以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置について、図1乃至図8、図25、及び図26を参照して説明する。
<半導体装置の構成例1>
図1(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ150の上面図であり、図1(B)は、図1(A)の一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図1(C)は、図1(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、図1(A)において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ150の構成要素の一部(ゲート絶縁膜等)を省略して図示している。なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においてもトランジスタ150と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。また、一点鎖線X1−X2方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ150は、基板102上の第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104と、基板102及び導電膜104上のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106と、絶縁膜106上の導電膜104と重畳する酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108上の第1の絶縁膜110と、第1の絶縁膜110上の酸化物半導体膜108に電気的に接続される一対の電極112a、112bと、第1の絶縁膜110及び一対の電極112a、112b上の絶縁膜114、116、118と、絶縁膜118上の導電膜120a、120bと、を有する。
また、導電膜120aは、絶縁膜114、116、118に設けられる開口部142cを介して、電極112bと接続される。また、導電膜120bは、絶縁膜118上の酸化物半導体膜108と重畳する位置に形成される。
また、トランジスタ150において、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106は、絶縁膜106aと絶縁膜106bを有する2層構造である。なお、以降に説明するトランジスタにおいても、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106の構造は、同様の構成であり、その詳細な説明は省略する。
また、トランジスタ150において、第1の絶縁膜110は、酸化物半導体膜108の保護絶縁膜としての機能を有する。第1の絶縁膜110は、少なくとも酸化物半導体膜108のチャネル領域及び側面を覆う。また、トランジスタ150において、一対の電極112a、112bは、第1の絶縁膜110に設けられる開口部140a、140bを介して酸化物半導体膜108と接する。また、トランジスタ150において、絶縁膜114、116、118は、トランジスタ150のゲート絶縁膜としての機能を有する。なお、絶縁膜114、116、118は、第2の絶縁膜と呼称する場合がある。また、トランジスタ150において、導電膜120aは、例えば、表示装置に用いる画素電極としての機能を有する。また、トランジスタ150において、導電膜120bは第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)としての機能を有する。
また、トランジスタ150において、第1の絶縁膜110は、一例としては、厚さが1nm以上50nm以下である領域を有する。また、一対の電極112a、112bは、一例としては、その間の長さ(例えば、距離、または間隔)が1μm以上6μm以下である領域を有する。第1の絶縁膜110の厚さと、一対の電極112a、112bの間の長さを上記範囲とすることで、トランジスタの電気特性の1つであるオン電流を高くすることができる。また、第1の絶縁膜110は、酸化物半導体膜108を覆う構成のため、酸化物半導体膜108に入り込む不純物を抑制することができる。したがって、信頼性が高く、電気特性の優れたトランジスタを提供することができる。
また、酸化物半導体膜108上に第1の絶縁膜110が形成されることで、例えば、一対の電極112a、112bとなる導電膜を成膜する際に酸化物半導体膜108へ与えられるダメージ(例えば、スパッタリング時のプラズマダメージなど)を抑制することが可能となる。また、酸化物半導体膜108上に第1の絶縁膜110を有する構成とすることで、例えば、一対の電極112a、112bを加工する際に酸化物半導体膜108へ与えられるダメージ(例えば、ドライエッチング時のプラズマダメージなど)を抑制することが可能となる。したがって、信頼性が高く、電気特性の優れたトランジスタを提供することができる。
ここで、図1に示す半導体装置の一部の構成要素を拡大した断面図を図2に示す。
図2は、トランジスタ150が有する導電膜104、絶縁膜106、酸化物半導体膜108、第1の絶縁膜110、一対の電極112a、112b、絶縁膜114、116、118、及び導電膜120bの断面図である。
また、図2において、第1の絶縁膜110の厚さをTinsとして、一対の電極112a、112bの間の長さをLmとして、酸化物半導体膜108と電極112aが接する電極112b側の端部と、第1の絶縁膜110と電極112aが接する電極112b側の端部との長さ、及び酸化物半導体膜108と電極112bが接する電極112a側の端部と、第1の絶縁膜110と電極112bが接する電極112a側の端部との長さをSovとして、酸化物半導体膜108と電極112aが接する電極112b側の端部と、酸化物半導体膜108と電極112bが接する電極112a側の端部との長さを、Lcとして、それぞれ表す。
第1の絶縁膜110の厚さTinsが1nm以上50nm以下、好ましくは3nm以上30nm以下、さらに好ましくは5nm以上20nm以下の場合、酸化物半導体膜108中のSovに相当する領域が、一対の電極112a、112bとの距離が短い、別言すると第1の絶縁膜110の厚さが薄い。第1の絶縁膜110の厚さを薄くすることで、一対の電極112a、112bに電界を与えた時に、当該電界が酸化物半導体膜108側にも回り込み、一対の電極112a、112bと重なる酸化物半導体膜108中の一部がn型となる。したがって、トランジスタ150の実効チャネル長を短くすることが可能となる。なお、トランジスタ150のチャネル長は、酸化物半導体膜108と一対の電極112a、112bが接する間の長さ、すなわちLcに相当する。酸化物半導体膜108中のSovに相当する領域がn型となることで、上記実効チャネル長は、一対の電極112a、112bの間の長さに相当するLmとなる。なお、一対の電極112a、112bの間の長さに相当するLmが1μm以上6μm以下の場合、オン電流を高くすることができる。
酸化物半導体膜108には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)を用いることができる。また、酸化物半導体膜108は、結晶部を含み、該結晶部のc軸が酸化物半導体膜108の被形成面の法線ベクトルに平行であると好ましい。酸化物半導体膜108が結晶部を含む構成の場合、一対の電極112a、112bに含まれる不純物(例えば銅(Cu)元素など)の酸化物半導体膜108膜中への入り込みを、抑制することができる。なお、結晶部を含む酸化物半導体膜108には、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いると好適である。
また、図1(C)の断面図に示すように、導電膜120bは、絶縁膜106a、106b、114、116、118、及び第1の絶縁膜110に設けられる開口部142a、142bにおいて、第1のゲート電極として機能する導電膜104に接続される。よって、導電膜120bと導電膜104とは、同じ電位が与えられる。
また、図1(C)の断面図に示すように、酸化物半導体膜108は、第1のゲート電極として機能する導電膜104と、第2のゲート電極として機能する導電膜120bのそれぞれと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている。第2のゲート電極として機能する導電膜120bのチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さは、酸化物半導体膜108のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長く、酸化物半導体膜108の全体は、第1の絶縁膜110、及び絶縁膜114、116、118を介して導電膜120bに覆われている。また、第2のゲート電極として機能する導電膜120bと第1のゲート電極として機能する導電膜104とは、絶縁膜106a、106b、114、116、118、及び第1の絶縁膜110に設けられる開口部142a、142bにおいて接続されるため、酸化物半導体膜108のチャネル幅方向の側面は、第1の絶縁膜110を介して第2のゲート電極として機能する導電膜120bと対向している。
別言すると、トランジスタ150のチャネル幅方向において、第1のゲート電極として機能する導電膜104及び第2のゲート電極として機能する導電膜120bは、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106、及びゲート絶縁膜として機能する絶縁膜114、116、118に設けられる開口部において接続すると共に、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106、第1の絶縁膜110、及びゲート絶縁膜として機能する絶縁膜114、116、118を介して酸化物半導体膜108を囲む構成である。
このような構成を有することで、トランジスタ150に含まれる酸化物半導体膜108を、第1のゲート電極として機能する導電膜104及び第2のゲート電極として機能する導電膜120bの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ150のように、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をsurrounded channel(s−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ150は、s−channel構造を有するため、第1のゲート電極として機能する導電膜104によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物半導体膜108に印加することができるため、トランジスタ150の電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタ150を微細化することが可能となる。また、トランジスタ150は、第1のゲート電極として機能する導電膜104及び第2のゲート電極として機能する導電膜120bによって囲まれた構造を有するため、トランジスタ150の機械的強度を高めることができる。
なお、トランジスタ150において、開口部142a、142bのいずれか一方の開口部を形成して、該開口部において導電膜120bと導電膜104を接続する構成としてもよい。
以上のように本発明の一態様の半導体装置は、酸化物半導体膜上に酸化物半導体膜の保護絶縁膜として機能する第1の絶縁膜が設けられる構成である。したがって、一対の電極に含まれる不純物を酸化物半導体膜中に入り込むのを抑制することができる。また、第1の絶縁膜は、厚さが1nm以上50nm以下である領域を有し、一対の電極は、間の長さが1μm以上6μm以下である領域を有することで、トランジスタのオン電流を高くすることができる。さらに該トランジスタの構造が上記説明したs−channel構造である。したがって、トランジスタの電流駆動能力が向上され、且つ信頼性の高い新規な半導体装置を実現することが可能となる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、第1の絶縁膜は、厚さが1nm以上50nm以下ではない領域を有してもよいし、一対の電極は、間の長さが1μm以上6μm以下ではない領域を有してもよい。または、第1の絶縁膜は、全域にわたって、厚さが1nm以上50nm以下であってもよい。または、一対の電極は、チャネル領域の全域にわたって、間の長さが1μm以上6μm以下であってもよい。
以下に、本実施の形態の半導体装置に含まれるその他の構成要素について、詳細に説明する。
<基板>
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ150を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ150の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ150は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
<導電膜>
ゲート電極として機能する導電膜104は、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。該合金としては、例えば、Cu−Mn合金などが挙げられる。また、導電膜104は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、Cu−Mn合金膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、Cu−Mn合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造、Cu−Mn合金膜上に銅膜を積層し、さらにその上にCu−Mn合金膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、導電膜104には、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
また、導電膜104と絶縁膜106aとの間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV以上、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜108より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
<ゲート絶縁膜>
トランジスタ150のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106a、106bとしては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition))法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を、それぞれ用いることができる。なお、絶縁膜106a、106bの積層構造とせずに、上述の材料から選択された単層の絶縁膜、または3層以上の絶縁膜を用いてもよい。
なお、トランジスタ150のチャネル領域として機能する酸化物半導体膜108と接する絶縁膜106bは、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁膜106bは、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜106bに酸素過剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜106bを形成すればよい。または、成膜後の絶縁膜106bに酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
また、絶縁膜106a、106bとして、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏する。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、等価酸化膜厚に対して物理的な膜厚を大きくできるため、等価酸化膜厚を10nm以下または5nm以下とした場合でも、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
なお、本実施の形態では、絶縁膜106aとして窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜106bとして酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、トランジスタ150のゲート絶縁膜として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタ150の絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタ150の静電破壊を抑制することができる。
<酸化物半導体膜>
酸化物半導体膜108は、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)がある。とくに、酸化物半導体膜108としては、In−M−Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)を用いると好ましい。
酸化物半導体膜108がIn−M−Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=1:1:1.5、In:M:Zn=3:1:2が好ましい。なお、成膜される酸化物半導体膜108の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
なお、酸化物半導体膜108がIn−M−Zn酸化物であるとき、Zn及びOを除いてのInとMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
また、酸化物半導体膜108は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタ150のオフ電流を低減することができる。
また、酸化物半導体膜108は、一例としては、厚さが3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下である領域を有する。
また、酸化物半導体膜108としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、酸化物半導体膜108は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、より好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×10−9/cm3以上1×1010/cm3未満である領域を有する。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜108のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
なお、酸化物半導体膜108として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとすることができる。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体膜108は水素ができる限り低減されていることが好ましい。一例としては、酸化物半導体膜108は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度が、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下である領域を有する。
