以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に本発明におけるシステム構成の全体概要を提示する。電力インフラ側には、発電所(給電指令所)11、自然エネルギーシステム12、蓄電池システム13、EMS(Energy Management System)14が設置されている。また、家庭やビル等の需要家側には、スマートメータ21、蓄電池システム22、32、EV(Electric Vehicle)システム23、需要家側EMS24、34等が設置されている。また、太陽光発電(PV: Photovoltaic)や風力発電等の自然エネルギーシステム25も設置されている。家庭用の需要家側EMSはHEMS(Home Energy Management System)、ビル用の需要家側EMSはBEMS(Building Energy Management System)として、構内の電力監視制御を実施する。自然エネルギーシステム12、25、蓄電池システム13、22、32には、入出力電力を変換(直流/交流、直流/直流)するインバータ(電力変換装置)P1、P4、P2、P5、P3が接続されている。
発電所(給電指令所)11は、火力や原子力等の燃料源によって大容量の電力を生成し、送配電網を通じて家庭やビル、工場等の需要家側に供給する。本発明の実施形態では発電所11から需要家に至る送配電網を総称して、電力インフラ(電力系統網)と呼ぶ。自然エネルギーシステム12は、風力や太陽光といった自然界に存在するエネルギーを元に電力を生成する発電装置を有し、発電所と同様に送配電網を通じて電力系統網から需要家に電力を供給する。自然エネルギーシステムを電力系統網に設置することで、発電所の負担を減らして効率的に運用させることが出来る。この中で蓄電池システム13は、発電所11や自然エネルギーシステム12が生成した余剰電力を貯蔵する役割を持つ。また、EMS14は、こうした発電所11や自然エネルギーシステム12の供給電力と、需要家側で消費する負荷電力を含めた電力システム全体の安定化を、電力網及び通信網双方を活用して制御する役割を担当する。
スマートメータ21は、需要家側の構内で消費された電力量を計測し、周期的に電力事業者の管理サーバに通知する。一般に当該管理サーバはMDMS(Metering Data Management System)と呼ばれるが、図1中では図示を省略している。前述のEMS14はMDMSと連携し、需要家側の負荷電力の総量を算出することが出来る。需要家の構内に設置された蓄電池システム32、22は、電力事業者の系統網から供給された電力、あるいは構内の自然エネルギーシステムが生成した電力を貯蔵する。EVシステム23は充電器を介して、車載電池に電力を貯蔵する。HEMSは家庭内の電力消費量を、BEMSはビルや工場内の電力消費量を監視制御する。本発明における実施形態は家庭だけではなく、前述したように、ビルや工場においても同様に実施出来る。この場合、ビル構内ではBEMS、工場ではFEMS(Factory Management System)と呼ばれる需要家側EMSが構内の電力消費量を監視制御する役割を担当することになる。
電力事業者の系統側の蓄電池システムの用途としては、系統の周波数や電圧などの電力の品質を維持するために、瞬間的な負荷変動に応じて秒単位で出力調整を行い、系統を安定させるアンシラリーサービス(短周期制御)と呼ばれる機能実現のために蓄電池システムが活用される。また、家庭やビル等の需要家側の蓄電池システムの用途として、単価の安い夜間電力を貯蔵することで、昼間の電力利用が集中する時間帯の融通を行うピークシフト(日間運用)と呼ばれる機能実現のために活用されることもある。電力変換装置P1〜P5は、蓄電池システム又は自然エネルギーシステムが入出力する直流電力と、電力系統網の交流電力の間の電力の変換を行う。
図2及び図3に本発明の電力変換装置の図1の実施形態に関わる基本システム構成を示す。これらは図1のシステム構成を詳細化したものである。図2に蓄電池システム及び自然エネルギーシステムの構成詳細、図3にEVシステムの構成詳細を提示する。蓄電池システム内の蓄電池は、充電と放電の双方を行い、風力や太陽光発電等の自然エネルギーの発電装置(図2の蓄電池と置き換える形で構成)は、放電のみを実施できる特徴がある。
図2の蓄電池システム/自然エネルギーシステムは、通信網および電力網44を介してEMS45に接続されている。EMS45は、系統側のEMSでも、需要家側のEMSでもよい。蓄電池システム/自然エネルギーシステムは、蓄電池(BMU: Battery Management Unit)42又は発電装置と、電力変換装置43で構成される。電力変換装置43は、インバータやコンバータ、PCS(Power Conditioning System)と呼ばれるもので、電力の入出力の変換や電圧量の調整の役割を担当する。
蓄電池(BMU)42は、複数の電池セルに加え、電池パック内部の状態を管理する内部プロセッサを備え、電力変換装置43からの要求に基づき電力の充放電制御を実施する。蓄電池(BMU)42は制御部に対して、定格電圧や充放電時の最大電流値、充電率(SOC: State Of Charge)、寿命率(SOH: State Of Health)といった情報を通知する。
図2の例では、電力変換装置43は、蓄電池42との間では直流の電力を、電力系統網44との間では交流の電力をやり取りする。電力変換装置43は、直流/交流変換や電圧変動抑制を行うが、それらの機能は、装置外部に接続したプロセッサで実現することも考えられる。
また、蓄電池(BMU)42と電力変換装置43間の充放電制御及び情報通知は、CAN(Controller Area Network)を用い実現する形態、イーサネット等の有線通信媒体、あるいは無線LAN(Local Area Network)等の無線通信媒体、更に、製品を販売するベンダが独自定義した電気信号線を用いて実現する方法が考えられるが、本発明の実施形態はいずれかの通信手段で限定されるものではない。
