本発明の圧力センサーの第1の実施形態は、半導体ウエハのような円板状の基板や、矩形状(たとえば、正方形や長方形)の薄板状の基板の一方の面(第1の面)に他方の面(第2の面)まで貫通しない溝(第1面溝)を形成し、第2の面に第1面溝と交差せずかつ第2の面まで貫通しない溝(第2面溝)を形成し、第1面溝と第2面溝を隔てる隔壁(側壁)を用いた容量型センサーである。
図1は、本発明の圧力センサーの構造を分かりやすく説明するための斜視図である。本発明の第1の実施形態において使用される基板は基本的に導電体基板である。基本的にという意味は、後述するように基板の一部は絶縁体や半導体であるが、大部分は導電体であるということである。また、導電体という意味は、必ずしも金属や合金であるということではなく、電気抵抗が低く電気が流れやすい物質ということである。たとえば、N+シリコンやP+シリコンのような高濃度の不純物元素を含む低抵抗の半導体も本発明では導電体に含まれる。
図1に示すように、第1面側(上面側)に溝(第1面溝)O(O1、O2、O3)が第2面側(下面側)に向かって基板の厚み方向に形成されているが、第2面までは達していない。すなわち、第1面溝は第2面には貫通していない。一方、第2面にも溝Q(Q1、Q2,Q3、Q4)が形成されているが、第1面までは達していない。すなわち、第2面溝は第1面には貫通していない。図1に示す構造は、本発明の圧力センサーの構造の断面からの斜視図で示されている。実際の第1面溝は、この断面側(図に示すx軸方向(+側および−側)にも隔壁がある。すなわち、第1面溝は、第1面側にのみ開口している。一方、実際の第2面溝は、第1面溝を取り囲むように形成されている。(この詳細は、後の図でより明確に把握される。)
第1面溝O1の1つの側壁(第1面溝O1と第2面溝Q1との隔壁)を側壁1003−1、第1面溝O1の他の側壁(第1面溝O1と第2面溝Q2との隔壁)を側壁1003−3、第1面溝O1の底壁を1003−2とする。第1面溝O2の1つの側壁(第1面溝O2と第2面溝Q2との隔壁)を側壁1004−1、第1面溝O2の他の側壁(第1面溝O2と第2面溝Q3との隔壁)を側壁1004−3)、第1面溝O2の底壁を1004−2とする。第1面溝O3の1つの側壁(第1面溝O3と第2面溝Q3との隔壁)を側壁1005−1、第1面溝O3の他の側壁(第1面溝O3と第2面溝Q4との隔壁)を側壁1005−3)、第1面溝O1の底壁を1005−2とする。尚、第1面溝O(O1〜O3)は、第2面側の溝によってその側壁が取り囲まれているので、実際にはもう2面の側壁(X方向の+側および−側)があるが、ここでは省略する。(図1においては、上述した様に溝内部が良く分かるように断面で切断し斜視図で示し開放されているので、これら2面の側壁は描かれていないが、それらの存在は容易に理解される。)
第1面溝Oによって分離されている第1面1001側の上壁を第1面上壁1006(1006−1〜4)とする。図1に示す基板1000は導電体であるから、第1面溝Oおよび第2面溝Qを形成しても、図1に示す構造(溝パターンと称する)は電気的につながっているので、このままでは容量を形成できない。そこで、本発明は、第1面上壁において第1面側から第2面溝に達する電気的不活性領域を備えている。すなわち、図1において、第1面上壁1006−2に形成された領域I1および第1面上壁1006−3に形成された領域I2がその電気的不活性領域である。これらの電気的不活性領域I1およびI2は図1では分離されて示されているが、実際には、第1面溝O2を囲んでいるのでつながっていて、同じ領域である。ここで記載する電気的不活性領域とは、電気が流れない領域である。すなわち、第1面上壁1006−2は導電体であるが、電気的不活性領域I1によって分離された2つの領域1006−2−1および1006−2−2は電気的には導通していないので、1006−2−1および1006−2−2に電圧を印加したときには、一定の耐圧までは電気が流れない。同様に、第1面上壁1006−3は導電体であるが、電気的不活性領域I2によって分離された2つの領域1006−3−1および1006−3−2は電気的には導通していないので、1006−3−1および1006−3−2に電圧を印加したときには、一定の耐電圧までは電気が流れない。
それぞれの第1面上壁に配線・電極を設ける。ここでは、模式的にN1〜N6で示す。すなわち、1006−1にはN1、1006−2−1にはN2、1006−2−2にはN3、1006−3−1にはN4、1006−3−2にはN5および1006−4にはN6の配線・電極を設ける。N1とN2、N3とN4、N5とN6は電気的に導通しているが、N2とN3は電気的不活性領域I1により電気的に導通していない。従って、圧力がかからないときは、側壁1003−3および側壁1004−1は(略)平行になっているので、第2面溝Q2を空間(絶縁)領域として、側壁1003−3および側壁1004−1で容量(コンデンサ)を形成している。第2面溝Q2の溝幅(側壁1003−3および側壁1004−1の離間距離)をd1、側壁1003−3および側壁1004−1の対面する面積をS1とすれば、これらの側壁電極間に生じる容量は、ε*S1/d1となる。同様に、N4とN5は電気的不活性領域I2により電気的に導通していない。従って、側壁1004−3および側壁1005−1は(略)平行になっているので、第2面溝Q3を空間(絶縁)領域として、側壁1004−3および側壁1005−1で容量(コンデンサ)を形成している。第2面溝Q3の溝幅(側壁1004−3および側壁1005−1の離間距離)をd2、側壁1004−3および側壁1005−1の対面する面積をS2とすれば、これらの側壁電極間に生じる容量は、ε*S2/d2となる。このように電気的不活性領域を備えることにより、導電体基板の厚み方向に形成された溝を用いて静電容量を測定できる。(εは誘電率、本発明の容量では空間容量なので、εは空気等の気体の誘電率或いは、真空誘電率に近い。真空は存在しないので、圧力を小さくしても真空には近くなるが真空にはならない。物質の比誘電率をε1、真空誘電率をε0とすると、物質の誘電率εsはεs=ε1*ε0となる。)
図1は、第1面溝の両サイドは開放して記載しているが、上述したように、この部分は第1面溝の状態を見やすいように断面にして見たものであり、実際には両サイドも閉じて上方(第1面側)だけが開口された溝となっている。また、第2面溝は、上述したように、第1面溝を取り巻くように形成されている。この結果、第1面溝は、上方の基板すなわち上壁だけで支持され、溝の4つの側面側(側壁)や溝の底面(底壁)はどこにも接触していない状態、すなわち浮いた状態となっている。また、第1面側(上方)の空間と第2面側(下方)の空間は溝状に形成された基板1000によって完全に分離している。従って、上方空間の圧力(Pu)と下方空間の圧力(Pb)が異なっていても圧力が伝達され平準化することはない。そこでPu>Pbの場合、その圧力差により溝を形成する上壁、側壁および底壁は第1面側から第2面側に膨らむ。逆にPu<Pbの場合、その圧力差により溝を形成する上壁、側壁および底壁は第2面側から第1面側に膨らむ。特に容量を構成している側壁(電極)1003−3、1004−1、1004−3、1005−1などは上壁1006や底壁よりも薄く形成されているので、撓みやすい。つまり、容量を構成する側壁は圧力差により変形するダイヤフラムのようになっている。PuとPbの圧力差Pu−Pbによるd1の変形量をΔd1とすれば、容量変化ΔC1は、ΔC1=ε*S{1/(d1−Δd1)−1/d1}となる。またd2に関しては、PuとPbの圧力差Pu−Pbによるd2の変形量をΔd2とすれば、容量変化ΔC2は、ΔC2=ε*S{1/(d2−Δd2)−1/d2}となる。この変形量は、変形する材料である側壁(導電体基板)の物理量(たとえば、ヤング率)や側壁の厚みによっても変化する。導電体であってヤング率の小さな材料を用いたり、側壁の厚みを薄くすれば撓み量が大きくなるので、同じ圧力差でも容量変化ΔCを大きくできる。(もちろん、繰り返しの圧力差によりダイヤフラムが破壊しない程度の強度が必要である。)尚側壁(電極)は側壁の枠(上壁、両側面、底壁)によって周囲が押さえられているので、側壁の周囲は変形量が小さいか殆どなく、そこから離れた側壁の中心部付近の変形量が大きく、曲面形状の撓みとなる。従って、上記のd1、d2、Δd1、Δd2などは平均値として考える必要がある。(尚、電極・配線N2およびN3の間に生じる静電容量として、電気的不活性領域に生じる静電容量も存在するが、この静電容量は圧力差が生じてもほぼ一定であるため、圧力差による容量変化を問題にするときは考えなくても良い。)
前述のように導電体基板として各種の金属材料や合金を使用できる。またN+シリコン基板、P+シリコン基板などの低抵抗半導体基板も使用できる。導電性高分子や導電性ゴムも使用でき、これらの材料のヤング率は小さいのでわずかな圧力差によって側壁電極が変動するので、逆に微小な圧力変動を検知することができる。導電性炭素や導電性カーボンナノチューブや導電性グラフェンも使用できる。さらに、ステンレス鋼(たとえば、SUS6300)も使用でき、金属ガラス(Ni基金属ガラス:Ni53Nb 20Ti10Zr8Co6Cu3(ヤング率100Gpa、引張強度1700Mpa)やZr基金属ガラス:Zr55Al 10Cu30Ni5(ヤング率140Gpa、引張強度2700Mpa))のように、ステンレス鋼より低ヤング率で高強度な材料も使用できる。
ヤング率が小さく高強度の材料を有する導電性基板(以下、低Y基板と称する)とシリコンを貼り合わせて形成した貼り合わせ基板(エピウエハ等も含めて以下複合基板と呼ぶ場合もある)でも良い。シリコン基板側はあらかじめ高濃度領域の導電体層を低濃度領域内に形成したものを貼り合わせても良い。さらには、低Y基板にあらかじめ第1面溝および/または第2面溝を形成した基板をシリコン基板に貼り付けても良い。および/またはシリコン基板にもあらかじめ第1面溝を形成ししたものを低Y基板に貼り付けても良い。複合基板は上記の組合せに限らず各種の導電体基板を組み合わせても良い。低Y基板で側壁電極を作り、ダイヤフラムとして機能させると低い圧力差でも変形することができ感度を良くすることができる。また、シリコン基板側には電気不活性領域Iを作製しやすい。たとえば、電気不活性領域としてシリコン酸化膜などを形成することができる。
低Y基板とシリコン基板を張り付けた複合基板に関して、低Y基板側から第2面溝を形成するとき、高速にしかも異方性エッチングができるエッチング方法(エッチング装置、エッチング方式、エッチングガス、その他のエッチング条件)により低Y基板をシリコン基板側までエッチングする必要がある。低Y基板側はかなり厚い(たとえば、シリコン基板の厚みは約10〜100μmに対して、低Y基板を200μm以上とする)ので、オーバーエッチングが必要であるから、早く露出した一部のシリコン基板もエッチングされるので、そのエッチング量も見込んでシリコン基板の厚みを決定しなければならない。しかし、低Y基板のエッチング速度は速いが、シリコン基板のエッチングが遅いか殆どエッチングしないエッチング方法で行うことによりシリコン基板側のオーバーエッチング量を抑えることができる。複合基板の場合には、異なる材料であるため、このような選択比の高いエッチング方法を選定しやすいという利点もある。低Y基板として金属や合金等の導電体基板や、もっとYが小さい材料も使用できる。たとえば、導電性ゴム部材や導電性高分子などを使用すれば、側壁電極の厚みも厚くできるので、プロセスの安定度が向上する。低Y基板に貼りつける基板としてはシリコン基板以外の導電体基板を使用しても良い。ただし、電気不活性層を形成しやすい基板が良い。
図2は、図1の斜視図で示された圧力センサーを平面的に描いた図である。図2(a)は第1面側から見た図(平面図)である。図2(b)は図2(a)に示すA1−A2における切断面の側面図であり、図2(c)は図2(a)に示すB1−B2における切断面の側面図である。図2は、容量を構成する部分だけを描いているが、図1に含まれる部分および図1に含まれない部分についても容易に図2を拡張できる。1011(1011−1、1011−2)の実線は溝O(O1、O2)の内枠を示す。溝Oは第1面(上面)から下方に向かって形成されていて、図2(b)や(c)に示されるように、第2面(下面)には達せず完全に貫通していない文字通りの溝となっている。すなわち、溝O1は第1面(上面)側が開口され、その他の面(側壁1003−1、1003−3、1003−4、1003−5および底壁1003−2)によって囲まれている。溝O2も第1面(上面)側が開口され、その他の面(側壁1004−1、1004−3、1004−4、1004−5および底壁1004−2)によって囲まれている。
図2(a)に示す矩形状の破線は第2面側の溝部との境界を示すもので、この外側が第2面溝Q(Q1、Q2、Q3)となっている。すなわち、第2面溝Qは第2面側(下側)が開口され、第1面側(上面側)に向かって形成されているが、第1面(上面)には到達せず完全に貫通していない文字通りの溝となっている。図2から分かるように、第2面溝Qは第1面溝Oを取り囲んでいるが、第1面溝Oは第2面溝Qと側壁や底壁によって隔離されている。すなわち、第1面溝O1は、側壁1003−1、1003−3、1003−4、1003−5および底壁1003−2により、第1面溝O2は、側壁1004−1、1004−3、1004−4、1004−5および底壁1004−2により隔離されている。この結果、第1面側(上側)の圧力(P1)と第2面側(下側)の圧力(P2)と異なる圧力を印加することが可能となる。
図2(a)に示すように、溝部O(O1、O2)は電気不活性層I(I1、I2、I3、I4、I5)により取り囲まれている。この電気不活性層I(I1、I2、I3、I4、I5)は、平面的に溝部O(O1、O2)を取り囲んでいるだけでなく、図2(b)および図2(c)から分かるように、基板の深さ方向に形成されており、第1面(上面)から第2面溝Qへ達している。すなわち、溝部O(O1、O2)は電気不活性層I(I1、I2、I3、I4、I5)によって完全に隔離されている。基板1000は導電体であるが、基板1000は、電気不活性層I(I1、I2、I3、I4、I5)により、1000−2および1000−3は完全に隔離されている。たとえば、基板1000−1や1000−4は、基板1000−2や1000−3を取り囲んでいて、基板1000−1や1000−4は、基板1000−2や1000−3と電気的に導通していない。電気不活性層Iの耐電圧までは、基板1000−1や1000−4と、基板1000−2や1000−3との間には電気が流れない。さらに基板1000−2と1000−3とも電気不活性層Iによって隔離されているため、基板1000−2と1000−3とは導通せず、電気不活性層Iの耐電圧までは、基板1000−2と1000−3との間には電気が流れない。
図2(b)に示すように、第1面溝O1の側壁1003−3と第1面溝O2の側壁1004−1は、第2面溝Q2を介して互いに対面している。側壁1003−3と側壁1004−1との距離をdとする。第1面側の圧力P1は第1面溝O1やO2の内部に伝達し、第2面側の圧力P2は第2面溝Q2の内部に伝達される。P1とP2が等しいときは第1面溝O1およびO2の側壁1003−3および1004−1は変形していないので、その時のこれらの側壁間の距離をd0とする。P1がP2より大きいとき、第1面溝O(O1、O2)は膨らみ、側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−3は第2面側の空間Q(Q1、Q2、Q3)の方へ膨らむ。すなわち、d<d0となる。P1がP2より小さいとき、第1面溝O(O1、O2)はへこみ、側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−3は第1面側の空間O(O1、O2)の方へ膨らむ。すなわち、d>d0となる。P1=P2のときは、側壁1003−3と側壁1004−1はほぼ平行であるから、dは側壁1003−3および側壁1004−1の全域でほぼ一定である。
しかし、第1面の上壁1006(1006−1、1006−2、1006−3)は側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−3に比べて厚い(たとえば、基板がシリコンの場合には、使用圧力にもよるが、上壁の厚みは約20μm以上、側壁の厚みは約20μm以下である。)ので、上壁は余り変形せずに側壁の方が大きく変形する。また、第1面溝O1は4つの側壁(1003−1、1003−3、1003−4、1003−5)によって囲まれているので、容量変化に影響をおよぼす距離の方向(図2ではA1−A2の方向)において、側壁同士の角部(たとえば、1003−1と1003−4、1003−1と1003−5、1003−3と1003−4、1003−3と1003−5)では、側壁1003−3の変形は小さい。また、第1面溝O1の底壁1003−2の厚みも容量を構成する側壁1003−3の厚みより厚いので、底壁1003−2の変形は側壁1003−3の変形よりも小さくなる。当然側壁1003−3と底壁1003−2の角部では側壁1003−3の変形は小さい。さらに、上壁1006−2と側壁1003−3との角部における側壁1003−3の変形も小さい。すなわち、P1とP2の圧力差P1−P2が生じると、最も大きく変形する部分は側壁1003−3の中心部付近であり、そこから離れるに従い変形量は小さくなる。1003−3と対面する側壁1004−1に関しても同様である。
P1とP2の圧力差P1−P2によって変形しやすい方が容量変化を大きくできるので、容量を構成する側壁1003−3や1004−1の厚みは小さい方が、圧力検出感度が高まる。(ただし、圧力差による破壊や繰り返しの疲労破壊が生じないほどの厚みは必要である。)一方、壁の中で容量を構成しない側壁(第1面溝O1では1003−4および1003−5、第1面溝O2では1004−4および1004−5)の厚みは、容量を構成する側壁1003−3や1004−1よりも大きくした方が良い。何故なら、第1面溝Oや第2面溝を形成するときに、容量を構成しない側壁の方はプロセス余裕度を高めることができるし、容量を構成する側壁よりも破壊しにくくもできる。さらに、これらが変形がしにくければ、効果的に容量を構成する側壁1003−3や1004−1が変形しやすくなる。底壁や上壁に関しても上述の理由により厚くした方が良いが、さらにエッチングによって形成するときにエッチングの余裕度をできるだけ大きくした方が良いという理由もある。もちろん、精度よく形成できればそれほど厚くする必要はない。
図2(d)、(e)にP1>P2のときとP1>P2のときのA1−A2の断面の状態を示す。図2(b)(これは、P1=P2の図とほぼ同じである)と同様の図である。上述したように、P1>P2のとき(図2(d))は、側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−3は第2面溝Q(Q1、Q2、Q3)の方へ膨らみ、余り変形しない上壁1006(1006−1、1006−2、1006−3)や底壁1003−2、1004−2に支持されて、側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−3の中心部の膨らみが他の部分よりも大きくなる。紙面に垂直な方向においても、側壁1003−3および1004−1は、側壁1003−4と1003−5、および1004−4と1004−5に支持されているので、側壁1003−3および1004−1の中心部の膨らみが他の部分よりも大きい凸状になる。P1<P2のとき(図2(e))は、側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−3は第1面溝O(O1、O2)の方へ膨らみ、余り変形しない上壁1006(1006−1、1006−2、1006−3)や底壁1003−2、1004−2に支持されて、側壁1003−1、1003−3、1004−1、1004−2の中心部の膨らみが他の部分よりも大きくなる。紙面に垂直な方向においても、側壁1003−3および1004−1は、側壁1003−4と1003−5、および1004−4と1004−5に支持されているので、側壁1003−3および1004−1の中心部の膨らみ(第1面溝O側への)が他の部分よりも大きい凸状(第1面溝O側への)になる。
従って、P1とP2に圧力差があるときは、容量を構成する側壁1003−3および1004−1の距離dは平均距離を考える必要がある。すなわち、P1とP2に圧力差があるときの容量は、異なる距離dを有する微小部分の容量として、全体の容量はその積分値となる。図2(d)に示すように、P1>P2のときの平均距離をd1とすると、d1<d0となり容量が増大する。第1面溝O1とO2はほぼ等しい特性値を有する(同じ材料であるから、ヤング率Eやポアッソン比σは等しく、また、側壁や底壁や上壁などの厚みやサイズも同じ)とすれば、第1面溝O1とO2は同じ圧力差P1−P2で同じ量だけ膨らむ。すなわち、側壁1003−2および1004−1はΔd1だけ膨らむ(このΔd1も平均値である)とすると、d1=d0−2Δd1となる。本発明はこのように両側から側壁間距離dを小さくするので、2倍の効果がある。(尚、片側だけの構造とすることも簡単にできる。O1は形成するが、O2は電極だけにして第1面溝O2を形成しなければ良い。)図2(d)からすぐ分かるように、圧力差を大きくしてもΔd1をd0/2以上にはできないので、側壁1003−3や1004−1の破壊強度をΔd1=d0/2になるときの圧力差による強度よりも大きくしておけば、側壁1003−3や1004−1が破壊することはない。容量を構成しない側壁(1003−1、1003−4、1003−5、1004−3、1004−4、1004−5)や底壁(1003−2、1004−2)や上壁などは、容量を構成する側壁1003−3や1004−1より厚くしておけば、破壊強度も大きくなるので、これらも圧力差P1−P2の増大による破壊を防止できる。もちろん、容量の上限値を設定してこれよりも圧力差が生じたときに圧力がこのセンサーにかかることを防止する機構を備えておけば、確実にセンサーの破壊を防止できる。さらにこの容量も本発明の圧力センサーを使って検出できる。
また、図2(e)に示すように、P1<P2のときの平均距離をd2とすると、d2>d0となり容量が減少する。第1面溝O1とO2はほぼ等しい特性値を有する(同じ材料であるから、ヤング率Eやポアッソン比σは等しく、また、側壁や底壁や上壁などの厚みやサイズも同じ)とすれば、第1面溝O1とO2は同じ圧力差P1−P2で同じ量だけ縮む。すなわち、側壁1003−3および1004−1はΔd2だけ縮む(このΔd2も平均値である)とすると、d2=d0+2Δd2となる。本発明はこのように両側から側壁間距離dを大きくするので、2倍の効果がある。(尚、片側だけの構造とすることも簡単にできる。O1は形成するが、O2は電極だけにして第1面溝O2を形成しなければ良い。)図2(e)からすぐ分かるように、圧力差を大きくしてもΔd2を{第1面溝O(O1、O2)の幅}/2以上にはできないので、側壁1003−3や1004−1の破壊強度をΔd2={第1面溝O(O1、O2)の幅}/2になるときの圧力差による強度よりも大きくしておけば、側壁1003−3や1004−1が破壊することはない。容量を構成しない側壁(1003−1、1003−4、1003−5、1004−3、1004−4、1004−5)や底壁(1003−2、1004−2)や上壁などは、容量を構成する側壁1003−3や1004−1より厚くしておけば、破壊強度も大きくなるので、これらも圧力差P1−P2の増大による破壊を防止できる。もちろん、容量の下限値を設定してこれよりも圧力差が生じたときに圧力がこのセンサーにかかることを防止する機構を備えておけば、確実にセンサーの破壊を防止できる。
図2(c)は、図2(a)におけるB1−B2における切断面の側面図である。B1−B2の方向は第1面溝O2(奥側のO1は省略する)の縦方向である。(A1−A2の方向は横方向である。)第1面溝O2の壁1004(1004−2、1004−4、1004−5)は導電体であり、同じ導電体である上壁1000(1000−3)とつながっているが、電気不活性領域I4やI5により、その外側の上壁1000(1000−1)とは電気的には接続していない。第1面溝O(O2)の長さ(縦方向長さ)をa、幅(横方向長さ)をb、深さ(上壁の下面から溝の底面までの距離)をh、底壁の厚みをq3、側壁1004−4の厚みをq1、1004−5の厚みをq2とすると、容量を構成する電極の面積S(側壁1003−3および1004−1の容量に寄与する面積にほぼ等しい)は、S=(a+q1+q2)*(h+q3)となる。
側壁1003−3および1004−1で構成される容量Cは、C=ε*S/dで示される。P2=P1のときは、側壁1003−3および1004−1はほぼ平行と考えて良いのでC=ε*S/d0である。P1>P2のときはC=ε*S/d1、P1<P2のときはC=ε*S/d2である。尚、静電容量を測定するときは、図2(b)に示すように、対向する側壁電極1003−3および1004−1へ接続する電極・配線F1およびF2を形成するが、上述したようにF1とF2に生じる静電容量は、側壁電極1003−3および1004−1の間に生じる静電容量のほかに、電気不活性領域I1に生じる静電容量もある。(これらの容量は並列に入っていると考えれば良い。すなわち、全体の静電容量は個々の静電容量の和となる。)しかし、この電気不活性領域I1に生じる静電容量は一定であるから、静電容量変化に寄与するのは、側壁電極1003−3および1004−1の間に生じる静電容量である。
図1、図2に示したものが本発明の圧力センサーに用いる容量の1つの実施形態である。このように、本発明は、導電体基板の厚み方向に第1面(上面)側および第2面(下面)側から形成した溝を利用した静電容量型圧力センサーである。導電体基板として、金属や合金などを用いることができる。この場合、電気不活性領域は第1面側の一部に絶縁体を形成して作成することができる。また、導電体基板として、不純物元素を高濃度に固溶した低抵抗のシリコンなどの半導体基板を使うことができる。この場合、電気不活性領域は第1面側の一部に絶縁体を形成して作成することができる。たとえば、電気不活性領域となるべき部分を酸化または窒化して酸化物(絶縁体)や窒化物(絶縁体)や酸窒化物(絶縁体)を形成して作成できる。或いは、酸素や窒素をイオン注入して酸化物(絶縁体)や窒化物(絶縁体)や酸窒化物(絶縁体)を形成して作成できる。或いは、電気不活性領域となるべき部分にトレンチ溝を形成して絶縁体を埋めこんだり、酸化または窒化して絶縁体を形成して作成できる。また、導電体基板として、導電体高分子や導電体ゴムを使うこともできる。この場合、電気不活性領域は第1面側の一部に絶縁体を形成して作成することができる。導電体高分子や導電体ゴムはわずかな圧力差により縮小または膨張するので、微小な圧力変動を検出することができる。
また高濃度不純物を有する低抵抗の半導体基板上に高濃度不純物元素と逆導電体の元素である低濃度の不純物を有する半導体をエピタキシャル成長させた基板(たとえば、N型不純物元素を高濃度に含み低抵抗のシリコン半導体基板(N+基板)上に低濃度のP型不純物元素を含むエピ層)、或いは、高濃度不純物を有する低抵抗の半導体基板上に高濃度不純物元素と逆導電体の元素である低濃度の不純物を有する半導体基板を接合させた複合基板を用いることができる。これらの場合、第1面溝の側壁およびこれに接続する第1面溝の一部に高濃度不純物領域と同じ導電体の元素を有する高濃度領域を形成し、容量を形成する2つの電極に接続する第1面に形成される高濃度領域はそれぞれ離間して形成する。このようにすると低濃度の不純物領域がこれらの電極間の電気的不活性領域となる。さらに導電体基板として、貼り合わせ基板を用いることもできる。第1面側には電気不活性領域を形成しやすい基板を用い、その下側に深い溝部を形成しやすい基板或いは、薄い側壁を形成しやすい基板、或いはヤング率が低い基板、さらには破壊強度が高く繰り返し疲労強度が高い基板を使用することができる。
導電体基板として、高濃度不純物を含み低抵抗のシリコン半導体基板を使用する場合に、本発明の圧力センサーを製造する方法について図41に基づいて説明する。図41においては、簡単のために活性領域と1つの第1面溝を有する場合について説明するが、これをそのまま用いることにより圧力センサーを作成できる。図41(a)に示すように、シリコン半導体基板として、N型不純物元素を高濃度に含み低抵抗のシリコン半導体基板(N+基板)1101を用いる。(前述したようにP+シリコン基板も用いることができる。)このN+基板1101の両面に絶縁膜を形成する。(第1面側の絶縁膜を1102、第2面側の絶縁膜を1103とする。)この絶縁膜は、N+基板1101を酸化したシリコン酸化膜、N+基板1101を窒化したシリコン窒化膜、N+基板1101を酸窒化したシリコン酸窒化膜、CVD(化学気相成長)法やPVD(物理気相成長)法によって成長させたシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などである。第1面側の絶縁膜1102上にフォトレジスト1104を形成し、電気不活性領域を形成する部分を窓開けする(この窓を1105とする)。この窓開けは、フォトレジスト等の感光性膜を感光するなどしてフォトリソ法を用いて行う。
次に図41(b)に示すように、この窓1105を用いて、その下に存在する絶縁膜1102を除去する。この絶縁膜1102の除去には、この絶縁膜1102をエッチング可能な液体中へ浸漬したり、液体を吹きかけたりして行なう。(WET法)たとえば、絶縁膜1102がシリコン酸化膜であれば、ふっ酸(HF)を含む溶液を用いることができる。或いは、この絶縁膜1102をエッチング可能なガスを用いてドライエッチング法を用いて行うことができる。たとえば、絶縁膜1102がシリコン酸化膜であれば、CF系(CF4など)ガス、CCl系ガス(CCl4など)、CHF系ガス(CHF3など)、CHCl系ガス(CHCl3など)、CBr系ガス(CBr4など)、CHBr系ガス(CH2Br2など)、CI系ガス(CI4など)、CHI系ガス(CH2I2など)、塩素系ガス(Cl2など)などのガスや他のガスおよびこれらのガスの混合ガスをプラズマ化してエッチングすることができる。絶縁膜1102をエッチングした後、その下にあるN+シリコン基板1101をエッチングし、窪み部(凹部)1106を形成する。N+シリコン基板1101のエッチングは、シリコン基板のエッチング可能なガスを用いてドライエッチング法を用いて行うことができる。たとえば、CF系(CF4など)ガス、SF系ガス(SF6)、CCl系ガス(CCl4など)、CHF系ガス(CH3Fなど)、CHCl系ガス(CHCl3など)、CBr系ガス(CBr4など)、CHBr系ガス(CH2Br2など)、CI系ガス(CI4など)、CHI系ガス(CH2I2など)、塩素系ガス(Cl2など)などのガスや他のガスおよびこれらのガスの混合ガスをプラズマ化してエッチングすることができる。或いは、アルカリ性エッチング液や熱リン酸溶液などのWET法でN+シリコン基板1101をエッチングすることができる。尚、絶縁膜1102や1103は必要がなければ、形成しなくても良い。またフォトレジストなどを使わなくても、選択的に電気不活性領域を形成できる場合には、フォトレジストを用いなくても良い。
次に、図41(c)に示すように、イオン注入を行い、窓1105から酸素等のイオンを高濃度に注入し、酸素イオン等を高濃度に含む領域1108を形成する。このプロセスの目的は、N+シリコン基板の第1面側の深い部分までを形成することである。図1〜図3も用いて説明したように電気不活性領域Iは、容量部分を構成する2つの対向する電極を電気的に完全に分離できる領域でなければならない。ここで用いる導電体基板はN+シリコン基板という1つの導電体材料からなるので、電気不活性領域Iを絶縁体として上壁部分の厚み方向に絶縁体を完全に形成する必要がある。一方、第2面溝を形成するとき、第2面溝は第1面溝に達しないようにする必要がある。第1面溝の深さ(図2の「h+上壁の厚み」))は、100μmは欲しい(もっと薄くても良いが、容量が小さくなるとともに、圧力による変形量dが小さくなるので、圧力検知の感度が悪くなる)ので、第2面溝も約100μmはエッチングする必要がある。また、上壁は圧力により余り変形しない方が良いので、上壁の厚みは容量を構成する側壁の厚みより少なくとも約3μmは厚くした方が良い。側壁の厚みを約3〜5μmとすれば、上壁の厚みは約6μm以上の厚みが必要となる。すなわち、電気不活性領域Iの厚みはこの6μmよりも深い領域まで形成しておく必要がある。第2面溝のエッチングのばらつきも考慮すれば、約10μmの深さまで電気不活性領域Iを形成しておくと良い。酸化や窒化だけで絶縁体を約10μmまで形成するのはかなりの時間酸化処理や窒化処理を行う必要があり、プロセスコストがかかるだけでなく、N+シリコン基板中の欠陥を増大させるので、長時間の熱処理は問題がある。そこで、図41(b)や(c)に示すように、凹部1106を形成しさらに深い領域まで高濃度の酸素イオンや窒素イオンを注入する。酸素や窒素を深い領域まで注入するには、高電圧イオン注入を行う。また高濃度の酸素イオンや窒素イオンを注入する必要があるので、高電流のイオン注入を行う。
次に、図41(d)に示すように、フォトレジスト1104を除去して、酸化処理や窒化処理や熱処理を行って、厚い絶縁体1110を形成する。この絶縁体1110はシリコン酸化物やシリコン窒化物やシリコン酸窒化物である。酸化処理等で絶縁体1110を形成しても凹部1106や1105が残っている場合において、この窪み部1106や1105を埋めるときには、SOG(silicon on glass)等の絶縁膜を塗布した後熱処理して固化して平坦化しても良いし、および/またはCVD法やPVD法で絶縁膜を積層して平坦化しても良い。この状態が図41(e)に示されていて、1111が絶縁膜である。尚、凹部1106をさらに深くして(いわゆるトレンチを形成し)、このトレンチにシリコン酸化物やシリコン窒化物やシリコン酸窒化物等を熱処理法やCVD法やPVD法等で積層したり、SOG法で平坦化したりして電気不活性層を形成しても良い。
次に図41(f)に示すように、フォトレジスト等の感光性膜1113を第1面上に形成して、第1面溝Oを形成する領域の感光性膜1113を窓開けして、窓部1114を形成し、この窓部1114を用いてその下に存在する絶縁膜1111および1102をエッチング除去する。このエッチング除去には、上述したWET法やドライ法を用いることができる。このようにして、N+シリコン基板が露出した領域1115を選択的に得ることができる。
次に図41(g)に示すように、窓部1114(1115も含む)を用いて、第1面溝Oを形成する。この第1面溝の深さ(g=h+上壁厚み)は約100μm以上である。第1面溝の幅kは容量部分には余り関係しないので比較的大きくても良い。たとえば、k=100μmでも良いので、g=300μmとすれば、アスペクト比3(g/k)の溝を形成すれば良い。ボッシュ法等のドライエッチング技術により、サイドエッチングの非常に少ない溝を形成することができる。ドライエッチングを行うときには、露出したN+シリコン基板だけではなく、フォトレジスト等の感光性膜1113もエッチングされていくので、N+シリコンのエッチングに対して感光性膜1113や(感光性膜1113が除去されて絶縁膜1111や1102が露出されることも考慮して)絶縁膜1111や1102のエッチング選択比が良好なエッチング条件を選択する必要がある。尚、kが小さい方がサイドエッチングの少ない第1面溝が形成できるならばそのような良好なkを選択すれば良いが、圧力を第1面溝Oの内部にスムーズに伝達する必要があるので、10μmはあると良い。また、kが大きすぎると、容量素子のサイズが大きくなるので、圧力センサーのサイズも考慮してkの大きさを決めると良い。第1面溝は第2面に達しないようにする必要があるので、N+シリコン基板の厚みをmとしたときに、当然m>gである。また上述したように、第1面溝の底壁は容量を構成しないが、底壁の部分における圧力差による変動が容量を構成する側壁の部分よりも小さい方が好ましいので、容量を構成する側壁の厚みよりも厚くするのが良い。また、第1面溝のエッチングはストッパーによる検知ができなければ、時間管理で置かなう必要があるため、ある程度のオーバーエッチングが必要となる。以上の問題や第1面溝の厚さ方向のエッチングばらつきを考慮すれば、底壁の厚みは第1面溝の深さgの約5%〜10%程度が良い。もちろん、エッチング精度が良くなれば、約5%より小さくもできるし、エッチング精度が悪ければ約10%より大きくすることもできる。さらに、設計値で問題なければ約10%以上にすることもできる。たとえば、第1面溝の深さが300μmであれば、底壁の厚みは約15〜30μmとし、最初のN+基板の厚みは約315μm〜330μmとすれば良い。ただし、後述するように容量部分を浮かせたいときには、最初のN+基板の厚みは約315μm〜330μmよりももっと厚くすると良い。
次に、図41(h)に示すように、感光性膜1113を除去して、第1面溝のエッチングダメッジや汚染を除去するための洗浄や処理(WETやドライ)を施したり、第1面溝の内壁を熱処理(酸化、窒化や酸窒化などの処理)をしたり、CVD法やPVD法を用いて、絶縁膜1117を形成する。この絶縁膜1117は第1面溝の内壁を保護する。この絶縁膜1117の形成は必要がなければ行なわなくても良い。或いは、絶縁膜でなく多結晶シリコン(PolySi)膜、金属やシリサイド膜などの導電体膜でも良い。このような導電体膜を形成すれば、第1面溝の内壁の抵抗をさらに下げることもできる。或いは、高濃度の不純物をドープしたり拡散したりしても良い。或いは、上記の処理を併用しても良い。
次に、図41(h)に示すように第2面(下面)に第2面溝を形成するためのパターニングを行う。たとえば、フォトレジスト等の感光性膜1120を形成してパターニングし、第2面溝を形成すべき領域を窓開けする。(窓部1121)その後で、窓部1121の下(図面では上の方になるが、適宜このように記載する)にある絶縁膜1103をエッチング除去する。尚、この絶縁膜1103は必要がなければ形成する必要はないし、或いは、感光性膜1120を形成する前に第2面から除去しておいても良い。ただし、感光性膜1120を直接N+シリコン基板上に形成するよりも絶縁膜1103上に感光性膜1120を形成した方がパターニング性が良くなる場合は、絶縁膜1103を形成しておくと良い。(或いは、残しておくと良い。)或いは、第2面溝を形成するためにN+シリコン基板のエッチングのときに、N+シリコン基板をエッチングしたくない場所に存在する感光性膜1120もなくなる恐れがあるときは、絶縁膜1103を残してストッパーとして使用すると良い。絶縁膜1103のエッチングはドライでもWETでも適宜行うことができる。
その次に、窓部1121において露出したN+シリコン基板をエッチング(絶縁膜やシリコンのエッチングを図41(h)では矢印で表している)して、図41(i)に示すように第2面溝Qを形成する。このエッチングも深堀エッチング(Deep RIE)で行い、サイドエッチングの非常に小さく、深さ方向のエッチングも制度の良いドライエッチングで行なう。第2面溝は前述の電気不活性領域I、すなわち、厚い絶縁体1110まで達する必要がある。しかし、第1面に達しないようにする。上壁1006は容量を構成する側壁よりも圧力による変形度が小さい方が望ましいこと、エッチングばらつきなども考慮する必要があることから、上壁1006は側壁の厚みよりも約3〜5μm以上厚い方が良い。たとえば、容量を構成する側壁の厚みを約3〜5μmとすれば、上壁1006の厚みを約6〜10μm以上とする。容量を構成する側壁の厚みを約5〜10μmとすれば、上壁1006の厚みを約8〜15μm以上とする。容量を構成する側壁の厚みを約10〜20μmとすれば、上壁1006の厚みを約13〜25μm以上とする。容量を構成する側壁の厚みを約20〜30μmとすれば、上壁1006の厚みを約23〜35μm以上とする。第2面溝の深さをn、上壁1006の厚みをpとすれば、n=m−pとなる。
第2面溝の形成において最も重要なことは、容量を構成する側壁(図41(i)においては、1003−3)の厚みyと電極間の距離dである。厚みyが薄ければ圧力差による感度が良くなる。たとえば、周囲のみが拘束された厚みyの長方形(h*a)のシリコンダイヤフラムの最大たわみ(長方形の中心部)はおおよそ以下の計算式で与えられる。
Wmax=α*z*h4/(Ey3)
(zは圧力差(=P1−P2)、Eはダイヤフラム材料のヤング率、αはシリコンダイヤフラムの縦横比により変化する定数)
h=a=300μmのとき(正方形状ダイヤフラム)には、α=0.0138となり、
Wmaxは約600z/y3(μm)となる。ただし、zをMpa単位で示し、yはμm単位で示す。たとえば、zを1Mpa(約1atm)、yを5μmとするとWmax=約5μmとなる。また、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約22μmとなる。
h=a=400μmのとき(正方形状ダイヤフラム)には、Wmaxは約1890z/y3(μm)となる。たとえば、zを1Mpa(約1atm)、yを5μmとするとWmax=約15μmとなる。また、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約70μmとなる。
h=300μm、a=600μmのとき(長方形状ダイヤフラム)には、α=0.0277となり、Wmaxは約1200z/y3(μm)となる。ただし、zをMpa単位で示し、yはμm単位で示す。たとえば、zを1Mpa(約1atm)、yを5μmとするとWmax=約10μmとなる。また、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約45μmとなる。
上記の式は理論式であるから、この式等を考慮して設計して、できあがったものでデータを取り、実際値と理論式を近づければ精密なセンサーを作製できる。
以上から、たとえば、N+シリコン基板の厚みを400μmとして、第1面溝の深さを300μm、第1面溝の長さを600μmにとり、側壁厚みを3μm、第2面溝の幅(圧力差が0のときの容量電極間距離)を100μmとすると、1Mpa前後の圧力差でも顕著な容量変化が起きるので、精度良く圧力を検知できる。側壁厚みを3μmとすることも、第1面溝と第2面溝の合わせ精度は約0.5μm以下とすることは現在の技術でも問題なく実現できるし、将来はもっと精度の良い合わせも可能となるであろう。また、第2面溝の幅は100μmで第2面溝の深さは、大きくても約390μmでアスペクト比が3.9であるから、問題なくサイドエッチングの少ない垂直な溝を形成できる。また、現状の技術においてもアスペクト比が20でも問題なくエッチング可能であることから、第2面溝の幅をもっと狭くすることが可能である。その場合は、1Mpaよりももっと小さな圧力の検出も精度良く行なうことができる。逆に1Mpaよりももっと高い圧力の場合には、側壁厚みを3μmより厚くできるので、プロセス上かなり余裕をもって容量を形成できる。将来はもっと高いアスペクト比の第2面溝を形成できるであろう。このように、使用圧力により、最適なサイズの容量を形成できるのも本発明の特徴である。
第2面溝の形成において最も重要なことは、容量を構成する側壁(図41(i)においては、1003−3)の厚みyと電極間の距離dであり、厚みyが薄ければ圧力差による感度が良くなることを上述した。図41(h)から分かるように、第2面(下面)に、第1面溝の部分をエッチングしないように第1面溝より大きいサイズで感光性膜1120を形成する。すなわち、第1面溝の側壁内面より感光性膜1120の外側を大きくする。この距離をrとすると、r>0であることが必要である。この条件を満たさないと第2面溝を形成するときに、第1面溝と第2面溝が重なってしまう。第1面溝の側壁はできるだけ感光性膜1113の窓1114に忠実に形成するようにする。すなわち、サイドエッチング量を極力小さくし、第1面溝の側壁は垂直か極力垂直に近くする。(或いは、サイドエッチング量を正確に制御できる場合にはサイドエッチングを前提に考慮することができる。しかし、サイドエッチングがある程度起きても垂直か垂直に近い形状が望ましい。)このようにすることにより、容量を構成する側壁の厚みを一定か一定に近づけることができる。感光性膜1113の窓1114のサイズと第1面溝Oのサイズとの差をΔsとしたときに、第1面溝全体に渡りΔsはできるだけ小さいことが望ましい。(或いは、Δsが一定でそのばらつきが小さい方が望ましい。この場合は、このΔsを考慮してパターン設計をすることによって、最適な溝を形成することができる。)
次に図41(i)において、第1面溝Oに対して第2面溝Qのパターンを正確に合わせる。両面マスク(或いは、レチクル)アライナーやステッパーを用いれば非常に精度良く合わせることが可能である。
さらに本発明の圧力センサーの場合には、第1面に形成されたパターン(合わせ用のパターンだけでなく本パターンも含む)を第1面側から読み込んで、その情報を第2面にパターンを形成するときに利用してパターン合わせを行うという従来方法以外に、もっと合わせ精度を向上させる方法を用いることができる。すなわち、第1面のパターンに第2面のマスク合わせ(或いは、レチクル合わせ)を行うときに、第1面溝パターンに対して直接合わせ込む方法を取ることができる。その方法の1つとして、第1面溝はかなり深い溝となっているので、第1面溝の底壁の厚みがかなり薄くなっている。従って、厚いシリコン基板では透過できないが、薄いシリコン基板であれば透過可能な波長の光や電磁波を用いることにより、第2面に第1面溝のパターン情報を直接伝達することができる。光や電磁波の情報を使って第2面溝の感光性パターンを合わせ込めば非常に精度の高い合わせ込みが可能となる。すなわち、片面だけでの合わせ込みと同じ精度でパターン合わせが可能である。しかも実パターン(第1面溝)に合わせ込めるので、第1面溝と第2面溝の感光性パターンの合わせ精度はさらに向上する。特にステッパーを用いて合わせ込みもできるので、合わせ精度が非常に向上する。
さらに別の方法も用いて合わせ精度をさらに向上できる。この方法では、第1面溝を形成する前か或いは第1面溝を形成した後で、第2面の一部だけエッチングにより薄くして第1面溝と貫通させるか或いは第1面溝の底壁の厚みを非常に薄くしておく方法である。この方法により、その貫通された部分(或いは、非常に薄くなった部分)を通して第2面から第1面の溝パターンを読むことができ、第1面溝パターンに直接合わせ込むことができる。この場合は、合わせ込みに用いた第1面溝パターンを実パターンとして用いることはできないが、種々の場所に設けておくことにより、ステッパーによる合わせ込みも可能となるので、非常に精度良く合わせ込みが可能となる。
さらに別の方法も用いることができる。第2面側にガラス基板を接合する方法である。この場合は、N+シリコン基板の第2面(下面)側にガラス基板を接合する。ガラス基板なので陽極接合も可能となり強固な接合を行うことができる。N+シリコン基板は第1面溝形成のときに厚み方向に完全に貫通させる。N+シリコン基板とガラス基板は材質が異なるので、ガラス基板がエッチングストッパーとなるので、第1面溝の深さ方向の厚みも非常に精度良くコントロールすることができる。第1面溝のパターンは第2面側から正確に読み取れるので直接に第1面溝に対して第2面溝の感光性パターンを合わせこむことが可能となる。この結果、第1面溝と第2面溝を非常に精度良く形成できる。この場合、第2面溝を形成するとき、最初にガラス基板を垂直にエッチングして感光性膜パターンにできるだけ忠実に形成する必要がある。この場合も材質が異なるので、シリコン基板をストッパーとして用いることが可能であり、オーバーエッチングの余裕度も大きいので、ウエハの全域にわたり、必要な場所においてシリコン基板を完全に露出させることができる。その後で別のエッチング種を用いて(条件しだいでは同じエッチング種でもできる場合がある)第2面溝を垂直に精度良く形成することができるので、第1面溝と第2面溝の間に形成される側壁の厚みを非常に精度良く形成できる。この場合は、第1面溝の底壁はガラス基板となる。ガラス基板は絶縁体であるが、側壁のN+シリコンを通して電気を伝達できるので容量特性には特に問題はない。さらにガラス基板を使用するメリットとして、第1面溝を形成した後でガラス基板全体をエッチングして薄くすることもできる。この薄くする方法として、ウエットエッチングを用いることもできるし、ドライエッチングを用いることもできるし、さらにはBG法(裏面研磨法)やCMP法(化学的機械的研磨方法)を用いることもできる。ウエットエッチングの場合には、HF系のエッチング液を用いて精度良いエッチングを行うことができる。ドライエッチングの場合にも前述したCF系等のエッチングガスを用いて精度良くガラス基板のエッチングを行うことができる。このように第2面溝の感光性パターン形成前にガラス基板を薄くしておけば、第2面溝形成時にエッチングするガラス基板の厚みが薄くなっている。従って、オーバーエッチングも少なくて済むので精度良いエッチングが可能となり、第2面溝も精度良く形成できる。
第2面溝Q(Q1、Q2、Q3)を形成した後、感光性膜1120を除去した後、第2面溝で露出したシリコン基板のエッチングダメッジや汚染物を除去する。この方法として、第2面側の露出したシリコンをWET法やドライ法で軽くエッチングする方法がある。さらに、図41(j)に示すように、第2面側の露出したシリコンを軽く酸化(或いは、窒化)して酸化膜(或いは、窒化膜や酸窒化膜)等の絶縁膜1122を形成しても良い。或いは、CVD法やPVD法で酸化膜、窒化膜や酸窒化膜等の絶縁膜1122を積層しても良い。その後に、第2面側に接着層1125を介して薄板1126を張り付けて、第2面溝Qを固定させることもできる。この接着方法として、第1面側から基板(ウエハ)1101を持ちあげて、第2面側の底壁1124および第2面側でエッチングしていない基板面(図示されていない)に接着層1125を塗布または浸漬または貼り付けて、薄板1126に基板1101を接着させる。或いは、薄板側に接着層1125を付着させて基板1101を接着させることもできる。この場合には、薄板1126の所望の部分に接着層1125をパターニングしてから接着しても良いが、接着後の乾燥処理や熱処理でアウトガスなどが発生して問題が生じなければ薄板1126の全面に接着層を形成した方がプロセス上簡便となる。或いは、接着層1125を用いずに薄板1126を基板1101に押しあてて、圧力および/または熱により基板1101に薄板1101を直接接合させる。基板1101の第2面に形成された絶縁膜1103等が不要であれば事前に除去してから接合または接着しても良い。薄板1126には第2面溝に圧力を伝達するための圧力伝達孔1127を設けても良い。この圧力伝達孔1127は、薄板1126を接合する前に形成しても良いし、或いは薄板1126を付着した後に形成しても良い。薄板1126を接合する前に形成する場合には、この孔1127が第2面溝Qの部分に来るようにアライメントする必要があることは言うまでもない。
また、薄板1126を付着させた後で孔1127を形成するには、第2面溝のある場所に形成するようにすることも当然である。孔1127を形成する方法としてレーザーによる方法やマスクを通してエッチングまたはレーザー照射により形成する方法などがある。感光性膜を形成して露光による窓開けをしてその窓を通して薄板1126に孔1127をドライエッチングやWETエッチングにより形成する方法もある。圧力伝達孔1127を形成しない場合には、第2面溝Qは完全に閉じられてしまうので、閉じた時点における圧力P3が第2面溝の圧力として保持され、この圧力P3を基準にして第1面側の圧力P1が検出される。非常に低圧(ほぼ真空状態に近い)状態で薄板1126を完全に基板1101の第2面側に付着すれば、P3はほぼ0となり、P1の絶対圧を検出できる。1気圧(約1Mpa)で薄板1126を完全に基板1101の第2面側に付着すれば、P3はほぼ1気圧であるから、1気圧に対する圧力としてP1を検出することができる。
薄板1126は絶縁体基板でも導電体基板でも半導体基板でも使用することができる。薄板1126を付着させることにより、第1面溝Qや支持基板1101と電気的に導通するなどして容量特性に影響を与えないようにする必要がある。薄板1126として導電体(たとえば、金属性板など)や半導体板(シリコン板など)を使用するときは、N+シリコン基板1101と薄板1126の間に絶縁膜1103や絶縁性の接着層1125を介するようにすると良い。薄板1126として絶縁体(セラミック板、プラスチック板、ガラス板など)を使用するときは、N+シリコン基板1101と導通はしないので、直接N+シリコン基板と接着することもできる。
また、薄板1126として、可視光に対して透明なガラス板を用いれば、第2面溝や容量素子等をガラス板を通して見ることができるので、位置合わせや容量素子等の出来栄えを観察することが容易である。また、ガラス板をシリコン基板1101に直接付着するときに陽極接合法により強力に接着することもできる。或いは、ガラス板をシリコン酸化膜1103に接着するときは同じ材質なので付着させやすい。
図41(j)においては、第1面溝Oの底壁1124が薄板1126に付着している。これは第2面のエッチングしていない面(図示していないが、半導体基板1101の第2面)と同じレベルなので、プロセス上自然に薄板1126と接触してしまう。ここで、接着層1125を介して第1面溝Oの底壁1124を薄板1126に確実に付着させることにより、底壁が圧力により変動することを防止でき、容量を構成する側壁の変動だけを考慮して設計できる。しかし、第1面溝Oを浮かせることも可能である。その方法として、図41(k)に示すように第1面溝Oの部分における底壁1124を薄くすれば良い。第2面溝を形成する前に第1面溝の底壁部分を第2面側で窓開けしてエッチングして底壁を薄くすれば良い。このときに第2面溝を形成する領域も含めて窓開けしておけば、第2面溝を形成する領域もエッチングされるので、第2面溝を形成するときのエッチング量を少しではあるが減らすことができる。尚、第1面溝を形成する前にこの領域を薄くしておくこともできる。
このようにすることによって、図41(l)に示すように、第1面溝Oが浮いたものを作成することができる。この図においては、N+シリコン基板1101の支持基板部分1101−1、1101−2も示されている。すなわち、薄板1126は支持基板部分1101−1や1101−2に接着層1125を介して付着しているが、第1面溝Oの底壁1124等は薄板1126に接触していない。つまり、第1面溝Oは浮いた状態になっていて、薄板1126の振動などが容量を構成する第1面溝に直接伝わらない。また、第2面溝全体を同じ空間とすることもできるので、圧力伝達孔1127も少なくて済む。
さらに、図41(j)に示すように、基板1101の第1面側に薄板1130を付着させる。接着層1129を介して、絶縁膜1111上に薄板1130を付着させても良いし、圧力および/または熱処理だけで絶縁膜1111上に薄板1130を付着させても良い。その方法は薄板1126を第2面側に付着させる方法と同様である。すなわち、薄板1130と絶縁膜1111とが付着すべき部分に接着層1129を形成した後に薄板1130を基板1101側に合わせて付着させる。接着層1129は絶縁膜1111上に形成した後に、薄板1130を付着させることもできるし、薄板1130に接着層1129を形成して薄板1130を基板1101側に付着させても良い。薄板1130の全面に接着層1129を形成してそのまま薄板1130を基板1101側に付着させることもできるが、特に第1面溝の開口部分の接着層1129は第1面溝Oの内部向いているので、この場合にはその後の処理や熱プロセスでアウトガスにより第1面溝Oの内部が変質して問題が生じないかを確認する必要がある。ただし、アウトガスが発生して第1面溝Oの内部に存在しても、圧力伝達孔1131を通してアウトガスを外側に出すことができるので、アウトガス自体は完全に除去可能である。(たとえば、外界を真空状態にすれば溝内部のアウトガスを抜くことができる。)接着層1129を介して薄板1130をN+シリコン基板1101の第1面側に接着する場合は、適切な熱処理などを行って薄板1130をN+シリコン基板1101の第1面側に強固に接着することができる。
アウトガスをできるだけ少なくするには、必要な部分だけに接着層1129を形成する。たとえば、接着層に感光性タイプの樹脂を使用し必要な部分だけに接着層を残したり、或いは感光性膜を接着層の上に形成して必要な部分以外の所は感光性膜を除去し、さらにその開口部分の接着層を除去してその後感光性膜を除去し、必要な部分だけに接着層を残せば良い。N+シリコン基板1101の第1面側の絶縁膜1111上に接着層1129を形成する場合、接着層剤が液状のものをスピンコーティングするとき、接着剤が第1面溝Oの内部に入り、この接着剤をその後取れない可能性がある。そこで接着層としてシートタイプのものをN+シリコン基板1101の第1面側の絶縁膜1111上に貼り合わせる方法を使用することもできる。シートタイプの接着層は第1面溝の内部に余り入り込まないようにすることができる。或いは、入り合わせる前に第1面溝の部分の接着層を除去しておくこともできる。また、感光性接着層剤の場合、ネガ型が扱いやすい。すなわち、第1面溝Oの内部へ入り込んだ接着剤を取るために第1面溝Oの内部へ光を当てなくても現像の際、第1面溝の内部の接着剤を完全に除去できる。
第1面溝Oの開口された部分にあたる薄板の一部に圧力伝達孔1131を形成する。この孔1131は、あらかじめ薄板1130にあけておいても良いし、薄板1130を付着させた後にあけても良い。この圧力伝達孔1131を通して第1面側の圧力P1を第1面溝へ伝達できる。尚、この圧力伝達孔1131は外界の圧力P1がスムーズに第1面溝に伝達されるほどのサイズにする必要がある。このサイズとしては、10〜50μmの径があれば充分であるが、第1面溝のサイズは図2および前述のダイヤフラムの最大撓み量Wmaxの説明から分かるように、第1面溝の長さ方向aは大きいほど感度が良い。(ただし、余り大きくなるとセンサーサイズが大きくなるが。)すなわち、300μm以上あればかなり良い感度が得られる。また、第1面溝Oの幅kに関しては図3(b)から分かるように、P1<P2のときにすぐに側壁がつかない程度にすること(小さな圧力差により側壁が接触すればそれ以上の圧力差を検出できなくなる)、余り変形しすぎて側壁が破壊しない程度の寸法よりもkが小さいことなどが要求されるが、圧力センサー素子の大きさがある程度大きくなっても良ければ、約100μmは確保できる。(尚、容量測定に無関係な側壁は厚くても良い)従って、その場合には前述したサイズの圧力伝達孔1131を形成することは全く問題ない。ただし、余り大きくすると外界から異物が侵入する可能性があるので、それらを総合的に考えて圧力伝達孔1131のサイズを選定すると良い。異物の侵入を簡単に除去するには、第1面溝Oと同じサイズの孔で良いという考えもある。圧力センサーの使用環境も考慮しても良い。
次に、図41(j)に示すように、第1面側の上壁1006−2(1006−2−1、1006−2−2)と電気的な導通を取るためのコンタクト孔1132(1132−1、1132−2)を形成してこの部分に導電体1133(1133−1、1133−2)を形成する。第2面溝の幅dの長さによって、コンタクト孔1132の(この方向における)サイズは決定される。上述したように圧力差が小さいときやダイヤフラムとしての側壁の厚みが厚いときにはダイヤフラムの変位が小さいので、そのときにも容量変化を大きくするにはdを小さくすることが効果的となる。しかし、余りdを小さくすると第2面溝Qを形成するときのアスペクト比が大きくなり深堀エッチングが難しくなる。将来は優れた深堀エッチングが実現する可能性が大きいが、現状ではアスペクト比が30程度が良い所と考えられるので、第2面溝のエッチング量hを約300μmとするとdは約10μm程度となる。電気不活性領域の幅eはかなり小さくても5V程度の耐圧は充分取れるが、プロセス上の限界から約1μm程度と考えると、コンタクト孔1132のサイズは約1〜3μmとなる。一方、絶縁膜1102と1111のトータル厚みは耐圧面から1000Aあれば充分であるが、プロセス上の安定性から考慮すれば約0.5μm程度は必要となる。さらに接着層1129および薄板1130の厚みは、容量センサーを保護するという観点とプロセス上の安定度から考えると約5μmは欲しい。そうすると全体のコンタクト孔の深さは約5.5μmということになる。1μmサイズでアスペクト比5.5のコンタクト孔1132を形成することは充分可能である。たとえば、絶縁体1102および1111がシリコン酸化膜で薄板1130もガラス板(或いは石英板)である場合には、薄板1130上に感光性膜を形成してコンタクト孔部分を窓開けして、さらにその窓からドライエッチング法(エッチングガスとして前述したようにCF系ガスなど種々のガスを適宜条件やエッチング装置を選択する)により薄板1130、絶縁膜1111および1102を順次エッチングしていけば良い。或いは、感光性膜を用いずにマスク(或いはマスクレス)を用いてレーザーによる窓開けも可能である。コンタクト孔サイズがもっと大きくなればレーザー光やドライエッチング法によるコンタクト孔形成はもっと容易になるし、サイドエッチングも許容できるのでWETエッチングによるコンタクト孔形成も可能となる。
コンタクト孔1132を形成した後で、このコンタクト孔1132に導電体1133(1133−1、1133−2)を形成する。たとえば、バリアメタルやシード層金属をPVD法により形成してメッキ法によりコンタクト孔1132にメタルを形成できる。或いは、CVD法やPVD法によってメタルやシリサイド膜を積層しても良い。コンタクトサイズがもっと大きくなれば、導電性ペーストを塗布し、スキージングしてコンタクト孔1132に導電性ペーストを入れ込むこともできる。導電性ペーストでコンタクト孔を埋め込む場合には適度な熱処理を行い導電体として安定化させる。さらに、薄板1130の上に金属膜やシリサイド膜や低抵抗のPolySi膜を積層しパターニングして電極・配線1134(1134−1、1134−2)を形成する。このようにしてN+シリコン基板1006−2(1006−2−1、1006−2−2)と電気的に接続する電極・配線1134を薄板上に取りだすことができる。図41(j)に示される2つの電極・配線1134−1と1134−2に数V程度の電圧を印加しても、導電体であるN+シリコン基板1006は絶縁体である電気不活性層1110によって分離されているので、2つの電極・配線1134−1と1134−2間には電気が流れない。前述したようにこの領域で容量(コンデンサ)を形成していて、第2面溝Qの空間における側壁電極による静電容量CはC=ε*S/dとなっていて、第1面溝Oの圧力P1と第2面溝Qの圧力P2との圧力差により第1面溝Oと第2面溝に挟まれた側壁が膨張したり窪んだりしてdを変化させるので、この静電容量が変化する。逆に容量変化を検出して、P1−P2の圧力差を計算することが可能となる。尚、導電体1133と電極・配線1134の導電体膜は兼用することもできる。
上述した様に薄板1130はコンタクト孔1132、コンタクト内導電体1133や電極・配線1134を有するので、薄板1130の材質は絶縁体である。たとえば、ガラス板、石英板、セラミック板、プラスチック板などである。また、薄板1130は容量素子を保護する役割も有するので、ある程度の強度も必要である。薄板上の電極・配線は必要があれば長く配線して他の容量素子や容量以外の素子(たとえば、抵抗、インダクタ、トランジスタ、場合によってはIC)と接続することもできる。その場合保護膜で配線や電極を保護することもできる。薄板1130や1126は本発明の静電容量素子型圧力センサーを保護する役目もあるので、ある程度強度が必要である。そのためにはある程度厚くする。たとえば、50〜100μm。もっと強度を持たせるには100μm〜200μm、さらに強度を持たせるには200μm以上とする。特に薄板1130は厚すぎるとコンタクト孔1132のアスペクト比が大きくなるが、被覆性の良い方法で導電膜1134を形成するとか、薄板1130のコンタクト孔1132をテーパー化するなど種々の方法を取ることができる。尚、導電体膜1133は電極・配線1134を形成する導電体膜と兼用することもできる。
薄板1130を使用しないで、絶縁膜1102、1111にコンタクト孔を開けて、そのコンタクト孔へ金属膜、シリサイド膜や低抵抗のPolySi膜を積層してさらに絶縁膜1111上に電極・配線を形成することもできる。この場合は薄板を使用していないのでアスペクト比が小さくなるので、コンタクト孔への導電体膜を形成しやすい。さらに、電極・配線上に保護膜(シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜やポリイミド膜などのパッシベーション膜)を形成し、パッド電極穴開けを行いパッド電極だけを露出させておくということもできる。この場合は、電極・配線は保護膜に保護されているので、信頼性も向上する。ただし薄板を用いた方が容量素子の保護特性(特に外部からの力に対する強度)は向上する。
図44は圧力伝達経路をさらに設けた圧力センサーを示す図である。図41(j)に示す構造の圧力センサの第2面側に支持層1142、1144を形成し、その上にプレート1146を接着する。プレート1146には圧力導入孔1147が開けられ、外部からの圧力P2を圧力伝達孔1127を通して第2面溝Qへ伝達する。薄板1126とプレート1146との間の空間1145は支持層1142、1144により作られた空間であり、全体がつながっていて各第2面溝Qへの圧力伝達孔1127が入り込んでいる。支持層1144は枠状で閉じていてこの枠の外側と内側を完全に分離し気密を保っている。また。支持層1142は柱状或いは壁状になっていて薄板1126とプレート1146を支えているだけで気密な空間を形成しているわけではなく、その外側および内側および周囲で圧力は同じ状態になっている。枠状の支持層1144だけでプレート1146を支持できればこの支持層1142はなくとも良い。支持層1142および1144は同時に形成できるので、工程負荷および工程付加にはならない。薄板1126上に感光性接着剤を塗布するか、感光性接着シートを張り付けて、露光現像して支持層1142、1144を形成することができる。このパターニングされた支持層1142、1144にプレート1146を張り付けて気密な空間1145を形成できる。プレート1146を十分な強度を有する材料(中が見える方が良ければ、ガラスや透明プラスチックが良い)を用いれば、第2面溝Qや圧力センサーを保護することができる。プレート1146の適当な部分に圧力導入孔1147を設ければ(レーザー法、エッチング法など種々の方法を使用できる)、この圧力導入孔1147から第2面溝Qへ圧力を導入できる。尚、薄板1126を使用せずにこのプレート1146を設けることもできる。図41(l)のような構造であればそのまま適用できるし、図41(j)のような構造の場合には支持層1142や1144を第1面溝の底壁などの上に(図では下に)設ければ良い。
第1面側にも同様にして、電極・配線1134を形成した後に、支持層1148、1150を形成し、その上にプレート1152を接着させる。プレート1152には圧力導入孔1154が開けられ、この圧力導入孔1154から外部の圧力P1が第1面溝Oに伝達される。支持層1150は枠状に閉じられ、この枠の外に対して内側を気密な空間に保持する。支持層1148は、プレート1152と薄板1130を支持しているが、枠状の支持層1150だけで支持できれば必要はない。支持層1148の外側、内側、周囲は同じ圧力である。このようなプレート1152を備えることにより第1面溝Oや電極・配線1134や圧力センサーを保護することができる。尚、薄板1130を設けない場合でも(図44では絶縁膜1102など省略している)直接支持層1148、1150を作製してプレート1152を接着することもできる。支持層1148、1150には感光性接着膜(たとえば、塗布法のよるもの、シートによるもの)を用いることができる。プレート1152の強度は使用環境に合わせて選定すれば良い。内部が見えるようにするには、ガラスや透明プラスチック等を使用すれば良い。点線で示すライン1156はスクライブラインであるが、第1面溝や第2面溝形成のときに一部或いは全部をあけておけば、プレート1146や1152だけの切断になるので、切断しやすい。切断には通常のダイシング法やレーザーダイシング法、エッチングダイシング法など種々の方法を用いることができる。
次に図42に基づいて、高濃度不純物元素を有する低抵抗のシリコン半導体基板1201に、これと逆導電体の低濃度不純物元素を有する高抵抗のシリコン半導体基板1202を接合させた基板(複合基板とも言う)1200を用いて良好な特性を持つ容量型圧力センサーを形成することもできる。この複合基板として、それぞれの半導体基板を貼り合わせた基板(貼り合わせ基板)や、高濃度不純物シリコン半導体基板に逆導電体の低濃度不純物元素を有する単結晶シリコンをエピタキシャル成長させたエピ基板を使用することができる。
低抵抗のシリコン半導体基板1201がN型の場合には、不純物元素はヒ素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)等のV族元素であり、その不純物濃度はたとえば、約1019/cm3以上で、抵抗率は約0.01Ωcm以下である。低抵抗のシリコン半導体基板1201がP型(いわゆるN+シリコン)の場合には、不純物元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)等のV族元素であり、その不純物濃度はたとえば、約1019/cm3以上で、抵抗率は約0.02Ωcm以下である。(ただし、圧力センサーの特性によってはこれらより1桁〜2桁高い抵抗率を有するものでも使用できる場合がある。)
高抵抗のシリコン半導体基板1202がN型の場合には、その不純物濃度はたとえば、約1017/cm3以下(好適には、約1016/cm3以下)であり、抵抗率は約0.1Ωcm以上(好適には、約0.7Ωcm以上)である。高抵抗のシリコン半導体基板1202がP型の場合には、その不純物濃度はたとえば、約1017/cm3以下(好適には、約1016/cm3以下)であり、抵抗率は約0.3Ωcm以上(好適には、約1Ωcm以上)である。
このような複合基板1200の第1面(上面)および/または第2面(下面)に絶縁膜1203、1204を形成する。複合基板1200の第1面とは高抵抗基板1202側の面であり、複合基板1200の第2面とは低抵抗基板1201側の面である。絶縁膜1203、1204は、シリコン酸化膜(SiOx膜)、シリコン窒化膜(SiNx膜)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy膜)などであり、これらは酸化、窒化、CVD法、PVD法、或いは塗布法(+熱処理)などにより形成できる。尚、これらの絶縁膜1203、1204はプロセス中に複合基板の表面を保護したり、感光性膜を形成しやすくすることなどのために形成するので、プロセス上問題がなければ、絶縁膜を形成しなくても良い。
次に図42(a)に示すように、感光性膜1205をパターニングして、第1面溝を形成するための窓1206(1206−1、1206−2)をあける。次に図42(b)に示すように、この窓1206(1206−1、1206−2)からその下に存在する絶縁膜1204を除去し、高抵抗の半導体基板の表面(第1面)を露出させる。絶縁膜1204の厚みは約0.1μm〜2μmであるが、第1面溝を垂直に形成するために、窓1206に忠実な大きさで形成することが望ましい。そのため、絶縁膜1204の除去は、ドライエッチング法、それも異方性エッチングが望ましい。(この後、深いシリコン溝を異方性エッチングで形成するので、感光性膜1205もエッチングされて絶縁膜1204が出てきたときに、さらに絶縁膜1204もエッチングされてシリコン基板1200が露出するとシリコン基板の表面が荒れたりダメッジを受けたりする。シリコン基板1200が露出しないようにするために、絶縁膜1204の厚みを2μm以上にする場合もある。)
次に図42(c)に示すように、窓1206の下に存在するシリコン基板1202および1201を順次エッチングして第1面溝O(O1、O2)を形成する。この第1面溝Oの内壁面は基板1202(高抵抗シリコン基板)の第1面に対して垂直になるようにエッチングすることが望ましい。しかも、窓1206のサイズとほぼ同じサイズで基板の深さ方向にエッチングする。ただし、第1面溝は第2面に達しないように適度な厚みを残してエッチングを終了する。このようにして深い第1面溝O(O1、O2)を形成する。
次に、図42(d)に示すように、アッシング法等のドライ法や或いはWET法(レジスト剥離液、たとえば、有機系剥離液や、熱濃硫酸)を用いて、感光性膜1205をリムーブする。その後で、再度、感光性膜1208をパターニングする。高濃度の不純物層を形成すべき領域に感光性膜1208が残らないようにし、高濃度の不純物層を形成しない領域に感光性膜1208が残るように感光性膜1208をパターニングする。基本的には第1面溝Oにおける高抵抗基板1202の内壁側面には高濃度不純物層を形成するので、第1面溝よりも大きく窓開けされ、感光性膜1208は、図42(a)で示された感光性膜1205のサイズより小さくなり、感光性膜1205の内側に形成される。第1面溝Oに存在する感光性膜を現像液で取り除くためには、感光性膜はネガ型が望ましい。ネガ型感光性膜は、光や電子ビームが当たった所が現像液に不可溶となり、光や電子ビームが当たらない所が現像液に可溶となる。第1面溝の深い所に入った感光性膜まで光が届かない可能性が高いので、ポジ型では第1面溝に感光性膜が残る可能性がある。これに対してネガ型では、光が当たらない所の感光性膜は現像液で除去できるから、第1面溝の深い所に入った感光性膜も現像液で除去することができる。尚、感光性膜として、ドライフィルムタイプや液状タイプがある。ドライフィルムタイプではフィルムを基板等に張り付けて露光するので、第1面溝のような深い溝の中までフィルムが入らない可能性が大きい。従ってドライフィルムの方が本発明においては使用しやすい。しかも第1面溝や第2面溝を形成するときに厚いシリコン基板をエッチングするので、選択比の高い条件を選択しても感光性膜がかなりエッチングされる。たとえば、溝のシリコン基板を300μmエッチングする場合には、シリコンと感光性膜の選択比が50としても、6μm以上の厚みが必要である。このような厚い感光性膜を形成するにはドライフィルムの方が扱いやすい。液状タイプのフォトレジストの場合、厚く形成することが困難であるということのほかに、第1面溝の内部深くまで液状レジストが入り込むので、たとえネガ型でも現像液で完全に取りきるのは時間がかかるという問題がある。
次に図42(e)に示すように、感光性膜1208をマスクにして絶縁膜1204をエッチングし、感光性膜1208が存在する部分以外の絶縁膜1204を除去し、半導体基板1202の表面を露出させる。(尚、後述するイオン注入法を用いる場合には、感光性膜1208をリムーブせずに、さらに絶縁膜1204を除去しなくても良い。)その後で、感光性膜1208をリムーブし、図42(f)に示すように、絶縁膜1204がなくシリコン基板が露出した部分に高濃度の不純物拡散を行い、高濃度不純物拡散層1210(1210−1、1210−2)を形成する。この不純物元素の導電タイプは低濃度不純物(高抵抗)基板1202と逆である。たとえば、低濃度不純物(高抵抗)基板1202がP型であれば、N型の高濃度不純物拡散を行う。たとえば、リン(P)拡散を行う。すなわち、P型の高抵抗基板1202中にN+層が形成される。第1面溝においては途中まで(高抵抗基板1202の厚み分)は、P型であるから、第1面溝の内壁にN+層が形成される。第1面溝の深い方はN型基板で、しかもこの基板は不純物濃度が高く低抵抗基板であるから、この基板濃度がさらに濃くなるだけである。この結果、低抵抗基板1201は高抵抗基板1202のN+層と接続して高濃度基板1202の表面まで電気的接続が可能となる。低濃度不純物(高抵抗)基板1202がN型であれば、P型の高濃度不純物拡散を行う。たとえば、ホウ素(B)拡散を行う。すなわち、N型の高抵抗基板1202中にP+層が形成される。第1面溝においては途中まで(高抵抗基板1202の厚み分)は、N型であるから、第1面溝の内壁にP+層が形成される。第1面溝の深い方はP型基板で、しかもこの基板は不純物濃度が高く低抵抗基板であるから、この基板濃度がさらに濃くなるだけである。この結果、低抵抗基板1201は高抵抗基板1202のP+層と接続して高抵抗基板1202の表面まで電気的接続が可能となる。
図42(f)に示す絶縁膜1204(1204−1、1204−2、1204−3)でカバーされている基板1202の部分には、不純物拡散層は形成されない。従って、この部分において、不純物拡散層1210は分断されている。後述するように、第1面溝O1とO2は第2面溝によって高濃度不純物(低抵抗)半導体基板1201の領域では完全に分離されているので、完成品の容量素子においては、拡散層1210−1と拡散層1210−2は電気的には導通していない。尚、高抵抗基板1202の不純物濃度が低い場合、基板表面が空乏化または反転しやすくなり、低い電圧差でも電気が流れやすくなる場合があるが、そのような可能性のある基板では、あらかじめ高抵抗基板1202の表面に同じ導電タイプのイオンをイオン注入して表面の不純物濃度を少し高めておけば良い。このイオン注入は基板1202の表面全体へ行なうことができるので、マスクプロセスは特に必要はないから、この工程追加によるコストアップや工程負荷は小さい。ただし、イオン注入量が多すぎると、基板表面濃度が高くなり、逆導電体型の拡散層1210との接合耐圧が低下するので、実用上問題ないレベルで行なう必要がある。さらに言えば、基板表面が空乏化または反転しやすくなるような基板ではなく、最初から基板表面が空乏化または反転しにくい少し高い濃度の半導体基板1202を使用すれば、イオン注入工程もなくすことができる。本発明の容量素子だけを形成する場合は、最初から基板表面が空乏化または反転しにくい少し高い濃度の半導体基板1202を使用することができるが、MOSトランジスタやバイポーラ等の他の半導体素子も同じ基板に形成する場合は、VTH(閾値電圧)やベース抵抗等の制御のために高抵抗基板を使う必要があるから、イオン注入工程が必要となる可能性がある。
図42(f)における不純物拡散は、たとえば以下のように行なう。BCl3やPOCl3等の不純物ソースから半導体基板(ウエハ)上にBやPの不純物拡散源を付着させ(適当な熱処理を行う)たり、CVD法により半導体基板表面にPSG膜(Pを含むSiO2)やBSG膜(Bを含むSiO2)を積層させたりした後に、拡散炉でこの不純物拡散源から基板内へ不純物を拡散させる。拡散温度と時間によって不純物(拡散)層の深さが決定する。
図42(f)に示した不純物拡散法は、上述のように拡散源をプリデポあるいは高濃度の不純物層を形成しその層から基板中に拡散を行う方法であるが、イオン注入を用いて行なうこともできる。その方法を図43に示す。すなわち、図43に示す構造は、図42(e)に示す構造と同じであるが、この構造の半導体基板1200の第1面側から高濃度イオン注入を行う。ここで注入するイオンは高抵抗基板1202の導電タイプと逆のイオンである。たとえば、高抵抗基板1202の導電タイプがP型であれば、N型不純物元素(As、P、Sbなど)のイオン注入を行う。高抵抗基板1202の導電タイプがN型であれば、P型不純物元素(B.Alなど)のイオン注入を行う。イオン注入のシリコン中への注入深さはイオン種とその加速電圧によって決められ(もちろん、シリコン基板の結晶方位依存性もある)、不純物濃度はイオン注入量(ドーズ量)によって決められる。また、イオン注入した後の熱処理条件(たとえば、温度、時間)でどの程度拡散するかによって不純物層の濃度や深さが決定される。
加速電圧は、イオンの種類と注入する深さにより適宜選択すれば良い。また、注入量に関しては、注入後に熱処理を行い形成した拡散層(不純物層)の不純物濃度が図42で示した拡散層1210と同程度であるから、たとえば、N型で1019/cm3以上、P型で1019/cm3以上になるようにすると、かなり低い抵抗となる。このような濃度にするには、たとえば、イオン注入量を1014/cm2以上、好適には1*1015/cm2以上とする。もっと好適には3*1015/cm2、さらに好適には5*1015/cm2とすれば、拡散層1210の抵抗をさらに下げることができる。
Bイオン(B+)の場合には、たとえば100kevの加速電圧で(シリコン中)ピーク深さが約0.3μm(標準偏差0.07μm)である。Pイオン(P+)の場合には、たとえば100kevの加速電圧で(シリコン中)ピーク深さが約0.12μm(標準偏差0.05μm)である。この後、熱処理をして不純物層を広げる。
本発明においては、第1面溝Oの側壁にも不純物層を形成する。イオン注入法では、通常チャネリング防止のためにイオン注入の進行方向に対して半導体基板を少し傾けて(イオン注入角度を持って)イオン注入を行うが、第1面溝Oは深いためイオン注入されない領域が存在する。イオン注入角度を基板面に垂直に注入しても、第1面溝Oは基板面(第1面)に対してほぼ垂直な側壁を持つので、この垂直な側壁の内面には殆どイオン注入されない領域が存在する。第1面溝の深い方の基板1201は、イオン注入する不純物元素と同じ導電タイプであって高濃度不純物元素を有する低抵抗の半導体基板であるから、この部分にはイオン注入されなくても良いが、その上に接合する高抵抗の基板1202は、逆導電タイプの基板であるから、第1面溝Oの側壁の内面にイオン注入して高濃度の不純物層を形成する必要がある。そのために回転イオン注入法を用いてイオン注入を行う。すなわち、基板面(第1面)の法線に対してイオン注入角度をα°傾けて、かつ基板を回転させてイオン注入1300を行う。この回転イオン注入により第1面溝側壁内面(のどの方向)にもイオン注入され、所定濃度の不純物層1302(1302−1、1302−2、1302−3、1302−4)が形成される。尚、イオン注入がα°傾いているので、感光性膜1208や絶縁膜1204の下の周辺付近にも少しまわりこんでいく。しかし、絶縁膜1204の幅を充分に取れば(イオン注入の加速電圧やイオン注入量、α°、その後の熱処理条件などにもよるが、約5μm以上)不純物層1210−2と1210−3がつながることはない。
高抵抗基板1202の厚みをu、第1面溝の幅をvとすると、tanα<v/uであるように、イオン注入角度α(ただし、αは0度ではない)を設定すれば、回転イオン注入法によって第1面溝の側壁の内面における高抵抗基板領域全体にイオン注入層1302を形成できる。たとえば、u=20μm、v=100μmとすると、tanα<5となるような角度(約78度)より小さい角度で回転イオン注入をすれば良い。回転イオン注入法により形成した不純物層を活性化するために、熱処理を行う。たとえば、900℃の温度で30分以上アニールすれば充分活性化される。ハロゲンランプアニールであれば1000℃で30秒以上アニールすれば良い。不純物層1302の不純物を拡散して不純物層を広げても良い。絶縁膜1204の下には不純物層1302は形成されないし、絶縁層1204の幅をある程度取れば、その後の熱処理によっても不純物拡散層1302が絶縁膜1204の下でつながることはない。絶縁膜1204は第1面溝Oの周囲を取り巻いているので、たとえば、不純物(拡散)層1302−2と1302−3は高抵抗基板1202の領域ではつながらない。すなわち、不純物(拡散)層1302−2と1302−3の間に逆導電型の低濃度(高抵抗)半導体層1202が存在するので、低抵抗基板1201がなければ、電気的に導通はしない。(もちろん、不純物(拡散)層1302−2と1302−3は一定距離離れているので、この距離に相当する耐圧より大きな電圧をかけるか、高抵抗半導体基板1202の不純物濃度に起因する逆方向耐圧より大きな電圧をかければ、電流は流れるが、それらの耐圧以下の電圧印加では電流は流れない。不純物(拡散)層1302−2と1302−3との距離を1μm以上、工程項半導体基板1202の不純物濃度を1017/cm3以下にすれば、10V以上の耐圧があるから、容量素子の実用上は問題ない。)
尚、図42(f)では、高濃度不純物層をシリコン基板1202の表面に作成するために、事前に不純物層1210を形成すべき部分の絶縁膜1204を取り除いていたが、図43に示すイオン注入法の場合には、この絶縁膜1204を残しておいても良い。この絶縁膜の厚みを考慮してイオン注入の加速電圧を選択すれば、この絶縁膜をイオンが突き抜けてシリコン基板に入っていく。このときのイオン注入のマスクは1208の感光性膜1208ということになる。従って、イオン注入法においてはこの感光性膜1208をイオン注入前にリムーブしておく必要はない。特に回転イオン注入法ではこのマスクにより影になる部分もない。尚、図42(f)では不純物層を形成するときに、熱処理を行うので、事前に感光性膜1208や絶縁膜1204等をリムーブしておく必要がある。このように、図42(f)の高濃度不純物層の形成法(プリデポ法)では工程が増えるので、上述の回転イオン注入法を用いれば、工程が簡略化できる。
図42(f)や図43に示したように、不純物拡散層1210(図43においては、不純物層1302)を形成した後に、図42(g)に示すように、イオン注入やプリデポなどによるダメッジや汚染の除去、或いは露出したシリコン基板の保護のために、絶縁膜1212(1212−1、1212−2)を形成する。第1面溝O1側に形成する絶縁膜を1212−1、第1面溝O2側に形成する絶縁膜を1212−2と称す。既存の絶縁膜1204を残して形成しても良いが、この場合は、既存の絶縁膜1204も厚みが増す。或いは、絶縁膜1212を形成する前に、露出したシリコン表面や絶縁膜1204の表面のダメッジや汚染を除去するために、それらの表面を洗浄したり、軽くエッチングしてから絶縁膜1212を形成しても良い。或いは、表面の絶縁膜1204および/または第2面の絶縁膜1203をエッチングしてから、絶縁膜1212を形成することもできる。絶縁膜1212の厚みはこの段階では、露出したシリコン基板の保護や汚染などが目的であるから、約1000Aもあれば良い。尚、図43に示すようなイオン注入法の場合には、シリコン基板1200に絶縁膜を形成してイオン注入を行っても良いので、既に絶縁膜が存在する場合にはここで再度絶縁膜を形成する必要はない。絶縁膜1212の形成方法として、酸化、窒化、酸窒化、CVD法やPVD法による積層などがある。また、前述したイオン注入層やプリデポ層を形成後のアニールや拡散処理と兼用して絶縁膜形成を行なっても良い。
次に、図42(h)に示すように、第2面に感光性膜1214(1214−1、1214−2)をパターニングする。このパターニングは第2面溝Qを形成するためであるから、第2面溝Qをあけるべき領域を窓開けする。第1面溝Oの領域は通常はエッチングしないので、図42(h)に示すように、第1面溝O1の領域は感光性膜1214−1で、第1面溝O2の領域は感光性膜1214−2でカバーする。次に感光性膜1214をマスクにして絶縁膜1203をエッチングする。このエッチング法はWET法またはDRY法であるが、この後の第2面溝Qのエッチング時のサイドエッチングやエッチングばらつきを抑えるために、サイドエッチングの小さなエッチング、好適には感光性膜1214に忠実なエッチングが良い。たとえば、RIE等の異方性エッチングを用いる。尚、感光性膜1214がシリコン半導体基板1201に対して密着性等の問題がなくパターニングできることや第2面溝Qをエッチングするときに感光性膜1214がなくならないなどで絶縁膜がなくても良ければ、絶縁膜1203を除去してから感光性膜1214を形成しても良い。しかし、絶縁膜が必要であって、絶縁膜1203だけの厚みで不足であれば、あらたに絶縁膜を形成してから感光性膜1214を形成しパターニングしても良い。
次に、図42(i)に示すように、感光性膜パターン1214および絶縁膜パターン1203(1203−1、1203−2)をマスクにしてシリコン基板1200をエッチングし、第2面溝Q(Q1、Q2、Q3)を形成する。このエッチングでは、図41において説明したように、第1面溝Oと第2面溝Qとの間の側壁1216(1216−1、1216−2、1216−3、1216−4)の厚みをできるだけばらつきを少なく形成することが重要である。特に容量(1216−2、1216−3)を構成する側壁の厚みを精度良く形成する。(尚、隣接して容量を形成することもできるので、Q1とQ3もQ2と同様に容量空間を作ることもできる。その場合には、1216−1や1216−4の厚み精度も非常に重要となる。)従って、第1に感光性膜1214と第1面溝Oとの位置合わせを精度良く行なう必要がある。この位置合わせ精度を高める方法として前述したように種々の方法がある。第1面溝Oの底壁1218(1218−1、1218−2)は非常に薄くなっているので、この底壁を透過できる波長を持つ光や電磁波(X線、γ線など)や粒子線(電子線やα線など)を第1面側から照射し第2面側で受けて位置合わせが可能である。特に照射する光や電磁波の波長や強度を調整すれば、感光性膜1214の感光性に影響を与えずに位置合わせができる。さらには、音波なども利用できる。
また、シリコン基板1200のサイドエッチングを抑えるとともに、エッチングばらつきを少なくする。第2面溝の深さは深い方が容量値を大きくすることができるので深い方が望ましいが、深くなればなるほどエッチングばらつき量も増えて来るので、エッチングばらつきやサイドエッチング量の小さなエッチン方法で行なう。また、深さ方向についてもエッチング速度ができるだけ速くかつエッチングばらつきの少ないエッチング方法で行なう。また、エッチングのマスクとなる感光性膜1214とエッチングされる材料(ここでは、シリコン)とのエッチング選択比が大きいエッチング方法で行なう。これらの条件を満足するエッチング方法としてボッシュ法やクライオ法やアルバック法によるエッチングがあり、その他の種々のエッチング方法も種々開発適用されている。本発明においてはこれらの方法を適宜選択して使用できる。
上述した精度の良い感光性膜1214の合わせ込みやサイドエッチングの小さなエッチング方法およびエッチングバラツキの小さなエッチング方法などによって、容量を構成する側壁1216(1216−2、1216−3など)を非常に薄く作成することができる。(これらは、容量成分の電極となる。)たとえば、10μm、好適には7μm、もっと好適には5μm、より好適には3μm、さらに好適には1μmにすれば非常に小さな圧力差まで検出できる。すなわち、側壁1216(1216−2、1216−3)は小さな圧力差でも変形しやすくなる。また、容量成分としての電極間距離(第2面溝Q2等の幅)も小さくすることができ感度の良い容量変化を検出することができる。(電極間距離が小さくなると、少ない変形量でも容量変化が大きくなる。)尚、容量成分を構成しない部分(たとえば、第1面溝O1の側壁1216−1や底壁1218−1、第1面溝O2の側壁1216−4や底壁1218−2)はもっと厚くできる。従って、容量成分を構成しない部分はパターニング許容度やエッチング許容度を持たせることができる。(また、これらの部分を厚くすることにより、第1面溝の強度を大きくすることができる。)
この実施形態において特に重要な点は、この第2面溝Qの形成時のエッチングにおいて、低濃度基板1202に達するまでエッチングし、深さ方向に関して高濃度シリコン基板1201を完全にエッチングすることである。しかし、低濃度基板1202内に第2面溝の底部QB(QB1、QB2、QB3)が存在するので、第1面溝Oは低濃度基板1202により支持されている。これにより、容量を構成する対向電極(たとえば、1216−2と1216−3)は高濃度基板1201内では完全に離間していて、低濃度基板内1202内では低濃度領域をそれらの間に挟んでいる(すなわち、絶縁膜1204の下の低濃度領域1202には高濃度不純物層1210は形成されない)ので電気は流れない。容量の領域を構成する第2面溝Q2の部分を見ると、高濃度基板1201の厚みをn1、低濃度基板1202の厚みをn2、基板1200のエッチング量をn3とすればn3>n1となるようにエッチングし、これを満足したときにエッチングを終了して第2面溝を形成する。このときに、n2+n1>n3でなければならない。第1面溝Qはエッチングされた後の残っている基板1202によって支持されているので、充分な寿命と信頼性がなければならないので、一定の厚みが必要となる。
この厚みは、通常20μm以上であるが、使用環境によっては、さらに厚くしなければならないし、もっと薄くても良い場合もある。深さ方向のエッチングばらつきも極力小さくしなければならない。このばらつき量をエッチング量のΔg%とすれば、確実に高濃度基板をエッチングするには、(n3−n3*Δg/100)>n1、(n3+n3*Δg/100)<(n1+n2)とする。現状のエッチング法ではΔgは約1〜10%であるから、この分を考慮する必要がある。Δgが約5%の場合には、n1が200μmとするとn3>211μmであり、n3はこれ以上の場合は小さい方が良いので、215μmのエッチングを行うとすれば、n1+n2>226μmとなる。低濃度基板の強度を保つには20μm以上必要とすれば、n2>46μmとなる。最初の基板厚みもばらついているので、それらも考慮する必要がある。以上から、この例では、基板厚みばらつきを考慮せずに、n2を約50μmとすれば良い。(あるいは、これ以上)当然のようにばらつきの小さい手法を実現すれば、基板1202の厚みをかなり薄くできる。
次に、図42(j)に示すように、感光性膜1214をリムーブした後、必要により第2面溝Qの内壁のダメッジや汚染などの除去のために、第2面溝内壁や、その他の部分を洗浄等行い、さらにそれらの目的に加えて、第2面溝Qの保護のために絶縁膜1220(1220−1、1220−2、1220−3)を形成しても良い。次に第1面側で、絶縁膜1210の所望の部分にコンタクト孔1222(1222−1、1222−2)をあけて、さらにその部分に導電体1224(1224−1、1224−2)を積層させ、さらにその導電体1224に接続する導電体膜を付けてパターニングし電極・配線1226(1226−1、1226−2)をパターニングする。これらのパターニングは通常のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用できる。(導電体膜1224と1226は兼用できる。)電極・配線1226は別の場所に伸ばして他の容量或いは他の素子(抵抗、トランジスタ、ICなど)と接続することもできるし、他の配線・電極と接続しても良い。或いは、図41に示すように蓋などをつけても良いし、保護膜でカバーしても良い。電極・配線1226−1は導電体1224−1および高濃度不純物拡散層1210−1を通じて第1面溝部O1の側壁1216−2へ接続する。側壁はその上部を除いて高濃度不純物(低抵抗)半導体基板1201である(側壁の上部は高濃度不純物拡散層が形成されている)から、これらの電位は同電位となる。一方、電極・配線1226−2は1224−2および1210−2を通じて第1面溝部O2の側壁1216−3へ接続する。側壁はその上部を除いて高濃度不純物(低抵抗)半導体基板1201である(側壁の上部は高濃度不純物拡散層が形成されている)から、これらの電位は同電位となる。電極・配線1226−1と電極・配線1226−2は低濃度不純物基板1202により電気は流れないので、容量を構成する側壁電極1216−2と1216−3との間で容量空間第2面溝Q2の容量を検出することができる。
以上のようにして、電極・配線1226−1と1226−2の間で、第2面溝Q2を空間領域(空間成分)とした容量素子を形成できる。このような容量素子を複数並列におよび/または直列につないで行くこともできる。このつなぎかたは、不純物拡散層1210でつなげても良いし、高濃度不純物基板でつなげても良い。ただし、このつなげ方には限度がある(第2面溝Qによる高濃度基板1201の分離や絶縁膜1204の下に存在する低濃度不純物領域などにより、つなげることができない場合がある)ので、そのときは配線・電極1226によって接続することができる。
図3(a)は、高濃度不純物元素(P型またはN型で、不純物濃度1019/cm3以上)を含む低抵抗Si基板を用いたときの圧力センサの構造およびその作製方法を説明する図である。低抵抗Si基板1101の分離領域1110を作製するために、Si基板1101上に酸化法やCVD法、PVD法を用いてSiO2膜等の絶縁膜1102を形成し(厚みは、100nm〜2000nm、好適には500nm〜1000nm)、フォトリソ法を用いて分離領域1110の形成領域を窓開けし、絶縁膜1102をエッチングし、さらに分離領域1110にドライエッチングやウエットエッチングにより凹部を形成する。凹部を形成後酸化法やCVD法、PVD法を用いてSiO2やSiON膜等の絶縁膜で凹部を埋設する。この分離領域110は幅がd2、深さがh3である。平坦化が必要ならSOG法等の塗布絶縁膜形成法を用いても良い。次にSi基板上の絶縁膜を除去して、再度Si基板上にCVD法や酸化法等でSiO2膜等の絶縁膜を形成しても良い。次に圧力センサの一方の凹部となる領域O1をフォトリソ法等を用いてパターニングし、絶縁膜1102をエッチングし(絶縁膜1102が存在する場合)、さらにSi基板を深堀りRIE法等を用いて垂直エッチングする。(エッチング深さh2)この凹部O1はSi基板側壁(ダイヤフラムとなる)の厚みyを決定するので、できるだけ垂直パターンが良い。また、このエッチングではSi基板1101の裏面には貫通させずに少し残すようにする。(h4)
次に、Si基板の裏面側にSiO2等の絶縁膜1103を形成し、圧力センサの他方の凹部となる領域O2(Si基板の裏面側)をフォトリソ等を用いてパターニングし(当然、表面側の凹部O1領域はレジスト等を形成する)、絶縁膜1103をエッチングし(絶縁膜1103が存在する場合)、さらにSi基板を深堀りRIE法等を用いて垂直エッチングする。(エッチング深さh1)この凹部O2はSi基板側壁(ダイヤフラムとなる)の厚みyを決定するので、できるだけ垂直パターンが良い。また、このエッチングではSi基板1101の表面には貫通させずに少し残すようにする(h5)とともに、表面側に形成した分離領域1110に達し、一部の分離領域1110を厚み方向に一部エッチングするようにする。(すなわち、h3−h5だけエッチング)Si基板側壁1101(1101−3)の厚みyをできるだけ正確に作製するために、表側の凹部O1に対して、フォトリソ工程でできるだけ正確にパターニングする必要がある。そのために両面(マスクまたはレチクル)アライナー(またはステッパー)を用いるとともに、表側の凹部パターンを検出するために、Si基板1101を透過する光(電磁波)を使用してマスク合わせすることが望ましい。
さらに別の方法も用いて合わせ精度をさらに向上できる。この方法では、第1面溝(Si基板の表面(上面)を第1面として、凹部O1は第1面溝とも言う)を形成する前か或いは第1面溝を形成した後で、第2面の一部だけエッチングにより薄くして第1面溝と貫通させるか或いは第1面溝の底壁の厚みを非常に薄くしておく方法である。この方法により、その貫通された部分(或いは、非常に薄くなった部分)を通して第2面から第1面の溝パターンを読むことができ、第1面溝パターンに直接合わせ込むことができる。この場合は、合わせ込みに用いた第1面溝パターンを実パターンとして用いることはできないが、種々の場所に設けておくことにより、ステッパーによる合わせ込みも可能となるので、非常に精度良く合わせ込みが可能となる。
さらに別の方法も用いることができる。第2面側にガラス基板を接合する方法である。この場合は、シリコン基板の第2面(下面または裏面)側にガラス基板を接合する。ガラス基板なので陽極接合も可能となり強固な接合を行うことができる。あるいは接着剤や熱融着法や常温接合法を用いて接合しても良い。シリコン基板は第1面溝形成のときに厚み方向に完全に貫通させる。(貫通溝または貫通孔とも呼ぶ。)シリコン基板とガラス基板は材質が異なるので、ガラス基板がエッチングストッパーとなるので、第1面溝の深さ方向の厚みも非常に精度良くコントロールすることができる。第1面溝のパターンは第2面側から正確に読み取れるので直接に第1面溝に対して第2面溝の感光性パターンを合わせこむことが可能となる。この結果、第1面溝と第2面溝を非常に精度良く形成できる。この場合、第2面溝を形成するとき、最初にガラス基板を垂直にエッチングして感光性膜パターンにできるだけ忠実に形成する必要がある。この場合も材質が異なるので、シリコン基板をストッパーとして用いることが可能であり、オーバーエッチングの余裕度も大きいので、ウエハの全域にわたり、必要な場所においてシリコン基板を完全に露出させることができる。
その後で別のエッチング種を用いて(条件しだいでは同じエッチング種でもできる場合がある)Si基板を垂直に精度良く形成することができるので、第1面溝と第2面溝の間に形成される側壁の厚みを非常に精度良く形成できる。この場合は、第1面溝の底壁はガラス基板となる。ガラス基板は絶縁体であるが、側壁の低抵抗シリコンを通して電気を伝達できるので容量特性には特に問題はない。さらにガラス基板を使用するメリットとして、第1面(貫通)溝を形成した後でガラス基板全体をエッチングして薄くすることもできる。この薄くする方法として、ウエットエッチングを用いることもできるし、ドライエッチングを用いることもできるし、さらにはBG法(裏面研磨法)やCMP法(化学的機械的研磨方法)を用いることもできる。ウエットエッチングの場合には、HF系のエッチング液を用いて精度良いエッチングを行うことができる。ドライエッチングの場合にも前述したCF系等のエッチングガスを用いて精度良くガラス基板のエッチングを行うことができる。このように第2面溝の感光性パターン形成前にガラス基板を薄くしておけば、第2面溝形成時にエッチングするガラス基板の厚みが薄くなっている。従って、オーバーエッチングも少なくて済むので精度良いエッチングが可能となり、第2面溝も精度良く形成できる。尚、ガラス基板の他に石英基板やセラミック基板、プラスチック基板も使用できる。さらに、第1面貫通孔を形成してからSi基板にガラス基板を接合(付着)することもできる。この場合、ガラス基板はエッチングされることはなく、かつ貫通孔の深さもSi基板の厚みと同じとなるので、非常に正確な深さの第1面貫通溝を形成できる。
次にSi基板の表面(あるいは、絶縁膜1102上)に酸化法、CVD法、PVD法によりSiO2等の絶縁膜1104を形成し、凹部O1(O1−1、2)内にも絶縁膜1104(保護膜としても作用)を積層(あるいは酸化)する。さらにSi基板の裏面(あるいは、絶縁膜1103上)にSiO2等の絶縁膜1105を形成し、凹部O2(O2−1、2、3)内にも絶縁膜1105(保護膜としても作用)を積層(あるいは酸化)する。耐湿性を向上するためにSiONやSiN膜でも良い。次にSi基板表面側に接着剤等を付着し、ガラス基板等の絶縁基板1130を付着し、フォトリソ法およびエッチング法により凹部O1の開放部やコンタクト形成領域における絶縁基板1130を除去する。あるいは、既に凹部O1の開放部やコンタクト形成領域を窓開けしたガラス基板等の絶縁基板1130を付着しても良い。絶縁基板1130の窓開けされた領域で凹部O1以外の平坦部でSi基板1101にコンタクト穴1132(1132−1、2)を形成し、シリサイドや各種金属膜(たとえば、Al、Cu、Ti)を積層し、コンタクト穴1132で導電体であるSi基板1101と電気的接続をさせ、さらに電極・配線1134(1134−1、2)をフォトリソ法・エッチング法によりパターニングする。Si基板裏面側にも接着剤等を付着し、ガラス基板等の絶縁基板1126を付着し、フォトリソ法およびエッチング法により凹部O2(O2−1、2、3)の開放部やコンタクト形成領域における絶縁基板1126を除去する。あるいは、既に凹部O2の開放部やコンタクト形成領域を窓開けしたガラス基板等の絶縁基板1126を付着しても良い。また、裏面側にコンタクト孔および電極を設けても良く、全体サイズを小さくできる。
ガラス基板等の絶縁基板1126、1130は、薄くなったSi基板を補強するとともに圧力差(表側の圧力P1と裏側の圧力P2との差)による変形を防止する効果がある。さらに、裏面の絶縁基板1126にポール(支持層)1142を付着させ、このポール1142に圧力導入孔1147を有するプロテクト基板1146を付着しても良い。このプロテクト基板1146は、圧力P2を圧力導入孔1147からスムーズに導入するとともにセンサーを保護する役目を持つパッケージである。ポール1142はこのプロテクト基板1146に対して絶縁基板(サポート基板)1126に付着したセンサーを支持しているとともに、プロテクト基板1146と絶縁基板(サポート基板)1126の間に空間を形成し、圧力をスムーズかつ速やかにに圧力導入孔1147から凹部O2開口部へ導く。ポール1142は、所定の厚みの基板を絶縁基板1126、1130上に接着剤等を用いて付着させて、フォトリソ法・エッチング法を用いてエッチングして形成する。絶縁体基板がガラスであるときはSi基板を陽極接合で強固に付着させることができる。或いは、あらかじめポールを貼りつけたプロテクト基板を絶縁基板にアライメントしてポールを付着させても良い。尚、図3(a)では記載していないが、Si基板の表側にも同様なものを付着しても良い。
Si基板厚みh0は100μm〜1000μm、O1(O1−1、2)の幅は10μm以上、O2(02−1)の幅d1は10μm〜100μm、O2(O2−2、3)の幅は10μm以上、h1は80μm〜980μm、h1は80μm〜980μm、h3は1μm〜50μm、h4は1μm〜50μm、h5は1μm〜50μm、yは小さいほど良いが技術的には1μm〜15μmである。また、h0≒h1+h5≒h2+h4、h3≧h5である。h4やh5の厚みが10μm以下にする場合は絶縁基板1130や1126で補強することが望ましい。エッチング前に付着させておくのも良い。圧力センサーのダイヤフラムに寄与するのは、基板側壁1101(1101−3、4)であり、O1(O1−1、2)の圧力P1とO2−1の圧力P2との圧力差により変形し、O2−1の空間容量が変化する。基板側壁1101−3は基板側壁1101−2と、基板側壁1101−4は基板側壁1101−5と導通している。基板側壁1101−3と基板側壁1101−4は、分離領域1110で電気的に分離されている。従って、電極1134−1と1134−2の間に一定電圧を印加すれば、基板側壁1101−3と基板側壁1101−4の間の静電容量を測定できる。分離領域1110の幅d2は、1μm〜d1であるが、この分離領域自体で静電容量を生じるので、センサーの静電容量への寄与を小さくするためには、幅d2は大きい方が良いが、分離領域の強度を考慮してこの分離領域幅を決定する。尚、絶縁膜1102の上に別の絶縁膜(SiO2、SiON、SiN等)を積層することもでき、電極・配線1134を形成し、絶縁基板1130を付着する前または後に保護膜としてSiO2等(SiO2、SiON、SiN等)の絶縁膜を積層しても良い。(これらの絶縁膜の厚みは、電気的絶縁性を考慮すれば、100nm〜2000nm、好適には500nm〜1000nm)ダイヤフラムとなる凹部の基板側壁(1101−3、4)上の絶縁膜の厚みは、余り厚いと静電容量に影響を与えるので、1.0μm以下、好適には0.5μm以下、もっと好適には0.2μm以下が良い。汚染防止や保護などの必要がなければ、絶縁膜なしでも良い。
絶縁基板1130、1126の厚みは、30μm〜500μm〜1mmであり、PKGのサイズや強度や使用環境を基準に決定すれば良い。ポール厚みは10μm〜500μm、幅10μm〜100μm、プロテクト基板1146の厚みは30μm〜500μm〜1mmが好ましい。圧力差を検出する感度を高めるために、図3(a)に示すセンサーを並列につなげば良く、本発明のセンサーは非常に小さな面積で済むので多数のセンサーを連結できる。あるいは、直列に接続することによっても容量を制御できる。しかも配線はSi基板表面でLSIプロセスを用いてパターニングできるので、多数のセンサーを簡単に並列接続ができる。
図3(a)においては、O1(O1−1、2)およびO2(O2−1)は圧力が外側から印加できるようにしているが、O1またはO2を絶縁基板(薄板、サポート基板)で閉じて圧力を固定することもできる。たとえば、O1(O1−1、2)内の圧力P1で固定したければ、圧力P1をかけた状態で絶縁基板(薄板、サポート基板)を接着剤や熱融着や常温接合や陽極接合で付着すれば良い。真空(P1=0)にしたければ、真空状態で付着すれば良い。このとき、凹部内の気体や接着剤によるアウトガスを除去してできるだけ真空状態を実現する場合は、気体吸着物をあらかじめ凹部内に入れておけば良い。これによって固定圧力P1に対する圧力差(P2−P1)を検出できる。
図3(b)は、高濃度不純物元素Siウエハ(低抵抗ウエハ)1100−2上に、これと逆導電体の低濃度不純物元素を有する高抵抗のシリコン半導体基板1100−1を接合させた基板(複合基板とも言う)を用いて良好な特性を持つ容量型圧力センサーを形成することもできる。この複合基板として、たとえば、それぞれの半導体基板を貼り合わせた基板(貼り合わせ基板)や、高濃度不純物シリコン半導体基板に逆導電体の低濃度不純物元素を有する単結晶シリコンをエピタキシャル成長させたエピ基板を使用することができる。基板表面が低濃度エピタキシャル層(高抵抗Si)1100−1を形成したエピタキシャルウエハを基板1101に用いた場合(あるいは、低濃度基板1100−1と高濃度基板1100−2を貼り合わせた基板1101を用いた場合)における本発明の圧力センサの構造とその作製方法を示す図である。基本的には図3(a)において説明した作製方法と類似であるから、重複する内容は説明を省略する。エピ層1100−1の厚みh7はたとえば5μm〜50μmである。エピ層1100−1は高抵抗(たとえば、不純物濃度1013/cm3〜1017/cm3、抵抗率0.1Ωcm以上)であり、低抵抗基板1100−2と逆導電型であるから、図3(a)に示すようなコンタクト孔をあけて導電体膜を形成しても低抵抗領域(たとえば、不純物濃度1019/cm3以上、抵抗率0.01Ωcm以下)1100−2と電気的に導通しない。
低抵抗のシリコン半導体基板1201がN型の場合には、不純物元素はヒ素(As)、リン(P)、アンチモン(Sb)等のV族元素であり、その不純物濃度はたとえば、約1019/cm3以上で、抵抗率は約0.01Ωcm以下である。低抵抗のシリコン半導体基板1201がP型(いわゆるN+シリコン)の場合には、不純物元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)等のV族元素であり、その不純物濃度はたとえば、約1019/cm3以上で、抵抗率は約0.02Ωcm以下である。(ただし、圧力センサーの特性によってはこれらより1桁〜2桁高い抵抗率を有するものでも使用できる場合がある。)
高抵抗のシリコン半導体基板1202がN型の場合には、その不純物濃度はたとえば、約1017/cm3以下(好適には、約1016/cm3以下)であり、抵抗率は約0.1Ωcm以上(好適には、約0.7Ωcm以上)である。高抵抗のシリコン半導体基板1202がP型の場合には、その不純物濃度はたとえば、約1017/cm3以下(好適には、約1016/cm3以下)であり、抵抗率は約0.3Ωcm以上(好適には、約1Ωcm以上)である。
