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JP6411814B2 - アーク溶射法およびそれに用いるアーク溶射ガン - Google Patents

アーク溶射法およびそれに用いるアーク溶射ガン Download PDF

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Description

本発明は、線状の溶射材料をアーク放電により熔融させて吹き付けを行うアーク溶射法およびそれに用いるアーク溶射ガンに関するものである。
アーク溶射は、通常、図4にそれに用いられる溶射ガンの模式図を示すように、連続的に送給される2本の溶射材料(金属線材,ワイヤ)の先端間で直流電流のアーク放電(電気スパーク)を発生させ、この放電エネルギーにより熔融(溶融)した金属の溶滴を、圧縮空気等を用いた気流(アトマイジング・ジェット)により微粒化しながら被射体(基材)に向けて吹き付け、この被射体の表面に、金属被膜(溶射皮膜)を連続的に製膜(成膜)する表面処理法である。
上記アーク溶射は、得られる溶射皮膜の強度や密着強度が比較的高く、フレーム溶射法等の他の溶射法に比べて時間あたりの溶射量(材料吐出量)が多いという特性に加え、2本の溶射材料(金属線材)に二種の異なる金属を使用すれば、擬似合金被膜(耐食皮膜)を形成することも可能なため、橋梁等をはじめとする大規模構造物の耐食皮膜等の形成に多用されている。
ところで、上記通常のアーク溶射法においては、アークにより発生する熔融金属の温度が、フレーム溶射法等に比べて高いために、溶射前後で材料の組成が変化してしまい、溶射皮膜に、金属(溶射材料)の酸化物や窒化物等が混入する場合があることが知られている。このような、高い熔融温度に起因する酸化物や窒化物等の生成、あるいは、鉱物性蒸気に由来する粉塵(フューム)等の発生があった場合、その溶射皮膜自身の密着性等の性能低下は勿論、上記酸化物等による空孔(ピンホール)の発生や多孔質(ポーラス)化等、「皮膜」(被膜)としての性能が損なわれる場合も考えられる。なお、鋼など炭素を含む金属を用いた場合は、酸化により炭素含有量が低下し、その結果、溶射皮膜の硬度が低くなる場合もある。
そこで、アーク溶射におけるアーク温度(スパーク温度)を下げ、上記酸化物等の生成を抑える「改良」溶射法として、発生するアークの周辺を負圧(減圧雰囲気下)とする「減圧内アーク溶射法」が実施されている(特許文献1を参照)。この減圧内アーク溶射は、図5にそれに用いられる溶射ガンの一部断面図を示すように、溶射ガン(溶射ノズル)の内筒として設けられた円錐体(cone)の外周から、アーク周辺を飛び越えて前方で交差(収束)するように高圧高速の気流(アトマイジング・ジェット)を噴射させ、このアトマイジング・ジェットのエジェクター作用(霧吹き現象)により、2本の溶射用線材(wire)が交差するアークポイント(arc)とその周辺を減圧するものである。
また、上記アークポイントで熔融した線材の溶滴は、この減圧(負圧)によってガン(ノズル)前方側(図示右側方向)に吸い出され、気流に乗って微細化されながら、溶射ガン前方の被射体(work)に向かって噴射される。なお、上記アーク溶射法ガンの後部側(図示左側)には、外部に連通する開口が設けられており、この後部開口から、アークポイント(arc)で発生する負圧を緩和するための外部空気(大気)が流入するようになっている(そのさらに後側に位置する送りローラーや、ワイヤの送り出し機構,駆動装置等は、図示を省略している。)。
上記の減圧内アーク溶射法によれば、金属(溶射用線材)が、その融点の2倍程度の範囲内の「低温」で熔融するため、金属蒸気の発生が少なく、前記のような酸化物等の発生の問題を回避して、良好な溶射皮膜を形成することができる。また、噴射に用いられる高圧高速の気体(アトマイジング・エアー)は、アークに直接触れないため温度が上昇せず、上記アークポイントで熔融した金属の溶滴を、急激に冷却することができる。したがって、上記アトマイジング・ジェット内では、金属粒子が急冷却されても一時的に液相を保つ「過冷却現象」が維持され、これら過冷却された液状の金属粒子を、効率良く、被射体(基材)の表面上で固体化(凝固)させることができる。
特開昭62−183869号公報
しかしながら、本発明者らの検証によれば、上記のような減圧内アーク溶射法によっても、依然として、溶射皮膜(溶射後皮膜)への一定量の金属酸化物等の混入が避けられないことが分かってきた。