JP6466734B2 - 高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手およびその製造方法 - Google Patents
高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6466734B2 JP6466734B2 JP2015033030A JP2015033030A JP6466734B2 JP 6466734 B2 JP6466734 B2 JP 6466734B2 JP 2015033030 A JP2015033030 A JP 2015033030A JP 2015033030 A JP2015033030 A JP 2015033030A JP 6466734 B2 JP6466734 B2 JP 6466734B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- ferrite phase
- stainless steel
- welding
- welded joint
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Arc Welding In General (AREA)
Description
さらに、高圧水素ガス用の容器や配管およびこれらに付属する機器は、溶接、および溶接後に加工して使用されることが多いため、溶接部における耐水素脆化特性が重要となるとともに、溶接材料にも汎用性と経済性が求められている。
溶接金属において、以下の式(1)及び式(2)で算出されるCreqとNieqの比(Creq/Nieq)を1.10以下にすることで、体積率10%以下のδフェライト相組織を得ることができる。
ここで、
Creq=[Cr]+1.5[Si] ・・・(1)
Nieq=[Ni]+0.5[Mn]+[Cu]+30([C]+[N]) ・・(2)
であり、[Cr]、[Si]、[Ni]、[Mn]、[Cu]、[C]、[N]はそれぞれの元素の質量%を示す。
Creq=[Cr]+1.5[Si] … (1)
Nieq=[Ni]+0.5[Mn]+[Cu]+30([C]+[N]) …(2)ここで、[Cr]、[Si]、[Ni]、[Mn]、[Cu]、[C]、[N]はそれぞれの元素の質量%を示す。
(2)前記母材の化学組成が、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:8〜11%、Cr:15〜17%、Ni:5〜8%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であることを特徴とする、上記(1)に記載の高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手。
(3)上記(1)または(2)に記載の高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手の製造方法であって、オーステナイト系ステンレス鋼の母材に対して溶接する際、溶接金属を、質量%でC:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:7〜11%、Cr:15〜20%、Ni:5〜12%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、かつ以下の式(1)及び(2)で算出されるCreqとNieqの比(Creq/Nieq)が1.10以下を満足する化学組成とし、入熱量を7.2kJ/cm以下として溶接することを特徴とする、高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手の製造方法。
Creq=[Cr]+1.5[Si] ・・・ (1)
Nieq=[Ni]+0.5[Mn]+[Cu]+30([C]+[N]) …(2)ここで、[Cr]、[Si]、[Ni]、[Mn]、[Cu]、[C]、[N]はそれぞれの元素の質量%を示す。
(4)前記オーステナイト系ステンレス鋼の母材に対し、質量%でC:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:7.0〜12%、Cr:14〜20%、Ni:5〜12%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.4%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である化学組成を有する溶接材料を用いて溶接することを特徴とする、上記(3)に記載の高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手の製造方法。
水素環境下で用いられる貯蔵タンクや配管等の構造体の最終的な使用状況において要求されるものは、構造体に用いる溶接継手の特性であり、そのためには溶接継手の化学組成および組織を制御し、規定することは当然かつ重要事項である。
一方で、溶接材料については、溶接継手作成時に、溶解、凝固を経るため、溶接材料自体の特性や組織は、特に規定が必要ではない。さらに溶接材料は溶接母材(以下、単に母材または母鋼材ともいう。)との混合が起きるため、溶接材料の化学組成は、最終的に必要となる溶接継手の化学組成と同じものである必然性はなく、厳密な規定は意味がないとも言える。しかし、最終的な溶接継手の化学組成、組織、さらには特性を制御するためには、溶接材料の化学組成が特定の範囲内に規定されることも当然である。
