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JP6600251B2 - フェノール樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂発泡体及びその製造方法 Download PDF

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JP6600251B2 JP2015250473A JP2015250473A JP6600251B2 JP 6600251 B2 JP6600251 B2 JP 6600251B2 JP 2015250473 A JP2015250473 A JP 2015250473A JP 2015250473 A JP2015250473 A JP 2015250473A JP 6600251 B2 JP6600251 B2 JP 6600251B2
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Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
近年、省エネに関する意識向上、及び次世代省エネ基準の義務化等により、住宅の高気密性能、断熱性能の向上が求められてきている。このように住宅の気密性能及び断熱性能向上の要求に伴い、必要とされる断熱材の厚みが増すことが予想されるが、室内の居住スペースの圧迫や壁体内の空間に制限があることから、断熱材の厚みが増すことに伴う設計変更が必要となるといった問題が生じていた。また、断熱材は壁体内に施工されるため、施工後の交換は非常に困難であることから、断熱材には長期間に渡って断熱性能が維持されることも要求されてきている。
住宅用途の断熱材としてはグラスウール、ロックウールをはじめとする繊維系の断熱材やスチレン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂を発泡させた発泡プラスチック系の断熱材が知られている。また、発泡プラスチック系の断熱材は、気泡内に内包される化合物の種類や状態によって断熱性能が大きく影響を受けることが知られている。
従来、発泡プラスチック系の断熱材の気泡内に内包される上記化合物としては、ガスの熱伝導率が低いクロロフルオロカーボン(CFC)が使用されていた。しかしながら、CFCは、オゾン層の破壊や気候変動に大きく寄与することから、1987年に採択されたモントリオール議定書により使用が廃止された。この結果、オゾン破壊係数が比較的低いハイドロフルオロカーボン(HFC)などへ転換が進んだ。しかしながら、HFCは、高い地球温暖化係数を有している物質が多く、オゾン破壊係数、及び地球温暖化係数が一層低い化合物への転換が求められている。
上記化合物として炭化水素系化合物は、オゾン破壊係数、地球温暖化係数が極めて低く、環境保護の点で非常に優れた化合物である。一方で、CFC系化合物と比較して、熱伝導率が高いという課題があった。
特許文献1、特許文献2には、オゾン破壊係数が低い又はゼロであり、地球温暖化係数が低いハロゲン化ハイドロオレフィンを含む化合物が開示されている。
特開2013−64139号公報 特開2010−522819号公報
これらのハロゲン化ハイドロオレフィンを用いると熱伝導率が低くすることが出来るが、高沸点の発泡剤と共に用いると低温で発泡剤が気体から液体に変わるために、熱伝導率が高くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、初期の低温での熱伝導率が低いと共に、長期間にわたり低い熱伝導率を維持するフェノール樹脂発泡体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フェノール樹脂発泡体中に少なくともハロゲン化ハイドロオレフィン及び特定の沸点範囲の高沸点炭化水素を内在させ、且つ、内在するハロゲン化ハイドロオレフィン量が特定の範囲となるようにすると共に、フェノール樹脂発泡体からクロロホルムに抽出される高沸点炭化水素の量が特定の範囲となるようにすることにより、初期の低温での熱伝導率が低いと共に、長期間にわたり低い熱伝導率を維持するフェノール樹脂発泡体が得られることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(i)ハロゲン化ハイドロオレフィン、及び、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素を含有し、密度が10kg/m3以上150kg/m3以下のフェノール樹脂発泡体であって、
前記フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりのハロゲン化ハイドロオレフィン含有量X(単位:mol)の値が0.05以上0.85以下であり、
前記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる前記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体中に任意に含まれる塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素中のハロゲン化ハイドロオレフィン比率が10mol%以上100mol%以下であり、
前記フェノール樹脂発泡体を粉砕してクロロホルム中で抽出処理を行った際にクロロホルム中に抽出された沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の、前記フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりの抽出量Y(単位:g)の値が、下記式(1)で算出される係数a以下、且つ、下記式(2)で算出される係数b以上の範囲内にあり、
a=−11.61X+31.57 ・・・(1)
b=2.67X−0.06 ・・・(2)
前記沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素が、圧力101.325kPa、温度30℃において液状であり、
40℃環境下における熱伝導率と10℃環境下における熱伝導率の差が0.0000W/m・K以上であり、
10℃環境下における熱伝導率が0.0200W/m・K以下であり、
110℃、14日間の加速試験後の10℃及び40℃環境下における熱伝導率の悪化幅(加速試験後の熱伝導率−加速試験前の初期熱伝導率)が、0.0050W/m・K以下である、フェノール樹脂発泡体。
(ii)前記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる上記ハロゲン化ハイドロオレフィンが、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン化ハイドロオレフィンを10mol%以上100mol%以下含み、
前記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる前記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体中に任意に含まれる塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素の混合物の沸点平均値が15℃以上50℃以下である、(i)に記載のフェノール樹脂発泡体。
(iii)さらに塩素化飽和炭化水素を含む、(i)または(ii)に記載のフェノール樹脂発泡体。
(iv)さらに炭素数6以下の炭化水素を含む、(i)〜(iii)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
(v)独立気泡率が90%以上、平均気泡径が40μm以上300μm以下である、(i)〜(iv)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
(vi)上記(i)〜(v)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、
少なくとも、フェノール樹脂、界面活性剤、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素、ハロゲン化ハイドロオレフィン、及び酸硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合し、混合機の分配部から発泡性フェノール樹脂組成物を吐出させた後、加熱し、発泡性フェノール樹脂組成物が発泡及び硬化する過程において、発泡性フェノール樹脂組成物の上下方向側から圧力を加え、板状に成形されたフェノール樹脂発泡体を製造する、フェノール樹脂発泡体の製造方法。
(vii)前記分配部の圧力が0.3MPa以上10MPa以下である、(vi)に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
(viii)前記混合機に投入されるフェノール樹脂中に含まれる水分量が2質量%以上20質量%以下であり、
前記発泡性フェノール樹脂組成物が発泡及び硬化する過程においてダブルコンベアを使用して発泡性フェノール樹脂組成物に圧力を加え、
前記ダブルコンベア中の温度が60℃以上100℃以下である、(vi)または(vii)に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
(ix)前記発泡性フェノール樹脂組成物が発泡及び硬化する過程においてダブルコンベアを使用して発泡性フェノール樹脂組成物に圧力を加え、
