上記従来技術のように,吸収性物品に立体ギャザーとレッグギャザーを形成することは,尿漏れの防止やフィット性の向上という観点において有効である。また,吸収性物品の製造効率を考えると,サイドシートによって立体ギャザーとレッグギャザーの両方を形成することが好ましいともいえる。しかしながら,液不透過性のサイドシートによって,立体ギャザーだけでなくレッグギャザーをも形成した場合,このサイドシートが着用者の脚部に直接触れることとなる。このサイドシートは,液不透過性のシート部材であることから,例えば液透過性のトップシートなどと比較し,多少肌触りが硬く,また通気性が低いものとなっている。このようなサイドシートによってレッグギャザーを形成すると,サイドシートが長時間着用者の肌に直接触れることとなるため,着用者の脚周り部分に蒸れが発生して,吸収性物品の着用感を損なうおそれがあった。
また,サイドシートによって,レッグギャザーを形成するための弾性伸縮部材を挟み込んで固定するような場合,このサイドシートの間に尿など液体が侵入することもある。しかし,サイドシートは液不透過性のシート部材であるため,サイドシートの間に侵入した液体が乾燥しにくく,この液体がサイドシートの間に長時間溜まったままになるというおそれがあった。レッグギャザーを形成するサイドシートに液体が残留すると,着用者に対して不快感を与えるおそれがある。
そこで,本発明は,立体ギャザーとレッグギャザーの両方を備える吸収性物品において,レッグギャザーの肌触りや,通気性,液体の吸収性を向上させることを目的としている。
本発明の発明者は,上記問題の解決手段について鋭意検討した結果,液不透過性のサイドシートによって立体ギャザーを形成しつつ,液透過性のトップシートをこのサイドシートよりも幅広に延出させて,その延出部によってレッグギャザーを形成することとした。液透過性のトップシートは,吸収体の肌対向面側に位置するものであり,肌触りや,通気性,液体の吸収性に優れたシート部材である。このため,このトップシートによってレッグギャザーを形成することで,レッグギャザーの各種性能を高めて,吸収性物品の着用感を向上させることができる。また,尿などの液体に直接触れやすい立体ギャザーについては,従来と同様に液不透過性のサイドシートによって形成することで,吸収性物品の尿漏れ防止効果を維持することができる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の問題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
本発明は,使い捨ておむつなどの吸収性物品に関する。
本発明の吸収性物品は,吸収体10と,トップシート20と,バックシート30と,一対のサイドシート40とを,備える。吸収体10は,尿などの液体を吸収して保持するための吸収性材料で構成されている。トップシート20は,吸収体10の肌対向面側に配置された液透過性のシート部材である。バックシート30は,吸収体10の肌非対向面側に配置された液不透過性のシート部材である。サイドシート40は,トップシート20の肌対向面側の左右両側に配置された左右一対の液不透過性のシート部材である。
サイドシート40は,接合線41と,接合領域42と,起立領域43とに区分されている。接合線41は,吸収性物品の長手方向に沿って延びている。また,接合領域42は,この接合線41よりも幅方向の外側において,トップシート20の肌対向面に接合された領域である。また,起立領域43は,接合線41よりも幅方向の内側の領域である。この起立領域43の少なくとも一部は,トップシート20に接合されていない自由部分43aを形成している。さらに,この自由部分43aには,長手方向に沿った伸長状態で一又は複数の立体ギャザー伸縮部材50が固定されている。
トップシート20は,サイドシート40の接合領域42よりも幅方向の外側に向かって幅広に延出した延出部21を有している。そして,このトップシート20の延出部21には,長手方向に沿った伸長状態で一又は複数のレッグギャザー伸縮部材60が固定されている。
上記構成のように,本発明では,トップシート20の肌対向面側にサイドシート40を配置して,このサイドシート40に立体ギャザー伸縮部材50を取り付けることにより,立体ギャザーを形成する。液不透過性のサイドシート40によって立体ギャザーを形成することで,尿漏れを効果的に防止できる。他方で,トップシート20をサイドシート40よりも幅広に延出させ,その延出部21にレッグギャザー伸縮部材60を取り付けることにより,レッグギャザーを形成する。トップシート20は,液透過性の部材であるため,サイドシート40と比較して,肌触りや,通気性,液体の吸収性に優れたシート部材であるといえる。従って,トップシート20によってレッグギャザーを形成することで,レッグギャザーが着用者の脚部に長時間触れた場合であっても,この脚部周りに蒸れが生じることを防止できる。さらに,レッグギャザーを形成するトップシート20に液体が侵入した場合でも,この液体は長時間留まることはなく,比較的早く乾燥することとなる。従って,本発明によれば,着用者に与える不快感を低減させ,吸収性物品の着用感を向上させることができる。
