発明の詳細な説明
本発明の一実施形態は、ヒトTGに対する抗原特異性を有する、単離又は精製されたTCRを提供する。本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、任意のヒトTGタンパク質、ポリペプチド又はペプチドに対して抗原特異性を有してもよい。本発明の一実施形態では、該TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は配列番号1のアミノ酸配列を含む又はそれからなるヒトTGタンパク質に対して抗原特異性を有する。本発明の一実施形態において、該TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、NLFGGKFLV(配列番号2)のアミノ酸配列を含む若しくはそれからなるヒトTG470−478ペプチド、又はLVLEIFTLL(配列番号58)のアミノ酸配列を含む若しくはそれからなるヒトTG3−11ペプチドに対して、抗原特異性を有する。本発明の好ましい実施形態では、該TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、NLFGGKFLV(配列番号2)のアミノ酸配列を含む又はそれからなるヒトTG470−478ペプチドに対する抗原特異性を有する。
本発明の一実施形態では、本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、主要組織適合複合体(MHC)クラスI依存性様式で、ヒトTGを認識することができる。本明細書で使用される「MHCクラスI依存性様式」は、該TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)がMHCクラスI分子との関係の中で、TGへの結合の際に免疫応答を引き起こすことを意味する。該MHCクラスI分子は、当該分野で公知の任意のMHCクラスI分子、例えば、HLA−A分子であり得る。本発明の好ましい実施形態では、該MHCクラスI分子はHLA−A2分子である。
本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、養子細胞移植のために使用される細胞によって発現される場合を含む、多くの利点を提供する。TGは、分化した甲状腺癌、正常な甲状腺及び甲状腺癌患者で既に除去されたかも知れない重要でない組織においてのみ高いレベルの発現を示す。TGは神経芽細胞腫でも発現している。特定の理論又は機構に縛られることなく、本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、正常な非がん性の非甲状腺細胞の破壊を最小化又は排除し、それによって毒性を低減、例えば、最小化又は排除しつつ、有利にがん細胞を破壊すると考えられる。さらに、本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、例えば、化学療法、外科手術又は放射線治療などの他のタイプの治療に応答しないTG陽性がんを有利に、成功裏に、治療又は予防してもよい。加えて、本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、TGへの高度に貪欲な認識を提供し、これは有利には、未操作の腫瘍細胞(例えば、インターフェロン(IFN)−γで処置されていない、TG及びHLA−A2の一方又は両方をコードするベクターでトランスフェクトされていない、TG470−478ペプチドでパルスされていない、又はそれらの組み合わせで処理されていない腫瘍細胞)を認識する能力を提供してもよい。
本明細書中で使用される場合、「抗原特異性(antigenic specificity)」という文言は、該TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)が、高い結合性をもってTGに特異的に結合すること及び免疫学的に認識し得ることを意味する。例えば、TCR(又はその機能的部分若しくはその機能的変異体を含む)を発現しているT細胞を、(a)低濃度のTGペプチド(例えば、約0.05ng/mLから約5ng/mLで、0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、又は上記の任意の2つの値により規定される範囲)でパルスした抗原陰性HLA−A2+標的細胞、又は(b)標的細胞がTGを発現するようにTGをコードするヌクレオチド配列を導入したHLA−A2+標的細胞と共培養したときに、該T細胞が、少なくとも約200pg/mL以上(例えば、200pg/mL以上、300pg/mL以上、400pg/mL以上、500pg/mL以上、600pg/mL以上、700pg/mL以上、1,000pg/mL以上、5,000pg/mL以上、7,000pg/mL以上、10,000pg/mL以上、20,000pg/mL以上、又は上記の任意の2つの値により規定される範囲)のIFN−γを分泌している場合、TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、TGに対する「抗原特異性」を有すると考えられる。本発明のTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)を発現している細胞はまた、より高濃度のTGペプチドでパルスした抗原陰性HLA−A2+標的細胞との共培養の際にIFN−γを分泌してもよい。
代替的に又は追加的に、TCR(又はその機能的部分若しくはその機能的変異体を含む)を発現しているT細胞を、(a)低濃度のTGペプチドでパルスした抗原陰性HLA−A2+標的細胞、又は(b)標的細胞がTGを発現するようにTGをコードするヌクレオチド配列を導入したHLA−A2+標的細胞と共培養したときに、陰性対照で発現するIFN−γの量と比較して、該T細胞が少なくとも2倍のIFN−γを分泌する場合、TCR(機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、TGに対して「抗原特異性」を有すると考えられる。その陰性対照は、例えば、(i)TCR(又はその機能的部分若しくはその機能的変異体)を発現しているT細胞であって、(a)同じ濃度の無関係のペプチド(例えば、TGペプチドとは異なる配列を有するいくつかの他のペプチド)でパルスした抗原陰性HLA−A2+標的細胞若しくは(b)標的細胞が無関係のペプチドを発現するように、無関係のペプチドをコードするヌクレオチド配列を導入したHLA−A2+標的細胞と共培養したもの、又は(ii)非形質導入T細胞(例えば、TCR、又は機能的部分若しくはその機能的変異体を発現しないPBMCに由来する)を、(a)同じ濃度のTGペプチドでパルスした抗原陰性HLA−A2+標的細胞若しくは(b)標的細胞がTGを発現するように、TGをコードするヌクレオチド配列を導入したHLA−A2+標的細胞と共培養したものであってもよい。IFN−γ分泌は、当該分野で公知の方法、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法によって測定されてもよい。
代替的に又は追加的に、(a)低濃度のTGペプチドでパルスした抗原陰性HLA−A2+標的細胞、又は(b)標的細胞がTGを発現するように、TGをコードするヌクレオチド配列を導入したHLA−A2+標的細胞と共培養することにより、IFN−γを分泌する陰性対照T細胞の数と比較して、IFN−γを分泌するTCR(又はその機能的部分若しくはその機能的変異体)を発現しているT細胞の数が少なくとも2倍であるとき、TCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)は、TGに対して「抗原特異性」を有すると考えられる。ペプチドの濃度及び陰性対照は、本発明の他の態様に関しても、本明細書で記載される通りであってもよい。IFN−γを分泌する細胞の数は、当該分野で公知の方法、例えば、ELISPOT法によって測定されてもよい。
本発明は、2つのポリペプチド(すなわち、ポリペプチド鎖)、例えば、TCRのアルファ(α)鎖、TCRのベータ(β)鎖、TCRのガンマ(γ)鎖、TCRのデルタ(δ)鎖、又はそれらの組み合わせを含むTCRを提供する。本発明のTCRのポリペプチドは、TCRがTGに対して抗原特異性を有する限り、任意のアミノ酸配列を含むことができる。
本発明の一実施形態では、該TCRは2つのポリペプチド鎖を含み、その各々はTCRの相補性決定領域(CDR)1、CDR2及びCDR3を含む可変領域を含む。本発明の一実施形態では、該TCRは、配列番号3又は44(α鎖のCDR1)のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号4又は45(α鎖のCDR2)のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号5又は46(α鎖のCDR3)のアミノ酸配列を含むCDR3とを含む第1のポリペプチド鎖、及び配列番号6又は47(β鎖のCDR1)のアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号7又は48(β鎖のCDR2)のアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号8又は49(β鎖のCDR3)のアミノ酸配列を含むCDR3とを含む第2のポリペプチド鎖を含む。これに関して、本発明のTCRは、配列番号3〜8又は配列番号44〜49からなる群から選択される任意の1以上のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、該TCRは配列番号3〜5、配列番号6〜8、配列番号44〜46又は配列番号47〜49のアミノ酸配列を含む。特に好ましい実施形態では、該TCRは配列番号3〜8の全て又は配列番号44〜49の全てのアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、該TCRは、上記のCDRセットを含むTCRの可変領域のアミノ酸配列を含む。これに関して、該TCRは、配列番号9若しくは50(α鎖の可変領域);配列番号10若しくは51(β鎖の可変領域);配列番号9及び10の両方;又は配列番号50及び51の両方のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、本発明のTCRは配列番号9及び10の両方、又は配列番号50及び51の両方のアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、該TCRはTCRの定常領域のアミノ酸配列をさらに含む。これに関して、該TCRは、配列番号13若しくは52(α鎖の定常領域)、配列番号14若しくは53(β鎖の定常領域)、配列番号13及び14の両方、又は配列番号52及び53の両方のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、本発明のTCRは配列番号13及び14の両方、又は配列番号52及び53の両方のアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、本発明のTCRは可変領域と定常領域との組み合わせを含んでもよい。これに関して、該TCRは、配列番号9(α鎖の可変領域)及び配列番号13(α鎖の定常領域)の両方のアミノ酸配列を含むα鎖;配列番号10(β鎖の可変領域)及び配列番号14(β鎖の定常領域)の両方のアミノ酸配列を含むβ鎖;配列番号50(α鎖の可変領域)及び配列番号52(α鎖の定常領域)の両方のアミノ酸配列を含むα鎖;配列番号51(β鎖の可変領域)及び配列番号53(β鎖の定常領域)の両方のアミノ酸配列を含むβ鎖;配列番号9、10、13及び14の全てのアミノ酸配列;又は配列番号50〜53の全てのアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、本発明のTCRは配列番号9、10、13及び14の全て、又は配列番号50〜53の全てのアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、本発明のTCRは本明細書中に記載される任意のCDR領域と定常領域との組み合わせを含んでもよい。これに関して、該TCRは、配列番号3〜5及び13の全てのアミノ酸配列を含むα鎖;配列番号6〜8及び14の全てのアミノ酸配列を含むβ鎖;又は配列番号3〜8及び13〜14の全てのアミノ酸配列を含むことができる。本発明の一実施形態では、該TCRは、配列番号44〜46及び52の全てのアミノ酸配列を含むα鎖;配列番号47〜49及び53の全てのアミノ酸配列を含むβ鎖;又は配列番号44〜49及び52〜53の全てのアミノ酸配列を含むことができる。