そこで、凹部O1を形成した後でフォトリソ法を用いて必要な部分を窓開けして、低抵抗領域の導電体型と同じ不純物元素をエピ層1100−1の表面および凹部O1の開口部上部から低抵抗領域部分までイオン注入して高濃度イオン注入層を形成した後必要な熱処理(900℃以上の活性化処理)を行ない、低抵抗拡散層1108(1108−1、2)を形成する。その後コンタクト孔1132、導電体膜1133、電極・配線1134を形成すれば、電極・配線1134は低抵抗拡散層1108(1108−1、2)を通して低抵抗領域1100−2と電気的に導通でき、静電容量を検出できる。凹部O1の開口部上部からおよそ50μmの深さまでの基板側壁領域にイオン注入すれば良いので、イオン注入方向に対して基板1101を傾けてイオン注入すれば良い。開口部の幅が20μmであれば、角度(基板面の法線に対する)を約22度より小さくすれば(ただし、0度では基板側へイオン注入されないので0度より大きくする。)50μm以上の深さまでイオンが入る。特に回転イオン注入を用いれば凹部O1の基板側壁上部全体へイオン注入できる。絶縁膜等を通してイオン注入する場合は絶縁膜の厚みを考慮してイオン注入の加速電圧を選択する。イオン注入を用いないで、低抵抗拡散層1108(1108−1、2)を形成すべき領域の絶縁膜1102を除去して、プリデポ(たとえば、BCl3やPOCl3等の不純物ソースから半導体基板(ウエハ)上にBやPの不純物拡散源を付着させる)または高濃度不純物を含むCVD法等により絶縁膜(P+(P型の高濃度Si層)ではBSG膜、N+(N型の高濃度Si層)ではPSG膜)形成を行なった後、熱処理して低抵抗拡散層1108(1108−1、2)を形成することもできる。
図3(b)に示すように、基板1101の裏面側に低抵抗領域1100−2があるので、絶縁膜1103および絶縁基板1126にコンタクト孔1132(1132−3、4)を形成して、その部分に導電体膜1133(1133−3、4)を形成し、さらの電極・配線1134(1134−3、4)を形成することによって、イオン注入層を形成せずに低抵抗領域1100−2と電気的に接続できる。尚、この場合でもイオン注入層を形成すれば、エピ層もセンサ領域として使用できる。また、裏面からの凹部O2の深さh1はエピ層1100−1に達すれば良く、分離領域の深さh3はエピ層の厚さh7より浅くても良く、分離領域1110の下部に高抵抗のエピ層が存在しても良い。(ただし、低抵抗層は存在しないようにする。)高抵抗基板(エピ層)の場合、図3(a)に示したトレンチ分離以外に、分離領域1110は拡散分離やLOCOS分離でも良い。たとえば、分離領域1110において、絶縁膜1102の直下に低抵抗基板と同じ不純物元素の反転防止層を形成すれば拡散分離ができ、またはLOCOSを形成すれば良い。このように、エピウエハを用いて圧力センサを作製できるので、LSIと同じチップ内に圧力センサを搭載でき、実装サイズを大幅に低減できると同時に、チップ内配線でLSIと接続できるので信頼性および歩留まりを向上できる。プロセスもLSIプロセス(たとえば、CMOS、MOS、あるいはバイポーラ)と兼用できるので製造コストも低減できる。
図3(c)はLSI作製用に用いられる高抵抗(不純物濃度約1017/cm3以下)Si基板を用いるときの本発明の圧力センサの構造およびその製造方法を示す図である。Si基板1101の表面側および裏面側から凹部O1およびO2を形成した後、Si基板1101の表面側および裏面側において、Si基板1101の導電体型とは反対の導電型の不純物元素のイオン注入を行なう。イオン注入したくない領域は、フォトリソ等を用いてマスキングする。凹部O1およびO2は深い垂直孔であり、それらの基板側壁(たとえば、1101−2、3、4、5)の側面(表面)にイオン注入するためにイオン注入の傾斜角度を基板表面に対して傾けてイオン注入する。基板面の法線に対してイオン注入の傾斜角度をα、凹部の幅をd、凹部の深さをhとすれば、tanα=d/hよりも小さい傾斜角度でイオン注入する。(ただし、α≠0)凹部底面のイオン注入は垂直イオン注入する。(α=0)回転イオン注入を用いれば凹部の基板側壁側面の全領域にイオン注入できる。次に熱処理を行ない形成したイオン注入層1112(1112−1、2)および1113(1113−1、2)を基板側壁または凹部底面部または基板表面部で接触させる。イオン注入の加速エネルギーや熱処理条件(温度、時間)を適宜選定して接触させる。接触すべき部分における基板を薄くしても良い。基板が厚過ぎて接触できない場合は、図3(c)に示すように基板裏面側からコンタクト孔1132(1132−3、4)を形成し、コンタクト孔に導電体膜1133(1133−3、4)を積層し、さらに電極・配線1134(1134−3、4)を形成する。(図3(b)、(c)では、絶縁基板(サポート基板)1126にもコンタクト孔等を形成しているが、この領域における絶縁基板(サポート基板)1126を除去しておけば、絶縁膜1103にコンタクト孔を形成できアスペクト比を小さくすることもできる。イオン注入層1112および1113が接続する場合は、基板1101の表面における電極・配線1134−1と1134−2を通して、あるいは、イオン注入層1112および1113が接続しない場合は、基板1101の裏面における電極・配線1134−3と1134−4を通して、圧力センサの静電容量を測定できる。
Si基板等の半導体基板(A基板)に、半導体基板、ガラス基板やセラミック基板等の絶縁基板、プラスチック基板等の付着基板(B基板)を付着させる方法について説明する。B基板に接着層(D接着層)を用いてサポート基板(C基板)を付着させる。次にA基板に接着層(E接着層)を用いてB基板が付着したC基板をB基板側から付着させる。D接着層は、温度Td-1で強固に接着し、Td-2(Td-2>Td-1)で接着性を失う熱可塑性接着性樹脂による接着層である。E接着層は、温度Te-1(Te-1<Td-2)で強固に接着し、Te-3(Td-2<Te-3)で接着性を失う熱可塑性接着性樹脂、または温度Te-2(Te-2<Td-2)で強固に接着する熱硬化性樹脂による接着層である。E接着層が熱硬化性樹脂の場合は、Te-2以上でTd-2以下の温度にしてA基板にB基板(C基板付き)を付着させた後、温度をTd-2以上にしてC基板をB基板から引き離す。E接着層が熱可塑性樹脂の場合は、温度Te-1以上でTd-2以下の温度にしてA基板にB基板(C基板付き)を付着させた後、温度をTd-2以上でTe-3以下の温度にしてC基板をB基板から引き離す。
このような接着剤は多数存在するので、適宜選択することができる。A基板にパターンがないときはラフな合わせでB基板を接着できるが、A基板にパターンがあり、そのパターンにB基板上に付着した接着層パターンを合わせるときはアライメントが必要である。たとえば、A基板に既に貫通孔が形成されており、貫通孔に接着層を入れたくないときなどである。また、B基板に既にパターンが形成(基板のない領域があるなど)されている場合も同様である。接着剤は塗布法(スプレー方式、スピンコーティング、ディップ等)、スクリーン印刷、接着シート付着法等で接着層を形成できる。接着層のパターニングは、フォトリソ法(接着剤が感光性を有する場合)、スタンプ法、スクリーン印刷法等を用いることができる。また、光(電磁波)照射で硬化または剥離できる接着層の場合は、上記の温度範囲を余り考慮することなくB基板をA基板に貼り付けC基板を引き離すことができる。たとえば、D接着層が光照射により剥離できる場合は、A基板にB基板(C基板付き)を付着させた後、光照射でC基板をB基板から引き離すことができる。また、E接着層が光硬化型接着層であれば、温度Te-1やTe-3を考慮しないで良いので、熱処理プロセスが簡便になる。
A基板がSi基板でB基板がガラス基板である場合、陽極接合、常温接合を使用できる。この場合、接合温度をTpとしたとき、Tp<Td-2であるようなD接着層を使用することによって、A基板とB基板を接合した後に温度Td-2以上にしてC基板を分離できる。B基板とC基板を真空吸着、静電吸着すれば、Td-1やTd-2の熱処理温度を考慮する必要がない。B基板がフェライト、鉄、ニッケル、コバルトやこれらの複合体など種々の磁性体材料であるときは、C基板として電磁石基板を用いることができ、A基板とB基板を付着した後に通電をやめれば簡単にC基板を分離できる。これらの場合に、E接着層として光硬化型樹脂を用いれば、熱処理プロセスは少なくでき、あるいは、全くなくすこともできる。B基板を薄い場合でも本発明を用いればA基板に精度良く付着することができる。B基板の厚みが200μm以下になると単独でA基板に付着することが難しくなる。そこで、B基板をC基板に付着した後に、CMP、ドライエッイング、WETエッチング、通常のBG(Back Grind)法などを用いてB基板を薄く(たとえば、100μm以下、50〜5μmも、またはそれ以下も可能)でき、この薄いB基板をA基板に付着できる。
図3においては、絶縁基板1130や1126は凹部開口部全体を開口しているが、圧力(P1やP2)が速やかに凹部へ伝達するなら、凹部開口部の一部だけ開口するようにしても良い。絶縁基板1130や1126によって凹部開口を狭くすれば、汚染物質や水分、異物等の凹部への侵入を防止できる。さらに凹部の入り口を絶縁基板1130や1126によって規制できるので、圧力変動による凹部上部および下部の変動も防止できるので、より正確な容量変化を検出できるとともに、圧力センサの信頼性および寿命も増大させることができる。
図3(d)は、図3(a)〜(c)に示した断面構造図の平面図(凹部の中心付近の断面)である。逆に、図3(d)のA1−A2の縦方向断面図が図3(a)〜(c)である。凹部O1を囲む基板側壁(1011−2、3、4、5、7、8、9、10等)と凹部O2を囲む基板側壁1101(1101−1、6、11,12等)は、上部は基板上部(たとえば、図3(a)の1101−7)で、下部は絶縁基板1126でつながっているので、これらは一体物として固定されている。しかし、基板上部では分離領域1110等があるので、凹部O1を囲む基板側壁(1011−2、3、4、5、7、8、9、10等)と凹部O2を囲む基板側壁1101(1101−1、6、11,12等)は電気的に完全に分離している。従って、凹部O2(O2−1)は容量空間となり、基板側壁1101−3と基板側壁1101−4との間で静電容量を検出することができる。また、基板側壁1101(1101−7、8、9、10)の一部に分離領域を作製する(たとえば、この領域に絶縁膜を作製することによって、導電型の異なる拡散層を作製する)ことによって、凹部O1も容量空間となり、基板側壁1101−2と基板側壁1101−3の間で、さらに、基板側壁1101−4と基板側壁1101−5の間で、静電容量を測定することができ、感度を高めることができる。
図3(d)から分かるように、凹部O1を取り囲む基板側壁1101(1101−1、6、11,12等)は圧力センサPKGの外側外壁(保護部材)となる。従って、この基板側壁1101(1101−1、6、11,12等)を一定の厚み(たとえば、50μm以上、好適には100μm以上、または、圧力により変形しないようにしたり、外界の力によって変化しないようにするためにもっと厚くしても良い。)にすることによって、上部は絶縁基板1130(さらにはプロテクト基板も含め)により、下部は絶縁基板1126(さらにはプロテクト基板1146も含め)により、強固な圧力センサPKGとなる。また本発明の圧力センサPKGはウエハレベルPKGであり、工程も単純で安価で超小型で信頼性も高いPKGを作製できる。容量を並列接続することによって感度を高めることができ、ICと同じチップ内に搭載もできる。電極・配線にバンプも形成できるので、フリップチップ実装も可能である。チップの表にも裏にも電極・配線を簡単に形成できるので、チップ(PKG)実装の自由度も増大する。図3に示すセンサチップは、基板の厚い部分でダイシングしているが、ダイシングする部分もO1またはO2の凹部形成時に基板を薄くしておくことにより、ダイシングが容易になる。
第2面溝の形成において最も重要なことは、容量を構成する側壁(図3(d)においては、1101−3、4)の厚みyと電極間の距離d1である。厚みyが薄ければ圧力差による感度が良くなる。たとえば、周囲のみが拘束された厚みyの長方形(h*a){h≒h1−h4≒h2−h5、aは第2面溝O2の長さ}のシリコンダイヤフラムの最大たわみ(長方形の中心部)はおおよそ以下の計算式で与えられる。
Wmax=α*z*h4/(Ey3)→Wmax=α*z*h2a2/(Ey3)
(zは圧力差(=P1−P2)、Eはダイヤフラム材料のヤング率、(αはシリコンダイヤフラムの縦横比により変化する定数)正方形状ダイヤフラムではα=0.0138、長方形状ダイヤフラムではα=0.0277である。)h=a=300μmのとき、Wmaxは約600z/y3(μm)(zをMpa単位で示し、yはμm単位)で、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約22μmとなる。h=300μm、a=600μmのとき、Wmaxは約1200z/y3(μm)で、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約45μmとなる。上記の式は理論式であるから、この式等を考慮して設計して、できあがったものでデータを取り、実際値と理論式を近づければ精密なセンサーを作製できる。これまでにも説明した様に、基板側壁(ダイヤフラムに相当)は、たとえば上下が絶縁体基板等によって、横方向は、たとえば矩形状の場合は基板側壁(ダイヤフラム)に接続する他の基板側壁等によって規制されているので、圧力差により基板側壁(ダイヤフラム)の中心付近が最大たわみとなり、周辺の規制部分は殆ど変形せず、その間が湾曲している。従って、圧力差と変形量との関係曲線を得ることができる。(これは、従来の半導体ダイヤフラム圧力センサと同様である。)
図4(a)〜(c)は、高濃度基板(ウエハ)11201上にこれと導電型の異なる低濃度ウエハ(エピタキシャル層)11202を付着(成長)させた貼り合わせ基板(エピウエハ、以下複合基板と言う)11200に第1面貫通溝および第2面凹部を形成した圧力センサの構造および製造方法を示す図である。複合基板11200の第1(表)面上にSiO2膜等の絶縁膜11204、第2(裏)面上にSiO2膜等の絶縁膜11203を積層し、イオン注入+熱処理により第1(表)面の表面に反転防止層11205を形成する。低濃度層11202の不純物濃度が薄い場合(約1〜5×1016/cm3以下)に基板表面が反転しないように、これよりも濃い拡散層(約1〜5×1016/cm3〜1019/cm3)を形成する。従って、同じ導電体型である。次に、フォトリソ法により第1面に第1面貫通溝(孔)形成用のパターニングを行ない、絶縁膜11204および複合基板11200の垂直エッチングを行ない、第1面および第2面に垂直で第1面から第2面に貫通した貫通溝(孔)R(R1、R2)を形成する。
次に、フォトリソ法により、第1面に低濃度層11202と逆導電型(高濃度木場11201とは同じ導電型)の拡散層を形成すべき領域のパターニングを行なう。たとえば、基板側壁の高濃度基板と接続するコンタクト孔を形成する領域であるM(M1、M2)や
第1面貫通溝の低濃度ウエハ領域である基板側壁の側面における領域は感光性膜(フォトレジスト膜や感光性シート等)の窓開けを行なう。(図4(a))静電容量を測定する凹部(第2面凹部)を形成する領域では、両側の拡散層の(電極間)距離を基板側壁間距離(図3におけるd1)より余り小さくしたくない(小さくなると容量変化の感度が悪くなる)ので、貫通孔Rとほぼ同じ位置に合わせるのが良い。この領域において第1面貫通溝Rの上部に拡散層を形成したくないときには、図4(a)に示すように貫通溝R側に出っ張った感光性膜の廂Hを作製する。感光性シートを用いた場合はこの廂を形成しやすい。スピンコートやディップ等のフォトレジストを用いる場合は、ポジレジストを用いて、レジストを残すべき場所に(たとえば、第1面貫通溝上部)光を照射すれば良い。この廂部分H(H1、H2)は熱処理(たとえば、100℃〜200℃)により第1面貫通溝の上部に垂れて基板側壁の側面を覆う。
次に窓開けされて感光性膜のない領域における絶縁膜11204を除去する。この結果領域Mや第1面貫通溝上部、特に低濃度ウエハ領域はシリコンが露出する。次に感光性膜を除去して、プリデポ等(不純物を含む絶縁膜の積層も含む)+熱処理によりM領域および第1面貫通溝の基板側壁の側面に、高濃度拡散層(低濃度ウエハの導電型とは逆導電型)11207を形成する。(たとえば、B等のP+拡散層、あるいはP、As、Sb等のN+拡散層)尚、この拡散層11207はイオン注入+熱処理によっても形成できる。その場合は、絶縁膜11204は除去しなくても良い場合がある。(イオン注入の加速エネルギーから計算してイオンが突きぬける一定膜厚以下であれば良い。)また、第1面貫通溝の高濃度基板領域と接触する深さまで高濃度拡散層11207が形成できれば良い。次に、第1面貫通溝内壁を被い、第1面表面の露出した部分を被覆するSiO2膜等の絶縁膜11208をCVD法、PVD法、あるいは酸化法により積層する。。耐湿性向上にはSiON膜、SiN膜が良い。絶縁膜の厚みは、好適には、第1面表面で約500nm以上、第1面貫通溝側面で約50nm以上である。次に第2(裏)面にガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板等の絶縁基板11209を接着剤を用いる方法、拡散接合、常温接合等で付着させる。ガラス基板の場合は、裏面の絶縁膜11023を除去してSi基板11201を露出させて陽極接合により強固に接合できる。尚、絶縁膜がSiN膜の場合、絶縁膜がSiO2膜の場合でもその上にPolySiを積層した場合などはガラス基板と陽極接合が可能である。次に第2面凹部を形成するために感光性膜パターン11211を形成する。このパターニングでは、第1面貫通孔Rに対して精度良く合わせることが重要である。特にガラス基板等のように裏面から第1面貫通孔R等のパターンを認識できると合わせ精度が向上する。特に静電容量を測定するパターン1121−2、3と貫通孔R1、R2との合わせを精度良く行なう。(図4(b))
次に、感光性マスクパターン11211(11211−1、2、3,4)をマスクとして絶縁基板11209をエッチングし、さらに、絶縁膜11203をエッチングし、さらに、Si基板11200をエッチングし、第2面凹部Q(Q1、Q2、Q3)を形成する。これらのエッチングでダイヤフラム(基板側壁)が形成されるので、深堀りエッチング(DRIE)法などを用いた垂直エッチングが望ましい。絶縁基板11209の厚みは、1μm〜100μmであるが、基板付着法の所で説明した様に、厚い絶縁基板11209を別基板(サポート基板)に付着させた後、CMP等で所望の厚みに薄くして、複合基板11200の第2面に付着させた後、サポート基板を分離すれば良い。あるいは、厚い絶縁基板11209を複合基板11200の第2面に付着させた後、CMP等で所望の厚みに薄くする。あるいは、第2面凹部形成領域および第1面凹部(貫通孔)形成領域だけ薄くする方法(他の領域をマスクしてドライエッチングやウエットエッチングで薄くする)があり、これによって、絶縁基板11212を複合基板11200の第2面に付着させた時に、第1面貫通孔Rの底部にある絶縁基板11209(11209−2、3)は絶縁基板11212と付着せず、第1面貫通孔Rは浮いた(宙ぶらりんの)状態になり、第1面貫通溝(R1、R2)は外部からの衝撃や振動の影響を受けにくくなり、容量素子の精度も向上する。絶縁基板11209を薄くすることによって第2面凹部形成時に第2面凹部上の絶縁基板11209のエッチング量が少なくなるので、精度良い第2面凹部エッチングが可能となる。
高濃度基板11201領域はすべてエッチングし、低濃度領域11202の中途で終点する。できるだけバラツキの少ないエッチングがベターであり、低濃度領域に達した段階でエッチングストップすることが望ましい。ただし、低濃度基板を用いているので、仮に一部で第1面に突きぬけても、この後で第1面に絶縁基板を付着するので、第2面側の圧力が第1面側に漏れることはない。次に、第2凹部内面に保護膜としてSiO2膜等の絶縁膜11221を積層する。耐湿性向上にはSiON膜、SiN膜が良い。厚みは100nm以上積層すれば良い。この絶縁膜形成の前後で凹部Qの底面(図では上面)に(低濃度層と同じ導電型の)イオン注入を行ない、熱処理し反転防止層11210を形成する。第1面側に、さらに層間絶縁膜が必要なら絶縁膜を積層し、ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板等の絶縁基板11216を、接着剤等を用いて付着し、必要な窓開けを行なう。(たとえば、第1面貫通孔Rへの圧力伝達孔11217やコンタクト孔形成領域)絶縁基板11216のない領域では、絶縁膜11208や11204にコンタクト孔11214(11214−1)をあけて導電体膜を積層し、電極・配線11215(11215−1)を形成する。また、絶縁基板11216からコンタクト孔11214(11214−2)をあけて導電体膜を積層し、電極・配線11215(11215−2)を形成することもできる。絶縁基板11216の厚みが200μmである場合は、20μm程度の大きさのコンタクト孔を形成すれば良く、アスペクト比は10程度なので、エッチング選択比や導電体膜のカバレッジ等の問題はなく、コンタクト孔によるチップサイズの増大は殆ど問題はない。尚、チップサイズをさらに小さくしたければ、第2凹部Q1の形成領域上側の貫通孔近傍に拡散層11207−2、3を延ばせば良い。センサ感度は少し低下するが、これによる圧力変動が増大する分けではないので、その低下を考慮した設計をすれば良い。
第2面側にガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板等の絶縁基板絶縁基板11212を接着剤等を用いて付着させ、第2面側を保護し強化する。圧力伝達孔11213を設けてセンサ検出用凹部Q1へ圧力伝達できるようにする。ただし、絶対圧測定のためには、RかQのどちらかを開けないようにし、RまたはQの中の圧力を一定に保持する。凹部Q1の容量変化を精度良く高感度に検出するには、基板側壁1120−3および11200−4の厚みy3およびy4を薄くかつばらつきを小さく作製すると良い。たとえば、y3およびy4を3μm〜20μm程度にし、厚みバラツキを10%以下、好適には5%以下に抑えると良い。一方、基板側壁1120−2および11200−5の厚みy2およびy5は厚くても良く、バラツキももっと大きくても良い。たとえば、y2およびy5は20μm以上にもできるので、第2面側に絶縁基板11212および絶縁基板11209−2や11209−3を通して、基板側壁11200−2や11200−5の底面(高濃度基板である)にコンタクト孔を形成し電極・配線を形成することもできる。絶縁基板11209−2や11209−3の部分において、絶縁基板11212を開口して、絶縁基板11209−2や11209−3上にコンタクト孔および電極配線を形成すれば、アスペクト比も小さくなり、小さなコンタクト孔および電極配線を作製できる。
この結果、第1面側に電極配線を形成するよりもチップサイズを小さくできる。この実施形態では、高濃度基板11201の厚みが基板側壁の深さに相当するので、第1貫通孔Rおよび第2凹部Qのエッチングのバラツキに依存せず、センサ精度が非常に良くなる。低濃度基板11202には反転防止層も形成されているので、電極11200−3および11200−4の間の電気的分離も充分である。両側の基板側壁11200−1および11200−6はセンサチップの防護壁となっている。ダイシングの負荷を減らすために、感光性膜パターン11211−1、4の幅を制御して、第2面凹部Qを形成時に基板側壁11200−1および11200−6の外側における複合基板11200をエッチングして薄くしておく。また、絶縁基板11216および11212についても同時に開口しておく。さらに、コンタクト孔形成時に同時にコンタクト孔をあけ、この部分から導電体膜を除去しておけば、ダイシング時は低濃度基板11202の一部だけとなる。ただし、これだけでウエハ全体の強度が保持できない場合は、たとえば、基板11212だけ残しておくということもできる。さらに、このエッチングした基板側壁11200−1や11200−6の側面にSiO2膜等の保護膜をCVD法等で積層しても良い。耐湿性向上のためには、SiON膜やSiN膜が良い。
図4(d)は、高濃度基板11201の上面に低濃度基板11202が下面にも低濃度基板11230が存在する場合のセンサの構造およびその作製方法を示す図である。図4(a)〜(c)に示す構造と同じものは同じ番号を付している。第1面凹部R(R1、R2)は、垂直エッチングを行なうが、半導体基板11200(11201を挟んで上面に11202、下面に11230を貼り合わせた基板、または11201の両面に低濃度エピ層を成長させたエピタキシャル基板)の下部基板11230に達した段階でエッチングを終了して作製した凹部(垂直溝)である。従って半導体基板11200の下面には貫通しない。図4(c)において説明したように、半導体基板11200の上部の低濃度基板11202に反転防止層11205および不純物拡散層11207を形成する。第1面凹部Rの底部は低濃度基板11230(高濃度基板11201とは逆導電型)であるが、その底部に不純物拡散層が形成されても良いが、形成されなくても、基板側壁が高濃度基板でつながっているので問題ない。低濃度基板11230の不純物濃度は、反転しないように(この中に能動素子を作製しない)ある程度高い(たとえば、1016/cm3〜1019/cm3)方が良い。次に第1面凹部Rにマスク合わせして第2面凹部Qを形成する。図4(a)〜(c)とは異なり、第1面凹部Rは貫通孔ではないので、絶縁基板を付着する必要はない。このとき、複合基板11200の第2面に絶縁膜を形成してから感光性膜をパターニングしても良い。第2面凹部Qを形成後、低濃度基板11202の第2面凹部Q側に露出している部分(絶縁膜11221を形成してからでも良い)に反転防止層11210を形成することが望ましい。第2面凹部Qの内面および複合基板11200の第2面に保護膜としてSiO2膜等の絶縁膜11221をCVD法、PVD法または酸化法で積層する。その後、第1面にコンタクト孔11214、電極・配線11215、絶縁基板11216を形成することは図4(a)〜(c)と同様である。第2面側には絶縁基板11212を付着させ、必要な窓開け11213等を行なう。尚、複合基板11200の第2面の絶縁膜を除去して、ガラス基板11212を陽極接合で強固に接合しても良い。この実施形態では、ダイヤフラムの深さは、高濃度基板11201の厚みとほぼ等しくなることである。しかも絶縁基板11209を付着しなくても良いこと、第2面凹部形成時に絶縁基板11209をエッチングしなくても良く、Si基板をエッチングすれば良いので精度良い第2面凹部を形成できる。さらにセンサの駆動部に接合を用いていない(第1面凹部は複合基板を貫通していない。絶縁基板11209を使用していない。)ので、信頼性が増大する。
図6は本発明の別の実施形態を示す。図6はこの実施形態の容量素子の幅方向における断面の斜視図である。本実施形態は、導電体基板2002に形成された貫通溝を上下(第1面および第2面)から絶縁基板で閉じて圧力伝達孔以外には外部に通じていない密閉空間を作り、圧力伝達孔からの圧力により変形する側壁を両側電極とする空間容量素子である。導電体基板2002には貫通溝W(W1、W2、W3)、V(V1、V2)が形成され、導電体基板2002の上面(第1面)に第2基板2006が接着し、導電体基板2002の下面(第2面)に第3基板2004が接着している。(導電体基板を第1基板とも呼ぶ。)導電体基板2002内に形成された貫通溝溝W(W1、W2、W3)、V(V1、V2)は、側面を導電体基板2002の側壁により、上部を第2基板2006により(従って、貫通溝の上面(第1面)は第2基板2006となる)、下部を第3基板2004により(従って、貫通溝の下面(第2面)は第3基板2004となる)、囲まれた閉空間となっている。貫通溝W(W1)と貫通溝V1を隔てる側壁2002−3と、貫通溝W(W1)と貫通溝V2を隔てる側壁2002−4とは、(貫通溝W1、V1、V2内の圧力が同じときは)略平行になっていて、この側壁2002−3および側壁2002−4は対向する両側電極となり、これらの側壁2002−3および側壁2002−4により挟まれた(貫通溝)空間W(W1)が静電容量空間となる。この両側電極の側壁2002−3および側壁2002−4の距離、すなわち貫通溝W1の幅をd、電極の面積、すなわち側壁2002−3および側壁2002−4の面積をSとすれば、この容量素子による容量Cは、C=ε*S/dとなる。(εは誘電率、本発明の静電容量空間は空間W1であるから、物質は空気等の気体でεは真空誘電率にほぼ等しい。)
貫通溝W1には第2面側に接着した第3基板2004に圧力伝達孔T(T1)が形成され、第2面側(第3基板2004の下方から)の圧力P2がこの圧力伝達孔T(T1)を通じて貫通溝W1の内部に印加される。貫通溝V1およびV2には第1面側に接着した第2基板2006に圧力伝達孔S(S1、S2)が形成され、第1面側(第2基板2006の上方から)の圧力P1がこの圧力伝達孔S(S1、S2)を通じて貫通溝V1およびV2の内部に印加される。従って、側壁2002−3および2002−4は、貫通溝W1からの圧力と貫通溝V1およびV2との圧力差によって変形する。この変形により、電極間距離dが変化し、静電容量Cが変化する。T(T1)が形成されなければ、貫通溝W1は完全に密閉されているので、内部圧力は一定であり、この圧力とV1およびV2の圧力P1との差によってdが変化し静電容量も変化する。逆に、S1およびS2を形成されなければ、貫通溝V1およびV2は完全に密閉されているので、内部圧力は一定であり、この圧力とW1の圧力P2との差によってdが変化し静電容量も変化する。また、側壁2002−3や2002−4の厚みにより、同じ圧力差でも変形率が異なる。厚みが薄ければ変形率が大きくなる。この厚みは、既に明白なように、或いは後述するように、エッチング量や感光性膜の合わせ精度や感光性膜のパターン形成精度、導電体膜のエッチング精度(特にサイドエッチング量やそのばらつき)などによって薄くできる厚みが異なってくる。これらの精度が良くなると側壁の厚みをかなり薄くできる。薄くできれば変形量を大きくできるので感度が高くなる。現状のエッチング精度や感光性膜の合わせ精度や感光性膜の形成精度では、薄い方は約3μmの厚みが限界(エッチング量が約300μmの場合)であるが、今後の精度向上によりこれよりも薄い厚みの側壁を実現できるであろう。1μm以下でも可能となると思われる。
また厚みを薄くすると側壁の破壊強度も小さくなるので使用する圧力も考慮する必要がある。厚い側壁では変形量が小さく感度が悪くなるので小さな圧力差を検出することが困難となる。従って、使用圧力により、側壁の厚みを変化させることも必要となる。さらに、この実施形態では導電体基板2002だけが変形するので、導電体基板の材質も重要となる。小さな圧力で変形量を大きくする場合には、ヤング率が小さな材料を用いると良い。導電体膜が高濃度不純物シリコン半導体基板のヤング率は約100GPa〜200GPa(結晶方位依存性あり)であり、銅、チタンは約100GPa〜130GPa、タングステンは約400Pa、アルミ合金は約70GPa、導電性高分子は約0.2〜5GPa、導電性ゴムは約0.01〜0.1GPaである。カーボンナノチューブは約1000GPa、鋼鉄で約200GPaである。本実施形態では、電極として使用可能な導電体は導電体基板2002として使用できる。加工性能から検討すれば、現状ではシリコンが精度良く加工できベターであるが、他の導電体材料でも良い。導電性ゴムや導電性高分子はヤング率が非常に小さいので微小な圧力変動を検出することができる。またカーボンナノチューブはヤング率が大きいので、高い圧力を検出するのに適している。尚、導電性が低い半導体や絶縁体基板でも貫通溝を形成後、貫通溝側面へ導電体膜を積層し、不要な側面(底面もあれば)の導電体膜はフォトリソ法およびエッチング法により導電体膜を除去すれば、本実施形態の構造で圧力センサを作製できる。
導電体基板2002の側壁2002−3は容量素子の電極であるが、対向する電極2002−4とは電気的に導通していない。側壁2002−3は貫通溝Vを隔てたもう一方の対向する側壁2002−2とつながっている。斜視図6では良く分からないが、貫通溝V1は側壁2002−3、これにつながる横側の側壁そしてそれにつながる側壁2002−2、さらにその横側に存在する側壁(この側壁は斜視図の断面側となる)につながり、その側壁が側壁2002−3につながって、貫通溝V1はこれらの側壁に囲まれている。これらの側壁はすべて導電体基板2002であるから、当然電気的に接続している(要するに、一体物である)。これらの側壁の外側は空間(W1およびW2はつながっていて、全体空間はWとなっている)となっていて、導電体基板はなくなっていて、上下の第2基板2006および第3基板2004によって支持されている。第3基板2004および第2基板2006とこれらの側壁は電気的には接続しない。第2基板2006および第3基板2004そのものは絶縁基板でなくとも良いが、導電体基板2002と電気的に接続しないようにする。すなわち、第2基板2006および第3基板2004が導電体基板や半導体基板であるときは、導電体基板2002と接着する部分には絶縁体を介在する必要がある。導電体基板2002と、第2基板2006および第3基板2004とを接続していないことを保証するには、第2基板2006および第3基板2004が絶縁体であることがベターである。たとえば、第2基板2006および第3基板2004が絶縁体であるガラス、石英や透明プラスチックであれば透明であるから、内部が観察でき合わせ精度も向上でき扱いやすい。
側壁2002−3や2002−2につながる側壁の外側空間は、貫通溝W(W1)およびW(W2)の空間と同じであり、同じ圧力となっていて、圧力伝達孔T(T1)が存在すれば第2面側の圧力P2と同じ圧力となる。従って、側壁2002−3と同様にそれ以外の側壁も溝V1の内部圧力P1とP2の圧力を受けている。側壁2002−3と同様に他の側壁も変形しても良いが、変形を小さくした方が容量素子の強度や信頼性を向上できるし、それらの変形が容量素子の特性に影響するので、変形を小さくした方が良い。そこで、容量素子を構成する側壁より厚くなるように形成する。ただし、側壁2002−3の横側につながる側壁の厚みが厚すぎると電極の端部の面積が大きくなる。この部分は電極の厚み方向で見ると厚みがかなり厚くなっている部分であり、殆ど変形しない部分であるから、面積を大きくしなくても良い。たとえば、側壁2002−3の横側につながる側壁の厚みは、側壁2002−3より少し厚めに形成するのが良い。また、この部分は角部になっているので、エッチング時の欠陥や歪や残留応力が残りやすいので、丸みを出して形成するのが良い。一方、側壁2002−3に対向する側壁2002−2はかなり厚くても構わない。この側壁2002−2の厚み(ここでは、基板厚みと区別する意味で幅と言った方が良いと考えられる)を厚くして容量素子と第2基板および第3基板との接着強度を増大させることもできる。ただし、余り厚くするとセンサーのサイズが大きくなるので、全体のバランスを考えてこれらの厚みを決定するのが良い。
容量素子の側壁2002−2と接着している第2基板2006にコンタクト孔2008(2008−1)を形成し、第2基板2006上に導電体膜2010を積層し、このコンタクト孔2008−1を被うようにして電極・配線2010(2010−1)をパターニングし形成する。この電極・配線2010(2010−1)は他の静電容量素子や外部素子(たとえば、IC、トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンダンサ等)と接続する。
また、側壁電極2002−4に対しても同様で、貫通溝V2は側壁電極2002−4につながるその横側の側壁、さらにそれらにつながる側壁2002−5によりその周囲を囲まれている。また上面(第1面)を第2基板2006によって、下面(第2面)を第3基板2004によって塞がれているので、貫通溝V2は完全に閉じた空間となっている。ただし、第2基板2006に圧力伝達孔S2が開いている場合には、第2面側、すなわち第2基板2006の外側の圧力P1がこの圧力伝達孔S2から貫通溝V2の内部に圧力が伝達して、貫通溝の内壁2002−4等に圧力P1が印加される。従って、側壁2002−4は貫通溝W1の内部圧力P2と貫通溝V2の内部圧力P1の差圧により変形し、その結果、電極2002−3および2002−4の電極間距離dが変化して電極2002−3および2002−4による静電容量が変化する。側壁電極2002−5と側壁2002−4は一体になっているので、電気的につながっている。側壁2002−5と付着している第2基板2006にはコンタクト孔2008(2008−2)が開いていて、そこに電極・配線2010(2010−2)が形成される。これらの2つの電極2010−1および2010−2から静電容量を検出できる。貫通溝V2は側壁電極2002−4や側壁2002−5等の側壁によって隔離されていて、貫通溝V2を囲んでいる側壁電極2002−4や側壁2002−5等は他の導電体基板2002にはつながっていない。すなわち、側壁電極2002−4や側壁2002−5等の一体となった側壁導電体基板2002は貫通溝W1やW3を含む空間Wに囲まれている。従って貫通溝W(W1、W2、W3)は1つのつながった空間である。図6においては、W2およびW3にも圧力伝達孔T(T2、T3)を形成しているが、貫通溝W(W1、W2、W3)へ迅速に圧力が伝達すれば、圧力伝達孔は1つでも良い。
圧力伝達孔T(T1、T2、T3)は第3基板2004のごく1部分にあいているだけであり、大部分は連続している。(尚、汚染や強度上などの点で、圧力伝達孔Tを大きくあけても問題なければ大きくあけても良い。)また圧力伝達孔S(S1、S2)は第2基板2006のごく1部分にあいているだけであり大部分は連続している。(尚、汚染や強度上などの点で、圧力伝達孔Sを大きくあけても問題なければ大きくあけても良い。)導電体基板2002は至る所で分離しているが、その上面および下面は第2基板2006および第3基板2004に強固に付着しているので大きな圧力差が生じても分離することはない。第2基板2006で言えば、2006−1〜5で1つの容量素子(コンデンサ)を形成しているので、これを単位として1つの実装単位と考えることができる。すなわち1個の静電容量型圧力センサー(検出素子)である。貫通溝W1の静電容量を検出する1つの側壁電極2002−3およびこれと一体となった導電体側壁(2002−2等)並びに貫通溝W1の静電容量を検出するもう1つの側壁電極2002−4およびこれと一体となった導電体側壁(2002−5等)は貫通溝Wに囲まれており、この貫通溝Wは外側導電体側壁2002(2002−1、2002−6等)により囲まれている。従って、貫通溝Wは、上面は第2基板2006によって、下面は第3基板2004によって閉じていて、圧力伝達孔T(T1〜T3)以外には外環境とはつながっていない閉空間となっている。
導電体基板2002の貫通溝(V1およびV2、或いはW1、W2、W3)を形成するとき、この容量素子を取り巻くように貫通溝V3やV4をあけておけば、導電体基板2002ではこれらの1つ1つの容量素子は分離している。このようにしても導電体基板2002は第2基板2006か第3基板2004に強固に付着しているので、ばらばらになることはなく一体となった(1枚の)基板としてプロセス処理は問題なく可能である。1つの静電容量型圧力センサーパッケージの外側側壁は2002−1や2002−6やこれらにつながる導電体側壁である。(2002−7および2002−8は隣のセンサーパッケージの外側側壁である。)これらの側壁の内側が貫通溝空間Wであり、この貫通溝空間Wに囲まれて実際の容量素子が配置されている。一番外側の外側側壁は2002−1や2002−6やこれらにつながる導電体側壁の厚みはセンサーパッケージの強度を考えて選択すれば良いので、非常に丈夫な圧力センサーパッケージを基板内に一度に大量に作成することができる。しかもLSIプロセスやLSI技術を使用できるので、精度良く作成できる。
さらに、第2基板2006に圧力伝達孔S(S1、S2)を形成するときに、これら1つ1つの容量素子を取り囲むように開口部S3やS4をあけておけば、第2基板2006ではこれらの1つ1つの容量素子は分離している。或いは、第3基板2004に圧力伝達孔T(T1〜T3)を形成するときに、これら1つ1つの容量素子を取り囲むように開口部T4やT5に対応するような開口部を第3基板2004にあけておけば、第3基板2004ではこれらの1つ1つの容量素子は分離している。これらのプロセスにより、付着させた基板2002、2004および2006の基板は、基板の厚み方向において、1つ1つの容量素子はかなりの部分が分断した状態になる。従って、最後に1つ1つの容量素子、すなわち圧力センサー(検出素子)パッケージを形成するには、分離していない基板である第2基板2006または第3基板2004においてダイシングラインに相当するV3およびV4に沿ってダイシング等すれば良い。従って、ダイシングにおよぼす負荷が減るとともに既にダイシングラインが相当部分掘られているので非常に精度の良いダイシングが可能となり、ダイシングライン幅を通常より狭くできる。さらにダイシングする基板の厚みも薄くなるのでチッピングや欠け等のダイシングにより欠陥も非常に少なくなり、ダイシング歩留まりが向上する。
導電体基板(ウエハ)2002の中に非常にたくさんのこのような容量素子を作ることができる。しかもこの容量素子はそれだけで1つのパッケージ(実装形態)とすることもできるので、1枚の導電体基板(ウエハ)2002から多数の圧力センサー(検出素子)を生産できる。しかも、用いる材料も少なく、プロセスも非常に簡単で容易なのでランニングコストも非常に小さくなる。
これまでにおよびこれからも説明する本発明の凹部、貫通孔(溝)、または溝は、基板面(基板面は、上面(第1面、表面とも言う)および/または下面(第2面、裏面とも言う)であり、通常上面と下面は平行である。)に対して垂直な側面(基板側壁の側面)を持つ。最適には文字通り垂直である。しかし、凹部等はフォトリソ法+エッチング法、インプリント法等で形成されるので、完全に垂直(90度)にならない場合もある。特に側面を微視的に見れば、細かい凹凸が存在する場合(エッチング等により発生)もあり、実際は、正確に垂直パターンにならない場合もある。本発明で垂直と記載している場合は、垂直パターンをねらって作製するという意味であり、実際には完全な垂直パターンにならなくても垂直とみなしている。従って、本発明の凹部、貫通孔(溝)、または溝は、基板面に対して傾きが20度以下、好適には10度以下、もっと好適には5度以下、さらに好適には1度以下、さらにもっと好適には0.5度以下、最適には0.1度以下であることが望ましい。
次に、本実施形態のプロセスの1例を詳細に説明する。図7は本実施形態の製造プロセスを説明する工程図である。図7(a)に示すように、導電体基板2002に第3基板2004を付着させた複合基板(或いは、接合基板や貼り合わせ基板と言っても良い。)の第3基板が付着していない方の面(これを上面、或いは第1面と呼ぶ)に絶縁膜2014を形成する。導電体基板2002は、高濃度不純物を含む低抵抗シリコン半導体基板(N+シリコン基板或いはP+シリコン基板)が取扱易くエッチングも簡単なのでベターであるが、他の導電体基板でも良い。金属基板やその他の導電体基板も使用可能である。第3基板2004はガラス基板や石英基板や透明プラスチックなどの透明絶縁体基板がベターであるが、セラミック基板やプラスチック基板等の高分子材料基板などの絶縁基板でも良い。(透明基板でなくとも良い。)或いは、導電体基板や半導体基板を絶縁膜で被覆したものも使用できる。要するに、第3基板2004は導電体基板2002と直接導電しなければ良く、絶縁していれば良い。導電体基板2002と第3基板との付着は、接着層を用いて行なっても良い。当然この接着層は絶縁体である。そうでなければ、接着層を通して分離した導電体間で導通してしまうからである。
導電体基板2002および第3基板の接合面を清浄にすれば、常温接合法や熱接合等を用いて接着層を介さずに導電体基板2002と第3基板2004とを強固に接合することができる。またある程度温度を上げて拡散法や溶融法により導電体基板2002と第3基板2004とを強固に接合することができる。導電体基板がシリコン基板(N+基板、或いはP+基板)であり、第3基板がガラス基板である場合は、陽極接合法により、導電体基板2002と第3基板2004とを強固に接合することができる。接着層を用いる場合には、エポキシ系などの有機系接着剤、無機系接着剤など種々の絶縁タイプの接着剤を用いることができる。本発明のプロセスでも種々の熱処理が行われるし、製品が完成後も信頼性を確保する上では熱歪が発生するので、導電体基板2002および第3基板2004の熱膨張係数は近似している材料が好ましい。
絶縁膜2014はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、有機系膜などの絶縁膜であり、導電体基板2002および第3基板2004を付着させた後は、余り高い温度の熱処理(約400℃〜500℃以上)は熱歪や汚染や変質などの点で余り好ましくないので、CVD法やPVD法、或いは塗布法が良い。酸化法等の高温熱処理を使用する場合は、導電体基板2002および第3基板2004を付着させる前に行なうと良い。
次に、図7(b)に示すように、絶縁膜2014の上に感光性膜2016を形成し所望の形状にパターニングし、感光性膜パターン2016(2016−1、2、3、4、5、6)を形成する。次に、図7(c)に示すように、このパターンを用いて絶縁膜2014をエッチングし、さらに導電体基板2002をエッチングする。このエッチングされた部分が図6の斜視図で示す貫通溝W(W1、W2、W3)、V(V1、V2)となる。導電体基板の厚みa1はダイヤフラムの1辺となるので、かなり厚く、通常は約100μm以上である。(もっと薄くしても良いが、圧力差による変化量が小さくなる。)また厚すぎるとエッチングばらつき量やサイドエッチング量オーバーエッチング量が大きくなるので、容量素子の特性も含めて総合的にa1を決定すると良い。通常は約2.0mm以下、好適には約1.0mm以下が良い。絶縁膜2014をエッチングするときに感光性パターン2016もある程度エッチングされるので、絶縁膜2014に対して感光性膜2016のエッチング選択比が高いものが良い。絶縁膜2014は、感光性膜2016と導電体膜2002との密着性が余り良くないときや、導電体膜からのパターニング光の反射が大きくてパターニング精度が悪いときなどに使用されるので、余り問題ない時は絶縁膜を形成せず、直接導電体膜2002上に感光性膜2016を形成しても良い。絶縁膜2014の厚みa3は上記目的のためには約0.5μm程度以下で充分であるが、感光性膜2016と導電体膜2002とのエッチング選択比が充分でないときに、絶縁膜2014と導電体基板2002とのエッチング選択比が感光性膜2016と導電体膜2002とのエッチング選択比よりも大きいときや、絶縁膜2014を介在した方がサイドエッチング量が小さいときには、約0.5μm以上の厚みの絶縁膜を適宜積層すれば良い。
図7(c)においては、感光性パターンに合わせた精度の良い導電体基板の深い貫通溝を形成することが目的であるから、この目的に合致する方法を適宜選択する。a1が約100μmで、感光性膜2016と導電体基板2002とのエッチング選択比が20あれば、感光性膜の厚みa4は約5μmより厚く形成されるようにする。a1がこれより薄いか選択比が大きければa4はもっと薄くしても良い。逆にa1がこれより厚いか選択比が小さければa4はもっと厚くしなければならない。ただし、絶縁膜2014を形成したときは、この絶縁膜2014の厚みも考慮する。パターンをできるだけ精度良く形成するためには、感光性膜2016のパターンをできるだけ垂直にし、そのパターンを用いた絶縁膜2014や導電体基板2002のエッチングをできるだけ垂直なエッチング形状となるようにする。感光性膜2016のパターンは露光マスクのパターンによって決まるので、この精度も重要である。
図6の斜視図からも分かるように、本発明の重要な点は容量素子を形成する側壁電極2002−3および2002−4の厚みをできるだけ正確にばらつきなく形成することである。この厚みは約1μm〜約20μm程度である。(圧力差が大きいときにはもっと厚くなる場合もある)この側壁電極2002−3や2002−4を形成するパターンは図7(c)の2016−3や2016−4のパターンである。このパターン幅が約1μm〜約20μmとなる。他の部分はもっと幅が広くても良いし、形状(幅)のばらつきももっと大きくても良いので、この部分だけは注意が必要で、パターニング精度を良くする。約3μmの幅(壁の厚み)の導電性電極パターン(側壁)を形成するためには、感光性膜2016−3および2016−4の幅を約3μm、厚みa4を約5μmとして、サイドエッチングの非常に小さい異方性エッチング(たとえば、ボッシュ法などの深堀エッチング(DRIE)など)を用いて深い貫通溝V、Wを形成する。
本実施形態では、導電体基板2002は深さ方向(厚みa1方向)に完全にエッチングする。エッチング速度は基板深さ方向にも基板面内でもある程度ばらつくので、導電体基板2002を深さ方向に完全にエッチングするにはある程度のオーバーエッチングが必要となる。導電体基板2002と第3基板2004のエッチング速度の選択比が小さいと第3基板2004も場所により或る程度エッチングされてしまう。しかし、第3基板2004は導電体基板2002と異なる材質であるから、導電体膜2002と第3基板2004のエッチング選択比の大きなエッチング条件で導電体膜2002をエッチングすれば第3基板2004を殆どエッチングせずに導電体膜2002をエッチングできる。たとえば、導電体基板2002として、300μmの厚み(a1=300μm)のN+シリコン基板、第3基板2004として50μmの厚み(a2=50μm)のガラス基板を用いたときに、N+シリコン基板上に1μm(a3=1μm)のシリコン酸化膜(SiO2膜)、感光性膜(フォトレジスト膜)の厚みが10μm(a4=10μm)、感光性膜の幅を5μmでパターニングして、ボッシュ法、クライオ法、アルバック法等の深堀エッチング(DRIE)を用いて、所望の側壁(幅約5μm、深さ300μm、奥行き600μm)を形成できる。エッチングガスとしては、フッ素系ガス(CF4、C2F6、C3F8、CHF3、SF6等)や塩素系ガス(CCl4等)等が用いられる。
次に、図7(d)に示すように、感光性膜2016や絶縁膜2014を除去した後に、導電体基板2002に第2基板2006を付着する。この付着においても導電体基板2002に直接第2基板を接合しても良いし、接着層を介して接着しても良い。第2基板がガラス基板のときには陽極接合法も使用できる。また、絶縁膜2014を除去しなくても良ければ残しても良いし、新たに絶縁膜を形成してから導電体基板2002に第2基板を接着しても良い。特に貫通溝内部の導電体基板が露出して不具合を起こす恐れがある(汚染や劣化など)場合には、保護膜として絶縁膜等を溝内部へ積層しても良い。この第2基板接着工程において、各貫通溝V(V1、V2)やW(W1、W2、W3)は密閉されるので、この後の工程で圧力伝達孔(S、T)を形成しなければ、密閉状態のまま製品化され圧力が維持される。従って、図7(d)の工程のプロセス圧力状態が維持される。接着後密閉された貫通溝内部でアウトガスや反応ガスが発生して圧力が変動する場合もある。それを防止するために貫通溝内部にあらかじめこれらのガスを吸着する物質を置いても良い。第2の基板2006を導電体基板2002へ付着させた後で第2の基板をエッチング法や研磨法により薄くすることもできる。最初から薄い第2の基板を付着させる工程(別基板に薄い第2の基板を貼りつけたものを導電体基板に付着させる)よりは取り扱い易いというメリットがある。
次に図7(e)に示すように、導電体基板2002と第2基板2006とを接着している部分で、導電体基板2002と接続すべき部分(2002−2や2002−5)にコンタクト孔2008(2008−1、2008−2)を形成する。このコンタクト孔は、導電体基板2002−3や2002−4などに形成することもできるが、この部分の幅は狭いので、もっと広い部分(2002−2や2002−5)に形成するのが良い。この領域はかなり広い領域となるので充分なサイズのコンタクト孔を形成できる。たとえば、貫通溝の奥行き(長さ)が約400μmであれば、長さ約400μmで、幅方向には圧力センサーの大きさに依存するサイズではあるが、2002−2や2002−5の領域は貫通溝の長さとのバランスから少なくとも約100μ程度は取ることができる(もちろん、これよりも小さいパッケージでも良ければ、もっと小さくもできる)。第2基板2006の厚みもかなり厚くなる(圧力センサーのパッケージの強度から約50μmは欲しいが、もちろん強度をそれほど高める必要がなければ、もっと薄くできる)が、2002−2や2002−5の領域を100μm程度にすれば、コンタクトサイズを50μm以上は取れるのでコンタクト孔のアスペクト比が1程度にはできる。コンタクトが大きければウエットエッチングも可能となる。たとえば、緩衝フッ酸水溶液(HF液+NH4F液)やHF水溶液などのHF系溶液によるエッチングも可能となる。
第2基板2006は絶縁体であることが望ましい。表面を絶縁膜で被覆した導電体基板にコンタクト孔2008を形成する場合は、コンタクト孔2008に導電体が露出してしまうので、再度絶縁膜を積層することになりプロセスが複雑となる。上記のように圧力センサーパッケージの強度等から第2基板2006の厚みを決定し、また圧力センサーパッケージのサイズと導電体基板との密着強度などからコンタクト孔を配置する導電体基板2002−2や2002−5のサイズを決め、次にコンタクト孔2008のサイズを決める。導電体膜2009や2010の形成しやすさ、導電体基板との接続の観点からは、コンタクト孔のサイズは広い方が良い。ただし、電極2010はコンタクトサイズよりは大きくなること、その大きさが外部への接続の点で不具合が起きないほどの大きさであることなどを考慮してコンタクト孔のサイズを決めると良い。導電体膜2009や2010のコンタクト孔2008における被覆性(ステップカバレッジ)を良くするには、PVD方やCVD方の場合には、ステップカバレッジの観点からコンタクト孔にテーパーをつけた方が良い。そのためにはドライエッチングやウエットエッチングで等方エッチングを使うことができる。テーパーを形成するにはコンタクト形成領域はある程度の領域が必要であるが、本実施形態におけるコンタクト形成領域2002−5の部分は比較的広いのでコンタクト孔にテーパーを形成することができる。
尚、あらかじめ第2の基板2006にコンタクト孔2008を形成しておき(圧力伝達孔も同時に形成することができる)、そのコンタクト孔(+圧力伝達孔)付きの第2の基板2006を導電体基板2002に付着しても良い。コンタクト孔(+圧力伝達孔)付きの第2の基板2006を形成するプロセスは、本発明の容量素子形成プロセスと並行して行なうことができるので、作業工程の簡略化および作業時間の短縮化を実現できる。導電体基板2002との付着前に第2の基板2006へコンタクト孔(+圧力伝達孔)を形成する工程は実デバイスとしての導電体基板2002とは別個に行なっているので、比較的ラフな工程を取ることもできるし、コンタクト孔形成時における不良品をメインプロセスに持ちこまないという点で不良発生によるコスト増を低減できる。たとえば、コンタクト孔をウェットエッチングするときは、HF系溶液などに浸漬等するので、感光性膜の密着が悪いときにはその部分からHF系溶液が浸入して製品全体に影響を及ぼしてしまうが、第2基板だけを分けて工程を行っていれば、その損害を最小限に抑えることができる。第2の基板2006にはコンタクト孔(+圧力伝達孔)というパターンがついているので、導電体基板2002との付着工程においてはある程度正確なアライメントが必要となる。すなわち、コンタクト孔2008は導電体基板2002−5の領域に、圧力伝達孔Sは貫通溝Vの領域に来るように位置合わせする必要がある。
次に図7(f)に示すように、コンタクト孔2008(2008−1、2008−2)に導電体膜2009(2009−1、2009−2)を積層する。コンタクト孔だけに導電体膜を積層してコンタクト孔を平坦化させることもできる。たとえば、選択CVD法によりコンタクト孔に金属膜(たとえば、W)を選択成長させたり、メッキ法でコンタクト孔だけにメッキさせても良い。あるいは、第2基板2006上に導電体膜を積層してエッチバック法でコンタクト孔2008だけに導電体膜2009を残す方法も採用できる。また、導電性ペーストをスキージ法やスクリーン印刷法でコートしてコンタクト孔に導電性ペーストを埋め込む方法もある。あるいは、第2基板2006にマスクを密着させて導電性ペーストをスキージ法やスクリーン印刷法によりコンタクト孔2008に埋め込むこともできる。導電性ペースト(たとえば、半田ペースト)をコンタクト孔2008に埋め込むとともに厚く形成し、その後の熱処理により電極・配線2010も同時に形成できる。
次に導電体膜2010を積層し、コンタクト孔2008部分をカバーするとともに、所望の配線を行い電極・配線パターン2010(2010−1、2010−2)を形成する。導電体膜2009と2010はコンタクト孔2008で接続する。この導電体膜2010はアルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、銅(Cu)、白金(Pt)、すず(Sn)、金(Au)等の金属膜やこれらの金属の合金膜やシリサイド膜、さらに導電性多結晶シリコン膜、導電性プラスチック等や各種導電体膜を使用できる。さらにはこれらの導電体膜を複数適宜選択して積層しても良い。導電体膜の形成方法として、スパッター等のPVD法やCVD法がある。あるいはメッキ法で形成することもできる。コンタクト孔は比較的大きくできるので、導電体膜2009をコンタクト孔2008に積層させなくても、導電体膜2010を直接コンタクト孔2008にも積層して電極・配線パターン2010(2010−1、2010−2)を形成しても良い。この方が工程を簡略にできる。導電体膜2009の積層でも同じであるが、コンタクト孔2008に直接導電体膜2010を積層するときは、コンタクト孔に露出している導電体基板2002上に残っている不純物層(たとえば、酸化物や他の異物)を除去してから導電体膜2010の積層を行う必要がある。たとえば、PVD法やCVD法で金属膜などを積層する前に、HF系溶液等で前処理をして不純物層を除去する。スパッター等のPVD法の場合は逆スパッターを行ってから金属膜等を積層することもできる。CVD法の場合にはCF系等のエッチングガスを用いて軽くエッチングしてから金属膜等を積層することもできる。銅メッキ法を用いる場合は、CVD法やPVD法により、TiやTaなどの高融点金属、TiNやTaNなどの導電性窒化物、あるいはこれらの積層膜をバリアメタルとして積層した後、シード層のCu膜を積層して電解メッキによりCuメッキ層を形成する。その後必要な部分のメタル層を残して電極・配線パターン2010(2010−1、2010−2)を形成する。あるいは、Cuの電解メッキ前に電極・配線を形成すべき部分以外を感光性膜等で被って、電極・配線を形成すべき部分のみのCuメッキ層を形成した後、感光性膜を除去し、Cuメッキされていないシード層およびバリアメタルをエッチングして、Cuメッキ層の電極・配線パターン2010を形成する。
さらにこの部分にバンプ金属(半田、金、銅、その他の金属や合金)を形成することもできる。貫通溝V1は側壁2002−3、2002−2、およびこれらの側壁をつなぐ側壁(図示されていないが、紙面に対して手前と後方に存在する)により取り囲まれているので、側壁導電体基板2002−2と2002−3は連続体となっている。従って、電極・配線2010−1は側壁2002−3に直接に接続している。一方、この側壁2002−3と対面するもう一方の電極となる側壁導電体基板2002−4もその両サイドにある側壁導電体基板(図示されていないが、紙面に対して手前と後方に存在する)を通じて幅の厚い側壁導電体基板2002−5につながっていて、電極・配線2010−2は側壁2002−4に直接に接続している。
次に図7(g)に示すように、容量を示す貫通溝W1に対しては、第3基板2004に圧力伝達孔T(T1)を形成し、それと対抗する貫通溝V1およびV2に対しては、第2基板2006に圧力伝達孔S(S1、S2)を形成する。(これらの圧力伝達孔はお互いに逆の基板に形成しても良い。)貫通溝W(W1)の空間は、貫通溝V1やV2を囲んでいる導電体側壁基板(2002−2および2002−3、或いは2002−4および2002−5)の周りさらに取り囲んでいて、貫通溝W(W1)はW(W2)およびW(W3)とつながっているので、圧力伝達孔T(T1)は、必ずしもこのW(W1)の部分でなくても良く、W2やW3の部分でも良い。この圧力伝達孔を通じて外界の圧力を導けば圧力差によって貫通溝V1やV2とW1との間の側壁2002−3や2002−4が変形しこれらの電極間容量が変化するので、電極・配線2010−1および2010−2を通して電気容量変化を検出することができる。
図6、図7および図8に示す容量素子は、導電体基板2002の厚みが容量素子の電極面積の1辺を決定するので、導電体基板2002のエッチング量のばらつきの影響を受けないことである。すなわち、導電体基板2002の厚みをa1(図7(c)に記載)とし、奥行き側の貫通溝V(V1、V2)の長さをb1(図8(a)に記載)とすれば、容量素子の電極面積はa1*b1となる。b1も垂直エッチングでは殆ど変化しないので、容量素子の電極面積のばらつきは非常に小さくなる。従って、導電体基板内および導電体基板間の容量素子の特性ばらつきも非常に安定するので、歩留まりの高い製品を実現できる。
図7(c)のプロセスにおいて、感光性膜2016−3および2016−4のパターンによって形成される導電体パターンは2002−3および2002−4は幅に対して縦に非常に長くなっている。(紙面に垂直方向な奥行き方向は長い。)たとえば、幅が約1μm〜約20μm(エッチング精度が良ければ1μmより幅の狭い導電体パターンを形成することができるし、ヤング率が小さな導電体の場合や圧力差が大きな圧力を検出する場合は20μmよりもっと厚い導電体パターンでも良い。)で、高さが約50μm〜約500μm(約50μmより薄い導電体基板は導電体基板の取扱いに注意が必要であり、エッチングの方法や条件を最適化すれば約500μmより厚い基板の使用も可能である。)となる。従って、エッチングが大変であること、エッチング中やエッチング後において縦に長い側壁2002−3や2002−4が変形しないかという恐れがあることなどを考慮すると、図9に示すプロセスを取ることもできる。(尚、パターン幅が約3μmでアスペクト比が50以上になると上記のような問題が発生する可能性がある。この場合でも振動の小さな装置を使い、風の起こらない低圧条件下で、第3基板2004を上にして第2基板2006を下側からゆっくりと付着させれば、上記の問題を発生しないようにすることもできる。)図9(a)は、図7(b)におけるプロセスと同じであるが、感光性パターン2016−3および2016−4の幅の狭いパターンを合わせて太いパターン2016−7としたものである。この部分には、貫通溝W1を形成するのであるが、この段階ではまだ形成しない。2016−7のパターン幅は、2016−3の幅+2016−4の幅+W1の幅となっているので、かなり幅が広い。たとえば、2016−3の幅を5μm、2016−4の幅を5μm、W1の幅を50μmとすると、2016−7のパターン幅は60μmとなる。
次に図9(b)に示すように、感光性膜2016のパターンをマスクとして、絶縁膜2014および導電体膜2002を垂直にエッチングする。図7(c)に示すような細長い垂直のパターンがなくなったので、上記のような問題点が解消された。たとえば、2016−3の幅を3μ、2016−4の幅を3μm、W1の幅を50μmとすると、感光性膜2016−7のパターン幅は56μmであり、導電体基板の厚みを300μmとすると、エッチング後の導電体基板202−7のパターン幅は約56μm(アスペクト比は約5.4)となり、他の導電体基板のパターン2002(2002−1、2002−2、2002−5、2002−6)と同程度になり、上記等の問題が解消している。次に感光性膜2016、絶縁膜2014を除去する。(絶縁膜2014は問題なければ残しても良い。或いは、直接導電体基板2002の上に感光性膜2016を密着性良くパターニングでき、導電体基板2002のエッチングも問題なければ絶縁膜2014を形成する必要はない。)
次に図9(c)に示すように、第2基板2018を導電体基板2002の第1面側に付着させる。第2基板2018は導電体基板2002と導通しないようにする。またコンタクト孔も形成されるので第2基板2018は絶縁体が好ましい。たとえば、ガラス基板や石英基板や透明プラスチックのような透明絶縁体が内部も観察しやすいが、セラミックや高分子材料などの不透明な絶縁体でも良い。導電体基板2002がシリコン基板で絶縁基板2018がガラス基板の場合には、陽極接合法を用いて、導電体基板2002と絶縁基板2018を強固に接合できる。また、導電体基板2002と絶縁基板2018の接着には、直接接合法や接着層を使用することもできる。これらの接合法は、導電体基板2002および絶縁基板2018の材質や形状、プロセスなどを考えて適宜最良な方法を選択できる。この方法による導電体基板2002には図7の2002−3や2002−4のような細長い形状のパターンがないので、第2基板2018を導電体基板2002へ接着することは容易である。もっとパターン幅が狭くなって、たとえば、エッチング後の導電体基板202−7のパターン幅が約16μm程度(2016−3の幅を3μ、2016−4の幅を3μm、W1の幅を10μmとすると、感光性膜2016−7のパターン幅は約16μmとなる)でも、導電体基板2002の厚みa1が約300μm程度(アスペクト比約18.8)の場合には、導電体基板(たとえば、シリコン基板)2002−7を変形させずに垂直なパターンのまま第2基板2018に問題なく付着させることができる。
次に図9(d)に示すように、第3基板2004に(第2面側に)感光性膜2020を形成しパターニングし、貫通溝W1形成用の窓2022をあける。この窓からまず第3基板2004を垂直に窓あけする。次に図9(e)に示すように、この2004にあけられた窓2022から導電体基板2002を垂直にエッチングし、第2基板2018に達するまでエッチングし、貫通溝W1を形成する。貫通溝W1においては、その底に導電体材料を残さないように完全にエッチングすることが望ましい。感光性膜2002のパターン合わせは、貫通溝V1やV2と正確に行なう必要がある。第3基板2004が透明基板であれば、第2面側から直接マスク合わせができるので非常に精度良く合わせることができる。
透明基板でも光や電磁波の透過や反射に問題があれば、感光性膜2020を形成する前に第3基板2004を薄くすれば良い。第3基板2004を薄くする方法として、研磨法(CMPやBG法)やエッチング法、その他種々の方法がある。第3基板2004を薄くすれば、第1面側から光や電磁波を照射して、薄くなった第3基板を透過する光や電磁波を利用して、貫通溝V1やV2のパターンに合わせて感光性膜2020を精度良くパターン合わせできる。このような方法を用いることにより、たとえば貫通溝V1やV2のパターンに対して、感光性膜2020の合わせ精度を現状でも約0.1μm〜約0.5μm程度、或いは約0.5μm〜約1.0μm〜約2.0μm程度にはできるので、エッチング後の導電体基板の側壁2002−3や2002−4の厚み(幅方向)を非常に薄くできる。現状の方法でも約2μmでも可能であるから、将来はもっと薄くできる。この方法のさらなる利点は、細長い導電体基板の側壁2002−3や2002−4を形成する前に第2基板2018および第3基板2004で導電体基板2002を確実に接着して押さえているので、エッチング後でも細長い形状パターン2002−3や2002−4が変形したり、最悪は倒れたり折れたりする危険性がなくなることである。マスク工程が1つ増えて、エッチング工程なども増えるがプロセス安定性を向上することができる。
次に図9(f)に示すように、感光性膜2020をリムーブする。このままでも容量素子(圧力センサー)パッケージとして使用できるが、第3基板2004の上にさらに第4基板2024を接着しても良い。特に、貫通溝W1を閉鎖したいときは必須であるし、第3基板を薄くして強度が小さくなった場合にも第4基板2024を接着すれば強度を大きくすることができる。第4基板は絶縁体である必要はなく、半導体基板でも導電体基板でも使用できる。尚、貫通溝W2やW3はその両側の側壁は幅が広いので、図9においては貫通溝V1やV2と同時に形成したが、貫通溝W1と同時に形成しても良い。このW2やW3の合わせは、W1の合わせほど正確さは必要はない。(ただし、W1のような貫通溝をたくさん作成するときは、それに隣接するV1やV2との合わせを精度良く行なう必要があることは当然である。)この後、図7(e)以降に示す工程と同様のプロセスを行う。
図8(a)〜(c)は、図6および図7に示す実施形態によって作成した1つの容量素子(圧力センサー)の投影図を模式的に示したものである。図8(b)は図7(g)とほぼ同じで正面図を示す。図8(a)は上面図(或いは平面図)である。図8(b)はこの平面図のA1−A2における断面を正面から見た図と考えることができる。図8(c)は平面図のB1−B2における断面を右側面から見た図と考えることができる。図8(a)〜(c)により、貫通溝V(V1、V2)を導電体2002が取り囲んでおり、この導電体2002を貫通溝W(W1、W2、W3)が取り巻いていること、導電体基板2002(2002−2、2002−3)は内部でつながっていること、導電体基板2002(2002−4、2002−5)は内部でつながっていること、導電体基板2002(2002−2、2002−3)と導電体基板2002(2002−4、2002−5)は分離して接続していないこと、導電体基板2002(2002−1、2002−6)はつながっていて、貫通溝W(W1、W2、W3)を取り囲み、1つの容量素子パッケージ(圧力センサーパッケージ)を形成していること、貫通溝V(V1、V2)およびW(W1、W2、W3)につながるそれぞれの圧力伝達孔S(S1、S2)およびT(T1)はそれぞれ互いに逆側の第3基板2004または第2基板2006側にあいていること、これらの孔に圧力伝達ラインをつなげれば、貫通溝V(V1、V2)およびW(W1、W2、W3)に圧力を伝達できること、或いは容量素子(圧力センサー)パッケージの第1面(上面)から圧力P1をかけ、容量素子(圧力センサー)パッケージの第2面(下面)から圧力P2をかけると、それぞれの圧力が貫通溝V(V1、V2)や貫通溝W(W1、W2、W3)の内部に伝達することなどが非常に良く理解できる。(尚、圧力伝達孔SおよびTは同じ基板(2004や2006)に形成しても良いし、互いに逆基板に形成しても良いし、両方の基板に形成することもできることも分かる。どのように圧力をこれらの孔に導くかによって適宜選択すれば良い。)
静電容量素子を構成する対向電極は、2002−3および2002−4である。この対向電極である導電体側壁電極2002−3は、側壁2002−7および側壁2002−8につながり、さらに2002−2につながる。導電体側壁電極2002−3は圧力差P1―P2により変形できるように幅(厚み)を選定するが、他の側壁2002(2002−2、7、8)は、圧力差により変形をできるだけ小さくすると良い。そのためには導電体側壁電極2002−3よりも厚く形成する。たとえば、導電体側壁電極2002−3の幅(厚み)が3μm〜10μmであれば、その他の側壁2002(2002−2、7、8)の厚みの3倍以上とする。導電体側壁電極2002−3の幅(厚み)が10μm〜20μmなら、その他の側壁2002(2002−2、7、8)の厚みの2倍以上とする。このようにすることにより、V1溝を囲む側壁2002(2002−2、7、8)の強度を充分に確保できる。しかも導電体側壁電極2002−3の圧力差による変形をスムーズに行なわせることができる。もう1つの対向電極である導電体側壁電極2002−4につながる側壁に関しても同様である。
容量素子パッケージの外側側壁である側壁2002(2002−1、6、8、9)はパッケージを保護しているので、充分な強度が必要である。図8(a)〜(c)では幅(厚み)を余り大きく描いていないが、幅(厚み)を充分大きくして外部からの力に耐えるようにする必要がある。シリコンの場合通常の環境では50μm以上あれば良いが、使用環境によってはもっと厚くした方が良い。上面の第2の基板2006も同様であるが、ガラス基板の場合には通常約50μm以上あれば良いが、使用環境によってはもっと厚くした方が良い。下面の第3の基板2004も同様であるが、ガラス基板の場合には通常約50μm以上あれば良いが、使用環境によってはもっと厚くした方が良い。また、図8(a)において、一番外側の点線Xで囲まれる部分が1つの容量素子(圧力センサー)パッケージの平面的なサイズを示す。非常に小さなサイズの容量素子(圧力センサー)パッケージを実現できることが分かる。たとえば、導電体基板の厚さを300μm、側壁電極の長さを300μm、W1の幅dを20μm、側壁電極2002−3につながる導電体の幅(A1−A2方向)を100μm、側壁電極2002−4につながる導電体の幅(A1−A2方向)を100μm、W(W2、W3)の幅を50μm、外側を取り囲む側壁2002(2002−1、6、9、10)の幅(厚み)を100μm、Xとこの外側側壁2002(2002−1、6、9、10)との距離を10μmとすれば、1つのパッケージの大きさ(Xの大きさ)は、横方向(A1−A2方向)が0.54mm、縦方向(B1−B2方向)が0.62mmとなる。
図8(d)は、容量素子(圧力センサー)パッケージを実装基板に搭載したときの模式図を示す。(種々のタイプ、他の実施形態にも適用できる。)図7で示すプロセスの後に、第3基板2004に外枠足2030(2030−1、2030−2)および補強足2032(2032−1、2032−2)を取りつける。外枠足2030は実装基板に取り付けた時に、容量素子(圧力センサー)パッケージを桁上げして、この枠の中に圧力を閉じ込めるために周囲が連続した枠となっている。従って2030−1と2030−2は連続している。しかも外枠足2030は、内部を気密に保持できる(圧力空間Uを形成する)ように実装基板に確実に付着している。
補強足2032は容量素子(圧力センサー)パッケージが変形しないようにするためのもので、外枠足2030とともに実装基板に取り付けて容量素子(圧力センサー)パッケージを支えている。従って、外枠足2030(2030−1、2030−2)および補強足2032(2032−1、2032−2)の高さは同じで同じ材質のものが望ましく、第3基板2004に同時に取り付けることができる。別基板にこれらの外枠足2030および補強足2032を多数取りつけておき、この別基板から一括で第3基板に転写すれば、多数の外枠足2030および補強足2032を一挙に第3基板に接着できるので、非常に簡単に安価に速く作成できる。尚、第3基板2004に外枠足2030(2030−1、2030−2)および補強足2032(2032−1、2032−2)を接着するときに接着層を用いても良い。
第2基板側にも、枠体2034(2034−1、2034−2)が第2基板2006に取り付けられ、さらにこの枠体2034の上に蓋2036が取り付けられ、この枠体2034と蓋2036によって第1面側の圧力伝達孔S(S1、S2)が覆われていて、これらに囲まれた空間Zは圧力伝達孔S(S1、S2)を通して貫通溝V(V1、V2)と同じ圧力空間となる。この空間Zから圧力が漏れないようにこれらの接着は確実に行なう必要がある。枠体2034も図7に示すプロセスの後に、枠体2034を第2基板2006に接着する。さらにその上に蓋2036を接着する。或いは、先に枠体2034に蓋2036を取りつけたものを第2基板2006に接着しても良い。これらも多数個を一括して一挙に第2基板に接着できるので、非常に簡単に安価に速く作成できる。枠体2034の上に蓋2036を接着するときに接着層を用いても良い。尚、枠体2034(2034−1、2034−2)を第2基板2006に接着するときも接着層を用いても良い。
以上のようにして基板上に作成された容量素子(圧力センサー)をダイシング等で個片にすれば、1つ1つの容量素子(圧力センサー)パッケージができる。このパッケージを図8(d)に示すように、実装基板2040に搭載する。実装基板2040と容量素子(圧力センサー)パッケージの枠体2030や2032に接着剤を介して取り付けても良い。特に外枠足2030と第3基板2004と実装基板2040で囲む空間Uは圧力伝達孔T(T1)を通して貫通溝W(W1、W2、W3)につながり、同じ圧力空間となるので、実装基板2040と容量素子(圧力センサー)パッケージの枠体2030の接着は圧力漏れがないように確実に行なう必要がある。
実装基板には電極・配線層2042(2042−1、2042−2)が形成されていて、容量素子(圧力センサー)パッケージの電極・配線2010(2010−1、2010−2)とワイヤ2044(2044−1、2044−2)等で接続する。実装基板に形成された電極・配線層2042(2042−1、2042−2)はICやトランジスやその他に能動素子などに接続され、容量素子(圧力センサー)パッケージで検出した容量変化から圧力を計算することが可能となる。圧力空間UやZは検出すべき圧力を有する種々の環境や機器に接続して、そこから圧力空間UやZに圧力を導く。必要であれば、圧力空間Uに関しては枠体2030や実装基板にさらに圧力伝達孔を設けたり、圧力空間Zに関しては枠体2034や蓋2036にさらに圧力伝達孔を設けることもできる。尚、図8(d)に示すような外枠足や枠体を形成しなくとも、図8(a)〜(c)に示す容量素子(圧力センサー)パッケージでも、測定環境や測定対象によっては圧力を測定できることは言うまでもない。
図10(a)〜(c)は、本発明の実施形態のバリエイションである。図10(a)は平面的に見たもので、図10(b)は図10(a)におけるA1−A2断面を側面から見た図で、図10(c)はB1−B2断面を側面から見た図である。5001は本発明の容量素子(パッケージ)の単位サイズを示しているだけのもので、スクライブラインと考えると良く、この繰り返しで基板(ウエハ)内に本発明の容量素子を多数個作製できることを意味する。5002は導電体基板、5003は貫通溝(これまで説明したWに相当する。)、5004は貫通溝5003と導電体内では接続しない貫通溝(これまで説明したVに相当する。)、(貫通溝5003や5004は、空間となっているので、貫通溝空間と称することもある。5007は導電体基板5002と導電膜(電極・配線)5008とを接続するためのプレート5009に開けたコンタクト孔、このコンタクト孔には導電膜(これも5007とすることもある)が入っていて導電膜(電極・配線)5008と導電体基板5002と接続する。コンタクト孔5007に入る導電膜は導電膜(電極・配線)5008と兼用(同じ)しても良い。コンタクト孔5007や電極・配線5008のパターンは導電体5002(5002−1、5002−2)とコンタクトできれば図に示された位置に限定されないことは言うまでもない。たとえば、コンタクト孔5007−1や電極・配線5008−1は、導電体基板5002−3、5002−4、さらには5002−2の上でも良い。(ただし、5002−2の領域が狭ければ、コンタクト孔は形成できても配線・電極を配置するには狭すぎる場合は、配線・電極を広い部分に引きまわして持って来れば良い。
5009は導電体基板の上面(第1面)に付着させたプレート(基板と言っても良い)で、基本的には絶縁基板が良い。内部が見えること、マスク合わせの点から、ガラスや石英や透明プラスチックや透明高分子(或いはこれらの複合体)等の透明絶縁体が良い。マスク合わせ時の光(可視光以外の光も含まれる)を透過する材料でも良い。あるいは、マスク合わせ時に必要な光量が透過できる程度の材料でも良い。このことは、光の透過率が低くても光の強度を上げてマスク合わせに必要な光量を確保できれば、そのような材料やそのような厚みを有する材料でも良いということを意味し、逆にマスク合わせ前にプレートの厚みを薄くしてマスク合わせに必要な光量を確保できれば、そのような材料でも良い。
5010は導電体基板の下面(第2面)に付着させたプレート(基板と言っても良い)で、絶縁基板が良い。内部が見えること、マスク合わせの点から、ガラスや石英や透明高分子(或いはこれらの複合体)等の透明絶縁体が良い。(上述したことも含まれることも言うまでもない。尚、これまでに記載したもの、これ以降に記載したものについても同様である。さらに、他の表現や内容についても、本出願文書に具体的に記載していなくても、類似の表現や簡単に記載しているものについては、他の所で別の表現や詳細に記載しているもの(で矛盾なく適用できるもの)が適用できることは当然である。)本実施形態では、スクライブライン5001や貫通溝空間5003−1の所でプレート5010を分離すれば、電極・配線5008−1と5008−2は接続しないので、プレート5010は導電体でも良い。ただ、分離したプレート5010の間に、実装後に導電性物質(水分やゴミも含む)が入る可能性があるので、その対策を考える必要がある。たとえば、貫通溝空間5003−1に圧力を導くためにカバーで覆うなどの方法がある。このことはプレート5009にも適用できる。すなわち、スクライブライン5001や貫通溝空間5003−1の所でプレート5009を分離すれば、プレート5009は導電体でも良い。プレート5009を導電体とすればコンタクト孔5007(5007−1や5007−2)や電極・配線5008(5008−1や5008−2)も不要となり、直接にこの導電体基板であるプレート5009と接続すれば良い。従って、このような容量素子(圧力センサー)を使用できる環境では、非常にコストの低いものを作成することが可能となる。ただし、プレート5009か5010で導電体基板5002を固定しなければならないので、どちらも導電体基板とすることはできない。(導電体基板を絶縁体で被覆する方法はある)
図10(a)〜(c)に示す実施形態では、導電体基板5002−2が薄いダイヤフラムとなっていて、この導電体基板5002−2が容量素子の一方の電極となる。容量素子のもう1つの対向電極は5002−1で、幅が厚い電極となっていて、ダイヤフラムの役目は果たさない。この容量素子の電極5002−1と5002−2は、貫通溝空間5004の圧力P1と貫通溝空間5003−1の圧力P2が同じときには、距離がc1の平行平板型容量素子となっている。ダイヤフラムは片側の5002−2だけなので、両側にダイヤフラムがある場合に比較するとc1の変形量は小さくなる。導電体基板5002−2の幅方向厚みc2を調節することにより、同じ圧力差でも変形量を調整することができる。
本実施形態の圧力センサーでは、貫通溝空間5004や5003は外部に開放されている(貫通溝空間5004は紙面左方へ開放されている。)ので、このままで実装してもP1とP2は同じ圧力となるので、実装段階で貫通溝空間5004と5003(特に5003−1)を分離しておく必要がある。貫通溝5004を囲む導電体基板5002−2、5002−3、5002−4のうち、5002−3、5002−4は圧力差により変形させないようにした方が、容量素子の特性が安定する。従って、導電体基板5002−3、5002−4の幅方向厚みは導電体基板5002−2より厚くする。これにより、圧力差により、5002−2だけが大きく変形する。
側壁電極5002−2の長さをc3、導電体基板厚みをc4とすると、側壁電極5002−2の面積(ダイヤフラムの面積)は、c3*c4となる。側壁電極5002−2は矩形(正方形や長方形)形状であり、上面がプレート5009で、下面がプレート5010で、側面が5002−3および5002−4で固定されている。尚この実施形態では、貫通溝5004を形成しておけば、ダイシングだけでも形成できる。たとえば、貫通溝5003の全体は形成せずに(導電体基板5002−1と5002−2はつながった状態で)、5003−1の貫通溝をダイシングにより形成する(これにより、導電体基板5002−1と5002−2は分離する)。上面側プレート5009からダイシングするときは、下面側プレート5010側を完全に切断すると容量として使えないので、深さ方向において下面側プレート5010の1部だけダイシングする(理想的には、導電体基板5002だけを完全に切断して下面側プレート5010は切断しない)。導電体基板5002は深さ方向に完全にダイシングする。その次に、点線で示す5001のラインでプレート5009、その下の導電体基板5002、さらにその下のプレート5010をダイシングする。これによって、容量素子型圧力センサーを形成できる。この場合の電極間距離c1(貫通溝5003−1の溝幅)はダイシング時のダイシング幅となる。また、ダイヤフラム側壁電極の幅c2はダイシングの合わせ精度にも依存して来る。
切断刃や切断ワイヤを用いたダイシングの代わりにレーザーで行うこともできる。特に貫通溝5003の形成にはレーザーの方が、貫通溝5004に精度良く合わせることができるので、ダイヤフラム部分の厚みc2を精度良く作ることができる。たとえば、導電体基板5002がシリコン基板である場合、Nd:YVO4レーザーやCO2レーザー等を用いて精度良くレーザーダイシングできる。
さらに導電体基板5002を切断できるレーザーで、プレート5010を切断できないレーザーを用いれば、プレート5010を殆ど削らずに導電体基板5002を完全に分離できる。たとえば、プレート5009およびプレート5010が透明ガラス基板、導電体基板5002がシリコン基板(N+またはP+)であるとき、ガラスを透過し、シリコンを効率良く切断できるたとえばYAGレーザー(波長λ=1.064μm)を用いて導電体基板5002を切断できる。貫通溝5004とのアライメントは透明基板であるプレート5009や5010から貫通溝5004の位置情報を読み取り、この貫通溝5004の位置をもとにして、レーザー光を走査(スキャン)すれば良い。或いは、マスク合わせを行いマスクに形成されたパターンからレーザー光を照射すれば良い。レーザー光の照射側にあるプレートをあらかじめ除去(これもレーザーで可能、たとえば、エキシマレーザーや紫外線レーザーなどがある。)しておけば、レーザー照射により除去された物質はそこから排除できる。貫通溝5002−2の上のプレート5009および/または5010を残しておきたければ、あらかしめダイシングライン5001に沿うプレート5009をレーザーで除去し(この部分のプレートは最終的にはなくなるので除去しておいても良い。)、さらに導電体基板5002をやはりレーザー光で除去しておけば、このスクライブラインに沿う空間から切断された物質(シリコンガスなど)を排除できる。尚、スクライブラインに沿う導電体基板5002を除去したときに、プレート5010を残しておけば、個片化してバラバラになることはない。その他、貫通溝5003−1の形成はドライエッチング法(DRIE法)を用いても良い。以上のように本実施形態は非常に簡便なプロセスで圧力センサーを作製できる。
図10(d)〜(e)は、図10(a)〜(c)に示したもののさらに変形した実施形態である。図10(d)が平面図で、図10(e)が図10(d)のA1−A2における断面図で、図10(f)が図10(d)のB1−B2における断面図である。図10(d)および図10(e)から分かるように、貫通溝5004は導電体基板5002に囲まれている。従って、貫通溝空間5004は上方がプレート5009で、下方がプレート5010で、側面が導電体基板5002(5002−2、5002−3、5002−4、5002−5)によって囲まれた閉空間となっている(図10(a)〜(c)の実施形態は、導電体基板の側壁5002−5がなく開口されている。)がプレート5009或いはプレート5010を導電体基板5002に付着するときの圧力によって決定される圧力で閉じ込められる。この貫通溝の中に気体吸着物質を入れておけば貫通溝の中の圧力を真空に近い低圧にすることもできる。
或いは気体発生物質を入れておけば、プレート5009およびプレート5010を導電体基板5002に付着して完全密閉した後に、その気体発生物質から気体を出せば所望の圧力にすることもできる。たとえば、この圧力センサーの使用温度をT1〜T2(T1<T2)の間としたとき、気体発生物質の凝固温度(或いは融点、或いは固相−液相の相転移点)がT3、気体発生物質の沸点(或いは、液相―気相の相転移点)がT4、気体発生物質の昇華温度(昇華点、或いは固相−気相の相転移点)がT5であるとき、T4<T1の固体物質を、固体状態で貫通溝の中に入れて密閉する。従って、密閉するときの温度(T6)はT6<T3である。或いは、T4<T1の液体物質を、液体状態で貫通溝の中に入れて密閉する。従って、密閉するときの温度(T6)はT6<T4である。或いは、T5<T1の固体物質を、固体状態で貫通溝の中に入れて密閉する。従って、密閉するときの温度(T6)はT6<T5である。ただし、この物質が、特に気体状態のときに貫通溝内部の物質(上記の例では、ガラスやシリコン)と反応しないようにすることが重要である。固体物質や液体物質がどの程度の気体量になるのかや、貫通溝の体積も分かっているので、T1〜T2のある温度で貫通溝内部の圧力は計算できる。従って、貫通溝内の圧力を知ることができるので、その圧力を用いて貫通溝5003−1の圧力を知ることができる。このことは本発明のすべての実施形態に応用できることは言うまでもない。
貫通溝5004を密閉したくなければ、すなわち外部の圧力を導入する場合には、圧力伝達孔5012をプレート5009に開ければ良い。この貫通溝5012はコンタクト孔5007を形成するときに、圧力伝達孔5012のパターニングも含めて同時に形成できる。この後導電性膜を形成するので、この圧力伝達孔5004の中や貫通溝の中にも入りこむことを考慮する必要がある。また、圧力伝達孔5012を形成するとき、そのエッチングガスやエッチング液やエッチング後の物質(気体、液体、或いは固体)も貫通溝の中に入りこむ。また、コンタクト孔や圧力伝達孔作成用の感光性膜やその残膜や現像液等も入り込む恐れがある。それらがこの後のプロセスや使用時に問題を起こす可能性があれば、それらの物質を除去できる処置を行うと良い。たとえば、液体であれば、水洗して乾燥すれば良い。固体であればそれをエッチングする物質(液体。気体)を入れて、その後水洗して乾燥すれば良い。しかし、このような問題を発生させないために、電極・配線5008(5008−1、5008−2)を形成後(保護膜を形成するなら、その後)に、レーザーで圧力伝達孔5012を開ける方法もある。
或いは、最初から圧力伝達孔5012やコンタクト孔5007を形成したプレート5009を導電体基板5002に付着させても良い。接着層を用いても圧力伝達孔5012やコンタクト孔5007に残った接着層を除去すれば良い。このようにすれば、プレートにコンタクト孔や圧力伝達孔をあけるプロセスを別に行っておけば良いので、プロセスが短くなり製品作成時間が短くなる。このコンタクト孔や圧力伝達孔の合わせは余り精度は必要がないので、導電体基板5002とプレート5009との合わせに影響はない。
図10(d)〜(f)に示す実施形態では圧力伝達孔5012を作製しない場合には、貫通溝5004の圧力P1と外部とつながった貫通溝5003−1の圧力P2との差圧で導電体基板の側壁のダイヤフラム5002−2が変形する。尚、貫通溝周囲が導電体基板で露出して問題があれば、保護膜を積層するなどして保護すれば良い。保護膜としては、導電体膜が触れる環境によって適宜、材料と厚みを選択すれば良い。耐湿性向上にはシリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜が良い。また、この図10(d)〜(f)では圧力伝達孔をプレート5009に形成したが、プレート5010に形成しても良い。コンタクト孔および電極・配線もプレート5010に形成しても良い。プレート5009と5010は同じ材料でも良いので、その場合には上下逆転して考えることもできる。
尚、図10(d)〜(f)に示す容量素子は、図10(a)〜(c)で説明した場合と同様に、貫通溝5003をダイシングで形成することもできる。貫通溝5003−1の溝幅c1はダイシングで決まる。プレート5009および5010のどちらかはダイシングせずに残しておく必要がある。どちらも残して貫通溝5003だけダイシングする場合には適当な波長や強度を持つレーザーを用いてダイシングすると良いが、その場合でもダイシングライン5001においてはプレート5009も5010も切断する必要がある。
図11(a)〜(c)は図10(d)〜(f)で示した導電体5002の内部に貫通溝5004がありダイヤフラムとなる導電体基板側壁5002−2とそれと鏡対称なものが貫通溝5003−1を挟んで向かい合わせになっている容量素子を示す。貫通溝5004(5004−1)は、導電体基板5002(5002−2−1、5002−3−1、5002−4−1、5002−5−1)で側面を取り囲まれ、上面および下面はそれぞれプレート5009および5010で覆われていて、閉じた空間となっている。また、圧力伝達孔5012(5012−1)も形成されている。これと鏡対称なものが、貫通溝5003−1を隔てて配置されている。すなわち、貫通溝5004(5004−2)は、導電体基板5002(5002−2−2、5002−3−2、5002−4−2、5002−5−2)で側面を取り囲まれ、上面および下面はそれぞれプレート5009および5010で覆われていて、閉じた空間となっている。また、圧力伝達孔5012(5012−2)も形成されている。導電体基板側壁5002−2−2は導電体基板側壁5002−2−1と対面していて、導電体基板側壁5002−2−1および導電体基板側壁5002−2−2を容量素子の対向電極となり、貫通溝5003−1が容量空間となっている。
これらの電極間距離c8は貫通溝の幅である。貫通溝空間5004−1の圧力P1と貫通溝5003−1の圧力P2の圧力差により、導電体基板側壁5002−2−1は変形する。また、貫通溝空間5004−2の圧力と貫通溝5003−1の圧力P2の圧力差により、導電体基板側壁5002−2−2は変形する。貫通溝空間5004−1の圧力と貫通溝空間5004−2の圧力を同じくし、(たとえば、圧力伝達孔5012(5012−1、5012−2)をあけて、そこから同じ圧力環境に接続すれば良い。)或いは、プロセスで同時に閉空間とすればこれらの空間の圧力は同じとなる。2つの貫通溝空間5004−1と5004−2の圧力をP1とすれば、P1>P2のときには、側壁5002−2−1および5002−2−2はともに貫通溝5003−1側に膨らみ、c8を小さくする。その結果容量が増大する。P1<P2のときは、側壁5002−2−1および5002−2−2はともにへこむので、c8が大きくなり。その結果容量が減少する。このように、図10に示すような片側だけの容量素子よりも圧力変化による感度が良くなる。(c8の変化が大きくなるので)尚、A1−A2断面の側面図が図11(b)で、B1−B2断面の側面図が図11(c)である。コンタクト孔5007(5007−1、5007−2)、電極・配線5008(5008−1、5008−2)も形成されている。
図11(d)、(e)は、図11(a)〜(c)に示す実施形態の発展系であり、図11(a)〜(c)に示す向かいあった1組の容量素子をさらに閉空間(これも貫通溝である)5003−6(5003−6−1、5003−6−2、5003−6−3、5003−6−4)で取り囲み、この閉空間5003−6は導電体基板側壁5002−6(5002−6−1、5002−6−2、5002−6−3、5002−6−4)によって側面側を取り囲まれている。また、閉空間5003−6の上面はプレート5009により、閉空間5003−6の下面はプレート5010により閉じられている。(導電体基板5002はプレート5009および5010と付着している。)貫通溝5003−6の圧力を外部から制御する場合には、圧力伝達孔5016を形成する。図11(d)、(e)ではプレート5010に形成しているが、プレート5009に形成することもできる。容量素子側の貫通溝5004(5004−1、5004−2)に形成した圧力伝達孔5012(5012−1、5012−2)から圧力P1を導入し、圧力貫通孔5016から圧力P2を導入すると、容量素子のダイヤフラム5002−2−1および5002−3−1が変形し、圧力差P1−P2を検出できる。本発明の貫通溝5003−6(5003−6−1、5003−6−2、5003−6−3、5003−6−4)および5003−1は外部環境から隔離されているので、図11(a)〜(c)に示すような容量素子とは異なり、外部環境と異なる圧力を貫通溝5003−6(5003−6−1、5003−6−2、5003−6−3、5003−6−4)および5003−1に導入できる。(もちろん、図11(a)〜(c)に示す容量素子を圧力容器などに入れれば、その外側の圧力と異なる状態にすることができる。)さらに容量素子は導電体基板5002−6(5002−6−1、5002−6−2、5002−6−3、5002−6−4)で保護されているので、容量素子を外部環境から隔離できるので、信頼性を向上できる。尚、図11(e)は図(d)のA1−A2に沿った断面の側面図である。コンタクト孔5007(5007−1、5007−2)および電極・配線5008(5008−1、5008−2)も形成されている。貫通溝5003−1の電極間距離c8が、その両側の導電体電極側壁5002−2−1および5002−2−2の変形により変化する。
図12(a)、(b)は、図11(d)、(e)をさらに発展させた本発明の実施形態である。この実施形態では、容量素子は4角形形状(平面図の形状を言う。立体的には角柱となる。)で、(三角形形状、5角形形状、それ以上の任意の多角形状でも良い。ここでは矩形形状(正方形状含む長方形状)で記載している。この実施形態では、矩形形状を形成する導電体基板のすべての側面がダイヤフラムの機能を果たす。すなわち、中心に存在する貫通溝5022−1を導電体基板側壁5020−1(各側壁は5020−1−1、5020−1−2、5020−1−3、5020−1−4)が囲む。その周囲を貫通溝5022−2(5022−2−1、5022−2−2、5022−2−3、5022−2−4)が囲む。さらにその貫通溝を導電体基板側壁5020−2(各側壁は5020−2−1、5020−2−2、5020−2−3、5020−2−4)が囲む。その周囲を貫通溝5023−2(5023−2−1、5023−2−2、5023−2−3、5023−2−4)が囲む。さらにこの貫通溝を導電体基板側壁5020−3(各側壁は5020−3−1、5020−3−2、5020−3−3、5020−3−4)が囲む。これらの貫通溝内の圧力によって、各導電体基板の側壁が変形する。たとえば、貫通溝5022−1の圧力と貫通溝5022−2の圧力差により、5020−1の各側壁が変形する。また、貫通溝5022−2の圧力と貫通溝5022−3の圧力差により、5020−2の各側壁が変形する。
従って、導電体基板側壁5020−1を1つの電極とし、導電体基板側壁5020−2を他方の電極とし、貫通溝5022−2を容量空間とする容量素子が形成される。周囲がすべて容量となっているので、少ない面積で大きな容量を作ることができる。(尚、1面だけの場合は図11(d)、(e)に示されているが、2面だけに容量を作ることもでき、さらに3面だけに容量を作ることができる。ここで容量と言っているのは、圧力差によって容量が変化する容量を言う。)各側壁の厚み(変形する側壁の厚みのことで、図に示すe2およびe3)は使用する圧力や、ダイヤフラムの大きさ、材料の特性で選定すれば良い。4面の側壁厚みを適宜変更しても良い。(同じ厚みにすれば側壁変形量はほぼ同じになる。)貫通溝幅では図に示すj2が容量特性に影響するので、精度良く形成する必要がある。この貫通溝幅も4面それぞれで変更することもできる。(同じにすれば、その両側の側壁電極の厚みも同じにすれば、容量変化も同じになる。)図12(a)、(b)で示す容量素子の周りをさらに貫通溝、その周りを導電体基板で囲むということを繰り返して、多数の容量素子を作ることもできる。一番外側に来る導電体基板の厚み(図12(a)、(b)では、5020−3の厚みe1)は他の変形する側壁よりも厚くして圧力差により変形しないようにすることが望ましい。圧力センサーとしての強度や信頼性を確保し、内部の容量素子を保護する役目を果たしているのが、5020−3である。貫通溝5022−3の幅j1はそれほど正確に管理しなくても良いが、測定圧力内で導電体側壁5020−2が最外側の導電体側壁5020−3と接触しないようにする必要がある。尚中心部に貫通溝ではなくて、矩形形状の導電体基板5020を配置してそのまわりを貫通溝、そのまわりを導電体基板の側壁電極として次々に囲むこともできる。この場合、中心にある導電体基板5020は変形しないが電極として使用することができる。
図12(a)のA1―A2断面の側面図が図12(b)である。導電体基板5020の上面にプレート5009、下面にプレート5010が付着して、貫通溝を閉空間としている。貫通溝5022−3(5022−3−1、5022−3−3)にはプレート5009に圧力伝達孔5024(5024−1、5024−2)があいている。貫通溝は5022−3−1、5022−3−3はつながっているので、圧力伝達孔5024(5024−1、5024−2)は1つでも良い。中心の貫通溝5022−1にもプレート5009に圧力伝達孔5023があいている。さらに、貫通溝5022−2(5022−2−1、5022−2−3)にはプレート5010に圧力伝達孔5025(5025−1、5025−2)があいている。貫通溝は5022−2−1、5022−2−3はつながっているので、圧力伝達孔5025(5024−1、5024−2)は1つでも良い。貫通溝5022−1の圧力と貫通溝5022−3の圧力は異なっていても良いが、その場合には、圧力伝達孔につながる部分の圧力も異なってくる。ここでは、同じ圧力P1が導入されるとする。貫通溝5022−2の圧力をP2とすると、P1とP2の圧力差により、貫通溝5022−2を囲む導電体基板側壁5020−2(5020−2−1、5020−2−2、5020−2−3、5020−2−4)および、5020−1(5020−1−1、5020−1−2、5020−1−3、5020−1−4)は変形し。これらの電極によって挟まれた容量空間5022−2(5022−2−1、5022−2−2、5022−2−3、5022−2−4)の容量が変化する。この容量変化を検出することにより、圧力差が分かる。図12(a)、(b)に示す矩形(4角形)形状の容量素子は角部は殆ど変形せず、その側面の側壁電極が変形すると考えることができる。これによって、シンプルに側壁が変形するので、ダイヤフラムとして扱い易い。従って、容量変化も前述した式をもとにして計算できるし、逆に容量変化から圧力差を計算できる。たとえば、容量空間である貫通溝5022−2の静電容量を各側壁電極につき、C1〜C4とすれば、導電体側壁5020−1および5020−2に生じる静電容量Cは、C1〜C4の並列接続と考えることができるので、C=C1+C2+C3+C4となる。従って、1つの対向する側壁電極間に生じる静電容量の約4倍の容量を示し、その変化量も約4倍となる。
図12(a)、(b)のさらなる発展実施形態として、多角形形状のものの多角形を大きくすれば究極的には円形状や楕円形状になる。円形形状の場合について、図12(c)、(d)に示す。図12(c)はその平面図を示す。中心部に貫通溝5032−1、その周りに円形形状の導電体基板の側壁電極5030−1、その周囲に貫通溝5032−2、その周りに円形形状の導電体基板の側壁電極5030−2、その周囲に貫通溝5032−3、その周りに円形形状の導電体基板の5030−3がある。この周りをさらに貫通溝、そのまた周囲を導電体基板で囲んで多数の容量素子を形成しても良い。これらの容量素子は、プレート5009や5010にコンタクト孔および電虚・配線を形成して並列或いは直列或いは他の素子と接続することができる。図12(c)、(d)に示す容量素子は円形形状の素子となっているが厚さ方向を考えれば円筒(或いは円柱)形状の容量素子である。一番外側の導電体基板も電極として使用することはできるが、余り薄くはできないので、通常は側壁が変形しない電極となる。しかし、一番外側を露出させて電極とすると水分や汚染等の影響で容量素子の特性が悪くなる可能性があるので、保護膜や保護樹脂を形成した方が良い。通常は一番外側の導電体基板は電極としては使用せず、容量素子パッケージの保護基板として使用した方が良い。強度や耐環境性を考えて厚みを厚くした方が良い。また最外側は円形にする必要がなく任意の形状、たとえば四角形形状或いは矩形形状(立体的に見れば、四角柱形状或いは矩形柱状)とすることができる。
図12(d)は図12(d)のA1−A2断面の側面図を示す。導電体基板5030の上面にはプレート5009が付着し、導電体基板5030の下面にはプレート5010が付着して貫通溝を閉空間にしている。貫通溝5032−1にはプレート5009に圧力伝達孔5033が形成され、貫通溝5032−2にはプレート5010に圧力伝達孔5035(5035−1、5035−2)が形成され、貫通溝5032−3にはプレート5009に圧力伝達孔5034(5034−1、5034−2)が形成されている。本実施形態は貫通溝が円形(円筒、或いは円柱)形状に(貫通溝5032−2も)形成され、それ(貫通溝5032−2)を挟んでいる導電体基板の側壁電極5030−1および5030−2も円形(円筒、或いは円柱)形状に形成され、それを同心円状に形成することにより、容量空間となる貫通溝5032−2の幅(電極間距離)r(j2)はどこでも一定となる。側壁電極およびそれらに挟まれた貫通溝も同心円状に形成すれば、側壁電極503−1の変形量はどこでもほぼ一定となり、側壁電極5030−2の変形量もどこでもほぼ一定となる。従って、側壁電極5030−1と5030−2の間の貫通溝5032−2に生じる容量も圧力差による容量変化もどこでもほぼ一定となる。この容量変化から圧力差を知ることが可能となる。圧力伝達孔5034、5033、5035を用いた圧力差によって、rが変化するので、容量が変化し、これを用いて圧力差を知ることができる。
図12(c)、(d)は円形形状であるが、楕円形状や他の閉曲線形状を用いて、容量空間となる貫通溝全体の幅(電極間距離)を一定にすることができる。さらにこれらの曲線形状と多角系形状の容量素子を組み合わせることもできる。最外側の形状だけ取扱易い形状(たとえば、四角形形状や矩形形状)にしておくことができるので、圧力に応じて自由に組み合わせることが可能である。
図5は本発明の幾つかの実施形態である半導体圧力センサーの構造を示す。図5(a)において、半導体基板11の表面に半導体基板の厚み方向に深い溝16、17、18、19、20が存在する。この溝は、直方体形状になっていて、半導体基板表面の上方から見ると矩形形状になっている。これらの溝および半導体基板表面には絶縁膜12が存在する。溝16、18、20の溝の表面および底面、並びに半導体基板の所望部分に導電膜13が存在する。溝16と18の間に存在する溝17には導電膜13は存在しない。また、溝18と20の間に存在する溝19にも導電膜13は存在しない。溝17や19はキャップ14で蓋がされていて、溝17、19の内部は気密された空間15、25になっている。一方、16、18、20の溝は口が開放されていて、外界環境(圧力を測定すべき所)と同じ圧力になっている。気密空間15、25の内部圧力は、通常は真空に近い低い圧力状態になっている。ただし、外部環境の圧力によっては、大気圧に近い減圧状態になる場合もあるし、大気圧以上の圧力になる場合もある。あるいは、蓋に圧力伝達孔を設けて別の圧力を印加しても良い。溝16と溝17の間における半導体基板21の厚み、溝18と溝17の間における半導体基板22の厚み、溝18と溝19の間における半導体基板23の厚み、および溝19と溝20の間における半導体基板24の厚みは薄く、圧力によりそれぞれの半導体基板21〜24が変形できるようになっている。これらの厚みは同じでなくても良いが、同じ厚みtである方が圧力計算が容易である。
図5(a)における電極Aと電極Bとの間の静電容量は、絶縁膜12−半導体基板21−絶縁膜12−空間15―絶縁膜12―半導体基板22―絶縁膜12の直列接続となっている。溝16および18の圧力と溝17の圧力差によって、半導体基板側壁21および22が変形し、空間15の静電容量が変化する。従って、電極Aと電極Bとの間の静電容量も変化するので、圧力差を計算できる。同様に電極Bと電極Cとの間の静電容量も変化するので、圧力差を計算できる。この静電容量測定用単位構造が1個でも圧力計算はできるが、これらの静電容量測定構造を多数並べれば圧力差による静電容量の変化量が大きくなるので、圧力検出の精度が高まる。
Si等の半導体基板11(ガラス、セラミック、プラスチック、等の絶縁体基板でも良い)の第1面に溝16〜20を形成する領域を露光法により感光性膜で窓開けをして、半導体基板をエッチングし、基板面に対して垂直な凹部(溝)16〜20を形成する。次に、凹部内面および第1面にSiO2膜等の絶縁膜12を形成し、さらにPolySi膜やAl膜や銅膜等の導電体膜13を積層し、必要なパターニングを行なう。このパターニングでは、凹部17、25の導電体膜13は除去し、凹部16、19の導電体膜13は除去しない。凹部内でのパターニングは不要で、半導体基板11の第1面上におけるパターニングであるから、通常のフォトリソ法でプロセスできる。この導電体膜13は配線および電極としても使用できる。半導体基板11のの第1面に接着剤等を用いてキャップ基板14を付着し、所望の場所を除去する。たとえば、凹部17、25上にはキャップ基板14で蓋をし、凹部16、18、20は開口する。既に孔のあいているキャップ基板14をマスク合わせして付着させても良い。基板がSiの場合は、絶縁膜12を除去してガラス基板を陽極接合することもできる。あるいは、凹部16、18、20も蓋をして、その一部のみ圧力伝達孔を開けても良い。凹部17、25にも圧力を伝達する場合は、蓋14に圧力伝達孔を開ける。キャップ基板14の付着前後で、導電体膜13上にSiN膜等の保護膜を形成し、必要な窓開け(パッド部分)をすることもできる。基板側壁21、22、23、24は圧力差により変形するが、その厚みtが薄いほど変形しやすい。Si半導体基板では、圧力差にもよるが約1μm〜30μm、好適には、約1μm〜15μmが良い。ヤング率の小さな材料(プラスチックやゴム)を基板とすれば、このtをもっと厚くできる。作製法もインプリント法を用いることによりもっと簡単になる。溝の深さhや溝の長さ(奥行き)を大きくすることにより静電容量が増大するので、感度が良くなるり、約50μm以上、好適には約100μm以上、もっと好適には約500μm以上とする。また、溝17、25の幅も静電容量に寄与するので、小さいほど良いが、圧力伝達がスムーズにできるように約10μm〜100μm、好適には約10μm〜50μmが良い。溝16、18、20の幅は特性には影響しないが、圧力がスムーズに伝達でき、絶縁膜や導電体膜が溝内部に積層可能な幅が望ましく、約5μm〜10μm以上が良い。尚、キャップ57は、ガラス、セラミック、高分子材料などの絶縁基板である。
