以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大、縮小、あるいは誇張して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
本実施形態では、光電変換装置の例としてイメージセンサーを挙げ、電子機器の例としてこのイメージセンサーを適用した生体情報取得装置を例に挙げて説明する。
<電子機器>
次に、本実施形態に係る光電変換装置を備えた電子機器の一例としての生体情報取得装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子機器の一例としての生体情報取得装置の構成を示す斜視図である。図2は、生体情報取得装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る生体情報取得装置200は、人体Mの手首(リスト)に装着する携帯型の情報端末装置である。生体情報取得装置200では、手首の内部における血管の画像情報から生体における血管の位置を特定することや、非侵襲で光学的に当該血管の血液中の特定成分、例えばグルコースなどの含有量を検出することで血糖値を特定することができる。
生体情報取得装置200は、手首に装着可能な環状のベルト164と、ベルト164の外側に取り付けられた本体部160と、本体部160に対して対向する位置においてベルト164の内側に取り付けられたセンサー部150とを有している。
本体部160は、本体ケース161と、本体ケース161に組み込まれた表示部162とを有している。本体ケース161には、表示部162だけでなく、操作ボタン163や、後述する制御部165などの回路系(図2参照)、電源としての電池などが組み込まれている。
センサー部150は、本実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100を受光部として備えている(図2参照)。センサー部150は、ベルト164に組み込まれた配線(図1では図示を省略)により本体部160と電気的に接続されている。イメージセンサー100は、光電変換素子として複数のフォトセンサー50を備え、各フォトセンサー50は受光素子としてフォトダイオード20を有している(図4参照)。
このような生体情報取得装置200は、手の甲と反対の手のひら側の手首にセンサー部150が接するように手首に装着して用いられる。このように装着することで、センサー部150が皮膚の色によって検出感度が変動することを避けることができる。
なお、本実施形態に係る生体情報取得装置200では、ベルト164に対して本体部160とセンサー部150とを分けて組み込んだ構成となっているが、本体部160とセンサー部150とを一体としベルト164に組み込んだ構成としてもよい。
図2に示すように、生体情報取得装置200は、制御部165と、制御部165に電気的に接続されたセンサー部150と、記憶部167と、出力部168と、通信部169とを有している。また、出力部168に電気的に接続された表示部162を有している。
センサー部150は、発光装置130と、イメージセンサー100とを備えている。発光装置130とイメージセンサー100とは、それぞれ制御部165に電気的に接続されている。発光装置130は、波長が700nm〜2000nmの範囲の近赤外光ILを発する光源部を有している。制御部165は発光装置130を駆動して近赤外光ILを発光させる。近赤外光ILは人体Mの内部に伝搬して散乱する。人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部を反射光RLとしてイメージセンサー100で受光することができる構成となっている。
制御部165は、イメージセンサー100により受光した反射光RLの情報を記憶部167に記憶させることができる。そして、制御部165は、当該反射光RLの情報を出力部168で処理させる。出力部168は、当該反射光RLの情報を血管の画像情報に変換して出力したり、血液中の特定成分の含有情報に変換して出力したりする。また、制御部165は、変換された血管の画像情報や血液中の特性成分の情報を表示部162に表示させることができる。そして、これらの情報を通信部169から他の情報処理装置に送信することができる。
また、制御部165は、通信部169を介して他の情報処理装置からプログラムなどの情報を受け取って記憶部167に記憶させることができる。通信部169は有線によって他の情報処理装置と接続される有線通信手段でもよいし、ブルートゥース(Blue tooth(登録商標))などの無線通信手段であってもよい。なお、制御部165は、取得した血管や血液に纏わる情報を表示部162に表示させるだけでなく、記憶部167に予め記憶させたプログラムなどの情報や、現在時刻などの情報を表示部162に表示させてもよい。また、記憶部167は脱着可能なメモリーであってもよい。
<センサー部>
次に、本実施形態に係る生体情報取得装置200が有するセンサー部150について、図3および図4を参照して説明する。図3は、センサー部の構成を示す概略斜視図である。図4は、センサー部の構造を示す概略断面図である。
図3に示すように、センサー部150は、イメージセンサー100と遮光部110と可変分光部120と発光装置130と保護部140とを有している。これらの各部はそれぞれ板状であって、イメージセンサー100上に、遮光部110、可変分光部120、発光装置130、保護部140の順に積層された構成となっている。
なお、センサー部150は、各部が積層された積層体を収容し、ベルト164に取り付け可能なケース(図示省略)を有している。以下の説明では、上記積層体の一辺部に沿った方向をX方向とし、一辺部と直交する他の辺部に沿った方向をY方向とし、上記積層体の厚み方向に沿った方向をZ方向とする。また、センサー部150を保護部140の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
図4に示すように、発光装置130は、透光性の基板本体131と、基板本体131の一方の面131aに設けられた光源部133と、透光部132とを有している。光源部133としては、例えば、LED素子や有機エレクトロルミネッセンス素子などを用いることができる。光源部133や透光部132と重なるように保護部140が設けられている。保護部140は、例えば、カバーガラスやプラスチックなどの透明な板である。
保護部140の一方の面140aに接するように人体Mが配置される。光源部133は、保護部140側に近赤外光ILが射出される構成となっており、人体Mの内部で散乱した近赤外光ILの一部である反射光RLは透光部132を透過して、下層の可変分光部120へ導かれる。
可変分光部120は、固定基板121と、可動基板122とを含む。可変分光部120では、固定基板121と可動基板122との間の隙間(ギャップ)を電気的に制御することで、可変分光部120を透過する反射光RLの分光分布(分光特性)を変えることができる。可変分光部120を透過した反射光RLは下層の遮光部110に導かれる。