本発明の一実施形態では、本発明のTCRはTCRのα鎖及びTCRのβ鎖を含むことができる。本発明のTCRのα鎖及びβ鎖の各々は独立して任意のアミノ酸配列を含むことができる。これに関して、本発明のTCRのα鎖は配列番号11又は54のアミノ酸配列を含むことができる。この型のα鎖は、TCRの任意のβ鎖と対になることができる。これに関して、本発明のTCRのβ鎖は配列番号12又は55のアミノ酸配列を含むことができる。従って、本発明のTCRは、配列番号11、配列番号12、配列番号54、配列番号55、配列番号11及び12の両方、又は配列番号54及び55の両方のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、本発明のTCRは配列番号11及び12の両方、又は配列番号54及び55の両方のアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、該TCRは、ネズミTCR又はヒトTCRである。本明細書中で使用される場合、「ネズミ(murine)」又は「ヒト(human)」という用語は、本明細書中に記載されるTCR又はTCRの任意の構成要素(例えば、相補性決定領域(CDR)、可変領域、定常領域、α鎖及び/又はβ鎖)に言及する場合、それぞれ、マウス又はヒト由来のTCR(又はその構成要素)(すなわち、それぞれ、マウスT細胞、又はヒトT細胞に由来するか、又はかつてそれらによって発現されたTCR(又はその構成要素))を意味する。本発明の一実施形態では、(i)配列番号3〜8の全て;(ii)配列番号9及び10;(iii)配列番号11及び12;(iv)配列番号3〜8及び13〜14の全て;又は(v)配列番号9、10、13及び14の全てを含むTCRは、ネズミTCRである。本発明の一実施形態では、(i)配列番号44〜49の全て;(ii)配列番号50及び51;(iii)配列番号54及び55;(iv)配列番号44〜49及び52〜53の全て;又は(v)配列番号50〜53の全てを含むTCRは、ヒトTCRである。本発明の一実施形態では、該ネズミTCR(その機能的部分及びその機能的変異体を含む)はNLFGGKFLV(配列番号2)のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるヒトTG470−478ペプチドに対する抗原特異性を有し、該ヒトTCRは、LVLEIFTLL(配列番号58)のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるヒトTG3−11ペプチドに対する抗原特異性を有する。
本明細書に記載の本発明のTCRの機能的変異体は、本発明の範囲に含まれる。本明細書中で使用する場合、「機能的変異体(functional variant)」という用語は、親(parent)TCR、ポリペプチド又はタンパク質と実質的又は有意な配列同一性又は類似性を有する、TCR、ポリペプチド又はタンパク質を指し、そしてその機能的変異体は、変異体のTCR、ポリペプチド又はタンパク質の生物学的活性を保持している。機能的変異体は、例えば、親TCRが抗原特異性を有するか、親TCR、ポリペプチド又はタンパク質と同様に、親ポリペプチド又はタンパク質が特異的に結合するTGに対して、類似する程度に、同じ程度に、又はより高い程度において、特異的に結合する能力を保持する、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド又はタンパク質(親TCR、ポリペプチド又はタンパク質)の変異体を含む。親TCR、ポリペプチド又はタンパク質に準拠して、機能的変異体は、例えば、アミノ酸配列において少なくとも約30%、50%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上、親TCR、ポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列と一致している。
該機能的変異体は、例えば、少なくとも1つの保存的(conservative)アミノ酸置換を有する、親TCR、ポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列を含むことができる。保存的アミノ酸置換は当該技術分野で公知であり、そして特定の物理的及び/又は化学的性質を有する1つのアミノ酸が、同じ化学的又は物理的性質を有する別のアミノ酸と交換されるアミノ酸置換を含む。例えば、該保存的アミノ酸置換は、酸性アミノ酸が別の酸性アミノ酸(例えば、Asp又はGlu)に置換し、非極性側鎖を有するアミノ酸が別の非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Valなど)に置換し、塩基性アミノ酸が他の塩基性アミノ酸(Lys、Argなど)に置換し、極性側鎖を有するアミノ酸が別の極性側鎖を有するアミノ酸が(例えば、Asn、Cys、Gln、Ser、Thr、Tyrなど)に置換したものであり得る。
代替的に又は追加的に、該機能的変異体は、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親TCR、ポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列を含むことができる。この場合、該非保存的アミノ酸置換は、機能的変異体の生物学的活性を妨害又は阻害しないことが好ましい。好ましくは、該非保存的アミノ酸置換は、機能的変異体の生物学的活性が親TCR、ポリペプチド又はタンパク質と比較して上昇するように、機能的変異体の生物学的活性を増強するものである。
該TCR(又はその機能的変異体)、ポリペプチド又はタンパク質は、該TCR(又はその機能的変異体)、ポリペプチド又はタンパク質の他の構成要素、例えば、他のアミノ酸が、該TCR(又はその機能的変異体)、ポリペプチド又はタンパク質の生物学的活性を実質的に変化させないように、本質的に特定のアミノ酸配列、又は本明細書に記載の配列からなることができる。これに関して、本発明のTCR(又はその機能的変異体)、ポリペプチド又はタンパク質は、例えば、本質的には、配列番号11、配列番号12、配列番号54、配列番号55、配列番号11及び12の両方、又は配列番号54及び55の両方のアミノ酸配列からなる。また、例えば、本発明のTCR(その機能的変異体を含む)、ポリペプチド又はタンパク質は、本質的に、配列番号9、配列番号10、配列番号50、配列番号51、配列番号9及び10の両方、又は配列番号50及び51の両方のアミノ酸配列(複数可)からなる。さらに、本発明のTCR(その機能的変異体を含む)、ポリペプチド又はタンパク質は、本質的には、配列番号3若しくは44(α鎖のCDR1)、配列番号4若しくは45(α鎖のCDR2)、配列番号5若しくは46(α鎖のCDR3)、配列番号6若しくは47(β鎖のCDR1)、配列番号7若しくは48(β鎖のCDR2)、配列番号8若しくは49(β鎖のCDR3)、又はそれらの任意の組み合わせ、例えば、配列番号3〜5;6〜8;3〜8;44〜46;47〜49;44〜49のアミノ酸配列からなることができる。
また、本発明によって、本明細書に記載の任意のTCR(又はその機能的変異体)の機能的部分を含むポリペプチドが提供される。本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド(polypeptide)」は、オリゴペプチドを含み、1以上のペプチド結合によって連結されたアミノ酸の一本鎖を指す。
本発明のポリペプチドに関して、該機能的部分がTGに特異的に結合する場合、該機能的部分は、該TCR(又はその機能的変異体)の連続するアミノ酸を含む任意の部分であり得る。用語「機能的部分(functional portion)」は、TCR(又はその機能的変異体)に関して使用される場合、本発明のTCR(又はその機能的変異体)の任意の部分又は断片を指し、そしてその部分又は断片は、その一部(その親TCR又はその親機能的変異体)である該TCR(又はその機能的変異体)の生物学的活性を保持している。機能的部分は、例えば、TGに特異的に結合する能力(例えば、HLA−A2依存的な様式で)又はがんを検出、治療若しくは予防する能力を、該親TCR(又はその機能的変異体)と、類似する程度、同じ程度、又はより高い程度に、維持しているTCR(又はその機能的変異体)の機能的部分を含む。該親TCR(又はその機能的変異体)に準拠して、該機能的部分は、例えば、該親TCR(又はその機能的変異体)の、約10%、25%、30%、50%、68%、80%、90%、95%、又はそれ以上を含むことができる。
該機能的部分は、該親TCR又はその機能的変異体のアミノ酸配列に見られない追加のアミノ酸を、該部分のアミノ末端若しくはカルボキシ末端に、又はその両方の末端に含むことができる。望ましくは、該追加のアミノ酸が、該機能的部分の生物学的機能、例えば、TGに特異的に結合する能力;及び/又はがんを検出し、がんを治療し若しくは予防する能力などを妨害しない。より望ましくは、該追加のアミノ酸は、該親TCR又はその機能的変異体の生物学的活性と比較して、その生物学的活性を増強する。
該ポリペプチドは、本発明のTCR又はその機能的変異体のα鎖及びβ鎖のいずれか、又は両方の機能的部分を含むことができる。例えば、本発明のTCR又はその機能的変異体のα鎖及び/又はβ鎖の可変領域(複数可)のCDR1、CDR2及びCDR3の1以上(one of more)を含む機能的部分である。本発明の一実施形態では、該ポリペプチドは、配列番号3若しくは44(α鎖のCDR1)、4若しくは45(α鎖のCDR2)、5若しくは46(α鎖のCDR3)、6若しくは47(β鎖のCDR1)、7若しくは48(β鎖のCDR2)、8若しくは49(β鎖のCDR3)、又はそれらの組み合わせのアミノ酸配列を含む、機能的部分を含むことができる。好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号3〜5;6〜8;44〜46;47〜49;配列番号3〜8の全て;又は配列番号44〜49の全てのアミノ酸配列を含む、機能的部分を含む。より好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号3〜8の全て、又は配列番号44〜49の全てのアミノ酸配列を含む機能的部分を含む。
本発明の一実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、上記のCDR領域の組み合わせを含む、本発明のTCR、又はその機能的変異体の可変領域を含むことができる。これに関して、該ポリペプチドは、配列番号9若しくは50(α鎖の可変領域)、配列番号10若しくは51(β鎖の可変領域)、配列番号9及び配列番号10の両方、又は配列番号50及び51の両方のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号9及び10の両方、又は配列番号50及び51の両方のアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、本発明のポリペプチドは、上記の本発明のTCR又はその機能的変異体の定常領域を、さらに含むことができる。これに関して、該ポリペプチドは、配列番号13若しくは52(α鎖の定常領域)、配列番号14若しくは53(β鎖の定常領域)、配列番号13及び配列番号14の両方、又は配列番号52及び53の両方のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号13及び14の両方、又は配列番号52及び53の両方のアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、本発明のポリペプチドは、本発明のTCR又はその機能的変異体の可変領域及び定常領域の組み合わせを含んでもよい。これに関して、該ポリペプチドは、配列番号9(α鎖の可変領域)及び配列番号13(α鎖の定常領域)の両方、配列番号10(β鎖の可変領域)及び配列番号14(β鎖の定常領域)の両方、又は配列番号9、10、13及び14の全てのアミノ酸配列を含むことができる。一実施形態では、該ポリペプチドは、配列番号50(α鎖の可変領域)及び配列番号52(α鎖の定常領域)の両方、配列番号51(β鎖の可変領域)及び配列番号53(β鎖の定常領域)の両方、又は配列番号50〜53の全てのアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号9、10、13及び14の全て、又は配列番号50〜53の全てのアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、本発明のポリペプチドは、本明細書に記載の任意のCDR領域と、本発明のTCR又はその機能的変異体の定常領域との組み合わせを含んでいてもよい。これに関して、該ポリペプチドは、配列番号3〜5及び13の全て、配列番号6〜8及び14の全て、又は配列番号3〜8及び13〜14の全てのアミノ酸配列を含むことができる。本発明の一実施形態では、該ポリペプチドは、配列番号44〜46及び52の全て、配列番号47〜49及び53の全て、又は配列番号44〜49及び52〜53の全てのアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号3〜8及び13〜14の全て、又は配列番号44〜49及び52〜53の全てのアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態において、本発明のポリペプチドは、本明細書に記載のTCR又はその機能的変異体のα鎖又はβ鎖の全長を含むことができる。これに関して、本発明のポリペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号54、配列番号55、配列番号11及び12の両方、又は配列番号54及び55の両方のアミノ酸配列を含むことができる。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号11及び12の両方、又は配列番号54及び55の両方のアミノ酸配列を含む。
