例1]
接着樹脂〔a〕の代わりに、吸湿性粒子を含まない紫外線硬化樹脂(大同化成工業製「UV硬化樹脂 5790」)を用いた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、複合ガスバリア積層体〔V〕を製造した。
得られた複合ガスバリア積層体〔V〕の水蒸気透過率を測定したところ、測定開始から1時間後には、水分が透過し初めた。この複合ガスバリア積層体〔V〕の水蒸気透過率は、2.1×10−2g/m2/dayであった。
また、複合ガスバリア積層体〔V〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[比較例2]
樹脂中のゼオライト粒子の量を0.2%に変更したこと以外は、実施例1の工程(接着樹脂の製造)と同様にして、接着樹脂〔e〕を用意した。
接着樹脂〔a〕の代わりに前記の接着樹脂〔e〕を用いた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、複合ガスバリア積層体〔VI〕を製造した。この複合ガスバリア積層体〔VI〕において、ゼオライト粒子の比重を2g/cm3として、接着層におけるゼオライト粒子の量を計算したところ、ゼオライト粒子の量は0.08g/m2であった。
得られた複合ガスバリア積層体〔VI〕の水蒸気透過率を測定したところ、測定開始から2時間後には、水分が透過し初めた。この複合ガスバリア積層体〔VI〕の水蒸気透過率は、1.1×10−2g/m2/dayであった。
また、複合ガスバリア積層体〔VI〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[比較例3]
(接着樹脂の製造)
樹脂中のゼオライト粒子の量を40%に変更したこと以外は、実施例1の工程(接着樹脂の製造)と同様にして、接着樹脂〔f〕を用意した。
(第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体の製造)
実施例1の工程(第一ガスバリア積層体及び第二ガスバリア積層体の製造)と同様にして、コロナ処理を施したガスバリア積層体〔1〕を、2枚用意した。
(複合ガスバリア積層体の製造)
一方のガスバリア積層体〔1〕のコロナ処理面に、接着樹脂〔f〕を、厚み100μmで塗工して、接着樹脂〔f〕の層を形成した。ゼオライト粒子の比重を2g/cm3として、前記の接着樹脂〔f〕の層におけるゼオライト粒子の量を計算したところ、ゼオライト粒子の量は50g/m2であった。
その後、もう一方のガスバリア積層体〔1〕のコロナ処理面を、前記の接着樹脂〔f〕の層に貼り合わせた。そして、800mJ/cm2の紫外線を接着樹脂〔f〕の層に照射し、硬化させて、接着層〔F〕を形成した。これにより、SiON層/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/接着層〔F〕/脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム/SiON層という層構成を有する複合ガスバリア積層体〔VII〕を得た。
得られた複合ガスバリア積層体〔VII〕の水蒸気透過率を測定しようとしたが、サンプルを用意するために複合ガスバリア積層体〔VII〕を打ち抜いた時に、接着層〔F〕を起点としたクラックが発生したため、水蒸気透過率を測定できなかった。また、複合ガスバリア積層体〔VII〕を折り曲げたところ、容易に亀裂が生じた。
また、複合ガスバリア積層体〔VII〕のカール量を測定したところ、1mm以下であった。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2にまとめた。
[検討]
表1から分かるように、接着層に適切な量の吸湿性粒子を含む実施例1〜4の複合ガスバリア積層体は、1.0×10−4g/m2/day以下という、有機EL発光体のフィルム基材として使用可能な程度に低い水蒸気透過率を達成できた。また、これらの複合ガスバリア積層体は、いずれも透明であり、光を透過させうるものであった。したがって、前記の実施例1〜4の結果から、ガスバリア性に優れた透明な複合ガスバリア積層体を本発明によって実現できることが、確認された。