発明の詳細な説明
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2014年3月7日に出願した米国特許仮出願第61/949,456号に基づく優先権と、その利益を主張するものであり、この出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
〔技術分野〕
本開示は、ペプチド、特には、非麻薬性鎮痛性ペプチド、及び慢性疼痛の治療方法を含むその使用方法に関する。
〔背景技術〕
全世界で約15億人が、様々な病因の慢性疼痛を患っている。疼痛は、戦場で負傷した兵士及び退役軍人の障害の主因である。急性及び慢性疼痛は、一般人の比率を大きく上回る比率で、軍人と退役軍人を苦しめている。不朽の自由作戦またはイラクの自由作戦の退役軍人の限定的コホート研究では、81.5%が慢性疼痛を経験したことが明らかになった。全退役軍人の30%近くが、持続的な慢性疼痛を治療してもらいたいと考えている。
重度の損傷(多発外傷)、外傷後ストレス障害(PTSD)及び外傷性脳損傷(TBI)、または脳振盪後症候群が原因で慢性疼痛を患っている退役軍人の疼痛管理の基本は、今のところ、モルヒネなどのオピオイドである。しかしながら、モルヒネを治療のために投与しても、慢性疼痛の十分かつ長期的な緩和が実現しないことが多いうえに、呼吸抑制、鎮静、便秘、悪心、嘔吐、耽溺、耐性及び自殺リスクの増大を含む数多くの有害な副作用が生じることが多い。更生施設への入院/過剰摂取の原因を測定したところ、処方されるオピオイド(例えばμ−オピオイド受容体アゴニスト)は、最も乱用性の高い薬物の一種となっており、2008年に軍が行った調査によれば、軍人による処方薬の乱用は、一般人で見られる数字の2倍超、すなわち、一般人の5%に対して11%である)。代替となる非オピオイド系の疼痛剤が早急に必要である。疼痛の機序の複雑性を更に深く理解することにより、更に合理的かつ標的を絞る疼痛療法へのアプローチと、更に安全で効率的な疼痛治療につながる。
〔発明の概要〕
本明細書では、電位依存性ナトリウムチャネルアイソフォーム1.7(Nav1.7)を調節するペプチドを開示する。特に、開示するペプチドは、コラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)の低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化によるNav1.7機能のトラフィッキングを阻止、阻害及び/または低下させるとともに、慢性疼痛状態(例えば、熱傷痛、関節痛、腸の炎症、一部のがん性疼痛及び糖尿病性神経障害のようなある種の神経損傷に付随する神経炎症)などの疼痛の管理を含む、Nav1.7によって調節される障害、状態及び疾患を緩和するのに用いることができる。
いくつかの実施形態では、コラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)の低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化による電位依存性ナトリウムチャネル1.7(Nav1.7)機能のトラフィッキングを阻止、阻害及び/または低下することができる、3〜20個のアミノ酸からなる単離ポリペプチドであって、3〜20個のアミノ酸が、KMDというアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを開示する。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、3〜8個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、GKMDENQというアミノ酸配列(CSM−1Sと称される。配列番号1)に対する配列同一性が95%であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、GKMDENQというアミノ酸配列(CSM−1S、配列番号1)を含む。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、WDKAVVTGKMDENQFVAVというアミノ酸配列(CSM−1L、配列番号2)に対する配列同一性が95%であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、WDKAVVTGKMDENQFVAVというアミノ酸配列(CSM−1Lと称される。配列番号2)を含む。いくつかの実施形態では、単離ペプチドは、
(a)GRKKRRQRRRPPQ(配列番号3)、
(b)RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号4)、
(c)LLIILRRRIRKQAHAHSK(配列番号5)、
(d)RGGRLSYSRRRFSTSTGR(配列番号6)、
(e)RRRRRRRRR(配列番号7)、
(f)GRRRRRRRRRPPQ(配列番号8)、
(g)AAVALLPAVLLALLAP(配列番号9)、
(h)KLALKLALKALKAALKLA(配列番号10)、
(i)TRRQRTRRARRNR(配列番号11)、
(j)PLSSIFSRIGDP(配列番号12)、
(k)MALNLGWLLALFVTMWTDVGLCKKRPKP(配列番号13)、
(l)AGYLLGKINLKALAALAKKIL(配列番号14)、または
(m)PLSSIFSRIGDP(配列番号15)
というアミノ酸配列を有する細胞透過性モチーフのような細胞透過性モチーフを更に含む。
単離ポリペプチドと、製薬学的に許容可能な担体とを含む組成物も提供する。いくつかの実施形態では、開示されているポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターを提供する。いくつかの実施形態では、開示されているベクター構築物を含む細胞を提供する。
侵害受容の抑制方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、対象に、開示されている単離ポリペプチドまたは組成物を有効量投与し、それによって、対象の侵害受容を抑制することを含む。いくつかの例では、ペプチドまたは組成物は、静脈内、髄腔内、腹腔内、皮下、経口、経皮、硬膜外または舌下投与する。いくつかの例では、対象は、急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、がん性疼痛、神経疼痛、筋肉疼痛、熱傷痛、関節痛、腸の炎症疼痛、骨痛及び/若しくは骨粗しょう症の疼痛、炎症性疼痛、またはこれらの組み合わせを患う恐れがあるかまたは患っている。いくつかの例では、対象は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病及び/または慢性疲労症候群などの神経障害を患う恐れがあるかまたは患っている。いくつかの例では、対象は、うつ病、PTSD、不安神経症、耽溺及び強迫性障害などの情緒及び/または気分障害を患う恐れがあるかまたは患っている。
本開示の上記及びその他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら進行する下記の詳細な説明から、更に明らかになるであろう。
〔図面の簡単な説明〕
図1A〜1C:CRMP2は、保存された負電荷SUMO化モチーフ(NDSM)コンセンサス配列を含む。(図1A)可逆性のSUMOサイクルと、CRMP2などの修飾タンパク質の一般的な結果は次の通りである。(i)SUMO化は、標的とそのパートナーとの相互作用を妨げることができるが、この場合の相互作用は、SUMO化が存在しないときのみに発生し得るものである。(ii)SUMO化によって、相互作用パートナーに対する結合部位をもたらすことができる。(iii)SUMO化によって、修飾した標的の立体構造変化をもたらすことができる。CRMP2では、これらのシナリオのうちのどれが生じるのかは不明である。(図1B)齧歯類動物CRMP1〜5の配列(それぞれ、配列番号16、配列番号2、配列番号17、配列番号18及び配列番号19)の短い領域を整列させたものであり、CRMPのSUMO化コンセンサスモチーフが黄色でハイライトされている。その基準モチーフの端側(右側)に隣接する負電荷酸性部分の存在は、更にストリンジェントなNDSMに適合する。数字は、ラットCRMP2のアミノ酸残基を指す。(図1C)。球(矢印)によって識別されるSUMO化モチーフ残基を有するCRMP2の構造図である。明確にするために、CRMP2四量体のうちの3つのモノマーのみが示されている。
図2:CRMP2配列、すなわちリン酸化部位及びSUMO化部位である。部分的に示されているラットCRMP2配列(完全配列については配列番号20、GenBANKアクセッションno.P47942(参照により、2015年3月6日の時点で入手可能なその全体が本明細書に援用される)を参照のこと)に、グリコーゲン3キナーゼベータ(GSK3β)、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)及びRhoキナーゼ(RhoK)によるリン酸化部位が示されている。配列番号20の残基374における低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化されるリシンも示されている。
図3:CRMP2によるNav1.7の調節を概略的に示している。本明細書に開示されているデータによって、CRMP2がE2ユビキチン結合酵素Ubc9によってSUMO化されることが示されている。CRMP2のSUMO化により、Nav1.7の細胞表面へのトラフィッキングの増大によって、電流密度が向上する。CRMP2のSUMO化部位(K374)を除去するか、またはCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)を含むデコイペプチドを細胞に導入すると、Nav1.7の表面発現の低下により、Nav1.7の電流密度が低下する。CRMP2のSUMO化を操作することによって、SUMO化がNav1.7のトラフィッキングを統制する機構が決定される。開示されているペプチドを用いて、疼痛行動、炎症及び神経障害を調節することができる。
図4A〜4D:細胞透過形態のCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドは、感覚ニューロンにおいて、Nav1.7の電流を阻害する。図4Aは、電圧プロトコールである。図4Bは、ビヒクル−またはtat−CSM−1S(20μM)で処置したDRGニューロンから得た電流トレースの代表的なファミリーであり、電流の顕著な低下を示すものである。図4Cは、2つの条件から得られたピーク電流密度(pA/pF)の要約データである。アスタリスクは、Nav1.7の電流密度の有意な低下を表している(p<0.05、スチューデントt検定)。括弧内の数字は、試験した細胞の数を表している。図4Dは、ビヒクル−またはtat−CSM−1Sで処置したDRGから得られたNav電流の活性化及び定常状態不活性化の代表的なボルツマンフィットである。
図5:Cdk5によるCRMP2のリン酸化が喪失すると、Ubc9に依存する形で、Nav1.7の電流が低下する。示されているDNA構築物の存在下または不在下におけるNav1.7−HEK293細胞の規格化ピーク電流が要約されている。ピーク電流は、細胞の容量を基準に規格化された。アスタリスクは、Cdk5部位変異体(CRMP2−S522A)と、もう一方の条件との間に、統計的に優位な差があることを示している(p<0.05、スチューデントt検定)。
図6A〜6E:ペプチドtat−CSM 1S、テトロドトキシン(TTX)及びプロトックス−II(NaV1.7を優先的にブロックするクモ毒素)は、培養ラット後根神経節(DRG)ニューロンにおいて、ウアバインによる細胞質Na+の増加を軽減する。ガラスカバースリップに播種した急性単離DRGニューロンに、SBFI(Na+感受性フルオロフォア)を加えてから、示されているように、1mMのウアバインのみ(図6A)、または10μMのTTX(図6C)若しくは10μMのプロトックス(図6D)と組み合わせて処理した。図6Bでは、ニューロンを10μMのtat−CSM 1Sで12時間、プレインキュベートしてからSBFIを加えて、試験を行った。図6Eでは、ウアバインによる細胞質Na+([Na+]c)の変化を統計的に分析した。カルシウムイメージング実験でこれまで行われてきたように、曲線下面積(AUC)を計算することによって、ウアバインによる[Na+]cの経時的変化を定量化した。これらの試験では、AUCは、ウアバイン及び他の薬剤の適用後、1200秒間にわたり計算した。データは平均値±SEMであり、*はp<0.05であり、**はp<0.01であり、N=3つの独立した試験である(1回の試験あたり、n=18〜27個の細胞)。
図7A〜7B:ラット坐骨神経部分損傷(SNI)モデルまたは対照(擬似)動物を用いた慢性疼痛試験である。図7A)SNIにおけるtat−CSM−1Sの抗痛覚過敏効果及び、擬似動物における鎮痛効果である。図7B)SNI動物におけるtat−CSM−1Sの抗アロディニア効果である(*p<0.05、SNI後のベースラインと比較した場合、n=6)。
図8A〜8B:坐骨神経部分損傷(SNI)モデルまたは対照(擬似)ラットを用いた慢性疼痛試験である。図8A)SNIにおけるガバペンチンまたはモルヒネの抗痛覚過敏効果である。図8B)SNI動物におけるガバペンチンまたはモルヒネの抗アロディニア効果である(*p<0.05、SNI後のベースラインと比較した場合、n=7〜8)。
図9:運動機能障害の試験である。ガバペンチンでは、ラットにおいて、重大な鎮静/運動機能障害が生じたのに対し、tat−CSM−1Sでは、24時間にわたり、いずれの運動機能障害/鎮静も生じなかった(*、p<0.01、n=6〜8)。
配列表
配列表に列挙されている核酸配列及びアミノ酸配列は、37C.F.R.1.822に定義されているように、ヌクレオチド塩基の標準的な略記とアミノ酸の3文字表記を用いて示されている。各核酸配列の1本の鎖しか示されていないが、示されている鎖を参照することによって、相補鎖が含まれるものと理解する。添付の配列表では、以下のとおりである。
配列番号1は、例示的なペプチドCSM−1Sのアミノ酸配列であり、
配列番号2は、例示的なペプチドCSM−1Lのコンセンサスアミノ酸配列であり、
配列番号3〜15は、例示的な細胞透過性モチーフのアミノ酸配列であり、
配列番号16は、CRMP1の部分アミノ酸配列であり、
配列番号17は、CRMP3の部分アミノ酸配列であり、
配列番号18は、CRMP4の部分アミノ酸配列であり、
配列番号19は、CRMP5の部分アミノ酸配列であり、かつ
配列番号20は、ラットCRMP2の完全なアミノ酸配列である。
配列表は、ASCIIテキストファイルとして、Sequence.txtというファイル名の形で提出されたが、このファイルは、2015年3月6日に作成したもので、9.96キロバイトであり、参照により本明細書に援用される。
〔発明を実施するための形態〕
I.序論
疼痛シグナル伝達は典型的には、情報を中枢神経系(CNS)に伝える末梢神経系の感覚ニューロンに由来する。これらの末梢感覚ニューロンの興奮性が変化すると、病的な疼痛感覚が生じることがある。電位依存性ナトリウムチャネル(VGSC、Nav)は、活動電位の発生及び伝播を調節する重要な決定因子であるため、ナトリウムチャネル機能の変化は、神経興奮性及び疼痛シグナル伝達に重大な影響を及ぼすことがある。Nav1.7アイソフォームは、末梢神経系において、後根神経節、三叉神経節及び交感神経節を含む、侵害受容性疼痛に関連する神経節内で優先的に発現する。疼痛シグナルの伝達を担う侵害受容ニューロンでは、上記のチャネルは、刺激に応じて活動電位を発生させるのに必要な電流閾値を調節する。
Nav1.7は、疼痛を調節する際の標的であるが、これは、Nav1.7をコードする遺伝子SCN9Aにおける機能喪失型変異が、先天性無痛症候群と関連付けられている一方で、機能獲得型変異が、衰弱性慢性疼痛状態の肢端紅痛症及び発作性激痛障害に関連付けられているためである。カラギーナンまたは完全フロイントアジュバント(CFA)によって末梢炎症が誘発された後、坐骨神経圧迫と椎間板ヘルニアのモデルとなる髄核留置とが組み合わさった後、かつ坐骨神経部分損傷(SNI)の後、Nav1.7の発現の増加には、糖尿病性神経障害に起因する疼痛が伴う。逆に、後根神経節(DRG)感覚ニューロンにおけるNav1.7のヘルペスベクター媒介ノックダウンにより、CFAに反応する痛覚過敏の発症が顕著に阻止される。いくつかの炎症性疼痛モデルにおいては、Nav1.7ノックアウトマウスも痛覚過敏を発症しない。
ヒト試験と動物実験のデータから、侵害受容におけるNav1.7の役割が示されている。したがって、Nav1.7の選択的阻害剤は、広範な疼痛状態を治療する強力な鎮痛剤である可能性が高い。Nav1.7ベースの鎮痛剤の開発は、非常に困難であることが分かっているが、これは、重大な生理学的役割を持つ、密接な関係があるNavチャネル(例えばNav1.1及びNav1.3)に対するオフターゲット効果の回避が不可欠であるためである。Nav1.7チャネルの調節因子を標的とする代替的アプローチは、Nav1.7チャネルそのものではなく、調節チェックポイントを標的にすることによって利点をもたらすことができ、このアプローチは、本明細書に開示されている。
正常な神経興奮性を確保するためには、細胞膜におけるNavチャネル密度の制御が重要である。対象に対する徹底的な調査にもかかわらず、神経病性疼痛におけるNavチャネルの調節については、依然としてよく理解されていない。翻訳後調節及び、直接的ならびに間接的なタンパク質間相互作用は、Navチャネルのトラフィッキングに対する想定される調節機構として研究が進められてきた。本発明者は、コラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)の翻訳後修飾を利用して、Nav1.7のトラフィッキングを調節する新規調節機構を特定した。
DPYSL2/DRP2、Unc−33、UlipまたはTUC2としても知られるコラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)(GenBankアクセッション番号NM_001386.5(ヒト)、NP_001099187.1(ラット)及びNP_034085.2(マウス)、これらはそれぞれ、2014年3月7日時点の参照により援用される)は、軸索/樹状突起の運命と軸索伸長を特定する。CRMP2のインタラクトームをマッピングすることによって、微小管ダイナミクス、タンパク質のエンドサイトーシス、小胞のリサイクル及びニューロン内でのシナプスの組み立てを調節する役割を補助できるようにする新規の標的が明らかになった。最近、リガンド依存性及び電位依存性カルシウムチャネルのトラフィッキングが、CRMP2の追加の役割として証明された。本発明者は、低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)の付加による、CRMP2の新規の翻訳後修飾を特定した。