図5(b)は図5(a)の変形であり、容量空間15、25となる溝17および19の基板側壁に対向電極13(13−1、2、3、4)を作製する。これによって、圧力差による静電容量変化は2つの電極13−1と2、または13−3と4の間で発生するので、感度が高くなる。凹部17、19内に導電体膜13を積層した後、凹部底面、凹部の奥行き側の対向側面における導電体膜は、感光性膜をパターニングして、エッチングにより除去する。また、キャップ基板14は、導電体膜13(13−1、2、3、4)上に気密に接着剤等で付着する。導電体膜13上にSiO2等の絶縁膜を形成しても良い。
次に本発明の別の実施形態を図5(c)に基づいて説明する。図5(c)において、半導体基板61の第1の面(表面)からその裏である半導体基板61の第2の面(裏面)に貫通する溝部(貫通孔)71〜74が存在する。貫通孔71〜74の内壁および半導体基板表面および裏面の必要な部分に絶縁膜62があり、その上であって貫通孔71〜74の内壁および半導体基板表面および裏面の必要な部分に導電体層63が形成されている。さらに半導体基板61の表面および裏面の導電体層63、必要ならば溝71〜74の内部の導電体層63の上に絶縁膜64を形成している。絶縁膜62は、半導体基板面(表面、裏面、溝部内壁)と導電体層63と絶縁する目的で存在する。ただし、接続が必要な部分の絶縁膜62は導電体膜63を形成する前に除去される。貫通孔71〜74は、平面的には長方形(横(幅)m、縦n)であり、深さはh(この場合、半導体基板61を貫通しているので、半導体基板の厚みに等しくなる。)であり、従って、貫通孔71〜74の形状は直方体となっている。絶縁膜64の目的は、導電体層の保護と絶縁性の確保である。この後で、絶縁膜64の上に、キャップ基板65(半導体表面側)およびキャップ基板66が接着されている。尚、問題ないならば、導電体膜63の上に直接キャップウエハ65や66を接着しても良い。
貫通孔71〜74には、半導体基板表面側または裏面側で交互に外部環境とつながる圧力導通孔67(表面側)、68(裏面側)があいている。すなわち、貫通孔71には裏面側に圧力導通孔68があいていて、貫通孔71の隣の貫通孔72には表面側に圧力導通孔67があいている。貫通孔72の隣の貫通孔73には裏面側に圧力導通孔68があいていて、貫通孔73の隣の貫通孔74には表面側に圧力導通孔67があいている。この圧力導通孔67や68は、キャップ基板65や66を接着する前にあいていても良いし、キャップ基板65や66を接着した後であけても良い。このように形成された貫通孔71は圧力導通孔68以外に外部環境と導通する所はなく、気密になっている。貫通孔72は圧力導通孔67以外に外部環境と導通する所はなく、気密になっている。貫通孔73や74も同様である。本実施形態では、すべての貫通孔71〜74を容量空間として活用できるので、非常に効率が良い。すなわち、基板側壁61−1は圧力差P1−P2により変形し、貫通孔71の空間容量が変化して、電極63−1と63−2との間の静電容量が変化する。また、圧力差P1−P2により基板側壁61−1および63−4が変形し、貫通孔72の空間容量が変化して、電極63−3と63−4との間の静電容量が変化する。他も同様である。この方法では、基板側壁側面に導電体膜63を形成するので、基板が導電体でなくても半導体や絶縁体基板でも適用できる。尚mは貫通孔の幅、vは電極間距離である。これらを多数並べて並列接続すれば、容量が増大するので感度が高まる。m=20μm、t=10μmとすれば、幅方向に10個並べても約300μmであり、非常に小さなセンサを作製できる。
図5(d)の実施形態では、半導体基板81の両面(表面および裏面)から溝部91、92および溝部93、94を形成し、完全に貫通させないで、反対側の面に溝部が達しないようにする。溝部の重なり部分を利用して、容量を形成する。溝部内部および半導体基板表面・裏面には絶縁膜82、83および導電体膜84、85を形成する。溝部内部の導電体膜84は底部および側面部(紙面と垂直方向)で除去され、互いに対向して電極となり、容量を形成する。溝部はキャップ86、87で蓋をされ、圧力導通孔88、89が形成される。圧力導通孔から圧力が伝達される。たとえば、半導体基板の表面側の溝部93、94の圧力導通孔89からはP1の圧力がかかり、半導体基板の裏面側の溝部91、92の圧力導通孔88からはP2の圧力がかかる。P1とP2の圧力差により、溝部91と94の間にある半導体基板側壁81(81−1)が、溝部92と94の間にある半導体基板側壁81(81−2)が、溝部92と93の間にある半導体基板側壁81(81−3)が変形(湾曲)する。これらの変形により、溝部91〜94の溝幅が変化して、溝部の側壁に形成された対向電極に発生する容量が変化する。この変化を利用して、圧力センサーを形成できる。
本発明はさらに、ピエゾ抵抗を利用した圧力センサーも作成できる。たとえば、溝または貫通孔側壁(これらがダイヤフラムとなる)にピエゾ抵抗を形成する。この側壁(隔壁)が圧力変動により変形するので、ピエゾ抵抗の抵抗も変化する。この変動を利用して圧力を検出することができる。ピエゾ抵抗も従来は半導体基板に対して平面的に形成していたが、本発明は溝部または貫通孔の側壁(隔壁)(これらが、ダイヤフラムとなるのは、容量の場合と同様である。)に形成しているので、半導体基板内の面積を非常に小さくできる。
本発明の目的は、半導体圧力センサーのサイズを小さくし、圧力検出感度を高めることである。上述したように、半導体基板の厚み方向に深い溝を形成する。溝の一部を気密にして、その溝の隣の溝に圧力をかけると、溝同士の間の隔壁(ダイヤフラムに相当)が湾曲して気密空間または溝部の容量が変化する。この変化量を検出することにより、圧力を検知できる。溝を深くすることにより、容量が増大するので、より面積の小さいセンサーを作成できる。また、隔壁を薄くすることにより、隔壁の変形量を増大できるので、センサーの感度も高まる。
さらに、本発明は、上述したように半導体基板の厚み方向にダイヤフラム部と空間を形成するので、圧力センサーチップを非常に小さくできる。従って、半導体基板(ウエハ)からの圧力センサーチップの取れ個数を増大できる。さらに容易に容量を大きくできるので、静電容量型圧力センサーの感度を高めることもできる。さらに、フォトリソ法等のLSIプロセスを用いるので、空間およびダイヤフラム部となる溝部側壁(隔壁)を精密・正確に作成できるので、非常に薄いダイヤフラムや狭い空間を形成でき、これによっても圧力センサーの感度を高めることができる。
本発明の側壁面は種々の結晶面を選択できる。たとえば、シリコン基板9001の結晶面(表面)が(100)面であるとき、側壁面9101は、(0xx)面となる。(xは任意の数)さらに、その側壁面に対して抵抗体9111も種々の方位になるように形成することができる。たとえば、側壁面が(010)面であれば、<110>方向へ抵抗体9111を形成すればピエゾ抵抗効果が最も大きくなるので、抵抗変化も大きくすることができる。
図13(a)は、本発明の縦型圧力センサーの断面図(別の実施形態における)を示す図である。本発明の圧力センサーは、第1面(主面)および第2面(裏面)からなる基板において、第1面に形成された凹部(第1凹部)および前記第1凹部に隣接し第2面に形成された凹部(第2凹部)により挟まれた前記基板の側壁をダイヤフラムとする圧力センサーであって、前記第1凹部の基板上に作成された第1導電体膜、前記第1導電体膜上に作成された第1圧電体膜、および前記第1圧電体膜上に作成された第2導電体膜、並びに/あるいは、前記第2凹部の基板上に作成された第3導電体膜、前記第3導電体膜上に作成された第2圧電体膜、および前記第2圧電体膜上に作成された第4導電体膜を含む圧力センサーである。
図13(a)において、第1凹部126、127は基板111の第1面(図13(a)において上面)側から形成された溝形状の凹部である。第2凹部128、129、130は基板111の第2面(図13(a)において下面)側から形成された溝形状の凹部である。本明細書において基板内に形成される溝または凹部とは、基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)から形成され、基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)を開口部とし、基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)に対して垂直な(略垂直な)側面(側壁とも言う)を持つ溝または凹部である。この溝または凹部は異方性ドライエッチングによって形成され、側面は理想的には基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)に対して垂直であるが、異方性ドライエッチングのバラツキ(変動)等により曲面となったり、垂直に対して少し(好適には10度以下、もっと好適には5度以下)傾いて形成される場合もある。(略垂直とは、垂直方向に対して好適には10度以下、もっと好適には5度以下を概ね意味する。また、この角度(以下に示す、またはこれまでにも示す)とは、平均的な角度を示す。たとえば、凹部の側面の深さは距離がある(たとえば、1μm〜2000μm、これは基板の厚さにもより、2mm以上の厚さもある)から、この深さの途中では一部この角度を超える側面となる場合もあるが、それらの全部の角度の平均を取ってこの角度を表す。)溝または凹部の底面は基板内に存在する場合もあれば、基板を貫通して基板内に存在しない場合もある。溝または凹部の底面が基板内に存在する場合、すなわち溝または凹部が基板を貫通しない場合、理想的には底面は基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)に平行な面であるが、異方性ドライエッチングのバラツキ(変動)等により曲面となったり、平行に対して少し(好適には10度以下、もっと好適には5度以下)傾いて形成される場合もある。この傾斜角も部分的にはもっと多い所もあるが、その場合は平均的な角度を意味する。溝または凹部が基板を貫通する場合、すなわち基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)のどちらにも開口部を有する場合は、この溝または凹部を貫通溝(貫通孔)と呼ぶことがあり、当然基板内に底面は存在しない。しかし、貫通溝の場合にも基板の主面(第1面)または基板の裏面(第2面)側を別の基板(薄板と呼ぶこともある)で蓋をするので、この蓋をした部分を貫通溝の底面と呼ぶこともある。
第1凹部126は第2凹部128に隣接し、第1凹部126と第2凹部128の間に基板111の(基板)側壁132が存在し、第1凹部126と第2凹部128は基板111の側壁132によって隔てられている。第1凹部127は第2凹部128に隣接し、第1凹部127と第2凹部128の間に基板111の側壁133が存在し、第1凹部127と第2凹部128は基板111の側壁133によって隔てられている。また、第1凹部126を挟んで側壁132と対向する基板111の側壁131によって、第1凹部126およびそれと隣接する別の第2凹部129が隔てられている。同様に第1凹部127を挟んで側壁133と対向する基板111の側壁134によって、第1凹部127およびそれと隣接する別の第2凹部130が隔てられている。
第1凹部126および127は、基板111の第1面にほぼ垂直形状に形成された溝形状(略直方体形状)となっており、第1凹部126の底部には基板111の底部135が存在し、第1凹部127の底部には基板111の底部136が存在する。一方、第2凹部128、129、130は、基板111の第2面にほぼ垂直形状に形成された溝形状(直方体形状)となっており、第2凹部128の底部(図13(a)では上にあるので、上部と称す場合もある)には基板111の上部140が存在する。第1凹部126および127は、紙面に対して垂直方向にも側壁が存在して、基板111の第2面側から形成された第2凹部とは隔絶されている。
基板111の第1面側には、基板111上に絶縁膜112、その上に導電体膜114(下部電極となる)、その上に圧電体膜116、さらにその上に導電体膜118(上部電極となる)、その上に絶縁体膜120が形成されている。当然第1凹部126、127の内部も同様の膜構造となっている。基板111の第2面側には、基板111上に絶縁膜113、その上(図13(a)では下になっているが、逆にすれば上になるので、上と称する)に導電体膜115(下部電極となる)、その上に圧電体膜117、さらにその上に導電体膜119(上部電極となる)、その上に絶縁体膜121が形成されている。当然第2凹部128、129、130の内部も同様の膜構造となっている。基板111と導電体膜114の間に絶縁膜112を挟むのは、導電体膜114と基板111との電気低接続をしないようにするためである。基板111がガラスやプラスチックやセラミック等の絶縁体である場合は、絶縁膜112は不要であるが、他の素子や導電体膜が存在する場合は、それらと電気的に接触しないようにするために絶縁膜112を設ける場合もある。また、基板111と導電体膜114との密着性向上を目的として絶縁膜112を設ける場合もある。
基板111の上面には薄板(第1の薄板)122が付着している。この第1の薄板122は、絶縁膜120に付着しており、第1凹部126および127を被っている。第1の薄板122が第1凹部126および127を完全に塞いでいるときは、第1凹部126および127の凹部空間は気密空間となり、圧力が一定に保持される。第1凹部126および127の凹部空間の圧力を可変する場合には、第1の薄板122に圧力導入孔137および138を形成し、外部から圧力P1を導入できるようにする。
一方、基板111の下面には薄板(第2の薄板)123が付着している。この第2の薄板123は、絶縁膜121に付着しており、第2凹部128、129および130を被っている。第2の薄板123が第2凹部128、129および130を完全に塞いでいるときは、第2凹部128、129および130の凹部空間は気密空間となり、圧力が一定に保持される。第2凹部128、129および130の凹部空間の圧力を可変する場合には、第2の薄板123に圧力導入孔139等を形成し、外部から圧力P2を導入できるようにする。
コンタクト孔151は、導電体膜(下部電極)114へ電気的接続を行なうために、絶縁膜120および圧電体膜116を通して形成される。図13(a)においては、コンタクト孔151が形成される領域における導電体膜118をあらかじめ除去している。このコンタクト孔151に導電体膜152を積層する。圧電体膜116が導電性(絶縁性が低い場合も含む)を有するときは、側壁に絶縁膜を形成してから、導電体膜152を形成する。導電体膜152の上には電極・配線(導電体膜)153を形成する。これにより、導電体膜(下部電極・配線)114からコンタクト孔151内導電体膜152を通して電極・配線(導電体膜)153へ電気的接続を行なうことができる。コンタクト孔154は、導電体膜(上部電極)118へ電気的接続を行なうために、絶縁膜120を通して形成される。このコンタクト孔154に導電体膜155を形成する。導電体膜155の上には電極・配線(導電体膜)156を形成する。これにより、導電体膜(上部電極・配線)118からコンタクト孔154内導電体膜155を通して電極・配線(導電体膜)156へ電気的接続を行なうことができる。コンタクト孔151および154を形成すべき領域に第1の薄板122が存在する場合には、前もって(第1の薄板122を付着する前に)この領域の第1の薄板122を除去しておけば良い。あるいは、第1の薄板122を除去せずに、第1の薄板にコンタクト孔を形成してから導電体膜を形成すれば良い。この場合、第1の薄板が導電体(絶縁性が低い場合も含む)である場合には、導電体膜を形成する前にコンタクト孔の側壁に絶縁膜を形成して、導電体膜が第1の薄板122に接触しないようにすれば良い。
基板111の裏側にも導電体膜(電極・配線)115および119があるので、これらからも外側へ電極・配線を取りだす必要がある。上記と同様に、基板111の表側からコンタクト孔を形成して取り出しても良い。この場合は、基板111にもコンタクト孔を形成する必要がある。基板111が導電体(絶縁性が低い場合も含む)である場合には、そのコンタクト孔の側壁に絶縁膜を形成してから導電体膜を形成し、導電体膜が基板111と接触しないようにする。あるいは、以下に示すように基板111の裏側(第2面側)から外側へ電極・配線を取りだしても良い。この方法は上記した基板111の表側(第1面側)へ電極・配線を取りだす方法を逆にすれば良い。(名称は、コンタクト孔160、導電体膜(下部電極)115、絶縁膜161、導電体膜162、導電体膜182、電極・配線(導電体膜)163、電極・配線(導電体膜)163、コンタクト孔157、導電体膜(下部電極)119、導電体膜158、電極・配線(導電体膜)159、)
図13(b)は、圧力が加わったときにおける本発明の縦型圧力センサーの構造を模式的に示した図である。図13(b)の薄膜の積層構造は図13(a)における構造と同様である。すなわち、図13(b)における基板側壁21は図13(a)における基板側壁132、図13(b)における基板側壁41は図13(a)における基板側壁133と考えると良い。基板側壁21の外側の上には絶縁膜27、その上に導電体膜28、その上に圧電体膜29、その上に導電体膜30、その上に絶縁膜31が積層されている。基板側壁21の内側の上には絶縁膜22、その上に導電体膜23、その上に圧電体膜24、その上に導電体膜25、その上に絶縁膜26が積層されている。また、対面する基板側壁41の外側の上には絶縁膜47、その上に導電体膜48、その上に圧電体膜49、その上に導電体膜50、その上に絶縁膜51が積層されている。基板側壁41の内側の上には絶縁膜42、その上に導電体膜43、その上に圧電体膜44、その上に導電体膜45、その上に絶縁膜46が積層されている。
基板側壁21および41の上部および下部にも基板(底部または上部、図13(a)では135、136、または140等)が存在するが、図13(b)においては省略し、薄板32および33のみ示している。この薄板(第1の薄板)32および薄板(第2の薄板)33は図13(a)における薄板122および123に相当する。ただし、図13(a)では、第1凹部の上部は第1の薄板122で、第1凹部の下部は基板111で閉じていて、第2凹部の上部は基板111で、第2凹部の下部は第2の薄板123で閉じている。
基板側壁21、41および薄板32、33等に囲まれた空間37には第2の薄板33に圧力導入孔34が設けられ外部から圧力P2を印加することができる。基板側壁21の外側の空間38には第2の薄板33に圧力導入孔35が設けられ外部から圧力P1を印加することができる。基板側壁41の外側の空間39には第2の薄板33に圧力導入孔36が設けられ外部から圧力P3を印加することができる。たとえば、図13(a)における第1凹部126や127は空間38や39に、図13(a)における第2凹部128は空間37に相当すると考えることができる。尚、これらの圧力導入孔34、35、36は第1の薄板32に設けることもでき、外部からの圧力導入をスムーズに行なうことができるように適宜選択すれば良い。あるいは圧力導入孔を設けないようにすることも可能であり、その場合は内部空間は気密空間となり圧力がほぼ一定に保持されるので、その内部空間の圧力に対する差圧として圧力を検出することが可能となる。たとえば、圧力導入孔34を開けずに、内部空間37を気密にして内部圧力P2を一定として、その圧力P2に対して基板21や41等の圧力差による変形量に対応してP1やP3の圧力を検出することが可能となる。
P2>P1の場合、内部空間37はその圧力差P2−P1によって基板側壁21およびこれに積層した薄膜を内部空間38側に押し、基板側壁21は外側の方へ、すなわち空間38の方へ変形する。基板側壁21等(他に各種膜も含む)および基板側壁41等(他に各種膜も含む)はその上部および下部を上下の第1の薄板および第2の薄板によって変形を押さえられているが、基板側壁21等および基板側壁41等のその他の部分は規制されていないので、圧力差による力によって変形し、特にそれらの中心部付近が最も変形する。(凹部38または39側へ膨らむ。)空間38の上部は上部基板(図13(b)では示されていないが、図13(a)における基板上部140等)やその上に積層した薄膜やその上に付着した第1の薄板32(図13(a)における第1の薄板122)によって変形が抑えられている。空間38の下部は基板底部(図13(b)では示されていないが、図13(a)における基板底部135等)やその上に積層した薄膜やその上に付着した第2の薄板33(図13(a)における第2の薄板123)によって変形が抑えられている。この結果、基板側壁21の中心付近が最も変形し、基板側壁の周縁が殆ど変形しない状態となり、図13(b)に示すように基板側壁21は湾曲状に変形する。
基板側壁21上に積層した薄膜も同様に湾曲状に変形する。従って、湾曲状に歪んだ圧電体膜24の両側の面に電荷が分極し、圧電体膜24の両面に積層している導電体膜23および25の間に電圧差V1が生じる。同様に、湾曲状に歪んだ圧電体膜29の両側の面に電荷が分極し、圧電体膜29の両面に積層している導電体膜28および30の間に電圧差V2が生じる。すなわち、導電体膜23に導電体配線B3を、導電体膜25に導電体配線B4を接続すれば電荷を取り出すことができる。導電体膜30に導電体配線B1を、導電体膜28に導電体配線B2を接続すればこの間の電位差はV2となり、電荷を取り出すことができる。
圧電体膜24および圧電体膜29を同じ材料で同程度の厚みで同じ条件(たとえば、スパッターで積層するときはスパッター条件を同一とし、その後の熱処理条件も同一とする)で作成すれば、基板側壁21の変形にほぼ従って両者の圧電体膜24および圧電体膜29は同程度に変形するから、発生する電位差(電荷)は同程度になる。(|V1|≒=|V2|)変位の向きはB1側とB3側が凸状または凹状となって同じ向きに変形し、これに対して、B2側とB4側はともに逆向きに変形しているから、B1とB3、B2とB4を接続すれば、両方の電荷を加算でき、約2倍の電位差(2|V1|)を得ることができる。
以上は図13(b)における左側の基板側壁21について述べたが、図13(b)における右側の基板側壁41についても同様である。P2>P3の場合、内部空間37はその圧力差P2−P3によって基板側壁41およびこれに積層した薄膜を内部空間39側に押し、基板側壁41は外側の方へ、すなわち空間39の方へ変形する。空間39の上部は上部基板(図13(b)では示されていないが、図13(a)における基板上部140等)やその上に積層した薄膜やその上に付着した第1の薄板32(図13(a)における第1の薄板122)によって変形が抑えられている。空間39の下部は基板底部(図13(b)では示されていないが、図13(a)における基板底部136等)やその上に積層した薄膜やその上に付着した第2の薄板33(図13(a)における第2の薄板123)によって変形が抑えられている。この結果、基板側壁41の中心付近が最も変形し、基板側壁の周縁が殆ど変形しない状態となり、図13(b)に示すように基板側壁41は湾曲状に変形する。
基板側壁41上に積層した薄膜も同様に湾曲状に変形する。従って、湾曲状に歪んだ圧電体膜44の両側の面に電荷が分極し、圧電体膜44の両面に積層している導電体膜43および45の間に電圧差V3が生じる。同様に、湾曲状に歪んだ圧電体膜49の両側の面に電荷が分極し、圧電体膜49の両面に積層している導電体膜48および50の間に電圧差V4が生じる。すなわち、導電体膜43に導電体配線B6を、導電体膜45に導電体配線B5を接続すればこの間の電位差はV3となり、導電体膜50に導電体配線B8を、導電体膜48に導電体配線B7を接続すればこの間の電位差はV4となる。
圧電体膜44および圧電体膜49を同じ材料で同程度の厚みで同じ条件(たとえば、スパッターで積層するときはスパッター条件を同一とし、その後の熱処理条件も同一とする)で作成すれば、基板側壁41の変形にほぼ従って両者の圧電体膜44および圧電体膜49は同程度に変形するから、発生する電位差は同程度になる。(|V3|≒=|V4|)変位の向きはB6側とB8側が凸状となって同じ向きに変形し、これに対して、B5側とB7側はともに逆向きに変形しているから、B6とB8、B5とB7を接続すれば、両方の電荷を加算でき、約2倍の電位差(2|V3|)を得ることができる。
上述したように圧力差P2−P1により基板側壁21が変形し、それに応じて圧電体24および29も変形する。その結果B1−B2間に電圧V1、B3−B4間に電位V2が発生する。圧力差P2−P1により圧電体24および29が変形し、(圧力差P2−P1が大きくなると圧電体24および29の変形量が大きくなる)圧電体24および29の変形量に応じてV1やV2の値が変化する(変形量が大きくなるとV1やV2が増大する)ので、あらかじめ圧力差P2−P1量およびV1またはV2の関係を求めておけば、測定されたV1またはV2の値から圧力差P2−P1を求めることができる。V1およびV2を加算するように配線接続すれば、|V1|≒|V2|のときには約2倍の電位差を得ることができるので、感度を約2倍高めることができ、圧力差P2−P1の精度を高めることができる。さらに、P1またはP2のどちらかが既知であれば、他方の圧力を求めることができる。
同様に、圧力差P2−P3により基板側壁41が変形し、それに応じて圧電体44および49も変形する。その結果B8−B7間に電圧V3、B6−B5間に電位V4が発生する。圧力差P2−P3により圧電体44および49が変形し、(圧力差P2−P3が大きくなると圧電体44および49の変形量が大きくなる)圧電体44および49の変形量に応じてV3やV4の値が変化する(変形量が大きくなるとV3やV4が増大する)ので、あらかじめ圧力差P2−P3量およびV3またはV4の関係を求めておけば、測定されたV3またはV4の値から圧力差P2−P3を求めることができる。V3およびV4を加算するように配線接続すれば、|V3|≒|V4|のときには約2倍の電位差を得ることができるので、感度を約2倍高めることができ、圧力差P2−P3の精度を高めることができる。さらに、P2またはP3のどちらかが既知であれば、他方の圧力を求めることができる。
基板側壁21および41の側壁厚みを同程度にしておけば、P1=P3のときには基板側壁21および41の変形量も同程度となり、圧電体24、29、44、49の材質や厚みや作成条件を同程度にしておけば、(絶縁膜や導電体膜の材質や厚みや作成条件も同程度とする)V1、V2、V3、V4も同程度にすることができる。従って、これら電圧が加算できるように接続すれば、|V1|+|V2|+|V3|+|V4|=4|V1|と4倍の出力を出すことができるから、圧力差を4倍の感度で検出することが可能となる。さらに、基板側壁21や41にさらに繰り返して圧電体膜等を積層していけば、出力電圧をさらに大きくすることが可能となり、圧力検出精度をさらに高めることができる。および/または、図13(a)または図13(b)に示す構造の圧力センサーを複数作成して、出力電圧を加算できるように接続していけばさらに大きな出力電圧を得ることができ、圧力検出精度をさらに高めることができる。
以上から、圧電体の変形が同じ向きとなる方の導電体膜同士を接続し、これと逆向きの圧電体の変形となる方の導電体膜同士を接続すれば、これらの間の電位差から圧力を高精度に検出できることが分かる。すなわち、基板側壁21の片側の方に形成される圧電体膜の内側の電極・配線と、基板側壁21の逆側の方に形成される圧電体膜の外側の電極・配線とを接続すれば良い。そこで、図13(a)に示すように、すべての第1凹部(圧力がP1とする)は同じ方向に変形する(第1凹部はすべて同時に膨らむか、あるいは窪むかのどちらかである)ので、第1凹部上の導電体膜114および118は切断が不要でこのまま接続しておけば良い。もちろん第1凹部以外の場所では必要な配線パターニングを行なっても良い。同様に、第2凹部(圧力P2とする)も同じ方向に変形する(第1凹部はすべて同時に膨らむか、あるいは窪むかのどちらかであり、第1凹部とは反対の変形)ので、第2凹部上の導電体膜115および119は切断が不要でこのまま接続しておけば良い。もちろん第2凹部以外の場所では必要な配線パターニングを行なっても良い。また、これらの導電体膜114、115、118、119のパターニングや作製時および/または引き出し電極・配線153、156、159、163をパターニングや作成時に同じ極性同士を接続しておけば、大きな出力電荷および電位を得ることができる。
絶縁膜22、27、42、47は導電体膜28、23、43、48からの電流が基板側壁21、41へ漏れないようにするために形成されているので、基板側壁21、41が絶縁体であるときは形成しなくても良い。ただし、導電体膜28、23、43、48と基板側壁21、41とが密着性が悪い場合には密着性向上膜として絶縁膜22、27、42、47を形成しても良い。(このことは、当然図13(a)で示したものでも同様である。)また、絶縁膜26、31、46、51は、導電体膜25、30、45、50から電流を漏洩させない目的の他に導電体膜25、30、45、50を保護する役目もある。当然、電流の漏えいや保護する必要がない場合には形成しなくても良い。(このことは、当然図13(a)で示したものでも同様である。)
凹部は直方体形状であり、第1凹部と第2凹部によって挟まれた薄い基板側壁が圧力差によって変形する。直方体形状の凹部において、長手方向の長さ(側壁の長さ)をa、凹部の深さ(側壁の深さ)をh、側壁の厚み(側壁の幅)をyとすると、基板側壁の最大撓みWmaxは以下の式で与えられる。
Wmax=α*z*h2a2/(Ey3)
ここで、zは圧力差であり、αは側壁の形状によって決まる定数であり、Eは基板側壁のヤング率である。この式から分かるように、ヤング率の小さな材料を使用すれば変形量は大きくなり、基板側壁を薄くすれば変形量は大きくなり、基板側壁の面積を広くすれば変形量は大きくなる。また側壁が変形しても圧電体の電圧差を生じる分極性が小さければ電位差は小さく圧力差を検出しにくいので、少しの基板側壁の変形(上式では、変形量W)が小さくても圧電体で発生する電荷の大きな材料を用いれば、圧力差を検出しやすい。従って、これらすべての値を最適化して最適な条件を有する圧力センサーを設計する必要がある。
圧電体膜や圧電体基板を使用した本発明の圧力センサは、圧力差による基板側壁の変形を利用している。従って、圧力P1と圧力P2によって変形する基板側壁の面積を増大すればより大きな電荷を取り出すことができ、圧力検出の感度が高まる。たとえば、図13(a)において、第1凹部126、127(圧力P1)が矩形状(直方体)の場合、基板側壁の周囲に圧力P2の領域が囲んでいるが、4つの基板側壁を変形可能な薄さで形成すれば、4つの基板側壁が同じように変形するので、各側壁から電荷が発生する。また、同じ面積(基板面基準)でたくさんの電荷を得るには、第1凹部の短辺の長さ(幅)W1を小さくし、矩形状第1凹部の長辺方向を平行にして多数並べていき、かつ、第1凹部同士の間隔W2(第2凹部128等の幅でもある)を小さくすれば良い。基板側壁の幅をW0とすれば、幅W3の間にW3/(W1+W2+W0)個の第1凹部が平行に並ぶ。第2凹部は第1凹部の間に存在する以外に第1凹部全体を囲んでいる。従って、第1凹部は個々独立しているが、第2凹部はつながっている。さらに、第1凹部の底面も圧力差によって変形できるようにすれば、さらに圧電素子の化の度を高めることができる。直方体(平面的には長方形)形状や正方形(平面的には正方形で、立体的には直方体または立方体)形状の凹部や多角形柱(平面的には多角形)形状の他にも、円柱(円筒)形形状や楕円柱形(底面が楕円形)形状や一般的には曲面柱形(平面的に曲面形)形状など種々の凹部形状を適宜選択して、最適な形状の凹部を選択すれば良い。
尚、上述した本発明の圧力センサーはシリコンやガリウムヒ素や炭化ケイ素(SiC)等の半導体基板を使用できるので、他の素子(IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、コイル、各種センサー等)を一緒に搭載できる。たとえば、トランジスタやIC等と一緒に搭載すれば、1つのチップの中に本発明の圧力センサーとそれをコントロールし演算処理するデバイスを入れることができる。従って、圧力センサとIC等との2チップまたは複数チップ構成とした場合に比較して、実装基板全体の大きさを小さくできるとともに外部配線を少なくできるので、全体デバイスの信頼性を大幅に増大できる。
次に、図13(a)、(b)に示す基板の第1面側に第1凹部、基板の第2面側に第2凹部、第1凹部と第2凹部に挟まれた側壁をダイヤフラムとし、このダイヤフラム上に圧電体膜、およびこの圧電体膜を挟んで両側表面に形成され圧電体膜に発生する電荷を伝達する導電体膜を有する圧力センサーの製造方法の一例を以下に説明する。基板111は、半導体基板、絶縁体基板、あるいは導電体基板であり、その厚みはたとえば基板材料強度によって決定でき、基板材料強度は基板材料の弾性係数やポアッソン比によって決めることもできる。基板サイズも種々選定できる。たとえば、半径1インチ以上の円形基板(厚みを考えれば円板基板)、1辺が1インチ以上の正方形基板や長方形基板(厚みも考慮すれば直方体基板)である。基板111がシリコン半導体基板やガラス基板の場合は、たとえば6インチ(約150mm直径)の円形で、厚みが200μm〜700μmの円板基板(これをウエハとも呼ぶ。厚みに関しては、これらを研磨等によってさらに薄くしたものもある)である。半導体基板の場合には、トランジスタ等の能動素子や抵抗、コンデンサ、コイル等の受動素子を本発明の圧力センサーと一緒の基板に作製でき、これらの素子と圧力センサーを1チップ化も可能である。半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム、炭素等の単一元素半導体、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、インジウムリン等の2元系半導体、InGaAs,GaInNAs等の3元系半導体、4元系半導体、多元系半導体がある。ヤング率の小さな材料はより小さな圧力差で撓み易く、大きなダイヤフラムの変形を発生させることができるので、圧力センサーの感度を高めることができる。たとえば、厚みが200μm〜2mm〜5mm〜10mmの各種プラスチック基板や、各種のゴム基板である。
基板111の第1面上に絶縁膜を形成し、その上にフォトレジスト等の感光性膜を形成し、さらに露光法により第1凹部126、127を形成する領域を開口する。感光性膜はフォトレジスト等の塗布膜でも良いし、感光性ドライフィルムでも良い。絶縁膜は、たとえばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)等である。これらの絶縁膜はCVD法、スパッター等のPVD法で積層できる。あるいは、SOG(Spin On Glass)膜によって形成したシリコン酸化膜等でも良い。シリコン半導体基板の場合は、酸化法によって形成したシリコン酸化膜(SiO2)でも良い。この絶縁膜は感光性膜のパターニングを良好に行ない、第1凹部の形成を良好に行なうためのものであり、および/または凹部形成時のエッチングストッパー等の役割を果たすものであるから、問題なければ基板111の第1面上に絶縁膜を形成せず、直接基板111の第1面上に感光性膜を形成することもできる。絶縁膜の厚みは、良好な感光性膜のパターニングのためには約100nm以上あれば良いが、エッチングストッパー用としては、基板とフォトレジスト、絶縁膜とのエッチング選択比を考慮して決定する。たとえば、凹部エッチング中にフォトレジストが完全にエッチングされて尚、凹部をエッチングする必要がある場合、絶縁膜と基板のエッチングレートの選択比が10(基板が速い)の場合、残りの基板のエッチング深さがXであるとき、絶縁膜の厚みはX/10以上ないと凹部エッチング途中で絶縁膜が消失してしまいその下の基板が露出して、この部分の基板もエッチングっされてしまう。また、凹部のサイズができるだけ変化しないような絶縁膜の厚みにする必要もある。このように絶縁膜の厚みは事前に調査しておけば、エッチング選択比や最も小さなサイズ変化量を有する絶縁膜の厚みを決定できる。感光性膜の厚みに関しても、凹部エッチング中に感光性膜が消失しないようにその厚みを決定する。感光性膜と凹部のエッチング選択比をfとし、凹部のエッチング量をXとし、感光性膜の厚みはX/f以上は必要で、さらに各種バラツキ(たとえば、凹部のエッチングバラツキ、最初の感光性膜のバラツキ)を考慮して感光性膜の厚みを決定すれば良い。たとえば、凹部のエッチング量を300μm、感光性膜と基板とのエッチング選択比を20とすると、感光性膜の厚みは、最低15μm必要であり、全部のバラツキを合わせて30%とすれば、20μmの厚みとすれば良い。更に、凹部の垂直エッチングのために必要な厚みを考慮して最終的な感光性膜の厚みとする。尚、ここで感光性膜の厚みは、感光する前の厚みではなく、パターニングしてエッチング前の厚みを言う。従って、感光性膜露光前のプリベーク、感光性膜露光後かつ現像後のベーク等の熱処理を経た後、かつその後のスカム処理を行なうならばそのスカム処理後の厚みとなる。尚、インプリント法によってパターニングする場合は、インプリントした後、さらにパターン凹部底のインプリント膜を除去後(たとえばO2プラズマ処理後)のインプリント膜の厚みとなる。
感光性膜のパターニング形状は、第1凹部の側面をパターン通りに形成するために、可能な限り垂直パターンが望ましい。次に感光性膜の開口部に露出している絶縁膜をエッチング除去する。この絶縁膜のエッチング形状は、感光性膜のパターニング形状および寸法にできるだけ忠実にサイドエッチングの少ない垂直パターンが望ましい。絶縁膜111をエッチング除去した後、感光性膜および絶縁膜の開口部に露出している基板111をエッチングする。第1凹部および第2凹部に挟まれた基板側壁はダイヤフラムとなるので、基板側壁の面内で厚み(基板側壁厚み)が均一なことが望ましい。そのために、第1凹部は、感光性膜のパターンに忠実でサイドエッチングの少ない垂直パターンが望ましい。ダイヤフラムとなる基板側壁はサイズが大きいほど圧力に対して変形量が大きくなるので、第1凹部の深さは深い方が良い。たとえば、基板厚みに対して50%〜90%の深さにする。基板厚みが500μmの場合には、第1凹部の深さは250μm〜450μmとなる。基板111がシリコン基板の場合は、深堀RIE(DEEP RIE=DRIE)法により感光性膜のパターン寸法に近い凹部を形成することができる。DRIE法には、ボッシュプロセス(Bosch Process)、低温冷却エッチング、NLD(magnetic Neutral Loop Discharge)法など種々の方法がある。
所望の深さの第1凹部126、127を形成した後、凹部内に堆積した有機膜等のデポ膜やパターニングされた感光性膜等を除去する。基板111の第1面上に形成した絶縁膜も除去しても良いし、必要なら残しておいても良い。ただし、第1凹部との間で絶縁膜が廂状に形成されている場合は、この後の導電体膜がこの部分で段切れする可能性があるので、絶縁膜を除去しておくことが望ましい。基板111が半導体基板および導電体基板の場合には、次に基板111の第1面側に絶縁膜112を積層する。基板111がガラス、セラミック、プラスチックやゴム等の絶縁基板の場合には、絶縁膜112を積層しなくても良い。絶縁膜112の目的は、この上に積層する導電体膜114等と基板111との電気的接続を防止することである。たとえば、この絶縁膜はシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)等である。これらの絶縁膜はCVD法、スパッター等のPVD法で積層できる。あるいは、SOG(Spin On Glass)膜によって形成したシリコン酸化膜等でも良い。シリコン半導体基板の場合は、酸化法によって形成したシリコン酸化膜(SiO2)でも良い。絶縁膜112の厚みは、たとえば50nm〜1000nmである。この絶縁膜112は、第1凹部の側面および底面にも当然積層する。
次にこの絶縁膜112上に導電体膜(第1導電体膜)114を積層する。導電体膜は、たとえば、ドーピングした多結晶シリコン膜、各種シリサイド膜、ITO膜等の透明導電体膜、金属膜の窒化物(導電体窒化物)、金属膜の酸化物(導電体酸化物)、金属膜や合金膜等である。金属膜はアルミニウム、金、銀、白金、パラジウム、チタニウム、モリブデン、タングステン、銅、クロム、亜鉛、鉄、ニッケル等で、これらの金属の合金である。これらの導電体膜は、CVD法やスパッター・蒸着等のPVD法により積層できる。第1導電体膜の厚みは100nm〜2000nm程度である。圧電体膜との密着性向上のために第1導電体膜を2層膜以上の導電体膜としても良い。たとえば一層目を白金膜(Pt)、その上にチタン(Ti)、その上に窒化チタン(TiN)の3層膜にする。次に、導電体膜114の必要なパターニングを行なった後に、導電体膜114上に圧電体膜116を積層する。圧電体膜は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、リチウムテトラボレート、チタン酸カルシウム、燐酸アルミニウム、石英、酒石酸カリウムナトリウム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電性ポリマー、窒化アルミニウム、燐酸ガリウム、ガリウムヒ素などである。これらの圧電体膜はスパッター法、CVD法等で積層できる。圧電体膜の厚みは100nm〜5000nm程度である。圧電体膜積層後に圧電体膜の圧電性向上のために必要な熱処理を行なっても良い。第1導電体膜114のパターニングを行なわない場合であって、第1導電体膜をスパッター膜とし、圧電体膜もスパッター法で積層する場合、同じスパッター装置で積層すれば、真空状態を確保しながら連続的に第1導電体膜上に圧電体膜を積層することができる。
次に圧電体膜116の不要な領域を除去した後、導電体膜(第2導電体膜)118を積層する。導電体膜は、たとえば、ドーピングした多結晶シリコン膜、各種シリサイド膜、ITO膜等の透明導電体膜、金属膜の窒化物(導電体窒化物)、金属膜の酸化物(導電体酸化物)、金属膜や合金膜等である。金属膜はアルミニウム、金、銀、白金、チタニウム、モリブデン、銅、クロム、亜鉛等で、これらの金属の合金である。これらの導電体膜は、CVD法やスパッター・蒸着等のPVD法により積層できる。第2導電体膜の厚みは100nm〜2000nm程度である。圧電体膜との密着性向上のために第2導電体膜を2層膜以上の導電体膜としても良い。たとえば一層目を窒化チタン(TiN)、その上にチタン(Ti)、白金膜(Pt)の3層膜にする。次に、導電体膜114の必要なパターニングを行なった後に、導電体膜114上に圧電体膜116を積層する。基板側壁131、132、133、134が変形するとそれに伴い圧電体膜116も変形し圧電体膜116の両側の面(上面、下面)に電荷を生じる。第1導電体膜114は圧電体膜116の下面と接触しているので、圧電体膜116の下面に発生した電荷を第1導電体膜114に引き出すことができる。第2導電体膜118は圧電体膜116の上面と接触しているので、圧電体膜116の上面に発生した電荷を第2導電体膜118に引き出すことができる。
次に導電体膜118のフォトリソ法およびエッチング法等により不要な部分を除去した後、絶縁膜120を積層する。この絶縁膜120は、たとえば、この絶縁膜はシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)等である。これらの絶縁膜はCVD法、スパッター等のPVD法で積層できる。あるいは、ポリイミド膜等の有機系絶縁膜でも良い。この絶縁膜120は第1導電体膜、圧電体膜116、第2導電体膜118からなる圧力センサーを保護する役目を果たす。絶縁膜の厚みは、500nm以上あれば良い。次に薄板(第1薄板)122を基板111の第1面側に付着させる。この薄板122は第1凹部126、127をカバーし保護している。薄板122は、絶縁基板、たとえばガラス、石英、プラスチック等の透明な絶縁基板、セラミック等の不透明な絶縁基板である。透明な絶縁基板の場合には、下のパターンを直接観察できるのでパターン合わせを容易に行なうことができ、合わせ精度を向上できる。特に、薄板122の不要な部分を除去したパターンを有する場合(たとえば、電極153や156を形成する領域や、圧力伝達孔137、138を前もって除去しておくなどのパターンを形成している場合や、圧力センサー領域以外のたとえばトランジスタ等を形成している領域を除去しておくなどのパターンを形成している場合)、薄板122を基板111の第1面に精度良く付着させる必要がある。また、電極等に接触しないようにすれば、半導体基板や導電体基板でも良い。
薄板122が基板111との付着する領域に接着剤を塗布または積層した後、薄板122を基板111に付着させる。必要なら熱処理を行ない薄板122が基板111から外れないように固定させる。薄板の厚みは50μm〜1000μm程度であるが、もっと薄くしても良い。あるいはもっと厚くても良い。圧力センサーをできるだけ薄くしたい場合はこの薄板122を薄くする必要がある。しかし、薄い薄板122を薄い状態で付着させるのは、付着工程で薄板122が変形する可能性がある。このような可能性がある場合には、別基板に熱軟化性接着剤(軟化温度Ts)を介して薄板122を付着させ、この状態で薄板122に所望のパターン形成(たとえば、上述した薄板122の不要な領域を除去する)を行なった後、薄板122の所定部分に熱硬化性接着剤(硬化温度Th)を塗布し、基板111に別基板(薄板122側)を付着させる。Th<Tsとすれば、ThとTsの間で熱処理を行なうことにより薄板122は強固に基板111に付着できる。その後、Ts以上の温度にすれば熱軟化性接着剤が軟化して別基板を薄板122から分離できる。この結果、かなり薄い(100μm以下、あるいは50μm以下の)薄板でも基板111の第1面上に付着させることができる。
別基板111に薄い薄板を付着する方法として、別基板に薄板を付着させた後CMPやBG法で薄板を薄くする方法や、別基板上に熱軟化性接着剤を形成した後、その上に薄板材料を塗布法やCVD法やPVD法で薄板材料を形成する方法などがある。薄板122を付着した後に薄板の不要な部分をフォトリソ法およびエッチング法により除去しても良い。薄板122は接着剤を使用せずに、基板111の第1面に薄板122を載せて圧力をかけて常温接合または高温接合を行なって、基板111の第1面に薄板122を付着させても良い。その後、感光性膜を形成しコンタクト孔151形成用のパターニングを行ない、絶縁膜120をエッチングした後圧電体膜116をエッチングしてコンタクト孔151に第1導電体膜112を露出させる。第2導電体膜118は既にこの領域において除去されているので、コンタクト孔形成時には第2導電体膜118を除去しなくても良い。次に感光性膜をリムーブした後、感光性膜を形成しコンタクト孔154形成用のパターニングを行ない、絶縁膜120をエッチングしてコンタクト孔154に第2導電体膜118を露出させる。尚、圧電体膜118も前もってこの領域から除去しておけば、この時点において圧電体膜118の除去も不要であり、絶縁膜120のエッチングだけで良いのでコンタクト孔154も同時に形成できる。次に感光性膜をリムーブした後、導電体膜152、155を積層し、さらに電極配線153、156を形成する。
このコンタクト孔および導電体膜・電極形成は薄板122を付着する前に行なうこともできるし、第2凹部を形成し第2の薄板を付着させた後に行なうこともできる。基板111に薄板122を付着させた後に、基板111の第2面側に第2凹部等を形成する。第2凹部129、128、130を形成する方法、絶縁膜113、導電体膜(下部電極膜)115、圧電体膜117、導電体膜(上部電極)119、絶縁膜121、コンタクト孔157、160、導電体膜158、162、電極・配線159、163、薄板(第2の薄板)123の形成方法や材料等は第1面側と同様である。
第1凹部と第2凹部に挟まれた基板側壁131、132、133、134は圧力センサーのダイヤフラムとなるので、できるだけ厚みを均一に形成する必要がある。そのためには第1凹部に対して第2凹部形成用の感光性膜のパターンを精度良く形成する必要がある。基板111がガラスや石英、透明プラスチック等の透明な材料の場合は、第1凹部が第2面側から見えるのでかなり精度の良い合わせが可能である。シリコン基板などの不透明な基板でも透過可能な波長の光を用いれば合わせ精度を高めることができる。また、第1凹部が形成された後は薄板122で第1面側を固定しているのでプロセス中に基板111の変形を少なくできるのでパターン形成の精度を向上することができる。また、第2凹部形成後も基板111の第1面側は薄板122で固定され補強されているので、プロセス中に基板111が変形することはない。さらに第2の薄板123を第2面側に付着させた後は基板111の第1面も第2面も強化されているので、かなり頑丈な基板となっている。
これまでの実施形態では、第1凹部および第2凹部を構成する基板は圧電体ではなかったが、次の実施形態では、第1凹部および第2凹部を構成する基板が圧電体となる場合である。図14(f)は、圧電体基板中に第1凹部および第2凹部を形成した場合の構造を実施形態(構造)を示す図である。圧電体基板211に第1凹部226、227および第2凹部228、229、230が形成されている。第1凹部226および第2凹部229を隔てている側壁231、第1凹部226および第2凹部228を隔てている側壁232、第1凹部227および第2凹部228を隔てている側壁233、第1凹部227および第2凹部230を隔てている側壁234は圧電体基板であり、これらの側壁が第1凹部の圧力P1と第2凹部の圧力P2との圧力差により変形するダイヤフラムとなる。これらの側壁および圧電体基板211の表面側(すなわち、第1凹部側)には、密着層212、導電体膜214、絶縁膜216が積層される。密着層212は圧電体基板211と導電体膜214との密着性が良くない場合に使用される、密着層といっても電気が流れる導電体膜であり、たとえば導電性接着剤やバリアメタル(密着性向上用)などの導電性膜である。密着性向上用であるから、圧電体基板211と導電体膜214とが密着性が良ければ必要はない。これらの側壁および圧電体基板211の裏面側(すなわち、第2凹部側)には、密着層213、導電体膜215、絶縁膜217が積層される。密着層213は圧電体基板211と導電体膜215とが密着性が良ければ必要はない。
圧電体基板211の表面側には、第1の薄板218が付着している。この第1の薄板218は圧電体デバイスを保護するとともに、第1凹部への圧力導入孔(第1凹部226へは圧力導入孔237、第1凹部227へは圧力導入孔238)を有しており、第1凹部へのスムーズな圧力伝達を行なえるようになっている。圧電体基板211の裏面側には、第2の薄板219が付着している。この第2の薄板219は圧電体デバイスを保護するとともに、第2凹部への圧力導入孔(第2凹部222へは圧力導入孔239、第2凹部229、230への圧力導入孔は図示していない)を有しており、第2凹部へのスムーズな圧力伝達を行なえるようになっている。圧力を固定したいときには、この圧力孔をなくせば良い。
圧電体基板211の表側にある導電体膜214は1つなぎになって接続している。すなわち、第1凹部側にある導電体膜214は連続していて良い。何故なら、第1凹部ではすべての側壁が第2凹部側に膨らむか、或いは凹むかであるから、同極の電位(すなわち、全部プラス側か、全部マイナス側である)が発生する(同じ側に分極する)。従って、側壁同士の導電体膜214を接続しても良く、電位が増幅されるので、感度が高まる。同様に、圧電体基板211の裏側にある導電体膜215は1つなぎになって接続している。すなわち、第2凹部側にある導電体膜215は連続していて良い。何故なら、第2凹部ではすべての側壁が第1凹部側に膨らむか、或いは凹むかであるから、同極の電位(すなわち、全部プラス側か、全部マイナス側である)が発生する。従って、側壁同士の導電体膜215を接続しても良く、電位が増幅されるので、感度が高まる。このように、第1凹部側の導電体膜214および第2凹部側の導電体膜215は、凹部領域でパターニングする必要がなく、単に積層すれば良いので、フォトリソ工程をなくすことができる。(ただし、凹部以外の領域においては配線パターンを形成する必要がある。特に凹部領域は急激な段差形状となっているため、後述する電鋳レジスト法や斜め露光法など特殊な方法でパターニングする必要があるので、凹部パターニングは手間がかかるが。これらが不要となるメリットは大きい。)第1凹部226の底部にある圧電体基板235、第1凹部227の底部にある圧電体基板236は、第2の薄板219と付着して固定されているので、圧力P1が変動しても殆ど変形しないから、この領域における電荷の発生は殆どない。同様に、第2凹部228の底部にある圧電体基板240も第1の薄板218と付着して固定されているので、圧力P2が変動しても殆ど変形しないから、この領域における電荷の発生は殆どない。
図13(c)は、図14(f)に示す構造、すなわち圧電基板を側壁基板として用いたどき、凹部の圧力変化によって側壁基板が変形した場合を示す模式図である。図13(c)は、図14(f)と同様に断面構造で示している。図13(c)において、圧電体基板側壁53の両側に導電体膜54、56が、その上に絶縁膜55、57が形成されている。凹部68のもう一方の圧電体基板側壁58の両側に導電体膜59、61が、その上に絶縁膜60、62が形成されている。圧電体基板側壁53および58の上部は第1の薄板63が付着し、圧電体基板側壁53および58の下部は第2の薄板64が付着している。凹部68はこれらの側壁および薄板によって囲まれた閉空間となっているが、第1の薄板63に備わる圧力導入孔65から圧力P1が印加される。圧電体基板側壁53の左側の凹部69への圧力導入孔66は第2の薄板64に形成され、圧力P2が印加される。圧電体基板側壁58の右側の凹部70への圧力導入孔67は第2の薄板64に形成され、圧力P3が印加される。P2、P3<P1のとき、圧電体基板側壁53および圧電体基板側壁58は図13(c)に示すように外側へ(凹部69および凹部70側へ)へ膨らみ変形する。圧電体基板側壁53や58の厚みが側壁の高さ方向に対して一定であり、上下の第1の薄板63および第2の薄板64に規制されていれば(すなわち、圧電体基板側壁53および58と第1の薄板63および第2の薄板64との結合部分が動かなければ)、圧電体基板側壁53や58の中心付近が最も変形する。この変形に伴い圧電体基板側壁53の凸側表面に電荷が発生し(分極する)、また圧電体基板側壁53の凹側表面には凸側と逆の電荷が発生し(分極する)、この間に電位差が生じる。すなわち導電体膜54から引き出した電極端子C1と導電体膜56から引き出した電極端子C2との間に電位差が生じる。一方、圧電体基板側壁58の凸側表面に電荷が発生し(分極する)、また圧電体基板側壁58の凹側表面には凸側と逆の電荷が発生し(分極する)、この間に電位差が生じる。すなわち導電体膜59から引き出した電極端子C4と導電体膜61から引き出した電極端子C3との間に電位差が生じる。C1とC4は同じ極性電位であり、C2およびC3は同じ極性電位であるため、これらを合わせれば(C1およびC4を接続、C2およびC3を接続)電位が大きくなり、感度が高まる。
次に図14(f)に示す本発明の圧電体基板211を用いた圧電素子の製造方法を説明する。図14(a)に示すように、圧電体基板211の第1面(表面)上に絶縁膜271を形成し、さらにその上にフォトレジスト272を形成し、第1凹部形成用の窓273を開ける。圧電体基板は、圧電効果を示す物質の基板であり、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛{ジルコニウム酸・チタン酸鉛(Pb(ZrXTi1−X)O3 0<x<1)とも呼ばれ、いわゆるPZT}、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、リチウムテトラボレート等のペロブスカイト構造やタングステン−青銅構造を持つセラミックスであり、あるいは石英、水晶、ロッシェル塩、トパーズ、電気石(トルマリン)、ベルリナイト(リン酸アルミニウム)、窒化アルミニウム、リン酸ガリウム、ガリウムヒ素などであり、あるいは圧電性ポリマー{たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)}、あるいはこれらを主成分とする材料などである。
絶縁膜271は、圧電体基板211の表面を保護するため、および圧電基板211とフォトレジスト272との密着性を向上させるためのものであるが、不要である場合には形成しなくても良い。絶縁膜271は、たとえばCVD法やPVD法で形成したシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)である。圧電体基板211の厚みは圧電素子の大きさに依存するが、約1μm〜2000μmである。圧電体基板が薄く取り扱いが困難である場合には別基板に付着してプロセスすることができる。凹部を精度良く形成できれば2000μmより厚いものでも本発明を適用できる。絶縁膜271の厚みは、密着性改良の目的としては約0.1μm〜1μmであるが、圧電体基板211をエッチングするときにフォトレジスト272もエッチングされるが、フォトレジスト272がすべてエッチングされる場合には絶縁膜271がマスクとなるので、圧電体基板211のエッチング終了時には絶縁膜271を残しておく必要があるから、それらを考慮して絶縁膜271の厚みを決定する。これらを考慮して概ね約0.1μm〜3μmである。フォトレジスト272の厚みは、エッチングする圧電体基板の厚みに依存すると同時に、エッチング時のフォトレジスト膜と圧電体基板とのエッチング選択比による。選択比が高い(圧電体基板の方がエッチング速度がより大きい)場合には、フォトレジスト272の厚みを薄くできる。たとえば、圧電体基板の厚みが300μmであり、エッチング選択比が10である場合には、フォトレジストの厚みは30μm以上あれば良い。(エッチングバラツキも考えて約40μm〜50μmあれば良い。)フォトレジストが厚くなると焦点深度が深い露光法やそれに対応するフォトレジスト膜を選定する。第1凹部はできるだけフォトレジストのパターンに忠実にしかもできるだけ垂直な形状が良いので、フォトレジストの開口部273の形状もできるだけ垂直な形状が望ましい。
次に、フォトレジストパターン272をマスクとして、開口部273において絶縁膜271をドライエッチングまたはウエットエッチングによりエッチング除去する。絶縁膜271がシリコン酸化膜(SiOx)である場合には、ウエットエッチングではBHF液(緩衝フッ酸液)等のフッ酸系水溶液を用いる。ドライエッチングの場合には、CF4、C2F6、C3F8等のエッチングガスによりドライエッチング装置を用いてシリコン酸化膜(SiOx)をエッチングする。エッチング形状は、できるだけマスクパターンに忠実にしかも垂直パターンが望ましい。従って、異方性エッチングが望ましい。絶縁膜271がない場合には当然絶縁膜271のエッチングは必要がない。次に、フォトレジスト272およびエッチングした絶縁膜271をマスクにして、開口部273において露出した圧電体基板211のエッチングを行なう。圧電体基板211のエッチング形状もマスクパターンにできるだけ忠実にしかも垂直パターンが望ましい。たとえば、圧電体基板がPZTである場合は、エッチングガスとして、C3F8やSF6やCl2等でドライエッチング装置を用いて異方性エッチングして垂直パターンを形成できる。このようにして、圧電体基板211内に第1凹部226および227を形成する。第1凹部226および227を形成後、フォトレジストパターン272を除去する。このレジスト除去は酸素プラズマによるアッシングや硝酸系リムーブ液や有機系レジスト剥離剤を用いて行なう。尚、絶縁膜271は問題なければ残しておいても良いし、除去しても良い。
基板の厚みをHs、第1凹部の深さをHc1、第1凹部の幅をWc1とする。Hsは前述したように10μm〜2000μm、Hc1は当然Hsより小さいが、Hc1は大きいほど圧電体基板211の側壁の変形が大きくなるので、それだけ多くの電荷が発生するが、エッチングバラツキを考えて、また第1凹部の底部274の強度を考慮すれば、Hsの10%程度は残しておくことが望ましい。たとえば、500μmの基板厚みであれば、約50μm程度残しておことが望ましい。ただし、後述するようにこの部分には第2の薄板が付着するので、もっと薄くしても実用上の強度は問題ない。第1凹部の幅Wc1は、この後に密着層、導電体膜、絶縁膜を積層するので、第1凹部の内部まで積層できる程度の幅が必要である。これは当然これらの膜の積層方法にも依存する。現状の技術では、CVD法の場合アスペクト比(Hc1/Wc1)が20程度であれば、これらの膜形成が可能である。PVD法の場合は10程度である。たとえば、Hc1が300μmで、Wc1が30μmで、アスペクト比10)、第1凹部内部へのスパッター導電膜の積層は可能である。Wclは小さいほど圧電体基板内の圧電素子の平面サイズは小さくできる。Wc1方向にも圧電体基板側壁を作るとき(Wc1とHc1で決まるダイヤフラム)はWc1はある程度の大きさが必要となるので、上記の膜形成には有利になる方向となる。この場合には、直方体形状の第1凹部の側壁の4面にダイヤフラムを形成できる。
たとえば、第1凹部の奥行き(長手方向)をLc1(直方体形状の第1凹部の、Hc1およびWc1以外の残り1辺の長さであり、図14(a)では斜めに記載しているが、この図は断面構造なので実際にはLc1は紙面に垂直方向となっている)としたとき、Lc1とHc1は同程度のサイズである(ことが望ましい)から、4面がダイヤフラムになる場合のWc1もHc1と同程度のサイズとなる(ことが望ましい)。尚、Hc1が300μmとしたときに、(第1凹部の最小幅Wc1を30μm、第2凹部の最小幅Wc2も30μm、圧電体側壁の幅を10μmとすると、)第1凹部の4つの側壁にダイヤフラムを形成するときに、380μmの大きさが必要となるが、1方向(たとえば横方向)に第1凹部および第2凹部の組合せを並べると、1つの組合せで70μm必要なので、約5組のダイヤフラム組みが380μmの大きさの中に入る。従って、本発明の場合には、1つの第1凹部の周りに4面を形成するダイヤフラムよりも1方向に並べたダイヤフラムの方が小さくできる。(約2.5倍有利となる。)本発明の場合には、第1凹部に導電体膜等を形成すれば、これらの膜について第1凹部領域でパターニングする必要がないので、1方向に並べた方が良い。上述した30μmも薄膜形成技術のさらなる向上によりもっと小さくできるので、将来はさらに有利となる。従って、従来の平面的なダイヤフラムと比較すれば約10倍も有利となり、同じ面積であれば本発明は従来法に比べて約10倍の感度になることを意味する。当然将来はさらに大きなアスペクト比でも第1凹部の内部への膜形成が問題なく可能となるので、さらに小面積で感度アップになる。
第1凹部226および227内の異物を除去し洗浄した後に、図14(b)に示すように、圧電体基板211の第1面(表面)に密着層212、導電体膜214を積層する。導電体膜214は導電性の薄膜であり、たとえば、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)やこれらの合金である。密着層212も導電体膜であるが、導電体膜214と圧電体基板211との密着性を向上させる導電体膜である。密着層212も導電体膜であり、たとえばチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)である。密着層212は必要がない場合には積層する必要はない。たとえば、密着層212の膜厚は0〜100nmであり、導電体膜214の膜厚は10nm〜2000nmである。圧電体基板211に力が作用し分極したときに、その電荷を密着層212および導電体膜214を通して引き出すことができる。前述したように、第1凹部内で発生する電荷は同じ極性であるから、この導電体膜214(密着層212を含む)は第1凹部内でエッチングしてパターニングする必要はない。ただし、異なる第1凹部内の導電層214(密着層212を含む)を接続するパターンを形成する場合、第1凹部の領域以外の不要な導電層214(密着層212を含む)は除去する必要があるので、そのためのパターン形成をフォトリソ法および導電層214(密着層212を含む)のエッチングを行なう。このとき第1凹部226や227の領域はフォトレジストで被覆しておく。次にフォトレジストをリムーブした後で、絶縁膜216を積層する。この絶縁膜216は第1凹部や導電体膜214を保護するもので、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒化膜等で、CVD法、PVD法で積層する。
次に、図14(c)に示すように、圧電体基板211の第1面(表面)にサポート基板(第1の薄板)276を付着する。このサポート基板276は第1凹部等圧電体基板211の第1面(表面)に形成された第1凹部等の素子を保護するとともに、第2凹部形成時に圧電基板211の強度が減少するので、圧電基板211が損傷しないようにすること、プロセス時に圧電基板が変形してパターンゆがみがないようにすることが目的である。従って、問題が発生しない場合には必要がない。たとえば、圧電体基板211内に凹部の割合が少なければ基板のゆがみが少ない。サポート基板として、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、プラスチック基板等の絶縁基板、あるいは金属板等の導電体基板でも良いし、半導体基板でも良い。強度やプロセス条件に合わせて適宜選択すれば良い。サポート基板を第1の薄板としても使用する場合は圧電素子の使用環境も考慮して信頼性の高い物を使用する必要があり、上記の材料から厚みも含めて適宜選定すれば良い。
サポート基板276を圧電基板211に付着させる方法として、常温接合する方法や、真空圧着する方法、高温接合や拡散接合、接着材を用いて付着する方法などがある。接着剤を用いる場合には、第1凹部にできるだけ接着剤が入らないようにするために、サポート基板276の必要な部分(圧電体基板211とサポート基板が付着する部分)だけに接着剤をコートしてからサポート基板276を圧電基板211にパターンを合わせ込んで付着させる。たとえば、マスクを用いて接着剤をサポート基板276の必要な部分にコート(スクリーン印刷も可能)した後に、サポート基板276を圧電体基板211に付着させる。接着剤を用いた時には所定の熱処理等を行ない、サポート基板276を圧電体基板211に確実に固着させる。また、接着剤はこの後のプロセスにおいても付着力が低下しないような材料および接着条件を選定する。
サポート基板276を第1の薄板として用いる場合には、一度付着させた後はサポート基板276を圧電基板211から外す必要はないが、サポート基板276を第1の薄板として用いない場合には、圧電基板211の裏面処理が終わった後に取り外す必要があるので、接着剤として取り外すことが可能なものを選定する。たとえば、熱軟化性接着剤で、第2凹部形成プロセスの温度(T2)では軟化しないが、それよりも高い温度で軟化する接着剤を用いることにより、第2凹部プロセス終了後に、T2より高い温度をかけて圧電体基板211からサポート基板276を取り外す。サポート基板276を第1の薄板として用いる場合には、接着剤はT2では軟化しない熱軟化性接着剤でも良いし、あるいは熱硬化性接着剤でも良い。また、サポート基板276を第1の薄板として用いる場合において、第1凹部に圧力導入口を設けない場合は、サポート基板276を圧電体基板211に付着した時に第1凹部に閉じ込めた圧力(これをP0とする)で、その後の第1凹部内の圧力は決定される。P0を真空に近く(P0がほぼ0気圧)したいときは、そのP0の圧力下でサポート基板276を圧電体基板211に付着させる。またP0を1気圧にしたいときは、大気圧下でサポート基板276を圧電体基板211に付着させれば良い。
次に、圧電体基板211の裏面に第2凹部を形成する。圧電体基板211の第2面(裏面)に絶縁膜277を形成する。この絶縁膜277の目的や形成方法は絶縁膜271と同様である。フォトリソ法を用いて、この絶縁膜277上に第2凹部を形成するためのフォトレジストパターン278を形成する。フォトレジストの開口部279は、第2凹部を形成するための開口部である。フォトレジストパターン278およびフォトレジストの開口部279は、圧電体基板211の第1面(表面)のパターン、特に第1凹部226および227に合わせて位置合わせされて形成される。圧電体基板211が透明もしくはある程度(特定の)光を透過しやすければ、圧電体基板211を透過できる波長を有する光を表面から裏面に向けてその波長の光を照射すれば、その光を受けて直接圧電体基板211の第1面(表面)のパターンに合わせて、裏面のフォトレジストパターン278、279をアライメント(合わせ込み)できるので、高い精度の位置合わせを行なうことができる。たとえば、合わせ精度を0.3μm〜0.1μm以下にすることもできる。圧電体基板がPZTの場合は、500nm〜800nmの波長範囲(可視光の範囲)において光の透過率が50%以上あるので、可視光を基板表面から照射して基板裏面のパターン(マスク)に位置合わせができる。また、フォトレジスト278は、第1凹部よりも少し大きめにパターニングされる。すなわち、第1凹部の幅Wc1よりも片側が圧電体基板211の側壁の厚み分は大きく形成される。
次に図14(d)に示すように、フォトレジストパターンの開口部279で露出している絶縁膜277をエッチング除去する。この絶縁膜277のエッチングは絶縁膜271のエッチングと同様である。次にフォトレジストパターンの開口部279で露出してきた圧電体基板211をエッチング除去する。このエッチングパターン形状は、フォトレジストパターン278にできるだけ忠実に形成す必要があるので、垂直なパターンが望ましい。また、第1凹部と第2凹部で挟まれた圧電体側壁の厚みはできるだけ等しいことが望ましい。ずなわち、図14(d)において、Wsc―1=Wsc−2=Wsc−3=Wsc−4であることが望ましい。従って、フォトレジストパターン278の幅をWr278、このフォトレジストパターンによってエッチングされたパターン幅をWc2とすれば、好適にはWc2=Wr278であり、好適にはWc2=Wc1+Wsc―1+Wsc−2である。従って、できるだけサイドエッチングの少ない垂直形状の第2凹部228、229、230を形成することが望ましい。
また、第2凹部は第1面に貫通しないようにし、第2凹部の底部240において圧電体基板211を一部残すようにする。尚、このエッチング方法も第1凹部の形成方法と同じで良い。第2凹部の底部240の厚みは、圧電体基板211の5%〜15%残すことが望ましい。たとえば、圧電体基板の厚みが500μmである場合には、25μm〜75μm残すことが望ましい。5%以下になると、エッチングばらつきなどにより、基板(ウエハ)内で圧電体基板211がなくなる部分が出る可能性があり、15%以上に厚くなると、圧電体基板を有効に使っていないことになる。ただし、この第2凹部の底部240では圧電体が極めて薄くなっても存在しさえすれば本発明の特性上は問題ない。すなわち、第2凹部の圧電体基板底部240は、既にサポート基板276に付着しているので、強度的には既に強固に補強されているので、特に問題ない。ただし、サポート基板276を外して、第1の薄板を付着させるまでの工程では、この部分が損傷しないように細心の注意を払う必要がある。第2凹部228、229、230を形成したことにより、第1凹部226、227との間に圧電体基板の側壁231、232、233、234が形成され、これらの側壁がダイヤフラムとなり、第1凹部内圧力と第2凹部内圧力との差によって変形し、それに対応して圧電効果によりこの部分が分極し、圧電体基板211の両サイド面に逆の電荷が発生する。
次にフォトレジスト278をリムーブする。このリムーブ方法は、フォトレジスト272の除去と同様である。圧電体基板211の第1面側の素子(第1凹部や導電体膜)は、サポート基板276で保護されているので、このリムーブ時にダメッジ等が入ることはない。第1凹部の底部235や236の厚みも圧電体基板211の厚みの10%程度は存在するので、問題はない。さらに、奥行き側は、厚い圧電体基板が存在して支持しているので、このフォトレジストリムーブやこの後のプロセスで変形することはない。絶縁膜277は問題なければ残しておいても良い。エッチングする場合は、その絶縁膜をエッチングする水溶液(たとえば、絶縁膜がシリコン酸化膜であればフッ酸系のエッチング液)やドライエッチング法で除去すれば良い。ただし、圧電体基板211が露出しているので、この圧電体基板211を極力エッチングしない材料およぶ条件を設定する必要がある。
次に、図14(e)に示すように、第2面側に密着層213、導電体膜215、絶縁膜217を積層する。この、密着層213は密着層212と同様の目的および同程度の材料や条件で良い。また、導電体膜215は導電体膜214と同様であり、絶縁膜217は絶縁膜216と同様である。第1凹部や第2凹部が形成されているので、圧電体基板211は図14(e)においてはかなりエッチングされ強度が弱くなったように見えるが、実際にはこの図14の紙面と垂直方向にも壁があり、凹部のない厚い基板が残っている領域も多いので、プロセス中の基板211の強度は充分である。さらにサポート基板276は圧電基板211の全体をカバーして支持しているので、圧電基板211の強度は問題ない。尚、密着層213および導電体層215は同じ装置内で積層可能なので連続的に積層可能である。たとえば、スパッター装置を用いて、最初にアルゴンスパッタエッチングを行なって圧電体基板の表面の絶縁膜等を軽くエッチング除去して(逆スパッターとも言う)、その後でチタンをスパッターし、さらに連続して白金等の導電体膜を積層することができる。第1面(表面)側と同じく、導電体膜215は第2凹部のある領域ではエッチング等する必要がないので、第2凹部の内部にこれらの膜を積層できれば本発明の圧電素子を作製できる。平坦な面においてフォトレジストでパターニングして導電体膜をエッチングするときには、第2凹部領域はフォトレジスト等でカバーしてエッチングされないようにしておけば良い。たとえば、ポジレジストを用いて第2凹部領域以外の場所は露光してパターニングすれば微細なパターンを形成でき、第2凹部領域は露光しなければ現像によってレジストは溶解しないので、ポジレジストを第2凹部領域に残しておくことができる。
次に図14(f)に示すように、圧電体基板211の第2面(裏面)に第2の薄板219を付着する。付着する手段や方法は、サポート基板276の付着と同様である。薄板219は本発明の圧電素子を保護するためのもの(特に第2面側に面している第2凹部や配線等)であり、一種のパッケージと考えて良く、このままでも使用することができる。薄板219はたとえば、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、プラスチック基板等の絶縁基板である。あるいは、金属等の導電体基板でも良い。導電体基板の場合には、電極間でショートしないように配慮が必要であるが、静電気に強いという特徴を持たせることができる。あるいは半導体基板でも良い。薄板219の厚みは、20μm〜2000μm(もっと厚くても良い)であり、使用環境や厚みの制限(薄いパッケージの場合には、当然厚みを薄くする)や強度などによって適宜選定すれば良い。第2凹部の圧力を閉じ込める場合には、第2の薄板219を付着させるときのプロセス時の圧力をその圧力に合わせておいて、その圧力下で完全密閉すれば良い。また、第2凹部内にプロセス中に生じるアウトガス等を吸着して内部圧力を下げるガス吸着剤を第2凹部内に入れておいても良い。これは第1凹部も同様である。ガス吸着剤としては、たとえばジルコニア系のものを入れておけば、少なくとも水分、酸素、水素、二酸化炭素、窒素などの一部または全部を吸着できる。
第2の薄板219を圧電体基板211の裏面(第2面)に付着した後で、サポート基板276を除去して、(またはその上に)第1の薄板を付着させても良い。第1の薄板の付着方法は第2の薄板の付着方法と同じである。あるいは、第1の薄板はサポート基板276で代用することもできる。代用すれば、サポート基板276を取り外す必要もなくプロセスを簡略化できる。サポート基板276や第2の薄板219や第1の薄板を薄くするときは、これらを付着した後で、エッチングまたは研磨して薄くしても良い。CMP法(化学的研磨法)を用いれば精度良くサポート基板や薄板を薄くできる。10μm〜200μm程度に薄くすることもできる。前述したように、別基板に付着した薄い薄板やサポート基板を圧電体基板の表面や裏面に付着して、その後で別基板を除去しても良い。
次に、圧力導入孔や引き出し電極・配線を形成する。まず、圧電基板211の第1面側に付着したサポート基板276(あるいは第1の薄板218)に圧力導入孔237、238を形成する。そのためにフォトリソ法を用いて圧力導入孔237,238を形成すべき場所以外をフォトレジストで被覆する。フォトレジストは塗布法やドライフィルムを用いることができる。あるいはインプリント法を用いてパターニングすることもできる。この導入孔は微細である必要はないので、ウエットエッチングで形成しても良い。サポート基板276(または第1の薄板218)がガラス基板の場合は、BHF等のフッ酸系のウエットエッチング液でエッチングする。もちろん、ドライエッチングで形成しても良い。サポート基板276(または第1の薄板218)がガラス基板の場合は、ドライエッチング装置を用いてCFx系、SFx系等のフッ素系ガスなどでガラス基板をエッチングする。このサポート基板276のエッチングのときに、導電体膜214や215からコンタクト孔内配線を介して電極・配線を引き出すために、この領域281にあるサポート基板276も同時にエッチング除去する。このサポート基板276を除去すると絶縁膜216が露出する。サポート基板276のエッチング速度より絶縁膜216のエッチング速度を遅くすれば(エッチング選択比を高めれば)、絶縁膜216を余りエッチングせずにサポート基板276を除去することができる。サポート基板276がガラス基板で絶縁膜216をプラズマCVD法で積層したシリコン窒化膜にして、BHF等のフッ酸系水溶液でサポート基板276をエッチングすればその下地の絶縁膜216は殆どエッチングされない。
フォトレジストをリムーブした後で、コンタクト孔254を形成するためのフォトリソ工程を行ない、コンタクト孔254を形成する部分の窓開けを行ない、窓開けした部分から絶縁膜216をエッチングしてコンタクト孔254を形成する。絶縁膜216がシリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)であるときには、ドライエッチング装置を用いてCF4やC2F6やC4F8等のフッ素系ガスなどで絶縁膜216をエッチングしコンタクト孔254において導電体膜214を露出させる。この後レジストをリムーブし、コンタクト孔254に導電体膜255を積層する。この導電体膜255は選択CVD法やメッキ法を用いてコンタクト孔254だけに積層しても良い。
たとえば、WF6ガスを用いて選択CVD法でコンタクト孔254のみ(導電体膜214が露出している部分のみ)にタングステン(W)膜を選択成長させることができる。あるいは、メッキ法で導電体膜216上にたとえば銅(Cu)膜を積層することができる。あるいは、圧電基板211の第1面全体に導電体膜を積層することにより、コンタクト孔254にも導電体膜255を積層できる。この場合には電極・配線256となる導電体膜とも兼用することができ、導電体膜積層後フォトリソ法および導電体膜のエッチングにより、電極・配線256を形成する。このとき、コンタクト孔に形成された導電体膜255の上は必ず電極・配線で被われているので、同時にコンタクト配線255も形成される。ここで形成する導電体膜は、たとえばアルミニウム、銅膜、Ti,Cr、W,Mo、金膜などの金属膜、または各種シリサイド膜等であり、導電体膜214や絶縁膜216との密着性向上のために、および導電体膜214とのコンタクト性を良好にするために、バリアメタルを形成してからこれらのアルミニウム等を形成する。バリアメタルとして、たとえばチタン、窒化チタン(TiNx)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaNx)等がある。バリアメタルの膜厚はたとえば10nm〜100nm、導電体膜256の膜厚はたとえば500nm〜2000nmである。バリアメタルおよびアルミニウム等の導電体膜はスパッター法や蒸着法あるいはCVD法を用いて連続形成することができる。尚、あらかじめ引き出し電極(コンタクト孔を含む)を形成すべき領域281の第1の薄板218(あるいはサポート基板276)を除去してから、圧電基板211に付着すれば、薄板218(あるいはサポート基板276)の除去は必要がない。
次に、導電体膜215からの引き出し電極・配線253を第1面(表面)側に形成するためのプロセスを説明する。この場合、コンタクト孔250は、コンタクト孔254に比べて、さらに導電体膜212、密着層212、圧電体基板211、密着層213を通して形成する。すなわちこれらの膜をすべて順番にエッチングしていく。まずフォトリソ法を用いてコンタクト孔250のレジスト窓開けを行なう。この窓から絶縁膜216、導電体膜214、密着層212、圧電体基板211、密着層213をエッチングする。(密着層213は導電体膜なので残しておいても良い。)1回のプロセスで行なうと簡単なので、ドライエッチング装置でエッチングする膜質ごとにエッチングガスやエッチング条件を変えながら順次エッチングしていくことが望ましい。1つのドライエッチング装置で行なうことが難しければ。膜質ごとに装置を変えてエッチングしても良い。コンタクト孔250を形成した後でレジストを除去する。このとき導電体膜214や密着層212もコンタクト孔250に露出しているので、この部分を絶縁膜で被覆するために、絶縁膜251を積層するとコンタクト孔の側壁に絶縁膜251が形成される。この絶縁膜251は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒化膜である。コンタクト孔底部の導電体膜215の上にも絶縁膜251が積層しているので、圧電基板211の第1面側から絶縁膜251の全面エッチング(異方性エッチング)を行なう。この異方性エッチングにより、コンタクト孔250の底部の絶縁膜251は完全にエッチングされ、導電体膜215が露出するが、コンタクト孔250の側壁絶縁膜251は深さ方向に対してはかなり厚いので、コンタクト孔250側壁の絶縁膜251は殆どエッチングされない。この後で導電体膜252および253を積層し、フォトリソ法および導電体膜のエッチング法を用いて電極・配線253を形成する。導電体252は選択CVD法やメッキ法で形成しても良い。形成方法や形成手段、バリアメタル等の積層に関しても電極・配線256を形成する場合と同様である。ただし、コンタクト孔254よりコンタクト孔250は深いので、選択CVD法やメッキ法はコンタクト孔250への被覆性の良い条件で行なうことが望ましい。また、導電体252は、電極・配線用の導電体膜253と兼用しても良いが、コンタクト孔250へ被覆性の良い条件で積層することが重要である。以上のようにして、図14(f)に示すように、圧電基板211の第1面(表面)に導電体膜214や215からの引き出し電極・配線256や253を形成することができる。
次に基板211の裏面側(第2面側)で電極を形成する方法について説明する。この方法や手段は第1面側と同様であるが、第2の薄板219の上に電極・配線を取りだす方法について説明する。導電体膜215から電極・配線259を引き出す場合は、図14(f)に示すように、第2の薄板219にコンタクト孔257形成用のフォトレジストの窓開けをフォトリソ法を用いて行なう。次に窓開けした所より第2の薄板219をエッチングする。第2の薄板がたとえばガラス基板の場合には、ウエットエッチングであればたとえばBHF等のフッ酸系エッチング液で第2の薄板をエッチング除去する。ドライエッチングであれば、CF4やCHF3系のフッ素系ガスなどを用いて第2の薄板をエッチング除去する。その後で絶縁膜217をエッチングして導電体膜215を露出する。この後レジスト等をリムーブして、バリアメタルおよび導電体膜を積層して、フォトリソ法およびエッチング法により、コンタクト内導電体膜258および導電体・配線259を形成する。導電体膜258は選択CVDやメッキで行なっても良い。
導電体膜214から電極・配線263を取りだす方法については、電極・配線253を形成する場合に加えて第2の薄板219を最初にエッチング除去する方法が加わる。コンタクト孔260が形成した後に側壁絶縁膜261を形成して導電体膜215および密着層213を被覆する。その後でコンタクト導電体膜262および電極・配線263を形成する。上述の説明では、導電体膜214および215からの引き出し電極は第1面側にも第2面側にも作製したが、どちらか一方だけで良い。たとえば、導電体膜214の引き出し電極は第1面側から、導電体膜214の引き出し電極は第2面側から引き出すことによって、深いコンタクト孔250、260を形成することがないので、プロセスが簡単でしかも信頼性を向上できる。さらに、上記から分かるように、圧電基板211や薄板218(219)にもコンタクト孔をあけるとアスペクト比が大きくなるので、もっと好適には、導電体膜214からの引き出し電極は第1面側の絶縁膜216上に形成し、導電体膜215からの引き出し電極は第2面側から絶縁膜217上に形成すると良い(上述では、第2の薄板にもコンタクト孔をあけたが、この部分の第2の薄板219をあらかじめ除去しておく)。尚、第2の薄板219にも第2凹部228、229、230等への圧力伝達孔(たとえば、239)を形成する。圧力伝達孔の形成方法は、第1の薄板218やサポート基板276に形成する場合と同様であり、コンタクト孔を形成するときに一緒に圧力伝達孔を形成することもできるし、別々に形成しても良い。また、コンタクト孔257や260を形成すべき領域の第2の薄板219を除去したもの(第2の薄板219)を圧電体基板211の第2面(裏面)に貼りつけても良く、このときはコンタクト孔257や260のアスペクト比が小さくなり、導電体膜をこのコンタクト孔内に形成することが容易となる。また、予め圧力伝達孔を作製した第2の薄板219を貼りつけても良い。さらに、圧力伝達孔や薄板またはサポート基板にコンタクト孔を形成する前に、薄板やサポート基板を研磨法やエッチングにより薄くすれば、圧力伝達孔やコンタクト孔を形成しやすくなる。またコンタクト孔のアスペクト比も小さくなるので導電体膜・配線の被覆性(ステップカバレッジ)も良くなる。ただし、この薄板やサポート基板をパッケージ体の保護材料として使用する時には、信頼性や強度を考慮してそれらの厚みを決定する必要がある。
以上の製造方法によって、圧電体基板内に形成した第1凹部および第2凹部に挟まれた圧電体基板側壁をダイヤフラムとした圧電素子を形成することができる。圧電素子は必要な数のダイヤフラムを接続すれば飛躍的に感度が上がり、より小さな圧力差も検出できる。従って、極めて良好な圧電素子(圧力センサー)を実現できる。たとえば、圧電基板の厚みを300μm、第1の薄板および第2の薄板の厚みを各100μmとすれば、パッケージ厚みが約500μm(0.5mm)の非常に薄い圧力センサーとなる。圧力導入孔のどちらか(第1面(表面)側か、または第2面(裏側)か)を閉じておけば(あけなければ)、絶対圧を検出することもでき、その環境中に本発明の圧力センサーパッケージを置いておくだけで、その環境の圧力を検出できる。
あるいは、逆に引き出し電極へ電圧を印加すれば基板側壁(ダイヤフラム)を自由に変形でき、凹部の中に入っている気体や液体を任意に吐き出すことができるとともに、外部からの気体や液体を凹部へ取り入れることもできる。すなわちポンプとしての役目を果たすことができる。たとえば、凹部の電極をマトリックス上に配置しておけば、それに対応する凹部を自由に動かすことができる。圧力伝達孔同士を接続すれば、凹部から別の凹部へ気体や液体を移送することができる。電圧の大きさによって基板側壁の変形量をコントロールできるので、凹部内の体積も自由にコントロールでき、圧力伝達孔を通じて気体や液体を凹部内に入れる量もコントロールできる。これらは、インクジェトデバイスへの応用も可能である。さらに圧力伝達孔に開閉バルブも取り付けておけば、この開閉バルブの制御と側壁の制御を任意にコントロールすれば複雑な動きが可能なポンプやガスおよび液体輸送システムを構築できる。さらに、本発明はP1、P2の圧力を変動させて圧電体基板を変形振動させることによって、発電も可能である。たとえば、脈動する液体の場合、第2凹部の圧力を固定しておき、第1凹部へ液体の出入を行なう。第1凹部へ液体が入ると第1凹部は膨らみ、第1凹部から液体が出ると第1凹部は窪む。これによって圧電体膜や圧電基板で発生した分極から電荷を引き出せば発電できる。(図13に示した構造も同様である。)本発明のデバイスは微小なので、人体に入れ込むことも可能であるから、ペースメーカー等の臓器動作用チップを人体に埋め込んだときに、人体の血流や息の変動を用いて発電することができる。さらに、靴底へ入れて歩く振動による空気流を用いて発電が可能である。また、本発明は大型化も可能なので床発電にも同様に使用できる。さらには海の波にも応用して発電できる。
図15は、インプリント法を用いて本発明の圧電デバイスを作製する方法を示す図である。圧電性ポリマー4011を基板4009上に塗布または滴下、またはシート(フィルム)状の圧電性ポリマー4011を付着させる。圧電性ポリマー4011は熱可塑性(熱軟化性)であり、ガラス転移点をTg4011とする。この圧電性ポリマー4011の温度をTg4011以上に上げ圧電性ポリマーを軟化または液状にした後、モールド4008を押しつける。あるいは、圧電性ポリマー4011が塗布膜または滴下膜またはゲル状膜である場合は、液状またはゲル状の状態でモールド4008を押しつけて、その後圧電性ポリマー4011の温度をTg4011以上に上げても良い。(図15(a))その後、Tg4011以下に温度を下げて圧電性ポリマー4011を硬化させて、モールド4011を離す。モールド4008の凸部4007は圧電性ポリマー4011の凹部4015を形成し、モールド4008の凹部4005は圧電性ポリマー4011の凸部4004を形成する。
次に凸部4004を有する圧電性ポリマー4011基板上に導電性ポリマー4013を塗布または滴下、またはシート(フィルム)状の圧電性ポリマー4011を付着させる。導電性ポリマー4013は熱硬化性であり、硬化温度Tg4013はTg4011より低い温度のものを選定する。(Tg4013<Tg4011)液状またはゲル状の導電性ポリマー4013は圧電性ポリマー4011基板の凹部4015にも入る。(図15(b))液状またはゲル状の導電性ポリマー4013に凸状パターン4012−cを有するモールド4012を押しつける。(図15(c))圧電性ポリマー4011側の温度をTg4013付近(T10)に上げて、導電性ポリマー4013側の温度はTg4013より低く保持する。T10はTg4013−5℃<T10<T10+10℃が良く、もっと好適にはTg4013−1℃<T10<T10+5℃が良い。その後モールド4012を導電性ポリマー4013から離すと、圧電性ポリマー4011の凹凸パターンに導電性ポリマー4013の薄い膜が付着する。圧電性ポリマー4011側の温度をTg4013とTg4011の間で保持し導電性ポリマー4013を完全に硬化させる。この結果、圧電性ポリマー4011の凹凸パターン上に導電性ポリマー4013の薄膜が形成される。{図15(d)}
次に、フォトリソ法またはインプリント法、さらにエッチング法を用いて、導電性ポリマー膜4013の配線パターンを形成する。ここで導電性ポリマー膜4013の配線パターンをしなくても良ければ行なわなくても良い。上述したように、圧電性ポリマー基板4011の凹部において導電性ポリマー膜4013をパターニングしなくても良く、圧電性ポリマー基板4011の上部で配線パターンを形成するときにパターニングすれば良く、プロセスが簡単である。次に、この圧電性ポリマー基板4011の導電性ポリマー膜4013上に絶縁性ポリマー4017を塗布または滴下、またはシート(フィルム)状の圧電性ポリマー4011を付着させる。絶縁性ポリマー4017は熱硬化性であり、硬化温度Tg4017はTg4011より低い温度のものを選定する。液状またはゲル状の絶縁性ポリマー4017は圧電性ポリマー基板4011の凹部にも入る。{図15(d)}液状またはゲル状の絶縁性ポリマー4017に突状パターン4016−cを有するモールド4016を押しつける。モールド4016の突状パターン4016−cは圧電性ポリマー基板4011の凹部4015に入る。{図15(e)}圧電性ポリマー4011側の温度をTg4017付近(T11)に上げて、絶縁性ポリマー4017側の温度はTg4017より低く保持する。T11はTg4017−5℃<T11<T11+10℃が良く、もっと好適にはTg4017−1℃<T11<T11+5℃が良い。その後、モールド4016を絶縁性ポリマー4017から離すと、圧電性ポリマー4011の凹凸パターン上に付着した導電性ポリマー4013上に絶縁性ポリマー4017の薄い膜が付着する。圧電性ポリマー4011側の温度をTg4017とTg4011の間で保持し絶縁性ポリマー4017を完全に硬化させる。この結果、圧電性ポリマー4011の凹凸パターン上に付着した導電性ポリマー4013上に絶縁性ポリマー4013の薄膜が形成される。{図15(f)}
図15(b)〜(e)においては、圧電性ポリマー4011側の基板4009は省略して記載していないが、基板4009は圧電性ポリマー4011基板のサポート基板でもあるから、圧電性ポリマー4011基板に付着させてプロセスした方が良い。次に圧電性ポリマー4011側の凹凸パターンがある方に第2の薄板4023を付着させる。圧電性ポリマー4011側の凹凸パターンの凸部と第2の薄板4023の間に接着剤4024を介して付着させても良い。この接着剤4024は熱硬化性樹脂であり、その硬化温度をTg4024としたとき、Tg4024はTg4011より低いものを選定する。温度をTg4024とTg4011の間で保持し接着剤4024を完全に硬化させ、圧電性ポリマー4011側の凹凸パターン側に第2の薄板4023を固着する。このとき、圧電性ポリマー4011側の凹凸パターンの凹部4015は第2の薄板4023と圧電性ポリマー4011との間で閉じられている。{図15(f)}
次に基板4009を圧電性ポリマー4011から離す。たとえば、Tg4011より高い温度にすることにより圧電性ポリマー4011が軟化するので、基板4009を圧電性ポリマー4011から離すことができる。次に圧電性ポリマー4011(第2の薄板4023に付着している)の温度をTg4011以上に保持すると、圧電性ポリマー4011は軟化する。圧電性ポリマー4011が軟化した状態で、モールド4018を圧電性ポリマー4011内に押しつけ、モールド4018の凸部を圧電性ポリマー4011の凹部領域となるべき部分4019に入れる。圧電性ポリマー4011の厚みが所定の厚みとなるようにできるだけ精密にアライメントして押しつける。次にTg4011より低い温度に下げて、圧電性ポリマー4011を硬化させた後、モールド4018を圧電性ポリマー4011から離すと、圧電性ポリマー4011の凹部4019が形成される。凹部4019においては、圧電性ポリマー4011の厚み、特に側面の厚みW4011を精度良く作る。{図15(g)、(h)、(j)}
尚、モールド押圧により、凹部4015が変形する可能性があるが、変形しない程度の圧力で制御する必要がある、あるいは、凹部4015のある領域において第2の薄板4023に圧力伝達孔をあけておき、この圧力伝達孔より凹部4015へモールドの押圧に対抗できる圧力(たとえば、エアー圧や窒素圧あるいは液圧)をかけておけば凹部4015の変形を防止することができる。あるいは、第2の薄板4023を付着する前に凹部4015に熱可塑性ポリマーを充填して硬化させておき、(このTgはTg4011より低い)後に第2の薄板4023にあけた圧力伝達孔から外へ流出させるという方法もある。あるいは熱可塑性ポリマーで充填させて別基板でふたをした後、導電性膜4021や絶縁性膜4025を形成した後、別基板を取り外し、凹部4015内のポリマーを取りだすという方法もある。
次に導電性ポリマー4021を塗布、または滴下、またはシート(フィルム)状の圧電性ポリマー4011を付着させる。特に圧電性ポリマー4011の凹部4019内に充填するようにする(あるいは充分入るようにする)。この導電性ポリマー4021は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である。この導電性ポリマー4021が熱硬化性樹脂の場合には、その硬化温度Tg4021はTg4011より低いものを選定する。{図15(j)}次に、モールド4022を液状またはゲル状の導電性ポリマー4021に押しつける。モールド4022の凸部は圧電性ポリマー4011の凹部4019に入る。このとき、押圧により、凹部4015が変形する可能性があるが、変形しない程度の圧力で制御する必要がある、あるいは、凹部4015のある領域に第2の薄板4023に圧力伝達孔をあけておき、この圧力伝達孔より凹部4015へモールドの押圧に対抗できる圧力(たとえば、エアー圧や窒素圧あるいは液圧)をかけておけば凹部4015の変形を防止することができる。あるいは、第2の薄板4023を付着する前に凹部4015に熱可塑性ポリマーを充填して硬化させておき、(このTgはTg4021より低い)後に第2の薄板4023にあけた圧力伝達孔から外へ流出させるという方法もある。あるいは熱可塑性ポリマーで充填させて別基板でふたをした後、導電性膜4021や絶縁性膜4025を形成した後、別基板を取り外し、凹部4015内のポリマーを取りだすという方法もある。尚、導電性ポリマー4021が光硬化性樹脂の場合は、モールド4022を導電性ポリマー4021に押しつけた後に、硬化する光を照射する。従って、モールド4022、あるいは第2の薄板4023はこの光を透過する材料、たとえばガラスや石英で形成されていることが望ましい。{図15(k)、(m)}
次に、全体の温度をTg4021とTg4011の間で保持して、導電性ポリマー4021を硬化させて、モールド4022を離せば、圧電性ポリマー4011上に導電性ポリマー4021の薄膜が形成される。{図15(l)}次に、導電性ポリマー4021に対して、必要な配線パターニングを行なう。凹部4019内の導電性ポリマー4021のパターニングはしなくても良いので、通常のフォトリソ+エッチング工程でプロセスでき簡単である。その後で、絶縁性ポリマー4025を塗布、または滴下、またはシート(フィルム)状の圧電性ポリマー4011を付着させる。特に圧電性ポリマー4011の凹部4019内に充填するようにする(あるいは充分入るようにする)。この絶縁性ポリマー4025は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である。この絶縁性ポリマー4025が熱硬化性樹脂の場合には、その硬化温度Tg4025はTg4011より低いものを選定する。{図15(m)}
次に、モールド4026を液状またはゲル状の絶縁性ポリマー4025に押しつける。モールドの凸部は圧電性ポリマー4011の凹部4019に入る。このとき、押圧により、凹部4015が変形する可能性があるが、変形しない程度の圧力で制御する必要がある、あるいは、凹部4015のある領域で第2の薄板2023に圧力伝達孔をあけておき、この圧力伝達孔より凹部4015へモールドの押圧に対抗できる圧力(たとえば、エアー圧や窒素圧あるいは液圧)をかけておけば凹部4015の変形を防止することができる。あるいは、第2の薄板4023を付着する前に凹部4015に熱可塑性ポリマーを充填して硬化させておき、(このTgはTg4025より低い)後に第2の薄板4023にあけた圧力伝達孔から外へ流出させるという方法もある。あるいは熱可塑性ポリマーで充填させて別基板でふたをした後、導電性膜4021や絶縁性膜4025を形成した後、別基板を取り外し、凹部4015内のポリマーを取りだすという方法もある。{図15(p)}
次に、全体の温度をTg4025とTg4011の間で保持して、絶縁性ポリマー4025を硬化させて、モールド4026を離せば、圧電性ポリマー4011上の導電性ポリマー4021上に絶縁性ポリマー4025の薄膜が形成される。{図15(o)}この絶縁性ポリマー4025は導電性ポリマーの保護膜となる。次に接着剤等を介して第1の薄板4027を絶縁性ポリマー4025に付着させる。{図15(p)}凹部4019の部分において圧力伝達孔や引き出し電極用の領域における第1の薄板を除去する。その後引き出し電極配線等を形成して、圧電素子デバイスが作製される。尚、引き出し電極等(そのためのコンタクト孔も)は、第1の薄板4027を付着する前に形成しても良い。(第2の薄板4023についても同様である。)また、予め圧力伝達孔や引き出し電極用の領域を除去された薄板を付着しても良い。
以上のように極めて簡単なプロセスで、しかも低温プロセスで精度の高い圧電素子デバイスを作製できる。図15に示す圧電素子デバイスは凹部4019と凹部4021の圧力差によって、これらの凹部によって挟まれた側壁の圧電体4011が変形し、これらの変形によって側壁の圧電体表面に発生した電荷をその両側に密着した導電体配線4017および4025によって取り出して、これらの導電体配線間の電位差によって凹部4019と凹部4021の圧力差を検出できる。あるいは、圧力伝達孔にインク等の液体容器を接続しておけば、これらの導電体配線に電圧を印加して側壁の圧電体膜(ダイヤフラム膜)を変形させることにより、圧力伝達孔からインク等の液体を放出することができ、たとえばインクジェットデバイスとして使用することもできる。さらには、凹部内の気体を精密に吐き出すことができるので、高精度のポンプデバイスとして使用することもできる。
尚、上記のプロセスはインプリント法を中心に説明したが、他の方法を組み合わせても良い。たとえば、4011は圧電性ポリマーとして説明したが、圧電性セラミックでも良い。この圧電性セラミックの場合は、たとえばPZT等{Pb(Zr,Ti)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3(97wt%)−Bi2O3(2wt%)−ZnO(1wt%)}を含む微粒子にエチルセルロース系樹脂バインダおよびジエチレングリコールモノブチルエーテル等の溶剤を加えたペーストやスラリーをスクリーン印刷法等で塗布し、この塗布膜にモールド4008を押しつけて、この状態で乾燥し焼成され、これらの圧電性セラミックが硬化した後にモールド4008を離す。尚、圧電性セラミックの場合はかなりの高温にならないと溶融・軟化しないので、図15(i)、(j)に示すようにモールド4018を使用できない。そこでこのプロセスではフォトリソやインプリント法等によってレジストをパターニングしてエッチング法により、凹部4019を形成する。
あるいは、導電体膜4013、4021や絶縁膜4017、4025をCVD法やPVD法で作製しても良い。プロセスとしてはこれらの膜はCVD法やPVD法の方が簡便である。図15に示す凹部内の配線はこのまま接続しておけば良いので、凹部内または凹部管でトリッキーな配線パターニングを行なう必要はない。特に、導電体膜に関しては、導電性ポリマーよりもCVD法やPVD法による各種金属膜やシリサイド膜の方が導電率が高いので、発生した電荷をスムーズに(抵抗が少なく)運搬できる。
図15は、圧電基板4011を基板側壁として用いた場合の構造および製造方法を示したが、図13(a)に示す圧電デバイスについてもインプリント法を用いて作製できる。すなわち、図15に示す圧電基板4011が通常のポリマーやゴム等の絶縁体と考えれば良い。この後の第1の凹部、第2の凹部を作製する工程は同様のプロセスで行なうことができる。異なるのは、第1凹部内および第2凹部内にそれぞれ下部電極となる導電体膜を作製し、その上に圧電体膜を形成し、さらに上部電極となる導電体膜を形成することである。その後は、上述した方法と同様のプロセスで進めることができる。
あるいは、圧電基板4011がセラミックやガラスと考えれば良い。ガラスの場合はガラスのTgより高い温度でモールドをインプリントした後Tg以下の温度に下げて硬化させる。セラミックの場合にはセラミック微粒子等を含むセラミックペーストやセラミックゲル状態へモールドをインプリントした後固化温度以上に加熱してセラミックを固化させる。あるいは、圧電基板4011が金属等の導電体と考えれば良い。金属の融液にモールドをインプリントした後融点(Tm)以下に温度を下げて金属を固化させれば良い。その後、必要な場合は絶縁膜を形成し、その上に下部電極となる導電体膜を積層し必要なパターニングを行なった後、圧電体膜を積層する。その上に上部電極となる導電体膜を積層し必要なパターニングを行なう。さらに絶縁膜を積層し、薄板を付着して凹部に蓋をする。
図16は、基板内の第1面(表面)側に形成した第1凹部だけで側壁を形成した実施形態を示す図である。基板311は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム、炭素、各種化合物半導体等の半導体基板、あるいはガラス、石英、セラミック、ポリマー、ゴム弾性体等の絶縁体基板、鉄、銅、アルミニウム、各種金属、各種合金等の金属基板である。以下はシリコン基板として説明する。シリコン基板311内に第1凹部301および302を隣接して形成する。図16(b)は、本発明の実施形態の平面図(基板面に平行な面における断面図)である。シリコン基板311の第1面側(表面側)から見たものである。この図から分かるように、隣接する第1凹部は長方形状であり、立体的に見れば直方体形状である。この直方体形状の側面が隣接して第1凹部が並んでいる。第1凹部301と302に挟まれたシリコン基板側壁323がダイヤフラムとなる。図16に示す第1凹部301および302の側面は基板面に対して垂直か、垂直に近く、いわゆる略垂直に形成されることが望ましい。また、第1凹部の深さは、第2面(裏面)には達しないように形成される。この第1凹部の底部の残っているシリコン基板315の厚みは、シリコン基板の厚みの5〜15%程度として形成する。5%以下の場合には、第1凹部をエッチングで作るときに基板内でバラツクので、基板内の場所により薄くなったり、あるいは貫通したりして、第1凹部の底部の強度が小さくなる。15%以上残しても良いが、その場合はシリコン基板を薄くすることもできるので、最初から薄いシリコン基板を使用することもできる。ダイヤフラムとなるシリコン基板側壁323の厚みは、1μm〜100μmであり、使用する圧力やフォトリソの精度やエッチング時の作製精度によって決定される。ただし、裏面から第2凹部を形成する方法に比較して、フォトリソ工程やエッチング工程や膜形成工程等がほぼ半分に減るというメリットの他に、第1凹部と第2凹部の合わせが不要になること、フォトリソ工程やエッチング工程のバラツキ等に関して第1凹部および第2凹部の相互作用や相互関係が不要になること等のメリットがある。ただし、隣接する凹部の変形は逆になるので、配線を切断する(好適には基板の平坦部で)必要がある。
第1凹部のシリコン基板上に絶縁膜312、その上に第1導電体膜(下部電極・配線)313、圧電体膜314、さらにその上に第2導電体膜(上部電極・配線)316、絶縁膜320が形成される。第1導電体膜313は、第1凹部301と第1凹部302との間317で切れており導通していない(凹部内の導電体膜は接続しても良いので、凹部内のパターニングは不要である。)。この切れた部分には圧電体膜314が形成されている(この部分の第1導電体膜313を切断した後に圧電体膜314を形成する)。切れた部分は、シリコン基板側壁323の上面にある。この部分は変形しない所なので、電荷発生には殆ど寄与しない部分である。また、第2導電体膜316は、第1凹部301と第1凹部302との間318で切れており導通していない(凹部内の導電体膜は接続しても良いので、凹部内のパターニングは不要である。)。この切れた部分には絶縁膜320が形成されている(この部分の第2導電体膜316を切断した後に絶縁膜320を形成する)。切れた部分は、シリコン基板側壁323の上面にある。この部分は変形しない所なので、電荷発生には殆ど寄与しない部分である。第1凹部301内の圧力P1と隣接する第1凹部302内の圧力P2とは異なっており、この圧力差によってシリコン基板側壁323がダイヤフラムとして変形する。この変形に伴って、このシリコン基板側壁323に付着した圧電体膜314(314−2)および314(314−3)が変形する。シリコン基板側壁323に付着した圧電体膜314(314−2)は第1凹部301側の側壁圧電体膜であり、シリコン基板側壁323に付着した圧電体膜314(314−3)は第1凹部302側の側壁圧電体膜である。圧電体膜314(314−2)および314(314−3)の両表面には、変形により電荷が分極する。
このとき、圧電体膜314(314−2)の上部側の変形方向と圧電体膜314(314−3)の上部側の変形方向は異なる(一方が膨らむと他方は凹んでいる)ので、圧電体膜314(314−2)の上部側の表面に発生する電荷と圧電体膜314(314−3)の上部側の表面に発生する電荷は逆となる。従って、第2の導電体膜316が接続していると相殺されてしまうので、第2の導電体膜316は318で切断する必要がある。第1凹部301側にある第2の導電体膜316を316−1とし、第1凹部302側にある第2の導電体膜316を316−2とする。また、圧電体膜314(314−2)の下部側の表面に発生する電荷と圧電体膜314(314−3)の下部側の表面に発生する電荷は逆となる。従って、第1の導電体膜313が接続していると相殺されてしまうので、第1の導電体膜313は317で切断する必要がある。第1凹部301側にある第1の導電体膜313を313−1とし、第1凹部302側にある第1の導電体膜313を313−2とする。
シリコン基板311の第1面(表面)上には第1凹部301および302をカバーする第1の薄板319が付着している。第1の薄板319は第1凹部301および302を被っていて第1凹部を保護している。また、第1凹部301をカバーしている薄板319には圧力導入孔321が設けてあり、圧力P1を導入できるようになっている。第1凹部302をカバーしている薄板319にも圧力導入孔322が設けてあり、圧力P2を導入できるようになっている。第1の導電体膜313(313−1)および第2の導電体膜316(316−1)の引き出し電極を形成する領域338および第1の導電体膜313(313−2)および第2の導電体膜316(316−2)の引き出し電極を形成する領域338および339においては、第1の薄板319は除去されている。