遮光部110は、透光性の基板本体111と、基板本体111の可変分光部120側の面111aに対して反対側の面111bに設けられた遮光膜113とを有している。遮光膜113には、発光装置130の透光部132の配置に対応する位置に開口部(ピンホール)112が形成されている。遮光部110は、開口部112を透過した反射光RLだけがフォトダイオード20に導かれ、それ以外の反射光RLが遮光膜113によって遮光されるように、可変分光部120とイメージセンサー100との間に配置されている。
イメージセンサー100は、近赤外光に対して高い光感度を有している。イメージセンサー100の詳細構成については後述する。イメージセンサー100は、フォトダイオード20が設けられた側が遮光部110と対向するように配置される。複数のフォトダイオード20のそれぞれは、遮光部110における開口部112の配置に対応した位置に配置される。開口部112を透過した反射光RLは、フォトダイオード20に入射する。
上記の構成に加えて、フォトダイオード20に入射する反射光RLに可視光が混ざることを抑制するために、例えば可視光波長範囲(400nm〜700nm)の光をカットするフィルターが、発光装置130の透光部132や、遮光部110の開口部112に対応して配置されていてもよい。
なお、センサー部150の構成は、これに限定されるものではない。例えば、発光装置130は、保護部140を含む構成としてもよく、保護部140によって光源部133を封止する構造としてもよい。また、透光部132を透過した光は、屈折率が異なる部材の界面で反射して減衰するおそれがあるので、例えば、発光装置130の基板本体131の面131bと、可変分光部120とが接するように、発光装置130と可変分光部120とを貼り合わせてもよい。また、可変分光部120と遮光部110の面111aとが接するように貼り合わせてもよい。このようにすれば互いの厚み方向(Z方向)における位置関係をより確実なものとすることができる。
(第1の実施形態)
<光電変換装置>
次に、第1の実施形態に係る光電変換装置としてのイメージセンサー100について、図5および図6を参照して説明する。上述したように、イメージセンサー100は、光電変換素子として複数のフォトセンサー50を備えている。図5は、第1の実施形態に係るフォトセンサーの電気的な構成を示す等価回路図である。図6は、第1の実施形態に係るフォトセンサーの構成を示す概略断面図である。
図5に示すように、イメージセンサー100は、複数の走査線3aと、走査線3aと交差する複数の読出線14とを有している。走査線3aはX方向に沿って延在しており、読出線14はY方向に沿って延在している。フォトセンサー50は、走査線3aと読出線14との交差に対応して設けられている。
フォトセンサー50は、受光素子としてのフォトダイオード20と増幅トランジスター11とリセットトランジスター12と選択トランジスター13とを有している。増幅トランジスター11、リセットトランジスター12、および選択トランジスター13は、薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)で構成されている。
フォトダイオード20のアノードは負電源線17に接続され、負電源線17には負電源電位Vssが供給される。フォトダイオード20のカソードは、増幅トランジスター11のゲートとリセットトランジスター12のソースとに接続されている。増幅トランジスター11のドレインとリセットトランジスター12のドレインとは、正電源線16に接続され、正電源線16には正電源電位Vddが供給される。
増幅トランジスター11のソースと、選択トランジスター13のドレインとが接続されている。選択トランジスター13のソースは読出線14に接続され、選択トランジスター13のゲートは走査線3aに接続されている。また、リセットトランジスター12のゲートは、リセット信号線15に接続されている。
フォトセンサー50による光量の測定は、以下のように行われる。まず、増幅トランジスター11のゲートが正電源電位Vddに充電される。次いで、フォトダイオード20を、例えばτの期間に渡って露光する。この露光期間中において、リセットトランジスター12はオフ状態にされているので、フォトダイオード20の接合リーク電流Iに応じて増幅トランジスター11のゲート電位Vgが変化する。
このようにして露光が終了すると、増幅トランジスター11のゲート電位Vgは、Vg=Vdd−Iτ/CTとなる。なお、CTは増幅トランジスター11のトランジスター容量である。接合リーク電流は光量が多い程大きいので、光量に応じて増幅トランジスター11のゲート電位Vgは変化する。この結果生ずる増幅トランジスター11のコンダクタンスの変化を、読み出し期間中にフォトセンサー50毎に計測することにより、露光期間中に照射された光量を測定できる。
図6に示すように、第1の実施形態に係るフォトセンサー50は、基板10と、基板10上に設けられたフォトダイオード20とを備えている。第1の実施形態に係るフォトダイオード20は、基板10側から順に積層された、第1電極としての下部電極21と、セレン化膜としての中間層22と、p型半導体層23と、n型半導体層24と、第2電極としての上部電極25とで構成されている。
なお、図6はフォトセンサー50のY方向に沿った断面図であり、図6における手前から奥へ向かう方向がX方向であり、上方に向かう方向がZ方向である。図6において、フォトセンサー50をフォトダイオード20の法線方向(Z方向)から見ることを「平面視」という。
基板10は、基板本体1と絶縁膜1aと増幅トランジスター11とゲート絶縁膜3と層間絶縁膜4と中継配線5と正電源線16と負電源線17と絶縁膜6と平坦化層7とを有している。基板本体1は、例えば、透明なガラスや不透明なシリコンなどからなる。絶縁膜1aは、基板本体1の表面を覆うように形成されている。
増幅トランジスター11は、半導体層2とゲート電極3gとを有している。半導体層2は、例えば、多結晶シリコンで形成され、絶縁膜1a上に島状に設けられている。半導体層2は、チャネル領域2cとドレイン領域2dとソース領域2sとを有している。半導体層2を覆うように、例えばSiO2(酸化シリコン)などの絶縁材料によってゲート絶縁膜3が形成されている。
ゲート電極3gは、ゲート絶縁膜3上において、半導体層2のチャネル領域2cに対向する位置に形成されている。層間絶縁膜4は、ゲート絶縁膜3とゲート電極3gとを覆うように形成されている。
中継配線5と正電源線16と負電源線17とは、層間絶縁膜4上に、例えばAl(アルミニウム)などの金属材料を用いて形成されている。中継配線5は、層間絶縁膜4を貫通する貫通孔を介してゲート電極3gに電気的に接続されている。正電源線16は、層間絶縁膜4とゲート絶縁膜3とを貫通する貫通孔を介して半導体層2のドレイン領域2dに電気的に接続されている。
