JP6610113B2 - 高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板と該鋼板用熱延鋼板及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
(i)質量%で、C:0.05%以上0.30%以下、Si:0.05%以上2.50%以下、Mn:1.50%以上4.00%以下、P:0.10%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.01%以上1.00%以下、及び、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、
(ii)(a)フェライトの面積率が10%以上70%以下、平均硬度が350HV以上550HV以下のベイナイト、及び/又は、焼戻しマルテンサイトからなる硬質第二相の面積率が合計で30%以上90%以下、及び、残留オーステナイトの面積率が2%以上で、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上の硬質第二相の線分率の標準偏差が0.050以上で、かつ、(c)圧延直角方向の引張試験において極限変形能が0.4以上である鋼組織を有する
ことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(ii)(a)フェライト及びパーライトからなり、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、(1b)板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上のパーライトの線分率の標準偏差が0.100以上で、(2b)板厚方向に沿ったパーライトの断面長さの標準偏差がRp/2(Rp:パーライト粒の板厚方向断面長さの平均値)以下で、かつ、(c)アスペクト比が5以上のパーライト粒の全パーライト粒に対する割合が60%以上である鋼組織を有する
ことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板用熱延鋼板。
(A)前記(5)に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板用熱延鋼板を酸洗し、その後、該熱延鋼板に圧下率40%以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷延工程
(B)冷延鋼板を、平均加熱速度0.1℃/秒以上100℃/秒以下で、AC1点+50℃以上AC3点未満の最高到達温度まで加熱し、10秒以上保持する加熱工程
(C)最高到達温度から500℃以上750℃以下の温度域まで、3℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する加熱工程
(D)冷却後の冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施し、次いで、所要の温度で合金化処理を施すめっき工程
(E)合金化処理後の鋼板を、平均冷却速度2℃/秒以上で300℃以下まで冷却するめっき冷却工程
(F)めっき鋼板を、200℃以上600℃以下の温度域に加熱して、1秒以上10分以下保持し、該鋼板に焼戻し処理を施す焼戻し工程
(H)鋳片を1100℃以上に加熱し、10分以上2時間未満保持する熱処理工程
(i)質量%で、C:0.05%以上0.30%以下、Si:0.05%以上2.50%以下、Mn:1.50%以上4.00%以下、P:0.10%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.01以上1.00%以下、及び、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、
(ii)(a)フェライトの面積率が10%以上70%以下、平均硬度が350HV以上550HV以下のベイナイト、及び/又は、焼戻しマルテンサイトからなる硬質第二相の面積率が合計で30%以上90%以下、及び、残留オーステナイトの面積率が2%以上で、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上の硬質第二相の線分率の標準偏差が0.050以上で、かつ、(c)圧延直角方向の引張試験において極限変形能が0.4以上である鋼組織を有する
ことを特徴とする。
(i)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化学組成を有し、