本発明の吸収性物品において,トップシート20の延出部21は,折り返されることによって2層以上に重なっていることが好ましい。この場合に,レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の延出部21が折り重なった領域に配置されていることが好ましい。
上記構成のように,トップシート20の延出部21が折り重なった領域にレッグギャザー伸縮部材60を配置することで,複数層のトップシート20によってレッグギャザーを形成することができる。これにより,レッグギャザーの肌触りや液体の吸収性をさらに向上させることができる。
本発明の吸収性物品において,折り返されたトップシート20の延出部21は,肌対向面側に位置する上層22と肌非対向面側に位置する下層23とを有する。この場合に,延出部21の上層22と下層23との間に,バックシート30の一部が介在することとしてもよい。
上記構成のように,トップシート20の延出部21によってバックシート30を挟み込むことで,レッグギャザーを,液透過性のシートの間に液不透過性のシートが位置する構造とすることができる。このように,レッグギャザーの表面を液透過性のシート(トップシート20)が覆っていることで,肌触りや液体の吸収性が向上する。他方,レッグギャザーの内部に液不透過性のシート(バックシート30)が設けられていることで,レッグギャザーの漏れ防止効果を高めることができる。
本発明の吸収性物品において,折り返されたトップシート20の延出部21は,さらに,上層22と下層23の間に位置する中層24を有していてもよい。この場合に,上層22と中層24の間にバックシート30の一部を介在させることができる。
上記構成のように,レッグギャザーを,トップシート20の上層22,下層23,中層24,及びバックシート30の4層構造とすることで,レッグギャザーの厚みを持たせることができる。これにより,レッグギャザーのクッション性が高まり,着用者の脚部に対して圧迫感を与えることを防止できる。また,レッグギャザーを4層構造とすることで,レッグギャザー伸縮部材60の硬さが,着用者の肌に伝わりにくくなる。
本発明の吸収性物品において,トップシート20の延出部21は,肌対向面側に位置する上層22と肌非対向面側に位置する下層23とを有し,この下層23が,バックシート30の肌対向面に接合されている構造としてもよい。
上記構成のように,バックシート30の肌対向面側において,トップシート20の延出部21を折り重ねることで,着用者の肌に接触するトップシート20のクッション性が向上する。これにより,レッグギャザーの肌触りが良化される。また,トップシート20の延出部21を折り重ねることで液体の吸収性が向上するため,脚周りの開口部から尿などの液体が漏れ出すことを防止できる。さらに,トップシート20は吸収した液体が素早く乾燥するものであるため,レッグギャザーの内部に液体が残留することを効果的に防止できる。
本発明の吸収性物品において,バックシート30の肌対向面側において折り重ねられたトップシート20の延出部21は,さらに,上層22と下層23の間に位置する中層24を有することとしてもよい。
上記構成のように,バックシート30の肌対向面側において,トップシート20の延出部21を3層以上に折り重ねるこことで,レッグギャザーのクッション性や液体の吸収性をさらに向上させることができる。
本発明の吸収性物品において,レッグギャザー伸縮部材60は,サイドシート40の接合領域42よりも幅方向外側の領域に配置されていることが好ましい。
上記構成のように,液不透過性のサイドシート40と重ならない領域にレッグギャザー伸縮部材60を配置することで,液不透過性のサイドシート40ではなく,液透過性のトップシート10が着用者の肌に直接触れるようにレッグギャザーを形成できる。
本発明によれば,立体ギャザーとレッグギャザーの両方を備える吸収性物品において,レッグギャザーの肌触りや,通気性,液体の吸収性を向上させることができる。これにより,着用感に優れた吸収性物品を提供することができる。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
本願明細書において,「長手方向」とは,吸収性物品の前身頃と後身頃とを結ぶ方向を意味する。また,「幅方向」とは,長手方向に平面的に直交する方向を意味する。本願の図において,「長手方向」はY軸で示され,「幅方向」はX軸で示されている。
本願明細書において,「肌対向面」とは,吸収性物品の着用時において,着用者の肌に向かい合う面を意味する。また,「肌非対向面」とは,吸収性物品の着用時において,着用者の肌に向かい合わない面,すなわち肌対向面の反対側の面を意味する。