図2の蓄電池システムにおける電力変換装置43は、通信機能を備え、電力系統網又は需要家構内に設置された各種EMS45と通信する。一般に蓄電池は自然放電する特徴を備えることから、EMS45は蓄電池システムから、SOCやSOH等の情報を取得することで、時々刻々と変化する状態を適切に監視し、充放電制御の指示を行うことが出来る。
尚、電力変換装置を介した電力入出力を、充放電と表記する場合もある。また、蓄電池(BMU)42のかわりに、風力や太陽光発電等の自然エネルギーの発電装置を適用する場合は、基本的に電力変換装置は電力出力のみを行うため、この場合の用途においては、電力変換装置を介した電力出力は放電と表記する場合もある。複数の電力変換装置で構築された電力システムでは、電力変換装置が電力の入出力の流量をスイッチする役割を担うが、図4で詳細に説明する。
図3のEVシステムは、図2の蓄電池システム/自然エネルギーと類似した構成であるが、蓄電池52に接続して動作する第1の電力変換装置53の他に、充電器として動作する第2の電力変換装置54が存在する点が異なる。EVシステム51は、通信網および電力網55を介してEMS56に接続されている。
図3のEVシステム51における蓄電池52に接続した第1の電力変換装置53は、蓄電池(BMU)52と第2の電力変換装置(充電器)54間の電力及び通信情報を中継する。この場合、第1の電力変換装置53は、電力系統網上又は需要家構内の各種EMS56と通信するための通信能力を必ずしも有する必要はない。すなわち、図2の蓄電池システムにおける電力変換装置における交流/直流の変換機能は、図3の例では第2の電力変換装置54である充電器側に移行する点が異なる。図3の構成では、第1の電力変換装置53は直流/直流変換、第2の電力変換装置54は直流/交流変換を実施する。
だが、本発明の実施形態を実現するための具体的手順は、図2及び図3双方で共通である他、EVシステムの役割を、蓄電池システムと同様の役割に定義することが出来る。また、蓄電池(BMU)52に対する充放電に係わるアルゴリズム制御は、第1の電力変換装置53に集約する形態、第2の電力変換装置(充電器)54に集約する形態、需要家構内のHEMS/BEMS、電力系統のEMSに集約する形態等複数あるが、いずれの形態を用いても本発明の実施形態は同様の枠組みで実現することが可能である。
図2及び図3の例に加えて、本発明の実施形態に係る電力変換装置は、図4に示すように複数の電力変換装置同士を組み合わせる構成にも適用することが出来る。例えば、複数の蓄電池(及び/または自然エネルギーの発電装置)を組み合わせて、電力ユニットの論理的な集合体を形成する場合、同集合体には、ローカルコントローラ、電力変換装置(AC/DC、DC/DC)、蓄電池(及び/または発電装置)等が1つまたは複数含まれる。図示の例では、同集合体となる電力システム61に、ローカルコントローラ62、電力変換装置(AC/DC又はDC/DC)70、63, 63−1〜63−α、64、64−1〜64−α、蓄電池66、66−1〜66−α等が含まれている。
この場合、外部のEMS68とローカルコントローラ62(ローカルコントローラ自体は省略可)間は、図2や図3の例に相当し、有効電力/無効電力の制御等の電力アプリケーションを実現することが出来る。これに加え、複数の電力変換装置で連携動作をする場合は、複数台の電力変換装置を並列的に運転させると、電力の出力増を図ることが出来る。
図4の例では、交流側に接続した電力変換装置(AC/DC)の個々の入出力電力の定格が、AkW(キロワット)だとして、1+α個並列運転させることでA×(1+α)kWに出力を増設し、電源位相と呼ばれる電力アプリケーション機能を実現することが出来る。
電源位相は、交流側出力における横流(起電力の差によって流れる無効横流、起電力の位相差によって流れる同期横流、起電力の波形差によって流れる高調波横流)発生を防止することで実現されるが、このためには、並列動作する複数の電力変換装置間で、並列運転の同期元となる装置を識別するための制御主体の決定(マスター/スレーブ決定)を行わないと正しく同期が取れない課題がある。
具体的には、例えば、電力系統網のような大きな電力信号に接続する場合、電力変換装置は特に通信網を介して同期のための情報を交換する必要はなく、電力の特性から当該電力網の信号に徐々に同期する特徴があるが、図4に示すように、入出力する電力量の規模が同程度で複数台が一斉に動作する場合は、どこに同期するかの情報を、通信網を介してやり取りしないと、電力変換装置のユーザーが意図した電力入出力が行われない課題がある。
3台以上の電力変換装置が接続した場合、各装置の計画値に対する実績値の認識は、電力線の情報のみでは困難となるため、通信線の情報を用いてマスターに同期することが必須である。一方、直流側に接続した電力変換装置(DC/DC)は、入出力する電力が直流であるため、電源位相のように同期を取ることはない。しかし、複数台による電力増や電力分担等の電力アプリケーション機能を実現する場合は、電源位相と同様に、制御主体を決定(マスター/スレーブ決定)の後、配分量の選択(充放電する蓄電池を選択等)を行う。尚、電力変換装置又はローカルコントローラに、表示端末69を通信網を介して接続させることで、データモニタや異常通知、パラメータ調整の電力アプリケーションを実現出来る。
尚、前述のように、電力系統網側では、瞬間的な負荷変動に対応するために、各々の蓄電池がアンシラリーサービスと呼ばれる機能に対応する仕組みが一般的にある。この場合、発電所に匹敵する大規模の蓄電容量を確保する必要があることから、図4のような、電力変換装置に接続された蓄電池/自然エネルギー発電装置の集合体を活用することが有用である。
需要家側でも、単価の安い夜間電力を貯蔵することで昼間の電力利用が集中する時間帯の融通を行うために、ピークシフトと呼ばれる仕組みを持つことが一般的にある。需要家側に一定のインセンティブを与える条件の下、電力事業者が需要家側に設置された蓄電池や自然エネルギーの電力を利用するという活用形態も有用である。
こうした種々の利用形態によっては、制御主体と被制御主体が各々複数存在する可能性もありうるため、マスター/スレーブの決定手順を適用して、監視制御のコンフリクトを回避することが必要になる。
図5A、図5B、図5C、図5Dに、本発明の実施形態における複数の電力変換装置の活用に焦点を当てた4種類の電力アプリケーション機能を提示する。