前記混合機に投入されるフェノール樹脂中に含まれる水分量P(単位:質量%)と、前記ダブルコンベア中の温度Q(単位:℃)とから下記式(3)で算出される係数Rが、20以上36以下である、(vi)〜(viii)のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
R=P+0.2286Q ・・・(3)
本発明によれば、ハロゲン化ハイドロオレフィンの優れた断熱性能を最大限に引き出して、初期の低温での熱伝導率が低いと共に、長期間にわたり低い熱伝導率を維持するフェノール樹脂発泡体及びその製造方法を提供できる。よって、本発明のフェノール樹脂発泡体は、建築用断熱材、車両用断熱材、機器用断熱材等の断熱材として好ましく使用される。
本発明の一実施形態で使用する混合機の模式図例である。 本発明の一実施形態で使用するスラット型ダブルコンベアを用いた成形機の模式図例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の密度は、10kg/m3以上150kg/m3以下であり、好ましくは15kg/m3以上70kg/m3以下、より好ましくは15kg/m3以上50kg/m3以下、さらに好ましくは15kg/m3以上40kg/m3以下、特に好ましくは15kg/m3以上30kg/m3以下である。密度が低すぎると、強度が弱くて発泡体として取り扱いにくいと共に、気泡膜が薄い為、発泡体中の発泡剤が空気と置換し易く、長期の断熱性能が悪化し易いという懸念がある。また、密度が高すぎると、気泡膜を形成する樹脂部分の熱伝導が大きくなり、断熱性能が悪化するという懸念がある。
ここで、本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体は、本発明者が、種々の化合物の中でも、ハロゲン化ハイドロオレフィンを特定量含有させ、且つ、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素を特定量含有させること等により、フェノール樹脂発泡体の低温(例えば10℃など)での初期断熱性能、並びに、長期間にわたる断熱性能の維持、を大幅に改善できることを見出してなされたものである。
そこで、以下では、本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体が含有するハロゲン化ハイドロオレフィン、高沸点炭化水素、及び、それらの含有量等について説明する。
(ハロゲン化ハイドロオレフィン)
本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、ハロゲン化ハイドロオレフィンを含む。
ハロゲン化ハイドロオレフィンは、主として、上述の密度を有するフェノール樹脂発泡体を製造する際に発泡剤として機能するとともに、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率を低くして断熱性能を向上させるために用いられる。
そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりのハロゲン化ハイドロオレフィン含有量X(単位:mol)の値の大きさが0.05以上0.85以下である。ハロゲン化ハイドロオレフィンの含有量が少なすぎると、長期断熱性能が低下する傾向がある。また、ハロゲン化ハイドロオレフィンの含有量が多すぎると、10℃の初期断熱性能が低下する傾向が生じる。ハロゲン化ハイドロオレフィン含有量Xの値は、好ましくは、0.10以上0.77以下、より好ましくは0.20以上0.70以下、特に好ましくは0.30以上0.67以下である。
また、本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体内中に含まれる上記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体中に任意に含まれる塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素の総量中のハロゲン化ハイドロオレフィン比率は、10mol%以上100mol%以下であり、好ましくは15mol%以上、より好ましくは50mol%以上であり、更に好ましくは70mol%以上である。ハロゲン化ハイドロオレフィン比率が少なすぎると、ハロゲン化ハイドロオレフィンの有する優れた断熱性能が損なわれやすくなるため、一定比率以上含まれていることが必要である。
なお、本実施形態におけるハロゲン化ハイドロオレフィンとは、炭素原子に結合した水素原子、フッ素原子及び/又は塩素原子を有し、炭素−炭素の不飽和結合を有する化合物である。本実施形態に係るハロゲン化ハイドロオレフィンとしては、例えば、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、及び2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンなどが挙げられる。特に、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンは沸点が高いため、低温で液化する量が多くなるために、低温での熱伝導率を低くする効果が大きく、また独立気泡率を高く保ち易いため好ましい。これらのハロゲン化ハイドロオレフィンは単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール樹脂発泡体には、さらに塩素化飽和炭化水素が含まれていてもよい。塩素化飽和炭化水素は、主として、フェノール樹脂発泡体を製造する際に発泡剤として機能する。塩素化飽和炭化水素が含まれていると気泡径が小さくなる傾向があるため好ましい。また塩素化飽和炭化水素としては毒性の低さ、環境影響の小ささ、更には沸点が高いために本発明の低温での熱伝導率を低くする効果が高い点等からイソプロピルクロリドが好ましい。
上記フェノール樹脂発泡体には、さらに炭素数6以下の炭化水素が含まれていてもよい。炭素数が6以下の炭化水素は、主として、フェノール樹脂発泡体を製造する際に発泡剤として機能する。炭素数が6以下の炭化水素は、水素原子と炭素原子のみより構成される化合物であり、例えば、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、ブテン、ブタジエン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ペンテン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘキセン等のアルカン、アルケン、ジエン等の脂肪族炭化水素、及びシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキセン等のシクロアルカン、シクロアルケン等の環状脂肪族炭化水素が挙げられる。炭素数6以下の炭化水素が含まれていると気泡径が微細化したり独立気泡率が向上したりする傾向があるため好ましい。
なお、上記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる上記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体中に任意に含まれる塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素の混合物の下記式(4)で算出される沸点平均値は15℃以上50℃以下であることが好ましい。上記沸点平均値は、より好ましくは19℃以上40℃以下であり、特に好ましくは20℃以上35℃以下であり、最も好ましくは25℃以上33℃以下である。沸点平均値が低すぎると、混合ガスの熱伝導率が高くなる傾向がある為、初期断熱性能が低下する懸念がある上に、独立気泡率の悪化により長期断熱性能の改善効果が低下する傾向が生じるという懸念がある。一方、上記沸点平均値が高すぎると、低温下でハロゲン化ハイドロオレフィン、塩素化飽和炭化水素、炭素数が6以下の炭化水素が液化し易くなる為に10℃での初期断熱性能が低下し易くなる傾向が生じると共に、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素と併用した際に気泡サイズが大きくなり易く、輻射により断熱性能の向上効果が軽減され易くなるという懸念がある。
沸点平均値(TAV)=a×Ta+b×Tb+c×Tc+… ・・・(4)
ここで、上式(4)において、含有する各成分の含有率(モル分率)がa,b,c,…であり、沸点(℃)がTa,Tb,Tc,…である。
(高沸点炭化水素)
沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素は、主として、上記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体が任意に含有し得る上記塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素と併用することで発泡体の熱伝導率を低くし、断熱性能を向上するために用いられる。
ここで、本実施形態のフェノール樹脂発泡体における沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素は、水素原子と炭素原子のみより構成される化合物であり、ベンゼン環、ナフタレン環等の共役二重結合を含まない、直鎖状、分岐状または環状構造を有する化合物であることが好ましい。本実施形態における高沸点炭化水素は、炭素数5当たり二重結合を1つ以下有してもよく、好ましくは炭素数10当たりの二重結合の数が1つ以下、更に好ましくは炭素数20当たりの二重結合の数が1つ以下の化合物であり、特に好ましくは二重結合を有さない化合物である。これは、高沸点炭化水素が分子内に共役二重結合等の二重結合を有していると、ハロゲン化ハイドロオレフィンとの親和性が低下し、気泡内の低温において液化したハロゲン化ハイドロオレフィンの安定化能が低下する為である。