本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
図1は,本発明に係る吸収性物品の一例を示している。図1に示された例において,吸収性物品は,テープ型の使い捨ておむつである。図1に示されるように,テープ型の使い捨ておむつは,後身頃の両側部に取り付けられたファスニングテープを前身頃に止め付けることにより装着されるタイプの使い捨ておむつである。以下では,テープ型の使い捨ておむつを例に挙げて,本発明の吸収性物品について詳しく説明する。ただし,本発明は,テープ型の使い捨ておむつに限定されるものではない。例えば,本発明は,パンツ型の使い捨ておむつや,尿取りパッド,吸収パッド,又は生理用ナプキンなどのように,排泄された体液を吸収保持することを目的として,着用者の股下に装着される吸収性物品に広く適用することができる。
[1.第1の実施形態]
まず,図1及び図2を参照して,本発明に係る吸収性物品100の第1の実施形態について説明する。図1は,本発明に係る吸収性物品100を示した平面図である。また,図2は,図1のA−A線における断面図を示している。なお,図2の断面図では,吸収性物品の構造を分り易くするために各シート部材に厚みを持たせているが,実際の各シート部材は極めて薄いシート状の部材である。
図1に示されるように,吸収性物品100は,長手方向において,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置し着用者の股下に接する股下部3とに区分される。また,図2の断面図に示されるように,吸収性物品100は,吸収体10と,吸収体10の肌対向面を覆うトップシート20と,吸収体10の肌非対向面を覆うバックシート30と,を備えている。また,トップシート20の肌対向面側には,一対のサイドシート40が配置されている。一対のサイドシート40は,それぞれ,トップシート20の幅方向の左右両側に配置されている。この,一対のサイドシート40により,吸収性物品100の幅方向左右両側に,一対の立体ギャザーが形成される。
吸収体10は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体10は,液透過性のトップシート20と,液不透過性のバックシート30の間に配置される。吸収体10は,公知の吸収性材料により構成することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートを用いることができる。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成して用いられる。図1及び図2に示されるように,吸収体10の周囲においては,トップシート20とバックシート30が互いに接合されている。これにより,吸収体10は,トップシート20とバックシート30の接合部によって周囲を囲われたものとなる。
トップシート20は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体10へ透過させるための部材である。このため,トップシート20は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。ここで,液透過性材料とは,例えば,標準の大気圧下において,常温の水を5mlその上に載せた場合に,1分未満の時間で水を透過する材料を意味する。トップシート20を構成する液透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,トップシート20としては,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
バックシート30は,トップシート20を透過して吸収体10に吸収された液体が,おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート30は,液不透過性材料によって構成される。液不透過性材料とは,例えば,標準の大気圧下において,常温の水を5mlその上に載せた場合に,1分以上経過してもその水を透過しない材料を意味する。バックシート30を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,バックシート30としては,液不透過性を維持しつつ通気性を確保するために,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