酸化物半導体膜108において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜108において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。なお、酸化物半導体膜108は、一例としては、二次イオン質量分析法により得られるシリコン濃度または炭素濃度が、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下である領域を有する。
また、酸化物半導体膜108は、一例としては、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度が、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下である領域を有する。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物半導体膜108のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。
また、酸化物半導体膜108に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体膜108は、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度が、5×1018atoms/cm3以下である領域を有することが好ましい。
また、酸化物半導体膜108は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
酸化物半導体膜108は、例えば非晶質構造でもよい。非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
なお、酸化物半導体膜108が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する場合がある。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
<第1の絶縁膜>
トランジスタ150に用いることのできる第1の絶縁膜110としては、例えば、PECVD法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム層を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。なお、第1の絶縁膜110は、上述の材料の積層構造としてもよい。とくに、第1の絶縁膜110としては、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を用いると酸化物半導体膜108との界面特性が向上するため好ましい。
なお、第1の絶縁膜110は、酸化物半導体膜108と接するため、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。第1の絶縁膜110に酸素過剰領域を形成するには、例えば酸素雰囲気下にて第1の絶縁膜110を形成すればよい。または、成膜後の第1の絶縁膜110に酸素を導入して酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
また、第1の絶縁膜110は、SIMSで測定される窒素濃度が、一例としては、6×1020atoms/cm3以下である領域を有することが好ましい。この結果、第1の絶縁膜110において、窒素酸化物が生成されにくくなり、第1の絶縁膜110と、酸化物半導体膜108との界面におけるキャリアのトラップを低減することが可能である。また、第1の絶縁膜110を上述の範囲の窒素濃度とすることで、半導体装置に含まれるトランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能である。
また、第1の絶縁膜110は、一例としては、厚さが1nm以上50nm以下である領域を有する。
また、第1の絶縁膜110の形状を図32(A)(B)(C)に示すようにしてもよい。図32(A)は、トランジスタ150の上面図であり、図32(B)は図32(A)に示す一点鎖線X1−X2間の切断面の断面図に相当し、図32(C)は図32(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間の切断面の断面図に相当する。なお、図32(A)において、第1の絶縁膜110の形状を明確にするため、開口部142a、142b、142c、及び導電膜120a、120bを図示していない。
第1の絶縁膜110は、少なくとも酸化物半導体膜108のチャネル領域及び側面を覆う構成であるが、図32(A)(B)(C)に示すように、酸化物半導体膜108の側面の一部が、第1の絶縁膜110から露出し、一対の電極112a、112bと接する構成であってもよい。例えば、開口部140a、140bの形成工程時に、絶縁膜110を島状に加工することで、図32(A)(B)(C)に示すトランジスタ構造とすることができる。
<電極>
トランジスタ150のソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極112a、112bとしては、銅、アルミニウム、金、又は銀等の低抵抗材料からなる単体、若しくは合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む、単層構造又は積層構造とすることが好ましい。一対の電極112a、112bは配線としても機能するため、一対の電極112a、112bを銅、アルミニウム、金又は銀等の低抵抗材料を含んで形成することで、基板102として大面積基板を用いた場合においても配線遅延を抑制した半導体装置を作製することが可能となる。
また、一対の電極112a、112bを2層構造とする場合、2層目の導電膜の膜厚を厚くし、且つ銅、アルミニウム、金、又は銀等の低抵抗材料からなる単体、若しくは合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜とし、1層目の導電膜には、上述の2層目の導電膜に対するバリア膜として機能する導電膜を用いて形成することが好ましい。例えば、1層目の導電膜としては、チタン、タンタル、モリブデン、タングステンの単体若しくは合金、又は窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化タングステン等を含む導電膜をバリア膜として用いることができる。また、一対の電極112a、112bを3層構造とする場合、上述の1層目及び2層目上に接して、2層目の導電膜に対するバリア膜として機能する導電膜を用いて3層目の導電膜を形成することが好ましい。
例えば、一対の電極112a、112bを2層構造とする場合、チタン膜上にアルミニウム膜を積層した構造、タングステン膜上に銅膜を積層した構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層した構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層した構造、チタン膜上に銅膜を積層した構造、タングステン膜上に銅膜を積層した構造、モリブデン膜上に銅膜を積層した構造、モリブデンとタングステンを含む合金膜上に銅膜を積層した構造、モリブデンとジルコニウムを含む合金膜上に銅膜を積層した構造、Cu−Mn合金膜上に銅膜を積層した構造等を用いることが好ましい。また、一対の電極112a、112bを3層構造とする場合、1層目及び3層目には、チタン、窒化チタン、モリブデン、タングステン、モリブデンとタングステンを含む合金、モリブデンとジルコニウムを含む合金、Cu−Mn合金または窒化モリブデンでなる膜を形成し、2層目には、銅、アルミニウム、金又は銀等の低抵抗材料でなる膜を形成することが好ましい。
<絶縁膜>
絶縁膜114、116、118は、トランジスタ150のゲート絶縁膜としての機能、及び酸化物半導体膜108の保護絶縁膜としての機能を有する。例えば、絶縁膜114は、酸素を透過することのできる絶縁膜である。なお、絶縁膜114は、後に形成する絶縁膜116を形成する際の、酸化物半導体膜108へのダメージ緩和膜としても機能する。なお、絶縁膜114を設けない構成としてもよい。
絶縁膜114としては、一例としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下である領域を有する酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
また、絶縁膜114は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁膜114に含まれる欠陥密度が多いと、該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜114における酸素の透過量が減少してしまうためである。
なお、絶縁膜114においては、外部から絶縁膜114に入った酸素が全て絶縁膜114の外部に移動せず、絶縁膜114にとどまる酸素もある。また、絶縁膜114に酸素が入ると共に、絶縁膜114に含まれる酸素が絶縁膜114の外部へ移動することで、絶縁膜114において酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜114として酸素を透過することができる酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜114上に設けられる、絶縁膜116から脱離する酸素を、絶縁膜114を介して酸化物半導体膜108に移動させることができる。
絶縁膜116は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成される。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が8.0×1014/cm2以上、好ましくは1.0×1015/cm2以上、さらに好ましくは1.5×1015/cm2以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
また、絶縁膜116に化学両論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含ませるために、成膜後の絶縁膜116に酸素を導入してもよい。当該酸素の導入方法としては、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理法等を用いることができる。また、酸素の導入時、基板を加熱して処理すると、導入される酸素の量を多くすることができるため好適である。なお、酸素導入時の基板温度としては、例えば室温より高く350℃より低い温度が好ましい。また、上記プラズマ処理法としては、酸素ガスを高周波電力によってプラズマ化させる装置(プラズマエッチング装置またはプラズマアッシング装置ともいう)を用いると好適である。
また、絶縁膜116に酸素を導入する場合、絶縁膜116上に酸素の放出を抑制する保護膜を形成してもよい。当該保護膜としては、後述する導電膜120a、120bに用いることのできる材料を用いればよい。
例えば、絶縁膜116を形成後に絶縁膜116上に上述の保護膜を形成し、その後プラズマ処理法により当該保護膜を通過させて、絶縁膜116中に酸素を導入する。その後、保護膜を除去することで、絶縁膜116中に化学両論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含ませることができる。
絶縁膜116としては、一例としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下である領域を有する酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
また、絶縁膜116は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、さらには1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。なお、絶縁膜116は、絶縁膜114と比較して酸化物半導体膜108から離れているため、絶縁膜114より、欠陥密度が多くともよい。
また、絶縁膜114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁膜114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。なお、本実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造、絶縁膜116の単層構造、または3層以上の積層構造としてもよい。
絶縁膜118は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜118を設けることで、酸化物半導体膜108からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜108への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。絶縁膜118としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
<導電膜>
トランジスタ150に用いる導電膜120a、120bとしては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いることができる。とくに、導電膜120a、120bとしては、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。また、トランジスタ150に用いる導電膜120a、120bとしては、先に記載の第1のゲート電極として機能する導電膜104に用いることのできる材料、またはソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極112a、112bに用いることのできる材料を適用してもよい。また、導電膜120a、120bとしては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
なお、上記記載の、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜はスパッタリング法やPECVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法などの熱CVD法は、上記実施形態の導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化膜などの様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシド溶液、代表的にはテトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH))を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを同時に導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを同時に導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2とO3ガスを同時に導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
<半導体装置の構成例2>
次に、図3乃至図5を用いて、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152、及びトランジスタ154について説明する。
まず、図3(A)、(B)、(C)を用いて、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152について説明する。
図3(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152の上面図であり、図3(B)は、図3(A)の一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図3(C)は、図3(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ152は、基板102上の第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104と、基板102及び導電膜104上のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106と、絶縁膜106上の導電膜104と重畳する酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108上の金属酸化膜108a、108bと、金属酸化膜108b上の第1の絶縁膜110と、第1の絶縁膜110上の酸化物半導体膜108に電気的に接続される一対の電極112a、112bと、第1の絶縁膜110及び一対の電極112a、112b上の絶縁膜114、116、118と、絶縁膜118上の導電膜120a、120bと、を有する。
また、酸化物半導体膜108と、金属酸化膜108a、108bを合わせて酸化物積層膜と呼称する場合がある。
図3に示すトランジスタ152は、酸化物半導体膜108上に金属酸化膜108a、108bを有する点において、図1に示すトランジスタ150と相違する。その他の構成は、トランジスタ150と同様であり同様の効果を奏する。なお、トランジスタ152においては、金属酸化膜108a、108bを形成することによって、酸化物半導体膜108に入り込む不純物(ここでは、一対の電極112a、112bに含まれる不純物、例えば銅など)をさらに抑制することできる。なお、金属酸化膜108a、108bの詳細については後述する。
また、トランジスタ152は、先に説明したトランジスタ150と同様に、s−channel構造である。
具体的には、図3(B)の断面図に示すように、酸化物半導体膜108は、第1のゲート電極として機能する導電膜104と、バックゲート電極として機能する導電膜120bのそれぞれと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている。バックゲート電極として機能する導電膜120bのチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さは、酸化物半導体膜108のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長く、酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108bの全体は、第1の絶縁膜110、及び絶縁膜114、116、118を介して導電膜120bに覆われている。また、バックゲート電極として機能する導電膜120bと第1のゲート電極として機能する導電膜104とは、絶縁膜106a、106b、114、116、118及び第1の絶縁膜110に設けられる開口部142a、142bにおいて接続されるため、酸化物半導体膜108のチャネル幅方向の側面は、第1の絶縁膜110を介してバックゲート電極として機能する導電膜120bと対向している。
別言すると、トランジスタ152のチャネル幅方向において、第1のゲート電極として機能する導電膜104及びバックゲート電極として機能する導電膜120bは、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106、第1の絶縁膜110、及びゲート絶縁膜として機能する絶縁膜114、116、118に設けられる開口部において接続すると共に、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106、第1の絶縁膜110、及びゲート絶縁膜として機能する絶縁膜114、116、118を介して酸化物半導体膜108を囲む構成である。