本発明はさらに、本明細書に記載のポリペプチドの少なくとも1つを含むタンパク質を提供する。「タンパク質(protein)」とは、1以上のポリペプチド鎖を含む分子を意味する。
一実施形態では、本発明のタンパク質は、配列番号3〜5又は配列番号44〜46のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、配列番号6〜8又は配列番号47〜49のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖とを含むことができる。代替的又は追加的に、本発明のタンパク質は、配列番号9又は50のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、及び配列番号10又は51のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含むことができる。該タンパク質は、例えば、(i)配列番号9及び13の両方若しくは配列番号3〜5及び13の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、配列番号10及び14の両方若しくは配列番号6〜8及び14の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含むことができ、又は(ii)配列番号50及び52の両方若しくは配列番号44〜46及び配列番号52の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、配列番号51及び53の両方若しくは配列番号47〜49及び53の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含むことができる。代替的又は追加的に、本発明のタンパク質は、配列番号11又は54のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、及び配列番号12又は55のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含むことができる。この例においては、本発明のタンパク質は、TCRであり得る。代替的に、例えば、該タンパク質が、配列番号11及び12の両方、配列番号54及び55の両方のアミノ酸配列を含む単一のポリペプチド鎖を含む場合、又は該タンパク質の第1及び/又は第2のポリペプチド鎖(複数可)が更に他のアミノ酸配列、例えば、免疫グロブリン又はその一部をコードするアミノ酸配列を含む場合、本発明のタンパク質は、融合タンパク質であり得る。これに関して、本発明はまた、少なくとも1つの他のポリペプチドとともに、本明細書に記載された本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含む融合タンパク質を提供する。該他のポリペプチドは、融合タンパク質の別個のポリペプチドとして存在することができるか、又は本明細書に記載される本発明のポリペプチドの1つとフレーム(タンデム)で発現されるポリペプチドとして存在することができる。該他のポリペプチドは、免疫グロブリン、CD3、CD4、CD8、MHC分子、CD1分子、例えば、CD1a、CD1b、CD1c、CD1dなどを含む、任意のペプチド分子若しくはタンパク質性の分子又はその部分をコードすることができるが、これらの例に限定されない。
該融合タンパク質は、本発明のポリペプチドの1以上のコピー及び/又は該他のポリペプチドの1以上のコピーを含むことができる。例えば、該融合タンパク質は、1、2、3、4、5又はそれ以上の本発明のポリペプチド及び/又は他のポリペプチドのコピーを含むことができる。融合タンパク質を作製する適切な方法は、当該分野で公知であり、例えば、組換えによる方法が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のTCR(及びその機能的部分及び機能的変異体)、ポリペプチド及びタンパク質は、α鎖及びβ鎖を連結するリンカーペプチドを含む単一のタンパク質として発現されてもよい。これに関して、配列番号11及び12の両方、配列番号54及び55の両方、配列番号9及び配列番号10の両方、配列番号50及び51の両方、配列番号3〜8の全て、配列番号44〜49の全て、配列番号9、10、13及び14の全て、配列番号50〜53の全て、配列番号3〜8及び13〜14の全て、又は配列番号44〜49及び52〜53の全てを含む本発明のTCR(及びその機能的部分及び機能的変異体)、ポリペプチド及びタンパク質は、リンカーペプチドをさらに含んでもよい。該リンカーペプチドは、宿主細胞中の組換えTCR(その機能的部分及び機能的変異体を含む)、ポリペプチド及び/又はタンパク質の発現を有利に促進してもよい。該リンカーペプチドは、任意の適切なアミノ酸配列を含んでもよい。本発明の一実施形態では、該TCR(若しくはその機能的部分又はその変異体)、ポリペプチド又はタンパク質は、自己切断性の、ウイルスリンカーペプチドを含む。例えば、該リンカーペプチドは、配列番号28を含んでもよい。該リンカーペプチドを含むコンストラクトを宿主細胞で発現させた場合、、該リンカーペプチドが切断され、分離したα鎖及びβ鎖となってもよい。
本発明のタンパク質は、本明細書に記載の本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含む組換え抗体であり得る。本明細書中で使用される場合、「組換え抗体(recombinant antibody)」は、本発明のポリペプチドの少なくとも1つと、抗体のポリペプチド鎖又はその一部を含む組換え(例えば、遺伝子操作された)タンパク質を指す。抗体又はその一部のポリペプチドは、重鎖、軽鎖、重鎖若しくは軽鎖の可変領域若しくは定常領域、一本鎖可変断片(scFv)又は抗体のFc、Fab若しくはF(ab)2'断片などであり得る。抗体のポリペプチド鎖又はその一部は、該組換え抗体とは異なるポリペプチドとして存在することができる。代替的に、抗体のポリペプチド鎖又はその一部は、本発明のポリペプチドとフレーム(タンデム)で発現するポリペプチドとして存在することができる。抗体のポリペプチド又はその一部は、本明細書に記載の任意の抗体及び抗体断片を含む、任意の抗体又は任意の抗体断片のポリペプチドであり得る。
本発明(それらの機能的変異体を含む)のTCR、ポリペプチド及びタンパク質は、該TCR、ポリペプチド若しくはタンパク質(又はそれらの機能的変異体)が、それらの生物学的活性、例えば、TGに特異的に結合し;哺乳動物のがんを検出し;又は哺乳動物におけるがんを処置若しくは予防するなどの能力を保持する限り、任意の長さ、すなわち、任意の数のアミノ酸を含むことができる。例えば、該ポリペプチドは、約50〜約5000アミノ酸長の範囲で、例えば、50、70、75、100、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、又はそれ以上のアミノ酸の長さであり得る。これに関して、本発明のポリペプチドはオリゴペプチドも含む。
本発明のTCR、ポリペプチド及びタンパク質(その機能的変異体を含む)は、天然に存在する1以上のアミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含むことができる。そのような合成アミノ酸は、当該技術分野において公知であり、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α−アミノ−n−デカン酸、ホモセリン、S−アセチルアミノメチル−システイン、トランス−3−及びトランス−4−ヒドロキシプロリン、4−アミノフェニルアラニン、4−ニトロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、4−カルボキシフェニルアラニン、β−フェニルセリン、β−ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α−ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン−2−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N'−ベンジル−N'−メチル−リジン、N',N'−ジベンジルリジン、6−ヒドロキシリシン、オルニチン、α−アミノシクロペンタンカルボン酸、α−アミノシクロヘキサンカルボン酸、α−アミノシクロヘプタンカルボン酸、α−(2−アミノ−2−ノルボルナン)−カルボン酸、α,γ−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、α−tert−ブチルグリシンが挙げられる。
本発明のTCR、ポリペプチド及びタンパク質(その機能的変異体を含む)は、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、N−アシル化、環化、例えば、ジスルフィド架橋を介したもの、又は酸付加塩への変換及び/又は適切な二量体化若しくは重合化又はコンジュゲート化することができる。
本発明のTCR、ポリペプチド及び/又はタンパク質(その機能的変異体を含む)は、例えば、デノボ合成のような当該技術分野で公知の方法によって得ることができる。また、ポリペプチド及びタンパク質は、標準的な組換え法により本明細書に記載の核酸を用いて、組換えにより作製することができる。例えば、Green and Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4thed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY(2012)を参照されたい。代替的には、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド及び/又はタンパク質(その機能的変異体を含む)は、Synpep (Dublin, CA)、Peptide Technologies Corp. (Gaithersburg, MD)及びMultiple Peptide Systems (Sandiego, CA)のような企業によって商業的に合成することができる。これに関して、本発明のTCR(その機能的変異体を含む)、ポリペプチド及びタンパク質は、合成、組換え、単離及び/又は精製することができる。
コンジュゲート、例えば、本発明の任意のTCR、ポリペプチド若しくはタンパク質(それらの任意の機能的変異体を含む)、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、宿主細胞集団、又は抗体若しくはその抗原結合部分を含むバイオ・コンジュゲートは本発明の範囲に含まれる。コンジュゲートを合成する一般的な方法と同じく、コンジュゲートは、当技術分野で公知である。
本発明の一実施形態は、本明細書に記載されている、任意のTCR(その機能的部分及び機能的変異体を含む)、ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本明細書で使用する「核酸(nucleic acid)」は、「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」、「オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)」及び「核酸分子(nucleic acid molecule)」を含み、一般にDNA又はRNAのポリマーを意味し、一本鎖又は二本鎖であり、天然の材料から合成又は取得する(例えば、単離及び/又は精製する)ことができる。それらは、天然、非天然又はは改変されたヌクレオチドを含むことができ、そして天然、非天然又はは改変されたヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、修飾されていないオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間にみられるホスホジエステルの代わりの、ホスホロアミデート結合又はホスホロチオエート結合のようなものである。一実施形態では、該核酸は相補的DNA(cDNA)を含む。該核酸が、任意の挿入、欠失、逆位及び/又は置換を含まないことが一般には好ましい。しかし、本明細書で考察されるように、核酸が1以上の挿入、欠失、逆位、及び/又は置換を含んでいても、いくつかの例においては適切である。