絶縁膜6は、中継配線5と正電源線16と負電源線17とを覆うように形成されている。絶縁膜6は、例えば、SiN(窒化シリコン)などを用いて形成されている。平坦化層7は、絶縁膜6を覆うように形成されている。平坦化層7は、例えば、SiO2(酸化シリコン)などを用いて形成されている。絶縁膜6および平坦化層7には、平面視で負電源線17と重なる部分に貫通孔7aが形成され、平面視で中継配線5と重なる部分に貫通孔7bが形成されている。
基板10上(平坦化層7上)には、第1電極としての下部電極21と、第3電極としての中継電極26とが同一層に形成されている。下部電極21と中継電極26とは、第1金属としての高融点金属を含む導電膜で構成されている。したがって、一つの導電膜を同一層に成膜しパターニングして下部電極21と中継電極26とを形成できるので、フォトセンサー50を簡易な構成とすることができる。
下部電極21および中継電極26を構成する高融点金属としては、例えば、Mo(モリブデン)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などが挙げられる。中でも、Moは、電気特性が良好であり、かつ、製造が容易であるため、下部電極21および中継電極26の材料として好適に用いることができる。
下部電極21を構成する導電膜は、絶縁膜6および平坦化層7に設けられた貫通孔7aを埋めるように成膜されている。貫通孔7aを埋める導電膜により、コンタクトホールCNT1が形成される。下部電極21は、コンタクトホールCNT1を介して負電源線17に電気的に接続されている。
下部電極21上には、下部電極21に接して、高融点金属のセレン化物からなる中間層22が形成されている。中間層22は、下部電極21として成膜された導電膜(図7(a)に示す導電膜21a)の表層部がセレン化されたセレン化膜である。下部電極21を構成する高融点金属としてMoを用いる場合、中間層22は、セレン化モリブデン(MoSe2)で構成される。
中間層22は、平面視で下部電極21の外形よりも内側に配置されている。したがって、下部電極21は、平面視で中間層22の周囲に位置し中間層22と重ならない周縁部を有している。下部電極21の周縁部の層厚は、例えば250nm程度である。下部電極21のうち平面視で中間層22と重なる部分の層厚は、周縁部の層厚よりも薄く、例えば200nm程度である。また、中間層22の層厚は、例えば100nm程度である。
下部電極21および中間層22が上記のような層厚を有している場合、下部電極21を構成する導電膜の層厚250nmのうち、表層側の層厚50nmの部分がセレン化されることにより厚くなって層厚100nmの中間層22となり、この結果、層厚200nmの導電膜が下部電極21として残ったことを意味している。
ここで、仮に下部電極21を構成する導電膜の平面的な領域全体がセレン化された場合、コンタクトホールCNT1を形成する部分、すなわち、貫通孔7aで負電源線17と電気的に接続される部分も表層側がセレン化されることとなる。そうすると、その分だけセレン化されずに残される導電膜の層厚が薄くなるため、コンタクトホールCNT1の部分における配線抵抗が高くなってしまう。本実施形態では、下部電極21を構成する導電膜のうち、上層に形成されるp型半導体層23と平面視で重なる領域以外はセレン化されていないので、コンタクトホールCNT1の部分における配線抵抗が低く抑えられる。
中継電極26を構成する導電膜は、絶縁膜6および平坦化層7に設けられた貫通孔7bを埋めるように成膜されている。中継電極26を構成する導電膜のうち、貫通孔7bを埋める部分によりコンタクトホールCNT2が形成される。中継電極26は、コンタクトホールCNT2を介して中継配線5に電気的に接続され、中継配線5を介してゲート電極3gに電気的に接続されている。
中継電極26の層厚は、下部電極21の周縁部の層厚と同じであり、例えば250nm程度である。したがって、下部電極21のうち平面視で中間層22と重なる部分の層厚は、中継電極26の層厚よりも薄い。また、中継電極26上には、中間層22のようなセレン化膜は形成されていない。すなわち、中継電極26を構成する導電膜はセレン化されていないので、中継配線5と電気的に接続されるコンタクトホールCNT2を形成する部分を含む中継電極26の配線抵抗を低く抑えることができる。
基板10(平坦化層7)と下部電極21と中継電極26とを覆うように、絶縁層8が形成されている。絶縁層8は、平面視で下部電極21と重なる開口部8aと、平面視で中継電極26と重なる開口部8bとを有している。開口部8aは、平面視で下部電極21の外形よりも内側に中間層22と重なるように配置されている。換言すれば、下部電極21の外形は開口部8aよりも大きく、中間層22は平面視で開口部8aと重なる領域に配置されている。
絶縁層8は、例えば、SiOx(酸化シリコン)やSiNx(窒化シリコン)で構成される。本実施形態では、絶縁層8はSiNで形成されており、絶縁層8の層厚は、例えば200nm程度である。
p型半導体層23は、中間層22上に形成されている。p型半導体層23は、例えば、平面視で中間層22の外形よりも内側に配置されている。すなわち、p型半導体層23は、絶縁層8の開口部8aよりも内側に配置されている。なお、p型半導体層23が、開口部8aよりも大きく、その周縁部が絶縁層8に乗り上げるように形成されていてもよい。
p型半導体層23は、第11族元素である銅(Cu)、第13族元素であるインジウム(In)、第16族元素であるセレン(Se)を含むカルコパイライト構造のCIS系(CuInSe2)の半導体膜で構成される。p型半導体層23は、銅(Cu)、インジウム(In)、第13族元素であるガリウム(Ga)、セレン(Se)を含むカルコパイライト構造のCIGS系(Cu(In、Ga)Se2)の膜で構成されていてもよい。カルコパイライト構造のCIS系膜およびCIGS系膜は、光電変換率に優れており、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有している。
また、フォトダイオード20では、下部電極21とp型半導体層23との間に中間層22が配置されている。すなわち、下部電極21に中間層22が接し、中間層22にp型半導体層23が接している。これにより、下部電極21とp型半導体層23とが接している場合と比べて、下部電極21と中間層22とp型半導体層23とのそれぞれの境界においてオーミック接触が得られるので、下部電極21とp型半導体層23との間の接触抵抗を低く抑えることができる。
絶縁層8と中間層22とp型半導体層23とを覆うように、保護層9が形成されている。保護層9は、例えば、SiOxやSiNxで構成される。本実施形態では、保護層9はSiNで形成されており、保護層9の層厚は、例えば500nm程度である。
保護層9は、平面視でp型半導体層23と重なる開口部9aと、平面視で中継電極26と重なる貫通孔9bとを有している。開口部9aは、平面視でp型半導体層23の外形よりも内側に配置されている。貫通孔9bは、例えば、絶縁層8の開口部8bよりも内側に配置され、中継電極26に到達するまで貫通するように形成されている。なお、貫通孔9bは、開口部8bと同じ平面積で形成されていてもよい。