溶接継手における溶接金属の化学組成は、溶接する母鋼材の化学組成や用いる溶接材料の化学組成、さらには溶接条件に依存する母鋼材と溶接材料の混合の状況に影響されるものである。しかしながら、本発明では、最終的な溶接金属の化学組成を以下のようにすることで、本発明の目的を達することができる。なお、本発明の溶接継手は、後述する本発明の溶接材料を用いて製造することで、実現が容易になるが、本発明の溶接継手は、当該製造条件に限定されるものでないことは言うまでもない。つまり、溶接する母鋼材、用いる溶接材料、さらに溶接条件を適切に選択することで、最終的な溶接継手における溶接金属の化学組成を本発明の範囲内に制御することができる。
Cは本発明の溶接継手において、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。さらに、溶接金属のNieqを高め、δフェライト相の球状化を促進するのに有効な元素である。しかし、Cの過度の添加は、溶接時にM23C6型炭化物が析出し、水素環境下での延性を著しく低下させるため、C量の上限を0.2%とする必要がある。好ましいC量の上限は0.10%であり、更に好ましくは0.08%以下とする。
Cの含有量に特に下限を設ける必要はないが、極端な低下は製造コストの著しい上昇を招くため、望ましい下限は0.002%である。より好ましくは0.04以上である。
Siは、本発明の溶接継手において、常温から極低温環境下でオーステナイト相の安定度を高めて耐水素脆化特性を向上させるために有効な元素である。さらに、材料強度を上昇させる上でも効果的な固溶強化元素である。これら効果を発現させるため、下限は0.1%とすることが好ましい。なお更に好ましくは、Si量は0.4%以上であり、最も好ましくは0.5%以上とする。
一方、Siの過度の含有はCreqを増加させ、溶接部に生成するδフェライト相の針状化を促進する。さらに、シグマ相などの金属間化合物の生成を助長し、熱間加工性や靭性の低下を招く可能性がある。そのため、Si量の上限を2.0%とする。好ましくは、Si量は1.5%以下であり、更に好ましくは1.0%以下とする。
Mnは、常温から極低温環境下でオーステナイト安定度を高めて耐水素脆化特性を向上させ、Ni含有量の低減に有効な元素である。さらに、溶接部のNieqを高め、δフェライト相の球状化を促進する。上記効果を十分に得るためには、Mnの下限を5.5%とする必要がある。好ましくは、Mn量の下限を7.0%とし、更に好ましくは8.5%とする。
一方、Mnの過剰含有は、S系介在物の増加をもたらし延性の低下を招くため、Mn量の上限を14.5%とする。好ましくは、Mn量の上限を12%とし、更に好ましくは10%とする。
Crは、ステンレス鋼に要求される耐食性を得るために必須の合金元素である。また、Crは溶接後の加工時に溶接継手に生成する加工誘起マルテンサイト相の延性改善に有効な元素である。この効果を十分に得るためにはCrの下限を13.5%とする必要がある。好ましくはCrの下限を15.0%とする。
一方、Crの過度の添加は、溶接部のδフェライト相の生成と針状化を促進させ、高圧水素ガスおよび液体水素中での耐水素脆化特性に悪影響をおよぼす。さらに、Crの過剰の添加は、CrN、Cr2N等の窒化物やM23C6型炭化物を生成し、溶接部の延性、靭性、耐食性に悪影響をおよぼす。そのため、Cr量の上限を22.0%とする。好ましくは、Cr量の上限を20.0%とし、更に好ましくは17%とする。
Niは、既存のSUS316鋼でも周知のように、耐水素脆化特性を改善させるのに極めて有効な元素であり、さらに、溶接部でのNieqを高めてδフェライト相の球状化を促進させるのに有効な元素である。これら効果を十分に得るためには、Niを3.5%以上含有する必要がある。好ましくは、Niを5.0%以上とし、更に好ましくは5.5%以上とする。
一方、多量のNiを含有させるには、溶接材料または母材を高Ni材とする必要がありコストの増加を招くため、Niの上限は12.5%とする。好ましくは、Ni量の上限は12.0%であり、更に好ましくは8.0%である。
Cuは、MnやNiと同様にオーステナイト相を安定化させる元素であり、本発明が目標とする耐水素脆化特性の向上に有効な元素である。また、CuはMnとの相乗効果によって常温から極低温にかけて、変形組織を水素の影響を受けにくい組織に変化させる元素でもある。さらに、Cuは溶接部のNieqを増加させ、δフェライト相の球状化を促進させるのに有効な元素でもある。これら効果を得るため、Cuの下限は1.0%とする。好ましくは、Cu量の下限を1.5%とする。
一方、Cuの過度の含有は、鋼中でのCuの析出を促進させ、上記効果が飽和する。そのため、Cuの上限は5.0%とする。好ましくは、Cu量の上限を4.0%とし、更に好ましくは3.0%とする。
Nは、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。さらに、溶接部のNieqを増加させ、δフェライト相の球状化を促進するのに有効な元素である。これらの効果を得るため、N量は0.01%以上とする。なお、Nを0.01%未満に減らすことは、製鋼コストの負担増加にも繋がる。また、Nは固溶強化により鋼の0.2%耐力や引張強度を向上させることが知られており、溶接部の強度向上に有効な元素である。この強度上昇効果を得る場合、Nは0.1%以上含有させることが好ましい。