次に、図4(A)、(B)、(C)を用いて、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ154について説明する。
図4(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ154の上面図であり、図4(B)は、図4(A)の一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図4(C)は、図4(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ154は、基板102上の第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104と、基板102及び導電膜104上のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106と、絶縁膜106上の導電膜104と重畳する酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108上の金属酸化膜108bと、金属酸化膜108b上の第1の絶縁膜110と、第1の絶縁膜110上の酸化物半導体膜108に電気的に接続される一対の電極112a、112bと、第1の絶縁膜110及び一対の電極112a、112b上の絶縁膜114、116、118と、絶縁膜118上の導電膜120a、120bと、を有する。
また、酸化物半導体膜108と、金属酸化膜108bを合わせて酸化物積層膜と呼称する場合がある。
図4に示すトランジスタ154は、酸化物半導体膜108上に金属酸化膜108bを有する点において、図1に示すトランジスタ150と相違する。その他の構成は、トランジスタ150と同様であり同様の効果を奏する。なお、トランジスタ154においては、金属酸化膜108bを形成することによって、酸化物半導体膜108に入り込む不純物(ここでは、一対の電極112a、112bに含まれる不純物)をさらに抑制することできる。
また、トランジスタ154は、先に説明したトランジスタ150と同様に、s−channel構造である。
次に、図3に示すトランジスタ152及び図4に示すトランジスタ154に用いることのできる酸化物半導体膜108、金属酸化膜108a、及び金属酸化膜108bについて、以下詳細に説明する。
酸化物半導体膜108としては、先に記載の材料、例えば、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)で構成される材料を用いる。また、金属酸化膜108aとしては、In−M−Zn酸化物、あるいはIn−M酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)で構成される材料を用いる。また、金属酸化膜108bとしては、In−M−Zn酸化物、あるいはIn−M酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)で構成される材料を用いる。
なお、金属酸化膜108aと金属酸化膜108bを同種の材料を用いて形成する場合、金属酸化膜108aと金属酸化膜108bの界面が確認されない場合がある。
また、金属酸化膜108bが後述するCAAC−OSである場合、一対の電極112a、112bの構成元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
ここで、酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108b、並びに酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108bに接する絶縁膜のバンド構造について、図5を用いて説明する。
図5(A)は、絶縁膜106b、酸化物半導体膜108、金属酸化膜108a、金属酸化膜108b、及び第1の絶縁膜110を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。また、図5(B)は、絶縁膜106b、酸化物半導体膜108、金属酸化膜108b、及び第1の絶縁膜110を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。なお、バンド構造は、理解を容易にするため絶縁膜106b、酸化物半導体膜108、金属酸化膜108a、108b、及び第1の絶縁膜110の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
また、図5(A)は、絶縁膜106b及び第1の絶縁膜110として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜108として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、金属酸化膜108aとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:6の金属酸化物ターゲットを用いて形成される金属酸化膜を用い、金属酸化膜108bとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:4:5の金属酸化物ターゲットを用いて形成される金属酸化膜を用いる構成のバンド図である。
また、図5(B)は、絶縁膜106b及び第1の絶縁膜110として酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜108として金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、金属酸化膜108bとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:6の金属酸化物ターゲットを用いて形成される金属酸化膜を用いる構成のバンド図である。
図5(A)、(B)に示すように、酸化物半導体膜108、及び金属酸化膜108a、108bにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド構造を有するためには、酸化物半導体膜108と金属酸化膜108aとの界面、または酸化物半導体膜108と金属酸化膜108bとの界面において、酸化物半導体にとってトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないとする。
酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108bに連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。
図5(A)、(B)に示す構成とすることで酸化物半導体膜108がウェル(井戸)となり、上記積層構造を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜108に形成されることがわかる。
なお、金属酸化膜108a、108bを設けることにより、酸化物半導体膜108に形成されうるトラップ準位を遠ざけることができる。
また、トラップ準位がチャネル領域として機能する酸化物半導体膜108の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空準位に遠くなることがあり、トラップ準位に電子が蓄積しやすくなってしまう。トラップ準位に電子が蓄積されることで、マイナスの固定電荷となり、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって、トラップ準位が酸化物半導体膜108の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真空準位となるような構成すると好ましい。このようにすることで、トラップ準位に電子が蓄積しにくくなり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。
また、図5(A)、(B)において、金属酸化膜108a、108bは、酸化物半導体膜108よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜108の伝導帯下端のエネルギー準位と、金属酸化膜108a、108bの伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下である。すなわち、金属酸化膜108a、108bの電子親和力と、酸化物半導体膜108の電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下である。
このような構成を有することで、酸化物半導体膜108が電流の主な経路となり、チャネル領域として機能する。また、金属酸化膜108a、108bは、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜108を構成する金属元素の一種以上から構成される金属酸化膜であるため、酸化物半導体膜108と金属酸化膜108aとの界面、または酸化物半導体膜108と金属酸化膜108bとの界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
また、金属酸化膜108a、108bは、チャネル領域の一部として機能することを防止するため、導電率が十分に低い材料を用いるものとする。または、金属酸化膜108a、108bには、電子親和力(真空準位と伝導帯下端のエネルギー準位との差)が酸化物半導体膜108よりも小さく、伝導帯下端のエネルギー準位が酸化物半導体膜108の伝導帯下端エネルギー準位と差分(バンドオフセット)を有する材料を用いるものとする。また、ドレイン電圧の大きさに依存したしきい値電圧の差が生じることを抑制するためには、金属酸化膜108a、108bの伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物半導体膜108の伝導帯下端のエネルギー準位よりも0.2eVより真空準位に近い材料、好ましくは0.5eV以上真空準位に近い材料を適用することが好ましい。
また、金属酸化膜108a、108bは、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれないことが好ましい。金属酸化膜108a、108bの膜中にスピネル型の結晶構造を含む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、一対の電極112a、112bの構成元素が酸化物半導体膜108へ拡散してしまう場合がある。なお、金属酸化膜108a、108bが後述するCAAC−OSである場合、一対の電極112a、112bの構成元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
金属酸化膜108a、108bの膜厚は、一対の電極112a、112bの構成元素が酸化物半導体膜108に拡散することを抑制することのできる膜厚以上であって、第1の絶縁膜110、または絶縁膜114から酸化物半導体膜108への酸素の供給を抑制する膜厚未満とする。例えば、金属酸化膜108a、108bの膜厚が10nm以上であると、一対の電極112a、112bの構成元素が酸化物半導体膜108へ拡散するのを抑制することができる。また、金属酸化膜108a、108bの膜厚を100nm以下とすると、第1の絶縁膜110または絶縁膜114、116から酸化物半導体膜108へ効果的に酸素を供給することができる。
金属酸化膜108a、108bがIn−M−Zn酸化物であるとき、元素MとしてTi、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfをInより高い原子数比で有することで、金属酸化膜108a、108bのエネルギーギャップを大きく、電子親和力を小さくしうる。よって、酸化物半導体膜108との電子親和力の差を元素Mの組成によって制御することが可能となる場合がある。また、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfは、酸素との結合力が強い金属元素であるため、これらの元素をInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
また、金属酸化膜108a、108bがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくは、Inが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。
また、酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108bが、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の場合、酸化物半導体膜108と比較して、金属酸化膜108a、108bに含まれるM(Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の原子数比が大きく、代表的には、酸化物半導体膜108に含まれる上記原子と比較して、1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比である。
また、酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108bが、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の場合、酸化物半導体膜108をIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、金属酸化膜108a、108bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y2/x2がy1/x1よりも大きく、好ましくは、y2/x2がy1/x1よりも1.5倍以上である。より好ましくは、y2/x2がy1/x1よりも2倍以上大きく、さらに好ましくは、y2/x2がy1/x1よりも3倍以上または4倍以上大きい。このとき、酸化物半導体膜108において、y1がx1以上であると、酸化物半導体膜108を用いるトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、y1がx1の3倍以上になると、酸化物半導体膜108を用いるトランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y1はx1の3倍未満であると好ましい。
酸化物半導体膜108がIn−M−Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の場合、酸化物半導体膜108を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜108として後述のCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=1:1:1.5、In:M:Zn=3:1:2等がある。
また、金属酸化膜108a、108bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の場合、金属酸化膜108a、108bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。また、インジウムに対するMの原子数比率を大きくすることで、金属酸化膜108a、108bのエネルギーギャップを大きく、電子親和力を小さくすることが可能であるため、y2/x2を3以上、または4以上とすることが好ましい。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:5、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:4:2、In:M:Zn=1:4:4、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:4:7、In:M:Zn=1:4:8、In:M:Zn=1:5:5等がある。
また、金属酸化膜108a、108bがIn−M酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)の場合、Mとして2価の金属原子(例えば、亜鉛など)を含まない構成とすることで、スピネル型の結晶構造を含有しない金属酸化膜108a、108bを形成することができる。また、金属酸化膜108a、108bとしては、例えば、In−Ga酸化物膜を用いることができる。該In−Ga酸化物としては、例えば、In−Ga金属酸化物ターゲット(In:Ga=7:93)を用いて、スパッタリング法により形成することができる。また、金属酸化膜108a、108bを、DC放電を用いたスパッタリング法で成膜するためには、In:M=x:y[原子数比]としたときに、y/(x+y)を0.96以下、好ましくは0.95以下、例えば0.93とするとよい。
なお、酸化物半導体膜108、及び金属酸化膜108a、108bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
<半導体装置の構成例3>
次に、図25及び図26を用いて、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152A、及びトランジスタ154Aについて説明する。
まず、図25(A)、(B)、(C)を用いて、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152Aについて説明する。
図25(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152Aの上面図であり、図25(B)は、図25(A)の一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図25(C)は、図25(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ152Aは、基板102上の第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104と、基板102及び導電膜104上のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106と、絶縁膜106上の導電膜104と重畳する酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108上の金属酸化膜108a、108bと、金属酸化膜108b上の第1の絶縁膜110と、第1の絶縁膜110上の酸化物半導体膜108に電気的に接続される一対の電極112a、112bと、第1の絶縁膜110及び一対の電極112a、112b上の絶縁膜114、116、118と、絶縁膜118上の導電膜120a、120bと、を有する。
図25に示すトランジスタ152Aは、図3に示すトランジスタ152の変形例であり、金属酸化膜108bが酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108aの側面を覆う点において、図3に示すトランジスタ152と相違する。その他の構成は、トランジスタ152と同様であり、同様の効果を奏する。なお、トランジスタ152Aにおいては、金属酸化膜108bが酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108aの側面を覆うことによって、酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108aに入り込む不純物(ここでは、一対の電極112a、112bに含まれる不純物)をさらに抑制することできる。
次に、図26(A)、(B)、(C)を用いて、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ154Aについて説明する。