なお、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素は、単一の化合物でも複数の化合物の混合物でも良い。そして、高沸点炭化水素としては、例えば、シクロオクタン、ノナン、デカン、デカリン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサンなどの炭素数8以上20以下の直鎖、イソ、環状化合物が挙げられる。また、フェノール樹脂発泡体の調製に使用し得る、高沸点炭化水素を含む組成物としては、例えば、灯油、軽油、α−オレフィンを重合後水素添加処理して得られる炭化水素系合成オイル、原油からの減圧蒸留分離成分に対し溶剤洗浄・脱硫・水素添加処理を行って得られるパラフィニックベースオイル、ナフテニックベースオイルなどが挙げられる。
そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体における高沸点炭化水素の沸点は、低すぎても、高すぎても、10℃の初期断熱性能の改善効果が、低下する傾向がある。沸点が低すぎると、液化したハロゲン化ハイドロオレフィン、塩素化飽和炭化水素、炭素数が6以下の炭化水素の安定化能が急激に低下する為と考えられるが、高沸点炭化水素の含有量が多くても十分な断熱性能の改善効果を示さない傾向がある。一方、沸点が高すぎると、分子サイズが大きくなり、発泡中に気泡内に出てくる量が少なくなる為と考えられるが、十分な初期断熱性能の改善効果を示すのに多くの高沸点炭化水素が必要となり、そして、高沸点炭化水素の含有量が多くなると、長期断熱性能の改善効果が低減し易い傾向がある。そのため、高沸点炭化水素の沸点は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは350℃以下である。また、フェノール樹脂発泡体が沸点の異なる複数の高沸点炭化水素を含有している場合には、高沸点炭化水素中の80質量%以上が沸点160℃以上350℃以下の炭化水素であることが特に好ましい。
なお、本実施形態における沸点は、常圧沸点であり、また、非常に沸点の高い(例えば、沸点が250℃以上の)炭化水素の沸点については、原油等の分析にも用いられる無極性カラムを装着したガスクロマトグラフにより求められるガスクロ法沸点である。
また、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、発泡体中に含まれる沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の量が、発泡体中のハロゲン化ハイドロオレフィン含有量との関係において、以下の条件を満たすことを特徴とする。
即ち、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりの沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素のクロロホルム抽出量Y(単位:g)が、下記式(1)で算出される係数a以下、下記式(2)で算出される係数b以上の範囲内にあることを特徴とする。
a=−11.61X+31.57 (1)
b=2.67X−0.06 (2)
ここで、「クロロホルム抽出量」とは、フェノール樹脂発泡体をクロロホルム中で一次粒子の体積平均粒径が30μm以下となるように粉砕して抽出処理を行った際にクロロホルム中に抽出された量である。また、上式(1),(2)中、Xは、フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりのハロゲン化ハイドロオレフィン含有量(単位:mol)を指す。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体では、高沸点炭化水素の抽出量Yが係数b未満であると、発泡体中のハロゲン化ハイドロオレフィン含有量に対する高沸点炭化水素の量が不足し、10℃の初期断熱性能が低下する傾向があり、高沸点炭化水素の抽出量Yが係数aを超えると、高沸点炭化水素の量が過剰となり、独立気泡率が悪くなり易く、長期断熱性能が低下する傾向があると共に、フェノール樹脂発泡体の優れた特性である難燃性の高さが、低下する傾向がある。
なお、長期断熱性能および難燃性の低下を抑制する観点からは、高沸点炭化水素の抽出量Yは、下記式(5)で算出される係数a’以下であることが好ましく、下記式(6)で算出される係数a”以下であることが更に好ましい。また、10℃の初期断熱性能を高める観点からは、高沸点炭化水素の抽出量Yは、下記式(7)で算出される係数b’以上であることが好ましく、下記式(8)で算出される係数b”以上であることが更に好ましい。
a’=−9.29X+26.23 ・・・(5)
a”=−6.96X+20.89 ・・・(6)
b’=3.73X−0.03 ・・・(7)
b”=4.79X−0.01 ・・・(8)
そして、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素は、圧力101.325kPa(1atm)、温度30℃で液状であることが好ましく、より好ましくは温度20℃で液状あり、更に好ましくは温度10℃で液状あり、特に好ましくは温度0℃で液状である。
発泡体が使用される温度条件において高沸点炭化水素が固形状であると、10℃の初期断熱性能の改善効果が不十分となり易い傾向があり、10℃の初期断熱性能の十分な改善効果を示すのに多くの高沸点炭化水素が必要となる。そして、高沸点炭化水素の含有量が多くなると、長期断熱性能の改善効果が低減し易い傾向がある。なお、高沸点炭化水素が固形状であると初期断熱性能の改善効果が不十分となる理由は、明らかではないが、ハロゲン化ハイドロオレフィンと高沸点炭化水素とが相互作用し難くなるためであると推察される。
(フェノール樹脂発泡体の性状等)
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体は、後述する10℃環境下における熱伝導率が0.0200W/m・K以下であることが好ましく、0.0185W/m・K以下であることがより好ましく、0.0175W/m・K以下であることが更に好ましく、0.0165W/m・K以下であることが特に好ましい。また、高沸点のハロゲン化ハイドロオレフィンを使用したフェノール樹脂発泡体では低温下での熱伝導率が高くなることがあるが、ハロゲン化ハイドロオレフィンと、高沸点炭化水素とを含む本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体では、10℃環境下における熱伝導率を低くすることができる。
また、本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体は、40℃における熱伝導率と10℃における熱伝導率の差(40℃における熱伝導率−10℃における熱伝導率)は、好ましくは0.0000W/m・K以上、より好ましくは0.0020W/m・K以上、さらに好ましくは0.0030W/m・K以上、とりわけ好ましくは0.0035W/m・K以上、最も好ましくは0.0040W/m・K以上である。このような熱伝導率のフェノール樹脂発泡体であれば、温度により初期の熱伝導率が影響を受け難く、フェノール樹脂発泡体が幅広い温度範囲において安定した初期の熱伝導率を発揮しうるため好ましい。
更に、本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体は、後述する加速試験後熱伝導率の加速試験前の10℃及び40℃環境下における初期熱伝導率からの悪化(上昇)幅(加速試験後熱伝導率−初期熱伝導率)が、好ましくは0.0050W/m・K以下であり、より好ましくは0.0030W/m・K以下であり、更に好ましくは0.0020W/m・K以下であり、特に好ましくは0.0015W/m・K以下であり、最も好ましくは0.0010W/m・K以下である。このような熱伝導率のフェノール樹脂発泡体であれば、常温下及び低温下のいずれにおいても優れた断熱性能を示すと共に、長期間優れた断熱性能を維持するため、好ましい。
また、本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、小さいと断熱性能の経時低下が起き易くなる傾向があるため、90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、96%以上100%以下が特に好ましい。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、小さすぎると強度の低下および断熱性能の経時低下が起き易くなる傾向があり、大きすぎると初期の断熱性能が悪くなる傾向がある。このため、平均気泡径は、40μm以上300μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましく、60μm以上150μm以下が更に好ましい。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の形成に使用するフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との重合によって合成することができる。重合に使用するフェノール類とアルデヒド類との出発モル比(フェノール類:アルデヒド類)は、1:1〜1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5〜1:2.5の範囲内である。
