以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザーダイシング装置の構成例を示した概略図である。図1に示すように、レーザーダイシング装置10は、ステージ12、レーザーヘッド20、制御部50等で構成されている。
ステージ12は、XYZθ方向に移動可能に構成され、ウェーハWを吸着保持する。ウェーハWは、図2に示すように、一方の面に粘着材を有するダイシングシートSが貼付され、このダイシングシートSを介してフレームFと一体化された状態でステージ12に載置される。
レーザーヘッド20は、ウェーハWの内部に改質領域を形成するための加工用レーザー光L1をウェーハWに対して照射する。
制御部50は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、レーザーダイシング装置10の各部の動作を制御する。
レーザーダイシング装置10はこの他に、図示しないウェーハ搬送手段、操作板、テレビモニタ、及び表示灯等から構成されている。
操作板には、レーザーダイシング装置10の各部の動作を操作するスイッチ類や表示装置が取り付けられている。テレビモニタは、図示しないCCDカメラで撮像したウェーハ画像の表示、又はプログラム内容や各種メッセージ等を表示する。表示灯は、レーザーダイシング装置10の加工中、加工終了、非常停止等の稼働状況を表示する。
次に、レーザーヘッド20の詳細構成について説明する。
図1に示すように、レーザーヘッド20は、加工用レーザー光源100、コリメートレンズ102、ダイクロイックミラー104、集光レンズ106、AF装置(オートフォーカス装置)200等で構成されている。
加工用レーザー光源100は、ウェーハWの内部に改質領域を形成するための加工用レーザー光L1を出射する。例えば、加工用レーザー光源100は、パルス幅が1μs以下であって、集光点におけるピークパワー密度が1×108(W/cm2)以上となるレーザー光を出射する。
加工用レーザー光L1の第1光路上には、加工用レーザー光源100側から順に、コリメートレンズ102、ダイクロイックミラー104、集光レンズ106が配置される。ダイクロイックミラー104は、加工用レーザー光L1を透過し、かつ後述するAF装置200から出射されるAF用レーザー光L2を反射する。なお、AF用レーザー光L2の第2光路は、ダイクロイックミラー104により加工用レーザー光L1の第1光路と一部光路を共有するように屈曲され、その共有光路上に集光レンズ106が配置される。
加工用レーザー光源100から出射された加工用レーザー光L1は、コリメートレンズ102でコリメートされ、ダイクロイックミラー104を透過した後、集光レンズ106によりウェーハWの内部に集光される。加工用レーザー光L1の集光点のZ方向位置(ウェーハ厚み方向位置)は、第1アクチュエータ108によって集光レンズ106をZ方向(加工用レーザー光L1の光軸方向)に微小移動させることにより調節される。第1アクチュエータ108は、集光レンズ駆動手段の一例である。なお、詳細は後述するが、第1アクチュエータ108は、集光レンズ106とウェーハWの表面との距離が一定となるように、制御部50によって駆動が制御される。
図3は、ウェーハ内部の集光点近傍に形成される改質領域を説明する概念図である。図3(a)は、ウェーハWの内部に入射された加工用レーザー光L1が集光点に改質領域Pを形成した状態を示し、図3(b)は断続するパルス状の加工用レーザー光L1の下でウェーハWが水平方向に移動され、不連続な改質領域P、P、…が並んで形成された状態を表している。図3(c)は、ウェーハWの内部に改質領域Pが多層に形成された状態を示している。
図3(a)に示すように、ウェーハWの表面から入射した加工用レーザー光L1の集光点がウェーハWの厚さ方向の内部に設定されていると、ウェーハWの表面を透過した加工用レーザー光L1は、ウェーハWの内部の集光点でエネルギーが集中し、ウェーハWの内部の集光点近傍に多光子吸収によるクラック領域、溶融領域、屈折率変化領域等の改質領域が形成される。図3(b)に示すように、断続するパルス状の加工用レーザー光L1をウェーハWに照射して複数の改質領域P、P、…をダイシングストリートに沿って形成することで、ウェーハWは分子間力のバランスが崩れ、改質領域P、P、…を起点として自然に割断するか、或いは僅かな外力を加えることによって割断される。