図26(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ154Aの上面図であり、図26(B)は、図26(A)の一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図26(C)は、図26(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ154Aは、基板102上の第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104と、基板102及び導電膜104上のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106と、絶縁膜106上の導電膜104と重畳する酸化物半導体膜108と、酸化物半導体膜108上の金属酸化膜108bと、金属酸化膜108b上の第1の絶縁膜110と、第1の絶縁膜110上の酸化物半導体膜108に電気的に接続される一対の電極112a、112bと、第1の絶縁膜110及び一対の電極112a、112b上の絶縁膜114、116、118と、絶縁膜118上の導電膜120a、120bと、を有する。
図26に示すトランジスタ154Aは、図4に示すトランジスタ154の変形例であり、金属酸化膜108bが酸化物半導体膜108の側面を覆う点において、図4に示すトランジスタ154と相違する。その他の構成は、トランジスタ154と同様であり、同様の効果を奏する。なお、トランジスタ154Aにおいては、金属酸化膜108bが酸化物半導体膜108の側面を覆うことによって、酸化物半導体膜108に入り込む不純物(ここでは、一対の電極112a、112bに含まれる不純物)をさらに抑制することできる。
<半導体装置の作製方法1>
次に、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ150の作製方法について、図6乃至図8を用いて以下詳細に説明する。
まず、基板102上に導電膜を形成し、該導電膜を、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を用いて加工して第1のゲート電極として機能する導電膜104を形成する。次に、第1のゲート電極として機能する導電膜104上にゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106を形成する。なお、絶縁膜106は、絶縁膜106a、106bを有する(図6(A)参照)。
第1のゲート電極として機能する導電膜104は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザ堆積(PLD)法、を用いて形成することができる。又は、塗布法や印刷法で形成することができる。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法が代表的であるが、先に説明した有機金属化学気相堆積(MOCVD)法等の熱CVD法、又は原子層堆積(ALD)法を用いてもよい。
本実施の形態では、基板102としてガラス基板を用い、第1のゲート電極として機能する導電膜104として厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法で形成する。なお、導電膜104として、厚さ100nmのタングステン膜の換わりに厚さ200nmのCu−Mn合金膜を用いてもよい。なお、該Cu−Mn合金膜としては、Cu−Mn金属ターゲット(Cu:Mn=90:10[原子%])を用いてスパッタリング法により形成することができる。
ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106は、スパッタリング法、PECVD法、熱CVD法、真空蒸着法、PLD法等を用いて形成することができる。本実施の形態では、PECVD法により、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106aとして厚さ400nmの窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜106bとして厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
なお、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106が有する絶縁膜106aとしては、窒化シリコン膜の積層構造とすることができる。具体的には、絶縁膜106aを、第1の窒化シリコン膜と、第2の窒化シリコン膜と、第3の窒化シリコン膜との3層構造とすることができる。該3層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン膜としては、例えば、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPE−CVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてプラズマCVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量5000sccmの窒素を原料ガスとしてプラズマCVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、上記第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とすることができる。
絶縁膜106aを、窒化シリコン膜の3層構造とすることで、例えば、導電膜104に銅(Cu)を含む導電膜を用いる場合において、以下の効果を奏する。
第1の窒化シリコン膜は、導電膜104からの銅(Cu)元素の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン膜は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン膜は、第3の窒化シリコン膜からの水素放出が少なく、且つ第2の窒化シリコン膜からの放出される水素の拡散を抑制することができる。
次いで、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106上に酸化物半導体膜108を形成する(図6(B)参照)。
本実施の形態では、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1)を用いて、スパッタリング法により酸化物半導体膜を成膜し、該酸化物半導体膜を所望の領域に加工することで酸化物半導体膜108を形成する。
酸化物半導体膜108の形成後、150℃以上基板の歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、さらに好ましくは300℃以上450℃以下の加熱処理を行ってもよい。ここでの加熱処理は、酸化物半導体膜の高純度化処理の一つであり、酸化物半導体膜108に含まれる水素、水等を低減することができる。なお、水素、水等の低減を目的とした加熱処理は、酸化物半導体膜108を島状に加工する前に行ってもよい。なお、酸化物半導体膜108を島状に加工する方法としては、ウェットエッチング法またはドライエッチング法などを用いればよい。
酸化物半導体膜108への加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、加熱時間を短縮することが可能となる。
なお、酸化物半導体膜108への加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。また、窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後、酸素または超乾燥空気雰囲気で加熱してもよい。この結果、酸化物半導体膜中に含まれる水素、水等を脱離させると共に、酸化物半導体膜中に酸素を供給することができる。この結果、酸化物半導体膜中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
なお、スパッタリング法で酸化物半導体膜108を形成する場合、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜108に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で酸化物半導体膜108を形成する場合、スパッタリング装置におけるチャンバーを、酸化物半導体膜108にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
次に、絶縁膜106及び酸化物半導体膜108上に第1の絶縁膜110を成膜する(図6(C)参照)。
第1の絶縁膜110としては、第1の絶縁膜110に用いることのできる列挙した材料の中から選択することで形成できる。本実施の形態においては、第1の絶縁膜110として、厚さ10nmの酸化窒化シリコン膜を用いる。なお、該酸化窒化シリコン膜としては、PECVD法で形成する。
次に、第1の絶縁膜110の所望の領域を加工して開口部140a、140bを形成する(図7(A)参照)。
開口部140a、140bとしては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、またはドライエッチング法とウェットエッチング法を組み合わせて形成することができる。なお、開口部140a、140bの形成時において、酸化物半導体膜108の一部がエッチングされ、凹部を有する酸化物半導体膜108となる場合がある。
次に、開口部140a、140bを覆うように、酸化物半導体膜108及び第1の絶縁膜110上に導電膜を成膜し、該導電膜を所望の領域に加工することで、一対の電極112a、112bを形成する(図7(B)参照)。
一対の電極112a、112bとしては、一対の電極112a、112bに用いることのできる列挙した材料の中から選択することで形成できる。本実施の形態においては、一対の電極112a、112bとして、厚さ30nmのCu−Mn合金膜と、厚さ200nmの銅(Cu)膜との積層膜を用いる。なお、該Cu−Mn合金膜としては、Cu−Mn金属ターゲット(Cu:Mn=90:10[原子%])を用いてスパッタリング法で形成する。また、銅(Cu)膜としては、スパッタリング法で形成する。
また、一対の電極112a、112bの加工方法としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、またはドライエッチング法とウェットエッチング法を組み合わせる方法などが挙げられる。とくに、一対の電極112a、112bの加工方法として、ウェットエッチング法を用いると、製造コストを抑制することができるため、好適である。
次に、第1の絶縁膜110、及び一対の電極112a、112bを覆うように、ゲート絶縁膜及び保護絶縁膜として機能する絶縁膜114、116、118を形成する(図7(C)参照)。
なお、絶縁膜114を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜116を形成することが好ましい。絶縁膜114を形成後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜116を連続的に形成することで、絶縁膜114と絶縁膜116の界面において大気成分由来の不純物濃度を低減することができるとともに、絶縁膜116に含まれる酸素を酸化物半導体膜108に移動させることが可能となり、酸化物半導体膜108の酸素欠損量を低減することが可能となる。
例えば、絶縁膜114として、PECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。また、上記の堆積性気体に対する酸化性気体を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40倍以上80倍以下とし、反応室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とするPECVD法を用いることで、絶縁膜114が、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない絶縁膜となる。
本実施の形態においては、絶縁膜114として、基板102を保持する温度を220℃とし、流量50sccmのシラン及び流量2000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室内の圧力を20Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を27.12MHz、100W(電力密度としては1.6×10−2W/cm2)とするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜116としては、PECVD装置の真空排気された反応室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、反応室に原料ガスを導入して反応室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、反応室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜116の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜116中における酸素含有量が化学量論比よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
なお、絶縁膜116の形成工程において、第1の絶縁膜110、及び絶縁膜114が酸化物半導体膜108の保護膜となる。したがって、酸化物半導体膜108へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜116を形成することができる。
なお、絶縁膜116の成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁膜116の欠陥量を低減することが可能である。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm3未満、好ましくは3×1017spins/cm3以下、好ましくは1.5×1017spins/cm3以下である欠陥量の少ない酸化物絶縁層を形成することができる。この結果トランジスタの信頼性を高めることができる。
絶縁膜114、116を形成した後、加熱処理を行う。該加熱処理により、絶縁膜114、116に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜108に移動させ、酸化物半導体膜108に含まれる酸素欠損量をさらに低減することができる。加熱処理後に、絶縁膜118を形成する。
絶縁膜114、116への加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい該加熱処理には、電気炉、RTA装置等を用いることができる。
本実施の形態では、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行う。
絶縁膜114、116に水、水素等が含まれる場合、水、水素等をブロッキングする機能を有する絶縁膜118を形成後に加熱処理を行うと、絶縁膜114、116に含まれる水、水素等が酸化物半導体膜108に移動し、酸化物半導体膜108に欠陥が生じてしまう場合がある。よって、絶縁膜118の形成前に加熱処理を行うことで、絶縁膜114、116に含まれる水、水素を効果的に低減させることができる。
なお、絶縁膜116を、加熱しながら絶縁膜114上に形成することで、酸化物半導体膜108に酸素を移動させ、酸化物半導体膜108に含まれる酸素欠損を低減することが可能であるため、この加熱処理を行わなくともよい場合がある。
絶縁膜118をPECVD法で形成する場合、基板温度は300℃以上400℃以下に、好ましくは320℃以上370℃以下にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい。
例えば、絶縁膜118としてPECVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素の分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5以上50以下、10以上50以下とすることが好ましい。
本実施の形態においては、絶縁膜118として、PECVD装置を用いて、シラン、窒素、及びアンモニアの原料ガスから、厚さ50nmの窒化シリコン膜を形成する。流量は、シランが50sccm、窒素が5000sccmであり、アンモニアが100sccmである。反応室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給する。PECVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のPECVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると1.7×10−1W/cm2である。
また、絶縁膜118の形成後に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。上記加熱処理を行う際には、絶縁膜114、116の水素および水が低減されているため、上述したような酸化物半導体膜108の欠陥の発生は抑えられている。
次に、絶縁膜106a、106b、114、116、118及び第1の絶縁膜110に開口部142a、142bを形成する。また、絶縁膜114、116、118に開口部142cを形成する(図8(A)参照)。
開口部142a、142bは、導電膜104に達する。また開口部142cは、電極112bに達する。開口部142a、142b、142cは、同一の工程で形成することができる。例えば、ハーフトーンマスク(または、グレートーンマスク、位相差マスクなど)を用いて、所望の領域にパターンを形成し、ドライエッチング装置を用いて、開口部142a、142b、142cを形成することができる。なお、ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスクは、必要によって用いればよく、ハーフトーンマスクまたはグレートーンマスクを用いなくてもよい。また、開口部142a、142bと開口部142cの形成工程を分けてもよい。この場合、開口部142a、142bの形状が2段階の形状となる場合がある。
次に、絶縁膜118上に開口部142a、142b、142cを覆うように導電膜120を形成する(図8(B)参照)。
導電膜120としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いることができる。とくに、導電膜120としては、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。また、導電膜120としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
次に、導電膜120を所望の領域に加工し、導電膜120a、120bを形成する(図8(C)参照)。
導電膜120a、120bの形成方法としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、またはドライエッチング法とウェットエッチング法を組み合わせて用いればよい。
以上の工程により、図1に示す半導体装置であるトランジスタ150を形成することができる。
<半導体装置の作製方法2>
次に、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ152、154の作製方法について、以下詳細に説明する。
図3に示すトランジスタ152が有する金属酸化膜108a、108bは、図6(B)に示す酸化物半導体膜108の形成時において、酸化物半導体膜108と金属酸化膜を連続して成膜することで、酸化物積層膜を形成し、その後、該酸化物積層膜を一括して加工し、島状にすることで形成される。