低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)による修飾、すなわちSUMO化は、共有結合による可逆性の翻訳後イベントであって、約11kDの3つのSUMOタンパク質の1つを標的タンパク質内のリシンに付加することができるイベントである(図1A)。ユビキチン化の場合のように、E1活性化酵素、E2結合酵素、及びE3リガーゼ酵素という3つの酵素のカスケードが、SUMO1〜3のC末端グリシンと、受容体タンパク質上のSUMOモチーフにおける標的リシンのε−アミノ基とのイソペプチド結合をもたらす。典型的なモチーフは、標的リシンの前にあり、2部位下流に負電荷アミノ酸が続く大きい疎水性のアミノ酸(ψ)を特徴とする(ψ−K−X−E/D)。E2酵素であるUbc9は、3つの脊椎動物SUMOタンパク質のうちの1つ以上を標的リシンに結合させることができる一方で、セントリン/SUMO特異的プロテアーゼ(SENP)1及びSENP2は、SUMOを除去することによって、修飾を無効にする。SUMO化は、電位依存性カリウムチャネルKv1.5の不活性化、Kv2.1の活性化及びグルタミン酸受容体アイソフォーム6(GluR6)のエンドサイトーシスを含む、いくつかのイオンチャネル及び受容体の調節に関連付けられている。グルタミン酸受容体アイソフォームGluR7及び代謝型GluR(mGluR)2、4、6、7a及び7bも、SUMO化の標的であることが示されている。CRMP2が、これらのタンパク質のいずれとも、相互作用することは示されていない。
Nav1.7のトラフィッキングを選択的に低下させるには、CRMP2における低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)修飾部位の破壊で十分であったが、Nav1.1またはNav1.3チャネルに対しては十分でなかったことを、本発明者は立証した。Nav1.7自体がSUMO化の標的であるかは不明であるが、神経系に存在するTTX感受性電位依存性ナトリウムチャネルの中では、Nav1.7のみにおいて、推定SUMO化モチーフが欠損している。したがって、SUMO化がNav1.7チャネルに及ぼす作用のいずれも、本発明の試験で示されているCRMP2などのアクセサリータンパク質の間接的修飾によるものである可能性が高い。Nav1.7を特異的または優先的に調節する機構は、Nav1.7の増加及び末梢疼痛の伝達という役割により、特に関連するものである。そのため、熱傷痛、関節痛、腸の炎症、一部のがん性疼痛、及び糖尿病性神経障害のようなある種の神経損傷に付随する神経炎症を含む慢性疼痛状態の治療のために、Nav1.7チャネルのトラフィッキングに対する選択的ブロッカーの開発が、強く望まれている。
翻訳後修飾、特にリン酸化(図2)は、CRMP2の相互作用の誘導と、パートナータンパク質の機能の調節に関与している。例えば、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)によるリン酸化は、CRMP2と電位依存性カルシウムチャネルとの相互作用を高めて、カルシウム流入を調節する。グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β又はRho結合タンパク質キナーゼ(ROCK)によるリン酸化は、CRMP2がチューブリンヘテロ二量体に結合する能力を低下させ、微小管を不安定化させ、軸索退縮/成長円錐退縮をもたらす。
本発明で特に関連するものの中で、タンパク質のリン酸化が、多くのタンパク質においてその後のSUMO化に影響を及ぼすことが多い。例えば、タンパク質キナーゼCによる直接的なリン酸化及びカイニン酸受容体サブユニットGluK2のSUMO化は、GluK2含有カイニン酸受容体の表面発現及び機能の調節において密接に関係する。しかしながら、リン酸化が、CRMP2のSUMO化を調節して、Nav1.7のトラフィッキング及び活性を変化させるかは不明である。
CRMP2のSUMO化の修飾は、Nav1.7を制御する機構を示し、末梢で発現するNav1.7の表面発現のみを標的とすることができる可能性があることが示されている。本明細書では、Nav1.7チャネルを直接ブロックする場合とは対照的に、初代DRGニューロンにおけるNav1.7のトラフィッキングを低下させることは、疼痛に対抗する目的でNav1.7に対する阻害剤を開発する有効な方策であることを示す試験を開示する(下記の実施例の項を参照のこと)。この所見に基づき、本発明者は、CRMP2のSUMO化が喪失した場合に観察される、Nav1.7の電流密度の低下を再現することができるペプチド治療剤を開発した。このペプチド治療剤は、CRMP2のSUMO化によるNav1.7機能のトラフィッキングを阻止することによって、刺激依存性神経因性痛覚過敏を緩和するものであり、慢性疼痛の管理に対する新たなアプローチである。
II.用語
別途示されない限り、技術用語は、従来の用法に従って用いられている。別段の説明のない限り、本明細書で用いられている全ての技術用語及び科学用語は、本開示の属する技術分野に精通する者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。文脈によって明確に別段に示されている場合を除き、「a」、「an」及び「the」という単数形の用語には、複数形の指示物が含まれる。本開示の実施または試験の際には、本明細書に記載されているものと同様または同等の方法及び材料を用いることができるが、好適な方法及び方法が後述されている。
本明細書で言及されている全ての文献、特許出願、特許及びその他の参照文献は、参照によりその全体が援用される。矛盾がある場合には、用語の説明も含め、本明細書が優先される。加えて、材料、方法及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定することを意図していない。
本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語について以下で説明する。
投与:対象に、治療剤などの薬剤を任意の有効な経路で供給または付与することである。例示的な投与経路としては、注射経路(皮下注射、筋内注射、皮内注射、腹腔内注射、髄腔内注射、硬膜外注射及び静脈内注射など)、経口経路、管内経路、舌下経路、直腸経路、経皮経路、鼻腔内経路、膣内経路ならびに吸入経路が挙げられるが、これらに限らない。
鎮痛剤 :鎮痛剤は、疼痛に対する感覚を無くす麻酔剤、または疼痛の認識を完全に無くす必要なしに、疼痛に対する感受性を低下させる薬剤のいずれかであってよい。いくつかの例では、開示されているペプチドは鎮痛剤である。別の例では、開示されているペプチドは麻酔剤である。
血液脳関門(BBB):脳及び中枢神経系への供給を行う毛細血管において、上皮細胞によって形成される関門である。この関門は、水、酸素、二酸化炭素、ならびにグルコース、アルコール及び全身麻酔剤などの非イオン性溶質といった物質を選択的に進入させる一方で、他の物質の進入をブロックする。グルコース及びアミノ酸のような一部の小分子は、特異的輸送機構によって、血液脳関門を越えて輸送される。
脳損傷:1種類以上の頭蓋内組織に対するいずれかの損傷である(損傷メカニズムは問わない)。最も一般的な損傷メカニズムは、鈍的外傷または穿通性外傷であるが、その他の損傷として、外科損傷、放射線による損傷、電気/電撃による損傷、音響エネルギーによる損傷または爆風による損傷(一次的、二次的、三次的または四次的形態)を挙げることができる。脳損傷には、損傷メカニズム、及び損傷に対する肉体的応答、生化学的応答、炎症応答または免疫応答などのあらゆる損傷後の続発症が含まれ、このような続発症が、即時型応答として生じるか、遅延型応答として生じるか、または持続型応答として生じるかは問わない。いくつかの損傷メカニズム、損傷応答及び損傷後の臨床的症候群は、CG Goetz(editor),Textbook of Clinical Neurology,3rd Edition,2007,Chapter51に論じられている。更なる機構または応答としては、空洞化、剪断、ひずみまたはひずみ速度介在性損傷、血液脳関門の応答、急性または慢性炎症応答、及びニューロン新生、ニューロン移動または幹細胞応答の変化が挙げられるが、これらに限らない。損傷後の更なる臨床的症候群としては、気分、不安、認知、知覚、意識または現実吟味能力の変化を挙げることができる。
うつ病性障害:悲しい気分または憂鬱な気分に支配されることを特徴とするが、典型的には、必ずしも2週間以上継続するとは限らない気分障害である。うつ病性障害では、悲しい気分または憂鬱な気分に付随して、エネルギーの低下、食欲の変化、体重の増加または減少、不眠または睡眠過剰、死について繰り返し考えること、自殺を思うこと、日常活動への興味の喪失、思考力の減退または認知速度の低下、話し方が遅くなること、話す量が減ること、過度のまたは不適当な罪悪感、集中力の低下、倦怠感、及び正常な運動活動時(粗大運動、微細運動、会話など)よりも緩慢になることのうちの1つ以上を含む他の徴候または症状も見られる。うつ病性障害には、知覚障害が伴うこともある。うつ病性障害は、内科的障害(例えば、内分泌障害、狼瘡)、薬の副作用(例えばインターフェロン)、物質使用障害、神経障害(例えば、発作性障害、外傷性脳損傷)が原因となる場合もあれば、原因不明である場合もある。
がん:分化の欠失、増殖速度の向上、周囲組織への浸潤を伴う特徴的な退形成を経た悪性新生物であり、転移することができる。例えば、前立腺がんは、前立腺組織内でまたは前立腺組織から発生する悪性新生物であり、乳がんは、乳房組織内でまたは乳房組織から発生する悪性新生物である(腺管癌など)。残存がんは、甲状腺がんを減少または根絶するために、任意の形態の治療を対象に対して行った後に、対象の体内に残存しているがんである。転移がんは、その転移がんの派生元である元の(原発)がんの発生部位を除く1つ以上の体内部位にあるがんである。
細胞透過性モチーフ:ペプチドが細胞膜を透過/通過する能力を促進するアミノ酸モチーフである。
有効量:化合物または化合物を組み合わせの量であって、所望の効果、例えば、対象の疾患または状態を治療または抑制する効果を得るのに十分な量である。化合物または化合物の組み合わせの有効量は、その化合物と所望の効果によって決まることになる。当業者であれば、有効量を定めることができる。
侵害受容:侵害刺激をコード及び処理する神経プロセス、例えば、組織を損傷する電位を有する刺激によって、末梢神経系及び中枢神経系で生じる求心性活動である。この活動は、所定の閾値を上回る機械的変化、熱変化または化学変化を検出することができる侵害受容体(疼痛受容体ともいう)によって開始される。刺激を受けると、侵害受容体は、シグナルを脊髄に沿って脳まで伝達する。いくつかの実施形態では、侵害受容とは、疼痛の知覚を指す。
ペプチド:アミノ酸またはアミノ酸類似体が互いに化学結合したものから構成されるいずれかの化合物である。本明細書で使用する場合、ペプチドには、ポリペプチドまたはタンパク質を含む、アミノ酸、アミノ酸類似体または低分子及び高分子ペプチドのオリゴマーが含まれる。アミノ酸の任意の鎖であり、その長さまたは翻訳後修飾(グリコシル化またはリン酸化など)は問わない。ある1つの例では、ペプチドは、2つ以上のアミノ酸がペプチド結合によって連結したものである。典型的には、ペプチドは、50個未満のアミノ酸からなり、例えば、約3〜約20個のアミノ酸からなり、約7〜約18個のアミノ酸からなり、約7〜約20個のアミノ酸からなる。
「ペプチド」は、アミノ酸ポリマー、天然のアミノ酸ポリマー及び非天然のアミノ酸ポリマー、ならびに1つ以上のアミノ酸残基が非天然のアミノ酸、例えば対応する天然のアミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸ポリマーに適用される。
「ポリペプチド」は、そのモノマーが、アミド結合によって互いに連結しているアミノ酸残基であるポリマーである。アミノ酸がアルファ−アミノ酸の場合、L−光学異性体またはD−光学異性体のいずれかを用いることができる。「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、本明細書で使用する場合、任意のアミノ酸配列を含むとともに、糖タンパク質のような改変配列を含むように意図されている。「ポリペプチド」という用語は特に、天然のタンパク質、及び組み換えまたは合成によって生成したタンパク質を網羅するように意図されている。「残基」または「アミノ酸残基」という用語には、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに組み込まれているアミノ酸への言及が含まれる。
「可溶性」という用語は、細胞膜に挿入されないポリペプチドの形態を指す。
保存的アミノ酸置は、置換が行われたときに、元のタンパク質の特性を最小限しか妨がないアミノ酸置換であり、すなわち、そのような置換によって、そのタンパク質の構造及び特に機能は保存され、あまり変化しない。保存的置換の例を以下に示す。
保存的置換は概して、(a)置換領域内のポリペプチド骨格の構造、例えば、シート若しくはらせん構造、(b)標的部位の分子の電荷若しくは疎水性、または(c)側鎖のかさを保持している。
概してタンパク質の特性を最も大きく変化させると予測される置換は、非保存的なものとなり、例えば(a)親水性残基、例えばセリル若しくはスレオニルを、疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル若しくはアラニルで置換する(またはそれによって置換する)、(b)システイン若しくはプロリンを他の任意の残基で置換する(またはそれによって置換する)、(c)電気的に陽性な側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニル若しくはヒスチジルを、電気的に陰性な残基、例えばグルタミル若しくはアスパルチルで置換するか(またはそれによって置換する)、または(d)かさ高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンを、側鎖を有さない残基、例えばグリシンで置換する(またはそれによって置換する)といった変化がある。
製薬学的に許容可能な担体:本開示において有用な製薬学的に許容可能な担体は、従来のものである。Remington:The Science and Practice of Pharmacy(The University of the Sciences in Philadelphia,Lippincott,Williams,& Wilkins編、Philadelphia,PA,第21版(2005))には、本明細書に開示されている薬剤の製薬学的送達に適する組成物及び製剤が記載されている。
概して、この担体の性質は、使用する特定の投与形式によって決定されることになる。例えば、非経口製剤は通常、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどのような製薬学的かつ生理学的に許容可能な流体を含む注射用流体を賦形剤として含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態)では、従来の非毒性固体担体としては、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。投与される医薬組成物は、生物学的に中性の担体に加えて、湿潤剤または乳化剤、保存剤及びpH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートなどのような非毒性の補助物質を少量含有することができる。
心的外傷後ストレス症候群(PTSD):日常の活動を行うのが困難になるほど、恐怖感、錯乱、及び/または怒りの感情を対象に残す外傷イベントを経験した後に発症し得る障害である。外傷イベントとしては、戦闘または軍事経験、幼少時の性的または身体虐待、テロ攻撃、性的または身体的暴力、重大事故及び天災(火事、竜巻、ハリケーン、洪水または地震など)を挙げることができる。ある1つの例では、PTSDは、American Psychiatric Associatingによって出版されたDiagnostic and Statistical Manual(DSM)第4版・解説改訂版(DSM−IV−TR)によって定義されている。
配列同一性:アミノ酸配列間の類似性は、配列間の類似性(配列同一性ともいう)の観点で表す。配列同一性は、同一性(または類似性若しくは相同性)のパーセンテージの単位で測定することが多く、パーセンテージが高いほど、2つの配列の類似性が高くなる。Nav1.7を調節することができる、開示されているペプチドの相同体または変異体は、標準的な方法を用いて整列させると、比較的高い配列同一性を有することになる。
比較するために配列を整列させる方法は、当該技術分野において周知である。様々なプログラム及び整列アルゴリズムがSmith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482,1981、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443,1970、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444,1988、Higgins and Sharp,Gene 73:237,1988、Higgins and Sharp,CABIOS 5:151,1989、Corpet et al.,Nucleic Acids Research 16:10881,1988及びPearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444,1988に記載されている。加えて、AltschulらのNature Genet.6:119,1994には、配列整列方法と相同性の算出について詳細な検討が示されている。
配列分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxと組み合わせて用いるものとして、NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403,1990)が、National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda,MD)を含むいくつかの供給源から、かつインターネット上で入手可能である。このプログラムを用いて配列同一性を求める方法の説明は、インターネット上のNCBIのウェブサイトで入手可能である。
ペプチドの相同体及び変異体は典型的には、NCBI Blast2.0、デフォルトパラメータに設定したgapped blastpを用いて、完全長整列にわたって計算した特定のアミノ酸配列との配列同一性が少なくとも約75%、例えば少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%であることを特長とする。約30個超のアミノ酸のアミノ酸配列を比較する際には、デフォルトパラメータに設定したデフォルトのBLOSUM62マトリックス(ギャップエグジステンスコスト(gap existence cost):11、パーレジデューギャップコスト(per residue gap cost):1)を用いて、Blast2配列関数を用いる。短いペプチド(約30個よりも少ないアミノ酸)を整列させるときには、デフォルトパラメータに設定したPAM30マトリックスを用いるBlast2配列関数を用いて整列を行う必要がある(オープンギャップ(open gap):9、エクステンションギャップ(extension gap):1ペナルティ(penalties))。この方法によって評価するときには、基準配列との類似性が更に高いタンパク質は、同一性パーセンテージの上昇を示すことになる(少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性など)。完全長配列よりも短い配列の配列同一性を比較するときには、相同体及び変異体は典型的には、10〜20個のアミノ酸という短いウィンドウにわたって、少なくとも80%の配列同一性を有することになるとともに、基準配列との類似性に応じて、少なくとも85%または少なくとも90%若しくは95%の配列同一性を有することもある。このような短いウィンドウにわたって配列同一性を求める方法は、インターネット上のNCBIのウェブサイトで入手可能である。当業者であれば、これらの配列同一性の範囲は、指針のために示されているのに過ぎず、示されている範囲外の非常に重要な相同体を得られることも完全に可能であることを理解するであろう。