また、厚さの厚いウェーハWの場合は、改質領域Pの層が1層では割断できないので、図3(c)に示すように、ウェーハWの厚さ方向に加工用レーザー光L1の集光点を移動し、改質領域Pを多層に形成させて割断する。
なお、図3(b)、(c)に示した例では、断続するパルス状の加工用レーザー光L1で不連続な改質領域P、P、…を形成した状態を示したが、加工用レーザー光L1の連続波の下で連続的な改質領域Pを形成するようにしてもよい。不連続の改質領域Pを形成した場合は、連続した改質領域Pを形成した場合に比べて割断され難いので、ウェーハWの厚さや搬送中の安全等の状況によって、加工用レーザー光L1の連続波を用いるか、断続波を用いるかが適宜選択される。
AF装置200は、AF用レーザー光(検出用レーザー光)L2をウェーハWに対して照射し、ウェーハWの表面で反射したAF用レーザー光L2の反射光を受光し、その受光した反射光に基づいて、ウェーハWの表面の高さ位置(Z方向位置)を検出する。AF装置200は、高さ位置検出手段の一例である。
AF装置200は、AF用光源(検出用レーザー光源)202、コリメートレンズ204、ナイフエッジ205、フォーカス光学系206、4f光学系214、ハーフミラー220、結像レンズ236、検出器238、AF信号処理部250等で構成されている。
AF用光源202は、例えばLD(Laser Diode)光源やSLD(Super Luminescent Diode)光源等からなり、加工用レーザー光L1とは異なる波長であってウェーハWの表面で反射可能な波長を有するAF用レーザー光L2を出射する。
AF用光源202から出射されたAF用レーザー光L2は、コリメートレンズ204でコリメートされ、ナイフエッジ205によってその一部が遮光される。そして、ナイフエッジ205によって遮光されることなく進行した光は、フォーカス光学系206を経由して、ハーフミラー220にて反射される。そして、4f光学系214を経由し、ダイクロイックミラー104で反射され、集光レンズ106により集光されてウェーハWに照射される。
ウェーハWの表面で反射したAF用レーザー光L2の反射光は、集光レンズ106により屈折され、ダイクロイックミラー104で反射され、4f光学系214を経由し、ハーフミラー220を透過する。更に、この反射光は、結像レンズ236により集光され、検出器238上に照射され、検出器238の受光面に集光像を形成する。
なお、AF用光源から出射されたAF用レーザー光L2を集光レンズ106に導くための経路をAF用レーザー光照射経路242(検出用レーザー光照射経路に相当)とする。また、ウェーハWの表面で反射したAF用レーザー光L2の反射光を検出器238に導くための経路をAF用レーザー光反射経路244(検出用レーザー光反射経路に相当)とする。
検出器238は、2分割された受光素子(光電変換素子)を有する2分割フォトダイオードからなり、AF用レーザー光L2の反射光の集光像を分割して受光し、それぞれの光量に応じた出力信号(電気信号)をAF信号処理部250に出力する。
AF信号処理部250は、検出器238の各受光素子から出力された出力信号に基づいて、ウェーハWの表面の基準位置からのZ方向の変位(デフォーカス距離)を示す変位信号(検出信号)としてのAF信号(オートフォーカス信号)を生成して制御部50に出力する。なお、AF信号処理部250は、変位信号生成手段の一例である。
ここで、ウェーハWの表面の変位の検出原理について説明する。
図4は、検出器238を構成する2分割フォトダイオード240の受光面に形成される集光像の様子を示した図である。なお、図4(a)〜(c)は、図5においてウェーハWの表面がそれぞれh1、h2、h3で示す位置にあるときに、2分割フォトダイオード240の受光面に形成される集光像の様子を示している。
まず、ウェーハWの表面がh2の位置にある場合、すなわち、ウェーハWの表面とAF用レーザー光L2の集光点とが一致している場合、図4(b)に示すように、2分割フォトダイオード240の受光面には真ん中にシャープな像(真円)が形成される。このとき、2分割フォトダイオード240の受光素子240A、240Bで受光される光量は共に等しくなり、ウェーハWの表面は合焦位置にあることが分かる。
一方、ウェーハWの表面がh1の位置にある場合、すなわち、ウェーハWの表面がAF用レーザー光L2の集光点よりも集光レンズ106に近い位置にある場合、図4(a)に示すように、2分割フォトダイオード240の受光面には、受光素子240A側に半円状の集光像が形成され、その大きさ(ぼけ量)はウェーハWと集光レンズ106との距離に応じて変化する。