図5Aは「自律協調:受電容量内での電力分担」、図5Bは「自律協調:複数電源の同期運転(電源位相)」、図5Cは「自律協調:ブラックアウトからのスタート」、図5Dは「EMS連携:有効電力無効電力の監視制御」を示している。これらは、図4における構成図をアプリケーション機能の観点と、設置構成の観点から整理し直したものである。
交流側への接続を持ち、負荷に接続した複数の電力変換装置(AC/DC)が電力を入力する場合は図5Aに示す入力の電力分担、電源に接続した複数の電力変換装置(AC/DC)が電力を出力する場合は図5Bに示す電源位相になる。この他、図4に提示したように、直流側のみの接続を持ち、電源に接続した複数の電力変換装置(DC/DC)が電力を出力する場合は出力の電力分担になる。
一方、複数の電力変換装置を階層状に接続する構成も考えうる。EMSを用いずに電力変換装置同士でやり取りする場合や、図5Dに示すように、EMSを用いて集中制御の監視制御をする場合がある。本発明の実施形態では図5Cのような、EMSを用いない構成を、自律協調型の監視制御と定義する。
図6(A)に本発明の実施形態における電力変換装置の構成例を提示する。前述のように電力変換装置は、図2の蓄電池システム/自然エネルギーシステムにおける蓄電池(BMU)又は発電装置と接続する電力変換装置に相当する。あるいは、図3のEVシステムにおいて蓄電池(BMU)と接続する第1の電力変換装置、充電器に接続する第2の電力変換装置に対応する。この他、図4及び図5における各々の電力変換装置に同様に対応する。
図6(A)の電力変換装置は、電力入力部71、電力変換部72、電力出力部73、構成情報記憶部74、自律協調制御部75、通信部76を備える。図6(A)の構成の一部又は、全ては電力変換装置上の適用に限定されることはなく、EMSやローカルコントローラ等にも同様に適用し実施可能である。
電力入力部71、電力変換部72、電力出力部73の役割は、具体的には、直流/交流、直流/直流や交流/交流の電力変換、電力の周波数監視と調整、電圧の変動検出と調整等の役割を担当する。
電力入力部71、電力出力部73は各々複数存在する構成の他、各々1つ存在する構成が考えられる。実際の実施においては、電力変換装置は、蓄電池(BMU)や自然エネルギーの発電装置からの電力を電力入力部71に入力させる場合と、電力系統網からの電力を電力入力部71に入力させる場合がある。また、電力入力部71から入力した電力を直流/交流、直流/直流や交流/交流の電力変換を施した後、電力出力部73から出力するが、電力入力部71と電力出力部73は、各々物理的に別個の電力回路として用意する構成の他、物理的に同じ回路で共通して用意する構成がある。いずれの構成を用いても良い。
本発明の実施形態において、蓄電池(BMU)や発電装置の充放電時の電力量は、単位ワット時間(Wh: Watt hour)で示される電力量の他に、単位アンペア時間(Ah: Ampere hour)で示される電流量、単位ボルト時間で示される電圧量(Vh: Volt hour)、又は瞬時電力量W等で表現する。
通信部76は、後述する構成情報記憶部74に格納される特性情報や構成情報の他、運転開始後の監視制御情報を通信メッセージとして生成し、EMSやローカルコントローラ、他の電力変換装置と通信網を介して送受信する役割を担当する。通信部76は、通信メッセージを送受信する処理に加えて、通信媒体としては複数となる、第1の通信部と第2の通信部を備える場合がある。
例えば第1の通信部は、光ファイバや電話線、イーサネット等の有線通信媒体の他、IEEE802.11無線LAN等の無線通信媒体によって実現し、第2の通信部をイーサネットやCAN等で実現する形態が考えられる。本稿の実施形態における通信媒体は特定の通信媒体に依存するものではない。
電力変換装置は、EMSやローカルコントローラ、他の電力変換装置からの通信メッセージを第1の通信部を介して取得する。その一方で、第2の通信部は、電力変換装置に接続された蓄電池(BMU)や自然エネルギーの発電装置の固有情報(定格容量、充放電終始電圧、上限温度、下限温度、最大充放電電流、定格電圧等)を取得する他、動作中の計測情報/設定情報を取得する。
蓄電池(BMU)が電力変換装置に接続した場合は、蓄電池(BMU)動作時の変動情報である計測情報(SOC、SOH、充放電電流、充放電電圧)を周期的に取得する。第2の通信部は上述のようにイーサネットやCAN等の有線通信媒体、ベンダが独自に規定した電気信号線によって実現することが出来るが、本発明の実施形態は、特定の通信媒体に依存するものではない。
また、電力変換装置に蓄電池を接続する場合、一般に内部電池セルは自然放電する特徴を持つことから、EMSやローカルコントローラ、他の電力変換装置にSOCやSOH等の情報を送信する際は一度のみ送信すれば良いわけではなく、電圧や電流等の情報と同様、値が時々刻々と変化する特徴を考慮、適宜通知することが望ましい。
また、本発明の実施形態においてインバータとして動作する電力変換装置は、蓄電池(BMU)への接続に限定されるものでなく、太陽光発電や風力発電、又は、これらと通信する各種EMSやローカルコントローラに適用可能で、特定の装置に制約されないことは言うまでもない。
構成情報記憶部74は、マスター/スレーブを決定する「特性情報」と、装置間で決定したマスター/スレーブの主従関係を表現する「構成情報」を記憶する。当該記憶部に格納する情報はこれら2種類に限定されるものではない。上述の通信部76が、構成情報記憶部74の情報を送受信することで、電力変換装置の初期設置時や運転開始後の異常発生時に、複数装置間で自動的に論理構成の変更を行い、運用の柔軟性を確保しながら電力入出力のスループット増を可能とする。
特性情報は、図7に提示するように、「装置ID(Identifier)」、「装置種別」、「通信接続」、「電力接続」、「マスター/スレーブ」の情報で構成される。「装置ID」は固体識別番号(製造番号等)である。「装置種別」は、システム内の役割を表現するもので、EMS/ローカルコントローラ、電力変換装置がある。より詳細に、EMS、INV(AC/DC)、INV(DC/DC)、INV(DC/DC):電源(蓄電池)、INV(DC/DC):電源(PV)、INV(DC/DC):負荷に区分される。