一方、過剰なNの添加はCrN、Cr2N等の窒化物の生成を促進し、耐水素脆化特性の改善を阻害するため、N量の上限を0.4%とする。好ましくは、0.3%とし、更に好ましくは、0.25%以下とする。
Nieq=[Ni]+0.5[Mn]+[Cu]+30([C]+[N]) … (2)
ここで、[Cr]、[Si]、[Ni]、[Mn]、[Cu]、[C]、[N]はそれぞれの元素の質量%を示す。
一方、δフェライト相の形態が球状である場合、δフェライト相で割れが生成しても、割れの伝播はδフェライト相とオーステナイト相の界面で停止するため、溶接部の延性の低下を抑制することが可能となる。
したがって、本発明に係る溶接継手の溶接金属の組織は、球状のδフェライト相とすることが好ましい。
このような溶接部の組織は、上記で限定した溶接継手における溶接金属の化学組成を満たしつつ、さらに上記式(1)及び(2)で算出されるCreqとNieqの比(Creq/Nieq)を1.10以下とし、適切な入熱量にて溶接することで得ることができる。
ここで、アスペクト比とはδフェライト相の短径/長径であり、短径とは長径の中心部に対して垂直な位置におけるδフェライト相の長さのことである。
観察位置による測定結果のばらつきはほとんど生じていないため、計15視野における測定結果の平均値をその溶接部のδフェライト相の長径と定めた。また、同時に測定視野内の各δフェライト相のアスペクト比を測定し、各測定結果の平均値を、その溶接部のδフェライト相のアスペクト比と定めた。なお、各測定視野に対しては予め点算法によるδフェライト相の体積率測定を行い、その測定結果が、フェライトメーターによる測定結果と著しく異なっていない視野を抽出した。
背景技術に記述したように、耐水素性が非常に良好で、一般的に広く適用されているSUS316系鋼材を母鋼材として溶接継手を形成することは、本発明の好ましい例である。また、溶接継手の成分制御を容易にする意味では、母鋼材が本発明の溶接継手に近い成分系であることはさらに好ましく、特に耐水素性の向上を目的に設計された、例えば特許文献1(国際公開第2012/043877号公報)に開示された鋼材の溶接継手として形成することは非常に好ましい事例となる。
本発明の好適な母材の化学組成は、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:8〜11%、Cr:15〜17%、Ni:5〜8%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である化学組成である。
本発明の溶接継手は、後述する溶接材料を用いて製造することで、実現が容易になるが、本発明の溶接継手の製造方法は、当該製造条件に限定されるものでない。つまり、溶接する母鋼材、用いる溶接材料、さらに溶接条件を適切に選択することで、最終的な溶接継手における溶接金属の化学組成を本発明の範囲内に制御することができる。
以下、本発明の溶接継手を製造する際に用いる溶接材料の望ましい化学組成について説明する。
以下に、溶接材料の化学組成について説明する。
Cは本発明の溶接継手において、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。さらに、溶接金属のNieqを高め、δフェライト相の球状化を促進するのに有効な元素であるが、過度の添加は、溶接時にM23C6型炭化物が析出し、水素環境下での延性を著しく低下させるため、溶接材料中のC量の上限を0.1%とする必要がある。好ましくは、C量は0.08%以下とする。一方、溶接材料中のCの含有量に特に下限を設ける必要はないが、極端な低下は製造コストの著しい上昇を招くため、望ましい下限は0.002%である。より好ましくは0.04%以上である。
Siは、本発明の溶接材料を使用した溶接継手において、常温から極低温環境下でオーステナイト相の安定度を高めて耐水素脆化特性を向上させるために有効な元素である。さらに、継手強度を上昇させる上でも効果的な固溶強化元素である。これら効果を発現させるため、溶接材料中のSi量の下限は0.4%とする。好ましくは0.5%以上である。
一方、Siの過度の添加はCreqを増加させ、溶接部に生成するδフェライト相の針状化を促進する。さらに、シグマ相などの金属間化合物の生成を助長し、熱間加工性や靭性の低下を招く可能性がある。そのため、溶接材料中のSi量の上限を1.5%とする。好ましくは、1.0%以下の範囲である。
Mnは、常温から極低温環境下でオーステナイト安定度を高めて耐水素脆化特性を向上させ、Ni含有量の低減に有効な元素である。さらに、溶接部のNieqを高め、δフェライト相の球状化を促進するのに有効な元素でもある。また、本発明の目的である経済性を向上させるためには、Ni含有量をSUS304鋼におけるNi含有量以下、つまり8%以下と低減する必要がある。このNiの添加量の減少分を補い、かつ上記効果を十分に得るためには、溶接材料中のMn量の下限を7.0%とする必要がある。好ましくは、8.5%以上である。一方、本発明の溶接継手は高Mnが特徴である。溶接時の希釈を考慮し、溶接継手よりもMn含有量を高めておくことが好ましい。ただし、Mnの過剰添加は、溶接部でのS系介在物の増加をもたらし延性の低下を招くため、溶接材料におけるMn量の上限を12%とする。好ましくは、10%以下の範囲である。