対象:ヒト及び、ヒト以外の哺乳動物の両方を含む部類の多細胞脊椎生物である。
置換:1つのものを別のものに置き換えることである。ポリペプチドのアミノ酸に関しては、「置換」は、あるアミノ酸を別のアミノ酸に置き換えることを意味する。
外傷性脳損傷(TBI):頭部の損傷を原因とする障害で、損傷後に、気分、不安、認知機能、疼痛、平衡、眼球運動機能、意識レベルまたは記憶の障害が生じる。本明細書で使用する場合、TBIには、報告されている全ての損傷メカニズム(穿通性外傷、爆風による外傷、鈍的外傷)、損傷後のあらゆる変化、損傷若しくは疾病後に一般的に観察される炎症、すなわち免疫応答、またはあらゆる医原性の原因若しくは結果が含まれる。医原性の原因若しくは結果の例としては、外科的手術、がんに対する化学療法、放射線療法または薬の副作用による脳の変化が挙げられる。
ベクター:宿主細胞に導入されることによって、形質転換された宿主細胞を産生する核酸分子である。ベクターは、複製起点のように、宿主細胞中で複製することができる核酸配列を含んでよい。ベクターは、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子、及び当該技術分野において知られているその他の遺伝要素も含んでよい。
III.ペプチド及び核酸
本明細書には、コラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)の低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化によるNav1.7機能のトラフィッキングを調節するCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM−1)のペプチドが開示されており、これらのペプチドを用いて、Nav1.7によって調節される障害、状態及び疾患を調整することができる。炎症性及び神経病性疼痛状態を含む、急性疼痛及び慢性疼痛などの疼痛を伴う状態を治療するために、これらのペプチドを調製かつ使用する方法を提供する。また、有効量の鎮痛性分子、すなわち開示されているペプチドを血流に投与することによって、個体に対して鎮痛又は疼痛の緩和をもたらす方法も開示されている。特定の態様では、がんによる疼痛を治療する方法を開示する。パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病及び慢性疲労症候群などの神経状態を治療及び阻止、または改善する方法、ならびに情緒または気分障害を治療する方法も提供する。特定の実施形態では、本開示のペプチドは、KMDというアミノ酸配列を含み、典型的には、3〜18アミノ酸長、より好ましくは5〜8アミノ酸長である。
いくつかの実施形態では、開示されているペプチドは、組成物に調合し、その組成物は、炎症性疼痛状態及び神経病性疼痛状態を含む、急性疼痛及び慢性疼痛などの疼痛を伴う状態を含む神経状態の治療に用いてよい。この組成物は、抗炎症剤または抗疼痛剤のような1つ以上の追加の活性剤と、1つ以上の不活性剤とを含んでよく、この不活性剤としては、担体、送達ビヒクル、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、緩衝剤及びその他の製薬学的に許容可能な賦形剤を挙げてよい。
具体的な実施形態では、開示されているペプチドは、3〜20個(3〜7個、15〜18個、4〜8個など)のアミノ酸(3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個のアミノ酸を含む)を含み、その3〜20個のアミノ酸は、KMDというアミノ酸配列を含む。開示されているペプチドは、コラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)の低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化による電位依存性ナトリウムチャネル1.7(Nav1.7)機能のトラフィッキングを阻止することができる。ある1つの特定の例では、CSM−1ペプチドは、3〜8個のアミノ酸を含む。ある1つの例では、CSM−1ペプチドは、GKMDENQというアミノ酸配列(CSM−1S、配列番号1)に対する配列同一性が少なくとも90%(配列同一性が90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%など)のアミノ酸配列を含む。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、GKMDENQというアミノ酸配列(CSM−1S、配列番号1)を含む。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、GKMDENQというアミノ酸配列(CSM−1S、配列番号1)からなる。ある1つの例では、本発明のペプチドは、WDKAVVTGKMDENQFVAVというアミノ酸配列(CSM−1L、配列番号2)に対する配列同一性が少なくとも90%(配列同一性が90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%など)のアミノ酸配列を含む。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、WDKAVVTGKMDENQFVAVというアミノ酸配列(CSM−1L、配列番号2)を含む。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、WDKAVVTGKMDENQFVAVというアミノ酸配列(CSM−1L、配列番号2)からなる。
いくつかの例では、開示されているCSM−1ペプチドは、例えば、そのペプチドの親油性を高めるために、1つ以上の修飾部を含む。ある1つの例では、CSM−1ペプチドにおいて、チロシン残基のヒドロキシル基がアセチル化されている。別の例では、CSM−1ペプチドは、そのペプチドの安定性を高めるために、1つ以上の修飾部を含む。いくつかの実施形態では、非オピオイド系CSM−1ペプチドは、1つ以上のD−アミノ酸(1個、2個、3個、4個、5個または6個のD−アミノ酸など)を含む。
いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、エステル結合によって、ある部分に結合している。いくつかの例では、この部分は、アルコール、糖、脂質またはデヒドロアスコルビン酸である。当業者であれば、CSM−1ペプチドとの結合体に含む適切な部分を選択することができる。いくつかの例では、この部分は、例えば細胞トランスポーターを通じて(例えばグルコーストランスポーターを介して)または親油性(例えば脂質)によって、BBBを越えるかまたは通る輸送を促進することができる部分である。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、TATペプチドなどの細胞透過性モチーフに結合している(Vives et al.,J. Biol.Chem.1997,272,16010−16017。この文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される)。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、FGF受容体由来の膜移行配列などの細胞透過性モチーフに結合している(Delli Bovi et al.1987 Cell.1987 Aug 28;50(5):729−37、Rojas et al.1996 J Biological Chemistry 1996 Nov 1;271(44):27456−61、Rojas et al.1998 Nature Biotechnol.1998 Apr;16(4):370−5。これらの文献はそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される)。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、カチオン性アミノ酸を高い割合で含むホモポリマーまたはペプチドに結合している(Mitchell et al.,J.Pept.Res.2000,56,318−325。この文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される)。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、モデル両親媒性ペプチドMAPに結合している(Oehlke et al.,Biochim.Biophys.Acta 1998,1414,127−139。この文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される)。いくつかの例では、CSM−1ペプチドは、
(a)GRKKRRQRRRPPQ(配列番号3)、
(b)RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号4)、
(c)LLIILRRRIRKQAHAHSK(配列番号5)、
(d)RGGRLSYSRRRFSTSTGR(配列番号6)、
(e)RRRRRRRRR(配列番号7)、
(f)GRRRRRRRRRPPQ(配列番号8)、
(g)AAVALLPAVLLALLAP(配列番号9)、
(H)KLALKLALKALKAALKLA(配列番号10)、
(i)TRRQRTRRARRNR(配列番号11)、
(j)PLSSIFSRIGDP(配列番号12)、
(k)MALNLGWLLALFVTMWTDVGLCKKRPKP(配列番号13)、
(l)AGYLLGKINLKALAALAKKIL(配列番号14)または
(m)PLSSIFSRIGDP(配列番号15)
というアミノ酸配列のうちの1つ以上を有する細胞透過性モチーフに結合している。
加えて、いくつかの例では、上記の部分は、中枢神経系(CNS)に見られる部分であり、例えば、この部分は、CNSに対して概ね非毒性であることが知られる部分である。いくつかの実施形態では、この部分は、エタノール、ジエチルアミノエタノール、ベンジルアルコール、プロパノールまたはブタノールのようなアルコールである。ある1つの非限定例では、この部分はエタノールである。他の実施形態では、この部分は、グルコースまたはフルクトースのような糖である。適切な糖としては、グルコーストランスポーターのファミリー(例えばGLUT1〜GLUT5)のうちの1つによって、BBBを越えて輸送することができる糖が挙げられる。いくつかの例では、この部分は、CSM−1ペプチドに直接結合している。他の例では、この部分とCSM−1ペプチドとは、リンカー分子を介して結合している。
開示されているペプチドは、実施例に記載されている方法を含む、当業者に知られている方法によって合成することができる。CSM−1ペプチドは、固体相合成(例えば、自動ペプチド合成装置または手動ペプチド合成を用いるもの)、標準溶液合成または同時マルチペプチド合成などの標準的な技法によって生成することができる。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154,1964、Bodanszky,Principles of Peptide Synthesis,2nd Edition,Springer,1993、Pennington and Dunn,Peptide Synthesis Protocols,Humana Press,2005を参照のこと。
本明細書に開示されているペプチドをコードする核酸分子も提供する。それらのヌクレオチドは、当該ペプチドをコードするDNA配列、cDNA配列及びRNA配列を含む。
開示されているペプチドをコードする核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅システム(TAS)、自己支持配列複製システム(3SR)またはQβレプリカーゼ増幅システム(QB)などのインビトロ法によってクローニングまたは増幅することができる。広範なクローニング及びインビトロ増幅法が、当業者に周知である。PCR法は、例えば、米国特許第4,683,195号、Mullis et al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263,1987及びErlich,d.,PCR Technology(Stockton Press,NY,1989)に記載されている。
CSM−1をコードする核酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件で、所望のヌクレオチドの配列から選択したプローブを用いて、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離することもできる。
開示されているCSM−1ペプチドをコードする核酸分子としては、CSM−1ペプチドをコードする核酸分子であって、自律複製型プラスミド若しくはウイルスなどのベクターに導入されているか、または他の配列から独立して、別個の分子(例えばcDNA)として存在する核酸分子が挙げられる。本開示のヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはいずれかのヌクレオチドの修飾形態であってよい。ヌクレオチドという用語には、一本鎖及び二本鎖形態のDNAが含まれる。
CSM−1ペプチドをコードするDNA配列は、好適な宿主細胞へのDNAの転移によって、インビトロで発現することができる。この細胞は、原核細胞であっても、真核細胞であってもよい。宿主細胞という用語には、対象の宿主細胞の任意の子孫細胞も含まれる。複製中に変異が生じることがあるので、の子孫細胞全てが、親細胞と同一でなくてもよいことが理解される。安定的な転移方法(外来DNAを宿主内で継続的に維持することを意味する)は、当該技術分野において知られている。
CSM−1ペプチドをコードする核酸配列は、発現調節配列に機能的に連結することができる。コーディング配列に機能的に連結する発現調節配列を連結させ、それによって、その発現調節配列と適合する条件下で、コーディング配列を実現する。この発現調節配列としては、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質をコードする遺伝子の前の開始コドン(すなわちATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳を可能とするその遺伝子の正しいリーディングフレームの維持、及び終始コドンが挙げられるが、これらに限らない。
CSM−1ペプチドをコードする核酸配列は、発現ベクターに挿入することができ、そのベクターとしては、配列の挿入または導入を可能にするように操作することができ、かつ原核細胞または真核細胞のいずれにおいても発現することができるプラスミド、ウイルスまたはその他のビヒクルが挙げられるが、これらに限らない。宿主としては、微生物、酵母、昆虫及び哺乳動物を挙げることができる。原核細胞内で真核またはウイルス配列を有するDNA配列を発現する方法は、当該技術分野において周知である。宿主内で発現及び複製することができる生物学的機能性ウイルス及びプラスミドDNAベクターは、当該技術分野において知られている。
当業者には周知なように、従来の技法によって、宿主細胞を組み換えDNAで形質転換することができる。宿主が大腸菌などの原核生物である場合、DNAを取り込むことができるコンピテント細胞は、指数増殖期の後に回収してから、当該技術分野において周知の手順を用いて、CaCl2方法によって処理した細胞から調製することができる。あるいは、MgCl2またはRbClを用いることもできる。所望に応じて、宿主細胞のプロトプラストを形成した後に、またはエレクトロポレーションによって、形質転換を行うこともできる。
宿主が真核細胞であるときには、リン酸カルシウム共沈法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどの従来の機械的手順、リポソームに封入したプラスミドの挿入、またはウイルスベクターの挿入のような、DNAをトランスフェクションする方法を用いることができる。真核細胞はまた、CSM−1ペプチドをコードするヌクレオチド配列と、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子などの選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子で共形質転換することができる。別の方法は、シミアンウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルスのような真核ウイルスベクターを用いて、真核細胞を一過的に感染させるか形質転換して、タンパク質を発現させるものである(例えば、Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory,Gluzman ed.,1982を参照のこと)。
本明細書に開示されているCSM−1ペプチドのうちの1つ以上を含む組成物を更に提供する。提供する組成物は、本明細書に開示されているCSM−1融合タンパク質を含む組成物を更に含む。CSM−1ペプチドをコードする核酸分子を含む組成物も提供する。いくつかの実施形態では、この核酸分子は、CSM−1ペプチドをコードするベクターである。いくつかの例では、Fischerらの文献(Gene therapy 21,44−51,2014)に記載されているものと同様のレンチウイルスまたはアデノ随伴ウイルス内に、開示されているCSM−1S DNA及びこの配列の任意の変異体を送達する。上記の文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
製剤
