以下に、本発明にかかる推定プログラム、推定方法および情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせてもよい。
[システム構成]
最初に、実施例1に係る健康管理を行うシステムの一例を説明する。図1は、システムの概略的な構成の一例を示す図である。システム10は、馬、牛や犬など、四肢で移動する動物の跛行の検知を行うシステムである。以下では、四肢で移動する動物として、馬の跛行を検知する場合を例に説明する。
馬の能力向上を図るためには馬の心身に負荷をかけるトレーニングが行われる。特に、サラブレッドなどの軽種馬は、体調管理を適切に行って故障の発生を抑えつつ、トレーニングを行うことが重要である。このため、軽種馬では、跛行を初期段階、軽微な段階で発見することが求められる。本実施例では、システム10により、馬の跛行の検知の支援を行う。
図1に示すように、システム10は、計測装置11と、推定装置12とを有する。計測装置11は、馬に装着され、馬が四肢で移動する際の挙動を測定する装置である。例えば、計測装置11は、モーションセンサが内蔵され、モーションセンサにより馬が四肢で移動する際の挙動を測定する。計測装置11は、モーションセンサで測定された測定データ24を記憶する。計測装置11と推定装置12は、有線通信や無線通信、フラッシュメモリなどの記憶媒体を介して、データの授受が可能とされている。計測装置11で測定された測定データ24は、有線通信や無線通信、記憶媒体などを介して推定装置12へ送られる。
推定装置12は、測定データ24に基づき、跛行が発生した場合に、跛行の原因となる問題肢を推定する装置である。推定装置12は、例えば、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータなどのコンピュータである。推定装置12は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末装置であってもよい。例えば、推定装置12は、馬を管理する厩舎や牧場などの管理元に配置される。推定装置12は、1台のコンピュータとして実装してもよく、また、複数台のコンピュータにより実装してもよい。なお、本実施例では、推定装置12をそれぞれ1台のコンピュータとした場合を例として説明する。本実施例では、推定装置12が情報処理装置に対応する。
次に、実施例1に係るシステム10を使用して馬の健康管理を行う流れの一例を説明する。図2は、実施例1に係るシステムにより馬の健康管理を行う流れの一例を示す図である。計測装置11は、健康管理を行う対象の馬13の胸前に装着される。例えば、馬13に装着された馬具13Aに計測装置11を格納する。図2の例では、マルタンガールを用いて計測装置11を馬13の胸前に装着した例を示している。馬13は、計測装置11を装着した状態で各種のトレーニングを行う。計測装置11は、モーションセンサによりトレーニング中の挙動に関するデータを収集し、測定データ24を記憶する。
ここで、跛行は、馬の四肢になんらかの異常が発生することにより、発生するものであり、所謂、肢をひきずった状態である。跛行が発生している馬は、跛行が発生している肢を庇うため、左右のバランスが崩れる傾向がある。馬の左右のバランスを検出するため、馬の肢にモーションセンサを装着することも考えられる。しかし、馬の肢にモーションセンサを装着すると、モーションセンサなどの重みにより肢に負担がかかり、故障を発生させる虞がある。また、馬の頭部にモーションセンサを装着することも考えられる。しかし、頭部は、首を振るなど首の動きの影響が大きく、馬の左右のバランスを検出し難い。一方、馬の胸は、前肢に連動して動くため、馬の左右のバランスを検出し易い。そこで、本実施例に係るシステム10では、計測装置11を馬13の胸前に装着して馬13の胸の動きを測定する。
トレーニング後、計測装置11は、管理元の事務所に運ばれ、記憶された測定データ24が、記憶媒体を介して、又は、有線通信若しくは無線通信により推定装置12にアップロードされる。推定装置12は、アップロードされた測定データ24に基づいて、跛行が発生しているか評価し、跛行が発生している場合、跛行の原因となる問題肢を推定する。
[計測装置の構成]
次に、各装置の構成について説明する。最初に、計測装置11の構成について説明する。図3は、実施例1に係る計測装置の機能的な構成の一例を示す図である。図3に示すように、計測装置11は、外部I/F(interface)部20と、センサ部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
外部I/F部20は、例えば、他の装置と各種の情報を送受信するインタフェースである。実施例1に係る計測装置11では、外部I/F部20は、フラッシュメモリなどの記憶媒体に対してデータを入出力するポート、ケーブルなどにより有線通信を行う通信ポート、又は、無線通信を行う通信インタフェースである。
センサ部21は、挙動を検出するモーションセンサである。例えば、センサ部21は、互いに直交する3軸方向の加速度と、当該3軸の角速度を測定する6軸センサである。なお、センサ部21は、複数のセンサに分かれていてもよい。例えば、センサ部21は、3軸方向の加速度を測定する3軸加速度センサと、3軸の角速度を測定するジャイロセンサで構成されてもよい。
記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)などのデータを書き換え可能な半導体メモリである。なお、記憶部22は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスクなどの記憶装置であってもよい。記憶部22は、制御部23で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部22は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部22は、測定データ24を記憶する。
測定データ24は、馬の挙動に関する各種の情報を記憶したデータである。例えば、測定データ24は、センサ部21により測定された3軸方向の加速度および3軸の角速度の値が計測時間に対応付けて記憶される。
制御部23は、計測装置11全体を制御するデバイスである。制御部23としては、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。
制御部23は、センサ部21によりそれぞれ検出される各種のデータを測定データ24に格納する。例えば、制御部23は、所定の周期で、センサ部21により3軸方向の加速度および3軸の角速度を計測する。制御部23は、計測する度に、3軸方向の加速度および3軸の角速度の値とその計測時間とを対応付けて測定データ24に格納する。計測時間は、計測を開始した時刻を起点とする経過時間とすることもできるし、タイムスタンプ等によって計測されたグローバルな時間を用いることとしてもかまわない。計測時間を経過時間とする場合、ヘッダに計測を開始した計測開始日時を埋め込んだ測定データ24を記憶部22へ格納する。なお、以下では、3軸方向の加速度および3軸の角速度を0.05秒周期で計測する場合を想定するが、計測周期はこれに限定されない。
[推定装置の構成]
次に、推定装置12の構成について説明する。図4は、実施例1に係る推定装置の機能的な構成の一例を示す図である。図4に示すように、推定装置12は、外部I/F部30と、表示部31と、入力部32と、記憶部33と、制御部34とを有する。
外部I/F部30は、例えば、他の装置と各種の情報を送受信するインタフェースである。実施例1に係る推定装置12では、外部I/F部30は、フラッシュメモリなどの記憶媒体に対してデータを入出力するポート、ケーブルなどにより有線通信を行う通信ポート、又は、無線通信を行う通信インタフェースである。例えば、外部I/F部30は、記憶媒体や、有線通信、又は、無線通信により計測装置11から測定データ24を受信する。
表示部31は、各種情報を表示する表示デバイスである。表示部31としては、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの表示デバイスが挙げられる。表示部31は、各種情報を表示する。例えば、表示部31は、操作画面など各種の画面を表示する。
入力部32は、各種の情報を入力する入力デバイスである。入力部32としては、マウスやキーボードなどの操作の入力を受け付ける入力デバイスが挙げられる。なお、入力部32としては、推定装置12に設けられた各種のボタンや、表示部31上に設けられた透過型のタッチセンサであってもよい。入力部32は、各種の情報の入力を受け付ける。例えば、入力部32は、処理開始の指示など評価に関する各種の操作入力を受け付ける。入力部32は、ユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作内容を示す操作情報を制御部34に入力する。なお、図4の例では、機能的な構成を示したため、表示部31と入力部32を別に分けているが、例えば、タッチパネルなど表示部31と入力部32を一体的に設けたデバイスで構成してもよい。