好ましくは、本発明の核酸は組換え体である。本明細書で使用される場合、用語「組換え(recombinant)」は、(i)天然又は合成の核酸セグメントを、生細胞内で複製することができる核酸分子に加えることによって、生細胞の外に構築される分子、又は(ii)上記(i)に記載されたものの複製で得られる分子を指す。本明細書の目的のためには、該複製はインビトロ複製、又はインビボ複製であり得る。
該核酸は、当技術分野で公知の手順を用いて、化学合成及び/又は酵素的ライゲーション反応に基づいて構築することができる。例えば、上記のGreen and Sambrookらを参照されたい。例えば、核酸は、天然に存在するヌクレオチド、又は分子の生物学的安定性を増加させるため、若しくはハイブリダイゼーション時に形成される二本鎖の物理的安定性を高めるため(例えば、ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチド)に設計された、様々な修飾ヌクレオチドを用いて化学的に合成することができる。該核酸を合成するために使用することができる修飾されたヌクレオチドの例は、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−置換アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5'−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル及び2,6−ジアミノプリンであるが、これらに限定されない。代替的には、本発明の核酸の1以上は、Macromolecular Resources (Fort Collins, CO)及びSynthegen (Houston, TX)のような企業から購入することができる。
該核酸は、本明細書に記載の、任意のTCR(その機能的部分及び機能的変異体を含む)、ポリペプチド又はタンパク質をコードする任意のヌクレオチド配列を含むことができる。本発明の一実施形態では、該核酸は、配列番号22(α鎖のCDR1);配列番号23(α鎖のCDR2);配列番号24(α鎖のCDR3);配列番号25(β鎖のCDR1);配列番号26(β鎖のCDR2);又は配列番号27(β鎖のCDR3)のヌクレオチド配列を含んでもよい。好ましくは、該核酸は、配列番号22〜24の全て;配列番号25〜27の全て;又は配列番号22〜27の全てのアミノ酸配列を含む。特に好ましい実施形態では、該核酸は、配列番号22〜27の全てのヌクレオチド配列を含む。本発明の一実施形態では、該核酸は、配列番号15(α鎖可変領域);配列番号16(β鎖可変領域);又は配列番号15及び16の両方のヌクレオチド配列を含んでもよい。好ましくは、該核酸は、配列番号15及び16の両方のヌクレオチド配列を含む。本発明の別の実施形態では、該核酸は、配列番号17若しくは56(α鎖全長);配列番号18若しくは57(β鎖全長);配列番号17及び18の両方、又は配列番号56及び57の両方のヌクレオチド配列を含んでもよい。好ましくは、該核酸は、配列番号17及び18の両方、又は配列番号56及び57の両方のヌクレオチド配列を含む。
本発明の一実施形態では、該核酸は、TCRα又はβ鎖の定常領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。これに関して、本明細書中に記載される任意の核酸は、配列番号19(α鎖の定常領域);配列番号20(β鎖の定常領域);又は配列番号19及び20の両方のヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。好ましくは、該核酸は、配列番号15及び19の両方;配列番号16及び20の両方;配列番号15〜16及び19〜20の全て;配列番号22〜24及び19の全て;配列番号25〜27及び20の全て;又は配列番号22〜27及び19〜20の全てを含む。特に好ましい実施形態では、該核酸は、配列番号15〜16及び19〜20の全て、又は配列番号22〜27及び19〜20の全てのヌクレオチド配列を含む。
本発明の一実施形態では、配列番号56及び57のヌクレオチド配列を含む核酸はヒトTCRをコードする。本発明の一実施形態では、配列番号22〜24の全て;配列番号25〜27の全て;配列番号22〜27の全て;配列番号15及び16の両方;配列番号17及び18の両方;配列番号15及び19の両方;配列番号16及び20の両方;配列番号15〜16及び19〜20の全て;配列番号22〜24及び19の全て;配列番号25〜27及び20の全て;又は配列番号22〜27及び19〜20の全てのヌクレオチド配列を含む核酸はネズミTCRをコードする。
本発明はまた、本明細書に記載の任意の核酸のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、又は本明細書に記載の任意の核酸のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする該ヌクレオチド配列は、好ましくは高度にストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズする。「高度にストリンジェンシーな条件(high stringency condition)」とは、該ヌクレオチド配列が、非特異的なハイブリダイゼーションよりも検出可能な程度に強く、標的配列(本明細書に記載の任意の核酸のヌクレオチド配列)に特異的にハイブリダイズすることを意味する。高度にストリンジェンシーな条件には、正確に相補的な配列を有するポリヌクレオチド又はヌクレオチド配列と一致するいくつかの小さな領域(例えば、3〜10塩基)を偶然有するランダム配列からわずかに異なった(scattered)ミスマッチを含むポリヌクレオチドを区別しうる条件が含まれる。そのような相補性の小領域は、14〜17塩基又はそれ以上の完全長の相補鎖よりも容易に融解し、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションによりそれらを容易に区別することができる。比較的高度にストリンジェンシーな条件には、例えば、約50〜70℃の温度で、約0.02〜0.1MのNaCl又はそれと同等な条件によって提供されるような、低塩及び/又は高温条件が含まれる。そのような高度にストリンジェンシーな条件は、ヌクレオチド配列と鋳型又は標的鎖との間のミスマッチがあれば、ほとんど許容せず、任意の本発明のTCR(その機能的部分及び機能的変異体を含む)の発現を検出するのに特に適している。ホルムアミド添加量を増加することにより、条件をより厳しくすることができることは一般的に理解されている。
本発明はまた、本明細書に記載の任意の核酸に対して、少なくとも約70%又はそれ以上、例えば、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。これに関して、該核酸は、本質的に、本明細書に記載の任意のヌクレオチド配列からなってもよい。
本発明の核酸は、組換え発現ベクターに組み込むことができる。これに関して、本発明は、本発明の任意の核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。本発明の一実施形態では、該組換え発現ベクターは、α鎖、β鎖及びリンカーペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、一実施形態では、該組換え発現ベクターは、配列番号21(配列番号11及び12のα及びβ鎖、及びそれらの間に位置するリンカーをコードする)のヌクレオチド配列を含む。
本明細書の目的のために、用語「組換え発現ベクター(recombinant expression vector)」は、コンストラクトがmRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む場合、宿主細胞によってmRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドが発現されるような遺伝子改変オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド・コンストラクトを意味し、該ベクターは、細胞内で発現されるmRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを有するのに十分な条件下で細胞と接触する。本発明のベクターは、全体として自然発生的ではない。しかしながら、ベクターの部分は天然に存在し得る。本発明の組換え発現ベクターは、一本鎖又は二本鎖であり、天然の材料から部分的に合成又は取得することができ、そして天然、非天然又は改変されたヌクレオチドを含むことができる、DNA及びRNAを含む任意の型のヌクレオチドを含むことができるが、それらに限定されない。該組換え発現ベクターは、天然に存在するヌクレオチド間結合、天然に存在しないヌクレオチド間結合、又はその両方の型の結合を含むことができる。好ましくは、非天然で生じた若しくは改変されたヌクレオチド又はヌクレオチド間結合は、ベクターの転写又は複製を妨害しない。
本発明の組換え発現ベクターは、任意の適切な組換え発現ベクターであることができ、任意の適切な宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするために用いることができる。適切なベクターには、例えば、プラスミド及びウイルスのように増殖及び拡大(expansion)のため、若しくは発現又はその両方のために設計されたものが挙げられる。該ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, CA)、pETシリーズ(Novagen, Madison, WI)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)及びpEXシリーズ(Clonetech, Palo Alto, CA)からなる群の中から選択することができる。バクテリオファージベクター、例えば、λGT10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4及びλNM1149もまた使用することができる。植物発現ベクターの例としては、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121及びpBIN19(Clonetech)が挙げられる。動物発現ベクターの例としては、pEUK-C1、pMAM及びpMAMneo(Clonetech)が挙げられる。好ましくは、該組換え発現ベクターはウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターである。特に好ましい実施形態では、該組換え発現ベクターはMSGV1ベクターである。
本発明の組換え発現ベクターは、例えば、上記のGreen and Sambrookらに記載されている、標準的な組換えDNA技術を用いて調製することができる。環状又は線状である発現ベクターのコンストラクトは、原核又は真核宿主細胞において機能的である複製システムを含むように調製することができる。複製システムは、例えば、ColE1、2μプラスミド、λ、SV40、ウシパピローマウイルスなどに由来するものであり得る。
望ましくは、該組換え発現ベクターは、ベクターがDNAベースであるのか、又はRNAベースであるのかを考慮して適切な形で、ベクターが導入される宿主細胞(例えば、細菌、真菌、植物又は動物)の型に特異的な転写及び翻訳の開始及び終止コドンなどの、調節配列を含む。
該組換え発現ベクターは、形質転換又はトランスフェクトした宿主細胞の選択を可能にする1以上のマーカー遺伝子を含むことができる。マーカー遺伝子は、殺生物剤耐性、例えば、抗生物質、重金属などに対する耐性、原栄養性を提供するための栄養要求性宿主細胞における相補性などを含む。本発明の発現ベクターのための適切なマーカー遺伝子は、例えば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子及びアンピシリン耐性遺伝子である。