n型半導体層24は、p型半導体層23上に積層され形成されている。n型半導体層24は、例えば、開口部9aよりも大きく、その周縁部が保護層9に乗り上げるように形成されている。
n型半導体層24は、例えば、ノンドープの真性半導体膜であるi−ZnO(イントリンジック酸化亜鉛)膜と、n型不純物がドープされたZnO(n+)膜とで構成されていてもよい。なお、真性半導体膜とは、意図的にドナー原子やアクセプター原子を添加してない半導体膜である。本実施形態では、p型半導体層23の上に真性半導体膜が積層され、さらに真性半導体膜の上にn型不純物がドープされた半導体膜が積層されている。
上部電極25は、保護層9上に、n型半導体層24を覆うように形成されている。上部電極25は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電膜で形成されている。上部電極25を構成する導電膜は、平面視で中継電極26と重なる領域まで延在しており、保護層9の貫通孔9bを埋めるように成膜されている。
上部電極25を構成する導電膜のうち、貫通孔9bを埋める部分により、コンタクトホールCNT3が形成される。上部電極25は、コンタクトホールCNT3を介して中継電極26に電気的に接続され、コンタクトホールCNT2を介して中継配線5に電気的に接続され、さらに中継配線5を介してゲート電極3gに電気的に接続されている。
コンタクトホールCNT3において、上部電極25を構成する導電膜は、中継電極26と接している。中継電極26上には、下部電極21上の中間層22のようなセレン化膜が形成されていないので、中継電極26と上部電極25との接触抵抗を低く抑えることができる。
下部電極21と中間層22とp型半導体層23とn型半導体層24と上部電極25とでフォトダイオード20が構成される。フォトダイオード20において、p型半導体層23およびn型半導体層24の領域のうち保護層9によって覆われていない領域、すなわち、平面視で開口部9a内に配置された領域が受光領域50aとなっている。フォトセンサー50では、受光領域50aに光が入射するとフォトダイオード20に光量に応じた光電流が流れる。
以上、説明したように、第1の実施形態に係るフォトダイオード20は、カルコパイライト構造のp型半導体層23を備えているので、光電変換率に優れ、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有する。そして、フォトダイオード20では、下部電極21とp型半導体層23との間にセレン化膜からなる中間層22が配置されているため、下部電極21と中間層22とp型半導体層23とのそれぞれの境界においてオーミック接触が得られるので、下部電極21とp型半導体層23との間の接触抵抗を低く抑えることができる。また、下部電極21のコンタクトホールCNT1部分と、コンタクトホールCNT2部分を含む中継電極26とはセレン化されていないので、配線抵抗を低く抑えることができる。これらにより、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高感度で安定して動作するイメージセンサー100を提供することができる。
<光電変換装置の製造方法>
次に、第1の実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図7、図8、および図9を参照して説明する。ここでは、本発明の特徴であるフォトセンサー50の製造方法を説明する。図7、図8、および図9は、第1の実施形態に係るフォトセンサーの製造方法を説明する図である。なお、図7、図8、および図9の各図は、図6の部分拡大図に相当する。
図7(a)に示す工程の前に、基板10を準備する。基板10は、基板本体1上に増幅トランジスター11などのトランジスター類、層間絶縁膜4、絶縁膜6、平坦化層7など(図6参照)を公知の半導体製造技術を用いて形成することにより得られる。
まず、図7(a)に示すように、基板10における平面視で負電源線17と重なる領域に、絶縁膜6および平坦化層7を貫通して負電源線17に到達する貫通孔7aを形成する。また、基板10における平面視で中継配線5と重なる領域に、絶縁膜6および平坦化層7を貫通して中継配線5に到達する貫通孔7bを形成する。そして、基板10上に高融点金属を含む導電膜21aを、例えば、物理気相堆積法(PVD:Physical Vapor Deposition)を用いて、100nm以上かつ500nm以下の膜厚で成膜する。これにより、基板10を覆うとともに貫通孔7aおよび貫通孔7bを埋めるように導電膜21aが形成される。
導電膜21aの膜厚が100nm以上であると、下部電極21および中継電極26となる導電膜21aの配線抵抗が高くなることを抑制できる。一方、導電膜21aの膜厚が500nm以下であると、下部電極21および中継電極26による段差が大きくなる事態を抑制できるとともに、厚膜に起因する大きな内部ストレスが原因となる膜剥がれを抑制することができる。本実施形態では、高融点金属としてMo(モリブデン)を用いて、スパッタリング法により250nmの膜厚で導電膜21aを成膜した。
次に、図7(b)に示すように、導電膜21aをパターニングして、下部電極膜21bと中継電極26とを形成する。下部電極膜21bのうちの貫通孔7aを埋める導電膜によりコンタクトホールCNT1が形成され、コンタクトホールCNT1を介して下部電極膜21bが負電源線17に電気的に接続される。また、中継電極26のうちの貫通孔7bを埋める導電膜によりコンタクトホールCNT2が形成され、コンタクトホールCNT2を介して中継電極26が中継配線5に電気的に接続される。
次に、図7(c)に示すように、基板10(平坦化層7)と下部電極膜21bと中継電極26とを覆うように、SiOxやSiNxからなる絶縁層8を形成する。絶縁層8は、例えば、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)を用いて、50nm以上かつ700nm以下の膜厚で形成する。絶縁層8は、後述する熱処理を施す工程において、下部電極膜21bのうち所望の領域(図8(a)に示す中間層22を形成する領域)以外の部分のセレン化を抑止する役割を果たす。
絶縁層8の膜厚が50nm以上であると、下部電極膜21bと中継電極26とを覆う被覆性が確保できる。一方、絶縁層8の膜厚が700nm以下であると、厚膜に起因する大きな内部ストレスが原因となる膜剥がれを抑制することができる。絶縁層8の膜厚は、100nm〜300nmであることが好ましい。本実施形態では、SiNからなる絶縁層8を200nmの膜厚で形成した。
続いて、絶縁層8における平面視で下部電極膜21bと重なる領域に、開口部8aを形成する。開口部8aは、平面視でコンタクトホールCNT1と重ならない領域に、下部電極膜21bの外形よりも小さい面積で形成される。これにより、下部電極膜21bのうち、コンタクトホールCNT1を除く部分であって、下部電極膜21bの外形よりも内側の領域が開口部8aから露出する。なお、中継電極26は絶縁層8で覆われている。