本開示の組成物は、製薬学的に許容可能な担体/賦形剤を更に含んでよく、これらには、本明細書で使用する場合、製薬学的に許容可能な担体/賦形剤には、所望の特定の剤形に適するようなあらゆる溶剤、希釈剤またはその他の液体ビヒクル、分散補助剤、懸濁補助剤、表面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤などが含まれる。E.W.MartinのRemington’s Pharmaceutical Sciences第21版、(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,2005)には、製薬学的に許容可能な組成物の調合で用いる様々な担体、及びそれらの担体を調製するための既知の技法が開示されている。従来の任意の担体媒体が、望ましくないいずれかの生物学的作用をもたらしたり、さもなければ製薬学的に許容可能な組成物の他の任意の構成成分(複数可)との相互作用を有害な形で生じさせたりすることなどによって、本発明の化合物と不適合である場合を除き、その担体媒体の使用は、本開示の範囲内に含まれるものと考えられる。製薬学的に許容可能な担体として機能することができる物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物など)、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、 リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(ココアバター及び座薬ワックスなど)、油(ラッカセイ油、綿実油、ベニ花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油など)、グリコール(プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)、エステル(オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなど)、寒天、緩衝剤(水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど)、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール及びリン酸緩衝液、ならびにその他の非毒性適合性潤滑剤(ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤、付香剤、保存剤、ならびに抗酸化剤が挙げられるが、これらに限らず、これらは、調合者の判断に従って、本発明の組成物中に存在させることができる。
医薬組成物の製造で用いてよい製薬学的に許容可能な賦形剤としては、不活性希釈剤、分散剤及び/若しくは顆粒化剤、表面活性剤及び/若しくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤(例えば、抗酸化剤、キレート剤、抗微生物保存剤、抗真菌保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤など)、緩衝剤、潤滑剤、ならびに/または油も挙げられるが、これらに限らない。このような賦形剤は、任意選択により、本発明の製剤に含んでよい。ココアバター及び座薬ワックスなどの賦形剤、着色剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤、ならびに付香剤は、配合者の判断に従って、本発明の組成物中に存在させることができる。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の糖を更に含む。「糖」という用語は、本明細書で使用する場合、天然または非天然の単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を指し、1つ以上のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトースまたはノノース糖を含む。糖には、カルボニル基の還元によって(アルジトール)、1つ以上の末端基のカルボン酸への酸化によって(アルドン酸)、またはヒドロキシル基(複数可)の水素による置換(デオキシ糖)、アミノ基による置換(アミノ糖)、チオール基による置換(チオ糖)、アシルアミノ基による置換、硫酸基による置換、リン酸基による置換、若しくは類似のヘテロ原子基による置換によって、または上記修飾の任意の組み合わせによって、単糖から得た物質を含んでもよい。糖という用語には、これらの化合物の誘導体(すなわち、アシル化、アルキル化、及び糖アルコールとアルデヒドまたはケトンとの反応によるグリコシド結合の形成などによって化学的に修飾した糖)も含まれる。糖は、ヘミアセタール、ヘミケタールまたはラクトンのような環状形(オキシロース、オキセトース、フラノース、ピラノース、セプタノース、オクタノースなど)で存在しても、非環状形で存在してもよい。単糖は、ケトース、アルドース、ポリオール、及び/またはケトースとアルドースとポリオールとの混合物であってよい。
例示的な糖としては、グリセロール、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、マンニトール、グロース、デキストロース、イドース、ガラクトース、タロース、グルコース、フルクトース、デキストレート、ラクトース、スクロース、デンプン(すなわちアミラーゼ及びアミロペクチン)、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース及びセルロース誘導体(すなわち、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、クロスカルメロース、ハイポメロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カラギーナン、シクロデキストリン(例えばヒドロキシプロピル−ガンマ−CD)、デキストリン、ポリデキストロース、ならびにトレハロースが挙げられるがこれらに限らない。特定の実施形態では、糖は、無水ラクトース、ラクトース水和物、トレハロース及びヒドロキシプロピル−ガンマ−CDから選択する。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上のポリマーを更に含む。特定の好ましい実施形態では、このポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)である。他の例としては、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルブミン、ポリエチレンイミン(PEI)、アカシアガム、セルロース誘導体、カルシウムポリペクテート、無水マレイン酸誘導体、ポリアクリル酸、メタクリル酸、リン脂質、ポリグリコリド誘導体、ラクチド誘導体、デンプン、アルギン酸塩及びアルギン酸、カゼインカルシウム、カラギーナン、ペクチン、ポリヘキサメタフォスフェート、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコールなど、ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の界面活性剤を更に含む。例示的な界面活性剤としては、天然の乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、 アルギン酸ナトリウム、トラガント、コンドラックス、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス及びレシチン)、コロイド性粘土(例えばベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びVeegum[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、グリセリルモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、ソルビタンモノステアレート[Span60]、ソルビタントリステアレート[Span65]、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[Span80])、ポリオキシエチレンエステル(例えばポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj45]、ポリオキシエチレン水酸化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート及びSolutol)、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばCremophor)、ポリオキシエチレンエーテル(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30])、ポリ(ビニルピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F68、Poloxamer188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウムなど、ならびに/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、界面活性剤は、Tween界面活性剤(例えば、Tween60、Tween80など)である。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の保存剤を更に含む。例示的な保存剤としては、抗酸化剤、キレート剤、抗微生物保存剤、抗真菌保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤及びその他の保存剤を挙げてよい。
特定の実施形態では、この1つ以上の保存材は、抗酸化剤を含む。例示的な抗酸化剤としては、亜リン酸塩、亜リン酸ジブチル、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、 没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、システイン塩酸塩、チオグリセロール、メルカプト酢酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(SFS)、レシチン及びアルファ−トコフェロールが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、抗酸化剤は、亜リン酸ジブチルまたは亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)である。
特定の実施形態では、1つ以上の保存材は、キレート剤を含む。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸及びエデト酸三ナトリウムが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、1つ以上の保存材は、抗微生物保存材を含む。例示的な抗微生物保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール及びチメロサールが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、1つ以上の保存材は、抗真菌保存材を含む。例示的な抗真菌保存剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸が挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、1つ以上の保存材は、アルコール保存材を含む。例示的なアルコール保存剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、 ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸及びフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、1つ以上の保存材は、酸性保存材を含む。例示的な酸性保存剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ−カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸が挙げられるが、これらに限らない。
その他の保存剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリル硫酸エステルナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon及びEuxylが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の希釈剤を更に備える。例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉糖など、及びこれらを組み合わが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の顆粒化剤及び/または分散剤を更に含む。例示的な顆粒化剤及び/または分散剤としては、バレイショデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘果肉、寒天、ベントナイト、セルロース及び木の産物、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、非水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物など、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の結合剤を更に含む。例示的な結合剤としては、デンプン(例えばコーンスターチ及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ガム(例えばアカシア、 アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワーガム、ガティガム、イサポールの殻の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)及びカラマツアラボガラクタン)、アルギン酸、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコールなど、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の緩衝剤を更に含む。例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の潤滑剤を更に含む。例示的な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、グリセリルベヘネート(glyceryl behanate)、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の可溶化剤または懸濁化剤を更に含む。例示的な可溶化剤または懸濁化剤としては、水、有機溶剤、油及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限らない。例示的な油としては、アーモンド油、キョウニン油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子油、ルリジサ油、ケード油、カモミール油、キャノーラ油、キャラウェー油、カルナバ油、ヒマシ油、シナモン油、ココアバター油、ヤシ油、肝油、コーヒー油、コーン油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、アマニ油、ゲラニオール油、ウリ油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、アオモジ油、マカメディアナッツ油、マローオイル、マンゴー種子油、メドホーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、桃仁油、ラッカセイ油、ケシ油、カボチャ種子油、ナタネ油、米ぬか油、ローズマリー油、ベニ花油、サンダルウッド油、サザンカ油、セボリー油、サジー油、ゴマ油、シア脂油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチベル油、クルミ油、小麦胚芽油、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱物油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びこれらを組み合わせが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、油は、鉱物油である。
いくつかの実施形態では、製薬学的に許容可能な賦形剤の純度は、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%である。いくつかの実施形態では、この賦形剤は、ヒトへの使用及び獣医学的使用が認められているものである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局に認められているものである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、医薬品グレードのものである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方及び/または国際薬局方の基準を満たすものである。
本明細書に記載されている医薬組成物の製剤は、薬学分野において既知か、または今後開発される任意の方法によって調製してよい。概して、このような調製方法は、活性成分(すなわち、グリコシル化デルトルフィン変異体)を担体及び/または1つ以上の他の補助成分と会合させてから、必要及び/または所望に応じて、その生成物を所望の単回投与単位または複数回投与単位に成形及び/または包装する工程を含む。
本発明の医薬組成物は、一括で、単回単位用量として、及び/または複数の単回単位用量として調製、包装かつ/または販売してよい。本明細書で使用する場合、「単位用量」は、所定の量の活性成分を含む医薬組成物の別個の量である。活性成分の量は、対象に投与する活性成分の投与量、及び/または対象に投与する活性成分の投与量の利便的な割合分、例えば投与量の2分の1若しくは3分の1に概ね等しい。
本発明の医薬組成物中の活性成分、製薬学的に許容可能な担体及び/または任意の追加成分の相対量は、治療する対象の属性、体格及び/または状態に応じて、また更に、その組成物を投与する経路に応じて変化することになる。例えば、本組成物は、活性成分を0.1%〜100%(w/w)含んでよい。
いくつかの例では、好ましい剤形には、経口用剤形と非経口用剤形が含まれる。経口投与及び非経口投与用の液体剤形としては、製薬学的に許容可能な乳剤、マイクロエマルジョン剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられるが、これらに限らない。液体剤形は、活性成分に加えて、当該技術分野において広く用いられている不活性希釈剤(例えば水またはその他の溶剤)と、可溶化剤及び乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ならびにソルビタンの脂肪酸エステルなど)と、これらの混合物とを含んでよい。経口用組成物は、不活性希釈剤に加えて、アジュバント(湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、及び付香剤など)を含むことができる。非経口投与用の特定の実施形態では、開示されている組成物は、可溶化剤(Cremophor、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー及びこれらを組み合わせなど)と混合されている。
