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JP6439263B2 - ガス拡散電極の製造装置 - Google Patents

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Description

燃料電池は水素と酸素を反応させて水が生成する際に生起するエネルギーを電気的に取り出す機構であり、エネルギー効率が高く排出物が水しかないことからクリーンエネルギーとして期待されている。本発明は、燃料電池に用いられるガス拡散電極およびその製造方法に関し、特に、燃料電池の中でも燃料電池車などの電源として使用される高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造方法および製造装置に関する。
高分子電解質型燃料電池に使用される電極は、高分子電解質型燃料電池において2つのセパレータで挟まれてその間に配置されるもので、高分子電解質膜の両面において、高分子電解質膜の表面に形成される触媒層と、この触媒層の外側に形成されるガス拡散層とからなる構造を有する。電極でのガス拡散層を形成するための個別の部材として、ガス拡散電極が流通している。そして、このガス拡散電極に求められる性能としては、例えばガス拡散性、触媒層で発生した電気を集電するための導電性、および触媒層表面に発生した水分を効率よく除去する排水性などがあげられる。このようなガス拡散電極を得るため、一般的に、ガス拡散能および導電性を兼ね備えた導電性多孔質基材が用いられる。
導電性多孔質基材としては、具体的には、炭素繊維からなるカーボンフェルト、カーボンペーパーおよびカーボンクロスなどが用いられ、中でも機械的強度などの点からカーボンペーパーが最も好ましいとされる。
また、燃料電池は水素と酸素が反応し水が生成する際に生じるエネルギーを電気的に取り出すシステムであるため、電気的な負荷が大きくなると、即ち電池外部へ取り出す電流を大きくすると多量の水(水蒸気)が発生し、この水蒸気が低温では凝縮して水滴になり、ガス拡散電極の細孔を塞いでしまうとガス(酸素あるいは水素)の触媒層への供給量が低下し、最終的に全ての細孔が塞がれてしまうと発電が停止することになる(この現象をフラッディングという)。
このフラッディングを可能な限り発生させないように、逆に言うとフラッディングを起こす電流値を出来る限り大きくするために、ガス拡散電極には排水性が求められる。この排水性を高める手段として、通常、導電性多孔質基材に撥水処理を施したガス拡散電極基材を用いて撥水性を高めている。
また、上記のような撥水処理を施した導電性多孔質基材をそのままガス拡散電極として用いると、その繊維の目が粗いため、水蒸気が凝縮すると大きな水滴が発生し、フラッディングを起こしやすい。このため、撥水処理を施した導電性多孔質基材の上に、カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散した塗液を塗布し乾燥焼結することにより、微多孔層と呼ばれる層(マイクロポーラスレヤーともいう)を設ける場合がある。この微多孔層にも撥水性を付与するため、撥水材としてフッ素系樹脂を含有させることが知られている(特許文献1、2、3)。微多孔層の役割としては、上記の他、触媒層が目の粗いガス拡散電極基材に貫入することを防ぐ(特許文献4)、また、導電性多孔質基材の粗さを電解質膜に転写させないための化粧直し効果がある。
撥水材は極力撥水性が高いほうが好ましいため、フッ素系樹脂が好適に用いられる。そのなかでも特に高い撥水性が得られるPTFE、FEPなどが好ましく用いられる。これらのフッ素系樹脂は、通常水系の分散媒に界面活性剤などの分散剤で分散させたディスパージョンの状態で市販されている。環境負荷低減の意味でも、水系塗布が好ましい。
上記のように、導電性多孔質基材に撥水処理を施し、微多孔層を設けるのが好ましい様態である。微多孔層はカーボンブラックなどの導電性微粒子とフッ素樹脂などの撥水材を混合分散した塗液を導電性多孔質基材上に塗布して形成するが、カーボンブラックなどの導電性微粒子を水系分散媒に分散させるには通常、界面活性剤を分散剤あるいは分散安定剤として用いる。
また、上記したように導電性多孔質基材の粗さを電解質膜に転写させないための化粧直し効果を機能させるには、微多孔層はある程度厚く塗ることが望ましい。厚みの大きい塗布膜を形成するためには、塗布適性のある範囲で高粘度であることが望ましい。また、導電性多孔質基材は多孔質であるため表面に粘度の低い塗液を塗ると裏側に塗液が抜けてしまう可能性もある。微多孔層塗液を高粘度にするために増粘剤として有機系化合物を用いることがある。前記分散剤として用いる界面活性剤が増粘作用を持つならばこれを多めに添加して増粘剤として活用してもよい。
一方、ガス拡散電極のガス拡散性や導電性を高めるため、撥水材の分散に用いる分散剤、微多孔層におけるカーボンブラックなどの導電性微粒子を分散させるための分散剤、増粘剤は何らかの方法で除去する必要がある。除去することによりガスの拡散経路ができ、また水蒸気や凝縮水の排水経路ができる。
従来、ガス拡散層の製造方法は特許文献1に代表されるように、導電性多孔質基材に撥水処理を施し、乾燥、必要に応じ焼結、微多孔層塗布、乾燥、焼結といった工程が取られてきた。ここで、焼結工程の意義は、分散剤として用いる界面活性剤除去、フッ素系樹脂などの撥水材を一度溶融してバインダーとして機能を高める働きがある。