この薄板319のない領域338において、第1の導電体膜313(313−1)上にある圧電体膜314およびその上に積層している絶縁膜320にはコンタクト孔341が形成されており、そのコンタクト孔341内に導電体膜342が形成され、さらにその上に電極・配線343が形成され、圧電体膜314(314−2)の変形により圧電体膜314(314−2)の下面に発生した電荷は、導電体膜313−1を通って、さらにコンタクト孔341内の導電体膜342を介して、電極・配線343に引き出される。圧電体膜314の絶縁性が余り良くないときは、コンタクト孔341の側壁にあらかじめ絶縁膜を形成してコンタクト孔341内の導電体膜342と圧電体膜314が接触しないようにする。あるいは、コンタクト孔341を形成する領域にある圧電体膜314をあらかじめエッチング除去しておくことが望ましい。尚、このコンタクト孔341を形成する領域における導電体膜316(316−1)はあらかじめエッチング除去してある。
さらに、薄板319のない領域338において、第2の導電体膜316(316−1)上にある絶縁膜320にはコンタクト孔344が形成されており、そのコンタクト孔344内に導電体膜345が形成され、さらにその上に電極・配線346が形成され、圧電体膜314(314−2)の変形により圧電体膜314(314−2)の上面に発生した電荷は、導電体膜316−1を通って、さらにコンタクト孔344内の導電体膜345を介して、電極・配線346に引き出される。このようにして、圧電体膜314(314−2)の変形により圧電体膜314(314−2)の上下面に発生した互いに逆電位の電荷が、電極・配線343および346へ引き出される。
薄板319のない領域339において、第1の導電体膜313(313−2)上にある圧電体膜314およびその上に積層している絶縁膜320にはコンタクト孔331が形成されており、そのコンタクト孔331内に導電体膜332が形成され、さらにその上に電極・配線333が形成され、圧電体膜314(314−3)の変形により圧電体膜314(314−3)の下面に発生した電荷は、導電体膜313−2を通って、さらにコンタクト孔331内の導電体膜332を介して、電極・配線333に引き出される。圧電体膜314の絶縁性が余り良くないときは、コンタクト孔331の側壁にあらかじめ絶縁膜を形成してコンタクト孔331内の導電体膜332と圧電体膜314が接触しないようにする。あるいは、コンタクト孔331を形成する領域にある圧電体膜314をあらかじめエッチング除去しておくことが望ましい。尚、このコンタクト孔331を形成する領域における導電体膜316(316−2)はあらかじめエッチング除去してある。
さらに、薄板319のない領域339において、第2の導電体膜316(316−2)上にある絶縁膜320にはコンタクト孔334が形成されており、そのコンタクト孔334内に導電体膜335が形成され、さらにその上に電極・配線336が形成され、圧電体膜314(314−3)の変形により圧電体膜314(314−3)の上面に発生した電荷は、導電体膜316−2を通って、さらにコンタクト孔334内の導電体膜335を介して、電極・配線336に引き出される。このようにして、圧電体膜314(314−3)の変形により圧電体膜314(314−3)の上下面に発生した互いに逆電位の電荷が、電極・配線333および336へ引き出される。
引き出された電荷のうち同極性のものを集めれば大きな電位となり、この電位の大きさから隣接する第1凹部内の圧力差P2−P1を知ることができるので、一方が既知であれば他方の圧力を求めることができ、圧力センサーとして機能する。基板をシリコン基板とした時には、同じシリコン基板内にICも作製できるので、圧力センサーおよび圧力計算を行なう演算用ICと一緒に1チップ化することも可能となる。
以上のように、本発明は、凹部を基板の第1面にのみ形成しても圧電素子を用いた圧力センサーを作製できる。この利点は、裏面側に第2凹部を設ける必要がないこと(プロセスが複雑となる)、そのことにより表面と裏面とのパターン合わせをする必要がないこと、隣接する凹部同士のアライメントが必要がないので、隣接する凹部の間隔を狭められること、すなわち、隣接する凹部間の基板側壁を薄くできるので、より小さな圧力差でこの基板側壁を変形させることができるようになり、圧力検知の感度が向上することなどである。
図16(b)は、本発明の実施形態の平面図(基板面に平行な面における断面図)であるが、第1凹部を平行に並べていけば多数のダイヤフラム部からの電位を集めることができて、少ない面積で大きな電位となり、圧力センサーとしての感度を高めることができる。この発明の利点は、凹部領域では配線等をパターニングする必要がないため、(配線を切断するのは第1面(表面)の平坦部分)多数の凹部を並べることができることである。第1凹部の幅をWc−3、側壁の幅(厚み)をWs、第1凹部の長さをLc−3、第1凹部の深さをHc−3とする。従来の平面的なダイヤフラムの大きさを300μmx300μmとして、この大きさの中に本発明の圧電素子(ダイヤフラム)が入るかを見積もる。Hc−3=300μm、Lc−3=300μmとし、Ws=5μm、Wc−3を30μmとすると、平面的なサイズ300μmx300μmに本発明のダイヤフラム構造は300μm/35μm≒8個入る。1個当たり2つのダイヤフラムとなるので、16個のダイヤフラムとなるので、従来に比べて16倍の感度となり、従来に比較すると飛躍的に感度の良好な圧力センサーを作製できる。
図16(c)は、本発明の圧電素子を用いた圧力センサーの動作を模式的に示した図である。シリコン基板側壁323を挟んで両サイドに第1凹部356および357が形成されている。シリコン基板側壁323の第1凹部357側には、シリコン基板側壁323の上に絶縁膜312、その上に第1の導電体膜313(313−2)、圧電体膜314、その上に第2の導電体膜316(316−2)、その上に絶縁膜320が積層されている。シリコン基板側壁323の第1凹部356側には、シリコン基板側壁323の上に絶縁膜312、その上に第1の導電体膜313(313−1)、圧電体膜314、その上に第2の導電体膜316(316−1)、その上に絶縁膜320が積層されている。シリコン基板側壁323の上部は薄板351で規制されている。シリコン基板側壁323の下部は薄板352で規制されている。図16(a)との関係で言えば、薄板351は第1の薄板319に相当し、薄板352はシリコン基板底部315に相当する。
薄板351の圧力導入孔354から圧力P1が印加され、圧力導入孔353から圧力P2が導入される。P2<P1のとき、図16(c)に示すように、シリコン基板側壁323は第1凹部356側へ膨らみ、これに付着した圧電体膜314も第1凹部356側へ膨らむ。その結果、圧電体膜314(314−2)の上側表面および下側表面で分極し、圧電体膜314(314−2)の上側表面で発生する電荷と圧電体膜314(314−2)の下側表面で発生する電荷は逆電位となる。たとえば、圧電体膜314(314−2)の上側表面で発生する電荷をプラスとすると、下側表面で発生する電荷はマイナスとなる。圧電体膜314(314−2)の上側表面には第2の導電体膜316(316−1)が付着していて、圧電体膜314の下側表面には第1の導電体膜313(313−1)が付着しているので、第2の導電体膜316(316−1)と接続した電極C1と、第1の導電体膜313(313−1)と接続した電極C2との間に電位差が生じる。
同様に考えて、圧電体膜314(314−3)の上側表面および下側表面で分極し、圧電体膜314(314−3)の上側表面で発生する電荷と圧電体膜314(314−3)の下側表面で発生する電荷は逆電位となる。圧電体膜314(314−2)は上側表面側に膨らんでいるが、圧電体膜314(314−3)は下側表面側に膨らんでいるので、発生する電荷の極性は圧電体膜314(314−2)と圧電体膜314(314−3)とは逆になる。上のたとえに合わせると、圧電体膜314(314−3)の上側表面で発生する電荷はマイナスとなり、下側表面で発生する電荷はプラスとなる。圧電体膜314(314−3)の上側表面には第2の導電体膜316(316−2)が付着していて、圧電体膜314(314−3)の下側表面には第1の導電体膜313(313−2)が付着しているので、第2の導電体膜316(316−2)と接続した電極C4と、第1の導電体膜313(313−2)と接続した電極C3との間に電位差が生じる。従って、同じ極性同士を接続すれば、ずなわち、C1とC3を接続し、C2とC4を接続すれば、これらの間の電位差が倍増するので、圧力に対する感度が高くなったことが分かる。このような構造をどんどんつなげていけば感度がどんどん高くなる。
図17は、図16に示す本発明の圧電素子を用いた圧力センサーの製造方法を示す図である。基板を厚み方向の断面図で示している。尚、これまでに関しても、またこれから説明することに関しても(図17に限らず)、これまでに説明した内容や別の実施形態で示す内容については重複するので説明していない部分もあるが、他の実施形態で説明した内容で矛盾なく適用できる所は、当該実施形態において具体的に記載していなくても適用できることは言うまでもない。
図17(a)に示すように、シリコン基板等の基板311の第1面(表側)にシリコン酸化膜等の絶縁膜361を形成する。その上にフォトリソ法を用いて、第1凹部を形成するためのフォトレジストパターン362を形成する。フォトレジストの開口部363は第1凹部を形成する領域である。フォトレジストは、塗布法によるレジストやシート状の感光性ドライフィルムも使用できる。あるいはインプリント法も用いることもできる。フォトレジストの厚みは、この後の第1凹部形成時に減少する分を考慮して決める。たとえば、絶縁膜361を使用しないで直接シリコン基板311にフォトレジストパターンを形成したとして、シリコン基板311の厚みを500μm、第1凹部の深さを400μmとし、シリコン基板のエッチング時におけるレジストとシリコン基板のエッチング選択比を10とし、5%のオーバーエッチングをしたとして、レジストの厚さを50μmとすれば良い。
次に図17(b)に示すように、フォトレジストパターン362をマスクとして、開口部363に露出した絶縁膜361をエッチング除去する。このエッチングは異方性エッチングが望ましい。さらに、開口部363の絶縁膜361を除去した後、シリコン基板をエッチングし、第1凹部301や302を形成する。このエッチングはできるだけフォトレジストパターンに忠実にエッチングすることが望ましい。いわゆる深堀エッチング(DRIE)法を用いて基板311をエッチングする。あるいは、たとえば、磁気中性子線放電エッチング法やClF3ガスを用いたクラスターエッチングでも垂直な側壁を有する深い凹部を形成できる。本実施形態では、第1凹部は基板311の第2面(裏面)まで到達(貫通)させないようにする。第1凹部の深さ(Hc1)は、基板厚み(Hsub)の95%〜80%程度にする。95%を超えるとエッチングバラツキ等により第1凹部の底部の基板315の厚みが薄くなりすぎて強度が小さくなりすぎ、場合によっては第2面まで貫通してしまう恐れがある。また、第1凹部の深さは、ダイヤフラムの特性によって決めることであるから、80%未満の深さでも良いが、基板311をできるだけ使用するという意味では第1凹部の深さは80%以上が良い。尚、本発明の圧力センサーは占有面積を非常に小さくできるとともに1つ1つの素子をつなげて感度を上げることができるので、第1凹部の深さを80%未満として余り深くせず、導電体膜や圧電体膜の被覆性を向上させて、圧力検出の感度に関しては多数並べて向上させるという方法もある。
さらに、この方が第1凹部を略垂直パターンとして作製しやすく、また第1凹部301および302間の基板側壁323の強度も向上できるという利点がある。基板311の厚みHsubは10〜2000μm、第1凹部の深さHc1は1〜1500μm、第1凹部の幅Wc1は1〜200μm、ダイヤフラムとなる第1凹部間の基板側壁の幅Wsは0.1μm〜100μm、第1凹部の長さ(紙面に垂直方向の幅で、基板側壁の長さとほぼ等しい)Lsは1〜1500μmであるが、基本的には使用される基板材料や圧電膜材料の特性、適用する圧力によって適宜決定する。また、技術的問題がクリアされれば、もっと小さな下限値やもっと大きな上限値でも良い。基板側壁323の幅Wsはダイヤフラムの特性を決定するので特に精度良く作製する必要があり、レジストマスク{362(362−2)}にできるだけ忠実に垂直に近い形状で形成することが望ましい。尚、基板311が薄い場合(たとえば、100μm以下の厚み)には、基板311の第2面(裏面)にサポート基板を付着してプロセス中に変形しないようにすれば良い。
基板側壁323の最大たわみWmaxは概略以下で見積もることができる。
Wmax=α*z*h2a2/(Ey3)
ここで、zは圧力差(z=P2−P1)、hは凹部の深さ(h=Hc1)、aは凹部の長さ(a=Ls)、Eはヤング率、yは基板側壁幅(y=Ws)、αはダイヤフラムの形状によって決まる定数である。シリコンのヤング率はE=100GPa〜200GPa(結晶方位依存性あり)である。h=a=30μm(正方形状ダイヤフラム)には、α=0.0138となり、Wmaxは約60z/y3(μm)となる。y=3μmとすれば、z=1atmで、Wmaxは約2.2μmとなる。h=30μm、a=60μm(長方形ダイヤグラム)には、α=0.0277となり、Wmaxは約120z/y3(μm)となる。y=3μmとすれば、z=1atmで、Wmaxは約4.4μmとなる。ヤング率のもっと小さなポリマーやゴムを用いればさらに変形量は大きくなる。
次に図17(c)に示すように、フォトレジストパターン362や絶縁膜361をリムーブした後(絶縁膜361は必要な場合には残しても良い)に、絶縁膜312、下部電極となる第1の導電体膜313、圧電体膜314、上部電極となる第2の導電体膜316を積層する。絶縁膜312は基板と第1の導電体膜313とのリークを防止する目的で形成され、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)、シリコン窒化膜(SiNy)などであり、CVD法、PVD法、熱酸化法で形成される。厚みは100nm〜2000nmである。基板がガラスや石英やセラミックやポリマーやゴム等の絶縁体である時には絶縁膜312を形成しなくても良い。(第1の導電体膜と基板が密着性が悪いなどの時には、密着性等の向上のために絶縁膜を形成する。)第1の導電体膜313は、タングステン、モリブデン、アルミニウム、銅、金、ニッケル、白金、酸化イリジウム、イリジウム、クロム等の各種金属、これらの合金、各種シリサイド、導電性多結晶(アモルファス)シリコン、導電性ポリマー等であるが、密着性向上のためにこれらの導電体膜を形成する前に、チタン、窒化チタン、クロム、タンタル、窒化タンタル等を形成しても良い。第1の導電体膜の厚みは、たとえば、100nm〜2000nmで、好適には500nm〜1500nmである。
第1の導電体膜313を積層した後、第1凹部301側の第1の導電体膜313−1と第1凹部302側の第1の導電体膜313−2とを分離する。たとえば、第1凹部301と302で挟まれた基板側壁323の上面317をフォトリソ法で窓開けして、導電体膜313をエッチングする。基板側壁323の幅Wsが5μm以下のときには、この窓開けも1〜2μm幅となるが、ドライエッチングはもちろんウエットエッチングでも可能なレベルである。さらに、他の領域において、第1導電体膜313の配線パターンを形成する必要がある場合には、そのためのフォトリソによるパターン形成および第1の導電体膜313のエッチングが必要となる。たとえば、導電体膜が白金である場合には、ウエットエッチング液としてシアン系水溶液、希釈王水、塩酸と過酸化水素水の混合液等がある。ドライエッチングの場合には、たとえば、Cl2、S2Cl2、SiCl4、BCl3、CCl4等の塩素系ガス(これらにAr、COやO2を加えて最適化する)を用いて白金をエッチングできる。
導電体膜313をパターニングした後、圧電体膜314を形成する。圧電体膜は、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛(ジルコニウム酸・チタン酸鉛(Pb(ZrXTi1−X)O3 0<x<1)とも呼ばれ、いわゆるPZT)、PLT(PbLaXTi1−XO3)、PLZT、SrTiO3、BaTiO3、BST(BaXSr1−XTiO3)、SBT(SrBi2Ta2O9)、KNN(K0.5Na0.5NbO3)や、KN(KNbO3)、NN(NaNbO3)、KNNに不純物(例えば、Li,Nb,Ta,Sb,Cuなど)を添加したものなどのKNN系材料、BLT(ビスマス-ランタン-タンタル)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、窒化ガリウム、リチウムテトラボレート等のペロブスカイト構造やタングステン−青銅構造を持つセラミックスであり、あるいは石英、水晶、ロッシェル塩、トパーズ、電気石(トルマリン)、ベルリナイト(リン酸アルミニウム)、窒化アルミニウム、リン酸ガリウム、ガリウムヒ素などであり、あるいは圧電性ポリマー{たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)}などである。
圧電体膜の積層方法として、その圧電体をターゲットとしたスパッタリング法、蒸着法、CVD法、MOCVD(Metal
Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)法、レーザーアブレーション法(PLAD:Pulsed Laser Ablation Deposition),塗布法、スクリーン印刷法、ゾルゲル法(たとえば、PZTのような誘電体材料を有機溶媒に溶解させた溶液を、スピンコートにより1層当たり約50nm程度の厚さで塗り、これを350℃程度のホットプレート上で仮焼成し、この作業を3〜4回繰り返した後に急速加熱炉を用いて約700℃で急速に焼結させる)、エアロゾル堆積法、化学的溶液積層(chemical solution deposition、CSD)法などであり、圧電体膜の積層後適切な熱処理を行なって圧電性や信頼性を高めることもできる。この圧電体膜の厚みは、0.1μm〜100μmであり、膜質向上および反り量低減のためには好適には0.5μm〜20μmである。第1凹部内の略垂直な側壁にできるだけ均一性良く(厚みバラツキを小さく)積層することが望ましい。スパッタリング法、蒸着法、CVD法、MOCVD法では積層した状態で、第1凹部内の略垂直な側壁に忠実に近い状態で積層できる。液状ポリマーやゲル状物質を塗布等する場合は、第1凹部内に厚くたまるので、インプリント法等を用いて、略垂直な側壁に忠実に近い状態で形成することができる。
圧電体膜314は、第1凹部以外は必要ないので、不要な部分(たとえば、図17(c)における電極取り出し領域364)からエッチング除去しても良い。マスクを用いてスクリーン印刷法やスパッタリング法で圧電体膜を積層すればこのエッチング除去工程は不要となる。フォトリソ法を用いてレジストをパターニングするときには、微細なパターンを形成する必要はないので、プロセスは簡単である。たとえば、PZTの場合HFとHNO3系のエッチング液でエッチングしても良い。ドライエッチングの場合にはフッ素系ガスや塩素系ガスを用いて行なうと良い。尚、この上に第2の導電体膜を形成するが、圧電体膜のエッチング除去された段差で導電体膜のステップカバレッジが悪くならないように、テーパーエッチすることが望ましい。あるいは、第2の導電体膜316が圧電体膜314の段差部をまたがないように第2の導電体膜316をパターニングする方法もある。あるいは、圧電体膜314が絶縁体であるときには、リークを心配する必要がないので、そのまま残しておくこともできる。ただし、第1の導電体膜313の取り出し電極を形成する部分からは圧電体膜314を除去しておくことが望ましい。圧電体膜314を残したままコンタクト孔を形成すると、コンタクト孔の深さが圧電体膜314の厚み分深くなる。この結果コンタクト孔形成時間が長くなるとともに、異なる層(絶縁膜と圧電体膜)を連続してエッチングするのでエッチング条件が複雑になる。さらに、コンタクト孔が深くなるとコンタクト孔内に形成する導電体膜の被覆性が問題になり、これを解決する導電体膜の形成条件も複雑になり、コンタクトサイズを大きくしたり、あるいはコンタクトにテーパーをつけるというプロセスも必要になる。
圧電体膜314を形成した後に、第2の導電体膜316を形成する。第2の導電体膜316は、タングステン、モリブデン、アルミニウム、銅、金、ニッケル、白金、酸化イリジウム、イリジウム、クロム等の各種金属、これらの合金、各種シリサイド、導電性多結晶(アモルファス)シリコン、導電性ポリマー等であるが、密着性向上のためにこれらの導電体膜を形成する前に、チタン、窒化チタン、クロム、タンタル、窒化タンタル等を形成しても良い。第2の導電体膜の厚みは、たとえば、100nm〜2000nmで、好適には500nm〜1500nmである。
第2の導電体膜316を積層した後、第1凹部301側の第2の導電体膜316−1と第1凹部302側の第1の導電体膜316−2とを分離する。たとえば、第1凹部301と302で挟まれた基板側壁323の上面318をフォトリソ法で窓開けして、導電体膜313をエッチングする。基板側壁323の幅Wsが5μm以下のときには、この窓開けも1〜2μm幅となるが、ウエットエッチングでも可能なレベルである。また、第1の導電体膜313からの引き出し電極を形成する領域364からも第2の導電体膜316を除去しておくことが望ましい。何故なら、第1の導電体膜313からの引き出しコンタクト孔内に第2の導電体膜316が露出するからである。さらに、他の領域において、第2導電体膜316の配線パターンを形成する必要がある場合には、そのためのフォトリソによるパターン形成および第2の導電体膜316のエッチングが必要となる。
たとえば、導電体膜が白金である場合には、ウエットエッチング液としてシアン系水溶液、希釈王水、塩酸と過酸化水素水の混合液等がある。ドライエッチングの場合には、たとえば、Cl2、S2Cl2、SiCl4、BCl3、CCl4等の塩素系ガス(これらにAr、COやO2を加えて最適化する)を用いて白金をエッチングできる。第2の導電体膜がアルミニウムの場合には、ウエットエッチング液として混酸水(硝酸、酢酸、燐酸、水)、ドライエッチングガスとしては、Cl2、S2Cl2、SiCl4、BCl3、CCl4等の塩素系ガス(これらにAr、COやO2を加えて最適化する)がある。
次に、図17(d)に示すように、第2の導電体膜316をパターニングし、適切な熱処理等を行なった後に、絶縁膜320を積層する。この絶縁膜320は、圧電素子や導電体膜316を保護する膜である。絶縁膜320として、たとえばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)であり、CVD法、PVD法、塗布法等で積層する。あるいは絶縁膜320はポリイミド等の有機膜でも良い。特に感光性有機膜(たとえば、感光性ポリイミド)であれば、この後レジスト等を用いる必要がなくこの感光性有機膜を直接露光しパターニングできる。塗布法を用いたときには凹部内にも厚く堆積するので、たとえばインプリント法を用いて凹部内の絶縁膜を略垂直な側壁パターンにできるだけ忠実に形成することができる。
次に第1凹部301および302をふさぐ薄板319を付着させる。次に第1凹部301へ圧力を印加する圧力導入孔321、第1凹部302へ圧力を印加する圧力伝達孔322、コンタクト領域338、339など薄板がなくても良い部分(あるいは薄板がない方が良い部分)における薄板319を除去する。あるいは、薄板319を付着する前にこれらの部分を開口した薄板をアライメントして基板311の第1面に付着させる方法もある。別工程で、パターンのない薄板を用いて、フォトリソ法および薄板のエッチングを用いて別途開口した薄板を作製しておけば、本発明の圧力センサーの製造プロセス工程や時間に影響は与えない。
図17(d)においては、圧力導入孔321を第1凹部301に、圧力導入孔322を第1凹部302の両方を形成しているが、片方だけを形成した場合は、圧力導入孔のない第1凹部(たとえば、第1凹部302とする)は常に同じ圧力に保たれている(これを圧力P0とする)ので、隣接する他の第1凹部(たとえば、第1凹部301)の圧力P1とP0との圧力差によって、基板側壁323が変形する。P0は、薄板319を付着させたときの圧力とほぼ等しいので、真空に近い低圧状態で薄板319を付着させればP0はほぼ0気圧となり、大気圧で薄板319を付着させればP0はほぼ1気圧となる。従って基準圧力に対する圧力を検出する圧力センサーを作製できる。尚、薄板319を付着して第1凹部を塞いで密閉した後に、薄板の付着を確実にするための熱処理を行なったり、その後のプロセスで熱処理が行なわれたりして、薄板付着に用いた接着剤から溶媒等のアウトガスが発生し、気密にした第1凹部内の圧力P0が変化する可能性がある。従って、接着剤を使用しない接着方法(たとえば、常温接合法)を用いたり、あるいはアウトガスを吸着する吸着剤を第1凹部内に入れておいたりする方法を採用しても良い。
次に、薄板319のない領域338および339において、電極・配線を作製する。領域338において、第2の導電体膜316および圧電体膜314のない領域で、第1の導電体膜313上の絶縁膜320にフォトリソ法および絶縁膜320のエッチングによりコンタクト孔341を形成する。コンタクト孔341に導電体膜342を積層し、さらに電極配線用の導電体膜343を積層し、電極・配線パターン343をフォトリソ法および導電体膜343のエッチングにより形成する。導電体膜342と343は兼用することもできる。また、第2の導電体膜316上の絶縁膜320にフォトリソ法および絶縁膜320のエッチングによりコンタクト孔344を形成する。コンタクト孔344に導電体膜345を積層し、さらに電極配線用の導電体膜346を積層し、電極・配線パターン346をフォトリソ法および導電体膜346のエッチングにより形成する。導電体膜345と346は兼用することもできる。また、これらのプロセスは同時に行なうこともできる。
領域339においては、第1の導電体膜313上に圧電体膜314を残している状態を示している。圧電体膜314が残っている場合は、第1の導電体膜313へのコンタクト孔331は、フォトリソ法並びに、絶縁膜320および圧電体膜314をエッチングして形成する。次にコンタクト孔331内に導電体膜332を積層し、さらに電極配線用の導電体膜333を積層し、電極・配線パターン333をフォトリソ法および導電体膜333のエッチングにより形成する。導電体膜332と333は兼用することもできる。また、第2の導電体膜316上の絶縁膜320にフォトリソ法および絶縁膜320のエッチングによりコンタクト孔334を形成する。コンタクト孔334に導電体膜335を積層し、さらに電極配線用の導電体膜336を積層し、電極・配線パターン336をフォトリソ法および導電体膜336のエッチングにより形成する。導電体膜335と336は兼用することもできる。また、これらのプロセスは同時に行なうこともできるが、圧電体膜314のエッチングを加味したプロセス条件を設定する必要がある。このように、圧電体膜314を残しておくとコンタクト孔および導電体膜の形成プロセスが複雑になるので、好適には圧電体膜314は除去しておいても良い。もちろん、領域338および339のコンタクト孔や電極配線パターンは同じ工程で行なうことができる。
以上の製造プロセスによって凹部を基板の第1面側にのみ形成し、隣接する凹部間の基板側壁上に導電体膜によって挟まれた圧電体膜を作製し、隣接する凹部間の圧力差によって変形する基板側壁とともに圧電体膜が変形し、圧電体膜の表面に電荷が発生し、その上下にある導電体膜間で電位が生じる。あらかじめ凹部間の圧力差と圧電体膜の上下の電極・配線間における電位との関係を求めておけば、逆にこの発生した電位から凹部間の圧力差を計算することができる。あるいは、圧電体膜の上下の導電体膜(電極・配線)間に電界をかけると、圧電体膜が変形し、圧電体膜が付着した基板側壁が同様に変形する。この基板側壁の変化によって隣接する凹部間に圧力差を生じさせることができる。
図18(a)は、図16、図17で示した実施形態と類似するが、本実施形態は凹部が第1面(表面)から第2面(裏面)に貫通しているものである。基板411はサポート基板400に付着し、第1凹部401、402、403は第1面から第2面側に貫通している。すなわち、第1凹部401、402、403の底部はサポート基板400となっている。第1面側に、絶縁膜412、第1の導電体膜413、圧電体膜414、第2の導電体膜416、絶縁膜420が積層している。これらの積層膜構造は図16、図17で示した実施形態と同じである。第1面側の絶縁膜420上に薄板419が付着し、第1凹部401、402、403をカバーして保護している。第1凹部401の上部の薄板419には圧力導入孔425が、第1凹部402の上部の薄板419には圧力導入孔426が、第1凹部401の上部の薄板419には圧力導入孔427が、開いている。また、電極・配線を形成すべき領域438および439の薄板419は除去されている。領域438には、第1の導電体膜413(413−1)に接続するコンタクト孔441には導電体膜442が形成され、その上に電極・配線443が形成されている。また、第2の導電体膜416(416−1)に接続するコンタクト孔444には導電体膜445が形成され、その上に電極・配線446が形成されている。領域439には、第1の導電体膜413(413−3)に接続するコンタクト孔431には導電体膜432が形成され、その上に電極・配線433が形成されている。また、第2の導電体膜416(416−3)に接続するコンタクト孔434には導電体膜435が形成され、その上に電極・配線436が形成されている。
第1凹部401の両側の圧電体を414−1、414−2、第1凹部402の両側の圧電体を414−3、414−4、第1凹部403の両側の圧電体を414−5、414−6とする。基板側壁423は、第1凹部401の圧力P1と第1凹部402の圧力P2との差P1−P2によって変形する。P2>P1のとき、基板側壁423は第1凹部401側に膨らむ。この変形に伴い圧電体膜414(414−2)も第1凹部401側へ膨らみ、圧電体膜414(414−2)の表面側および裏面側で分極して、それぞれに逆電荷が発生する。圧電体膜414(414−2)の裏面側に発生した電荷を第1の導電体層413(413−1)およびコンタクト孔内導電体層442を通して電極・配線443へ引き出すことができる。圧電体膜414(414−2)の表面側に発生した電荷を第2の導電体層416(416−1)およびコンタクト孔内導電体層445を通して電極・配線446へ引き出すことができる
P2>P1のとき、圧電体膜414(414−3)も第1凹部401側へ膨らみ(第1凹部402側で凹み)、圧電体膜414(414−3)の表面側および裏面側で分極して、それぞれに逆電荷が発生する。圧電体膜414(414−3)の裏面側に発生した電荷を第1の導電体層413(413−2)を通して外側電極・配線(図18(a)においては示されていない)へ引き出すことができる。圧電体膜414(414−3)の表面側に発生した電荷を第2の導電体層416(416−2)を通して外側電極・配線(図18(a)においては示されていない)へ引き出すことができる。圧電体膜414(414−2)と圧電体膜414(414−3)は同じ側に変形しているが、第1導電体膜413および第2導電体膜416から見れば逆の変形になっているので、第1の導電体層413(413−1)と第2の導電体層416(416−2)とが同じ極性であり、第2の導電体層416(416−1)と第1の導電体層413(413−2)とが同じ極性である。従って、第1の導電体膜413は基板側壁423の上部417(417−1)で切れており、第2の導電体膜416は基板側壁423の上部418(418−1)で切れている。
第1凹部403の圧力をP3とすると、P2>P3のとき、基板側壁424は第1凹部403側に膨らむ。この変形に伴い圧電体膜414(414−5)も第1凹部403側へ膨らみ、圧電体膜414(414−5)の表面側および裏面側で分極して、それぞれに逆電荷が発生する。圧電体膜414(414−5)の裏面側に発生した電荷を第1の導電体層413(413−3)およびコンタクト孔内導電体層432を通して電極・配線433へ引き出すことができる。圧電体膜414(414−5)の表面側に発生した電荷を第2の導電体層416(416−3)およびコンタクト孔内導電体層435を通して電極・配線436へ引き出すことができる
P2>P3のとき、圧電体膜414(414−4)も第1凹部403側へ膨らみ(第1凹部402側で凹み)、圧電体膜414(414−4)の表面側および裏面側で分極して、それぞれに逆電荷が発生する。圧電体膜414(414−4)の裏面側に発生した電荷を第1の導電体層413(413−2)を通して外側電極・配線(図18(a)においては示されていない)へ引き出すことができる。圧電体膜414(414−4)の表面側に発生した電荷を第2の導電体層416(416−2)を通して外側電極・配線(図18(a)においては示されていない)へ引き出すことができる。圧電体膜414(414−5)と圧電体膜414(414−4)は同じ側に変形しているが、第1導電体膜413および第2導電体膜416から見れば逆の変形になっているので、第1の導電体層413(413−3)と第2の導電体層416(416−2)とが同じ極性であり、第2の導電体層416(416−3)と第1の導電体層413(413−2)とが同じ極性である。従って、第1の導電体膜413は基板側壁423の上部417(417−2)で切れており、第2の導電体膜416は基板側壁423の上部418(418−2)で切れている。
圧電体膜414(414−3)と圧電体膜414(414−4)は変形方向が逆であるが、第1導電体膜413および第2導電体膜416から見れば同じ方向の変形になっているので、圧電体膜414(414−3)に面している導電体膜と圧電体膜414(414−4)に面している導電体膜はつながっていて良い。すなわち、413(413−2)および416(416−2)は圧電体膜414(414−3)および圧電体膜414(414−4)の間で連続している。従って、凹部内で導電体膜を切断するフォトリソ工程やエッチングを行なう必要がないので、プロセスとして複雑な工程はない。たとえば、導電体膜413や416をエッチングするとき、これらの導電体膜の上にフォトレジストを塗布する。液状のフォトレジストは凹部(4101、402、403)へも入ってこの凹部内では厚くなる。あるいはフォトレジストがフィルム状のシートタイプの場合は基板の第1面側の導電体膜上に感光性のドライフィルムを付着して軟化させると、凹部内に入り込むので凹部領域は厚くなる。フォトレジストを開口する部分は基板側壁の上面や第1面の平坦部であり、フォトレジストの厚みは厚くはない。フォトレジストがポジレジストの場合、この開口部分に露光すれば良いので、薄いフォトレジスト内を完全に露光することができるから、導電体膜を除去する部分はレジストを除去できる。それ以外の部分には光は照射されないので、レジストは除去されず被覆されている。従って全く問題なく導電体膜の必要な部分を除去できる。フォトレジストがポジレジストの場合は、導電体膜を除去しない部分を露光するが凹部内の厚いレジストの奥まで光を通す強度で露光すれば良い。あるいは、凹部内のレジストの上部だけ露光すれば現像時には凹部の内部まで現像液が入らないので、結局凹部領域はレジストで被覆されている。導電体膜を除去したい部分はレジストが薄くなっているので、光が回り込んで解像度が悪くなるが、導電体膜を除去したい部分として1μm以上を取れば問題はない。従って全く問題なく導電体膜の必要な部分を除去できる。
このように、凹部が第1面から第2面に貫通していても本発明の圧電素子を用いた圧力センサーを適用できる。この貫通した凹部を有する圧力センサーは、凹部のエッチングのときに終点検出を考慮する必要がないという利点がある。図16、図17において示した、第1凹部のエッチングを基板内でストップさせる方法は、時間管理でエッチングする必要があるので、場所によって深さが異なる。すなわち、深堀エッチングのバラツキ精度により場所によって第1凹部の深さが異なる。これに対して、貫通させる本実施形態は、貫通孔の深さは基板厚と同じくなる。深堀エッチングによる基板のエッチング速度とサポート基板400のエッチング速度の選択比を大きく取る条件によって基板エッチングを行なうことにより、基板内のすべての場所で凹部の貫通を完了したとしても、すなわち深堀エッチング時のオーバーエッチングを大きく取ったとしても、サポート基板400は殆どエッチングしないようにできる。エッチング選択比を10としたときに、基板厚みが500μmとして、深堀エッチングを10%オーバーエッチングを行なったときに、(エッチングバラツキは通常5%程度であるから、10%オーバーエッチングによって、基板内のすべての領域で貫通した凹部を作製できる。)サポート基板400は最大で、5μmしかエッチングされない。基板411をシリコン、サポート基板をガラスとしたときに、エッチング選択比10は問題なく達成できる。このように、貫通した凹部を用いることにより精度のよいダイヤフラム構造を作製できる。
上記はサポート基板をそのまま第2の薄板として使用する場合であるが、貫通した凹部を形成した後、サポート基板を外して、新しい第2の薄板を基板411の裏面に付着させれば、第2の薄板は全くエッチングされていないので、精度の良い凹部を作製できる。
さらにエッチング精度を高める方法として、サポート基板を付着させずに基板のまま貫通した凹部を形成すれば良い。このときは、オーバーエッチングを大きく取っても貫通した凹部があいているだけなので、サポート基板が削れるということもない。貫通凹部を形成した後に、第2の薄板を付着させれば良い。
接着剤を用いる場合は、その後のプロセスで接着能力が悪くなるものや変質したりするもの、アウトガスなどが出るものなどは用いないようにする。従って、熱硬化性接着剤が望ましい。しかし、熱軟化性接着剤も用いることもできる。たとえば、その後のプロセス温度の最高温度よりも高い温度で軟化し、その最高温度よりも低い温度では確実に付着する接着剤を用いる。この接着剤を用いれば、圧力センサー素子が完成した後に、最高温度よりも高い温度でサポート基板400を基板411から取り外して、別のサポート基板に交換することもできる。サポート基板400として、銅、鉄、ニッケル、各種合金、各種シリサイド、導電性ポリマー等の導電性基板を使用することもできる。これらは熱伝導性も良いし、静電気対策にも効果がある。これらの導電性基板の付着方法も上述した方法を使用できる。導電性基板の場合には、基板411とのエッチング選択比を大きく取れるので、サポート基板を殆どエッチングせずに基板411の貫通した凹部を形成できる。
サポート基板400の厚みは、基板411に付着するプロセス、第1凹部を形成するときに基板411は貫通するがサポート基板は貫通しないようにする条件、基板411を貫通した第1凹部が形成された後のプロセスでも損傷したり破壊したりしない程度の厚み、さらには個片化した後の完成品を取り扱っても問題ない程度の厚み、外側の圧力によってサポート基板が変形しない程度の厚み等によって決められる。従って、サポート基板400の厚みは通常は100μm〜2000μmであり、もっと薄くする場合は全体のプロセス条件を考慮し、プロセス中に変形したり損傷しないような厚みを選定し、さらにこの後のプロセスで反りが大きくならないように厚みを選定する必要もある。
尚、図13(a)に示した場合と同様に、第1の導電体膜からの引き出し電極を裏面側から取り出すこともできる。たとえば、凹部の一部においてサポート基板400を除去して絶縁膜412にコンタクト孔を開けて第1の導電体膜413を露出させて電極・配線を接続すれば良い。コンタクト孔を開ける部分におけるサポート基板400を除去したものを裏面に付着すれば、サポート基板400を付着した後にサポート基板400を除去するプロセスも必要がなくプロセスが簡単になる。このように裏面側から第1の導電体膜からの引き出し電極を取れば、圧電体膜414をエッチング除去する必要もない。圧電体膜414のエッチングが困難である場合や圧電体膜414の厚みが厚い場合には、このような裏面からの引き出し電極も有利である。
図18(b)は、圧電体基板体に貫通する凹部を有する圧力センサーを示す図である。圧電体基板511に第1面(表面)から第2面(裏面)に貫通する凹部516(516−1、516−2、516−3、516−4、516−5)が形成されている。圧電体基板511の裏面にはサポート基板513が付着している。凹部516を形成前にサポート基板513が圧電体基板511に付着している場合は、凹部516を形成時にサポート基板513における凹部516の部分もエッチングされて凹部が形成されるが、サポート基板513のエッチング速度の遅い条件を選定して凹部516を形成することにより、サポート基板513のエッチング量を少なくすることができるか。殆どエッチングされない(凹部が形成されない)ようにできる。いずれにしてもサポート基板513における凹部はサポート基板513の裏面(圧電体基板511と付着する面を表面とする)には貫通しない。凹部516を形成した後にサポート基板513を圧電体基板511に付着した場合には、サポート基板513に凹部は形成されない。
凹部516は略直方体形状に基板511に形成されている。隣接する凹部516同士に挟まれた圧電体基板が基板側壁となって、この圧電体基板側壁が隣接する基板516内の圧力差によって圧電体基板側壁が変形する。いわゆるこの圧電体基板側壁はダイヤフラムの役割を果たす。この変形によって圧電体基板側壁の表面に電荷が分極する。1つの圧電体基板側壁をみたときに一方が凸状に変形すると反対側は凹状に変形するので、圧電体基板側壁の一方の変形面に発生する電荷と他方の変形面に発生する電荷は逆になる。従って、これらの両面に発生する電荷を外部電極へ取りだすことによって、これらの電極の間に電位差を生じる。
基板側壁511−2は凹部516−1と516−2によって形成される。基板側壁511−3は凹部516−2と516−3によって形成される。基板側壁511−4は凹部516−3と516−4によって形成される。基板側壁511−5は凹部516−4と516−5によって形成される。基板511−1の片面は凹部516−1であるが、反対側には凹部516は形成されていない。また、基板511−6の片面は凹部516−5であるが、反対側には凹部516は形成されていない。あるいは、隣接する凹部516はかなり離間しているので、圧力差によって変形しない。
これらの凹部516内および圧電体基板511の第1面に導電体膜521が形成される。凹部516内の基板側壁511−2〜5には導電体膜521が直接接している。通常隣の凹部516は圧力が異なるので、基板側壁は変形する。たとえば、凹部516−1と凹部516−2の圧力は異なるので、その間の基板側壁511−2は変形する。たとえば、、凹部516−1内の圧力がP1、凹部516−2の圧力がP2であり、P1<P2の時は基板側壁511−2は凹部516−1側へ凸状となり凹部516−2側は凹状となる。従ってこれらの間を導電体膜521で接続すると、発生する電荷が相殺されて殆ど電荷を外部へ引き出せない。そこで、凹部内の圧力が異なる凹部を接続して形成されている導電体膜521は、接続しないようにこれらの間で除去する。たとえば、基板側壁511−2の上面における522−2の部分で導電体膜521をエッチング除去する。これによって、凹部516−1側の導電体膜521−1は凹部516−2側の導電体膜521−2は接続していない。同様に、基板側壁511−3の上面における522−3の部分で導電体膜521をエッチング除去する。これによって、凹部516−2側の導電体膜521−2は凹部516−3側の導電体膜521−3は接続していない。同様に、基板側壁511−4の上面における522−4の部分で導電体膜521をエッチング除去する。これによって、凹部516−3側の導電体膜521−3は凹部516−4側の導電体膜521−4は接続していない。同様に、基板側壁511−5の上面における522−5の部分で導電体膜521をエッチング除去する。これによって、凹部516−4側の導電体膜521−4は凹部516−5側の導電体膜521−5は接続していない。尚、凹部516内が同じ圧力になる場合にはこれらの凹部516内の基板側壁は同じ形状で変形し、発生する電荷は同極なので、これらの凹部内に形成された導電体膜521は接続していても良い。また、導電体膜521を配線として使用する場合も、不要な部分、たとえば圧電体基板511の平坦な第1面(表面)状の522−1や522−6でも導電体膜521を除去する。
導電体膜521上に絶縁膜525を形成する。この絶縁膜525は圧力センサーおよび導電体膜521を保護する。特に凹部516内には外気が入る場合があるので、凹部内の導電体膜521が外気中の水分や腐食性ガスなどで変質するのを防止する。基板511の第1面(表面)において、絶縁膜525上に薄板523を付着させる。この薄板523には、圧力導入孔526(526−1、2、3、4、5)が形成される。この圧力導入孔からそれぞれの凹部へ適切な圧力が導入される。また、導電体膜521からの引き出し電極を形成する領域527(527−1、2)の薄板523も除去しておく。あるいは、薄板523を絶縁膜525上に付着する前にこれらの領域に対応する部分を除去しておいたパターニングされた薄板523を絶縁膜525上に付着しても良い。薄板527のない領域にコンタクト孔528(528−1、2)を形成しこれらの孔内に導電体膜を形成し、さらに外部への接続電極529(529−1、2)を形成する。
以上のようにして、圧電体基板511内に第1面(表面)から第2面(裏面)に貫通した凹部を有する圧力センサーができる。凹部516はサポート基板513、圧電体基板511、薄板523によって囲まれた気密空間となる。ただし、圧力導入孔526が形成された場合は、そこから圧力を印加することができる。基板側壁511−2の変形によって凹部516―1側の基板側壁511−2表面に発生した電荷は、その上に形成された導電体膜521−1−3を通って外部電極529−1へ取りだされる。尚基板511−1は変形しないので変形による電荷は殆ど発生しないので、その上の導電体膜521−1−1には電荷が移動しない。この導電体膜521−1−1は配線として利用される。基板側壁511−2の反対側(凹部516−2側)に発生した電荷は導電体膜521−2−1を通して外部電極・配線(図示していない。また内部配線されて別の配線へ接続する場合もある。以下同様)へ引き出される。
基板側壁511−3の変形によって凹部516−2側の基板側壁511−3表面に発生した電荷は、その上に形成された導電体膜521−2−3を通って外部電極・配線(図示していない。)へ取りだされる。基板側壁511−3の反対側(凹部516−3側)に発生した電荷導電体膜521−3−1を通して外部電極・配線(図示していない)へ引き出される。基板側壁511−4の変形によって凹部516−3側の基板側壁511−4表面に発生した電荷は、その上に形成された導電体膜521−3−3を通って外部電極・配線(図示していない。)へ取りだされる。基板側壁511−4の反対側(凹部516−4側)に発生した電荷導電体膜521−4−1を通して外部電極・配線(図示していない)へ引き出される
基板側壁511−5の変形によって凹部516−4側の基板側壁511−5表面に発生した電荷は、その上に形成された導電体膜521−4−3を通って外部電極・配線(図示していない。)へ取りだされる。基板側壁511−5の反対側(凹部516−5側)に発生した電荷導電体膜521−5−1を通して外部電極・配線529−2へ引き出される。基板511−6は殆ど変形しないので、その表面には電荷が発生しない。従ってこの基板511−6上に形成された導電体膜521−5−3には基板511−6からの電荷は殆ど移動しないので、配線として使用されている。
凹部526の底部にも導電体膜521(521−1−2、521−2−2、521−3−2、521−4−2、521−5−2)が形成されているが、これらの導電体膜521(521−1−2、521−2−2、521−3−2、521−4−2、521−5−2)は他の凹部内の導電体膜と接続しており、またサポート基板513とも接続しているので、サポート基板513が絶縁体である必要がある。サポート基板513が絶縁体であれば、基板側壁で発生した電荷はサポート基板513へ移動しないので、問題はない。ただし、サポート基板513が絶縁基板でない場合でも、サポート基板513上に絶縁膜を形成してから基板511と付着させる(凹部形成後でも良い)ことにより、導電体膜521が凹部516の底部に形成されても、基板側壁で発生した電荷はサポート基板513へ移動しないようにすることができる。
尚、図18(b)では圧電体基板に貫通孔を形成したが、貫通孔にせず凹部とした場合でも、同様のプロセスで圧電素子を作製できる。
次に、本発明の凹部を有する圧力センサーを、インプリント法を用いて作製する方法について説明する。図19は、インプリント法を用いた圧力センサーの製造方法を示す図である。図19(a)に示すように基板611上にポリマー615を形成する。基板611は圧力センサーを搭載する基板となるものであるから最適な基板を選択する。たとえば、基板611はシリコン基板である。シリコン基板を使用した場合、本インプリント法を用いた圧力センサーをIC等の能動素子や抵抗等の受動素子と一緒に同じ基板に形成することができるので、圧力センサーで得た電位や電流変化をIC等で演算処理して圧力値等を計算することができる。あるいは、基板611はガラス基板、石英基板、セラミック基板等の絶縁基板である。絶縁基板の場合は圧電素子で発生する電荷が基板内に漏れることを懸念する必要はない。あるいは、基板611は金属や合金等の導電体基板である。導電体基板の場合には静電気等が発生しても静電気を速やかに外部へ放出することができる。また導電体基板、特に金属や合金等の基板である場合は熱良導体でもあるから、発生した熱を外部へ放出することができる。あるいは、基板611はシリコン、炭素、ガリウムヒ素、窒化ガリウム等の半導体基板である。導電体基板や半導体基板の場合には、圧電素子で発生する電荷が基板内に漏れる可能性があるので、図19(a)に示すように、基板611上に絶縁膜613を形成した後に、この絶縁膜613上にポリマー615を形成する。絶縁膜613は、酸化法やCVD法やPVD法等で形成したシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜である。絶縁膜の厚みは、絶縁性を確保するために100nm以上あれば良い。
ポリマー615は、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル、液晶ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、N−メチルー2−ピロリドン(NMP)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリジメチルシロクサン(PDMS)、ポリイミド樹脂、ポリ乳酸、各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)、あるいはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(VDF/TrFE)共重合体、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン(VDF−TeFE)等の強誘電性高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン−11等の極性高分子等の圧電性高分子など種々の高分子材料である。これらの材料を溶剤等で溶解した溶液を塗布・滴下してポリマー膜層を作り、必要ならプリベーク等した後にモールドをこのポリマー膜層に押し入れる。その後、光硬化性樹脂であれば紫外線等の光照射を行ないポリマーを硬化させたり、熱硬化性樹脂であれば硬化温度以上の熱処理でポリマーを硬化させたり、熱軟化性(熱可塑性)樹脂であれば一度軟化温度以上にしてポリマーを軟化させた後軟化温度以下に温度を下げてポリマーを硬化させたりする。あるいは、熱軟化性樹脂シートの場合は、軟化温度以上にしてポリマーを軟化した後モールドを押し入れた後軟化温度以下でポリマーを硬化させる。
すなわち、図19(b)に示すように、凹部形成用のモールドパターン619が形成されたモールド617を基板611に形成されたポリマー615にプレスする。たとえば、ポリマー615は熱可塑性樹脂(ガラス転移温度Tg)であり、Tgより高い温度でポリマー615内に押し込む。モールド全体617をポリマー615中に全部入れて押し込んでも良いし、図19(a)に示すように少しの隙間をあけてポリマー615中に入れても良い。隙間をあける場合には、ポリマー615は硬化後体積変化するので、その体積変化を考慮して隙間の間隔を選定する。熱可塑性樹脂として、具体的にはポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセタール(PCM)、ポリプロピレン(PP)各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)、等が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー615は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂でも良いが、一度硬化した後は熱を加えても軟化できないことに注意する必要がある。熱可塑性樹脂の場合は、何度でも軟化できるので、たとえばパターン崩れが発生しても再度軟化させてモールを押し込めば良い。
モールド617のパターン619をポリマー615に押し込んだ後、冷却しTgより低くするとポリマー615が硬化する。その後、モールド617を引き上げると、図19(c)に示すように、ポリマー615内にモールド617のパターン619が転写され、凹部621(621−1、2、3、4)が形成される。モールドをポリマーに挿入前にモールド表面に離型剤を塗布等しておけばポリマーを硬化後に硬化したポリマーからモールドを分離することが容易となる。図19の図は基板611の断面構造を模式化した図(断面図)であるが、これを平面的に見れば、凹部が長方形形状で長辺側が平行で多数並んでいる。立体的には凹部が直方体形状で長辺側側面が平行で多数並んでいる。
隣接する凹部同士の間のポリマー615の側壁615−1、615−2、615−3は凹部内の圧力差によって変形するダイヤフラムとなる。インプリント法の利点は、プロセスが簡単なこと、パターンが正確に形成できることである。すなわち、インプリント法で形成された直方体形状の凹部621の大きさ、深さHc1、幅Wc1、長さLc1、および隣接する凹部621同士の距離(ポリマー側壁の厚み)Wsはバラツキが少なく形成される。本発明の圧力センサーにとって、これらの値は極めて重要であるから、できるだけバラツキがなく目標値通りに作製する必要がある。従ってインプリント法は本発明にとって非常に優れた方法である。深さHc1、長さLc1、および基板側壁厚みWsはダイヤフラムの大きさであるから、これらの値がバラツキが小さくほぼ一定に作られれば、圧力P1またはP2によって変形する量のバラツキも小さくなり、生じる電荷もほぼ一定となり、非常に正確な圧電デバイス(圧力センサー)となる。モールド617および619にポリマー615が付着してパターン崩れが発生しないように、モールド617および619をポリマー615に入れる前にモールド617および619の表面に離型剤を塗布しても良い。あるいはモールド617および619の表面にフッ素樹脂等をコーティングしても良い。
上記では、熱プリント法、すなわち常温より高い温度の熱処理を行ないポリマー615を軟化・硬化したが、UVプリント法を用いれば常温でもポリマー615を硬化させることができる。紫外線を照射すると硬化するUVポリマー615を用いて、モールド617および619をポリマー615内に押し込んだ後で、モールド617、619を通して、および/または基板611、絶縁膜613を通してポリマー615を硬化できる波長の光を照射する。この波長の光は紫外線やγ線やX線等が多い。従って、モールド617、619や基板611、絶縁膜613はこれらの光が透過できる材料を用いる。たとえば、ガラス製や石英製である。紫外線照射によりポリマー615が硬化した後で、モールド617および619を引き抜くと、凹部621が形成される。モールド617および619にポリマー615が付着してパターン崩れが発生しないように、モールド617および619をポリマー615に入れる前にモールド617および619の表面に離型剤を塗布しても良い。あるいはモールド617および619の表面にフッ素樹脂等をコーティングしても良い。この後、さらに硬化を確実にするために熱処理を行なう場合もある。
この後、底部に形成されたポリマー615Bを除去しても良い。たとえば、酸素プラズマによる異方性エッチングを基板全面(ポリマー615上面から全面)で行なえば良い。全面エッチングであるから、凹部底部のポリマー615Bだけでなく、ポリマー615の上面もエッチングされるので、全体のポリマー615の厚みが減少するが、凹部621の形状やポリマー側壁615(615−1〜3)の形状は維持される。ただし、凹部底部のポリマー615Bを基板内全体で除去するには、オーバーエッチングが必要となる。先にポリマー615Bがエッチングされた所は、下地の絶縁膜613(絶縁膜613がない場合は基板611)が露出するが、絶縁膜613や基板611がシリコン酸化膜系であれば酸素プラズマでは殆どエッチングされないし、シリコン窒化膜系でも余りエッチングされない。一方ポリマー上面はエッチングされるので、余りオーバーエッチングを行なうと凹部深さHc1が減少する。従って、オーバーエッチング量を小さくするために、酸素プラズマによるポリマーの異方性エッチング量のバラツキを小さくすると同時に凹部底部のポリマー615Bの厚みをできるだけ小さくする必要がある。モールドパターン619の深さバラツキを小さくするとともに、モールド本体617の平坦度のバラツキも小さくし、さらにモールドのプレス圧力が基板全体で均一になるようにする。モールドのプレス圧力が基板全体で均一にするには、モールドパターン619を基板全体で均一に配置しておくと良い。さらに、凹部底部のポリマー615Bがエッチングされ下地が露出し始めると、CO等の反応種が少なくなるので、その量をセンシングしてエンドポイントを決めることもできる。
次に、この硬化したポリマー615の上に第1の導電体膜{第1の電極・配線(下部電極)}623、圧電体膜625、第2の導電体膜{第2の電極・配線(上部電極)}627、絶縁膜629を形成する。この形成方法や条件等はこれまでに説明した内容と同様である。(たとえば、図13(a)、図14、図15、図17、図18)第1の導電体膜623も基板側壁の上面の637(637−1、2、3)においてつながらないようにすることや第2の導電体膜627も基板側壁の上面の639(639−1、2、3)においてつながらないようにすることも同様である。次に薄板631を付着して、各凹部621(621−1、2、3、4)に圧力導入孔633を形成する。また第1導電体膜623や第2の導電体膜627からの引き出し電極を形成すべき領域における薄板631を除去することも同様である。この後、これらの引き出し電極を形成するためのコンタクト孔やコンタクト内導電体膜や電極・配線用の導電体膜を形成する。
以上によって、基板611上にポリマー615を基板側壁とし、その上に圧電体膜を形成した圧力センサーが形成された。尚、ポリマー615が絶縁体でない場合には、第1導電体膜623を形成する前に第1導電体膜623上に絶縁膜(たとえば、CVD法やPVD法によるシリコン酸化膜等)を形成する。第1凹部は、たとえば、幅Wc1が1μm〜500μm、深さHc1が1μm〜500μm、長さLc1が1μm〜2000μm、基板側壁の厚みWsが0.5μm〜100μmの大きさであるが、インプリント法を用いれば非常に正確な凹部および基板側壁を形成できる。インプリント法の中でもナノインプリント法を用いれば非常に微細なパターンでかつ深い凹部を形成できる。
たとえば、ポリマーとしてPET(Tg=430℃)を用いた場合、PETシート(厚み約50μm)をシリコン基板(厚み400μm、4インチ)上のシリコン酸化膜(1μm厚み)上に貼り付け、約450℃以上の温度で軟化させる。この軟化したPETにモールド(シリコン製)を押しつけ、その後Tg以下に温度を下げて冷却して、モールドパターンをPET中に転写することができる。(深さHc1=30μm、長さLc1=60μm、幅Wc1=30μm、基板側壁の厚みWs=5μm)このPETで作製された凹部に白金(Pt)(第1導電体膜)を1μm積層し、白金を塩素系ガスでドライエッチングして配線パターンを形成する。その後PZTをスパッター法により2μm(側壁厚み)積層し、さらに白金膜(第2導電体膜)を1μm積層する。次に白金を塩素系ガスでドライエッチングして配線パターンを形成する。次にCVD法によって、シリコン酸窒化膜を2μm積層した後、引き出し電極部を窓開けしたガラス板(厚み200μm)を接着剤(熱硬化性樹脂)で貼り付けて固着した後、引き出し電極を作製した。さらに、圧力伝達孔を凹部領域のガラスに形成した。モールドパターンを転写した後は、すべてのプロセス温度をPETのTg以下の温度(約400℃)で行なった。以上のようにして図19(d)に示す構造の圧電デバイス(圧力センサー)を作製できた。
尚、PET上に白金を積層する前にチタン(Ti)等の密着層を薄く(10nm〜100nm程度)積層しても良い。また、PZT等の圧電性を高めるために優先方位(111)面方位を有する白金をスパッターした後にPZT膜をスパッターしても良く、この場合は、白金の優先方位(111)面に配向したPZT膜を得ることができ、PZT膜の圧電性を向上させることができる。
図19に示す場合には、基板611の第1面の平坦な面にポリマーを塗布または滴下またはシートを貼りつけるので、ポリマー膜の厚み分は基板611の第1面の平坦な面よりも厚くなってしまう。圧電デバイス(圧力センサー)のみの場合には、この厚いポリマー膜の上に導電体膜等を積層すれば良いので、導電体膜等の段差部での被覆性(ステップカバレッジ)や段差部での導電体膜の段切れ等の問題は少ないが、他のデバイス(IC、抵抗、コンデサ、コイルなど)を基板611に一緒に搭載する場合には、これらの問題が深刻になる。特に基板611に搭載されたIC等の配線と圧電デバイスの配線とを接続する場合は問題になる。さらに他のデバイスと一緒に圧電デバイスを搭載するときはもちろん、単独のときにもポリマー膜の厚み分は厚くなってしまうので、薄くしたいという要求を満足できない。そこで、図20(a)〜(d)に示すように、圧電デバイスを形成する領域において基板611をエッチング除去して薄くする。図20(a)〜(d)はシリコン半導体基板等の半導体基板等内に形成した凹部内に圧電デバイスを形成する方法を示す図である。
すなわち、図20(a)に示すように基板内の圧電デバイスを形成する領域611内に凹部614を形成する。フォトリソ法やインプリント法を用いてレジストパターンを形成して、ウエットエッチングまたはドライエッチングで凹部614を形成する。ポリマーが凹部614内に入りやすくするために凹部に斜面616を形成しても良い。たとえば基板611が(100)シリコン基板の場合において、KOH溶液でエッチングすると傾斜した斜面{(111)面}を得ることができる。あるいはフッ硝酸系エッチング液によって等方性エッチングが可能であり、またドライエッチングでも等方性エッチングが可能である。
図20(e)〜(g)は、シリコン等の半導体基板内にこのような凹部を形成する方法について説明する図である。図20(e)に示すように、シリコン基板611の第1面上に絶縁膜612を形成する。絶縁膜612は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜であり、CVD法やPVD法、あるいはSOG法等の塗布法、あるいは熱酸化法、熱窒化法等によって形成する。次に、この絶縁膜612上に感光性膜620を塗布法やシート貼り付け法(シート状、、またはフィルム状の感光性膜をシリコン基板に付着する)により形成し、露光法を用いて開口部622を形成する。次に、図20(f)に示すようにこの開口部622パターンを用いて、絶縁膜612をエッチング除去する。絶縁膜622がシリコン酸化膜の場合には、ドライエッチングであればCF系ガス(たとえば、CF4)やCHF系ガス(たとえばCHF)等やあるいはこれらに酸素やCO系ガスや水素等を混合した混合ガスを用いてプラズマエッチングし、ウエットエッチングであれば緩衝フッ酸(BHF)系エッチング液やフッ酸系エッチング液等を用いてウエットエッチングする。
次に絶縁膜612をエッチングした後の開口部パターン622に露出したシリコン基板をエッチングし、凹部614を形成する。上述したように、基板611が(100)シリコン基板の場合には、KOH溶液やヒドラジン溶液等を用いてシリコン基板をエッチングすることにより、(100)面である第1面に対して傾斜面616を持つ凹部614を形成できる。あるいは、SF系ガス(たとえばSF6)、CF系ガス(たとえば、C4F8)、塩素系ガス(たとえば、Cl2、BCl2、SiCl4)、あるいはこれらに酸素等を混合した混合ガスを用いて等方性プラズマエッチングを行なうことにより、テーパー面616を有する凹部614を形成できる。あるいは、フッ硝酸系溶液(たとえばHF+HNO3、あるいはHF+HNO3+CH3COOH)を用いて(100)面である第1面に対して傾斜面616を持つ凹部614を形成できる。尚、絶縁膜612は感光性膜620との密着性向上のために形成したが、シリコン基板611と感光性膜620との密着性に問題がなければ、感光性膜620をシリコン基板611上に直接形成しても良い。あるいは、シリコン基板611の他の領域にトランジスタ等が形成されており、既に領域622に絶縁膜等が形成され、その絶縁膜等と感光性膜620との密着性が問題なければその絶縁膜等の上に直接感光性膜を形成しても良いし、その絶縁膜等と感光性膜620との密着性に問題があれば親水性処理などによって密着性向上処理を行なった後感光性膜を形成しても良いし、あるいはこの領域622を含む領域における絶縁膜を除去してから、上記の絶縁膜612を形成しても良い。(図20(g))
次にポリマー615を塗布等して凹部614に厚く積層した後軟化させて、図20(b)に示すようにこのポリマー614にモールド617の凸状パターン619を押しつける。ポリマー615を硬化させた後モールド615を引き抜くと、基板611内の凹部領域614内の厚く積層したポリマー615内に凹部621が形成される。{図20(c)}このように基板611に凹部614を形成して、この部分に塗布されたポリマー615内に凹部621を形成することにより、全体の厚み(基板611の厚み+平坦部におけるポリマー618の厚み)を薄くすることができる。基板611の第1面の平坦部分618にもインプリント跡のポリマー618が残るが、この部分の厚みはインプリントモールド617の押圧力、基板611の強度、ポリマーの当初厚み、ポリマーの反発力等によって決定されるが、概ね0.1μm〜20μmである。この値をできるだけ小さくするために、条件を最適化する必要がある。最適化すれば0.1μm〜2μmも実現できる。この結果、図20(d)に示すように、導電体膜625や629のレベルが基板の第1面のレベルに近づき、より平坦なパターンが実現でき、導電体膜625や629の被覆性や絶縁膜623や629の被覆性等も改善され、導電体膜等の段切れ等も解消される。また圧電素子(圧力センサー)の厚みも減少するので、薄型機器にも適用できる。
ポリマー615が圧電体である場合、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子強誘電体、(たとえば、図19と同様に)、ポリマー615の側壁(615−1、2、3)に一層の導電体膜を形成すれば良い。すなわち、図19(c)の後で、図19(e)に示すように、導電体膜641を形成し、さらにポリマー側壁615−1、2,3の上面において導電体膜641をエッチング除去し、異なる圧力となる凹部同士にある導電体膜641は接続しないようにする。次に絶縁膜643を形成し、さらにその上に薄板645を付着し、凹部を気密に塞ぐ。次に凹部621(621−1、2、3、4)への圧力導入孔647をあけ、また薄板645が不要な領域649、たとえば、導電体膜641からの引き出し電極を形成する領域、にある薄板645を除去する。あるいは、あらかじめ圧力導入孔647や不要な領域が窓開けされた薄板645を用意して、その窓開けされた薄板645を絶縁膜643上に付着しても良い。その後、導電体膜641からの引き出しコンタクト孔形成およびコンタク孔内導電体膜形成および電極・配線形成を行なう。
以上のようにして圧電体ポリマー内にインプリント法によって凹部および側壁ポリマーを形成して圧力センサーを形成できる。しかも導電体膜は一層で済むので(引き出し電極・配線層を含めれば二層)、プロセスが非常に簡単になる。また、基板611としてシリコン基板等の半導体基板を用いると、同じ基板内またはチップ内に圧力センサーとそれをコントロールあるいは演算処理する機能やその他の種々の機能を持つICとを一緒に搭載することができる。従って、実装面積を小さくできので実装サイズを小型にできること、さらに接続配線を少なくできるので信頼性向上および歩留まり向上を実現できる。
従来の平面的な圧電体素子では、基板内の広い面積が必要であったが、本発明を用いると基板の平面的なサイズを小さくすることが可能となる。たとえば、1辺がW1の正方形で、深さがH1の凹部を凹部間の間隔をWsで、1辺がLの正方形の面積に並べた場合、この中に{L/(W1+Ws)}2個の凹部が形成されるので、約{L2+4H1xW1x{L/(W1+Ws)}2}の面積が圧力を受けることになるので、従来法に比較して約{1+4(H1xW1x)/(W1+Ws)}2}倍の感度となる。たとえば、H1=300μm、W1=25μm、Ws=5μmとすれば、9.3倍の感度となっている。尚、同じ圧力を受ける凹部は、凹部同士の間隔を狭めても変形しないので、Wsは凹部形成の限界まで小さくできる。また凹部の平面的大きさW1も凹部が形成できて各種膜が凹部内に形成できる限界まで小さくできる。現在のレベルでも上記の値よりもさらに小さくできるから感度はさらに高めることが可能である。尚同じ圧力を受ける領域における基板651の上面(すなわち凹部間の側壁上面)は薄板658を付着させる必要はないので、同じ圧力を受ける領域の一番外側だけを凸部にして基板611と付着させれば良い。このようにすれば、凹部間の側壁上面にも圧力を印加できるので感度がさらにアップする。
図21は、本発明の隣接する凹部間の基板側壁の側面にピエゾ抵抗を配置してそのピエゾ抵抗効果を利用した圧力センサーの構造および製造方法を示す図である。図21(d)、(e)は、基板側壁の側面におけるピエゾ抵抗のパターンの一例を示す図である。図21(d)、(e)において、正方形状または長方形状の基板側壁5011の側面5021上にピエゾ抵抗5014が4個(5014−1、2、3,4または5、6、7、8)配置されている。基板側壁の側面5021の実線で示す5022の位置がダイヤフラム部の境界となっている。すなわち基板側壁の側面5021はダイヤフラム部であり、隣接する凹部内の圧力差によってその中心位置Oが最も膨らむか窪む。図21(a)〜(e)に示すピエゾ抵抗の配置は、図21(f)に示す4個のピエゾ抵抗によるブリッジ回路(いわゆるホイートストンブリッジ回路)をなすように配置されている。図21(d)において、4個のピエゾ抵抗は基板側壁5021の周辺に配置されており、ピエゾ抵抗5014−2と5014−4は同じ方向に配置され、ピエゾ抵抗5014−1と5014−3は同じ方向に配置されている。従って、ダイヤフラム(基板側壁)の変形によってピエゾ抵抗5014−2と5014−4は同じ抵抗値(抵抗サイズが同じとして)で変化し、一方ピエゾ抵抗5014−1と5014−3は同じ抵抗値で変化し、変化の度合いは逆となる。図21(e)において、ピエゾ抵抗5014−5、6、7、8は同じ方向に配置されているが、ピエゾ抵抗5014−5と8は周辺に配置され、ピエゾ抵抗5014−6と7は中心方向に配置されている。従って、ピエゾ抵抗5014−5と8は同じ抵抗値で変化し、一方ピエゾ抵抗5014−6と5014−7は同じ抵抗値で変化し、その変化の度合いが異なる。従ってブリッジ回路の測定から抵抗値の変化量が分かるので、その抵抗値の変化量から圧力を計算することができる。尚、図21(d)、(e)ではピエゾ抵抗だけ示しているが、ピエゾ抵抗に電圧をかけて電流を流すための配線パターンも基板側壁の側面に形成されている。
図21(a)に示すように、基板5011内に凹部5012(5012−1、2、3)が形成される。この凹部5012内および基板5011の第1面に絶縁膜5013を形成し、さらにピエゾ抵抗用の薄膜抵抗5014を積層する。さらにこの薄膜抵抗をパターニングするためのレジストパターン5015を形成する。このレジストは電着法等により形成し、さらに露光法(斜め)により基板側壁の垂直面である側面にもレジストパターンを形成する。通常の塗布法(たとえば、ディップ、滴下、スピンコート、スクリーン塗布)では凹部5012内にフォトレジストが厚く溜まるので、凹部内をパターニングするためには強度の強い露光法(焦点深度が大きいもの、たとえば、X線露光やSOR(シンクロトロン放射光)法)を用いる必要がある。そこで、たとえば、電着法によって凹部内の段差にも忠実に感光性膜(感光性レジスト)689を積層することができる。ここで電着法とは溶液中に分散化された感光性高分子を導電体膜上に電気泳動法で塗膜として析出する方法である。尚、電着法以外にもシート状のドライフィルムを用いる方法やプラズマ重合法で形成する感光性レジストを用いる方法でも凹部内にパターン形成を行なうことができる。この基板側壁の側面のレジストパターンの一部がピエゾ抵抗となる。薄膜抵抗は、たとえばクロムシリコン(SiCrx)膜や他のシリサイド膜、多結晶シリコン膜である。多結晶シリコン膜の場合、ドーピング量を変えて多結晶シリコン膜の抵抗を変化させても良いし、イオン注入法で抵抗を変えても良い。たとえば、図21(a)において、多結晶シリコン膜5014を形成し、レジスト膜5015を形成する前に、全面イオン注入を行ない薄膜抵抗としての濃度分をイオン注入する。このとき、凹部5012内の基板側面にもイオン注入するために斜め回転イオン注入をすると良い。斜めイオン注入だけだと矩形凹部の場合、4回の斜めイオン注入が必要となるが、回転斜めイオン注入を使用すれば1回のイオン注入で済む。さらにピエゾ抵抗となる部分にレジストパターンを形成して配線用の高濃度のイオン注入を行なう。これによって、ピエゾ抵抗部分は所定のイオン注入量、配線パターンとなる部分は高濃度のイオン注入が行なわれる。
次にレジストパターン5015をマスクとして薄膜抵抗をエッチングして、薄膜抵抗部分と配線部分をパターニングし、レジスト5015をリムーブする。(図21(b))次に、絶縁膜5020を積層する。この絶縁膜5020は薄膜抵抗5014を保護している。薄膜抵抗5014はピエゾ抵抗にもなるし配線としても使用されている。次に、絶縁膜5020上に薄板5016を付着して凹部5012(5012−1、2,3)に蓋をする。その後、薄板5016に圧力伝達孔5012(5012−1、2、3)を開ける。さらに薄膜抵抗配線5014からの引き出し電極を取るコンタクト領域5018における薄板5016を除去する。次にコンタクト孔5019を形成し、薄膜抵抗配線5014にかける電圧を印加し電流を流せるようにする。このコンタクト部にさらに配線・電極を設けても良い。
以上のようにして、凹部内の内面、すなわち基板側壁5011(5011−1、2)の側面にピエゾ抵抗およびブリッジ回路用配線を形成できた。凹部5012−2の圧力をP2とし、基板側壁5011−1を隔てた凹部5012−1の圧力をP1とし、P2>P1とすれば基板側壁5011−1が凹部5012−1側へ膨らむ(変形する)。このとき、薄膜抵抗5014からなるピエゾ抵抗値の変化をブリッジ回路で測定できる。図21(c)から分かるように、基板側壁5011−1の側壁の両面にブリッジ回路を形成できるので、感度が2倍となる。凹部5012−2の圧力をP2とし、基板側壁5011−2の両面に形成した抵抗も同様である。
このように本発明のブリッジ回路は少ない平面的面積で構成できる。たとえば、ダイヤフラムの大きさを300μmx300μmとしたとき、凹部の幅を25μm、基板側壁の幅を5μmとすれば、本発明の圧力センサーの大きさは60μmx300μmとなり、平面的な従来のダイヤフラムに比べると1/5の面積となり、しかも2つのブリッジ回路を組めるので、感度が2倍となっている。また、同じ平面的な占有面積とすれば、9個のダイヤフラムを形成でき、その両側にブリッジ回路を組めるので、感度は18倍になっている。
これまでに説明したように、本発明の基板はポリマーやゴム等を使用できるし、シリコン等の半導体基板上にもインプリント法等を用いてポリマーやゴム内に凹部や薄膜抵抗等を使用できる。しかもポリマーやゴム等はシリコンよりヤング率がかなり小さい(シリコンのヤング率約130GPa、ポリマー約0.1〜5GPa、ゴム約0.01〜0.1GPa)ので、1桁小さいダイヤフラムでも同程度の変形量を得ることができる。たとえば、ポリマーやゴム等の厚みを50μm程度にしてインプリント法やフォトリソ+エッチング法で凹部および基板側壁を形成して、基板側壁(ダイヤフラム)の大きさを30μm(深さ方向)x30μm(長さ方向)、基板側壁の厚み5〜10μmとしても大きな変形量を得ることができるので、その側壁の側面にピエゾ抵抗パターンを形成し、従来のシリコン基板のダイヤフラム(300μmx300μm、厚み5〜10μm)並みのピエゾ抵抗変化を得ることができる。2個の凹部で不足であれば必要な分凹部を作り接続していけば良く、それでもかなり小さな面積となる。このようにすれば、シリコン半導体基板にICを作製した後に、ICの隙間部分にポリマーやゴムを塗布してピエゾ抵抗型圧力センサーを作製できる。従って、圧力センサー+ICを1チップ化でき、しかもICの面積は殆ど変わらないようにすることもできる。
また、シリコン等の半導体基板に、前述した様にポリマーやゴム層の基板厚みと同程度の凹部を形成し、その凹部にポリマーやゴム層を埋め込んでその部分を基板とすれば、他のシリコン等の半導体基板との段差も小さくできるので、ポリマーやゴム層からなる圧力センサ部と半導体基板側を接続する配線の段切れ等の問題も解消することができる。さらに、ピエゾ抵抗型圧力センサーは、基板を第1面から第2面に貫通した貫通溝タイプにも使用できる。また、第1面側から形成した第1凹部と第2面側から形成した第2凹部とで挟まれた基板側壁の側面に形成することもできる。
図22は、シリコン等の半導体基板内にピエゾ抵抗を形成する場合の構造および製造方法を示す別の実施形態を示す図である。半導体基板5031内に凹部5032(5032−1、2、3)を形成した後、第1面上に薄い絶縁膜5037を形成する。この後、導電体膜5033を積層する。絶縁膜5037は導電体膜5033を半導体基板5031上に直接形成すると問題ある場合に積層する。たとえば、密着性向上の目的、導電体膜5033をリムーブするときに半導体基板5031にダメッジが入らないようにする目的などである。絶縁膜5037は熱酸化膜でも良いし、CVD、PVD等による積層膜でも良い。導電体膜5033は感光性の電着レジスト膜を形成する目的で形成する。また、その膜厚(絶縁膜5037の膜厚と合わせて)は、イオン注入時に半導体基板内に不純物イオンが入ることができる厚みとする。従って、電着レジスト膜が形成できれば薄いほど良い。たとえば、絶縁膜5037の厚みは5nm〜100nm、導電体膜の厚みは10nm〜200nmである。導電体膜5033は電着レジストが可能な導電膜であり、たとえば、ドープしたシリコン膜、アルミニウム、チタン、クロム等の金属膜や合金膜、あるいは導電炭素膜、導電性ポリマーでも良い。
次に電着法で感光性の電着膜5034を積層し、斜め露光法(凹部内を露光するためにレーザー光を傾けて露光する。矩形状の凹部の場合、各側面を露光する場合4回露光する必要があるが、基板または露光を回転させて露光を行なうことによって1回の露光で各側面の露光が可能となる。)等で必要なパターニング5034を行なう。特にピエゾ抵抗となる領域や配線となるべき部分は窓開けする。次にイオン注入を行ない、窓開けした所から半導体基板内部のピエゾ抵抗、配線領域にイオン注入する。基板の第1面に垂直な基板側壁の側面にもイオン注入するために、斜めイオン注入を行なう。凹部が矩形の場合、凹部の面に垂直方向から照射するのが望ましいのですべての側面にイオン注入するには4回イオン注入する必要がある。ただし、回転イオン注入であれば(基板を回転しても良い)1回で済む。電着レジスト膜で窓開けした部分には導電体膜5034や絶縁膜5033が存在するので、これらの厚みや材料を考慮してイオン注入の加速エネルギーを決定する。当然マスクとなっている電着レジスト膜の厚みの考慮も必要である。あるいは、電着膜を窓開けした後に窓開けした部分の導電体膜5034をエッチング除去してからイオン注入しても良い。絶縁膜5037はこの導電体膜5034のエッチングストッパーともなる。
イオン注入後電着レジスト膜を除去し、さらに導電体膜5034を除去する。絶縁膜5037も除去しても良いし、残しても良い。その後、イオン注入したイオンを活性化するための熱処理を行ないイオン注入層5036を形成する。ダイヤフラムとなる基板側壁5031(5031−1、2)にピエゾ抵抗領域となるイオン注入層5036や配線層となるイオン注入層5036が形成される。この絶縁膜5037は薄いので、次に絶縁膜5038を形成し、さらに導電体膜5039を形成する。この導電体膜はこの上に電着レジスト膜5040を形成する目的であるが、凹部5032(5032−1、2)内にパターンを形成しないときは、基板5031の上面のみにパターンを形成するだけなので、この導電体膜5039を形成せず直接感光性レジストを形成することができる。次に斜め露光法等により、凹部内に開口部5042や基板5031の第1面上に開口部5041を形成する。(図22(c))この導電体膜5039は電着膜5040を形成する目的であるため、電着膜5040を形成できれば薄いほど良い。
次にこの開口部5041、5042から導電体膜5039をエッチング除去し、さらにこの開口部の絶縁膜5038をエッチングし、基板5031内のイオン注入層5036を露出させる。{図22(d)}次に電着レジスト膜5040をリムーブし、さらに導電体膜5039をリムーブする。ただし導電体膜5039は問題なければ残しておくこともできる。次に図22(e)に示すように導電体膜5045を積層する。この導電体膜5045はコンタクト領域5043(基板5031上の平坦部)やコンタクト領域5044(凹部内)にも積層しイオン注入層5036とコンタクトする。この導電体膜5045は金属シリサイド膜、ドープした多結晶シリコン膜、各種金属膜、導電性ポリマー等を適宜選択すれば良い。導電体膜5039を残しておき、メッキ法や選択CVD法により導電体膜5039上およびコンタクト領域にメッキ金属等の導電体膜5045を積層しても良い。メッキ金属として、たとえば、Cu、Ni、Cr等、選択CVD金属としてW等がある。
次に導電体膜5045をパターニングし、導電体膜5045をエッチング除去し必要な配線を形成する。次に絶縁膜5046を形成し、さらに薄板5047を付着して凹部5032(5032−1、2、3)に蓋をする。その後、圧力伝達孔5048(5048−1、2、3)をあける。また、導電体膜5045からの引き出し電極を形成すべき領域の薄板5047を除去する。尚これらの薄板の開口は予め除去しておいた薄板5047をアライメントして基板5031上に付着しても良い。次に、導電体膜5045との接続孔(コンタクト孔)5051を形成し、引き出し電極5052を形成する。
以上のようにして、基板側壁5031−1、2の側面にピエゾ抵抗層を形成でき、半導体基板5031内のイオン注入層(拡散層)5036による配線、そこと接続した導電体膜5045による配線を用いてブリッジ回路を組んで、圧力伝達孔5048(5048−1、2、3)から凹部5032(5032−1、2、3)へ印加した圧力P1、P2、P3による圧力差から生じる基板側壁5031(5031−1、2)の変形によって変化するピエゾ抵抗の変化量に基づいて印加された圧力差を求めることができる。尚、イオン注入層5036の代わりに拡散層5036を作製することもできる。たとえば、図22(a)において、電着レジストパターンによって、導電体膜5033をエッチングしてさらにその下の絶縁膜5037もエッチングした後、電着レジストをリムーブし、さらに導電体膜5033をリムーブして絶縁膜5037の開口部を得る。絶縁膜5037の開口部から所望の濃度のプリデポ+拡散で拡散層5036を得ることができる。尚、この場合には絶縁膜5037がプリデポおよび拡散のマスクとなっているので、イオン注入法による場合よりも厚く絶縁膜5037を積層することが望ましい。また、基板5031内のイオン注入層(拡散層)配線層の濃度を上げるために、前述したことと同様の方法で、さらにイオン注入層またはプリデポ+拡散層を形成することもできる。半導体基板5031内にピエゾ抵抗層を作製すると、このピエゾ抵抗層は半導体基板そのものであるから、信頼性や品質が高いことが利点である。
電着レジストパターンにより板凹部へパターニングできるが、通常のレジストを用いても側壁凹部へパターニングできる。図23は、側壁の側面に抵抗体を形成する一実施形態を示す図である。図23(a)はシリコン基板9001に貫通溝8099(8099−1〜5)が形成され、シリコン基板9001の下面(第2面)にサポート基板9021が付着している。側壁9001(9001−1〜6)の側面および9001の上面(第1面)には絶縁膜8991が積層されている。シリコン半導体基板9001の貫通溝8999が開口している面(上面、第1面)上に感光性シート(シート状感光性膜よも言う)9201を付着させる。感光性シート9201を付着させるとき真空中(または低圧状態)で付着させると良い。貫通溝8999の開口部分9203においては、感光性シート9201を支える部分がないため、感光性シート9201は少し窪む。
次に、図23(b)に示すように、プリベークを行って感光性シート9202を軟化させると貫通溝8999内に入り込み、側壁9001(9001−1〜6)の側面および貫通溝8999の底へ付着する。感光性シート9201を付着させるときの圧力より高い圧力をかけてプリベークすれば、その圧力差で感光性シート9201が貫通溝8999の内部に入る。特に貫通溝8999内は真空(または低圧)になっていて殆ど気体がないので、感光性シート9201はスムーズに貫通溝8999の内部に垂れていき、側壁9001(9001−1〜5)の側面および貫通溝の底(すなわち、サポート基板9021の開口面)にしっかりと空隙がなく付着する。貫通溝8999内の感光性シート9201の(平均)膜厚をt21、貫通溝8999内の幅をd21、深さをh21、奥行きをw21とすると、感光性シート9201の貫通溝8999内の体積は約d21*h21*w21*t21となる。付着直後の感光性シートの厚みをteとし、貫通溝8999の開口部の感光性膜が全部貫通溝8999内に入り込んだとすると(実際には、貫通溝8999の開口部の外側、すなわちシリコン基板9001上の感光性シートの一部も軟化して貫通溝8999内に入り込む)、
d21*h21*w21*t21=d21*w21*teが成り立つので、te=h21*t21となる。
イオン注入の注入深さをmax0.3μmとすれば、h21=300μmとすると、t21は0.3μm以上となれば良いので、感光性シート9201として、厚み90μmのものを使用すれば良い。このように、イオン注入の注入深さからこの関係式を用いて使用する感光性シート9201のおおよその厚みを決定すれば良い。
プリベーク後に側壁9001(9001−1〜6)の側面および貫通溝8999の底へ付着した感光性膜9201に光EX12を照射しマスクを用いて感光する。光EX12の照射角度はシリコン基板9101の表面に対してβ22の角度として、側壁9001の側面に照射する。この状態を図23(c)の模式図に基づいて説明する。光EX12は、マスク9205のパターン9207を通って、側壁9001の側面に付着した感光性膜9201上に照射される。光EX12が、側壁9001の側面に付着した感光性膜9201に照射してパターン形成されるためには、シリコン基板9101の表面に対してある角度(β22)傾けて光EX12を照射する必要がある。マスク9205のパターン9207のパターン幅d22は、側壁9001の側面の感光性膜9201上でd22/tanβ22の幅となる。露光後に現像して抵抗体を作りたい所(図23(c)では、x22の部分)の感光性膜を除去する。従って、図23(c)に示す例は感光性膜9201はネガ型である。ポジ型の感光性膜9201の場合には、マスクの空き部分をネガ型の場合と逆にして抵抗体を形成する部分には光を照射しないようにする。露光の照射方向は、図34で説明したイオン注入と同じ方向で、パターンを形成したい側壁9001(9001−1〜6)の側面に照射できるようにする。すなわち、図23(b)において、側壁の右側面にパターン形成したいときは、右側から照射し(図23(b)において、EX12)、側壁の左側面にパターン形成したいときは、左側から照射する(図23(b)において、EX11)。
以上のようにして、図23(d)に示すように抵抗体を形成すべき部分9209が窓開けされる。感光性膜9201の本ベークを行って感光性膜を硬化させた後、側壁9201(9001−1〜6)の側面にイオン注入(II24、II25)を行い、この窓開けされた部分8209の側壁側面シリコン基板にイオン注入層9211を形成する。イオン注入の加速エネルギーは、絶縁膜8991の厚みを考慮して、どの程度の深さにイオン注入層9211を形成するかで決定する。イオン注入の加速エネルギーを下げたければ、窓開けされた部分9209の絶縁膜8991を除去しても良い。この除去方法として、絶縁膜をエッチングできるウエットエッチング液に浸漬したり、あるいは等方角性ドライエッチングを行ったりする。また、イオン注入(II24、II25)は、図34において説明したように、側壁9201(9001−1〜6)の側面にイオン注入するために一定角度(α24、α25)傾けてイオン注入する。イオン注入の方向は、図34で説明したイオン注入と同じ方向で、窓開けされたパターンを形成した側壁9001(9001−1〜6)の側面に照射できるようにする。すなわち、図23(d)において、側壁の右側面に窓開け9209が形成されているときは、右側からイオン注入し(図23(d)において、II25)、側壁の左側面に窓開け9209が形成されているときは、左側からイオン注入する(図23(d)において、II24)。抵抗体の濃度(抵抗)により、イオン注入量を決定する。尚、イオン注入の場合には、絶縁膜8991はなくても良い。イオン注入ではなく、拡散法で抵抗体を形成することもできる。その場合には、窓開けされた部分9209の絶縁膜9209をエッチングした後、感光性膜9201を除去した後に、拡散を行えば良い。
次に抵抗体を配線層に接続する拡散配線層を側壁9201(9001−1〜6)の側面に形成する必要がある。この形成も図23(a)〜(d)において説明した方法と同じ方法で行なうことができる。抵抗体としてのイオン注入層9211を形成した後に感光性膜9201を除去(リムーブ)する。このリムーブは、有機系のレジスト剥離液や濃硝酸等のウエット式剥離法や、酸素プラズマ等を用いたアッシングにより行なう。次に図23(a)および(b)に示した方法と同じく、感光性シートを真空中でシリコン基板9001の第1面側に付着させる。これは真空中や1気圧以下の低圧で行なうことが望ましい。その後プリベークを行って感光性シートを貫通溝の側壁側面や底部に付着させる。次に露光して、既に形成した抵抗体9211に接続できるように感光性シートをパターニングする。この露光も同様に傾斜させて側壁側面にパターニングできるようにする。また、側面のパターンが第1面の配線につながるようにもパターニングする。パターニング終了後、この窓開けされた部分にイオン注入を行う。このイオン注入は、抵抗体を形成したイオン注入よりも高濃度であり、配線抵抗を下げる必要がある。従って、パターニング幅を広くしてイオン注入層の抵抗が低くなるようにする。この高濃度のイオン注入層は抵抗体のイオン注入層9211と接続するようにするが、そのオーバーラップは抵抗体9211の両端であり、抵抗体9211の本体には高濃度のイオン注入がされないように抵抗体9211の本体部分は感光性膜で被覆しておく必要がある。(抵抗体と高濃度イオン注入層(拡散配線層)とは接続しなければならないので、のオーバーラップは必須である。)高濃度のイオン注入であるから、ハイカレントイオン注入装置を使用することが望ましい。尚、簡単に分かるように、高濃度層のイオン注入層を作る工程と抵抗体をイオン注入で作る工程は逆に形成しても良い。また、高濃度の拡散層(配線層)も拡散法(プリデポ)で作ることもできる。以上のようにして、側壁側面に抵抗体およびそれに接続する低抵抗拡散配線層を形成できる。尚、抵抗体の不純物濃度は約1017/cm3〜1020/cm3であり、拡散配線層(低抵抗)の不純物濃度は、抵抗体の不純物濃度より大きく約1019/cm3〜1020/cm3〜1022/cm3である。また、側壁がN型シリコンである場合には不純物はP型であり、側壁がP型シリコンである場合には不純物はN型である。(尚、側壁全体が抵抗体の場合には同じ不純物タイプであっても良い。)さらに、ピエゾ抵抗効果が大きいのはP型であるから、P型の不純物濃度を有する抵抗体にすると、側壁の変化率に対する抵抗体の抵抗変化率が大きくなり感度は上がる。
図23において、感光性膜として感光性シートを用いる方法を説明した。これ以外にも感光性膜を側壁の側面に形成する方法がある。図24は、感光性膜を側壁の側面に形成する方法について説明する図である。図24(a)に示すように、液状タイプの感光性膜(通常のレジスト)を貫通溝8999(8999−1〜5)が形成されたシリコン基板9001上に塗布する。貫通溝8999の内部にも液状の感光性膜が入り込む。この塗布は、好適には大気圧中よりも低圧下、望ましくは真空中(超低圧下)で行なうと、貫通溝8999の底まで気泡が入らずに感光性膜が充填する。ただし、貫通溝8999を大部分埋め込む必要はない。次に図24(b)に示すように、挿入型マスク9223を準備する。挿入型マスク9223は貫通溝8999へ入り込む柱状パターン9225を支持するサポート板9224からなる。柱状パターン9225の形状は貫通溝8999の大きさより少し小さめにできていて、形状はほぼ同じである。すなわち、貫通溝8999の幅がd21、奥行き(紙面に対して垂直方向)がw21、柱状パターン9225の幅をd31、奥行き(紙面に対して垂直方向)をw31とすれば、d21>d31、w21>w31である。また柱状パターン9225の長さh31は、貫通溝の深さh21より大きくする。
この挿入型マスク9223を貫通溝8999を有するシリコン基板9001にアライメント合わせを行い、徐々に接近させて、図24(c)に示すように、貫通溝8999の中に柱状パターン9225を挿入する。貫通溝8999の中に入っていた感光性膜9221は、柱状パターン9225に押し出される。適度な深さまで挿入したら、移動を停止する。このときの柱状パターン9225と側壁との距離をe1(左側面との距離)、e2(右側面との距離)とすれば、d21=d31+e1+e2となる。また、柱状パターン9225の底からサポート基板までの距離をf31とする。柱状パターン9225が側壁9001−1〜5に接触しないで貫通溝へ挿入させるためには、挿入型マスク9223とシリコン基板9001とのアライメントは非常に重要である。このアライメントを正確に行なうために、サポート板9224は透明材料であると良い。また、挿入型マスク9223を精度良く作製するために、深堀タイプの異方性エッチング(Deep RIE)を用いて、たとえば石英基板などをエッチングして挿入型マスク9223をとする。尚、側面の感光性膜の厚みは比較的厚くても露光や現像は可能である。たとえば、5〜10μmの厚みでも良いので、d31=d21+10〜20μmでも良い。もちろん合わせ精度が将来は向上するから側面の感光性膜の厚みをさらに小さくすることができる。
挿入型マスク9223を停止させた状態でプリベークを行い半効果させた後、挿入型マスク9223を引き抜く。この結果、図24(d)に示すように、側壁側面に一定厚みの感光性膜9221を側壁にコンフォーマルに形成できる。挿入型マスク9223を引き抜くときに感光性膜9221を一緒に引きずらないようにするために、あらかじめ柱状パターン9225の表面に疎水性溶剤を塗布したり、超音波振動等を加えながら挿入型マスク9223を引き抜いたりすれば良い。このようにして、側壁側面にほぼe1またはe2の厚みを有する感光性膜を形成できる。この後、露光して所望のパターニングを行えば良い。尚、この技術は、圧力センサーへの適用だけでなく、側壁側面にレジストパターンを形成するすべてのパターン形成に適用可能である。尚、挿入型マスク9223にさらにパターンを形成して光が通るようにして柱状パターン9225の内側から光を照射するようにすれば、通常のステッパーやアライナー等の露光装置を使用しなくても良い。プリベークした後に柱状パターン9225から光照射して、その後で挿入型マスク9223を引き抜いて、その後現像すれば、所望の感光性膜パターンを形成することができる。
本発明の基板側壁面は種々の結晶面を選択できる。たとえば、シリコン基板の結晶面(表面)が(100)面であるとき、側壁面9101は、(0xx)面となる。(xは任意の数)さらに、その側壁面に対して(ピエゾ)抵抗体も種々の方位になるように形成することができる。たとえば、側壁面が(010)面であれば、<110>方向へ抵抗体を形成すればピエゾ抵抗効果が最も大きくなるので、抵抗変化も大きくすることができる。変形率は大きい方が測定値の差が大きくなり感度が良くなる。従って、抵抗体を変形率(歪)の大きい側面の端部に配置する。さらに、最もピエゾ抵抗効果の大きい結晶面上で、最もピエゾ抵抗効果の大きい結晶軸の方向に抵抗体の長手方向を配置し、かつ最もピエゾ抵抗効果の大きい結晶軸の方向に抵抗体の短辺方向を配置することが望ましい。たとえば、基板側壁側面の面方位が(100)の場合には、<110>方向に抵抗体の長手方向を、かつ<110>方向に抵抗体の短辺方向を配置する。(結晶方位依存性は基板側壁の変形にも寄与するので、静電容量型圧力センサにも同様のことが言える。)
以上説明してきたように、本発明の貫通溝で挟んだ側壁の側面(貫通溝)に(ピエゾ)抵抗体を形成する(側壁全体が抵抗体である場合も含む)ことにより、側壁の両側面にかかる圧力差(P1−P2)によって側壁が変形することを用いて、圧力差(P1−P2)を検出することができる。ホイートストンブリッジ回路だけでなく、他の抵抗測定回路を用いても圧力差によるピエゾ抵抗体の変化を測定し、その測定値から圧力を検出することができる。また、LSIで使用するシリコン基板と同じもの(たとえば、不純物濃度や結晶面方位が同じ)を使用できるので、本発明の圧力センサとLSIを同じチップに搭載できる。しかも従来の平面型ダイヤフラムに比べて圧力センサの面積を非常に小さくすることができるので、LSIのチップサイズを大きくすることもない。具体的には、圧力センサの面積は、従来の平面型ダイヤフラムが500μm*500μmのサイズに対して、側壁4枚の場合で500μm*200μmのサイズで充分である。側壁1枚なら、500μm*100μmのサイズで充分であり、プロセス条件を最適化すれば、500μm*50μm以下のサイズも可能となる。
図25(a)〜(c)は、基板内に形成した凹部を用いた静電容量型の圧力センサーの構造および製造方法を示す図である。基板5111内に凹部5112(5112−1、2、3)を形成した後、絶縁膜5113を形成し、さらに導電体膜5114を形成する。次に感光性膜5115を形成し、必要なパターンを形成する。基板5111はシリコンや化合物半導体等の半導体基板、ガラス、石英、ポリマー、セラミック等の絶縁体基板、あるいは金属や合金や導電性高分子等の導電体基板でも良い。あるいはこれらの基板を貼り合わせた基板であっても良い。あるいは、上記の基板等に形成したポリマーやゴムやペースト(絶縁性または導電性)等の液状体膜やゲル状膜を形成し、インプリント法を用いて凹部を形成しても良い。さらに、図25(a)〜(c)では凹部は第1面(表面)に開口しかつ第2面(裏面)には貫通していないが、第2面に貫通した貫通溝であっても良い。基板5111が絶縁体であるときは、絶縁膜5113を形成しなくても良い。ただし導電体膜5114と基板5111の密着性が余り良くないときは絶縁膜を積層する場合もある。凹部5112内にパターン形成する場合、感光性膜5115は、凹部5112の内部にできるだけ忠実に形成することが望ましい。たとえば、電着レジスト膜を形成する。他にシート状のドライフィルムを用いる方法やプラズマ重合法で形成する感光性レジストを用いる方法でも良い。凹部5112内にパターン形成しない場合は、通常の塗布法やディップ法等でレジストを形成する方法でも良い。次に露光法(フォトリソ法)で感光性膜5115をパターニングする。たとえば、凹部5112(5112−1、2、3)の底部5116(5116−1、2、3)を開口する。および/または凹部5112(5112−1、2、3)の間の基板側壁5111(5111−1、2、3)の上部5117(5117−1、2、3)を開口する。および/または凹部内側面を開口する場合もある。{図25(a)}
次にこのパターニングした感光性膜5115をマスクとして導電体膜5114をエッチングする。凹部内側面に形成された導電体膜5114をエッチングするときは、ウエットエッチングまたは等方性ドライエッチングが良い。これにより導電体膜5114は基板側壁上面5119(5119−1、2)で、および/または凹部底部5118(5118−1、2、3)で、および/または凹部側面(基板側壁の側面)で切断される。さらに基板5111の第1面で必要な配線形成が行なわれる。導電体膜が多結晶シリコン膜やシリサイド膜、透明導電体膜(ITO、ATO、ZnO等)の場合はたとえばフッ硝酸系のエッチング液やハロゲン系のガスを用いたドライエッチングでエッチングできる。導電体膜が透明導電体膜(ITO、ATO、ZnO等)の場合はたとえばフッ硝酸系のエッチング液やハロゲン系のガスを用いたドライエッチングでエッチングできる。導電体膜がアルミニウムの場合はたとえばリン酸系のエッチング液やハロゲン系のガスを用いたドライエッチングでエッチングできる。その他の材料についても良好なエッチング法を適宜選択すれば良い。このエッチングによって、導電体膜5114は、5114−1、2、3、4、5、6等に分割される。(ただし、これらの間で必要な部分は接続する場合もある。)次に絶縁膜5120を積層する。この絶縁膜5120は導電体膜5114を保護し、この後付着する薄板と導電体膜5114とを介在する絶縁膜でもある。{図25(b)}
次に薄板5121を付着し凹部5112に蓋をする。この接着法は、接着剤を使用する方法や、常温接合法などがある。この薄板5121の凹部5112(5112−1、2、3)に圧力伝達孔5122(5122−1、2、3)を形成する。また、コンタクト孔5124や引き出し電極5125を形成すべき領域5123における薄板5121も除去することが望ましい。さらにその他の薄板5121が不要な部分から薄板5121を除去する。あるいは、あらかじめ薄板5121が不要な部分を除去した薄板5121を基板5111上に付着しても良い。次に導電体膜5114からの引き出し電極を形成するために、フォトリソ法およびエッチング法を用いて絶縁膜5120にコンタクト孔5124を形成し、コンタクト孔5124に導電体膜を形成し引き出し電極5125を形成する。{図25(c)}引き出し電極等を先に形成してから薄板を付着させることもできる。
図25(d)は、図25(a)〜(c)に示す圧力センサーの平面図を示す。凹部5112(5112−1、2、3、4)と導電体膜5114(5114−1、2、3、4、5、6、7、8)を示す。直方体形状の凹部5112(5112−1、2、3、4)が平行にならんでおり、凹部5112(5112−1、2、3、4)の間に側壁5111(5111−1、2、3、4)が形成されている。また。側壁5111(5111−1、2、3、4)の側面には導電体膜5114(5114−1、2、3、4、5、6、7、8)が形成されており、凹部内を含め導電体膜5114(5114−1、2、3、4、5、6、7、8)が分離している。図25(d)から分かるように、凹部内の内面に導電体膜5114を形成しその間の凹部空間を静電容量空間(たとえば、凹部5112−2)とする場合、一方の電極となる導電体膜5114−3は基板側壁5111−1の凹部5112−2の内側面に形成され、他方の電極となる導電体膜5114−4は基板側壁5111−2の凹部5112−2の内側面に形成され、これらの電極の間は凹部底部も凹部側面(この場合凹部短辺側)において導電体膜はエッチング除去される。この結果凹部内を容量空間として、両側の基板側壁側面5114−3および4を電極とする静電容量素子ができる。
凹部5112内のレジストパターニングが難しいときは、1つの凹部(たとえば5112−2)内の導電体膜5114(5114−3、5114−4を含めた凹部5112−2内の導電体膜)はすべてエッチング除去する。この凹部に隣接する凹部(5112−1、または5112−3)に形成された電極をコンデンサの電極とする。ただし、このときの容量成分は凹部の空間容量、基板側壁5111−1および5111−2も容量を形成している。凹部51112−1および5112−3内の導電体膜5114はそのまま残しておくので、導電体膜5114−1と5114−2、また導電体膜5114−5と5114−6はつながっている。このようにすると、凹部5112内ではレジストのパターニングをしなくて良く、レジストのパターニングを行なうのは基板5111の第1面の平坦部なので通常のフォトリソ法およびエッチング法で導電体膜5114を除去できる。この結果、凹部5112(5112−1、2、3、4)内の空間を静電容量として、その両側の導電体膜を電極5114(5114−1、2、3、4、5、6、7、8)とするコンデンサが出来上がっている。これらのコンデンサの静電容量をC1、C2,C3、C4とすると、これらのコンデンサを適宜並列および/または直列に接続することにより、コンデンサの容量を増減できる。
図25(f)は、図25(a)〜(d)に示す静電容量型圧力センサーの動作および原理を示す図である。図25(f)に示す構造は図25(a)〜(c)とは少し異なっているが、本質的には同じ構造である。図25(f)においては、凹部5112(5112−1、2、3、4)は基板5111内で第1面から第2面へ貫通した貫通溝となっている。この貫通溝5112(5112−1、2、3、4)の形成方法は記述済である。たとえば、薄板5126を基板5111の第2面に貼りつけて基板5111の第1面に形成したレジストパターン等をマスクにして垂直エッチングやインプリント法を用いて第2面に到達する貫通溝を形成する。その後薄板5126を取り付けた状態で第1面側に薄板5121を取り付ける。その後薄板5126は別の薄板へ貼り替えても良い。あるいは、たとえば、薄板5126を基板5111の第2面に貼りつけないで、基板5111の第1面に形成したレジストパターン等をマスクにして垂直エッチングやインプリント法を用いて第2面に到達する貫通溝を形成する。その後、第1面側および第2面側に薄板を貼りつけても作製できる。
圧力伝達孔5122(5122−1、2、3、4)から圧力P1、P2、P3、P4を凹部5112(5112−1、2、3、4)へ導入すると、これらの凹部の間の基板側壁5111(5111−1、2、3)が凹部内の圧力差によって変形する。たとえば、P1<P2のとき、図25(f)に示すように基板側壁5111−1は凹部5112−1側へ膨らむ。また、P2>P3のとき、図25(f)に示すように基板側壁5111−2は凹部5112−3側へ膨らむ。圧力差がないときにおける凹部5112−2の凹部の幅(電極間距離)をd1、P1<P2における基板側壁5111−1の変形量をd2、P2>P3における基板側壁5111−2の変形量をd3とする。d2、d3は凹部5112の深さによって異なり、その中心付近で最も大きくなるが、d2、d3をこの平均量と考えれば、圧力差がないときの容量C2=εS/d1は圧力差を受けてC2’=εS/(d1+d2+d3)に変化(この場合は減少)する。(εは誘電率、Sは電極面積)基板側壁5111−1および5111−2の厚みが同じで、P1=P3とすれば、d2=d3と考えて良い。この静電容量変化と圧力の関係を予め求めておけば、未知の圧力差で変形したときに静電容量の変化から圧力差を求めることができる。
凹部5112−3について見ると、P2>P3のときには基板側壁5111−2が凹部5112−3側へ凹み(変形量d5)、P4>P3のときには基板側壁5111−3が凹部5112−3側へ凹む(変形量d6)。圧力差がないときにおける凹部5112−3の凹部の幅(電極間距離)をd4とすればd5、d6は凹部5112の深さによって異なり、その中心付近で最も大きくなるが、d5、d6をこの平均量と考えれば、圧力差がないときの容量C2=εS/d4は圧力差を受けてC2’=εS/(d4―d4―d5)に変化(この場合は増加)する。(εは誘電率、Sは電極面積)基板側壁5111−2および5111−3の厚みが同じで、P2=P4とすれば、d5=d6と考えて良い。この静電容量変化と圧力の関係を予め求めておけば、未知の圧力差で変形したときに静電容量の変化から圧力差を求めることができる。
尚、図25(a)〜(c)における実施形態では、基板5111−4や5111−5については、変形は殆どしないので、凹部5112−1および5112−4の静電容量変化は片側だけの変形になる。以上のように本発明の凹部(あるいは貫通溝)を作製して、これらの凹部間の基板側壁が凹部間の圧力差によって変形するときに静電容量が変化するので、この変化量から圧力を求めることができる。これらの凹部を多数並べて同じ圧力となる凹部における電極を並列に接続していけば、全体の容量は1つ1つの容量の和となるので1つ1つの変化量が小さくても全体としては大きな容量変化となるので、感度を増大できる。また、凹部の幅を基板側壁の変化の限界量以下で作製すれば、基板側壁は凹部の幅(の半分)以上には変形しないので、基板の歯会や損傷を防止することができる。また、圧力伝達孔や電極は第2面側にも作製できるので、(特に図25(a)〜(c)に示す場合はどちらでも可能)設計しやすい。
本発明の静電容量型圧力センサーもインプリント法で作製できることは上述の通りであるが、ヤング率の低いポリマーやゴム等を用いれば寸法が小さくても大きく変形するので静電容量を大きく変化させることが可能となる。上述の繰り返しにはなるが、基板内に深さが10〜500μm、縦および横が約1000μm以下の凹部を形成し、各種ポリマーやゴムを凹部に塗布またはディップ等して凹部内を埋めて、これらの液状またはゲル状の状態にインプリント法で凹部を形成する。あるいは、ポリマーやゴム等を硬化してからフォトリソ法およびエッチング法で凹部を形成する。次にこれらのポリマーやゴムは絶縁体である場合には導電体膜を積層する。導電体膜をパターニングした後絶縁膜を積層してこれらの凹部に薄板で蓋をして、引き出し電極を形成する。これらのポリマーやゴムは絶縁体でない場合には絶縁膜を形成した後に導電体膜を積層する。導電体膜をパターニングした後絶縁膜を積層してこれらの凹部に薄板で蓋をして、引き出し電極を形成する。これによって、たとえば、シリコン基板等の半導体基板内に上記の埋め込み圧力センサーを形成できる。