本実施の形態では、金属酸化膜108aとして、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:6)を用いて、スパッタリング法により形成する。また、金属酸化膜108bとして、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:4:5)を用いて、スパッタリング法により形成する。
なお、スパッタリング法で酸化物半導体膜108及び金属酸化膜108a、108bを形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。ただし、大面積基板への対応が可能なDC放電を用いて成膜を行うと、半導体装置の生産性を高めることができるため好ましい。
図4に示すトランジスタ154が有する金属酸化膜108bは、図6(B)に示す酸化物半導体膜108の形成時において、酸化物半導体膜108と金属酸化膜を連続して成膜することで、酸化物積層膜を形成し、その後、該酸化物積層膜を一括して加工し、島状にすることで形成される。
本実施の形態では、金属酸化膜108bとして、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:6)を用いて、スパッタリング法により形成する。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に含まれる酸化物半導体膜の構成について以下詳細に説明を行う。
<酸化物半導体の構造について>
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。なお、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
以下では、TEMによって観察したCAAC−OSについて説明する。図19(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって行うことができる。
図19(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図19(B)に示す。図19(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層の配列は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
図19(B)に示すように、CAAC−OSは特徴的な原子配列を有する。図19(C)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図19(B)および図19(C)より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC−OSのペレット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造となる(図19(D)参照。)。図19(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが生じている箇所は、図19(D)に示す領域5161に相当する。
また、図20(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図20(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図20(B)、図20(C)および図20(D)に示す。図20(B)、図20(C)および図20(D)より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
次に、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図21(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、CAAC−OSのout−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。より好ましいCAAC−OSは、out−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図21(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対し、InGaZnO4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図21(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図27(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図27(B)に示す。図27(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図27(B)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図27(B)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、CAAC−OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。酸化物半導体の欠陥としては、例えば、不純物に起因する欠陥や、酸素欠損などがある。したがって、CAAC−OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体ということもできる。また、CAAC−OSは、酸素欠損の少ない酸化物半導体ということもできる。
酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
また、欠陥準位密度の低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体は、キャリア密度を低くすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体となりやすい。したがって、CAAC−OSを用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。一方、CAAC−OSを用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
また、CAAC−OSは欠陥準位密度が低いため、光の照射などによって生成されたキャリアが、欠陥準位に捕獲されることが少ない。したがって、CAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
<微結晶酸化物半導体>
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<非晶質酸化物半導体>
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンのみが観測される。
非晶質構造については、様々な見解が示されている。例えば、原子配列に全く秩序性を有さない構造を完全な非晶質構造(completely amorphous structure)と呼ぶ場合がある。また、最近接原子間距離または第2近接原子間距離まで秩序性を有し、かつ長距離秩序性を有さない構造を非晶質構造と呼ぶ場合もある。したがって、最も厳格な定義によれば、僅かでも原子配列に秩序性を有する酸化物半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、少なくとも、長距離秩序性を有する酸化物半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。よって、結晶部を有することから、例えば、CAAC−OSおよびnc−OSを、非晶質酸化物半導体または完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。
<非晶質ライク酸化物半導体>
なお、酸化物半導体は、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
電子照射を行う試料として、a−like OS(試料Aと表記する。)、nc−OS(試料Bと表記する。)およびCAAC−OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図28は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図28より、a−like OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図28中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×108e−/nm2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図28中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度であることがわかる。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られないことがわかる。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、微結晶酸化物半導体、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<成膜モデル>
以下では、CAAC−OSおよびnc−OSの成膜モデルの一例について説明する。
図29(A)は、スパッタリング法によりCAAC−OSが成膜される様子を示した成膜室内の模式図である。
ターゲット5130は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲット5130と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。該複数のマグネットによって磁場が生じている。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
基板5120は、ターゲット5130と向かい合うように配置しており、その距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット5130に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが確認される。なお、ターゲット5130の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5101が生じる。イオン5101は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
ここで、ターゲット5130は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。図30(A)に、一例として、ターゲット5130に含まれるInGaZnO4の結晶の構造を示す。なお、図30(A)は、b軸に平行な方向からInGaZnO4の結晶を観察した場合の構造である。図30(A)より、近接する二つのGa−Zn−O層において、それぞれの層における酸素原子同士が近距離に配置されていることがわかる。そして、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つのGa−Zn−O層の間には斥力が生じる。その結果、InGaZnO4の結晶は、近接する二つのGa−Zn−O層の間に劈開面を有する。
高密度プラズマ領域で生じたイオン5101は、電界によってターゲット5130側に加速され、やがてターゲット5130と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子であるペレット5100aおよびペレット5100bが剥離し、叩き出される。なお、ペレット5100aおよびペレット5100bは、イオン5101の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。
ペレット5100aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。また、ペレット5100bは、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。なお、ペレット5100aおよびペレット5100bなどの平板状またはペレット状のスパッタ粒子を総称してペレット5100と呼ぶ。ペレット5100の平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
ペレット5100は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが、ペレット5100の厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みのないペレット状である方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。例えば、ペレット5100は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば、ペレット5100は、幅を1nm以上3nm以下、好ましくは1.2nm以上2.5nm以下とする。ペレット5100は、上述の図28中の(1)で説明した初期核に相当する。例えば、In−Ga−Zn酸化物を有するターゲット5130にイオン5101を衝突させると、図30(B)に示すように、Ga−Zn−O層、In−O層およびGa−Zn−O層の3層を有するペレット5100が剥離する。図30(C)に、剥離したペレット5100をc軸に平行な方向から観察した構造を示す。ペレット5100は、二つのGa−Zn−O層(パンに例えられる)と、In−O層(具に例えられる)と、を有するナノサイズのサンドイッチ構造と呼ぶこともできる。
ペレット5100は、プラズマを通過する際に、側面が負または正に帯電する場合がある。ペレット5100は、例えば、側面に位置する酸素原子が負に帯電する可能性がある。側面が同じ極性の電荷を有することにより、電荷同士の反発が起こり、平板状またはペレット状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC−OSが、In−Ga−Zn酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。または、インジウム原子、ガリウム原子または亜鉛原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。また、ペレット5100は、プラズマを通過する際に、プラズマ中のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子および酸素原子などと結合することで成長する場合がある。上述の図28中の(2)と(1)の大きさの違いが、プラズマ中での成長分に相当する。ここで、基板5120が室温程度である場合、基板5120上におけるペレット5100の成長が起こりにくいためnc−OSとなる(図29(B)参照。)。室温程度で成膜できることから、基板5120が大面積である場合でもnc−OSの成膜が可能である。なお、ペレット5100をプラズマ中で成長させるためには、スパッタリング法における成膜電力を高くすることが有効である。成膜電力を高くすることで、ペレット5100の構造を安定にすることができる。
図29(A)および図29(B)に示すように、例えば、ペレット5100は、プラズマ中を凧のように飛翔し、ひらひらと基板5120上まで舞い上がっていく。ペレット5100は電荷を帯びているため、ほかのペレット5100が既に堆積している領域が近づくと、斥力が生じる。ここで、基板5120の上面では、基板5120の上面に平行な向きの磁場(水平磁場ともいう。)が生じている。また、基板5120およびターゲット5130間には、電位差が与えられるため、基板5120からターゲット5130に向かう方向に電流が流れる。したがって、ペレット5100は、基板5120の上面において、磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を受ける。このことは、フレミングの左手の法則によって理解できる。
ペレット5100は、原子一つと比べると質量が大きい。そのため、基板5120の上面を移動するためには何らかの力を外部から印加することが重要となる。その力の一つが磁場および電流の作用で生じる力である可能性がある。なお、ペレット5100に、基板5120の上面を移動するために十分な力を与えるには、基板5120の上面において、基板5120の上面に平行な向きの磁場が10G以上、好ましくは20G以上、さらに好ましくは30G以上、より好ましくは50G以上となる領域を設けるとよい。または、基板5120の上面において、基板5120の上面に平行な向きの磁場が、基板5120の上面に垂直な向きの磁場の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上となる領域を設けるとよい。
このとき、マグネットと基板5120とが相対的に移動すること、または回転することによって、基板5120の上面における水平磁場の向きは変化し続ける。したがって、基板5120の上面において、ペレット5100は、様々な方向から力を受け、様々な方向へ移動することができる。
また、図29(A)に示すように基板5120が加熱されている場合、ペレット5100と基板5120との間で摩擦などによる抵抗が小さい状態となっている。その結果、ペレット5100は、基板5120の上面を滑空するように移動する。ペレット5100の移動は、平板面を基板5120に向けた状態で起こる。その後、既に堆積しているほかのペレット5100の側面まで到達すると、側面同士が結合する。このとき、ペレット5100の側面にある酸素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC−OS中の酸素欠損が埋まる場合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC−OSとなる。なお、基板5120の上面の温度は、例えば、100℃以上500℃未満、150℃以上450℃未満、または170℃以上400℃未満とすればよい。したがって、基板5120が大面積である場合でもCAAC−OSの成膜は可能である。
また、ペレット5100は、基板5120上で加熱されることにより、原子が再配列し、イオン5101の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレット5100は、ほとんど単結晶となる。ペレット5100がほとんど単結晶となることにより、ペレット5100同士が結合した後に加熱されたとしても、ペレット5100自体の伸縮はほとんど起こり得ない。したがって、ペレット5100間の隙間が広がることで結晶粒界などの欠陥を形成し、クレバス化することがない。
また、CAAC−OSは、単結晶酸化物半導体が一枚板のようになっているのではなく、ペレット5100(ナノ結晶)の集合体がレンガまたはブロックが積み重なったような配列をしている。また、ペレット5100同士の間には結晶粒界を有さない。そのため、成膜時の加熱、成膜後の加熱または曲げなどで、CAAC−OSに縮みなどの変形が生じた場合でも、局部応力を緩和する、または歪みを逃がすことが可能である。したがって、可とう性を有する半導体装置に用いることに適した構造である。なお、nc−OSは、ペレット5100(ナノ結晶)が無秩序に積み重なったような配列となる。
ターゲット5130をイオン5101でスパッタした際に、ペレット5100だけでなく、酸化亜鉛などが剥離する場合がある。酸化亜鉛はペレット5100よりも軽量であるため、先に基板5120の上面に到達する。そして、0.1nm以上10nm以下、0.2nm以上5nm以下、または0.5nm以上2nm以下の酸化亜鉛層5102を形成する。図31に断面模式図を示す。