特許第3382213号公報 特開2002−352807号公報 特開2000−123842号公報 特許第3773325号公報
しかし、上記したような微多孔層の塗液の分散性、分散安定性、あるいは増粘作用を高めるためには、この目的のために用いる界面活性剤を多量に用いる必要が生じる。通常の顔料分散系の塗液では分散剤として用いる界面活性剤は顔料の高々数%の添加量で済むが、ガス拡散層を形成するための塗液の場合には数十%あるいはそれ以上の界面活性剤を添加する場合もありうる。このような場合に上記焼結工程をどのように行なえば安全に効率よく性能の良いガス拡散電極が得られるかは明確にされていなかった。
例えば特許文献1にあるように、微多孔層を塗布して分散媒である水を乾燥させたのち、360℃の焼結工程に導入すると、界面活性剤が急激に分解して可燃性ガスが発生してこれが燃焼、発火する危険性が生じる。あるいは撥水材であるフッ素系樹脂が半溶融して導電性微粒子と結着する際に未分解の界面活性剤が残存しているとその結着が完結できず、導電性微粒子の脱落が起こりやすい。さらに、導電性微粒子とフッ素系樹脂の結着が不十分であると、ガス拡散電極を燃料電池に組み込んだとき、導電性微粒子表面においてカソードで発生した水蒸気の凝縮が発生しやすく、高電流密度における発電性能が低下する可能性がある。特許文献2には、焼結後にホットプレスを行なって、フッ素樹脂と導電性微粒子を結着させる技術を開示しているが、プレスすることにより微多孔層の空隙がつぶれてしまい、微多孔層内のガスの拡散性が損なわれ、発電性能が低下する問題があった。
本発明は、ガス拡散電極としての発電性能の良好なガス拡散電極を安全性高くかつ生産性高く量産可能な製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明のガス拡散電極の製造方法は上記の課題を解決するため、次のような手段を採用するものである。すなわち、導電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成された、高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造方法であって、導電性多孔質基材上に、導電性微粒子、撥水性樹脂、分散媒および界面活性剤を含有する微多孔層塗液を塗布する塗液塗布工程、分散媒を除去するために微多孔層塗液を乾燥させる塗液乾燥工程、界面活性剤を除去しうる温度で熱処理する第1の熱処理工程、および、第1の熱処理工程を経た導電性多孔質基材を、撥水剤の融点以上の温度で熱処理する第2の熱処理工程を含む、ガス拡散電極の製造方法である。
また電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成された、高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造方法であって、順に
長尺の導電性多孔質基材をロール状に巻いた巻回体から導電性多孔質基材を巻き出す巻き出し工程、
導電性多孔質基材上に、導電性微粒子、撥水性樹脂、分散媒および界面活性剤を含有する微多孔層塗液を塗布する塗液塗布工程、
分散媒を除去するために微多孔層塗液を乾燥させる塗液乾燥工程、
界面活性剤を除去しうる温度かつ350℃未満で熱処理する第1の熱処理工程、
第1の熱処理工程を経た導電性多孔質基材を、撥水性樹脂の融点以上の温度で熱処理する第2の熱処理工程、および
前記第2の熱処理工程を経て得たガス拡散電極を巻き取る巻き取り工程を含む、
ガス拡散電極の製造方法である。


また、本発明のガス拡散電極の製造装置は上記の課題を解決するため、次のいずれかの手段を採用するものである。
・導電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成された、高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造装置であって、ロール状に巻いた長尺の導電性多孔質基材を巻き出すための巻き出し機、巻き出し機により巻き出され、予め微多孔層前駆体が形成された導電性多孔質基材から界面活性剤を除去するための第1の熱処理炉、第1の熱処理炉を経由した導電性多孔質基材をさらに熱処理し撥水性樹脂を焼結するための第2の熱処理炉、第2の熱処理炉を経由して得られるガス拡散電極を巻き取るための巻き取り機から構成され、第1の熱処理炉は、単一パス方式熱処理炉であり、第2の熱処理炉は、熱風循環方式熱処理炉である、ガス拡散電極の製造装置。
・導電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成された、高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造装置であって、ロール状に巻いた長尺の導電性多孔質基材を巻き出すための巻き出し機、巻き出し機により巻き出された導電性多孔質基材上に、微多孔層塗液を塗布するための塗工機、導電性多孔質基材から微多孔層塗液を乾燥させるための乾燥機、乾燥機で乾燥された基材から界面活性剤を除去するための第1の熱処理炉、第1の熱処理炉を経由した導電性多孔質基材をさらに熱処理し撥水性樹脂を焼結するための第2の熱処理炉、第2の熱処理炉を経由して得られるガス拡散電極を巻き取るための巻き取り機から構成され、第1の熱処理炉は、単一パス方式熱処理炉であり、第2の熱処理炉は、熱風循環方式熱処理炉である、ガス拡散電極の製造装置。