また、ウェーハWの表面がh3の位置にある場合、すなわち、ウェーハWの表面がAF用レーザー光L2の集光点よりも集光レンズ106から遠い位置にある場合、図4(c)に示すように、2分割フォトダイオード240の受光面には、受光素子240B側に半円状の集光像が形成され、その大きさ(ぼけ量)はウェーハWと集光レンズ106との距離に応じて変化する。
このように、2分割フォトダイオード240の受光素子240A、240Bで受光される光量は、ウェーハWの表面の変位に応じて変化する。したがって、このような性質を利用してウェーハWの表面の変位を検出することができる。
AF信号処理部250では、2分割フォトダイオード240の受光素子240A、240Bから出力された出力信号をそれぞれA、Bとしたとき、AF信号Eを、次式(1)に従って求める。
E=(A−B)/(A+B) ・・・(1)
図6は、AF信号の出力特性を示したグラフであり、横軸はウェーハWの表面の基準位置からZ方向(ウェーハ厚み方向)の変位(デフォーカス距離)を示し、縦軸はAF信号の出力値を示している。なお、ウェーハWの表面の基準位置(原点)にAF用レーザー光L2の集光点が一致するように予め調整されているものとする。
図6に示すように、AF信号の出力特性は、ウェーハWの表面の基準位置(原点)をゼロクロス点としたS字状の曲線となる。また、ウェーハWの表面の位置が、図中に矢印で示した範囲、すなわち、ウェーハWの表面の変位を検出可能な測定範囲(引き込み範囲)内にあるとき、ウェーハWの表面の変位とAF信号の出力との関係は、原点を通る単調増加曲線(又は単調減少曲線)となり、その大部分で略直線的な変化を示している。つまり、AF信号の出力がゼロであれば、ウェーハWの表面がAF用レーザー光L2の集光点と一致する合焦位置にあることが分かり、AF信号の出力がゼロでなければ、ウェーハWの表面の変位方向及び変位量を知ることができる。
このような出力特性を有するAF信号は、ウェーハWの表面の基準位置からZ方向の変位を示すウェーハ変位情報としてAF信号処理部250で生成され、制御部50に出力される。
制御部50は、AF信号処理部250から出力されたAF信号に基づいて、集光レンズ106とウェーハWの表面との距離が一定となるように、第1アクチュエータ108の駆動を制御する。これにより、ウェーハWの表面の変位に追従するように集光レンズ106がZ方向(ウェーハ厚み方向)に微小移動され、ウェーハWの表面から一定の距離(深さ)に加工用レーザー光L1の集光点が位置するようになるので、ウェーハWの内部の所望の位置に改質領域を形成することができる。なお、制御部50は、制御手段の一例である。
ところで、本実施形態のように、加工用レーザー光L1の第1光路とAF用レーザー光L2の第2光路との共有光路上に集光レンズ106が配置される構成においては、改質領域の加工深さを変えるために集光レンズ106とウェーハWとの相対的な距離が変化すると、加工用レーザー光L1の集光点とともにAF用レーザー光L2の集光点もウェーハWに対するZ方向位置が変化する。
例えば、図7(a)に示すように、ウェーハWの表面から浅い位置に改質領域を形成する場合において、ウェーハWの表面にAF用レーザー光L2の集光点が一致していたとする。このような場合、図7(b)に示すように、ウェーハWの表面から深い位置に改質領域を形成するために、集光レンズ106とウェーハWとの相対的な距離を変化させると、AF用レーザー光L2の集光点がウェーハWの表面からZ方向(ウェーハ厚み方向)に大きくずれてしまう。そして、AF用レーザー光L2の集光点とウェーハWの表面との距離が測定範囲(引き込み範囲)を超えてしまうと、ウェーハWの表面の変位を検出することができなくなってしまう。特に、集光レンズ106は高NAレンズが用いられるため、ウェーハWの表面の変位を検出可能な測定範囲がAF用レーザー光L2の集光点(合焦位置)の近傍に限られるため、上記問題はより顕著なものとなる。
そこで、本実施形態のAF装置200は、加工用レーザー光L1の集光点とは独立してAF用レーザー光L2の集光点をZ方向(ウェーハ厚み方向)に調整するフォーカス光学系206を備えている。フォーカス光学系206は、集光点調整光学系の一例である。
フォーカス光学系206は、AF用レーザー光L2の第2光路上であって加工用レーザー光L1の第1光路との共有光路とは独立した位置に配置される。具体的には、AF用レーザー光照射経路242においてコリメートレンズ204とハーフミラー220との間に配設される。