記憶部33は、各種のデータを記憶する記憶デバイスである。例えば、記憶部33は、ハードディスク、SSD、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部33は、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAMなどのデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。
記憶部33は、制御部34で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部33は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部33は、測定データ35と、評価データ36とを記憶する。
測定データ35は、計測装置11から取得した測定データ24を記憶したデータである。評価データ36は、測定データ35の評価結果を記憶したデータである。
制御部34は、推定装置12を制御するデバイスである。制御部34としては、CPU、MPU等の電子回路や、ASIC、FPGA等の集積回路を採用できる。制御部34は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部34は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部34は、格納部40と、受付部41と、評価部42と、判定部43と、候補特定部44と、問題肢特定部45と、判別部46と、出力部47とを有する。
格納部40は、各種のデータの格納を行う。例えば、格納部40は、外部I/F部30を介して計測装置11から取得した測定データ24を測定データ35として記憶部33に格納する。
受付部41は、各種の受け付けを行う。例えば、受付部41は、各種の操作指示を受け付ける。例えば、受付部41は、操作画面など各種の画面を表示部31に表示させて、入力部32から、測定データ35の処理開始の指示などの操作指示を受け付ける。
評価部42は、各種の評価を行う。例えば、評価部42は、測定データ35に基づいて、1完歩ごとに馬の移動の左右のバランスを評価する。以下、評価の方法を具体的に説明する。
最初に、評価部42は、測定データ35に基づいて、1完歩ごとに、馬の胸前の位置の軌跡を求める。ここで、測定データ35に記憶された各計測時刻の3軸方向の加速度には、馬の四肢移動による振動成分と、重力による重力成分が含まれる。振動成分は、馬の1完歩に対応しており、周期的に変動する。一方、重力成分は、ほぼ一定となる。このため、3軸方向の加速度の変化に対して、適切なカットオフ周波数のローパスフィルタ(LPF)やハイパスフィルタ(HPF)に通すと、馬の振動成分と、重力成分とに分離することができる。重力成分の方向は、鉛直方向となる。なお、評価部42は、各計測時刻の3軸方向の加速度にローパスフィルタを通して重力成分を分離し、各計測時刻の3軸方向の加速度から重力成分を引いた差分の成分を、馬の移動による振動成分としてもよい。
ここで、馬が移動する際の歩様には、大きく分けて、ウォーク(walk:常歩)、トロット(trot:速歩)、キャンター(canter:駈歩)、ギャロップ(gallop:襲歩)がある。馬は、歩様がウォーク、トロット、キャンター、ギャロップの順に速度が速く、走る際の振動も大きいため、3軸方向の加速度の変化も大きくなる。また、トロット、キャンター、ギャロップでは、1完歩中に馬体が浮いている状態があり、3軸方向の加速度が何れも無い無重力状態が発生する。このため、評価部42は、3軸方向の加速度の変化が小さい期間のデータを用いて重力成分の分離を行う。
そして、評価部42は、各計測時刻の3軸方向の加速度のうち馬の移動による振動成分と、3軸の角速度を用いて、馬の胸前の位置の軌跡を求める。例えば、評価部42は、各計測時刻の3軸方向の馬の移動による振動成分と、3軸の角速度を用いて、各計測時刻の3次元の位置を算出する。これにより、3次元の位置の軌跡が求まる。図5は、位置の軌跡の一例を示す図である。評価部42は、各位置から測定された振動成分に同じ特徴がある特徴点を複数特定する。例えば、評価部42は、振動が極大となる点や鉛直方向の加速度が最大となる点などを特徴点と特定する。図5の例では、特徴点として始点と終点が特定されている。評価部42は、特徴点の間の位置を、特徴点が同じ位置となるように、平面上に座標変換して、平面上での位置の軌跡を求める。例えば、評価部42は、特徴点の間の位置を、特徴点を結ぶ垂直な平面に投影して、馬を正面から見た平面上での馬の胸前の位置の軌跡を求める。図5の例では、始点の位置と終点の位置を結ぶ垂直な平面に、始点と終点の間の各位置の座標を投影して平面上での馬の胸前の位置の軌跡を求める。図6は、平面上での馬の胸前の位置の軌跡の一例を示す図である。図6の例では、軌跡の始点と終点が同じ位置となっている。
なお、平面上での馬の胸前の位置の軌跡の求め方は、これに限定されない。例えば、評価部42は、測定データ35に記憶された3軸方向の加速度および3軸の角速度から、馬の歩行の特性を用いて、馬の上下方向、馬の左右方向、馬の前後方向を求める。そして、評価部42は、馬の上下方向の振動成分と馬の左右方向の振動成分を用いて平面上の軌跡を求めてもよい。例えば、評価部42は、鉛直方向の成分を馬の上下方向として、馬の移動による振動成分から上下方向の振動成分を分離する。また、馬の移動速度が定常状態の場合、馬の移動は、左右方向に大きく、前後方向に小さい。そこで、評価部42は、上下方向の振動成分を除いた馬の移動による振動成分のうち、鉛直方向に垂直な方向の中で、最も振動が大きい方向を馬の左右方向と求める。また、評価部42は、馬の上下方向と馬の左右方向に垂直な方向を馬の前後方向と求める。評価部42は、馬の移動による振動成分から馬の左右方向の振動成分と、馬の前後方向の振動成分を分離し、左右方向の振動成分と前後方向の振動成分を用いて、馬を正面から見た平面上での軌跡を求めてもよい。例えば、評価部42は、測定データ35に記憶された3軸方向の加速度および3軸の角速度から、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度を求める。また、評価部42は、測定データ35に記憶された3軸方向の加速度および3軸の角速度から、上下方向を軸としたヨー(yaw)方向の加速度を求める。なお、評価部42は、左右方向を軸としたピッチング(pitching)方向の加速度、前後方向を軸としたローリング(rolling)方向の加速度を求めてもよい。そして、評価部42は、左右方向の加速度および上下方向の加速度を用いて、馬を正面から見た平面上での軌跡を求めてもよい。なお、馬の上下方向、左右方向、前後方向の求め方は、これに限定されるものではない。例えば、本出願人が開示した「特開2015-84943号公報」に記載の手法を用いてもよい。
評価部42は、平面上での馬の胸前の位置の軌跡を用いて馬の移動の左右のバランスを評価する。図7は、馬の胸前の位置の軌跡の一例を示す図である。図7の例では、横軸は、水平方向の移動量をmm単位で表したものであり、X軸とする。縦軸は、上下方向の移動量をmm単位で表したものであり、Y軸とする。本実施例では、点の位置の変化量から左右のバランスを評価するため、X軸、Y軸の基準(0となる点)は、何れとしてもよい。図7の例は、馬の歩様がトロットの場合の軌跡を示している。図7に示した軌跡は、計測時刻の順が点P0→点P1→点P2→点P3であるものとする。図7に示すように、一般的に胸前位置の軌跡は、∞の字形(横向きの8の字形)を描くことが多い。これは、馬が歩行する際に、頭を8の字形に動かしてバランスを取るためと考えられる。一方、馬に跛行が発生した場合、跛行が発生している肢を庇うため、軌跡が∞の字形から崩れる。そこで、評価部42は、軌跡の左右のバランスを評価する。以下、軌跡の左右のバランスの評価の仕方を具体的に説明する。