続いて,立体ギャザーを形成するための構造について説明する。図1及び図2に示されるように,トップシート20の肌対向面側の幅方向左右両側には,長手方向の全体に亘って,一対のサイドシート40が重ね合わされている。一対のサイドシート40は,吸収体10の両側縁に沿って起立して,尿の横漏れを防止する立体ギャザーを形成するためのシート部材である。このため,サイドシート40は,液不透過性材料によって構成される。特に,サイドシート40としては,撥水性と通気性を有するシート部材を採用することが好ましい。例えば,サイドシート40としては,スパンボンド不織布(SS,SSS等)や,SMS不織布(SMS,SSMMS等),メルトブロー不織布等の柔軟性に優れた不織布に,シリコンなどによる撥水処理を施したものを好適に用いることができる。特にサイドシート40としては,防水性及び通気性が高いSMSやSMMS等の不織布シートに撥水処理を施したものを用いることが好ましい。
図1に示されるように,一対のサイドシート40は,それぞれ,接合線41と,接合領域42と,起立領域43とからなる。サイドシート40の接合線41は,長手方向に沿って真っ直ぐに延びた直線状に形成されており,接合領域42と起立領域43の間の境界線となっている。また,図2に示されるように,サイドシート40の接合線41は,トップシート20の肌対向面上に形成されていることが好ましい。
サイドシート40の接合領域42は,接合線41よりも幅方向の外側に位置する領域である。この接合領域42において,サイドシート40は,トップシート20の肌対向面に全面的に接合されている。サイドシート40とトップシート20の接合には,ホットメルト接着剤などの公知の接着剤を用いてもよいし,熱シールや超音波シールなどによって融着させてもよい。また,本発明において,このサイドシート40の接合領域42は,幅方向の長さ(すなわち横幅)を比較的狭くすることが好ましい。例えば,接合領域42の横幅は,3mm〜20mmとすることができ,特に3mm〜15mm又は3mm〜10mmであることが好ましい。
サイドシート40の起立領域43は,接合線41よりも幅方向の内側に位置する領域である。この起立領域43は,長手方向の中央の股下部3に位置する自由部分43aと,前身頃1側に位置する接合部分43bと,後身頃2側に位置する接合部分43cに区分されている。前後の接合部分43b,43cにおいて,サイドシート40は,トップシート20の肌対向面上に接合されている。なお,図1においては,接合部分43b,43cを分かりやすく示すために,概念的に,この接合部分43a,43bに網掛けを施して示している。他方,接合部分43b,43cの間に位置する自由部分43aにおいて,サイドシート40は,トップシート20の肌対向面上に接合されていない。このため,サイドシート40は,起立領域43の自由部分43aにおいて,トップシート20から離れており,自由に立ち上がることができるようになっている。起立領域43の自由部分43aは,立体ギャザーを形成する部分となる。このため,起立領域43の自由部分43aは,長手方向に見て,少なくとも股下部3の全体に亘っており,前身頃1及び後身頃2に到達する長さで形成されていることが好ましい。
また,図2に示されるように,サイドシート40の起立領域43は,幅方向内側の先端部分(端縁)が折り返されて,シート部材が2重に重なった折返部44を有することが好ましい。サイドシート40の折返部44は,サイドシート40の長手方向全体に亘って形成されている。折返部44は,図2に示されるように,サイドシート40の内側端縁を,幅方向の内側に向かって折り返すようにして形成されたものであってもよい。また,図示は省略するが,折返部44は,サイドシート40の内側端縁を,幅方向の外側に向かって折り返すようにして形成されたものであってもよい。図1及び図2に示されるように,このサイドシート40の折返部44には,一又は複数の立体ギャザー伸縮部材50を挟み込んで固定することができる。
図1及び図2に示されるように,一対のサイドシート40の起立領域43の自由部分43aには,それぞれ,一又は複数の立体ギャザー伸縮部材50が取り付けられている。立体ギャザー伸縮部材50は,長手方向に沿った伸長状態で,サイドシート40の自由部分43aに固定されている。具体的には,立体ギャザー伸縮部材50は,サイドシート40の自由部分43aに形成された折返部44に挟み込んで固定されていることが好ましい。このようにして,各立体ギャザー伸縮部材50が伸長状態で固定されていることで,これらの立体ギャザー伸縮部材50が収縮したときに,サイドシート40の自由部分43aが長手方向に縮まる。これにより,サイドシート40の自由部分43aが,立体ギャザー伸縮部材50の収縮力を利用して,トップシート20の肌対向面から離れるように起立する。また,立体ギャザー伸縮部材50が収縮すると,これを固定しているサイドシート40の自由部分43aに皺(ギャザー)が形成される。従って,サイドシート40の自由部分43aによって,着用者の肌の方向に向かって起立する立体ギャザーが形成されることとなる。立体ギャザー伸縮部材50をサイドシート40に固定するときには,立体ギャザー伸縮部材50に接着剤を直接塗布して,引き伸ばされた状態のままで,サイドシート40に固定すればよい。また,サイドシート40に接着剤を塗布した後,引き伸ばされた状態の立体ギャザー伸縮部材50をサイドシート40に取り付けることとしてもよい。立体ギャザー伸縮部材50は,各サイドシート40に対して,1本,2本,又は3本以上設けることが可能である。