次に、図7(d)に示すように、下部電極膜21b上に第11族元素と第13族元素とを含む金属膜を形成する。本実施形態では、開口部8a内に露出する下部電極膜21bと絶縁層8とを覆うように、第11族元素として銅(Cu)からなる金属膜23aと、第13族元素としてインジウム(In)からなる金属膜23bとを、スパッタリング法を用いて積層して成膜した。
続いて、金属膜23aおよび金属膜23bに対して、第16族元素を含む気体の雰囲気中で熱処理を施す。第16族元素としては、例えば、セレン(Se)、硫黄(S)、テルル(Te)などを用いることができる。熱処理の温度は、例えば、400℃以上かつ550℃以下とする。
本実施形態では、第16族元素を含む気体としてセレン化水素(H2Se)を用い、H2Se雰囲気中で450℃の温度で熱処理を施した。なお、第16族元素を含む気体として硫化水素(H2S)を用いてもよいし、H2Se雰囲気中で熱処理を施した後にH2S雰囲気中でさらに熱処理を施すこととしてもよい。
この熱処理は、金属膜23aおよび金属膜23bを第16族元素と反応させてカルコパイライト構造のp型半導体層23(図8(a)参照)とするための処理である。熱処理の温度が400℃以上であると、金属膜23aおよび金属膜23bが第16族元素と良好に反応する。一方、熱処理の温度が550℃以下であると、高温に晒されることによる基板10(基板本体1)の変形や金属の析出などの弊害が生じることが抑えられる。
このようにH2Se雰囲気中で熱処理を施すことにより、図8(a)に示すように、カルコパイライト構造の半導体膜からなるp型半導体層23が形成される。本実施形態では、H2Se雰囲気中で熱処理を施すことにより、金属膜23a(Cu)と金属膜23b(In)とがセレン化されてCIS(CuInSe2)系膜からなるp型半導体層23が形成される。
なお、p型半導体層23を形成する金属膜として、CuとInとに加えて、第13族元素であるガリウム(Ga)をさらに含む金属膜を形成してもよい。この場合、図7(d)に示す工程において、CuとGaとの合金からなる金属膜23aを成膜し、金属膜23a上にInからなる金属膜23bを積層する。そして、熱処理を施すことにより、金属膜23a(CuGa)と金属膜23b(In)とがセレン化されてCIGS(Cu(In、Ga)Se2)系膜からなるp型半導体層23が形成される。
また、H2Se雰囲気中で熱処理を施すことにより、下部電極膜21b(Mo)のうち平面視で開口部8aと重なる領域の表層部がセレン化されて、モリブデンのセレン化物であるセレン化モリブデン(MoSe2)膜が形成される。このセレン化膜が中間層22となる。そして、下部電極膜21bのうち、セレン化されなかった部分(平面視で開口部8aと重なる領域における中間層22の下方側、および平面視で開口部8aと重ならない部分)のMo膜が下部電極21となる。この結果、下部電極21とp型半導体層23との間に中間層22が配置される。
このように、熱処理により、カルコパイライト構造のp型半導体層23が形成されるとともに、開口部8a内における下部電極21とp型半導体層23との間に、モリブデンがセレン化されたセレン化膜が中間層22として形成される。そのため、下部電極21と中間層22との境界、および中間層22とp型半導体層23との境界でオーミック接触が得られるので、下部電極21とp型半導体層23との間の接触抵抗を低く抑えることができる。また、これらの各層の界面での密着性を向上させることができる。
中間層22(MoSe2膜)の膜厚は、100nm以下であることが好ましい。中間層22の膜厚が厚くなるほど、下部電極21として残されるMo膜の膜厚が薄くなって配線抵抗が高くなる。さらに、下部電極膜21bの膜厚すべてがセレン化されてしまうと、下部電極21(Mo膜)が残らなくなり、p型半導体層23が基板10から剥離することとなる。
なお、Mo膜がセレン化されてMoSe2膜になると、MoSe2膜の膜厚は元のMo膜の膜厚の複数倍となる。本実施形態では、下部電極膜21bの元の膜厚250nmに対して、中間層22(MoSe2膜)の膜厚が100nm程度となり、残された下部電極21(Mo膜)の膜厚が200nm程度となった。
上記の熱処理において、仮に絶縁層8が形成されていない場合、下部電極膜21bおよび中継電極26の平面的な領域全体においてその表層部がセレン化される。そうすると、コンタクトホールCNT1を含む下部電極21、およびコンタクトホールCNT2を含む中継電極26の領域全体において、配線抵抗が高くなってしまう。また、中継電極26の表層部がセレン化されると、後の工程で中継電極26に接して形成される上部電極25と中継電極26との間にセレン化膜が介在することとなり、上部電極25と中継電極26との間の接触抵抗が高くなってしまう。
これに対して、本実施形態では、下部電極膜21bのうちの中間層22を形成する領域以外の領域と、中継電極26の領域全体とを絶縁層8で覆っているので、熱処理において、これらの領域のセレン化を抑止できる。これにより、コンタクトホールCNT1を含む下部電極21、およびコンタクトホールCNT2を含む中継電極26の配線抵抗を低く抑えるとともに、上部電極25と中継電極26との間の接触抵抗を低く抑えることができる。
次に、図8(b)に示すように、p型半導体層23をパターニングして、p型半導体層23のうち絶縁層8上にある部分を除去する。これにより、絶縁層8の開口部8a内において、中間層22上にp型半導体層23が配置される。なお、p型半導体層23を開口部8aよりも広く、p型半導体層23の周縁部が絶縁層8に乗り上げるようにパターニングしてもよい。
続いて、絶縁層8における平面視で中継電極26と重なる領域であって、平面視でコンタクトホールCNT2と重ならない領域に、開口部8bを形成する。これにより、開口部8b内に中継電極26が露出する。
次に、図8(c)に示すように、中継電極26とp型半導体層23と絶縁層8とを覆うようにSiOxやSiNxからなる保護層9を形成する。本実施形態では、化学気相成長法を用いて、SiNからなる保護層9を500nmの膜厚で形成した。そして、保護層9における平面視でp型半導体層23と重なる領域に開口部9aを形成する。これにより、開口部9a内にp型半導体層23が露出する。
次に、図9(a)に示すように、p型半導体層23上に、真性半導体膜とn型不純物がドープされた半導体膜とを積層してn型半導体層24を形成する。本実施形態では、スパッタリング法によりノンドープのi−ZnO膜とn型不純物がドープされたZnO(n+)膜とを積層して成膜し、パターニングしてn型半導体層24を形成した。
次に、図9(b)に示すように、保護層9における平面視で開口部8bと重なる領域に、コンタクトホールCNT3を形成するため、中継電極26に到達する貫通孔9bを形成する。これにより、貫通孔9b内に中継電極26が露出する。なお、図8(b)に示す工程で絶縁層8に開口部8bを形成せず、図9(b)に示す工程で保護層9と絶縁層8とを貫通するように貫通孔9bを形成してもよい。