注射用調製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁剤は、既知の技術に従って、好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を用いて配合してよい。滅菌注射用調製剤は、非経口用として許容可能な非毒性の希釈剤または溶剤中の滅菌注射用液剤、懸濁剤または乳剤(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)であってよい。用いてよい許容可能なビヒクル及び溶剤としては、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌の不揮発性油が、溶剤または懸濁媒体として従来から用いられている。この目的においては、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌の不揮発性油を用いることができる。加えて、注射剤の調製では、オレイン酸などの脂肪酸を用いる。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過するか、または使用前に滅菌水若しくはその他の滅菌注射用媒体に溶解若しくは分散することができる無菌固体組成物の形態の滅菌剤を混入することによって、滅菌することができる。
薬物の効果を延長するために、皮下または筋内注射による薬物の吸収を遅延させるのが望ましいことが多い。これは、水難溶性の結晶または非晶質物質の液体懸濁液を用いることによって実現してよい。薬物の吸収速度は、その薬物の溶解速度によって決定し、その溶解速度は、結晶のサイズと結晶形態によって決定することがある。あるいは、非経口投与薬の吸収の遅延は、その薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって実現させる。
直腸または膣内投与用組成物は典型的には、周囲温度では固体であるが、体温においては液体であるので、直腸腔または膣腔内で溶けて、活性成分を放出する好適な非刺激性の賦形剤若しくは担体(ココアバター、ポリエチレングリコールなど)、または座薬ワックスと本発明の結合体とを混合することによって調製することができる座剤である。
経口投与用組成物は典型的には、液体または固体剤形である。経口投与用組成物は、膵臓及び刷子縁のプロテアーゼを阻害するために、クエン酸などの有機酸を含むプロテアーゼ阻害剤を含んでよい。加えて、経口投与用組成物は、傍細胞輸送機構による、腸の内腔から体循環へのペプチドの取り込みを促進するために、アシルカルニチン及びラウロイルカルニチンなどの吸収促進剤を含んでよい。加えて、経口投与用組成物は、ペプチド及び賦形剤の溶解性を高めて、腸粘液との相互作用を低下させるために、洗浄剤を含んでよい。錠剤またはカプセル剤のような固体状の経口投与用組成物は典型的には、胃のプロテアーゼからペプチドを更に保護するとともに、その錠剤またはカプセル剤を小腸内に到達可能にする腸溶性コーティングを含んでよい。加えて、固体状の組成物は、非イオン性ポリマーなどのサブコートを含んでよい。入手可能なこのような経口用製剤の調製例は、米国特許第5,912,014号、米国特許第6,086,918号及び米国特許第6,673,574号(これらの各特許の開示内容は、参照により本明細書に援用される)に開示されている。
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形では、活性成分は、少なくとも1つの製薬学的に許容可能な不活性賦形剤若しくは担体(クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムなど)、ならびに/またはa)充填剤若しくは増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸など)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアカシアなど)、c)保湿剤(グリセロールなど)、d)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸及び炭酸ナトリウムなど)、e)溶解遅延化剤(パラフィンなど)、f)吸収促進剤(四級アンモニウム化合物など)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなど)、h)吸収剤(カオリン及びベントナイト粘土など)、i)潤滑剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、ならびにこれらの混合物と混合されている。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合には、その剤形は、緩衝剤を含んでよい。
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟ゼラチンカプセル剤及び硬ゼラチンカプセル剤で、充填剤として用いてよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤という固体剤形は、腸溶コーティング及び製薬処方の技術分野において周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルで調製することができる。これらの固体剤形は、任意選択により不透明化剤を含んでもよく、活性成分(複数可)を単独でまたは選択的に、腸管の特定の部分において、任意選択により遅延様式で放出する組成物のものであってよい。用いることができる埋封用組成物の例としては、ポリマー性物質及びワックスが挙げることができる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟ゼラチンカプセル剤及び硬ゼラチンカプセル剤で、充填剤として用いてよい。
活性成分は、上記のような1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化形態であってよい。固体剤形の錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、ならびに製薬処方技術分野において周知のその他のコーティングなどのコーティング及びシェルによって調製することができる。このような固体剤形では、活性成分に、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤を添加混合してよい。このような剤形は、通常通り、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤及び他の錠剤化助剤(ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースなど)を含んでよい。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合には、その剤形は、緩衝剤を含んでよい。これらの剤形は任意選択により、不透明化剤を含んでよく、活性成分(複数可)を単独または選択的に、腸管の特定の部分において、任意選択により遅延様式で放出する組成物のものであってよい。用いることができる埋封用組成物の例としては、ポリマー性物質及びワックスが挙げられる。
本発明の化合物を局所及び/または経皮投与するための剤形としては、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー、吸入剤及び/またはパッチを挙げてよい。概して、活性成分には、無菌条件下で、製薬学的に許容可能な担体、ならびに/または必要に応じて、任意の必要とされる保存剤及び/若しくは緩衝剤を添加混合する。加えて、本開示では、経皮パッチの使用が考えられ、経皮パッチの使用により、活性成分の身体への送達の制御という更なる利点が得られることが多い。このような剤形は、例えば、活性成分を適切な媒体に溶解かつ/または分散させることによって調製してよい。この代わりに、またはこれに加えて、速度制御膜を設けること、ならびに/または活性成分をポリマーマトリックス及び/若しくはゲルに分散させることのいずれかによって、送達速度を制御してもよい。
本明細書に記載されている皮内用医薬組成物の送達に用いるのに好適な器具としては、米国特許第4,886,499号、同5,190,521号、同5,328,483号、同5,527,288号、同4,270,537号、同5,015,235号、同5,141,496号及び同5,417,662号に記載されているような短い針の器具が挙げられる。皮内用組成物は、国際特許公開第WO99/34850号に記載されている器具及びその機能的等価物のように、針の皮膚への有効刺入長さを制限する器具によって投与してよい。液体ジェット式注射器によって、かつ/または角質層を穿刺して、真皮に到達する噴流を生成する針によって、液体組成物を真皮に送達するジェット式注射器具が適する。ジェット式注射器具は、例えば、米国特許第5,480,381号、同5,599,302号、同5,334,144号、同5,993,412号、同5,649,912号、同5,569,189号、同5,704,911号、同5,383,851号、同5,893,397号、同5,466,220号、同5,339,163号、同5,312,335号、同5,503,627号、同5,064,413号、同5,520,639号、同4,596,556号、同4,790,824号、同4,941,880号、同4,940,460号、ならびに国際特許公開第WO97/37705号及び同第WO97/13537号に記載されている。
局所投与に適する製剤としては、液体及び/若しくは半液体調製剤(リニメント剤、ローションなど)、水中油型乳剤及び/若しくは油中水型乳剤(クリーム、軟膏剤及び/若しくはペーストなど)、ならびに/または液剤及び/若しくは懸濁剤が挙げられるが、これらに限らない。局所投与可能な製剤は、活性成分を例えば約1%〜約10%(w/w)含んでよいが、活性成分の濃度は、溶剤中の活性成分の溶解限度ほどの高さであってよい。局所投与用製剤は、本明細書に記載されている追加の成分のうちの1つ以上を更に含んでよい。
本開示の医薬組成物は、口腔を通じた経肺投与に適する製剤に調製、包装かつ/または販売してよい。このような製剤は、活性成分を含むとともに、直径が約0.5〜約7ナノメートルまたは約1〜約6ナノメートルの範囲である乾燥粒子を含んでよい。このような組成物は、粉末を分散させるために噴射剤流を誘導することができる乾燥粉末リザーバーを備える器具を用いて、かつ/または自己噴射溶剤/粉末分注容器(密閉容器において低沸点噴射剤に溶解かつ/若しくは懸濁されている活性成分を含む器具など)を用いて投与するために、乾燥粉末の形態であるのが利便的である。このような粉末は、その粒子の少なくとも98重量%の粒径が0.5ナノメートル超であり、その粒子の少なくとも95個数%の粒径が7ナノメートル未満である粒子を含む。あるいは、その粒子の少なくとも95重量%の粒径が1ナノメートル超であり、その粒子の少なくとも90個数%の粒径が6ナノメートル未満である。乾燥粉末組成物は、糖のような固体微粉希釈剤を含んでよく、単位用量形態で供給するのが利便的である。
低沸点噴射剤としては概して、大気圧において沸点が65°F未満の液体噴射剤が挙げられる。概して、噴射剤は、本組成物の50〜99.9%(w/w)を構成してよく、活性成分は、本組成物の0.1〜20%(w/w)を構成してよい。噴射剤は、液体の非イオン性界面活性剤ならびに/または固体のアニオン性界面活性剤及び/若しくは固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同程度の粒径であってよい)のような追加の成分を更に含んでよい。
経肺送達用に配合される本開示の医薬組成物は、液剤及び/または懸濁剤の液滴の形態で活性成分を供給してよい。このような製剤は、活性成分を含む水及び/または希釈アルコールの溶液及び/または懸濁液(任意選択により滅菌する)として調製、包装かつ/または販売してよく、任意の霧状化及び/または微粒子化器具を用いて投与するのが利便的な場合がある。このような製剤は、1つ以上の追加の成分を更に含んでよく、その成分としては、矯味矯臭剤(サッカリンナトリウムなど)、揮発性油、緩衝剤、表面活性剤及び/または保存材(メチルヒドロキシ安息香酸など)が挙げられるが、これらに限らない。この投与経路によって供給する液滴の平均直径は、約0.1〜約200ナノメートルの範囲であってよい。
経肺送達に有用なものとして本明細書に記載されている製剤は、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達にも有用である。鼻腔内投与に適する別の製剤は、活性成分を含み、かつ平均粒子が約0.2〜500マイクロメートルである粗粉末である。このような製剤は、鼻で吸い込む形で、すなわち、鼻孔の近くに保持した粉末容器から鼻腔内に通す迅速な吸入によって投与する。
経鼻投与に適する製剤は、活性成分を例えば、わずか約0.1%(w/w)ほど、また100%(w/w)ほども含んでよく、かつ本明細書に記載されている追加の成分のうちの1つ以上を含んでよい。本発明の医薬組成物は、口腔内投与に適する製剤で調製、包装かつ/または販売してよい。このような製剤は、例えば、従来の方法を用いて作製された錠剤及び/またはロゼンジ剤の形態であってよく、例えば、活性成分を0.1〜20%(w/w)含んでよく、その残部には、口腔内で溶解可能及び/または分解可能な組成物、ならびに、任意選択で、本明細書に記載されている追加の成分のうちの1つ以上が含まれる。あるいは、口腔内投与に適する製剤は、活性成分を含む粉末ならびに/またはエアゾール化及び/または霧化した溶液及び/または懸濁液を含んでよい。このような粉末化、エアゾール化及び/またはエアゾール化製剤は、分散時の平均粒径及び/または液滴径が約0.1〜約200ナノメートルの範囲であってよく、本明細書に記載されている追加の成分のうちの1つ以上を更に含んでよい。
本開示の医薬組成物は、点眼投与に適する製剤で調製、包装かつ/または販売してよい。例えば、このような製剤は、例えば、水性または油性液体担体に活性成分を例えば0.1/1.0%(w/w)含む溶液及び/または懸濁剤を含む点眼剤の形態であってよい。このような点眼剤は、緩衝剤、塩及び/または本明細書に記載されている他の追加の成分のうちの1つ以上を更に含んでよい。有用である他の点眼投与用製剤としては、活性成分を微結晶性形態及び/またはリポソーム調製剤で含む製剤が挙げられる。点耳剤及び/または点眼剤は、本発明の範囲内であると考えられる。
医薬剤の調合及び/または製造の概論は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy 21.sup.st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005に見ることができる。
いくつかの実施形態では、開示されているペプチドは、放出制御製剤、例えばマイクロカプセル化製剤に含まれている。様々なタイプの生分解性及び生体適合性ポリマーを用いることができ、様々な合成化合物、タンパク質及び核酸をカプセル化する方法は、当該技術分野において十分に説明されている(例えば、米国特許公開第2007/0148074号、同2007/0092575号及び同2006/0246139号、米国特許第4,522,811号、同5,753,234号及び同7,081,489号、国際特許公開第WO/2006/052285号、ならびにBenita,Microencapsulation:Methods and Industrial Applications,2nd ed.,CRC Press,2006を参照のこと)。
別の実施形態では、開示されているペプチドは、ナノ分散系に含まれている。ナノ分散系、及びそのようなナノ分散体を作製する方法は、当業者に周知である。例えば、米国特許第6,780,324号、米国特許公開第2009/0175953号を参照のこと。例えば、ナノ分散系は、生物活性剤及び分散剤(ポリマー、コポリマーまたは低分子量界面活性剤など)を含む。例示的なポリマーまたはコポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(D,L−乳酸)(PLA)、ポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸(PLGA)、ポリ(エチレングリコール)が挙げられる。例示的な低分子量界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、塩化ヘキサデシルピリジニウム、ポリソルベート、ソルビタン、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルエステル及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの例では、ナノ分散体は、溶媒蒸発方法を用いて調製する。例えば、Kanaze et al.,Drug Dev.Indus.Pharm.36:292−301,2010、Kanaze et al.,J.Appl.Polymer Sci.102:460−471,2006を参照のこと。
他の例では、開示されている化合物及び医薬組成物は、注入または筋内注射による投与用のデポ調製剤として調合する。活性成分は、好適なポリマー性若しくは疎水性物質(例えば、許容可能な油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂とともに、あるいは、やや溶けにくい誘導体(やや溶けにくい塩など)として調合してよい。あるいは、経皮吸収用に、活性化合物を緩徐に放出する接着ディスクまたはパッチとして製造した経皮送達系を用いる。本組成物の経皮透過を促進するために、透過促進剤を用いてよい。経皮パッチは、例えば米国特許第5,407,713号、米国特許第5,352,456号、米国特許第5,332,213号、米国特許第5,336,168号、米国特許第5,290,561号、米国特許第5,254,346号、米国特許第5,164,189号、米国特許第5,163,899号、米国特許第5,088,977号、米国特許第5,087,240号、米国特許第5,008,110号及び米国特許第4,921,475号に記載されている。
いくつかの例では、開示されているペプチドは、本化合物の製薬学的に許容可能な塩を含む。本明細書に開示されている化合物の「製薬学的に許容可能な塩」としては、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛などのカチオン、アンモニア、エチレンジアミン、N−メチル−グルタミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及び水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基から形成された塩が挙げられる。これらの塩は、標準的な手順によって、例えば、遊離酸を好適な有機または無機塩基と反応させることによって調製してよい。代わりに、本明細書に示されている任意の化学化合物を、その製薬学的に許容可能な塩として投与してよい。「製薬学的に許容可能な塩」には、遊離酸形態、塩基形態及び双性イオン形態も含まれる。好適な製薬学的に許容可能な塩の説明は、Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection and Use,Wiley VCH(2002)に見ることができる。