図31(A)に示すように、酸化亜鉛層5102上にはペレット5105aと、ペレット5105bと、が堆積する。ここで、ペレット5105aとペレット5105bとは、互いに側面が接するように配置している。また、ペレット5105cは、ペレット5105b上に堆積した後、ペレット5105b上を滑るように移動する。また、ペレット5105aの別の側面において、酸化亜鉛とともにターゲットから剥離した複数の粒子5103が、基板5120からの加熱により結晶化し、領域5105a1を形成する。なお、複数の粒子5103は、酸素、亜鉛、インジウムおよびガリウムなどを含む可能性がある。
そして、図31(B)に示すように、領域5105a1は、ペレット5105aと一体化し、ペレット5105a2となる。また、ペレット5105cは、その側面がペレット5105bの別の側面と接するように配置する。
次に、図31(C)に示すように、さらにペレット5105dがペレット5105a2上およびペレット5105b上に堆積した後、ペレット5105a2上およびペレット5105b上を滑るように移動する。また、ペレット5105cの別の側面に向けて、さらにペレット5105eが酸化亜鉛層5102上を滑るように移動する。
そして、図31(D)に示すように、ペレット5105dは、その側面がペレット5105a2の側面と接するように配置する。また、ペレット5105eは、その側面がペレット5105cの別の側面と接するように配置する。また、ペレット5105dの別の側面において、酸化亜鉛とともにターゲット5130から剥離した複数の粒子5103が基板5120からの加熱により結晶化し、領域5105d1を形成する。
以上のように、堆積したペレット同士が接するように配置し、ペレットの側面において成長が起こることで、基板5120上にCAAC−OSが形成される。したがって、CAAC−OSは、nc−OSよりも一つ一つのペレットが大きくなる。上述の図28中の(3)と(2)の大きさの違いが、堆積後の成長分に相当する。
また、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成される場合がある。一つの大きなペレットは、単結晶構造を有する。例えば、ペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、または20nm以上50nm以下となる場合がある。このとき、微細なトランジスタに用いる酸化物半導体において、チャネル形成領域が一つの大きなペレットに収まる場合がある。即ち、単結晶構造を有する領域をチャネル形成領域として用いることができる。また、ペレットが大きくなることで、単結晶構造を有する領域をトランジスタのチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域として用いることができる場合がある。
このように、トランジスタのチャネル形成領域などが、単結晶構造を有する領域に形成されることによって、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
以上のようなモデルにより、ペレット5100が基板5120上に堆積していくと考えられる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構であることがわかる。また、CAAC−OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。例えば、基板5120の上面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、CAAC−OSは、被形成面である基板5120の上面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット5100が配列することがわかる。例えば、基板5120の上面が原子レベルで平坦な場合、ペレット5100はa−b面と平行な平面である平板面を下に向けて並置する。ペレット5100の厚さが均一である場合、厚さが均一で平坦、かつ高い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(nは自然数。)積み重なることで、CAAC−OSを得ることができる。
一方、基板5120の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC−OSは、ペレット5100が凹凸に沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板5120が凹凸を有するため、CAAC−OSは、ペレット5100間に隙間が生じやすい場合がある。ただし、この場合でも、ペレット5100間で分子間力が働き、凹凸があってもペレット間の隙間はなるべく小さくなるように配列する。したがって、凹凸があっても高い結晶性を有するCAAC−OSとすることができる。
このようなモデルによってCAAC−OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのないペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場合、基板5120上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合がある。
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶性を有するCAAC−OSを得ることができる。
以上のいずれかの構成を有する酸化物半導体膜を用いて本発明の一態様に係る半導体装置を構成することができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1で例示したトランジスタを用いて表示機能を有する表示装置の一例について、図9乃至図11を用いて以下説明を行う。
図9(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図9(A)に示す表示装置300は、第1の基板301上に設けられた画素部302と、第1の基板301に設けられたソースドライバ回路部304及びゲートドライバ回路部306と、画素部302、ソースドライバ回路部304、及びゲートドライバ回路部306を囲むように配置されるシール材312と、第1の基板301に対向するように設けられる第2の基板305と、を有する。なお、第1の基板301と第2の基板305は、シール材312によって封止されている。すなわち、画素部302、ソースドライバ回路部304、及びゲートドライバ回路部306は、第1の基板301とシール材312と第2の基板305によって封止されている。なお、図9(A)には図示しないが、第1の基板301と第2の基板305の間には表示素子が設けられる。
また、表示装置300は、第1の基板301上のシール材312によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部302、ソースドライバ回路部304、及びゲートドライバ回路部306と電気的に接続されるFPC端子部308(FPC:Flexible printed circuit)が設けられる。また、FPC端子部308には、FPC316が接続され、FPC316によって画素部302、ソースドライバ回路部304、及びゲートドライバ回路部306に各種信号等が供給される。また、画素部302、ソースドライバ回路部304、ゲートドライバ回路部306、及びFPC端子部308には、信号線310が各々接続されている。FPC316により供給される各種信号等は、信号線310を介して、画素部302、ソースドライバ回路部304、ゲートドライバ回路部306、及びFPC端子部308に与えられる。
図9(B)は、表示装置の一例を示す上面図である。図9(B)に示す表示装置400としては、図9(A)に示す表示装置300の第1の基板301の換わりに第1の基板401を用い、表示装置300の第2の基板305の代わりに第2の基板405を用い、画素部302の代わりに画素部402を用いる。
また、表示装置300、400にゲートドライバ回路部306を複数設けてもよい。また、表示装置300、400としては、ソースドライバ回路部304、及びゲートドライバ回路部306を画素部302、402と同じ第1の基板301、401に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部306のみを第1の基板301、401に形成しても良いし、ソースドライバ回路部304のみを第1の基板301、401に形成しても良い。この場合、別途用意されたソースドライバ回路、またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板301、401に実装する構成としても良い。
また、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法などを用いることができる。なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置なども含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC、TCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式により駆動回路基板、またはIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
また、表示装置300、400が有する画素部302、402、ソースドライバ回路部304及びゲートドライバ回路部306は、複数のトランジスタを有しており、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタを適用することができる。
なお、表示装置300は、表示素子として液晶素子を用いる構成であり、表示装置400は、表示素子として発光素子を用いる構成である。図10及び図11を用いて表示装置300と表示装置400の詳細について説明を行う。なお、表示装置300と表示装置400の共通部分について最初に説明し、次に異なる部分について説明する。
なお、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ、など、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
<表示装置の共通部分に関する説明>
図10は、図9(A)に示す一点鎖線Q−Rにおける切断面に相当する断面図である。図11は、図9(B)に示す一点鎖線V−Wにおける切断面に相当する断面図である。
図10及び図11に示す表示装置300、400は、引き回し配線部311と、画素部302、402と、ソースドライバ回路部304と、FPC端子部308と、を有する。なお、引き回し配線部311は、信号線310を有する。
また、引き回し配線部311が有する信号線310は、トランジスタ350のソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極と同じ工程で形成される。なお、信号線310は、トランジスタ350の第1のゲート電極として機能する導電膜と同じ工程で形成される導電膜を用いてもよい。
また、FPC端子部308は、接続電極360、異方性導電膜380、及びFPC316を有する。なお、接続電極360は、トランジスタ350のソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極と同じ工程で形成される。また、接続電極360は、FPC316が有する端子と異方性導電膜380を介して、電気的に接続される。
また、図10及び図11に示す表示装置300、400においては、画素部302、402にトランジスタ350、ソースドライバ回路部304にトランジスタ352がそれぞれ設けられる構成について、例示している。トランジスタ350、352は、図1に示すトランジスタ150と同様の構成である。なお、トランジスタ350、352の構成については、トランジスタ150の構成に限定されず、例えば、トランジスタ152、154、152A、154Aに示す構成のトランジスタを用いてよい。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。当該トランジスタを用いることによって、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、上述のトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを液晶表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
また、画素部のトランジスタ及び駆動回路部に使用するトランジスタに接続する信号線として、銅元素を含む配線を用いると、配線抵抗に起因する信号遅延等が少ない表示装置とすることができるため好適である。
なお、本実施の形態においては、画素部302、402に含まれるトランジスタ350と、ソースドライバ回路部304に含まれるトランジスタ352は、同一のサイズの構成としているが、これに限定されない。画素部302、及びソースドライバ回路部304に用いるトランジスタは、適宜サイズ(L/W)、または用いるトランジスタ数などを変えることができる。また、図10及び図11においては、ゲートドライバ回路部306は、図示していないが、接続先、または接続方法等を変更することで、ソースドライバ回路部304と同様の構成とすることができる。
また、図10及び図11において、トランジスタ350及びトランジスタ352が有する絶縁膜364、366、368上に平坦化絶縁膜370が設けられている。
絶縁膜364、366、368としては、先の実施の形態に示す絶縁膜114、116、118と、それぞれ同様の材料及び作製方法により形成することができる。
また、平坦化絶縁膜370としては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性を有する有機材料を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜370を形成してもよい。また、平坦化絶縁膜370を設けない構成としてもよい。
また、トランジスタ350が有する一対の電極の一方には、導電膜372または導電膜444が接続される。導電膜372、444は、平坦化絶縁膜370上に形成され画素電極、すなわち表示素子の一方の電極として機能する。導電膜372としては、可視光において透光性のある導電膜を用いると好ましい。該導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。また、導電膜444としては、反射性のある導電膜を用いると好ましい。
<表示素子として液晶素子を用いる表示装置の構成例1>
図10に示す表示装置300は、液晶素子375を有する。液晶素子375は、導電膜372、導電膜374、及び液晶層376を有する。導電膜374は、第2の基板305側に設けられ、対向電極としての機能を有する。図10に示す表示装置300は、導電膜372と導電膜374に印加される電圧によって、液晶層376の配向状態が変わることによって光の透過、非透過が制御され画像を表示することができる。
なお、図10において図示しないが、導電膜372、374の液晶層376と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。また、図10において図示しないが、カラーフィルタ(着色層)、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
第1の基板301及び第2の基板305としては、例えばガラス基板を用いることができる。
また、第1の基板301と第2の基板305の間には、スペーサ378が設けられる。スペーサ378は、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、液晶層376の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、スペーサ378として、球状のスペーサを用いていても良い。
表示素子として液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が速い。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、光学的等方性であるため配向処理が不要である。また、また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
また、表示素子として液晶素子を用いる場合、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
また、ノーマリブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。
また、画素部302における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素よって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
<表示素子として発光素子を用いる表示装置>
図11に示す表示装置400は、発光素子480を有する。発光素子480は、導電膜444、EL層446、及び導電膜448を有する。表示装置400は、発光素子480が有するEL層446が発光することによって、画像を表示することができる。
また、図11に示す表示装置400は、第1の基板401と、接着層418と、絶縁膜420と、第1の素子層410と、封止層432と、第2の素子層411と、絶縁膜440と、接着層412と、第2の基板405と、を有する。また、第1の素子層410は、トランジスタ350、352と、絶縁膜364、366、368と、接続電極360と、発光素子480と、絶縁膜430と、信号線310と、接続電極360と、を有する。また、第2の素子層411は、絶縁膜434と、着色層436と、遮光層438と、を有する。なお、第1の素子層410と第2の素子層411は、封止層432を介して対向して配置される。
なお、第1の基板401と第2の基板405は、それぞれ可撓性を有する。したがって、第1の基板401と第2の基板405を用いて形成される表示装置400は、フレキシブル性を有する。
第1の基板401と第2の基板405としては、例えば、可撓性を有する程度の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等が挙げられる。とくに、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。
また、平坦化絶縁膜370、及び導電膜444上に絶縁膜430が設けられる。絶縁膜430は、導電膜444の一部を覆う。なお、発光素子480はトップエミッション構造である。したがって、導電膜448は透光性を有し、EL層446が発する光を透過する。なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造について、例示するが、これに限定されない。例えば、導電膜444側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜444及び導電膜448の双方に光を射出するデュアルエミッション構造にも適用することができる。
また、発光素子480と重なる位置に、着色層436が設けられ、絶縁膜430と重なる位置、引き回し配線部311、及びソースドライバ回路部304に遮光層438が設けられている。着色層436及び遮光層438は、絶縁膜434で覆われている。発光素子480と絶縁膜434の間は封止層432で充填されている。なお、表示装置400においては、着色層436を設ける構成について例示したが、これに限定されない。例えば、EL層446を塗り分けにより形成する場合においては、着色層436を設けない構成としてもよい。