Crは、ステンレス鋼に要求される耐食性を得るために必須の合金元素である。また、Crは溶接部の加工時に溶接継手に生成する加工誘起マルテンサイト相の延性改善に有効な元素である。この効果を十分に得るためには、溶接材料中のCr量の下限を14%とする必要がある。好ましくは、15%以上である。一方、Crは溶接部のδフェライト相の生成と針状化を促進し、高圧水素ガスおよび液体水素中での耐水素脆化特性に悪影響をおよぼす。さらに、Crの過剰の添加は、CrN、Cr2N等の窒化物やM23C6型炭化物を生成し、溶接部の延性、靭性、耐食性に悪影響をおよぼす。そのため、溶接材料中のCr量の上限を20%とする。好ましくは、17%以下の範囲である。
Niは、既存のSUS316鋼でも周知のように、耐水素脆化特性を改善させるのに極めて有効な元素であり、さらに、溶接部でのNieqを高めてδフェライト相の球状化を促進させるのに有効な元素である。これら効果を十分に得るためには、溶接材料中のNiを5%以上含有する必要がある。好ましくは、5.5%以上である。一方、Niの過度の含有は材料コストの増加を招くため、材料コスト低減の観点から、溶接材料中のNiの上限は12%とする。好ましくは、8%以下である。
Cuは、MnやNiと同様にオーステナイト相を安定化させる元素であり、本発明が目標とする溶接継手の耐水素脆化特性の向上に有効な元素である。また、CuはMnとの相乗効果によって、常温から極低温にかけて、変形組織を水素の影響を受けにくい組織に変化させることで、溶接継手の加工による特性劣化を抑制することができる。さらに、Cuは溶接部のNieqを増加させ、δフェライト相の球状化を促進させる。これら効果を得るため、溶接材料中のCuの下限は1%とする。好ましくは、1.5%以上である。一方、Cuの過度の添加は、鋼中でのCuの析出を促進させ、上記効果が飽和する。さらに、製鋼時のCu汚染や熱間加工性を低下させる可能性がある。そのため、Cuの上限は4%とする。好ましくは、上記効果と製造性を両立させる観点から、3%以下の範囲である。
Nは、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。さらに、溶接部のNieqを増加させ、δフェライト相の球状化を促進するのに有効な元素であり、これらの効果を得るために、溶接材料中のN量を0.01%以上とする。Nを0.01%未満に減らすことは、製鋼コストの負担増加にも繋がる。また、Nは固溶強化により鋼の0.2%耐力や引張強度を向上させることが知られており、溶接部の強度向上に有効な元素である。この強度上昇効果を得る場合、0.1%以上含有させることが好ましい。溶接時の希釈を考慮し、溶接継手よりもN含有量を高めておくことが好ましい。一方、0.4%を超えるNの添加は工業的な通常の溶製プロセスにおいて困難であり、製鋼コストの大幅な上昇を招くことから、溶接材料中のN量は0.4%以下とする。
表2の化学成分を有するステンレス鋼を溶製した後、熱間鍛造、熱処理、伸線加工により、直径3.2mmの溶接材料を作製した。なお、No.6〜16に示す溶接材料は、本発明の好適な範囲を満足しない化学成分としている。
具体的には、まず、溶接継手W1〜W25の溶接部から試料を5つ切り出した後、各試料においてフェライトメーター(株式会社フィッシャー・インスツルメンツ製)によりδフェライト相の体積率を測定した。次に、5つの試料それぞれから測定したδフェライト相の体積率の平均値を算出し、求めた平均値をその溶接継手のδフェライト相の体積率とした。
なお、観察視野において、連結したδフェライト相の数の割合が4割以上の場合、その組織のδフェライト相は針状であるとみなした。連結した針状δフェライト相のサイズ測定は困難であるため、表3において、測定結果は「−」と記載した。
溶接部(溶接金属)における高圧水素ガス中での耐水素脆化特性は、(高圧水素ガス中での伸び(EL))/(大気中での伸び(EL))の値により評価した。なお、45MPa水素中、90MPa水素中、120MPa水素中のそれぞれの(高圧水素ガス中での伸び)/(大気中での伸び)は、表4、5においてEL:45MPa、EL:90MPa、EL:120MPaと表記し、これら値が0.9(90%)以上のものを合格とした。
溶接部(溶接金属)における液体水素中での耐水素脆化特性は、(溶接金属の伸び)/(母鋼材の伸び)の値により評価した。なお、(溶接金属の伸び)/(母材の伸び)は、上記の同一の形状での引張試験において、試験片平行部に溶接部を有する試験片での伸び(溶接金属の伸び)と、母鋼材から作成した試験片での伸び(母材の伸び)との比である。
(溶接金属の伸び)/(母鋼材の伸び)はEL:LH2と表記し、この値が0.9(90%)以上のものを合格とした。
母鋼材の評価結果を表4に、溶接部の評価結果を表5に示した。
Claims (4)
- オーステナイト系ステンレス鋼の母材と溶接金属とからなる溶接継手であって、