ここの改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、皮膜形成の障害となる酸化物等の混入が少なく、緻密で密着力に優れる強固な溶射皮膜を形成することのできるアーク溶射法およびそれに用いるアーク溶射ガンの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、2本の溶射用線材を、後端側が円筒状で前端側が先すぼまりの外筒と円錐状の内筒からなる溶射用ノズルの後側から前端に向けて送給し、これら2本の線材の間に高周波電流を印加して、上記内筒の前端位置で交差させて両線材の先端間にアークを発生させ、これら線材が熔融した溶滴を生成させるとともに、上記溶射用ノズルの外筒と内筒の間の隙間から、圧縮されたアトマイジング用のガスを前方に向かって噴出させ、上記アークの発生位置に負圧を発生させながら吸い出した上記線材の溶滴を、上記アトマイジング用ガスの気流に乗せて微細化しながら、溶射用ノズルの前方の被射体に向けて吹き付けるアーク溶射法であって、上記溶射用ノズル内に、上記2本の線材をそれぞれ送給するための、途中から上記内筒の縮径に沿って内側に緩やかに曲がる円弧状に形成された2本のワイヤ供給パイプを設け、これらのワイヤ供給パイプの内部に線材を通して内筒の前端の外側にまで到達させ、上記各ワイヤ供給パイプ内に、エアーインジェクタパイプを配置して、上記アトマイジング用ガスの一部をワイヤ供給パイプ内に導入し線材の供給元方向に向かって流すとともに、上記アークの発生位置に生じる負圧を緩和するために、上記内筒の後側からこの内筒の内部を経由し内筒の前端小径部にまで連通するアーク部パージ用ガス供給手段を設け、上記アーク部パージ用ガス供給手段から、アーク部パージ用の濃度90%以上の不活性ガスを供給するアーク溶射法を、第1の要旨とする。
また、本発明は、後端側が円筒状で前端側が先すぼまりの外筒と円錐状の内筒とからなる二重構造のノズル部と、上記ノズル部を支持すガン本体およびガングリップと、それぞれプラスとマイナスに印加された溶射用線材を、上記ガン本体からノズル部の内筒の内側を通してこのノズル部の端側に位置する交差部まで供給する2本のワイヤ供給パイプと、上記交差部の周囲のノズル部端面の、外筒と内筒の間に設けられた環状のスリットとを備え、上記環状のスリットから前方に向けて出射したアトマイジング用ガスの気流に乗せて、上記交差部で生じるアークにより熔融した線材の溶滴を、ノズル部の前方の被射体に向けて吹き付けるアーク溶射ガンであって、上記2本のワイヤ供給パイプが、それぞれ、その途中から上記内筒の縮径に沿って内側に緩やかに曲がる円弧状に形成され、これらのワイヤ供給パイプの内部に線材を通すことにより上記内筒の前端の外側にまで線材が到達するよう構成されており、各ワイヤ供給パイプ内に、上記アトマイジング用ガスの一部をワイヤ供給パイプ内に導入し線材の供給元方向に向かって流すエアーインジェクタパイプが配置されているとともに、上記ノズル部の後側から内筒の内側を通って内筒の前端小径部にまで連通するアーク部パージ用ガス供給手段が設けられており、上記アトマイジング用ガスの前方への出射により上記交差部に発生する負圧に対応して、上記アーク部パージ用供給手段から、アーク部パージ用の濃度90%以上の不活性ガスが供給されるようになっているアーク溶射ガンを、第2の要旨とする。
すなわち、本発明の発明者らは、前記課題を解決するため試行錯誤を重ね、その結果、減圧内アーク溶射法において、通常、アトマイジング・ジェットによりアーク周辺に発生する「負圧」を緩和するために、溶射用ノズルの後部側から流入させてアークポイントに導入する「負圧緩和」用の外部空気(パージ用ガス)を、金属の酸化を増長することのない「不活性ガス」に置き換えるとともに、上記不活性ガスの吹き出し口の配置と、2本のワイヤ供給パイプ内の構造とを限定することにより、被射体(対象物)に付着・固化した溶射皮膜の密着性や緻密さ等の物性を、より向上させることが可能なことを見出し、本発明に到達した。
なお、本発明で規定する「不活性ガス」とは、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)等、狭義の意味での「希ガス族元素」ガス類を含むことは勿論、窒素等に代表される、広義の意味での「化学反応性の低い」ガス類をも含む主旨である。
本発明のアーク溶射法では、2本の溶射用線材の交差位置(交差部)で発生するアークの周囲に生じる負圧を緩和するために、溶射用ノズルの内筒の内部を経由してアークの発生部位(アークポイント)に供給される負圧緩和用の気体(パージ用ガス)として、濃度90%以上の不活性ガスを用いるとともに、上記不活性ガスの吹き出し口の配置と、2本のワイヤ供給パイプ内の構造とを限定するようにした。この構成によれば、上記アーク発生部位における酸化物の生成が抑えられ、被射体(加工対象物)に付着する金属溶射皮膜の密着性等の物性を、飛躍的に向上させることができる。
また、上記アーク溶射法は、上記酸化等に伴う溶射金属の蒸発(蒸散)が抑えられ、被射体の表面上に定着せずに飛散する(無駄になる)溶射金属の量が低減される。その結果、上記溶射金属皮膜のコストを低減することができる。さらに、このアーク溶射法は、上記のように溶射金属の定着率が高いため、溶射ガン(溶射用ノズル)を同じところを何度も往復させずとも、従来より充分に厚い溶射皮膜を形成することができる。したがって、本発明のアーク溶射法は、施工性および作業性が向上することと相俟って、必要な厚みの溶射金属皮膜を、効率よく、低コストで形成することが可能になる。
また、本発明のアーク溶射法のなかでも、上記濃度90%以上の不活性ガスが、上記溶射用ノズルの外筒と内筒の間にも供給され、上記アトマイジング用ガスを兼用するようになっている場合は、上記アークポイントに供給する「負圧緩和用の不活性ガス」を別途用意(準備)することなく、皮膜形成の障害となる酸化物等の混入が少ない、緻密で密着力に優れる強固な溶射皮膜を、効率よく低コストで作製することができる。