(ii)(a)フェライト及びパーライトからなり、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、(1b)板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上のパーライトの線分率の標準偏差が0.100以上で、(2b)板厚方向に沿ったパーライトの断面長さの標準偏差がRp/2(Rp:パーライト粒の板厚方向断面長さの平均値)以下で、かつ、(c)アスペクト比が5以上のパーライト粒の全パーライト粒に対する割合が60%以上である鋼組織を有する
ことを特徴とする。
(A)本発明熱延鋼板を酸洗し、その後、該熱延鋼板に圧下率40%以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷延工程
(B)冷延鋼板を、平均加熱速度0.1℃/秒以上100℃/秒以下で、AC1点+50℃以上AC3点未満の最高到達温度まで加熱し、10秒以上保持する加熱工程
(C)最高到達温度から500℃以上750℃以下の温度域まで、3℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する冷却工程
(D)冷却後の冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施し、次いで、所要の温度で合金化処理を施すめっき工程
(E)合金化処理後の鋼板を、平均冷却速度2℃/秒以上で300℃以下まで冷却するめっき冷却工程
(F)めっき鋼板を、200℃以上600℃以下の温度域に加熱して、1秒以上10分以下保持し、該鋼板に焼戻し処理を施す焼戻し工程
(G)本発明めっき鋼板の化学組成を有する溶鋼を、鋳片表皮から80mm内部の凝固速度が50℃/分以下となるように連続鋳造する連続鋳造工程
(H)鋳片を1100℃以上に加熱し、10分以上2時間未満保持する熱処理工程
まず、本発明めっき鋼板及び本発明熱延鋼板の化学組成の限定理由について説明する。以下、化学組成に係る%は質量%を意味する。
Cは、鋼の焼入れ性を高め、強度を確保する上で、重要な元素である。Cが0.05%未満であると、780MPa以上の引張強度を確保することが困難となるので、Cは0.05%以上とする。好ましくは0.10%以上である。一方、Cが0.30%を超えると、溶接性の劣化が顕著となるので、Cは0.30%以下とする。好ましくは0.20%以下である。
Siは、固溶強化により、極限変形能を劣化させることなく、引張強度を高めることができる重要な元素である。Siが0.05%未満であると、添加効果が十分に発現しないので、Siは0.05%以上とする。好ましくは0.10%以上である。一方、Siが2.50%を超えると、添加効果が飽和するとともに、溶融めっきでの不めっきの発生が問題になるので、Siは2.50%以下とする。好ましくは2.00%以下である。
Mnは、組織をバンド状に形成して、強度を向上させるために必要な元素である。Mnが1.50%未満であると、バンド状組織の実現が難しく、780MPa以上の強度を達成することが難しいので、Mnは1.50%以上とする。高価な合金元素を添加せずに、強度を高めることができる点で、2.0%以上が好ましい。
Pは、一般に、不純物元素であるが、引張強度を高める作用を有する元素でもある。Pが0.10%を超えると、溶接性が著しく低下するので、Pは0.10%以下とする。好ましくは0.03%以下である。添加効果を確実に得る点で、Pは0.01%以上が好ましい。
Sは、不純物元素であり、溶接性の観点からは少ないほど好ましい元素である。Sが0.01%を超えると、溶接性が著しく低下するとともに、MnSの析出量が増加し、低温靭性が低下するので、Sは0.01%以下とする。好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.0015%以下である。脱硫コストの観点から、Sは0.001%以上が好ましい。
Alは、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用を有する元素である。sol.Alが0.01%未満であると、上記作用が十分に発現しないので、sol.Alは0.01%以上とする。好ましくは0.02%以上である。
Nは、不純物元素であり、溶接性の観点から少ないほど好ましい元素である。Nが0.01%を超えると、溶接性が著しく低下するので、Nは0.01%以下とする。好ましくは0.006%以下である。
他の不純物元素は、意図的に鋼板に添加した元素ではなく、鉄材料から不可避的に混入する元素、及び/又は、製造の過程で不可避的に混入する元素であり、本発明めっき鋼板及び本発明熱延鋼板の特性を阻害しない範囲で許容される。
Nb:0.20%以下
V:0.20%以下