評価部42は、胸前の位置の軌跡で左側の極大点となる点P0、右側の極小点となる点P1、右側の極大点となる点P2、左側の極小点となる点P3を求める。例えば、評価部42は、各点の位置の座標を計測時刻の順に比較して、次の点の上下方向の位置が初めて低下する極大点と、次の点の上下方向の位置が初めて上昇する極小点を順に判別する。そして、評価部42は、極大点の次に極小点と判定される点が、当該極大点よりも右側にある場合に、当該極大点を左側の極大点と特定し、当該極小点を右側の極小点と特定する。また、評価部42は、極大点の次に極小点と判定される点が、当該極大点よりも左側にある場合に、当該極大点を右側の極大点と特定し、当該極小点を左側の極小点と特定する。左側、右側の極大点を特定する方法として、極大点のX座標が交点CPのX座標より小さければ左、大きければ右と判断してもよい。図7に示した点P0→点P1→点P2→点P3→点P0の軌跡が、1完歩に対応する。評価部42は、点P0→点P1→点P2→点P3→点P0・・・と特定を繰り返し、1完歩ごとの軌跡を求める。なお、1完歩の軌跡の始点とする点は、点P0〜点P3の何れであってもよい。
評価部42は、1完歩ごとに、軌跡の左右のバランスを評価する。例えば、評価部42は、点P0および点P1を結ぶ線分L1と、点P2および点P3を結ぶ線分L2を求める。評価部42は、線分L1と線分L2の交点CPを求める。
例えば、点P0のXY座標を(P0.X,P0.Y)、点P1のXY座標を(P1.X,P1.Y)、点P2のXY座標を(P2.X,P2.Y)、点P3のXY座標を(P3.X,P3.Y)とする。この場合、交点CPのXY座標(交点.X,交点.Y)は、以下から求められる。
A=P1.Y−P0.Y
B=P0.X−P1.X
U=(P1.Y−P0.Y)×P0.X−(P1.X−P0.X)×P0.Y
C=P3.Y−P2.Y
D=P2.X−P3.X
V=(P3.Y−P2.Y) ×P2.X−(P3.X−P2.X)×P2.Y
交点.X=(D×U−B×V)/(A×D−B×C)
交点.Y=(A×V−C×U)/(A×D−B×C)
評価部42は、交点CPを通る上下方向の垂直な中心線CLを求める。そして、評価部42は、中心線CLに対する軌跡の左右の面積比を示す指標1を算出する。また、評価部42は、線分L1および線分L2が中心線CLに対して左側となる部分と右側となる部分の長さの比を示す指標2を算出する。また、評価部42は、交点CPからの点P1と点P3の低下量の比を示す指標3を算出する。なお、指標1〜3は、一例であり、軌跡の左右のバランスを示すものであれば何れを用いてもよい。以下、指標1〜3の求め方を具体的に説明する。
図8は、中心線CLに対する軌跡の左右の面積の一例を示した図である。図8の例では、中心線CLに対して軌跡の左側の面積S1と、中心線CLに対して軌跡の右側の面積S2が示されている。例えば、軌跡の点の数をN個とし、N個の点の座標を(xj、yj)とすると、面積Sは、下記の式(1)から求められる。
評価部42は、軌跡の左側の面積S1として、軌跡の左側の点と交点CPの座標を式(1)に代入して軌跡の左側の点と交点CPで描かれる多角形の面積を近似計算する。評価部42は、軌跡の右側の面積S2として、軌跡の右側の点と交点CPの座標を式(1)に代入して軌跡の右側の点と交点CPで描かれる多角形の面積を近似計算する。評価部42は、指標1の値として、軌跡の左側の面積S1÷軌跡の右側の面積S2を算出する。
図9は、線分L1および線分L2が中心線CLに対して左側となる部分と右側となる部分の一例を示した図である。図9の例では、線分L1および線分L2の中心線CLに対して左側となる部分に一点鎖線を付している。また、線分L1および線分L2の中心線CLに対して右側となる部分に破線を付している。例えば、A点のXY座標を(A.X,A.Y)、B点のXY座標を(B.X,B.Y)とした場合、A点とB点の線分の長さである線分長(A,B)は、以下の式(2)のように表せる。
線分長(A,B)=[(A.X−B.X)2+(A.Y−B.Y)2]1/2
・・・(2)
評価部42は、線分L1および線分L2が中心線CLに対して左側となる部分の左側線分長を、以下の式(3)から算出する。また、評価部42は、線分L1および線分L2が中心線CLに対して右側となる部分の右側線分長を、以下の式(4)から算出する。
左側線分長: 線分長(P0,交点)+線分長(P3,交点)・・・(3)
右側線分長: 線分長(P2,交点)+線分長(P1,交点)・・・(4)
評価部42は、指標2の値として、左側線分長÷右側線分長を算出する。
図10は、交点CPからの点P1と点P3の低下量の一例を示した図である。図10の例では、交点CPからの点P1の低下量となる部分に破線を付している。また、交点CPからの点P3の低下量となる部分に一点鎖線を付している。
評価部42は、交点CPからの点P1の右側低下量を、以下の式(5)から算出する。評価部42は、交点CPからの点P3の左側低下量を、以下の式(6)から算出する。
右側低下量: |交点.Y−P1.Y| ・・・(5)
左側低下量: |交点.Y−P3.Y| ・・・(6)
評価部42は、指標3の値として、左側低下量÷右側低下量を算出する。
評価部42は、1完歩の軌跡ごとに、指標1〜3を用いて、軌跡の左右のバランスを評価する。例えば、評価部42は、指標1〜3によりそれぞれバランスが左右の何れであるかを評価する。指標1〜3は、右側に対する左側の比率であるため、1未満の場合、バランスが右側に崩れており、1より大きい場合、バランスが左側に崩れていると評価できる。評価部42は、指標1〜3でバランスが左右の何れと評価されたかの多数決により、移動の左右のバランスを評価する。
ここで、歩行中の路面の変化や馬の動作により左右のバランスが変化し、軌跡も変化する。このため、指標1〜3は、それぞれ単独では左右のバランスを適切に評価できない場合がある。図11A〜図11Cは、左右のバランスを適切に評価できない一例を示した図である。図11Aの例は、指標1のみでは、値が1未満であるため、バランスが右側に崩れていると判定される。しかし、図11Aの例は、実際はバランスが左側に崩れており、指標2、指標3を用いることで正しく判定できている。図11Bの例は、指標2のみでは、値が1未満であるため、バランスが右側に崩れていると判定される。しかし、図11Bの例は、実際はバランスが左側に崩れており、指標1、指標3を用いることで正しく判定できている。図11Cの例は、指標3のみでは、値が1未満であるため、バランスが右側に崩れていると判定される。しかし、図11Cの例は、実際はバランスが左側に崩れており、指標1、指標2を用いることで正しく判定できている。このように、評価部42は、指標1〜3の評価の多数決を行うことにより、移動の左右のバランスを精度よく評価できる。
判定部43は、各種の判定を行う。例えば、判定部43は、測定データ35に基づいて、馬の歩様を判定する。例えば、判定部43は、測定データ35から、上下方向の加速度の値αと、加速度の絶対値の2乗βを求め、αとβを用いて、馬が移動する際の歩様がウォーク、トロット、キャンター、ギャロップの何れであるかを判定する。歩様の判定の詳細は、本出願人が開示した「特開2015-84943号公報」に記載されているため、詳細な説明を省略する。なお、判定部43は、別な技術を用いて歩様を判定してもよい。
図12Aは、左右のバランスの分布割合の一例を示す図である。図12Aの例は、跛行が発生していない正常な馬の複数完歩での左右のバランスの分布割合を円グラフで示している。歩行中の路面の変化や馬の動作により左右のバランスが変化する。このため、1完歩ごとに左右のバランスが変化するが、正常な馬は、複数完歩で見た場合、左右のバランスがほぼ均等になる。図12Bは、左右のバランスの分布割合の一例を示す図である。図12Bの例は、跛行が発生している馬の複数完歩での左右のバランスの分布割合を円グラフで示している。図12Bには、2つの例が示されている。馬は、肢に異常が発生した場合、異常が発生した肢に体重がかからないように肢を庇って歩く。このため、複数完歩で見た場合、左右のバランスが崩れ、庇っていない肢(異常が発生していない肢)側にバランスがあると判定される割合が多くなる。図12Bの例では、左側にバランスがあると判定される割合が多いため、馬を正面から見て右側の肢に異常が発生していると推測される。
図13は、複数完歩についての1完歩ごとの左右のバランスの評価結果の遷移の一例を示す図である。図13の例は、5分間の速歩(トロット)のトレーニングを行った際の395完歩について1完歩ごとに左右のバランスの評価結果が計測時間の順に示されている。図13の例は、1完歩ごとの評価結果に応じてパターンを変えて示している。図13の例では、トレーニングの当初、バランスが左との評価とバランスが右との評価が混在しており、異常が見られない。しかし、図13の例では、時間T1以降、バランスが左との評価が多く発生している。この結果から、時間T1以降に馬を正面から見て右側の肢に異常が発生して跛行が発生していると推測される。