さらに、本発明のアーク溶射法のなかでも、特に、上記濃度90%以上の不活性ガスとして、濃度95%以上の窒素ガスを用いる場合は、上記アークポイントにおける酸化物の生成がより抑えられ、被射体(加工対象物)に付着する金属溶射皮膜の密着性等の物性が、より大幅に向上する。
つぎに、本発明のアーク溶射ガンは、上記第1の要旨のアーク溶射法に用いられるものであり、そのノズル部の後側から内筒の内側を通って内筒の前端小径部にまで連通する特定の配置で、濃度90%以上の不活性ガスを供給するアーク部パージ用ガス供給手段が設けられている。この構造により、上記溶射ガンは、上記アトマイジング用ガスの前方への出射により「負圧」の発生する交差部(アークポイント)の周囲を、上記濃度90%以上の不活性ガスで満たすことができる。したがって、上記アーク溶射ガンは、上記交差部(アークポイント)における酸化物の生成が抑えられ、被射体(加工対象物)に対する金属溶射皮膜の密着性等の物性が、従来の手法に比べて飛躍的に向上する。
また、本発明のアーク溶射ガンのなかでも、上記ノズル部の円錐状内筒の後端側が密封状に形成され、上記アーク部パージ用ガス供給手段として、上記ノズル部の円筒状外筒の外面に設けられたガス導入口から上記内筒の内側を通って内筒の前端小径部にまで連通し、前側の交差部に向かってアーク部パージ用ガスを吹き出すアーク部パージ用ガス供給パイプが配設されているものは、上記アーク部パージ用の濃度90%以上の不活性ガスを、他の加工条件等に左右されずに、必要な部位に安定して効率良く供給することができるようになっている。
さらに、本発明のアーク溶射ガンのなかでも、上記ノズル部の前方に向けて出射するアトマイジング用ガスとして、上記アーク部パージ用と同じ濃度90%以上の不活性ガスが供給されるようになっているものは、上記アークポイントに供給する「負圧緩和用の不活性ガス」を別途用意(準備)することなく、皮膜形成の障害となる酸化物等の混入が少ない、緻密で密着力に優れる強固な溶射皮膜を、効率よく低コストで作製することができる。
また、本発明のアーク溶射ガンのなかでも、特に、上記負圧緩和用の濃度90%以上の不活性ガスが、濃度95%以上の窒素ガスであるものは、上記アークポイントにおける酸化物の生成がより抑えられ、被射体(加工対象物)に付着する金属溶射皮膜の密着性等の物性が、より大幅に向上する。
なお、本発明のアーク溶射ガン、上記2本のワイヤ供給パイプが、それぞれ、その途中から上記内筒の縮径に沿って内側に緩やかに曲がる円弧状に形成されているため、このワイヤ供給パイプ内の流動抵抗が少なく、従来に比べて太径の溶射用線材をスムーズに挿通することが可能になる。したがって、本発明のアーク溶射ガンは、上記太径の溶射用線材の使用により、溶射速度と溶射効率の向上を図ることができる。
(a)は本発明の実施形態で用いるアーク溶射装置の全体構成の説明図であり、(b)は本発明の実施形態のアーク溶射法に用いるアーク溶射ガンの側面図である。 上記アーク溶射ガンの内部構造を説明する横断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施例における曲げ試験の方法を説明する図である。 一般的なアーク溶射ガンの構造とアーク溶射法を説明する図である。 減圧内アーク溶射法に用いるアーク溶射ガンの構造とその溶射法を説明する図である。
つぎに、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態におけるアーク溶射法は、図2に示すアーク溶射ガン10を用いる。このアーク溶射ガン10の基本的な構成は、一般的なアーク溶射ガンと同様、2本の溶射用線材(ワイヤW1,W2、太線一点鎖線)を、円筒状の外筒1Aと円錐状の内筒1Bとからなる二重構造の溶射用ノズル部1の後側(図示左側)から前端(図示右側)に向けて送給し、これら2本のワイヤW1,W2の間に高周波電流を印加した状態で、上記円筒状の内筒1Bの前端位置(図示右端)で交差させて、両ワイヤの先端間(アークポイントP)にアーク(電気スパーク)を発生させるものである。
そして、本実施形態におけるアーク溶射法は、上記アークの発生と同時に、溶射ガン10の底部側(下側でかつ図示紙面の裏側)から供給された「圧縮されたアトマイジング用ガス」(細線矢印、本例では圧縮空気)を、溶射用ノズル部1の外筒1Aと内筒1Bの間に設けられた隙間(吹き出し用の環状のスリットS)からノズルの前方に向かって噴出させ、上記アークポイントPから吸い出した上記ワイヤW1,W2のアーク溶滴を、上記アトマイジング用ガスの気流(細線矢印)に乗せて微細化しながら、この溶射用ノズル部1の前方の被射体(加工対象物)に向けて吹き付ける、いわゆる「減圧内アーク溶射法」である。
特に、上記溶射用ノズル部1の内筒1Bの内部(内径側)には、ノズル後部側(図示左側)からこの内筒1Bの端小径部(アークポイントP近傍)にまで連通するアーク部パージ用ガス供給パイプ7が設けられており、このアーク部パージ用ガス供給パイプ7を通じて、上記アトマイジング用ガスの噴射に伴いアークポイントP周辺で発生する負圧を緩和するための所定の「負圧緩和用のガス」(以下「アーク部パージ用ガス」、太線矢印、本例では窒素ガス)が、上記アトマイジング用ガスとは別に、ガン(ノズル)の外部からアークポイントPに直に供給されるようになっている。これが、本発明のアーク溶射法の最大の特徴である。