また,図2の断面図に示されるように,吸収性物品100は,バックシート30の肌非対向面側を被覆するカバーシート70を,さらに有していてもよい。カバーシート70は,バックシート30を被覆してその手触りを良くするためのシート部材である。カバーシート70は,織布や不織布などの液透過性材料によって構成することができる。
ここで,図2に示されるように,本発明に係る吸収性物品100において,液透過性のトップシート20は,各サイドシート40の接合領域42よりも幅方向の左右の外側に向かって幅広に延出した延出部21を有している。つまり,このトップシート20の延出部21は,各サイドシート40の幅方向の外縁よりもさらに外側に向かって延出した部分である。また,図2に示した第1の実施形態においては,トップシート20の延出部21と同様に,バックシート30とカバーシート70も,サイドシート40の接合領域42よりも幅方向の左右の外側に向かって幅広に延出している。バックシート30の延出部は,符号31で示され,カバーシート70の延出部は,符号71で示されている。
さらに,本発明に係る吸収性物品100において,液透過性のトップシート20の延出部21には,それぞれ,長手方向に沿った伸長状態で一又は複数のレッグギャザー伸縮部材60が固定されている。このようにして,各レッグギャザー伸縮部材60がトップシート20の延出部21に伸長状態で固定されていることで,これらのレッグギャザー伸縮部材60が収縮したときに,トップシート20の延出部21が長手方向に縮まる。これにより,トップシート20の延出部21が,レッグギャザー伸縮部材60の収縮力を利用して,着用者の肌に当接する方向に向かって持ち上がる。また,レッグギャザー伸縮部材60が収縮すると,これが固定されているトップシート20の延出部21に皺(ギャザー)が形成される。従って,本発明においては,トップシート20の延出部21によって,レッグギャザーが形成される。レッグギャザーは,吸収性物品100の脚周りの開口部周縁に沿って形成され,着用者の脚部に密着する。これにより,レッグギャザーは,脚周りの開口部から尿などの液体が漏れ出すことを防止している。このようなレッグギャザーを,肌触りが良く,また通気性の高いトップシート20の一部によって形成することで,吸収性物品の着用感を向上させることができる。
具体的には,図2に示した第1の実施形態において,レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の延出部21の肌非対向面とバックシート30の延出部31の肌対向面との間に挟み込んで固定されている。また,レッグギャザー伸縮部材60は,サイドシート40の接合領域42の幅方向外側に配置されている。このため,レッグギャザー伸縮部材60は,厚み方向(図2の上下方向)において,サイドシート40とは重なっていない。このように,サイドシート40とは重ならない領域まで,トップシート20とバックシート30とを延出させ,その延出部分にレッグギャザー伸縮部材60を固定する。これにより,液不透過性材料で形成されたサイドシート40ではなく,液透過性材料によって形成されたトップシート20によって,レッグギャザーを形成することができる。
レッグギャザー伸縮部材60をトップシート20の延出部21とバックシート30の延出部31の間に固定するときには,レッグギャザー伸縮部材60に接着剤を塗布して,引き伸ばされた状態のままで,トップシート20又はバックシート30に固定すればよい。また,トップシート20又はバックシート30に接着剤を塗布した後,引き伸ばされた状態のレッグギャザー伸縮部材60を両シートの間に取り付けることとしてもよい。レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の左右の延出部21のそれぞれに対して,1本,2本,又は3本以上設けることが可能である。
本実施形態において,トップシート20の延出部21の幅方向の長さ(すなわち横幅)は,一又は複数本のレッグギャザー伸縮部材60を配置できる程度の長さであることが好ましい。例えば,トップシート20の延出部21の横幅は,10mm〜35mmとすることができ,特に10mm〜30mm又は15mm〜25mm程度であることが好ましい。また,トップシート20の延出部21の横幅を長く確保するために,延出部21の横幅は,サイドシート40の接合領域42の横幅よりも長いものであることが好ましい。なお,本実施形態において,バックシート30の延出部31とカバーシート70の延出部71も,トップシート20の延出部21と同程度の横幅を有している。