なお、フェノール樹脂には、添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本実施形態において、これらの添加剤を加える場合、フェノール樹脂とは添加剤を加えた後のものを指す。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂の合成の際に好ましく使用されるフェノール類としては、フェノール、レゾルシノール、カテコール、o−、m−及びp−クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール等が挙げられる。2核フェノール類もまた使用できる。
また、本実施形態で好ましく使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
フェノール樹脂の40℃における粘度は、200mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは500mPa・s以上50,000mPa・s以下である。また、水分量は2質量%以上20質量%以下が好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂、界面活性剤、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素、ハロゲン化ハイドロオレフィン、及び酸硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物から得られる。界面活性剤、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素及びハロゲン化ハイドロオレフィンは、フェノール樹脂に予め添加しておいてもよいし、酸硬化触媒と同時に添加してもよい。
本実施形態に用いられる界面活性剤は、一般にフェノール樹脂発泡体の製造に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドとノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、エチレンオキサイドグラフトポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。界面活性剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量についても特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部当たり0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
本実施形態で使用する酸硬化触媒は、特に限定はしないが、水を多く含む酸硬化触媒を使用すると発泡体気泡壁の破壊等が起こる恐れがある。そのため、酸硬化触媒としては、無水リン酸や無水アリールスルホン酸が好ましい。無水アリールスルホン酸としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等があげられ、これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
なお、上記酸硬化触媒をフェノール樹脂に添加したら、ピンミキサー等を使用して出来るだけ速やかに一様に分散させる。
前述した発泡剤の使用量は、フェノール樹脂の粘度や含水量、発泡硬化温度により異なるが、好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下、より好ましくは3質量部以上17質量部以下の割合で使用される。
また、前述した沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素は、ハロゲン化ハイドロオレフィンの使用量によっても異なるが、フェノール樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下の割合で使用される。
酸硬化触媒もその種類により使用量は異なり、無水リン酸を用いた場合、好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下、より好ましくは8質量部以上25質量部以下の割合で使用される。また、パラトルエンスルホン酸一水和物60質量%とジエチレングリコール40質量%との混合物を使用する場合、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上30質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下の割合で使用される。
(フェノール樹脂発泡体の製造方法)
本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、上述した発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合し、分配部から吐出させた後、加熱し、発泡及び硬化させることにより成形される。
ここで、混合機の分配部から発泡性フェノール樹脂組成物を吐出させる時の混合機の分配部の圧力は、低すぎると、断熱性能の低下や長期の断熱性能の低下の傾向が生じる懸念があり、高すぎると、高耐圧の設備が必要となって設備コストが高くなるとともに、発泡体の均質性が低下する傾向がある。そのため、混合機の分配部の圧力は、0.3MPa以上10MPa以下が好ましく、0.5MPa以上3MPa以下がより好ましい。係る混合機の分配部の圧力は、混合機及び/又は分配部の温度、分配部の先端の径や分配部より先に設けられた配管の径や長さをコントロールする等の方法によって、調節が可能である。
本実施形態において、混合機に投入する発泡性フェノール樹脂組成物中には水分が含まれることが好ましい。水分も発泡に寄与するため、水分が少なすぎると発泡倍率が上がらず初期断熱性能が低下する懸念がある。一方、水分が多すぎると独立気泡率が低下し易くなり、長期の断熱性能が低下する懸念がある。そのため、混合機に投入するフェノール樹脂の水分をコントロールすることが好ましい。混合機に投入されるフェノール樹脂中に含まれる水分量は、2質量%以上20質量%以下に調節することが好ましく、より好ましくは2.5質量%以上13質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
本実施形態において、混合器の分配部から吐出された発泡性フェノール樹脂組成物は、例えばダブルコンベアを用いる方法や、金属ロールもしくは鋼板を用いる方法、さらには、これらを複数組み合わせて用いる方法等により、上下方向側(上面方向及び下面方向)から圧力を加えて板状に成形することが出来る。なかでも、ダブルコンベアを用いる方法は得られる板状発泡体の平滑性がよく好ましい。例えばダブルコンベアを利用する場合には、混合機の分配部から発泡性フェノール樹脂組成物を連続的に走行する下面材上に吐出させた後、同じく連続的に走行する上面材で被覆させながら、発泡性フェノール樹脂組成物をダブルコンベア中へ連続的に案内させた後、加熱しながら上下方向側から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡硬化させ、板状に成形する方法で板状フェノール樹脂発泡体を得ることができる。ここで、発泡性フェノール樹脂組成物が発泡、硬化する過程のダブルコンベア中の温度は、低すぎると発泡倍率が上がらず初期断熱性能が低下する懸念があり、高すぎると独立気泡率が低下し易く長期の断熱性能が低下する懸念がある。そのため、ダブルコンベア中の温度は、好ましくは60℃以上100℃以下であり、より好ましくは65℃以上98℃以下であり、更に好ましくは70℃以上95℃以下である。
そして、本実施形態における、前述した混合機に投入されるフェノール樹脂中に含まれる水分量P(単位:質量%)と、上記記載の発泡、硬化する過程のダブルコンベア中の温度Q(単位:℃)から下記式(3)によって算出される係数Rは、大きすぎるとフェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33(22.4L)あたりのハロゲン化ハイドロオレフィンの含有量が減少し、長期の断熱性能が低下する懸念があり、小さすぎるとフェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33(22.4L)におけるハロゲン化ハイドロオレフィンの含有量が増加し、初期断熱性能が低下する懸念がある。そのため、係数Rは、20以上36以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは21.5以上33以下であり、特に好ましくは23以上29以下である。
R=P+0.2286Q ・・・(3)
本実施形態における板状フェノール樹脂発泡体は、後硬化することが出来、後硬化温度は、好ましくは40℃以上130℃以下であり、より好ましくは60℃以上110℃以下である。後硬化は一段階で行ってもよいし、硬化の具合にあわせ硬化温度を変えて数段階に分けて硬化させてもよい。
次に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例中のフェノール樹脂、フェノール樹脂発泡体の組成、構造、特性は以下のようにして測定し、評価した。
(1)発泡体密度
発泡体密度は、20cm角のフェノール樹脂発泡体を試料とし、この試料の面材、サイディング材を取り除いて重量と見かけ容積を測定して求めた値であり、JIS−K−7222に従い測定した。
(2)平均気泡径