次に、図9(c)に示すように、n型半導体層24を覆うとともに貫通孔9bを埋めるように、透光性を有する導電膜で上部電極25を形成する。本実施形態では、n型半導体層24と保護層9との上に、スパッタリング法によりITO膜を成膜し、パターニングして上部電極25を形成した。これにより、下部電極21と上部電極25との間に積層配置されたp型半導体層23とn型半導体層24と、下部電極21とp型半導体層23との間に配置された中間層22とを有するフォトダイオード20が構成される。
また、上部電極25を構成する導電膜で貫通孔9bを埋めることにより、コンタクトホールCNT3が形成される。これにより、上部電極25は、コンタクトホールCNT3を介して中継電極26に電気的に接続され、コンタクトホールCNT2を介して中継配線5に電気的に接続され、さらに中継配線5を介してゲート電極3gに電気的に接続される。この結果、フォトダイオード20を有するフォトセンサー50が構成される。
以上により、第1の実施形態に係るフォトセンサー50を備えたイメージセンサー100が完成する。第1の実施形態に係る光電変換装置の製造方法によれば、下部電極21のうち中間層22を形成する領域を選択的にセレン化し、それ以外の下部電極21の領域と中継電極26とを絶縁層8で覆ってセレン化を抑止できる。この結果、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有し、信頼性の高いイメージセンサー100を安定的に製造することができる。
(第2の実施形態)
<光電変換装置>
第2の実施形態では、第1の実施形態に対して、光電変換装置としてのイメージセンサー100におけるフォトセンサーの構成が異なっている。第2の実施形態に係るフォトセンサー60について、図10を参照して説明する。図10は、第2の実施形態に係るフォトセンサーの構成を示す概略断面図である。
図10に示すように、第2の実施形態に係るフォトセンサー60は、基板10と基板10上に設けられたフォトダイオード30とを備えている。基板10は、第1の実施形態と同様の構成を有する。第2の実施形態に係るフォトダイオード30は、基板10側から順に積層された、第1電極としての下部電極31と、セレン化膜としての中間層22と、p型半導体層23と、n型半導体層24と、第2電極としての上部電極25とで構成されている。また、フォトセンサー60は、基板10上(平坦化層7上)に、第3電極としての中継電極34を有している。
第2の実施形態に係るフォトセンサー60は、第1の実施形態に係るフォトセンサー50に対して、基板10(平坦化層7)上に絶縁層8が設けられていない点と、下部電極31上に金属酸化層32が設けられ中継電極34上に金属酸化層35が設けられている点とが異なる。ここでは、第2の実施形態に係るフォトセンサー60について、主として第1の実施形態に係るフォトセンサー50との相違点を説明する。
下部電極31と中継電極34とは、基板10上(平坦化層7上)の同一層に形成されている。下部電極31と中継電極34とは、第1の実施形態と同様に、第1金属としての高融点金属を含む導電膜で構成されている。下部電極31および中継電極34の平面的な形状および配置は、第1の実施形態における下部電極21および中継電極26の平面的な形状および配置と同様である。
下部電極31を構成する導電膜で平坦化層7に設けられた貫通孔7aを埋めることにより、負電源線17に電気的に接続するためのコンタクトホールCNT1が形成されている。また、中継電極34を構成する導電膜で平坦化層7に設けられた貫通孔7bを埋めることにより、中継配線5に電気的に接続するためのコンタクトホールCNT2が形成されている。
下部電極31上には金属酸化層32が形成され、中継電極34上には金属酸化層35が形成されている。金属酸化層32および金属酸化層35は、下部電極31および中継電極34を構成する高融点金属の酸化物からなる。すなわち、金属酸化層32および金属酸化層35は、下部電極31および中継電極34として成膜された導電膜(図11(a)に示す導電膜21a)の表層部が酸化されたものである。下部電極31および中継電極34を構成する高融点金属としてMoを用いる場合、金属酸化層32および金属酸化層35は、酸化モリブデン(MoO2、MoO3等)で構成される。
金属酸化層32および金属酸化層35は、第1の実施形態における絶縁層8と同様に、カルコパイライト構造のp型半導体層23を形成するための熱処理を施す工程(図11(d)参照)において、下部電極31および中継電極34となる導電膜31aのうち中間層22を形成する領域以外の部分のセレン化を抑止する役割を果たす。
下部電極31上に形成された金属酸化層32は、開口部33を有している。下部電極31上の開口部33と平面視で重なる領域に、下部電極31として成膜された導電膜の表層部がセレン化されたセレン化膜(MoSe2等)からなる中間層22が配置されている。下部電極31のうち平面視で中間層22と重なる部分の層厚は、周縁部の層厚よりも薄くなっている。中間層22の層厚は、第1の実施形態と同程度である。また、下部電極31のうち平面視で中間層22と重なる部分の層厚は、中継電極34の層厚よりも薄い。
第2の実施形態に係るフォトセンサー60においても、フォトダイオード30の下部電極31とp型半導体層23との間にセレン化膜からなる中間層22が配置されている。したがって、下部電極31と中間層22とp型半導体層23とのそれぞれの境界においてオーミック接触が得られるので、下部電極31とp型半導体層23との間の接触抵抗を低く抑えることができる。また、これらの各層の界面での密着性を向上させることができる。下部電極31のp型半導体層23と接触する部分以外の領域にはセレン化膜が形成されていないので、下部電極31の配線抵抗を低く抑えることができる。
中継電極34上に形成された金属酸化層35は、開口部36を有している。中継電極34は、開口部36と平面視で重なる領域に形成されたコンタクトホールCNT3を介して、上層に設けられた上部電極25と電気的に接続されている。中継電極34の上部電極25と接触する部分には、金属酸化層35やセレン化膜が形成されていないので、中継電極34と上部電極25との接触抵抗を低く抑えることができる。また、中継電極34上には、上部電極25と接触する部分だけでなく全領域にセレン化膜が形成されていないので、中継電極34の配線抵抗を低く抑えることができる。
金属酸化層32および金属酸化層35の層厚は、10nm〜100nm程度であることが好ましい。例えば、下部電極31および中継電極34として成膜された導電膜の膜厚を250nmとしその表層側の層厚50nmの部分を酸化させると、導電膜の表層側が酸化されることにより厚くなって、層厚100nm程度の金属酸化層32および金属酸化層35が形成される。この場合、層厚200nm程度の導電膜が下部電極31および中継電極34として残されることとなる。