候補特定部44は、評価部42により移動の際の左右のバランスを評価した結果に基づいて、問題肢の候補を特定する。例えば、候補特定部44は、評価部42により移動の際の左右のバランスを評価した結果、左右のバランスに傾きがあるか否かを判定する。例えば、候補特定部44は、左右のバランスを評価した結果の割合に所定以上の差がある場合、左右のバランスに傾きがあると判定する。例えば、候補特定部44は、左右のうち一方にバランスがあると評価された割合が、左右のうち他方にバランスがある評価された割合よりも所定(例えば、20%)以上大きい場合、一方に傾きがあると判定する。図12Bの例では、左にバランスがあると評価された割合が、右にバランスがある評価された割合よりも20%以上大きいため、左に傾きがあると判定される。なお、候補特定部44は、左右のバランスを、図12Aに示すように、全ての左右のバランスの分布割合から評価してもよい。また、候補特定部44は、図13に示す計測時間の順に並んだ1完歩ごとの左右のバランスの評価結果について、先頭から所定歩(例えば、20歩)ずつで左右のバランスの分布割合から評価してもよい。
候補特定部44は、左右のバランスに傾きがあると判定した場合、跛行が発生している問題肢の候補を特定する。候補特定部44は、右に傾いている場合、左前肢および右後肢を問題肢の候補と特定し、左に傾いている場合、右前肢および左後肢を問題肢の候補と特定する。
ここで、跛行は、ウォーク、トロットで発見しく、特に、トロットで発見しやすい。これは、馬は、キャンターやギャロップで走っている場合、走ることに集中して四肢になんらかの異常が発生していても跛行が発生し難いためである。このため、候補特定部44は、馬がウォークまたはトロットの歩様で移動する際の左右のバランスを評価した結果から、問題肢の候補を特定する。
問題肢特定部45は、候補特定部44により特定された問題肢の候補とされた肢のなかから、問題肢を特定する。
ここで、馬は、四肢になんらかの異常があり、跛行している場合、点頭運動を行う場合がある。点頭運動とは、肢に痛みを感じた時に馬が首を上下する運動である。馬は、前肢の跛行の場合、上向きに首を振る点頭運動を行う。馬は、後肢の跛行の場合、下向きに首を振る点頭運動を行う。
そこで、問題肢特定部45は、測定データ35から、問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する際に上向きの点頭運動が検出された場合、問題肢の候補とされた前肢を問題肢と特定する。また、問題肢特定部45は、問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する際に下向きの点頭運動が検出された場合、問題肢の候補とされた後肢を問題肢と特定する。問題肢特定部45は、問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する間の測定データ35に、上方向または下方向に点頭運動と見なせる所定以上の加速度が発生しているか判定する。問題肢特定部45は、上方向に所定以上の加速度が発生している場合、上方向の点頭運動が発生したと判定し、下方向に所定以上の加速度が発生している場合、下方向の点頭運動が発生したと判定する。なお、問題肢特定部45は、点頭運動を、上方向または下方向の移動速度から検出してもよい。例えば、問題肢特定部45は、上方向に点頭運動と見なせる所定以上の移動速度が発生している場合、上方向の点頭運動が発生したと判定し、下方向に点頭運動と見なせる所定以上の移動速度が発生している場合、下方向の点頭運動が発生したと判定してもよい。
問題肢特定部45は、上向きの点頭運動が検出された場合、問題肢の候補とされた前肢を問題肢と特定し、下向きの点頭運動が検出された場合、問題肢の候補とされた後肢を問題肢と特定する。
また、馬は、後肢になんらかの異常があり、跛行している場合、トロットの歩様とウォークの歩様で左右のバランスが反転する場合がある。一方、馬は、前肢になんらかの異常があり、跛行している場合、トロットの歩様とウォークの歩様で左右のバランスが反転しない。
そこで、問題肢特定部45は、評価データ36のトロットの歩様とウォークの歩様について、それぞれ左右の何れかに偏っているか評価する。例えば、問題肢特定部45は、候補特定部44によりトロットの歩様で左右のバランスに傾きがあると判定され、点頭運動が検出されない場合、ウォークの歩様の左右のバランスを評価した結果の割合に所定以上の差があるか判定する。問題肢特定部45は、バランスを評価した結果の割合に所定以上の差がある場合、左右のバランスに傾きがあると判定する。問題肢特定部45は、トロットの歩様とウォークの歩様で左右のバランスが反転している場合、問題肢の候補とされた後肢を問題肢と特定する。また、問題肢特定部45は、トロットの歩様とウォークの歩様で左右のバランスが反転していない場合、問題肢の候補とされた前肢を問題肢と特定する。
ところで、馬は、跛行が発生すると、ウォーク、トロットの歩様で移動する際の非対称の動作波形が表れる。このため、馬がウォーク、トロットの歩様で移動する際の動作波形から問題肢を求めることができる。例えば、候補特定部44は、左右のバランスに傾きがなく、候補特定部44により問題肢の候補を特定できていない場合、測定データ35に基づいて、馬がトロットの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向、前後方向の何れかの動作波形を求める。例えば、候補特定部44は、測定データ35に記憶された3軸方向の加速度および3軸の角速度から、上下方向の加速度、左右方向の加速度、前後方向の加速度を求める。また、評価部42は、測定データ35に記憶された3軸方向の加速度および3軸の角速度から、ヨー軸方向の加速度を求める。候補特定部44は、馬がトロットの歩様で移動する際の上下方向の加速度、左右方向の加速度、ヨー軸方向の加速度、前後方向の加速度の変化を示す動作波形を求める。また、候補特定部44は、馬がトロットの歩様で移動する際の上下方向の加速度、左右方向の加速度、ヨー軸方向の加速度、前後方向の加速度から、上下方向の速度、左右方向の速度、ヨー軸方向の速度、前後方向の速度の変化を示す動作波形を求める。
図14は、馬に対する方向を示す図である。馬の胸前に計測装置11が装着される。本実施例では、図14に示すように、馬に対して上方向を上下方向のプラスとし、馬に対して下方向を上下方向のマイナスとする。また、本実施例では、馬の進行方向に対して右方向を左右方向のプラスとし、馬の進行方向に対して左方向を左右方向のマイナスとする。また、本実施例では、馬の上下方向の上向きの軸に対して右回り方向をヨー軸方向のプラスとし、馬の上下方向の上向きの軸に対して左回り方向をヨー軸方向のマイナスとする。
図15は、馬が移動する際の四肢の位置関係を模式的に示した図である。図15には、(1)ウォーク(walk)、(2)トロット(trot)の馬の四肢の位置関係を示している。図15では、図中左側に各歩様の馬の四肢の位置関係を模式的に示し、各歩様の「1」〜「8」で示す期間における各肢(右前(肢)、左前(肢)、右後(肢)、左後(肢))の接地の有無をそれぞれの模式図の右隣に示す。なお、図15では、トロットにおいて、「1」や「4」に示す期間では四肢とも接地しているように見えるが、実際のデータを詳細に確認すると、これらの期間では肢の切り替えが素早く行われており、馬体が宙に浮いている時間が存在する。
馬は、トロットの時、図15の(2)に示すように、斜体歩となり、右前肢と左後肢、左前肢と右後肢を対で動かす。
図16は、トロットで移動する際の馬の動きを示した図である。図16に示すように馬の胸前に計測装置11を装着した場合、馬の前肢遊脚を前に出すタイミングで、ヨー軸の角速度は、符号が反転する。また、支持脚となる左前肢に体重をかけるため、胸の位置は、左右方向のマイナス方向に加速する。また、前肢支持脚に体重を乗せ身体を上に跳ね上げるため、上下加速度が、プラスの符号の波形となる。また、前肢支持脚の着地タイミングで、馬の上下加速度は、符号がプラスに反転する。
図17は、トロットで移動する際の上下方向の加速度、左右方向の加速度、ヨー軸方向の加速度の変化を示す動作波形の一例を示す図である。馬は、トロットの場合、遊脚を前に出すと同時に支持脚に体重をかけ(一旦、身体が沈み込む)、次に身体を上に跳ね上げる。このとき、馬体は支持脚側に傾く。このため、上下方向の加速度、左右方向の加速度、ヨー軸方向の加速度は、図17に示す動作波形を描く。
馬は、跛行が発生すると、跛行が発生している肢を庇うため、左右のバランスが崩れる傾向がある。例えば、馬は、遊脚が痛いと肢の出る速度が下がる。このため、加速度や速度の振幅が小さくなる。また、馬は、支持脚が痛いと早く遊脚を着地させようとする。このため、加速度や速度の波長が短くなる。これにより、例えば、ヨー軸の角速度や加速度の動作波形が非対称となる。また、馬は、支持脚が痛いと体重をかけないようにする。このため、痛くない側を支持脚にした場合と痛い側を支持脚にした場合で、上下方向の速度や加速度の動作波形、左右方向の速度や加速度の動作波形、ヨー軸方向の角速度や加速度が非対称となる。