本医薬組成物の剤形は、選択した投与形式によって決定することになる。例えば、注射用流体に加えて、局所製剤、吸入製剤、経口製剤及び座薬製剤を用いることができる。局所調整剤としては、点眼剤、軟膏剤、スプレー、パッチなどを挙げることができる。吸入調整剤は、液体(例えば液剤または懸濁剤)であってよく、ミスト、スプレーなどが挙げられる。経口製剤は、液体(例えば、シロップ剤、液剤若しくは懸濁剤)または固体(例えば、散剤、丸剤、錠剤若しくはカプセル剤)であってよい。座薬調整剤も、固体、ゲルまたは懸濁剤形態であってよい。固体組成物においては、従来の非毒性固体担体として、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、セルロース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。これらの剤形を調製する実際の方法は既知であるか、または当業者に明らかになるであろう。
本開示の化合物はヒトまたはその他の動物に投与することができ、それらの組織に対して、本化合物は、経口、静脈内、筋内、腹腔内、鼻腔内、皮内、経皮、髄腔内、硬膜外、舌下、皮下、吸入または座薬などの様々な方式で有効である。ある1つの非限定例では、本化合物は、経口投与する。別の非限定例では、本化合物は、静脈内、経皮、髄腔内、硬膜外または舌下投与する。特定の投与形式及び投与レジメンは、担当臨床医が症例の詳細(例えば、対象、疾患または付随する状態、及び処置が予防のためのものであるか否か)を考慮に入れて選択する。治療には、数日〜数ヶ月、さらには数年にわたって、化合物(複数可)を1日1回または1日複数回投与することを伴う場合がある。当業者は、開示されている方法で用いられるCSM−1ペプチドの適切な投与量を特定することができる。投与する量は、治療する対象、状態の種類及び重症度、ならびに投与様式などの要因によって決定することになる。
開示されているペプチドを1つ以上含む医薬組成物は、正確な投与量を個別に投与するのに適する単位剤形で調合することができる。ある1つの具体的かつ非限定的な例では、単位投与量として、1つ以上のCSM−1ペプチドを約10μg〜約5g以上(約50μg〜約1mg、約100μg〜約10mg、約1mg〜約2.5g、約10mg〜約1gまたは約100mg〜約500mgなど)含む。いくつかの例では、単位投与量として、1つ以上のCSM−1ペプチドを約10μg以上(約10μg、25μg、50μg、75μg、100μg、200μg、250μg、500μg、750μg、1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mg、500mg、750mg、1g、1.5g、2g、2.5g、3g、4g、5g以上など)含む。投与する活性化合物の量は、治療する対象、苦痛の重度、及び投与形式によって決定することになり、処方を行う医師の判断に委ねるのが最良である。これらの制限内で、投与する製剤は、治療する対象に所望の効果をもたらすのに有効な量で、活性成分(複数可)を含むことになる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の開示されているCSM−1ペプチドの有効量を、対象に投与することによって、対象における侵害受容を変化させる。いくつかの例では、CSM−1ペプチドを対象に投与することによって、侵害受容または疼痛の知覚を低下させる(例えば、CSM−1ペプチドは鎮痛剤である)。いくつかの例では、CSM−1ペプチドの有効量は、約1μg/kg〜約100mg/kg(例えば、約1μg/kg〜約10mg/kg、約10μg/kg〜約5mg/kg、約100μg/kg〜約1mg/kg、約1mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約25mg/kgまたは約20mg/kg〜約100mg/kg)である。いくつかの例では、有効量は、約1μg/kg以上(約1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、25μg/kg、50μg/kg、75μg/kg、100μg/kg、250μg/kg、500μg/kg、750μg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、50mg/kg以上など)のペプチドである。ある具体例では、CSM−1ペプチドの有効量は、約5mg/kg〜約20mg/kg(約10mg/kgなど)である。別の具体例では、CSM−1ペプチドの有効量は、約1μg/kg〜約1mg/kg(約10μg/kg〜100μg/kgまたは約200μg/kg〜600μg/kgなど)である。当業者は、動物(ラットまたはマウスなど)への投与量から、ヒトへの適切な投与量、例えば、薬物動態及び投与法を定める臨床試験用などで使用する量などを推定することができる(例えば、Reagan−Shaw et al.,FASEB J.22:659−661,2008を参照のこと)。
CSM−1ペプチドの有効量は、対象における侵害受容を変化させるのに(例えば、疼痛を治療または抑制するために、例えば、疼痛または疼痛知覚を低下させるために)必要なCSM−1ペプチドの量であってよい。有効量のCSM−1ペプチドは、単回投与または複数回投与で、例えば、治療期間中に、週に1回、週に2回、1日に1回、または1日に2回、3回、4回若しくは5回以上投与することができる。当業者は、例えば、治療する対象、苦痛の重度及び種類、投与形式、ならびにCSM−ペプチドの物理化学的特性に基づき、CSM−ペプチドの有効量を定めることができる。
特定の例では、有効量のCSM−1ペプチドを投与する前、最中または後に、対象は1つ以上の他の治療剤を受容することができる。ある1つの例では、対象は、侵害受容を変化させるために、CSM−1ペプチド以外の1つ以上の疼痛軽減剤(例えば、非ステロイド性抗炎症剤)のような1つ以上の追加の治療剤を受容する。CSM−1ペプチドと追加の医薬剤との併用投与には、追加の薬剤をCSM−1ペプチドと順次に投与すること(例えば、最初に第1の薬剤で治療してから、第2の薬剤で治療すること)、または両方の薬剤を実質的に同時に投与すること、例えば、重複して投与を行うことのいずれかが含まれる。順次的な投与では、もう一方の薬剤を投与するときに、第1の薬剤が若干量、対象の体内に残っている限りは(または治療効果を有する限りは)、対象は、これらの薬剤に、異なる時間で暴露される。両方の薬剤の同時投与は、同じ調剤で、例えば物理的に混合するか、または、別個の調剤で同時に投与するものであってよい。
本明細書に示されている医薬組成物の説明は、原則として、ヒトへの投与に適する医薬組成物を対象とするものであるが、そのような組成物は概ね、あらゆる種類の動物への投与に適することを当業者は理解するであろう。ヒトへの投与に適する医薬組成物を各種動物への投与に適するものとなるように修正することは周知であり、熟練の薬理学者であれば、一般的な実験(存在する場合)のみによって、このような修正を設計かつ/または実施することができる。
更に、開示されている複合体及び/または組成物を1つ以上含むキットも本開示に含まれる。キットは典型的には、好適な容器(例えば、ガラス、ホイル、プラスチックまたはボール紙製のパッケージ)で供給する。特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載されているような医薬用賦形剤、医薬用添加剤、治療活性剤などを1つ以上含んでよい。特定の実施形態では、キットは、例えば、計量カップ、シリンジ、針、洗浄助剤など、適切な投与のための手段を含む。特定の実施形態では、キットは、適切な投与及び/または適切な投与のための調製が行われるように、説明書を含む。
IV.使用法
本開示のペプチド、組成物及び製剤は、Nav1.7によって調節される障害状態及び疾患の予防及び/または治療に有用であり、その障害、状態及び疾患としては、急性及び慢性疼痛、侵害受容性疼痛、がん性疼痛、神経痛、筋肉痛、熱傷痛、関節痛、腸の炎症疼痛、骨痛及び骨粗しょう症の疼痛、ならびに炎症性疼痛(ある種の神経損傷(例えば、糖尿病性神経障害)に付随する神経炎症など)が挙げられるが、これらに限らない。本ペプチドの一部として治療可能なその他の状態としては、パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病及び慢性疲労症候群のような神経障害が挙げられる。開示されているペプチドを用いて、うつ病、PTSD、不安神経症、耽溺及び強迫性障害のような情緒及び気分障害も治療することができる。開示されているペプチドを用いて、外傷性脳損傷に付随する疼痛も治療することができる。いくつかの例では、開示されているペプチドを用いて、片頭痛に付随する疼痛を治療する。いくつかの例では、開示されている組成物は、物質使用障害(SUD)またはオピオイド治療剤を投与することができないその他の状態/疾患を患っているか又は発症する可能性がある対象に投与する。
概括的には、疼痛の治療には、Nav1.7の活性の阻害、抑制、ダウンレギュレーション、ブロック、阻止、またはさもなければ調節を含むことができる。いくつかの実施形態では、慢性疼痛に付随する1つ以上の徴候または症状を軽減する方法が開示されている。いくつかの例では、開示されているペプチド及び組成物を用いて、長期的なオピオイド療法によって典型的に治療する特定の状態、疾患または障害に付随する慢性疼痛を治療する。いくつかの例では、長期的なオピオイド療法のような従来の疼痛療法に加えて、開示されている組成物を用いて、慢性疼痛を治療し、この併用により、従来の疼痛療法を短縮できるようになる。
ある1つの例では、方法は、開示されているペプチド及び/または組成物のうちの1つ以上を有効量(治療有効量など)、対象に投与し、それによって、Nav1.7によって調節される障害、状態及び/または疾患に付随する1つ以上の症状を軽減または抑制することを含む。
Nav1.7活性を調節する方法であって、細胞(例えば、ヒトのような哺乳動物に存在する細胞)を、治療有効量の、開示されているペプチドまたは組成物のうちの1つ以上と接触させることを含み、その組成物が、未処置の細胞内のNav1.7活性に対して、処置済みの細胞内のNav1.7の活性を調節することによって、Nav1.7障害、状態及び/または疾患に付随する1つ以上の徴候または症状を軽減または抑制する方法も開示されている。ある1つの例では、Nav1.7の活性の調節には、コラプシン応答メディエータタンパク質2(CRMP2)の低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化による電位依存性ナトリウムチャネル1.7(Nav1.7)機能のトラフィッキングを阻止、阻害及び/または未処置細胞で生じるトラフィッキングと比べて低下させることを含む。ある1つの例では、上記の細胞を1つ以上の薬剤と接触させることには、その1つ以上の薬剤を、ヒトのような哺乳動物に投与することが含まれる。
ある特定の例では、結合体を含む化合物または医薬組成物は、末梢投与すると、血液脳関門を容易に透過する。血液脳関門を透過することができない本開示の化合物は、脳室内経路によって効果的に投与することができる。更なる例では、本医薬組成物は、本開示の化合物と、その化合物が血液脳関門を通過するように促す製薬学的に許容可能な担体とを含む。
いくつかの例では、本使用方法は、治療が必要な対象を選択することを含むことができる。例えば、Nav1.7によって調節される障害、状態及び疾患を患う恐れがあるか、または患っている対象を特定するために、検査を行うことができ、これらの障害、状態及び疾患としては、急性及び慢性疼痛、侵害受容性疼痛、がん性疼痛、神経痛、外傷性脳損傷疼痛、筋肉痛、熱傷痛、関節痛、腸の炎症疼痛、骨痛及び骨粗しょう症の疼痛、炎症性疼痛(ある種の神経損傷(例えば、糖尿病性神経障害)に付随する神経炎症など)、神経障害(パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病及び慢性疲労症候群など)、情緒及び/若しくは気分障害(うつ病、PTSD、不安神経症、耽溺及び強迫性障害)、ならびに/または物質乱用障害が挙げられるが、これらに限らない。Nav1.7によって調節される障害、状態及び/または疾患を検出する方法は、当業者に知られており、本明細書に記載されている方法を含むことができる。
治療有効量
本明細書に開示されている方法では、Nav1.7によって調節される障害、状態及び/または疾患を患っている対象に、本明細書に記載されている組成物を含む医薬組成物を有効量(治療有効量など)投与する。Nav1.7によって調節される障害、状態及び/または疾患に付随する1つ以上の徴候または症状を抑制または軽減するために、開示されている医薬組成物の治療有効量を定めるアッセイが、本明細書に記載されている(例えば、実施例を参照のこと)。
いくつかの例では、開示されている医薬組成物の治療有効量は、Nav1.7によって調節される障害、状態及び/または疾患に付随する1つ以上の徴候または症状を、その組成物の非存在下における活性よりも、例えば少なくとも10%、例えば約15%〜約98%、約30%〜約95%、約40%〜約80%、約50%〜約70%(約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%または約100%を含む)軽減または抑制する量である。
本治療方法における、開示されている医薬組成物の投与量、投与経路は、当業者に知られており、上記及び実施例に記載されているものを含む、本明細書に開示されているものが挙げられるが、これらに限らない。
Nav1.7によって調節される例示的な障害、状態及び疾患
Nav1.7によって調節される例示的な障害、状態及び疾患としては、急性及び慢性疼痛、侵害受容性疼痛、がん性疼痛、神経痛、筋肉痛、熱傷痛、関節痛、腸の炎症疼痛、骨痛及び骨粗しょう症の疼痛、炎症性疼痛(ある種の神経損傷(例えば糖尿病性神経障害)に付随する神経炎症など)、神経障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病及び慢性疲労症候群)、情緒及び気分障害(例えば、うつ病、PTSD、不安神経症、耽溺及び強迫性障害)、外傷性脳損傷に付随する疼痛、片頭痛に付随する疼痛、ならびに/または物質乱用障害が挙げられるが、これらに限らない。
下記の実施例は、特定の具体的な特徴及び/または実施形態を例示する目的で示されている。これらの実施例は、記載されている特定の特徴または実施形態に本開示を限定するものと解釈すべきではない。
〔実施例〕
実施例1
材料及び方法
この実施例では、本明細書に記載されている試験で用いた材料及び方法を示す。
髄腔内カテーテル法または鼻腔内投与:これらの投与経路に伴う手順は、既に説明されているとおりに厳密に行う(Anitua,E.,et al.PloS one 8,e73118(2013)及びLargent−Milnes,T.M.,et al.British Journal of Pharmacology 161,986−1001(2010)。これらの文献はそれぞれ、参照により本明細書に援用される)。
行動試験:
触覚過敏:ベースラインのフォンフライ試験(von Frey testing)の前に、吊るした金網ケージ内で、ラットを30分、順化する(神経結紮前、神経結紮後、偽手術前または偽手術後)。化合物またはビヒクルの投与後(t=0)、最初の60分間は、以前から用いられている上げ下げ法(参照により本明細書に援用されるChaplan et al.,J.Neurosci.Methods.53,55−63(1994))を用いて、15分間隔で7秒間、左後足(SNLと同じ側)の足底面に垂直にプローブされた較正済みフォンフライフィラメント(0.4〜15.0g)に対する反応を評価する。その足を上げること、その足を舐めること、または声を出すことは、較正済みフィラメントに対する陽性反応として計数する。既に報告されているようなDixonのノンパラメトリック法(参照により本明細書に援用されるLargent−Milnes,T.M.,et al.British Journal of Pharmacology 161,986−1001(2010))を用いて、足退避閾値をグラム単位で計算する。反対側の足では、試験を行わなかったのは、負傷している動物が、負傷している側よりも、負傷していない足の方に体重をかけるためである。
熱痛覚過敏:ベースライン試験のために、ラットをPlexiglas製ホルダー(イタリア、コメーリオのUgo Basile)内で30分、順化させる(神経結紮/暴露の前後)。可動式放射熱源を用いて、左後足の足底面に熱を当てる。足逃避反応潜時(PWL)を秒単位で測定するとともに、33.0秒の時点で熱源を自動停止させる。抗侵害受容実験用に、ベースライン及び神経損傷前のPWLは、20.0〜25.0秒に定める。損傷後のベースラインは、7日間の回復期間後に取得する。試験日には、動物に投与してから、フォンフライフィラメントを用いて、60分にわたり15分ごとに試験する。反対側の足は、痛覚過敏について評価を行わないが、それは、負傷している動物は、負傷している側よりも、負傷していない足の方に体重をかけるためである。
坐骨神経部分損傷(SNI)モデル:O2中の2.5%イソフルオラン(Fisher Scientific、カタログ番号NC9171659)による麻酔下(2L/分で麻酔薬を送達)、大腿部の外側面の皮膚を切開し、大腿二頭筋を直接切開し、坐骨神経とその3つの終末枝(腓腹神経、総腓骨神経及び脛骨神経)を露出させる(参照により本明細書に援用されるDecosterd,I.&Woolf,C.J.,Pain.87,149−158(2000))。SNI作製手順には、脛骨神経及び総腓骨神経の軸索切断及び結紮を行い、腓腹神経はそのまま残すことが含まれる。総腓骨神経及び脛骨神経は、5.0絹で、きつく結紮し、結紮部の遠位側で切断し、遠位側の神経幹を2±4mm除去する。擬似対照には、傷を付けることなく、坐骨神経及びその枝を露出させることが含まれる。全ての動物は、任意の行動試験の前に、3〜4日間回復させた。運動障害、感染、または10%を超える総体重の減少の徴候を示した任意の動物はいずれも、安楽死させる。この神経損傷モデルにより、慢性疼痛の徴候を示す行動的な表現型が95%超得られる。行動的な疼痛を示さなかった動物はいずれも、薬物/ビヒクル試験の前に、調査から除外する。
ロータロッドを用いた運動能力/鎮静の評価:負傷していない雄SDラットを用いて、神経損傷/慢性炎症が重度でない場合に、その化合物自体が鎮静作用を有するかを判断する。すなわち、ナイーブラットに対して、最大カットオフ時間180.0秒で、自動回転ロッド(8回転/分、Columbus InstrumentのRotamex4/8)の上を歩行するトレーニングを行う。トレーニングには、機械を180.0秒間止めて、動かないロッド上に置くことと、動かないロッド上に置いてから、機械を180.0秒間動かすことと、ロッドを回転させた状態で、180.0秒のトレーニングセッションを更に2回行うことが含まれる。10分後、各ラットのベースライン値を記録する。動物が最長時間に達した場合には、180.0秒のカットオフ値を観察値として割り当てる。化合物を上記のように投与し、最初の60分〜180分にわたり30分おきに、または変化が観察された場合にはベースラインに戻るまで、評価を行う。