該組換え発現ベクターは、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質(その機能的変異体を含む)をコードするヌクレオチド配列、又はTCR、ポリペプチド若しくはタンパク質(その機能的変異体を含む)をコードするヌクレオチド配列に相補的であるか若しくはハイブリダイズするヌクレオチド配列に作動可能に連結した天然又は非天然プロモーターを含むことができる。プロモーターの選択、例えば、強、弱、誘導性、組織特異性及び発生段階特異性は、当業者の通常の技術の範囲内である。同様に、ヌクレオチド配列とプロモーターの組み合わせも当業者の技術の範囲内である。該プロモーターは、非ウイルスプロモーター又はウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、及びネズミ幹細胞ウイルスの長い末端反復に見出されるプロモーターであり得る。
本発明の組換え発現ベクターは、一過性の発現若しくは安定した発現のいずれかのために、又はその両方のために、設計することができる。また、組換え発現ベクターは、構成的発現又は誘導発現のために作製することができる。さらに、該組換え発現ベクターは、自殺遺伝子を含むように作製することができる。
本明細書において、「自殺遺伝子(suicide gene)」という用語は、自殺遺伝子を発現する細胞を死滅させる遺伝子を指す。該自殺遺伝子は、遺伝子が発現される細胞における作用因子、例えば、薬剤に対する感受性を付与し、細胞がその作用因子と接触、又はそれに対して曝露した場合に細胞を死滅させる遺伝子であり得る。自殺遺伝子は、当該技術分野で公知であり、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンダミナーゼ(cytosine daminase)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びニトロレダクターゼが挙げられる。
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の任意の組換え発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。本明細書中で使用される場合、用語「宿主細胞(host cell)」は、本発明の組換え発現ベクターを含み得る任意のタイプの細胞をいう。該宿主細胞は、真核細胞、例えば、植物、動物、菌類若しくは藻類又は原核細胞、例えば、バクテリア又は原生動物であり得る。該宿主細胞は、培養細胞又は初代細胞、すなわち生物、例えば、ヒトから直接単離した細胞であり得る。該宿主細胞は、付着細胞又は懸濁細胞、すなわち懸濁液中で増殖する細胞であり得る。適切な宿主細胞は当該技術分野で公知であり、例えば、DH5α大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、サルVERO細胞、COS細胞、HEK293細胞などが挙げられる。組換え発現ベクターを増幅又は複製する目的のために、該宿主細胞は好ましくは原核細胞、例えば、DH5α細胞である。組換えTCR、ポリペプチド又はタンパク質を産生する目的のために、該宿主細胞は好ましくは哺乳動物細胞である。最も好ましくは、該宿主細胞は、ヒト細胞である。宿主細胞は、任意の細胞型であり、任意のタイプの組織に由来し、任意の発生段階であり得るが、好ましくは末梢血リンパ球(PBL)又は末梢血単核細胞(PBMC)である。より好ましくは、該宿主細胞はT細胞である。
本明細書の目的のために、該T細胞は、培養T細胞のような任意のT細胞、例えば、初代T細胞、又は培養T細胞株、例えば、Jurkat、SupT1など由来のT細胞、又は哺乳動物から得られたT細胞であり得る。哺乳動物から得られたものである場合、該T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺又は他の組織若しくは体液を含む多数の供給源から得ることができるが、これらに限定されない。T細胞は濃縮又は精製されていてもよい。好ましくは、該T細胞はヒトT細胞である。該T細胞は、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞、例えば、Th1及びTh2細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、記憶T細胞(例えば、中央記憶T細胞及びエフェクター記憶T細胞)、ナイーブT細胞などを含む、任意のタイプのT細胞及び任意の発生段階のT細胞であり得るが、これらに限定されない。
また、本発明は、本明細書で記載の少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞集団を提供する。該細胞集団は、記載された任意の組換え発現ベクターを含む宿主細胞を含む、遺伝的に不均一な集団であり得る。加えて、少なくとも1つの他の細胞、例えば、任意の組換え発現ベクターを含まない宿主細胞(例えば、T細胞)、又はT細胞以外の細胞、例えば、B細胞、マクロファージ、好中球、赤血球、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋肉細胞、脳細胞などが挙げられる。代替的に、該細胞集団は、集団が、組換え発現ベクターを含む宿主細胞を主に含む(例えば、本質的にそれからなる)、実質的に均質な集団であり得る。該集団は細胞のクローン集団であってもよく、集団の全ての細胞が組換え発現ベクターを含むような、集団の全ての細胞が組換え発現ベクターを含む単一の宿主細胞のクローンであってもよい。本発明の一実施形態では、該細胞集団は、本明細書に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞を含むクローン集団である。
本発明の一実施形態においては、集団の細胞数は急速に増加してもよい。T細胞数の増殖は、例えば、米国特許第8,034,334号;米国特許第8,383,099号;米国特許出願公開第2012/0244133号;Dudleyら, J. Imm nother., 26:332-42 (2003);及びRiddellら, J. Immunol. Methods, 128:189-201 (1990)に記載されているように、当該技術分野において公知である方法の任意の1つによって達成することができる。一実施形態において、T細胞数の増殖は、T細胞をOKT3抗体、IL−2及びフィーダーPBMC(例えば、放射線照射した同種異形のPBMC)と共に培養することで実施される。
本発明は、さらに、本明細書に記載の任意のTCR(又はその機能変異体)の機能的部分に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合部位を提供する。好ましくは、該機能的部位が、特異的にがん抗原、例えば、配列番号3若しくは44(α鎖のCDR1)、配列番号4若しくは45(α鎖のCDR2)、配列番号5若しくは46(α鎖のCDR3)、配列番号6若しくは47(β鎖のCDR1)、配列番号7若しくは48(β鎖のCDR2)、配列番号8若しくは49(β鎖のCDR3)、配列番号9若しくは50(α鎖の可変領域)、配列番号10若しくは51(β鎖の可変領域)、又はそれらの組み合わせ、例えば、配列番号3〜5;44〜46;6〜8;47〜49;3〜8;44〜49;9;10;50;51;9〜10若しくは50〜51のアミノ酸配列を含む機能的部位に結合する。さらに好ましくは、該機能的部分が、配列番号3〜8、44〜49、9及び10、又は50及び51のアミノ酸配列を含む。好ましい一実施形態においては、該抗体又はその抗原結合部位が、6つのCDR全て(α鎖のCDR1〜3及びβ鎖のCDR1〜3)によって形成されるエピトープに結合する。該抗体は、当該分野において公知の任意の型の免疫グロブリンであり得る。例えば、該抗体は、任意のアイソタイプ、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどであり得る。該抗体は、モノクローナル又はポリクローナルであり得る。該抗体は、自然界に存在する抗体、例えば、哺乳動物、例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒトなどから単離及び/又は精製した抗体であり得る。代替的には、該抗体は、遺伝子工学的に作製した抗体、例えば、ヒト化抗体又はキメラ抗体であり得る。該抗体は、単量体又は多量体であり得る。また、該抗体は、本発明のTCR(又はその機能的変異体)の機能的部分に対して、任意のアフィニティーレベル又はアビディティーレベルを有することができる。望ましくは、他のペプチド又はタンパク質との交差反応が最小限であるように、抗体は、本発明のTCR(又はその機能的変異体)の機能的部分に対して特異的である。
本発明のTCRの任意の機能的部分又は機能的変異体に対する抗体の結合能力を試験する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、放射免疫測定(RIA)、ELISA、ウェスタンブロット、免疫沈降及び競合的阻害アッセイのような任意の抗体−抗原結合アッセイを含む。
抗体を作製するために適した方法は、当該技術分野において公知である。例えば、標準的なハイブリドーマ法は、例えば、C.A. Janewayら. (eds.), Immunobiology, 8th Ed., Garland Publishing, New York, NY (2011)に記載されている。代替的には、EBV−ハイブリドーマ法、非ヒト動物において抗体を産生する方法、バクテリオファージベクター発現システム、のような他の方法が、当該技術分野において公知である。
ファージディスプレイは、本発明の抗体を作製するためにも用いることができる。これに関連して、抗体の抗原結合可変(V)ドメインをコードするファージ・ライブラリーは、標準的な分子生物学及び組換えDNA技術(例えば、Green and Sambrookら. (eds.), Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 4thEdition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2012)を参照)を用いて作製することができる。望ましい抗原に対して特異的に結合するように、望ましい特異性を有する可変領域をコードするファージは選択され、完全抗体又は部分抗体は、選択した可変ドメインを含むように再構築される。再構築した該抗体をコードする核酸配列は、ハイブリドーマ作製に用いられるミエローマ細胞のような、好適な細胞株に導入され、モノクローナル抗体の性質を有する抗体が、該細胞によって分泌される(上記のJanewayらを参照)。
ヒト化抗体の作製方法は、当該技術分野において公知である。抗体は、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の遺伝子に特異的な遺伝子組換えがなされたトランスジェニックマウスによっても産生することができる。そのような方法は当該技術分野において公知であり、例えば、上記Janewayらに記載されている。
本発明は、本明細書に記載の任意の抗体の抗原結合部位も提供する。該抗原結合部位は、Fab、F(ab’)2、dsFv、sFv、ダイアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)のような、少なくとも一つの抗原結合部位を有する任意の部位であり得る。
1本鎖可変領域断片(sFv)抗体断片は、合成ペプチドによって抗体重鎖の可変(V)ドメインと抗体軽鎖のVドメインとが結合されているものを含む、短くしたFab断片からなり、所定の組換えDNA技術を用いることで作製することができる(例えば、上記のJanewayらを参照)。同様にして、ジスルフィド結合で安定化した可変領域断片(dsFv)は組換えDNA技術を用いて作製することができる。しかしながら、本発明の抗体断片は、これらの典型的な抗体断片の型に限定されない。
また、該抗体又はその抗原結合部分は、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えば、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリフォスファターゼ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)及び元素粒子(例えば、金粒子)のような検出可能なラベルを含むように改変することができる。
本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質(その機能的変異体を含む)、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞(その集団を含む)及び抗体(その抗原結合部分を含む)は、単離及び/又は精製することができる。本明細書で用いられる用語「単離する」とは、自然環境から取り出すことを意味する。本明細書で用いられる場合、用語「精製する(purified)」とは、純度が増すことを意味し、「純度(purity)」とは相対的な用語であって、絶対的な純度として解釈される必要はない。例えば、純度は、少なくとも約50%であり、60%、70%、80%、90%、95%を超えていても良く又は100%であり得る。