上記の減圧内アーク溶射法に用いるアーク溶射装置およびアーク溶射ガン10の構成についてより詳しく説明すると、この実施形態で用いられるアーク溶射装置は、図1(a)に示すように、アーク溶射ガン(溶射用アークガン)10と、ボビン(リール)に巻回された溶射用線材(ワイヤW1,W2)を繰り出して上記溶射ガン10に供給する搬線台(ボビンラックBR)と、上記溶射ガン10に印加用の高周波電流を供給する溶射用電源装置(パワーサプライPS)と、水分を除去した圧縮空気を上記溶射ガン10に供給するドライヤ付きの空気圧縮機(コンプレッサCP)と、上記溶射ガン10のアークの発生部位に濃度90%以上の不活性ガス(窒素ガス)を供給するための不活性ガス供給手段(窒素ガスボンベGB)と、これらの間を接続する流路(パイプ)およびケーブル等で構成されている。
上記アーク溶射ガン10は、図1(b)の側面図に示すように、円筒状の外筒1A(外筒体の後端部)および前端側が先すぼまりの前部ブロック1C(外筒体の前端部)で構成される外筒体、前側に向かって縮径された円錐状の内筒1Bとからなる二重構造の溶射用ノズル部1と、2本の溶射用線材(左ワイヤW1,右ワイヤW2)を、それぞれ所定の速度(割合)でノズル部1に送り出す機能を有するガン本体11と、このガン本体11の下部(底部)に取り付けられて上記ノズル部1を支持するガングリップ12とを主体に構成されている。
この溶射ガン10には、上記ガン本体11の後部側(図示左側)に設けられたワイヤ導入口11aから、ワイヤボビンを備える搬線台(ボビンラックBR)から繰り出された2本の溶射用線材(ワイヤW1,W2)が供給されるとともに、コンプレッサCPから送給された高圧の圧縮乾燥空気(アトマイジングガス)が、ノズル部1の下面側(外周面の下半分)に設けられたアトマイジングガス導入口2を経由して、上記ノズル部1の外筒1Aと内筒1Bの間に充填され、この充填されたアトマイジングガスが、上記外筒1Aおよび前部ブロック1Cとで構成される外筒体と、内筒1Bの前端部との間に設けられた環状の吹き出し口(スリットS)から、ノズル前方(図示右方向)に向けて噴出するようになっている。
また、上記ノズル部1の上面側(外周面の上半分)における図示手前側(溶射方向向かって右側)には、後記するエアーインジェクタパイプ(6A,6B)に上記圧縮空気の一部を供給するためのインジェクタ用ガス(インジェクタガス)導入口4が設けられており、その反対側となる、ノズル部1の上面側の図示奥側(溶射方向向かって左側)には、前記アーク部パージ用ガス供給パイプ7に繋がるパージガス導入口3が設けられ、このパージガス導入口3に、前記窒素ガスタンクGBから濃度90%以上の不活性ガス(窒素ガス)が送給されるようになっている。なお、図1(b)におけるノズル部1の前端側外周には、噴出後のアトマイジングガス(および金属溶滴)の広がり過ぎを防ぐための溶射フード(カバー)〔符号8,二点鎖線〕が取り付けられる場合もある。
上記溶射ガン10の溶射用ノズル部1は、図2の断面図に示すように、円筒状の外筒1Aとその内周に形成された円錐状の内筒1Bとからなる二重構造のメインブロックと、その前後に取り付けられた前部ブロック1Cおよび後部ブロック1Dの3ブロックで構成されている。
上記メインブロックの前側(先端側で図示右側)に配置されている前部ブロック1Cは、すでに述べたとおり、上記円筒状の外筒1Aとともに外筒体を構成するもので、上記内筒1Bとの間に、供給された圧縮空気を循環・充填させるための環状の空間(アトマイジングガス流路R)を形成しており、その端部が、上記内筒1Bの外周面との間に、圧縮空気(アトマイジング・エアー)出射用のスリットSを形成している。そして、メインブロックの下面側(図示紙面の裏面側)のアトマイジングガス導入口2から供給された圧縮空気が、上記環状のガス流路R内に充填されて一旦滞留し、その後、このノズル部1の端に設けられた上記スリットSから、全周にわたって一様に(環状に)ノズル前方に向かって高速で吹き出すようになっている。
また、上記メインブロックの後側(後端側で図示左側)に配置されている後部ブロック1Dは、上記メインブロックの後側(後端)の開口を密閉するように配置されており、この後部ブロック1Dには、ノズル部1の後側のガン本体11から送給される2本のワイヤ(左側W1,右側W2)を、それ自体の内部を通してノズル部1の端の前側(外側)にまで到達させるためのガイドをするワイヤ供給パイプ(左側5A,右側5B)が挿通されている。
なお、本実施形態においては、これらワイヤ供給パイプ5A,5Bが、それぞれ、その途中から上記内筒1Bの縮径に沿って内側に緩やかに曲がる円弧状に、曲げ加工されている。この構造により、上記ワイヤW1,W2が上記ワイヤ供給パイプ5A,5B内を移動する際に摩擦を生じにくく、円滑に移動できるようになっている。また、従来のワイヤ供給パイプ(図4参照)では1.3〜1.6mmφ程度が挿通限度であった溶射用線材(ワイヤ)を、本実施形態では、上記円弧状の曲げ加工により、1.6〜2.4mmφの溶射用線材を使用することが可能になった。これにより、溶射速度と溶射効率が、従来に比べて向上している。