このため、移動する際の動作波形から問題肢を求めることができる。例えば、上述のように、馬は、トロットの時、斜体歩となり、右前肢と左後肢、左前肢と右後肢を対で動かす。このため、例えば、馬は、跛行が発生すると、トロットの時の動作波形に左右非対称が規則的に表れる。動作波形に非対称が規則的に表れた場合、問題肢は、右前肢と左後肢、または、左前肢と右後肢と候補が絞られる。
そこで、候補特定部44は、評価部42により移動の際の左右のバランスを評価した結果、左右のバランスに傾きが無い場合、馬がトロットの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向の何れかの動作波形の対称性から跛行の有無を判定する。例えば、動作波形の対称性は、波形の振幅(ピーク値)で評価してもよく、波形の波長で評価してもよく、波形の面積で評価してもよい。
図18Aは、跛行が発生している場合の上下方向の加速度の動作波形の一例を示す図である。馬は、跛行が発生すると、跛行が発生している肢を庇うため、跛行が発生している肢を動かす際の動作波形が小さくなる。このため、図18Aに示すように、上下方向の加速度の動作波形には、高い山と低い山のリズムが繰り返し現れる。図18Bは、跛行が発生している場合の上下方向の加速度の動作波形とヨー軸方向の角速度の動作波形の一例を示す図である。図18Bは、図18Aに示した上下方向の加速度の動作波形に、ヨー軸方向の角速度の動作波形を重ねたものである。馬は、右前肢を前に出した場合、ヨー軸方向の角速度がプラス側へ回転し、左前肢を前に出した場合、ヨー軸方向の角速度がマイナス側へ回転する。このことから、ヨー軸方向の角速度により、上下方向に小さい動作波形が発生した際の右前肢、左前肢のどちらを出しているか判別できる。候補特定部44は、上下方向に所定割合(例えば、80%)以上小さい動作波形が発生した際にヨー軸方向に右回転(図18Bのヨー軸方向のプラス側に回転)している場合、左前肢と右後肢を問題肢の候補と特定する。また、候補特定部44は、上下方向に所定割合以上小さい動作波形が発生した際にヨー軸方向に左回転(図18Bのヨー軸方向のプラス側に回転)している場合、右前肢と左後肢を問題肢の候補と特定する。なお、問題肢の候補は、複数歩での評価から特定してもよい。例えば、候補特定部44は、複数歩で所定割合(例えば、80%)以上同じ肢が候補とされる場合に、問題肢の候補と特定してもよい。
問題肢特定部45は、トロットの歩様で問題肢の候補が特定された場合、測定データ35からウォークの歩様時のデータを読み出し、馬がウォークの歩様で移動する際の動作波形を求める。例えば、問題肢特定部45は、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向の何れかの動作波形を求める。そして、問題肢特定部45は、ウォークの歩様での動作波形の対称性から問題肢を特定する。例えば、問題肢特定部45は、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向の何れかの動作波形を求める。問題肢特定部45は、求めた動作波形に非対称の動作波形が表れるか判定する。例えば、動作波形の対称性は、波形の振幅で評価してもよく、波形の波長で評価してもよく、波形の面積で評価してもよい。非対称の動作波形が表れた場合、問題肢特定部45は、非対称となる乱れが問題肢の候補と特定された何れかの肢が連動するか判定する。問題肢特定部45は、乱れが問題肢の候補と特定された何れかの肢が連動する場合、連動する肢を問題肢と特定する。
図19Aは、跛行が発生している場合の動作波形の一例を示す図である。図19Aには、右前肢、左前肢の離地、着地のタイミングが示されている。ウォークでの馬の各肢の離地、着地のタイミングの求め方は、後述する。図19Aの例では、左右方向の加速度が非対称となっており、右側(図19Aのプラス側)よりも左側(図19Aのマイナス側)の動作波形が大きく、右前肢の離地中に馬体が左に傾いている。この場合、右前肢の離地、もしくは、右後肢の着地のタイミングに馬が痛みを感じている。
問題肢特定部45は、左右方向の加速度の動作波形で左側に大きい動作波形が発生した場合、右前肢の離地、もしくは右後肢の着地タイミングにて馬が痛みを感じていると一次判定する。また、問題肢特定部45は、左右方向の加速度の動作波形で右側に大きい動作波形が発生した場合、左前肢の離地、もしくは左後肢の着地タイミングにて馬が痛みを感じていると一次判定する。図19Aの例では、左前肢と右後肢が問題肢の候補と一次判定される。
問題肢特定部45は、図19Aの例では、上下方向の加速度の動作波形から右後肢の着地後の沈み込み(マイナス方向の加速度)が直前の浮き上がり(プラス方向の加速度)や1歩前の沈み込みと比較して振幅が小さく、波形も短い。このことにより、着地時に痛みがあり、荷重を回避する動きがあったと判断する。
図19Bは、跛行が発生している場合の動作波形の他の一例を示す図である。図19Bには、右前肢、左前肢の離地、着地のタイミングが示されている。図19Bの例では、右前肢の離地から着地までの間(以下振出中と記載)と、左前肢の振出中の時間が異なる。また、右前肢振出中におけるヨー軸の角速度のピークが左前肢振出中のピークと比較して小さい。このことから、図19Bの例は「右肢が前に出にくい状態」である。「右肢が前に出にくい状態」には、振り出している右前肢そのものに問題があるケースと、右前肢を上げることで荷重がかかるその他の肢に問題があるケースが考えられるが、上下加速度成分、左右加速度成分に非対称性が見られない。このことから、図19Bの例は、右前肢跛行(離地時に痛みあり)と判断する。
問題肢特定部45は、右前肢振出中におけるヨー軸の角速度のピークが左前肢振出中のピークと比較して小さい場合、「右肢が前に出にくい状態」であると判定する。そして、問題肢特定部45は、上下加速度成分、左右加速度成分に非対称性が見られない場合、右前肢を問題肢と特定する。また、問題肢特定部45は、左前肢振出中におけるヨー軸の角速度のピークが右前肢振出中のピークと比較して小さい場合、「左肢が前に出にくい状態」であると判定する。そして、問題肢特定部45は、上下加速度成分、左右加速度成分に非対称性が見られない場合、左前肢を問題肢と特定する。
また、馬がウォークの歩様で移動する際の動作波形から問題肢を求めることができる。馬は、ウォークの時、図15の(1)に示すように、各肢を別に動かす。
図20は、ウォークで移動する際の馬の動きを示した図である。図20に示すように馬の胸前に計測装置11を装着した場合、馬の前肢を前に出すタイミングで、ヨー軸の角速度は、符号が反転する。例えば、左前肢を前に出すタイミングで、ヨー軸の角速度は、マイナスに反転する。また、前肢を着地したタイミングで、着地した肢に体重を乗せ身体を上に伸び上がる動きをするため、上下方向の加速度は、プラスに反転する。また、左前肢を前に出すタイミングで、胸の位置は、左右方向のプラス方向に加速する。
図21は、ウォークで移動する際の上下方向の加速度、左右方向の加速度、ヨー軸方向の加速度の変化を示す動作波形の一例を示す図である。馬は、前肢を前に出すタイミングで、ヨー軸の角速度の符号が反転し、ヨー軸方向の加速度が左回転方向に増加する場合は右前肢を前に出し、ヨー軸方向の加速度が右回転方向に増加する場合は左前肢を前に出している。また、馬は、前肢を着地したタイミングで、着地した肢に体重を乗せ身体を上に伸び上がる動きをするため、上下方向の加速度が負から正に反転し、上下方向の加速度がプラス符号の波形となる。また、馬は、右前肢を着地したタイミングでヨー軸方向が左回転し、左前肢を着地したタイミングでヨー軸方向が右回転する。また、馬は、左右の前肢の離地タイミングの半分の位置に左右の後肢の離地のタイミングがある。また、馬は、左右の前肢の着地タイミングの半分の位置に左右の後肢の着地のタイミングがある。
判別部46は、馬がウォークの歩様で移動する際の動作波形から、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する。例えば、判別部46は、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、ヨー軸方向の動作波形から、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する。例えば、判別部46は、ヨー軸方向の加速度の正負が反転した時点を、当該時点からヨー軸方向の加速度が左回転方向に増加すると右前肢の離地のタイミング、当該時点からヨー軸方向の加速度が右回転方向に増加すると左前肢の離地のタイミングと判別する。また、例えば、判別部46は、上下方向の加速度が負から正に反転した時点を、当該時点でヨー軸方向が左回転方向であると右前肢の着地のタイミング、当該時点でヨー軸方向が右回転方向であると左前肢の着地のタイミングと判別する。また、例えば、判別部46は、右前肢の離地のタイミングと左前肢の離地のタイミングの中間を左後肢の離地のタイミングと判別する。判別部46は、左前肢の離地のタイミングと右前肢の離地のタイミングの中間を右後肢の離地のタイミングと判別する。判別部46は、右前肢の着地のタイミングと左前肢の着地のタイミングの中間を左後肢の着地のタイミングと判別する。判別部46は、左前肢の着地のタイミングと右前肢の着地のタイミングの中間を右後肢の着地のタイミングと判別する。図21には、上側に各肢(右前(肢)、左前(肢)、右後(肢)、左後(肢))の離地タイミングが示さ、下側に各肢の着地タイミングが示されている。