前記溶接金属の化学組成が、質量%でC:0.2%以下、Si:2.0%以下、Mn:5.5〜14.5%、Cr:13.5〜22.0%、Ni:3.5〜12.5%、Cu:1〜5%およびN:0.01〜0.4%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、以下の式(1)及び(2)で算出されるCreqとNieqの比(Creq/Nieq)が1.10以下であり、前記溶接金属中のδフェライト相の体積率が10%以下であり、前記δフェライト相の長径の平均が0.05mm以下であり、かつ前記δフェライト相の形態が、(前記δフェライト相の短径)/(前記フェライト相の長径)で表されるアスペクト比が0.3以上である球状であることを特徴とする高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手。
Creq=[Cr]+1.5[Si] ・・・ (1)
Nieq=[Ni]+0.5[Mn]+[Cu]+30([C]+[N]) ・・・(2)
ここで、[Cr]、[Si]、[Ni]、[Mn]、[Cu]、[C]、[N]はそれぞれの元素の質量%を示す。 - 前記母材の化学組成が、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:8〜11%、Cr:15〜17%、Ni:5〜8%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であることを特徴とする、請求項1に記載の高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手。
- 請求項1または2に記載の高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手の製造方法であって、
オーステナイト系ステンレス鋼の母材に対して溶接する際、
溶接金属を、質量%でC:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:7〜11%、Cr:15〜20%、Ni:5〜12%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、かつ以下の式(1)及び(2)で算出されるCreqとNieqの比(Creq/Nieq)が1.10以下を満足する化学組成とし、
入熱量を7.2kJ/cm以下として溶接することを特徴とする、高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手の製造方法。
Creq=[Cr]+1.5[Si] ・・・ (1)
Nieq=[Ni]+0.5[Mn]+[Cu]+30([C]+[N]) ・・・(2)
ここで、[Cr]、[Si]、[Ni]、[Mn]、[Cu]、[C]、[N]はそれぞれの元素の質量%を示す。 - 前記オーステナイト系ステンレス鋼の母材に対し、質量%で、C:0.1%以下、Si:0.4〜1.5%、Mn:7.0〜12%、Cr:14〜20%、Ni:5〜12%、Cu:1〜4%およびN:0.01〜0.4%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である化学組成を有する溶接材料を用いて溶接することを特徴とする、請求項3に記載の高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2015033030A JP6466734B2 (ja) | 2014-02-21 | 2015-02-23 | 高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2014032031 | 2014-02-21 | ||
| JP2014032031 | 2014-02-21 | ||
| JP2015033030A JP6466734B2 (ja) | 2014-02-21 | 2015-02-23 | 高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手およびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2015171729A JP2015171729A (ja) | 2015-10-01 |
| JP6466734B2 true JP6466734B2 (ja) | 2019-02-06 |
Family
ID=54259410
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2015033030A Active JP6466734B2 (ja) | 2014-02-21 | 2015-02-23 | 高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP6466734B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6455333B2 (ja) * | 2015-06-23 | 2019-01-23 | 新日鐵住金株式会社 | 高圧水素ガス用高Mn鋼鋼材ならびにその鋼材からなる、配管、容器、バルブおよび継手 |
| JP6455342B2 (ja) * | 2015-06-29 | 2019-01-23 | 新日鐵住金株式会社 | 高圧水素ガス用高Mn鋼鋼材ならびにその鋼材からなる、配管、容器、バルブおよび継手 |
| JP6451545B2 (ja) * | 2015-08-05 | 2019-01-16 | 新日鐵住金株式会社 | 高圧水素ガス用高Mn鋼鋼材およびその製造方法、ならびにその鋼材からなる、配管、容器、バルブおよび継手 |