INV(AC/DC)は、交流および直流間の変換を行う電力変換装置、すなわち、電力変換装置(AC/DC)と同義である。
INV(DC/DC)は、直流間の変換を行う電力変換装置、すなわち、電力変換装置(DC/DC)と同義である。
INV(DC/DC):電源は、電源に接続された電力変換装置(DC/DC)と同義である。INV(DC/DC):電源は、蓄電池(BMU)が接続するか、太陽光等の自然エネルギーの発電装置に接続するかによって、更に区別される。INV(DC/DC):電源(蓄電池)は、蓄電池(BMU)に接続されるINV(DC/DC)と同義である。INV(DC/DC):電源(PV)は、自然エネルギーの発電装置に接続されたINV(DC/DC)と同義である。
INV(DC/DC):負荷は、負荷に接続された電力変換装置(DC/DC)と同義である。
こうした情報は、電力変換装置に電源や負荷が接続した際に、イーサネットやCAN等の通信手段を用いて取得することが考えられるが、固定で設定する形態も考えられる。
「通信接続」は、同一通信ブロードキャストドメイン上の電力変換装置(群)の情報、「電力接続」は、同一母線上の電力変換装置(群)の情報である。この情報は、特に電力接続情報と呼ぶ。
「マスター/スレーブ」は、マスター(制御主体となる装置)、スレーブ(被制御の装置)の識別情報である。
ここで、「電力接続」の情報の設定については、
・「作業員による表示端末等を用いた手動入力と確認」
・「電力変換装置間の第1の自動認識方法(特定の電力信号の出力について、通信で通知して電力線上の挙動を確認)」
・「電力変換装置間の第2の自動認識方法(特定の電力信号の出力について、電力線上の挙動を確認してから通信で通知)」
・「自動認識及び手動入力の中間(例えば同じ時間区間に作業員からの操作によって特定の動作状態に移行した電力変換装置を、同一母線上に位置すると認識)」
等、複数の可能性がある。本発明の実施形態は特定の手段に左右されるものではない。
電力接続情報の検出の自動性について更に詳細に説明すると、電力面や通信面の接続関係を確認する際、どこまで作業員の手を使わずに自動で実現出来るかの目安を示すものである。
上述の「作業員による表示端末等を用いた手動入力と確認」とは、作業員が個別に目視や設計図等を用いて、個別の接続関係を確認して電力変換装置に入力する形態を想定する。
「電力変換装置間の第1の自動確認方法」とは、例えば電力母線に片方側から電圧等のパルスを掛けて、片方側から検出し、通信網を用いて互いに検出した情報を交換して、所定の誤差の範囲内に収まると判定される場合に、それをもって電力面の接続を判定する形態である。
「電力変換装置間の第2の自動認識方法」とは、「電力変換装置間の第1の自動認識方法」の逆、通信で通知を行ってから電力線上の挙動を確認ではなく、電力線上の挙動を確認してから通信で通知を行うものである。これら電力変換装置間の2種類の自動認識方法では、少ビットの電力線通信と、多ビットの有線/無線通信を用いたエネルギー・産業分野固有のシステム構成を自動検出する方法ということも出来る。電力線上の挙動は、微弱な検査信号を用いて確認する他、実際に一定の電圧や周波数を用いて確認する方法が考えられる。これらの手段を用いることで、初期設置時だけでなく、マスター/スレーブ決定後の通常動作時においても、通信あるいは電力の遮断を検出することが出来る。次に、構成情報記憶部74に記憶される構成情報について説明する。構成情報は、当該電力変換装置にとって、マスターとなる装置、スレーブとなる装置の情報を示すものである。構成情報は、図8に提示するように、「装置ID」、「装置種別」、「通信接続」、「電力接続」、「マスター/スレーブ」により構成される。
これらの情報は、上述の特性情報を構成する情報と同義である。たとえば装置IDが1の電力変換装置は、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置(INV(AC/DC))であり、電力変換装置2、3、4と通信可能であり、電力変換装置2、3、4と同じ電力線に接続され、電力変換装置2、3、4が電力変換装置1のスレーブ(電力変換装置1がマスター)である。
各々の電力変換装置は、特性情報の内容を元に、自律協調制御部75でマスター/スレーブの判定を行い、構成情報の内容を更新する。マスター/スレーブの判定に応じて構成情報の内容が更新されるごとに、構成情報のシーケンス番号が更新される。
図6(B)には、自律協調制御部75のうちマスター/フレーブ決定に関わる部分の構成図が示される。マスター/スレーブ決定部75aは、電力線を介して接続された(たとえば同じ電力線に接続された)他の電力変換装置の電力特性情報に基づき、マスター装置とスレーブ装置を決定する。
一致確認部75bは、マスター/スレーブ決定部75aにより決定されたマスター装置およびスレーブ装置と、他の電力変換装置で決定されたマスター装置およびスレーブ装置が一致するかを確認する。確認の方法は、任意の方法を用いることができる。
たとえば、電力変換装置は、自身の構成情報を作業員の管理装置に送信し、作業員は各電力変換装置から収集した構成情報の内容を管理装置の表示部で確認する。または電力変換装置に表示部を備えさせ、当該表示部に構成情報を表示してもよい。この場合、係員は各電力変換装置を廻って構成情報を確認する。当該表示部または通信部は、構成情報を外部に出力する出力部に対応する。一致が確認されると、承認を各電力変換装置に送る。この承認を受けることで、各電力変換装置は一致を判断する。なお、電力変換装置に入力部を設け、この入力部から承認を作業員が入力してもよい。インターフェース部75dは、上記表示部または入力部を表したものである。インターフェース部75dは、必須ではないため、不要ならば構成から省いてもよい。
あるいは、別の確認方法として、一致確認部75bは、他の電力変換装置で決定されたマスター装置およびスレーブ装置を表す構成情報と、自身の構成情報に基づき、各電力変換装置での決定内容が一致するかを自動的に確認する動作シーケンスを行う。一致しないと判断した場合は、マスター/スレーブ決定部75aの処理を再度行ったり、または、一定時間後に他の電力変換装置から構成情報を、通信部76を介して再度順次取得したりするなどして、システム内に存在する複数の装置間の情報を一致させるようにする。