フォーカス光学系206は、少なくとも第2光路(AF用レーザー光照射経路242)に沿って移動可能に構成された移動レンズを含む複数のレンズからなり、本例では、被写体側(ウェーハW側)から順に、第2光路に沿って移動不能に設けられた固定レンズ(正レンズ)208と、第2光路に沿って移動可能に設けられた移動レンズ(負レンズ)210とから構成される。
第2アクチュエータ212は、移動レンズ210を第2光路に沿って移動させる。移動レンズ210が第2光路に沿って移動すると、加工用レーザー光L1の集光点のZ方向位置は固定された状態で、移動レンズ210の移動方向及び移動量に応じてAF用レーザー光L2の集光点のZ方向位置が変化する。すなわち、加工用レーザー光L1の集光点とAF用レーザー光L2の集光点との相対的な距離が変化する。
制御部50は、AF信号処理部250から出力されるAF信号に基づいて、AF用レーザー光L2の集光点がウェーハWの表面に一致するように(具体的には、AF信号の出力がゼロとなるように)、第2アクチュエータ212の駆動を制御する。
これにより、図7(a)に示した状態から図7(b)に示した状態のように、改質領域の加工深さを変化させるために集光レンズ106とウェーハWとの相対的な距離が変化する場合においても、上記のようにフォーカス光学系206の移動レンズ210を第2光路に沿って移動させることにより、図7(c)に示した状態のように、加工用レーザー光L1の集光点のZ方向位置を固定した状態で、AF用レーザー光L2の集光点をウェーハWの表面に一致させることが可能となる。
したがって、改質領域の加工深さが変化する場合においても、加工用レーザー光L1の集光点とAF用レーザー光L2の集光点との間隔を調整することができるので、AF用レーザー光L2の集光点をウェーハWの表面に一致させることができ、ウェーハWの表面で反射されたAF用レーザー光L2の反射光の単位面積あたりの光量が低下することなく、ウェーハWのZ方向位置(高さ位置)を正確に検出することが可能となる。
また、本実施形態では、図1に示すように、フォーカス光学系206と集光レンズ106との間には4f光学系214が配置される。4f光学系214は、第1リレーレンズ216と第2リレーレンズ218とから構成されており、第1リレーレンズ216と集光レンズ106との距離が第1リレーレンズ216の焦点距離f1と等しい位置に配され、第2リレーレンズ218とフォーカス光学系206との距離が第2リレーレンズ218の焦点距離f2と等しい位置に配され、第1リレーレンズ216と第2リレーレンズ218との距離がこれらの焦点距離の和(f1+f2)に等しい位置に配される。
このような構成によれば、集光レンズ106の射出瞳と共役な面を集光レンズ106から物理的に離れた位置に配置することが可能となるので、集光レンズ106とフォーカス光学系206との光学的距離を所望の範囲に容易に設定することが可能となる。
次に、本実施形態のレーザーダイシング装置10を用いたダイシング方法について説明する。図8は、本実施形態のレーザーダイシング装置10を用いたダイシング方法の流れを示したフローチャートである。
図8に示すように、レーザーダイシング装置10は、後述するリアルタイム加工動作に先立って、AF信号の出力特性を測定するキャリブレーション動作を実行する(ステップS10)。
キャリブレーション動作が完了した後、レーザーダイシング装置10は、ウェーハWの表面の変位に追従するように加工用レーザー光L1の集光点のZ方向位置を調整しながらウェーハWの内部に改質領域を形成するリアルタイム加工動作を実行する(ステップS12)。
図9は、図8に示すキャリブレーション動作の詳細な流れを示したフローチャートである。
まず、制御部50は、第2アクチュエータ212の駆動を制御して、フォーカス光学系206の移動レンズ210を改質領域の加工深さに応じた位置に移動させる(ステップS20)。なお、制御部50のメモリ部(不図示)には、改質領域の加工深さとフォーカス光学系206の移動レンズ210の位置との対応関係が保持されている。
続いて、制御部50は、ステージ12の移動を制御して、ウェーハWの表面の基準位置を集光レンズ106の直下に移動させる(ステップS22)。なお、ウェーハWの表面の基準位置は、AF用レーザー光L2の集光点を一致させる位置であって、ウェーハWの表面のZ方向の変位の基準となる位置なので、ウェーハWの表面の段差が少ない部分(平滑面)であることが望ましく、例えば、ウェーハWの外周部を除く中央部分の所定位置を基準位置とする。