| US11225705B2 (en) | 2017-03-30 | 2022-01-18 | Nippon Steel Stainless Steel Corporation | High-Mn austenitic stainless steel for hydrogen having excellent weldability, welded joint using same, device for hydrogen using same, and method for producing welded joint |
| CN108929991B (zh) | 2017-05-26 | 2020-08-25 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种热浸镀高锰钢及其制造方法 |
| CN109112430A (zh) * | 2017-06-26 | 2019-01-01 | 宝钢不锈钢有限公司 | 一种低成本高强度节镍奥氏体不锈钢及制造方法 |
| CN108526750B (zh) * | 2018-04-08 | 2020-12-08 | 中国兵器科学研究院宁波分院 | 一种高强高韧高氮奥氏体不锈钢焊丝及其制备方法 |
| JP7564696B2 (ja) * | 2020-12-04 | 2024-10-09 | 日鉄ステンレス株式会社 | オーステナイト系ステンレス鋼溶接用溶加材 |
| JP7636164B2 (ja) | 2020-12-04 | 2025-02-26 | 日鉄ステンレス株式会社 | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手、溶接構造物、および母鋼材、ならびにオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手の製造方法。 |
| CN114083090A (zh) * | 2021-11-17 | 2022-02-25 | 华南理工大学 | 一种氢能装备用奥氏体不锈钢抗氢脆焊件及制备方法 |
| JP7188648B1 (ja) | 2021-12-17 | 2022-12-13 | 日本製鉄株式会社 | 低温用ニッケル含有鋼溶接継手 |
| JPWO2024150606A1 (ja) * | 2023-01-12 | 2024-07-18 |
Family Cites Families (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH07314178A (ja) * | 1994-05-27 | 1995-12-05 | Nippon Steel Corp | オーステナイト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接ワイヤ |
| WO2004083477A1 (ja) * | 2003-03-20 | 2004-09-30 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 高圧水素ガス用ステンレス鋼、その鋼からなる容器および機器 |
| JP4098171B2 (ja) * | 2003-06-26 | 2008-06-11 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 伸び特性に優れる安価なステンレス鋼細線の製造方法 |
| JP4907151B2 (ja) * | 2005-11-01 | 2012-03-28 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 高圧水素ガス用オ−ステナイト系高Mnステンレス鋼 |
| ITRM20070069A1 (it) * | 2007-02-12 | 2008-08-13 | Thyssenkrupp Acciai Speciali | Acciaio inossidabile austenitico |
| JP5709881B2 (ja) * | 2010-09-29 | 2015-04-30 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | オーステナイト系高Mnステンレス鋼およびその製造方法と、その鋼を用いた部材 |
| EP2832487B1 (en) * | 2012-03-30 | 2019-01-09 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Process for producing welded joint |
-
2015
- 2015-02-23 JP JP2015033030A patent/JP6466734B2/ja active Active
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2015171729A (ja) | 2015-10-01 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP6466734B2 (ja) | 高圧水素ガスおよび液体水素用オーステナイト系高Mnステンレス鋼溶接継手およびその製造方法 | |