本発明のガス拡散電極の製造方法および製造装置を用いることにより、以下の効果が期待できる。
・製造中に発火の危険性なくガス拡散電極を製造することができる。
・製造においてエネルギーの消費を削減できる。
・ガス拡散性が高く、排水性が良いガス拡散電極を製造することができ、それを用いると、発電性能の高い燃料電池が得られる。
実施例において使用した巻き取り式の搬送装置の概略図 実施例1で用いた撥水処理装置の概略図 実施例1で用いたダイコーティング装置の概略図 実施例2で用いたダイコーティング装置の概略図 実施例3,4,5で用いたダイコーティング装置の概略図 本発明に係るガス拡散電極の製造装置の一例を示す概略図 本発明において、微多孔層塗液を塗布し乾燥した後の試料について熱重量分析(TG)した際の減量の様子を示すグラフである。 図7に示す熱重量分析(TG)での昇温の様子を示すグラフである。
本発明において製造するガス拡散電極は、導電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成されてなる。
固体高分子型燃料電池において、ガス拡散電極は、セパレータから供給されるガスを触媒へと拡散するための高いガス拡散性、電気化学反応に伴って生成する水をセパレータへ排出するための高い排水性、発生した電流を取り出すため、高い導電性が必要である。このため、ガス拡散電極には、導電性を有し、平均細孔径が通常10μm以上100μm以下の多孔体からなる基材である導電性多孔質基材を用いる。導電性多孔質基材としては、具体的には、例えば、炭素繊維抄紙体、カーボンフェルト、カーボンペーパー、カーボンクロスなどの炭素繊維を含む多孔質基材、発泡焼結金属、金属メッシュ、エキスパンドメタルなどの金属多孔質基材を用いることが好ましい。中でも、耐腐食性が優れることから、炭素繊維を含むカーボンフェルト、カーボンペーパー、カーボンクロスなどの多孔質基材を用いることが好ましく、さらには、電解質膜の厚み方向の寸法変化を吸収する特性、すなわち「ばね性」に優れることから、炭素繊維抄紙体を炭化物で結着してなる基材、すなわちカーボンペーパーを用いることが好適である。
微多孔層は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭素繊維のチョップドファイバー、グラフェン、黒鉛などの導電性微粒子を含んでなる。カーボンブラックとしては、不純物が少なく触媒の活性を低下させにくいという点でアセチレンブラックが好適に用いられる。また、微多孔層には、導電性、ガス拡散性、水の排水性、あるいは保湿性、熱伝導性といった特性、さらには燃料電池内部のアノード側での耐強酸性、カソード側での耐酸化性が求められるため、微多孔層には、導電性微粒子に加えて、フッ素樹脂をはじめとする撥水性樹脂を含んでいる。微多孔層に用いられる撥水性樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)(たとえば“テフロン”(登録商標))、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂)、ETFA(エチレン四フッ化エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリフッ化ビニル)等のフッ素樹脂が挙げられるが、撥水性が特に高いという点でPTFE、あるいはFEPが好ましい。
導電性多孔質基材に微多孔層を設けるためには、導電性多孔質基材上に、微多孔層塗液を塗布する塗液塗布工程が採用される。微多孔層塗液は、水やアルコールなどの分散媒に、前記した導電性微粒子、撥水性樹脂、および、導電性微粒子を分散媒に分散するための分散剤として界面活性剤が配合されてなる。
微多孔層塗液における導電性微粒子の濃度は、生産性の点から、塗液全体の質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。粘度、導電性粒子の分散安定性、塗液の塗布性などが適性であれば濃度に上限はないが、実際的には50質量%を超えると塗液としての適性が損なわれる可能性がある。特に導電性微粒子としてアセチレンブラックを用いた場合には、本発明者らの検討では水系塗液の場合、25質量%程度が上限であり、これ以上の濃度になるとアセチレンブラックどうしが再凝集しいわゆるパーコレーションが発生し急激な粘度増加で塗液の塗布性が損なわれる。
微多孔層の役割としては、(1)触媒の保護、(2)目の粗い導電性多孔質基材の表面が電解質膜に転写しないようにする化粧直し効果、(3)カソードで発生する水蒸気を凝縮防止の効果などである。上記のうち、化粧直し効果を発現するためには、微多孔層にある程度の厚みが必要となる。
微多孔層の厚みについては、導電性多孔質基材の粗さを考慮すれば、乾燥膜厚で10μm以上は必要であるが、60μmを超えるとガス拡散電極自体の電気抵抗が高くなるため好ましくない。
微多孔層塗液は、前記したように導電性微粒子を分散媒(水系の場合には水)に分散して調製する。導電性微粒子を分散させるためには導電性微粒子の100質量部あたり0.1質量部ないし高々10質量部も分散剤を添加すれば良い。しかし、この分散を長時間安定させて塗液粘度の上昇を防ぎ、液が分離したりしないようにするために分散剤としての界面活性剤の添加量を増量することが有効である。