判定部75cは、一致確認部75bにより一致すると判断されたとき、他の電力変換装置との電力線への電力の入出力に関する監視・制御の運転開始を許可する。これにより、電力変換装置は通常動作へ移行し、自律協調制御部75の制御の下、他の電力変換装置と協調動作する。
マスター/スレーブの関係の判定方法を詳細に説明する。本実施形態において、マスター/スレーブの関係は、優先度に基づいて判定する。
マスター/スレーブの具体的な判定優先度は、特性情報内の装置種別を2装置間で比較し、EMS>>INV(AC/DC)>>INV(DC/DC):電源(蓄電池)>>INV(DC/DC):電源(PV)>>INV(DC/DC):負荷の順で、優先度が高くなるように、決定基準に重みづけを行う。
各電力変換装置は、最初に起動する際に、自らのシステムの種別を理解(例えば電力変換装置に接続した電源や負荷の情報から自らのシステムの種別を判断)し、マスター/スレーブ決定優先度に反映させる。特性情報が同一の場合は、例えば、構成情報のシーケンス番号が大きい装置を、マスターに決定することが考えられる。これは、マスター/スレーブの関係の変動を極力抑えることで、システムの安定化を図るものである。
また、上述の優先度に当てはまらない場合、「先に起動した装置」「後に起動した装置」「事前設定」「ランダム」等の方法を元に、マスター/スレーブを決定する。
EMSは、一般に高度なアルゴリズム処理が適用可能な計算機で実現されるため、システム内にEMSがいる場合は、同装置をマスターに選定することが、性能面から好ましい。ローカルコントローラは、EMSに分類する。
電力変換装置(AC/DC)は、図5Cおよび図5Dに示すように、システムの構成上、上位に位置することから、電力系統網やEMSとの連携を考慮すると、マスターに選定することが効率面から好ましい。
電力変換装置(DC/DC)について、電源(蓄電池)、電源(PV)、負荷等、接続対象が複数存在するが、異常発生時に動作する確率が最も高い装置を鑑み、異常発生に先駆け動作に必要な電力を貯蔵出来る電源(蓄電池)を、マスターに選定することが、可制御の観点から好ましい。
尚、ここで、電力変換装置は、電力変換の機能毎に物理的な装置構成を分けることも、機能を共通化することも考えうる。例えば、電力変換機能を共通化させる場合、電力変換装置は、交流/直流(AC/DC)変換の処理も、直流/直流(DC/DC)変換の処理も実施出来る。この時、電力特性情報の表現は、取りうる電力変換の機能を全て記載する方法の他、実際に運用するシステム内の役割を用いる方法が考えられる。
例えば、交流/直流(AC/DC)変換の処理も、直流/直流(DC/DC)変換の処理も出来る電力変換装置であっても、実際のシステムで交流の電力線上に接続したことを検知した場合は、電力変換装置(AC/DC)となる。
具体的には、電力線に接続して電力を入出力する役割に対応させて、電力変換装置(AC/DC)か電力変換装置(DC/DC)かの装置種別を決定する方法が考えられる。交流用の母線と少なくとも1以上接続すると共に、直流用の母線と少なくとも1以上接続する場合、当該電力変換装置の装置種別は、交流/直流(AC/DC)のように決定しうる。いずれか1種類の母線に接続する場合は、交流/交流(AC/AC)や直流/直流(DC/DC)のように決定する。
尚、電力変換装置の自律協調制御部75は、マスター/スレーブの決定といった初期設置時や異常発生時の動作の他に、通常運転時の電力アプリケーション機能に必要となる、リアルタイム用の監視制御情報、非リアルタイム用の監視制御情報を処理することが出来る。
リアルタイム用の監視制御情報は、例えば、電源位相の機能の場合、電圧や周波数の指令値と実測値の他、時刻同期用の情報を処理する。その一方、非リアルタイム用の監視制御情報には、運転計画情報がある。
運転計画情報は、電力変換装置に接続された蓄電池(BMU)や自然エネルギーの発電装置、電力系統網からの要求に基づいた計画情報で、「横軸:時間、縦軸:電力量等」の形式で表現することが出来る。この情報を構成するためには、1つの例として、蓄電池(BMU)や自然エネルギーの発電装置の充放電制御に固有な情報を用いる方法がある。例えば蓄電池(BMU)の場合、単位ワット(W: Watt)で示される定格充放電電力、単位ワット時間(Wh: Watt hour)で示される定格容量、単位百分率で示される充電率(SOC: State Of Charge)、SOCに対応付けられた放電可能時間及び充電可能時間の概念が、一般的に存在する。
蓄電池(BMU)の一般的な充電方式である定電流充電方式では、百分率で示されるSOCが所定の閾値に達するまで、蓄電池(BMU)内の電池セルが入出力する電力量(電流量)が、一定状態で推移する。このことから、蓄電池(BMU)からSOCの値を取得することで、当該情報に対応付けられた充電可能時間及び放電可能時間、最大充放電電力、充放電に必要な電力量(充放電可能時間と電力の積)を算出することが出来る。定電流充電では、SOCが所定の閾値を超えた後は、充電に必要な電流量が極小化する特性があるため、充放電計画に必要な情報の概算を算出することが出来る。
尚、充放電制御時の電力量は、単位ワット時間(Wh)で示される電力量の他に、単位アンペア時間(Ah)で示される電流量、及び単位ボルト時間で示される電圧量(Vh)各々を用いることが出来る。
また、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの発電装置の場合には、電力を貯蔵(充電)することは出来ないため、SOCの概念は無く、放電専用の装置として動作する。逆に、電力変換装置に接続された装置が蓄熱装置である場合は、電力を放電することは出来ないため、充電専用の装置として制御する。
電力変換装置の運転計画は、これらの情報をベースに、当該装置に接続した電源(あるいは負荷)に対する具体的充放電動作を実施するためのものとして作成される。