以上、説明したように、第2の実施形態に係るフォトダイオード30も、第1の実施形態に係るフォトダイオード20と同様に、カルコパイライト構造のp型半導体層23を備えているので、光電変換率に優れ、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高い光感度を有する。そして、下部電極31と中間層22とp型半導体層23とのそれぞれの境界においてオーミック接触が得られるので、下部電極31とp型半導体層23との間の接触抵抗を低く抑えることができる。また、下部電極31のコンタクトホールCNT1部分と、コンタクトホールCNT2部分を含む中継電極34とはセレン化されていないので、配線抵抗を低く抑えることができる。これらにより、第1の実施形態と同様に、可視光から近赤外光まで広い波長域に亘って高感度で安定して動作するイメージセンサー100を提供することができる。
<光電変換装置の製造方法>
次に、第2の実施形態に係る光電変換装置の製造方法について、図11、図12、および図13を参照して説明する。ここでは、フォトセンサー60の製造方法について、主として第1の実施形態との相違点を説明する。図11、図12、および図13は、第2の実施形態に係るフォトセンサーの製造方法を説明する図である。なお図11、図12、および図13の各図は、図10の部分拡大図に相当する。
まず、図11(a)に示すように、第1の実施形態と同様に基板10(平坦化層7)を覆うとともに平坦化層7の貫通孔7aおよび貫通孔7bを埋めるように、Mo(モリブデン)などの高融点金属を含む導電膜21aを形成する。第2の実施形態においても、高融点金属としてMo(モリブデン)を用いて、スパッタリングにより250nmの膜厚で導電膜21aを成膜した。
次に、図11(b)に示すように、導電膜21aの表層側を酸化させることにより、金属酸化膜32aを形成する。金属酸化膜32aを形成する方法としては、例えば、酸素雰囲気中でのスパッタリングや酸素雰囲気中(250℃以上の高温下)での熱処理などを用いることができる。導電膜21a(図11(a)参照)のうち、表層側が酸化されて金属酸化膜32aとなり、酸化されなかった部分が導電膜31aとして残される。この結果、基板10上に、導電膜31aと、導電膜31aを覆う金属酸化膜32aとが形成される。
金属酸化膜32aの膜厚は、上述したように、10nm〜100nm程度であることが好ましい。金属酸化膜32aの膜厚が10nmであると、後述する熱処理において導電膜31aのうち中間層22を形成する領域以外の部分のセレン化を良好に抑止できる。また、金属酸化膜32aの膜厚が100nm以下であると、次の工程で金属酸化膜32aに開口部33を形成する際に、この部分の金属酸化膜32aを除去する加工を容易に行うことができる。本実施形態では、導電膜21aの元の膜厚250nmに対して金属酸化膜32a(MoOx)の膜厚が100nm程度となり、残された導電膜31a(Mo)の膜厚が200nm程度となった。
次に、図11(c)に示すように、金属酸化膜32aのうち中間層22を形成する領域と平面視で重なる部分をエッチング処理などにより除去して、開口部33を形成する。エッチング処理では、開口部33内の金属酸化膜32aを確実に除去しつつ、導電膜31aの膜厚が薄くなり過ぎないように、エッチング量を適宜調整する。これにより、金属酸化膜32aの開口部33内に導電膜31aが露出する。
次に、図11(d)に示すように、開口部33内に露出する導電膜31aと金属酸化膜32aとを覆うように、第11族元素と第13族元素とを含む金属膜として、銅(Cu)からなる金属膜23aとインジウム(In)からなる金属膜23bとを、スパッタリング法などを用いて積層して成膜する。
続いて、図11(d)に示すように、金属膜23aおよび金属膜23bに対して、第16族元素を含む気体の雰囲気中で熱処理を施す。第2の実施形態においても、第16族元素を含む気体としてセレン化水素(H2Se)を用い、H2Se雰囲気中で450℃の温度で熱処理を施すこととする。
H2Se雰囲気中で熱処理を施すことにより、図12(a)に示すように、カルコパイライト構造の半導体膜からなるp型半導体層23が形成される。本実施形態では、CIS(CuInSe2)系膜からなるp型半導体層23が形成される。また、導電膜31a(Mo)のうち平面視で開口部33と重なる領域の表層部がセレン化されて、セレン化モリブデン(MoSe2)膜からなる中間層22が形成される。この結果、下部電極31となる導電膜31aとp型半導体層23との間に中間層22が配置される。
本実施形態では、導電膜31aの元の膜厚200nmに対して、中間層22(MoSe2)の膜厚が100nm程度となり、残された導電膜31a(Mo)の膜厚が150nm程度となった。この結果、導電膜31aのうち平面視で中間層22と重なる部分の層厚は、導電膜31aのうち後の工程で中継電極34となる部分を含む他の領域の層厚よりも薄くなる。
この熱処理において、導電膜31aのうちの中間層22を形成する開口部33内以外の領域は金属酸化膜32aで覆われているので、これらの領域のセレン化を抑止できる。これにより、後の工程で形成されるコンタクトホールCNT1を含む下部電極31、およびコンタクトホールCNT2を含む中継電極34の配線抵抗を低く抑えるとともに、上部電極25と中継電極34との間の接触抵抗を低く抑えることができる。
ここで、図11(d)に示す工程において成膜された金属膜23a(および金属膜23b)は、金属酸化膜32aの開口部33内で導電膜31aと接し、開口部33内を除く領域では金属酸化膜32aと接している。そして、熱処理を経て形成された図12(a)に示すp型半導体層23は、金属酸化膜32aの開口部33内で中間層22と接し、開口部33内を除く領域では金属酸化膜32aと接している。p型半導体層23(または熱処理前の金属膜23a)と金属酸化膜32aとの密着性は、第1の実施形態におけるp型半導体層23(または熱処理前の金属膜23a)と絶縁層8との密着性よりも良好である。
したがって、第1の実施形態においてp型半導体層23(または熱処理前の金属膜23a)が絶縁層8の開口部8a内を除く領域で絶縁層8と接する場合(図8(a)参照)と比べて、第2の実施形態では、基板10側へのp型半導体層23(または熱処理前の金属膜23a)の密着性が向上する。そのため、図11(d)に示す工程から図12(b)に示す工程までの間におけるp型半導体層23(または積層された金属膜23aおよび金属膜23b)の浮きや膜剥がれが、第1の実施形態よりも生じにくくなる。これにより、第2の実施形態では、第1の実施形態と比べて生産の安定化と製造歩留まりの向上とを図ることができる。
次に、図12(b)に示すように、p型半導体層23をパターニングして、p型半導体層23のうち金属酸化膜32a上にある部分を除去する。これにより、金属酸化膜32aの開口部33内において、中間層22上にp型半導体層23が配置される。
次に、図12(c)に示すように、導電膜31aをパターニングして、下部電極31と中継電極34とを形成する。下部電極31のうち平坦化層7の貫通孔7aを埋める導電膜によりコンタクトホールCNT1が形成され、コンタクトホールCNT1を介して下部電極31が負電源線17に電気的に接続される。中継電極34のうち平坦化層7の貫通孔7bを埋める導電膜によりコンタクトホールCNT2が形成され、コンタクトホールCNT2を介して中継電極34が中継配線5に電気的に接続される。また、導電膜31aをパターニングすることにより、金属酸化膜32aもパターニングされて、下部電極31上に金属酸化層32が配置され、中継電極34上に金属酸化層35が配置される。