平均気泡径は、JIS−K−6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体の厚み方向ほぼ中央を表裏面に平行に切削して得られた切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上に9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数の平均値を求めた。平均気泡径は横切った気泡の数の平均値で1,800μmを除した値である。
(3)独立気泡率
独立気泡率は、ASTM−D−2856−94(1998)のA法を参考に以下の方法で測定した。
発泡体の厚み方向中央部から、約25mm角の立方体試片を切り出した。発泡体の厚みが薄く25mmの均質な厚みの試片が得られない場合は、発泡体から巾及び長さが約25mm、厚みが発泡体の厚みと等しい直方体試片を切り出し、面材を有する上下表面を約1mmずつスライスして得た均質な厚みを有する試片を用いる。試片の各辺の長さをノギスにより測定し、見かけ体積(V1:cm3)を計測すると共に試片の重量(W:有効数字4桁,g)を測定した。引き続き、空気比較式比重計(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用し、ASTM−D−2856−94のA法に記載の方法に従い、試片の閉鎖空間体積(V2:cm3)を測定した。また、上記「(2)平均気泡径」の測定法に従い気泡径(t:cm)を計測すると共に、既測定の各辺の長さより、試片の表面積(A:cm2)を計測した。t及びAより、式VA=(A×t)/1.14により、試片表面の切断された気泡の開孔体積(VA:cm3)を算出した。また、固形フェノール樹脂の密度は1.3g/mLとし、試片に含まれる気泡壁を構成する固体部分の体積(VS:cm3)を式VS=試片重量(W)/1.3により、算出した。
下記式(9)により独立気泡率を算出した。
独立気泡率(%)=〔(V2−VS)/(V1−VA−VS)〕×100 ・・・(9)
同一製造条件の発泡体サンプルについて6回測定し、その平均値をその製造条件サンプルの代表値とした。
なお、フェノール樹脂と密度の異なる無機物等の固形物を含有するフェノール樹脂発泡体については、閉鎖空間を含まない状態まで粉砕し、重量を測定すると共に空気比較式比重計(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用し体積を測定して求めた固形物含有フェノール樹脂の密度を、前記固形フェノール樹脂の密度として用いた。
(5)10℃環境下における熱伝導率及び40℃環境下における熱伝導率
JIS−A−1412−2:1999に準拠し、以下の方法で10℃と40℃における熱伝導率を測定した。
フェノール樹脂発泡体サンプルを約600mm角に切断し、試片を23±1℃、湿度50±2%の雰囲気に入れ、24時間ごとに重量の経時変化を測定し、24時間経過の重量変化が0.2質量%以下になるまで、状態調節をした。状態調節された試片は、同環境下に置かれた熱伝導率測定装置に導入した。熱伝導率測定装置が、試片が置かれていた23±1℃、湿度50±2%にコントロールされた室内に置かれていない場合は、速やかにポリエチレン製の袋に入れ袋を閉じ、1時間以内に袋から出し、速やかに熱伝導率の測定に供した。
熱伝導率測定は、発泡部を傷つけないように面材を剥がし、10℃環境下における熱伝導率は低温板0℃高温板20℃の条件で、40℃環境下における熱伝導率は低温板30℃高温板50℃の条件で、それぞれ試験体1枚・対称構成方式の測定装置(英弘精機社、商品名「HC−074/600」)を用い行った。
(6)加速試験後熱伝導率
EN13166を参考に、25年経過後を想定した下記加速試験後の熱伝導率を測定した。
600mm角の試片を、110±2℃に温調された循環式オーブン内に14±0.05日間入れ加速試験を行った。
引き続き「(5)10℃環境下における熱伝導率及び40℃環境下における熱伝導率」の測定方法に従い、10℃及び40℃環境下における熱伝導率の測定を行った。
(7)フェノール樹脂及びフェノール樹脂発泡体中の水分量
(A)フェノール樹脂中の水分量
水分量を測定した脱水メタノール(関東化学(株)製)に、フェノール樹脂を3質量%から7質量%の範囲で溶解して、その溶液の水分量から脱水メタノール中の水分を除して、フェノール樹脂中の水分量を求めた。測定した水分量から、フェノール樹脂原料の水分率を計算した。測定にはカールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、MKC−510)を用いた。水分量の測定にはカールフィッシャー試薬としてSigma−Aldrich製のHYDRANAL−Composite 5Kを用い、カールフィッシャー滴定用として林純薬工業製のHAYASHI−Solvent CE 脱水溶剤(ケトン用)を用いた。また、カールフィッシャー試薬の力価測定用として三菱化学製のアクアミクロン標準水・メタノール(水分2mg)を用いた。水分量の測定は装置内に設定されているメソッド1、またカールフィッシャー試薬の力価はメソッド5を用いて求めた。得られた水分量の、フェノール樹脂原料の質量に対する割合を求め、これをフェノール樹脂原料の水分率とした。
(B)フェノール樹脂発泡体中の水分量
フェノール樹脂発泡体中の水分量は、ボートタイプ水分気化装置を有するカールフィッシャー水分計を使用し、水分気化装置で110℃に加熱して気化させた水分を測定した。
なお、水和物等の高温加熱により分解し水分を発生する固形物を含有するフェノール樹脂発泡体については、分解温度以下の低温で加熱し、含有水分を気化させて水分量を測定した。
(8)発泡体中に含有される沸点が−100℃以上81℃以下の物質の組成比
面材を剥がしたフェノール樹脂発泡体試料を10gと金属製やすりを10L容器(製品名テドラーバック)に入れて密封し、窒素5Lを注入した。テドラーパックの上からヤスリを使い試料を削り、細かく粉砕した。続いて、81℃に温調されたオーブン内に10分間入れた。テドラーバック中で発生したガスを100μL採取し、GC/MSで測定し、発生したガス成分の種類と組成比を分析した。
なお、別途、発生したガス成分の検出感度を測定し、上記GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成比を算出した。
(9)発泡体中のハロゲン化ハイドロオレフィン、塩素化飽和炭化水素、炭素数が6以下の炭化水素の含有量
フェノール樹脂発泡体サンプルを約100mm角に切断し、試片6個を準備すると共に、密封可能な耐熱性を有するチャック付袋(以下「チャック付袋」と略す)を6袋準備し、各々の袋の重量を精密天秤で、測定した。試片を70℃に温調された循環式オーブン内に24±0.5時間入れ含有する水分を飛散させた後、速やかに、別々のチャック付袋に入れ、封をして、室温まで冷やす。室温まで冷却後、各々のチャック付袋より試片を取り出し、速やかに試片の面材を剥離して各試片の重量(W1)を精密天秤より測定すると共に、各辺の長さをノギスにより測定し、試片の体積(V)を算出した。その後、各試片を各々のチャック付袋に戻し、一部の開口部を残し再度封をし、室温の油圧プレスの盤面間に入れ、油圧プレスで約200N/cm2の圧力まで徐々に圧縮し、試片の気泡を破壊した。3試片については、試片の一部試料を採取し、上記のフェノール樹脂発泡体中の水分量の測定法により、含有する水分量(WS1)を測定した。引き続き、一部の開口部を残した試片入りチャック付袋を、81℃に温調された循環式オーブン内に30±5分入れた後、直ちに、粉体が袋から出ないようにしつつ袋内気体を排出し、袋を密封し、室温まで冷やす。室温まで冷却後、上記で水分量(WS1)測定に供していない試片入りチャック付袋の重量を精密天秤で測定し、チャック付袋の重量を差し引き、揮発成分が除かれた重量(W2)を測定した。同時に、上記で水分量(WS1)を測定した3試片の袋より、一部試料を採取し、同様にして81℃に温調された循環式オーブン内に30±5分入れた後の水分量(WS2)を測定した。
次に、上記W1とW2の差分(W1−W2)から上記水分量の差分(WS1−WS2)を差し引くと共に、試片の体積(V)から、固形フェノール樹脂密度を1.3g/cm3とし、W2から計算された樹脂体積を差し引いた体積(発泡体内の空間体積)と空気の密度(0.00119g/mL)により計算された空気浮力重量(WF)を加算し揮発成分重量(W3)を求めた。すなわち、W3は下記式(10)により算出した。
W3=(W1−W2)−(WS1−WS2)+WF ・・・(10)
そして、W3に上記測定法(8)で測定されたハロゲン化ハイドロオレフィンのガス成分中比率および塩素化飽和炭化水素、炭素数が6以下の炭化水素のガス成分中比率をそれぞれ掛けて、各々の含有重量(W4、W4´、W4´´)を算出した。なお、フェノール樹脂と密度の異なる無機物等の固形物を含有するフェノール樹脂発泡体については、閉鎖空間を含まない状態まで粉砕し、重量を測定すると共に空気比較式比重計(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用し体積を測定して求めた固形物含有フェノール樹脂の密度を、前記固形フェノール樹脂密度として用いた。
発泡体中のハロゲン化ハイドロオレフィンのガス成分中比率および塩素化飽和炭化水素、炭素数が6以下の炭化水素の含有量(mol/22.4×10-33)は、上述の発泡体内の空間体積22.4×10-33における、上記W4、W4´、W4´´と上記測定法(8)で測定されたそれぞれの物質の測定量と分子量により算出した。
(10)沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の含有量
(i)クロロホルム中での粉砕物の抽出処理