続いて、制御部50は、第2アクチュエータ212の駆動を制御して、AF信号処理部250から出力されるAF信号がゼロとなるように、フォーカス光学系206の移動レンズ210を第2光路に沿って移動させる(ステップS24)。これにより、図7(b)に示すように、AF用レーザー光L2の集光点とウェーハWの表面の基準位置とにずれがある場合でも、図7(c)に示すように、AF用レーザー光L2の集光点がウェーハWの表面の基準位置と一致するように集光点調整が行われる。なお、制御部50は、メモリ部(不図示)に保持されているフォーカス光学系206の移動レンズ210の位置を、集光点調整後の移動レンズ210の位置(補正位置)に書き換える。
続いて、制御部50は、第1アクチュエータ108の駆動を制御して、集光レンズ106をZ方向に沿って移動可能範囲の全体にわたって移動させながらAF信号処理部250から出力されるAF信号の出力特性を測定して、その出力特性をルックアップテーブルとしてメモリ部(不図示)に保持しておく(ステップS26)。
なお、ウェーハWの内部に改質領域の層を複数形成する場合には、ステップS20からステップS26までの処理を改質領域の加工深さ毎に実行する。
以上の処理により、制御部50は、図8のステップS12のリアルタイム加工動作において、メモリ部(不図示)に保持されたルックアップテーブルを参照することにより、AF信号処理部250から出力されるAF信号の出力値からウェーハWの表面の基準位置からのZ方向の変位(デフォーカス距離)を簡単に求めることができるので、リアルタイム加工動作における加工効率(スループット)を向上させることが可能となる。
図10は、図8に示すリアルタイム加工動作の詳細な流れを示したフローチャートである。
まず、制御部50は、図9のステップS20と同様に、第2アクチュエータ212の駆動を制御して、フォーカス光学系206の移動レンズ210を改質領域の加工深さに応じた位置に移動させる(ステップS30)。このとき、制御部50は、メモリ部(不図示)に保持されている移動レンズ210の位置(補正位置)に移動させる。これにより、AF用レーザー光L2の集光点がウェーハWの表面の基準位置と一致し、AF装置200は、ウェーハWの表面の基準位置を基準としたZ方向の変位を検出することが可能となる。
続いて、制御部50は、ステージ12の移動を制御して、ステージ12に吸着保持されたウェーハWを所定の加工開始位置に移動させる(ステップS32)。
続いて、制御部50は、加工用レーザー光源100をONとした後、ウェーハWを水平方向(XY方向)に移動させながら、加工用レーザー光源100から出射された加工用レーザー光L1により、ダイシングストリートに沿ってウェーハWの内部に改質領域を形成する(ステップS34)。
このとき、制御部50は、加工用レーザー光源100をONにするタイミングと略同時、或いはそれよりも先のタイミングで、AF用光源202をONとする。これにより、加工用レーザー光L1とAF用レーザー光L2が集光レンズ106によりウェーハWに向かって集光される。AF用光源202から出射されたAF用レーザー光L2はウェーハWの表面で反射され、その反射光は検出器238の受光面に集光像を形成する。AF信号処理部250は、検出器238から出力された出力信号に基づいて、ウェーハWの表面の基準位置からのZ方向の変位を示すAF信号を生成して制御部50に出力する。
そして、制御部50は、AF信号処理部250から出力されるAF信号に基づいて、第1アクチュエータ108の駆動を制御することによって、加工用レーザー光L1の集光点のZ方向位置を調整しながら、ウェーハWの内部に改質領域を形成する。
続いて、制御部50は、ウェーハWの全てのダイシングストリートに対して改質領域の形成が終了しているか否かを判断する(ステップS36)。全てのダイシングストリートに対して改質領域の形成が終了していない場合(Noの場合)、次のダイシングストリートに移動し(ステップS38)、そのダイシングストリートについてステップS34からステップS36までの処理を繰り返す。一方、全てのダイシングストリートに対して改質領域の形成が終了した場合(Yesの場合)、次のステップS40に進む。
続いて、制御部50は、全ての加工深さについて改質領域の形成が終了しているか否かを判断する(ステップS40)。全ての加工深さについて改質領域の形成が終了していない場合には、次の加工深さに移動し(ステップS42)、ステップS30からステップS40までの処理を繰り返す。一方、全ての加工深さについて改質領域の形成が終了した場合には、リアルタイム加工動作を終了する。