本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質(その機能的変異体を含む)、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞(その集団を含む)及び抗体(それらの抗原結合部分を含む)、これらは本明細書において、以降は「発明のTCR材料(inventive TCR materials)」と称され、医薬組成物などの組成物に製剤化することができる。これに関して、本発明は、本明細書に記載された任意のTCR、ポリペプチド、タンパク質、機能性部分、機能的変異体、核酸、発現ベクター、宿主細胞(その集団を含む)及び抗体(その抗原結合部分を含む)を含む医薬組成物、及び医薬的に許容される担体を提供する。任意の本発明のTCR材料を含有する本発明の医薬組成物は、1を超える発明のTCR材料、例えば、ポリペプチド及び核酸、又は2以上の異なるTCR(その機能的部分及び機能的変異体を含む)を含むことができる。代替的に、医薬組成物は、アスパラギナーゼ(asparaginase)、ブスルファン(busulfan)、カルボプラチン(carboplatin)、シスプラチン(cisplatin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、フルオロウラシル(fluorouracil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシ尿素(hydroxyurea)、メトトレキセート(methotrexate)、パクリタキセル(paclitaxel)、リツキシマブ(rituximab)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)などの化学療法剤のように、他の医薬的な活性がある薬剤(複数可)又は薬物(複数可)と組み合わせた本発明のTCR材料を含むことができる。
好ましくは、該担体は医薬的に許容される担体である。医薬組成物に関して、該担体は、特定の本発明のTCR材料のために慣用的に使用が考慮される任意の物であり得る。そのような医薬的に許容される担体は、当業者に周知であり、一般に容易に入手可能である。医薬的に許容される担体は、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないものであることが好ましい。
担体の選択は、本発明のTCR材料を投与するために使用される特定の方法と同様に、特定の本発明のTCR材料によって部分的に決定される。従って、本発明の医薬組成物の種々の適切な製剤が存在する。適切な製剤は、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内又は腹腔内投与のための任意の製剤を含んでもよい。本発明のTCR材料を投与するために1超の経路を使用することができ、ある場合には、特定の経路は、別の経路よりも迅速かつ効果的な応答を提供することができる。
好ましくは、本発明のTCR材料は、注射、例えば、静脈内に投与される。本発明のTCR材料が、本発明のTCR(又はその機能的変異体)を発現する宿主細胞である場合、該注射用細胞のための医薬的に許容される担体は、例えば、通常の生理食塩水(水に溶解した、約0.90%w/vのNaCl、約300mOsm/LのNaCl、又は水約1L当たり約9.0gのNaCl)、NORMOSOL R電解質溶液(Abbott, Chicago, IL)、PLASMA-LYTE A(Baxter, Deerfield, IL)、水に溶解した5%のデキストロース又はリンゲル乳酸塩などの任意の等張な担体を含んでもよい。一実施形態では、医薬的に許容される該担体に、ヒト血清アルブミンが補充される。
本発明の目的のために、投与される本発明のTCR材料の量又は投与量(例えば、本発明のTCR材料が1以上の細胞である場合は細胞数)は、十分な効果、例えば、妥当な時間枠で、対象又は被験動物において、治療又は予防応答、を達成するのに十分であるべきである。例えば、本発明のTCR材料の投与量は、がん抗原(例えば、ヒトTG)に結合するのに十分でなければならず、又は投与から約2時間以上、例えば、12〜24時間若しくはそれ以上の期間にがんを検出し、治療し若しくは予防するのに十分でなければならない。特定の実施形態では、該期間はさらに長くなる可能性がある。該投与量は、治療される動物(例えば、ヒト)の体重と同様に、特定の本発明のTCR材料の有効性及び動物(例えば、ヒト)の状態によって決定される。
投与量を決定するための多くのアッセイは、当技術分野で公知である。本発明の目的のために、標的細胞が溶解される程度、又はT細胞の異なる投与量がそれぞれ与えられた哺乳動物のセット中で、そのようなT細胞を哺乳動物に所与の投与量で投与した際に、本発明のTCR(又はその機能的変異体若しくは機能的部分)、ポリペプチド又はタンパク質を発現するT細胞によって分泌されるIFN−γの程度を比較することを含むアッセイ法を、哺乳動物への初期投与量を決定するために用いることができる。ある用量の投与の際に標的細胞が溶解される又はIFN−γが分泌される程度は、当該技術分野で公知の方法によってアッセイすることができる。
本発明のTCR材料の投与量はまた、特定の本発明のTCR材料の投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質及び程度によって決定される。典型的には、主治医は、年齢、体重、一般的健康状態、食事、性別、投与される本発明のTCR材料、投与経路及び治療されるがんの重篤度などの様々な要因を考慮に入れて、個々の患者を治療する本発明のTCR材料の投与量を決定する。本発明のTCR材料が細胞集団である実施形態では、1回の注入当たりに投与される細胞数は、例えば、約1×106〜約1×1012細胞、又はそれ以上で変化してもよい。ある実施形態では、1×106未満の細胞を投与してもよい。
当業者であれば、改良によって本発明のTCR材料の治療効果又は予防効果が増大するように、本発明のTCR材料を任意の数の方法で改良することができることを容易に理解するであろう。例えば、本発明のTCR材料は、直接的又は間接的な架橋のいずれかを介して標的部分に結合させることができる。標的部分に化合物、例えば、本発明のTCR材料を結合させることは当該技術分野で公知である。本明細書中で使用される場合、用語「標的部分(targeting moiety)」は、標的部分が、本発明のTCR材料を表面に受容体が発現している細胞集団に向かわせることを指揮するように、細胞表面受容体を特異的に認識して結合する任意の分子又は作用物質をいう。標的部分としては、抗体又はその断片、ペプチド、ホルモン、成長因子、サイトカイン及び細胞表面受容体(例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、CD28、血小板由来増殖因子受容体(PDGF)、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)など)に結合する任意の他の天然又は非天然リガンドが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で使用される用語「架橋」という用語は、本発明のTCR材料を標的部分に連結する任意の作用物質又は分子を指す。当業者は、本発明のTCR材料の機能のために必要でない本発明のTCR材料上の部位は、架橋及び/又は標的部分を結合させるための理想的な部位であることを認識している。但し、一旦本発明のTCR材料に結合したその架橋及び/又は標的部分は、本発明のTCR材料の機能、すなわちTGに結合する能力又はがんを検出、治療若しくは予防する能力を妨害しないことが条件である。
本発明の医薬組成物、TCR(その機能的変異体を含む)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞又は細胞集団は、がんを治療又は予防する方法において使用することができると期待される。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明のTCR(及びその機能的変異体)は、TCR(又は関連する本発明のポリペプチド若しくはタンパク質及びその機能的変異体)が、細胞によって発現されるとき、TGを発現する標的細胞に対する免疫応答を媒介することができるように、TGに特異的に結合すると考えられる。これに関して、本発明は、哺乳動物のがんを治療又は予防する方法を提供するものであって、哺乳動物のがんを治療又は予防するための有効量で、本明細書に記載の任意の医薬組成物、TCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド若しくはタンパク質、又は明細書に記載の任意のTCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド若しくはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組換え発現ベクター、又は本明細書に記載の任意のTCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド若しくはタンパク質をコードする組換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞集団を哺乳類に投与すること含んでいる。
本発明の一実施形態は、本明細書に記載の任意の医薬組成物、TCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド若しくはタンパク質、又は本明細書に記載の任意のTCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸若しくは組換え発現ベクター、又は本明細書に記載の任意のTCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド若しくはタンパク質をコードする組換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞集団を提供するものであり、哺乳動物におけるがんの治療又は予防に使用される。
本明細書で使用される場合、用語「治療(treat)」及び「予防(prevent)」ならびにそれに由来する用語は、100%又は完全な治療又は予防を意味する必要はない。むしろ、当業者が潜在的な利益又は治療効果を有すると認識する様々な程度の治療又は予防が存在する。これに関して、本発明の方法は、哺乳類におけるがんの治療又は予防の任意のレベルを提供することができる。さらに、本発明の方法によって提供される治療又は予防は、治療又は予防されるがんの1以上の状態若しくは症状の治療又は予防を含むことができる。例えば、治療又は予防は、腫瘍の退行を促進することを含むことができる。また、本明細書の目的のためには、「予防(prevention)」は、がんの兆候又はその症状若しくは状態を遅延させることを包含することができる。
また、哺乳動物のがんの存在を検出する方法も提供される。該方法は、(i)本明細書に記載された任意の本発明のTCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、細胞集団、抗体若しくはその抗原結合部位又は医薬組成物と、哺乳動物由来の1以上の細胞を含む試料を接触させることを含んでいる。それによって複合体を形成し、該複合体を検出し、該複合体の検出が哺乳動物におけるがんの存在を示す指標となる。
哺乳動物におけるがんを検出する本発明の方法に関して、細胞の試料は、全細胞、その溶解物又は全細胞溶解物の一部、例えば、核若しくは細胞質画分、全タンパク質画分又は核酸画分を含むことができる。
本発明の検出方法の目的のために、該接触を哺乳動物に関して、インビトロ又はインビボで行うことができる。好ましくは、該接触はインビトロで行う。
また、該複合体の検出は、当技術分野で公知の任意の数の方法によって行うことができる。例えば、本明細書に記載の本発明のTCR(及びその機能的変異体)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、細胞集団又は抗体若しくはその抗原結合部分は、検出可能な標識、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えば、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)及び元素粒子(例えば、金粒子)で標識することができる。
本発明の方法の目的のために、宿主細胞又は細胞集団が投与されるが、該細胞は、哺乳動物に対して同種又は自己由来であり得る。好ましくは、該細胞は哺乳動物に対して自己由来である。