条件付け場所嗜好性(CPP):条件付け場所嗜好性を用いて、薬物の強化作用を測定する。薬物の条件付けを行う前及び後に、条件付けがされていると推定される側でラットが滞留した時間を記録する。2週間の期間にわたって、動物を、薬物とビヒクルの両方に暴露させ、それぞれの処置は、3つのチャンバを備えるボックスの2つのチャンバにおいて、別個の視覚的刺激及び触覚的刺激と組み合わせる。San Diego Instruments(カリフォルニア州サンディエゴ)のラット用CPPボックスは、下記のようにカスタマイズした端側チャンバを有する。すなわち、左チャンバの刺激は、黒色及び白色の水平ストライプならびに滑らかな床であり、右チャンバの刺激は、黒色の壁、粗い床(両側に同量の穴)であり、中央の移行チャンバは、明るい光及び格子状の床である(動物は、光及び格子状の床により、移行チャンバで最小限の時間しか滞留しない)。16個のY軸センサー及び4個のX軸センサーによって、微細運動、歩行運動及び探索的運動を記録できるようにする。各自動記録セッションは、合わせて20分間、全てのボックスを一斉に起動させるようにプログラミングし、5分おきに記録する。動物は、ベースラインの記録の前に、60分間慣らす。ベースラインの記録を2回、1日目と4日目に行い、平均値を全体のベースラインとして用いて、チャンバ当たりの時間を事前に条件付ける。条件付け前に、1つのチャンバ側に優位な嗜好性を示したラットはいずれも除外する。動物は、複数の処置群にランダムに分け、隔離された端側チャンバのうちの1つと治療薬とを関連付けるように、かつ反対側の端側チャンバとビヒクルとを関連付けるように条件付ける。条件付けの時間経過は、以下のとおりである。すなわち、2日目、3日目、9日目及び10日目は、条件付け休止日であり、5日目、7日目、11日目及び13日目は、ビヒクルに条件付ける日であり、6日目、8日目、12日目及び14日目は、薬物に条件付ける日である。全ての薬物及びビヒクルの処置において、2種類のチャンバに対してバランスの取れた処置を行うとともに、投与する薬物を実験実施者に知らせずに、全ての実験を行う。
DRG及び脊髄の除去:O2中の2.5%イソフルオランで深麻酔後(麻酔薬を2L/分で送達)、動物に対して断頭を行い、腰帯で脊柱を切断する。氷冷生理食塩水を用いて、液圧押出によって脊髄を取り出し、すぐに、ガラスペトリ皿の氷上に置き、腰髄背側半切断を行い、液体窒素で瞬時に凍結する。更なる分析に備えて、組織を−80℃で保存する。腰帯から、脊柱上の背中へ上方を小さな切開を施し、側部方向に皮膚及び筋肉が見えるようにする。L4、L5及びL6の神経根を確認し、椎弓を除去し、DRGを確認する。そのDRGの近位及び遠位側の両方に切り込みを入れ、神経節をピンセットで取り出し、液体窒素を用いてすぐに凍結してから、更なる分析に備えて、−80℃で保存する。組織は、比較のために、全ての群から採取する。
統計:全ての処置群は、8〜9の最小n値で構成させる。全てのデータは、ノンパラメトリック二元配置分散分析(ANOVA、事後:Neuman−Kuels)によって、FlashCalc(Dr.Michael H.Ossipov,University of Arizona,Tucson)で分析する。適切な場合には、一元ANOVAとスチューデントT検定を用いる。p≦0.05の場合に、差異が有意であるとみなす。全てのデータは、GraphPad Prism4でプロットし、他の手段を必要としない限りは、平均値±SEMを表す。
実施例2
CRMP2由来の抗侵害受容性非麻薬性ペプチドによる慢性疼痛の治療
この実施例によって、CRMP2由来の抗侵害受容性非麻薬性ペプチドが慢性疼痛を治療する能力が示されている。特に、(1)CRMP2のSUMO化が、Nav1.7の電流密度及び表面トラフィッキングにとって重要であること、(2)CRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドが、Nav1.7の膜表面へのトラフィッキング及び電流密度を阻止すること、及び(3)Nav1.7の電流を低下させる、CRMP2のSUMO化に影響を及ぼす操作が、炎症性及び神経病性疼痛のモデルにおいて、オピオイドで見られる望ましくない副作用を起こすことなく、抗侵害受容性であることを本発明者は発見した。現時点では、慢性疼痛を抑えるための持続可能な治療が不足していることを考えれば、本明細書に報告されている発見は、革新的かつ非常に重要なことであるのみならず、早急に必要とされることでもある。
CRMP2のSUMO結合部位(K374)を除去したところ、神経突起分岐、CRMP2機能の基準特徴を損なうことなく、SUMO化されたCRMP2が喪失した。加えて、CRMP2−K374A発現細胞において、神経モデル細胞株(CAD細胞)で優位であるフエントキシン−IV感受性Nav1.7電流が有意に低下した。野生型CRMP2発現CAD細胞において、セントリン/SUMO特異的プロテアーゼSENP1またはSENP2によって脱SUMO化を増大させたところ、Nav1.7の電流が低下した。電流密度の低下と一致して、ビオチン化によって、CRMP2−K374A発現CAD細胞における表面Nav1.7レベルの有意な低下が示され、SENP1+SENP2の過剰発現によって、表面のNav1.7発現も低下した。Nav1.7を安定して発現するHEK293細胞における電流は、E2結合酵素Ubc9に依存する形で、CRMP2−K374Aによって低下した。CRMP2−K374A及びNav1.1またはNav1.3を共発現しているHEK293細胞では、電流密度の低下は観察されなかった。ナトリウム電流、主にNav1.7の低下は、CRMP2−K374Aを発現している感覚ニューロンで再現された。この調査によって、CRMP2のSUMO化を利用して、Nav1.7のトラフィッキングを調節する新規調節機構が明らかになった。CRMP2のSUMO化を調節することができる「デコイ」ペプチドも同定され、本明細書に開示されているデータによって、神経病性疼痛の動物モデルにおいて侵害受容を軽減するのに、このデコイペプチドが有効であることが証明されている。
CRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドは、CRMP2 SUMOヌル変異体で観察される、Nav1.7の電流密度の低下を再現する。CRMP2におけるGKMDENQという配列(配列番号1、図1B、下線が引かれている374位のSUMO化リシン)は、基準SUMO化モチーフに一致する。HIV−1転写活性化因子(TAT)の細胞透過性導入ドメインにCSM−1Sを融合して、細胞透過性ペプチドtat−CSM−1Sを作製することによって、この領域(CSM−1Sと称する)を含むペプチドが、「デコイ」として機能することができるとともに、Ubc9によるSUMO化のシンクとしての役割を果たすことができることを本発明者は割り出した。tat−CSM−1Sの細胞透析によって、CRMP2のSUMO化が阻止された場合、本発明者のデータと一致して、Nav1.7の電流密度が低下すると予測することにした。20μMのtat−CSM−1Sを適用したところ、迅速な不活性化または定常状態不活性化に対して何らかの作用を及ぼすことなく、Nav1.7の電流が53%低下した(図4A〜4D)。
Cdk5によるCRMP2のリン酸化の喪失によって、Ubc9依存する形で、Nav1.7の電流が低下する。多くのタンパク質において、タンパク質のリン酸化は、その後のSUMO化に影響を及ぼすことが多い。例えば、GluK2含有カイニン酸受容体の表面発現及び機能の調節において、タンパク質キナーゼCによる直接的なリン酸化及び、カイニン酸受容体サブユニットGluK2のSUMO化は、密接に結び付いている。CRMP2は、複数の部位でリン酸化され(図2)、リン酸化は、パートナータンパク質との機能的な相互作用に影響を及ぼす。本発明者によって最近、CRMP2のSUMO化が、チャネルのトラフィッキングに影響を及ぼすことが示された。しかしながら、リン酸化が、CRMP2のSUMO化を調節して、Nav1.7のトラフィッキング及び活性に影響を及ぼすかは不明である。これを評価するために、本発明者は、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)部位S522をアラニンで破壊して、この構築物を、単独で、またはCRMP2 SUMOヌル構築物の存在下で、更にSUMO化機構(SUMO1及びUbc9)の存在下で、Nav1.7 HEK293細胞内で発現させ、ナトリウム電流密度を評価した。S522A CRMP2変異体を発現させたところ、SUMO1とUbc9とを共発現させた場合のみ、Nav1.7の電流が約56%低下した(図5)。このデータによって、Nav1.7のトラフィッキングに影響を及ぼし得る、CRMP2のSUMO化とリン酸化との相互作用が示されている。
Na+感受性色素SBFIを用いて、その有用性を示す。本明細書に開示されているデータによって、tat−CSM−1Sペプチドが、Nav1.7の電流を阻害することが示されており(図4A−4D)、これは、SUMOヌルCRMP2−K374A変異体を発現する細胞株及び感覚ニューロンででは、Nav1.7の電流が低下することを示している本発明者の成果と完全に一致している。従来のパッチクランプは依然として、イオンチャネルの特性を正確かつ直接的に特徴化するのに必要な十分に高い時間分解能及び感度を有する唯一の技法である一方で、パッチクランプが、遅く、手間がかかり、ひいては高価な技法であることが広く認められている。本発明者は、Na+/K+−ATPaseの阻害剤であるウアバイン(1mM)を用いて、細胞質Na+([Na+]c)を増加させてから、Na+感受性蛍光色素のSBFIを用いてモニタリングした。ウアバインにより、[Na+]cは増加した(図6A)。感覚ニューロンをtat−CMS−1S(10μM)で前処理したところ、ウアバインによる[Na+]cの増加率が大きく低下した(図6B)。ウアバインによる[Na+]cの増加は、テトロドトキシン(TTX、1μM、図6C)及びプロトックス−II(10μM、図6D)(Nav1.7の特異的ブロッカー)によっても阻害された。これにより、このような[Na+]cの増加には、電位依存性Na+チャネル、具体的にはNav1.7が介在していることが示唆される。したがって、ウアバインによる[Na+]cの増加が、tat−CMS 1Sにより阻害されることは、このペプチドがNav1.7を効果的に阻害することを示す(図6E)。
tat−CSM−1Sペプチドの有効性:CRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドが慢性疼痛を抑制するか判定するために、本発明者は、神経病性疼痛の信頼性の高い長期モデルで、tat−CSM−1Sの試験を脊髄送達後に行った。坐骨神経部分損傷モデルは、損傷から5日目に、有意な機械刺激痛覚過敏及び熱痛覚過敏を示した(図7A〜7B、術後群)。tat−CSM−1Sを10μg/5μlで脊髄送達(i.th.)したところ、熱痛覚過敏と機械刺激痛覚過敏の両方とも(図7A〜7B)、長期にわたり有意に好転し、24時間の時点までに損傷時のベースラインに戻った。臨床で使用されている薬剤(モルヒネ及びガバペンチン)と比較したところ、tat−CSM−1Sは、試験した用量において、それらの薬剤よりも高い効力、及びそれらの薬剤と同等の有効性を示し、かつ作用期間が、有意により長かった(図8A〜8B)。擬似対照ラットでは、潜時または閾値の変化は見られなかった。これは、tat−CSM−1Sが、非損傷時の潜時/閾値を変化させないことを示唆している(図7A〜7B)。現在臨床で使用されている薬剤(ガバペンチンなど)は、ヒトにおいて強い鎮静を引き起こすので、本発明者は、新規tat−CSM−1Sが、同様の鎮静、すなわち運動機能障害を引き起こすか判定した(疼痛行動試験において、運動反射に基づき、偽陽性を除外することが非常に重要である)。結果が「損傷の状態」の影響を受けないように、雄のナイーブSDラットを用いて、鎮静/運動機能障害を判定した。tat−CSM−1Sを脊髄送達したところ、全ての動物は、カットオフまで(180秒)回転ロッドに滞留したので、運動機能障害または鎮静は見られなかった(図9)。これに対して、ガバペンチン(ヒトにおいて強い鎮静を引き起こすことが知られている薬剤)では、ナイーブラットの回転ロッドに滞留する能力が低下した(図9)。
CRMP2のSUMO化がNav1.7のトラフィッキングに及ぼす影響の作用機序の判定:CRMP2のSUMOモチーフは、7アミノ酸長さであり、CRMP2のSUMO化リシン374を中心としている。このモチーフを除去すると、Nav1.7を通るNa+の電流密度は低下するが、Nav1.1またはNav1.3チャネルでは低下せず、電流密度の低下は、Nav1.7の細胞表面での発現の低下に対応している。このNav1.7での低下が生じる機序(複数可)は不明であり、この試験の目的の焦点である。Nav1.7を安定的に発現するHEK293細胞、神経モデルCAD細胞、及び雄SDラット由来の後根神経節(DRG)感覚ニューロンを用いる。Nav1.8も、Nav1.7を発現するDRGニューロンで発現し、疼痛に関連付けられているので、SUMO化がNav1.8に及ぼす影響についても試験する。CRMP2 SUMOヌル変異体を発現するプラスミド、及び新規tat−CSM−1Sペプチドを用いて、SUMO化とNav1.7のトラフィッキングとの関係を分析する。タンパク質のリン酸化は、その後のSUMO化に影響を及ぼすことがある。これがCRMP2にも当てはまるかを評価する。本発明の調査員は、リン酸化ヌル−SUMO化ヌルCRMP2変異体プラスミドの組み合わせを発現する細胞に対して電気生理学的方法を用いて、これらの翻訳後修飾体間の相互作用がNav1.7のトラフィッキングを調整するかを調べる。これらの構築物を発現する細胞のプロテオミクス分析を行って、リン酸化−SUMO化ヌルCRMP2変異体のインタラクトームが、単一の修飾変異体のそれぞれ単体のインタラクトームと異なるかを判定する。
CRMP2のSUMOモチーフの遺伝子除去によって、Nav1.7の電流密度が、表面トラフィッキングの低下を介して低下することが本発明者によって既に示されている。CRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)「デコイ」ペプチドを用いて、CRMP2を薬理学的に操作することによっても、Nav1.7を発現するHEK293細胞において、同様にNav1.7の電流が低下した(図4A〜4D)。
Cdk5部位(S522A)リン酸化ヌル変異体、及びSUMO化機構の共発現を用いた本発明者のデータによって、Nav1.7のトラフィッキングの調整における、リン酸化とSUMO化との相互作用の重要性が示されている(図5)。
急性疼痛及び慢性疼痛のモデルにおけるCRMP2 SUMO化モチーフペプチドの評価
Nav1.7チャネルは、望ましくない副作用を起こさない選択的及び特異的アンタゴニストの設計が実現されていない慢性疼痛を研究する際の分子標的である。Nav1.7は、DRGで見られるが、中枢神経系では見られず、肢端紅痛症、発作性激痛症及び糖尿病性神経障害のような衰弱性慢性疼痛状態に関連付けられているが、製薬会社及び薬学会は、この特有の慢性疼痛標的を活用してこなかった。Nav1.7は、慢性末梢炎症及び末梢神経損傷の動物モデルにおいて、アップレギュレートされて、慢性疼痛を促進する。本発明では、低分子ユビキチン様修飾を用いてNav1.7のトラフィッキングを調節するCRMP2を変化させて、慢性炎症及び神経損傷の状態において、末梢ニューロンの表面におけるNav1.7の発現レベルを変化させるように、試験を設計する。この機構は、Nav1.7のトラフィッキングを低下させるが、密接な関係がある他のナトリウムチャネル(Nav1.1またはNav1.3チャネルなど)では低下させないことが示されている。加えて、本明細書中に示される試験により、この経路における新規ペプチド(tat−CSM−1S)が、神経損傷後に、熱痛覚過敏と機械刺激痛覚過敏の両方を有意に軽減する一方で、運動活動への影響または障害の明確な徴候が見られないことが示されている。したがって、開示されている新規化合物の薬理は、(a)十分に認められている神経病性疼痛モデル(坐骨神経部分損傷(SNI))及び慢性炎症性疼痛モデル(後肢中のフロイント完全アジュバント(CFA))における抗熱痛覚過敏及び抗機械刺激痛覚過敏についてインビボで試験し、(b)用量反応及び経時的反応のデータを収集し、(c)神経病性疼痛用として現在入手可能な薬剤(モルヒネ及びガバペンチン)と比較し、(d)無傷のラット及び損傷ラットから採取した後根神経節(DRG)及び脊髄であって、試験化合物またはビヒクルで処理したDRG及び脊髄のNav1.7レベル及びCRMP2レベルを調べ、(e)DRG及び脊髄組織に対して、プロテオミクスベースの分析も行って、損傷の代替的な標的及び/またはバイオマーカーを特定し、(f)ロータロッドを用いて鎮静/運動作用を調べ、かつ(g)場所条件付け嗜好性(CPP)を用いて、依存性傾向を調べる。いずれの試験でも、雄スプラーグドーリーラット(Harlan、175〜225g)を用いる。いずれの試験も盲検で行い、薬剤/ビヒクルを髄腔内経路(作用部位での試験)及び鼻腔内経路(BBB透過のための全身投与)で投与する。気道、特に鼻は、薬物送達を向上させる機会を提供する。多くの薬剤は、鼻腔から迅速かつ効率的に吸収されるので、経鼻経路は、クリーゼの治療(例えば疼痛及び悪心)に用いることができる。徐放性生分解性ナノ粒子中のペプチドの直接的な鼻腔−脳送達は、CNS生物学的利用能を高めるのに有効な治療経路であるとともに、現役勤務の戦闘状況下にある軍人向けの、関連性の高い送達経路と考えられる。
SNIモデルにおける脊髄投与後の新規化合物の試験:開示されている2つの化合物、ビヒクル、ならびに臨床で使われている薬剤(モルヒネ及びガバペンチン)である陽性対照などの少なくとも1つの不在下及び存在下において、坐骨神経部分損傷モデルを用いた試験及ぶ、機械刺激痛覚過敏と熱痛覚過敏の両方の行動試験を行う。化合物を脊髄(髄腔内、i.th.)経路で投与して、末梢神経系(損傷部位)と中枢神経系との間のシナプス結合部位に直接送達されるようにする。動物にi.th.カテーテルの留置を行い、5日間回復させることで試験を開始する。続いて、正常な行動を示すラットに対して、ベースラインの機械及び熱試験(一般的な方法を参照)を行って、潜時及び閾値をそれぞれ測定する。次に、ラットに対して、坐骨神経部分損傷(SNI)または対照としての偽手術(一般的な方法を参照)のいずれかを行う。試験には、脊髄神経損傷が施され、1/3の対数用量に基づき、用量反応曲線が構築されるまで、新規化合物が(10μg/5ulで)、かつ用量を増やして((30μg/5ul)、または用量を減らして(3μg/5ul)i.th.投与される3つの動物群を含み、第2の群には、新規化合物に用いられるビヒクルを投与し(5μl、i.th.)、第3の動物群は分割して、モルヒネ(開始用量10μg/5ul)またはガバペンチン(開始用量30μg/5ul)を投与し、比較用の用量反応曲線を作成する。群には、過去の分析に基づき、9匹のラットが含まれる(予算の説明の項に詳述されている)。薬剤投与後の行動測定の時点には、30分おきに180分後、240分後、及び24時間後まで、または手術後(痛覚過敏)の状態に戻るまでの時点が含まれる。SNIでの試験に加えて、偽手術を施した(坐骨神経を露出させたが、結紮は行わなかった)動物において、同じ3つの群(新規化合物、ビヒクル、陽性対照)を同じ方法で試験した。