トランジスタ350、352は、絶縁膜420上に設けられる。絶縁膜420と第1の基板401は接着層418によって貼り合わされる。また、絶縁膜440と第2の基板405は接着層412によって貼り合わされる。絶縁膜420や絶縁膜440には、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機樹脂膜、または酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの透湿性の低い無機絶縁膜を用いることができる。絶縁膜420及び絶縁膜440に用いる材料、具体的には有機樹脂膜を用いる場合と、無機絶縁膜を用いる場合によって、表示装置400の作製方法が異なる。該作製方法については、後述する。
接着層412、418には、例えば、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が発光素子480に侵入することを抑制でき、表示装置の信頼性が向上するため好ましい。
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラー(酸化チタン等)を混合することにより、発光素子480からの光取り出し効率を向上させることができ、好ましい。
また、接着層412、418には、光を散乱させる散乱部材を有していてもよい。例えば、接着層412、418には、上記樹脂と上記樹脂と屈折率が異なる粒子との混合物を用いることもできる。該粒子は光の散乱部材として機能する。樹脂と、該樹脂と屈折率の異なる粒子は、屈折率の差が0.1以上あることが好ましく、0.3以上あることがより好ましい。具体的には樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、イミド樹脂、シリコーン等を用いることができる。また粒子としては、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト等を用いることができる。酸化チタンおよび酸化バリウムの粒子は、光を散乱させる性質が強く好ましい。またゼオライトを用いると、樹脂等の有する水を吸着することができ、発光素子の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態においては、耐熱性の高い基板上で第1の素子層410を作製したあとに、該耐熱性の高い基板から第1の素子層410を剥離し、接着層418を用いて第1の基板401上に絶縁膜420やトランジスタ350、352、発光素子480等を転置することで作製できる表示装置を示している。
第1の基板401、及び第2の基板405として、例えば、透水性が高く耐熱性が低い材料(樹脂など)を用いる場合、作製工程を高温(例えば、300℃)にすることが難しいため、第1の基板401、第2の基板405上にトランジスタや絶縁膜を作製する条件に制限が生じてしまう。本実施の形態の作製方法では、耐熱性の高い基板上でトランジスタ等の作製を行えるため、信頼性の高いトランジスタや十分に透水性の低い絶縁膜を形成することができる。そして、それらを第1の基板401や第2の基板405へと転置することで、信頼性の高い表示装置を作製できる。これにより、本発明の一態様では、軽量または薄型であり、且つ信頼性の高い表示装置を実現できる。
また、第1の基板401及び第2の基板405には、それぞれ、靱性が高い材料を用いることが好ましい。これにより、耐衝撃性に優れ、破損しにくい発光装置を実現できる。例えば、第1の基板401及び第2の基板405を有機樹脂基板とすることで、基材にガラス基板を用いる場合に比べて、軽量であり、破損しにくい表示装置400を実現できる。
また、第1の基板401に、熱放射率が高い材料を用いると表示装置の表面温度が高くなることを抑制でき、表示装置の破壊や信頼性の低下を抑制できる。例えば、第1の基板401を金属基板と熱放射率の高い層(例えば、金属酸化物やセラミック材料を用いることができる)の積層構造としてもよい。
ここで、図11に示す表示装置400の作製方法について、図12乃至図15を用いて以下詳細に説明を行う。なお、図12においては、絶縁膜420及び絶縁膜440として有機樹脂膜を用いる構成について説明し、図15においては、絶縁膜420及び絶縁膜440として無機絶縁膜を用いる構成について説明する。また、図12乃至図15においては、図面の煩雑さを避けるために、図11に示す第1の素子層410及び第2の素子層411を簡略して図示している。
まず、絶縁膜420及び絶縁膜440として有機樹脂膜を用いる構成の表示装置の作製方法について以下説明を行う。
<表示装置の作製方法1>
まず、基板462上に絶縁膜420を形成し、絶縁膜420上に第1の素子層410を形成する(図12(A)参照)。
基板462としては、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板462として用いてもよい。
基板462にガラス基板を用いる場合、基板462と絶縁膜420との間に、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の絶縁膜を形成すると、ガラス基板からの汚染を防止でき、好ましい。
絶縁膜420には、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機樹脂膜を用いることができる。中でもポリイミド樹脂を用いると耐熱性が高いため好ましい。絶縁膜420として、例えば、ポリイミド樹脂を用いる場合、該ポリイミド樹脂の膜厚は、3nm以上20μm以下、好ましくは500nm以上2μm以下である。絶縁膜420として、ポリイミド樹脂を用いる場合、スピンコート法、ディップコート法、ドクターブレード法等により形成することができる。例えば、絶縁膜420として、ポリイミド樹脂を用いる場合、該ポリイミド樹脂をドクターブレード法により、余分な樹脂を除去することで所望の厚さを得ることができる。
第1の素子層410としては、先の実施の形態に示すトランジスタ150の作製方法を参酌することで、トランジスタ350等を形成することが可能である。本実施の形態においては、トランジスタ350以外の構成の作製方法について、以下詳細に説明を行う。
なお、第1の素子層410としては、トランジスタ350を含む全ての構成の形成温度が室温以上300℃以下であると好ましい。例えば、第1の素子層410に形成される無機材料で形成される絶縁膜または導電膜は、成膜温度が150℃以上300℃以下、好ましくは200℃以上270℃以下で形成されると好ましい。また、第1の素子層410に形成される有機樹脂材料で形成される絶縁膜等は、形成温度が室温以上100℃以下で形成されると好ましい。また、トランジスタ350の形成工程において、例えば、作製工程中の加熱工程を行わなくてもよい。
また、トランジスタ350のチャネル領域には先に記載のCAAC−OSを用いると好適である。トランジスタ350のチャネル領域にCAAC−OSを用いると、例えば、表示装置400を折り曲げる際に、チャネル領域にクラック等が入りづらく、曲げに対する耐性を高めることが可能となる。
また、第1の素子層410が有する絶縁膜430、導電膜372、EL層446、及び導電膜448は、以下の方法で形成することができる。
絶縁膜430としては、例えば、有機樹脂又は無機絶縁材料を用いることができる。有機樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等を用いることができる。無機絶縁材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。絶縁膜430の作製が容易となるため、特に感光性の樹脂を用いることが好ましい。絶縁膜430の形成方法は、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィ法、スパッタ法、蒸着法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いればよい。
導電膜444としては、例えば、可視光において反射性の高い金属膜を用いると好ましい。該金属膜としては、例えば、アルミニウム、銀、またはこれらの合金等を用いることができる。また、導電膜444としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
EL層446としては、導電膜444と導電膜448から注入される正孔と電子とが再結合し発光できる発光材料を用いればよい。また、該発光材料の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などの機能層を必要に応じて形成してもよい。また、EL層446としては、例えば、蒸着法、または塗布法などを用いて形成することができる。
導電膜448としては、例えば、可視光において透光性のある導電膜を用いると好ましい。該導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。また、導電膜448としては、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。とくに、導電膜448に酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いると、表示装置400を折り曲げる際に、導電膜448にクラック等が入りづらいため好適である。また、導電膜448としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
次に、第1の素子層410と、仮支持基板466とを、剥離用接着剤464を用いて接着し、基板462から絶縁膜420と第1の素子層410を剥離する。これにより、絶縁膜420と第1の素子層410は、仮支持基板466側に設けられる(図12(B)参照)。
仮支持基板466としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いてもよい。
剥離用接着剤464としては、水や溶媒に可溶なものや、紫外線などの照射により可塑化させることが可能であるもののように、必要時に仮支持基板466と素子層410とを化学的もしくは物理的に分離することが可能な接着剤を用いる。
なお、仮支持基板466への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、基板462の絶縁膜420が形成されていない側、すなわち図12(B)に示す下方側より絶縁膜420にレーザ光468を照射することで、絶縁膜420を脆弱化させることで基板462と絶縁膜420を剥離することができる。また、上記レーザ光468の照射エネルギー密度を調整することで、基板462と絶縁膜420の密着性が高い領域と、基板462と絶縁膜420の密着性が低い領域を作り分けてから剥離してもよい。
なお、本実施の形態においては、基板462と絶縁膜420の界面で剥離する方法について例示したが、これに限定されない。例えば、絶縁膜420と第1の素子層410との界面で剥離してもよい。
また、基板462と絶縁膜420との界面に液体を浸透させて基板462から絶縁膜420を剥離してもよい。または、絶縁膜420と第1の素子層410との界面に液体を浸透させて絶縁膜420から第1の素子層410を剥離してもよい。上記液体としては、例えば、水、極性溶媒等を用いることができる。絶縁膜420を剥離する界面、具体的には基板462と絶縁膜420との界面または絶縁膜420と第1の素子層410との界面に液体を浸透させることによって、第1の素子層410に与えられる剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。
次に、絶縁膜420に接着層418を用いて第1の基板401を接着する(図12(C)参照)。
次に、剥離用接着剤464を溶解または可塑化させて、第1の素子層410から剥離用接着剤464と仮支持基板466を取り除く(図12(D)参照)。
なお、第1の素子層410の表面が露出するように剥離用接着剤464を水や溶媒などで除去すると好ましい。
以上により、第1の基板401上に第1の素子層410を作製することができる。
次に、図12(A)乃至図12(D)に示す工程と同様の形成方法により、第2の基板405と、第2の基板405上の接着層412と、接着層412上の絶縁膜440と、第2の素子層411と、を形成する(図13(A)参照)。
第2の素子層411が有する絶縁膜440としては、絶縁膜420と同様の材料、ここでは有機樹脂膜を用いて形成することができる。
また、第2の素子層411が有する着色層436としては、特定の波長帯域の光を透過する有色層であればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過する赤色(R)のカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過する緑色(G)のカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過する青色(B)のカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様様な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
また、第2の素子層411が有する遮光層438としては、特定の波長帯域の光を遮光する機能を有していればよく、金属膜または黒色顔料等を含んだ有機絶縁膜などを用いることができる。
また、第2の素子層411が有する絶縁膜434としては、例えば、アクリル樹脂等の有機絶縁膜を用いることができる。なお、絶縁膜434は、必ずしも形成する必要はなく、絶縁膜434を形成しない構造としてもよい。
次に、第1の素子層410と第2の素子層411の間に、封止層432を充填し、第1の素子層410と第2の素子層411と、を貼り合わせる(図13(B)参照)。
封止層432としては、例えば、固体封止とすることができる。ただし、封止層432としては、可撓性を有する構成が好ましい。封止層432としては、例えば、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
最後に、接続電極360に異方性導電膜380とFPC408を貼り付ける。必要があればICチップなどを実装させてもよい。
以上により、図11に示す表示装置400を作製することができる。
次に、絶縁膜420及び絶縁膜440として無機絶縁膜を用いる構成の表示装置の作製方法について以下説明を行う。なお、上記表示装置の作製方法1で記載した機能と同様の機能を有する構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
<表示装置の作製方法2>
まず、基板462上に剥離層463を形成する。次に、剥離層463上に絶縁膜420を形成し、絶縁膜420上に第1の素子層410を形成する(図14(A)参照)。
剥離層463としては、例えば、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素、該元素を含む合金材料、または該元素を含む化合物材料を含み、単層または積層された構造を用いることができる。また、シリコンを含む層の場合、該シリコンを含む層の結晶構造としては、非晶質、微結晶、多結晶、単結晶のいずれでもよい。
剥離層463としては、スパッタリング法、PECVD法、塗布法、印刷法等により形成できる。なお、塗布法は、スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
剥離層463が単層構造の場合、タングステン、モリブデン、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成することが好ましい。また、タングステンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、またはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物もしくは酸化窒化物を含む層を形成してもよい。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
また、剥離層463として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。また、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N2O)プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ処理や加熱処理は、酸素、窒素、亜酸化窒素単独、あるいは該ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行ってもよい。上記プラズマ処理や加熱処理により、剥離層463の表面状態を変えることにより、剥離層463と後に形成される絶縁膜420との密着性を制御することが可能である。
絶縁膜420には、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの透湿性の低い無機絶縁膜を用いることができる。上記無機絶縁膜は、例えば、スパッタリング法、PECVD法等を用いて形成することができる。
次に、第1の素子層410と、仮支持基板466とを、剥離用接着剤464を用いて接着し、剥離層463から絶縁膜420と第1の素子層410を剥離する。これにより、絶縁膜420と第1の素子層410は、仮支持基板466側に設けられる(図14(B)参照)。
なお、仮支持基板466への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、剥離層463と絶縁膜420との界面に金属酸化膜を含む層を形成した場合は、該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して、剥離層463から絶縁膜420を剥離することができる。また、剥離層463をタングステン膜で形成した場合は、アンモニア水と過酸化水素水の混合溶液によりタングステン膜をエッチングしながら剥離を行ってもよい。
また、剥離層463と絶縁膜420との界面に液体を浸透させて剥離層463から絶縁膜420を剥離してもよい。上記液体としては、例えば、水、極性溶媒等を用いることができる。絶縁膜420を剥離する界面、具体的には剥離層463と絶縁膜420との界面に液体を浸透させることによって、第1の素子層410に与えられる剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。
次に、絶縁膜420に接着層418を用いて第1の基板401を接着する(図14(C)参照)。
次に、剥離用接着剤464を溶解または可塑化させて、第1の素子層410から剥離用接着剤464と仮支持基板466を取り除く(図14(D)参照)。
なお、第1の素子層410の表面が露出するように剥離用接着剤464を水や溶媒などで除去すると好ましい。
以上により、第1の基板401上に第1の素子層410を作製することができる。
次に、図14(A)乃至図14(D)に示す工程と同様の形成方法により、第2の基板405と、第2の基板405上の接着層412と、接着層412上の絶縁膜440と、第2の素子層411と、を形成する。その後、第1の素子層410と第2の素子層411の間に、封止層432を充填し、第1の素子層410と第2の素子層411と、を貼り合わせる。
最後に、接続電極360に異方性導電膜380とFPC408を貼り付ける。必要があればICチップなどを実装させてもよい。
以上により、図11に示す表示装置400を作製することができる。
次に、図10に示す表示装置300の変形例である表示装置300Aについて、図15を用いて説明する。
<表示素子として液晶素子を用いる表示装置の構成例2>
図15に示す表示装置300Aは、液晶素子375を有する。液晶素子375は、導電膜373、導電膜377、及び液晶層376を有する。導電膜373は、第1の基板301上の平坦化絶縁膜370上に設けられ、反射電極としての機能を有する。図15に示す表示装置300Aは、外光を利用し導電膜373で光を反射して着色層436を介して表示する、所謂反射型のカラー液晶表示装置である。
なお、図15に示す表示装置300Aにおいては、画素部302の平坦化絶縁膜370の一部に凹凸が設けられている。該凹凸は、例えば、平坦化絶縁膜370を有機樹脂膜等で形成し、該有機樹脂膜の表面に凹凸を設けることで形成することができる。また、反射電極として機能する導電膜373は、上記凹凸に沿って形成される。したがって、外光が導電膜373に入射した場合において、導電膜373の表面で光を乱反射することが可能となり、視認性を向上させることができる。