また、ノズル部1の後部ブロック1Dには、前記アーク部パージ用ガス供給パイプ7に繋がるパージガス導入口3と、前記エアーインジェクタパイプ(右側6A,左側6B)に繋がるインジェクタ用ガス導入口4とが、それぞれ、上記後部ブロック1Dの外周面に開口するように穿設されており、上記パージガス導入口3からは、上記窒素ガスボンベGBから供給され、アーク部パージ用ガス供給パイプ7を経由して導入された負圧緩和用の窒素ガス(濃度90%以上)が、上記2本のワイヤW1,W2が交差するアークポイントPに、直接的に供給されるようになっている。
また、上記後部ブロック1Dのインジェクタ用ガス導入口4には、前記コンプレッサCPから送給された高圧の圧縮乾燥空気(アトマイジングガス)の一部(少量)が供給されており、2本のエアーインジェクタパイプ6A,6Bに分岐した後、それぞれ、上記ワイヤ供給パイプ5A,5Bの中を、ワイヤW1,W2の供給元方向(すなわち、各ワイヤの流れに逆行する方向であり、図示左方向)に向かって流れるようになっている。そして、上記各ワイヤ供給パイプ5A,5Bに導入された上記圧縮空気は、この空気の流れにより、各ワイヤの搬送によりワイヤ供給パイプ5A,5B内で発生した金属粉(摩擦粉)や、前記ガン本体11内のワイヤの送り出し機構(プーリーや駆動装置等)との摩擦により生じた金属粉等を、上記ワイヤ供給パイプ5A,5Bのワイヤ挿入側(根本側でかつ図示左側)に押し戻して排出する(パイプ内を掃除する)作用を発揮する。
以上の構成のアーク溶射ガン10を用いたアーク溶射法(減圧内アーク溶射法)によれば、溶射用ノズル部1の外筒1Aと内筒1Bの間に設けられた吹き出し口(スリットS)から溶射用の圧縮空気(アトマイジングガス)を前方に噴出させる際に発生するアークポイントPの「負圧」を解消するために、ノズル部1の後側に位置するアーク部パージ用ガス供給パイプ7から、このアークポイントPに直接、濃度90%以上の窒素ガスが導入されるようになっている。これにより、上記アークポイントPにおける酸化物の生成が抑えられ、被射体に付着する金属溶射皮膜の密着性等の物性を、飛躍的に向上させることができる。また、上記アーク溶射法は、上記酸化等に伴う溶射金属の蒸散が抑えられ、被射体の表面上に定着せずに無駄になる溶射金属の量が低減される。したがって、本発明のアーク溶射法は、施工性および作業性が向上することと相俟って、必要な厚みの溶射金属皮膜を、効率よく、低コストで形成することができる。
なお、本発明のアーク溶射法で使用することのできる溶射用線材(サーメット溶射材料)としては、アルミニウム(Al),亜鉛(Zn),モリブデン(Mo),銅(Cu),チタン(Ti)等の単独金属の他、低炭素鋼,高炭素鋼,オーステナイト系ステンレス,マルテンサイト系ステンレス,フェライト系ステンレス,ガルバリウム(Al−Zn),ラバジュール(Cu−Si−Mn−B),白銅(Cu−Ni),黄銅(Cu−Zn),ニッケルアルミ(Ni−Al),ニッケルクロム(Ni−Cr),モネル(Ni−Cu)等の合金を単独で、またはこれらを組み合わせて擬合金溶射皮膜として使用することができる。また、外層と内層とで材料構成が異なる(いわゆる芯鞘構造)の「コアード型ワイヤ」を使用してもよい。上記コアード型の溶射材料の場合、金属製のチューブ(外層)の内側に、セラミックやレアアース等の非金属材料を内層として包含するワイヤを使用することもできる。
また、上記実施形態においては、アーク部パージ用の不活性ガスとして、窒素ガスを使用したものを例にあげたが、本発明における「不活性ガス」には、ヘリウムやアルゴン等の希ガス族元素ガスを、単独でもしくは混合で使用することもできる。さらに、上記アーク部パージ用ガスにおける不活性ガス以外の部分(「濃度90%以上」の残余の10%以下の部分)のガス成分として、濃度5〜10%の還元性の高いガス(例えば水素ガス)を添加してもよい。このような還元性ガスを添加すれば、アーク部における熔融金属の酸化を、より防止することができ、好ましい。
さらにまた、上記アーク部パージ用の不活性ガスとして用いる「窒素ガス」は、窒素ガスボンベ(タンク)に貯留されたものを使用したが、窒素ガス発生装置や空気分離装置等を用いて、より大量(大流量)の窒素ガスを供給できる場合は、吹き付けに用いるアトマイジングガスにも、この窒素ガスを使用してもよい。これにより、アークポイントにおける酸化物の生成がより抑えられ、被射体(加工対象物)に付着する金属溶射皮膜の密着性等の物性を、より大幅に向上させることができる。なお、使用する窒素ガスとしては、濃度95%以上の高純度グレードのものを使用することが好ましく、より好ましくは、99.99%(フォーナイン)純度以上の窒素ガスを使用する。
そして、上記アーク部パージ用の不活性ガスをアーク周辺に導入(供給)する方法も、前記アーク部パージ用ガス供給パイプ7に限定されるものではない。例えば、アーク部パージ用ガス供給パイプを、ノズル部1の後部側(ガン本体11側)から直線状に導入してもよく、他の位置から導入するようにしてもよい。