面材を含まない約5mm角に切断分割したフェノール樹脂発泡体サンプル0.5gおよびクロロホルム(和光純薬社、高速液体クロマトグラフフィー用)30gを混合し、下記の手順で、発泡体を粉砕しつつ、発泡体中の高沸点炭化水素のクロロホルムへの抽出処理を行った。
フェノール樹脂発泡体サンプルは、発泡体の厚み方向の中央部10mmの厚み部分より採取し、発泡体切断より10分以内に抽出処理を始めた。
ここで本処理では、切断分割したフェノール樹脂発泡体をクロロホルムになじませると共に予備粉砕を行う為、次の操作を行った。すなわち、内容積約100mlのスクリュー式蓋で密閉可能な円筒状ガラス容器に、IKA社製ULTRA-TURRAX(登録商標)Tube Drive control用専用部材BMT-50-G(ボールミルタイプ粉砕チューブとガラス製ボール(約6mm径)のセット)のガラス製ボール25個、約5mm角に切断分割したフェノール樹脂発泡体サンプル0.5g、およびクロロホルム(和光純薬工業社、高速液体クロマトグラフフィー用)30gを入れ、蓋を閉め円筒状ガラス容器を密閉した後、同容器を、円筒が水平方向になるよう手に持ち、同容器の円筒長手方向に、振り幅20±5cm、振り速度80±20回/分の速度で、5±0.5分間容器を振とうした。なお、振とう粉砕操作は、一往復が、1回である。
引き続き、上記円筒状ガラス容器内の内容物全量(予備粉砕された発泡体、クロロホルム、およびガラス製ボール)を、BMT-50-Gの密閉可能なボールミルタイプ粉砕チューブに移し、当該粉砕チューブを密閉した。この粉砕チューブをIKA社製ULTRA-TURRAX(登録商標)Tube Drive controlにセットし、5700rpmで30秒間粉砕処理、30±5秒間粉砕処理停止のサイクルを5回繰り返した。なお、内容物を出し空となった上記円筒状ガラス容器は、内容物を出した後速やかに蓋を閉め、約23℃の雰囲気下に静置した。
粉砕終了後、粉砕チューブ内全内容物(粉砕された発泡体、クロロホルム、およびガラス製ボール)を使用後密閉しておいた円筒状ガラス容器に移し、5±0.2分間約23℃雰囲気下に静置した。内容物の入った円筒状ガラス容器を、手で、振り速度80±20回/分の速度で10回振とうした。その後速やかに円筒状ガラス容器内全内容物を、孔径0.5μmの疎水性PTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社 T050A047A)を用いてろ過し、フェノール樹脂発泡体及びガラス製ボールを除去して、ろ液(クロロホルム抽出液)を得た。
上記作業は、上記抽出処理における発泡体とクロロホルムの総接触時間が16±1.5分間の範囲内となるように、速やかに進行させた。なお、本処理における発泡体の粉砕状態の目安は、発泡体の一次粒子の体積平均粒子径が30μm以下となる程度に粉砕すればよい。
ろ液の一部を赤外分光分析用ZnSe結晶板(ピアーオプティックス社)上で乾燥させ、赤外分光分析により、炭化水素成分以外の不純物がクロロホルム中に含有されているか分析した。
なお、赤外分光装置及び積算回数の例は、赤外分光装置Spectrum One(Perkin Elmer社)、積算回数4回、が挙げられる。
赤外分光分析により、高沸点炭化水素の定量に悪影響を与える炭化水素成分以外の不純物がろ液中に含まれないことが確認されたろ液は、特に後処理を加えることなく後述のガスクロマトグラフ分析に供され、ガスクロマトグラフにより検出された全ピークを高沸点炭化水素として各温度域の検出ピーク面積を積算した。
一方本抽出処理では、フェノール樹脂に含まれるオリゴマー成分が上記ろ液に含まれ、該赤外分光分析により検出されることがあるが、ガスクロマトグラフ分析では該オリゴマーの保持時間が高沸点炭化水素と大きく異なるため、ガスクロマトグラフ分析による高沸点炭化水素の定量に影響を与えることはない。ただし、該赤外分光分析により、ろ液中に、ガスクロマトグラフ分析による高沸点炭化水素の定量に影響を与える不純物が存在する可能性がある場合は、上記抽出処理の前に以下の前処理を行う。
(ii)前処理の例
面材を含まない約5mm角に切断分割したフェノール樹脂発泡体サンプル0.5g、蒸留水(関東化学社、高速液体クロマトグラフィー用)10ml、およびメタノール(関東化学社、高速液体クロマトグラフィー用)10mlを混合し、下記の手順で発泡体を粉砕しつつ、フェノール樹脂発泡体中に含まれる、親水性成分の除去処理を行った。
なお、本前処理で使用する機器およびフェノール樹脂発泡体サンプルの採取方法は上記(i)の抽出処理と同様である。
ボールミルタイプ粉砕チューブに、BMT-50-Gのガラス製ボール25個、約5mm角に切断分割したフェノール樹脂発泡体サンプル0.5g、蒸留水(関東化学社、高速液体クロマトグラフィー用)10ml、およびメタノール(関東化学社、高速液体クロマトグラフィー用)10mlを入れ、粉砕チューブを密閉した。この粉砕チューブをIKA社製ULTRA-TURRAX(登録商標)Tube Drive controlにセットし、5800rpmで10分間粉砕処理を行った。
引き続き、上記粉砕チューブ内の内容物全量(粉砕された発泡体、ガラス製ボール、蒸留水とメタノール混合溶液)は、密閉容器中で24±0.5時間、約23℃雰囲気下に静置された。
その後、上記内容物からガラスボールを除去したものを、遠心分離機により、15000回転で30分間遠心分離し、固形物を孔径0.5μmの親水化処理されたPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社 H050A047A)を用いてろ過して、固形物を分取した。なお、本処理において遠心分離管に残った固形物は、メタノール(関東化学社、高速液体クロマトグラフィー用)20mlで数回に分け洗い出し、ろ過に供した。
ろ過後の固形物全量を、上述(i)の抽出処理に供した。
(iii)精製による分離
上記(ii)の前処理を行っても、ガスクロマトグラフ分析で沸点120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の定量に影響を与える不純物が存在する場合は、液体クロマトグラフィー等の不純物が除去できる精製法により精製を行った後、ガスクロマトグラフ分析を行う。また、精製において、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の量が精製ロス等により減少する場合には、クロロホルム(抽出液)に含有されている沸点120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の平均沸点に近い標準物質(高沸点炭化水素)をクロロホルム(和光純薬工業社、高速液体クロマトグラフフィー用)に溶解し、同様の精製処理を行い、精製ロス率を算出し、補正を行う。
(iv)ガスクロマトグラフ分析による高沸点炭化水素のピーク定性、および沸点120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の定量方法
ガスクロマトグラフ分析は、高沸点炭化水素の沸点が高くなると共に保持時間が長くなるので、120℃以上550℃以下の沸点の高沸点炭化水素の分析が可能な測定条件で行った。
ガスクロマトグラフの構成としては、カラムとして耐熱性がある無極性液相を有するキャピラリーカラム、検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を用い、測定条件としては、注入口温度を高くすると共に、カラム温度を低温から高温まで昇温し、分析した。ガスクロマトグラフ分析条件の具体例を以下に示す。
ガスクロマトグラフは、アジレント・テクノロジー社 7890A型、検出器は水素炎イオン化検出器(FID)を用いた。カラムは、アジレント・テクノロジー社 キャピラリーカラムDB−5HT(外表面ポリイミドコーティングフューズドシリカキャピラリーカラム)、内径0.25mm、液相(5%−フェニル)−メチルポリシロキサン、膜厚0.1μm、長さは、15mとした。キャリアガスはヘリウムを用い、流量は、1ml/分とした。注入口の温度は400℃、注入方法はスプリット法(1:10)とし、(i)の抽出処理で得られたろ液の注入量は1μlとした。カラム温度は50℃に温調しておき、注入と同時に、昇温速度10℃/分で、400℃まで昇温した。検出器(FID)の温度は、400℃とした。
ガスクロマトグラフ分析により検出される物質の沸点は、既知の沸点の高沸点炭化水素を同一測定条件でガスクロマトグラフ分析に付し、ガスクロマトグラフでの検出までの保持時間から沸点と保持時間の相関を求め、この相関と、ろ液中の高沸点炭化水素の検出までの保持時間より求めた。本手法における、既知の沸点の高沸点炭化水素溶液としては、シクロヘプタン(沸点118.1℃、関東化学社 特級)、ノルマルオクタン(沸点125.7℃、関東化学社 一級)、ノルマルノナン(沸点150.8℃、関東化学社 特級)、ノルマルデカン(沸点174.1℃ 関東化学社 特級)、ノルマルドデカン(沸点216.3℃、関東化学社 特級)、ノルマルヘキサデカン(沸点287℃、関東化学社 特級)、エイコサン(沸点344℃、東京化成工業社 GC用標準物質)、ペンタコサン(沸点404℃、東京化成工業社 GC用標準物質)、トリアコタン(沸点450℃、東京化成工業社 等級GR)の1000ppmクロロホルム(和光純薬工業社、高速液体クロマトグラフ用)溶液、テトラコタン(沸点522℃、東京化成工業社 等級EP)、及びペンタコンタン(沸点575℃、東京化成工業社 等級GR)の1000ppmデカヒドロナフタレン(cis-,trans-混合物)(和光純薬工業社 一級)溶液を用い、各高沸点炭化水素のガスクロマトグラフでの検出までの保持時間を測定し求めた。