また、前記したように微多孔層の厚みを乾燥塗膜で10μm以上にする場合、塗液の粘度を少なくとも1000mPa・s以上に保つことが好ましい。粘度がこれより低いと塗液が導電性多孔質基材表面上で流れてしまい、また細孔に塗液が流入して裏抜けを起こしてしまう。逆にあまり高粘度になると塗布性が悪くなるため、上限は25Pa・s程度である。好ましい粘度の範囲としては、3000mPa・s以上、20Pa・s以下、さらに好ましくは5000mPa・s以上、15Pa・s以下である。
上記のように塗液の粘度を高粘度に保つためには、増粘剤を添加することが有効である。ここで用いる増粘剤は一般的に良く知られたもので良い。例えば、メチルセルロース系、ポリエチレングリコール系、ポリビニルアルコール系などの界面活性剤が増粘剤として好適に用いられる。
これらの分散剤や増粘剤は同じ界面活性剤に二つの機能を持たせても良く、またそれぞれの機能に適した界面活性剤を選んでも良い。ただし、増粘剤と分散剤を別個に選定する場合には、導電性微粒子の分散系およびフッ素樹脂などの撥水性樹脂の分散系を壊さないものを選ぶ必要がある。いずれにしても、本発明では、分散剤および増粘剤として界面活性剤を使用する。本発明の範囲においては、界面活性剤の総量は、導電性微粒子の100質量部当たり、好ましくは50質量部以上であり、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは150質量部を超える量である。界面活性剤の添加量の上限としては導電性微粒子の100質量部当たり500質量部以下であり、これを超えるようだと後の焼結工程において多量の蒸気や分解ガスが発生し、安全性、生産性を低下させる可能性があり好ましくない。
燃料電池の部材としては金属類のコンタミネーションが存在すると短絡や触媒劣化により電池性能が低下するおそれがあるため、本発明で用いる界面活性剤は金属イオンの含有量が少ないノニオン系(非イオン系)の界面活性剤が好ましい。この点から、メチルセルロース系、ポリエチレングリコール系、なかでもアルキルフェノールとポリエチレングリコールのエーテル類、高級脂肪族アルコールとポリエチレングリコールのエーテル、ポリビニルアルコール系などが好適に用いられる。
微多孔層塗液の導電性多孔質基材への塗工は、市販されている各種の塗工機を用いて行うことができる。塗工方式としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、スプレー噴霧、凹版印刷、グラビア印刷、ダイコーター塗工、バー塗工、ブレード塗工などが使用できるが、導電性多孔質基材の表面粗さによらず塗工量の定量化を図ることができるため、ダイコーター塗工が好ましい。以上例示した塗工方法はあくまでも例示のためであり、必ずしもこれらに限定されるものではない。
塗液塗布工程を経た後、塗液の分散媒(水系の場合は水)を除去するために微多孔層塗液を乾燥する塗液乾燥工程に供する。乾燥の温度は、界面活性剤が除去されない温度とするのが好ましく、具体的には、室温(20℃前後)から150℃未満が好ましく、さらには60℃以上120℃以下がより好ましい。塗液乾燥工程を経た基材は、分散媒が除去されることにより、導電性微粒子、撥水性樹脂および界面活性剤を含有する微多孔層前駆体が形成された基材となる。
塗液乾燥工程を経た後、導電性微粒子の分散に用いた界面活性剤を除去する目的および撥水性樹脂を一度溶融して導電性微粒子を結着させる目的で、焼結を行なうことが一般的であるが、本発明においては、塗液乾燥工程を経た後、界面活性剤の除去を主に行う第1の熱処理工程と、撥水性樹脂の溶融結着、いわゆる焼結を主に行う第2の熱処理工程をそれぞれの最適温度で別個に行なう。
界面活性剤の除去のための第1の熱処理工程における熱処理温度は、界面活性剤を除去しうる温度、すなわち界面活性剤が蒸発あるいは熱分解して減量できる温度で行なう。本発明者らの検討では、本発明に使用する界面活性剤を完全に熱処理により短時間で除去するためには、290℃以上の温度で熱処理を行うのが好ましく、300℃以上の温度で熱処理を行うのがより好ましい。また、さらに好ましくは、最初に200℃程度の温度で熱処理してから徐々に290℃以上の温度に加熱していくと、分解ガスの濃度が急激に上がらず、発火などの危険性がより少なくなる。
第1の熱処理の温度の上限としては、撥水性樹脂が熱により分解してしまうのは好ましくないため、撥水性樹脂の分解温度以下で熱処理を行なうことが好ましく、フッ素樹脂の場合には400℃以下、さらには350℃未満が好ましく、後述する撥水性樹脂の実質的溶融温度以下の温度で熱処理するのが特に好ましい。
また、使用する界面活性剤の特性にもよるが、熱処理による界面活性剤の除去は、界面活性剤が分解してガスが発生せずに、界面活性剤自体の蒸気の状態で除去する方が炉内から炉外へ排出させるための大気の風量を低減できるので好ましい。したがって、第1の熱処理工程における熱処理温度は、界面活性剤の沸点よりも分解温度が十分高い場合には、界面活性剤の分解温度以下、界面活性剤の沸点以上であることが好ましい。
第1の熱処理工程における熱処理時間は、生産性の点から、できるかぎり短時間、好ましくは20分以内、さらに好ましくは10分以内さらに好ましくは5分以内であるが、あまり短時間に第1の熱処理を行なうと界面活性剤の蒸気や分解性生物が急激に発生し、大気中で行なう場合には発火の危険性が生じるので好ましくない。通常2分以上が好ましい。