つぎに、上記アーク部パージ用ガスに「濃度90%以上の不活性ガス」を使用して得られた溶射皮膜の性能を検証する「実施例」の実験結果を、比較例との比較により説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例における溶射皮膜の形成は、前記実施形態に記載の構造のアーク溶射ガン〔図1(b)参照〕を用いて、下記の加工条件でアーク溶射を行い、下地(素地)の表面に「溶射皮膜」を作製した。そして、得られたサンプル(供試品)を、JIS H 8617(ニッケルめっき及びニッケル−クロムめっき)付属書3に記載のフェロキシル試験方法に準じた<ピンホール試験>(有孔度試験)により、皮膜の緻密さを表す「面積あたりの開孔度」を評価した。また、同様のサンプルを用いて、JIS Z 2248(金属材料曲げ試験方法)に記載の「押曲げ法」に準じた<曲げ試験>(3点曲げ試験)を行い、その折り曲げ角度により、「皮膜の下地に対する密着力」を評価した。
[溶射皮膜の作製]
本発明のアーク溶射ガンを用いて、
・下地 圧延鋼材SS400(JIS G3101に規定),3mm厚
なお、上記圧延鋼材の溶射面の下地(素地)は、ブラスト等を用いて、予め、JIS Z 0313に規定の「除錆度」Sa3等級(拡大鏡なしで、表面には、目に見えるミルスケール,さび,塗膜,異物,油,グリース及び泥土がなく、均一な金属色を呈している。)に調整されている。
・溶射用線材 Al(2.4mmφ)2本
・溶射速度 ワイヤ各8m/min〔溶射量(98g×2)/分に相当〕
なお、アーク発生部の負圧は、0.8気圧(811hPa)に相当。
・溶射パターン 円形(ノズルからの距離200mmにおいて直径100mmφに拡散)
・印加電圧 24V320A (40kHz)
・ガス使用量(流量)
アトマイジング(噴射)用ガス:圧縮空気(0.7MPa)1.2m3/min
アーク部パージ用ガス:窒素ガス(0.3MPa)10L/min
インジェクタ用ガス:圧縮空気(0.2MPa)2.0L/min
・使用機器:高速インバータドライブ溶射装置 アークボーイ A400改良型(ディーテック社製)
なお、溶射皮膜の膜厚は、電磁式膜厚計SL−120C(サンコウ電子研究所製)を用いて測定した。
[実施例1]
上記加工条件において、アーク発生部位に導入するアーク部パージ用ガスとして、濃度90%の窒素ガス(0.3MPa)を10L/minの割合で供給しながら、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「実施例1」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[実施例2]
上記加工条件において、アーク発生部位に導入するアーク部パージ用ガスとして、濃度95%の窒素ガス(0.3MPa)を10L/minの割合で供給しながら、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「実施例2」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[実施例3]
上記加工条件において、アーク発生部位に導入するアーク部パージ用ガスとして、濃度99.99%の窒素ガス(0.3MPa)を10L/minの割合で供給しながら、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「実施例3」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[比較例1]
上記加工条件において、アーク発生部位に導入するアーク部パージ用ガスとして、通常の圧縮空気(0.7MPa,窒素濃度 約78%)を10L/minの割合で供給しながら、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「比較例1」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[比較例2]
上記加工条件において、アーク発生部位に導入するアーク部パージ用ガスとして、濃度85%の窒素ガス(0.3MPa)を10L/minの割合で供給しながら、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「比較例2」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[実施例4]
吹き付けるための「アトマイジング用ガス」に、圧縮空気に代えて濃度90%の窒素ガス(0.7MPa,1.2m3/min)を使用したこと以外、「実施例1」と同様(アーク部パージ用ガスは濃度90%の窒素ガス)にして、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「実施例4」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[実施例5]
吹き付けるための「アトマイジング用ガス」に、圧縮空気に代えて濃度95%の窒素ガス(0.7MPa,1.2m3/min)を使用したこと以外、「実施例2」と同様(アーク部パージ用ガスは濃度95%の窒素ガス)にして、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「実施例5」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
[実施例6]