埋め込んだ凹部の基板側壁の上面を半導体基板内に形成したICや各種デバイスの高さとほぼ等しくすれば、圧力センサーの導電体膜はIC等のデバイスに用いる導電体膜と兼用も可能である。特にポリマーやゴムの硬化温度を半導体プロセスの最終温度(最終保護膜の形成温度)である約300℃〜500℃より低く設定できるので、IC等の素子を形成した後に圧力センサーを同じIC等のチップ内に搭載することができる。このときは、IC等の最終保護膜を形成した後に、半導体基板内に凹部を形成して圧力センサーを形成すれば良い。圧力センサーの導電体膜形成時に、IC等のパッドに配線接続すれば良い。あるいは、ポリマーやゴムの硬化温度が半導体プロセスの最終温度より高ければ、半導体プロセスで使用する最終の導電体膜の形成前に半導体基板内に凹部を形成して、ポリマー等を凹部へ入れてインプリント法やフォトリソ法で圧力センサー用の凹部を形成した後、圧力センサー用の導電体膜と半導体プロセスで使用する最終の導電体膜とを兼用することができる。これらの導電体膜をパターニングした後、最終保護膜(絶縁膜)を形成し、薄板で圧力センサー用凹部に蓋をすれば良い。尚、上述した方法は、本発明のすべての圧電センサー(これ以降に記載するものも含める)に適用できることは言うまでもない。
図26(a)、(b)は圧力センサーのパッケージの一例を示す図である。図26(a)はその平面図であり、図26(b)はその側面断面図であるが、この図26(a)、(b)に示すように、圧力センサー(圧電素子)の外側は、基板5131(5131−1)である。その内側に凹部(または貫通溝)5132−2が基板側壁5131−2を取り囲む。一番内側に凹部(または貫通溝)5131−1がある。凹部5131−1の内側側面の基板側壁5131−2に導電体膜5133(5133−1、2、3、4)が積層されている。説明に不要な膜は記載していない。内側凹部5132−1と外側凹部5132−2との間の基板側壁5131−2が、これらの凹部間の圧力差によって変形する。図26(a)では4つの基板側壁が存在していて、各基板側壁は圧力差に応じて内側へ凹むか外側へ膨らむかして変形する。この変形に応じて、静電容量型圧力センサーの場合には、これらの対向する電極間(たとえば、5133−1と5133−3、5133−2と5133−4)の容量変化を検出する。また、基板側壁に圧電体膜を用いた場合はこれまで説明したような膜構造を構成して、圧電体膜の両側に形成した電極に引き出された電荷量を検出する。基板側壁に形成した圧電体膜を用いた場合はこれまで説明したような膜構造を構成して、圧電体膜の両側に形成した電極に引き出された電荷量を検出する。尚、図26(c)、(d)に示すように(図26(c)は平面断面図、図26(d)は側面断面図であり、膜構造は既述しているので必要な部分だけ記載している)、圧電体基板または圧電体膜の場合には、同じ方向に変化しているので、凹部5132−1の内側側面の電極5133−2はすべて接続しても良く、基板側壁5131−2の外側にも圧電体膜や電極を作製でき、それらの電極5133−1は接続しておくことができる、凹部内部でパターニングする必要がないので、プロセスも簡単である。
基板側壁の側面にピエゾ抵抗素子を形成してブリッジ回路を組んだピエゾ抵抗型圧力センサーも基板側壁の各面および表面・裏面に作製できるので、検出感度が増大する。尚、図26に示す実装パッケージの外壁5131−1の厚みは使用する圧力で変形しないようにする。図26は、圧力伝達孔や引き出し電極を記載していないが、必要な場所に適宜形成すれば良い。このような実装パッケージは極めて小型に形成でき、半導体プロセスを適用でき、プロセスが極めて簡単である。従って、1枚の基板から多数形成できる。たとえば、0.5mm*0.5mm*0.5mmの実装パッケージを実現でき、6インチウエハであれば約65000個形成でき、極めて安い圧力センサーを実現できる。
本発明のセンサデバイスは2mm以下の厚さの基板に作製できるとして説明してきたが、もっと厚い基板にも適用できることは構造からすぐ分かる。2mm以上の厚さの基板において垂直な凹部を形成する方法として、インプリント法によって作製する方法がある。厚い樹脂を塗布して、適当なサイズのモールドを使用してインプリントで凹部を作製できる。あるいは、適当なサイズの打ち抜き型で基板を打ち抜いて貫通孔を作製できる。凹部や貫通孔内面への導電体膜は、導電体膜をCVD法、PVD法、めっき法等により所望の厚みで積層する。圧電体膜、絶縁体膜もCVD法、PVD法等により積層する。他はこれまで説明した方法を採用すれば良い。大型のセンサデバイスは、たとえば床発電等にも使用できる。
図27は、本発明の縦型圧力動作素子を用いたインクジェットデバイスを示す図である。基板内に第1面(表面)から第2面に貫通し、側面が基板側壁で囲まれた複数の凹部を有し、基板側壁の上面には第1の薄板が付着し、基板側壁の下面には第2の薄板が付着し、この凹部の上部は第1の薄板で被われており、凹部の下部は第2の薄板で被われている。上部が第1の薄板で、下部が第2の薄板で、側面が基板側壁で囲まれた一部の凹部(インク溜まり凹部)は、その上部を被っている第1の薄板の一部が外側と貫通しており、その貫通孔(インク導入孔)を通して第1の薄板の上方からインクが当該凹部へ導入されるようになっており、通常インク溜まり凹部内にはインクが入っている。また、当該凹部の下部を被っている第2の薄板の一部が外側と貫通しており、その貫通孔(インク放滴孔)を通して当該凹部からインクを放滴できるようになっている。インクが導入される当該凹部の側面を構成する側壁の少なくとも一部を隔てて隣接する凹部(隣接凹部)は、側面が基板側壁で囲まれた凹部であり、この隣接凹部の上部は第1の薄板で被われており、隣接凹部の下部は第2の薄板で被われている。この隣接凹部の上部を被っている薄板の一部が外側と貫通しており、その貫通孔(圧力伝達孔)を通して隣接凹部の圧力を高くしたり低くしたりできるようになっている。圧力伝達孔を通して隣接凹部の圧力を一定圧力(たとえば、1気圧)より低くすると隣接凹部とインク溜まり凹部を隔てている基板側壁が隣接凹部側に膨らみ、その結果外部のインク液容器からインク導入孔を通してインク溜まり凹部内へインクが流入する。一定量インク溜まり凹部内へインクが溜まったら、隣接凹部の上部を被う薄板に開いている圧力伝達孔を通して隣接凹部の圧力を一定圧力(たとえば、1気圧)より高くすると隣接凹部とインク溜まり凹部を隔てている基板側壁がインク溜まり凹部側に膨らみ、インク放滴孔を通してインク溜まり凹部内のインクは外側へ滴出される。
本発明の凹部を形成した基板を用いたインクジェット用素子の構造は上述したようにこれまで説明した圧力センサーと同じであるが、さらにその製造方法の概要を以下に説明する。図27(a)に示すように、第2の薄板2015を基板2011の第2面(裏面)に付着させる。基板2011はシリコン基板等の半導体基板、ガラス基板やプラスチック基板等の絶縁基板、鉄や銅や合金や金属等の導電体基板など種々適用できる。(あるいは、第2の薄板上に形成したポリマーやセラミック等にインプリント法を用いたものでも良い。)第2の薄板2015もシリコン基板等の半導体基板、ガラス基板やプラスチック基板等の絶縁基板、鉄や銅や合金や金属等の導電体基板など種々適用できる。また、基板2011および第2の薄板2015は接着剤(金属、低融点ガラス等を含む)を用いて付着したり、常温接合、拡散融合、高温接合、陽極接合を用いて付着することができる。たとえば、シリコン基板とガラス基板は電界をあけて陽極接合をして強固に付着させることができる。
その後、基板2011の第1面にフォトリソ法またはインプリント法により厚いレジストパターンを形成する。基板2011上に絶縁膜を形成してからレジストパターンを形成しても良い。このレジストの厚みは、この後基板2011をエッチングするので、このエッチング中に消失しないでパターン形状を維持できる厚みにする。このフォトレジストパターンを用いて、基板2011を異方性エッチング(ドライエッチング)する。フォトレジストパターンにできるだけ忠実に基板2011の凹部を形成するために、凹部は基板面(第1面)に略垂直にパターン寸法通りにできるだけ近くエッチングすることが望ましい。基板2011は第2面を貫通するまでエッチングする。第2面には第2の薄板2015が付着しているので、この第2の薄板をエッチングストッパーとしてエッチングする。たとえば、第2の薄板2015のエッチングレートを基板2011のエッチングレートより遅くするようなエッチング条件で基板2011をエッチングすれば、基板2011をエッチングした後のオーバーエッチング時に第2の薄板2015を余りエッチングさせずに基板全体の凹部において基板2011の貫通した凹部(この場合は貫通溝と呼ぶ方が良い)を形成できる。また、エッチング種(エッチングによって生成したイオン種)をモニターして、基板2011の凹部2017が貫通すると特定のエッチング種の発生が少なくなるので、これをエンドポイントとして用いることによって、オーバーエッチング量を小さくできる。
次にレジストやエッチング時に凹部2017の内部に生成した堆積物(エッチングによって生成した残渣など)を除去して、第1面に第1の薄板2013を付着させる。この付着も接着剤(金属、低融点ガラス等を含む)、常温接合、拡散融合、高温接合、陽極接合を用いて行なうことができる。基板2011がシリコンで第1の薄板2013がガラスの場合(あるいは、これらが逆の場合も)は陽極接合を用いてこれらの基板同士を強固に付着させることができる。また、接着剤を用いるときは、基板2011の第1面を下にして接着剤液に第1面を接触させて凹部の間の側壁上面のみに接着剤を付着させて第1の薄板と付着させると良い。あるいは、第1の薄板の付着面側に接着剤を塗布した後で、第1の薄板2013を下側にして基板の第1面をその上方から付着するのが良い。あるいは、スクリーン印刷においてマスクを用いて第1の薄板の必要な部分にのみ接着剤を塗布する方法もある。
第2の薄板はエッチングにより凹部2017の底面がエッチングされているので、問題があれば、取り外して別の薄板と取り替えても良い。交換する場合には、第2の薄板2015と基板2011との付着には、たとえば熱可塑性(熱軟化性)の接着剤を用いると良い。ガラス転移温度をTgとしたとき、第2の薄板2015と基板2011とを付着させた後は取り外すまで、Tg以下の温度でプロセスを行なう。特に第1の薄板2013を付着させる温度をこのTg以下にする必要がある。さらに、第2の薄板2015と基板2011とを離す場合にはTg以上の温度にする必要があるので、この温度で第1の薄板2013と基板2011の接着性が悪くならないようにする必要がある。あるいは、接着剤として低融点金属や低融点合金を用いても良い。ただし、この後のプロセスは融点または軟化温度Tm以下の温度で行なう必要がある。
以上のようにして、第1面から第2面に貫通した凹部(貫通溝)を多数有する基板2011を作製できた。この貫通した凹部の第1面側(上部、あるいは表面側)は第1の薄板2013で塞がれている。この貫通した凹部の第2面側(下部、あるいは裏面側)は第2の薄板2015で塞がれている。この凹部には、インクが入る凹部2017(2017−2、5)と圧力を印加する凹部2017(圧力印加凹部)(2017−1、3、5)がある。インクが入る凹部(インク容器凹部)2017(2017−2、5)と圧力を印加する凹部2017(2017−1、3、5)との間の基板側壁2011(2011−2、3、5、6)は圧力変化により変形でき、しかもその印加された圧力によってインクが入っている凹部2017(2017−2、5)からインクを外部へ滴出できるような厚みにする。
次に、第1の薄板2013に圧力伝達孔およびインク導入孔を形成する。第1の薄板2013上にフォトリソ法またはインプリント法を用いて圧力伝達孔およびインク導入孔を形成するためのレジストパターンを形成する。このレジストパターンを用いて第1の薄板2013をエッチング除去し、圧力伝達孔2019(2019−1、3、4)およびインク導入孔2019(2019−2、5)を作製する。第1の薄板2013の厚みが厚いときは、研磨法や全面ウエットエッチング法や全面ドライエッチング法を用いて、レジストパターニング前に薄くしても良い。あるいは、レジストパターニング後に最初に高速エッチング(ウエットまたはドライ)を行ないこの領域のみ薄くしておく方法もある。あるいは凹部の幅は10μm以上にすることもできるので、ドリルで開ける方法、レーザー光で開ける方法、あるいは高圧水流で開ける方法もある。
レーザー光で開ける場合には、第1の薄板2013の上方からレーザーを照射するが、下側の第2の薄板2015にも孔があく可能性があるので、それを防止するために第1の薄板2013と第2の薄板2015の材料を変えて、第1の薄板2013にはレーザー光により孔をあけることができるが、第2の薄板2015には同じレーザー光により孔をあけることができないようにすれば良い。あるいは、本発明のインクジェットデバイスでは、インク容器凹部2019(2019−2、5)はインク導入孔とインク排出孔{第2の薄板2015側の2023(2023−1、2)}が必ず両方あいているので、第2の薄板2015の下面側からレーザー照射を行なえば、第1の薄板2013および第2の薄板2015の孔を同時にあけることができ、プロセス(工程)も少なくなる。この孔形成において高いマスク合わせ精度が要求されない(合わせ誤差が1〜3μmでも良い)場合は、レーザー光や高圧水流で孔をあけるときは、メタル等のマスクを用いても良い。さらに異方性の強いドライエッチングであれば、フォトリソ法またはインプリント法を用いずにメタルマスク等の外付けマスクでも良いので、プロセスが簡単になる。
次に、第2の薄板2015にインク排出用のインク排出孔2023(2023−1、2)をあける。このインク排出孔は圧力印加凹部2017(2017−1、3、4)にはあけない。このインク排出孔2023の形成方法は、上述のインク導入孔の形成方法と同様で良い。第1の薄板2013および第2の薄板2015に孔を形成した後、必要なら孔の形状をなめらかにする手段を講じる。たとえば、第1の薄板2013および第2の薄板2015がガラスの場合には、ライトフッ酸処理を行なうと良い。次に、インク導入孔2019(2019−2、5)にインク通路管やインク溜まり容器2021(2021−1、2)を接続したり、圧力伝達孔2019(2019−1、3、4)には圧力導入管を接続したり、圧力排出孔2023(2023−1、2)にも必要な部材を接続する。
図27(b)、(c)は、本発明のインクジェットデバイスを平面的に示したものである。図27(b)は、その一例であり、直方体形状の凹部2017(2017−1、2、3)が隣接して平行に配列されている。図27(c)もその一例であり、正方形状(あるいは直方体形状)のインク容器凹部2017−2を、基板側壁2011−2を介して圧力印加凹部2017(2017−1、3)が取り囲んでいる。図27(b)において、インク容器凹部2017−2と圧力印加凹部2017−1との間の側壁2011−2の幅(厚み)をWc(=y)、長さをLc(=a)、深さ(基板厚みに等しい)をHsub(=Hc=h)とすると、この基板側壁2011−2はダイヤフラムと考えて良く、この基板側壁が両側の凹部の圧力差zによって撓むときに、この基板側壁2011−2の最大たわみはおおよそ以下の計算式で与えられる。
Wmax=α*z*h2a2/(Ey3)
基板2011がシリコン基板であるとき、ヤング率Eは100GPa〜200GPa(結晶方位依存性あり)である。h=a=300μmのとき(正方形状ダイヤフラム)には、α=0.0138となり、Wmaxは約600z/y3(μm)となる。ただし、zをMpa単位で示し、yはμm単位で示す。たとえば、zを1Mpa(約1atm)、yを5μmとするとWmax=約5μmとなる。また、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約22μmとなる。h=a=400μmのとき(正方形状ダイヤフラム)には、Wmaxは約1890z/y3(μm)となる。たとえば、zを1Mpa(約1atm)、yを5μmとするとWmax=約15μmとなる。また、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約70μmとなる。h=300μm、a=600μmのとき(長方形状ダイヤフラム)には、α=0.0277となり、Wmaxは約1200z/y3(μm)となる。ただし、zをMpa単位で示し、yはμm単位で示す。たとえば、zを1Mpa(約1atm)、yを5μmとするとWmax=約10μmとなる。また、zを1Mpa(約1atm)、yを3μmとするとWmax=約45μmとなる。以上のように圧力差を与えるとインク容器凹部2017−2は凹んだり膨らんだりするので、インク容器凹部2017−2内部へインクを吸入でき、インク容器凹部2017−2内部のインクを外に吐出できる。上記の式は理論式であるから、この式等を考慮して設計して、できあがったものでデータを取り、実際値と理論式を近づければ精密なインクジェットデバイスを作製できる。
上述のたわみは基板がシリコンのときであるが、この材料を種々変更することにより、より高精度のインクジェットデバイスも作製できる。たとえば、ポリカーボネートのヤング率は2.2GPaであるから、ダイヤフラムが300μm*300μmの正方形形状の場合、Wmax≒5x104*(z/y3)であるから、基板側壁厚みを10μmとすると圧力差1気圧で約50μmという大きな変形となる。さらにゴムの場合には、ヤング率が0.01〜0.1GPaであるから、たとえば、0.022GPaとするとダイヤフラムが300μm*300μmの正方形形状の場合、Wmax≒5x106*(z/y3)であるから、基板側壁厚みを30μmとすると圧力差0.1気圧でも約20μmという大きな変形となる。
以上のように、ゴムやプラスチック等の場合はヤング率がシリコン等に比べて非常に小さくなるので、余り微細なものを作製しなくても高精度のインクジェットデバイスを作製することができる。しかもゴムやプラスチック等の場合はインプリント法を用いて微小で精度の高いサイズのものを作製できる。インプリント法を用いて本発明のインクジェットデバイスを作製ずる方法は、図19において説明した内容と同様である。本発明のインクジェットデバイスでは、基板611が第2の薄板2015に対応する。また、絶縁膜633は形成しなくても良い。インプリント法で凹部を形成した後、凹部底部に膜が残る(図19における615B)ので、凹部を基板(第2薄板)側に貫通させるために全面エッチングしてこの残膜を除去する。また、第2薄板および第1薄板は必要な場合は、研磨法やエッチング法等により所望の厚さまで薄くする。さらに本発明のインクジェットデバイスは凹部(貫通凹部)を形成した後に絶縁膜を形成する必要はない(保護膜として形成しても良いが)し、導電体膜を形成しない。従って、弾力性のあるゴムも使用することができる。ゴムとしては、各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)であり、たとえばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、合成天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムを使用することができる。
図27(b)に示す構造の場合は、インク容器凹部2017は基板側壁2011−2および2011−3を挟んで両側の圧力印加凹部2017−1および2017−3から(2方向から)圧力を受けてインク容器凹部2017にインクを吸入したり、排出したりする。これに対して図27(c)に示す構造の場合には、インク容器凹部2017は、基板側壁2011−2および2011−3を挟んで周囲を圧力印加凹部2017−1および2017−3の4方向から囲まれているので、4方向から圧力を受けてインク容器凹部2017にインクを吸入したり、排出したりする。凹部2017の深さHsub、長さLc、基板側壁幅Wcが、図27(b)および102(b)で等しいとすれば、図27(c)に示すインク容器凹部の方が、図27(b)に示すインク容器凹部よりも約2倍の力でインクを吸入したり排出したりできる。逆の見方をすると、吸入量や排出量が同じとすれば、図27(c)に示すインク容器凹部の方が、図27(b)に示すインク容器凹部よりも小さな力(圧力差)で行なうことができる。また、図27(c)に類似する実施形態として、インク容器凹部2017−2の形状が円筒形の場合には、周囲を囲んでいる圧力印加凹部2017より等しく力を受けるので、圧力差による力の分配が均等で効率の良いインク吸入や排出ができる。
図28(a)、(b)は、本発明のインクジェットデバイスの動作方法を示す図である。インク溜まり容器2021(2021−1、2)は(ここにインク通路管を介しても良い)インク導入孔2019(2019−2,5)を通してインク容器凹部2017(2017−2、5)に接続し、さらにインク排出孔2023(2023−1、2)を通して外側へ排出されるようになっている。圧力は、エアーやその他の気体(窒素など)、あるいは液体を圧力導管等を介して圧力発生器(図示していないが、たとえば、高圧ガス容器や、ガス圧縮器、液体圧縮器等)等で発生した圧力P1、P2、P3を、圧力伝達孔2019(2019−1、3、4)を通して圧力印加凹部2017(1、3、4)へ伝達する。インク容器凹部2017内の圧力をPqとしたとき、Pq>P1であればインク容器凹部2017−2と圧力印加凹部2017−1との間の基板側壁2011−2は圧力印加凹部2017−1側へ変形し(膨らみ){図28(a)}、Pq<P1であれば基板側壁2011−2はインク容器凹部2017−2側へ変形する(膨らむ、すなわち、インク容器凹部2017−2は凹む){図28(b)}。
従って、Pq>P1とすると、インク溜まり容器2021−1からインク容器凹部2017へインクが吸入される。この後、Pq<P1とするとインク容器凹部2017−2内のインクはインク排出孔2023−1を通して、インクジェットの滴2025(2025−1)が外側へ排出される。インク導入孔2019−2またはインク通路管に開閉バルブを備えて、インクをインク容器凹部2017−2内へ導入するときにこの開閉バルブを開けて、インク容器凹部2017−2内のインクを外側へ排出するときにこの開閉バルブを閉じても良く、このようにすればインク容器凹部2017−2内のインクの出入を効率良く行なうことができる。また、インク排出孔2023−1またはインク排出管(図示していないが、インク排出孔2023から外側へ通じる排出通路)に開閉バルブを備えて、インクをインク容器凹部2017−2内へ導入するときにこの開閉バルブを閉じて、インク容器凹部2017−2内のインクを外側へ排出するときにこの開閉バルブを開けても良く、このようにすればインク容器凹部2017−2内のインクの出入を効率良く行なうことができる。
凹部2017−3が凹部2017−1と別個の空間になっているとき(たとえば、図27(b)に示す場合)、圧力印加凹部2017−3の圧力P2は圧力印加凹部2017−1の圧力P1と別個に制御できるので、インク容器凹部2017−2内へのインクの出入量をコントロールすることができる。また、別のインク容器凹部2017−5内へのインクの出入もその周りの圧力印加凹部2017−4の圧力P3を制御して、他の圧力P1やP2とは別個にコントロールすることもできる。尚、圧力を別個に制御する場合には、たとえば、圧力印加凹部2017−3と圧力印加凹部2017−4との間の基板側壁2011−4の幅を厚くして圧力変動しても余り変形しないようにすれば、P2およびP3はお互いに影響を受けずにコントロールできる。図28(a)、(b)の場合には、P3の圧力はインク容器凹部2017−5内の圧力と同じ状態にしているので、これらの凹部の間の基板側壁2011−5は変形しない。尚、このときインク導入孔2019−5やインク排出孔2023−2につながる通路等へ設けた開閉バルブを連動させておけば(このときは閉じておく)、インクを外側へ排出させないようにすることを確実に実行できる。
カラー印刷を行なう場合は、インクを混合して種々の色彩を作る必要があるが、本発明を適用して、たとえば、3原色(赤、青、黄)と黒のインクを入れたインク容器凹部2017(2017−11、12、13、14)を図28(c)に示すように配列できる。この配列を適当数配置してインクジェット装置を作製する。この図28(c)に示す1つの配列を1dotと考えることができる。インク容器凹部2017(2017−11、12、13、14)の外側の圧力印加凹部2017(2017−15、16、17、18)の圧力を制御してそれぞれのインク容器凹部2017(2017−11、12、13、14)から各種のインクを吐出する。それぞれインク吸入用および排出用のバルブおよび圧力を制御して、色彩に対応して各種の色インクを吐出し、色彩を形成させる。インク容器凹部2017の大きさをLc1*Lc2とし、圧力印加凹部2017の大きさをLc3*Lc2とし、それぞれの凹部間の距離をWcとすると、1dotの大きさは、{2(Lc1+Lc3)+4Wc}*{2Lc2+2Wc}となる。Lc1=10μm、Lc2=20μm、Lc3=10μm、Wc=5μmとすると、1dotの大きさは、60μm*50μmとなる。従って、解像度は423dpi*508dpiとなり、かなり良い印刷解像度となる。尚黒色だけならば、1dotの大きさは、(Lc1+Lc3+2 Wc)*(Lc2+Wc)であるから、上記の値の場合は1dotの大きさは、30μm*25μmであるから、解像度は846*1016dpiとなり、非常に良い印刷解像度となる。本発明のインクジェットデバイスはさらに微細化が可能なので、さらに良い解像度も実現できる。
図29(a)は、ダイヤフラム型アクチュエータを用いたインクジェットデバイスを示す図である。ここで、基板2011は圧電体である。圧電体基板は、圧電効果を示す物質の基板であり、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛(ジルコニウム酸・チタン酸鉛(Pb(ZrXTi1−X)O3 0<x<1)とも呼ばれ、いわゆるPZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、リチウムテトラボレート等のペロブスカイト構造やタングステン−青銅構造を持つセラミックスであり、あるいは石英、水晶、ロッシェル塩、トパーズ、電気石(トルマリン)、ベルリナイト(リン酸アルミニウム)、窒化アルミニウム、リン酸ガリウム、ガリウムヒ素などであり、あるいは圧電性ポリマー{たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)}などである。これらの基板から凹部2017(2017−1、2、3、4、5)を形成する方法はこれまでに説明した方法と同様である。
圧電体基板2011内に凹部2017(2017−1、2、3、4、5)を形成した後、導電体膜2031を積層する。この導電体膜2031は個々の基板側壁の表面に電界を発生して基板側壁(特に、インク容器凹部2017−2および圧力印加凹部2017−1との間の基板側壁2011−2、インク容器凹部2017−2および圧力印加凹部2017−3との間の基板側壁2011−3、インク容器凹部2017−5および圧力印加凹部2017−4との間の基板側壁2011−5)を変形させることを目的とする。次にフォトリソ法またはインプリント法等およびエッチング法等を用いて、基板側壁2011(2011−1、2、3、4、5、6)の上面で導電体膜2031をエッチングし、変形しようとする基板側壁の両側に存在する凹部(特にインク容器凹部および圧力印加凹部)内の導電体膜同士が接続しないようにする。すなわち、2032(2032−1、2、3、4、5、6)で導電体膜2031を切断する。次に絶縁膜2034を積層し、導電体膜2031を保護する。当然導電体膜2031を切断した部分2032(2032−1、2、3、4、5、6)にも絶縁膜2034が積層する。
次に第1の薄板2013等を圧電基板2011上に付着させ、圧力伝達孔2019(2019−1、3、4)およびインク導入孔2019(2019−2、5)をあける。次に第2の薄板2015にインク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあけ、インク導入孔2019(2019−2、5)にインク溜まり容器2021(2021−1、2)等を接続する。ここでインク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあけたときに、インク容器凹部底面で導電体膜2031が露出する。{たとえば、2033(2033−1、2)}導電体膜2031がインクに接触して腐食したり反応したりして問題を起こす場合、さらには導電体膜2031に電界をかえたときにインクが接触して問題を起こす場合には、インク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあけた後で、この部分に絶縁膜2033を積層すれば良い。CVD法やPVD法を用いれば露出した導電体膜2031の上に絶縁膜を積層できる。導電体膜2031を積層した後、または導電体膜2031をパターニングした後で第2の薄板2015にインク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあけ、その後で絶縁膜2034を積層すれば、絶縁膜2033と兼用できるので、工程増にはならない。あるいは、導電体膜2031をパターニングするときにインク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあける部分の導電体膜を除去しておき、インク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあけても導電体膜を露出させないようにすれば良い。あるいは、貫通溝2017を形成した後、導電体膜2031を形成する前に第2の薄板2015を取り外した状態で導電体膜を積層すれば、第2の薄板2015には導電体膜は積層しない。その後で第2の薄板2015を付着させて、インク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあければ良い。あるいは、前もってインク排出孔2023(2023−1、2023−2)をあけた第2の薄板を付着しておけば良く、インク排出孔2023(2023−1、2023−2)にも導電体膜2031は積層するがその上を絶縁膜2034でカバーするので問題は発生しない。
次に、あるいは、第1の薄板2013に圧力伝達孔やインク導入孔をあけるときに、導電体膜2031の各電極2031(2031−1、2、3、4、5、6、7)から引き出し電極・配線を形成すべき領域における第1の薄板2013を除去しておき、その後で絶縁膜2034にコンタクト孔をあけて導電体膜2031を露出させて、この部分から引き出し電極を取りだす。たとえば、新たにこのコンタクト孔に導電体膜を形成して電極・配線を形成したり、この部分にワイヤボンディングして引き出し電極・配線とする。
このようにして圧電体基板側壁2011−2、3、5等の両側に電極を形成すれば、これらの両側の電極に電界をかけると基板側壁2011−2、3、5等は変形し、電界の向き(電極の極性の相違による)によって、インク容器凹部が膨らんだり凹んだりする。たとえば、電極2031−2および2−31−3の間に電界をかけてインク容器凹部2017−2を膨らまして、インク溜まり容器2021−1からインク導入孔2019−2を通してインク容器凹部2017−2内にインクを吸入する。このとき圧力印加凹部2017−1は凹むので圧力印加凹部2017−1内の気体は圧力伝達孔2019−1を通して外側へ出ていく。次に両側の電極に逆の電界かけてインク容器凹部2017−2を凹ませて、インク容器凹部2017−2内のインクを、インク排出孔2023−1を通して外側へ排出される。このとき圧力印加凹部2017−1は凹むので圧力伝達孔2019−1を通して圧力印加凹部2017−1内に外側から気体が入っていく。さらに、インク導入孔2019−2やインク排出孔2023−1につながるインク通路に開閉バルブを設けて、導電体膜電極への電界印加と連動させれば、より精度良くインクの吸入や排出をすることができる。
図29(b)は、基板側壁2011(2011−1、2、3、4、5、6)状に圧電体膜2039を形成し、その上下に形成した導電体膜2031および導電体膜2035を電極として、これらの電極に電界をかけて圧電体膜2039を変形させて、基板側壁(特にインク容器凹部2017−2の両側の基板側壁2011−2および2011−3、インク容器凹部2017−5の基板側壁2011−5)を一緒に変形させることにより、インク容器凹部2017−2または2017−5にインクを吸入したり、インク容器凹部2017−2または2017−5からインクを排出したりする。構造および製造方法は、図27〜図29(a)に示したものと同様であり、インクを用いたり、圧力をかけない所が異なる。また、その動作も逆で、圧電体膜2039の上下の導電体膜2031および2035に電位をかけて基板側壁を動かす点で異なる。
第2の薄板2015を付着した基板2011に圧力印加凹部2017(2017−1、3、4)およびインク容器凹部2017(2017−2、5)を形成し、これらの凹部の間に基板側壁2011(2011−1、2、3、4、5、6)を形成する。次に、導電体膜2031を形成し、同じ極性にならない導電体膜2031は、基板側壁上面の2032(2032−1、2、3、4、5、6)で切断する。その他の場所でも導電体膜2031で必要な配線を形成する。次に、圧電体膜2039を形成し、さらに導電体膜2035を形成し、同じ極性にならない導電体膜2031は、基板側壁上面の2037(2037−1、2、3、4、5、6)で切断する。その他の場所でも導電体膜2035で必要な配線を形成する。次に導電体膜2035を保護するための絶縁膜2036を形成する。その後、第1の薄板2013を基板2011上に付着させ、圧力導入孔2019(2019−1、3、4)やインク導入孔2019(2019−2、5)や導電体膜2031および2035からの引き出し電極を形成する領域などで第1の薄板2013をエッチング除去する。第2の薄板についても、インク排出孔2023(2023−1、2)を形成する。このインク排出孔2023を形成すると導電体膜2031や2035が露出するので、この露出部をカバーする絶縁膜2033(2033−1、2)および2038(2038−1、2)を形成する。しかし、導電体2035をパターニングした後で、第2の薄板のインク排出孔2023(2023−1、2)を形成し、その後で絶縁膜2036を形成すれば、この導電体膜2031および2035の露出部をカバーできるので、新たな絶縁膜2033や2038を形成しなくても良い。その後インク溜まり容器等必要な部材を形成または接続する。
図29(b)に示すインクジェットデバイスでは、基板側壁2011−2、2011−3、2011−5の両側に形成した導電体膜2031(下部電極)、圧電体膜2039、導電体膜2035(上部電極)の構造において、上部電極と下部電極の間に電界をかけると圧電体膜2035が変形する。この変形に応じて基板側壁が変形して、インク容器凹部2017−2、2017−5が膨らんだり、凹んだりするので、これらのインク容器凹部2017−2、2017−5内部へインクが吸入したり、インク容器凹部2017−2、2017−5内部のインクが外部へ吐出したりする。インク容器凹部2017−2、2017−5へつながるインク導入孔2019−2、2019−5やインク排出孔2023−1、2023−2に接続するインク通路等へ開閉バルブをつけて、これらの開閉バルブと上部および下部電極への電圧印加を連動させれば、さらに精度良くインクの出入を行なうことができる。以上はインクを対象として説明してきたが、インクを含む種々の液体にも適用できる。従って、これらのインクジェットデバイスは液体吐出デバイスでもある。さらに液体だけでなく気体にも適用できるので、気体吐出デバイスとも言えるし、まとめて液体および気体を含む媒体吐出デバイスでもある。
以上に示すインクジェットデバイスの説明から分かるように、本発明の凹部または貫通溝はポンプデバイスを作製できる。図30(a)は、そのポンプデバイスの一実施例を示す図である。圧電体基板2041内に第1面から第2面に貫通する貫通溝(または貫通凹部)2042(2042−1、2、3、4)が形成され、これらの貫通溝2042(2042−1、2、3、4)の間に基板側壁2041(2041−2、3、4)が形成される。図30(a)において、貫通溝2042−1において基板側壁2041―2と対向する基板側壁を2041−1とし、貫通溝2042−4において基板側壁2041―4と対向する基板側壁を2041−5とする。貫通溝2042(2042−1、2、3、4)の内側面、すなわち基板側壁の側面に導電体膜2043(2043−1、2、3、・・・、8)が積層され、さらにその上に絶縁膜2044(2044−1、2、3、・・・、8)が積層されている。圧電体基板2041の第1面(上面または表面)に第1の薄板2047が付着している。圧電体基板2041の第2面(下面または裏面)に第2の薄板2048が付着している。第1の薄板内部には、図示しない外側(または別の貫通溝)と通じる通路2046(2046−1)が形成されており、貫通溝2042(2042−1)へつながっている。また、第1の薄板内部には、貫通溝2042(2042−2)から貫通溝2042(2042−3)へ通じる通路2046(2046−2)が形成されている。さらに、第1の薄板内部には、貫通溝2042(2042−4)から図示しない外側(または別の貫通溝)と通じる通路2046(2046−3)が形成されている。これらの通路2046(2046−1、2、3)には開閉バルブ2049(2049−1、3、5)を設けても良い。
第2の薄板2048内部には、貫通溝2042(2042−1)から貫通溝2042(2042−2)へ通じる通路2045(2045−1)が形成されている。さらに、第2の薄板2048内部には、貫通溝2042(2042−3)から貫通溝2042(2042−4)へ通じる通路2045(2045−2)が形成されている。これらの通路2045(2045−1、2)には開閉バルブ2049(2049−2、4)を設けても良い。基板側壁2041の側面に形成された導電体膜2043(2043−1、2、3、・・・、8)にはそれぞれ引き出し配線・電極が形成されていて、個別に電圧を印加できるようになっている。これらの導電体膜2043(2043−1、2、3、・・・、8)に電圧を印加すると圧電体基板側壁2041(2041−1、2、3、4、5)は貫通溝の内側または外側へ変形できる。従って、圧電体基板側壁2041(2041−1、2、3、4、5)を動かす方向と電圧印加の大きさおよび極性(プラスかマイナス)が一致する場合には、引き出し配線・電極を接続することができる。通常は、同じ貫通溝内の導電体膜は同じ大きさで同じ極性となっているので、1つの貫通溝の動作は、プラスとマイナスの電圧を交互に入れ変えて(すなわち、交流的に印加する)導電体膜に印加すると、基板側壁は貫通溝内部に窪んだり膨らんだりする。
まず、開閉バルブ2049(2049−2)を閉じ、開閉バルブ2049(2049−1)を開けて、導電体膜2043−1および2043−2へ電圧を印加し、貫通溝2042−1を膨らませると、通路2046−1を通じて外部(または別の貫通溝)から液体や気体を貫通溝2042−1内へ吸入できる。次に、開閉バルブ2049(2049−2)を開けて、開閉バルブ2049(2049−3)を閉じて、導電体膜2043−3および2043−4へ電圧を印加し、貫通溝2042−2を膨らませる。一方、導電体膜2043−1および2043−2へ電圧を印加し、貫通溝2042−1を凹ませる。このとき、基板側壁2041−2の動きは一致しているので問題はない。この結果貫通溝2042−1内に入っている気体または液体は通路2045−1を通じて貫通溝2042−2へ入っていく。次に開閉バルブ2049−2を閉じて、開閉バルブ2049−3を開け、開閉バルブ2049−4を閉じて、導電体膜2043−3および2043−4に電圧を印加して、貫通溝2042−2を窪ませ、さらに導電体膜2043−5および2043−6に電圧を印加して、貫通溝2042−3を膨らませる。この結果、貫通溝2042−2内に入っていた気体または液体は貫通溝2042−3へ導かれる。これらの導電体膜への電圧印加によって基板側壁2041−3の動きは同じ方向であるから問題ない。
次に開閉バルブ2049−3を閉じて、開閉バルブ2049−4を開け、開閉バルブ2049−5を閉じて、導電体膜2043−5および2043−6に電圧を印加して、貫通溝2042−3を窪ませ、さらに導電体膜2043−7および2043−8に電圧を印加して、貫通溝2042−5を膨らませる。この結果、貫通溝2042−3内に入っていた気体または液体は貫通溝2042−4へ導かれる。これらの導電体膜への電圧印加によって基板側壁2041−4の動きは同じ方向であるから問題ない。次に開閉バルブ2049−4を閉じて、開閉バルブ2049−5を開けて、導電体膜2043−7および2043−8に電圧を印加して、貫通溝2042−4を窪ませると、貫通溝2042−4内に入っていた気体または液体は通路2046−3を通って外側(または別の貫通溝)へ出ていく。
このように、隣接する貫通溝を通路でつなぎ、その間に開閉バルブを設けておき、基板側壁の側面の電極へ電圧を印加し、これと連動するように開閉バルブを動作させることにより、貫通溝内の液体や気体を移動させることができるので、非常に微小なポンプを作ることができる。尚、開閉バルブを設けなくても、基板側壁の側面電極への電圧印加だけで、隣接する貫通溝の動作を逆にすることができる(すなわち、一方が凹めば他方を膨らませることができるし、この逆も同じである)ので、液体や気体を連続的に一方向へ移動させることができる。薄板内の通路は、あらかじめ通路を作製した薄板を基板に付着しても良い。薄板内の通路はレーザーで開けることもできるし、1つの薄板(A薄板)にその表面に通路を作ってからもう1枚の薄板(B薄板)を貼り合わせて作ることができる。あるいはレーザー光を用いれば薄板内部に所望の通路を形成することもできる。開閉バルブはA薄板上に配置してからB薄板を付着させれば良いし、薄板内へ配線すれば電気的に制御できる。また開閉バルブを圧電体素子で形成しても良い。
図30(b)は、ポンプデバイスの別の実施例を示す図である。図30(a)と同じ働きをするものに関しては同じ符号をつけており、図示すると見にくい場合は符号を省略しているので図30(a)も参照して欲しい。圧電体基板2041内に第1面から第2面に貫通する貫通溝(または貫通凹部)2042(2042−1、2、3、4、5、6,7)が形成され、これらの貫通溝2042(2042−1、2、3、4、5、6,7)の間に基板側壁2041(2041−6、7、8、9、10、11)が形成される。図30(b)において、貫通溝2042−1において基板側壁2041―6と対向する基板側壁を2041−1とし、貫通溝2042−4において基板側壁2041―11と対向する基板側壁を2041−5とする。貫通溝2042(2042−1、2、3、4、5、6,7)の内側面、すなわち基板側壁の側面に導電体膜2043(2043−9、10、11、・・・、21)が積層され、さらにその上に絶縁膜2044が積層されている(この絶縁膜は図30(b)では省略している)。圧電体基板2041の第1面(上面または表面)に第1の薄板2047が付着している。圧電体基板2041の第2面(下面または裏面)に第2の薄板2048が付着している。第1の薄板内部には、図示しない外側(または別の貫通溝)と通じる通路2046(2046−1)が形成されており、貫通溝2042(2042−1)へつながっている。また、第1の薄板内部には、貫通溝2042(2042−2)から貫通溝2042(2042−3)へ通じる通路2046(2046−2)が形成されている。さらに、第1の薄板内部には、貫通溝2042(2042−4)から図示しない外側(または別の貫通溝)と通じる通路2046(2046−3)が形成されている。これらの通路2046(2046−1、2、3)には開閉バルブ2049(2049−1、3、5)を設けても良い。
第2の薄板2048内部には、貫通溝2042(2042−1)から貫通溝2042(2042−2)へ通じる通路2045(2045−1)が形成されている。さらに、第2の薄板2048内部には、貫通溝2042(2042−3)から貫通溝2042(2042−4)へ通じる通路2045(2045−2)が形成されている。これらの通路2045(2045−1、2)には開閉バルブ2049(2049−2、4)を設けても良い。基板側壁2041の側面に形成された導電体膜2043(2043−9、10、11、・・・、21)にはそれぞれ引き出し配線・電極が形成されていて、個別に電圧を印加できるようになっている。これらの導電体膜2043(2043−9、10、11、・・・、21)に電圧を印加すると圧電体基板側壁2041(2041−1、5、6、7、8、9、10、11)は貫通溝の内側または外側へ変形できる。従って、圧電体基板側壁2041(2041−1、5、6、7、8、9、10、11)を動かす方向と電圧印加の大きさおよび極性(プラスかマイナス)並びにタイミングが一致する場合には、引き出し配線・電極を接続することができる。通常は、同じ貫通溝内の導電体膜は同じ大きさで同じ極性となっているので、1つの貫通溝の動作は、プラスとマイナスの電圧を交互に入れ変えて(すなわち、交流的に印加する)導電体膜に印加すると、基板側壁は貫通溝内部に窪んだり膨らんだりする。
まず、開閉バルブ2049(2049−2)を閉じ、開閉バルブ2049(2049−1)を開けて、導電体膜2043−1および2043−10、11へ電圧を印加し、貫通溝2042−1を膨らませると、通路2046−1を通じて外部(または別の貫通溝)から媒体(液体や気体)を貫通溝2042−1内へ吸入できる。このとき、貫通溝2042−1および2042−2の間にある貫通溝2042−5はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−1)を通して出入するので、貫通溝2042−5の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−6)の上記の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−6)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−6)は変形する。
次に、開閉バルブ2049(2049−2)を開けて、開閉バルブ2049(2049−1、3)を閉じて、導電体膜2043−12、13および2043−14、15へ電圧を印加し、貫通溝2042−2を膨らませる。一方、導電体膜2043−1および2043−10、11へ電圧を印加し、貫通溝2042−1を凹ませる。このとき、貫通溝2042−1および2042−2の間にある貫通溝2042−5はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−1)を通して出入するので、貫通溝2042−5の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−6、7)の上記の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−6、7)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−6、7)は変形する。また、貫通溝2042−2および2042−3の間にある貫通溝2042−6はその容積を変動するが、その変動分は第2の薄板2048に開けられた外気との連通孔2040(2040−2)を通して出入するので、貫通溝2042−6の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−8)の上記の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−8)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−8)は変形する。この結果貫通溝2042−1内に入っている気体または液体は通路2045−1を通じて貫通溝2042−2へ入っていく。
次に開閉バルブ2049−2を閉じて、開閉バルブ2049−3を開け、開閉バルブ2049−4を閉じて、導電体膜2043−12、13および2043−14、15に電圧を印加して、貫通溝2042−2を窪ませ、さらに導電体膜2043−16、17および2043−18、19に電圧を印加して、貫通溝2042−3を膨らませる。このとき、貫通溝2042−1および2042−2の間にある貫通溝2042−5はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−1)を通して出入するので、貫通溝2042−5の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−7)の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−7)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−7)は変形する。また、貫通溝2042−2および2042−3の間にある貫通溝2042−6はその容積を変動するが、その変動分は第2の薄板2048に開けられた外気との連通孔2040(2040−2)を通して出入するので、貫通溝2042−6の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−8、9)の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−8、9)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−8、9)は変形する。さらに貫通溝2042−3および2042−4の間にある貫通溝2042−7はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−3)を通して出入するので、貫通溝2042−7の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−10)の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−10)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−10)は変形する。この結果、貫通溝2042−2内に入っていた気体または液体は貫通溝2042−3へ導かれる。
次に開閉バルブ2049−3を閉じて、開閉バルブ2049−4を開け、開閉バルブ2049−5を閉じて、導電体膜2043−16、17および2043−18、19に電圧を印加して、貫通溝2042−3を窪ませ、さらに導電体膜2043−20、21および2043−22に電圧を印加して、貫通溝2042−4を膨らませる。このとき、貫通溝2042−2および2042−3の間にある貫通溝2042−6はその容積を変動するが、その変動分は第2の薄板2048に開けられた外気との連通孔2040(2040−2)を通して出入するので、貫通溝2042−6の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−9)の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−9)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−9)は変形する。また、貫通溝2042−3および2042−4の間にある貫通溝2042−7はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−3)を通して出入するので、貫通溝2042−7の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−10、11)の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−10、11)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−10、11)は変形する。さらに貫通溝2042−4および2042−5の間にある貫通溝2042−7はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−3)を通して出入するので、貫通溝2042−7の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−11)の変化には影響を与えない。従って、圧電体基板側壁2041(2041−11)上の導電体膜へ印加された電圧にほぼ従って圧電体基板側壁2041(2041−11)は変形する。この結果、貫通溝2042−3内に入っていた気体または液体は貫通溝2042−4へ導かれる。
次に開閉バルブ2049−4を閉じて、開閉バルブ2049−5を開けて、導電体膜2043−20、21および2043−22に電圧を印加して、貫通溝2042−4を窪ませると、貫通溝2042−4内に入っていた気体または液体は通路2046−3を通って外側(または別の貫通溝)へ出ていく。このとき、貫通溝2042−3および2042−4の間にある貫通溝2042−7はその容積を変動するが、その変動分は第1の薄板2047に開けられた外気との連通孔2040(2040−3)を通して出入するので、貫通溝2042−7の圧力変動はないので、圧電体基板側壁2041(2041−11)の変化には影響を与えない。
このように、隣接する貫通溝を通路でつなぎ、その間に開閉バルブを設けておき、基板側壁の側面の電極へ電圧を印加し、これと連動するように開閉バルブを動作させることにより、貫通溝内の液体や気体を移動させることができるので、非常に微小なポンプを作ることができる。尚、開閉バルブを設けなくても、基板側壁の側面電極への電圧印加だけで、隣接する貫通溝の動作を逆にすることができる(すなわち、一方が凹めば他方を膨らませることができるし、この逆も同じである)ので、液体や気体を連続的に一方向へ移動させることができる。薄板内の通路は、あらかじめ通路を作製した薄板を基板に付着しても良い。薄板内の通路はレーザーで開けることもできるし、1つの薄板(A薄板)にその表面に通路を作ってからもう1枚の薄板(B薄板)を貼り合わせて作ることができる。あるいはレーザー光を用いれば薄板内部に所望の通路を形成することもできる。開閉バルブはA薄板上に配置してからB薄板を付着させれば良いし、薄板内へ配線すれば電気的に制御できる。また開閉バルブを圧電体素子で形成しても良い。
また、図30(a)や図30(b)で示した貫通溝をつなぐ通路は、第1の薄板および第2の薄板へ交互につないでいるが、平面的に考慮すれば第1の薄板(または第2の薄板)だけに通路および開平バルブを設けて液体や気体等の媒体を移動させることができる。(図34を参照)従って、図30(a)や図30(b)で示したような貫通溝でなくても貫通しない凹部でも良い。
さらに図30(a)や図30(b)では圧電体基板を用いたが、圧電体基板ではない基板も本発明を使用できる。すなわち、これまでに種々の所で説明した様に、基板内に複数の凹部(貫通溝を含む)を形成し、隣接する凹部間の基板側壁上に第1の導電体膜、その上に圧電体膜、その上に第2の導電体膜を形成することにより本発明のポンプデバイスを作製できる。
あるいは、圧電体基板や圧電体膜を用いないでも圧力変動だけで本発明のポンプデバイスを作製できる。たとえば、図30(b)に示した構造と類似する構造で圧力変動を用いたポンプデバイスを実現できる。この場合は図30(b)に示した導電体膜も必要がない。(基板側壁に絶縁膜(保護膜として)を設けても良い)まず、開閉バルブ2049−1を開けて開閉バルブ2049−2を閉じ、圧力伝達孔2040−1から圧力を抜いて貫通溝2042−5の圧力を低くして(貫通溝2042−1の圧力よりも)基板側壁2041−6を貫通溝2042−5側へ変形して貫通溝2042−1を膨らませると、通路2046−1を通して外部から媒体(液体や気体)が貫通溝2042−1へ導入される。
次に開閉バルブ2049−1を閉じ、開閉バルブ2049−2を開けて、圧力伝達孔2040−1から圧力を印加して圧力変動貫通溝2042−5の圧力を高くして(貫通溝2042−1の圧力よりも)基板側壁2041−6を貫通溝2042−1側へ変形して貫通溝2042−1を凹ませ、さらに圧力伝達孔2040−2から圧力を抜いて貫通溝2042−6の圧力を低くして(貫通溝2042−2の圧力よりも)基板側壁2041−8を貫通溝2042−6側へ変形させると、基板側壁2041−7は貫通溝2042−2側へ変形しているので、両方でほぼ相殺されて貫通溝2042−2の容積は余り変わらない。この結果、貫通溝2042−1の媒体は貫通溝2042−2へ移動する。これを繰り返すことによって媒体を移動させることができる。尚、媒体が移動する貫通溝の間に2つの圧力変動貫通溝を設けることにより、媒体を押し出す方の貫通溝を窪ませて、同時に媒体を導入する方の貫通溝を膨らませることができる。たとえば、貫通溝2042−1および貫通溝2042−2の間に圧力変動貫通溝2042−5を2つ(2042−5−1、2)設けて、圧力を別々に印加できるようにすれば良い。
図30(a)に示すポンプは、基板2041が圧電体基板であるが、これまで説明したように、圧電体基板は圧電膜であっても良い。あるいは、基板2041は圧電体以外の基板や厚膜でも良く、その場合は上述してきたように基板側壁の側面に導電体膜および圧電膜を形成したものでも良い。あるいは、図27に示したような圧力差を用いて図30(a)に示す構造のポンプを作製しても良い。たとえば、図27(a)に示すインク導入孔2019−2および2019−5を接続し、インク排出孔2023−1および2023−2を接続していけば良い。このように本発明のポンプは圧電体基板を用いても作製できるし、圧電膜を用いても作製できるし、圧力差を用いても作製できる。
図30(c)は、本発明の凹部または貫通溝を用いた微小な液体混合容器または気体混合容器の一実施形態を示す図で、基板の第1面に平行な平面図で示す。この実施形態は図30(a)に示す実施形態の応用である。図30(c)は1組の微小液体(気体)混合容器を示すが、基板内に多数の混合容器を並べて形成することができる。1組の微小液体(気体)混合容器は、中心部に円筒形の貫通溝2052(2052−5)が形成され、その周りを円筒形の貫通溝2052(2052−4)が取り囲んでいる。この貫通溝2052(2052−4)の周りを円筒形の基板側壁2051(2051−5)が取り囲んでいる。基板側壁2051(2051−5)の周囲は、4組の貫通溝2052(2052−1、2、3)、2052(2052−6、7、8)、2052(2052−9、10、11)、2052(2052−12、13、14)が取り囲んでいる。これらの4組の貫通溝2052(2052−1、2、3)、2052(2052−6、7、8)、2052(2052−9、10、11)、2052(2052−12、13、14)は基板側壁2051−3、4、5、6によって区切られている。またこれらの4組の貫通溝2052(2052−1、2、3)、2052(2052−6、7、8)、2052(2052−9、10、11)、2052(2052−12、13、14)は、基板側壁2051(2051−1)によって囲まれている。この基板側壁2051(2051−1)は本発明の微小液体(気体)混合容器の外側枠体となっている。
1組の貫通溝2052(2052−1、2、3)において、貫通溝2052(2052−1)の両側に他の貫通溝2052(2052−2、3)が配置されている。貫通溝2052(2052−1)と他の貫通溝2052(2052−2、3)との間に基板側壁2051(2051−4、5)が作成されていて、この基板側壁2051(2051−4、5)が変形する。他の3組の貫通溝2052(2052−6、7、8)、2052(2052−9、10、11)、2052(2052−12、13、14)についても同様の構造である。これらの基板2051の第1面には、図30(a)の断面図に示したものと同様に、第1の薄板が付着し、基板2051の第2面には第2の薄板が付着している。第1の薄板内または第2の薄板内には、図30(a)の断面図に示したものと同様に、液体または気体の通路2053(2053−1、2)、通路2055が走っている。それぞれの通路2053(2053−1、2)および通路2055には開閉バルブ2054(2054−1、2)および2056を備えても良い。他の3組の貫通溝2052(2052−6、7、8)、2052(2052−9、10、11)、2052(2052−12、13、14)についても第1の薄板内または第2の薄板内には、図30(a)の断面図に示したものと同様に、液体または気体の通路2053が走っている。またこれらの通路2053に開閉バルブを備えても良い。
通路2053(2053−1)の一方は、外側または他の貫通溝等に接続し。所望の液体または気体を導入できるようになっている。通路2053(2053−1)の他方は、貫通溝2052(2052−1)へ通じている。また通路2053(2053−2)は貫通溝2052(2052−1)から中央の円筒形貫通溝2052(2052−5)へ入っている。基板側壁2051(2051−4、5)は、図30(a)等において説明したように、窪んだり膨張したりできるようになっている。この貫通溝2052(2052−1)の動作によって、さらにこれらに組み合わせた開閉バルブ2054(2054−1、2)の動作によって、通路2053(2053−1)を通じて外側等から液体や気体を貫通溝2052(2052−1)へ導入し、さらに通路2053(2053−2)を通じて貫通溝2052(2052−1)から円筒形貫通溝2052(2052−5)へ液体や気体を導入する。他の3組の貫通溝からも通路2053を通じて円筒形貫通溝2052(2052−5)へ各種の液体や気体を導入する。円筒形貫通溝2052(2052−5)はこれらの液体や気体の混合容器となっていて、異なる種々の液体や気体を混合させて種々の混合液や反応液を作製できる。円筒形貫通溝2052(2052−5)を囲む基板側壁2051(2051−6)は変形できるようになっているので、円筒形貫通溝2052(2052−5)へ液体等を導入するときは基板側壁2051(2051−6)を膨らませる。このとき開閉バルブ2054−2を動作させると効果的である。円筒形貫通溝2052(2052−5)内の混合液や反応液は、基板側壁2051(2051−6)を窪ませて、通路2055を通じて外側(または別の貫通溝)へ排出する。このとき開閉バルブ2056を動作させると効果的である。
図30(c)に示す微小な液体混合容器または気体混合容器は、圧力差によって動作させる場合は、たとえば貫通溝2052(2052−2、3)に圧力を可変させて、貫通溝2052(2052−1)を窪ませたり凹ませたりすることができる。また、圧電基板を用いる場合は、基板2051が圧電基板となり、変形可能な基板側壁2051(2051−4、5)等や中央部の変形可能な基板側壁2051(2051−6)の側面に導電体膜を形成して、これらの両側目の導電体膜に電界をかけて圧電体基板側壁を変形させる。さらに、通常の基板等を用いる場合であって圧電体膜を用いる場合も、基板側壁の両側面に両側に電極・配線を持つ圧電体膜を積層して、これらの両側の電極にそれぞれ電界をかけて(片側だけでも良い)基板側壁を変形させる。
円筒形の基板側壁2051(2051−5)の周囲を囲んでいる、4組の貫通溝2052(2052−1、2、3)、2052(2052−6、7、8)、2052(2052−9、10、11)、2052(2052−12、13、14)は、混合前の各液体や気体を一次保管しておくような場所であり、ここから通路2053(2053−2)を通して混合容器である円筒形貫通溝2052(2052−5)へ投入液量を調節する。調節する方法は、圧力を調節したり、導電体膜へ印加する電圧を調節すれば良い。尚、開閉バルブ2054(2054−2)を用いれば、円筒形貫通溝2052(2052−5)の変形量を調節すれば各場所からそれぞれの液体や気体を導入できるから、円筒形基板側壁2051(2051−5)の外側の4組の貫通溝を省略できる。そのときは本発明の微小な液体混合容器または気体混合容器をさらに小型化を実現できる。
これらの微小な液体混合容器または気体混合容器をどの程度小型化できるか見積もる。もちろん、どの程度の液体や気体が必要かによっても決定されるが、現状で実現できるサイズから見積もってみる。たとえば、中央の円筒形貫通溝2052(2052−5)は直径が20μmはOKである。また、その周囲の基板側壁2051(2051−6)の幅は1μmでも可能だが、5μmとする。そのまわりの円筒形貫通溝2052(2052−4)の幅は10μm、それを囲む円筒形の基板側壁2051(2051−5)は変形しないようにするために10μmとする。これまでの大きさは、直径が70μmである。その外側の矩形の大きさは、片側25μm、外壁の基板側壁はこの容器のパッケージとなるので、片側25μmとする。従って、全体で170μmの正方形形状となる。基板内で切断のり白を入れて200μmの正方形形状になる。6インチ基板(150mm直径)の場合、約40万個の混合容器を作製できる。極めて安価な混合容器または反応容器ができる。しかも材料や厚みを最適化できればもっとサイズを小さくすることもできる。尚、基板2051の厚みは、10μm〜2000μm、好適には30μm〜1000μm、もっと好適には50μm〜500μmと適宜調節できる。また必要ならもっと薄くも厚くすることもできる。
本発明の媒体吐出デバイスやポンプデバイスは、半導体基板にも搭載することができる。上述した媒体吐出デバイスやポンプデバイスを形成した基板またはチップを半導体基板またはチップに付着して、必要な配線を行なえば半導体基板上に別に形成されたICやトランジスタを用いて媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作動させることができる。あるいは、半導体基板に基板を付着させて前述したプロセスで媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作製することもできる。あるいは、半導体基板に直接媒体吐出デバイスやポンプデバイスを形成すれば、半導体基板上に別に形成されたICやトランジスタと媒体吐出デバイスやポンプデバイスと接続して、媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作動させることができる。あるいは、半導体基板上にポリマーまたはセラミックを積層して、これらのポリマーまたはセラミック内に媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作製することもでき、半導体基板上に別に形成されたICやトランジスタと媒体吐出デバイスやポンプデバイスと接続して、媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作動させることができる。このとき、ポリマーまたはセラミック内の凹部や貫通溝をインプリント法を用いて形成して、ポリマーまたはセラミック内に媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作製することもでき、半導体基板上に別に形成されたICやトランジスタと媒体吐出デバイスやポンプデバイスと接続して、媒体吐出デバイスやポンプデバイスを作動させることができる。このとき、半導体基板に凹部を形成した後で、凹部内にポリマーまたはセラミックを形成すれば、作製した媒体吐出デバイスやポンプデバイスと半導体基板上に別に形成されたICやトランジスタとの接続の段差を小さくでき、接続部の接続配線等の段切れなどの問題も発生しないようにすることもできる。
このような容器の使用方法として、たとえば人間の血液を使った各種検査を簡便に迅速にしかも安価にできる。1つの貫通溝に血液を入れて(たとえば、指に針を少し指してほんの少し吸入する)、他の貫通溝には検査試薬を入れておく。中央の反応容器へ血液を導き(この量は極めて精密にコントロールできる)、さらに各種試薬を別の貫通溝から中央の反応容器へ導く。これらを混合し反応させてその結果を見ることができる。特に透明の薄板を用いれば、顕微鏡観察(最早肉眼では見えないだろう)で判定できる。あるいは光をあててその結果を知ることができる。外側の貫通溝が少なければ多く作製できるという自由度が高いのも本発明の利点である。図30(c)では、中央に円筒形貫通溝を設けたが、矩形の貫通溝を混合容器としても良いし、他の任意の形状を適宜選択しても良い。また、配置の順番も、混合容器を中央に配置する必要もない。ただし、1個の実装形態は図30(c)に示すような矩形(長方形または正方形)形状がウエハ上には形成しやすく切断(ダイシング)しやすいことは言うまでもない。
このような容器は、マイクロリアクターや液体等(液体や気体)の混合器やリアクター(反応器)として用いることができる。たとえば、図30(c)において、複数の通路から複数の種類の液体等(流体)を(貯留)貫通孔2052(2052−1、7、10、13)へ貯留して、次にその貯留した貫通孔2052(2052−1、7、10、13)から貫通孔(これを、リアクターまたは反応器または混合器と呼んでも良い)2052−5へそれぞれの流体を適量導入する、混合するときに、チップを振動させたりすれば流体の混合や反応がスムーズに行なわれる。あるいは、貫通孔2052−4へ振動圧力をかけると基板側壁2051−6が振動変形するので、リアクター2052−5内の流体も振動攪拌され、流体の混合や反応がスムーズに行なわれる。あるいは、基板側壁2051−6が圧電体膜であるときであって、その両側または片側に導電体膜を付着させて、その導電体膜に交流電圧を印加することによって、基板側壁2051−6が振動変形できる。あるいは、基板側壁2051−6あgシリコン等の半導体やガラス等の絶縁体、または導電体であっても、それらの両側または片側に圧電体膜を付着させて、その両側に交流電圧を印加することによって、基板側壁2051−6が振動変形できる。リアクター2052−5内で混合し、または反応した後の流体を通路2056を通して外部へ排出することができ、その後排出された物質の詳細な分析が可能である、また、上部から観察したり、電磁波を照射したりして、リアクター2052−5内の流体をその場観察・解析も可能である。リアクター2052−5内(基板側壁や上下面の薄板にヒーター膜を付着すればリアクター2052−5内を加熱できる。さらに温度センサーをリアクター2052−5内に取り付ければ、リアクター2052−5内の温度測定もできる。あるいは、チップ外部から電磁波を照射してリアクター2052−5を加熱することもできるし、リアクター2052−5内から出る電磁波を計測して温度測定も可能である。あるいは、オーブンに入れてチップ全体を暖めたり、冷却したりすることもできる。
本発明は、上述したようにマイクロリアクターとして使用できるが、さらに図37に基づき詳細に説明する。図37は、基板の厚み方向の断面を示したマイクロリアクターを示す図である。基板2101において、厚み方向に貫通孔2103(2103−1、2、3)が形成されている。基板2101の上面に上面薄板2102が、基板2101の下面に下面薄板2103が付着している。基板2101は、これまでに述べたように、導電体基板、半導体基板、あるいは絶縁体基板である。基板の厚みはリアクター(貫通孔)の大きさに応じて任意に設定できる。たとえば、100μm以下、100μm〜500μm、500μm〜1mm、1mm〜2mm、あるいは2mm以上とすることも可能である。貫通孔2103−1と2103−2は基板側壁2101(2101−2)によって、貫通孔2103−2と2103−3は基板側壁2101(2101−3)によって隔てられている。これまでに述べたように、基板側壁の厚みは、基板材料、印加する圧力および/または基板側壁の面積によって変動し、印加する圧力によって基板側壁が変形可能な厚みとする。貫通孔2103−1および2103−3は圧力が印加される貫通孔で、それらの間に挟まれた貫通孔2103−2は液体または気体が導入される貫通孔である。
上面薄板2102には、圧力導入孔2107(2107−1、3)が形成され、これらの圧力導入孔2107(2107−1、3)を通して、貫通孔2103(2103−1、3)に圧力P1またはP2が印加される。圧力は気体または液体で印加可能である。圧力導入孔2107(2107−1、3)には開閉バルブ2109(2109−1、3)が備わり、圧力を閉じ込めることもできる。ただし、外部に開閉バルブを設けて圧力制御することもできる場合は、これらの開閉バルブ2109(2109−1、3)は必ずしも必要がない。また、上面薄板2102には、液体または気体導入孔2107(2107−2)が形成され、これらの圧力導入孔2107(2107−2)を通して、貫通孔2103(2103−2)に液体または気体を導入できる(流れをL1で示す)。液体または気体導入孔2107(2107−2)には開閉バルブ2109(2109−2)が備わり、液体または気体を閉じ込めることもできる。ただし、外部に開閉バルブを設けて液体または気体の導入を制御することもできる。たとえば、液体または気体が一定量貫通孔2103−2に入ったら開閉バルブ2109(2109−2)を閉じれば良い。一種類の液体または気体を導入する場合は、1つの液体または気体導入孔2107(2107−2)で足りるが、複数の液体または気体を導入する場合は、その数に対応した複数の液体または気体導入孔2107(2107−2)を設けておけば、それらを通して複数の液体または気体を貫通孔2103−2に導入できる。1つの液体または気体導入孔2107(2107−2)でも、外部から導入する液体や気体の種類を変えて導入すれば、貫通孔2103−2で複数の液体や気体を混合することができるが、時間がかかることと、混合すると直ぐに反応(変化)する場合は扱いにくい。貫通孔2103−2において、液体または気体が混合し、場合によって反応するので、貫通孔2103−2はリアクター(反応容器)(部分)と呼んでも良い。
下面薄板2103には、貫通孔2103−2の部分に混合液体等(気体も含む)または反応液体等(気体も含む)の排出口2108が形成され、この排出口2108を通して混合液体等または反応液体等を排出することができる(流れをL2で示す)。排出口2108にも開閉バルブ2110が備わり、排出する混合液体等または反応液体等の量を制御できる。貫通孔2103−2に液体または気体(液体等)を導入するとき、貫通孔2103−2内に存在する気体(たとえば、空気や窒素)のために導入液体等が入りにくい場合は、排出口2108の開閉バルブ2110を開けておけば、貫通孔2103−2内に存在する気体が排出口2108を通して抜けていくので、導入液体等が貫通孔2103−2内にスムーズに入ることができる。あるいは、あらかじめ液体等導入孔2107−2および/または液体等排出口2108から貫通孔2103−2内の気体を吸い出して貫通孔2103−2内を減圧状態にしておけば、導入液体等が貫通孔2103−2内にスムーズに入ることができる。貫通孔2103−2内の減圧状態は開閉バルブ2109−2および開閉バルブ2110を閉じておくことによって保持できる。あるいは、開閉バルブ2110を開けて排出口2108から吸い込んで、導入液体等を液体等導入孔2107−2を通して貫通孔2103−2に入れても良い。導入液体等の量は外部から制御しても良いし、液体等導入孔2107の容積量で制御することもできるし、液体等導入孔2107内に複数の開閉バルブを設けて、それらの開閉バルブ間にある液体等の量で制御することもできる。あるいは、上面薄板2102または下面薄板2103の外側から光センサーで貫通孔2103−2内の液体量を検知して制御することもできる。
あるいは、貫通孔2103−2に隣接する貫通孔2103(2103−1、3)内の圧力を変えて、基板側壁2101(2101−2、3)を変形させて導入液体等を貫通孔2103−2内に導入したり、排出したりすることもできる。たとえば、貫通孔2103(2103−1、3)の圧力P1、P2を減圧状態(貫通孔2103−2の圧力より)にすると基板側壁2101(2101−2、3)は貫通孔2103(2103−1、3)内に変形するので、貫通孔2103−2内に液体等を導入することができる。(このときは、開閉バルブ2110を閉じておく。)また、貫通孔2103(2103−1、3)の圧力P1、P2を加圧状態(貫通孔2103−2の圧力より)にすると基板側壁2101(2101−2、3)は貫通孔2103−2内に変形するので、貫通孔2103−2内に存在する混合液体等や反応液体等は排出口2108から排出される。(このときは、開閉バルブ2109−2を閉じておく。)
貫通孔2103−2内には、種々の液体等が入り混合したり反応したりするので、貫通孔2103−2内はそれらの液体等によって反応しないようにする必要がある。たとえば、基板2101がシリコンであるときには、シリコンはフッ硝酸(HF+HNO3)系やアルカリ液系の液体に溶けやすいので、貫通孔2103−2内をそれらに溶けない膜でコーティングすると良い。アルカリ液系の場合は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を基板側壁2101(2101−2、3)上に積層すると良い。また、フッ素樹脂等の高分子樹脂を積層することも有効である。
本発明のリアクターはヒーターを備えて温度コントロールすることができる。たとえば、図37に示すように、基板2101に形成した貫通孔2103(2103−1、2、3)内に加熱用抵抗薄膜2105を形成する。基板2101がシリコン等の半導体基板である場合には、貫通孔2103(2103−1、2、3)を形成後、基板側壁2101(2101―2、3)上にSiO2膜やSiN膜等の絶縁膜2104を積層した後に、加熱抵抗薄膜2105を絶縁膜2104上に積層する。加熱抵抗薄膜(薄膜ヒーター)として、Ni−Cr膜、Au膜等を使用することができる。絶縁膜と加熱抵抗薄膜の密着性が悪い場合には、これらのどちらにも密着性の良い薄膜材料を介在させれば良い。たとえば、加熱抵抗薄膜がAu膜の場合には、密着層としてW膜、Cr、TiN、TiやTa膜等を介在することができる。加熱抵抗薄膜は必要に応じて配線パターンを形成する。パターン形成は、前述したように電着法等を用いることができる。たとえば、W膜の膜厚は50nm以上、Au膜の膜厚は100〜500nmである。Au膜は抵抗率が低くかつ電気抵抗の温度係数が大きいため、温度センサーを兼ねる薄膜ヒーターを形成することができる。さらに、加熱抵抗薄膜2105の保護膜として、SiO2、SiON、SiN膜等の絶縁膜2106を形成する。加熱抵抗薄膜(薄膜ヒーター)はスパッター法、蒸着法、CVD法等を用いて形成できる。図37においては、絶縁膜2104、2106、加熱抵抗薄膜(薄膜ヒーター)2105は、基板側壁2101(2101−2、3)の両側だけに記載しているが、当然、他の基板側壁2101(2101−1、4)にも積層される。ただし、圧力室用貫通孔2103(2103−1、3)は加熱する必要がないので、加熱抵抗薄膜(薄膜ヒーター)はエッチング除去しても良い。尚、保護用の絶縁膜2104および/または2106は残しておいても良い。
加熱抵抗薄膜(薄膜ヒーター)2105は、上面薄板2102に形成したコンタクト孔内の導電体膜2111を通じて、上面薄板2102上に形成した取り出し電極2112に接続する。図37では基板側壁2101(2101−2、3)の上面に導電体膜2111を形成しているが、もっと広い場所(基板2101の上面において)まで加熱抵抗薄膜(薄膜ヒーター)2105を延ばしてからコンタクト孔を形成して、そのコンタクト孔に導電体膜2111を形成しても良い。加熱抵抗薄膜は導電体膜であるから、この加熱抵抗薄膜自体を電極とすることもできる。この場合、加熱抵抗薄膜電極部分において上面薄板2102を開口しておけば、外部とたとえばワイヤボンド等で接続することができる。電極2112は、加熱抵抗薄膜配線において2箇所形成しておき、これらの電極間で電流を流すことによって、加熱抵抗薄膜配線が加熱されて、その熱によって、リアクター2103−2内が加熱される。前述したように加熱抵抗薄膜配線自体が温度センサーを兼ねる場合は、加熱抵抗薄膜配線自体の抵抗が温度を示すことになる。あるいは、加熱抵抗薄膜配線とは異なる配線抵抗を形成しておき、その両端に電極を設け、電極間に電圧を印加し、抵抗を測定すれば、その抵抗値から温度測定ができる。加熱抵抗薄膜配線(ヒーター)自体の温度ではなく、その周辺の温度を示しているので、よりリアクター2103−2内の温度に近い。この場合、温度センサー用の抵抗配線膜と加熱抵抗薄膜配線の材料は同じでも良いし、違う導電体膜で形成しても良い。同じである場合はプロセスが簡単である。温度センサーとして異種金属を接合した熱電対を作成してその熱起電力から温度を計測することもできる。温度センサーや加熱抵抗薄膜配線は、リアクター2103−2に面した、上面薄板2102の下面、或いは下面薄板2103の上面に形成しても良い。この場合、上面薄板2102、下面薄板2103を基板2101に付着する前に形成しておけば、プロセスは簡単である。リアクター2103−2を加熱する方法として、所定の温度に設定したオーブン等にチップを入れて、全体を加熱する方法もある。あるいは、赤外線を上面薄板および/または下面薄板から照射して加熱する方法もある。加熱されたリアクター内の液体等から出る電磁波から温度を知ることもできる。
図38は、図37において貫通孔2103(2103−2)の断面を右方向から見た図である。すなわち、図37の紙面に対して垂直方向を見たものである。貫通孔2103−2は直方体形状であり、両側に基板2101(2101−5、6)が存在する。この場合基板側壁2101(2101−5、6)は厚く、これらの外側に圧力印加用の貫通孔があっても基板側壁2101(2101−5、6)は変形しない。従って、貫通孔2103−2は図37に示す基板側壁2101(2101−2、3)の変形により膨らんだり凹んだりするが、図38に示す方向では貫通孔2103−2は変動しない。当然、基板側壁2101(2101−5、6)を基板側壁2101(2101−2、3)と同程度の厚みとし、その外側に圧力印加用の貫通孔を設ければ、図38に示す方向へも貫通孔2103−2は基板側壁2101(2101−5、6)の変形により膨らんだり凹んだりする。
図38に示されるように、上面薄板2102には液体等導入孔が2つ(2115、2116)備わっている。1つめの液体等導入孔2115は、2115−1から2115−2へ、さらに2115−3へと接続する。2つ目の液体等導入孔2116は、2116−1から2116−2へ、さらに2116−3へと接続する。図38に示す液体等導入孔2115および2116は、図37に示す液体等導入孔2107−2に対応する。リアクター2103−2には液体等導入孔2115や2116から液体等が導入される。液体等導入孔2115−1や2116−1のサイズは、リアクター2103−2のサイズにもよるが、余り大きくできない。たとえば、10μm〜50μm、あるいは50μm〜100μmである。液体等の供給は外部機器から行なうが、このサイズに合わせて外部機器を接続し液体等を供給するのはかなり困難である。すなわち、外部機器の液体等の接続口をこのサイズに合わせることが難しい。そこで、図38に示すような通路を作ることによって、外部機器の接続口に合わせて、液体等導入孔の外部との接続口2115−3や2116−3のサイズを自由に変えることができる。たとえば、2115−1のサイズが50μm×50μmであるとき、それに接続する2115−2のサイズを幅100μm、高さ100μm、長さ500μmとして、これに接続する2115−3の下部接続口サイズを100μm×100μmとし、外部機器と接続する2115−3の上部接続口サイズを500μm〜1mm×500μm〜1mmと大きくすることができる。(ただし、全体のチップサイズに制約される。)このように、2115−3の接続口サイズを大きく取れるので、外部機器との接続が容易になるとともに、液体等を供給しやすくなる。外部機器から液体等を押出していけば、スムーズに液体等導入孔2115−3に入り、そこからさらに液体等が押し出されて液体等導入孔2115−2に入り、そこからさらに液体等が押し出されて液体等導入孔2115−3に入り、そこからリアクター2103−2に液体等を所定量導くことができる。液体等導入孔2116についても同様である。
これらの2つの液体等導入孔2115および2116から異なる液体等を導入して、リアクター2103−2内で混合し、反応させることができる。他の液体も導入したければ、他の導入孔を設ければ良い。本発明の(マイクロ)リアクターは、多数の液体等の導入孔を設けて多数の液体等をリアクター2103−2内で混合し、反応させることができる。上面薄板2102は2枚の薄板2102−1、2が付着している。上面薄板2102−1に液体等導入孔2115−1や2116−1を形成した後、液体等導入孔(溝または通路と記載した方が良い)2115−2や2116−2を形成する。液体等導入孔2115−1や2116−1は薄板2102−1を完全に貫通した貫通孔であるが、液体等導入孔2115−2や2116−2は途中までエッチングして、溝形状で形成する。これらの孔や溝の形成は、フォトリソ法およびエッチング法やレーザー法を用いることができる。液体等導入孔2115−1、2や2116−1、2を形成した薄板(下部上面薄板)2102−1に別の薄板(上部上面薄板)2102−2を付着して、液体等導入孔2115−3や2116−3を形成する。さらに開口された液体等導入孔2115−3や2116−3以外の上面薄板2102上にシリコーン樹脂やエラストマー等の樹脂弾性体2117を付着させる。あるいは、上部上面薄板2102−2に樹脂弾性体2117を形成した後に、開口部となる部分の樹脂弾性体2117をエッチング除去し、さらに上部上面薄板2102−2を除去して、液体等導入孔2115−3を形成しても良い。液体等導入孔2115や2116を形成した上面薄板2102(2102−1と2102−2を付着させたもの)を貫通孔2103やさらに絶縁膜2104、2106や加熱抵抗薄膜(温度センサー)2105を形成した基板2101に付着しても良い。あるいは、貫通孔2103やさらに絶縁膜2104、2106や加熱抵抗薄膜(温度センサー)2105を形成した基板2101に下部上面薄板2102−1を付着させた後に、液体等導入孔2115−1、2や2116−1、2を形成し、その後で上部上面薄板2102−2を付着させて、その次に液体等導入孔2115−3や2116−3を形成し、さらにその後で樹脂弾性体2117を形成しても良い。樹脂弾性体2117を上面薄板2102上に付着させることによって、液体等供給用の外部機器を接続するときに、適度に外部機器を上面薄板2102に押しつけて気密性を保持することができ、液体等が外部へ漏れることを防止することができる。
図38に示すように、下面薄板2103においても同様に液体等排出口2118(2118−1、2、3)を形成することができる。リアクター2103−2に入れられた液体等を液体等排出口2118−1から出して、次の液体等排出口(通路)2118−2を通って、外部機器と連結する液体等排出口2118−3へ接続する。液体等排出口2118−1は余り大きくできない(大きいと、バルブを設けない場合は、この液体等排出口2118−1にも液体等が入り込んでしまう。また、大きいと、バルブを設ける場合は、バルブが大きくなってしまう。)液体等排出口2118−1の大きさは、たとえば、10μm〜50μm、または50μm〜100μmで、リアクター2103−2の大きさにもよる。液体等排出口2118−2の大きさは、たとえば、100μm〜200μm、200μm〜500μmで、チップサイズにもよる。液体等排出口2118−3は外部機器と接続し、リアクター2103−2で反応や混合した液体等を外部機器へ流す。あるいは、液体等排出口2118−3は設けずに、次のリアクターへ液体等を移動させても良い。液体等排出口2118−3を外部機器と接続する場合は、外部機器の接続口に合わせたサイズにする必要がある。たとえば、500μm×500μm以上のサイズにすれば外部機器の接続口と合わせ易い。さらに、液体等が漏れないように、樹脂弾性体2119を下部下面薄板2103−2に付着させる。外部機器の接続口の周辺部をこの樹脂弾性体2119に押しつけることによって、気密性を保持できる。外部機器で液体等を吸い出せば、液体等排出口2118を通して、リアクター内の液体等を排出することができる。あるいは、図37に示すように、貫通孔2103−1や2103−3の圧力を高くして、基板側壁2101−2や2101−3を変形させて、リアクター2103−2を窪ませてリアクター2103−2内の液体等を押出しても良い。尚、開閉バルブは液体等排出口2118−1や液体等排出口(通路)2118−2に設けることができる。また、液体等排出口2118(2118−1、2、3)は、上面薄板の場合と同様に、下面薄板2103を上部下面薄板2103−1と下部下面薄板2103−2に分離しておけば形成しやすい。
図37、図38から分かるように、圧力用貫通孔2103(2103−1、3)を形成せずに、リアクター2103−2だけを形成してもマイクロリアクターを形成できる。圧力用貫通孔2103(2103−1、3)を形成する場合は、基板側壁2101(2101−2、3)を圧力により窪ませたり膨らませたりして、リアクター2103−2内に液体等(流体とも言う)を導入したり、リアクター2103−2内の流体を排出することができる。圧力用貫通孔2103(2103−1、3)を形成しない場合は、流体導入孔2107、2115、2116に接続する流体供給用の外部機器から流体を押出してリアクター2103−2内に流体を入れる。この時、流体排出口2108や2118側に接続する流体吸い出し(排出)用外部機器で吸い込めばリアクター2103−2内が減圧状態になりリアクター2103−2内へ流体を入れやすくできる。リアクター2103−2内の流体を排出するときは、流体排出口2108や2118側に接続する流体吸い出し(排出)用外部機器で吸い込めば良い。この時、、流体導入孔2107、2115、2116に接続する流体供給用の外部機器から空気等の気体で押し出せば、リアクター2103−2内の流体を排出しやすくなる。備えつけの開閉バルブ2109や2110を併用すればさらに効率的に流体の導入や排出が可能となる。
図39は、液体等導入孔および液体等排出孔に設置する開閉バルブを示す図である。下部薄板2123(2123−1)と上部薄板2123(2123―2)との間に流体通路2122が形成されている。この流体通路2122の途中において、上部薄板2123―2内に空洞2131が形成され、この空洞2131には圧力導入孔2132が空いており、外部から圧力を印加できる。空洞2131を被ってダイヤフラム膜2128が形成されている。ダイヤフラム2128の下面は流体通路2122側に面している。ダイヤフラム膜2128は空洞2131全体を覆っているので、空洞2131は流体通路2122とは接続していない。ダイヤフラム膜2128は、上部薄板2123−2と同じ材料で形成することもできる。たとえば、ガラス、石英、シリコンである。あるいは、ダイヤフラム膜2128を上部薄板2123―2に付着や積層により形成することもできる。たとえば、PolySi膜、シリサイド膜、金属膜、高分子膜、シリコーン樹脂やエラストマー等の弾性体膜である。
下部薄板2123―1においても、この流体通路2122の途中において、下部薄板2123―2内に空洞2127が形成され、この空洞2127には圧力導入孔(図示していないが、下部薄板2123―2内に圧力導入通路を作り上部薄板2123―2内の圧力導入通路と接続すれば良い。)が空いており、外部から圧力を印加できる。空洞2127を被ってダイヤフラム膜2124が形成されている。ダイヤフラム2124の上面は流体通路2122側に面している。ダイヤフラム膜2124は空洞2127全体を覆っているので、空洞2127は流体通路2122とは接続していない。ダイヤフラム膜2124は、下部薄板2123−1と同じ材料で形成することもできる。たとえば、ガラス、石英、シリコンである。あるいは、ダイヤフラム膜2124を下部薄板2123―1に付着や積層により形成することもできる。たとえば、PolySi膜、シリサイド膜、金属膜、あるいは高分子膜、シリコーン樹脂やエラストマー等の弾性体膜である。
上部薄板2123―2において、圧力をかけていないときはダイヤフラム2128の変形はなく流体Lは流体通路内2122内をスムーズに流れていく。(図39(a))しかし圧力Pが圧力導入孔2132から空洞2131内に印加されるとダイヤフラム2128は流体通路2122側に膨らんで流体通路2122を狭くする。(図39(b))下部薄板2123―1においても、圧力をかけていないときはダイヤフラム2124の変形はなく流体Lは流体通路内2122内をスムーズに流れていく。(図39(a))しかし圧力が圧力導入孔から空洞2127内に印加されるとダイヤフラム2124は流体通路2122側に膨らんで流体通路2122を狭くする。(図39(b))上部薄板2123―2側および下部薄板2123―1側で同時に圧力が印加されると流体通路2122は塞がり、流体は流体通路2122を流れなくなる。(図39(b))このようにダイヤフラムを用いることによって、開閉バルブを作製することができる。
ダイヤフラムを薄板と同じ材料で形成する場合は、時間制御で薄板をエッチング除去して、ダイヤフラム分の厚みを残せば良い。ダイヤフラムを薄板と異なる材料で形成する場合は、たとえば、薄板にダイヤフラムを付着または積層して、薄板だけをエッチングしてダイヤフラムをエッチングさせずに、空洞を形成すれば良い。ダイヤフラムが流体通路内に露出すると問題がある場合は、ダイヤフラム上を別の膜、たとえば、SiO膜、SiON膜、SiN膜等の絶縁膜で被覆(積層により)すれば良い。
ダイヤフラムを圧電体膜で形成し電圧印加でダイヤフラムを変形させることもできる。たとえば、図39に示すように、上部薄板2123−2において、ダイヤフラム2128を圧電体膜とし、このダイヤフラム2128の上面および/または下面に導電体膜2129、導電体膜2130を付着(積層)させ、薄板2123−2にコンタクト孔を形成し導電体膜2133を形成し、さらに電極2134を形成する。圧電体膜2128の上面および/または下面に形成した導電体膜2129、2130にコンタクト孔導電体膜配線2133に電極2134から電圧を印加することによって、図39(b)に示すように空洞部2131において圧電体膜2128が流体通路2122側に変形し、流体通路2122を狭くすることができる。従って、圧力導入孔2132は不要となり、圧力印加も不要となる。また、圧電体膜2128の変形レベルを調整するために、導電体膜2129、2130をパターニングしても良い。たとえば、前述したように、リング状形状にすることもできる。
また、図39に示すように、下部薄板2123−1において、ダイヤフラム2124を圧電体膜とし、このダイヤフラム2124の上面および/または下面に導電体膜2126、導電体膜2125を付着(積層)させる。導電体膜2125、2126は配線として引き延ばして、薄板2123−2にコンタクト孔を形成し導電体膜2133を形成し、さらに電極2134を形成することができる。圧電体膜2124の上面および/または下面に形成した導電体膜2125、2126にコンタクト孔導電体膜配線2133に電極2134から電圧を印加することによって、図39(b)に示すように空洞部2127において圧電体膜2124が流体通路2122側に変形し、流体通路2122を狭くすることができる。従って、圧力導入孔は不要となり、圧力印加も不要となる。また、圧電体膜2124の変形レベルを調整するために、導電体膜2125、2126をパターニングしても良い。たとえば、前述したように、リング状形状にすることもできる。以上のように流体通路2122において、電圧印加により、両側から圧電体膜2128、2124を変形させて図39(b)に示すように流体通路2122を閉じることができる。従って、流体通路2122に開閉バルブを設置することができる。
製造法として、上部薄板2123−2上に導電体膜2129を付着(積層)し、パターニングする。次に圧電体膜2128を付着(積層)し、パターニングする。次に導電体膜2130を付着(積層)し、パターニングする。圧電体膜を用いないで圧力制御で行なう場合は、導電体膜は付着(積層)せずに通常のダイヤフラム2128を付着(積層)し、パターニングする。次に、上部薄板2123−2上をパターニングし、導電体膜2128、2130と接続するコンタクト孔を形成し導電体膜配線2133を行なう。空洞2131用のパターニングも行ない空洞2131を形成する。さらに、圧力印加を行なう場合には圧力導入孔2132を形成する。場合によっては、圧力導入孔2132を形成した薄板を付着させて作製することもできる。コンタクト孔、空洞、圧力導入孔は同時に形成することもできる。コンタクト孔、空洞、圧力導入孔の形成は、上部薄板2123−2のエッチングで行なうことができるが、下地の導電体膜2129、2130、あるいはダイヤフラム膜(圧電体膜)2128との選択性の良いエッチング条件を用いることによって、上部薄板2123−2を除去するだけで、下地を殆どエッチングしないでコンタクト孔、空洞、圧力導入孔を形成することができる。下部薄板2123−1に関しても同様な方法で、導電体膜2125、2126、ダイヤフラム膜(圧電体膜)2124、空洞2127を形成できる。ただし、コンタクト孔、圧力導入孔、電極は下部薄板2123−1側に形成できない(下部薄板2123−1の下面には基板が付着される)ので、コンタクト孔、圧力導入孔、電極は上部薄板2123−2側に形成する。別の製造方法として、導電体膜、圧電体膜等のパターンを形成したフィルムを薄板に付着して図39に示す構造を作製できる。この場合、フィルム作製はリアクター作製と並行して行なうことができるので、リアクター作製のプロセス時間を短縮できる。また、図39では、上部薄板2123−2および下部2123−1の両方に開閉バルブを設けたが、どちらか一つでも良い場合はどちらかを省略しても良い。
図40は、開閉バルブの別の構造を示す図である。図39と同じものには同じ名称を(番号)を付している。この開閉バルブは、リアクターと接続する液体等導入孔2135に取り付けるバルブである。下部薄板2123−1はリアクターと付着するが、そのリアクターに液体等を導入する通路が液体等導入孔2135である。圧力を印加していないときは、流体通路2122から流体Lが液体等導入孔2135を通してリアクターへ導入される。(図40(a))圧力Pが印加されると、ダイヤフラム2128が流体通路側に膨らみ、液体等導入孔2135への通路を狭くするので、リアクターへ流す流量を調節(減量)できる。さらに圧力印加により液体等導入孔2135を完全に塞ぐことができる。すなわち、液体等導入孔2135の平面的形状(上から見た断面形状)は円形や正方形、長方形、多角形形状となっており、この大きさより大きな空洞2131で覆う(平面的に見て)ようにすれば、両面が開放しているダイヤフラム2128のサイズも液体等導入孔2135の平面的形状よりも大きいので、ダイヤフラム2128の変形(膨らみ)によって、液体等導入孔2135の開口入口を完全に塞ぐことができる。液体等導入孔2135の開口入口部に破線2136で示すようなテーパーをつけておけば、このテーパー部に変形したダイヤフラム2128が入り込んで面接触状態になるので、液体等導入孔2135の遮断がより完全になる。ダイヤフラムとして圧電体膜2128を用いる場合も、圧電体膜2128の上下面に形成した導電体膜2129、2130への電圧印加により、空洞部2131部分の圧電体膜2128が変形し、液体等導入孔2135の開閉バルブとして使用できる。この場合は、圧力導入孔2132は不要となる。(空洞部形成のために設置しても良いが、圧力印加は不要である。)
従来のマイクロリアクターは基板面に対して平行な方向へ流体を移動するものである(たとえば、特開2011−020044)ため、マイクロリアクターチップのチップサイズが大きくなる。また、流体路を利用した混合や反応が多いため、静的な平衡状態を実現できていないので、反応系が複雑になる。これに対して本発明のマイクロリアクターは基板の厚み方向を用いているため、基板全体を有効活用しているとともに、リアクターの平面的サイズを小さくでき、リアクターの上下に流体通路を設けているので、チップサイズを小さくすることができる。固定したリアクターで流体の反応や混合を行なうためより平衡状態に近い静的な反応を実現できる。リアクターの温度制御、圧力制御も容易であり、反応や混合状態をその場観察(in-situ observation)できる。多数の流体を個別に導き、リアクター内で一挙に混合し反応できるので、複雑な混合や反応を簡単に実現できる。危険な流体や細菌やウィルスなども密閉容器内で取り扱うことができるので、安全な実験や研究が可能である。開閉バルブの設置も容易であるから精密な流量コントロールが可能である。半導体プロセスを用いて1枚の基板中に多数のマイクロリアクターチップを作製できるので、チップコストを大幅に低減できる。
次に、本発明の基板内または厚膜材料内に形成した凹部を用いた加速度センサーについて説明する。図31は、本発明の加速度センサーの構造および製造方法を示す図である。本発明の加速度センサーは、図31(a)、(b)に示す凹部を有する凹部側電極部3001および凸部を有する凸部側電極3002から構成される。まず、凹部側電極部3001の構造および製造方法を説明する。
図31(a)に示すように、半導体、金属や絶縁体等の基板3011上に絶縁膜3012を形成する。次に厚膜3013を形成する。基板3011は、半導体基板(たとえば、シリコン基板、窒化ガリウム基板(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)等)、炭素基板、絶縁基板(たとえば、窒化アルミ(AlN)、ガラス、石英、セラミック等)、高分子、樹脂、金属(たとえば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、各種合金)などであり、絶縁膜3012は、たとえばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)、シリコン窒化膜(SiNy)であり、厚膜3013が絶縁膜である場合および基板3011と厚膜3013の密着性が良くかつ厚膜3013が基板3011に形成しやすい場合には形成しなくても良い。
厚膜3013は、凹部が形成できて、かつ通常の使用環境では形成した凹部の変形が小さい材料が良い。たとえば、ポリマー(PMMA(Polymethyl metacrylate)、PC(Polycarbonate)、PDMA(Polydimethylsiloxane)、・・・)、ガラス、セラミック等の絶縁体、あるいはシリコンや炭素やヒ化ガリウムやガリウムヒ素等の半導体、あるいは金属でも良い。厚膜3013の上にフォトレジスト等の感光性膜を形成して感光性膜をパターニングして、このパターニングされた感光性膜をマスクとして厚膜3013をエッチングして、いわゆるフォトリソ法とエッチング法を用いて厚膜3013内に凹部3017(3017−1、2、3、4)を形成する。尚、レジストパターンの形成方法には、インプリント法を用いることもできる。たとえば、レジスト(感光性でなくても良い)を塗布したり、シート状レジスト(感光性でなくても良い)を付着させたりして形成したレジスト膜に、凹部形成用のモールドを押しつけてレジストパターンを形成する。(凹部の底部に残る残膜はたとえば酸素プラズマの異方性全面エッチングで除去する)このパターニングされたレジスト膜をマスクとして厚膜3013をエッチングして、厚膜3013内に所望の深さの凹部3017を形成する。凹部3017の側面は静電容量素子の一方の電極となるので、できるだけレジストマスクパターン通りに垂直に形成する。凹部3017の側面の形状は通常平坦面が形成しやすいが、曲面でも良い。凹部3017の側面の形状が平坦面の場合は、矩形形状が形成しやすい。凹部3017の深さ(基板面に対して垂直方向)は、厚膜(基板)3013の厚みによって最大値は決定するが、加速度センサー素子の特性や形成しやすさなどによって最適化することが望ましい。たとえば、1μmの深さとすることも可能である。また、厚膜(基板)3013の厚みを厚くすれば、より深い凹部を形成できる。たとえば、500μmの厚膜(基板)3013であれば、500μmの深さ(この場合は貫通する)まで可能である。1000μmの厚膜(基板)3013であれば、1000μmの深さ(この場合は貫通する)まで可能である
厚膜3013として、各種の基板でも良い。(このときは、厚膜というより基板と称した方が良い。)各種の基板とは、たとえばシリコンや炭素やヒ化ガリウムやガリウムヒ素等の半導体基板、あるいはガラス、セラミック、プラスチック等の絶縁体基板、あるいは金属、合金等の金属基板である。これらの基板3013を基板3011に直接付着させても良いし、あるいは絶縁膜3012を介して付着させても良い。貼り合わせる方法として、接着剤を用いる方法、常温接合法、高温融着法、拡散接合法あるいは電解接合(陽極接合など)法でも良い。シリコン基板とガラス基板(石英基板を含む)の接合には陽極接合法で強固に接合させることができる。この基板内に凹部を形成する方法は上述と同様な方法で形成することができる。
しかし、プロセスを簡単にするために基板3011に基板3013を貼り合わせずに、基板3011に直接凹部3017を形成しても良い。その場合の凹部形成も上述した方法で形成できる。さらに以下のような方法で厚膜3013を形成し厚膜3013内に凹部3017を形成することもできる。
厚膜3013として、ポリマーを基板3011上の絶縁膜3012上に厚く形成することもできる。ポリマー3013の形成方法として、滴下法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法等により塗布膜を形成する方法(塗布法)や、ポリマーのシート材を基板3011上の絶縁膜3012上に付着させる方法がある。ポリマーが熱可塑性ポリマーの場合には、塗布膜では凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力でポリマー3013へ押しつけ、加温してポリマーを軟化状態にする。あるいは、シート材または塗布膜では加温してポリマーを軟化状態にし、凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力でこの軟化したポリマー3013へ押しつける。次にポリマー3013を押圧した状態で温度を下げて(Tg以下)ポリマー3013を硬化した後、モールドを剥離すると、ポリマー3013内に凹部3017(3017−1、2、3、4)が形成される。このように凹部3017がポリマー厚膜3013内にインプリント法を用いて形成できる。
ポリマーが熱硬化性ポリマーの場合には、凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力で塗布膜であるポリマー3013へ押しつけ、次にポリマー3013を押圧した状態で加熱して熱硬化性ポリマーの硬化温度以上に加熱保持する。ポリマー3013を硬化した後に、モールドを剥離すると、ポリマー3013内に凹部3017(3017−1、2、3、4)が形成される。
ポリマーが光硬化性ポリマーの場合は、塗布膜に凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力でポリマー3013へ押しつけ、紫外線等の光をモールド型または基板3011の裏面側から照射し、モールド型または基板3011を通してポリマー3013へ光を照射してポリマー3013を硬化させる。ポリマー3013が硬化した後モールドを剥離すると、ポリマー3013内に凹部3017(3017−1、2、3、4)が形成される。
厚膜3013内の凹部3017は、厚膜3013としてセラミック等を用いても形成できる。たとえば、セラミックの微粒子(たとえば、アルミナ(Al2O3)微粒子、窒化アルミ(AlN)微粒子、シリカ(SiO2)微粒子)を溶媒中でペースト状やゲル状にして基板3011上の絶縁膜3012上に塗布する。スクリーン印刷法を用いて塗布が可能で、さらにマスクを用いれば所望の所だけに塗布できる。このペースト状またはゲル状の塗布膜へ、凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力で押しつける。次にペースト状またはゲル状の塗布膜が固化する温度異常に加熱し、塗布膜が固化した後モールドを剥離すると、ポリマー3013内に凹部3017(3017−1、2、3、4)が形成される。このように凹部3017がセラミック厚膜3013内にインプリント法を用いて形成される。
厚膜3013内の凹部3017は、厚膜3013としてガラスを用いても形成できる。たとえば、ガラスの薄板を厚膜3013を形成すべき領域において基板3011上の絶縁膜3012上に接着して、ガラス転移温度(Tg)以上の温度に加熱して軟化させる。あるいは溶融したガラスを基板3011上の絶縁膜3012上に付着させる。この軟化したガラス内または溶融したガラス内へ、凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力で押しつける。その後Tg以下へ温度を下げてガラスを固化した後にモールド(金型)を剥離させる。
厚膜3013内の凹部3017は、厚膜3013として金属を用いても形成できる。たとえば、金属の薄板を厚膜3013を形成すべき領域において基板3011上の絶縁膜3012上に接着して、金属の融点(Tm)付近または融点以上の温度に加熱して軟化または溶融させる。あるいは溶融した金属を基板3011上の絶縁膜3012上に付着させる。この軟化した金属内または溶融した金属内へ、凹部形成用のパターンが形成されたモールド(金型)を一定の圧力で押しつける。その後Tm以下へ温度を下げて金属を固化した後にモールド(型)を剥離させる。(上述の方法は、これまでの圧力センサやポンプデバイス等の凹部に関しても同様な方法で作製できる。)
次に、凹部3017が形成された厚膜3013のパターン上にシリコン酸化膜(SiOx)等の絶縁膜3014、アルミニウム、銅、シリサイド等の導電体膜3015を形成する。この絶縁膜3014は、厚膜3013が完全な絶縁体でない場合、導電体膜3015から厚膜3013へ電流の導通流れたりすることを防止や、する。厚膜3013の絶縁性が完全でも(導電体膜3015から厚膜3013へ電流が流れない)、厚膜3013と導電体膜3015の密着性が良くないときに、密着性を向上させる目的で形成する。従って、厚膜3013の絶縁性が完全で、かつ厚膜3013と導電体膜3015の密着性が良いときは、絶縁膜3014を形成しなくても良い。この絶縁膜3014は、たとえばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)、シリコン窒化膜(SiNy)等であり、CVD法やPVD法等で積層する。絶縁膜3014の厚みは、凹部内で100nm〜500nmを確保できるようにする。