問題肢特定部45は、判別部46により判別された馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングに基づいて、動作波形の乱れと連動する肢を特定する。例えば、問題肢特定部45は、左右方向、前後方向、上下方向、ヨー軸方向の少なくともいずれか1つの動作波形に基づいて、異常がある肢を特定する。
図22は、跛行が発生している場合の動作波形の一例を示す図である。図22の例では、ヨー軸方向の角速度が負の値を取る時、すなわち左前肢が遊脚の場合に回転速度に鈍りが発生し、2峰波形となっている。2峰波形の発生のタイミングは、左前肢が遊脚となってから右前肢に遊脚が変わる中間地点、すなわち右後肢を動かすタイミングである。
また、図22の例では、ヨー軸方向の角速度が正の値を取るピーク波形が左に傾いて尖った波形となっている。これは、痛い右後肢で右側に支えているので、早く右前肢を着地し、右後肢の痛みを回避したい行動である。また、1周期の動作波形の半波長に着目した時、正の値を取る波形の期間が負の値を取る波形の期間より短い。これも、痛い右後肢の動作をゆっくり行っていることを表しており、右後肢の痛みを回避したい行動である。
問題肢特定部45は、2峰波形が発生した場合、2峰波形の発生タイミングに対応する肢を異常がある肢と特定する。図22の例では、例えば、問題肢特定部45は、左前肢が遊脚となってから右前肢に遊脚が変わる中間地点、すなわち右後肢を動かすタイミングに2峰波形が発生しているため、右後肢を異常がある肢と特定する。
また、問題肢特定部45は、左に傾いた尖ったピーク波形が発生した場合、ピーク波形の発生タイミングに対応する肢を異常がある肢と特定する。また、問題肢特定部45は、1周期の動作波形の正の値を取る波形の期間と負の値を取る波形の期間に所定の割合(例えば、85%)以上の差がある場合、波形の期間に対応する肢を異常がある肢と特定する。
図23は、跛行を発生していない正常な状態の動作波形の一例を示す図である。跛行を発生していない場合、前後方向の加速度は、上下方向の加速度と同じ周波数の波形となる。これは、馬が前肢着地を起点に身体を上方向および前方に伸ばして前に進むことを表してしている。前後方向の加速度の波形は、上下方向の加速度の波形と位相差を持つ。これは、着地タイミングである上下方向の加速度が正から負へ変わる点が、正確には着地後、支持脚肢の、所謂「つなぎ」に体重をかけて沈み込んだ点を表すからである。一方、前後方向の加速度は、遊肢の動きと連動して前方向へ加速を始めるためである。図24は、歩行中の馬の着地の流れを示す図である。図24に示すように、馬は、着地すると所謂「つなぎ」に体重をかけて沈み込んだ状態となる。この、上下方向の加速度は、負から正へ変化する0時点となる。なお、肢運びのタイミングにより、上下方向への加速と前方方向への加速が同時に始まるケースもある。図23の動作波形は一例である。
図25は、跛行が発生している場合の動作波形の一例を示す図である。図25の例では、前後方向の加速度の波形は、上下方向の加速度の波形と同期している。また、図25の例では、前肢の着地におけるヨー軸方向の角速度が正の値を取る時、すなわち、左前肢が支持脚の場合に前後方向の加速度の波形の面積が小さくなっている。これは、痛い右後肢を庇うために、右前肢の遊脚を早く着地させる動きを優先させた結果であり、前後方向の加速度の波形が左右の期間で非対称となっている。
問題肢特定部45は、前後方向の加速度の波形の面積に所定の割合(例えば、85%)以上の差がある場合、小さい面積の波形の期間に対応する肢を問題肢と特定する。
また、問題肢特定部45は、理想的な波形と実際の波形を比較した乖離度から、問題肢を特定してもよい。例えば、問題肢特定部45は、左右方向、前後方向、上下方向、ヨー軸方向の少なくともいずれか1つの動作波形について、理想的な波形と実際の波形を比較した乖離度から、問題肢を特定してもよい。
図26は、動作波形の一例を示す図である。図26は、ヨー軸方向の角速度の理想的な波形と実際の波形を重ねた結果の一例を示している。理想的な波形は、例えば、次のようにする。
波長=比較対象とする実際の波形の上側の半波長+実際の波形の下側の半波長
振幅=比較対象とする実際の波形の上側、下側の振幅の大きい方の値
周波数=1/波長
経過時刻=半波長の短い方の波形の開始時刻を開始点とした経過時刻
理想値=振幅×sin(2π×周波数×経過時刻)
痛みが発生した肢は、ゆっくりとした動作になるため、半波長が長い。痛くない半波長の短い方の波形から理想値の波形を描くことで、理想値との乖離ポイントを検知できる。
問題肢特定部45は、理想的な波形を求め、実際の波形が理想的な波形から所定の割合(例えば、85%)以上乖離している期間に離地および着地のタイミングが対応する肢を問題肢と特定してもよい。問題肢特定部45は、理想値と実際の波形を比較して所定割合以離れている乖離ポイントを特定する。なお、問題肢特定部45は、理想値と実際の波形のピーク値が所定割合以離れている点を乖離ポイントと特定してもよい。
図27は、問題肢の特定を説明する図である。図27には、前後方向の加速度の動作波形、上下方向の加速度の動作波形、ヨー軸方向の角速度の動作波形が示されている。また、図27には、ヨー軸の理想的な動作波形が示されている。また、図27には、四肢それぞれに対応して、ギザギザの山型の波形で四肢それぞれの離地、着地の時点との時間差が示されている。波形RF_Tは、右前肢の離地タイミングとの時間差を示している。波形RH_Tは、右後肢の離地タイミングとの時間差を示している。波形LF_Tは、左前肢の離地タイミングとの時間差を示している。波形LH_Tは、左後肢の離地タイミングとの時間差を示している。波形RF_Lは、右前肢の着地タイミングとの時間差を示している。波形RH_Lは、右後肢の着地タイミングとの時間差を示している。波形LF_Lは、左前肢の着地タイミングとの時間差を示している。波形LH_Lは、左後肢の着地タイミングとの時間差を示している。波形RF_T、RH_T、LF_T、LH_Tは、それそれぞれがゼロとなる時点が四肢それぞれの離地のタイミングである。波形RF_L、RH_L、LF_L、LH_Lは、それそれぞれがゼロとなる時点が四肢それぞれの着地のタイミングである。ここで、右後肢の着地のタイミングt1では、ヨー軸方向の角速度の実際の動作波形と理想的な動作波形に乖離が発生し、問題が発生している。このタイミングt1の直前でヨー軸方向の角速度の実際の動作波形と理想的な動作波形に乖離が無くなるタイミングt2が問題の発生時点となる。図27の例では、問題発生時点と四肢の離地、着地のタイミングに一致する点は存在しない。この場合、問題肢特定部45は、問題発生時点に対応する肢を異常がある肢と特定する。例えば、問題肢特定部45は、問題発生時点と四肢の離着時点との時間差から、どの肢をどう動かしたときに痛みが発生するのかを特定する。図27の例は、ヨー軸方向の角速度の実際の動作波形と理想的な動作波形の差分が大きくなる方向において、最も近い事象は、右後肢の離地である。このことから、該当事象の直前、すなわち、右後肢を地面から持ち上げるために肢の筋肉を動かした時点で痛みが発生し、関節を曲げる動作に合わせて痛みが大きくなっていると推測される。このように、問題発生時点と四肢の離着時点との時間差から、どの肢をどう動かしたときに痛みが発生するのかを特定できる。例えば、問題肢特定部45は、実際の動作波形と理想的な動作波形に乖離が発生している場合、直前で乖離が無くなる問題発生時点(タイミングt2)を特定し、問題発生時点に最も近いタイミングで離地または着地した肢を問題肢と特定してもよい。図27の例では、タイミングt2で最もゼロに近いのは、右後肢の離地の波形RH_Tであることから、右後肢が問題肢と特定される。
出力部47は、問題肢の特定結果について各種の出力を行う。例えば、出力部47は、問題肢が特定された場合、特定された肢の名称を表示した画面を表示部31に出力する。また、出力部47は、問題肢が2択で特定された場合、2択とされた肢の名称を表示した画面を表示部31に出力する。また、出力部47は、問題肢が特定されなかった場合、問題肢が無い旨を表示した画面を表示部31に出力する。