これらの元素は、いずれも、鋼板強度の向上に寄与する元素である。いずれの元素も、0.20%を超えると、加工性が低下し、熱間圧延及び冷間圧延が困難になるので、Ti、Nb、及び、Vのいずれも、0.20%以下が好ましい。より好ましくは、いずれの元素も0.15%以下である。添加効果を確実に得る点で、いずれの元素も0.003%以上が好ましい。
Mo:1.00%以下
Cu:1.00%以下
Ni:1.00%以下
これらの元素は、いずれも、鋼板強度の向上に寄与する元素である。いずれの元素も、1.00%を超えると、添加効果が飽和し、経済的に不利となるので、Cr、Mo、Cu、及び、Niのいずれも、1.00%以下が好ましい。より好ましくは、いずれの元素も0.07%以下である。添加効果を確実に得る点で、いずれの元素も0.005%以上が好ましい。
Mg:0.01%以下
REM:0.01%以下
Zr:0.01%以下
これらの元素は、いずれも、介在物の形状を制御し、特に、介在物を微細分散化し、靭性の向上に寄与する元素である。いずれの元素も0.01%を超えると、表面性状が著しく劣化するので、いずれの元素も0.01%以下が好ましい。より好ましくは、いずれの元素も0.007%以下である。添加効果を確実に得る点で、いずれの元素も0.0003%以上が好ましい。
次に、本発明めっき鋼板の鋼組織と本発明熱延鋼板の鋼組織について説明する。
本発明めっき鋼板は、(a)フェライトの面積率が10%以上70%以下、平均硬度が350HV以上550HV以下のベイナイト、及び/又は、焼戻しマルテンサイトからなる硬質第二相の面積率が合計で30%以上90%以下、及び、残留オーステナイトの面積率が2%以上で、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上の硬質第二相の線分率の標準偏差が0.050以上で、かつ、(c)圧延直角方向の引張試験において極限変形能が0.4以上である鋼組織を有する。
フェライトの面積率が10%未満であると、10%以上の全伸びを確保することが難しくなるので、フェライトの面積率は10%以上とする。好ましくは20%以上である。一方、フェライトの面積率が70%を超えると、引張強度が低下するので、フェライトの面積率は70%以下とする。好ましくは60%以下である。
ベイナイト及び/又はマルテンサイトの合計面積率が30%未満であると、引張強度が低下し、780MPa以上の引張強度を確保することが難しくなるので、ベイナイト及び/又はマルテンサイトの合計面積率は30%以上とする。好ましくは40%以上である。
残留オーステナイトは、変形に伴い、マルテンサイトへ加工誘起変態するので、鋼板の加工硬化能を高め、伸びの向上に寄与する組織である。残留オーステナイトの面積率が2%未満であると、十分な伸び性を確保することが難しいので、残留オーステナイトの面積率は2%以上とする。好ましくは5%以上である。
バンド状に分布する硬質第二相(ベイナイト及び/又は焼戻しマルテンサイト)の硬度が高いと、結晶粒内における応力局所化が顕著となるとともに、硬質第二相の延性が低下して、ボイドの生成が容易になり、極限変形能が低下する。硬質第二相の平均硬度が550HVを超えると、0.4以上の極限変形能の確保が困難になるので、硬質第二相の平均硬度は550HV以下とする。好ましくは450HV以下である。
極限変形能は、鋼板のネッキング、及び、鋼組織内でのボイドの発生及び連結を経て破断に至るまでの局所的な延性を示す指標である。鋼板がくびれる引張変形では、鋼板中心部が応力集中箇所となるので、ボイドは、通常、鋼板表面から1/2tの位置を中心に発生する。鋼板が破断に至るまでに、ボイドの連結が起きるが、1/8t以上の大きさまでボイドが粗大化すると、粗大ボイドを起点として破壊が起きる。
本発明熱延鋼板は、(a)フェライト及びパーライトからなり、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、(1b)板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上のパーライトの線分率の標準偏差が0.100以上で、(2b)板厚方向に沿ったパーライトの断面長さの標準偏差がRp/2(Rp:パーライト粒の板厚方向断面長さの平均値)以下で、かつ、(c)アスペクト比が5以上のパーライト粒の全パーライト粒に対する割合が60%以上である鋼組織を有する。
本発明熱延鋼板の鋼組織はフェライトとパーライトからなる。本発明めっき鋼板の化学組成の溶鋼を連続鋳造して、上記鋼組織を形成する。
(1b)板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上のパーライトの線分
率の標準偏差:0.100以上
(2b)板厚方向に沿ったパーライトの断面長さの標準偏差:Rp/2(Rp:パーライ
ト粒の板厚方向断面長さの平均値)以下