また、表示装置300Aは、第2の基板305側に遮光層438、絶縁膜434、及び着色層436を有する。遮光層438、絶縁膜434、及び着色層436は、表示装置400に記載の材料及び方法を援用することで形成することができる。また、表示装置300Aが有する導電膜373は、トランジスタ350のソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電膜373としては、導電膜444に記載の材料及び方法を援用することで形成することができる。
また、表示装置300Aは、容量素子390を有する。容量素子390は、一対の電極間に絶縁膜を有する。より具体的には、容量素子390は、トランジスタ350の第1のゲート電極として機能する導電膜と同一工程で形成される導電膜を一方の電極として用い、トランジスタ350のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同一工程で形成される導電膜を他方の電極として用い、上記一対の電極間には、トランジスタ350のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜と同一工程で形成される絶縁膜と、酸化物半導体膜の保護絶縁膜として機能する第1の絶縁膜を有する。
以上のように、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタは、様々な表示装置に適用することが可能である。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を用いることができる表示装置について、図16を用いて説明を行う。
図16(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また。複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図16(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図16(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図16(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
また、図16(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図16(B)に示す構成とすることができる。
図16(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。
また、本発明の一態様の半導体装置は、例えば、トランジスタ550に適用することができる。トランジスタ550として、先の実施の形態に示すトランジスタ150、152、154等を適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を備える表示装置の駆動方法としては、TNモード、STNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、又はTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図16(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図16(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図16(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図16(C)に示す構成とすることができる。
また、図16(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。ここでは、トランジスタ552及びトランジスタ554いずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタ150、152、154、152A、154A等を適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信号線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図16(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図16(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を用いることができる表示モジュール及び電子機器について、図17及び図18を用いて説明を行う。
図17に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライト8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリー8011を有する。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライト8007は、光源8008を有する。なお、図17において、バックライト8007上に光源8008を配置する構成について例示したが、これに限定さない。例えば、バックライト8007の端部に光源8008を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライト8007を設けない構成としてもよい。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリー8011による電源であってもよい。バッテリー8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
図18(A)乃至図18(H)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、操作キー5005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することができる。
図18(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009、赤外線ポート5010、等を有することができる。図18(B)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図18(C)はゴーグル型ディスプレイであり、上述したものの他に、第2表示部5002、支持部5012、イヤホン5013、等を有することができる。図18(D)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図18(E)はテレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5014、シャッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。図18(F)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図18(G)はテレビ受像器であり、上述したものの他に、チューナ、画像処理部、等を有することができる。図18(H)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したものの他に、信号の送受信が可能な充電器5017、等を有することができる。
図18(A)乃至図18(H)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図18(A)乃至図18(H)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。なお、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、トランジスタを作製し、該トランジスタのID−VG特性の評価を行った。
<試料の作製>
本実施例では、図1(A)、(B)、(C)に示すトランジスタ150に相当する構成のトランジスタを作製した。なお、図1(B)に示すトランジスタ150が有する第1の絶縁膜110の膜厚と、一対の電極112a、112bの間の長さの条件を振り、合計9条件の試料(試料A1乃至A3、試料B1乃至B3、及び試料C1乃至C3)を作製した。まず、本実施例で作製した試料の条件を表1に示す。
なお、表1において、Tins、Lm、Sov、及びLcは、図2に示すTins、Lm、Sov、及びLcに相当する。また、表1に示す試料A1、A2、A3、B1、B2、B3は本発明の一態様の半導体装置であり、試料C1、C2、C3は比較用の半導体装置である。
次に、表1に示す各試料の作製方法を以下に示す。
<試料の作製方法>
まず、基板としてガラス基板を用い、基板上に第1のゲート電極として機能する導電膜を形成した。
第1のゲート電極として機能する導電膜として、スパッタリング法で厚さ100nmのタングステン膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により該タングステン膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該タングステン膜の一部をエッチングして形成した。
次に、第1のゲート電極として機能する導電膜上にゲート絶縁膜として機能する絶縁膜を形成した。
ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜として、厚さ400nmの窒化シリコン膜と、厚さ50nmの第1の酸化窒化シリコン膜と、を積層して形成した。
なお、窒化シリコン膜は、第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、および第3の窒化シリコン膜の3層積層構造とした。
第1の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成した。第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成した。第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量5000sccmの窒素を原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成した。なお、第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とした。
第1の酸化窒化シリコン膜としては、流量20sccmのシラン、流量3000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を40Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて100Wの電力を供給して、酸化窒化シリコン膜を形成した。なお、酸化窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とした。
次に、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜を介して第1のゲート電極として機能する導電膜に重なる酸化物半導体膜を形成した。
ここでは、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜上に厚さ50nmの酸化物半導体膜をスパッタリング法で形成した。
酸化物半導体膜は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)のターゲットとし、アルゴンおよび酸素の混合ガスを酸素割合50%としてスパッタリング装置の反応室内に供給し、反応室内の圧力を0.6Paに制御し、2.5kWの交流電力を供給して形成した。なお、酸化物半導体膜を形成する際の基板温度を170℃とした。
次に、第1の加熱処理を行った。該第1の加熱処理としては、窒素雰囲気で、450℃、1時間の処理後、続けて窒素と酸素の混合ガス雰囲気で、450℃、1時間の処理を行った。
次に、酸化物半導体膜に接する第1の絶縁膜を成膜した。
試料A1、A2、及びA3には、第1の絶縁膜として、厚さ10nmの第2の酸化窒化シリコン膜を成膜した。試料B1、B2、及びB3には、第1の絶縁膜として、厚さ50nmの第2の酸化窒化シリコン膜を成膜した。試料C1、C2、及びC3には、第1の絶縁膜として、厚さ100nmの第2の酸化窒化シリコン膜を成膜した。
第1の絶縁膜として用いた第2の酸化窒化シリコン膜としては、流量30sccmのシラン、流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を200Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの電力を供給して、酸化窒化シリコン膜を形成した。なお、酸化窒化シリコン膜形成時の基板温度は220℃とした。
次に、第1の絶縁膜に酸化物半導体膜に達する開口部を形成した。該開口部は、フォトリソグラフィ工程により第1の絶縁膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて、第1の絶縁膜の一部をエッチングすることにより形成した。
次に、上記開口部を覆うように、酸化物半導体膜に接する一対の電極を形成した。
まず、第1の絶縁膜及び酸化物半導体膜上に導電膜を形成した。該導電膜として、厚さ50nmのチタン膜上に厚さ400nmのアルミニウム膜を形成し、該アルミニウム膜上に厚さ100nmのチタン膜を形成した。次に、フォトリソグラフィ工程により該導電膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該導電膜の一部をエッチングし、一対の電極を形成した。
なお、上記一対の電極の形成時において、フォトリソグラフィ工程によるマスクのサイズを変えることで、表1に示すLm、Sov、及びLcの長さの各試料を、それぞれ作製した。
次に、第1の絶縁膜及び一対の電極上に第2の絶縁膜を形成した。ここでは、第2の絶縁膜として、厚さが325nmの第3の酸化窒化シリコン膜と、厚さが100nmの第4の窒化シリコン膜の2層構造とした。なお、上記第3の酸化窒化シリコン膜と、第4の窒化シリコン膜との形成の間に、第2の加熱処理を行った。
第3の酸化窒化シリコン膜として、流量200sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、1500Wの高周波電力を平行平板電極に供給したPECVD法により形成した。当該条件により、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
第2の加熱処理として、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行った。第2の加熱処理を行うことで、第2の酸化窒化シリコン膜、及び第3の酸化窒化シリコン膜から水、窒素、水素等を脱離させると共に、第2の酸化窒化シリコン膜、及び第3の酸化窒化シリコン膜に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜へ供給した。
第4の窒化シリコン膜として、流量50sccmのシラン、流量5000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとし、反応室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給したPECVD法により形成した。
次に、酸化物半導体膜及び一対の電極が設けられていない領域において、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜、第1の絶縁膜、及び第2の絶縁膜の一部に、第1のゲート電極として機能する導電膜に達する開口部を形成した。該開口部は、フォトリソグラフィ工程により第2の絶縁膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜、第1の絶縁膜、及び第2の絶縁膜の一部をエッチングすることにより形成した。
次に、上記開口部を覆うように、第2の絶縁膜上にバックゲート電極として機能する導電膜を形成した。バックゲート電極として機能する導電膜は、上記開口部を介して、第1のゲート電極として機能する導電膜と電気的に接続する構成とした。
バックゲート電極として機能する導電膜として、スパッタリング法により厚さが100nmの酸化シリコンを含む酸化インジウム−酸化スズ化合物(ITO−SiO2)の導電膜を形成した。なお該導電膜に用いたターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。この後、窒素雰囲気で、250℃、1時間の加熱処理を行った。
以上の工程により、表1に示す本実施例の試料を得た。
なお、表1に示す各試料のチャネル幅(W)は50μmとした。
<ID−VG特性>
次に、表1に示す試料A1、試料A2、試料A3、試料B1、試料B2、試料B3、試料C1、試料C2、及び試料C3のトランジスタの初期特性として、ID−VG特性を測定した。ID−VG特性の評価方法としては、基板温度を25℃とし、ソース−ドレイン間の電位差(以下、ドレイン電圧、VDともいう)を10Vとし、ソース−ゲート電極間の電位差(以下、ゲート電圧、VGともいう)を−15Vから15Vまで変化させたときのソース−ドレイン間に流れる電流(以下、ドレイン電流、IDともいう)の変化を測定した。
ここで、表1に示す試料A1、試料A2、試料A3、試料B1、試料B2、試料B3、試料C1、試料C2、及び試料C3においては、第1のゲート電極として機能する導電膜と、バックゲート電極として機能する導電膜とを電気的に接続した状態でゲート電圧を加えるような駆動方法を用いた。このような駆動方法では、第1のゲート電極として機能する導電膜と、バックゲート電極として機能する導電膜とのゲート電圧が等しくなる。
図22(A)に試料A1のID−VG特性を、図22(B)に試料A2のID−VG特性を、図22(C)に試料A3のID−VG特性を、図23(A)に試料B1のID−VG特性を、図23(B)に試料B2のID−VG特性を、図23(C)に試料B3のID−VG特性を、図24(A)に試料C1のID−VG特性を、図24(B)に試料C2のID−VG特性を、図24(C)に試料C3のID−VG特性を、それぞれ示す。
また、図22乃至図24のそれぞれにおいて、第1の縦軸はドレイン電流IDを、第2の縦軸は電界効果移動度(μFEともいう)を、横軸はゲート電圧VGを、それぞれ示す。ここで、電界効果移動度は、飽和領域での値を示すために、ドレイン電圧VDが10Vのときに算出した電界効果移動度を示している。
図22乃至図24に示す結果から、第1の絶縁膜の膜厚、すなわちTinsが薄い方がオン電流及び電界効果移動度の値が高くなっていることが分かった。しかしながら、図22(C)に示す試料A3では、トランジスタのオンオフ比が取れていない。これは、試料A3においては、Tinsが10nmであり、Lmが2μmであり、Sovが4μmであるため、酸化物半導体膜中のn型領域がチャネル長方向に広がりすぎたために、導通したと示唆される。したがって、Tinsが10nmの場合においては、Lmは2μmを超えると好ましい。また、図23(C)に示すTinsが50nmの試料B3では、トランジスタのオンオフ比が取れている。したがって、Tinsが50nmの場合においては、Lmは1μm以上が好ましい。
一方で、図24(A)、(B)、(C)に示す試料C1、C2、C3は、本発明の一態様である試料A1、A2、A3、B1、B2、B3と比較し、オン電流及び電界効果移動度の値が低い結果であった。
以上の結果から、厚さが1nm以上50nm以下である領域を有する第1の絶縁膜と、間の長さが1μm以上6μm以下である領域を有する一対の電極とすることで、高いオン電流及び高い電界効果移動度を有する半導体装置を実現することができる。