ろ液中の各温度域の高沸点炭化水素の量(重量%)は、ノルマルヘキサデカン(沸点287℃、関東化学社 特級)の含有量の異なるクロロホルム(和光純薬工業社、高速液体クロマトグラフ用)溶液を、クロロホルム(抽出液)分析時と同一の条件でガスクロマトグラフにより分析し、クロロホルム(溶液)中のノルマルヘキサデカン含有量と検出ピーク面積より求めた検量線により、算出した。
なお、高沸点炭化水素抽出重量が少なく検出ピーク面積が非常に低い場合には、適宜、クロロホルムに対する発泡体比率を増やす、或いは、クロロホルム(抽出液)を濃縮後分析するなどして、発泡体からの高沸点炭化水素抽出重量を測定した。
発泡体重量当たりの高沸点炭化水素の抽出重量と発泡体の密度より、発泡体内の空間体積22.4×10-33当たりの高沸点炭化水素抽出重量(g)を算出した。
なお、抽出重量の算出に当たっては、通常は固形フェノール樹脂密度を1.3g/cm3とするが、フェノール樹脂と密度の異なる無機物等の固形物を含有するフェノール樹脂発泡体については、別途、閉鎖空間を含まない状態まで粉砕し、重量を測定すると共に空気比較式比重計(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用し体積を測定して求めた固形物含有フェノール樹脂の密度を、固形フェノール樹脂の密度として用いた。
(11)フェノール樹脂の粘度
フェノール樹脂の粘度は、回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値とした。また、板状成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の粘度は、樹脂の硬化による粘度上昇の影響をできるだけ排除した評価とするため、該粘度計を用いて、40℃で2分間経過後の測定値とした。
(実施例1)
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液3500kgと99質量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が170センチストークス(25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液でpHを6.4に中和した。
得られた反応液を、60℃で脱水処理した。そして、脱水後の反応液の水分量を測定したところ、水分量は7.6質量%であった。
脱水後の反応液100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF−127)を2.5質量部の割合で混合した。これをフェノール樹脂Aとした。
フェノール樹脂A100質量部に対して、JIS1号軽油(以下「1号軽油」と略す)3.5質量部、発泡剤として1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(デュポン社製、商品名Formacel(登録商標)1100)15.7質量部、酸硬化触媒としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物11質量部を混合し、得られた発泡性フェノール樹脂組成物を25℃に温調したミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に供給した。使用する混合機(ミキサー)を図1に示す。本混合機は、特開平10−225993号公報に開示されている混合機を大きくすると共にノズルを増やしたものである。即ち、混合機は、上部側面にフェノール樹脂に界面活性剤を添加したフェノール樹脂1、高沸点炭化水素2、及び、発泡剤3の導入口を有し、回転子dが攪拌する攪拌部の中央付近の側面に硬化触媒4の導入口を備えている。攪拌部以降は発泡性フェノール樹脂組成物5を吐出するためのノズルeに繋がっている。即ち、混合機は、触媒導入口までを混合部a、触媒導入口〜攪拌終了部を混合部b、攪拌終了部〜吐出ノズルまでを分配部cとし、これらにより構成されている。分配部cは先端に複数のノズルeを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。また分配部cには系内の温度と圧力が測定できるように、分配部温度センサー及び分配部圧力センサーがセットされている(図示せず)。さらに、各混合部及び分配部はそれぞれ温度調整を可能にするための温調用ジャケットを備えている。この分配部温度センサーで計測された温度は43.0℃、この分配部圧力センサーで計測された圧力は0.65MPaであった。
面材としてはポリエステル製不織布(旭化成せんい(株)製「スパンボンドE05030」、秤量30g/m2、厚み0.15mm)を使用した。
下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、スラット型ダブルコンベアへ送り、20分の滞留時間で硬化させた。使用するスラット型ダブルコンベアを図2に示す。本コンベアは、特開2000−218635号公報に開示されているスラット型ダブルコンベアであり、発泡性フェノール樹脂組成物が吐出されてから3分後に通過する位置の上部スラットコンベアの上下プレート間の中央に、発泡・硬化する過程のダブルコンベア温度が測定できるように、コンベア温度センサーがセットされている(図示せず)。このコンベア温度センサーで計測された温度は、80℃であった。なお、図2中、6は面材、10は下部スラットコンベア、20は上部スラットコンベア、30は保温材、31は給気ファン、32は排気ファン、33は混合機、34は切断装置、40はパネル状のフェノール樹脂発泡体、41は成形装置を示す。この際に利用したスラット型ダブルコンベアは、硬化中に発生する水分を外部に放出できるように設計したものである。そして、上下面材で被覆された発泡性フェノール樹脂組成物は、スラット型ダブルコンベアにより上下方向から面材を介して適度に圧力を加えることで板状に成形した。
その後、上記で得られた硬化が完了していない発泡体は、110℃のオーブンで2時間加熱して厚み47.0mmのフェノール樹脂発泡体を得た。
(実施例2)
フェノール樹脂100質量部に対して、1号軽油に替えてノルマルドデカン1.0質量部、発泡剤を1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(ハネウェル社製、商品名ソルスティス(登録商標)LBA)11.9質量部とし、コンベア温度センサーで計測されたダブルコンベア温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚み49.0mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は42.1℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.71MPaであった。
(実施例3)
フェノール樹脂100質量部に対して、1号軽油に替えて、初留温度310℃、95%留出温度513℃の沸点を有する液状パラフィン系オイル(コスモ石油ルブリカンツ社製、コスモニュートラル150)2.0質量部、発泡剤として1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン70mol%と1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン30mol%の混合物15.2質量部とし、コンベア温度センサーで計測されたダブルコンベア温度を75℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚み47.7mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は42.5℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.67MPaであった。
(実施例4)
フェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤として1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン70mol%とイソプロピルクロリド30mol%の混合物14.5質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして厚み49.6mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は42.7℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.64MPaであった。
(実施例5)
フェノール樹脂100質量部に対して、ノルマルドデカンの量を2.0質量部とし、発泡剤としての1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン20mol%とイソプロピルクロリド80mol%の混合物を9.0質量部とし、コンベア温度センサーで計測されたダブルコンベア温度を77℃に変更した以外は、実施例2と同様にして厚み50.5mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は41.1℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.70MPaであった。
(実施例6)
フェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン80mol%とイソプロピルクロリド20mol%の混合物11.1質量部を使用した以外は、実施例5と同様にして厚み49.8mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は41.5℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.74MPaであった。