本発明めっき鋼板において、鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)にて、板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上の硬質第二相の線分率の標準偏差を0.050以上確保するため、本発明熱延鋼板において、同じ位置にて、「(1b)板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上のパーライトの線分率の標準偏差:0.100以上、(2b)板厚方向に沿ったパーライトの断面長さの標準偏差:Rp/2(Rp:パーライト粒の板厚方向断面長さの平均値)以下」と規定する。
本発明めっき鋼板において、圧延直角方向の引張試験において極限変形能0.4以上を確保するため、パーライト粒のアスペクト比は5以上とし、かつ、アスペクト比5以上のパーライト粒の全パーライト粒に対する割合を60%以上とする。好ましくは70%以上である。
本発明めっき鋼板の機械特性について説明する。本発明めっき鋼板の引張強度(TS)は、自動車の軽量化に寄与するのに十分な強度として、780MPa以上が好ましい。延性は、引張方向が圧延方向と直交する方向となるように採取したJIS5号引張試験片を用い、JIS Z 2241に規定の方法で測定した破断伸びElが10%以上であることが好ましい。
εt=ln(t/t0)
本発明めっき鋼板において、自動車用鋼板の成形性を確保するため、極限変形能は0.4以上とする。好ましくは0.5以上である。極限変形能は、鋼板の位置によるバラつきが小さいほど、材質安定性の点で好ましい。具体的には、板幅長さを6等分した際の各点を平行部中心とした5本の引張試験片を用いた試験において、極限変形能の最小値/平均値の比が、0.9以上であることが好ましい。
本発明熱延鋼板の製造方法は、下記の工程を備える。
(G)本発明めっき鋼板の化学組成を有する溶鋼を、鋳片表皮から80mm内部の凝固速度が50℃/分以下となるように連続鋳造する連続鋳造工程
(H)鋳片を1100℃以上に加熱し、10分以上2時間未満保持する熱処理工程
鋳片表皮から80mm内部の凝固速度:50℃/分以下
通常、凝固速度が速いとデンドライトの間隔が微細になる。鋳片表皮から80mm内部の凝固速度が50℃/分を超えると、鋳片表皮から80mm内部のデンドライトの間隔が微細になり、後の熱間圧延で合金偏析領域が分断されて、形状が良好なパーライト粒が減少するので、鋳片表皮から80mm内部の凝固速度は50℃/分以下とする。好ましくは45℃/分以下である。
加熱温度:1100℃以上、保持時間:10分以上2時間未満
鋳片に、高温で適切な時間熱処理を施すことにより、二次デンドライトアーム間に存在する微小な合金偏析部を解消し、より好ましいバンド組織を形成することができる。加熱温度が1100℃未満であると、偏析元素が十分に拡散せず、好ましいバンド組織を形成することができないので、加熱温度は1100℃以上とする。好ましくは1150℃以上である。
本発明めっき鋼板製造方法は、下記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び、(F)の工程を備える。
(A)本発明熱延鋼板を酸洗し、その後、該熱延鋼板に圧下率40%以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷延工程
(B)冷延鋼板を、平均加熱速度0.1℃/秒以上100℃/秒以下で、AC1点+50℃以上AC3点未満の最高到達温度まで加熱し、10秒以上保持する加熱工程
(C)最高到達温度から500℃以上750℃以下の温度域まで、3℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する冷却工程
(D)冷却後の冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施し、次いで、所要の温度で合金化処理を施すめっき工程
(E)合金化処理後の鋼板を、平均冷却速度2℃/秒以上で300℃以下まで冷却するめっき冷却工程
(F)めっき鋼板を、200℃以上600℃以下の温度域に加熱して、1秒以上10分以下保持し、該鋼板に焼戻し処理を施す焼戻し工程
圧下率:40%以上
本発明熱延鋼板を酸洗した後、圧下率40%以上の冷間圧延に供して、冷延鋼板とする。圧下率が40%未満であると、鋼組織のパーライト部が十分にバンド状にならず、780MPa以上の強度を確保することが困難になるので、圧下率は40%以上とする。好ましくは50%以上である。
平均加熱速度:0.1℃/秒以上100℃/秒以下
最高到達温度:AC1点+50℃以上AC3点未満
保持時間:10秒以上