吹き付けるための「アトマイジング用ガス」に、圧縮空気に代えて濃度99.99%の窒素ガス(0.7MPa,1.2m3/min)を使用したこと以外、「実施例3」と同様(アーク部パージ用ガスは濃度99.99%の窒素ガス)にして、サンプル下地の上にアーク溶射を行った。なお、得られた「実施例6」サンプルの溶射皮膜の膜厚は120μmであった。
<ピンホール試験>
ピンホール試験とは、得られたサンプル(試料:50mm角)の試験面(溶射皮膜面)に、所定の試験液を浸み込ませた定性用ろ紙を貼り付け、一定時間通電させた後、このろ紙を剥がして、上記ろ紙上に生じた着色斑点の個数と大きさ(すなわち「皮膜の欠点の個数と大きさ」)を目視でカウントして「開孔度」とし、この「開孔度」の大小(多少)により、上記皮膜の「緻密さ」または「ポーラスさ」を評価するものである。
(試験液の調製)
試験液は、次の組成のものとする。(試験液1Lあたり)
成分A.ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物 10g
成分B.ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム 10g
成分C.塩化ナトリウム 60g
これらを順次溶解させた後、全量を純水で1000mlとする。
(試験操作)
1.表面(溶射皮膜面)を清浄にしたサンプルの試験面上に、予め試験液を浸み込ませた定性用ろ紙(25mm×60mm)を載置して密着させ、その上に、陰極となるすず板を載せ、さらにその上に、上記定性用ろ紙の密着を安定させるための分銅(200g)を載置する。
2.上記サンプル(陽極)とすず板(陰極)との間を電気的に接続し、電流密度0.2A/dm2(直流電流)で5分間通電する。
3.上記分銅およびすず板を取り除き、上記上記定性用ろ紙を取り出して、このろ紙上に生じた着色斑点の個数と大きさを計測する。
4.上記着色斑点の集計結果から、計算により、開孔度(有孔度)を「点数」として算出する。なお、「点数」は、以下の基準で積算する。
(開孔度の積算方法)
試験紙1cm2の面積を単位とし、点数はその径の大きさによって次のように計算する。
・斑点の径1mm未満のものは、1個につき点数1。
・斑点の径1mm以上3mm未満のものは、1個につき点数3。
・斑点の径3mm以上5mm未満のものは、1個につき点数10。
ただし、径5mm以上の斑点が存在する時は、試験全体を「計数不能」(不合格)とする。
上記集計によって得られた各実施例および各比較例の結果を後記の「表1」,「表2」に示す。
<曲げ試験> 3点曲げ(両端自由支持の試験片の中央に力を加える)試験
下地調整した素地(前記圧延鋼材SS400,幅13mm×長さ110mm,3mm厚,表面Sa3等級)の一面に、上記実施例1〜6および比較例1,2の溶射条件で、アーク溶射皮膜を形成した後、皮膜表面に研磨加工を施して、各サンプル(試験片)の皮膜の膜厚を120μmに揃え、その表面を平坦な「鏡面」とした(実施例1〜6および比較例1,2とも、全て同じ)。
そして、各試験片を、上記皮膜(研磨された鏡面)を下方に向けて油圧サーボ式強度試験器(サーボパルサ,島津製作所製)の試験台(支点X−Y間距離60mm)にセットし〔図3(a)参照〕、下面(鏡面)側から皮膜表面を目視で観察しながら、試験片の上(裏面であり鋼材面)側から、所定形状の圧子Z(先端が半径5mmの半円状断面)により1mm/minの押圧速度で試験片の中央(支点間中央)を下方に押圧して、皮膜表面に異常(ひび,割れ,剥離等)が見られた時点で、上記圧子Zによる押圧を停止した〔図3(b)参照〕。
ついで、上記圧子Zを取り除き、試験荷重で下方に「く」の字状に屈曲した状態の各試験片の折れ曲がりの内角α(支点間を底辺とし、屈曲の最下点を頂点とする三角形の頂角)を分度器等により計測して、各試験片の「折り曲げ角度」とした。
上記計測によって得られた各実施例および各比較例の結果を下記の「表1」,「表2」にまとめて示す。
Figure 0006411814
Figure 0006411814
上記各表の「面積あたりの開孔度」より、アーク部パージ用ガスに濃度90%以上の窒素ガス(不活性ガス)を使用した実施例1〜3の減圧内アーク溶射は、濃度85%以下の窒素ガス(または圧縮空気)を使用した比較例1,2の減圧内アーク溶射に比べ、被射体(対象物)に付着・固化した溶射皮膜の「緻密さ」が向上していることがみてとれる。特に、アーク部パージ用ガスに濃度95%以上の窒素ガスを使用した実施例2,3、および、アトマイジング(噴射)用ガスにも窒素ガスを使用した実施例4〜6は、面積あたりの開孔度が「3」以下であり、従来例(比較例1=10,比較例2=8)に比べ、その皮膜の緻密さが、大幅に向上していることがわかる。
また、上記各表の「曲げ試験」(密着性試験)の折り曲げ角度の結果より、アーク部パージ用ガスに濃度90%以上の窒素ガス(不活性ガス)を使用した実施例1〜3の減圧内アーク溶射は、濃度85%以下の窒素ガス(または圧縮空気)を使用した比較例1,2の減圧内アーク溶射に比べ、被射体(特に鉄Fe)への密着力が向上していることがみてとれる。そして、アトマイジング(噴射)用ガスにも窒素ガスを使用する実施例4〜6においては、上記皮膜の緻密さが向上することに加え、これらの皮膜の密着性もより向上している。したがって、本発明の減圧内アーク溶射法によれば、これらの相乗効果により、緻密で密着力に優れる強固な溶射皮膜を形成することができる。