第1の熱処理工程における熱源としては熱風が好ましい。熱風は給気口から熱処理炉に供給し、ヒーターなどで加熱したあと熱処理炉内に導入し、炉内の被加熱基材に熱を供給し、発生してくる界面活性剤の蒸気や分解生成物を随伴して排気口より熱処理炉外へ排出する。この際発生する、界面活性剤の蒸気や分解生成物などのガスの濃度が爆発限界以上にならないよう十分な風量を供給する。さらに安全性を向上するため、排気口より熱処理炉外へ排出された熱風は、ヒータなどによる加熱部に戻さない、いわゆる単一パス方式とするのが良い。
第2の熱処理工程、いわゆる焼結工程は、撥水性樹脂の融点以上の温度で行なう必要があるが、後述する実質的溶融温度を超える温度である熱処理温度(焼結温度)で行なうことが好ましい。撥水性樹脂としてPTFEを使用する場合には、PTFEの融点が330℃付近であるが、350℃を超える焼結温度、好ましくは370℃以上の焼結温度で30秒以上の条件で焼結を行なうのがよい。撥水性樹脂としてFEPを使用する場合には、FEPの融点は240℃付近であるが、320℃を超える焼結温度で焼結することが好ましい。
本発明者らの検討では、FEPの焼結温度が240℃以上320℃以下では、ガス拡散電極を燃料電池に組み込んで発電させる場合、低温(40℃付近)での排水性が十分に機能せず、また、FEPの導電性微粒子に対するバインダーとしての機能が十分に発揮されず、導電性微粒子の粉落ちなどの懸念があることが分かった。即ち、FEPの実質的溶融温度は320℃であり、焼結に適した温度は、320℃を超える温度範囲ということになる。ここで実質的溶融温度は、実験的に求めることができる。即ち、ガス拡散電極の微多孔層の塗布乾燥後に実際に焼結を行い、低温での発電性能が良好になる温度、即ち、撥水材が燃料電池内部で発生した凝縮水を排水する能力を有効に発揮する温度を見極める。本発明者らの検討結果ではPTFEの実質的溶融温度は350℃、FEPの実質的溶融温度は320℃である。
また、焼結温度は、高すぎるとフッ素樹脂などの撥水性樹脂が分解する懸念があるので、通常400℃程度が上限であり、また、焼結時間については1分以上かけて行なうことが好ましく、生産性の観点から60分を上限に、10分未満、さらに好ましくは5分未満で行なうのが良い。
上記第2の熱処理工程における熱源としては熱風が好ましい。また、エネルギー効率を高めるために、熱風は循環させることが望ましい。第1の熱処理工程において可燃性の分解生成物はほぼ除去されており、第2の熱処理工程では熱風を循環させても発火したりする危険性が少ない。すなわち、第2の熱処理工程では、熱処理に使用する熱風がヒーターにより加熱されて炉内に供給され、炉外へ排気されるガスの大部分をヒーターによる加熱部に戻し、一部を装置外へ排出し、排出されたガスに見合う空気を供給する、いわゆる循環方式とするのが良い。
本発明において、塗液塗布工程に供する導電性多孔質基材には、撥水処理が施されていることが好ましい。撥水処理には通常、フッ素樹脂などの撥水材を分散媒に分散した撥水材ディスパージョンを用いる。撥水材としては、前記した微多孔層塗液に用いられる撥水性樹脂と同様のフッ素樹脂が挙げられるが、強い撥水性を発現するPTFE、あるいはFEPが好ましい。
また、これら撥水材は水あるいはその他の分散媒に分散させた状態の撥水材ディスパージョンとして撥水処理に用いるが、この分散に使用する分散剤(界面活性剤)は撥水材自体の融点より低い温度で蒸発あるいは分解除去できることが好ましい。
撥水処理で付与する撥水材の量は特に限定されないが、導電性多孔質基材100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下程度が適切である。0.1質量部より少ないと撥水性が十分に発揮されず、20質量部を超えるとガスの拡散経路あるいは排水経路となる細孔を塞いでしまう、あるいは電気抵抗が増加する可能性があり好ましくない。
撥水処理の方法は一般的に知られている撥水材ディスパージョンに導電性多孔質基材を浸漬する処理技術のほか、ダイコート、スプレーコートなどの塗布技術も適用可能である。撥水処理の後、塗液塗布工程に供する前に、必要に応じて乾燥工程、さらには熱処理工程を加えても良いが、生産性という観点からはこれらの乾燥工程、熱処理工程は、塗液塗布工程後の乾燥工程、第1の熱処理工程で一括で行なうことが望ましい。
本発明において、ガス拡散電極を効率よく製造するためには、導電性多孔質基材を長尺に巻いた状態のものを巻きだして、巻き取るまでの間に連続的に一貫して加工することが好ましい。すなわち、第1の熱処理工程の前に、長尺の導電性多孔質基材をロール状に巻いた巻回体から導電性多孔質基材を巻き出す巻き出し工程を含み、第2の熱処理工程の後に、第2の熱処理工程を経て得たガス拡散電極を巻き取る巻き取り工程を含むようにする。巻回体とされる長尺の導電性多孔質基材は微多孔層塗液を塗布していない状態のものでも、微多孔層前駆体が形成されたものでも良いが、巻き出し工程が、塗液塗布工程の前であると、塗液を塗布していない導電性多孔質基材からガス拡散電極までを連続的に一貫して加工することができるようになり、より好ましい。巻き出し工程では、長尺の導電性多孔質基材をロール状に巻いた巻回体を巻き出し機から巻きだす。巻き出し工程と塗液塗布工程の間に、必要に応じて、撥水処理工程を加える。第2の熱処理工程の後で、巻き取り工程の前に、必要に応じて、第2の熱処理工程を経て得たガス拡散電極を冷却しても良い。巻き取り工程では、ガス拡散電極を連続的に巻き取り機にて巻き取る。巻き取る際、塗布面を保護するため、合い紙を共巻きにしても良い。また、巻き取り直前にエッジ部分をトリミングあるいは製品幅にスリットした後巻き取っても良い。