本発明めっき鋼板において、鋼組織をバンド状にするためには、本発明熱延鋼板の鋼組織中にバンド状に分布するパーライト粒を、二相域加熱により、オーステナイトへと変態させることが必要である。
AC1(℃)=723−10.7(%Mn)−16.9(%Ni)
+29.1(%Si)+16.9(%Cr)
AC3(℃)=910−203√(%C)−15.2(%Ni)
+44.7(%Si)+104(%V)+31.5(%Mo)
冷却温度域:500℃以上750℃以下
平均冷却速度:3℃/秒以上100℃/秒以下
最高到達温度で保持した後の冷却温度域が500℃未満であると、フェライトの生成量が過多となり、780MPa以上の強度を確保することができないので、冷却温度域は500℃以上とする。好ましくは530℃以上である。一方、冷却温度域が750℃を超えると、十分な量のフェライトが生成せず、伸びが低下するので、冷却温度域は750℃以下とする。好ましくは720℃以下である。
冷却後の冷延鋼板に、溶融亜鉛めっきを施し、次いで、所要の温度で合金化処理を施す。めっき及び合金化は、通常の条件で行えばよく、めっき条件や合金化条件は、特定の条件に限定されない。
合金化処理後は、合金化温度から、平均冷却速度2℃/秒以上で、300℃以下まで冷却する。
冷却温度域:300℃以下
合金化処理後の平均冷却速度が2℃/秒未満であると、硬質第二相の平均硬度が低下して、780MPa以上の強度を確保することができないので、合金化処理後の平均冷却速度は2℃/秒以上とする。好ましくは5℃/秒以上である。上限は特に限定しないが、ガス冷却の場合、100℃/秒を超える冷却速度は達成が困難であるので、設備の点で、100℃/秒が実質的な上限である。
200℃以上600℃以下の温度域に加熱し、1秒以上10分以下保持し、合金化処理後冷却した鋼板に、焼戻し処理を施す。この焼戻し処理で、マルテンサイトを焼戻し、軟質化する。
保持時間:1秒以上10分以下
加熱温度が200℃未満であると、マルテンサイトが十分に焼戻されず、所要の極限変形能を確保することができないので、加熱温度は200℃以上とする。好ましくは230℃以上である。一方、加熱温度が600℃を超えると、残留オーステナイトが消失して伸びが低下するので、加熱温度は600℃以下とする。好ましくは570℃以下である。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、表2及び表3(表2の続き)に示す条件で、表2及び表3に示す「パーライト線分率の標準偏差」及び「形状良好なパーライト粒の面積率」を有する鋼組織の熱延鋼板を製造した。
鋼板の鋼組織は、鋼板の幅の1/4の位置において、圧延方向に対して平行方向及び直角方向の板厚断面を、ナイタールエッチングで腐食し、光学顕微鏡を用いて、500倍で観察し、熱延鋼板のパーライト線分率と個々のパーライト粒の断面長さ分布、及び、溶融亜鉛めっき鋼板のフェライトの面積率とベイナイト及び/又は焼戻しマルテンサイトの面積率、鋼板表面からの深さ3/8tから1/2t位置(t:鋼板の板厚)におけるベイナイト及び焼戻しマルテンサイトの線分率と断面長さ分布の標準偏差を、画像解析により測定した。
鋳片表皮から80mm内部の凝固速度Rを、連続鋳造後室温まで冷却した鋳片の断面をピクリン酸で腐食し、観察される二次デンドライトアーム間隔Sから下記の関係式に基づいて算出した。
S=709R-0.386
鋼板表面からの3/8tから1/2t(t:鋼板の板厚)までの位置における、板厚方向(深さ方向)に沿った硬質第二相の線分率は、下記の手順により算出した。
鋼板表面からの深さ3/8tから1/2t(t:鋼板の板厚)までの位置における、パーライト粒のアスペクト比及び断面長さを、下記の手順により求めた。
冷延鋼板から、圧延方向に直角な方向を長手方向とするJIS5号引張試験片を、板幅方向における位置が異なる5か所にて一枚採取し、試行回数n=5[回]として、引張特性(引張強度TS、全伸びEl、)を、JIS Z 2241に準拠して測定した。
試行回数5回行った引張試験後の試験片の1/2幅における断面を光学顕微鏡で観察し、破断部の板厚tを測定し、元の板厚t0との比から、極限変形能(最小値と平均値)を算出した。
鋼板表面からの深さ3/8tから1/2t(t:鋼板の板厚)までの位置における、板厚方向(深さ方向)に沿った硬質第二相(ベイナイト及び/又は焼戻しマルテンサイト)の線分率を、下記の手順により求めた。
板厚1/4位置でX線回折パターンを測定し、残留γ量を測定した。
Claims (7)
- 鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、