このようにして、ウェーハの内部の所望の位置に改質領域を形成することにより、改質領域を起点としてウェーハWを複数のチップに分割することが可能となる。
ところで、本発明者が鋭意検討したところによれば、加工深さによらず安定したオートフォーカス特性(AF特性)を得る上で、集光レンズ106の射出瞳とフォーカス光学系206との光学的距離D0、集光レンズ106により集光されウェーハWの表面に照射されるAF用レーザー光L2の集光像の直径(スポット径)Nが重要なパラメータであることを見出した。具体的には、光学的距離D0を50mm未満(すなわち、D0<50)とすることで、加工深さによらず安定したAF特性を得ることができる。また、スポット径Nを0.002mmより大きく、かつ0.3mmより小さく(すなわち、0.02<N<0.3)することで、AF感度が高く、引き込み範囲を広くすることが可能となる。
ここで、上述した本実施形態のレーザーダイシング装置10と実質的に等価なモデルを用いてシミュレーションを行い、加工深さ毎のAF特性の変化について評価した結果について図11〜図14を参照して説明する。
図11〜図14は、光学的距離D0とスポット径Nをそれぞれ所定値に設定したときの加工深さ毎のAF信号の出力特性を示したものである。なお、D0、Nの単位はmmとする(以下、同様とする)。
図11は、D0=0、N=0.01とした場合のAF信号の出力特性である。この場合、図11に示すように、加工深さ毎のAF信号の出力特性のカーブは略揃ったものとなり、折り返し現象も見られない。
図12は、D0=50、N=0.01とした場合のAF信号の出力特性である。この場合、図12に示すように、折り返し現象は見られないが、加工深さ毎のAF信号の出力特性の変化が大きくなっている。また、加工深さが大きくなると感度が低下しており、適用範囲が限定的になる。
図13は、D0=0、N=0.002とした場合のAF信号の出力特性である。この場合、図13に示すように、加工深さ毎のAF信号の出力特性のカーブは略揃ったものとなるが、引き込み範囲が狭くなっている。
図14は、D0=0、N=0.3とした場合のAF信号の出力特性である。この場合、図14に示すように、各加工深さにおけるAF感度が全体的に低下している。
これらの結果から分かるように、集光レンズ106の射出瞳とフォーカス光学系206との光学的距離D0と、集光レンズ106によるAF用レーザー光L2の集光像の直径(スポット径)Nとを上述した所望の範囲に設定することにより、AF感度が高く、引き込み範囲を広く、加工深さによらず安定したAF特性を得ることが可能となる。
以上のとおり、本実施形態によれば、AF用レーザー光L2の集光点のZ方向(ウェーハ厚み方向)に調整する集光点調整光学系としてフォーカス光学系206がAF用レーザー光照射経路242上に配置される。これにより、加工用レーザー光L1の集光点とAF用レーザー光L2の集光点との相対的な距離を調整することができる。また、集光レンズ106の射出瞳とフォーカス光学系206との光学的距離D0や、集光レンズ106によるAF用レーザー光L2の集光像の直径(スポット径)Nを所望の範囲に設定することにより、AF感度が高く、引き込み範囲が広く、加工深さによらず安定したAF特性を得ることが可能となる。したがって、改質領域の加工深さによらず、ウェーハWの表面の高さ位置を迅速にかつ精度よく安定して検出することができる。その結果、ウェーハWの表面にばらつきがあっても、ウェーハWの表面から所定の加工深さに改質領域を精度よく形成することが可能となる。
また、本実施形態では、ナイフエッジ法を用いてウェーハWの表面の変位を検出しているので、上述した特許文献1に開示される方法(AF用レーザー光の反射光を2つの検出器に分配し、一方の検出器では反射光の全体を受光し、他方の検出器では反射光の一部を受光する方法)に比べて、検出光(AF用レーザー光L2の反射光)を効率良く利用することができ、ウェーハWの表面の高さ位置を安定かつ精度よく検出することが可能となる。
なお、本実施形態では、AF用レーザー光L2の反射光を受光する手段としての検出器238が2分割フォトダイオードで構成される例を示したが、これに限らず、光量バランスを測定できるもの(例えば、4分割フォトダイオード、2次元撮像素子等)を用いてもよい。