また、撥水処理して巻き取る、塗液塗布、乾燥して巻き取る、熱処理して巻き取るなど、いくつかの加工工程ごとに巻き取って加工すると、加工装置をコンパクトにできるという利点がある。
以下、図面を用いて、本発明をより詳細に説明する。
本発明の製造方法を実現する好ましい製造装置の一つの様態は、図6のように、ロール状に巻いた長尺の導電性多孔質基材を巻き出すための巻き出し機1と、熱処理炉B9(第2の熱処理炉)を経由して得られるガス拡散電極を巻き取るための巻き取り機6があり、その間に、巻き出し機1により巻き出され、予め導電性微粒子、撥水性樹脂および界面活性剤を含有する微多孔層前駆体が形成された導電性多孔質基材から界面活性剤を除去するための第1の熱処理処理炉(熱処理炉A8)と、第1の熱処理炉を経由した導電性多孔質基材をさらに熱処理し撥水性樹脂を焼結するための第2の熱処理炉(熱処理炉B9)がこの順に設置される。微多孔層前駆体が形成された導電性多孔質基材は、巻き出し機1から巻き出されても良いし、微多孔層前駆体が形成されていない導電性多孔質基材を巻き出し機1から巻き出し、第1の熱処理炉に供する前に、図示しない適宜加工により微多孔層前駆体を形成したものであっても良い。
巻き取り機6には、製品の塗布面を保護するための合い紙15を巻き取るための合い紙の巻き出し機5を設置することが好ましい。また、巻き出し側には、合い紙が基材に共巻きされている場合には合い紙の巻き取り機14を設置することが好ましい。巻き出し機1と第1の熱処理炉A8までの間には、基材の搬送を円滑にするためのガイドロール3を適宜配置する。基材の搬送は巻き取り機6を駆動させて行なうが、必要に応じて基材をニップし、張力をカットしながら搬送させても良い。このためのニップロール2を設置することも好ましい。また、製品の塗布面にロールを接触させたくない場合には、ニップロールの替わりにサクションロールを用いることもより好ましい。なお、ガイドロール3は非駆動であって良い。また、熱処理炉Bの後に基材を冷却するためのファンなどの装置を設置しても良く、必要に応じて塗膜をプレスするカレンダー装置を設置しても良い。
第1の熱処理炉(熱処理炉A)は320℃まで温度を上げる能力があることが好ましく、400℃程度まで昇温できることがより好ましい。熱源としては熱風が好ましく、外気を炉内に送り込むためのブロワー、炉内に送る空気を昇温するためのヒーター、空気を炉内に導く給気ダクト、炉内から排出されるガスの排気ダクト、排気ガスを送り出すためのブロワー等を適宜設置する。このとき、排気されたガスは全て、直接冷却器でトラップ、または空気で希釈して外気へ放出する、あるいは燃焼装置に送り込んで熱分解するなどの処置をとる。ここで排気されるガスは一切ヒーター側には戻さない、いわゆる単一パス方式とすることが好ましい。単一パス方式熱処理炉とは、熱処理炉から排気されるガスを熱処理炉に供給しない方式の熱処理炉である。
第2の熱処理炉(熱処理炉B)は400℃まで昇温できる能力があることが好ましい。熱源としては温度制御が容易であることから熱風が好ましく、第1の熱処理によって、処理されるべき基材中の界面活性剤などの有機物は除去されていることが前提となるので、熱効率を考え、炉内から排出されるガスは一部を処理装置へ、他をヒーター側へ戻して循環させる、いわゆる循環方式とすることが好ましい。循環方式熱処理炉とは、熱処理炉から排気されるガスの少なくとも一部を熱処理炉に再度供給する方式の熱処理炉である。
本発明の製造装置について、さらに好ましい様態を、図5に示す。すなわち、図1に示す装置に加えて、巻き出し機1と熱処理炉A8の間に、微多孔層塗液を塗布するための塗工機12と、塗工機で微多孔層塗液が塗布された導電性多孔質基材から微多孔層塗液を乾燥させるための乾燥機7をこの順に設置することである。このようにすることで、長尺の導電性多孔質基材に対して微多孔層塗液塗布、乾燥、熱処理が一貫してできるようになる。
また、図5に示すように、巻き出し機1と塗工機12の間に、スプレー13のような撥水処理のための器具を設置することで、長尺の導電性多孔質基材に対して撥水処理から微多孔層塗布、乾燥、熱処理が一貫してできるようになり、より好ましい装置となる。
本発明の製造方法、製造装置により製造されたガス拡散電極は、触媒層を両面に設けた電解質膜の両側に触媒層とガス拡散電極が接するように圧着し、さらに、セパレータなどの部材を組みこんで単電池を組み立てて燃料電池として使用される。微多孔層が片面にのみ設けられたガス拡散電極を用いる場合には、微多孔層と触媒層が接するように組み立てるのが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。実施例で用いた各種評価方法を次に示した。
<基材および微多孔層の膜厚測定>
基材(ガス拡散電極および導電性多孔質基材)の厚みについては、ミツトヨ製デジマイクロを用い、基材に0.15MPaの荷重を加えながら測定を行った。微多孔層の厚みについては、ガス拡散電極の厚みから導電性多孔質基材の厚みを差し引いて測定した。
<粘度測定>
スペクトリス社製ボーリン回転型レオメーターの粘度測定モードにおいて、直径40mm、傾き2°の円形コーンプレートを用いプレートの回転数を増加させながら(シェアレートを上昇)応力を測定していく。このとき、シェレート0.17/秒における粘度の値を塗液の粘度とした。