本発明の方法に関して、該がんは以下を含む任意のがんであり得る。任意の急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、肺胞横紋筋肉腫、骨癌、脳癌、乳癌、肛門・肛門管若しくは肛門直腸の癌、眼の癌、肝内胆管の癌、関節の癌、頸部・胆嚢若しくは胸膜の癌、鼻・鼻腔若しくは中耳の癌、口腔の癌、膣の癌、外陰部の癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、消化管カルチノイド腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、下喉頭癌、腎臓癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌、悪性中皮腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、神経芽細胞腫、中咽頭癌、卵巣癌、陰茎癌、膵臓癌、腹膜癌、大網癌、腸間膜癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎臓癌、皮膚癌、小腸癌、軟部組織癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、尿管癌及び膀胱癌である。好ましいがんは、甲状腺癌又は神経芽細胞腫である。
本発明の方法で言及する哺乳動物は、任意の哺乳動物であり得る。本明細書で使用される場合、用語「哺乳動物(mammal)」は、マウス及びハムスターのようなげっ歯類の哺乳動物及びウサギのようなウサギ目の哺乳動物を含む、任意の哺乳動物を意味するが、これらに限定されない。好ましくは、哺乳動物はネコ科(ネコ)及びイヌ科(イヌ科)を含む食肉目である。より好ましくは、哺乳動物はウシ属(ウシ)及びイノシシ属(ブタ)を含むウシ目、又はウマ科(ウマ)を含むウマ目である。最も好ましくは、哺乳動物は霊長目、セボイド目若しくはシモイド目(サル)又は類人猿(ヒト及び類人猿)である。特に好ましい哺乳動物はヒトである。
以下の実施例において、本発明をさらに説明するが、言うまでもなく、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下の材料及び方法を実施例1〜7に用いた。
細胞株、組織、ペプチド、及び抗体
10%ウシ胎児血清(FBS;Sigma, St. Louis, MO)、10IU/L甲状腺刺激ホルモン(TSH;Sigma-Aldrich)、インスリン−トランスフェリン−セレン(Life Technologies)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Life Technologies, Carlsbad, CA)中で、ヒュルトレがん細胞株XTC(内分泌外科部門、NCI)を維持した。HLA−A2を発現するXTC株(XTC/A2)を、HLA−A*0201を有するレトロウイルスでXTCを形質導入することにより樹立した(手術部門、NCI)。使用した細胞株はTopalian et al., J.Immunol., 142(10): 3714-25(1989)に記載のように、手術部門において切除腫瘍から作製したメラノーマ株624及び938を含んでいた。Cos7、T2及び293GP細胞株を、NCIの手術部門から入手した。線維芽細胞(手術部門、NCI)及び小気道上皮細胞(Lonza, Walkersville, MD)を含む正常なヒト初代培養株を実験の対照として使用し、10%FBSを含むRPMI1640培地(Life Technologies)で維持した。対照として用いたがん細胞株は以下の通り:MDA231(乳腺癌;HLA−A2+)、MDA468(乳腺癌;HLA−A2−)、H2087(肺癌;HLA−A2+)、BE−3(食道下部のバレット食道関連腺癌;HLA−A2+)、SK−BR3(乳腺癌;HLA−A2−)、SK−OV3(卵巣腺癌;HLA−A2−)、BIC(ヒト食道腺癌、HLA−A2+)及び4つの腎細胞癌腫株(HLA−A2+;外科部門、NCI)。
全てのペプチド(Pi Prometrics, Huntsville, AL)をHLA−A*0201結合アルゴリズムに基づいて合成した。インビトロ刺激のために、20個の最良なHLA−A2結合性9マー(-mers)及び10個の最良な10マー(-mers)を選択した。ペプチド1〜8は、以下のTGエピトープを表す:1-TLLASICWV(配列番号29)、2-NLFGGKFLV(配列番号2)、3-ELPEFLLFL(配列番号30)、4-ALVLEIFTL(配列番号31)、5-ILQRRFLAV(配列番号32)、6-ALLRSGPYM(配列番号33)、7-LVEIFTLL(配列番号34)、8-VQQVQCWCV(配列番号35)。
TAQMANリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT−qPCR)
RNAを、外科的に切除した組織から採取するか、又は商業的に購入した(Clonetech, Mountain View, CA)。相補的DNA(cDNA)を、高容量cDNA逆転写キット、又はSUPERSCRIPT III First-Strand cDNA合成システム(Life Technologies)によって合成した。抗原の比較のために、以下のRT-PCR Taqmanプローブを使用した:3'TG(00968047_ml)、TPO(Hs00374163_A1)、IYD(Hs00416923_A1)、FOXE1(Hs00915085_S1)、PAX8(Hs00247586_m1)、及びACTB(Hs03023880_g1)(Life Technologies)。TGについては、正常組織パネルにおけるTGの低発現を評価するために、カスタムデザインのTaqmanプライマー/プローブを用いた。絶対コピー数を、7500FASTリアルタイムPCRシステム(Life Technologies)を用いて、各cDNAをコードするプラスミドを対照として作成した標準曲線に基づいて算出した。
アデノウイルスの調製
正常な甲状腺に由来する全RNAを、RNeasy miniキット(Qiagen, Valencia, CA)を用いて手術標本から精製し、ランダムヘキサマーをプライマーとしたcDNAを、SUPERSCRIPT III First-Strand cDNA合成システム(Life Technologies)により合成した。TG42−8348の5'側に由来する2つの短いcDNA断片(TG42−2186及びTG2172−4292)をPCR増幅し、In−Fusionクローニングキット(Clonetech)を用いてpShuttle2ベクターにクローニングした。配列確認後、pShuttle2/TG42−4292プラスミドをHEK293細胞にトランスフェクションし、ウエスタンブロッティング(抗体:sc-7836, Santa Cruz Biotechnology)を行うことにより、TGタンパク質の産生を調べた。pShuttle2/TG42−4292プラスミドから、制限酵素消化によりサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター−TG42−4292断片を得て、pAdeno-Xプラスミドにクローニングした。このプラスミドを、製造者の指示(ADENO-X発現システム1、Clonetech)に従って、組換えアデノウイルスを増幅するために使用した。増幅したウイルスをADENO-X maxi精製キット(Clonetech, Mountain View, CA)で精製し、PD10ゲルろ過カラム(GE Healthcare Life Sciences, Pittsburgh, PA)を用いて緩衝液をPBSと交換した。感染性ウイルスの力価を、ADENO-X rapidタイターキット(Clonetech)を用いて測定した。
Yeti/A2マウスの免疫
Yeti/HLA−A*0201(Yeti/A2)を作製するために、Yetiマウス(Stetson et al., J.Exp.Med., 198(7): 1069-76(2003))を、HLA−A*0201トランスジェニックマウスと交配させた。マウスはまた、IFN−γレポーター遺伝子である黄色蛍光タンパク質(YFP)のトランスジェニックであった。Yetiシステムでは、YFPの発現はIFN−γプロモーターによって駆動される。これらのマウスの細胞がIFN−γを産生する場合、細胞がYFPも発現するのを蛍光顕微鏡で視覚化することができ、又は蛍光活性化細胞スキャン(FACS)によって検出することができる。1億コロニー形成単位(CFU)の組換えアデノウイルス/TG42−4292を用いて、2週間の間隔でYeti/A2を免疫した(半分には尾基部の静脈注射、他方の半分には尾基部への皮下注射を行った)。2回目のアデノウイルスを用いた免疫の2週間後、脾臓細胞を採取し、10%ウシ胎児血清(FBS;Life Technologies)、55μM2−メルカプトエタノール(Life Technologies)、1mMピルビン酸ナトリウム(Life Technologies)、1×MEM非必須アミノ酸(Life Technologies)、10μg/mLゲンタマイシン(Life Technologies)、10U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Life Technologies)及び250ng/mLのアンホテリシンB(Life Technologies)を含むRPMI(Life Technologies)に組換えヒト・インターロイキン(IL)−2(30IU/ml)を添加した中で、細胞濃度が100万細胞/ウェルとなるように24ウェルプレート上に播種した。個々のペプチドを、最終濃度で1μMとなるように添加した。1週間での再刺激を、以下に記載するように行った。HLA−A*0201陽性のエプスタイン−バーウイルスで形質転換したBリンパ芽球様T2細胞を100Gyで照射し、1μMの濃度で各ペプチドを室温で2時間パルスした。培地で3回洗浄した後、T2細胞をYeti脾細胞におよそ1:1の細胞数比となるよう加えた。2回目のインビトロ刺激の2日後、蛍光顕微鏡(AX10, Zeiss)及びフローサイトメトリー(FACS; FACSCanto II, BD Biosciences)を用いて黄色蛍光タンパク質(YFP)発現を分析した。YFPを発現した培養細胞を、TG発現標的細胞(TGを発現するようにトランスフェクトしたXTC/A2及びCosA2)との共培養のために選択し、IFN−γ分泌によって反応性を調べた。T細胞受容体遺伝子をクローニングする目的で、RNeasyキットを用いてTG反応性を有する培養細胞からRNAを精製した。
レトロウイルス上清の作製
Robbins et al., J. Clin. Oncol, 29(7): 917-24 (2011)に記載されているように、リポフェクタミン2000(Life Technologies)を用いて、抗TG−TCR及びエンベロープタンパク質(RD114)をコードするレトロウイルスベクターで、293GP細胞を共トランスフェクションすることにより、レトロウイルス上清を作製した。リポフェクションの翌日、培地を新しい培地と交換した。上清を48時間後に回収し、抗CD3で刺激した末梢血リンパ球(PBL)を形質導入するために使用した。
抗CD3で刺激したPBLのレトロウイルス導入
全てのPBLは、施設内治験審査委員会が承認した試験に登録された患者からの白血球除去輸血によって収集した。Cohen et al., Cancer Res., 66(17): 8878-86 (2006)に記載のように、5%ヒト血清(Valley Biomedical Inc., Winchester, VA)、及びPBLにとって300IU/mlとなる濃度のIL−2(Prometheus, San Diego, CA)を含有するAIM−V培地(Life Technologies)を用いて、リンパ球を培養した。同種異系ドナーに由来するPBLを、形質導入が行われる前の2日間、可溶性の抗CD3(OKT3、50ng/mL)及びIL−2(300IU/mL)で刺激した。刺激後、レトロネクチン(10μg/mLの濃度で400μLのPBSに溶解されている;宝酒造、日本)で最初にコートした24ウェルプレートに、細胞を加え、続いてウイルス含有培養上清を添加し、遠心分離(2000×g、32℃、2時間)した。ウイルスを添加した後、刺激したPBLを1ウェル当たり5×105細胞の濃度で添加し、プレートを1000×gで10分間遠心分離した。プレートを5%CO2インキュベーター内において、37℃で一晩インキュベートした。翌日、新しいレトロネクチンでコーティングし、ウイルスを添加した24ウェルプレートに細胞を移すことで、2回目の形質導入を行った。細胞を0.5〜1×106細胞/mLの間の細胞密度に維持した。形質導入効率を、形質導入したPBLにおけるマウスTCR−β発現のFACS分析で確認した。