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る推定装置12が、跛行の原因となる問題肢を推定する推定処理の流れについて説明する。図28A〜図28Cは、推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。この推定処理は、所定のタイミング、例えば、入力部32から処理開始の指示を受け付けたタイミングで実行される。
図28Aに示すように、評価部42は、測定データ35に基づいて、1完歩ごとに馬の移動の左右のバランスを評価する(S10)。例えば、評価部42は、測定データ35を読み出し、測定データ35から平面上での馬の胸前の位置の軌跡を求める。そして、評価部42は、軌跡から胸前の位置の軌跡で左側の極大点となる点P0、右側の極小点となる点P1、右側の極大点となる点P2、左側の極小点となる点P3を順に求め、1完歩ごとに、軌跡の左右のバランスを評価する。
判定部43は、測定データ35から、1完歩ごとに、上下方向の加速度の値αと、加速度の絶対値の2乗βを求め、αとβを用いて、馬が移動する際の歩様を判定する(S11)。なお、判定部43は、測定データ35の複数完歩ごとに馬が移動する際の歩様を判定してもよい。また、判定部43は、測定データ35の所定期間ごとのデータから馬が移動する際の歩様を判定してもよい。
候補特定部44は、問題肢を未定に初期化する(S12)。判定部43は、判定された歩様にトロットがあるか否かを判定する(S13)。判定された歩様にトロットがない場合(S13否定)、後述する図28CのS100へ移行する。
一方、判定された歩様にトロットがある場合(S13肯定)、候補特定部44は、評価部42により移動の際の左右のバランスを評価した結果、トロットでの左右のバランスが正常であるか判定する(S14)。候補特定部44は、トロットでの左右のバランスに傾きが無い場合、左右のバランスが正常であると判定する。左右のバランスが正常である場合(S14肯定)、後述するS40へ移行する。
一方、トロットでの左右のバランスが正常ではない場合(S14否定)、候補特定部44は、左右のバランスが右に傾いているか判定する(S15)。左右のバランスが右に傾いていない場合(S15否定)、候補特定部44は、右前肢および左後肢を問題肢の候補と特定する(S16)。
問題肢特定部45は、測定データ35から問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する際に点頭運動が検出されたか否かを判定する(S17)。点頭運動が検出された場合(S17肯定)、問題肢特定部45は、上向きの点頭運動が検出されたか否かを判定する(S18)。上向きの点頭運動が検出された場合(S18肯定)、問題肢特定部45は、右前肢を問題肢と特定する(S19)。一方、上向きの点頭運動が検出されない場合(S18否定)、問題肢特定部45は、左後肢を問題肢と特定する(S20)。そして、後述するS40へ移行する。
一方、点頭運動が検出されない場合(S17否定)、候補特定部44は、測定データ35からウォークの歩様のデータを抽出する(S21)。候補特定部44は、ウォークの歩様での左右のバランスが正常であるか判定する(S22)。左右のバランスが正常である場合(S22肯定)、後述するS40へ移行する。
一方、左右のバランスが正常ではない場合(S22否定)、トロットとウォークで左右のバランスが反転しているか判定する(S23)。反転している場合(S23肯定)、問題肢特定部45は、左後肢を問題肢と特定する(S24)。一方、反転していない場合(S23否定)、問題肢特定部45は、右前肢を問題肢と特定する(S25)。そして、後述するS40へ移行する。
一方、左右のバランスが右に傾いている場合(S15肯定)、図28Bに示すように、候補特定部44は、左前肢および右後肢を問題肢の候補と特定する(S30)。
問題肢特定部45は、測定データ35から問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する際に点頭運動が検出されたか否かを判定する(S31)。点頭運動が検出された場合(S31肯定)、問題肢特定部45は、上向きの点頭運動が検出されたか否かを判定する(S32)。上向きの点頭運動が検出された場合(S32肯定)、問題肢特定部45は、左前肢を問題肢と特定する(S33)。一方、上向きの点頭運動が検出されない場合(S32否定)、問題肢特定部45は、右後肢を問題肢と特定する(S34)。そして、後述するS40へ移行する。
一方、点頭運動が検出されない場合(S31否定)、候補特定部44は、測定データ35からウォークの歩様のデータを抽出する(S35)。候補特定部44は、ウォークの歩様での左右のバランスが正常であるか判定する(S36)。左右のバランスが正常である場合(S36肯定)、後述するS40へ移行する。
一方、左右のバランスが正常ではない場合(S36否定)、トロットとウォークで左右のバランスが反転しているか判定する(S37)。反転している場合(S37肯定)、問題肢特定部45は、右後肢を問題肢と特定する(S38)。一方、反転していない場合(S37否定)、問題肢特定部45は、左前肢を問題肢と特定する(S39)。そして、後述するS40へ移行する。
図28Aに示すように、問題肢特定部45は、第1波形解析処理を実行する(S40)。
図29は、第1波形解析処理の手順の一例を示すフローチャートである。この第1波形解析処理は、推定処理のS40から実行される。
図29に示すように、問題肢特定部45は、問題肢が未定であるか判定する(S50)。問題肢がまだ特定されていない場合、問題肢が未定と判定する。問題肢が特定されており、問題肢が未定ではない場合(S50否定)、後述するS56へ移行する。
一方、問題肢が未定である場合(S50肯定)、候補特定部44は、測定データ35に基づいて、馬がトロットの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向、前後方向の何れかの動作波形を求め、動作波形に非対称が規則的に表れるか判定する(S51)。動作波形に非対称が規則的に表れない場合(S51否定)、問題肢特定部45は、問題肢をなしと特定し(S52)、推定処理のS41へ移行する。
一方、動作波形に非対称が規則的に表れる場合(S51肯定)、候補特定部44は、庇っている肢を出すタイミングでヨー軸が右回転であるか判定する(S53)。ここで、例えば、馬は、跛行が発生すると、跛行が発生している肢を庇うため、跛行が発生している肢を動かす際の上下方向の加速度の動作波形が小さくなる。例えば、候補特定部44は、上下方向に所定割合以上小さい動作波形が発生したタイミングでヨー軸が右回転であるか判定する。ヨー軸が右回転している場合(S53肯定)、候補特定部44は、左前肢と右後肢を問題肢の候補と特定する(S54)。一方、ヨー軸が左回転しており、右回転していない場合(S53否定)、候補特定部44は、右前肢と左後肢を問題肢の候補と特定する(S55)。
問題肢特定部45は、問題肢が、問題肢の候補として2択の状態であるか判定する(S56)。既に問題肢が特定され、2択の状態ではない場合(S56否定)、推定処理のS41へ移行する。
一方、2択の状態である場合(S56肯定)、問題肢特定部45は、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向の何れかの動作波形を求め、動作波形に非対称の動作波形が規則的に表れるか判定する(S57)。非対称の動作波形が規則的に表れない場合(S57否定)、問題肢特定部45は、問題肢を2択の状態と特定し(S58)、推定処理のS41へ移行する。
一方、非対称の動作波形が規則的に表れる場合(S57肯定)、問題肢特定部45は、非対称の乱れが前肢の移動と連動するか判定する(S59)。非対称の乱れが前肢の移動と連動する場合(S59肯定)、問題肢特定部45は、問題肢の候補のうちの前肢を問題肢と特定し(S60)、推定処理のS41へ移行する。
一方、非対称の乱れが前肢の移動と連動しない場合(S59否定)、問題肢特定部45は、問題肢の候補のうちの後肢を問題肢と特定し(S61)、推定処理のS41へ移行する。
図28Aに戻り、出力部47は、特定された問題肢を出力し(S41)、処理を終了する。例えば、出力部47は、問題肢が特定された場合、特定された肢の名称を表示した画面を表示部31に出力する。また、出力部47は、問題肢が2択で特定された場合、2択とされた肢の名称を表示した画面を表示部31に出力する。また、出力部47は、問題肢が特定されなかった場合、問題肢が無い旨を表示した画面を表示部31に出力する。