次に、図12(d)に示すように、中継電極34上の金属酸化層35のうち、平面視でコンタクトホールCNT2(平坦化層7の貫通孔7b)と重ならない領域の一部をエッチング処理などにより除去して、開口部36を形成する。これにより、金属酸化層35の開口部36内に中継電極34が露出する。この開口部36内において、後の工程で上層に形成される上部電極25と中継電極34とが電気的に接続される。
次に、図13(a)に示すように、下部電極31および金属酸化層32と、p型半導体層23と、中継電極34および金属酸化層35とを覆うようにSiOxやSiNxからなる保護層9を形成する。そして、保護層9における平面視でp型半導体層23と重なる領域に開口部9aを形成する。これにより、開口部9a内にp型半導体層23が露出する。
次に、図13(b)に示すように、p型半導体層23上にスパッタリング法などにより、ノンドープのi−ZnO膜などの真性半導体膜と、n型不純物がドープされたZnO(n+)膜などの半導体膜とを積層してn型半導体層24を形成する。
次に、図13(c)に示すように、保護層9における平面視で金属酸化層35の開口部36と重なる領域に、コンタクトホールCNT3を形成するため、中継電極34に到達する貫通孔9bを形成する。これにより、貫通孔9b内に中継電極34が露出する。
次に、n型半導体層24を覆うとともに貫通孔9bを埋めるように、スパッタリング法などによりITO膜などの透光性を有する導電膜で上部電極25を形成する。これにより、図10に示すように、下部電極31と上部電極25との間に積層配置されたp型半導体層23とn型半導体層24と、下部電極31とp型半導体層23との間に配置された中間層22とを有するフォトダイオード30が構成される。
また、上部電極25を構成する導電膜で貫通孔9bを埋めることにより、コンタクトホールCNT3が形成される。これにより、上部電極25は、コンタクトホールCNT3を介して中継電極34に電気的に接続され、コンタクトホールCNT2を介して中継配線5に電気的に接続され、さらに中継配線5を介してゲート電極3gに電気的に接続される。この結果、フォトダイオード30を有するフォトセンサー60が構成される。
以上により、第2の実施形態に係るフォトセンサー60を備えたイメージセンサー100が完成する。第2の実施形態に係る光電変換装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様に、下部電極31のうち中間層22を形成する領域を選択的にセレン化し、それ以外の下部電極31の領域と中継電極34とを金属酸化層32と金属酸化層35とで覆ってセレン化を抑止できる。
そして、第1の実施形態と比べて、p型半導体層23の浮きや膜剥がれの発生を抑えて、生産の安定化と製造歩留まりの向上とを図ることができる。この結果、優れた光電変換率と可視光から近赤外光までの波長域に亘って高い光感度を有し、信頼性の高いイメージセンサー100を、より安定的に製造することができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
第2の実施形態では、図11(b)に示す工程で導電膜31a上に形成された金属酸化膜32aが、図10に示すフォトセンサー60が完成した状態においても、下部電極31上の金属酸化層32および中継電極34上の金属酸化層35として残された構成であったが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、金属酸化膜32a(金属酸化層32および金属酸化層35)が残されていない構成であってもよい。図14は、変形例1に係るフォトセンサーの製造方法を説明する図である。
図14(a)は、第2の実施形態の図12(b)に示すp型半導体層23をパターニングして中間層22上にある部分以外の領域を除去する工程に相当する。図14(a)に示すように、変形例1では、p型半導体層23をパターニングする際に、オーバーエッチングにより導電膜31a上の全領域において金属酸化膜32aを除去する。これにより、中継電極34となる部分を含む全領域において導電膜31aが露出するので、第2の実施形態の図12(d)に示す金属酸化層35に開口部36を形成して中継電極34を露出させる工程が不要となる。
以降は、第2の実施形態と同様に導電膜31aをパターニングして下部電極31と中継電極34とを形成した後、図14(b)に示すように、下部電極31とp型半導体層23と中継電極34とを覆うように保護層9を形成する。そして、図14(c)に示すように、保護層9にコンタクトホールCNT3を形成するための貫通孔9bを形成すれば、貫通孔9b内に中継電極34が露出する。したがって、変形例1に係るフォトセンサーの製造方法によれば、第2の実施形態と比べて、図12(d)に示す工程が不要となるので、イメージセンサー100の生産性を向上させることができる。
(変形例2)
上記実施形態では、p型半導体層23が、第11族元素、第13族元素、および第16族元素を含むカルコパイライト構造のCIS系やCIGS系の膜で構成されていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、p型半導体層23を、第11族元素、第12族元素、第14族元素、および第16族元素を含むCZTS(Cu2ZnSnS4)系の膜で構成してもよい。例えば、図7(d)および図11(d)に示す工程において、下部電極膜21b上に第11族元素である銅(Cu)、第12族元素である亜鉛(Zn)、および第14族元素であるスズ(Sn)の金属膜を形成し、第16族元素であるイオウ(S)を含む雰囲気中で熱処理を施すことにより、p型半導体層23をCZTS系の膜で構成できる。
(変形例3)
上記実施形態では、光電変換装置として、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20またはフォトダイオード30を備えたイメージセンサー100を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。光電変換装置は、カルコパイライト構造の半導体膜を有するフォトダイオード20またはフォトダイオード30を備えた太陽電池であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、電子機器として、血管の画像情報や血液中の特定成分などの情報を入手可能な携帯型の情報端末装置である生体情報取得装置200を例に挙げて説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。電子機器は、据置型など異なる形態の情報端末装置であってもよいし、指の静脈の画像情報を取得し予め登録された静脈の画像情報と比較することで個人を特定する生体認証装置であってもよい。また、電子機器は、指紋や眼球の虹彩などを撮像する固体撮像装置であってもよい。