サイトカイン放出アッセイ
既に、Wang et al., J. Immunol Methods, 366(1-2): 43-51 (2011)に記載のように、形質導入したPBLによるインターフェロン(IFN)−γの放出を決定した。簡潔には、10%FBSを含むRPMI中で37℃、5%CO2条件下で、レトロウイルス形質導入細胞(1×105)を18〜22時間、5×104標的細胞(XTC、XTC/A2、CosA2又はTGでトランスフェクトしたCosA2)又は対照腫瘍細胞株と共に培養した。後日、IFN−γ分泌を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により決定した。
実施例1
この実施例は、TGが正常組織、原発性甲状腺癌及びリンパ節転移癌において発現していることを実証する。
甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ペアード・ボックス8(PAX8)、フォークヘッドボックスE1(FOXE1)、ヨードチロシン脱ヨウ素酵素(IYD)及びサイログロブリン(TG)(van Staveren et al., Cancer Res., 67(17): 81 13-20 (2007))を含む甲状腺特異的抗原の発現を、TAQMAN定量的RT−PCRによって調べた。これらの全ての甲状腺特異的抗原のうち、TGは正常な甲状腺、原発性甲状腺癌、及び甲状腺癌のリンパ節転移癌、において最高の発現を維持した(図1A)。非甲状腺、正常ヒト組織で、TGの低発現を観察した。甲状腺組織におけるTG発現は、他の正常な組織における発現よりも高かった(図1B)。これらのデータに基づいて、養子細胞治療のための甲状腺特異的標的抗原の候補としてTGを同定した。
実施例2
この実施例はTG470−478によるYeti/A2脾細胞の刺激を実証する。
HLA−A0201制限ネズミT細胞は、HLA−A0201及びIFN−γレポーター遺伝子(黄色蛍光タンパク質)をトランスジェニックしたYetiマウスを、TG遺伝子の5'半分(TG42−4292)をコードするアデノウィルスでワクチンすることによって作製した。該マウスは、TG含有アデノウイルスでワクチン接種した日を0日目とし、14日目に同じアデノウイルスで2回目のワクチン接種を行った。28日目に脾臓細胞を採取し、採取して直ぐインビトロでTGペプチドによって刺激し、35日目に2回目のインビトロでのTGペプチド刺激を行った。
2回目のインビトロ刺激の2日後、Yeti/A2脾細胞によるIFN−γレポーター遺伝子YFPの発現を、フローサイトメトリーによって測定した。TG類縁ペプチドでパルスしたT2細胞との共培養後、刺激した脾細胞におけるYFP発現を、また紫外線顕微鏡法で評価した。
TG470−478エピトープ(NLFGGKFLV;配列番号2)を表すペプチド2で刺激した細胞は、フローサイトメトリー及び顕微鏡検査によって決定したように、YFPシグナルを産生した。このバルク培養細胞を、無関係(T2/MART)又はTG470−478ペプチド(T2/TG)でパルスしたT2細胞、GFP又はTGcDNAでトランスフェクトしたCOSA2細胞(CosA2/GFP及びCosA2/TG)、HLA−A2でトランスフェクションした若しくはしなかったTG+甲状腺癌細胞株であるXTC細胞に対する反応性について試験した(図2)。ペプチド2で刺激した脾細胞は、XTC/A2細胞、CosA2/TG細胞及び類縁ペプチドでパルスしたT2細胞に対して強い反応性を示した。
実施例3
この実施例は実施例2のTG470−478で刺激した脾細胞からのネズミ抗TG−TCRの単離を実証する。
全RNAを、RNA単離キット(RNeasy, Qiagen)によりバルク培養細胞から単離した。TCRα及びβ鎖のcDNAの5'末端の増幅を、SMARTer 5'RACEキット(Clonetech)によって、以下のプライマーを用いて行った:ユニバーサルプライマーAミックス(Clonetech)、α特異的プライマー5'-GGCTACTTTCAGCAGGAGGA-3'(配列番号36)、β特異的プライマー5'-AGGCCTCTGCACTGATGTTC-3'(配列番号37)。TCRα及びβのcDNA分子をTAクローニングによりTOPOベクターに挿入した。α鎖及びβ鎖の48の個々のコロニーからのプラスミドを精製し、配列決定した。この配列分析によってオリゴクローン性を明らかにした。α鎖がTRAV3D-3*02/J22*01であるのは27/48コロニー、α鎖がTRAV15N-1*01であるのは21/48コロニー及びβ鎖がTRBV26*01/D2*01/J2-5*01であるのは45/47コロニーであった。TRAV15N-1*01は非生産的組換えであったため無視した。シーケンスデータに基づいて、以下のプライマーを合成した(Life Technologies):α鎖についてはTCRαフォワード(配列番号38)及びTCRαリバース(配列番号39)及びβ鎖についてはTCRβフォワード(配列番号43)及びTCRβリバース(配列番号40)。RT−PCRによりα鎖及びβ鎖の全長cDNAを単離した。α鎖及びβ鎖cDNAは、それぞれ配列番号11及び12をコードした。
実施例4
この実施例は実施例3のネズミ抗TG−TCRをコードするレトロウイルス組換え発現ベクターの作製を実証する。
実施例3に記載の全長のα鎖及びβ鎖を単離した後、配列番号41、42及び43を7:2:1のモル比で混合したものをフォワードプライマー、配列番号40をリバースプライマーとして用いて、自己切断2Aペプチド配列をβ鎖の5'に導入した。
増幅後、α鎖及び2A−β鎖を、ネズミ幹細胞ウイルス・ベースのレトロウイルスベクターpMSGV(Zhao et al., J. Immunol., 174(7): 4415-23 (2005))の変異物であるレトロウイルスベクターMSGV1(配列番号21)に、InFusion反応(Clonetech)によりクローニングした。マウス抗TG−TCRをコードするプラスミドは、自己切断p2A領域(配列番号28)によって隔てられたα鎖及びβ鎖(それぞれ、配列番号11及び12)をコードする7394塩基対の配列であった。サンガーシーケンシングによりプラスミドの配列を確認した。
実施例5
この実施例は、ネズミ抗TG−TCRをコードするレトロウイルスベクターによるドナーPBLの形質導入を実証する。
抗CD3で刺激したヒト・ドナーPBLを、実施例4のベクターにより、レトロウイルスで形質導入した。形質導入の3日後、T細胞を、抗CD3、抗CD8及びマウス抗TCRβ鎖又は抗MART−1/HLA−A2四量体に対する抗体で標識することによりFACS分析を実施した。3人のドナー患者に由来するPBLの形質導入効率は高く(80〜90%)、CD4+T細胞とCD8+T細胞との間に有意差はなかった。実験を5回以上実施し、それぞれで同様の結果であった。
実施例6
この実施例はHLA−A*0201+/TG+標的に対するネズミ抗TG−TCRの反応性を実証する。
抗CD3で刺激したPBLを、実施例4のネズミ抗TG−TCR又は抗MART−1 TCRをコードするレトロウイルスベクターで形質導入した。非形質導入細胞を、対照として使用した。形質導入の3日後に、1×105の形質導入細胞又は対照細胞を、TG(NLFGGKFLV(配列番号2))(T2/TG)又はMART−1(T2/MART−1)ペプチドのいずれかでパルスした5×104のT2細胞と共培養した。ネズミ抗TG−TCR(配列番号11及び12)を発現するPBLは、非常に低い濃度(<0.1nM)でペプチドを認識し、抗MART−1 TCR対照を認識しなかった(図3A)。
マウス抗TG−TCR(配列番号11及び12)をコードするベクターで形質導入したPBLについて、腫瘍細胞株又はTGを発現するようにトランスフェクトした細胞株との共培養後に、ヒトIFN−γの放出を決定することによって反応性を分析した。XTC/A2及びCosA2/TGを含む、HLA−A2+TG+細胞株に応答するネズミ抗TG−TCR(配列番号11及び12)をコードするベクターで形質導入したPBLは、高レベルのIFN−γを放出した(図3B)。
実施例7
この実施例はHLA−A*0201+/TG+標的に対するネズミ抗TG−TCRの特異性を実証する。
XTC、XTC/A2、並びにH2087、BIC、BE−3、SK−OV3、SK−BR3、MDA231、MDA468、4つの腎細胞癌株、正常ヒト線維芽細胞及び小気道上皮細胞を含む、TG及びHLA−A*0201のいずれか又は両方を発現しない細胞株パネル及び正常組織に対する反応性を分析することによって、ネズミ抗TG−TCR(配列番号11及び12)の特異性を試験した(表1)。表1に示すように、全ての細胞株はXTC/A2を除き、HLA−A*0201−及びTG−のいずれか又は両方であった。ネズミ抗TG−TCR(配列番号11及び12)をコードするベクターで形質導入したPBLは、HLA−A2+/TG+XTC/A2細胞株に対してのみ反応性を示し、TG陰性又はHLA−A*0201陰性の任意の細胞株に対して反応性を示さなかった。HLA−A*0201−患者及びHLA−A*0201+患者由来の、TGを発現している、新しい切除組織、正常な組織、原発性甲状腺組織に対するネズミ抗TG−TCRの更なる試験により、ネズミ抗TG−TCR形質導入PBLは、IFN−γを分泌し、HLA−A*0201+/TG+に対する反応性を示したが、HLA−A*0201−/TG+組織に対する反応性を示さなかった。
実施例8
この実施例はヒト抗TG−TCRの単離及びPBLへのヒト抗TG−TCRの形質導入効率を実証する。
TG42−4292由来の30個のコンピューターアルゴリズムで予測したHLA−A2高結合ペプチドで、ヒトのPBLを個別に4回刺激した。4回のインビトロ刺激後、TG3−11ペプチド(LVLEIFTLL、配列番号58)で刺激した培養細胞はXTC/A2に対して反応性を示した。この培養細胞について限界希釈クローニングを行い、分析した28クローンのうち、1つのクローン14がTG特異的反応性を有していた。細胞の増殖後、5'RACE、続いてRT−PCRによってTCRα及びβ遺伝子をクローニングした(それぞれ配列番号54及び55をコードする)。PBLを、ヒト抗TG−TCRをコードするレトロウイルス発現ベクターで形質導入した。
形質導入したPBLにおけるヒト抗TG−TCR発現の形質導入効率を、FACS分析で確認した。2人のドナー患者由来のPBLの形質導入効率は高く(75〜80%)、CD4+T細胞とCD8+T細胞との間に有意差はなかった。
実施例9
この実施例においては実施例8のヒト抗TG−TCRの反応性を示す。
実施例8のヒト抗TG−TCRを形質導入したPBLを種々の濃度のMART−1又はTG3−11でパルスしたT2細胞と共培養し、IFN−γを測定した(pg/ml)。結果を表2Aに示す。
実施例3のネズミ抗TG−TCRで形質導入したPBLを、種々の濃度のMART−1又はTG470−478でパルスしたT2細胞と共培養した。結果を表2Bに示す。
表2A及び2Bに示すように、ネズミ抗TG−TCRの反応性は、ヒト抗TG−TCRの反応性よりも優れていたが、ヒト抗TG−TCRで形質導入したPBLは、TG3−11でパルスした細胞に対して反応性であった。
実施例8のヒト抗TG−TCR又は実施例3のマウス抗TG−TCRで形質導入したPBLを、COSA2/GFP細胞、COSA2/TG細胞、624Mel細胞、XTC細胞又はXTC/A2細胞と共培養し、IFN−γを測定した(pg/ml)。結果を表3に示す。
表3に示すように、マウス抗TG−TCRの反応性はヒト抗TG−TCRの反応性よりも優れていたが、ヒト抗TG−TCRで形質導入したPBLは、HLA−A2+/TG+細胞株に対して反応性であった。
別の実験において、形質導入していない(UT)、又は実施例8のヒト抗TG−TCR、実施例3のマウス抗TG−TCR若しくは抗MART−1 TCRで形質導入した2人の患者由来のPBLを、COSA2/GFP細胞、COSA2/MART−1細胞、TGを発現するよう形質導入したCos7−HLA−A*01細胞(COSA1/TG細胞)、COSA2/TG細胞、624Mel細胞(MART−1+)、938Mel細胞、XTC細胞又はXTC/A2細胞と共培養し、IFN−γを測定した(pg/ml)。結果を表4A(患者1)及び表4B(患者2)に示す。
HLA−A*0201−患者及びHLA−A*0201+患者に由来する、TGを発現し、新しく切除した、正常な、原発性甲状腺組織に対するヒト抗TG−TCRのさらなる試験によって以下を実証した。IFN−γ分泌を測定した場合、ヒト抗TG−TCRを形質導入したPBLはHLA−A*0201+/TG+に対して反応性であったが、HLA−A*0201−/TG+組織に対しては反応性ではなかった。
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