SNIモデルにおける鼻腔内投与後の化合物の試験:この試験は、記載されているように鼻腔内経路で投与する以外は、上記と同様に行う。点鼻薬としてのモルヒネに関する過去の試験に基づき、1〜5mg/kg(総体積48μl)の用量を経時的に(すなわち、試験化合物または対照を一度に3μl、鼻腔に順番に、各投与間に2分間の中断時間をおいて、合わせて16回=総体積48μl)、ラットの鼻孔の近くに滴下し、鼻腔内に自然に吸入させる。既知の有効性を用いて、上記の脊髄投与試験後に明らかになった比率に基づき、モルヒネの作用と比較して、用量及び経時的反応曲線を作成する。試験は、開示されている2つの化合物、ビヒクル、ならびに陽性対照(ガバペンチン及びモルヒネ)などの少なくとも1つを含み、いずれの試験も盲検で行う。
CFAモデルにおける脊髄投与後の化合物の試験:完全フロイントアジュバント(CFA)は、組織の損傷をもたらし、かつ慢性炎症を惹起して、熱痛覚過敏と機械刺激痛覚過敏を引き起こすマイコバクテリウムを含む。化合物は、i.th.経路によって投与する。動物に、i.th.カテーテルを留置し、5日間回復させる。続いて、正常な行動を示すラットに対して、ベースラインの機械及び熱試験を行い、潜時及び閾値をそれぞれ測定する。150μlのCFAまたは対照群としての不完全フロイントアジュバント(IFA、Sigma−Aldrich、マイコバクテリウムを含まないので、慢性炎症性疼痛を引き起こさない)を(上記のように)ラットの左後肢の背表面に注射することによって、CFA(Sigma−Aldrich)を皮内投与する。CFAまたはIFAの注射から5日後に、熱痛覚過敏及び機械刺激痛覚過敏試験を行って、慢性疼痛状態を判定する。試験は、後肢にCFAの注射を行うとともに、新規化合物(SNI試験に基づき5μl)をi.th.投与する3つのラット群を含む。用量反応曲線を作成し、第2の群に、新規化合物に用いるビヒクル(5μl)を投与し、第3の動物群に、モルヒネ(開始用量10μg/5μl)またはガバペンチン(開始用量30μg/5μl)を投与し、比較のための用量反応曲線を作成する。群は、9匹のラットを含み、薬剤投与後の行動測定の時点には、30分おきに180分後、240分後、及び24時間後まで、またはCFA後(痛覚過敏)の状態に戻るまでが含まれる。CFA処理動物での試験に加えて、同じ群(新規化合物、ビヒクル及び陽性対照)をIFA処置動物において、同じ方法で試験し、後肢閾値または潜時のあらゆる有意な変化を記録する。
CFAモデルにおける鼻腔内投与後の化合物の試験:これらの試験は、記載されているように鼻腔内経路で投与する以外は、上記と同様にして行う。点鼻薬としてのモルヒネに関する過去の試験に基づき、1〜5mg/kg(総体積48μl)の用量を、経時的に(すなわち、試験化合物または対照を一度に3μl、鼻腔に順番に、各投与間に2分間の中断時間をおいて、合わせて16回=総体積48μl)、ラットの鼻孔の近くに滴下し、鼻腔内に自然に吸入させる。既知の有効性を用いて、脊髄投与試験後に明らかになった比率に基づき、モルヒネの作用と比較して、用量及び経時的反応曲線を作成する。試験は、開示されている2つの化合物、ビヒクル、ならびに陽性対照(ガバペンチン及びモルヒネ)を含み、いずれの試験も盲検で行う。
ナイーブラットにおける、髄腔内及び鼻腔内投与後の化合物の運動障害及び/または報酬行動に関する試験:雄のナイーブSDラットにおいて、ロータロッド試験(一般的な方法を参照)を用いて、運動機能障害及び/または鎮静を試験する(損傷状態に妨げられることなく、新規化合物単独の作用を判定するため)。脊髄投与では、動物はi.th.にカテーテルを埋入し、5日間回復させ、ロータロッドを使用するように訓練し、回転ロッドの上に滞留する際の潜時をベースライン活性として記録する。脊髄投与試験と経鼻投与試験の両方において、動物には、過去の試験から得られた90%の有効用量の抗痛覚過敏用量(ED90)のビヒクル、または抗痛覚過敏ED90の用量のモルヒネ若しくはガバペンチンを投与し、その動物がロータロッドの上に滞留する能力についてモニタリングする。
雄のナイーブSDラットにおいて、条件付け場所嗜好性(CPP)のパラダイム(一般的な方法の目的3を参照)を用いて、報酬行動を試験する(損傷状態に妨げられることなく、新規化合物単独の作用を判定するため)。脊髄投与試験と経鼻投与試験の両方において、動物に、過去の試験から得られた抗痛覚過敏ED90用量のビヒクル、または抗痛覚過敏ED90用量のモルヒネ若しくはガバペンチンを投与し、モニタリングして、その化合物に対してCPPが陽性となるか判断する。
tat−CSM−1Sの単回投与によるデータは、脊髄投与後、運動機能障害を引き起こすことなく、慢性疼痛を有意に抑制する(図7A〜7B及び図9)。これらの驚くべきデータに基づき、ガバペンチンとモルヒネの両方の効力及び有効性と比較して、開示されている新規化合物の用量反応曲線を作成する。CFAによる重度の組織壊死、及び/または新規化合物を用いた場合の鎮痛作用の欠除が見られる場合、ホルマリンフリンチまたはカラギーナンを含む、急性及び慢性炎症性疼痛の代替的モデルを調査して、臨床で用いられているNSAID(ナプロキセン)と比較することができる。
オキシトシンのようなペプチド分子による過去の研究により、良好な生物学的利用能、及び鼻腔内投与によるCNSへの良好な送達性が示されている。モルヒネは鼻腔内経路で投与されており、ラットモデルにおいて鎮痛効果を示す。それらの新規化合物であるかどうかを判定するための代替的投与経路は、坐骨神経部分損傷モデルにおいて、開示されている化合物をi.v.経路によって投与し、効果を判定するものである。また、別の代替的なペプチド送達方法は、Hoganのグループによる最近の文献に示されているものと同様のウイルスベクターを用いるものである。これらの研究では、DRGへの直接的な送達のために、CRMP2由来のペプチドを含む配列を有するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、CRMP2−カルシウムチャネル相互作用を破壊し、その結果、坐骨神経部分損傷モデルにおいて、有意な抗侵害受容性活性が得られた。開示されている化合物は、非麻薬性であり、ドーパミンの放出を促す機構を有さないので、何らかの報酬行動を引き起こしたり、または乱用物質となることがないと考えられる。
実施例3
侵害受容を抑える方法
この実施例では、急性疼痛、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、がん性疼痛、神経疼痛、筋肉疼痛、熱傷痛、関節痛、腸の炎症疼痛、骨痛及び/若しくは骨粗しょう症の疼痛、炎症性疼痛、またはこれらの組み合わせを患う恐れがあるかまたは患っている対象などにおいて、侵害受容を抑える方法を説明する。いくつかの例では、対象は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ピック病及び/または慢性疲労症候群などの神経障害を患う恐れがあるかまたは患っている。いくつかの例では、対象は、うつ病、PTSD、不安神経症、耽溺及び強迫性障害などの情緒及び/または気分障害を患う恐れがあるかまたは患っている。
本明細書に記載の技法に基づき、侵害受容を抑える方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、対象に、開示されている単離ポリペプチドまたは組成物を有効量投与し、それによって、対象の侵害受容を抑えることを含む。ある1つの特定の例では、治療を必要とする対象を特定する。続いて、試験の終了まで、その対象に、細胞透過性モチーフに結合されているCSM−1ペプチドを含む組成物を毎日、200〜600mgの濃度で経口投与する。14日間隔で対象を評価する。1つ以上の徴候または症状が少なくとも10%軽減した場合、その治療が、侵害受容を抑えるのに有用であると認める。
開示されている本発明の原理を適用することができる多くの想定される実施形態に鑑み、示されている実施形態は、本発明の好ましい例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことを認識すべきである。むしろ、本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明者は、これらの請求項の範囲及び趣旨の範囲内にある全てを本発明として請求する。
CRMP2は、保存された負電荷SUMO化モチーフ(NDSM)コンセンサス配列を含む。(図1A)可逆性のSUMOサイクルと、CRMP2などの修飾タンパク質の一般的な結果は次の通りである。(i)SUMO化は、標的とそのパートナーとの相互作用を妨げることができるが、この場合の相互作用は、SUMO化が存在しないときのみに発生し得るものである。(ii)SUMO化によって、相互作用パートナーに対する結合部位をもたらすことができる。(iii)SUMO化によって、修飾した標的の立体構造変化をもたらすことができる。CRMP2では、これらのシナリオのうちのどれが生じるのかは不明である。
(図1B)齧歯類動物CRMP1〜5の配列(それぞれ、配列番号16、配列番号2、配列番号17、配列番号18及び配列番号19)の短い領域を整列させたものであり、CRMPのSUMO化コンセンサスモチーフが黄色でハイライトされている。その基準モチーフの端側(右側)に隣接する負電荷酸性部分の存在は、更にストリンジェントなNDSMに適合する。数字は、ラットCRMP2のアミノ酸残基を指す。
(図1C)。球(矢印)によって識別されるSUMO化モチーフ残基を有するCRMP2の構造図である。明確にするために、CRMP2四量体のうちの3つのモノマーのみが示されている。
CRMP2配列、すなわちリン酸化部位及びSUMO化部位である。部分的に示されているラットCRMP2配列(完全配列については配列番号20、GenBANKアクセッションno.P47942(参照により、2015年3月6日の時点で入手可能なその全体が本明細書に援用される)を参照のこと)に、グリコーゲン3キナーゼベータ(GSK3β)、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)及びRhoキナーゼ(RhoK)によるリン酸化部位が示されている。配列番号20の残基374における低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)化されるリシンも示されている。
CRMP2によるNav1.7の調節を概略的に示している。本明細書に開示されているデータによって、CRMP2がE2ユビキチン結合酵素Ubc9によってSUMO化されることが示されている。CRMP2のSUMO化により、Nav1.7の細胞表面へのトラフィッキングの増大によって、電流密度が向上する。CRMP2のSUMO化部位(K374)を除去するか、またはCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)を含むデコイペプチドを細胞に導入すると、Nav1.7の表面発現の低下により、Nav1.7の電流密度が低下する。CRMP2のSUMO化を操作することによって、SUMO化がNav1.7のトラフィッキングを統制する機構が決定される。開示されているペプチドを用いて、疼痛行動、炎症及び神経障害を調節することができる。
細胞透過形態のCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドは、感覚ニューロンにおいて、Nav1.7の電流を阻害する。図4Aは、電圧プロトコールである。
細胞透過形態のCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドは、感覚ニューロンにおいて、Nav1.7の電流を阻害する。図4Bは、ビヒクル−またはtat−CSM−1S(20μM)で処置したDRGニューロンから得た電流トレースの代表的なファミリーであり、電流の顕著な低下を示すものである。
細胞透過形態のCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドは、感覚ニューロンにおいて、Nav1.7の電流を阻害する。図4Cは、2つの条件から得られたピーク電流密度(pA/pF)の要約データである。アスタリスクは、Nav1.7の電流密度の有意な低下を表している(p<0.05、スチューデントt検定)。括弧内の数字は、試験した細胞の数を表している。
細胞透過形態のCRMP2 SUMO化モチーフ(CSM)ペプチドは、感覚ニューロンにおいて、Nav1.7の電流を阻害する。図4Dは、ビヒクル−またはtat−CSM−1Sで処置したDRGから得られたNav電流の活性化及び定常状態不活性化の代表的なボルツマンフィットである。
Cdk5によるCRMP2のリン酸化が喪失すると、Ubc9に依存する形で、Nav1.7の電流が低下する。示されているDNA構築物の存在下または不在下におけるNav1.7−HEK293細胞の規格化ピーク電流が要約されている。ピーク電流は、細胞の容量を基準に規格化された。アスタリスクは、Cdk5部位変異体(CRMP2−S522A)と、もう一方の条件との間に、統計的に優位な差があることを示している(p<0.05、スチューデントt検定)。
ペプチドtat−CSM 1S、テトロドトキシン(TTX)及びプロトックス−II(NaV1.7を優先的にブロックするクモ毒素)は、培養ラット後根神経節(DRG)ニューロンにおいて、ウアバインによる細胞質Na+の増加を軽減する。ガラスカバースリップに播種した急性単離DRGニューロンに、SBFI(Na+感受性フルオロフォア)を加えてから、示されているように、1mMのウアバインのみ(図6A)、または10μMのTTX(図6C)若しくは10μMのプロトックス(図6D)と組み合わせて処理した。カルシウムイメージング実験でこれまで行われてきたように、曲線下面積(AUC)を計算することによって、ウアバインによる[Na+]cの経時的変化を定量化した。これらの試験では、AUCは、ウアバイン及び他の薬剤の適用後、1200秒間にわたり計算した。データは平均値±SEMであり、*はp<0.05であり、**はp<0.01であり、N=3つの独立した試験である(1回の試験あたり、n=18〜27個の細胞)。
ペプチドtat−CSM 1S、テトロドトキシン(TTX)及びプロトックス−II(NaV1.7を優先的にブロックするクモ毒素)は、培養ラット後根神経節(DRG)ニューロンにおいて、ウアバインによる細胞質Na+の増加を軽減する。図6Bでは、ニューロンを10μMのtat−CSM 1Sで12時間、プレインキュベートしてからSBFIを加えて、試験を行った。カルシウムイメージング実験でこれまで行われてきたように、曲線下面積(AUC)を計算することによって、ウアバインによる[Na+]cの経時的変化を定量化した。これらの試験では、AUCは、ウアバイン及び他の薬剤の適用後、1200秒間にわたり計算した。データは平均値±SEMであり、*はp<0.05であり、**はp<0.01であり、N=3つの独立した試験である(1回の試験あたり、n=18〜27個の細胞)。
ペプチドtat−CSM 1S、テトロドトキシン(TTX)及びプロトックス−II(NaV1.7を優先的にブロックするクモ毒素)は、培養ラット後根神経節(DRG)ニューロンにおいて、ウアバインによる細胞質Na+の増加を軽減する。ガラスカバースリップに播種した急性単離DRGニューロンに、SBFI(Na+感受性フルオロフォア)を加えてから、示されているように、1mMのウアバインのみ(図6A)、または10μMのTTX(図6C)若しくは10μMのプロトックス(図6D)と組み合わせて処理した。カルシウムイメージング実験でこれまで行われてきたように、曲線下面積(AUC)を計算することによって、ウアバインによる[Na+]cの経時的変化を定量化した。これらの試験では、AUCは、ウアバイン及び他の薬剤の適用後、1200秒間にわたり計算した。データは平均値±SEMであり、*はp<0.05であり、**はp<0.01であり、N=3つの独立した試験である(1回の試験あたり、n=18〜27個の細胞)。
ペプチドtat−CSM 1S、テトロドトキシン(TTX)及びプロトックス−II(NaV1.7を優先的にブロックするクモ毒素)は、培養ラット後根神経節(DRG)ニューロンにおいて、ウアバインによる細胞質Na+の増加を軽減する。ガラスカバースリップに播種した急性単離DRGニューロンに、SBFI(Na+感受性フルオロフォア)を加えてから、示されているように、1mMのウアバインのみ(図6A)、または10μMのTTX(図6C)若しくは10μMのプロトックス(図6D)と組み合わせて処理した。カルシウムイメージング実験でこれまで行われてきたように、曲線下面積(AUC)を計算することによって、ウアバインによる[Na+]cの経時的変化を定量化した。これらの試験では、AUCは、ウアバイン及び他の薬剤の適用後、1200秒間にわたり計算した。データは平均値±SEMであり、*はp<0.05であり、**はp<0.01であり、N=3つの独立した試験である(1回の試験あたり、n=18〜27個の細胞)。
ペプチドtat−CSM 1S、テトロドトキシン(TTX)及びプロトックス−II(NaV1.7を優先的にブロックするクモ毒素)は、培養ラット後根神経節(DRG)ニューロンにおいて、ウアバインによる細胞質Na+の増加を軽減する。図6Eでは、ウアバインによる細胞質Na+([Na+]c)の変化を統計的に分析した。カルシウムイメージング実験でこれまで行われてきたように、曲線下面積(AUC)を計算することによって、ウアバインによる[Na+]cの経時的変化を定量化した。これらの試験では、AUCは、ウアバイン及び他の薬剤の適用後、1200秒間にわたり計算した。データは平均値±SEMであり、*はp<0.05であり、**はp<0.01であり、N=3つの独立した試験である(1回の試験あたり、n=18〜27個の細胞)。
ラット坐骨神経部分損傷(SNI)モデルまたは対照(擬似)動物を用いた慢性疼痛試験である。図7A)SNIにおけるtat−CSM−1Sの抗痛覚過敏効果及び、擬似動物における鎮痛効果である。図7B)SNI動物におけるtat−CSM−1Sの抗アロディニア効果である(*p<0.05、SNI後のベースラインと比較した場合、n=6)。
ラット坐骨神経部分損傷(SNI)モデルまたは対照(擬似)動物を用いた慢性疼痛試験である。図7A)SNIにおけるtat−CSM−1Sの抗痛覚過敏効果及び、擬似動物における鎮痛効果である。図7B)SNI動物におけるtat−CSM−1Sの抗アロディニア効果である(*p<0.05、SNI後のベースラインと比較した場合、n=6)。
坐骨神経部分損傷(SNI)モデルまたは対照(擬似)ラットを用いた慢性疼痛試験である。図8A)SNIにおけるガバペンチンまたはモルヒネの抗痛覚過敏効果である。図8B)SNI動物におけるガバペンチンまたはモルヒネの抗アロディニア効果である(*p<0.05、SNI後のベースラインと比較した場合、n=7〜8)。
坐骨神経部分損傷(SNI)モデルまたは対照(擬似)ラットを用いた慢性疼痛試験である。図8A)SNIにおけるガバペンチンまたはモルヒネの抗痛覚過敏効果である。図8B)SNI動物におけるガバペンチンまたはモルヒネの抗アロディニア効果である(*p<0.05、SNI後のベースラインと比較した場合、n=7〜8)。
運動機能障害の試験である。ガバペンチンでは、ラットにおいて、重大な鎮静/運動機能障害が生じたのに対し、tat−CSM−1Sでは、24時間にわたり、いずれの運動機能障害/鎮静も生じなかった(*、p<0.01、n=6〜8)。