(実施例7)
フェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤としての1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン80mol%とシクロペンタン20mol%の混合物11.5質量部を使用した以外は、実施例5と同様にして厚み49.5mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は42.2℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.66MPaであった。
(実施例8)
フェノール樹脂100質量部に対して、1号軽油を3.0質量部とし、発泡剤として1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン50mol%とイソプロピルクロリド35mol%とイソペンタン15mol%の混合物13.0質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして厚み51.8mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は40.9℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.69MPaであった。
(実施例9)
フェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン13mol%とイソプロピルクロリド67mol%とイソペンタン20mol%との混合物8.4質量部を使用した以外は、実施例5と同様にして厚み53.0mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は40.5℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.75MPaであった。
(比較例1)
1号軽油の量を0質量部に変更した(即ち、1号軽油を配合しなかった)以外は、実施例1と同様にして厚み48.1mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は42.5℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.66MPaであった。
(比較例2)
ノルマルドデカンの量を0質量部に変更した(即ち、ノルマルドデカンを配合しなかった)以外は、実施例5と同様にして厚み50.8mmのフェノール樹脂発泡体を得た。分配部温度センサーで計測された温度は41.3℃、分配部圧力センサーで計測された圧力は0.72MPaであった。
Figure 0006600251
Figure 0006600251
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本発明によれば、ハロゲン化ハイドロオレフィンの優れた断熱性能を最大限に引き出して初期の熱伝導率が低いと共に、長期間にわたり低い熱伝導率を維持するフェノール樹脂発泡体及びその製造方法を提供できる。よって、本発明のフェノール樹脂発泡体は、建築用断熱材、車両用断熱材、機器用断熱材等の断熱材として好ましく使用される。
1・・・フェノール樹脂、2・・・沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素、3・・・発泡剤、4・・・硬化触媒、5・・・発泡性フェノール樹脂組成物、6・・・面材、10・・・下部スラットコンベア、20・・・上部スラットコンベア、30・・・保温材、31・・・給気ファン、32・・・排気ファン、33・・・混合機、34・・・切断装置、40・・・パネル状のフェノール樹脂発泡体、41・・・成形装置、a・・・混合部、b・・・混合部、c・・・分配部、d・・・撹拌用回転子、e・・・吐出用ノズル。

Claims (9)

  1. ハロゲン化ハイドロオレフィン、及び、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素を含有し、密度が10kg/m3以上150kg/m3以下のフェノール樹脂発泡体であって、
    前記フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりのハロゲン化ハイドロオレフィン含有量X(単位:mol)の値が0.05以上0.85以下であり、
    前記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる前記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体中に任意に含まれる塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素の総量中のハロゲン化ハイドロオレフィン比率が10mol%以上100mol%以下であり、
    前記フェノール樹脂発泡体を粉砕してクロロホルム中で抽出処理を行った際にクロロホルム中に抽出された沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素の、前記フェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10-33あたりの抽出量Y(単位:g)の値が、下記式(1)で算出される係数a以下、且つ、下記式(2)で算出される係数b以上の範囲内にあり、
    a=−11.61X+31.57 ・・・(1)
    b=2.67X−0.06 ・・・(2)
    前記沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素が、圧力101.325kPa、温度30℃において液状であり、
    40℃環境下における熱伝導率と10℃環境下における熱伝導率の差が0.0000W/m・K以上であり、
    10℃環境下における熱伝導率が0.0200W/m・K以下であり、
    110℃、14日間の加速試験後の10℃及び40℃環境下における熱伝導率の悪化幅(加速試験後の熱伝導率−加速試験前の初期熱伝導率)が、0.0050W/m・K以下である、フェノール樹脂発泡体。
  2. 前記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる前記ハロゲン化ハイドロオレフィンが、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン化ハイドロオレフィンを10mol%以上100mol%以下含み、
    前記フェノール樹脂発泡体内中に含まれる前記ハロゲン化ハイドロオレフィン、並びにフェノール樹脂発泡体中に任意に含まれる塩素化飽和炭化水素及び/又は炭素数が6以下の炭化水素の混合物の沸点平均値が15℃以上50℃以下である、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体。
  3. さらに塩素化飽和炭化水素を含む、請求項1または2に記載のフェノール樹脂発泡体。
  4. さらに炭素数6以下の炭化水素を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂発泡体。
  5. 独立気泡率が90%以上、平均気泡径が40μm以上300μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェノール樹脂発泡体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、
    少なくとも、フェノール樹脂、界面活性剤、沸点が120℃以上550℃以下の高沸点炭化水素、ハロゲン化ハイドロオレフィン、及び酸硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合し、混合機の分配部から発泡性フェノール樹脂組成物を吐出させた後、加熱し、発泡性フェノール樹脂組成物が発泡及び硬化する過程において、発泡性フェノール樹脂組成物の上下方向側から圧力を加え、板状に成形されたフェノール樹脂発泡体を製造する、フェノール樹脂発泡体の製造方法。
  7. 前記分配部の圧力が0.3MPa以上10MPa以下である、請求項6に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  8. 前記混合機に投入されるフェノール樹脂中に含まれる水分量が2質量%以上20質量%以下であり、
    前記発泡性フェノール樹脂組成物が発泡及び硬化する過程においてダブルコンベアを使用して発泡性フェノール樹脂組成物に圧力を加え、
    前記ダブルコンベア中の温度が60℃以上100℃以下である、請求項6または7に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  9. 前記発泡性フェノール樹脂組成物が発泡及び硬化する過程においてダブルコンベアを使用して発泡性フェノール樹脂組成物に圧力を加え、
    前記混合機に投入されるフェノール樹脂中に含まれる水分量P(単位:質量%)と、前記ダブルコンベア中の温度Q(単位:℃)とから下記式(3)で算出される係数Rが、20以上36以下である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
    R=P+0.2286Q ・・・(3)
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