上記した立体ギャザー伸縮部材50やレッグギャザー伸縮部材60はそれぞれ,公知の弾性伸縮部材を用いることができる。例えば,各弾性伸縮部材には,糸状弾性ゴム又は平状弾性ゴムを適用することができる。このようなゴム部材としては,スチレン系ゴム,オレフィン系ゴム,ウレタン系ゴム,エステル系ゴム,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリスチレン,スチレンブタジエン,シリコーン,又はポリエステル等の素材を用いることができる。また,各伸縮部材には,例えば熱可塑性エラストマー,プラスチックシート,又はゴムシート等の伸縮性を有する公知の部材を用いることもできる。また,弾性伸縮部材を各種シート部材に固定するときの伸長率は,例えば,260%〜410%,280%〜370%,又は310%〜340%程度であることが好ましい。ここにいう「伸長率」とは,収縮状態(自然状態)の弾性伸縮部材の長さを100%として,伸長状態の弾性伸縮部材の長さの増加分を示した割合であり,例えば,長さ10cmのものを20cmに伸長すると,その伸長率は200%とされる。
[2.第2の実施形態]
続いて,本発明に係る吸収性物品100の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態については,上記した第1の実施形態と同じ構成については説明を割愛し,第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
図3は,第2の実施形態に係る吸収性物品100の構造を説明するために,各構成要素を分離して示している。図3に示されるように,第2の実施形態では,トップシート20の延出部21が,バックシート30の延出部31とカバーシート70の延出部71を超えて,さらに幅方向の左右外側に向かって幅広に延出している。このように,本願では,トップシート20のうち,サイドシート40の接合領域42よりも幅方向外側に広がった部分全体を,“延出部”として定義している。
次に,図4には,第2の実施形態に係る吸収性物品100を組み立てた後の断面構造が示されている。図4に示されるように,トップシート20の延出部21は,バックシート30の延出部31を超えて外側に延出し,このバックシート30の左右両側縁に沿って折り返されて,バックシート30の肌非対向面側に重ね合わされている。このように,トップシート20の延出部21は,折り返されることにより複数層状となる。本実施形態において,トップシート20の延出部21は,折返し線を境界として,肌対向面側に位置する上層22と肌非対向面側に位置する下層23とに分かれている。図4に示されるように,本実施形態において,トップシート20の延出部21の上層22は,バックシート30の肌対向面に接合されている。他方,トップシート20の延出部21の下層23は,バックシート30の肌非対向面に接合されている。つまり,トップシート20の延出部21の上層22と下層23の間に,バックシート30の延出部31を含む一部分が介在することとなる。
また,図4に示した例において,複数のレッグギャザー伸縮部材60が,トップシート20の延出部21の上層22とバックシート30の延出部31との間に固定されることで,レッグギャザーが形成されている。これにより,レッグギャザーは,液透過性のトップシート20の延出部21の上層22と下層23の間に,液不透過性のバックシート30の延出部31が介在する積層構造となる。このように,レッグギャザーを,液透過性のシートの間に液不透過性のシートが挟み込まれた構造とすることで,液体の防漏性を維持しつつ,その肌触りを良化することができる。なお,図示は省略するが,複数のレッグギャザー伸縮部材60は,バックシート30の延出部31とトップシート20の延出部21の下層23との間に固定されていてもよい。
また,トップシート20の延出部21の下層23は,少なくともバックシート30の延出部31の全体を肌非対向面側から被覆できる程度の横幅を有していることが好ましい。また,図4に示されるように,トップシート20の延出部21の下層23は,サイドシート40の接合線41を超えて,幅方向の内側まで進出する横幅を有していることが特に好ましい。これにより,吸収性物品100の幅方向の左右両側の強度(コシ)を強くすることができるため,レッグギャザーのクッション性やフィット性を高めることができる。ただし,トップシート20の延出部21の下層23は,吸収体10に重ならないことが好ましい。トップシート20の延出部21の下層23の横幅を吸収体10に重ならない程度に留めることで,吸収性物品100の通気性を維持することができる。
[3.第3の実施形態]