電力系統網における電力供給の瞬断を防止する際は、通信メッセージを適宜送受信するリアルタイム型の動作することが望ましい。その一方で、夜間時間帯で比較的ゆるやかな時間間隔で制御する際は、動作タイミング間隔を設定する非リアルタイム型の動作をすることが望ましい。本発明の実施形態はリアルタイム、非リアルタイム等の特定の運転動作に依存するものではない。
図9Aおよび図9Bに、本発明の実施形態に関わる電力変換装置の動作フローチャートを提示する。運用プロセスの流れとしては、初期設置、通常運転、異常発生等が存在するが、同図のフローチャートは通常運転以外のケース、初期設置時の構成検出と構成決定を対象とする。異常発生時もほぼ同様であるが、これについては後述する。
ステップS101において、初期設置時(起動後の初期処理)、電力変換装置は、自身の特性情報を取得し、自身がEMS、INV(AC/DC)、INV(DC/DC)のいずれかを判別する。電力変換装置に直接接続した電源/負荷等の装置の特性情報を取得し、当該装置がINV:電源(蓄電池)、INV:電源(PV)、INV:負荷を更に判別する。
同一電力線上の装置を発見したら、通信網を介して他装置から特性情報と構成情報を取得する(S102、S103、S104)。すべての装置が発見済みで、特性情報および構成情報を取得済みである場合(S103のYES、S104)、一定時間待機(ライフタイムを延長)し、ステップS102に戻る(S100)。
ステップS104で取得した構成情報からマスター/スレーブ情報を確認し、相手装置にマスターがいる場合は(S105のYES)、当該マスターから特性情報と構成情報を取得する(S106)。
本ステップS105、S106についてさらに詳細に説明する。電力変換装置が他の装置から特性情報、構成情報を取得した際、既に当該相手装置が他の装置との間でマスター/スレーブを決定済みの場合がある。この場合は、当該装置の構成情報に記載されたマスターとなる装置の情報の取得を更に試みる。これによって、複数の電力変換装置が設置されたシステムにおいて、マスター装置の重複を回避して、電源位相や電力分担といった自律協調型の電力アプリケーション機能を実現する際の制御権の衝突を防ぐことが出来る。
特性情報と構成情報の一連の取得処理が完了した後は、取得した複数の装置間の特性情報と構成情報を元に、スター/スレーブを決定する構成決定ルーチンに移行するが、その前に、判定を行う装置との間で、通信面、電力面での接続を確認する。たとえば、少なくとも同じ電力線での接続があれば、個々の装置との間で、マスター/スレーブ決定処理を行う。
上述のように、本発明の実施形態における電力変換装置は、用途によって異なる電力アプリケーション機能(電源位相、電力分担)を複数装置の組み合わせによって実現するが、システムの設置形態によっては、通信面の接続関係と電力面の接続関係が1対1に対応しない場合がある。
例えば、複数の電力変換装置の集合をSと定義し、Sの部分集合S1とS2(S1∪S2= S、S1∩S2=0)を定義する。S_i(i=1,2)の電力変換装置は、各々電力網P_iと通信網C_iに接続するとする。結果、通信面と電力面の接続関係は、合計で4種類存在することから、各々の状態に応じてマスター/スレーブの決定処理を開始するか否かの判定を行うことが好ましい。
例えば、通信面で接続があって電力面で接続関係がない場合は、2台の電力変換装置が、同一電力母線に接続していないため、電力分担や電源位相に向けた同期処理は必要がないと言える。すなわちこれら2台の電力変化装置にマスター/スレーブの関係は不要といえる。
接続関係を確認した後、各々の電力変換装置は特性情報の内容を元に、自律協調制御部75内でマスター/スレーブの判定を行い、構成情報の内容を更新する。より詳しくは、以下の通りである。
マスター/スレーブ決定処理では、特性情報による比較、構成情報による比較を実施する。マスター/スレーブの具体的な判定優先度は、特性情報内の装置種別を2台の装置間で比較するループを行う。特性情報が同一でなければ(S108のNO)、前述のような、EMS>>INV(AC/DC)>>INV(DC/DC):電源(蓄電池)>>INV(DC/DC):電源(PV)>>INV(DC/DC):負荷の順で、決定基準に重みづけを行った優先度を適用する(S109)。各装置は、最初に起動する際に、自らのシステムの種別を理解(例えば電力変換装置に接続した電源や負荷の情報から理解)し、マスター/スレーブ決定優先度に反映させておくものとする。
EMSは一般に高度なアルゴリズム処理が適用可能な計算機で実現されるため、システム内にEMSがいる場合は、同装置をマスターに選定することが性能面から好ましい。ローカルコントローラはEMSに分類する。電力変換装置(AC/DC)は図5に示すように、システムの構成上、上位に位置することから電力系統網やEMSとの連携を考慮すると、マスターに選定することが効率面から好ましい。電力変換装置(DC/DC)について、電源(蓄電池)、電源(PV)、負荷等複数存在するが、異常発生時の動作する確率が最も高い装置を鑑み、異常発生に先駆け動作に必要な電力を貯蔵出来る電源(蓄電池)を、マスターに選定することが可制御の観点から好ましい。
特性情報が同一で、構成情報が同一でなければ(S108のYES、S110のNO)、例えば、構成情報のシーケンス番号が大きい装置をマスターに決定することが考えられる(S111)。
特性情報も構成情報も同一であれば(S108のYES、S110のYES)、「先に起動した装置」「後に起動した装置」「事前設定」「ランダム」等の方法を元に、マスター/スレーブを決定する(S112)。
この後、マスター装置が複数存在すれば、1台となるように構成情報の内容を更新する(S113)。また本ステップでシーケンス番号を更新する。
判定対象の個々の装置について上記の処理が完了したら、次に、ステップS114において、同じ電力線に接続されている各装置におけるそれぞれの構成情報の内容が同期しているか、すなわち、各装置それぞれで、それぞれマスター/スレーブとなる装置が一致しているか、確認する(S114)。確認方法は、前述したように、作業員が各装置に登録されている構成情報を調べ、内容が同期しているかを確認してもよいし、個々の装置が、他の装置から収集した構成情報構成情報と、自身の構成情報の内容が一致しているかを、所定の動作シーケンスで自動で確認してもよい。