本発明のアーク溶射法は、防錆防食用途や表面改質,電磁波シールド等の用途に用いられる溶射皮膜を形成するのに、広く適用することができる。特に、大規模施工に適し、橋梁やビル等の大形構造物の表面を覆う耐食皮膜を、緻密で長寿命な、高耐候性の皮膜とすることができる。
1 ノズル部
1A 外筒 1B 内筒 1C 前部ブロック 1D 後部ブロック
2 アトマイジングガス導入口
3 パージガス導入口
4 インジェクタガス導入口
5A,5B ワイヤ供給パイプ
6A,6B エアーインジェクタパイプ
7 アーク部パージ用ガス供給パイプ
8 フード
10 溶射ガン
11 ガン本体
11a ワイヤ導入口
12 ガングリップ
W1,W2 ワイヤ
P アークポイント
S スリット(吹き出し口)
R アトマイジングガス流路
BR ボビンラック
GB ガスボンベ
PS パワーサプライ
CP コンプレッサ

Claims (7)

  1. 2本の溶射用線材を、後端側が円筒状で前端側が先すぼまりの外筒と円錐状の内筒からなる溶射用ノズルの後側から前端に向けて送給し、これら2本の線材の間に高周波電流を印加して、上記内筒の前端位置で交差させて両線材の先端間にアークを発生させ、これら線材が熔融した溶滴を生成させるとともに、上記溶射用ノズルの外筒と内筒の間の隙間から、圧縮されたアトマイジング用のガスを前方に向かって噴出させ、上記アークの発生位置に負圧を発生させながら吸い出した上記線材の溶滴を、上記アトマイジング用ガスの気流に乗せて微細化しながら、溶射用ノズルの前方の被射体に向けて吹き付けるアーク溶射法であって
    記溶射用ノズル内に、上記2本の線材をそれぞれ送給するための、途中から上記内筒の縮径に沿って内側に緩やかに曲がる円弧状に形成された2本のワイヤ供給パイプを設け、これらのワイヤ供給パイプの内部に線材を通して内筒の前端の外側にまで到達させ、
    上記各ワイヤ供給パイプ内に、エアーインジェクタパイプを配置して、上記アトマイジング用ガスの一部をワイヤ供給パイプ内に導入し線材の供給元方向に向かって流すとともに、
    上記アークの発生位置に生じる負圧を緩和するために、上記内筒の後側からこの内筒の内部を経由し内筒の前端小径部にまで連通するアーク部パージ用ガス供給手段を設け、上記アーク部パージ用ガス供給手段から、アーク部パージ用の濃度90%以上の不活性ガスを供給することを特徴とするアーク溶射法。
  2. 上記濃度90%以上の不活性ガスが、上記溶射用ノズルの外筒と内筒の間にも供給され、上記アトマイジング用ガスを兼用するようになっている請求項1記載のアーク溶射法。
  3. 上記濃度90%以上の不活性ガスとして、濃度95%以上の窒素ガスを用いる請求項1または2記載のアーク溶射法。
  4. 後端側が円筒状で前端側が先すぼまりの外筒と円錐状の内筒とからなる二重構造のノズル部と、上記ノズル部を支持すガン本体およびガングリップと、それぞれプラスとマイナスに印加された溶射用線材を、上記ガン本体からノズル部の内筒の内側を通してこのノズル部の端側に位置する交差部まで供給する2本のワイヤ供給パイプと、上記交差部の周囲のノズル部端面の、外筒と内筒の間に設けられた環状のスリットとを備え、上記環状のスリットから前方に向けて出射したアトマイジング用ガスの気流に乗せて、上記交差部で生じるアークにより熔融した線材の溶滴を、ノズル部の前方の被射体に向けて吹き付けるアーク溶射ガンであって
    記2本のワイヤ供給パイプが、それぞれ、その途中から上記内筒の縮径に沿って内側に緩やかに曲がる円弧状に形成され、これらのワイヤ供給パイプの内部に線材を通すことにより上記内筒の前端の外側にまで線材が到達するよう構成されており、
    各ワイヤ供給パイプ内に、上記アトマイジング用ガスの一部をワイヤ供給パイプ内に導入し線材の供給元方向に向かって流すエアーインジェクタパイプが配置されているとともに、
    上記ノズル部の後側から内筒の内側を通って内筒の前端小径部にまで連通するアーク部パージ用ガス供給手段が設けられており、上記アトマイジング用ガスの前方への出射により上記交差部に発生する負圧に対応して、上記アーク部パージ用供給手段から、アーク部パージ用の濃度90%以上の不活性ガスが供給されるようになっていることを特徴とするアーク溶射ガン。
  5. 上記ノズル部の内筒の後端側が密封状に形成され、上記アーク部パージ用ガス供給手段として、上記ノズル部の外筒の外面に設けられたガス導入口から上記内筒の内側を通って内筒の前端小径部にまで連通し、前側の交差部に向かってアーク部パージ用ガスを吹き出すアーク部パージ用ガス供給パイプが配設されている請求項4記載のアーク溶射ガン。
  6. 上記ノズル部の前方に向けて出射するアトマイジング用ガスとして、上記アーク部パージ用と同じ濃度90%以上の不活性ガスが供給されるようになっている請求項4または5記載のアーク溶射ガン。
  7. 上記濃度90%以上の不活性ガスが、濃度95%以上の窒素ガスである請求項4〜6のいずれか一項に記載のアーク溶射ガン。
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