続いて,本発明に係る吸収性物品100の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態については,上述した第2の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
図5には,第3の実施形態に係る吸収性物品の断面構造が示されている。図5に示された第3の実施形態において,トップシート20の延出部21は,二度折り返されることにより,肌対向面側に位置する上層22と,肌非対向面側に位置する下層23と,これらの上層22と下層23の間に位置する中層24とに分かれている。具体的にはトップシート20の上層22は折返線を介して下層23に連続しており,この下層23が折返線を介して中層24に連続している。このように,第3の実施形態では,トップシート20の延出部21が3層構造となっている。
本実施形態において,トップシート20の延出部21の上層22が,バックシート30の肌対向面に接合されており,中層24がバックシート30の肌非対向面に接合されている。また,トップシート20の延出部21の下層23は,カバーシート70の肌対向面に接合されている。
また,本実施形態において,レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の延出部21の下層23と中層24の間に固定されている。このようにすることで,例えばレッグギャザー伸縮部材60に接着剤を塗布しておけば,この接着剤を利用してトップシート20の延出部21の下層23と中層24とを接合することができるため,比較的簡単に3層構造を形成することができる点で好ましい。ただし,レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の延出部21の上層22とバックシート30の間,又は中層24とバックシート30の間に配置することも可能である。
第3の実施形態のように,レッグギャザーを,トップシート20の上層22,下層23,中層24,及びバックシート30の少なくとも4層構造とすることで,レッグギャザーの厚みを持たせることができる。これにより,レッグギャザーのクッション性が高まり,着用者の脚部に対して圧迫感を与えることを防止できる。また,レッグギャザーを4層構造とすることで,レッグギャザー伸縮部材60の硬さが,着用者の肌に伝わりにくくなる。
[4.第4の実施形態]
続いて,本発明に係る吸収性物品100の第4の実施形態について説明する。第3の実施形態については,上述した第3の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
図6には,第4の実施形態に係る吸収性物品の断面構造が示されている。図6に示されるように,第4の実施形態は,図5に示した第3の実施形態と同様に,トップシート20の延出部21が二度折り返されて,上層22,下層23,及び中層24に分かれている。ここで,第4の実施形態では,トップシート20の延出部21の上層22,下層23,及び中層24のすべての層が,バックシート30の肌対向面側に配置されている。このため,トップシート20の延出部21の下層23がバックシート30の肌対向面に接合されることとなる。
また,本実施形態において,レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の延出部21の下層23と中層24の間に固定されている。このようにすることで,着用者の肌とレッグギャザー伸縮部材60との間に,上層22と中層24とが位置することとなるため,レッグギャザー伸縮部材60の硬さが着用者に伝わりにくくなる点で好ましい。ただし,レッグギャザー伸縮部材60は,トップシート20の延出部21の下層23とバックシート30の間,又は上層22と中層24の間に配置することも可能である。
第4の実施形態のように,バックシート30の肌対向面側において,トップシート20の延出部21を複数層に亘って折り重ねることで,着用者の肌に接触するトップシート20のクッション性が向上する。これにより,レッグギャザーの肌触りが良化される。また,トップシート20の延出部21を折り重ねることで液体の吸収性が向上するため,脚周りの開口部から尿などの液体が漏れ出すことを防止できる。さらに,トップシート20は吸収した液体が素早く乾燥するものであるため,レッグギャザーの内部に液体が残留することを効果的に防止できる。
なお,図示は省略するが,図6に示した実施形態においては,トップシート20の延出部21の中層24を省略することも可能である。つまり,トップシート20の延出部21を一度折り返して上層22と下層23を形成し,この上層22と下層23をバックシート30の肌対向面側に配置することもできる。この場合であっても,レッグギャザーのクッション性を高めて,脚周りの開口部から尿などの液体が漏れ出すことを防止できる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。