| JP6648646B2 (ja) | 低合金鋼材、低合金鋼管および容器、ならびにその容器の製造方法 | |
| JP6693217B2 (ja) | 極低温用高Mn鋼材 | |
| JP5709881B2 (ja) | オーステナイト系高Mnステンレス鋼およびその製造方法と、その鋼を用いた部材 | |
| EP2505683B1 (en) | Process for producing a welded steel pipe for linepipe with superior compressive strength and excellent sour resistance | |
| CA2717104C (en) | Stainless steel used for oil country tubular goods | |
| RU2653031C2 (ru) | Сталь для высокодеформируемых труб магистральных трубопроводов с высокой стойкостью к деформационному старению и водородному охрупчиванию, способ их изготовления и сварная стальная труба | |
| JP6380712B1 (ja) | 低温用ニッケル含有鋼及び低温用タンク | |
| JP5928394B2 (ja) | 高圧水素ガス中の耐水素脆化特性に優れた水素用鋼構造物ならびに水素用蓄圧器および水素用ラインパイプの製造方法 | |
| JP7277752B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼材 | |
| JP6648647B2 (ja) | 低合金鋼材、低合金鋼管および容器、ならびにその容器の製造方法 | |
| JP2011219849A (ja) | 極低温用厚鋼板およびその製造方法 | |
| JPWO2013190750A1 (ja) | 厚肉高強度耐サワーラインパイプおよびその製造方法 | |
| JP2011241477A (ja) | 溶接熱影響部の耐粒界応力腐食割れ性に優れたラインパイプ用Cr含有鋼管 | |
| JP2015196842A (ja) | 熱間加工性と耐水素脆化特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法 | |
| JP7135649B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼用溶接材料 | |
| WO2014010150A1 (ja) | 厚肉高強度耐サワーラインパイプおよびその製造方法 | |
| JP6394835B1 (ja) | 低温用ニッケル含有鋼板およびそれを用いた低温用タンク | |
| JP7188648B1 (ja) | 低温用ニッケル含有鋼溶接継手 | |
| JP2005232513A (ja) | 高強度鋼板とその製造方法 | |
| JP6554844B2 (ja) | 高圧水素用容器の製造方法 | |
| JP5971415B2 (ja) | ラインパイプ向溶接鋼管用マルテンサイト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 | |
| JP2001115238A (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼溶接鋼管 | |
| JP5640777B2 (ja) | 溶接熱影響部の耐粒界応力腐食割れ性に優れたラインパイプ用Cr含有鋼管 | |
| Jang et al. | Effect of shielding gas composition on phase transformation and mechanism of pitting corrosion of hyper duplex stainless steel welds |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171016 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180910 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180918 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181029 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20181211 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190110 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6466734 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
| S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |