本発明のカラーフィルタ用赤色有機顔料組成物は、ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールとそれ以外の赤色顔料からなる顔料組成物がある一定の割合で含有すること、および該赤色有機顔料組成物にさらにフタルイミドアルキル化キナクリドンを含有することを特徴とするカラーフィルタ用赤色有機顔料組成物である。
特表2004−525233号公報および、特開2014−88554号公報には、ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールの記載はあるものの、本発明のようにハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールとそれ以外の赤色有機顔料を特定の割合で含有する有機顔料組成物については、言及がない。本発明のカラーフィルタ用赤色有機顔料組成物の最大の特徴は、下記式(1)で表されるジケトピロロピロール顔料、および式(1)以外の赤色有機顔料を含有するカラーフィルタ用赤色顔料組成物において、式(1)で表されるジケトピロロピロール顔料と式(1)以外の赤色有機顔料のモル比が15:85〜100:0と一定の割合で含有することで、C.I.ピグメントレッド254より青味で赤色画素に要求されている目標の色度に近くなり、更なる輝度の向上、コントラストの向上が可能となったカラーフィルタ用赤色有機顔料組成物である。
(式中Xは、ハロゲンである。)
ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールは、最外殻のフェニル基にハロゲンが置換されている構造を有するものである。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素が該当する。全てのハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールがC.I.ピグメントレッド254より輝度向上が達成されている。
ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールと供に含有する赤色有機顔料は、いかなる赤色の有機顔料でも構わないが、例えば、C.I.Pigment Red 177の様なアントラキノン系赤色顔料、C.I.Pigment Red 254の様なジケトピロロピロール系赤色顔料、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 209の様なキナクリドン系赤色顔料等が挙げられる。中でもコントラスト向上に寄与するC.I.Pigment Red 177を本発明では好適に使用している。
ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料およびハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料以外の赤色顔料からなる赤色顔料組成物に更にフタルイミドアルキル化キナクリドンを含有させることが可能で、ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とフタルイミドアルキル化キナクリドンのモル比が75:25〜99:1が好適な範囲である。さらに、輝度向上が可能であるハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とフタルイミドアルキル化キナクリドンのモル比が85:15〜97:3の範囲がより好ましい。
次に本発明の赤色有機顔料組成物の製造方法について、詳細に述べる。
ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールの合成方法は、コハク酸ジエステル1モルと、ハロゲン化フェニルベンゾニトリル2モルを、不活性有機溶剤中で、強塩基(例えば、アルカリ金属アルコキシド)の存在下、高温で反応させてジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩を生成し、続いて、これにより得られたジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩の溶液を60〜90℃に保ちながら、濾別し、その後、炭素数1〜3のアルコール、水、酸あるいはこれらの混合物中へ、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩を添加することにより、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩のプロトン化を行い、ジケトピロロピロール顔料の粗結晶を得る工程からなる。コハク酸ジエステルとハロゲン化フェニルベンゾニトリルとの反応比率は、コハク酸ジエステル1モルに対して、ハロゲン化フェニルベンゾニトリル2モルが基本となるが、片方の原料を10〜20モル%程度過剰に用いることは、収率の向上に有効である。
合成時の原料化合物として用いられるコハク酸ジエステルは、コハク酸ジアルキルエステル、コハク酸ジアリールエステル、コハク酸モノアルキルモノアリールエステルであって良い。このようなコハク酸エステルとしては、例えばジメチルスクシナート、ジエチルスクシナート、ジプロピルスクシナート、ジイソプロピルスクシナート、ジイソブチルスクシナート、ジtert−ブチルスクシナート、ジペンチルスクシナート、ジtert−アミルスクシナート、ジフェニルスクシナート、ジ4−クロロフェニルスクシナート等が代表的なものとして挙げられる。非対称ジエステルよりも対照型ジエステルが好ましく、アルキル基においては分枝状のアルキルが好ましい。好ましい分枝状アルキルは、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、tert−アミル等の炭素数3〜5の分枝状アルキル基である。
強塩基としては、アルカリ金属自体、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属アルコキシド(アルコラート)などが挙げられるが、アルカリ金属アルコキシドが好ましい。強塩基として用いられるアルカリ金属アルコキシドは、in situで合成されたものでも、市販品であっても良い。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムまたはカリウムの第二、第三アルコールから誘導されるアルコキシドが好ましい。第一アルコールから誘導されるアルコキシドは、塩基性が強く、副反応を起こしやすい為、好ましくない。特に好ましいアルカリ金属アルコキシドは、ナトリウム−イソプロピラート、ナトリウム−イソブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−アミラートである。in situで合成する場合は、ナトリウム等のアルカリ金属を、ナトリウムの10〜20重量倍のアルコール中で、100℃以上に加熱し溶融させた上で、強攪拌を長時間行い、ナトリウムを完全に溶解させることで合成される。アルカリ金属アルコキシドは、コハク酸ジエステルに対して、1〜4モル倍、好ましくは1.5〜2モル倍の量で用いられる。
ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料の粗結晶を合成する環化反応は、不活性有機溶剤中において行われる。適当な不活性有機溶剤は、炭素数1〜10の第一乃至第三アルコール類、グリコール類、エーテル類、グリコールエーテル類、非プロトン性極性溶媒、脂肪族または芳香族炭化水素、芳香族性複素環化合物等である。好ましくは、第二、第三アルコールであり、イソブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール等が最も好ましい。また、これらのアルコールとトルエン等の芳香族炭化水素の混合物を用いても良い。用いる有機溶剤の量は、反応に用いる原料を溶解し、均一な攪拌状態が得られる量であれば良く、ニトリル化合物に対して2〜15重量倍の有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤の使用量が2重量倍未満では、原料が完全に溶解せず、反応が十分に進行しない。10重量倍を超えると、原料濃度が低くなることにより、コハク酸ジエステルとニトリル化合物との接触機会が減少し、結果として収率が低くなる傾向がある。
有機溶剤としてアルコールを用いる場合は、同じアルキル鎖を有するコハク酸ジエステル、アルカリ金属アルコキシド、アルコールを用いることが、収率向上、有機溶剤回収性の点で好ましい。特に好ましくは、tert−アミルを有する琥珀酸ジ−tert−アミル、ナトリウム−tert−アミラート、tert−アミルアルコールの組み合わせである。
高温で行う環化反応は、不活性有機溶剤に、コハク酸ジエステル、ニトリル化合物、強塩基、例えばアルカリ金属アルコキシドを溶解し、常圧または若干の加圧下(<0.2MPa)、70〜120℃、好ましくは80〜105℃において、数時間加熱攪拌することで行われる。この際、添加方法としては、コハク酸ジエステルとニトリル化合物を不活性有機溶剤中に加熱溶解した混合物を、アルカリ金属アルコキシドを加熱溶解した不活性有機溶剤中に、少量ずつ滴下する方法が好ましい。加熱溶解の温度は、どちらの溶液も80〜105℃の範囲であることが好ましい。不活性有機溶剤にアルカリ金属アルコキシドを加熱溶解した溶液に対し、不活性有機溶剤にコハク酸ジエステルとニトリル化合物を加熱溶解した加熱溶解混合物を滴下するが、滴下は30分〜2時間にわたりゆっくりと一定の速度で行うことが好ましく、また、副反応を避けるため、強く攪拌しながら滴下することが好ましい。滴下終了後、更に例えば80〜100℃にて、1〜5時間加熱攪拌を続け、環化反応を熟成させる。また、ニトリル化合物および金属アルコキシドを有機溶剤中に加熱溶解した中に、コハク酸ジエステルのみを滴下することも有効である。この場合も、滴下は1時間〜2時間にわたりゆっくりと行うことが好ましく、滴下終了後、1〜5時間加熱攪拌を行う。
反応に用いられる不活性有機溶剤、コハク酸ジエステル、ニトリル化合物、アルカリ金属アルコキシドは、水分を極力含まないことが重要である。水分が0.2重量%以上含まれる場合は、生成した水酸化ナトリウム等の強塩基により、ニトリル化合物や生成したハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料の分解が誘発され、顔料の収率が低下する。
環化反応により、コハク酸ジエステル1モルとニトリル化合物2モルが反応したハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩が生成する。ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩は、環化反応後の60〜90℃において、溶解状態、あるいは析出物を有する懸濁状態にある。安定した溶解または懸濁状態にある60℃〜90℃のハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩を濾別し、水、アルコール、酸等のプロトンを有する媒体と接触させることにより、プロトン化がなされ、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料の結晶が得られる。このプロトン化の工程は、プロトリシスと称されている。通常、強い攪拌状態において、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩と、水、アルコール、酸等のプロトン化媒体を十分に混合することにより、プロトン化が行われる。
ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩のプロトン化を行う媒体(以下、プロトン化媒体と言う)には、炭素数1〜3のアルコール及び/又は水及び/又は酸が用いられる。炭素数1〜3のアルコールとは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールであり、環化反応に用いる不活性有機溶剤と水を相溶させる相溶化剤の役割を果たす。アルコールと水は、アルコール:水の重量比が50:50〜0:100の範囲で用いられる。アルコールは結晶成長を促進することから少ない方が好ましい。また前記酸とは、酸性物質をも含む広い意味で用いられるもので、具体的には、塩酸、硫酸、酢酸、蟻酸、リン酸、硝酸等の酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の酸性塩、塩化アンモニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム等の酸性を呈する正塩等の酸性物質が挙げられ、プロトン化の速度を速める働きをする。酸の量は、反応に用いたアルカリ金属アルコキシド等の強塩基化合物を完全中和する量より多い量が好ましい。通常、アルカリ金属アルコキシド1モルに対して、1.2倍モル〜5倍モルに相当する酸が用いられる。プロトン化の終始にわたりpHを10以下に制御することが好ましく、より好ましくは1<pH<7の酸性域に保持することが好ましい。アルコール、水、及び酸の混合物などからなるプロトン化媒体の量は、ジケトピロロピロール顔料が析出する懸濁液を強く攪拌できる程に低い粘度が維持できる量が必要であり、環化反応に用いる不活性有機溶剤に対して3〜10倍の重量が用いられる。
また、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩をプロトン化媒体に添加する際には、プロトン化媒体を攪拌した状態でジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩を添加する。プロトン化媒体を攪拌した状態とは、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩が瞬時に分散されるような強い攪拌、すなわち、添加されたジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩が数秒で均一に分散されるような強い攪拌状態を意味し、高い剪断力を有する攪拌状態が好ましい。具体的には、攪拌を周速で表せば、少なくとも2m/秒以上、好ましくは5〜50m/秒、特に好ましくは10m〜50m/秒である。
攪拌速度は、攪拌翼の大きさにもよるが、100rpm以上が好ましい。攪拌には、シャフト型、イカリ型、プロペラ型、板状、2段タイプ等多種多様な攪拌翼を用いることができる。また、攪拌効率に優れるマックスブレンド翼も有効である。攪拌装置は、一般的な化学反応に用いられる0〜300rpm程度の攪拌速度を有する攪拌機、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサーのような数千rpmまで高速攪拌可能な攪拌機が挙げられる。また、100〜300rpmを有する攪拌機と、高速攪拌可能なディゾルバータイプの攪拌を併用し、全体を攪拌しながら、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩が投入される箇所を局所的に高速攪拌することも非常に有効である。
ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩のプロトン化は、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩の溶液を、プロトン化媒体中に添加する方法によっても行われる。また反対に、プロトン化媒体を、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩の溶液中に添加する方法によっても行われる。
さらに、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩をプロトン化する方法には、水流式アスピレーター、あるいは水流式イジェクターを用いてプロトン化媒体を循環させて攪拌状態としても良い。水流式アスピレーター、あるいは水流式イジェクターを用いることにより、より微細で均一な大きさのジケトピロロピロール顔料の粗結晶を得ることが可能となり、高品位のカラーフィルタ用顔料を得ることができる。水流式アスピレーターや水流式イジェクターを用いてプロトン化媒体を循環させる場合には、タンクにこれらのプロトン化媒体をあらかじめ調整し、仕込んでおき、強力なポンプで水流式アスピレーターや水流式イジェクターに送り込むことにより、高速のプロトン化媒体の流れを発生させ、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩がプロトン化媒体と接触する瞬間に、高い剪断力を与えることができる。
水流式アスピレーター、あるいは水流式イジェクターを用いると、0.05〜0.6MPaの圧力で管やチューブを流れる高速のプロトン化媒体の中に、細い管を通じて、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩を少量ずつ注入することができ、アルコール、水、酸等のプロトン化媒体と接触する瞬間に、水流による高い剪断力が働くことにより、非常に微細なジケトピロロピロール顔料の粗結晶を得ることができる。また、終始にわたり、一定の温度、一定の圧力でプロトン化できる為、均一な大きさのジケトピロロピロール顔料の粗結晶を得ることができる。水流式イジェクターは、旭製作所(株)から、ガラス製のイジェクターが市販されている。イジェクターは、アスピレーターと類似の構造で水流により減圧を生じるものであるが、やや太い径を有するものである。ポンプで強制的にプロトン化媒体を高速に循環しながら、高速に流れる媒体の中に、イジェクターを通して少量ずつジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩を添加することができ、水流式アスピレーターと同様に高い剪断力が安定して働くことにより、微細で均一な大きさの粗結晶を得ることができる。
ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩のプロトン化を行った後は、ジケトピロロピロール顔料を含有する赤い懸濁液が形成される。固体のジケトピロロピロール顔料を得るためには、プロトン化で使用したプロトン化媒体のほとんどを除去することが必要となる。
合成時に使用したプロトン化媒体を取り除くために、フィルタープレス、葉状濾過機、ヌッチェ、水平濾板濾過機、連続式遠心分離機等の濾過機、分離装置を用いて、濾別が行われる。濾別は、加圧、減圧、遠心力等の作用を利用すると効果的に実施できる。母液を濾別した後、得られたジケトピロロピロール顔料はアルコール等の有機溶剤や水で洗浄することにより、不純物が除去される。濾別した後、最終的には、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料は、当該顔料を10〜40重量%程度含有する水や有機溶剤のペーストとして単離される。
前記した洗浄、濾過後の乾燥方法としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、液媒体を含んだ本発明の有機顔料組成物の脱水および/または脱溶剤をする回分式あるいは連続式で乾燥する方法等が挙げられる。またその際に使用する乾燥機としては、例えば、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。
乾燥後の粉砕方法としては、有機顔料組成物の比表面積を大きくしたり、一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、箱型乾燥機やバンド乾燥機を使用して乾燥する場合に、ランプ形状等のものとなった有機顔料組成物を解して粉末化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕方法が挙げられる。
本発明の赤色有機顔料組成物は、上記記載により得られたハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料を塩基性溶媒中に溶解させる工程(第一工程とする)と、前記混合溶液を酸性〜中性の溶液に取り出し、微細で均一な顔料粒子を得る工程(第二工程とする)および第二工程で得られた顔料粒子とさらに顔料誘導体および、必要に応じてアクリル系共重合体と共に機械的磨砕によって、粒子制御を行う工程(第三工程とする)の三工程により製造することができる。こうすることで、顔料の平均一次粒子径を20〜50nmにすることができる。具体的には、第一工程において、顔料を予めアルコラートを溶解させた非プロトン性極性溶媒中で金属塩として溶解する工程である。第二工程は、第一工程で作成された顔料が溶解した混合溶液を酸性〜中性の溶液中に取り出すことで、微細で均一な顔料粒子を得る工程である。第三工程は、第二工程で得られた顔料粒子とさらに顔料誘導体およびアクリル系共重合体と無機塩、有機溶剤からなる混合物を機械的磨砕によって微細な二次粒子の有機顔料組成物を得る工程である。以下、第一工程、第二工程ならびに第三工程についてさらに詳細に説明する。
〔第一工程〕
第一工程は、前記したとおり、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料を均一に分子レベルで塩基性溶媒中に溶解させる工程である。溶解条件としては、塩基度、温度、撹拌状態が重要となる。
第一工程で使用する溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が一般的に使用される。非プロトン性極性溶媒は、水と自由な割合で混和し、多くの有機化合物や無機塩も溶解する溶解性の優れた溶媒である。エーテル類(ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなど)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。本発明では、ジケトピロロピロール系顔料等の縮合多環系顔料の溶解性が高い、ジメチルスルホキシドが好ましい。
アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウムが使用しうる。しかし、前記非プロトン性極性溶媒に容易に溶解するものが好ましいため、アルコラートが一般的に使用される。ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシドなどは市販品が入手可能であり、本発明では、コスト、操作性を考慮して、ナトリウムメトキシドが好ましい。
アルカリ金属は、ハロゲン化ジフェニルジケトピロロピロール顔料が溶解する条件であればいかなる割合で溶媒に溶解させても良いが、生産性も考慮すると混合溶液100部に対して0.2〜10部が好ましく、さらに0.5〜5部が好ましい。
顔料に対する溶媒量は、溶解性を考慮すると多いことが好ましいが、生産性を考慮すると顔料1部に対して、5〜50部が好ましく、さらに10〜40部が好ましい。
溶解時の温度は、いかなる温度でも顔料が溶媒に溶解できる状態であれば良いが、より溶解性を高めるために、常温より高い温度に溶解温度を設定することが好ましい。本発明では、20〜120℃が好ましく、40〜110℃がより好ましい。
〔第二工程〕
第一工程で作成した顔料が溶解した混合溶液を酸性〜中性の溶液に取り出して、微細で均一な顔料粒子を析出させる工程である。
溶液を酸性〜中性の溶液に取り出す方法としては、公知公用のいかなる方法で行うことができる。予め用意した酸性〜中性の溶液を撹拌装置等により、乱流状態にし、第一工程で得られた溶液を取り出す。層流の場合、希釈速度が遅くなるため、中和熱の拡散効果が低くなるため、結晶成長をしてしまう可能性がある。溶液の取り出し速度は、任意で構わないが、水流の速度、水流の状況により微細な粒子を得るために、適宜調整する。溶液を直接酸性〜中性の溶液に取り出しても構わないし、イジェクター等の装置により、少量の溶液と酸性〜中性の溶液の接触による結晶成長を抑制する方法もある。
取り出し速度、取り出し方法にもよるが、析出温度による結晶成長を防止する上で、析出槽を冷却することが好ましい。水冷、氷冷、冷却材による冷却のいずれかの方法で冷却し、析出温度を40℃以下に制御することが好ましく、本発明ではより低い20℃以下がさらに好ましい。
顔料が溶解している溶液に対して、酸性〜中性の溶液は多いほど拡散速度が高くなるため好ましいが、生産性、操作性を考慮すると混合溶液1部に対して、1〜10部が好ましい。
得られたスラリーをろ過、洗浄、乾燥、粉砕して顔料の微細で均一な粒子を得る。
〔第三工程〕
第二工程で得た有機顔料組成物にさらに顔料誘導体および必要に応じてアクリル系共重合体を機械的磨砕によって最終目的である微細な一次粒子である有機顔料組成物を製造する工程である。
本発明の有機顔料組成物は、例えば、有機顔料組成物と、顔料誘導体と、必要に応じて、その他の赤色有機顔料や赤色有機顔料誘導体とを、前記したモル比となる様に、任意の順序で混合すれば製造することが出来る。本発明の有機顔料組成物は、有機顔料組成物と顔料誘導体とを充分に混合し、そこにその他の赤色有機顔料や赤色有機顔料誘導体を加えても良い。必要であれば、有機顔料組成物、顔料誘導体及びその他の赤色有機顔料や赤色有機顔料誘導体を予め混合前に、混合しながら、或いは、混合後に、ボールミリングやアトライター等の公知慣用の手段により摩砕して、前記した好適な一次粒子の平均粒子径となる様にすることも出来る。
しかしながら、より高い改良効果を発現させ、かつ前記した様な好適な一次粒子の平均粒子径の有機顔料組成物を簡便に製造する方法がある。それは、有機顔料組成物と顔料誘導体とをソルベントソルトミリング処理する方法、即ち、ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とキナクリドン系顔料誘導体とをソルベントソルトミリングするカラーフィルタ用有機顔料組成物の製造方法において、キナクリドン系顔料誘導体として、フタルイミドアルキル化キナクリドンを用い、ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とフタルイミドアルキル化キナクリドンのモル比が、75:25〜99:1であることを特徴とするカラーフィルタ用有機顔料組成物の製造方法である。
ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とフタルイミドアルキル化キナクリドンのモル比は、75:25〜99:1が好適な範囲である。さらに、輝度向上が可能であるハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とフタルイミドアルキル化キナクリドンのモル比が85:15〜97:3の範囲がより好ましい。
本発明においてソルベントソルトミリング処理とは、有機顔料組成物と顔料誘導体とを必須成分とする混合物を、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することを意味する。
このソルベントソルトミリング処理により、有機顔料組成物と顔料誘導体の微細化が行われる。ハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロール顔料とフタルイミドメチル化ジクロロキナクリドンとの組み合わせでは、最適の効果が得られる。この処理により得られた有機顔料組成物からは、被着色媒体への分散性、その中での分散安定性がより向上し、高い着色力の着色物が得られる。
前記したその他の赤色有機顔料や赤色有機顔料誘導体は、前記した様に本発明の有機顔料組成物を製造する任意の段階において、系内に含ませることが出来るが、有機顔料組成物の吸着等を促進させること、それによる分散性を向上させる観点から、それは、予め有機顔料組成物や顔料誘導体に含有させてから、ソルベントソルトミリング処理されることが好ましい。
そのため、ソルベントソルトミリング処理は、その他の赤色有機顔料や赤色有機顔料誘導体及び/又はアクリル系共重合体を含有した、有機顔料組成物と顔料誘導体と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練摩砕することが好ましい。
アクリル系共重合体で有機顔料組成物及び/又は顔料誘導体を混練する代表的な方法としては、例えば、有機顔料組成物の製造前、製造中、製造後に、それを含ませる方法がある。具体的には、例えば、予め得たアクリル系共重合体を含有していない本発明の有機顔料組成物に対して、アクリル系共重合体を加えて析出させる方法、アクリル系共重合体のエマルジョンを加える方法、アクリル系共重合体と共に混練磨砕する方法等がある。ソルベントソルトミリング処理において、有機顔料組成物の結晶制御を充分に行うためには、顔料誘導体の優れた結晶成長抑制作用を利用することが好ましく、アクリル系共重合体が、有機顔料組成物に顔料誘導体が吸着することを阻害しない様にすることが好ましい。結晶制御が終了した後には、これら有機顔料組成物や顔料誘導体等はアクリル系共重合体を含有しても良い。
ソルベントソルトミリング処理は、前記した各原料を混練機に仕込み、その中で混練摩砕することで行うことが出来る。この際の混練手段としては、例えば、ニーダーやミックスマーラー等の混練機が挙げられる。
前記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用出来、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を使用することが好ましい。また、平均粒子径が0.3〜70μmの無機塩を使用することがより好ましい。この様な無機塩としては、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得ることが出来る。
本発明の好適な有機顔料組成物を得るに当たっては、無機塩の使用量を、質量換算で、有機顔料組成物と顔料誘導体とを必須成分として含む混合物の合計1部当たり3〜30部、なかでも7〜30部、特に10〜30部とするのが好ましい。
有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等を使用することが出来る。
有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、質量換算で、赤色顔料と誘導体とを必須成分として含む混合物の合計1部当たり0.01〜5部が好ましい。
本発明の製造方法においては、ソルベントソルトミリング処理をする際に、意図する色相に調色する目的で、必要であれば、その他の赤色有機顔料や赤色有機顔料誘導体を含有させることが出来る。
ソルベントソルトミリング処理において、前記した様な無機塩や有機溶剤は、最初の仕込段階で必要量全量を仕込んで以降そのまま、有機顔料組成物と顔料誘導体を必須成分として含む混合物が、前記した必要な一次粒子の平均粒子径となるまで摩砕を行っても良いし、必要量の一部だけを仕込んで摩砕を開始し、途中で無機塩および/または有機溶剤の残量を、一括または分割して仕込む様にして摩砕を行う様にしても良い。
ソルベントソルトミリング処理時の温度は、30〜150℃が好ましく、なかでも60〜120℃がより好ましい。また、ソルベントソルトミリング処理の時間は、3時間から36時間が好ましく、なかでも5〜24時間がより好ましい。
ソルベントソルトミリング中の経時サンプリングから、有機顔料組成物中の一次粒子の平均一次粒子径値等に基づいて、必要とする特性をもった本発明の有機顔料組成物を得るソルベントソルトミリングの条件を選定することが出来る。
こうして、本発明の有機顔料組成物、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と、無機塩とを除去し、固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等を行うことにより、本発明の有機顔料組成物の粉体を得ることが出来る。
尚、この洗浄方法としては、水洗、湯洗のいずれをも採用することが出来る。水溶性無機塩および有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することが出来る。比電導度のもとなる物質は、極力除去されていることが好ましい。特に、カラーフィルタ画素部を調製するための本発明の有機顔料組成物は、比電導度50μS/cm以下、好ましくは20μS/cm以下となるまで洗浄を行うのが好ましい。
前記した洗浄、濾過後の乾燥方法としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、液媒体を含んだ本発明の有機顔料組成物の脱水および/または脱溶剤をする回分式あるいは連続式で乾燥する方法等が挙げられる。またその際に使用する乾燥機としては、例えば、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。
乾燥後の粉砕方法としては、有機顔料組成物の比表面積を大きくしたり、一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、箱型乾燥機やバンド乾燥機を使用して乾燥する場合に、ランプ形状等のものとなった有機顔料組成物を解して粉末化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕方法が挙げられる。
尚、本発明の有機顔料組成物は、アスペクト比が1に近いほど好ましい。有機顔料組成物のアスペクト比が大きくなるほど、それの被着色媒体への分散性、その中での分散安定性が低下し、顔料粒子の再凝集が起こりやすくなる。これは、例えば、塗料を調製する際、本発明の有機顔料組成物と従来の赤色顔料との混合物を使用して調製された顔料分散液、これを含む光硬化性化合物および/または合成樹脂の組成物の流動性、貯蔵安定性および基材への塗布性の低下、塗膜の透明性等へと繋がる点で好ましくない。
後記するカラーフィルタ用の顔料分散液やこれを含む光硬化性化合物および/または合成樹脂の組成物でも、同様のこと言え、カラーフィルタ赤色画素部を形成するための透明基板への塗布性の低下、同画素部における塗膜の輝度、コントラストおよび光透過率のいずれもが低下する点で好ましくない。
本発明の有機顔料組成物は、従来公知の方法でカラーフィルタ赤色画素部、同赤色画素部形成用赤色顔料の調製に使用することが出来る。本発明の有機顔料組成物を使用してカラーフィルタ赤色画素部を製造するに当たっては、顔料分散法が好適に採用出来る。
この方法で代表的な方法は、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色、緑色、青色の色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することが出来る。前記した様に、本発明の有機顔料組成物からは、赤色画素部、同赤色画素部形成用赤色顔料が調製される。尚、青色画素部および緑色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の青色顔料と緑色顔料を使用することが出来る。
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。この加熱処理を一般に「プリベーク」という。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用出来る。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルタが完成する。
カラーフィルタの赤色画素部を形成するための光硬化性組成物(顔料分散フォトレジストとも呼ばれる。)は、本発明の有機顔料組成物と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製することが出来る。赤色画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルタの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明の有機顔料組成物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルタの赤色画素部を形成するための顔料分散液(着色ペーストとも呼ばれる。)を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで分散剤としては、例えば、ビックケミー社製のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、エフカ社製のエフカ46、エフカ47等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤等も併せて使用可能である。
有機溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系等の極性溶媒で水可溶のものが好ましい。水可溶の有機溶剤を使用する場合には、それに水を併用することも出来る。
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
前記した様な各材料を使用して、本発明の有機顔料組成物は、質量換算で、その100部当たり、300〜1,000部の有機溶剤と、0〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記顔料分散液を得ることが出来る。次いで該顔料分散液に、本発明の有機顔料組成物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ赤色画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることが出来る。この様な光硬化性組成物は、通常は、分散粒子の平均粒子径が100nm以下となる様に調製される。
本発明の有機顔料組成物から調製された赤色顔料分散液や光硬化性組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子さらに好ましくは、0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することが出来る。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ青色画素部の形成に効果的である。
顔料分散法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ赤色画素部の製造方法について詳記したが、本発明の有機顔料組成物を使用して調製されたカラーフィルタ赤色画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で赤色画素部を形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
カラーフィルタは、青色有機顔料組成物、緑色有機顔料組成物、ならびに赤色である本発明の有機顔料組成物を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤(R)、緑(G)および青(B)のいずれか1色から選ばれたカラーフィルタ着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルタ着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることが出来る。
本発明のカラーフィルタとしては、勿論、必要に応じて赤色画素部には、更にアントラキノン系赤色顔料を、緑色画素部にはニッケルアゾ錯体顔料を、青色画素部にはジオキサジンバイレット顔料を、更に含有させた液晶カラーフィルタとすることも出来る。
尚、本発明のカラーフィルタ用有機顔料組成物は、公知慣用の各種用途、例えば、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インキ、ゴム、レザー、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することも出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、部および%は質量基準である。
[合成例1]
環流管を付けた2Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、tert−アミルアルコール500部、ナトリウム−tert−アミラート100部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。
一方で、2Lのガラス製フラスコに、tert−アミルアルコール500部、コハク酸ジイソプロピル50部、4−(4−フルオロフェニル)ベンゾニトリル92部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加温した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、30分かけて一定の速度でゆっくりと滴下した。滴下終了後、100℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶液を得た。得られたジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶液を70℃まで自然放冷した後、ヌッチェで濾過した。濾過物を水1000部にあけ、85℃で2時間撹拌後、ヌッチェで濾過し、濾液のpHが8以下になるまで水洗浄をくりかえした。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、下記の化合物(2)を62部得た。
[合成例2]
環流管を付けた2Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、tert−アミルアルコール500部、ナトリウム−tert−アミラート100部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。
一方で、2Lのガラス製フラスコに、tert−アミルアルコール500部、コハク酸ジイソプロピル50部、4−(4−クロロフェニル)ベンゾニトリル99部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加温した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、30分かけて一定の速度でゆっくりと滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶液を得た。得られたジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶液を70℃まで自然放冷した後、ヌッチェで濾過した。濾過物を水1000部にあけ、85℃で2時間撹拌後、ヌッチェで濾過し、濾液のpHが8以下になるまで水洗浄をくりかえした。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、下記の化合物(3)を69部得た。
[合成例3]
環流管を付けた2Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、tert−アミルアルコール500部、ナトリウム−tert−アミラート100部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。
一方で、2Lのガラス製フラスコに、tert−アミルアルコール500部、コハク酸ジイソプロピル50部、4−(4−ブロモフェニル)ベンゾニトリル120部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加温した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、30分かけて一定の速度でゆっくりと滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶液を得た。得られたジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶液を70℃まで自然放冷した後、ヌッチェで濾過した。濾過物を水1000部にあけ、85℃で2時間撹拌後、ヌッチェで濾過し、濾液のpHが8以下になるまで水洗浄をくりかえした。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、下記の化合物(4)を78部得た。
(実施例1)
(第1工程)
合成例1で合成した化合物(2)50部、ジメチルスルホキシド1500部とナトリウムメトキシドの28重量%メタノール溶液55部との混合溶媒中に溶解させ、110℃で1時間撹拌した。
(第2工程)
一方で、水2300部、氷2700部を混合した容器中に、激しく撹拌しながら、先ほどの顔料溶液を滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。得られた顔料懸濁液をヌッチェで濾過し、濾液のpHが7以上になるまで、水洗浄をくりかえした。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、赤色顔料組成物42部を得た。
(第3工程)
上記第2工程で作成した赤色顔料組成物30部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン6部、(メタ)アクリル酸ベンジル−(メタ)アクリル酸共重合体(不揮発分)4部、塩化ナトリウム400部、およびジエチレングリコール70部をステンレス製1Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で8時間混練した。つぎにこの混合物を2リットルの温水に投入し、30分間攪拌してスラリー状としヌッチェで濾過し、比電導度150μS/cm以下となるまで水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、カラーフィルタ用赤色顔料組成物35部を得た。
(評価工程)
第3工程にて得られた赤色顔料組成物2部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11部、DISPERBYK(商標名)LP N 21116(ビックケミー株式会社社製)2.3部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で2時間分散し、顔料分散体を得た。
得られた顔料分散体 1.3部、DIC(株)製アクリル樹脂溶液ユニディック(登録商標)ZL−295 3.7部を分散攪拌機(倉敷紡績(株)製 MAZERUSTAR)で攪拌し、カラーフィルタ赤色画素部を形成するための組成物を得た。その組成物をスピンコーターによりガラス基板上に塗布した。スピンコーターの回転数は800、900、1000、1100rpmとし、組成物の塗布膜厚の異なる4種のガラス板を作成した。こうして得られた、組成物が塗布された各ガラス板を90℃で3分間加熱し、カラーフィルタ用赤色画素部を得て、輝度、色度、コントラストを測定した。その後、このカラーフィルタ用赤色画素部をさらに230℃で1時間焼成し、輝度、色度、コントラストを測定した。
(実施例2)
実施例1の第3工程において、第2工程で作成した赤色顔料組成物30部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン6部、(メタ)アクリル酸ベンジル−(メタ)アクリル酸共重合体(不揮発分)4部、塩化ナトリウム400部、およびジエチレングリコール70部をステンレス製1Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で8時間混練した。つぎにこの混合物を2リットルの温水に投入し、30分間攪拌してスラリー状としヌッチェで濾過し、比電導度150μS/cm以下となるまで水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、赤色顔料組成物35部を得た。この赤色顔料組成物 18部とC.I.ピグメントレッド177 2部を十分に混合し、カラーフィルタ用赤色顔料組成物 19.5部を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例3)
実施例1の第3工程において、赤色顔料組成物34部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン2部、として、実施例1と同様の方法でカラーフィルタ用赤色顔料組成物を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例4)
実施例1の第3工程において、赤色顔料組成物28部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン8部、として、実施例1と同様の方法でカラーフィルタ用赤色顔料組成物を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例5)
実施例1の第3工程において、赤色顔料組成物36部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドンは添加なし、として、実施例1と同様の方法でカラーフィルタ用赤色顔料組成物を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例6)
実施例1の第1工程において、合成例1で合成した化合物(2)ではなく、合成例2で合成した化合物(3)として、実施例1と同様の方法でカラーフィルタ用赤色顔料組成物を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例7)
実施例6の第3工程において、第2工程で作成した赤色顔料組成物30部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン6部、(メタ)アクリル酸ベンジル−(メタ)アクリル酸共重合体(不揮発分)4部、塩化ナトリウム400部、およびジエチレングリコール70部をステンレス製1Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で8時間混練した。つぎにこの混合物を2リットルの温水に投入し、30分間攪拌してスラリー状としヌッチェで濾過し、比電導度150μS/cm以下となるまで水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、赤色顔料組成物35部を得た。この赤色顔料組成物 18部とC.I.ピグメントレッド254 2部を十分に混合し、カラーフィルタ用赤色顔料組成物 19.5部を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例8)
実施例1の第1工程において、合成例1で合成した化合物(2)ではなく、合成例3で合成した化合物(4)として、実施例1と同様の方法でカラーフィルタ用赤色顔料組成物を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
(実施例9)
実施例8の第3工程において、第2工程で作成した赤色顔料組成物30部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン6部、(メタ)アクリル酸ベンジル−(メタ)アクリル酸共重合体(不揮発分)4部、塩化ナトリウム400部、およびジエチレングリコール70部をステンレス製1Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で8時間混練した。つぎにこの混合物を2リットルの温水に投入し、30分間攪拌してスラリー状としヌッチェで濾過し、比電導度150μS/cm以下となるまで水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、赤色顔料組成物35部を得た。この赤色顔料組成物 13部とC.I.ピグメントレッド254 7部を十分に混合し、カラーフィルタ用赤色顔料組成物 19.5部を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
[比較例1]
実施例1の第1工程において、合成例1で合成した化合物(2)の代わりにC.I.ピグメントレッド254 50部として、実施例1と同様の方法でカラーフィルタ用赤色顔料組成物を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
[比較例2]
比較例1の第3工程において、第2工程で作成した赤色顔料組成物30部、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン6部、(メタ)アクリル酸ベンジル−(メタ)アクリル酸共重合体(不揮発分)4部、塩化ナトリウム400部、およびジエチレングリコール70部をステンレス製1Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で8時間混練した。つぎにこの混合物を2リットルの温水に投入し、30分間攪拌してスラリー状としヌッチェで濾過し、比電導度150μS/cm以下となるまで水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた。その後90℃で20時間乾燥、粉砕し、赤色顔料組成物35部を得た。この赤色顔料組成物 13部とC.I.ピグメントレッド177 7部を十分に混合し、カラーフィルタ用赤色顔料組成物 19.5部を製造した。その後の操作は実施例1と同様に行って、カラーフィルタを作成した。
実施例、比較例で作成したカラーフィルタの230℃焼成前後の輝度、色度y、コントラストの値を下表に記載した。
本発明の顔料組成物で作成したカラーフィルタは、C.I.ピグメントレッド254よりも色調が青味になり、目標とする色調に近づいた。また、表中の色度xyが同様の(実施例2)、(実施例7)、(実施例9)と(比較例2)で比較すると、230℃焼成前輝度、焼成後輝度どちらともハロゲン化ビフェニルジケトピロロピロールがC.I.ピグメントレッド254より高くなった。また、C.I.ピグメントレッド254より結晶性が低くなり粒子が微細化し、コントラストが高く、平均1次粒子径も微細となった。