<発電性能評価>
得られたガス拡散電極を、電解質膜・触媒層一体化品(日本ゴア製の電解質膜“ゴアセレクト”(登録商標)に、日本ゴア製触媒層“PRIMEA”(登録商標)を両面に形成したもの)の両側に、触媒層と微多孔層が接するように挟み、ホットプレスすることにより、膜電極接合体(MEA)を作製した。この膜電極接合体を燃料電池用単セルに組み込み、電池温度40℃、燃料利用効率を70%、空気利用効率を40%、アノード側の水素、カソード側の空気をそれぞれ露点が75℃、60℃となるように加湿して発電させ、電流密度を高くしていって発電が停止する電流密度の値(限界電流密度)を耐フラッディング性の指標とした。また、通常の運転条件(電池温度70℃)での発電性能も測定した。
(実施例1)
図1に概略を示すように、巻き出し機1、インフィードロール2、ガイドロール3、バックロール4、合い紙の巻き出し機5、巻き取り機6、乾燥機7、熱処理炉A8を備えた巻き取り式の搬送装置を用意した。
ここで、熱処理炉A8における熱源は熱風であるが、給気口からブロワーで大気を導入し、これをヒーターHで過熱して炉内に送り込み、炉内を過熱した後そのまま排気口から炉外へ排気される単一パス方式とした。
幅約400mmの導電性多孔質基材であるカーボンペーパー(東レ(株)製 TGP−R−060)を400mロール状に巻いた原反を巻き出し機1にセットした。
巻き出し部、巻き取り部、コーター部に設置された駆動ロールにより原反を搬送した。図1に示す搬送装置において、コーター部にディッピング用のステンレス製の槽10を装着した図2に示す撥水処理装置を用い、該槽に撥水材ディスパージョン(ダイキン工業製PTFEディスパージョンD−210Cを精製水で5倍に薄めたもの)で満たし、その中を原反が浸漬されるように搬送し、絞りロール11で余分な液を搾り取り、さらに80℃に温度設定した乾燥機7を通過させ、昇温しないで室温のままの熱処理炉A8を通過させたあと、巻き取った。この時の乾燥時間は2分であった。また、撥水材の量は、カーボンペーパー100質量部に対して5質量部であった。
図3に示すダイコーティング装置を用い、上記撥水処理した原反を、巻き出し機1にセットし、撥水処理は行なわず、塗工機12としてダイコーターを用いて微多孔層塗液を塗布したのち、乾燥機7において100℃の熱風により水分を乾燥、さらに温度を320℃に設定した熱処理炉A8において、第1の熱処理工程を行なった後、巻取り機6にて巻き取った。第1の熱処理時間は5分とした。
さらに、図3に示す装置を用い、上記の第1の熱処理工程まで行なったウェブを再度巻き出し機1にセットして巻き出し、第1の熱処理工程を行なわずに、380℃に設定した熱処理炉A8を通して第2の熱処理工程を行い、巻き取った。第2の熱処理時間は2分とした。
ここで、熱処理炉A8における熱源は熱風であるが、給気口からブロワーで大気を導入し、これをヒーターHで過熱して炉内に送り込み、炉内を過熱した後そのまま排気口から炉外へ排気される単一パス方式とした。
なお、微多孔層塗液は以下のように調製した。
電気化学工業(株)製“デンカブラック”(登録商標)7.7質量部、PTFEディスパージョン(ダイキン工業株式会社製 ポリフロンD−210C)2.5質量部、界面活性剤(ナカライテスク(株)製、“TRITON”(登録商標) X−100:分解温度 200℃から270℃ )14質量部、精製水 75.8質量部をプラネタリーミキサーで混練し、塗液を調製した。この時の塗液粘度は、9.5Pa・sであった。
微多孔層塗液の塗布にあたっては、第2の熱処理後の微多孔層の目付け量は15g/mとなるように調整した。このとき、微多孔層の厚み(ガス拡散電極の厚みからカーボンペーパーの厚みを差し引いた値)は約30μmであった。
また、上記のように調製したガス拡散電極を、触媒層が両面に設けられた電解質膜の両側に熱圧着し、燃料電池の単セルに組み込み、40℃と70℃の温度で発電性能(限界電流密度)評価を行った。
図7は、第1の熱処理工程に供する直前の基材について、この基材から直径5mmの4つの試料を打ち抜いて、熱重量分析(TG)を行った際の重量減少―経過時間の関係を示している。熱重量分析装置としては島津製作所製 熱分析装置DTG−60を用いた。
それぞれの試料について、図8に示すように、最初に約25分かけて室温から110℃まで温度を上げて乾燥する。ここから、Aのサンプルは200℃まで昇温してそのまま保持、Bのサンプルでは260℃まで昇温して保持、Cのサンプルは320℃まで昇温して保持、Dのサンプルでは380℃まで昇温して保持した。理論的には、界面活性剤が分解除去されることによる理論減量は、59%であったが、200℃に温度を上げてから20分以内にこの理論減量まで近づくには最低290℃以上が必要であり、300℃以上が好ましいことが分かった。この実験に基づき、第1の熱処理温度を設定した。
(比較例1)
実施例1において、第1の熱処理工程の熱処理温度を380℃に変更し、かつ第2の熱処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ガス拡散電極を得た。このガス拡散電極を実施例1同様に燃料電池用単セルに組み込み、発電性能評価を行なった。
(実施例2)
実施例1において、図2に示す撥水処理装置を用いた撥水処理を省略し、替わりに、図3に示す装置のダイコーターの前にスプレーを設置した図4に示す装置を用い、このスプレーにより撥水材ディスパージョンを塗布して撥水処理し、続いて、撥水材の乾燥、巻取りはせずに、ダイコーターによる微多孔層の塗布以降、第1の熱処理工程までの工程を一貫で行なった以外は、実施例1と同様にしてガス拡散電極を調製し、評価を行なった。
(比較例2)
実施例2において、第1の熱処理工程の温度を380℃に設定して、第2の熱処理工程を省略した以外は、実施例2と同じにしてガス拡散電極を作製し、各種評価を行った。
(実施例3)
実施例1,2で用いた図3に示すダイコーティング装置の熱処理炉A8の後にさらに、熱処理炉B9を追加した図5に示す装置を用いた。熱処理炉B9の熱源となる熱風は、基本的に大気を循環しながら一部給気してその分を炉内に導入し、給気した分だけを排出する循環方式を取った。この装置を用い、実施例2と同様に、撥水材をスプレー塗布、微多孔層をダイコーターで塗布し、100℃で乾燥を行い、さらに200℃に設定した熱処理炉Aを通して、巻き取り機6で巻き取った。熱処理時間は2分とした。
上記200℃での熱処理まで行なった基材を再び図5に示す装置の巻き出し機1にセットして、熱処理機Aの温度を320℃に、また熱処理炉Bの温度を380℃に設定して熱処理を行なって巻き取り機6で巻き取った。各熱処理時間は2分とした。
この実施例3においては、第1の熱処理を200℃と320℃の2段階に分けて行なったことになる。
熱処理炉Bは上記したように熱風を循環する方式であるが、第1の熱処理において界面活性剤の蒸気や分解生成物がほぼ除去された状態であるため、熱処理炉B内で発火などの現象は見られなかった。
このようにして作成したガス拡散電極について発電評価を行なった。
(実施例4)
実施例3において、図5に示す装置を1回目に使用する際に、熱処理炉Aの温度を320℃に変更し、熱処理炉Bの温度を380℃に変更し、第1の熱処理、第2の熱処理のそれぞれの時間を3分に変更し、図5に示す装置の2回目の使用を行なわなかった以外は、実施例3と同様にしてガス拡散電極を作成し、発電評価を行なった。
(実施例5)
実施例4において、熱処理炉Aの温度を330℃に変更した以外は、実施例4と同様にして、ガス拡散電極を作成し、発電評価を行なった。
(実施例6)
実施例4において、撥水処理における撥水材および微多孔層塗液における撥水性樹脂として用いるPTFEディスパージョンを、FEPディスパージョン(ダイキン工業(株)製 “ポリフロン”(登録商標)ND−110)に変更し、熱処理炉Aの温度を320℃に、熱処理炉Bの温度を350℃に変更した以外は、実施例4と同様にして、ガス拡散電極を作成し、発電評価を行なった。
表1に各実施例、比較例における発電性能評価の結果を示す。本発明の製造方法により作成したガス拡散電極を用いた燃料電池は、従来技術により作成したものに比べ、いずれも発電性能が良いことが分かる。
本発明の製造方法により、微多孔層および導電性多孔質基材中に含まれる界面活性剤を熱処理により除去したのち、撥水材の融点以上の温度で熱処理して微多孔層中の導電性微粒子、導電性多孔質基材に対して撥水材の結着が良好な状態になり、それによってガス拡散電極のガス拡散性や、燃料電池内部で発生する水の排水性が高まるため、発電性能が向上するものと考えられる。
Figure 0006439263
1 巻き出し機
2 インフィードロール(ニップロール)
3 ガイドロール
4 バックロール
5 合い紙の巻き出し機
6 巻き取り機
7 乾燥機
8 熱処理炉A
9 熱処理炉B
10 槽
11 絞りロール
12 塗工機
13 スプレー
14 合い紙の巻き取り機
15 合い紙
H ヒーター
SP 吸気
EX 排気

Claims (2)

  1. 導電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成された、高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造装置であって、ロール状に巻いた長尺の導電性多孔質基材を巻き出すための巻き出し機、巻き出し機により巻き出され、予め微多孔層前駆体が形成された導電性多孔質基材から界面活性剤を除去するための第1の熱処理炉、第1の熱処理炉を経由した導電性多孔質基材をさらに熱処理し撥水性樹脂を焼結するための第2の熱処理炉、第2の熱処理炉を経由して得られるガス拡散電極を巻き取るための巻き取り機から構成され、第1の熱処理炉は、単一パス方式熱処理炉であり、第2の熱処理炉は、熱風循環方式熱処理炉である、ガス拡散電極の製造装置。
  2. 導電性多孔質基材の少なくとも片面に微多孔層が形成された、高分子電解質型燃料電池に用いるガス拡散電極の製造装置であって、ロール状に巻いた長尺の導電性多孔質基材を巻き出すための巻き出し機、巻き出し機により巻き出された導電性多孔質基材上に、微多孔層塗液を塗布するための塗工機、導電性多孔質基材から微多孔層塗液を乾燥させるための乾燥機、乾燥機で乾燥された基材から界面活性剤を除去するための第1の熱処理炉、第1の熱処理炉を経由した導電性多孔質基材をさらに熱処理し撥水性樹脂を焼結するための第2の熱処理炉、第2の熱処理炉を経由して得られるガス拡散電極を巻き取るための巻き取り機から構成され、第1の熱処理炉は、単一パス方式熱処理炉であり、第2の熱処理炉は、熱風循環方式熱処理炉である、ガス拡散電極の製造装置。
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