一方、判定された歩様にトロットがない場合(S13否定)、図28Cに示すように、判定部43は、判定された歩様にウォークがあるか否かを判定する(S100)。判定された歩様にウォークがない場合(S100否定)、後述するS121へ移行する。
一方、判定された歩様にウォークがある場合(S100肯定)、候補特定部44は、評価部42により移動の際の左右のバランスを評価した結果、ウォークでの左右のバランスが正常であるか判定する(S101)。候補特定部44は、ウォークでの左右のバランスに傾きが無い場合、左右のバランスが正常であると判定する。左右のバランスが正常である場合(S101肯定)、後述するS120へ移行する。
一方、ウォークでの左右のバランスが正常ではない場合(S101否定)、候補特定部44は、左右のバランスが右に傾いているか判定する(S102)。左右のバランスが右に傾いていない場合(S102否定)、候補特定部44は、右前肢および左後肢を問題肢の候補と特定する(S103)。
問題肢特定部45は、測定データ35から問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する際に点頭運動が検出されたか否かを判定する(S104)。点頭運動が検出された場合(S104肯定)、問題肢特定部45は、上向きの点頭運動が検出されたか否かを判定する(S105)。上向きの点頭運動が検出された場合(S105肯定)、問題肢特定部45は、右前肢を問題肢と特定する(S106)。一方、上向きの点頭運動が検出されない場合(S105否定)、問題肢特定部45は、左後肢を問題肢と特定する(S107)。そして、後述するS120へ移行する。また、点頭運動が検出されない場合(S104否定)、後述するS120へ移行する。
一方、左右のバランスが右に傾いている場合(S102肯定)、候補特定部44は、左前肢および右後肢を問題肢の候補と特定する(S108)。
問題肢特定部45は、測定データ35から問題肢の候補とされた前肢および後肢を移動する際に点頭運動が検出されたか否かを判定する(S109)。点頭運動が検出された場合(S109肯定)、問題肢特定部45は、上向きの点頭運動が検出されたか否かを判定する(S110)。上向きの点頭運動が検出された場合(S110肯定)、問題肢特定部45は、左前肢を問題肢と特定する(S111)。一方、上向きの点頭運動が検出されない場合(S110否定)、問題肢特定部45は、右後肢を問題肢と特定する(S112)。そして、後述するS120へ移行する。また、点頭運動が検出されない場合(S109否定)、後述するS120へ移行する。
問題肢特定部45は、第2波形解析処理を実行する(S120)。
図30は、第2波形解析処理の手順の一例を示すフローチャートである。この第2波形解析処理は、推定処理のS120から実行される。
図30に示すように、問題肢特定部45は、問題肢が未定であるか判定する(S150)。問題肢がまだ特定されていない場合、問題肢が未定と判定する。問題肢が特定されており、問題肢が未定ではない場合(S150否定)、推定処理のS121へ移行する。
一方、問題肢が未定である場合(S150肯定)、判別部46は、馬がウォークの歩様で移動する際の動作波形から、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する(S151)。例えば、判別部46は、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、ヨー軸方向の動作波形を求め、上下方向、ヨー軸方向の動作波形から馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する。
候補特定部44は、測定データ35に基づいて、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、左右方向、ヨー軸方向、前後方向の何れかの動作波形を求め、動作波形に非対称が規則的に表れるか判定する(S152)。動作波形に非対称が規則的に表れない場合(S152否定)、問題肢特定部45は、問題肢をなしと特定し(S153)、推定処理のS121へ移行する。
一方、動作波形に非対称が規則的に表れる場合(S152肯定)、問題肢特定部45は、判別部46により判別された馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングに基づいて動作波形の乱れと連動する問題肢を特定し(S154)、推定処理のS121へ移行する。
図28Cに戻り、出力部47は、特定された問題肢を出力し(S121)、処理を終了する。例えば、出力部47は、問題肢が特定された場合、特定された肢の名称を表示した画面を表示部31に出力する。また、出力部47は、問題肢が2択で特定された場合、2択とされた肢の名称を表示した画面を表示部31に出力する。また、出力部47は、問題肢が特定されなかった場合、問題肢が無い旨を表示した画面を表示部31に出力する。
[効果]
上述してきたように、本実施例に係る推定装置12は、馬に装着されたモーションセンサの測定データ24に基づいて、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する。推定装置12は、判別された馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングに基づいて、動作波形の乱れと連動する肢を特定する。これにより、推定装置12は、馬に対して負担が少ない状態で跛行の原因となる問題肢を推定できる。
また、本実施例に係る推定装置12は、測定データ24に基づいて、前記動物の歩様を判定する。推定装置12は、馬がウォークの歩様で移動する際の動作波形から、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する。ここで、生産・育成牧場で導入されている馬の運動は、ウォークが基本である。推定装置12は、ウォークの動作波形からで跛行の原因となる問題肢を推定できることにより、意図的に跛行を発見しやすいトロットが調教メニューに組み込まれていなくても、問題肢を推定できる。また、多くの牧場で導入されているウォーキングマシンによる馬の運動は、無人で行われる。ウォーキングマシンによる運動時の歩様は、ウォークのみである。推定装置12は、ウォークの動作波形からで跛行の原因となる問題肢を推定できることにより、例えば、ウォーキングマシンによる運動中の異常歩様を検知することができる。
また、本実施例に係る推定装置12は、馬がウォークの歩様で移動する際の上下方向、ヨー軸方向の動作波形から、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別する。評価装置12は、左右方向、前後方向、上下方向、ヨー軸方向の少なくともいずれか1つの動作波形に基づいて、異常がある肢を特定する。これにより、推定装置12は、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを判別でき、跛行の原因となる問題肢を精度良く推定できる。
また、本実施例に係る推定装置12は、ヨー軸方向の加速度の正負が反転した時点を、当該時点からヨー軸方向の加速度が左回転方向に増加する場合は右前肢の離地のタイミング、当該時点からヨー軸方向の加速度が右回転方向に増加する場合は左前肢の離地のタイミングと判別する。また、推定装置12は、上下方向の加速度の負から正に反転した時点を、当該時点でヨー軸方向が左回転方向である場合は右前肢の着地のタイミング、当該時点でヨー軸方向が右回転方向である場合は左前肢の着地のタイミングと判別する。また、評価装置12は、右前肢の離地のタイミングと左前肢の離地のタイミングの中間を左後肢の離地のタイミングと判別する。また、評価装置12は、左前肢の離地のタイミングと右前肢の離地のタイミングの中間を右後肢の離地のタイミングと判別する。また、評価装置12は、右前肢の着地のタイミングと左前肢の着地のタイミングの中間を左後肢の着地のタイミングと判別する。また、評価装置12は、左前肢の着地のタイミングと右前肢の着地のタイミングの中間を右後肢の着地のタイミングと判別する。これにより、評価装置12は、馬の四肢それぞれの離地および着地のタイミングを求めることができる。
また、本実施例に係る推定装置12は、左右方向の動作波形でピークが大きい波形に離地のタイミングおよび着地のタイミングがある肢のうち、前後方向の動作波形が小さい肢を異常がある肢と特定する。これにより、推定装置12は、問題肢を精度良く推定できる。
また、本実施例に係る推定装置12は、理想的な動作波形に対して実際の動作波形が所定の割合以上乖離している期間に離地および着地のタイミングが対応する肢を問題肢と特定する。これにより、推定装置12は、問題肢を精度良く推定できる。