導電体膜3015は加速度センサーの一方の電極・配線となるものである。導電体膜3015は、たとえば、アルミニウム、銅、チタニウム、モリブデン、タングステン、白金、金、ニッケル等の金属膜またはこれらの合金膜であり、あるいは金属シリサイド膜、あるいは導電性多結晶シリコン膜等であり、CVD法やPVD法により形成する。絶縁膜3014(ない場合は、厚膜3013)と導電体膜3015の密着性向上用の密着性向上膜(これも導電体膜である)を積層してから、導電体膜3015を形成しても良い。たとえば、導電体膜3015が銅、金、白金の場合にはチタニウムや窒化チタン(TiN)を密着性向上膜として使用することができる。導電体膜3015の厚みは、凹部内で100nm〜500nmを確保できるようにする。
次に導電体膜3015のパターニングを行ない、不要な導電体膜3015をエッチング除去する。このパターニングは通常のフォトリソ法を用いてフォトレジストを塗布するか感光性シートを付着するかして必要な部分に感光性膜を残し、感光性膜を除去した部分の導電体膜3015をエッチング除去する。凹部3017内にある導電体膜3015も必要に応じてエッチングする。凹部内をパターニングする方法は、これまでに説明した方法で行なうことができ、たとえば電着レジスト、シート状の感光性膜を用いる方法、インプリント法(図24参照)等を用いることができる。
次に、導電体膜3015の上にシリコン酸化膜(SiOx)等の絶縁膜3016を積層する。この絶縁膜3016は導電体膜3015の保護膜であると同時に他方の電極が接触したときの短絡を防止する。この絶縁膜3016は、たとえばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)、シリコン窒化膜(SiNy)等であり、CVD法やPVD法等で積層する。絶縁膜3016の厚みは、凹部内で100nm〜500nmもあれば十分であるが、接触する可能性が高ければその頻度を考慮して膜厚を決定する。さらに平坦部において、凸部側電極部3002と接触する部分であるから、これも考慮し膜厚を決定する。従って平坦部では通常は500nm以上の厚みとすれば良い。導電体膜3015をエッチング除去した部分3031や3032も絶縁膜3016が積層されるから、側面電極3015の短絡は発生しない。
次に凸部側電極部の構造および製造方法を説明する。凸部側電極部3002の構造は、凹部側電極部3001の凹部3017(3017−1、2、3、4)に入り込む凸部3024(3024−1、2、3、4)を有し、さらに、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002が結合したときに、凹部側電極部3001の平坦部(上部平坦部)と結合する平坦部3025を有する。また、凸部側電極部3002の基板および膜構成は、基本的には凹部側電極部3001と同じである。凸部側基板3021上に絶縁膜を形成し、その上に厚膜3022を形成する。図31(a)、(b)においては凸部側基板3021上の絶縁膜は記載していない。
次に、厚膜3022内に凹部側電極部3001と結合したときに凹部3017(3017−1、2、3、4)に入り込む凸部3024(3024−1、2、3、4)を形成する。この凸部3024の形成方法は、凹部側電極部3001の凹部3017の形成方法と同じ方法を使用することができる。ただし、凸部側電極部3002の凸部3024は、凹部側電極部3001の凸部よりも領域は少ない。たとえば、フォトリソ法(インプリント法でレジストパターンを作製する方法も含む)とエッチング法を用いる方法や、各種のインプリント法を用いて凸部3024を形成する。あるいは、厚膜3022は各種の基板でも良く、凹部側電極部3001において説明したことと同様な方法で各種基板を凸部側電極部3002の基板3021上に、あるいは絶縁膜を介して付着させて、凸部3024をフォトリソ法(インプリント法でレジストパターンを作製する方法も含む)とエッチング法を用いて作製する。あるいは、直接凸部側電極部3002の基板3021に凸部3024を作製しても良い。
次にこれらの凸部3024および凹部3026(3026−1、2,3、4、5)の厚膜3022上に絶縁膜3028(図31(d)、(e)に記載)を形成し、さらに導電体膜3023を形成する。この導電体膜3023は凹部側電極部3001の電極・配線3015の対向電極・配線となる。次にこの導電体膜3023の必要なパターニングを行なう。この導電体膜3023の必要なパターニングとは、加速度センサーを作製するための容量素子が形成されるような電極・配線のパターニングである。1つの容量素子において、加速度を受けたときに凸部3024が変形し容量が変化するが、一方側は電極間距離が小さくなるので容量が増えるが、他方側は電極間距離が大きくなるので容量が減るから、このまま接続していると容量変化が相殺されてしまうから、凹部3026の容量電極となる2つの側面における導電体膜3023は接続しないようにする必要がある。そこで、図31(a)、(b)に示すように、凸部3024の先端部および紙面に垂直な方向における2つの側面部において、一部の導電体膜3023をエッチング除去する。すなわち、導電体膜3023のエッチング除去した領域3029(3029−1、2、3、4)を形成する。もちろん、平坦部でも接続しないように一部の導電体膜3023をエッチング除去する。また、2つ以上の容量素子がある場合にも、同じような容量変化を示す電極同士は接続しても良いが、異なる容量変化を示す電極同士は接続しないようにする必要がある。
次にこの導電体膜3023を保護するためにSiOx等の絶縁膜3027を形成する。尚、図31(a)、(b)ではこの絶縁膜3027は記載していないが図31(d)、(e)で示している。この絶縁膜3027は対向電極である導電体膜3015との接触による短絡防止も兼ねている。既に凹部側電極部3001で導電体膜3015の保護膜および短絡防止膜として絶縁膜3016を形成している場合で、短絡や保護する必要がない場合にはこの絶縁膜3027は省略しても良い。尚、この絶縁膜3027を省略しても、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002と結合させたときにその結合部となる凹部側電極部3001の平坦部3018と凸部側電極部3002の平坦部3025の間には接着剤等が介在するので、この接着剤等に保護膜や短絡防止用の材料(たとえば、絶縁性接着剤等)を用いれば、導電体膜3023の保護や短絡防止を行なうことができる。凸部側電極部3002の膜構成は凹部側電極部3001とほぼ同じであり(上述のように、一部の絶縁膜は省略して良い場合もある。)、同じ生成条件で形成しても良いので、プロセスコストを大幅に低減できる。たとえば、枚葉処理の装置では連続して処理可能であり、バッチ処理では一緒にプロセスが可能である。凸部側電極部3002の凸部3024は、凹部3017よりも小さな形状で、凹部3017の側面に対して凸部3024の側面が平行になることが望ましい。従って、凹部3017が矩形形状であれば、凸部3024もその凹部3017に入り込み、側面同士が平行(略平行)となるような矩形形状となるようにするのが良い。
尚、凹部は矩形形状(矩形柱形状、これは側面が平面となっている)、すなわち凹部の内側面は矩形柱形状の側面である他に種々の形状を有することができ、これに対向する凸部もこの凹部の中に離間して挿入されるとともに矩形柱形状の側面である他に種々の形状を有することができる。(凹部の内側面とこの中に挿入される凸部の外側面が平行に対向する。)たとえば、凹部は多角形形状(多角形柱形状、これは側面が平面となっている)、すなわち凹部の内側面は多角形柱形状の側面でも良く、これに対向する凸部もこの凹部の中に離間して挿入されるとともに、多角形形状(多角形柱形状)、すなわち多角形形状(多角形柱形状)の側面でも良い。あるいはたとえば、凹部は曲面形状(曲面柱形状、これは側面が曲面となっている)、すなわち凹部の内側面は曲面柱形状の側面でも良く、これに対向する凸部もこの凹部の中に離間して挿入されるとともに、凹部は曲面形状(曲面柱形状、これは側面が曲面となっている)、すなわち曲面形状(曲面柱形状)の側面でも良い。たとえば、この曲面は円柱側面や楕円柱側面である。(凹部の内側面とこの中に挿入される凸部の外側面が平行に対向する。)
次に、図31(b)に示すように、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002を結合する。凹部側電極部3001の凹部3017は、凸部側電極部3002の凸部3024の大きさより大きく、凹部側電極部3001の凹部3017の数は、凸部側電極部3002の凸部3024の数以上に存在し、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002を結合したときに、凸部側電極部3002のすべての凸部3024は凹部側電極部3001の凹部3017に入るような位置関係になっている。凹部側電極部3001の凹部3017の所定位置に凸部側電極部3002の凸部3024が配置されるように、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002を合わせる。たとえば、凹部側電極部3001の合わせマーク(凹部パターンでも良い)を凸部側電極部3002の合わせマーク(凸部パターンでも良い)に合わせながら、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002を接近させて、凸部側電極部3002の凸部3024(3024−1、2、3、4)を凹部側電極部3001の凹部3017(3017−1、2、3、4)内に入れて、凸部側電極部3002の平坦部3025と凹部側電極部3001の平坦部3018を付着させる。
合わせマークのアライメントは、たとえば凹部側電極部3001および/または凸部側電極部3002を通る透過光により合わせることにより非常に精度の良い合わせができる。(合わせ精度を0.3μm以下にすることもできるので、本加速度センサーでは問題ないレベルである。)従って、このような直接的合わせを行なう場合は、基板3011や基板3021をこの合わせを行なう透過光に対して透過率の高い材料を選定する。たとえば、これらの基板3011や基板3021にガラス基板や石英基板、あるいはプラスチック基板を使用すれば良い。さらに、導電体膜3015や3023は一般には光の透過率が低いので、ダミーの凹部パターン(凹部側電極部3001側)や凸部パターン(凸部側電極部3002側)を形成しておき、これらのパターンの周囲の導電体膜を、導電体膜エッチングプロセスのときに同時に除去しておき、この領域を使用して光を透過させてアライメントをすれば良い。アライメントに透過光を使用できないときは、間接的アライメント(たとえば、凹部側電極部3002のパターンを記憶しておき、その情報に基づいて凸部側電極部3002を合わせる)を行なうか、反射波を用いてアライメントを行なえば良い。
これらの平坦部の付着は、図31(b)に示すように接着剤3026を介して付着させることができる。たとえば、凹部側電極部3001の平坦部3018(あるいは、凸部側電極部3002の平坦部3025)に接着剤を塗布法、スクリーン印刷法(マスクを用いて所定部分だけに接着剤を塗布する方法も含む)、ディップ法(接着剤液に凹部側電極部3001の平坦部3018をディップする方法で、凹部側電極部3001の平坦部3018を下側にして平坦部3018の必要な部分に接着剤をつける)、接着剤シートを付着させる方法{凹部領域をあらかじめ抜いた接着剤シートを凹部側電極部3001の平坦部3018(あるいは、凸部側電極部3002の平坦部3025)の所定部分だけに付着させる方法、接着剤シートを付着させて凹部側電極部3001の凹部領域(あるいは、凸部側電極部3002の凸部3024の領域)を含む凹部側電極部3001(あるいは、凸部側電極部3002)の所定部分を除去して凹部側電極部3001(あるいは、凸部側電極部3002)の接着したい部分だけに接着剤シートを形成する方法}などにより、これらの平坦部3018と3025の付着を行なう。接着剤の付着力を高めるために、この後熱処理を行なったりする。あるいは、他の接着法としてこれらの平坦部の付着は常温接合法や高温圧着法で行なうことができる。
図31(d)、(e)は、図31(a)、(b)に示す本発明の加速度センサーの一部を拡大して示した図である。図31(d)、(e)に示す構造で本発明の加速度センサーの基本構造が構成される。図31(a)、(b)では凸部側電極部3002の膜構造の絶縁膜は示していないが、図31(d)、(e)ではそれらの絶縁膜3027や3028を示している。図31(d)に示すように、本発明の加速度センサーは、凸部側電極部3002の凸部3024が凹部側電極部3001の凹部3017に入り込んだ構造であり、凹部側電極部3001の凹部3017の周囲の側壁3013の上面は凸部側電極部3002の凸部3024の周囲の底面と接着剤3026等により付着しているので、凹部3017の空間は密閉されている。この気密空間では、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002を結合したときの雰囲気空間がほぼ維持される。たとえば真空中(超低圧中)で結合すれば、この気密空間はほぼ真空状態となる。大気圧中で結合すれば、この気密空間はほぼ1気圧となっている。または、不活性ガス(窒素中、アルゴン中など)中であれば、この気密空間は不活性ガス雰囲気となる。
図31(c)は、図31(b)、(d)、(e)の状態を平面的に見た図である。凸部3024は、直方体形状(長辺方向Ly、短辺方向Wx、高さHz)で、直方体形状の凹部3017に入りこんでいて、力が働いていないときは、直方体形状の長辺側は凹部3017の長辺側と略平行であり、距離x1(左側)、x2(右側)だけ離間している。また、直方体形状の短辺側は凹部3017の短辺側と略平行であり、距離y1(上側)、y2(下側)だけ離間している。また、直方体形状の底面側は凹部3017の底面側と略平行であり、距離z1(下側)だけ離間している。
導電体膜3015が凹部3017内および凹部3017間で連続(接続)している場合、並びに導電体膜3023が凸部3024および凸部3024巻で連続(接続)している場合を検討する。すなわち、導電体膜のエッチング除去部分3029、3030、3031、3032がない場合である。このときは、凹部3017の側壁側および底面側の厚膜3013上に形成された導電体膜3015を一方の電極とし、凸部3024の側面および底面に形成された導電体膜3023を他方の電極として、これらの電極に挟まれた空間3017を容量空間として、容量が形成されている。
距離x1(=dx1)で離間している容量空間を3041、この間の容量をCx1とすると、Cx1=εSx1/dx1{εは誘電率、Sx1は容量空間3041の電極面積(Sx1=Ly*Hz)}である。距離x2(=dx2)で離間している容量空間を3042、この間の容量をCx2とすると、Cx2=εSx2/dx2{εは誘電率、Sx2は容量空間3042の電極面積(Sx2=Ly*Hz)}である。距離y1(=dy1)で離間している容量空間を3044、この間の容量をCy1とすると、Cy1=εSy1/dy1{εは誘電率、Sy1は容量空間3044の電極面積(Sy1=Wx*Hz)}である。距離y2(=dy2)で離間している容量空間を3045、この間の容量をCy2とすると、Cy2=εSy2/dy2{εは誘電率、Sy2は容量空間3045の電極面積(Sy2=Wx*Hz)}である。距離z1(=dz1)で離間している容量空間を3043、この間の容量をCz1とすると、Cz1=εSz1/dz1{εは誘電率、Sz1は容量空間3043の電極面積(Sz1=Wx*Ly)}である。これらの容量は並列に接続しているので、凹部3017の側壁および底部に形成された電極3015と凸部3024の側面および底面に形成された電極3023との間の空間容量C3017は、C3017=Cx1+Cx2+Cy1+Cy2+Cz1となる。
本発明の加速度センサーはこの容量の変化により検出される。凸部3024がx方向(短辺方向)の力を受けた時、凸部3024はx方向(凸部3024の厚み、すなわちカンチレバーの厚み方向)へ変化するが、y方向(長辺方向)には変化しない。また、凸部3024がy方向(長辺方向)の力を受けた時も、凸部3024はy方向へ変化しにくい。すなわち、凸部3024は長辺方向(凸部3024の幅、すなわちカンチレバーの幅方向)には変化しにくいので、凸部3024はx方向(短辺方向)への変化量によって加速度(力)の大きさを判定できる。本発明の加速度センサーでは凹部3017の容量変化を検出して加速度の大きさを測定する。すなわち、凸部3024のカンチレバーが力を受けると凸部3024はx方向に変位するので、Cx1とCx2が変化し、他の容量Cy1、Cy2、Cz1は殆ど変化しない。つまりC3017=Cx1+Cx2+C0(C0は定数)と考えて良い。凸部3024が力を受けていないとき、すなわち凸部3024が鉛直下方に静止しているときがC3017は最も小さく、左右に(図31(c)において)変位すると静電容量C3017が増加するので、この容量増加から力または変位量を知ることができる。容量変化が小さくても図31(d)、(e)で示す1個の直方体形状の加速度センサーを多数並べていけば容量変化が大きくなるので精度良く検出できる。ただし、凸部3024の変位量が小さいときはCx1の変化量(ΔCx1)とCx2の変化量(ΔCx1)は同程度の大きさで符号が逆(増える場合と減る場合)になるので、C3017は殆ど変化しない。
しかも本発明の加速度センサーの優れている所は、この領域内で薄膜、特に導電体膜(3015や3024)のパターニングは必要がなく、すべてそのまま積層した状態にすれば良いということである。図31(c)で示したコンタクトや引き出し電極も平坦な部分に形成すれば良い(この領域外でも良い)のでプロセス上で困難な問題は発生しない。従来法の場合には下側の電極の引き出しが難しくプロセスが複雑になるので、従来に比較してプロセスが格段に簡単になる。また、本発明では、凹部側電極部3001と凸部側電極部3002の形成を平行して別々に行なうことができると同時に、基板および薄膜(厚膜も含む)構成が同じくできるので、プロセススピードが速くプロセスもシンプルとなっているので、プロセスコストも大幅に下げることができる。
以上のように、導電体膜3015が凹部3017内および凹部3017間で連続(接続)している場合、並びに導電体膜3023が凸部3024および凸部3024巻で連続(接続)している場合、すなわち、導電体膜のエッチング除去部分3029、3030、3031、3032がない場合は、凹部や凸部でのパターニングが必要はないのでプロセスが簡単になる。しかし、凸部3024の変位量が小さいときはC3017は殆ど変化しないから、小さな加速度の場合は検出が困難である。また、加速度の向き(x方向のプラス側か、マイナス側か)を検出できないという問題もある。そこで、導電体膜3015が凹部3017内および凹部3017間で分離している場合、並びに導電体膜3023が凸部3024および凸部3024巻で分離している場合、すなわち、図31で示した導電体膜のエッチング除去部分3029、3030、3031、3032を設ける。図31(c)で言えば、y方向の側面容量空間3044側および3045側の導電体膜は除去され、また底面容量空間3043のの導電体膜も除去されているので、容量として検出できるのはx方向の側面容量空間3041および3042の容量Cx1およびCx2だけである。これらの容量Cx1およびCx2は一方が増えれば他方は減るという逆の関係になっている。これらは接続していないので、個別に容量を検出できる。Cx1が増大しCx2が減少するということは凸部3024がX方向のマイナス側(図31(d)、(e)において左側)への力(加速度)が働いているということである。逆に、Cx1が減少しCx2が増大するということは凸部3024がX方向のプラス側(図31(d)、(e)において右側)への力(加速度)が働いているということである。このようにCx1の増減、Cx2の増減を検知すれば加速度の向きも分かる。また。小さな加速度でも(凸部3024の変位が小さくても)Cx1またはCx2は変化するので、小さな加速度も検出できる。Cx1の変化量が小さくても多数のCx1を接続すれば大きな変化量となり、同様にCx2の変化量が小さくても多数のCx2を接続すれば大きな変化量となるので、より小さな加速度でも検出できる。
本発明の加速度センサーを同じ方向に並べればその方向(図31(c)〜(d))ではx方向)の加速度に対しては感度が高まるが、別の方向、特に直角方向(図31(c)〜(d)ではy方向)に対する加速度は測定できない。そこで、本発明の加速度センサーの向きを90度変化させたもの、45度傾けたもの、あるいは一定角度傾けたものも一緒に配置させることによって、あるいは、矩形状ではなく、多角形状に凹部と凸部を作製し、対向する各面における静電容量の変化を独立して(電極を独立して配線)測定すれば、種々の方向に関して加速度を検出できる。
図31(e)に示すように、カンチレバーとなる凸部3024が加速度に対する感度を上げるために凸部3024の先端部(底面部)に、凸部3024より比重の大きい錘3051または3052を付着させれば良い。錘3051は厚膜3022の凸部3024の先端部に付着しており、錘3052は厚膜3051の凸部3024の先端部上に積層した絶縁膜3027の上に付着している。これらの錘3051、3052は、インプリント法、フォトリソ法+エッチング法などにより厚膜3022に凸部3024を形成した後で、接着剤等を用いてこの凸部3024に錘3051の錘基板を付着する。たとえば、この接着剤を予め錘基板に塗布するか接着剤シート材を貼りつけておき、凸部側電極部3002の厚膜3022の凸部3024をこの錘基板に付着し、その後で接着剤を硬化させて、錘基板と凸部3024を強固に接着する方法がある。あるいは、凸部側電極部3002の厚膜3022の凸部3024の先端を接着液につけたり、シート材をつけたりしてこの先端部のみにつけた接着剤または接着剤シート材を介して錘基板を接着し、その後接着剤を硬化させて、錘基板と凸部3024を強固に接着する方法がある。次にフォトロソ法およびエッチング法により凸部3024の先端部に付着した錘3051以外の領域における錘基板をエッチングする。
あるいは、あらかじめ別基板に接着層3054を挟んで錘3051のパターンを形成したものに対して、凸部3024が形成された厚膜3022を形成した凸部側電極部3002をアライメントして、凸部3024の先端部に錘3051を付着させる。このとき、凸部3024の先端部または錘部3051の上部に接着剤をつけて凸部3024の先端部に錘3051を付着させる。その後、接着層と錘部3051の接着を外せば、凸部3024の先端部に錘3051を形成できる。たとえば、錘部3051と凸部3024の間の接着剤を熱硬化性接着剤として、その硬化温度をT1とする。接着層を熱可塑性接着剤としその軟化温度、すなわちガラス転移点TgがT1より高いもの(T1<Tg)を使用する。T1とTgの間で熱処理すると錘部3051と凸部3024が完全に固着する。その後、Tg以上で熱処理すると接着層が軟化するので、錘部3051が接着層から離れる。この後、絶縁膜3028、導電体膜3023等を形成すれば良い。
あるいは、凸部3024の先端部を溶融金属液体(たとえば、半田)にディップして付着させる方法、あるいはメッキ液(たとえば、銀、半田、銅用のメッキ液)に凸部3024の先端部を浸漬して金属をメッキする方法でも良い。また、錘3052を凸部3024の先端部の絶縁膜3027上に付着する場合も上述した方法と同様の方法で行なうことができる。これらの錘3051や3053052はカンチレバーとなる厚膜3022の材料より比重が重い材料であれば良く、たとえば、厚膜がPMMAやPC等である場合(比重は1〜2)は、錘3051や3052は鉄(比重7.9)、白金(比重21.4)等の金属であれば十分な錘となる。この後、凸部側、凹部側の引き出し電極を作製する。
凹部側電極部3001の引き出し電極は、たとえば凹部を形成以内領域において、フォトリソ法および絶縁膜3016のエッチング法を用いて、絶縁膜3016を除去すれば下地の導電体膜3015が露出するので、この上に電極・配線を形成すれば良い。この絶縁膜3016をエッチングする順番として、凸部側電極部3002を凹部側電極部3001に付着してから、凸部側電極部3002の基板3021や厚膜3022やその上の各種膜を除去しても良い。(この場合、この領域における厚膜3022上の導電体膜3015は、導電体膜3015のパターニング時に除去しておくことが望ましい。)あるいは、凸部側電極部3002を凹部側電極部3001に付着する前に、この領域における基板3021や厚膜3022やその上の各種膜を除去しておいても良い。
凸部側電極部3002の引き出し電極は、凹部側電極部3001の引き出し電極と同様にして形成することができる。ただし、このようにすると、凹部側電極部3002の引き出し電極と凸部側引き出し電極は互いに反対側に形成されることに注意する。一方側だけに引き出し電極を形成するには、たとえば次のようにする。凸部側電極部3002を凹部側電極部3001に付着させて、加速度センサーを形成した後(すなわち、凹部3017に凸部3024を入れて凹部周囲または凸部周囲を密着して凹部空間を気密にした後)、電極部形成領域において、基板3021をウエットエッチングまたはドライエッチングで除去する。次に厚膜3022を除去する。さらにその上に積層している絶縁膜3028を除去する(ある場合)。次にその上に積層している導電体膜3023をエッチング除去し、その上の絶縁膜3027や接着剤層3026も除去する(ある場合)。次にフォトリソ法および絶縁膜3016のエッチング法を用いて絶縁膜3016を除去するとコンタクト孔が形成され導電体膜3015が露出する。ここをパッド領域としてワイヤボンディングすることもできるし、このコンタクト孔にさらに電極・配線層を形成することができる。尚、コンタクトパターン形成用のフォトリソ法は、導電体膜3023を除去した後で行なっても良い。また、凸部側電極部3002を形成するときに、既に導電体膜3023をエッチング除去してあれば、基板3021をエッチングする前にコンタクト孔形成用のパターニングを行なうこともできるし、その後の厚膜3022のエッチングする前でも可能である。
一方、凸部側電極部3002の導電体膜3023からの引き出し電極は、まずこの領域における基板3021をウエットエッチングまたはドライエッチングで除去する。次に厚膜3022を除去する。その後で、フォトリソ法および絶縁膜3028のエッチング法を用いて絶縁膜3028を除去するとコンタクト孔が形成されて導電体膜3023が露出する。ここをパッド領域としてワイヤボンディングすることもできるし、このコンタクト孔にさらに電極・配線層を形成することができる。尚、基板3021をエッチングする前にコンタクト孔形成用のパターニングを行なうこともできるし、その後の厚膜3022のエッチングする前でも可能である。以上のようにして、凸部側電極部3002側に両方の引き出し電極を形成することができる。同様にして、凹部電極部3001側に両方の引き出し電極を形成することもできる。
次に、インプリント法を用いた凸部電極の作製方法について説明する。図32(a)に示すように、凸部電極パターンを形成する凹部3132を有するモールド3131と、錘材料3133を付着した基板3141を用意する。基板3141には、モールド3131の凹部3122の内部に入ることができる凸状パターン3142が形成され、この凸状パターン3142の先端に接着層3143を介して錘材料3133が付着している。錘材料は凸部電極部を構成する材料より比重の大きい上述したような材料であるが、モールド3131の材料より融点(あるいは軟化点)が低い材料が望ましい。たとえば、モールド材料が石英(融点約1600℃)やシリコン(融点約1410℃)で、錘材料が鉛(融点約330℃)、アルミニウム(融点約660℃)、銀(約962℃)、亜鉛(約420℃)、スズ(約232℃)、や各種半田や各種合金である。基板3142や凸状パターン3142は石英やシリコン基板やステンレス、各種金属材料である。あるいは高分子材料やセラミック材料でも良い。接着層3143は各種接着剤でも良いが、熱軟化性接着剤が望ましい。この熱軟化性接着剤の軟化点は、基板3141および凸状部材3142より融点が低いものが望ましい。エネルギーや作業性の観点から軟化点は低い方が良い。あるいは接着層3143を介在せずに錘材料3133を溶かして凸状パターン3142の上面に直接付着させても良い。あるいは、錘材料3133が磁性体の場合には、基板3141や凸状部材3142に電磁石を備えて錘材料3133を付着させても良い。あるいは、凸状パターン3142の先端部に静電気を発生させて錘材料3133を静電的に吸着しても良い。あるいは、凸状パターン3142の先端部に真空ラインを設けて錘材料3133を真空吸着しても良い。
次に凸状パターン3142上面に付着した錘材料3133をモールド3131の凹部3132内へ挿入し、接着層3143の接着性を消失させて錘材料3133をモールド3131の凹部3132内へ配置する。従って、錘材料3133のサイズは凹部3132より小さくなければならない。モールド3131の凹部3132と凸状部材3142およびこれに付着した錘材料3133のアライメントは、モールド3131または基板3141がアライメント光を透過する材料である場合には、モールド3131または基板3141を通してアライメントすれば精度の良いアライメントが可能である。また、接着層3143の接着性を消失させる方法として、接着層3143が熱軟化性の接着剤である場合には、その軟化点よりも温度を高くして接着性を弱めれば良い。錘材料3133を融かして凹部3132内へ滴下しても良い。錘材料3133が凹部3132内へ配置された後、錘の融点以上の温度で錘材料3133を融かして、凹部3132の底部に錘材料を付着させる。{図32(c)}
次に基板3111上に形成された厚膜3112の液状膜あるいはゲル状膜にこのモールド3131を押しつける。{図32(c)、(d)}厚膜3112が熱硬化性材料の場合、厚膜3112が硬化する温度まで上昇させて、厚膜3112を硬化させる。あるいは、厚膜3112が熱可塑性材料の場合、厚膜3112が軟化する温度(軟化点)以上まで上昇させた後、(この状態でモールド3131を押しつけても良い)軟化点以下の温度に下げて厚膜3112を硬化させる。あるいは、厚膜3112が光硬化性材料である場合には、硬化する光(たとえば、紫外線やX線)を照射する。(このときは、モールド基板3131または基板3111は硬化する光を透過する材料で形成されている必要がある)厚膜3112が硬化した後、モールド3131を引き離すと、図32(e)に示すように錘材料3133が厚膜凸状部3112(3112−1、2)の上面に付着する。ここで、厚膜凸状部3112(3112−1、2)の下部をサイドエッチして加速度により変形しやすくすることもできる。あるいは、図32(f)に示すように、酸素プラズマによる異方性全面エッチングにより、厚膜3112の残膜をエッチング除去する。次に厚膜凸状部3112(3112−1、2)の下部にある基板3111をサイドエッチして加速度により変形しやすくすることもできる。以上のようにして非常に簡単なプロセスで錘材料3133を付着した凸状部3112(3112−1、2)を作製することができる。
図33(a)は、凹部を用いた圧電体マイクの構造および製造方法を示す図である。圧電体基板4061内に凹部4062をフォトリソ法およびエッチング法、あるいはインプリント法などにより形成する。基板4061上に、またこの凹部4062内面に導電体膜4063を形成し、必要な導電体膜4063のパターニングを行なう。凹部4062の1つ4062(4062−2)は外部からの振動を受けられる凹部(振動受動凹部とも呼ぶ)で、その凹部4062(4062−2)に隣接して別の凹部4062(4062−1、4062−3)が配置されている。これらの凹部4062(4062−1、3)と振動受動凹部4062(4062−2)とで挟まれた基板側壁4061(4061−1、2)は、振動受動凹部4062(4062−2)に入ってきた振動波によって振動するダイヤフラムの役目を果たす。導電体膜4063は、この基板側壁4061(4061−1、2)の上面において、その一部4064(4064−1、2)がエッチング除去され、振動受動凹部4062(4062−2)側の導電体膜4063(4063−2)は隣接する凹部4062(4062−1、3)側の導電体膜4063(4063−1、3)と接続されていない。また基板4061の第1面(上面)の他の部分において、導電体膜4063は必要な配線や電極が形成されている。この導電体膜4063上に絶縁膜4064が形成される。導電体膜4063がエッチング除去された基板側壁4061(4061−1、2)上の4064(4064−1、2)にも絶縁膜4064が形成されている。この絶縁膜4064は導電体膜4063や凹部4062を保護している。
基板4061の第1面(上面)におけるこの絶縁膜4064上に薄板4066が付着し、必要な部分以外は除去されている。この薄板4066の除去は薄板4066を基板4061上に付着させてから行なっても良いし、予め除去した薄板4066を基板4061上に付着しても良い。振動受動凹部4062(4062−2)は外部から振動波が入るようにするために、薄板4066はカバーしていない。(ただし、振動波が入ればOKなので、一部だけカバーする部分があっても良い。たとえば、振動受動凹部4062(4062−2)の上も薄板4066でカバーして、一部だけに振動波を導入する振動導入孔を備える場合がある。)振動凹部4062(4062−2)に隣接する凹部4062(4062−1、3)は薄板4066(40661−、2)でカバーされている。これは、外部から振動波が入ることを防止する役目を果たす。従って、外部から振動波が入って来なければ薄板4066でカバーしなくても良いし、一部に外界との通気孔を設けることもできる。その後、導電体膜4063からの電位変化を取りだすために、必要な部分において絶縁膜4064にコンタクト孔をあけて電極パッドを設けるか、さらにそのコンタクト孔に導電体膜を形成して必要な電極・配線を形成することもできる。ここで、導電体膜4063(4063−1、2,3)からの電位変化取り出し端子を図33(a)に示すように、a、b、cとする。
振動受動凹部4062(4062−2)へ入ってきた空気振動(他の気体振動や液体振動でも良い)によって、基板側壁4061(4061−1、2)が振動する。(基板側壁4061(4061−1、2)は薄く(基板材料にもよるが、1μm〜100μm程度)、その両側が空間凹部4062(4062−1、2、3)になっていて、基板側壁4061(4061−1、2)はダイヤフラムになっている。)この基板側壁4061(4061−1、2)が振動すると、基板側壁4061(4061−1、2)は圧電体であるから圧電効果によりその側面(表面)に電荷が分極する。従って、基板側壁4061(4061−1、2)の側面上に形成された導電体膜4063(4063−1)および4063(4063−2)、あるいは導電体膜4063(4063−3)および4063(4063−2)との間に電位差が生じる。その電位差を端子aおよび端子b、および/または電位差を端子aおよび端子で取り出す。振動の大きさによってこの電位差が変化し、また振動の向きによって電位差の符号が変化する。(すなわち、プラスとマイナス)すなわち、本発明の基板面に対して垂直方向に形成した凹部を用いたデバイスによって、振動波を電気信号に変換させることができ、いわゆる圧電体マイクを作製できる。
図33(c)〜(e)は、図33(a)に示す圧電体マイクの断面図を平面的に示した図である。図33(c)は、矩形形状の凹部が平行に配列している。すなわち、立体的に見れば直方体形状の凹部が平行に配列している。これらの凹部4062(4062−1、2、3)の間の基板側壁4061(4061−1、2)がダイヤフラムとなっている。これらの基板側壁4061(4061−1、2)は直方体形状になっている。これらの凹部4062(4062−1、2、3)内および基板4061の上面に導電体膜4063が積層され、基板側壁4061(4061−1、2)の上部および基板4061の第1面(上面)上でパターニングされ、導電体膜4063(4063−1、2、3)に分割されていて、それぞれ端子a、b、cが接続している。基板側壁4061(4061−1、2)は同じ幅、同じ深さで形成されており、凹部4062(4062−1、3)は同じ圧力に保持されているので、4062(4062−2)内に導入された振動波によって同じように振動する。従って発生する電荷も同じであるから、端子aとcは接続しても良い。この図33(c)から分かるように凹部内では導電体膜4063のパターニングはないので、通常のフォトリソ法およびエッチング法でプロセスが可能である。
図33(e)は、別の平面形状を示す図で、円柱形状の振動受動凹部4062(4062−2)の周りを円筒形状の基板側壁4061(4061−1)が囲み、さらにこれらを円筒形状の凹部4062(4062−1)が囲んでいる。導電体膜4063(4063−1)は円筒形状の凹部4062(4062−1)をカバーし、導電体膜4063(4063−2)は円筒形状の凹部4062(4062−2)をカバーしている。これらの導電体膜4063(4063−1、2)は、凹部4062−1および4062−2によって挟まれた基板側壁4061(4061−1)の上部で切断されていて接続していない。これらの導電体膜4063(4063−1、2)に端子a、bが接続している。凹部4062−1は薄板でカバーされているが、凹部4062−2は薄板でカバーされていない。この実施形態では、振動波が振動受動凹部4062(4062−2)に入ると円筒形の基板側壁4061−1全体が振動し、その基板側壁4061−1の両側面にある導電体膜電極4063−1および4063−2の間(端子a−b間)に電位差が生じ、この電位差が振動波形に対応して変化する。このように円筒形型の凹部を持つマイクロホン(すなわち、振動波を電位変化に変換する装置)は、基板側壁全体が一様に変形するので、非常に効率的で、面積の小さなマイクロホン素子を作製できる。尚、同様な実施形態として楕円型凹部を有するマイクロホンも同様な特性を持つマイクロホン素子となる。さらに任意の曲面、特に振動波を忠実に基板側壁の振動へ伝達できる形状の曲面を有する凹部および基板側壁を持つマイクロホン素子でも良い。
図33(d)は、別の形状を有するマイクロホン素子を示す図である。すなわち、矩形形状(正方形や長方形)を持つ振動受動凹部4062(4062−2)をさらに矩形形状(正方形や長方形)の凹部4062(4062−1)が囲んでいるタイプで、これらの凹部間の基板側壁4061が4か所4061(4061−1、2、3、4)存在する。これらの4つの基板側壁4061(4061−1、2、3、4)がダイヤフラムとなる。基板凹部4062(4062−2)の側面、すなわち基板側壁4061(4061−1、2、3、4)の基板凹部4062(4062−2)側の側面には導電体膜4063(4063−2)が連続して形成されている。一方、基板凹部4062(4062−1)の側面、基板側壁4061(4061−1、2、3、4)の基板凹部4062(4062−1)側の側面には導電体膜4063(4063−1)が連続して形成されている。これらの導電体膜4063(4063−1、2)は基板側壁4061(4061−1、2、3、4)の上部でせつだんされ、導電体膜4063(4063−1)および4063(4063−2)は接続していない。導電体膜4063(4063−1)および4063(4063−2)には、それぞれ端子aおよびbが接続している。振動受動凹部4062(4062−2)に振動波が入ると、基板側壁4061(4061−1、2、3、4)がそれぞれ同じように振動し、この振動に対応して、端子a−b間に電位差が生じて、この電位差が変化する。図33(d)に示す実施形態では、このような矩形形状の全部の基板側壁を使用しているので、効率的で面積の小さなマイクロホン素子を作製できる。図33(c)〜(e)に記載した形状以外にも、多角形形状等でも本発明のマイクロホン素子を作製できる。
図33(b)は、圧電体基板ではない基板を用いて圧電体膜を形成したマイクロホン素子の構造および製造方法を示す図である。圧電体基板ではない基板4071内に凹部4072(4072−1、2、3)を形成する。凹部4072(4072−2)は振動受動凹部となる。凹部4072(4072−1、3)と振動受動凹部4072(4072−2)との間に基板側壁4071(4071−1、2)が形成されている。振動受動凹部4072(4072−2)に振動波が入ると基板側壁4071(4071−1、2)が振動する。次に基板4071の表面(第1面){凹部4072の内面を含む}に絶縁膜4073を形成する。基板4071が絶縁体の場合にはこの絶縁膜は形成しなくても良い。次に、絶縁膜4073上に導電体膜4074を形成し、基板側壁4071(4071−1、2)上の4075(4075−1、2)の部分で導電体膜4074を切断する。このとき、基板4071の第1面の平坦部分(凹部4072ではない部分)でも必要な配線パターニングを行なうことができる。導電体膜4074の切断は、凹部内のパターニングはないので、通常のフォトリソおよび導電体膜のエッチングで可能である。凹部内のパターニングを行なう場合には、電着レジスト法や、感光性膜プラズマ重合法、感光性ドライフィルム法、感光性膜スパッター法、その他の方法で行なうことができる。尚、導電体膜4074の切断はレーザーによっても可能である。
次に、導電体膜4074上に圧電体膜4076を形成する。圧電体膜4076は導電体膜4074を除去した部分にも形成されるが、圧電体膜4076は基本的には絶縁性を有するので特に問題はない。絶縁膜4073、導電体膜4074、圧電体膜4076の材料や作製方法や作製条件などは既に記載した通りである。たとえば、導電体膜4074は、白金(Pt)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)等の金属膜、これらの合金、あるいは酸化物導電体膜(ZnOx、InxOy、SnOx、GaxOy、CuAlxOy、CuGaxOy、CuInxOy、CuFexOy、NiOx、IrOx、SbSnxOy、InSnxOy等)、グラフェン導電膜や炭素系ナノチューブ導電膜等の炭素系導電膜、導電性ポリマー、導電性多結晶シリコンや導電性アモルファスシリコン等がある。圧電体膜4076としては、たとえばPZT、LiTaO3、LiNbO3、La3Ga5SiO14、Li2B4O7、ZnO、GaPO4、PbPO3、BaTiO3、GaTiO3、KNbO3、LiTaO3、NaxWO3、BaNaNb5O5、Pb2KNb5O15、GaPO4、La3Ga5SiO14、Al2SiO4(F,OH)2、AlPO4、KNaC4H4O6、Al2SiO4(F,OH)2、アパタイト系等の酸化物系圧電体膜、AlN、GaAs、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の圧電性ポリマーがある。
圧電体4076上に導電体膜4077を形成し、必要な部位をエッチング除去する。たとえば、基板側壁4071(4071−1、2)上の4078(4078−1、2)や、基板4071の第1面の平坦部(凹部4072ではない部分)でエッチング除去する。導電体膜4074の切断はレーザーによっても可能である。このように、導電体膜4071のパターニングは凹部内で行なう必要はないので、通常のフォトリソ法、およびエッチング法で行なうことができる。導電体膜4071のパターニングを凹部内で行なう場合は、電着レジスト法、感光性膜プラズマ重合法、感光性ドライフィルム法、感光性膜スパッター法、その他の方法で行なうことができる。次に絶縁膜4079を形成する。その後、薄板4081を基板4071の第1面上に付着する。薄板4081の不要な部分を除去した後、導電体膜4074および導電体膜4077から電圧を引き出すためのコンタクト孔を形成し、必要なら電極・配線層を形成する。導電体膜4074(4074−1、2、3)は圧電体膜4076の下部電極、導電体膜4077(4077−1、2、3)は圧電体膜4076の上部電極となる。
振動受動凹部4072(4072−2)には振動波を導入するので、薄板4081でカバーしない。(もちろん、振動波が入れば薄板4081で振動受動凹部4072(4072−2)の一部をカバーするのは問題ない。たとえば、振動導入通路を薄板へ設ける場合などである。)凹部4072(4072−1、3)は薄板4081(4081−1、2)でカバーされている。振動受動凹部4072(4072−2)に対して、凹部4072(4072−1、3)は基準となるので、振動波が凹部4072(4072−1、3)内に入らないようにするために、薄板4081(4081−1、2)で凹部4072(4072−1、3)をカバーしている。従って、振動波が凹部4072(4072−1、3)内に入らなければ、薄板4081(4081−1、2)はの一部はあいていても良いし、あるいは薄板4081(4081−1、2)で凹部4072(4072−1、3)をカバーしなくても良い。すなわち、凹部4072(4072−1、3)内の圧力は振動受動凹部4072(4072−2)内の圧力によってできるだけ変化しないようにする。
振動受動凹部4072(4072−2)内に振動波が入ると振動受動凹部4072(4072−2)内の気圧(または振動受動凹部4072(4072−2)内に液体が入っているときは液圧)が変動するので、基板側壁4071(4071−1、3)が変位する。基板側壁4071(4071−1、3)が変位すると、基板側壁4071(4071−1、3)上に形成された圧電体膜4076も変位する。圧電体膜4076が変位すると圧電体膜4076の表面に電荷が分極する。この結果、圧電体膜4076の両側に形成されている導電体膜4074(下部電極)と導電体膜4077(上部電極)との間に電位差(電圧)が生じる。たとえば、導電体膜4074(4074−1)に接続している端子a1と導電体膜4077(4077−1)に接続している端子a2との間に、あるいは導電体膜4074(4074−2)に接続している端子b1と導電体膜4077(4077−2)に接続している端子b2との間に、あるいは導電体膜4074(4074−3)に接続している端c1と導電体膜4077(4077−3)に接続している端子c2との間に、電位差(電圧)が生じる。発生する電荷の向きはa1、b2、c1が同じであり、a2、b1、b2が同じ向きであるからこれらを総合した電位差(電圧)を検出できるので、検出感度を向上できる。
このように、圧電基板を用いなくても種々の基板を用いてその基板上に圧電体膜を形成することによりマイクロホンデバイスを作製できる。たとえば、基板がシリコン基板である場合、IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の素子と一緒に搭載できる。この結果、たとえば1チップ内に本発明のマイクロホンデバイスとこのマイクロホンデバイスで発生した電位を波形に演算処理したり音声に変換したりする演算用ICとを搭載できる。従って、従来はこれらのデバイスを別々の2チップで実装しなければならないものが1チップで実装できるから、実装面積が大幅に減少すること、2チップをワイヤボンディング等で接続する必要がなくなること、ICに使用する導電体膜とマイクロホン素子に使用する導電体膜とを兼用できるか接続が容易になること、さらに1チップ内の配線接続により信頼性が向上することなど、大きな利点を獲得できる。また、この場合の平面的形状も図33(c)〜(e)に示すような種々の形状を用いることができる。
尚、これまで説明したように、図33に示す振動受動凹部は裏面(第2面)に、その周りを囲む凹部は表面(第1面)に形成することもできる。この場合、第2面側だけに振動波を導入でき、第1面側には振動波が導入できないようにすれば、薄板を設ける必要がないし、また凹部と振動受動凹部との間で導電体膜を切断する必要がないので、パターニングが非常に簡単になる。また、図33に示すマイクロホンデバイスは、これまでに説明した様に、基板第1面から第2面に貫通する凹部(すなわち貫通溝)を用いて作製することもできる。たとえば、基板の裏面に第2の薄板を付着し、貫通溝を作製して、その後図33に示すプロセスでマイクロホン素子を作製すれば良い。あるいは、基板に貫通溝を作製した後で、第2の薄板を付着させてから図33に示すプロセスでマイクロホン素子を作製すれば良い。また、基板上にポリマーを形成して、このポリマー内に凹部(または貫通溝)を作製してマイクロホンデバイスを作製することもできる。この方法は、たとえば上述したように、別デバイスと本発明のマイクロホン素子を一緒の基板で作製するときに有用な方法である。この場合、ポリマーを軟化させたり、液状、ゲル状の状態にしてインプリント法を用いて凹部を形成し、マイクロホン素子を作製することができる。この場合基板内にマイクロホン素子を配置する凹部を形成し、その凹部にポリマーで埋め込んでその中にマイクロホン素子用の凹部を形成すれば、マイクロホン素子の表面と基板表面のレベルをほぼ同程度にできるので、マイクロホン素子に使用する導電体膜とそれ以外の基板内の導電体膜と兼用もできるし、兼用しない場合でも接続が容易となる(接続配線の段差が小さくなる。あるいはワイヤボンディングで接続する場合も段差が小さくなる)。
上記に示したマイクロホンデバイスは、基板の第1面から第2面側に向かって形成した凹部または基板の第1面から第2面側に貫通した貫通溝によって挟まれた基板側壁を用いて、外部の振動波を電気信号に変換するものであるが、逆の見方をすればスピーカーとしても機能する。たとえば、電気信号を圧電体膜を挟む上下の電極(導電体膜)に、あるいは圧電体基板を挟む上下の電極(導電体膜)に印加すれば、圧電体膜が振動しそれに応じて基板側壁が振動し、あるいは圧電体基板が振動子、音等の振動波を振動受動凹部内で発生する。この振動波を外部へ出せばスピーカーとなる。従って、本発明は、マイクロホンにもなればスピーカーにもなるという、音響トランスデュサーとしても機能させることができる。また、スピーカー以外にも発音素子や発音ブザーとしても使用できる。特に非常に小型になり安く作製できる。
図34は、本発明を適用した熱交換器を示す図である。図34(a)は基板4083の基板面に対して平行な平面図である。図34(a)に示すように基板4083内に熱媒体流路4088(4088−1、4088−2)が形成され、基板側壁4083(4083−2、3、4、5)を挟んで熱交換媒体流路4086(4086−1、4086−2、4086−3)が配置されている。熱媒体4095は熱媒体流路4088(4088−1、4088−2)の入り口である媒体口4091(4091−1、4091−3)から入り、熱媒体流路4088(4088−1、4088−2)の出口である媒体口4091(4091−4、4091−6)から出ていく。一方、熱交換媒体4096は熱交換媒体流路4086(4086−1、4086−2、4086−3)の入り口である媒体口4091(4091−2、4086−1および4086−3の入り口は記載せず)から入り、熱交換媒体流路4086(4086−1、4086−2、4086−3)の出口である媒体口4091(4091−5、4086−1および4086−3の入り口は記載せず)から出ていく。
平面図34(a)のA1−A2における基板面に対して垂直な断面図を図34(b)に示す。基板4083内に基板面に垂直方向に第1凹部(または、第1貫通溝)4088(4088−1、2)および第2凹部(または、第2貫通溝)4086(4086−1、2、3)が形成されている。第1凹部4088および第2凹部4086の間に基板側壁4083(2、3,4、5)が形成され、第1凹部4088および第2凹部4086を隔てている。第1凹部4088は熱媒体流路となり、第2凹部4086は熱交換媒体流路4086となっている。第1凹部4088および第2凹部4086の開口側である基板4083の第1面には薄板4084が付着し、第1凹部4088および第2凹部4086の開口部を被っている。第1凹部4088および第2凹部4086が基板4083の第2面に貫通している場合は、基板4083の第2面には薄板4084が付着し第1凹部4088および第2凹部4086の貫通口を塞いでいる。
熱媒体流路4088および熱交換媒体流路4086を隔てている基板側壁4083(2、3,4、5)は非常に薄い(1μm〜100μm)ので、熱媒体流路4088を流れている熱媒体4095の熱は、基板側壁4083(2、3,4、5)を通して速やかに、熱交換媒体流路4086を流れている(に入っている)熱交換媒体4096へ伝達する。また、図34(a)から分かるように、熱媒体流路4088は細く曲がりくねり流れ、その周りを熱交換媒体4096が取り囲んでいて、熱媒体流路4088と熱交換媒体流路4086との接触面積は非常に大きいので、特に迅速に熱媒体4095の熱が熱交換媒体4096へ伝達する。基板4083が熱良導体の場合は、さらに素早く熱が移動する。たとえば、基板4083が、炭素(カーボンナノチューブ、フラーレン等も含む)、窒化アルミニウム(AlN)、金属(たとえば、銀、金、銅、アリミニウム)、半導体基板(たとえば、シリコン)である。
熱媒体4095は薄板4084に開いた入り口(媒体口)4091−1や4091−3に接続した導管4089−1や4089−2から熱媒体流路4088へ入り、熱交換した後出口(媒体口)4091−4や4091−6から出ていき、この交換器の外部で熱を交換して再度導管4089−1や4089−2へ戻り循環している。(循環しないで、一方通行の場合もあり。)熱交換媒体4096は薄板4084に開いた入り口4091−2に接続した導管4087から熱交換媒体流路4086へ入り、熱交換した後出口4091−5から出ていき、この交換器の外部で熱を交換して再度導管4087へ戻り循環している。(循環しないで、一方通行の場合もあり。)熱媒体4095は気体や液体あるいは気体と液体の共存媒体であり、たとえばヒートパイプのように外部の熱源で媒体が蒸発して気体になり、その気体が熱媒体流路4088へ入り熱交換して凝縮して液体となって出口から出ていくという一連の相変化が連続的に生じさせて、熱移動を迅速に行なわせることもできる。熱交換媒体4096も気体や液体あるいは気体と液体の共存媒体であり、こちらもヒートパイプ方式を採用でき、冷却した液体で熱交換媒体流路4086へ入り、熱交換媒体流路4086内で熱媒体4095より熱をもらって蒸発して気体になって出口から外部へ出ていくという一連の相変化が連続的に生じさせて、熱移動を迅速に行なわせることもできる。このように本発明は、半導体プロセスを適用できるので非常に微細な毛細管のような流路を形成し、しかも自由な曲線流路を形成できるので、非常に効率の良い熱移動を行なうことができる。たとえば、体温調節が困難な患者の血液を本システムで循環させて体温を一定温度に保持することも可能となる。しかも本熱交換システムは非常に簡単なプロセスで作製できるし、非常に小さなチップにもできるので、大量にしかも安く作製することができる。その製造方法もこれまでと同様である。
図35は、インプリント法を用いて本発明の凹部パターンを形成する方法を示す図である。これまでの説明と重複する部分はできるだけ省略する。図35(a)に示すように、第1基板711上にポリマー層712を形成する。この実施形態におけるポリマーは熱軟化性(熱可塑性)である。ポリマー層712は、ポリマーを溶剤に溶解した溶液を第1基板711上に滴下して形成する方法(滴下法)やポリマーを溶剤に溶解した溶液を第1基板にスピンコートして形成する方法(スピンコート法)などの塗布法により第1基板711上に形成する。この後、図35(b)に示すように、凹部(第2凹部)パターンを有するモールド713をこのポリマー層712に挿入した後、軟化温度以上で熱処理して溶剤を完全に蒸発させてポリマーを軟化または溶融する。モールド713をポリマー層712に挿入する前に、ポリマー層712をプリベークしても良い。ポリマーが熱可塑性ポリマーである場合は、溶剤を完全に蒸発させて軟化温度以上で熱処理してポリマー層を軟化または溶融してモールド713を挿入しても良い。ポリマーがペースト状の場合にはスクリーン印刷法によってポリマー層712を第1基板711上に形成し、このペースト状のポリマー層712にモールド713を挿入しても良い。あるいは、第1基板711上にポリマーシートを付着して軟化温度以上に熱処理してポリマー層を軟化または溶融してポリマー層712を第1基板711上に形成し、この軟化または溶融したポリマー層712にモールド713を挿入しても良い。
ポリマー層712にモールド713を挿入した後に軟化温度以上に熱処理してポリマー層を軟化または溶融した状態にし、第1基板711をポリマー層712から分離する。あるいは、ポリマー層を軟化または溶融した後に軟化温度以下の温度にしてポリマー層712を固化して後、第1基板711を分離する。次にポリマー層712の軟化温度以上に熱処理を行ない、モールド713に付着したポリマー層712を軟化または溶融して、第1凹部形成用のモールド715を上方から下方へ移動して{図35(c)}、ポリマー層712へモールド715を挿入する。このとき、図35(d)に示すように、モールド713の凹部714(714−1,2)へモールド715の凸部715(715−1、2)を挿入し、またモールド716の凹部716(716−1,2)へモールド713の凸部713(713−1、2)を挿入する。モールド713および716を所定位置で固定して軟化温度以下で保持してポリマー712を固化してポリマー612の形状を決める。この後、モールド713および715はポリマー層712から分離するので、モールド715の凸部715−1および715−2はポリマー層712の主面(第1面、表面)側の凹部(第1凹部)となり、モールド713の凸部713−1および713−2はポリマー層712の副面(第2面、裏面)側の凹部(第2凹部)となる。
従って。モールド713の凸部713(713−1、2)およびモールド715の凸部715(715−1、2)の間の基板側壁712−S1、712−S2、712−S3はダイヤフラムとなるので、基板側壁の厚み(モールド713の凸部およびモールド715の凸部の距離)s1、s2等、基板側壁の深さ(長さ)(モールド713の凸部およびモールド715の凸部の深さ方向のオーバーラップ部)h1および基板側壁の幅(紙面と垂直方向におけるモールド713の凸部713およびモールド715の凸部715のオーバーラップ部で図示せず)をできるだけ一定にすることが望ましい。すなわち、モールド713のパターンに対してできるだけ正確にアライメントしてモールド715のパターンを挿入する必要がある。ポリマー層712およびモールド715に対して透過する光を用いてアライメントすることが望ましい。また、s1=S2とするようにアライメントすることも重要である。さらに、h1を一定にするために、モールド713の凸部(たとえば、713−1)とモールド715の凹部(たとえば、716−1)の距離t1やモールド715の凸部(たとえば、715−1)とモールド713の凹部(たとえば、714−1)の距離b1をできるだけ一定にする必要があるので、モールド713に対してモールド715の挿入深さを一定にする。尚、現状の合わせ精度は、s1やs2の精度はバラツキ3σで50nm〜300nmであり、t1やb1の精度はバラツキ3σ100nm〜500nmであるから、かなり精度の良いダイヤフラムを作製できる。(ポリマー層の厚みは、1μm〜2000μm程度であり、凹部の幅は1μm〜3000μm程度である。厚みおよび幅はもっと大きくても良い。)
ポリマー層712の固化後、モールド715をポリマー層712から分離する。モールド715の表面に離型剤を塗布したりしてモールド715がポリマー層712から分離しやすくしても良い。モールド715を分離しても、ポリマー層712はモールド713に支持されているので変形することはない。この後は、これまでに種々説明したようなプロセスを用いて種々の膜を積層し、またエッチングするなどして所望の積層膜構造とすることができる。たとえば、繰り返しになるが、ポリマー層712が圧電体である場合は、モールド715の凸部715(715−1、2)の跡である第1凹部720(720−1、2)が形成されたポリマー層712の上に導電体膜717を積層し、導電体膜717の所望のパターニングを行ない、その次に絶縁膜718を積層して導電体膜717を保護し、さらに絶縁膜717の所望のパターニングを行なう。この後、第1の薄板719を付着させる。この薄板719によって、第1凹部720−1、2の形状を固定化することもできる。(図35(e))
この後、モールド713を分離する。モールド713の分離をスムーズに行なうために、モールド713をポリマー層712に挿入する前に離型剤をモールド713の表面に塗布しても良い。モールド713を分離しても、ポリマー層712は第1の薄板719に支持されているので変形することはない。この後、モールド713の凸部713(713−1、2)の跡である第1凹部724(724−1、2)が形成されたポリマー層712の上に導電体膜721を積層し、導電体膜721の所望のパターニングを行ない、その次に絶縁膜722を積層して導電体膜721を保護し、さらに絶縁膜722の所望のパターニングを行なう。この後、第2の薄板725を付着させる。この薄板725によって、第2凹部724−1、2の形状を固定化することもできる。(図35(f))図35では記載していないが、他の所で説明した様に導電体膜からの引き出し電極や圧力伝達孔なども作製できる。以上のように、ポリマー層の両面からインプリント法を用いてポリマーを基板側壁とした圧力センサーを簡単なプロセスで作製でき、しかも小型化できる。この結果基板内に多数のセンサーを作製できるので、非常にコストの安いセンサーを実現できる。
図35では、図35(e)以降について基板を圧電体基板として説明したが、これまでの色々な所で説明したように、圧電性ポリマー以外のポリマーの場合でも、第1凹部および/または第2凹部側のポリマー上に第1導電体膜、その上に圧電体膜、その上に第2導電体膜を積層することによって、圧力センサーを作製できる。また、図35(g)に示すように、ポリマー712内の第1凹部720(720−1、2)および/または第2凹部724(724−1、2)の側壁に対向電極導電体膜717(717−1、2、3)、721(721−1、2、3)を形成して、静電容量型圧力センサーを作製することもできる。すなわち、第1凹部720−1を容量空間とし、717−1および717−2をその対向電極とした静電容量型圧力センサー、第1凹部720−2を容量空間とし、717−2および717−3をその対向電極とした静電容量型圧力センサー、さらに第2凹部724−1を容量空間とし、721−1および721−2をその対向電極とした静電容量型圧力センサー、第2凹部724−2を容量空間とし、721−2および721−3をその対向電極とした静電容量型圧力センサーを作製できる。さらに、このようなインプリント法を用いて、圧力センサー以外にも、これまでに説明した音響トランスデューサー、ポンプデバイス、インクジェットデバイス、加速度センサー、圧電体マイクなども作製することができる。
図35においては、出発基板を平坦な基板である第1基板711を用いたが、モールドを出発基板とすることもできる。すなわち、図35(c)に示す状態から開始することができる。凹凸パターンを有するモールド713上に、ディップ法、滴下法、塗布法、スピンコート法等を用いて溶液ポリマー712をコートして、そこにやはり凹凸パターンを有するモールド715を挿入することもできる。モールド713の凹部にポリマーが入らない場合は、真空状態で溶液ポリマー712をコートすることもできる。この状態でポリマーの軟化温度以上で熱処理を行ない溶剤を蒸発させるとともに軟化または溶融させてモールド713上にポリマーを形成後モールド715を挿入することもできる。尚、ポリマーシートを凹凸パターンを有するモールド上に配置し、ポリマーの軟化温度以上で熱処理を行なうと、ポリマーシートは軟化または溶融して、重力でモールド上の凹部に入り込みモールド上に充満して平坦に近く形成される。平坦になってから凹凸パターンを有するモールド715を挿入すれば、ポリマー側壁を形成することができる。あるいは、ポリマーシートを軟化または溶融させながらモールド715を挿入しても、同様にポリマー側壁を形成することができる。以上のように、第1基板711を用いずに、モールド713および715だけを用いてもポリマーパターンを形成できるので、プロセスがさらに簡単になる。
熱可塑性ポリマーは、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル、液晶ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、N−メチルー2−ピロリドン(NMP)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ酢酸ビニル、ポリジメチルシロクサン(PDMS)、ポリ乳酸、各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)、あるいはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(VDF/TrFE)共重合体等の強誘電性高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン−11等の極性高分子等の圧電性高分子など種々の高分子材料である。また、これらの熱可塑性ポリマーを複数混合させたものでも良い。さらに圧電性の熱可塑性ポリマーとしては、前記ポリマーの他に圧電性セラミック(たとえば、PZT、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNO3)、水晶、メタニオブ酸鉛(PbNb2O6)、酸化亜鉛、これらの混合物)の微小粒子をこれらの熱可塑性ポリマーと混合したものも使用できる。
マイクロホンデバイスおよび静電容量型力量センサについて、さらに詳細に説明する。尚、これまでの図(図1〜図44)において用いられる名称番号と、以下の図(図45〜図89)において用いられる名称番号と同じ番号が使用されている場合は、当該番号における当該名称が正しいということに注意して欲しい。
図68は半導体基板を用いた従来のマイクロホンを示す図である。図68に示す従来のマイクロホン100はシリコン基板101内に凹部を形成してダイヤフラム102、空隙109、バックプレート103を形成し、バックプレート102に音響ホール104、下部配線105、上部配線106、下部パッド107、上部パッド108、接地用パッド110を配置している。図68から分かるように、従来のマイクロホン100のダイヤフラム102は基板面と略平行に形成されているので、マクロホン100の面積は非常に大きな面積となる。たとえば、1辺2mmの正方形程度の面積が必要となる。(特許公開2002−095093)
本発明は、繰り返しになるが、平面的な基板(たとえば、円板状、矩形形状の板状)の厚み方向に深い溝(凹部)または貫通溝を複数作り、隣接する貫通溝によって挟まれる側壁がその両側の圧力差により変形することにより静電容量が変化することを利用した静電容量型センサに関するものである。具体的には以下のような手段を取る。
(1)本発明は、上面および下面の一方の面、或いは両方の面に貫通する少なくとも2つの溝(貫通溝)空間を有する導電体基板、前記導電体基板の上面(第1面)に付着した絶縁体基板(第1面絶縁体基板)および前記導電体基板の下面(第2面)に付着した絶縁体基板(第2面絶縁体基板)から構成されることを特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの貫通溝(第1貫通溝および第2貫通溝)を横方向(導電体基板の厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる導電体基板を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する貫通溝のうちの1つ(第1貫通溝)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない導電体基板の側壁を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1貫通溝空間を静電容量空間とし、(第2貫通溝に音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入し)前記第1基板側壁容量電極が(当該)音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1貫通溝空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、さらに
第1基板側壁容量電極は、その上面が第1面絶縁体基板に付着、および/またはその下面が第2面絶縁体基板に付着していること、および/または
第2基板側壁容量電極は、その上面が第1面絶縁体基板に付着、および/またはその下面が第2面絶縁体基板に付着していること、を特徴とする、静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(2)本発明は、上面および下面の一方の面、或いは両方の面に貫通する少なくとも2つの溝(貫通溝)空間を有する主基板、前記主基板の上面(第1面)に付着した薄板基板(第1面薄板)および前記主基板の下面(第2面)に付着した薄板基板(第2面薄板)から構成されることを特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの貫通溝(第1貫通溝および第2貫通溝)を横方向(主基板の厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる主基板側壁(第1基板側壁)上に形成した導電体膜を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1側壁容量電極と前記隣接する貫通溝のうちの1つ(第1貫通溝)を挟んで対向し、前記第1側壁容量電極と電気的に導通しない主基板側壁(第2基板側壁)上に形成した導電体膜を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1貫通溝空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1貫通溝空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、さらに
第1基板側壁容量電極は、その上面が第1面絶縁体基板に付着、および/またはその下面が第2面絶縁体基板に付着していること、および/または
第2基板側壁容量電極は、その上面が第1面絶縁体基板に付着、および/またはその下面が第2面絶縁体基板に付着していること、を特徴とする、静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(3)本発明は、(1)または(2)に加えて、導電体基板または主基板の厚みは2.0mm以下であり、好適には1.0mm以下であり、第1面絶縁体基板または第1面薄板の厚みは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であり、第2面絶縁体基板または第2面薄板の厚みは1.0mm以下であることを特徴とする。
(4)本発明は、(2)または(3)に加えて、主基板は半導体基板または絶縁体基板であることを特徴とし、また第1面薄板および/または第2面薄板は絶縁体基板であることを特徴とする。
(5)本発明は、上記に加えて、第2貫通溝は断面が略矩形状の略角柱形状であり、第2貫通溝の4つの側面に隣接する貫通溝が4つ配置され、当該4つの貫通溝は断面が略矩形状の略角柱形状であり、当該4つの貫通溝のうちの1つが第1貫通溝であり、残りの貫通溝を第3貫通溝、第4貫通溝、および第5貫通溝とし、
第3貫通溝と第2貫通溝を隔てる導電体基板を一方の電極(第3−1基板側壁容量電極)とし、第3−1基板側壁容量電極と第3貫通溝を挟んで対向し、前記第3−1基板側壁容量電極と電気的に導通しない導電体基板の側壁を他方の対向電極(第3−2基板側壁容量電極)とし、これらの第3−1基板側壁容量電極および第3−2基板側壁容量電極の間の第3貫通溝空間を静電容量空間とし、
第4貫通溝と第2貫通溝を隔てる導電体基板を一方の電極(第4−1基板側壁容量電極)とし、第4−1基板側壁容量電極と第4貫通溝を挟んで対向し、前記第4−1基板側壁容量電極と電気的に導通しない導電体基板の側壁を他方の対向電極(第4−2基板側壁容量電極)とし、これらの第4−1基板側壁容量電極および第4−2基板側壁容量電極の間の第4貫通溝空間を静電容量空間とし、
第5貫通溝と第2貫通溝を隔てる導電体基板を一方の電極(第5−1基板側壁容量電極)とし、第5−1基板側壁容量電極と第5貫通溝を挟んで対向し、前記第5−1基板側壁容量電極と電気的に導通しない導電体基板の側壁を他方の対向電極(第5−2基板側壁容量電極)とし、これらの第5−1基板側壁容量電極および第4−2基板側壁容量電極の間の第4貫通溝空間を静電容量空間とし、
(第2貫通溝に音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入し)前記第3−1基板側壁容量電極、前記第4−1基板側壁容量電極、および前記第5−1基板側壁容量電極が(当該)音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第3貫通溝空間、前記第4貫通溝空間、および前記第5貫通溝空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、さらに
第3−1基板側壁容量電極、第4−1基板側壁容量電極、および第5−1基板側壁容量電極は、その上面が第1面絶縁体基板に付着、および/またはその下面が第2面絶縁体基板に付着していること、および/または
第3−2基板側壁容量電極、第4−2基板側壁容量電極、および第5−2基板側壁容量電極は、その上面が第1面絶縁体基板に付着、および/またはその下面が第2面絶縁体基板に付着していること、を特徴とする、静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(6)本発明は、(5)において、第1貫通溝、第3貫通溝、第4貫通溝、および第5貫通溝は接続しており、第1基板側壁容量電極、第3−1基板側壁容量電極、第4−1基板側壁容量電極、および第5−1基板側壁容量電極は接続しており、さらに第2基板側壁容量電極、第3−2基板側壁容量電極、第4−2基板側壁容量電極、および第5−2基板側壁容量電極は接続していることを特徴とする。
(7)本発明は、上記に加えて、第2貫通溝が第1絶縁体基板または第2絶縁体基板によってカバーされている場合、第1絶縁体基板および/または第2絶縁体基板に音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)導入用の音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)導入孔および/または音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)抜け孔が存在することを特徴とする。
(8)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁の上面に付着した第1面絶縁体基板に形成したコンタクト孔を通じて第1面絶縁体基板上に形成した電極・配線と第1基板側壁とを電気的に接続し、第2基板側壁の上面に付着した第1面絶縁体基板に形成したコンタクト孔を通じて第1面絶縁体基板上に形成した電極・配線と第2基板側壁とを電気的に接続することを特徴とし、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状はn角形形状であり、ここでnは3以上の整数とし、各側面に対応して複数の第2基板側壁を有し、前記複数の第2基板側壁同士は電気的に接続していないとともに、第2貫通溝へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入し、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は少なくとも1部が曲線形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であり、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は円形形状または楕円形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であることを特徴とする。
(9)本発明は、第1基板側壁および第2基板側壁を囲む第3基板側壁を有し、第3基板側壁の上面は第1面絶縁体基板に付着し、第3基板側壁の下面は第2面絶縁体基板に付着し、第3基板側壁は第1基板側壁および第2基板側壁のどちらか一方または両方と電気的に接続していないとともに、第3基板側壁は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの外側側面となり、第1面絶縁体基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの上面または下面となり、第2面絶縁体基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの下面または上面となっていることを特徴とする。
(10)本発明は、上面および下面に貫通する少なくとも2つの溝(貫通溝または貫通孔)空間を有する主基板、前記主基板の上面(第1面)に付着した薄板基板(第1面薄板)および前記主基板の下面(第2面)に付着した薄板基板(第2面薄板)から構成されることを特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの貫通溝(第1貫通溝および第2貫通溝)を横方向(主基板の厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる主基板側壁(第1基板側壁)(の側面)上に形成した導電体膜を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する貫通溝のうちの1つ(第1貫通溝)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない主基板側壁(第2基板側壁)の側面上に形成した導電体膜を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1貫通溝空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1貫通溝空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、さらに
第1基板側壁は、その上面が第1面薄板に付着、その下面が第2面薄板に付着していること、および/または
第2基板側壁は、その上面が第1面薄板に付着、その下面が第2面薄板に付着していること、
を特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(11)本発明は、上記に加えて、主基板は、導電体基板、半導体基板、絶縁体基板、またはこれらの複合基板であり、さらに、第1面薄板は絶縁体基板であり、および/または第2面薄板は絶縁体基板であり、さらに、主基板の厚みは2.0mm以下であり、好適には1.0mm以下であり、第1面第1面薄板の厚みは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であり、第2面薄板の厚みは1.0mm以下であり、さらに、第1基板側壁の上面に付着した第1面絶縁体基板に形成したコンタクト孔を通じて第1面絶縁体基板上に形成した電極・配線と第1基板側壁とを電気的に接続し、
第2基板側壁の上面に付着した第1面絶縁体基板に形成したコンタクト孔を通じて第1面絶縁体基板上に形成した電極・配線と第2基板側壁とを電気的に接続することを特徴とする。
(12)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状はn角形形状であり、ここでnは3以上の整数とし、各側面に対応して複数の第2基板側壁を有し、前記複数の第2基板側壁同士は電気的に接続していないとともに、第2貫通溝へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は少なくとも1部が曲線形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であり、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は円形形状または楕円形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であることを特徴とする。
(13)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁および第2基板側壁を囲む第3基板側壁を有し、第3基板側壁の上面は第1面絶縁体基板に付着し、第3基板側壁の下面は第2面絶縁体基板に付着し、第3基板側壁は第1基板側壁および第2基板側壁のどちらか一方または両方と電気的に接続していないとともに、第3基板側壁は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの外側側面となり、第1面絶縁体基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの上面または下面となり、第2面絶縁体基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの下面または上面となっていることを特徴とする。
(14)本発明は、主基板の第1面(表面または上面)に開口し、第1面と反対の第2面(裏面または下面)に開口しない、少なくとも2つの隣接する凹部(第1凹部および第2凹部)を有し、前記主基板の上面(第1面)に付着した薄板基板を有する静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの凹部を横方向(主基板の厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる主基板側壁(第1基板側壁)(の側面)上に形成した導電体膜を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する凹部のうちの1つ(第1凹部)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない主基板側壁(第2基板側壁)の側面上に形成した導電体膜を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1凹部空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1凹部空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、
さらに
第1基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、および/または
第2基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、
を特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(15)本発明は、上記に加えて、主基板は、導電体基板、半導体基板、絶縁体基板、またはこれらの複合基板であり、さらに、主基板の厚みは2.0mm以下であり、好適には1.0mm以下であり、第1面第1面薄板の厚みは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であり、第2面薄板の厚みは1.0mm以下であり、さらに、第1基板側壁の上面に付着した第1面絶縁体基板に形成したコンタクト孔を通じて第1面絶縁体基板上に形成した電極・配線と第1基板側壁とを電気的に接続し、
第2基板側壁の上面に付着した第1面絶縁体基板に形成したコンタクト孔を通じて第1面絶縁体基板上に形成した電極・配線と第2基板側壁とを電気的に接続することを特徴とする。
(16)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状はn角形形状であり、ここでnは3以上の整数とし、各側面に対応して複数の第2基板側壁を有し、前記複数の第2基板側壁同士は電気的に接続していないとともに、第2貫通溝へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、または、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は少なくとも1部が曲線形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であることを特徴とし、または、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は円形形状または楕円形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であることを特徴とする。
(17)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁および第2基板側壁を囲む第3基板側壁を有し、第3基板側壁の上面は第1面絶縁体基板に付着し、第3基板側壁の下面は第2面絶縁体基板に付着し、第3基板側壁は第1基板側壁および第2基板側壁のどちらか一方または両方と電気的に接続していないとともに、第3基板側壁は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの外側側面となり、第1面絶縁体基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの上面または下面となり、第2面絶縁体基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの下面または上面となっていることを特徴とする。
(18)本発明は、主基板上に形成した絶縁性ポリマーの上面に開口した少なくとも2つの隣接する凹部(第1凹部および第2凹部)を有し、前記主基板の上面に付着した薄板基板を有する静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの凹部を横方向(絶縁性ポリマーの厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる絶縁性ポリマーの基板側壁(第1基板側壁)(の側面)上に形成した導電体膜を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する凹部のうちの1つ(第1凹部)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない絶縁性ポリマーの基板側壁(第2基板側壁)の側面上に形成した導電体膜を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1凹部空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1凹部空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、
さらに
第1基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、および/または
第2基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、
を特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(19)本発明は、上記に加えて、主基板は、導電体基板、半導体基板、絶縁体基板、またはこれらの複合基板であり、さらに、薄板基板は、導電体基板、半導体基板、絶縁体基板、またはこれらの複合基板であり、さらに、主基板の厚みは2.0mm以下であり、好適には1.0mm以下であり、薄板基板の厚みは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であることを特徴とし、さらに、絶縁性ポリマーの厚さは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であることを特徴とする。
(20)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁の上面に付着した薄板基板に形成したコンタクト孔を通じて薄板基板上に形成した電極・配線と第1基板側壁の上面に形成した第1上面導電体膜配線と接続し、さらに前記第1上面導電体膜配線は第1基板側壁容量電極と電気的に接続し、
第2基板側壁の上面に付着した薄板基板に形成したコンタクト孔を通じて薄板基板上に形成した電極・配線と第2基板側壁の上面に形成した第2上面導電体膜配線と接続し、さらに前記第2上面導電体膜配線は第2基板側壁容量電極と電気的に接続していることを特徴とし、さらに、第1基板側壁によって囲まれた凹部(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状はn角形形状であり、ここでnは3以上の整数とし、各側面に対応して複数の第2基板側壁を有し、前記複数の第2基板側壁同士は電気的に接続していないとともに、第2凹部へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた凹部(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は少なくとも1部が曲線形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であり、第2凹部へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は円形形状または楕円形状であることを特徴とする。
(21)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁および第2基板側壁を囲む第3基板側壁を有し、第3基板側壁の上面は薄板基板に付着し、第3基板側壁は第1基板側壁および第2基板側壁のどちらか一方または両方と電気的に接続していないとともに、第3基板側壁は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの外側側面となり、薄板基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの上面または下面となっていることを特徴とし、さらに、主基板は半導体基板であり、主基板に形成された凹部(主凹部)に絶縁性ポリマーが形成されていることを特徴とし、凹部はインプリント法で形成されることを特徴とする。
(22)本発明は、主基板上に形成した導電性ポリマーの上面に開口した少なくとも2つの隣接する凹部(第1凹部および第2凹部)を有し、前記主基板の上面に付着した薄板基板を有する静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの凹部を横方向(導電性ポリマーの厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる導電性ポリマーの基板側壁(第1基板側壁)(の側面)を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する凹部のうちの1つ(第1凹部)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない導電性ポリマーの基板側壁(第2基板側壁)(の側面)を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1凹部空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1凹部空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、
さらに
第1基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、および/または
第2基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、
を特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(23)本発明は、上記に加えて、主基板は、導電体基板、半導体基板、絶縁体基板、またはこれらの複合基板であり、さらに、薄板基板は、導電体基板、半導体基板、絶縁体基板、またはこれらの複合基板であり、主基板の厚みは2.0mm以下であり、好適には1.0mm以下であり、薄板基板の厚みは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であり、さらに、導電性ポリマーの厚さは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であることを特徴とする。
(24)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁の上面に付着した薄板基板に形成したコンタクト孔を通じて薄板基板上に形成した電極・配線と第1基板側壁の上面と接続し、
第2基板側壁の上面に付着した薄板基板に形成したコンタクト孔を通じて薄板基板上に形成した電極・配線と第2基板側壁の上面と接続しており、さらに、第1基板側壁によって囲まれた凹部(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状はn角形形状であり、ここでnは3以上の整数とし、各側面に対応して複数の第2基板側壁を有し、前記複数の第2基板側壁同士は電気的に接続していないとともに、第2凹部へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた凹部(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は少なくとも1部が曲線形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であり、第2凹部へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2貫通溝)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は円形形状または楕円形状であることを特徴とする。
(25)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁および第2基板側壁を囲む第3基板側壁を有し、第3基板側壁の上面は薄板基板に付着し、第3基板側壁は第1基板側壁および第2基板側壁のどちらか一方または両方と電気的に接続していないとともに、第3基板側壁は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの外側側面となり、薄板基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの上面または下面となっていることを特徴とし、さらに、凹部はインプリント法で形成されることを特徴とする。
(26)本発明は、導電体基板および低濃度基板が接合された接合基板において、前記接合基板は導電体基板側の表面に開口した少なくとも2つの隣接する凹部(第1凹部および第2凹部)を有し、
前記凹部は接合基板の表面に対して略垂直方向(表面に垂直方向に対して±10度以下、好適には±5度以下、最適には±1度以下)に形成されており、
前記凹部の底部は導電体基板および低濃度基板の接合部を超えて低濃度基板側に存在し、
前記接合基板の上面に付着した薄板基板を有する静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの凹部を横方向(接合基板の厚さ方向に対して略直角方向)に隔てる接合基板側壁(第1基板側壁)(の側面)を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する凹部のうちの1つ(第1凹部)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない接合基板側壁(第2基板側壁)(の側面)を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1凹部空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1凹部空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、
さらに、第1基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、および/または
第2基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、
を特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(27)本発明は、上記に加えて、前記導電体基板は高濃度シリコン半導体基板(不純物濃度が1019/cm3以上)であり、前記低濃度半導体基板は低濃度シリコン半導体基板(不純物濃度が1017/cm3以下)であり、高濃度シリコン半導体基板の導電体型と低濃度シリコン半導体基板の導電体型は逆であることを特徴とし、さらに、前記接合基板はエピタキシャル基板であり、低濃度シリコン半導体基板は高濃度シリコン半導体基板上にエピタキシャル成長して形成したエピ層であることを特徴とする。
(28)本発明は、接合された導電体基板および低濃度基板が接合された接合基板において、導電体基板および低濃度基板の間に絶縁体膜が介在し、前記接合基板は導電体基板側の表面に開口した少なくとも2つの隣接する凹部(第1凹部および第2凹部)を有し、
前記凹部は接合基板の表面に対して略垂直方向(表面に垂直方向に対して±10度以下、好適には±5度以下、最適には±1度以下)に形成されており、
前記凹部の底部は導電体基板を超えて絶縁体膜または低濃度基板側に存在し、
前記接合基板の上面に付着した薄板基板を有する静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサであって、
隣接する2つの凹部を横方向(接合基板の厚さ方向に対して略垂直方向)に隔てる接合基板側壁(第1基板側壁)(の側面)を一方の電極(第1基板側壁容量電極)とし、
前記第1基板側壁容量電極と前記隣接する凹部のうちの1つ(第1凹部)を挟んで対向し、前記第1基板側壁容量電極と電気的に導通しない接合基板側壁(第2基板側壁)(の側面)を他方の対向電極(第2基板側壁容量電極)とし、これらの第1基板側壁容量電極および第2基板側壁容量電極の間の第1凹部空間を静電容量空間とし、
前記第1基板側壁容量電極が音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)により振動し変位することにより前記第1凹部空間の静電容量が変化することを用いて音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を検出することを特徴とし、
さらに、第1基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、および/または
第2基板側壁は、その上面が薄板基板に付着していること、
を特徴とする静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサである。
(29)本発明は、上記に加えて、接合基板の厚みは2.0mm以下であり、好適には1.0mm以下であり、薄板基板の厚みは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であり、さらに、導電体基板の厚さは1.0mm以下であり、好適には0.5mm以下であり、第1基板側壁の上面に付着した薄板基板に形成したコンタクト孔を通じて薄板基板上に形成した電極・配線と第1基板側壁の上面と接続し、
第2基板側壁の上面に付着した薄板基板に形成したコンタクト孔を通じて薄板基板上に形成した電極・配線と第2基板側壁の上面と接続していることを特徴とする。
(30)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁によって囲まれた凹部(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状はn角形形状であり、ここでnは3以上の整数とし、各側面に対応して複数の第2基板側壁を有し、前記複数の第2基板側壁同士は電気的に接続していないとともに、第2凹部へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた凹部(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は少なくとも1部が曲線形状であり、第2基板側壁の内側断面形状は前記第1基板側壁の外側断面形状と相似形状であり、第2凹部へ音波または力量(加速度、角速度、または圧力等)を導入することを特徴とし、あるいは、第1基板側壁によって囲まれた貫通溝(第2凹部)を有し、第1基板側壁の外側断面形状は円形形状または楕円形状であることを特徴とする。
(31)本発明は、上記に加えて、第1基板側壁および第2基板側壁を囲む第3基板側壁を有し、第3基板側壁の上面は薄板基板に付着し、第3基板側壁は第1基板側壁および第2基板側壁のどちらか一方または両方と電気的に接続していないとともに、第3基板側壁は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの外側側面となり、薄板基板は静電容量型マイクロホンまたは力量(加速度、角速度、または圧力等)センサデバイスのチップパッケージの上面または下面となっていることを特徴とする。
(32)本発明は、基板の第1面(表面)から第2面(裏面)に向かい、基板面(第1面および第2面)に対して略垂直に形成された凹部または貫通孔を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタであって、前記凹部または貫通孔の対向する2つの側面を電極(対向電極)とし、前記対向電極間の前記凹部または貫通孔内に電解質を有することを特徴とする電気二重層キャパシタであり、あるいは、基板の第1面(表面)から第2面(裏面)に向かい形成された凹部または貫通孔を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタであって、前記凹部または貫通孔内に挿入された突状の対向電極と、挿入された前記凹部または貫通孔内において前記対向電極の間に電解質を有することを特徴とする電気二重層キャパシタであり、基板の第1面(表面)から第2面(裏面)に向かい、基板面(第1面および第2面)に対して略垂直に形成された凹部または貫通孔を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタであって、隣接する凹部の間に形成される基板側壁と、前記凹部または貫通孔のうちの少なくとも1つの凹部において前記基板側壁と対向する他の基板側壁とを対向電極とする電気二重層キャパシタであり、前記対向する基板側壁電極間の前記凹部または貫通孔内に電解質を有することを特徴とする電気二重層キャパシタである。
(33)本発明は、圧電体基板の第1面(表面)から第2面(裏面)に向かい、基板面(第1面および第2面)に対して略垂直に形成された凹部または貫通孔を用いることを特徴とする微小発電機であって、隣接する凹部によって形成される基板側壁の両側面に形成した導電体膜・電極を2つの電極とし、前記基板側壁が変形することによって基板側壁の両側面に発生する電荷を前記導電体膜・電極で集めて発電することを特徴とし、あるいは、基板の第1面(表面)から第2面(裏面)に向かい、基板面(第1面および第2面)に対して略垂直に形成された凹部または貫通孔を用いることを特徴とする微小発電機であって、隣接する凹部によって形成される基板側壁の側面に第1導電体膜、その上に圧電体膜、その上に第2導電体膜を形成し、前記基板側壁が変形することによって前記圧電体膜の両面に発生する電荷を第1導電体膜および/または第2導電体膜で集めて発電することを特徴とし、あるいは、基板内に形成された凹部へ充填された圧電性ポリマー内に形成された凹部(ポリマー内凹部)を用いることを特徴とする微小発電機であって、隣接するポリマー内凹部によって形成されるポリマー基板側壁の両側面に形成した導電体膜・電極を2つの電極とし、前記ポリマー基板側壁が変形することによってポリマー基板側壁の両側面に発生する電荷を前記導電体膜・電極で集めて発電することを特徴とし、あるいは、基板内に形成された凹部へ充填されたポリマー内に形成された凹部(ポリマー内凹部)を用いることを特徴とする微小発電機であって、隣接するポリマー内凹部によって形成されるポリマー基板側壁の両側面に第1導電体膜、その上に圧電体膜、その上に第2導電体膜を形成し、前記ポリマー基板側壁が変形することによって前記圧電体膜の両面に発生する電荷を第1導電体膜および/または第2導電体膜で集めて発電することを特徴とする微小発電機である。
本発明は、半導体基板等の基板の厚み方向に深い溝を形成する。隣接する複数の溝の間の基板側壁(隔壁)の上面および/または下面に薄板を付着する。以上のような特徴を持つ本発明は、基板の厚み方向にセンサが形成されるので、半導体基板の平面におけるマイクロホン(音響トランスデューサ)や力量センサ(加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ等)や微小発電機などの大きさを極めて小さくできる。しかもリソグラフィー等やインプリント法のLSI技術を用いて形成できるので、極めて精密で安価なセンサを作成できる。また、基板側壁(隔壁)に圧力や加速度や角速度や音波等の力量をかけると、溝同士の間の基板側壁(隔壁)(ダイヤフラムに相当)が湾曲して溝部の容量が変化する。この変化量を検出することにより、圧力や加速度や角速度や音波等の力量を検知できる。溝を深くすることにより、容量が増大するので、より面積の小さいセンサを作成できる。また、基板側壁(隔壁)を薄くすることにより、基板側壁(隔壁)の変形量を増大できるので、センサの感度も高まる。
図45は、本発明の音響トランスデューサー(たとえば、マイクロホン、スピーカー、イアホン等、以下はマイクロホンと記載)の第1の実施形態(第1の構造)を示す図で、その構造を半導体基板111の断面図で示す。半導体基板111の第1面111−S1から第2面111−S2へ形成された凹部(図45では、貫通孔)112(112−1、112−2、112−3)の側面に絶縁膜113が形成されている。半導体基板111は、たとえばシリコン(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)等の単元素半導体基板、或いは、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)等の二元素半導体基板、或いは多元素半導体基板である。或いは、半導体基板ではなく、絶縁基板や導電体基板でも良い。たとえば、絶縁体基板として、ガラス、プラスチック等の高分子、セラミック、ゴム等の絶縁体基板である。絶縁体基板の場合には、絶縁膜113は形成しなくても良い場合がある。導電体基板として、たとえば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、各種合金(ステンレス等)、導電性ゴム、導電性プラスチックである。以下の説明では、主に半導体基板として説明する。
凹部112は、半導体基板111の第1面111−S1および/または第2面111−S2に対し略垂直に形成されており、第1面111−S1および第2面111−S2で完全に貫通した貫通孔であっても良い。図45では貫通孔として説明する。半導体基板111の第2面111−S2側は薄板110が付着しており、貫通孔112(112−1、2、3)は半導体基板111の第2面111−S2で閉じている。この薄板110は貫通孔112を形成する前に付着しても良いし、貫通孔112を形成した後に付着しても良い。薄板110を貫通孔112を形成した後に付着する場合は、絶縁膜113を形成した後、或いはその後のプロセスで薄板110を付着させることもできる。
貫通孔112(112−1、3)の側面には導電体膜115(115−1、2、3、4)が形成される。貫通孔112−1において、導電体膜115−1および115−2は対向しており、接続していない。すなわち、紙面に垂直方向において、導電体膜115−1および115−2は接続していない。さらに貫通孔112−1以外の領域においても導電体膜115−1および115−2は接続していないので、導電体膜115−1および115−2は、貫通孔112−1において、貫通孔112−1内空間を容量成分とするコンデンサの対向電極となっている。
また、貫通孔112−3において、導電体膜115−3および115−4は対向しており、接続していない。すなわち、紙面に垂直方向において、導電体膜115−3および115−4は接続していない。さらに貫通孔112−3以外の領域においても導電体膜115−3および115−4は接続していないので、導電体膜115−3および115−4は、貫通孔112−1において、貫通孔112−1内空間を容量成分とするコンデンサの対向電極となっている。
貫通孔112−2は外部からの音波を受信し導入する部分であり、その音波により貫通孔112−1および貫通孔112−2、並びに貫通孔112−3および貫通孔112−2によって挟まれた基板(これを基板側壁と呼ぶ)111(111−1、111−2)が振動する。いわば、これらの基板側壁111(111−1、111−2)はダイヤフラムの役割を果たす。このダイヤフラムが振動板に相当する。
導電体膜115−1および115−2の間に一定電圧Vをかけておけば、この基板側壁111(111−1)の振動によって、貫通孔112(112−1)における対向する導電体膜(コンデンサの電極ともなっているので、電極と呼ぶこともある)115−1および115−2の間の静電容量が変化する。また、導電体膜115−3および115−4の間に一定電圧Vをかけておけば、貫通孔112(112−3)における対向する導電体膜(コンデンサの電極ともなっているので、電極と呼ぶこともある)115−3および115−4の間の静電容量が変化する。この静電容量の変化量を電圧の変化へ変換することにより、音波の音圧レベルを得ることができる。
半導体基板111の第2面111−S2側は薄板110が付着しているが、第1面111−S1側に薄板119を付着しても良い。貫通孔112(112−1、2、3)の表面および裏面は薄板110および119でカバーされているので、本発明のマイクロホンは機械的衝撃に強く、外界の変化(耐環境性)等にも強い。図45にも示すように、音源126からの音波127を受ける貫通孔112(112−2)をカバーする薄板119には音波127を導入する音波導入孔(開口)122が一つまたは複数設けられ、音波127が効率的に貫通孔112(112−2)内に導入される。あるいは、貫通孔112(112−2)の第1面111−S1側に音波導入孔(開口)122が大きく一つだけ開けられたり、または貫通孔全体に音波導入孔(開口)122が開けられていても良い。
貫通孔112(112−2)内に導入された音波が貫通孔内で留まるのを防止するために、半導体基板111の第2面111−S2側をカバーしている薄板110の貫通孔112(112−2)の部分における一部に音波抜け孔127を設けても良い。音波とは空気の振動であるから、空気振動は速やかに音波抜け孔127から抜けていく。尚、当然貫通孔112(112−2)内に導入された音波は、音波導入孔(開口)122からも抜けてゆく。従って、半導体基板111の第2面111−S2側をカバーしている薄板110の音波抜け孔127を音波導入孔とすることもでき、その場合には、半導体基板111の第2面111−S2側からの音も検知することができる。
音波を受けて基板側壁111(111−1、111−2)が振動し、その振動によって容量空間である112(112−1、112−2)の静電容量が変化する。このとき容量空間である貫通孔112(112−1、112−2)内にエアー等の気体が入っていて、かつ薄板110および119で貫通孔112(112−1、112−2)が密閉されていると、貫通孔112(112−1、112−2)内の圧力が変化する。この圧力変化が基板側壁111(111−1、111−2)の振動に影響を与える可能性があるので、貫通孔112(112−1、112−2)内の圧力が変化しないようにするために、貫通孔112(112−1、112−2)をカバーしている薄板110にガス抜き孔128(128−1、128−2)を空けておく。これは薄板119側にあけても良いし、両方に開けておいても良い。ただし、このガス抜き孔128(128−1、128−2)から音波が入らないようにする必要がある。ガス抜き孔128(128−1、128−2)から音波が入ると、こちらの方からも側壁111(111−1、111−2)が振動してしまうからである。尚、貫通孔112(112−1、112−2)内が真空(に近い)状態で密閉されていれば、圧力変動はない。
貫通孔112(112−1、112−2)の電極・配線(導電体膜)115(115−1、2、3、4)上は絶縁膜117が形成され保護されている。絶縁膜113、導電体膜115、および絶縁膜117は貫通孔内だけでなく、半導体基板111の第1面111−S1(または第2面111−S2)上にも形成される。図45から分かるように、導電体膜115は貫通孔112(112−1、112−2)内でコンデンサの電極・配線となるようにパターニングされ、半導体基板111の第1面111−S1(または第2面111−S2でも良い)上まで引き出される。半導体基板111の第1面111−S1上の所定部分で、絶縁膜117はコンタクト孔123が開口され、このコンタクト孔123から電圧Vが供給される。また、薄板119においても、コンタクト孔123を電源供給部領域(電源供給開口部)121は開口される。
図46は、本発明のマイクロホンを平面的に見たものである。矩形状の貫通孔112(112−1、112−2、112−3)が並行に配置されている。貫通孔112−1および112−2の間に基板側壁111−1、貫通孔112−2および112−3の間に基板側壁111−2があり、これらの基板側壁111−1および111−2はダイヤフラムとなり、貫通孔112−2に導入された音波によって振動する。図45および図46から分かるように、基板側壁111−1および111−2は矩形状(長方形形状)であり、立体的に言えば直方体形状である。基板側壁111−1および111−2の厚みをa、幅をb、深さをhとすれば、基板側壁の大きさ(体積)はabhとなる。貫通孔112−1の幅をe、貫通孔112−2の幅をd、貫通孔112−3の幅をfとすると、貫通孔112−1の大きさ(体積)はbhe、貫通孔112−2の大きさ(体積)はbhd、貫通孔112−3の大きさ(体積)はbhfとなる。通常は貫通孔112−1と貫通孔112−3は同じサイズとするので、e=fとなる。貫通孔の場合には、hは基板111の厚みとほぼ等しい。凹部の場合には、hは基板111の厚みより小さい。
図46では、基板111上に形成した薄膜の状態が分かるように一部の薄膜のみ示しているが、薄膜の構成は図45と同じである。容量空間となる貫通孔112−1および112−3においては、貫通孔の側面に絶縁膜113が形成され、その上に導電体膜115が形成されている。導電体膜115は必要なパターニングがなされる。貫通孔112−1において、導電体膜115−1および115−2は互いに対向する電極・配線となるので、導通していない。それら(導電体膜115−1および115−2の側面電極)の大きさ(面積)は貫通孔112−1の側面とほぼ同じであるから、bhである。導電体膜115−1および115−2の側面電極間距離はeである(厳密には、絶縁膜113および導電体膜115の厚みを考慮する必要がある)から、導電体膜115−1および115−2の側面電極間に発生する静電容量C1は、C1=ε・ε0・e/bhとなる。ここで、ε0は真空中の誘電率、εは誘電係数である。
貫通孔112−3において、導電体膜115−3および115−4は互いに対向する電極・配線となるので、導通していない。それら(導電体膜115−3および115−4の側面電極)の大きさ(面積)は貫通孔112−3の側面とほぼ同じであるから、bhである。導電体膜115−3および115−4の側面電極間距離はfである(厳密には、絶縁膜113および導電体膜115の厚みを考慮する必要がある)から、導電体膜115−3および115−4の側面電極間に発生する静電容量C2は、C1=ε・ε0・f/bhとなる。
基板側壁111−1および111−2が振動するとe、fが変化するので、静電容量C1およびC2が変化する。この変化を検出すれば音波に対応する容量変化(これに対応する電圧変化)の信号を得ることができるから、音波に再び戻すことができる。パターニングされた導電体膜115上に絶縁膜117が形成される。図46では記載していないが、基板111上には絶縁膜113や117が形成され、導電体膜117は電極・配線引き出し用にパターニングされている。貫通孔112−2においては、導電体膜115は必要がないのでエッチング除去しておくことが望ましいが、音波を受け取る上で問題なければ残しておいても良い。従って、貫通孔112−2においては、絶縁膜113や117が積層された状態となっている。また、図46では記載していないが、貫通孔112−1、112−2、112−3の底部は、図45から分かるように薄板110が存在するが、貫通孔を形成した後に絶縁膜113等を形成するので、これらの膜を残しておいても良い。ただし、容量空間を構成する貫通孔112−1および112−3においては、導電体膜115は除去しておく必要があることは当然である。(コンデンサの電極が導通しないようにする。)
図45および図46においては、音波導入用貫通孔112−3の両側に容量空間を構成する貫通孔112−1および112−3を形成しているが、片側だけに貫通孔を形成するだけでも音波による容量変化を検出することができる。両側に貫通孔を形成することによって、片側だけの場合よりも容量変化量が約2倍になるので、検出感度を増大することができる。
図47は、さらに容量空間を構成する貫通孔112−4、112−5を貫通孔112−2の側面に設けた構造を示す図である。従って、矩形形状の音波導入用貫通孔112−2の4つの側面全部に容量空間を構成する貫通孔が形成されているので、これらの貫通孔同士の間に4つの基板側壁111−1、111−2、111−3、111−4が存在する。音波導入用貫通孔112−2に導入された音波によってこれらの4つの基板側壁111−1、111−2、111−3、111−4が振動し、これに伴い貫通孔112−1、112−3、112−4、112−5における静電容量が変化するので、音波を検出することができ、しかも静電容量の変化量が増幅されているので、音波の検出感度が増大する。尚、図47では、基板111上に形成した薄膜の状態が分かるように一部の薄膜のみ示しているが、薄膜の構成は図45と同じである。
基板側壁111−3の幅をj、貫通孔112−4の幅をgとすれば、貫通孔112−4の大きさは、dhgである。基板側壁111−4の幅をk、貫通孔112−5の幅をmとすれば、貫通孔112−5の大きさは、dhmである。音波導入用貫通孔112−2の平面形状を正方形に形成し(すなわち、b=d)、それぞれの基板側壁111−1、111−2、111−3、111−4の幅を同じにすれば(すなわち、a=j=k)、基板側壁111−1、111−2、111−3、111−4の振動モードは同じとなる。(半導体基板がシリコンの単結晶基板であるとき、基板側壁111−1、111−2、111−3、111−4の各面は、基板面に垂直でありかつ互いに垂直であるから、結晶面が同系の結晶方向である。)また、貫通孔貫通孔112−1、112−3、112−4、112−5の大きさも同じくすれば(すなわち、e=f=j=m)、貫通孔貫通孔112−1、112−3、112−4、112−5におけるコンデンサの容量変化が同じとなる。このようにすることによって、静電容量の変化量が約4倍に増幅され、音波の検出感度が増大する。
図48は、平面形状(基板面に平行な断面)が円形状(立体的に見れば、円柱形状)であるマイクロホンを示す図である。音波導入用の貫通孔132(132−1)は半径r1の円形状であり、その周囲に半径r2で、幅(厚み)がr2−r1の基板側壁131(131−1)が取り囲んでいる。さらに、その周囲に半径r3で、幅がr3−r2の容量空間となる貫通孔132(132−2)が取り囲んでいる。すなわち、この貫通孔132(132−2)はドーナツ形状となっている。また、貫通孔132(132−1)、基板側壁131(131−1)および貫通孔132(132−2)は同心円状となっている。図48では、絶縁膜等を記載していないが、実際には断面構造は図45と同様であり、絶縁膜や導電体膜の構成も図45〜図47と同様である。図48では、基板111上に形成した薄膜の状態が分かるように一部の薄膜のみ示しているが、薄膜の構成は図45と同じである。
基板側壁131(131−1)の外周には導電体膜135(135−1)が積層され、また貫通孔貫通孔132(132−2)の外周にも導電体膜135(135−2)が積層されている。導電体膜135(135−1)および導電体膜135(135−2)は導通せず、距離r3−r2を有するコンデンサの電極を構成する。(実際には、導電体膜の厚みや他の絶縁膜の厚みも考慮する必要がある。)貫通孔132(132−1)に音波が導入されると、基板側壁131(131−1)は音波の振動に合わせて振動する。この基板側壁131(131−1)の振動に合わせて導電体膜135(135−1)および導電体膜135(135−2)間の静電容量が変化するので、これらの電極間に一定電圧Vを印加すれば、静電容量の変化を検出することができる。すなわち、音波信号を検出することができる。
図48に示すような同心円形状のマイクロホンでは、コンデンサを構成する電極は2つであり、図46や図47に比較すると少なくてすみ、しかもコンデンサを構成する対向電極の面積を大きくできる(単位面積当たり)ので、マイクロホンの感度を高めることができ、非常に効率の良いマイクロホンデバイスを作製できる。図48に示す円形形状の場合には、基板面において等方的であるから、音波信号の検出には好適である。図49は矩形(正方形または長方形)形状のマイクロホンで、コンデンサを構成する電極は2つの場合を示す図である。図46や図47のように電極を分割しても良いが、図49のようにコンデンサを結合して対向電極を2つにすることによって、電極・配線を少なくすることができるとともに、全体の面積を小さくすることができ、さらに全体の静電容量を増大させることができる。従って、単位面積当たりの検出感度を増大することが可能となる。尚、図50では、基板111上に形成した薄膜の状態が分かるように一部の薄膜のみ示しているが、薄膜の構成は図45と同じである。
図45〜図49から分かるように、平面形状(基板面に平行な断面)が他の形状でも良い。たとえば、三角形状、5角形以上の多角形状、あるいは楕円形状でも良い。三角形以上の多角形の場合、正多角形がそれぞれの面における振動による変形が同じまたは類似するので望ましい。図46〜図49では電極取り出し口を記載していないが、図45の断面形状に示すように、基板側壁の上面に付着した薄板にコンタクト孔をあけて、このコンタクト孔に基板側壁の上面にも積層した導電体膜を露出させて電極取り出し口とする。基板側壁上面に積層した導電体膜は基板側壁の側面に積層された導電体膜(たとえば、図48における135−1や135−2)と連続した薄膜である。また、基板側壁の側面、上面、貫通孔底部に積層した導電体膜は必要なパターニングが行なわれる。
図50は、本発明の加速度センサを示す平面図である。基板面に平行な断面図または上面または下面を見た図と考えれば良い。薄膜構造は図45と同様であるが、必要な薄膜のみ示している。図50に示すように、略矩形形状(立体的には略直方体形状)の貫通孔211を中心において、直方体の4つの各側面に平行に基板側壁201(201−1、201−2、201−3、201−4)を挟んで4つの貫通孔213、214、215、216が配置されている。これらの4つの貫通孔213、214、215、216は、幅がp、長さがq、深さがsの略直方体形状の空間であり、中央の貫通孔211は長さがqの正方形で、深さがsの略直方体形状の空間である。また、基板側壁201(201−1、201−2、201−3、201−4)の幅(厚み)はtである。p、q、s、tは各貫通孔や各基板側壁で変えても良いが、その場合は各貫通孔で検出する加速度の大きさを比較するために容量変換回路を用いて換算比較回路を設ける必要があるので、各貫通孔(中央の貫通孔211を除く)や各基板側壁は同じ大きさとした方が良く、p、q、s、tは同じ値とした方が望ましい。
容量空間となるコンダンサ用貫通孔213において、基板側壁側面に形成された導電体膜221はコンデンサ213の一方の電極となり、これと対向する他方の電極である導電体膜222はコンダンサ用貫通孔213の他方の内側面に形成される。これらの2つの電極の間の距離はpであるから、(実際には、貫通孔213内に形成された絶縁膜や導電体膜等の厚みを考慮する必要がある。)2つの電極の間の静電容量Cは、C=ε・ε0・p/(qs)となる。
同様に、容量空間となるコンダンサ用貫通孔214において、基板側壁側面に形成された導電体膜223はコンデンサ214の一方の電極となり、これと対向する他方の電極である導電体膜224はコンダンサ用貫通孔214の他方の内側面に形成される。これらの2つの電極の間の距離はpであるから、(実際には、貫通孔214内に形成された絶縁膜や導電体膜等の厚みを考慮する必要がある。)2つの電極の間の静電容量Cは、C=ε・ε0・p/(qs)となる。
同様に、容量空間となるコンダンサ用貫通孔215において、基板側壁側面に形成された導電体膜225はコンデンサ215の一方の電極となり、これと対向する他方の電極である導電体膜226はコンダンサ用貫通孔215の他方の内側面に形成される。これらの2つの電極の間の距離はpであるから、(実際には、貫通孔215内に形成された絶縁膜や導電体膜等の厚みを考慮する必要がある。)2つの電極の間の静電容量Cは、C=ε・ε0・p/(qs)となる。
同様に、容量空間となるコンダンサ用貫通孔216において、基板側壁側面に形成された導電体膜218はコンデンサ216の一方の電極となり、これと対向する他方の電極である導電体膜219はコンダンサ用貫通孔216の他方の内側面に形成される。これらの2つの電極の間の距離はpであるから、(実際には、貫通孔216内に形成された絶縁膜や導電体膜等の厚みを考慮する必要がある。)2つの電極の間の静電容量Cは、C=ε・ε0・p/(qs)となる。
図51は加速度による基板側壁の変形状態を示す模式図である。横方向をX、縦方向をYとし、加速度αがY方向に働くとする。基板側壁201−4にはこの加速度αによる力F(=mα、mは基板の質量)が働く。基板側壁201−4は周囲がその変形を規制されているが、その内側は規制されていないので、基板側壁201−4が貫通孔216の内部に膨らんだ湾曲形状に変形する。加速度αによる力Fは基板基板側壁201−4の側面においてY方向に均一に作用するので、基板側壁201−4の中心部付近が最も湾曲している。基板側壁201−4のX方向における変位をyとすれば、x=0、qでy=0で、x=q/2でy=y0(最大値)となる。y0はおおよそ以下の関係式で求められる。
y0=β*F*s4/(Et3)
(Eは基板側壁(ダイヤフラム)のヤング率、βはダイヤフラムの縦横比により変化する定数)
従って、貫通孔216の電極218と219の間の電極間距離が変化するので、電極218と219の間の静電容量が変化する(静電容量が増加する)。逆にこの静電容量を測定して、電極間距離を求めて、加速度による力を求め加速度を計算できる。
基板側壁201−4と反対側の基板側壁201−2も加速度αによる力Fが働き、基板側壁201−2も基板側壁201−4と同じ方向に変形する。すなわち、基板側壁201−2は中央の貫通孔211の内部側に変形し、貫通孔214の外側へ変形する。従って、貫通孔214の電極223と224の間の電極間距離が変化するので、電極223と224の間の静電容量が変化する(静電容量が減少する)。逆にこの静電容量を測定して、電極間距離を求めて、加速度による力を求め加速度を計算できる。また、静電容量が、貫通孔214では減少し、貫通孔216では増加する場合、加速度はY方向(図51において、下側から上側)であるということも分かる。すなわち、加速度の向きも分かる。
Y方向の加速度に対して、基板側壁201−1や201−3は変形しないので、貫通孔213や215における静電容量の変化はない。X方向の加速度に対しては、基板側壁201−1や201−3は変形するので、貫通孔213や215における静電容量の変化が起こり、X方向の加速度の大きさや向きを知ることができる。
X方向やY方向に対して一定方向の角度を有する加速度に対しては、4つの基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4のすべてが変形するので、貫通孔213、214、215、216の静電容量が変化する。隣接する貫通孔2個だけの静電容量変化を検出すれば加速度(大きさ、向き)を検出できる。たとえば、貫通孔213と214における静電容量を検出すれば良い。もう2つの貫通孔215と216における静電容量は検出精度を上げるために用いれば良い。
図52は、本発明の加速度センサの断面図である。薄膜構造は図45と同様であるから、一部を省略している。図52は、たとえば、図50におけるC−Dにおける断面図である。基板201の基板面の第1面201−S2および第2面201−S2に垂直な貫通孔211と隣接する貫通孔213または215を隔てる基板側壁201−1または201−3が存在し、基板側壁201−1または201−3は加速度による力によって変形する。貫通孔213には基板側壁201−1上に導電体膜221が形成されている。貫通孔213は容量空間となっており、導電体膜221はコンデンサの一方の電極となる。この導電体膜221に対向するコンデンサの他方の電極となる導電体膜222は、貫通孔213において基板側壁201−1と対向する基板211の内側面に形成されている。導電体膜222が形成された基板201−5は加速度による力では殆ど変形しない。
貫通孔215は容量空間となっており、導電体膜225はコンデンサの一方の電極となる。この導電体膜225に対向するコンデンサの他方の電極となる導電体膜226は、貫通孔215において基板側壁201−3と対向する基板211の内側面に形成されている。導電体膜226が形成された基板201−7は加速度による力では殆ど変形しない。基板201の第1面201−S1上には薄板232が付着し、基板201の第2面201−S2上には薄板231が付着しており、貫通孔211、213、215をカバーしている。貫通孔211、213、215は完全に密閉していても良いし、外部との通気孔234、235、236−1、236−2を設けても良い。完全密閉の場合には、貫通孔内部を真空にしたり、あるいは空気、窒素等を充填しても良い。完全密閉の場合の方が外部環境の変化によって貫通孔内部の変化が小さい。尚、通気孔234、235、236−1、236−2は薄板231や232に形成することができる。
さて、基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4は加速度による力によって変形するが、その力は基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4の質量に依存する。(F=mα)基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4は余り厚くできないので質量を大きくできない。そこで、貫通孔211内へ液体229を入れて、この液体にかかる加速度による力を用いて基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4を大きく変形させることができる。すなわち、基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4を重くしなくても大きく変形させることができる。基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4はできるだけ薄くして変形しやすくして、加速度による力は貫通孔211に入れた液体229によって発生させる。液体は加速度によって加速度方向に配置されている基板側壁を液体に加わる加速度力で押すので、それに対応して基板側壁が変形し、この変形による貫通孔における静電容量が変化する。基板側壁は基板側壁自体に加わる加速度力に加えて液体による力が加わることになる。
液体の質量は大きいほど加速度力が発生する。たとえば、水銀(Hg)は比重が約13.8であり、本発明には最適の液体である。他にポリタングステンナトリウム(比重は、約3〜5)、四臭化アセチレン(比重は、約3)等も使用できる。比重は余り大きくないが水や重油等、種々の液体を使用できる。貫通孔211の薄板232に複数の孔236−1、236−2を空けて、一方の孔236−1から入れて他方の孔236−2から出せば貫通孔211へ液体229を入れることができる。液体229を入れた後で孔236−1、236−2を塞げば、液体229が漏れる心配もない。薄板232を基板201−S1上に付着する前に液体229を貫通孔211に入れても良い。この場合は、貫通孔211の通気孔236−1、236−2を設けなくても良い。液体229は貫通孔211全体に充填しても良いし、一部だけ入れても良い。基板側壁を変形する量と加速度力の大きさに合わせて貫通孔211に入れる量を調整すれば良い。
図53は、中央の貫通孔211の周囲のコンデンサ用貫通孔213、214、215、216がつながった構造を有する加速度センサを示す図である。中央の矩形状の貫通孔211の周囲に基板側壁201−1、201−2、201−3、201−4が取り巻き、その周囲を容量空間となる217(貫通孔213、214、215、216がつながった容量空間を217とする)が取り囲んでいる。容量空間217の内側側面と外側側面は、矩形の各辺において距離pだけ離間している。(基板側壁の厚みはtである。)容量空間217の内側側面と外側側面には電極となる導電体膜218、221、223、225、および216、222、224、226が積層され、コンデンサを形成している。このように容量空間となる貫通孔をつなげることによって、平面的な面積を小さくすることができる。さらに、貫通孔の内側側面上の導電体膜(218、221、223、225)または貫通孔の外側側面上の導電体膜(216、222、224、226)のどちらかは接続することができるので、パターニングが必要がなく電極配線を減らすことができる。すなわち、プロセスを簡略できる。
図53において、基板をシリコンウエハとし、基板面を(100)面としたとき、X方向を<01−1>方向とすれば、Y方向は<011>方向となるから、基板側壁201−1〜4は(011)面となり結晶軸が等価となっている。従って、同じ厚みであれば、同じ加速度に対して各基板側壁の変形量は同じとなるので、計算で換算することなく容易に比較することができる。尚、貫通孔217の外側は厚い基板201(201−5〜8)で囲まれているので、加速度によってこれらの基板は殆ど変化しないので、各容量空間(213、214、215、216)の静電容量変化は、基板側壁201−1〜4の変形によって起こると考えて良い。尚、図53においても絶縁膜等は記載していないが、その構造は図45等に示す場合と同様である。
図54は、断面(基板面に平行な面)が円形状(立体的には円柱状となる)の貫通孔および基板側壁を有する本発明の加速度センサを示す図である。基板301内に中央に円形状(立体的には円柱状)の貫通孔311(半径r5)があり、その周りを半径r6の円形状の基板側壁301(301−2)が取り囲んでいる。さらにその周囲を半径r7の円形状の貫通孔313が取り囲んでいる。貫通孔313は基板301(301−1)で囲まれている。従って、基板側壁301(301−2)は厚みr6−r5のドーナツ形状となっている。また、貫通孔313も幅r7−r6のドーナツ形状の空洞となっている。貫通孔311、基板側壁301−2、貫通孔313は同心円状に配置されている。
容量空間となる貫通孔313の内側側面(すなわち基板側壁301(301−2)の外側面)に導電体膜315が積層され、貫通孔213の外側側面(すなわち基板301(301−1)の内側面)に導電体膜317が積層されている。(尚、薄膜構造は図45等に示す場合と同様で、絶縁膜等も積層されているが、図54では省略する。)
導電体膜317は円周上でほぼ等分の長さで分割されている。たとえば、円周上で長さu1の電極と電極間距離u2でn個に分割されているとすれば、n(u1+u2)=2πr7が成り立つ。導電体膜317の1つの電極を317−1、その隣(時計の周る方向)の電極を317−2、、その隣(時計の周る方向)の電極を317−3とする。導電体膜315および導電体膜317の間でコンデンサを形成している。すなわち、電極317−1や317−2等と導電体膜315の間で容量を測定できる。加速度がないときは、これらの電極間距離wはどのコンデンサでも等しく、w=r7−r6=w0であり(実際は、導電体膜の厚みを考慮する必要がある)、どのコンデンサにおいても容量は等しい(この容量をC0とする)。今加速度を受けて基板側壁301−2が変形したとする。加速度方向が電極317−2の方向であれば、電極317−2に面している側の基板側壁301−2が変形して、電極317−2と導電体膜317との距離がw0より小さくなり、容量がC0より大きくなる。電極317−2に隣接する電極317−1や317−3における静電容量もC0より小さくなるが、電極317−2における静電容量が最も大きくなる。この静電容量の変化量から加速度の大きさを計算できる。すなわち、n個の電極317(317−1〜n)のそれぞれの静電容量を見て、容量が最も大きい箇所の電極の方向が加速度の向きであり、その容量の変化量から加速度の大きさを計算できる。
導電体膜317の分割個数を増やすことによって加速度の向きおよび加速度の大きさをより精度良く検出することができる。貫通孔313の内側側面の導電体膜315を分割して、導電体膜317を分割せずつないでも同様に加速度の向きと大きさを測定できる。あるいは両方の導電体膜315および317を分割しても良い。さらに、貫通孔311内に液体を入れて基板側壁301−2の変形量を増大させても良い。
図55は断面が8角形形状である貫通孔および基板側壁を有する本発明の加速度センサを示す図である。中央の8角形形状の空洞を有する貫通孔333の周囲に8角形形状(立体的には六角柱状)の基板側壁331−2が取り囲み、さらにその周囲を、容量空間となる8角形状の空洞を有する貫通孔334が取り囲み、その周囲は厚い基板331−1が囲んでいる。基板側壁331−2は加速度による力によって変形する。基板側壁331−2の各辺(面)上には導電体膜336が形成され、一方の電極(たとえば、336−1、2)にパターニングされている。容量空間となる貫通孔334の外側側面上に歯導電体膜338が形成され、他方の電極(たとえば、338−1、2)にパターニングされている。
貫通孔334において、内側側面上の電極と外側側面上の電極との間でコンデンサが形成され静電容量を測定できる。たとえば、電極336−1とこれと対向する電極338−1で静電容量を測定できる。尚、どちらかの電極336または338はつながっていても、各領域(各辺(面)に対応する)における静電容量を測定可能である。各辺における変形を直接比較するために、8角形形状は正8角形形状が望ましい。ただし、基板が各方向に対して等方的でない場合には、加速度による力の大きさによって各辺の変形の大きさが異なるので、その相違量を補正して加速度の大きさを計算する必要がある。たとえば、基板が単結晶シリコン(シリコンウエハ)の場合において、基板面が(100)面で、基板側壁331−2の1つの辺(面)(たとえば、331−2−1)が{110}面系であるとき、隣接する面は{111}面系となりヤング率が異なるので、同じ力が加わっても変形量が異なる。従って、コンデンサの容量変化から変形量を求め、さらに変形量から力の大きさを計算するときにこの結晶方位を考慮する必要がある。
このような8角形形状である基板側壁および貫通孔を有する加速度センサを用いれば、8方向の加速度方向を正確に検出することができる。すなわち、最も変形量の大きい(静電容量が大きい)コンデンサを検出すれば(これは極めて簡単である)、その基板方向が加速度の向きとなる。さらに各コンデンサの変形量を精密に分析することにより、方向をもっと細かく検出することもできる。ただし、この加速度の向きをより正確に求めるには、さらに辺を増やしていけば良い。本発明は貫通孔333や334を形成するときのマスクを変更することによって、種々の多角形状の貫通孔および基板側壁を形成できる。正多角形の作製も容易である。たとえば、貫通孔333の外接円の半径を100μmである正100面体の1辺は約6、3μmになるので、問題なくパターニングできる。従って、360°全方位に対して、3.6°の間隔で加速度の向きを正確に検出可能である。さらに他の辺(面)の加速度量もそれぞれ比較することによって、さらに細かい方向を計算することができる。これは、図54に示す円形形状の加速度センサでも同様である。また、中央の貫通孔333に液体を入れて、基板側壁の加速度による変形量を増大することもできる。
次に本発明のマイクロホンデバイスまたは加速度センサデバイスの製造プロセスを示す。本発明のマイクロホンデバイスおよび加速度センサデバイスの基本構造はこれまでに説明したように類似しているので、まとめて説明する。
図56は、本発明のマイクロホンデバイスまたは加速度センサデバイスの製造プロセスを示す図である。図56(a)に示すように、基板401の第1面(表面、または主面と呼んでも良い)401−S1上に絶縁膜402を形成する。基板401は、シリコン(Si)、ゲルマニウム、炭素(或いはダイヤモンド)等の単元素半導体基板、炭化ケイ素(SiC)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、インジウムリン(InP)等の二元素半導体基板、三元系以上の多元系半導体基板、ガラス、セラミック、(絶縁性)プラスチック、(絶縁性)コム、(絶縁性)高分子樹脂等の絶縁性基板、あるいは、金属(鉄、銅、亜鉛、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケル、クロウム、アルミニウム、各種合金)、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性高分子樹脂等の導電体基板である。或いは、これらの基板を重ねた基板、たとえば貼り合わせ基板でも良い。SOI(Silicon On Insulator)基板でも良い。
基板は円形状、矩形状等の形状で、円形状であれば1インチ直径以上、矩形状であれば1インチ□以上であれば実用的であるが、大きいサイズほど取れ個数(チップ)が増える。また他のデバイス、たとえばICやLSIと同じ基板であれば、基板は半導体基板となる。基板の厚みは、0.1mm〜1.0mm程度が扱いやすいが、特に限定されず、0.1mmより薄い基板でも良いし、1.0mmより厚い基板でも良い。
絶縁膜402上に感光性膜404を形成し、露光法を用いて必要な窓開けを行なう。絶縁膜402は、感光性膜404の窓開けをしやすくする目的や、この後の基板401のエッチング時のマスクとなる目的や、あるいは基板401を保護する目的であるが、絶縁膜402がなくてもこれらの目的を実現できれば形成しなくても良い。絶縁膜は、CVDやPVD等で積層するシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)等である。基板がシリコンである場合には熱酸化膜や熱窒化膜でも良い。絶縁膜402の厚みは、上記の目的によって異なるが、約0.1μm〜2μmである。もちろん、上記の目的を達成できれば、これよりも薄くても良いし、厚くても良い。尚、基板401の第2面(裏面または副面とも言う)401−S2上にも絶縁膜403を積層しても良い。特に基板401の反り防止には、第1面と同程度の絶縁膜を形成すると良い。
感光性膜404は、たとえばフォトレジスト膜や感光性シートである。感光性膜404の厚みは、基板401をどの程度の深さまでエッチングするかということや、基板401のエッチング時のエッチング選択比(すなわち、基板401のエッチング速度と感光性膜404のエッチング速度の比)、エッチング速度のバラツキ等によって決定する。たとえば、基板401のエッチング量(貫通孔の深さ、あるいは凹部(貫通孔ではなく、途中で止める場合)の深さで、貫通孔の場合は基板の厚みに相当する)が400μm、基板401と感光性膜404のエッチング選択比が50、絶縁膜402の厚みが1μm、絶縁膜402と感光性膜404のエッチング選択比が10であるとき、まず絶縁膜1μmを完全にエッチングするときに感光性膜404は約0.1μmエッチングされ、基板を400μmエッチングするときに感光性膜404は約8μmエッチングされる。バラツキを10%とすれば、感光性膜404は約10μmの厚みがあれば良い。以上から、基板401と感光性膜404とのエッチング選択比を大きくすることが重要である。
感光性膜404の窓開けは、中央の貫通孔(マイクロホンデバイスでは音波導入用貫通孔)405−1およびコンデンサ用の貫通孔405−2や405−3を形成ずる領域における感光性膜を除去する。感光性膜がポジ型の場合にはこの領域には光をあてて、感光性膜を残す部分に光を当てない。感光性膜がネガ型の場合にはこの逆である。このためのマスクやレチクルを使用して露光する。光には、X線、γ線等の電磁波、紫外線、可視光等を言う。また電子線も含むものとする。感光性膜を露光後、現像液により必要な部分を残し不要な部分を除去して、感光性膜404のパターニングを行なう。感光性膜の形状は、下地のエッチングを感光性膜のパターンにできるだけ忠実に行なうために、垂直形状が望ましい。
次に図56(b)に示すように、感光性膜404をマスクにして窓開けされた領域405−1、2、3等における絶縁膜402のエッチングを行なう。この絶縁膜のエッチングも感光性膜404にできるだけ忠実に垂直なエッチングを行なうことが望ましい。たとえば、シリコン酸化膜(SiOx)のエッチングでは、CHF3ガスや、C2F6+H2ガス等を用いたRIE(反応性ドライエッチング)により垂直パターンに近い異方性エッチングを行なうことができる。
絶縁膜402をエッチングした後、感光性膜404の開口部405−1、2、3等において、露出した基板401をエッチングし、貫通孔406(406−1、406−2、406−3)を作製する。貫通孔406(406−1、406−2、406−3)および基板側壁401−1、401−2はできるだけ正確に形成する必要があるので、略垂直感光性膜パターンに忠実に形成することが望ましい。(サイドエッチングする場合も、サイドエッチング量ができるだけ正確にコントロールされることが望ましい。)基板が単結晶シリコンの場合(いわゆる、シリコンウエハ)、基板側壁401−1および401−2の幅w1は、約1μm〜20μm、貫通孔(または凹部)の深さは約50μm〜1000μmであるから、可能な限りサイドエッチングの少ない垂直エッチングが望ましい。
このようなエッチングとしてたとえば深堀りRIE(DEEP RIE)がある。たとえば高密度プラズマを使い、低温に冷やしてエッチングする方法や、ボッシュプロセス法がある。その他種々の方法も本プロセスに採用できる。基板401をすべてエッチングして貫通孔を形成する場合、オーバーエッチングを10%程度行なうので、絶縁膜403も除去される可能性が大きい。(図56(b)では残している。)従って、貫通孔を形成する場合は、絶縁膜403も含めて完全にエッチングするプロセスが望ましい。この場合、十分なオーバーエッチングを行なうことができるので、基板401の第2面401−S2まで完全に貫通した貫通孔を形成することができる。
貫通孔を形成する場合、基板側壁404−2や404−3はアスペクト比が大きいので、不安定になる場合もあるので、あらかじめ第2面側に薄板410を付着させておくこともできる。この薄板410は、ガラス、セラミック、プラスチック、高分子材料等の絶縁体基板が望ましいが、構造やプロセスを工夫すれば導電体基板や半導体基板でも使用できる。基板401の第2面401−S2に絶縁膜403を形成後に薄板410を付着させても良い。基板401の深堀りエッチングのときに、基板401と薄板410とのエッチング選択比を大きくする条件を用いれば、薄板410をエッチングする量を小さくすることができるので、薄板410にも貫通孔が開くこともない。
基板401に薄板410を付着させる方法として、たとえば接着剤を用いる方法、常温接合や高温融着法、あるいは静電接合など種々の付着方法を使用できる。たとえば、基板がシリコン基板の場合、薄板410としてガラス基板を用いて陽極接合方式で静電接合をすることができる。基板401をエッチングしたときに、感光性膜404がなくならないようにすることが望ましい。ただし、絶縁膜402を形成しておけば、基板401にダメッジが入ることもない。
次にアッシングや感光性膜剥離液等を用いて感光性膜404を除去する。その後、絶縁膜407を形成する。この絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)やシリコン酸窒化膜(SiOxNy)等で、CVD法やPVD法で積層する。熱酸化法を用いても良い。絶縁膜407は貫通孔406(406−1、2、3)の内部にも積層される。次に、導電体膜408を積層する。絶縁膜407は貫通孔406(406−1、2、3)の内部、基板側壁401(401−1,2)や基板401の表面を保護したり、導電体膜408と基板401との電気的接触を防止することなどを目的として積層される。絶縁膜407の膜厚は約0.1〜2.0μmである。上記の目的が達成できれば積層する必要はない。たとえば、基板401が絶縁基板であるときは、貫通孔406(406−1,2,3)を形成した後に、絶縁膜407を形成せずに導電体膜408を積層できる。導電体膜の厚みは約0.1μm〜2.0μmである。貫通孔406の内部まで積層する必要があるので、基板401の表面上はある程度厚く積層する必要がある。
導電体膜408は、アルミニウム、銅、タングステン、ニッケル、チタン、クロウム、金、銀、亜鉛、鉛、スズ等の金属や合金、あるいは窒化チタン、窒化タンタル、導電性多結晶シリコン膜、導電性アモルファスシリコン膜、導電性高分子、導電性ゴム等である。貫通孔406(406−1,2、3)の内部にも積層する必要があるので、CVDやPVD、イオンプレーテイング、メッキ等によって積層することができる。次に感光性膜409を形成し、必要な窓開けを行なう。容量空間となる貫通孔406(406−2、3)において、基板側壁401(401−1、2)側の導電体膜はコンデンサの一方の電極となり、基板側壁401(401−1、2)と対向する貫通孔406(406−2、3)を囲む基板401側の導電体膜はコンデンサの他方の電極となるので、これらの電極間を分離する必要がある。貫通孔406(406−2、3)の底部406−2B、406−3B等に形成された感光性膜409は除去する。また、基板側壁401(401−1、2)側とこれと対向する基板401をつなぐ基板401があるときは、この部分にも導電体膜膜408が積層されているので、この部分における感光性膜409を除去する。コンデンサの電極となる部分や電極を引き出すための配線部分や、その他必要な配線を形成する部分の感光性膜は残しておく。感光性膜409の厚みは約0.1μm〜3μmであるが、貫通孔底部はこれらの値よりも厚くなる場合がある。露光用の光が入る厚みがあれば良い。
また、中央の貫通孔406−1内の導電体膜408は本デバイスでは必要がないので、残しておいても良いし、除去しても良い。中央の貫通孔406−1内の導電体膜408を残す場合には、コンデンサの特性に影響を与えないようにする。加速度センサデバイスの場合には、基板側壁401−1や401−2を重くした方が良いので、コンデンサの特性に影響を与えないように残しておいても良い。感光性膜408を貫通孔内部にパターニングできるように形成するには、たとえば電着法を用いる。あるいは、ドライフィルムを基板表面に付着させてドライフィルムを軟化させて貫通孔内部に入れることができる。あるいは感光性膜をCVD法やPVD法で積層して貫通孔内部の基板側面に形成することもできる。
感光性膜を形成した後、必要な熱処理または環境処理を行なって感光性の感度を高めておき、その後で露光する。貫通孔底部および貫通孔側面(側面がある場合、貫通孔が周囲でつながっている場合には側面はない)の感光性膜を除去すれば良いので、たとえば感光性膜がネガ型であれば、基板側壁401−1および401−2の側に形成された感光性膜、並びに基板側壁401−1および401−2と対向する基板401の側に形成された感光性膜に光を照射する。その他感光性膜を残したい部分に光を当てる。この後現像処理を行なえば、光を照射した部分の感光性膜を残すことができる。ポジ型の場合にはこの逆である。現像処理後必要なベークを行なう。露光は斜め露光法によって行なうことができる。(図56(c))次に、パターニングされた感光性膜をベークする。
次にパターニングされた感光性膜409をマスクにして導電体膜408をエッチングする。エッチングはウエットまたはドライエッチングを行なう。図56(d)は導電体膜408をエッチングし、感光性膜409をリムーブ後の状態を示す図である。貫通孔406−2において、コンデンサの一方の電極となる408−1および他方の電極となる408−2が形成される。また、貫通孔406−3において、コンデンサの一方の電極となる408−3および他方の電極となる408−4が形成される。また、中央の貫通孔406−1内の導電体膜は除去されている。各導電体膜電極はそれぞれ必要な配線が接続されている。
次に、図56(e)に示すように、導電体膜408上に絶縁膜411が積層される。この絶縁膜411は導電体膜408を保護したり、水分等が付着して分離している導電体膜の間が短絡することを防止したりする役目を果たす。絶縁膜411は、たとえばシリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNy)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)等であり、CVD法やPVD法で積層する。絶縁膜411の厚みは約0.5μm〜2μmである。
次に、図56(f)に示すように薄板413を貫通孔406を塞ぐように基板401上に付着させる。この付着は、たとえば接着剤や常温接合等で行なう。特に基板側壁401−1および401−2はこの薄板413で上部を規制される。この結果、基板側壁401−1および401−2は周囲を規制されたダイヤフラムとなり、音波振動や加速度によってこのダイヤフラムが変形する。薄板413は絶縁体基板が望ましいが、導電体膜や半導体基板でも使用できる。絶縁基板として、たとえばガラス基板を用いれば貫通孔内も観察できる。絶縁基板の厚みは約100μm〜1000μmであり、研磨やエッチング等でさらに薄くしても良い。貼り合わせ基板を薄板413として付着した後で、貼り合わせた厚い基板を取り除いて薄い基板を残しても良い。この場合は、上記の100μmよりさらに薄くでき、約10μm程度にすることも可能である。この薄板413は貫通孔を保護する役目も果たす。
薄板413において必要な部分を除去する。たとえば、貫通孔406−1上をカバーしている薄板413には通気孔415(415−1、2)をあける。これらの通気孔415は、内部の圧力が変動しないようにすることが一つの目的である。あるいはこの通気孔415を通して内部に液体を入れることもできる。通気孔415のサイズは約1μm〜10μmであるが、貫通孔406−1の大きさや最適の液体導入口サイズ、最適の音波導入口サイズ、最適の通気口サイズにすれば良い。1つの通気孔415−1から貫通孔406−1内のエアー等を抜きながら、別の通気孔415−2から液体を入れると簡単に貫通孔406−1内へ液体を入れることができる。必要な量だけ液体を入れた後、通気孔415を塞げば、その後に液体が外へ漏れることもない。また音波を貫通孔406−1内へ導入する場合にも最適の通気孔の大きさを選定すれば良い。
貫通孔406−2、406−3をカバーする薄板413にも通気口416(416−1、2)を空けることが望ましい。これらの通気口によって、基板側壁401−1や401−2の変形によって貫通孔406−2、3内の気圧を一定に保持することができる。通気口416(416−1,2)のサイズは約1μm〜10μmであるが、貫通孔406−2、3のサイズに合わせて適宜選択すれば良い。
さらに、外部への電極取り出し領域417(417−1、2)の薄板413も除去しておく。その後、絶縁膜411の必要な部分を除去して導電体膜408のコンタクト部分418(418−1、2)を形成する。このコンタクト418にさらに必要な配線を接続したり、ワイヤボンディングしたり、バンプを接続したりすることができる。薄板413の除去部分415、416、417は薄板413を付着した後、フォトリソ法を用いてパターニングして薄板413の必要な部分をエッチング(ドライまたはウエット)したり、レーザー除去したり、液体ジェット除去などによって除去できる。或いは、あらかじめ必要な部分を窓開けした薄板413を付着させても良い。あるいは、通気孔等は薄板410に設けることもできる。
上記した本発明のデバイスのプロセスから容易に分かるように、基板401がシリコン基板等の半導体基板であるときは、ICやトランジスタ等と一緒に搭載することができる。従って、加速度検出用回路や音波検出用回路などを有するICに本発明のデバイスを直接接続することによって、簡単に加速度や音波を検出できる。しかも、上記した絶縁膜や導電体膜はICやトランジスタに用いられるものと兼用できるので、同じプロセスを採用できプロセス上の負荷も少なく、安価なセンサを作製できる。さらに、貫通孔ではなくシリコン基板内に設けた凹部にすれば、第2面401−S2に付着した薄板410も必要がなくなる。
図57は、コンデンサの電極を形成する別の方法を示す図である。図57に示す実施例では、基板はシリコン等の半導体基板とする。図57に示すセンサの構造は、中央に矩形状(断面が正方形状、立体的には直方体形状)の貫通孔431−1、その周囲に基板側壁421−1、2,3、4を挟んで4つの貫通孔431−2、3、4、5が配置された構造を有する。基板421に貫通孔431(431−1〜5)を形成した後、基板421上に絶縁膜432を形成する。この後絶縁膜上に感光性膜433を形成し、感光性膜433を露光し現像しパターニングする。この状態を示した図が図57である。この後にパターニングされた感光性膜433をマスクにした開口された部分の絶縁膜432をエッチング除去し基板421を露出させ、さらに露出した部分から拡散層を形成するプロセスとなる。
感光性膜433の開口部は容量空間となる貫通孔431(431−2〜5)の周りと、必要な拡散層を形成する部分である。図57は平面図(基板面に平行な上部から見た図)である。貫通孔431−5において、基板側壁421−4の側面431−5−1、これと対面する基板421の側面431−5−2、これらの側面と直交する側面431−5−3、431−5−4の4つの基板側面がある。これらの側面は絶縁膜で被覆されているが、電極となる基板側面431−5−1および431−5−2側の絶縁膜をエッチング除去するためにこの部分の感光性膜を開口する。また、残りの2つの基板側面431−5−3および431−5−4側の絶縁膜はエッチング除去しないので、感光性膜433(433−5−1、433−5−2)でカバーする。貫通孔431−5の底部431−5−5には基板421は存在しない。
薄板を付着させているときは薄板が存在し、その上に絶縁膜432が形成されている。薄板が絶縁体である場合には、絶縁膜432がなくなっても拡散層は形成されたとしても導電性はないので特に問題はない。薄板が半導体の場合は、薄板と基板421との間に絶縁膜を挟んでおけばコンデンサ電極が導通することはない。貫通孔ではなく凹部である場合には、基板421が半導体基板であるから、絶縁膜432がなくなり拡散層が形成されるとコンデンサの電極間が導通するので、凹部431−5の底部431−5−5上の絶縁膜432を残す必要がある。従って、凹部431−5の底部431−5−5上においても感光性膜を形成しておく。
基板421の表面において、基板側壁421−4における貫通孔431−5の側面側の平面421−4−1、これと対向する基板421−8における貫通孔431−5の側面側の平面421−8−1の部分を、図57に示すように開口する。また、これらと接続し配線領域となる部分435、436も感光性膜433は開口しておく。貫通孔431−2〜4においても同様である。
次に、感光性膜433をマスクにして、感光性膜433のない部分における絶縁膜432をエッチング除去する。この絶縁膜432のエッチングはウエットエッチングや等方性ドライエッチングで行なう。絶縁膜432がシリコン酸化膜(SiOx)の場合は、緩衝フッ酸溶液(BHF)や希釈フッ酸溶液等のウエットエッチング、あるいはCF4やC2F6ガス等を用いたプラズマエッチングを使用する。このエッチングによって、感光性膜433のない部分において、半導体基板(たとえば、シリコン基板)が露出する。
次に感光性膜433をリムーブして、半導体基板の導電型と逆の導電型の不純物元素を拡散する。たとえば、シリコン基板がP型の場合は、N型のリン、アンチモン、ヒ素などを拡散する。シリコン基板がN型の場合は、P型のホウ素(B)などを拡散する。これらの拡散方法として、まずプリデポを行なってから拡散用熱処理を行なう方法、不純物元素を含む絶縁膜(たとえば、PSGやBSG)を積層してから拡散熱処理を行なう方法、あるいはイオン注入してから活性および拡散熱処理を行なう方法がある。これらの不純物元素の拡散処理によって、絶縁膜432のない基板が露出している領域(イオン注入拡散法の場合は、絶縁膜432が全部またはある程度残っていても良い。)において、不純物拡散層が形成される。
この不純物拡散層の不純物濃度は、10×1019/cm3〜10×1022/cm3程度であり、抵抗率も約0.02Ωcm以下と小さくなるので、配線や電極として使用できる。この結果、導電体膜を形成しなくても、貫通孔431(431−2〜5)において、基板側壁421(421−1〜4)の側面およびこれらと対面する基板側面が電極となりコンデンサを形成できる。たとえば、貫通孔431−5において、側面領域421−4−1と421−8−1でコンデンサを形成し、拡散配線層435および436に電圧を印加すれば静電容量を測定できる。図57に示す構造では、コンデンサ電極としての導電体膜の積層は不要である。
図58は、円環状の構造を有する本発明のセンサにおいて、拡散層をコンデンサ電極に用いる場合の構造および製造方法を示す図である。本センサは、中央の円形状貫通孔452−1、これを囲む基板側壁451−1、さらにそれを囲む円環状の貫通孔452−2、これを囲む厚い基板を有する。貫通孔452を形成後、絶縁膜455を形成し、さらに絶縁膜455上に感光性膜457を形成している。絶縁膜455は基板451の表面および貫通孔452内部など全面に積層している。感光性膜457は必要なパターニングをしている。
基板側壁451−1は、本実施形態では感光性膜457を形成していない。(現像して除去している。)(尚、基板側壁451−1は、感光性膜457でパターニングする方法もある。)貫通孔452−2の外側を取り囲んでいる基板451−2の側面および表面上に形成された絶縁膜455において感光性膜457をパターニングしている。すなわち、この部分には電極を分割して形成する必要があるので、それに対応した感光性膜457のパターニングを行なっている。また基板451の表面においても配線等を形成するために感光性膜457のパターニングをしている。貫通孔452−2の外側の基板側面およびそれにつながる基板451−2の表面部分451−2−1、2、3、・・・において感光性膜457を除去し、これらの間に感光性膜457のパターン457−1、2、3、4、・・・を形成する。451−2−1、2,3、・・・は互いにつながらないようにする必要がある。この部分が個々のコンデンサの電極となるからである。
感光性膜457をパターニングした後で、絶縁膜455をエッチング除去する。図58に示す実施形態では、基板側壁451−1に形成された絶縁膜もエッチング除去される。図58に示す場合も基板は半導体(たとえばシリコン)であり、基板451の裏面に付着した薄板はガラス基板やセラミック基板等の絶縁体であるから、貫通孔452の底部については絶縁膜455が除去されても特に問題はない。(尚、薄板を付着せずにこのプロセスを行なうこともできる。)感光性膜457がない部分における絶縁膜は除去され半導体基板が露出される。この後の不純物拡散プロセスで、これらの感光性膜457がない部分に不純物拡散層が形成される。尚、イオン注入で不純物元素を半導体基板中に導入する場合は、絶縁膜を一部または全部残しておいても良い。たとえば、451−2−1、2、3、・・・等に不純物拡散層が形成され、これらがコンデンサの一方の電極となる。またこれらの個々の電極・配線は互いに接続しないようにパターニングされている。コンデンサの他方の電極は基板側壁451−1である。多角形形状のセンサ等も同様の構造および方法で不純物拡散層を電極・配線とすることができる。
図59は、本発明の電荷蓄積型センサの構造を示す図である。この電荷蓄積型センサはたとえばマイクロホンに用いることができる。中央の貫通孔511(511−1)の周囲を基板側壁501(501−1、501−2)を囲んでいる。さらにその周囲を貫通孔511(511−2、511−3)が囲んでいる。その貫通孔を厚い基板501(501−3、4)が囲んでいる。貫通孔511(511−2,3)は容量空間となるコンデンサを形成し、その電極は、図57および図58に示した基板501内に形成した拡散層である。たとえば、貫通孔511(511−2)において、基板501(501−3)に形成した拡散層503(503−1)および基板側壁501(501−1)に形成した拡散層503が2つの電極となる。また、貫通孔511(511−3)において、基板501(501−4)に形成した拡散層503(503−2)および基板側壁501(501−2)に形成した拡散層503が2つの電極となる。
拡散層503上に2層の絶縁膜513および絶縁膜515が形成されている。絶縁膜513はシリコン酸化膜(SiOx)で、絶縁膜515はシリコン窒化膜(SiNx)またはシリコン酸窒化膜(SiNyOx)である。さらにこのシリコン窒化(SiNy)膜の上にシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜(SiNyOx)を積層しても良い。このように二層膜または三層膜にすることによって、これらの膜中に電荷(マイナスまたはプラス)をトラップさせて(520で示す)、コンデンサ間に印加する電圧を下げることができる。たとえば、音波による基板側壁501(501−1、2)の変化量が小さい場合には、コンデンサの容量変化が小さくなるので検出が困難であるが、電圧レベルを上げることによって微小な変化量が検出可能となる。しかし、高電圧を外部から供給することは困難であるが、誘電体膜(エレクトレット)中に電荷を蓄積しておけば外部からの高電圧供給は不要となり、1〜5V程度の低電圧で本発明のマイクロホンデバイスを動作させることができる。
コンデンサ電極である拡散層503への電圧供給は、図59に示す拡散層配線を基板表面まで引き出して、絶縁膜513および515にコンタクト孔517を形成してアルミニウム膜やポリシリコン膜等の導電体膜518で接続する。この後、これまでに説明した様に、保護膜となる絶縁膜を積層して、貫通孔511上に薄板をカバーする。シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の誘電体膜(絶縁体膜)513や515に電荷をトラップさせる方法として、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を形成後のプロセスにおいて、X線照射法やコロナ放電法等を用いる方法がある。尚、絶縁膜513をシリコン窒化膜(SiNx)やシリコン酸窒化膜(SiNyOx)とし、絶縁膜515をシリコン酸化膜(SiOx)としても電荷蓄積が可能である。これらの絶縁膜は熱酸化や熱窒化で形成することもできるし、CVD法やPVD法によって積層することもできる。これらの絶縁膜の厚みは、好適には、シリコン酸化膜(SiOx)は50nm〜1000nm、シリコン窒化膜(SiNx)やシリコン酸窒化膜(SiNyOx)は10nm〜1000nmである。
本発明のセンサは、基板としてシリコン等の半導体基板を用いることによって、ICやトランジスタと一緒の基板に搭載することができる。また、貫通孔形成や薄板付着プロセス以外の絶縁膜や導電体膜形成プロセスはICやトランジスタ製造プロセスと同時に行なうこともできる。貫通孔形成プロセスや薄板付着プロセスもICにも兼用することもできる。従って、本発明のセンサの特性(コンデンサの容量特性)を直接ICの演算処理回路へ接続し、音波信号や加速度を算出することもできる。このことは、センサとICを別個に作製し、実装基板にそれらを搭載し、それぞれの電極をワイヤボンディング等で接続する従来の手段と比較すれば、全体のコストを大幅に低減することができる。たとえば、それぞれのチップを作製するコストを低減することができ、実装面積を大幅に縮小でき、良品の判定を2つまとめて行なうことができ歩留まりを大幅に向上することができる。
本発明のセンサは、インプリントプロセスを用いて製造することができる。図60は本発明のセンサのインプリントプロセスによる製造方法を示す図である。これまでに述べた本発明のセンサはICやトランジスタ等の能動デバイスと一緒に基板内に製造するときは、シリコン基板等の半導体基板を基板側壁として用いている。これに対して本実施形態では、半導体基板内に凹部を形成し、その凹部にポリマーを充填して、インプリント法によってポリマー内に凹部(第2凹部)を形成する。この第2凹部がこれまでに述べた加速度センサやマイクロホンデバイスの貫通孔(凹部)に相当する。
図60(a)において、半導体基板611においてIC等の能動デバイスを作製する領域をA、本発明のセンサを作製する領域をBとする。領域Bにおいて、センサを形成する領域において基板611をエッチングして薄くする。これは、本発明のセンサ領域とA領域を同じレベルにすることと、ポリマーを厚く形成しやすくすることが目的である。
図60(a)に示すように基板内の圧電デバイスを形成する領域611のB内に凹部614を形成する。フォトリソ法やインプリント法を用いてレジストパターンを形成して、ウエットエッチングまたはドライエッチングで凹部614を形成する。ポリマーが凹部614内に入りやすくするために凹部に斜面616(破線で示す)を形成しても良い。たとえば基板611が(100)シリコン基板の場合において、KOH溶液でエッチングすると傾斜した斜面{(111)面}を得ることができる。あるいはフッ硝酸系エッチング液によって等方性エッチングが可能であり、またドライエッチングでも等方性エッチングが可能である。
次に図60(b)に示すようにポリマー615を塗布等して凹部614に厚く積層する。ポリマー615を塗布前に基板611上に絶縁膜を形成しても良い。この後熱処理を行ない軟化させて、図60(d)に示すようにこのポリマー615にモールド617の凸状パターン619を押しつける。ポリマー615を硬化させた後モールド617を引き抜くと、基板611内の凹部領域614内の厚く積層したポリマー615内に凹部621が形成される。{図61(e)}このように基板611に凹部(第1凹部)614を形成して、この部分に塗布されたポリマー615内に凹部(第2凹部)621を形成することにより、半導体基板611内にセンサを形成することができる。
図60(b)においてポリマー塗布前に絶縁膜を形成してポリマー615との密着性等を改良しても良い。ポリマー615はシート状のポリマーを付着させて軟化させて基板611内の凹部614へポリマーを入れても良い。凹部(第1凹部)614の深さは、センサの容量空間(第2凹部)の深さまたは中央の空洞(第2凹部)の深さによって決定する。これらの第2凹部の深さをH1としたとき、第1凹部の深さH0はH1より約1〜50μm深くするのが良い。(厳密には、H1には基板表面からの厚み分が加わる。)
ポリマー615は、硬化系から分類すれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂である。たとえば、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル、液晶ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、N−メチルー2−ピロリドン(NMP)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリジメチルシロクサン(PDMS)、ポリイミド樹脂、ポリ乳酸、各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)、あるいはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(VDF/TrFE)共重合体、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン(VDF−TeFE)等の強誘電性高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン−11等の極性高分子等の圧電性高分子など種々の高分子材料である。
これらの材料を溶剤等で溶解した溶液を塗布・滴下してポリマー膜層を作り、必要ならプリベーク等した後にモールドをこのポリマー膜層615に押し入れる。その後、光硬化性樹脂であれば紫外線等の光照射を行ないポリマーを硬化させたり、熱硬化性樹脂であれば硬化温度以上の熱処理でポリマーを硬化させたり、熱軟化性(熱可塑性)樹脂であれば一度軟化温度以上にしてポリマーを軟化させた後軟化温度以下に温度を下げてポリマーを硬化させたりする。あるいは、熱軟化性樹脂シートの場合は、軟化温度以上にしてポリマーを軟化した後モールドを押し入れた後軟化温度以下でポリマーを硬化させる。
すなわち、図60(c)に示すように、凹部形成用のモールドパターン619が形成されたモールド617を基板611の凹部614に形成されたポリマー615にプレスする。たとえば、ポリマー615は熱可塑性樹脂(ガラス転移温度Tg)であり、Tgより高い温度でポリマー615内に押し込む。モールド全体617をポリマー615中に全部入れて押し込んでも良いし、少しの隙間をあけてポリマー615中に入れても良い。隙間をあける場合には、ポリマー615は硬化後体積変化するので、その体積変化を考慮して隙間の間隔を選定する。熱可塑性樹脂として、具体的にはポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセタール(PCM)、ポリプロピレン(PP)各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)、等が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー615は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂でも良いが、一度硬化した後は熱を加えても軟化できないことに注意する必要がある。熱可塑性樹脂の場合は、何度でも軟化できるので、たとえばパターン崩れが発生しても再度軟化させてモールを押し込めば良い。
モールド617のパターン619をポリマー615に押し込んだ後、冷却しTgより低くするとポリマー615が硬化する。その後、モールド617を引き上げると、図60(e)に示すように、ポリマー615内にモールド617のパターン619が転写され、凹部621(621−1、2、3)が形成される。モールドをポリマーに挿入前にモールド表面に離型剤を塗布等しておけばポリマーを硬化後に硬化したポリマーからモールドを分離することが容易となる。
紫外線硬化型のポリマーを用いれば常温でもポリマー615を硬化させることができる。紫外線を照射すると硬化するUVポリマー615を用いて、モールド617および619をポリマー615内に押し込んだ後で、モールド617、619を通して、および/または基板611、絶縁膜613を通してポリマー615を硬化できる波長の光を照射する。この波長の光は紫外線やγ線やX線等が多い。従って、モールド617、619や基板611、絶縁膜613はこれらの光が透過できる材料を用いる。たとえば、ガラス製や石英製である。紫外線照射によりポリマー615が硬化した後で、モールド617および619を引き抜くと、凹部621が形成される。モールド617および619にポリマー615が付着してパターン崩れが発生しないように、モールド617および619をポリマー615に入れる前にモールド617および619の表面に離型剤を塗布しても良い。あるいはモールド617および619の表面にフッ素樹脂等をコーティングしても良い。この後、さらに硬化を確実にするために熱処理を行なう場合もある。
この後、基板611の表面に形成されたポリマー615Sや凹部615の底部に形成されたポリマー615Bを除去しても良い。たとえば、酸素プラズマによる異方性エッチングを基板全面(ポリマー615上面から全面)で行なえば良い。全面異方性エッチングであるから、凹部底部のポリマー615Bだけでなく、ポリマー615Sもエッチングされるので、全体のポリマー615の厚みが減少するが、凹部621の形状やポリマー側壁615(615−1〜3)の形状は維持される。ただし、凹部底部のポリマー615Bを基板内全体で除去するには、オーバーエッチングが必要となる。先にポリマー615Bがエッチングされた所は、下地の絶縁膜613(絶縁膜613がない場合は基板611)が露出するが、絶縁膜613や基板611がシリコン酸化膜系であれば酸素プラズマでは殆どエッチングされないし、シリコン窒化膜系でも余りエッチングされない。一方ポリマー上面はエッチングされるので、余りオーバーエッチングを行なうと凹部深さH1が減少する。従って、オーバーエッチング量を小さくするために、酸素プラズマによるポリマーの異方性エッチング量のバラツキを小さくすると同時に凹部底部のポリマー615Bの厚みをできるだけ小さくする必要がある。モールドパターン619の深さバラツキを小さくするとともに、モールド本体617の平坦度のバラツキも小さくし、さらにモールドのプレス圧力が基板全体で均一になるようにする。モールドのプレス圧力が基板全体で均一にするには、モールドパターン619を基板全体で均一に配置しておくと良い。さらに、凹部底部のポリマー615Bがエッチングされ下地が露出し始めると、CO等の反応種が少なくなるので、その量をセンシングしてエンドポイントを決めることもできる。
中央に形成された凹部621−1は、マイクロホンであれば音波導入用であり、加速度センサであれば加速度を受ける部分または液体を入れる部分である。この中央の凹部621−1を囲んでポリマー基板側壁615−1、615−2が配置される。このポリマー基板側壁615−1、615−2が音波や加速度によって変形するダイヤフラムとなる。その外側に容量空間となる凹部621−2、621−3があり、この容量空間を囲んでポリマー基板615−3、615−4が存在する。これらのポリマー基板615−3、615−4は半導体基板611に規制されているので、加速度や音波によっても殆ど変形しない。このように基板凹部(第1凹部)内に形成されたポリマー中へ形成された凹部(第2凹部)を用いた本発明のセンサは、これまでに説明した基板内に形成した貫通孔や凹部を用いた本発明のセンサと構造は同じである。尚、ポリマー内の凹部はインプリント法で形成したが、通常のフォトリソ法およびエッチング法でも形成できることは言うまでもない。
この後のプロセスはこれまでに説明した本発明のセンサ製造プロセスと同様である。すなわち、図60(f)に示すように凹部621および基板上に絶縁膜623を形成する。この絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等でCVD法やPVD法で積層する。絶縁膜の厚みは約0.1μm〜1.0μmである。次に導電体膜625を積層し、所望のパターニングを行ない、電極・配線625(625−1、2、3、4)を形成する。導電体膜625は、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、金、白金、チタン、タングステン、モリブデン、クロウム、タンタル、鉛、スズ等の金属、またはこれらの合金、その他の各種合金、あるいは導電性ポリマー等であり、PVD法やCVD法、イオンプレーティング法、メッキ法等で形成する。絶縁膜623は導電体膜625との密着性向上や絶縁性確保の目的であるが、ポリマー615は絶縁体であるため、これらの目的が達成できれば、絶縁膜623は不要である。導電体膜の厚みは約0.1μm〜2.0μmである。導電体膜のパターニングはこれまでに説明したように、電着法や、感光性シートを用いる方法、感光性膜をCVD法やPVD法で形成する方法、あるいは通常の塗布法などで行なうことができる。
凹部621−2において、電極・配線625−1と625−2でコンデンサを形成する。また凹部621−3において、電極・配線625−3と625−4でコンデンサを形成する。次に絶縁膜627を積層する。この絶縁膜は導電体膜625を保護するためで、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等でCVD法やPVD法で積層する。この絶縁膜の厚みは約0.1μm〜2μmである。次に薄板629を付着させ、凹部621をカバーする。必要な開口部および通気孔631、632を形成する。あらかじめ開口部および通気孔631、632を形成した薄板629を付着しても良い。薄板の厚みは、付着前は好適には約0.05mm〜1mmであるが、付着後に研磨や貼り合わせ基板を用いた方法でもっと薄くすることもできる。
基板611の表面の薄板の開口部632の領域で、必要な場合には絶縁膜627に窓開けを行ないコンタクト孔633を形成する。このコンタクト孔に再配線をしても良いし、ワイヤボンドやバンプを形成して、他のデバイスと接続することもできる。また導電体膜625は、半導体基板に作製した他のデバイス(トランジスタ、IC、抵抗等)と兼用も可能なので、本発明のセンサ電極・配線とこれらのデバイスの配線と直接接続することも可能である。
ポリマー内に形成した本発明のコンデンサにおいて、(ポリマー)基板側壁615−1や615−2はポリマーであるから、シリコン等の半導体基板と比較するとヤング率が非常に小さい。(シリコンのヤング率約130GPa、ポリマー約0.1〜5GPa、ゴム約0.01〜0.1GPa)前述した式{y0=β*F*s4/(Et3)}から分かるように、基板側壁の変形量はヤング率に反比例するので、ヤング率の小さな材料を使用すれば、コンデンサ容量の変化量を大きくすることができる。あるいは同じ変化量にするためにサイズを小さくできる。たとえば、PETではヤング率が約3GPaであるから、シリコンのヤング率(約130GPa)の1/40である。
図60に示すインプリント法を用いた本発明のセンサの製造方法は、基板内に作製した凹部内のポリマーだけでなく、基板上に作製したポリマーにも使用できることは言うまでもない。
図61は、本発明の加速度センサの別の実施形態を示す図である。本実施形態は、基板に導電体基板を用いて、導電体基板内に貫通孔を形成し、その貫通孔を上下の絶縁体基板(薄板)でカバーするものである。導電体基板711に平行な平面図である図61(a)に示すように、導電体基板の基板側壁711(711−2)と導電体基板の基板側壁711(711−3)が平行に配置され、これらの基板側壁の間の貫通孔712(712−1)が容量空間となり、これを挟んで対向する基板側壁711(711−2)と711(711−3)が電極となり、コンデンサを形成する。
図61(b)は、図61(a)における基板側壁711(711−2)と711(711−3)に垂直な方向717の断面図を示す図である。これらの基板側壁711(711−2)と711(711−3)の下面は絶縁体基板713が付着しており、上面は絶縁体基板714が付着している。絶縁体基板714には各基板側壁711(711−2)と711(711−3)と付着している領域の一部にそれぞれコンタクト孔716、718が形成され、コンタクト孔内およびその上にそれぞれ導電体膜717、719が形成され電極・配線を形成している。(図61(a)では、コンタクト孔7、導電体膜は破線で示す。)各基板側壁711(711−2)と711(711−3)は貫通孔712を挟んでセンサパッケージ(センサPKG)の枠基板711(711−1)に囲まれている。
図61から分かるように、基板側壁711(711−2)、711(711−3)、および枠基板711(711−1)は基板711内では完全に分離していて、上下面が絶縁体基板714、713に付着した構造となっている。従って、これらの基板側壁711(711−2)、711(711−3)、および枠基板711(711−1)は電気的に接続していない。加速度を受けないとき、基板側壁711(711−2)および基板側壁711(711−3)の対向面は平行になっているので、基板側壁711(711−2)および基板側壁711(711−3)は電極間距離dがd1の平行平板型のコンデンサ電極となっている。一方の電極となる基板側壁711(711−2)はコンタクト孔716を通じて導電体膜電極・配線717と接続し、他方の電極となる基板側壁711(711−3)はコンタクト孔718を通じて導電体膜電極・配線718と接続しているから、導電体膜電極・配線717および導電体膜電極・配線718に一定電圧を印加すれば、静電容量Cを測定できる。電極間距離dがd1のときの静電容量C0は、電極面積をS0とすれば、C0=ε・ε0・S0/dとなる。(基板側壁の長さをkとすれば、S0=keである。)
基板側壁711(711−2)の側面に垂直方向(717の方向)の加速度を受けて基板側壁711(711−2)に力が加わると、基板側壁711(711−2)は上下面だけが絶縁体基板714および713に規制され(他の規制はない)、かつ、基板側壁711(711−2)の厚み(幅)n(n1)が薄い(基板厚みeに対して薄い。たとえば、基板がシリコン基板であり、e=500μmであるときは約100μm以下)ので、基板側壁711(711−2)は湾曲する。この基板側壁711(711−2)と対向する基板側壁711(711−3)の厚み(幅)m(m1)は厚い(基板厚みeに対して厚い。たとえば、基板がシリコン基板であり、e=500μmであるときは約100μm以上)ので、基板側壁711(711−2)の変形量に対して殆ど変化がない。従って、電極間距離dはd1から変化し、たとえば図61において左向きの加速度ならばd<d1となるから、コンデンサ容量が大きくなり、右向きの加速度ならばd>d1となるから、コンデンサ容量が小さくなる。(尚、基板側壁711(711−2)は湾曲しているので、dは一定ではなく、容量計算では積分して計算した値と、実測値から加速度の大きさを求める。)
導電体基板711はたとえば、不純物濃度が高いシリコン基板である。N型シリコン基板では不純物濃度が1019/cm3以上になると抵抗率が0.01Ωcm以下となるので導電体基板と考えて良い。また、P型シリコン基板では不純物濃度が2×1019/cm3以上になると抵抗率が0.01Ωcm以下となるので導電体基板と考えて良い。あるいは、他の半導体基板でも抵抗率が低いものを使用することができる。導電体基板711はあるいは、銅、アルミニウム、鉄、チタン、ニッケル、亜鉛、鉛、スズ、銀、金、タングステン、モリブデン、タンタル、コバルト等の金属や合金である。導電体基板711はあるいは、導電性ポリマー等や、グラフェンやカーボンナノチューブ等も使用できる。導電体基板でない場合でも、貫通溝を形成後、貫通溝の周りに導電体膜を積層することによって、同様の構造の圧力センサを作製できる。
図61に示す加速度センサでは、一方向の加速度しか検出できないが、このような構造のセンサを種々の方向へ合わせて作成すれば、種々の方向の加速度を検出できる。たとえば、基板側壁711−2および711−3のコンデンサを一組として、これらを種々の方向を有するように配置し、それら全体を枠基板711−1のような枠で囲めば、種々の方向の加速度を検出する加速度センサPKGを作製できる。尚、図61(b)に示すように通気孔721をあけておけば外界との圧力差をなくすことができる。たとえば、加速度によって内部の気圧が変化する場合があるが、これらの変化を小さくすることができる。しかし、水分等の浸入が予想される場合には、このような通気孔721をあけずに完全密閉した貫通孔空間712を作製できるので、耐環境性に優れた加速度センサPKGを実現できる。内部の気圧変化をなくすために、貫通孔空間712を真空に完全密閉すれば良い。これは、薄板713および714を基板711に付着して密閉するときに、真空中でプロセス(付着工程)を行なうことによって実現できる。
破線で示す715はスクライブラインであり、たとえばシリコンウエハに本発明の加速度センサPKGを多数(図61に示すパターンをつなげてゆく)作製し、このスクライブライン715に沿ってたとえばダイシングソーやダイサーでチップ化すれば良い。
図62は、導電体基板を使用した加速度センサの別の実施形態を示す図である。本実施形態は、図53で説明した実施形態と類似するが、導電体基板を使用するため基板側壁上に導電体膜を形成しなくても良い。従って、図61で説明した場合と同様にプロセスが非常に簡単である。図62に示すように、中央に断面が矩形状(好適には断面形状が正方形形状)の角柱形状の貫通孔732(732−1)が存在し、その貫通孔732(732−1)の周りに相似形の基板側壁731(731−2)が囲み、さらにその周りに貫通孔732が取り囲んでいる。断面が矩形形状の基板側壁731(731−2)の4つの各面731−2(731−2−1、2、3、4)に対して、貫通孔732を挟んで、厚い基板側壁731(3、4、5、6)が配置されている。これらの基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)と厚い基板側壁731(3、4、5、6)は対向電極となり、貫通孔732(732−2、3、4、5)を容量空間とするコンデンサを形成する。
基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)は厚み(幅)が薄いので加速度に伴う力によって変形するが、これらの基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)と対向する基板側壁731(731−3、5、4、6)は厚み(幅)が厚いので加速度に伴う力によって殆ど変形しないので、これらのコンデンサの容量が変化する。基板731の上下に絶縁体基板(薄板)739、738が付着しており、基板側壁731(731−3、5、4、6)上に付着した絶縁基板(薄板)739に開けられたコンタクト孔736(736−2,3等)に積層されパターニングされた導電体膜・電極・配線737(737−2,3等)と、基板側壁731−2上に付着した絶縁基板(薄板)739に開けられたコンタクト孔736(736−1)に積層されパターニングされた導電体膜・電極・配線737(737−1)との間に一定電圧を印加すれば、これらのコンデンサの個々の容量変化を測定できる。
図62に示すコンデンサは90度間隔で4つ配置されているので、これらの4つの方向は確実に加速度を検出することができる。その他の方向についても、それぞれのコンデンサの容量の大きさを比較することによって、ある程度まで正確に加速度の向きを検出することができる。その向きをさらに正確に求めるには、矩形形状よりも多角形形状としていけば良い。尚、加速度によって、厚い側壁を有する基板側壁731(731−3、4、5、6)をできるだけ変形させないようにするために、図62(a)に示すように、コンデンサ電極面積に関与しない部分をたとえば破線で示すような領域まで広げて、基板側壁と絶縁基板738および739との付着面積を増大させると良い。これらの厚い側壁を有する基板側壁731(731−3、4、5、6)の外側に貫通孔732をはさんで枠基板731(731−1)が取り囲んでいる。尚、必要な場合には、図62(b)に示すように、貫通孔に通気孔741、742を形成することもできる。(図62(b)は、図62(a)における一点鎖線735に沿った断面図である。ただし、図62(a)では、通気孔、コンタクト孔、導電体膜・電極・配線は記載していない。)
中央の貫通孔732−1に重い液体を入れることによって、前述したように、加速度の検出感度を大きくすることができる。基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)は全体が同電位となっているので、液体が導電性を有するものでも問題ない。液体の重さに対する力(F=mα)が基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)に作用するので、加速度による変形量が大きくなる。
尚、図62においては4つの厚い基板側壁を使用しているが、これらのうちの1つ、または2つ、または3つでも加速度を検出できることは当然である。
図62に示す構造は、図45に類似する構造とすることによってマイクロホンデバイスにも使用することができる。すなわち、中央の貫通孔732へ音波を導入することによって、基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)を振動させ、その振動に伴い基板側壁731−2(731−2−1、2、3、4)と、これと対向する基板側壁731−3、5、4、6)との間のコンデンサの容量が変化する。この信号変化を測定して音波を検出することができる。すなわちマイクロホンデバイスとなる。中央の貫通孔732−1をカバーする絶縁体基板738、または739の一部または全部に音波導入用の開口部を設けて音波が貫通孔732−1に効果的に導入されるようにする。また基板側壁732の外側の貫通孔732(732−2、3、4,5、6)にも振動した空気が抜けやすいような空気抜け孔を設けることが望ましい。ただし、貫通孔732(732−2、3、4,5、6)が真空の場合には空気振動はないので、(当然だが)このような孔は必要はない。尚、マイクロホンデバイスの場合も、厚い基板側壁731(3、4、5,6)は1つでも、2つでも、3つでも良い。また、これらの基板側壁は接続していても音波検出は可能である。さらに枠基板731−1とこれらの基板側壁とは接続しても良い。また、マイクオホンデバイスでは加速度の力はかからないので、余り厚くする必要がないので、これらの基板側壁および枠基板を小さくできる。
図63は、本発明の加速度センサの別の実施形態を示す図である。本実施形態では、中央の貫通孔は断面が円形形状の円柱形状であり、その半径はr1である。その周りを断面が半径r2の円形形状の円柱形状を有する基板側壁751(751−2)が囲んでいる。従って基板側壁751(751−2)の厚み(幅)はr2−r1である。そのまわりを断面が半径r3の円形形状の円柱形状を有する貫通孔752(752−2)が囲んでいる。この貫通孔752を内側面の断面形状が円形の円柱形状であって、幾つかに分割された厚い基板側壁751(751−3、4、5、6、7、8、9、10)が取り囲んでいる。これらの基板側壁751(751−3、4、5、6、7、8、9、10を貫通孔752が取り囲んでいて、その周りを枠基板751(751−1)が囲んでいる。図63は平面構造であるが、断面構造は図61や図62と同様である。基板751は導電体基板であり、円環状の一方の電極751−2とこれと対向する半径r3の円形状の側面電極である基板側壁751(751−3、4、5、6、7、8、9、10)とは容量空間を752−2とするコンデンサを形成している。
加速度がないときは、基板側壁751−2は変形しないので、コンデンサ電極間距離はr3−r2となる。加速度を受けると円環状の基板側壁751−2が変形する。加速度方向にある基板側壁751−2の変形が大きくなるので、その変形の大きい部分と対向する厚い基板側壁751(751−3、4、5、6、7、8、9、10)のうちのどれかのコンデンサ容量が大きく変化する。この変化方向が加速度の方向であり、コンデンサ容量の変化量から加速度の大きさが分かる。ただし、これだけでは加速度の方向は、分割した基板側壁751(751−3、4、5、6、7、8、9、10)のどれかの方向であり、一定の幅がある。そこでもっと正確な方向を知るには、隣接する基板側壁電極におけるコンデンサ容量を比較して求めることができる。もっと正確に知るには、円環状の電極751−2に対向する外側の電極をもっと細かく分割すれば良い。図63では8分割している。また、前述したように、中央の貫通孔に重い液体を入れておけば、基板側壁751−2の変形量が大きくなるので、加速度に対する検出感度を高めることができる。
r1=100μm、r2=20μm、r3=150μmとして、全体のパッケージサイズ(枠基板のサイズ)を0.5mm×0.5mm×0.4mm(厚み)とすれば、約6万個の加速度センサのチップパッケージを得ることができる。
尚図63に示す構造もマイクロホンデバイスに使用できる。すなわち、円柱形状の貫通孔752−1を音波導入孔とすれば良い。外側の対向電極は分割しなくても良い。さらには枠基板と接続することもできるし、加速度による変形を考慮する必要はないので、外側の対向電極をもっと小さくできるので、枠基板の大きさ、すなわちチップPKGももっと小さくすることができる。
次に導電体基板を用いた本発明の力量センサを作製するプロセスを説明する。図64は導電体基板を用いた本発明の力量センサを作製するプロセスの製造方法である。図64(a)に示すように導電体基板811は上面(第1面)811−Sおよび下面(第2面)811−Bを有する。導電体基板811の下面811−Bに絶縁体基板813を付着する。導電体基板811に直接付着できない場合(たとえば、接着剤と基板との密着性が不十分な場合)には、たとえば絶縁膜812を積層した後に絶縁体基板813を付着する。この付着方法は接着剤を用いる方法、常温接合方法、高温(融着)接合方法、あるいは静電接合(陽極接合)などがある。導電体基板811の厚みは、力量センサの特性(基板側壁の変形量)などによって決定されるが、たとえば0.1mm〜2.0mmの厚みである。絶縁膜812はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などである。
この絶縁体基板813は貫通孔を形成したときに基板側壁を保持する役割を果たす。また貫通孔をエッチングして形成した時のエッチングストッパーとなる。次に導電体基板811の上面811−S上に貫通孔形成用の感光性膜815をパターニングする。導電体基板811上に感光性膜815を形成し、フォトリソ法によって貫通孔を形成する領域を開口する。基板側壁を形成する領域は感光性膜を残す。感光性膜815を直接導電体基板811に形成できない場合(たとえば、感光性膜815と導電体基板811との密着性が悪い場合や感光性膜815が貫通孔を形成時にエッチングされなくなるかパターン形状が悪くなる場合)、導電体基板811上に絶縁膜814を形成しても良い。感光性膜815の厚みは、貫通孔形成時の導電体基板811と感光性膜815のエッチング選択比によっても決定されるが、エッチング選択比がmの場合導電体基板811の厚みの1/m以上の厚みが必要となる。たとえば、導電体基板811の厚みが500μm、m=50の場合、感光性膜の厚み(感光性膜815をパターニング後の熱処理した後、すなわちエッチング直前の厚み)は10μm以上必要である。
感光性膜815をパターニング後熱処理して感光性膜815を硬化した後、感光性膜815のない開口部にある導電体基板811をエッチングする。このエッチングは異方性エッチングで最初の感光性膜815のパターン通りに形成することが望ましい。感光性膜815のパターンも垂直か垂直に近い形状が望ましく、導電体基板811を垂直か垂直に近い形状にエッチングする。絶縁体膜814が存在する場合は絶縁体膜814も垂直パターン形状にエッチングすることが望ましい。導電体基板811がシリコン基板(低抵抗)であるときは、ボッシュ法や誘導結合プラズマRIE法(ICP−RIE)、電子サイクロトロン共鳴RIE(ECR−RIE)法などを使用することができる。エッチング後の断面形状模式図が図64(b)である。
導電体基板811が深さ方向(基板面に垂直方向)に全部エッチングされると、絶縁体基板813が露出する。(絶縁膜812が介在する場合は、絶縁膜812が露出し、オーバーエッチングによって絶縁膜812が深さ方向に全部エッチングされると絶縁体基板813が露出する。)導電体基板811と絶縁体基板813(または絶縁膜812)は異なる材質であるから、エッチングガス等の条件を的確に選定すれば、導電体基板811と絶縁体基板813とのエッチング選択比(これをnとする)を充分大きく取れる。通常貫通孔を完全に形成(基板内の貫通孔を全部)するには、オーバーエッチングとして基板厚みの5%〜20%は必要であるから、たとえば基板厚みを500μmとすれば、25μm〜100μmの基板811がエッチングされる計算となる。n=50とすれば、オーバーエッチングによって、絶縁体基板は0.5μm〜2μmエッチングされる計算となる。絶縁体基板813の厚みは10μm〜500μm、好適には50μm〜200μmであるから、絶縁体基板に孔が開くことはない。また絶縁膜812がある場合、絶縁体膜812の厚みは0.1μm〜2μm程度であるから、絶縁体膜812は全部エッチングされる場合もある。
この導電体基板811のエッチングによって、貫通孔816(816−1、2、3、4)は形成される。これらの貫通孔816(816−1、2、3、4)は、たとえば図62における貫通孔732(732−1、2、3)、732などに対応する。また、基板側壁811(831−1、2、3、4)は、たとえば図62における基板側壁731−2、731−3、731−5、731−1などに対応する。貫通孔816が形成された後感光性膜815をリムーブし、必要なら絶縁膜814をエッチングする。その後、図64(c)に示すように、必要な場合は導電体基板811の表面(貫通孔内の露出した基板面を含む)を保護するために絶縁膜818を積層し、絶縁体基板821を基板811の上面に付着させる。この付着方法も絶縁体基板813の付着方法と同じ方法で行なうことができる。絶縁膜818の厚みは0.1μm〜2.0μm程度である。絶縁膜814をエッチング除去し、絶縁膜818を積層せず、直接導電体基板811に絶縁体基板818を付着させても良い。たとえば、導電体基板811がシリコン基板で絶縁体基板がガラス基板であるときは、陽極接合法によって、強固に付着することができる。
次に、図64(d)に示すように、絶縁体基板821や絶縁膜818、814にコンタクト孔823(823−1、2)を空けて、導電体基板811の上面を露出させた後、これらのコンタクト孔823に導電体膜を積層し、導電体膜・電極・配線パターン824(824−1、2)を形成する。これらの2つの導電体膜・電極・配線パターン824(824−1、2)の間で、容量空間を貫通孔816(816−2)とするコンデンサが形成される。また、貫通孔816への通気孔822(822−1、2)を絶縁体基板に開けることもできる。絶縁体基板821にコンタクト孔や通気孔を形成する方法として、フォトリソ法を用いてドライエッチングやウエットエッチングで形成する方法がある。絶縁体基板821がガラス基板である場合、ドライエッチングではCF4やC2F6等のガスを用いたプラズマエッチングがある。ウエットエッチングではHF系のエッチング液を用いてエッチングすることができる。あるいは、レーザーや高圧水流を用いて絶縁体基板に窓開けを行なう方法もある。尚、事前にコンタクト孔や通気孔を形成した絶縁体基板を付着しても良い。この方法によれば、絶縁体基板にコンタクト孔や通気孔を形成するプロセスは別工程となるので、プロセス時間を短縮できるというメリットもある。さらに通気孔825を絶縁体基板813に形成することもできる。
以上のようなプロセスで本発明の導電体基板を用いたセンサ(たとえば、加速度センサやマイクロホンデバイス)を作製できる。このプロセスは非常に短いのでプロセスコストも非常に小さくなる。
図65は絶縁体基板または半導体基板を用いた本発明のセンサを形成する方法を示す図である。図64と異なるのはコンデンサ電極・配線となる導電体膜を形成するプロセスを使用することであるが、プロセスは非常に簡単である。図64と類似するプロセスが多いので詳細なプロセスの説明は省略するが、図64で説明した内容から簡単に類推できる。図65(a)に示すように、基板911の下面911−Bにサポート基板913を付着させる。必要な場合には絶縁膜912を介在させる。基板911の下面911−Sに感光性膜915を形成し、貫通孔形成用のパターニングをフォトリソ法により行なう。必要な場合には絶縁膜914を介在させる。感光性膜914は感光性シート膜(ドライフィルム)を付着したり、あるいは感光性膜を塗布した後、熱処理(プリベーク)して形成する。基板911は絶縁体基板または半導体基板である。(導電体基板でも良いが、導電体基板の場合は図64で例示した方法でプロセスできる。)絶縁体基板として、たとえば、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、高分子樹脂基板、プラスチック基板、ゴム基板などである。半導体基板として、たとえば、シリコン基板、ゲルマニウム基板、炭素(ダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノチューブ等を含む)基板等の単元素基板、炭化ケイ素(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、窒化ガリウム(GaN)等の二元元素基板、その他三元系以上の多元素基板等である。
次に図65(b)に示すように、基板911をエッチングして貫通孔916(916−1、2、3、4)を形成する。これによって基板側壁911(911−1、2、3、4)を形成できる。次に感光性膜915をリムーブした後、図65(c)に示すように、基板911上に絶縁膜918を積層する。絶縁膜914は除去しても良いし、残しておいても良い。絶縁膜918はシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒化膜等であり、CVD法やPVD法、あるいは熱酸化法や熱窒化法で形成する。基板911が絶縁体基板であり、この後で形成する導電体膜との密着性が良い場合には、この絶縁膜918を形成しなくても良い。絶縁膜918の厚みは、100nm〜2000nmである。貫通孔916内にも絶縁膜が形成される。次に導電体膜919を積層する。導電体膜919は、たとえば低抵抗多結晶シリコン(PolySi)、各種シリサイド膜、各種金属膜、各種合金膜、導電性ポリマー、導電性ゴム、導電性炭素(導電性カーボンナノチューブやグラフェンを含む)であり、CVD法、PVD法、イオンプレーティング、メッキ等で形成する。導電体膜919の厚みは、100nm〜2000nmである。導電体膜919は貫通孔916の内部にも積層するが、貫通孔916の側面全体に積層されることが望ましい。
導電体膜919は貫通孔916の底部932にも積層するが、この部分の導電体膜919をエッチング除去する必要がある。その方法として、図65(c)に示すように感光性膜930を形成し、貫通孔916の部分に感光性膜930が存在しないように感光性膜をパターニングする。この方法として、たとえば感光性ドライフィルム930を基板911上の導電体膜918上に付着させて、フォトリソ法によって貫通孔916の部分に感光性膜930が存在しないようにする。感光性ドライフィルム930がネガタイプの場合、感光性膜930を残す部分、すなわち基板側壁上面(基板上面)に光を照射すれば良い。感光性ドライフィルム930がポジタイプの場合は、感光性膜930を除去する部分、すなわち貫通孔上部を覆っている感光性膜930に光を照射すれば良い。ドライフィルムの場合は、貫通孔上部でも膜厚が余り厚くならず、プリベーク(感光性膜を露光する前に行なう熱処理)しても貫通孔内部に余り入っていかない。
感光性膜930が塗布膜やディップ膜の場合は、貫通孔916内部にも感光性膜が入り貫通孔916で厚くなっている。従って、ネガタイプの感光性膜(レジスト)が良く、厚みの安定している基板上面において露光するだけで良く、厚みの厚い感光性膜を有する貫通孔916内には露光する必要がないので、簡単に所望のパターンを形成できる。基板上面では導電体膜919を電極、配線としてのパターニングも必要であるから、そのためのパターンも形成する。尚、ポジタイプの感光性膜(レジスト)の場合は、貫通孔916内の厚いレジスト内にも露光する必要があるので焦点深度の大きい光を照射することによって、貫通孔内の感光性膜を除去することができる。
次に図65(d)に示すように、感光性膜930のエッジを垂れさせる熱処理を行なう。この熱処理によって基板側壁911(911−1、2、3、4)等の上面をカバーする感光性膜930が軟化して、感光性膜930のエッジが垂れて貫通孔916(916―1、2、3、4)の内側面側の上部に積層している導電体膜919を覆う(垂れた感光性膜931で示す)。レジストの軟化温度は、たとえば150℃〜200℃であり、この温度以上で熱処理することによって感光性膜930のエッジを垂れさせることができる。この後基板911の上面側から基板面に対して垂直に導電体膜を異方性エッチングする。たとえば、導電体膜がアルミニウムの場合、反応性イオンエッチング(RIE)装置を用いて塩tatoeba素系ガス(たとえば、Cl2やBCl3)によって垂直エッチング(異方性エッチング)できる。たとえば、導電体膜がタングステンシリサイドや低抵抗PolySiの場合、反応性イオンエッチング(RIE)装置を用いてたとえばハロゲン系ガス(たとえば、Cl2、SF6、HBr)によって垂直エッチング(異方性エッチング)できる。
この導電体膜の垂直エッチングによって、貫通孔916内の底部932に積層している導電体膜919がエッチング除去される。感光性膜930でカバーしている導電体膜の部分は当然にエッチングされない。貫通孔916の内側面に積層している導電体膜は、感光性膜で被覆されていないが、基板面に対して垂直になっているので、横方向からはエッチングされないから、エッチング後もエッチングされずに残っている。貫通孔内側面の上部に存在する導電体膜919は感光性膜がなければ当然エッチングされるが、感光性膜930のエッジ付近は垂れていて、この部分にある導電体膜919は、この垂れた感光性膜919に被覆されているので、この部分もエッチングされない。垂直方向にエッチングイオン種が貫通孔916内に突入してきても、この垂れた部分931がマスクとなり、貫通孔916の側面に被覆した導電体膜919はエッチングされない。尚、基板側壁911の上面に形成する感光性膜パターンを少し大き目に形成すれば、貫通孔916の内側面の廂領域が増えるので、貫通孔916の内側面上に積層した導電体膜919はやはりエッチングされにくくなる。この場合も感光性膜を垂れさせる熱処理を行なえば、確実に貫通孔916の内側面上部の導電体膜919を感光性膜で確実に覆うことができる。
導電体基板ではない場合でも平面的パターンは図61(a)、図62(a)、図63に示す形状と同じであるから、導電体膜919を積層後は、コンデンサ電極となる基板側壁(たとえば、911−1と911−3)上の導電体膜919は貫通孔916の底部のみで接続しているだけである。従って、上述した導電体膜の異方性エッチングによって貫通孔916の底部の導電体膜919は除去されるので、コンデンサ電極となる基板側壁(たとえば、911−1と911−3)上の導電体膜919は分離する。
この後、感光性膜930を除去して、絶縁体膜920を積層する。(絶縁膜920を形成する前に選択CVD法やメッキ法によって導電体膜を積層すれば、エッチング中に受けた導電体膜の小さな隙間を導電体膜で埋めることができ、エッチング中に導電体膜が受けたダメッジを回復することができる。(大きな隙間には選択CVDやメッキによる導電体膜は積層しないので、導通していないパターンが導通することはない。)この絶縁膜920は、SiOx、SiOxNy,SiNyであり、CVD法やPVD法で積層し、膜厚が0.1μm〜2μmであり、導電体膜919を化学的および物理的および環境的に保護する。その後、薄板921を付着させて、(図65(e))必要なコンタクト孔924(924−1、2)や導電体膜・電極・配線923(923−1、2)や通気孔922を形成する。このような構造のセンサが基板911内に多数作製されるので、ダイサー等を用いてチップ化(個片化)すれば、多数のセンサチップPKGを作製することができる。(図65(f))
このように本プロセスを用いることによって、絶縁体基板や半導体基板を用いても簡単なプロセスで本発明のセンサを作製できる。このプロセスではシリコン等の半導体基板を用いているので、ICやトランジスタと一緒のプロセスでセンサを作製することができる。
図66は、シリコン等の半導体基板を用いた本発明のセンサを作製する方法を示す図である。以下は半導体基板がシリコン基板であるとして説明する。図66(a)に示すように、シリコン基板951の両面に拡散層952を形成する。シリコン基板がP型ウエハの場合は拡散層はN型でもP型どちらでも良く、シリコン基板がN型ウエハの場合は拡散層はP型でもN型でもどちらでも良い。拡散層952の不純物濃度は1019/cm3以上であることが望ましい。拡散層952の形成方法は、たとえばイオン注入をした後に熱処理を行なう方法、あるいはプリデポして拡散熱処理を行なう方法がある。尚、裏面の拡散層952は特に必要がないので形成しなくても良い。
次に図66(b)に示すように、シリコン基板951の裏面にサポート基板954を付着する。必要な場合には、絶縁膜953を介在しても良い。シリコン基板951の上面に感光性膜956を形成し、貫通孔形成用の窓開けを行なう。必要な場合には、絶縁膜955を介在しても良い。感光性膜956のパターンにより貫通孔965(965−1、2、3)を形成する。貫通孔965を形成後感光性膜956をリムーブした後の断面図を図66(c)に示す。貫通孔965の上部に拡散層952が露出している。次に絶縁膜955をエッチング除去する。これによって、シリコン基板951の上面および貫通孔956の上部で拡散層952が全部露出する。この露出した状態で導電体膜957を積層する。導電体膜957は、シリコン基板の上面および貫通孔内部に積層され、シリコン基板951の上面および貫通孔956の上部に露出した拡散層952と接触する。
次に導電体膜957を所望のパターンに形成するために感光性膜958をパターニングし、このパターン958に従って導電体膜957をエッチングする。{図66(e)}図65では、感光性膜は基板側壁の上面をカバーし、貫通孔の側面上部を覆うようにパターニングされたが、本実施形態でも同様のパターニングも採用できるが、必ずしもそのようなパターニングをしなくても良い。すなわち、シリコン基板951の上面の拡散層952の領域内でパターニングすれば良く、シビアなマスク合わせが必要である(図65では、貫通孔のエッジと感光性膜のエッジ合わせが必要である。)が、本実施形態ではシビアなマスク合わせは必要がない。感光性膜958パターンに従い導電体膜952をエッチングすると、図66(e)に示すように、シリコン基板上面で感光性膜958の存在しない領域Aでは導電体膜957がエッチングされ、拡散層952が露出する。導電体膜957のエッチングは異方性(垂直)エッチングであるから、貫通孔965の側面に積層した導電体膜957は垂直方向(シリコン基板951面に対して)には厚いので、貫通孔側面の上部C領域では導電体膜957がエッチングされずに残る。すなわち、貫通孔965の側面に露出している拡散層952に導電体膜が接触した状態になっている。また、垂直エッチングであるから、貫通孔965の底部B領域に存在する導電体膜957はエッチング除去される。
この後、感光性膜958をリムーブして、熱処理を行なうことによって、導電体膜957と拡散層952とオーミックコンタクトを得ることができる。たとえば、導電体膜957がアルミニウムであるときは、約350℃〜450℃で熱処理(アロイ)を行なう。この後で、絶縁膜959を積層する。この絶縁膜959は導電体膜957や貫通孔965を保護し、さらに絶縁性を確保する。次に薄板960を付着させる。この薄板960はガラス基板等の透明基板を用いれば、光が通るのでマスク合わせしやすく、パターン異常などの品質検査が容易となる。薄板960にコンタクト孔961(961−1、2)を形成し導電体膜を積層して電極・配線962(962−1、2)を形成する。これによって、962−1および962−2が対向する2つの電極となり、貫通孔965−2を容量空間とするコンデンサを構成する。薄板960に通気孔963を形成して貫通孔965内の気圧を一定に保持できるようにしても良い。
このようにシリコン基板中に拡散層を形成することによって、簡単なプロセスで本発明のセンサを安価に作製することができる。
図67は貫通孔の内側面および基板上面に拡散層を形成する別の実施形態を示す図である。これまでの説明したプロセスと重複するプロセスの説明は省略する。図67(a)はシリコン基板971の下面にサポート基板973を付着し基板971内に貫通孔974(974−1、2)を形成した状態を示している。必要な場合は絶縁膜972を介在する。貫通孔974内側面および基板上面、基板側壁971(971−1、2、3)の上面を露出させる。次に図67(b)に示すように、基板側壁の側面(貫通孔内側面)および基板上面のシリコン基板が露出した部分に拡散層975を形成する。この拡散層975は、たとえば、イオン注入法の後で拡散熱処理を行なって作製することができる。あるいは、たとえば、プリデポの後で拡散熱処理を行なって作製することができる。この拡散層はP型でもN型の高濃度領域のどちらでも良い。貫通孔974(974−1、2)の底部は絶縁膜972または絶縁体であるサポート基板973であるから、拡散層は形成されない。すなわち、隣接する基板側壁に形成された拡散層975の間では接続していないから、この後にこれらの拡散層975にコンタクト孔および電極・配線を形成しても、これらの電極・配線の間では電気的に導通しない。
次に基板上面および貫通孔内側面および貫通孔底部に絶縁膜976を積層する。次に薄板977を基板上面に付着させる。その後コンタクト孔977を形成した後導電体膜を積層し、コンタクト孔内およびその上に電極・配線978をパターニングする。この後適度な熱処理を行なうことによって、電極・配線978と拡散層975との接続(オーミックコンタクト)を行なう。この結果、電極・配線978と貫通孔内側面の拡散層975と接続する。この結果、貫通孔974を容量空間として、貫通孔内の対向する2つの拡散層975を電極とするコンデンサが形成される。
図69は、本発明のセンサの別の製造方法を示す図である。基板にヤング率の大きい材料を使用するときには、基板側壁の厚み(基板面に対して平行な方向、すなわち幅と言った方が分かりやすい)を薄く(小さく)するほど加速度や音波に対して変形量が大きくなるので、コンデンサ容量の変化量も大きくなり、感度が増大する。たとえば、シリコン基板の場合には基板側壁の厚み(幅)は、50μm以下、場合によっては20μm以下や10μm以下となる場合もある。基板の厚みを500μm〜1000μmとすれば、貫通孔形成後の基板側壁のアウペクト比(基板側壁と基板との厚み比)は50以上となる場合もある。基板側壁を一回で形成するとこのような細長いビルディングが形成されるので、プロセス中にわずかの力で変形する可能性がある。そこで、本製造方法では、このような高アスペクト比の基板側壁を形成するときは、サポート基板(薄板、あるいは絶縁体基板)で基板側壁の上下面を押さえた状態で形成するものである。
図69(a)に示すように、基板1011の第1面に第1のサポート基板1013を付着させる。絶縁膜1012を介在しても良い。次に基板1011の第2面に感光性膜1015を形成して貫通孔形成用の窓開けを行なう。この時絶縁膜1014を介在しても良い。この貫通孔形成用の窓開けでは、細い基板側壁を形成するような感光性膜のパターンは形成しない。すなわち、結果として形成される貫通孔のうち、隣接するような貫通孔形成用のパターンは形成しない。たとえば、パターンの開口部間のスペース(ここの部分が基板側壁となる)はアスペクト比が10以上にならないようにする。たとえば、基板1011の厚みが500μmの場合は、50μm以下のスペースにならないようにする。たとえば、図62で説明したセンサでは中央の貫通孔732−1を開けて、その周りの貫通孔732−2、3,4、5はここでは開けないようにする。図61で示したセンサでは712−1を開け、712−2はここでは開けないようにする。図63で示したセンサでは752−1を開けて、その周りの752−2はここでは開けないようにする。次に感光性膜1015の開口部1016で露出した基板側壁1011を垂直エッチングし、基板1011の第2面に貫通する貫通溝(貫通孔)1017を形成する。絶縁膜1014が基板1011の第1面上に存在する場合には、この絶縁膜も異方性エッチングし、その後で基板1011を異方性エッチングする。
次に感光性膜1015をリムーブした後、(主)基板1011の第1面上に第2のサポート基板1021を付着する。この付着方法はこれまでに述べた方法と同じである。第2のサポート基板1021も第1のサポート基板1013同様に絶縁体基板であることが望ましい。第2のサポート基板1021や第1のサポート基板1013が絶縁体基板以外の基板の場合には、表面に絶縁膜を積層しておく方法がある。あるいは、主基板1011が絶縁体基板である場合には、直接付着させることもできる。第2のサポート基板1021は主基板1011に直接付着させることもできる。その場合は絶縁膜1014が介在している場合にはこれを除去しておく。たとえば、主基板1011がシリコン基板である場合、第2のサポート基板1021をガラス基板(絶縁体基板)とすれば、静電接着法(陽極接合法)を用いて強固に接着することができる。この第2のサポート基板1021はセンサーパッケージの外側下面となるので、厚みは50μm以上、好適には100μm以上が望ましく、300μm以上とさらに厚くし頑丈なパッケージにすることもでき、センサパッケージを使用する環境によって選択すれば良い。場合によっては厚みを50μm以下にしても良い場合もある。
次に主基板1011の第2面側に付着した第1サポート基板1013を薄くして50μm以下、好適には30μm以下、もっと好適には20μm以下、さらに好適には10μm以下の厚みとする。薄くする方法として、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いる方法、ドライエッチング法、ウエットエッチング法等がある。あるいは、薄い絶縁基板との貼り合せ基板を第1サポート基板として、貼り合わせた基板を取り外して薄い絶縁基板だけを残す方法もある。この後、図69(c)に示すように、第1サポート基板1013上に感光性膜1022を形成し、所望のパターニングを行なう。このパターニングは、隣接する貫通孔の間に挟まれる薄い厚み(幅)を有する基板側壁の第2面側から第1サポート基板1013で押さえて、(第1面側は第2サポート基板1021で押さえられている)基板側壁の変形を最小限とし、所望の厚みの基板を得ることを目的とする。
薄い厚み(幅)を有する基板側壁となる領域の第2面側にパターンエッジが来るようにし、エッチング後に薄い厚み(幅)を有する基板側壁の第2面側の領域が第1サポート基板1013に付着しているようにパターニングする。たとえば、第1サポート基板1013のエッチング後のエッジ位置が点線の位置、すなわち薄い厚み(幅)を有する基板側壁となる領域の第2面側上に第1サポート基板1013のエッチング後のエッジが来るようにする。感光性膜1022の露光時のマスク合わせは、第1貫通孔1017を形成したときのパターンに合わせることによって非常に精密なマスク合わせを行なうことができる。第1サポート基板1013がガラス基板であれば、合わせ時の光線が透過するので、より正確なマスク合わせを行なうことができる。感光性膜のない窓開けされた開口部1023から第1サポート基板1013のエッチングを行なう。第1サポート基板1013がガラス基板であるときは、CF4ガスやC2F6ガスを用いたドライエッチング、HF系水溶液を用いたウエットエッチング等でエッチングする。下地がシリコン酸化膜等の絶縁膜1012がある場合は一緒にエッチングしても良い。エッチング形状は点線で示すようにエッジがテーパー状であった方がこの後に形成する絶縁膜や導電体膜のステップカバレッジが良くなるので望ましいが、これらの膜のカバレッジが良ければ(感光性膜パターンとの寸法差が少ない)垂直エッチングでも良い。(図70(c))
第1サポート基板1013をエッチングした後に、感光性膜1022をリムーブした後、第2貫通孔を形成するために感光性膜1025を形成しフォトリソ法を用いて所望のパターニングを行なう。このときのマスク合わせも第1貫通孔1017のパターンと合わせれば、基板側壁の薄い厚み(幅)を正確にコントロールできる。第1貫通孔1017のパターンは第1サポート基板1013の下にあるので、第1サポート基板1013を透過する波長の光を用いることによってより精度の高いマスク合わせができる。また、既にパターニングした第1サポート基板1013は絶縁膜1025にカバーされる。パターニングされた感光性膜1025の開口部1026から主基板1011を垂直エッチングし貫通孔(第2貫通孔)1027を形成する。第2貫通孔1027は主基板1011の第1面側までエッチングされる。絶縁膜1012が存在する場合にはまず絶縁膜をエッチング(好適には垂直エッチング)した後に主基板1011がエッチングされる。
第2貫通孔1027が形成されると、第1貫通孔と第2貫通孔の間の基板側壁1011(1011−1、2)の厚み(幅)は非常に薄く(3μm〜50μm)、アスペクト比が大きいが、図69(d)に示されるように、第1面側が第2サポート基板1021で、第2面側が第1サポート基板1013で規制されて(押さえられて)いるので、基板側壁1011(1011−1、2)の変形は非常に小さくなる。尚、感光性膜1022を第2貫通孔用形成用パターンと同じくして、第1サポート基板1013をエッチングし、さらに第2貫通孔1027を形成しても良い。この場合には感光性膜1025を形成しなくても良い。
次に感光性膜1025をリムーブした後、絶縁膜1031を形成する。この絶縁膜はCVD法またはPVD法で形成し、貫通孔1027の内部にも積層する。この絶縁膜1027は貫通孔内部の露出した基板1011を被覆し保護し、この後で形成する導電体膜の密着性を確保し、さらに基板と導電体膜との絶縁性を確実にする。従って、主基板1011が導電体膜や半導体基板の場合は必要であるが、主基板1011が絶縁体基板であるときは必要がない場合もある。絶縁膜1031を形成後導電体膜1032をCVD法、PVD法、イオンプレーティング法、メッキ法、あるいはこれらの組合せで形成する。
貫通孔1027内に形成された互いに対向する導電体膜1032はコンデンサの電極となる。従って、貫通孔底部Bに形成された導電体膜1032を除去する必要がある。そのために、感光性膜1033を形成し、貫通孔1027に合わせたパターニングを行なう。すなわち貫通孔1027に形成された導電体膜1032の上部をカバーすると同時に貫通孔1027の開口部1034が形成されるようにする。感光性膜1033として感光性ドライフィルムが良い。あるいは、塗布用またはディップ用感光性膜であれば、前述したように、露光された部分が硬化し、露光されない部分が現像されるネガ型のフォトレジストが良い。また、主基板1011の第2面側で導電体膜1032を配線パターンとして使用する場合は、必要なパターニングを行ない、開口部1035を形成する。(図69(e))
次に、パターニングされた感光性膜1033により導電体膜1032を異方性エッチングする。感光性膜1033が開口された1034や1035部分の導電体膜1032がエッチングされる。貫通孔1027の開口部1034から垂直に入射したエッチング種は貫通孔底部Bに積層する導電体膜1032をエッチング除去する。この結果貫通孔1027の外側側面の基板側壁の側面に積層された対向する導電体膜1032(1032−1と2、および1032−3と4)は分離される。第1サポート基板1013のエッジがテーパー化されている場合には、このエッジでの段差において絶縁膜1013や導電体膜1032のステップカバレッジが良くなる。
次に感光性膜1033をリムーブした後、絶縁膜である保護膜1036を導電体膜1032上に積層する。次に第3のサポート基板1037をその保護膜1036上に付着させる。このとき接着剤塗布はサポート基板上の必要な部分にのみコートした後にマスク合わせしながら主基板1011上の導電体膜1032や貫通孔1032、1017に合わせながら精度良く付着させることもできる。第3サポート基板は絶縁体基板が望ましい。第3サポート基板は、センサパッケージの上面または下面の外側部材となるので、基板厚みを100μm以上とすることが望ましい。使用環境によってはもっと薄くても良い。あるいは500μm以上と厚くする必要がある場合もある。次に第3サポート基板にコンタクト孔1038を開けて、導電体膜をコンタクト孔内に積層するとともに第3サポート基板上に導電体膜電極・配線1039(1039−1、2、3,4)をパターニングする。さらに、第1貫通孔1017に対して、第3サポート基板1037および第1サポート基板1013に通気孔1043、あるいは第2サポート基板1021に通気孔1041などを形成する。また、第2貫通孔1027に対して、第3サポート基板1037に通気孔1044を形成したり、あるいは第2サポート基板1021に通気孔1042などを形成する。
図69に基づいて説明した本発明の製造プロセスを用いることによって、プロセス中に厚み(幅)の薄い(小さい)基板側壁が変形することを確実に抑えることができ、基板側壁が変形する可能性について特別な注意をする必要がなくなる。しかもプロセスも極めて単純であるからプロセス負荷やコスト増は小さい。図69に示すプロセスは種々の基板(導電体基板、絶縁体基板、または半導体基板)に使用できるが、導電体基板であればさらにプロセスが簡単になる。
図70は、導電体基板を種基板として用いた本発明の製造方法を示す別の実施形態を示す図である。図70において、主基板1011は導電体基板であり、図70(b)に示すプロセスまでは図69(b)し示したプロセスまでと同じである。説明が同様であり、または類似している部分は説明を省略するか簡単に述べているが、図69で説明した内容を適用できる。図69(c)に示すように、第1サポート基板1013を薄くした後、感光性膜1025を形成し、フォトリソ法により第2貫通孔形成用のパターニングを行なう。この後、感光性膜1025の開口部1026に露出した第1サポート基板1013をエッチングする。このエッチングは感光性膜1025のパターンに忠実にエッチングする垂直エッチング(異方性エッチング)が望ましい。第1サポート基板1013をサイドエッチさせてテーパーエッチングすることもできるが、この場合は第1貫通孔とつながらないように注意する。またサイドエッチングした後は感光性膜1025のエッジの下側は廂になり、主基板のエッチング種が入り込む可能性がある場合には、再ベークを行ないこの廂を感光性膜で覆っても良い。
第1サポート基板1013の下に絶縁膜1012が介在する場合には、この絶縁膜も垂直エッチングすることが望ましい。導電体膜1011が露出した後は、導電体膜1011の垂直エッチング(異方性エッチング)を行ない、第2貫通孔1027を形成する。(図70(d))次に感光性膜1025をリムーブ(除去)した後、絶縁膜1050をCVD法やPVD法で積層する。この絶縁膜1050によって、第2貫通孔1027の内部、すなわち基板側壁の側面が保護される。また第1サポート基板上にも積層する。この絶縁体膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等であり、その膜厚は100nm〜2000nmである。尚、第2貫通孔1027はこの後第3サポート基板1051でカバーされるので、この絶縁膜1050を省略することもできる。次に第3サポート基板1051を基板1011の上面(図70(e)における)側、絶縁膜1050上(または第1サポート基板1013上)に付着させる。その後、コンタクト孔1052を形成し、導電体膜を積層して電極・配線1053(1053−1、2、3、4)を形成する。コンタクト孔の形成は、第3サポート基板1051のエッチングの他に、絶縁膜1050や1012をエッチングしたり、さらには第1サポート基板1013のエッチングも必要である。
さらに、第3サポート基板に通気孔1056や1057を形成することもできる。これらの通気孔の形成は、コンタクト孔形成と同時に作製することもできる。また第2サポート基板1021に通気孔1054を形成することもできる。尚、第3サポート基板1051のコンタクト孔や通気孔は第3サポート基板1051を基板1011の上面に付着する前に形成することもできる。前もって形成しておけばプロセス時間を短縮することができる。本プロセスでは、図69で説明したような導電体膜1032を積層する必要はなく、従ってそのパターニングも必要がないので、プロセスが非常に単純となる。すなわち、貫通孔(貫通溝)1027を形成すれば導電体基板1011(たとえば、基板側壁1011−1と1011−2、あるいは基板側壁1011−3と1011−4)は電気的に接続しないように分離される。この結果、基板側壁1011−1および1011−2は貫通孔1027(1027−1)を容量空間とするコンデンサの対向電極となり、導電体電極1053−1および1053−2に電圧を印加すればコンデンサの容量を測定できる。同様に、基板側壁1011−3および1011−4は貫通孔1027(1027−2)を容量空間とするコンデンサの対向電極となり、導電体電極1053−3および1053−4に電圧を印加すればコンデンサの容量を測定できる。
図60で説明した本発明を除いて、これまでに貫通孔または貫通溝、すなわち基板面、、第1面(表面と呼んでも良い)および第2面(裏面と呼んでも良い)の両方に開口してこれらの基板面に対して垂直方向に形成された孔、または溝であり、貫通孔(貫通溝)を囲む(規定する)基板(側壁)側面が基板面に対して垂直である場合を取り扱ってきたが、これまでに記載したことは一方だけに開口した垂直凹部(以下単に凹部という)に対しても適用できる。凹部を用いた場合には、凹部の底が極端に薄くならない限り、凹部の底側に近い基板面にサポート基板(あるいは、薄板、あるいは絶縁体基板と言っても良い)を付着させる必要がないので、プロセスが簡単となる。しかも半導体基板であれば、ICやトランジスタや他の素子と一緒に同じ基板に本発明のセンサを搭載できるというメリットがある。
図71は図45において凹部を形成した場合を示す図である。同じ膜については同じ符号を用いている。凹部116(116−1、2、3)は貫通孔(貫通溝)ではなく、凹部である。すなわち、基板111の第1面(表面)111−S1から基板111の第2面(裏面面)111−S2に向かって垂直にエッチングして形成するが、基板111の第2面(裏面面)111−S2に達しないで貫通する前に基板111の途中でエッチングをやめて、所謂凹部とする。凹部116(116−1、2、3)の下部には基板111の下部111−Bが存在する。凹部の116の深さをh、基板111の厚みをh0としたとき、h0>hである。(貫通孔の場合は、h0≦hである。)基板111が導電体膜や半導体基板の場合は、絶縁膜113を積層し凹部内部にも積層し、この上に積層する導電体膜115と基板111が導通しないようにする。基板111が絶縁体であるときは、絶縁膜113は必要がない場合がある。導電体膜115との密着性を向上させる目的などで有る場合は、絶縁膜113を積層しても良い。
絶縁膜113を積層後導電体膜115を積層する。凹部底部領域Bにも導電体膜115が積層されるので、この部分の導電体膜115をエッチング除去する。このエッチングは凹部上部の開口部を感光性膜で窓開けした状態で導電体膜の異方性エッチングをすれば良い。尚、他の領域、すなわち基板111の第1面(表面、または上面)111−S1側の導電体膜115のパターニングも行なうことができる。この結果、凹部116−1において、凹部116−1を容量空間とし、貫通孔116−1を挟む基板側壁の側面上に形成された導電体膜・電極115−1および115−2が対向電極となるコンデンサを形成している。また、凹部116−3において、凹部116−3を容量空間とし、貫通孔116−3を挟む基板側壁の側面上に形成された導電体膜・電極115−3および115−4が対向電極となるコンデンサを形成している。
音波は第2凹部116−2へ導入され、凹部116−2と凹部116−1に挟まれた基板側壁111−1が振動する。また、凹部116−2と凹部116−3に挟まれた基板側壁111−2が振動する。このように凹部を形成することによって、マイクロホンを形成することができる。基板111を半導体基板とすることによって、マイクロホンをICやトランジスタなどの能動素子と一緒に作製することができ、コンデンサの容量変化を変換回路を有するICに接続することによって音波に変換することができる。
図71に示す構造は、図52の所で説明した様に、加速度センサとしても使用できる。図72は図71と類似構造を加速度センサに適用した場合を示す図である。すなわち、凹部および凹部同士に挟まれた基板側壁の変形を加速線センサとして用いた実施形態である。説明は図と同様である。すなわち、基板側壁111−1および/または111−2が加速度によって変形すると、凹部116−1および/または116−3を空間容量とするコンデンサ容量が変化するこの変化量を大きくするために中央の閉空間となっている凹部へ水銀等の重い液体118を入れる。加速度によって液体が基板側壁を押すので、基板側壁の変形量が大きくなり、コンデンサ容量の変化量も大きくなる。液体は通気口122から入れて通気口127から出すようにすれば凹部116−2内を充填させることもできるし、凹部116−2内空間のX%の容積だけ入れることもできる。Xは0〜100%の間で調整して、加速度の検出感度に合わせて決定すれば良い。
図73は、エピウエハを用いたセンサの製造方法を示す図である。このエピウエハ(エピタキシャルウエハ)1100は高濃度シリコン基板1101上に低濃度不純物層のエピ層1102を形成したウエハである。高濃度シリコン基板1101の不純物濃度は、N型またはP型の不純物元素濃度が約1019/cm3以上である。また、低濃度不純物層のエピ層1102の不純物濃度は、このエピ層内に形成するデバイスの特性によるが、N型またはP型の不純物元素濃度が約1013/cm3〜1017/cm3である。エピウエハのサイズは、処理する装置の大きさやセンサチップやセンサを含むICチップのサイズ・取れ個数にもよるが、4インチ(直径100mmφ)以上が良い。一般には6インチ(150mmφ)、8インチ(200mmφ)、250mm(250mmφ)、300mm(300mmφ)等が使用される。高濃度シリコン基板1101の厚みは約100μm以上であり、エピ層1102の厚みは、搭載デバイスやデバイス特性やデバイス作製時のプロセスにもよるが、約5μm以上である。
このエピウエハ1100には本発明のセンサを搭載する領域1108およびICやトランジスタ等のデバイスを形成する領域(デバイス搭載領域)1107がある。感光性膜1103をパターニングしセンサ搭載領域1108となるべき部分を開口し、その開口された領域の低濃度不純物層1102を除去し、高濃度不純物層1101を露出させる。低濃度不純物層1102のエッチングは、ウエットエッチングとしてKOHやEDP(EthyleneDiamine+Pyrocatechol+水)などの異方性エッチング、フッ硝酸系(HF+NHNO3+CH3COOH(or水))などの等方性エッチングがあり、ドライエッチングとしてCF4、CHF3、C2F6等のプラズマエッチングがある。エッチング面1105は傾斜(またはテーパ化)させても良いし、垂直エッチングでも良い。テーパー化すれば配線形成時のカバレッジを改善できる。傾斜エッチングはドライまたはウエットエッチングで等方性エッチングを行なえば良い。KOH等の異方性エッチングでも基板面が(100)であるときは、エッチング面が(111)となり、傾斜角は約54.7°となる。感光性膜1103とエピウエハ1102の間にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜を積層して、これらをマスクとしてエピ層1102をエッチングすることもできる。
以上のようにしてセンサ搭載領域1108が凹部1104になり、高濃度基板1101が露出する。この後のプロセスはこれまで説明したセンサ形成プロセスと同様であるから、重複する部分の詳細説明は省略する。基本は、高濃度基板内に貫通孔および基板側壁を形成し、貫通孔および基板側壁の上面および下面に絶縁基板を付着させて貫通孔を容量空間とし、その貫通孔を挟んで対向する基板側壁を電極としたコンデンサを形成する。図73(b)に示すように、エピウエハ1100の第2面(エピ層1102のない面、高濃度基板面が露出した裏面)に絶縁基板を付着させる。必要ならシリコン酸化膜等の絶縁膜を介在しても良い。次に表面に感光性膜1111を形成し、貫通孔形成用の開口部1112をパターニングする。必要ならシリコン酸化膜等を介在しても良い。この開口部1112に露出した高濃度シリコン基板1101を垂直エッチングし、貫通孔1114(1114−1、2、3)を形成する。貫通孔1114は高濃度シリコン基板1101の第1面(表面)側から第2面(裏面)側へ完全に貫通し、貫通孔1114の底は絶縁基板1110となる。
絶縁基板1110は、ガラス、石製、セラミック、プラスチック、高分子樹脂などである。絶縁基板1110の厚みは50μm程度あれば良いが、センサの使用条件やエッチング条件などのよってもっと薄くしても良い。センサの強度を大きくするためにこれより厚くしても良い。貫通孔1114の形成により、基板側壁1101(1101−1、2、3、4)が形成される。容量空間となる1114−2を挟んで対向する基板側壁1101−1および1101−2は電気的に接続しないように分離されている。同様に、容量空間となる1114−3を挟んで対向する基板側壁1101−13よび1101−4は電気的に接続しないように分離されている。(図73(c))
次に、感光性膜1111をリムーブし絶縁膜1116を積層し(場合によっては形成しなくても良い。)、絶縁基板1117を基板側壁1101(1101−1、2、3、4)の上面に付着させる。センサ搭載領域は凹部1104となっているので、エピウエハ1100の中で低くなっている。この領域にのみ絶縁基板1117を付着させるので、たとえばこの凹部1104内の基板側壁1101(1101−1、2、3、4)に付着させることができる大きさの絶縁基板1117を別基板にあらかじめ付着させておき、マスク合わせしてこの領域に絶縁基板1117を付着させる。この結果、ダイヤフラムとなる基板側壁1101−2、1101−3は上面が絶縁基板1117に、下面が絶縁基板1110に規制される。(図73(d))絶縁基板1110は、ガラス、石製、セラミック、プラスチック、高分子樹脂などである。絶縁基板1117の厚みは、基板に付着させた絶縁基板1117をアライメントして転写してエピウエハの凹部1104に入れるので、凹部1104の深さより少し厚くする。
次に、絶縁基板1117にコンタクト孔1118を開け導電体膜1119を形成し、導電体膜・電極・配線1119を形成する。この結果、電極・配線1119は導電体基板である基板側壁1101(1101−1、2、3、4)と接続する。必要なら、絶縁基板1117に開口部(通気口)1121、絶縁基板1110に開口部(通気口)1122をあけても良い。また、これらのコンタクト孔1118、開口部1121、1122は絶縁基板にあらかじめ形成しておき、その後で絶縁基板をエピウエハに付着させても良い。
以上のようにして、非常に簡単なプロセスでエピウエハ内の一部の領域にセンサを形成できる。センサ搭載領域以外のデバイス搭載領域には、ICやトランジスタ等のデバイスを形成できるので、たとえば、センサの信号を処理する回路や演算回路を1つのチップ内に入れることができる。しかも絶縁膜や導電体膜はデバイス作製時のプロセスと兼用することができるので、プロセスコストも低くすることができる。
高エネルギー・高電流イオン注入装置を用いて、エピウエハの低濃度エピ層に高濃度領域を作製して、その部分にセンサを作製することによって、ICやトランジスタ等の能動デバイスと一緒のチップにセンサを作製できる。図74はエピウエハを用いたセンサの製造方法の別の実施形態を示す図である。高濃度基板1131と低濃度エピ(エピタキシャル)層1132を有するエピウエハ1130において、感光性膜1136を形成し、センサ搭載領域1134となるべき領域を窓開けし、デバイス搭載領域となるべき領域を感光性膜1136で覆い、ウエハ全面にイオン注入を行なう。このイオン注入1137のイオンは高濃度基板1131の導電体型と同じであることが望ましい。エピ層の全体の濃度がイオン注入後の熱処理において、1019/cm3以上となるように、イオン注入の加速エネルギーおよびドーズ量を選択する。また、このイオン注入時にデバイス搭載領域1133におけるエピ層1132にはイオン注入されないように、十分な厚みを有する感光性膜を形成する。
イオン注入後イオン注入層の活性化および拡散の熱処理を行ない、エピ層1132に高濃度イオン注入層1141を形成する。この高濃度イオン注入層1141は高濃度基板1131と接続し、電気的に完全に導通したものとなる。尚、高濃度イオン注入層1141はプリデポ等で作製しても良い。その後、感光性膜1143をパターニングし、貫通孔形成用の窓開けを行なう。この貫通孔形成用窓開けはセンサ搭載領域に開けられる。感光性膜1143とエピウエハ1130との間にシリコン酸化膜等の絶縁膜を介在しても良い。(図74(b))
次に貫通孔1145を形成し、基板側壁1146を形成する。次に感光性膜1143をリムーブし、必要な場合に絶縁膜1147を積層し、貫通孔1145等で露出したエピウエハ1130を保護する。その後、絶縁基板1148をエピウエハ1130の上面に付着させ、コンタクト孔1149、導電体膜・電極・配線1150を形成する。この結果、導電体膜・電極・配線1150はコンタクト孔1149内の導電体膜を通してエピ層1132の高濃度層1141に接続し、さらに高濃度の基板側壁1146へ接続する。この結果、貫通孔1145を空間容量とし、それを挟んだ対向電極1146のコンデンサが作製される。本実施形態では、デバイス搭載領域1133のエピ層1132には影響を与えないので、通常のICやトランジスタ等を形成できる。(図74(c))
通常のシリコン半導体基板に高濃度拡散層を形成し、そこに本発明のセンサを形成することができる。図75は本発明のセンサの製造方法の一実施形態を示す図である。1017/cm3以下の不純物濃度を有する低濃度シリコンウエハ1161に感光性膜1162を形成し、センサ搭載領域となる領域1164を窓開けして、デバイス搭載領域1163を感光性膜で覆う。シリコンウエハ1161と感光性膜の間に絶縁膜を形成しても良い。高エネルギーイオン注入装置を用いて高ドーズ量のイオン注入1165を行ない、熱処理後のイオン注入層の濃度が1019/cm3以上になるようにする。注入するイオンはシリコンウエハ1161の導電型と逆導電体とする。イオン注入時にデバイス搭載領域1163にはイオン注入されないように、感光性膜1162の厚みを調整する。(図75(a))
感光性膜1162をリムーブ後熱処理を行ないイオン注入したイオン注入層を活性化し不純物層を拡散し、イオン注入拡散層1167を形成する。このイオン注入拡散層1167の不純物濃度は1019/cm3以上が好ましい。このイオン注入拡散層1167がセンサ搭載領域に相当する。次に感光性膜1168を形成し、イオン注入拡散層1167の領域内に凹部を形成するための開口部を形成する。(図75(b))感光性膜1168とシリコンウエハ1161の間に絶縁膜を形成しても良い。
次に、この感光性膜1168の開口部からシリコンウエハ1161を垂直エッチングし、凹部1169(1169−1、2,3)を形成する。この凹部1169の深さh12はイオン注入拡散層1167の深さh11より深くする。すなわち、h12>h11である。(図75(c))
次に感光性膜1168をリムーブし、必要な場合には凹部1169に露出したシリコン基板を保護するために、絶縁膜1170を形成し、絶縁基板1171をシリコンウエハ1161のイオン注入拡散層1167の上面に付着させる。次に、絶縁基板1171にコンタクト孔1172を形成し、導電体膜1173をコンタクト孔1172内および絶縁基板1171上に積層し、導電体膜・電極・配線1173を形成する。凹部1169(1169−1、2、3)はイオン注入拡散層1167より深いので、基板側壁1167−1および1167−2は電気的に接続していない。(シリコンウエハ1161とイオン注入拡散層1167は導電型が逆である。)従って、凹部1169―2を空間容量として、対向電極となる1167−1および1167−2はコンデンサの対向電極となっている。基板側壁1167−2は下部がシリコンウエハ1161につながり、基板側壁1167−2は上面が絶縁体基板1171と付着していて、たとえば加速度がかかったり、音波が凹部1169−1に入ったりすると基板側壁1167−2が変形し、貫通孔1169−2の容量が変化する。同様に、基板側壁1167−3および1167−4は電気的に接続していない。(シリコンウエハ1161とイオン注入拡散層1167は導電型が逆である。)従って、凹部1169―3を空間容量として、対向電極となる1167−3および1167−4はコンデンサの対向電極となっている。基板側壁1167−3は下部がシリコンウエハ1161につながり、基板側壁1167−3は上面が絶縁体基板1171と付着していて、たとえば加速度がかかったり、音波が凹部1169−1に入ったりすると基板側壁1167−3が変形し、貫通孔1169−3の容量が変化する。(図75(d))
図76は、エピウエハを用いたセンサの別の作製方法を示す図である。本実施形態では、エピウエハ1200の高濃度基板側に凹部を形成する。しかも高濃度基板1201の導電タイプと低濃度層のエピ層1202の導電タイプは逆とする。(あるいは、このような逆導電体タイプのウエハを貼り合わせても良い。)エピウエハ1200の裏面の高濃度基板1201側に感光性膜1205を形成し、凹部形成用の開口部を形成する。エピウエハ1200の表面側(低濃度領域側)には絶縁膜1203を形成して、表面側を保護しても良い。また、感光性膜1205とエピウエハ1200の裏面との間にシリコン酸化膜等の絶縁膜を形成しても良い。次に感光性膜1205のパターンを元に垂直エッチングして凹部1206(1206−1、2、3、4、5)を形成する。エピウエハ1200の高濃度基板1201の厚みをh13とし、凹部の深さをh14としたとき、凹部1206の深さは高濃度基板1201の厚みより深くし、凹部の底部はエピウエハ1200の低濃度領域1202に来るようにエッチングする。すなわち、h14>h13である。ただし、凹部1206は貫通孔にならないようにエッチング量を制御する。(図76(a))
次に感光性膜1205をリムーブして、絶縁膜1208をエピウエハ1200の裏面側および凹部側に必要な場合には保護用の絶縁膜1208を積層する。次に絶縁基板1209をエピウエハ1200の裏面側に付着する。この後絶縁膜1211を形成し、導電体膜1212をコンタクト孔1212内および絶縁基板1209上に積層し、パターニングして導電体膜・電極・配線1212を形成する。この導電体膜・電極・配線1212は、高濃度基板1201の基板側壁1207(1207−1、2、3、4、5、6)は接続する。この結果、たとえば、凹部1206−2を空間容量として、凹部の対向電極1207−2および1207−3がコンデンサ電極となったコンデンサを形成する。従って、基板側壁1207−3が変形すると凹部1206−2を空間容量(コンデンサ容量)が変化する。
本実施形態では、エピウエハまたは貼り合わせウエハ1200の表側の低濃度領域1202にICやトランジスタ等のデバイスを自由に作製できる。従って、センサを搭載したICチップを作製できるだけでなく、センサ搭載ICチップの大きさを大幅に小さくできる。貫通配線を使えば一方の面(表面または裏面)に電極・パッドを集めることができる。あるいは、エピウエハ1200の表面側からコンタクト孔1214を形成し、その側壁に絶縁膜1213を形成した後、導電体膜1215をコンタクト孔1214および表面側に積層し、パターニングして導電体膜・電極・配線1215を作製する。この結果、高濃度基板1201の基板側壁電極1207と接続でき、エピウエハ1200の表面側のデバイスからセンサを動かすこともできる。尚、本実施形態ではコンデンサの深さ方向の電極長さは凹部1206の深さh14ではなく、高濃度基板1201の基板厚さで決まるので、エッチングバラツキの影響を受けない。
図77はエピウエハを貼り合わせた基板を用いたセンサおよびその製造方法の一実施形態を示す図である。厚みh21の低濃度エピ層1232および厚みh22の高濃度基板1231からなるエピウエハ1230と、厚みh23の低濃度エピ層1242および厚みh24の高濃度基板1241からなるエピウエハ1240を高濃度基板1231および1241同士を貼り合わせる。(貼り合わせ面1245)高濃度基板1231および1241の導電タイプは同じタイプとし、エピ層1232および1242の導電タイプと異なるタイプとする。
この貼り合わせは、常温接合や高温接合や接着剤を用いて付着させる。接着剤を用いる場合には高濃度基板1231および1241が電気的に接続するように導電接着剤を用いる。この貼り合わせた貼り合わせ基板1249の一方のエピ層1232側の面に感光性膜1235を形成し、センサ搭載領域1233を窓開けし、デバイス搭載領域1234を感光性膜1235で被覆する。この感光性膜1235の開口部へ高エネルギーイオン注入装置を用いて高エネルギーで高ドーズ量でイオン注入1236を行ない、熱処理後にイオン注入拡散層1237の濃度が1019/cm3以上となり、かつ高濃度基板1231と電気的に接続できるようにする。従って、イオン注入のイオンの導電タイプは高濃度基板1231および1241と同じ導電タイプである。貼り合わせ前またはイオン注入前にエピ層1242を保護するために絶縁膜1243を形成しても良い。同様にエピ層1232と感光性膜1235の間に絶縁膜を形成しても良い。(図77(a))
感光性膜1235をリムーブした後、イオン注入層の活性化および拡散用の熱処理を行ない、イオン注入拡散層1237を形成する。このイオン注入拡散層1237は高濃度基板1231と電気的に接続する。次に感光性膜1238を形成して、センサ搭載領域1233に凹部形成用の窓開けを行なう。必要ならエピ層1232と感光性膜1238との間に絶縁膜を形成しても良い。この窓開けした部分よりエピ層1232(1237)、高濃度基板1231、高濃度基板1241を完全に垂直エッチングし、エピ層1242に達するように凹部1239(1239−1、2、3)を形成する。凹部1239はエピ層1242を貫通しないようにする。凹部の厚みをh25とすれば、h21+h22+h24+h23>h25>h21+h22+h24となる。(ただし、接着剤の厚みは無視している。)
この結果、貼り合わせ基板側壁1240−1および1240−2、あるいは貼り合わせ基板側壁1240−3および1240−4は電気的に接続しないようになる。そして、凹部1239−2は空間容量となり、貼り合わせ基板側壁1240−1および1240−2は対向するコンデンサ電極となる。同様に、凹部1239−3は空間容量となり、貼り合わせ基板側壁1240−3および1240−4は対向するコンデンサ電極となる。また、コンデンサの深さ方向電極の長さは、h21+h22+h24となり、凹部1239の深さh25に依存しない。この後のプロセスは、図76と同様で、絶縁体基板やコンタクト孔や電極などを形成する。このようにエピウエハの貼り合わせ基板を用いて本発明のセンサを形成でき、この場合エピウエハの低濃度エピ層1232や1242にICやトランジスタ等のデバイスを形成できるので、非常に高密度で小さなサイズのセンサ搭載IC(トランジスタ)を作製できる。尚、イオン注入を行なわずに、図73と同様にエピ層1232をエッチングして高濃度基板1231を露出させる方法でも本実施形態を使用してセンサを作製できる。
また、貼り合わせる基板を高濃度基板ではなく、低濃度基板を用いても凹部を作製できる。この場合、図77において、エピ層1242と高濃度基板1241からなるエピウエハ1240が低濃度基板(低濃度シリコンウエハ)と考えれば良い。h24とh23はひとまとめでか投げれば良く、低濃度シリコンウエハに到達するまで凹部を形成し、h25>h21+h22となるように凹部のエッチングを行なう。この場合もエピ層1232側にも低濃度シリコンウエハ側にもデバイスを形成できる。さらにエピウエハ1230を全部高濃度基板として、高濃度基板と低濃度基板を貼り合わせて高濃度基板側から凹部を形成し、凹部の底を低濃度基板側にすれば、本発明のセンサを高濃度基板側の面に、IC等のデバイスを低濃度基板側の面に形成することができる。低濃度シリコンウエハと高濃度基板の間に絶縁膜や絶縁体を挟んでも良い。この場合は、凹部の底を絶縁膜や絶縁体で止まるようにすれば良く、この場合低濃度シリコンウエハと高濃度基板の導電タイプは同じでも良い。(直接貼り合わせる場合は、これらの間で電気的に接続しないように異なる導電タイプとする)あるいは、凹部は低濃度領域側まで入り込んでも良い。いずれにしても凹部のコンデンサの深さ側長さは高濃度基板の厚さで決まるので、エッチングバラツキは関係しないというメリットもある。
図78は、導電体基板および半導体基板を接着させた複合基板を用いたセンサおよびその製造方法を示す図である。導電体基板は、たとえば高濃度のシリコン半導体基板等の導電体基板、金属や合金等の導電体基板、導電性高分子、導電性プラスチック、導電性ゴム等の導電体基板である。以下では導電体基板は高濃度シリコン半導体基板として説明する。半導体基板はシリコン、ゲルマニウム、炭素(ダイヤモンド)等の単元素半導体基板、ガリウムヒ素、炭化ケイ素、窒化ガリウム等の二元系半導体基板、それ以上の多元系半導体基板である。以下では半導体基板はシリコン半導体基板として説明する。導電体基板1251および半導体基板1252を接着した複合基板1250の導電体基板1250側に感光性膜1255を形成し、凹部形成用のパターニングを行なう。導電体基板1251および半導体基板1252の間に絶縁膜1254を介在しても良い。絶縁膜1254はシリコン酸化膜(SiOx)等で、CVDやPVD法、あるいは塗布+熱処理、あるいは酸化や窒化等で形成する。接着方法は、接着剤を用いる方法、常温接合法、静電接着法、陽極接合、拡散接合、陽極接合などがある。導電体基板1251および感光性膜1255の間に絶縁膜を介在しても良い。また、半導体基板側の表面を保護するために、絶縁膜1253を形成しても良い。(図78(a))
感光性膜1255の開口部パターンを元にして導電体基板1251を垂直エッチングし(破線で示す)、凹部1256(1256−1、2、3、4)を形成する。凹部の深さは基板の厚みより深くするようにエッチングする。絶縁膜1254が存在するときは、絶縁膜1254をエッチングストッパーとして用いることによって、凹部1256を所定の垂直孔とすることができる。絶縁膜1254が存在するときは、導電体基板1251の導電タイプと半導体基板1252の導電タイプは同じでも異なっていても良く、互いに導通することはない。凹部1256が絶縁膜1254を全部エッチングして半導体基板1252へ達しても絶縁膜1254が存在するので、導通することはない。(導通する危険性がある場合には、この後で凹部内側面に絶縁膜を積層すれば良い。)絶縁膜1254がなく、導電体基板1251と半導体基板1252が直接付着する場合には、導電体基板1251と半導体基板1252の導電タイプを逆にする。
凹部1256は深さ方向について導電体基板1251を完全にエッチングした垂直パターンにすることが望ましく、絶縁膜1254または半導体基板1252の途中まで達するようにする。ただし、半導体基板1252内にデバイスを形成する場合は、そのデバイスへ影響を与えないような深さで凹部1256を形成する。凹部1256(1256−1、2、3、4)の形成によって、基板側壁1257(1257−1、2、3、、4,5)が形成される。このようにすることによって、隣接する導電体基板の基板側壁(たとえば、容量空間1256−2を挟む対向電極1257−2および1257−3が電気的に導通しないようにすることができる。
次に感光性膜1255をリムーブし、必要な場合には、凹部1256の内側面および導電体基板の表面を保護するために絶縁膜を形成する。その後、絶縁基板1258を導電体基板1251の表面側に付着し、基板側壁1257(1257−1、2、3、4、5)の上面を絶縁体基板1258に付着固定する。絶縁基板1258にコンタクト孔1261を形成し、コンタクト孔1261内および絶縁体基板1258上に導電体膜を積層し、導電体膜電極・配線1259(1259−1、2、3、4、5)を形成する。および/または半導体基板1252側の表面にコンタクト孔1262を導電体基板1251側まで形成し、コンタクト孔1262内および半導体基板1252の表面側に積層し、導電体膜電極・配線1264(1264−1、2、3)を形成する。
コンタクト孔1262を形成したときにコンタクト孔1262内側面は半導体基板1252が露出するので、コンタクト孔1262内側面に絶縁膜1263を形成して、半導体基板1252とコンタクト孔1262内に形成した導電体膜との電気的導通を防止する。絶縁膜1263をコンタクト孔1262内側面に形成する方法として、コンタクト孔1262を形成後に絶縁膜1263を積層し、全面(コンタクト孔を含む近傍領域だけでも良い)異方性エッチングすれば、導電体基板1251上に積層した絶縁膜1263はエッチング除去されてコンタクト孔1262の内側面に絶縁膜1263が残る。その後で導電体膜を積層すれば導電体基板1251と電気的に接続する。
絶縁体基板1258は凹部1256をカバーするが、必要な場合には凹部1256部分に開口部1265(通気孔と呼んでも良い)を設けても良い。この開口部1265はコンタクト孔1261と一緒に形成しても良い。および/または半導体基板1252側に開口部(通気孔と呼んでも良い)1266を設けても良い。この開口部1266はコンタクト孔1262と一緒に形成しても良い。
以上のようにして形成された凹部1256によって、導電体基板1251の基板側壁1257(1257−1、2、3、4、5)は電気的に接続しないように形成できる。たとえば、凹部1256−2を空間容量とし、これを挟んで対向電極1257−2と1257−3はコンデンサの対向電極となる。導電膜・電極・配線1259−2は導電体基板1251の基板側壁1257−2に接続し、導電膜・電極・配線1259−3は導電体基板1251の基板側壁1257−3に接続する。および/または半導体基板1252側の導電体膜・電極・配線1264−2は導電体基板1251の基板側壁1257−2に接続し、半導体基板1252側の導電体膜・電極・配線1264−3は導電体基板1251の基板側壁1257−3に接続する。
図78に示す実施形態では、半導体基板1252側にトランジスタやIC等のデバイスを形成し、その下側の導電体基板1251側に凹部を形成したセンサを作製できるので、センサを含むICを作製できるだけでなく、ICチップを小さくすることができる。複合基板1250の両側に電極を形成できるので、どちらかからでも制御できる。あるいは片方の基板面だけに電極を形成することもできる。(たとえば、電極1259−1は導電体基板1251の基板側壁1257−1を通して電極1264−1へ導通する。)
図79は、インプリント法を用いて作成したセンサおよびセンサの製造方法を示す図である。半導体基板等の基板1611内に形成した深さH0の凹部1614を含む基板1611上に絶縁膜1613を形成する。トランジスタやIC等と一緒にセンサを搭載するチップを作製する場合は、基板はシリコン等の半導体基板である。凹部1614の深さH0はセンサを構成する材料やセンサの特性に依存するが、概ね10μm以上である。絶縁膜1613はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜やシリコン酸窒化膜であり、膜厚は約100nm〜2000nmである。この絶縁膜1613は基板1611と凹部内に形成する導電性ポリマーと電気的および物理的に分離することなどを目的とする。また、導電性ポリマー内部に形成する凹部をエッチングするときのエッチングストッパーの役割も果たす。次に凹部1614内に導電性ポリマー1615を充填する。液体状やゲル状の導電性ポリマー1615を塗布法、ディップ法、スクリーン印刷法等でコーティングしたり、シート状の導電性ポリマーを基板1611に貼り付け、導電性ポリマーシートを溶融軟化して凹部内に導電性ポリマー1615を入れ込む。{図79(a)}導電性ポリマーは、たとえばポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニレン、ポリピロール等など種々の導電性高分子、あるいはポリマーに金属等の導電性微粒子を混在して導電性を持たせたポリマーでも良い。あるいは導電性ゴムやゴムに金属等の導電性微粒子を混在して導電性を持たせたゴムでも良い。{図79(a)}
次に、ポリマー内にセンサ用の凹部形成用のパターン1619を形成したモールド1617を凹部1614における液状やゲル状の導電体ポリマー1615内に挿入し、熱処理やUV照射等により硬化させた後、モールド1617およびモールドパターン1619をポリマー1615から引き抜いて、ポリマー1615内に凹部1621(1621−1、2、3)を形成する。凹部1621(1621−1、2、3)の底部にはポリマー1615Bが存在するので、この状態ではポリマー基板側壁1615(1、2,3,4)はポリマー底部1615Bでつながっている。そこで、ポリマー1615を異方性エッチングしてこのポリマー1615Bを除去する。ポリマー1615と絶縁膜1613とのエッチング選択比を大きく取れば、ポリマー1615をかなりオーバーエッチングしても、また絶縁膜1613を厚くしなくても、絶縁膜1613がエッチングストッパーとなり、凹部1621の底部に絶縁膜1613(1613−B)を残すことができる。このようにして凹部1621(1621−1、2,3)が形成され、これによって、ポリマー基板側壁1615(1615−1,2,3、4)が形成され、ポリマー基板側壁1615−1および1615−2は電気的に接続していない。またポリマー基板側壁1615−2および1615−3は電気的に接続していない。(図79(b)、(c)、(d)、(e))
次に、必要な場合には、導電性ポリマー1615の表面(1615S)や凹部1621内側面を保護するために絶縁膜1622を積層する。次に絶縁基板1623を付着し、コンタクト孔1624を形成し、さらに導電体膜をコンタクト孔内および絶縁滝基板1623の表面に積層し、導電体膜・電極・配線1625(1625−1、2、3、4)を作製する。こうして、凹部1621−2を容量空間として、その両側の対向するポリマー電極基板側壁1615−1および1615−3をコンデンサ電極とするコンデンサが形成される。ポリマー電極基板側壁1615−1は凹部1621−1へ導入された音波や加速度や角速度によって変形し、凹部1621−2のコンデンサ容量が変化する。導電体膜・電極・配線1625は基板側壁(1615−1,3)に電気的に接続しているので、コンデンサ容量の変化を検出することができる。同様に、凹部1621−3を容量空間として、その両側の対向するポリマー電極基板側壁1615−2および1615−4をコンデンサ電極とするコンデンサが形成される。ポリマー電極基板側壁1615−2は凹部1621−1へ導入された音波や加速度や角速度によって変形し、凹部1621−3のコンデンサ容量が変化する。導電体膜・電極・配線1625は基板側壁(1615−2,4)に電気的に接続しているので、コンデンサ容量の変化を検出することができる。(図79(f))
必要な場合(たとえば、凹部1621へ通気する場合や音波を導入する場合や、凹部内に重い液体を入れる場合)は、絶縁基板1623に開口孔1626を形成する。コンタクト孔1624や開口孔1626を同じプロセスで形成することもできるし、予めこれらを形成した絶縁基板1623をポリマー1615の表面1615Sやポリマー基板1615上面に付着しても良い。本実施形態では、基板1611の凹部1614を形成した面1611Sと反対側の面1611B側にもポリマー基板側壁へのコンタクト孔1627を形成できる。基板1611の表面1611B(この上に絶縁膜1630等が形成されている場合には、その上)に感光性膜を形成し、必要なパターンを形成し、(絶縁膜1630等をエッチングし、さらに)基板1611をエッチングし、さらに絶縁膜1613をエッチングして、ポリマー基板側壁1615へ接続するコンタクト孔1627を形成する。基板1611が半導体基板や導電体基板であるときは、コンタクト孔1627で露出した基板1611側面上に絶縁膜1628を積層する。その後、導電体膜をコンタクト孔1627内および基板1611B上(上の絶縁膜1613上)に積層し導電体膜・電極・配線1629を形成する。この結果、基板1611B側でもポリマー電極1515と接続する導電体膜・電極・配線1629を得ることができる。このことは、基板1611の両面(1611S、1611B)または片面から制御できることを意味する。必要な場合には、開口1631を基板面1611B側に備えることもできる。
以上のようにして、基板1611の基板面に凹部(第1凹部)形成し、それに導電性ポリマーを形成し、インプリント法を用いて、その基板内凹部(第1凹部)に凹部(第2凹部)を形成し、第2凹部を容量空間とし、導電体ポリマーの基板側壁をコンデンサ電極とするコンデンサを作成でき、それを用いて、マイクロホンセンサ、加速度センサ、各速度センサ、その他のセンサ(圧力センサ)を作製できる。基板1611がシリコン等の半導体基板であれば、トランジスタやIC等のデバイスと一緒にセンサを作製できる。センサの第1凹部と同じ基板面(1611S側)にIC等のデバイスを作製する場合は、第1凹部のない領域にIC等のデバイスを作製することができる。センサの第1凹部と反対の基板面(1611B側)にIC等のデバイスを作製する場合は、第1凹部の下側の領域にもIC等のデバイスを作製することができるので、高い密度のセンサ付きICを作製できる。
モールドパターン1619のパターン深さをH10としたとき、ポリマー基板側壁の深さH11は、第2凹部1621の底部をエッチングする前はほぼH10と同じである(図79(d))が、(H11=H10)第2凹部1621の底部をエッチング後の第2凹部1621の深さH12は、第2凹部1621の底部の絶縁膜1613のエッチングレートがポリマー1615のエッチングレートより遅いので、H11より少し小さくなる。(H12<H11)また、コンデンサの電極の深さはポリマーの基板側壁(1615−1、2、3、4)の深さH13と同じであるが、このH13はH12より少し小さくなる。従って、第2凹部1621の底部をエッチングのバラツキやエッチング量を制御することが重要である。
図79に示す実施形態において、基板1611内に凹部1614を形成せずに平坦な基板面に(必要なら絶縁膜を形成した上に)導電性ポリマーを形成してインプリント法で図79と同様なセンサ構造(ただし、第1凹部1614はない)を作製できる。
図80は、インプリントモールドを用いてセンサを作製する別の実施形態を示す図である。基板1301上に絶縁性ポリマー1302を形成し、その上に導電性ポリマー1303を形成する。この製造方法として、たとえば液状の絶縁性ポリマー1302を塗布法やディップ法で作製する方法、ゲル状やペースト状の絶縁性ポリマー1302を塗布する方法、あるいはポリマーシート付着法がある。次に、液状の絶縁性ポリマー、ゲル状やペースト状の絶縁性ポリマー、あるいはポリマーシート1302の上に液状の導電性ポリマー1303を塗布法やディップ法で形成したり、あるいはゲル状やペースト状の導電性ポリマー1303を塗布したり、あるいは導電性ポリマーシート1303を付着させる。(図80(a))
次に凹部形成用パターン1306を有するモールド1305をポリマー1303および1302に挿入する。絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303が液状や、ゲル状やペースト状であるときは、そのまま押し込むことができる。絶縁性ポリマー1302または導電性ポリマー1303のどちらかが固体状である場合は、たとえば以下のようにインプリントする。絶縁性ポリマー1302が固体状である場合、導電性ポリマー1303が液状やゲル状やペースト状の場合は、まずモールド1305および1306を導電性ポリマー1303に押し入れる。絶縁性ポリマー1302にモールドパターン1306の先端部が近づいたときに絶縁性ポリマー1302が軟化する温度以上の温度にして、軟化した絶縁性ポリマー1302へモールド1305および1306を押し入れる。その後、絶縁性ポリマー1302の軟化温度(TM1302)以下へ下げて絶縁性ポリマー1302を硬化させる。導電性ポリマー1303の軟化温度(TM1303)が絶縁性ポリマー1302の軟化温度より低い材料(TM1303<TM1302)を用いることによって、さらに温度を下げて導電性ポリマー1303を硬化させる。絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303が硬化した後、モールド1305および1306を引き抜いて、凹部1307を形成する。
絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303が固体状である場合、たとえば、絶縁性ポリマー1302の軟化温度(TM1302)が導電性ポリマー1303の軟化温度(TM1303)より高い材料(TM1302>TM1303)を用いる。絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303を形成した基板1301をTM1302とTM1303との間に保持し、モールド1305および1306を導電性ポリマー1303内に挿入する。次にモールド1305および1306の先端部が絶縁性ポリマー1302に近づいたときに基板1301の温度をTM1302以上して軟化した絶縁性ポリマー1302中にモールド1305および1306を挿入する。所定位置にモールド1305および1306を押し入れたときに、基板1301の温度をTM1302とTM1303との間にして絶縁性ポリマー1302を硬化させ、次にTM1303以下にして導電性ポリマー1303を硬化させる。絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303の両方が硬化した後にモールド1305および1306を引き抜くと、ポリマー内に凹部1307が形成される。凹部1307の底部は絶縁性ポリマーとなるので、導電性ポリマーの基板側壁1303同士(たとえば、1303−1と1303−2、あるいは1303−3と1303−4)は電気的に接続しない。この後は、図79に示す方法と同様のプロセスでセンサを作製できる。(図80(a)、(b)、(c)、(d))
以上のように、凹部の底部を形成するモールドパターン1306の先端部が、絶縁性ポリマーの中に入るように、絶縁性ポリマーおよび導電性ポリマーの厚みを調整する。図80に示す実施形態では、インプリントモールドして作製した凹部の底部は絶縁性ポリマー(絶縁膜)であるから、図79に示した凹部底部の導電成ポリマーのエッチング除去プロセスは不要であり、プロセスが簡単になる。しかもエッチングプロセスがないので、導電性ポリマーの厚みがコンデンサの電極の深さと同じであるから、非常に精度の良いコンデンサを形成することができる。
図81は、インプリント法を用いて本発明のセンサを製造する方法を示す別の実施形態を示す図である。図81では、インプリント法で用いるモールド(またはその一部)をそのままセンサの一部として使用する。絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマーを形成した基板1301に、凹部形成用のモールドパターン1306を有するモールド1305を押し込み、凹部形成用モールドパターン1306の先端部は絶縁性ポリマー内に入り込むようにする。モールド1305は凹部形成用のモールドパターン1306を付着させ支持している基板であり、将来センサの基板側壁を支える基板である。モールド1305は絶縁基板であることがプロセス上扱いやすいが、電極間を電気的に分離するようにすれば半導体基板や導電体基板でも良い。以下はモールド1305が絶縁基板であるとして説明する。
モールドパターンを支持するモールド基板1305はセンサの一部として残すので、余り厚くできない場合には、モールド基板1305をさらに支えるモールド支持基板をモールド基板1305上に付着させても良い。こ接着剤を用いたり、静電的に付着したりして付着させるが、他の方法で付着させても良い。たとえば、モールド基板1305をフェライト等の磁性を有する絶縁基板とし、モールド支持基板側に電磁石を備えてモールド基板1305を付着させる。モールド基板1305はセンサ側に残すので、そのときは電磁石の機能をなくせば、モールド基板1305はモールド支持基板から分離できる。モールド基板1305の厚みは約10μm〜1000μmである。特性上問題なければこれよりも厚くても良いし薄くても良い。
モールド基板1305に凹部形成用のモールドパターン1306を形成する。このモールドパターン1306の形成方法は、たとえば以下のようにして作製することができる。軟化温度T1306を持つポリマー(樹脂)をモールド基板1305上に塗布、ディップ法、スプレー法、スクリーン印刷法で形成する。このポリマー1306は好適には熱可塑性樹脂である。次にモールドパターンを形成できるパターンを有するモールドを押しつけてインプリント法等でモールドパターン1306を形成する。適当な温度で熱処理して硬化させる。あるいはUV照射で硬化させても良い。
次に、硬化温度T1302持つ絶縁性ポリマー(樹脂)および硬化温度T1303を持つ導電性ポリマー(樹脂)をモールド基板1301上に塗布、ディップ法、スプレー法、スクリーン印刷法で形成する。これらのポリマーは好適には熱硬化性ポリマーである。モールドパターン1306を有するモールド1305をポリマー中に挿入し押しつけ、モールドパターン1306の先端部は絶縁性ポリマーになるようにする。次に温度を上げて、絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303を硬化させる。従って、好適にはT1302<T1303<T1306である。すなわち、まず、T1302とT1303との間の温度で絶縁性ポリマー1302を硬化させ、その後T1303とT1306の間の温度で導電性ポリマー1303を硬化させる。
モールド基板1305のモールドパターン1306の上面の一部または全部には開口部1310が開いている。この開口部1310はプロセス上問題なければ開口した状態でも良いが、モールドパターン1306をポリマー1303および1302へ挿入するときの圧力伝達に問題等がある場合は、ポリマー(樹脂)、ゴム、金属等で充填しても良い。たとえば、モールドパターン1306と同じ材料でも良い。好適には、この材料は有る温度(T1310)以上で溶融する材料とする。T1302<T1303<T1310の関係があり、しかもT1310はT1306と近い方が良い。絶縁性ポリマー1302および導電性ポリマー1303が硬化した後、T1310かT1306のどちらか高い温度以上の温度にして、ポリマー1310および材料1306を溶融させる。(モールド基板の軟化温度はこの温度以上とする。)この溶融した材料を開口した開口1310から外側へ流出させ、凹部1307を形成する。開口からの流出が困難な場合は、外側を低圧にして吸い出すのが良い。或いは、モールドパターン1306の材料を昇華性を有する材料または沸点の低い材料(融点または軟化点より少し高い温度の沸点を有する材料)あるいは揮発性材料とし、気化させて取り出しても良い。あるいはポリマーを分解してその気体を外部へ排出しても良い。昇華性を有するポリマーとして、たとえば、メラミンや油溶性染料がある。
次に、導電体ポリマーの基板側壁1303(1303−1、2、3)とコンタクトするコンタクト孔1311を絶縁体基板1305に設け(たとえば、絶縁体基板1305がガラス基板である場合は、感光性膜を形成しパターニングして、ドライエッチング(CF4ガス等)やウエットエッチング(フッ酸系エッチャント)で窓開けする。あるいは、モールド基板1305に1310と同じく予め備えておくこともできる。)、導電体膜をコンタクト孔1311および絶縁体基板1305上に積層し、パターニングして導電体膜・電極・配線1312(1312−1、2、3、4)を形成する。この結果、空間容量を凹部1307−2とし、これを挟む導電体ポリマーの基板側壁1303−1および1303−2を対向電極とするコンデンサが形成され、たとえば基板側壁1303−2が加速度や、凹部1307−1に導入された音波によって変形したとき、凹部1307−2の空間容量が変化しコンデンサ容量の変化を検出できる。同様に、空間容量を凹部1307−3とし、これを挟む導電体ポリマーの基板側壁1303−3および1303−4を対向電極とするコンデンサが形成され、たとえば基板側壁1303−3が加速度や、凹部1307−1に導入された音波によって変形したとき、凹部1307−3の空間容量が変化しコンデンサ容量の変化を検出できる。
以上のようにすれば、モールド基板1305およびモールドパターン1306を引き抜かずに凹部1307(モールドパターン1306の跡)を形成することができ、しかもモールド基板1305がそのまま絶縁体基板になるので、プロセスが簡単であり、しかも厚み(幅)の薄いポリマーの基板側壁(たとえば、1303−2や1303−3)と付着しない(既に付着している)ので、技術的にも容易である。また本実施形態は、半導体基板等に凹部を形成して、その凹部内にセンサを形成できる。従って、センサ付きICを1チップで作製できる。
図82は、絶縁性ポリマー内にインプリントモールド法により凹部を形成して、そのままモールド基板を凹部上の絶縁体基板として使用するセンサおよびその作製方法を示す図である。まず、モールドの構造について説明する。本実施形態のモールドは、センサの基板側壁の上面に付着する絶縁基板となるモールド基板1405、センサの凹部を形成するモールドパターン1406(1406−1、2、3)を含む。モールド基板1405は絶縁体基板が望ましいが、半導体基板や導電体基板でも使用できる。厚みは、センサの厚みにもよるが、10μm〜1000μmであるが、もっと薄くても良いし、厚くても良い。ただし、半導体基板や導電体基板の場合は、対向するコンデンサ電極が電気的に分離するようにそれぞれの電極と接触する領域間に絶縁性を持つ領域を作製する。以下では、モールド基板1405は絶縁体基板として説明する。絶縁基板は、たとえばガラス基板、石英基板、セラミック基板、絶縁性プラスチック基板、各種高分子絶縁性基板、絶縁性ゴムなどである。
このモールド基板1405にセンサ凹部形成用のモールドパターン1406を付着させる。このモールドパターン材料は、たとえば、高分子(ポリマー)、ゴムであり、液状またはゲル状のポリマー1402へインプリント可能なモールド材料であり、液状またはゲル状のポリマー1402とプロセス中及び使用中に反応しない材料であり、凹部の容積の変化(バラツキ)が小さい材料であることが望ましい。モールドパターン1406(1406−1、2、3)には、図82(a)に示すように、導電体膜1407(1407−1、2、3、4)のパターンが形成されている。凹部形成用のモールドパターン1406(1406−1、2、3)が形成されているモールド基板1405の領域の一部または全部には開口部1410が形成されており、この開口部1410には充填材料で満たされ、モールド基板1405の基板面と同じレベルで平坦になっている。この充填材料は、たとえば軟化点(または融点)T1410を有する熱可塑性ポリマーである。あるいは、融点T1410を有する金属や無機材料でも良い。
また、モールド基板1405には導電体膜1407とコンタクトするためのコンタクト孔1408(1408−1、2、3)が形成されている。このコンタクト孔1408も充填材料で満たされ、モールド基板1405の基板面と同じレベルで平坦になっている。この充填材料は、たとえば軟化点(または融点)T1408を有する熱可塑性ポリマーである。あるいは、融点T1408を有する金属や無機材料でも良い。
モールドパターン1406を構成する材料はたとえば軟化点(または融点)T1406を有する熱可塑性ポリマーである。あるいは、たとえば融点T1406を有する金属や無機材料でも良い。モールドパターン1406はモールド基板1405上に熱可塑性ポリマー1406を塗布法、ディップ法、スクリーン印刷法などで形成する。モールドパターン1406は、インプリントモールド法で形成しても良いし、スクリーン印刷法でパターニングしても良い。モールドパターン1406の深さH31は、凹部の深さによって決定される。
モールドパターン1406を形成した後、モールドパターン1406上に導電体膜1407を積層する。さらに、導電体膜1407上に感光性膜を積層し、感光性膜の必要なパターニングをして導電体膜1407の必要な配線を行なう。ポリマーの基板側壁となる領域Aは幅が狭いが、加速度センサやマイクロホンでは、Aの部分(導電体膜1407−2や1407−3)では導電体膜407のパターニングは必要がないので、感光性膜がポジ型であれば露光しない部分が現像後に感光性膜が残るのでパターニングは問題ない。一方、モールド基板1405の基板面側が広いBの部分(導電体膜1407−1や1407−4)は広い領域であるから、ポジレジストの厚みが余り厚くならないので、(塗布法やディップ法の場合は少し厚くなるが、特に感光性ドライフィルムを使用するときは、厚くなることを抑えることができる。)露光を十分に行なうことができるし、焦点深度の深い露光を行なうことにより、感光性膜の十分なパターニングができ、そのパターンをもとにして導電性膜のエッチングを行なうことができる。また、図82(a)に示すように、モールドパターン1406の先端は導電体膜1407をエッチング除去する。モールドパターン1406の先端は感光性膜が薄い領域であるから、ポジ型感光性膜へ十分な露光ができ容易に感光性膜を除去できるから、モールドパターン1406の先端の導電体膜1407のエッチング除去は容易である。
モールド基板1405はセンサ側に残るので、モールド基板1405を支持してプレスで押し込むためのモールド支持基板1414にモールド基板1405をたとえば接着層1412を用いて付着させる。この接着層1412は軟化温度(融点)T1412を有する熱可塑性樹脂とする。あるいは、モールド基板1405を、磁性を有するフェライト等の絶縁基板とすれば、モールド支持基板1414に電磁石を備えて、電磁石でモールド基板1405をモールド支持基板1414に付着させることもでき、この場合は接着剤1412は非強がないので、プロセスが簡略化される。
一方、センサを形成する基板側は、基板1401上に絶縁性ポリマー1402を塗布法、ディップ法、スクリーン印刷法、ドライフィルム付着法、溶融法を用いて形成する。絶縁性ポリマー1402は熱硬化性ポリマーとし、その硬化温度をT1402とする。液状状態または軟化状態または溶融状態の絶縁性ポリマー1402にモールドパターン1406を有するモールド基板1405を押し込んでゆき、モールド基板1405とポリマー1402を接触させ、さらにモールド基板1405でポリマー1402を押圧する。ポリマー1402の温度をT1402以上に保持し(保持温度T39-1)、ポリマー1402を硬化させる。このとき、モールドパターン1406、充填材料1408、充填材料1410、接着剤1412は軟化しないようにする。すなわち、T1402<T39-1<T1406、T1408、T1410、T1412である。(図82(b))
ポリマー1402が硬化した後、さらに温度を上げて(この温度をT39-2とする)モールドパターン1406、充填材料1408、充填材料1410、接着剤1412を軟化(または溶融)させる。すなわち、T39-2>T1406、T1408、T1410、T1412である。まず、接着剤1412を溶融させてモールド支持基板1414を取り外す。次に、溶融した充填材料1410を除去し、開口部1410から溶融したモールドパターン1406を除去する。(図82(c)の矢印で示す。)また、導電体膜1407(1407−1、2、3、4)と接続しているコンタクト孔1408(1408−1、2、3、4)を充填している材料を溶融除去する。尚、コンタクト孔1408の充填材料が導電体材料であれば、特に除去する必要がないので、溶融しなくても良い。すなわち、この場合はT1408>T39-2でも良い。この結果、凹部1416(1416−1、2、3)が形成され、導電体膜1407(1407−1、2、3、4)は凹部1416(1416−1、2、3)の内側面、すなわち絶縁性ポリマー1402の基板側壁1402(1402−1、2、3、4)の垂直な側壁側面および基板側壁1402(1402−1、2、3、4)の上面に自動的に残り、配線パターン1407(1407−1、2、3)が形成される。
次に導電体膜を積層し、パターニングして絶縁体基板1405上に導電体膜・電極・配線1412(1412−1、2、3、4)を形成する。コンタクト孔1408内に充填した充填材料が導電体材料でないときは、この部分が開口されるので、コンタクト孔1408にも導電体膜を積層して、導電体膜配線1407と接続させることもできる。尚、導電体膜の積層は、CVD法やPVD法を用いる。導電体膜1407、1408、1412は、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、白金、クローム、タングステン、モリブデン、あるいはこれらの合金である。凹部1416(1416−1、2、3)内にも積層されるが、非常に薄いので、導電体膜・電極・配線1412(1412−1、2、3、4)の形成時のエッチング時に、開口部1410の感光性膜を除去して開口して開けておけば、簡単にエッチング除去できる。特に、エッチングのプロセス時に等方性エッチングプロセスを入れておけことによって凹部内に形成された導電体膜(1412)は簡単にエッチングされる。この後、凹部への開口をさらに増やしたり、あるいは開口を塞ぐプロセスを追加することもできる。(図82(d))
このように図82に示すセンサの構造およびプロセスによって、非常に簡単なプロセスでセンサを作製できる。しかも幅が狭い基板側壁1402(1402−2、3)はモールド基板1405で上面を固定された後に形成されているので、極めて安全なプロセスで形成される。この結果、基板側壁1402(1402−1、2、3,4)は、上面がモールド(絶縁体)基板1405で固定され、下面は絶縁性ポリマー1402で固定されている。
尚、モールド基板1405にあらかじめ開口部1410やコンタクト孔1408を形成したが、ポリマー1402を硬化させ、モールド支持基板1414を取り外してから、感光性膜を形成して感光性膜をパターニングして開口部1410やコンタクト孔1408を形成することもできる。この開口部1410を形成した後にモールドパターン1406を溶融させて除去することができる。この場合は、予め開口部1410やコンタクト孔1408を充填材料で充填する必要がなく、これらを溶融し除去する必要もない。
尚、モールドパターン1406の材料、充填材料1408、1410、接着剤材料1412を昇華性材料や沸点が融点に近い材料にすれば、これらの材料を気化させて除去することができるので、除去プロセスが容易となる。尚、導電体膜1407の融点はプロセス温度より高くし、プロセス中に溶融したり、変形したりしないようにすることは言うまでもない。さらに図82に示すセンサは、半導体基板に凹部を形成することによって、トランジスタやICと同じチップ内に搭載することもできる。しかもIC等を形成する面と反対の面にセンサを形成すれば、センサ搭載ICチップのサイズを小さくすることもできる。
本発明のセンサはジャイロセンサ(角速度センサ)にも適用できる。角速度ωによって質量mの物体はmrω2の力を受ける。たとえば、図54に示す構造のセンサに回転力(角速度ω)が加わると、各コンデンサの容量変化が異なるので、最も容量変化の大きいコンデンサから回転中心方向が分かる。回転中心が図54に示す円形の中心になければ容量変化の大きいコンデンサの位置は変化するので、時間t秒後の回転中心方向から回転中心を求めることができる。このセンサを複数配置しておけば、直ちに回転中心が分かるし、精度も高まる。また、力の大きさから角速度ωも分かる。さらに、移動速度vも分かる。電極の分割個数を増やせば、角速度ω、移動速度v、回転中心の精度も高めることができる。3次元的に複数配置(種々の方向にして配置)すれば、3次元的な角速度センサとして使用できる。
本発明のセンサ構造は加速度センサやマイクロホンや角速度センサだけでなく、他の種々のセンサに使用できる。たとえば、本発明者は、特願2012−016017において圧力センサをはじめとした種々のセンサの発明を示してきたが、本発明も特願2012−016017に示した種々のセンサに適用できることは言うまでもない。一例として、図82に示すセンサ構造およびその製造方法を圧力センサの構造およびその製造方法に適用した例を図83に示す。
図83は、インプリント法を用いた本発明の圧力センサの構造およびその製造方法を示す図である。図82と類似または同じものは同じ符号を使用する。モールド基板1405はポリマー中へインプリント法を用いて凹部を形成するためのモールドパターン1406(1406−1、2、3、4)を有する。モールドパターン1406(1406−1、2、3、4)およびモールド基板1405上には導電体膜1407がパターニングされている。モールドパターン1406はインプリント法やフォトリソ法で形成する。モールドパターン1406はたとえば、軟化温度または融点T1406を有する高分子材料(ポリマー)であり、熱可塑性樹脂が望ましい。導電体膜はCVD法やPVD法やイオンプレーティング法などによって積層した多結晶シリコン膜、アモルファスシリコン膜、WSixやMoSixやTiSix等のシリサイド膜、各種金属膜、各種合金膜、導電性ナノチューブ、導電性グラフェン、導電性ポリマー等である。CVD法やPVD法やイオンプレーティング法などによる積層膜なので、モールドパターン1406の上面はもちろん、その側面や底部にも積層される。
図83(a)に示すように、容量空間となる凹部1416−2および1416−3を形成するモールドパターンの凸状パターン1406−2および1406−3上(側面および上面)に形成された導電体膜1407のうち、凸状パターン1406−2および1406−3の天井部(矢印Cで示す)の導電体膜を除去する。導電体膜の除去方法として、たとえば、ポジ型の感光性膜を塗布法やスプレー法でコーティングした後、凸状パターン1406−2および1406−3の天井部(矢印Cで示す)の感光性膜は薄いので、容易に露光でき、この部分の感光性膜を除去できる。モールドパターン1406の底部、すなわちモールド基板1405上のB部分で導電体膜をパターニングする必要があるが、この領域は他の領域(A領域)に比べて広く取れるので、感光性膜も比較的薄くなること、また精度の高いパターニングは不要なことなどから、このB部分でのパターニングも問題ない。(露光時間を十分長く取れるので、感光性膜が厚くても露光可能である。)また、感光性膜が厚くなるモールドパターンの凹部(A領域、この部分は幅の狭い基板側壁(ダイヤフラム)となる部分)は、感光性膜が厚くなるので、露光が不十分となるが、このA領域は感光性膜を除去する必要はないので、ポジ型感光性膜であれば全く問題ない。感光性膜がドライフィルムの場合には、モールドパターン1406の底部でも余り厚くならないので、感光性膜は問題なくパターニングできる。さらに電着レジスト法を用いれば、パターニングはさらに問題ない。
モールド基板1405において、モールドパターン1406が形成される領域の一部または全部を開口して開口部1410を形成して、その部分に充填材料で充填しても良い。また、導電体膜1407とコンタクトするためのコンタクト孔1408(1408−1、2、3、4、5)を形成し、その部分を充填しても良い。このコンタクト孔1408の充填材料に導電体膜を使用すればそのままコンタクト孔1408での導電体膜1407との接続材料として使用できる。コンタクト孔1408をポリマー等で充填して後で除去しても良い。開口部1410やコンタクト孔1408は、モールド基板1405にレーザー照射して形成することもできるし、感光性膜を形成パターニングしてドライエッチングやウエットエッチングで開けることができる。1408や1410の充填材料をモールドパターン1406と同じ材料(たとえば、熱可塑性ポリマー)にすれば、モールドパターン1406を形成時に同時に作製でき、プロセスを簡略にできる。
モールドパターン1406付きモールド基板1405だけでプレスできないときは、モールド支持基板1414に接着剤1412等でモールドパターン1406付きモールド基板1405を付着させて、モールド支持基板1414をプレス装置にセットして、基板上に形成したポリマー1402へ押し込んでも良い。前述したように磁性体であるフェライト基板をモールド基板1405として使用すれば、電磁石を用いることによって接着剤1412を使用せずにモールド基板1405を直接モールド支持基板1414に付着できる。
次にモールド基板1405等を絶縁性ポリマー1402中にインプリントし、絶縁性ポリマー1402を硬化させる。(図83(b))絶縁性ポリマー1402は液状ポリマーを滴下、スプレー、スピンコート、ディップなどにより基板1401上に付着させ、この後必要な場合にはプリベークして軟化状態またはゲル状態にした後、モールドパターン1406付きモールド基板1405を絶縁性ポリマー1402中に押し込む(インプリントする)。あるいは、絶縁性ポリマーフィルムを基板1401上に付着させ、ベークして軟化または溶融させてモールドパターン1406付きモールド基板1405を絶縁性ポリマー中に押し込む(インプリントする)。絶縁性ポリマー1402は熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が望ましい。この絶縁性ポリマー1402の硬化温度をT1402としたとき、T1402はモールドパターン1406を構成するポリマー等の軟化温度T1406より低くなる材料を選定する。モールドパターン1406付きモールド基板1405を絶縁性ポリマー1402中に押し込んで、(モールド基板1405は絶縁性ポリマー1402と接触し、さらに押し込む(圧接する)。T1402とT1406の間の温度で絶縁性ポリマー1402を硬化させる。
絶縁性ポリマーは、たとえば、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル、液晶ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、N−メチルー2−ピロリドン(NMP)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリジメチルシロクサン(PDMS)、ポリイミド樹脂、ポリ乳酸、各種ゴム(天然ゴムや合成ゴム)、あるいはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(VDF/TrFE)共重合体、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン(VDF−TeFE)等の強誘電性高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン−11等の極性高分子等の圧電性高分子など種々の高分子材料である。
絶縁性ポリマーは、あるいは、有機または無機のシリケートガラスでも良く、この場合液状またはゲル状のシリケートガラス中へインプリントし、その後シリケートガラスを硬化(固化)させる。尚、ポリマーの場合硬化させる方法として紫外線等の電磁波を用いる方法でも良い。
絶縁性ポリマー1402が硬化した後、モールド支持基板1414を取り外す。磁性体1405の場合は、接着層1412がなく、電磁石機能をなくせば容易に分離できる。接着層1412を用いている場合は、接着層1412を熱可塑性樹脂としその軟化(溶融)温度T1412より高い温度にすれば容易にモールド支持基板1414をモールド基板1405から取り外すことができる。次にプロセス温度をT1406以上の温度に保持し、モールドパターン1406を溶融(軟化)させる。このとき開口部1410の充填材料も軟化溶融させる。溶融・軟化したポリマー1406は開口部1410から外部へ取りだす。外側を減圧状態にして吸い出せば容易にポリマー1406を取りだすことができる。導電体膜1407の融点T1407としてプロセス温度よりも高い材料を使用すれば、導電体膜1407は融けることはない。
この結果、図83(c)に示すように、絶縁性ポリマー基板1402内に凹部1416(1416−1、2、3、4)を形成でき、これらの凹部1416によって基板側壁1402(1402−1、2、3、、4,5)が形成され、これらの基板側壁1402(1402−1、2、3、、4,5)の上面や側面(凹部1416の内側面でもある)、凹部1416の底部に導電体膜・配線1407(1407−1、2、3)が形成される。モールドパターン1406の外側面および上(底)面、モールド基板上に付着していた導電体膜・配線1407(1407−1、2、3)は、絶縁性ポリマー1402が硬化するときに、絶縁性ポリマー1402の表面(基板側壁1402−1、2、3、4、5の内側面や絶縁性ポリマー1402の上面や底面に付着し、モールドパターン1406が軟化・溶融されて外側へ取りだされた後にも残る。
この後、導電体膜1412をモールド基板上に積層し、所望の導電膜・電極・配線1412(1412−1、2、3、4、5)としてパターニングする。既に絶縁体基板1405にコンタクト孔1408が形成され、そのコンタクト孔1408を導電体膜で充填している場合には、この上に導電体膜1412を積層すれば良い。コンタクト孔1408内をポリマー等で充填していた場合にはポリマー等を軟化溶融して取り出せば良い。その後で導電体膜をコンタクト孔1408内に積層して、導電体膜・電極・配線1407と接続する。モールド基板1405にあらかじめ開口部1410やコンタクト孔1408を形成していない場合は、感光性膜を絶縁基板1405上に形成しパターニングして。その後、絶縁体基板1405をエッチング(ウエットまたはドライ)して開口部1410やコンタクト孔1408を形成する。
以上のようにして静電容量型の圧力センサを作製することができる。絶縁性ポリマーの基板側壁1402(1402−2、3、4)はその両側を凹部1416(1416−1、2、3、4)によって挟まれたダイヤフラムとなり、これらの隣接する凹部1416の圧力差によってダイヤフラムである絶縁性ポリマーの基板側壁1402が変形する。すなわち、基板側壁1402の上面を絶縁体(モールド)基板1405で、基板側壁1402の下面を絶縁性ポリマー1402の底部(1402B)によって規制されているが、その他の部分は規制されていないので、ダイヤフラムである絶縁性ポリマーの基板側壁1402が変形する。たとえば、基板側壁1402−2は、凹部1416−1の圧力P2(開口部1410を通じて圧力P2をかけることができる)と、凹部1416−2の圧力P1(開口部1410を通じて圧力P1をかけることができる)との圧力差によって変形する。基板側壁1402−3はその両側の凹部1416(1416−2と1416−3)の圧力はP1と同じなので変形しないが、凹部1416−2の電極間距離(凹部1416−2の幅W1)が変化するので、対向する電極1407−1および1407−2で測定されるコンデンサ容量が変化するので、圧力差P2−P1を演算できる。
同様に、基板側壁1402−4は、凹部1416−4の圧力P2(開口部1410を通じて圧力P2をかけることができる)と、凹部1416−3の圧力P1(開口部1410を通じて圧力P1をかけることができる)との圧力差によって変形する。基板側壁1402−4はその両側の凹部1416(1416−2と1416−3)の圧力はP1と同じなので変形しないが、凹部1416−3の電極間距離(凹部1416−3の幅W2)が変化するので、対向する電極1407−3および1407−4で測定されるコンデンサ容量が変化するので、圧力差P2−P1を演算できる。
あるいは、凹部1416−1および1416−3を圧力P2とすれば、基板側壁1402−2と1402−3は互いに逆方向に変更する。たとえば、P1>P2のときは、基板側壁1402−2と1402−3は凹部1416−2を膨らます方向へ変形し、P1<P2のときは、基板側壁1402−2と1402−3は凹部1416−2を窪ませる方向へ変形する。従って、対向する電極1407−1および1407−2で測定されるコンデンサ容量が上記よりも大きく変化するので、圧力差P2−P1を演算でき、しかも感度が高まる。
このように本発明の構造を用いれば、圧力センサにも適用できる。基板側壁に抵抗を形成すればピエゾ抵抗を用いた圧力センサも作製できる。また、図83(d)で示すP1またはP2が印加されるどちらかの開口部1410を閉じれば(開口部にたとえばガラス基板を付着させる。)P1かP2の圧力を凹部内に閉じ込めることができるので、絶対圧センサも作製できる。尚、図83に示した圧力センサは、半導体基板に凹部を形成し、その凹部に図83で説明した絶縁性ポリマーを形成すれば、その凹部内に作製することができる。これまでに明細書の中で説明した内容(構造、プロセス等)は、圧力センサにも適用できることは言うまでもない。
インプリントモールド法によって、ポリマー中に凹部または貫通孔(貫通溝)を形成する場合において、ポリマーに圧電性ポリマーを用いることによって、コンデンサの容量変化を検出できるだけでなく、ダイヤフラムとしての基板側壁の変形による電荷の分極による電圧変化を測定することができる。従って、これらの両方から音波や力量(加速度、角加速度、圧力)の大きさおよび向きを検出することができる。たとえば、図60において、ポリマー615は圧電性ポリマーであると考えれば良い。このとき、基板側壁615−1において、電極は片側625−2だけを形成しているが、凹部621−1側の基板側壁615−1の側面にも形成する(この電極を625−6とする)。625−2および625−6は圧電体膜である基板側壁625−2の側面に形成された電極であり、互いにつながってはいない。基板側壁625−2の変形によって圧電体膜625−2の側面に生じた電荷によって、導電体膜電極625−2および625−6の間で電位差が生じるので、その電位を検出することにより、音波や力量(加速度、角加速度、圧力)の大きさおよび向きを検出することができる。尚、基板側壁615−2においても、凹部621−1側の基板側壁615−2の側面にも形成する。このように、凹部621−2や621−3を容量空間としたコンデンサの容量変化だけでなく、圧電体膜基板側壁615−1や615−2の両側面に生じた電位差変化からも、音波や力量(加速度、角加速度、圧力)の大きさおよび向きを検出することができるので、感度や精度を高めることができる。
圧電性ポリマーは、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミノ酸、キラル高分子系圧電性ポリマー、強誘電性液晶など種々の圧電性ポリマーである。図79〜図83に示した図や説明、その他の明細書で示したポリマーを圧電性ポリマーとすることによって、上記のような圧電性による効果を利用して、音波や力量(加速度、角加速度、圧力)の大きさおよび向きを検出することができるので、感度や精度を高めることができる。圧電性ポリマーを用いれば、本発明のデバイスをスピーカーとして使用することもできる。
以上説明したように、本発明の貫通孔または凹部を基板内に形成し、これらの間に挟まれた基板側壁の変形を用いた力量センサ(加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ等)またはマイクロホンまたはスピーカは、従来の基板面に平行に作製されたものに比較すればサイズを非常に小さくできる。だとえば、300μm×300μmのダイヤフラムが必要であれば、従来は、少なくとも0.5mm×0.5mmのチップサイズが必要であったが、ダイヤフラムを基板の厚み方向に作製する本発明の場合は、基板を平面的にみれば300μm×10μmのダイヤフラムを2つ並べ、中央の貫通孔の大きさ30μm、容量空間の貫通孔幅は20μm×2個となり、約0.4mm×0.1mmの大きさとなる。従って、基板平面の占有面積は、約1/6になる。同じ基板で作製すれば、6倍の取れ個数になるから、製造コストが約1/6になる。しかもチップサイズが小さくなるので、実装コストも下がる。面積も小さくなっているため、IC内に組み込んでもICのチップサイズは余り大きくならないから、損失コストも小さくなる。しかも、基板611としてシリコン基板等の半導体基板を用いると、同じ基板内またはチップ内に圧力センサーとそれをコントロールあるいは演算処理する機能やその他の種々の機能を持つICとを一緒に搭載することができる。さらに、従来法に比較すれば、実装面積を小さくできるので実装サイズを小型にでき、接続配線を少なくできるので、プロセスも極めて簡単になり、製造コストも大幅に低減でき、信頼性向上および歩留まり向上を実現できる。
本発明は、電気二重層キャパシタにも使用できる。図84は、電気二重層キャパシタの構造を示す図である。基板2011に貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)を形成し、これらの間に基板側壁2011(2011−1、2、3、4、5、6)が形成される。基板2011が導電体基板の場合には、基板2011の第1面(表面)から第2面(裏面)に貫通する貫通孔として、隣接する基板側壁は導通しないようにする。基板2011が絶縁体基板の場合には、基板側壁2011(2011−1、2、3、4、5、6)の側面に導電体膜を形成し、貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)内で対向する側面の導電体膜は導通しないようにパターニングする。貫通孔の場合は、基板2011の両面(第1面および第2面)に薄板(絶縁基板)2012および2013を付着する。凹部の場合には、凹部が開口する面側に薄板(絶縁基板)(たとえば、2013)を付着する。貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)に電解液や電解質ゲルを入れるか、または固体電解質で封入する。電解液や電解質ゲルを入れる場合は、たとえば、電解液や電解質ゲルに浸漬しながら基板2011の両面(第1面および第2面)は薄板(絶縁基板)を付着する。あるいは、基板2011の両面(第1面および第2面)に薄板(絶縁基板)を付着した後、各貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)を覆う薄板(絶縁基板)に開口孔をあけて、その開口孔から電解液や電解質ゲルを入れ、各貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)が電解液で満たされた後に開口孔を塞げば、電解液や電解質ゲルが漏洩することはない。
固体電解質は、たとえば高分子(ポリマー)固体電解質である。貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)を形成した後、軟化したポリマーまたは溶融したポリマーを塗布やディップやディスペンスやスクリーン印刷などして貫通孔または凹部2014(2014−1、2、3、4、5)内にポリマーを充填し、熱処理してポリマーを固化する。その後基板2011の両面または片面に薄板(絶縁基板)を付着する。この結果、隣接する基板側壁は互いにコンデンサ(キャパシタ)を構成しており、電気二重層キャパシタとなる。1つおきの基板側壁を電気接続することによって、キャパシタ容量を増大することができる。たとえば、図84において、基板側壁2011−2と2011−4を接続し電極Aにまとめ、対向電極側は2011−3と2011−5を接続し電極Bにまとめる。図84に示すような電気二重層キャパシタは超小型のキャパシタを実現できる。
図85は、別の電気二重層キャパシタの構造を示す図である。図85において、シリコン基板等の半導体基板2021内に凹部2022を形成し、その凹部2022にポリマー2021を充填する。このポリマー2021内に凹部2024(2024−1、2、3)を形成し、さらに凹部2024(2024−1、2、3)の内側面に導電体膜電極2025を作成する。たとえば、凹部2024−1において、対向する内側面に導電体膜・電極2025−1−1および2025−1−2が形成される。この凹部内に電解液や電解質ゲルあるいは固体電解質2027を形成し、半導体基板2021の第1面(表面)に薄板(絶縁基板)2028を付着させて凹部2022を塞ぐ。この結果、凹部2022−1において、対向する内側面電極2025−1−1および2025−1−2と電解質2027で電気二重層キャパシタが構成される。多数の凹部2024が形成されるので、対向する電極同士を接続して電極AとBとにまとめることによって、キャパシタ容量を増大することができる。尚、ポリマー内に凹部を形成する場合は、インプリント法を用いて凹部を形成することもできる。図85に示す電気二重層キャパシタは半導体基板内に形成することができるので、電気二重層キャパシタからの放電電圧を用いて、半導体基板内に作成したICやトランジスタを動かすことができ、超小型の自立デバイス(1チップだけで動作するデバイス)を作製できる。
図86は、さらに別の電気二重層キャパシタの構造を示す図である。図86において、シリコン基板等の半導体基板2031内に凹部2032を形成し、凹部2032内に電解質2033を充填する。その凹部2032内に、別基板(絶縁体基板)2035に電極パターン2036(2036−1、2、3、4、5、6)を形成しておき、その別基板(絶縁体基板)2035を挿入する。半導体基板2031内には多数の凹部2032が形成されているので、それぞれの凹部に合わせてアライメントしながら、多数の電極パターン2036を形成した別基板(絶縁体基板)2035を挿入する。別基板(絶縁体基板)2035はそのまま半導体基板2031に付着させる。従って、電極パターン2036(2036−1、2、3、4、5、6)の長さは、凹部深さより短くする必要がある。電極パターン2036(2036−1、2、3、4、5、6)の先端側が自由端となり、凹部2032へ挿入時に変形する可能性がある場合は、電極パターン2036(2036−1、2、3、4、5、6)の先端側にも絶縁体基板2037を付着させても良い。その場合、電解質2033が電極パターン2036(2036−1、2、3、4、5、6)の間に入り込みにくい場合は、絶縁体基板2037に適度に開口部を設ければ良い。電解質2033が電解液や電解質ゲルでそのまま使用するときはこのまままで良いが、電解質として固体電解質を用いる場合は、電解質として高分子(ポリマー)材料を使用し、電解質2033を充填する場合には、液状にしたり溶融状態にして、別基板(絶縁体基板)2035を挿入し、その後熱処理して電解質2033を固化する。この結果、隣接する電極2036はそれらの間に電解質が入り込んだ電気二重層キャパシタを形成する。図86に示す電気二重層キャパシタは半導体基板内に形成することができるので、電気二重層キャパシタからの放電電圧を用いて、半導体基板内に作成したICやトランジスタを動かすことができ、超小型の自立デバイス(1チップだけで動作するデバイス)を作製できる。図86に示す二重層キャパシタは、基板2031として絶縁基板を使用すれば、単体の電気二重層キャパシタとして使用することもできる。
電解液または電解質ゲルは、たとえば6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)などのリチウム塩等の無機塩水系電解、硫酸、水酸化カリウム溶液、あるいは、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、テトラフルオロアンモニウムホウ酸塩、テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレート(Et4NBF4)、テトラメチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレート、トリメチルエチルアンモニウムテトラフロロボレート(Et3MeNBF4)のような4級アンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウムテトラフロロボレート、ジエチルジメチルアンモニウムテトラフロロボレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフロロボレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムテトラフロロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボレートのようなアンモニウムテトラフロロボレート類、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラプロピルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモニウムパークロレート、トリメチルエチルパークロレート、トリエチルメチルアンモニウムパークロレート、ジエチルジメチルアンモニウムパークロレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムパークロレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムパークロレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムパークロレートのようなアンモニウム過塩素酸塩類、テトラエチルアンモニウムヘキサフロロフォスフェートのようなホスホニウム塩、テトラメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、トリメチルエチルヘキサフロロホスフェート、トリエチルメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、ジエチルジメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェートのようなアンモニウムヘキサフロロホスフェート類、リチウムヘキサフロロホスフェート、リチウムテトラフロロボレート等の有機電解質である。
これらの有機電解質の溶媒は、たとえば非プロトン性有機溶媒、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートのような鎖状カーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのような環状カーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−バレロラクトンなどのラクトン類、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシドなどのスルフォキシド類、ジメチルフォルムアミド、ジエチルフォルムアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンやジオキソランのような環状エーテル類、ジメチルスルホラン、スルホランであり、一種または二種以上の混合溶媒として用いることもできる。
固体電解質は、たとえばポリエチレンオキサイド系重合体とアルカリ金属塩を複合した高分子固体電解質、ポリ酸化エチレンの架橋ネットワーク中に金属塩及び非プロトン性溶剤からなる電解液が含浸された高分子固体電解質、オキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリレートプレポリマーから得られる重合体及び電解質からなる複合体を用いたイオン伝導性の高分子固体電解質、あるいはリン酸リチウム(LixPOy)、リン酸鉄リチウム(LixFey(PO4)z)、リン酸マンガンリチウム(LixMny(PO4)z)、リン酸ニッケルリチウム(LixNiy(PO4)z)、リン酸クロムリチウム(LixCry(PO4)z)などのリチウム酸化物又はリン酸塩、および硫化リンリチウム(LixPSy)などの硫化リン化合物等の無機固体電解質などを用いることができる。
電極は、公知の材料を使用でき、たとえばアルミニウム、金、白金、銅、鉄、クロム、亜鉛、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニッケル等の金属、あるいはこれらの合金、金属とシリコンの化合物である各種シリサイド、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、低抵抗シリコン、導電性高分子(導電性高分子は、たとえば、ポリアニリン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジイル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びその誘導体、ポリフリレン及びその誘導体、ポリセレノフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフリレンビニレン、ポリナフテニレンビニレン、ポリセレノフェンビニレン、ポリピリジンジイルビニレン等のポリアリーレンビニレン及びそれらの誘導体等)を用いることができる。
図87は、電気二重層キャパシタの構造を平面的示した一実施例である。多数の平行平板型のキャパシタをそれぞれコンタクト孔を絶縁体基板(薄板)に形成してコンタクトして接続しても良いが。図87に示すように、キャパシタを構成する対向電極2042および2043を平行にしてスパイラル状に形成しておけば。コンタクトの取りだしは、AおよびBの2箇所だけとなる。スパイラル形状の対向電極2042および2043の間には電解液、ゲル状電解質、固体電解質等の電解質があり、これらで電気二重層キャパシタを構成する。スパイラル形状であるから非常に高密度のキャパシタを作製できる。そのスパイラル形状もチップ2041に合わせて、たとえば、図87に示すような矩形形状、あるいは円形形状、楕円形状、あるいは各種の曲線形状、あるいは適当な三角形以上の多角形状にすることもできる。従来の電気二重層キャパシタのように電極層や電解質を重ねて作製する必要がなく、電極(正極と負極)間の距離はほぼ一定に形成されるので短絡する危険性もなく信頼度の高い電気二重層キャパシタが作製される。従ってセパレータを配置する必要もないのでイオンのスムーズな移動が行なわれる。電解液やゲル状電解質だけでなく固体電解質の場合にも電極の周りを隙間なく電解質が覆うので、電極の周りに効率良く電気二重層が形成される。以上説明した様に、本発明を用いれば、非常に簡単なプロセスで超小型の電気二重層キャパシタを作製できる。さらに、本発明はこのような電気二重層キャパシタと同様の構造で二次電池にも使用できる。
図88は、圧電体基板に形成した貫通孔または凹部の間に形成された基板側壁の振動によって発生する電荷を用いた発電機を示す図である。圧電体基板2111内に貫通孔または凹部2115(2115−1、2、3)を形成する。貫通孔または凹部2115(2115−1、2、3)同士の間に基板側壁2111(2111−2、3)が形成され、さらに基板側壁2111(2111−2、3)の側面に導電体膜・電極2116(2116−1、2、3、4)が形成されている。基板2111の第1面(表面、上面)および第2面(裏面、下面)には薄板(絶縁体基板)2112、2113が付着され、基板側壁2111(2111−2、3)の上下面はこれらの薄板(絶縁体基板)2112、2113によって規制されている。貫通孔または凹部2115(2115−1、2、3)をカバーしている薄板(絶縁体基板)2112、2113には、必要に応じて振動波等を導入・導出する開口部2114(2114−1、2、3)や開口部2118が形成されている。凹部の場合には開口側に薄板2113を付着させるが、反対側は基板があるので、必ずしも薄板2112は付着させなくても良い。振動波Waが貫通孔または凹部2115(2115−1、2、3)に入ると圧電体基板側壁2111(2111−2、3)は振動し、この振動による変形で圧電体基板側壁2111(2111−2、3)の両面(両側面)に電荷が分極する。この電荷を圧電体基板側壁2111(2111−2、3)の両面(両側面)に形成した導電体膜・電極2116(2116−1、2、3、4)で取りだし(端子A、B)、コンデンサ等に蓄えることによって、発電することができる。尚、基板2111が圧電体基板ではない基板、たとえばシリコン等の半導体基板の場合でも、基板側壁上に絶縁膜、第1導電体膜・電極、圧電体膜、第2導電体膜・電極、をこの順で積層しパターニング(必要な場合)することによって、圧電体膜が振動によってその両面(両側面)に電荷を分極するので、その電荷を第1導電体膜・電極および第2導電体膜・電極で取りだす。この結果、コンデンサ等に蓄えることによって、発電することができる。尚、振動だけでなく、加速度や角速度や風や圧力変化によっても圧電体基板や基板は振動するので、発電することができる。また、加速度や角速度の場合には、前述したように、たとえば、凹部2115−2へ重い液体を入れることによって、発電効率を高めることができる。半導体基板を用いる場合には、発電機付きICを作製できるので外部から電気供給が不要になるというメリットがあり、さらに、発電状況をICでモニタリングすることもでき、より効率的な発電を行なうことが可能となる。
圧電体基板は、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、リチウムテトラボレート、チタン酸カルシウム、燐酸アルミニウム、石英、酒石酸カリウムナトリウム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電性ポリマー、窒化アルミニウム、燐酸ガリウム、ガリウムヒ素などである。圧電体膜は、上記の材料をPVD法やCVD法で形成した膜である。圧電体基板やその他の基板の凹部や貫通孔は、フォトリソ法+エッチング法、あるいはインプリント法を用いて形成できる。たとえば、液状またはゲル状の圧電性ポリマーや、上記の圧電性材料の微粒子を含む液状またはゲル状の物質に凹部や貫通孔形成用のモールドパターンを押しつけて固化させた後モールドを離したり消滅させたりして、圧電体基板内に凹部または貫通孔パターンを形成する。その後、導電体膜を積層し必要なパターニングをした後、必要な場合には保護膜としての絶縁膜を積層し、薄板(絶縁体基板)を付着させる。
図89は、基板内に形成した凹部に充填した圧電体ポリマー等内に凹部を形成し、その凹部間の圧電体ポリマー基板側壁を用いて作製した微小発電器を示す図である。基板2131内に凹部2132を形成する。基板はシリコン等の半導体基板、ガラス基板等の絶縁体基板、低抵抗シリコン基板やアルミ基板等金属基板等の導電体基板である。凹部2132内に圧電体ポリマー等2133を充填する。この充填は、圧電体ポリマーの塗布、スクリーン印刷、ディップ、スプレー等で形成できる。次にフォトリソ法+エッチング法あるいはインプリント法などで基板面に垂直(略垂直)な凹部2134(2134−1、2、3)を形成する。この凹部2134(2134−1、2、3)によって、ポリマー基板側壁2135(2135−1、2、3、4)が形成される。次に導電体膜を積層し、必要なパターニングを行ない、ポリマー基板側壁2135(2135−2、3)の側面に導電体膜・電極2136(2136−1、2、3、4)を形成する。これらの導電体膜・電極2136(2136−1、2、3、4)から同じ配線パターンで導電体膜・配線を引き出す。(端子をA,Bで示す)次に、薄板2137をポリマー基板2133の上面に付着させる。尚、この間に保護膜(絶縁膜)を積層し、導電体膜・電極2136を保護することもできる。ポリマー基板側壁2135(2135−2、3)の上面にも薄板(絶縁体基板)2137が付着しているので、ポリマー基板側壁2135(2135−2、3)は上面が薄板(絶縁体基板)2137によって、ポリマー基板側壁2135(2135−2、3)の下側はポリマー基板2133(凹部2134の底部のポリマー2133を全部除去したときには、基板2131)によって規制されている。凹部2134(2134−1、2、3)上をカバーしている薄板2137において、振動波を導入し、導出することなどの目的で、開口部2138を設けても良い。振動や加速度、各速度、圧力変動などによって、圧電体ポリマー基板側壁2136(2136−2、3)が振動し、その圧電体ポリマー基板側壁2136(2136−2、3)の変形によって、その圧電体ポリマー基板側壁2136(2136−2、3)の両側面に電荷が分極するので、その電荷を導電体膜・電極2136(2136−1、2、3、4)によって取り出し(端子A,Bへ導く)、コンデンサ等へ電荷を蓄えて発電できる。凹部内に充填する材料は圧電体ポリマーとして説明したが、圧電体材料を微粒子にして結合剤と溶剤を混ぜた液状またはゲル状にして凹部を充填しても良い。インプリント法の場合はこれにモールドを挿入して凹部を形成できる。
尚、ポリマー2133が圧電体ポリマーでなくとも、上述した様に凹部2134および基板側壁2136を形成した後に、基板側壁2136上に(必要なら絶縁膜)、第1導電体膜・電極、圧電体膜、第2導電体膜・電極、をこの順で積層しパターニング(必要な場合)することによって、圧電体膜が振動によってその両面(両側面)に電荷を分極するので、その電荷を第1導電体膜・電極および第2導電体膜・電極で取りだす。この結果、コンデンサ等に蓄えることによって、発電することができる。また、図88や図89で説明した内容において、基板やポリマーが圧電体材料である場合でも、さらに上述したように圧電体膜等を積層して、両方から電荷を取り出して効率を向上することもできる。
次に、ポリマーにインプリント法を用いて簡単に本発明の凹部パターンを形成する方法について説明する。液状またはゲル状のポリマーに凹部形成用のモールドを挿入し、熱処理を施しポリマーを固化させる。モールド材料をエッチングし、ポリマーをエッチングしない溶液またはエッチングガスを用いて、モールドをエッチングして消失させる。残った部分が凹部となる。この後、必要な薄膜形成と薄板付着を行なう。たとえば、ポリマーをポリテトラフルオロエチレン、モールド材料をガラスとして、フッ酸系溶液を用いればモールド材料だけをエッチングすることができる。また、モールドパターンに導電体膜を付着させたり、導電体膜の配線パターンを付着させておき、この導電体膜もエッチングしないがモールドをエッチングする溶液またはエッチングガスを用いれば、自動的に凹部内へ導電体膜や配線パターンを付着できる。たとえば、導電体膜を金膜とすれば良い。ここで、ポリマーの代わりに粒子状圧電体材料を結合剤および/または溶剤と混合した液状体やゲル状体を用いても良い。
たとえば、基板2131の厚みは約0.1mm〜2mm、凹部2132の深さは約0.01mm〜1.5mm、ポリマー内凹部2134の深さは約0.005mm〜1.4mm、薄板の厚みは約0,05mm〜2mmであるから、非常に微小な発電機(器)が作製できる。また、基板2131をシリコン等の半導体基板とすればICやトランジスタと一緒のチップに搭載でき、電気供給がなくてもICやトランジスタを動かすことができるので、非常に小さな実装部品を作製できる。たとえば、心臓ペースメーカーに適用すれば、心臓や血液や他の臓器の振動によって発電しながらペースメーカーを動かすことができるので、患者に負担のないものを実現できる。尚、本発明では、振動波を作り出すこともできる(マイクロホンと逆の動作で)ので、ペースメーカーとしての機能を1チップに集約することが可能となり、極微小(たとえば、1mm以下)のペースメーカーを実現可能となる。以上説明した様に本発明は、簡単な構造とプロセスと材料を用いて、微小発電機を作製できる。
本発明の実施形態の説明において、説明をしなかったことで、他の部分で説明していることは、互いに矛盾しない限り他の部分でも適用できることは言うまでもない。