(i)質量%で、C:0.05%以上0.30%以下、Si:0.05%以上2.50%以下、Mn:1.50%以上4.00%以下、P:0.10%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.01%以上1.00%以下、及び、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、
(ii)(a)フェライトの面積率が10%以上60%以下、平均硬度が350HV以上550HV以下のベイナイト、及び/又は、焼戻しマルテンサイトからなる硬質第二相の面積率が合計で30%以上80.1%以下、及び、残留オーステナイトの面積率が2%以上で、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上の硬質第二相の線分率の標準偏差が0.050以上で、かつ、(c)圧延直角方向の引張試験において極限変形能が0.4以上である鋼組織を有する
ことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、及び、V:0.20%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.00%以下、Mo:1.00%以下、Cu:1.00%以下、及び、Ni:1.00%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下、及び、Zr:0.01%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- (i)請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学組成を有し、
(ii)(a)フェライト及びパーライトからなり、(b)鋼板表面からの深さ3/8tから1/2tの位置(t:鋼板の板厚)において、(1b)板厚方向に沿った各位置で板厚方向と垂直方向へ引いた線上のパーライトの線分率の標準偏差が0.100以上で、(2b)板厚方向に沿ったパーライトの断面長さの標準偏差がRp/2(Rp:パーライト粒の板厚方向断面長さの平均値)以下で、かつ、(c)アスペクト比が5以上のパーライト粒の全パーライト粒に対する割合が60面積%以上である鋼組織を有する
ことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板用熱延鋼板。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、下記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び、(F)の工程を備えることを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(A)請求項5に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板用熱延鋼板を酸洗し、その後、該熱延鋼板に圧下率40%以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷延工程
(B)冷延鋼板を、平均加熱速度0.1℃/秒以上100℃/秒以下で、AC1点+50℃以上AC3点未満の最高到達温度まで加熱し、10秒以上保持する加熱工程
(C)最高到達温度から500℃以上750℃以下の温度域まで、3℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する冷却工程
(D)冷却後の冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施し、次いで、所要の温度で合金化処理を施すめっき工程
(E)合金化処理後の鋼板を、平均冷却速度2℃/秒以上で300℃以下まで冷却するめっき冷却工程
(F)めっき鋼板を、200℃以上600℃以下の温度域に加熱して、1秒以上10分以下保持し、該鋼板に焼戻し処理を施す焼戻し工程 - 請求項5に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板用熱延鋼板を製造する製造方法であって、下記(G)及び(H)の工程を備えることを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板用熱延鋼板の製造方法。
(G)請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学組成を有する溶鋼を、鋳片表皮から80mm内部の凝固速度が50℃/分以下となるように連続鋳造する連続鋳造工程
(H)鋳片を1100℃以上に加熱し、10分以上2時間未満保持する熱処理工程
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