また、本実施形態では、ウェーハWの表面の変位を検出する方法としてナイフエッジ法を用いたが、これに限らず、例えば、非点収差法等を用いることも可能である。
図15は、レーザーダイシング装置10の他の構成例を示した概略図である。なお、図15において、図1と共通又は類似する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図15に示す構成例では、AF装置200は、非点収差法を用いてウェーハWの表面の変位を検出するものである。AF装置200は、図1に示したナイフエッジ205に代えて、AF用レーザー光反射経路244上であって結像レンズ236と検出器238との間に、AF用レーザー光L2の反射光に非点収差を付与する非点収差付与手段としてシリンドリカルレンズ246が配置される。また、検出器238は、4分割フォトダイオードによって構成される。
非点収差法によるウェーハWの表面の変位の検出原理については公知であるため(例えば特開2009−152288号公報参照)、ここでは詳細な説明は省略するが、簡単に説明すれば、検出器238を構成する4分割フォトダイオードの受光面上に形成されるAF用レーザー光L2の反射光の集光像は、ウェーハWの表面とAF用レーザー光L2の集光点が一致している場合には真円となる。一方、ウェーハWの表面とAF用レーザー光L2の集光点がずれている場合には、ウェーハWの表面の変位方向に応じて集光像が縦方向又は横方向に引き伸ばされた楕円となり、その大きさはウェーハWの表面の変位量に依存する。したがって、この性質を利用することで、ウェーハWの表面の変位を検出することができる。
図16は、4分割フォトダイオードの受光面を示した図である。同図に示すように、4分割フォトダイオード248は、4つの受光素子(光電変換素子)248A〜248Dを有し、各受光素子248A〜248Dは、AF用レーザー光L2の反射光の集光像を分割して受光し、それぞれの光量に応じた出力信号(電気信号)をAF信号処理部250に出力する。
AF信号処理部250では、各受光素子248A〜248Dからそれぞれ出力される出力信号をA〜Dとしたとき、AF信号Eを、次式(2)に従って求める。
E={(A+C)−(B+D)}/{(A+C)+(B+D)} ・・・(2)
制御部50は、AF信号処理部250から出力されるAF信号に基づいて、上述した実施形態と同様に、第1アクチュエータ108や第2アクチュエータ212の駆動を制御することにより、改質領域の加工深さに対する変更に影響を受けることなく、ウェーハWの表面の変位を追従するように加工用レーザー光L1の集光点を高精度に制御することができ、ウェーハWの内部の所望の位置に改質領域を高精度に形成することが可能となる。
なお、検出器238は、4分割フォトダイオードに限らず、光量バランスを測定できるものであればよく、例えば、2次元撮像素子等を用いてもよい。
ここで、ウェーハWの表面の変位を検出する方法として非点収差法を用いた場合の加工深さ毎のAF特性について評価した結果について図17〜図19を参照して説明する。なお、この評価では、図15に示した構成例と実質的に等価なモデルを用いてシミュレーションを行ったものである。なお、集光レンズ106の射出瞳と結像レンズ236との光学的距離をD1とし、その単位はmmとする。
図17〜図19は、光学的距離D0、D1をそれぞれ所定値に設定したときの加工深さ毎のAF信号の出力特性を示したものである。
図17は、D0=0、D1=0とした場合であり、加工深さ毎のAF信号の出力特性のカーブは略一致したものとなる。
図18は、D0=0、D1=50とした場合であり、デフォーカス距離が0.013付近で折り返しが発生しており、図16に示した場合に比べて引き込み範囲が狭くなっている。
図19は、D0=30、D1=0とした場合であり、加工深さ毎のAF信号の出力特性のカーブにばらつきがでてきている。
これらの結果から分かるように、非点収差法を用いてウェーハWの表面の変位を検出する場合には、D0、D1はそれぞれ50mm未満であることが好ましい。このような範囲に設定することで、AF感度が高く、引き込み範囲を広く、加工深さによらず安定したAF特性を得ることが可能となる。したがって、改質領域の加工深さによらず、ウェーハWの表面の高さ位置を迅速にかつ精度よく安定して検出することができる。その結果、ウェーハWの表面にばらつきがあっても、ウェーハWの表面から所定の加工深さに改質領域を精度よく形成することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。