各装置で構成情報の内容の一致が確認できたら、この内容でマスター/スレーブ構成を確定し、各装置は運転許可を決定する。運転許可を決定した各装置は、協調動作を行う(S115)。つまり、マスター/スレーブ構成決定の途中の状態で、自律協調型の電力アプリケーション機能を実行すると、制御権の衝突が発生する可能性がある。このため、構成決定内容を作業員に表示して目視で確認するか、又は一致しているかの動作シーケンスを実行することが好ましい。
図10A、図10B、図10C、図10Dに、複数の電力変換装置を設置したシステムにおけるマスター/スレーブの構成決定例を提示する。マスター/スレーブの決定の順序は、マスター/スレーブの決定が通信網あるいは電力網上で他装置の存在を発見した場合に行われることから、必ずしも常に同一の順序である必要はない。
同図の例ではマスター/スレーブの構成情報が、4台の電力変換装置全てで一致するまでに、4回に渡る構成決定が行われる様子を示している。
図10Aに示す構成決定1回目と、図10Bに示す構成決定2回目が行われることで、3台の電力変換装置(DC/DC)間で構成決定が行われる。図10Cの構成決定3回目から、電力変換装置(AC/DC)が、これらとの構成決定を開始する。構成決定3回目では、システム内に制御主体のマスターが複数台存在している。同図の例では、スレーブとなる電力変換装置にとって、複数台のマスターが存在することはないため、電力の監視制御が衝突することはないため、このまま通常運転への移行を許可しても問題ないが、最上位のマスターとなる電力変換装置(AC/DC)から最下位のスレーブとなる電力変換装置(DC/DC)まで、論理的な階層構成が多段化され、情報伝達の効率が悪い課題がある。実際には、同図の例では、1台の電力変換装置(AC/DC)と3台の電力変換装置間は、通信接続と電力接続双方があるため、図10Dの構成決定4回目に提示するような直結型の論理階層構成を取ることが好ましい。
図11はシステム内に2台の装置として、電力変換装置(AC/DC)と電力変換装置(DC/DC)が設置されている仮定の下、特性情報と構成情報の交換と構成決定を行い、マスター/スレーブ決定の後、構成情報が更新される様子を示している。図の右は、各装置の構成情報が変化する様子を示し、「T」フィールドは変換特性を表し、「C」のフィールドは通信面の接続がある相手のIDを表し、「E」のフィールドは電力面の接続がある相手のIDを表し、「M/S」は、自身にとってマスターまたはスレーブとなる装置のIDを表す。
装置発見(S201)で同じ電力線上の他の装置を検出し、ステップS202で当該発見した装置の特性情報と構成情報を取得し、ステップS203で、相手装置から取得した情報を、自身の構成情報に反映している。尚、ステップS202とステップS203間に、通信/電力線の接続確認の手段S202Aを入れることも考えうる。ステップS204では、係員が各装置でマスター/スレーブ構成が一致しているか自身の装置に表示して確認する。別の方法として、上述したように、自身で把握しているマスター/スレーブ構成と、相手装置が把握しているマスター/スレーブ構成が一致しているか確認する動作シーケンスを自動で行っても良い。
各装置での構成が一致していることが確認されたら、この内容でマスター/スレーブ構成を決定し、構成情報が更新される(S205)。この更新で、シーケンス番号がインクリメントされる。
なお、装置が3台以上存在する場合は、図9の動作フローチャートや図10A~図10Dに示したように、構成決定の比較相手となる装置に既にマスターがいるか否かの確認を実施する。
図12Aおよび図12Bに本発明の実施形態における複数の電力変換装置間の動作シーケンスの例を提示する。これらの図は図10のシステム構成において、実際に通信メッセージを交換する詳細動作を示している。交換される通信メッセージの構成と詳細を、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22に提示する。
図12C(A)~(E)は、図12Aおよび図12Bの動作シーケンスで、電力変換装置3の構成情報のマスター/スレーブの値およびシーケンス番号が更新される様子を示している。図12C(A)は初期の構成情報、図12C(B)、(C)、(D)、(E)は、当該動作シーケンスにおけるマスター/スレーブ決定A101、A102 、A103 、A104で更新された時の構成情報を示している。具体的には、マスター/スレーブ決定A101では電力変換装置3及び4、マスター/スレーブ決定A102では電力変換装置2及び3、マスター/スレーブ決定A103では電力変換装置1及び3及び4、マスター/スレーブ決定A104では電力変換装置1及び2及び3間で構成情報の書き込みを行い、各々、図12C(B)、(C)、(D)、(E)を共有する。当該マスター/スレーブの決定に参加しない電力変換装置(例:A101における電力変換装置1等)は、更新通知を受け取った後、マスター/スレーブの確認手順を行い情報を同期することが考えられる。
図13Aおよび図13Bは、本発明の実施形態における複数の電力変換装置間の動作シーケンスの他の例を提示する。図13C(A)~(F)は、図13の動作シーケンスで、図13C(A)は初期の構成情報、図13C(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は、当該動作シーケンスにおけるマスター/スレーブ決定B101、B102 、B 103 、B 104、B105で更新された時の構成情報を示している。具体的には、マスター/スレーブ決定B101では電力変換装置3及び4、マスター/スレーブ決定B102では電力変換装置2及び3、マスター/スレーブ決定B103では電力変換装置1及び4、マスター/スレーブ決定B104では電力変換装置1及び2間で構成情報の書き込みを行い、各々、図13C(B)、(C)、(D)、(E)を共有する。当該マスター/スレーブの決定に参加しない電力変換装置(例:B101における電力変換装置1等)は、更新通知を受け取った後、マスター/スレーブの確認手順を行い、情報を同期することが考えられる。
図12A,12Bおよび図13A,13Bの動作シーケンスにおいて、電力変換装置は他の装置を発見するために、通信網を用いて、図16のNOTIFYメッセージ(通知/更新/離脱を通知するもの)を交換する。他の方法として、図17のSEARCHメッセージ(他装置の存在を問い合わせるもの)、図18のSEARCH-RESPONSEメッセージ(SEARCHメッセージの応答で自装置の存在を通知するもの)を用いることも可能である。この他、前述のように、電力網の情報(同一母線上に他装置が接続したことを確認)を活用することや、作業員による手動設定もある。
これらの通信メッセージには、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)あるいはUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)等の通信ヘッダや、メッセージを区別するためのメッセージ種別の情報に加え、送信元の装置IDが含まれる。またSEARCHメッセージには、SEARCHメッセージ受信後のSEARCH-RESPONSEの応答までの待機時間の情報が含まれる。
実際の特性情報及び構成情報は、図19のSCDATA-WRITE-REQUESTメッセージ(構成情報の書き込みを要求するもの)、図20のSCDATA-WRITE-RESPONSEメッセージ(構成情報の書き込み結果を応答するもの)、図21のSCDATA-READ-REQUESTメッセージ(構成情報の読み込みを要求するもの)、図22のSCDATA-READ-RESPONSEメッセージ(構成情報の読み込み結果を応答するもの)を用いて装置間で交換される。
特性情報と構成情報の関係は、図7及び図8に提示したように、個別の情報か複数の情報の集合体かの違いにあるが、図19〜図22の通信メッセージ形態のように、複数装置の特性情報をまとめて構成情報(図8のテーブル形式)として配送する方法の他に、個々の装置の特性情報を個別に配送する方法が考えられる。本発明の実施形態は、特定の配送方法に依存するものではない。構成情報は、装置毎に、装置ID、装置種別、通信接続、電力接続、マスター/スレーブを含み、これらのうち通信接続、電力接続、マスター/スレーブは、場合によっては複数の配置を可能とする。
図12A,12Bと、図13A,13Bの違いは次の点にある。図12A,12Bでは、各電力変換装置がシステム内の全ての電力変換装置の存在を認識してから(図12Aの最初の4つのシーケンスでNOTIFYメッセージにより互いの存在を通知し合っている)、マスター/スレーブ構築のための特性情報/構成情報の交換と、構成決定を開始する。図13A,13Bでは、各電力変換装置が個別の他電力変換装置の存在を認識すると同時に、マスター/スレーブ構築のための特性情報/構成情報の交換と構成決定を開始する。たとえば図13Aでは、装置3は、装置4からのNOTIFYメッセージの受信により装置4を認識したと同時に、情報交換と構成決定を開始している。
前述のように、装置IDは装置を一意に識別するための情報である。当該IDにIPアドレス等の通信アドレスを用いている場合は、他電力変換装置から特性情報/構成情報を取得すると同時に、そこに記載されたシステム内の他の電力変換装置にアクセスすることが可能である。一方、装置IDに通信アドレス以外を用いる場合は、特性情報/構成情報の取得のみではシステム内の他の電力変換装置にアクセスすることが出来ない。したがって、この場合、前述のように繰り返し型の特性情報/構成情報の取得(図13A,13B)は、一旦打ち切ることになる。このことから、図10のシステム構成を元にした、図12A,12Bと図13A,13Bは、最終的なマスター/スレーブ構成情報は同一だが、そこに至る構成決定の回数が異なる差分がある。
図14は本発明における電力変換装置内の構成決定に関わる状態遷移図である。図中の文字が記入された楕円により、装置の状態が表されている。イベントの発生は、矢印付のイベント名によって表され、イベントが発生するごとに状態が遷移する。装置は、「起動」の状態から始まって、「終了」の状態で終了する。これらの間に遷移しうる状態として、「存在通知・存在要求」、「IDLE」、「存在発見」、「構成情報取得解析」、「構成決定」、「表示」、「更新通知」、「離脱通知」の状態がある。
たとば、電源オンにより「起動」状態になると、IPアドレス設定や構成情報初期処理(構成情報の初期設定)を行って、「存在通知・存在要求」状態に遷移する。この状態に遷移すると、NOTIFYメッセージまたはSEARCHメッセージを送信し、「IDLE」状態に遷移する。「IDLE」状態で、NOTIFYを受信すると、「存在発見」状態に遷移し、新たな装置を発見すると、「構成情報取得解析」状態に遷移する。構成情報を取得および解析すると、「構成決定」状態に遷移する。他の装置とマスター/スレーブ構成が一致していると確認すると、構成情報を更新し、「更新通知」状態に遷移し、他の装置に、更新された更新情報を送信して、「IDLE」状態に戻る。他の状態間の遷移も、該当するイベントに従って、同様にして行われる。
図14では起動の状態からの動作を説明したが、本発明の実施形態は、初期設置時の他に異常発生時にも同様の仕組みで適用出来る。具体的には図5Cの「自律協調:ブラックアウトからのスタート」において、電力線(供給側となる電力系統網)の単一故障で異常が発生し、フェールソフト(縮退運転)を実現すると仮定する。図15A、図15B、図15Cは、異常発生時の各装置の動作を説明するための図である。図15Aは、各電力変換装置が正常時に自律協調している状態を示す接続構成図である。図15Bは、異常発生時の動作フローチャートである。図15Cは、図15Bのフローチャートの各段階での各電力変換装置の出力状況を示す図である。
正常運転時において、電力変換装置(AC/DC)は、系統電源から電力供給を受けて運転し、電力変換装置(DC/DC)は、電力変換装置(AC/DC)経由の系統電源からの電力供給に加え、蓄電池/PV等の電源から電力供給を受けて運転している(C101)。図15Cの一番上の表に、正常運転時の各電力変換装置の出力(実績値)が示されている。また同図には各電力変換装置の定格値も示されている。
電力変換装置(AC/DC)は、ブラックアウトが起こると(C102)、運転を停止する(C103)。また、一般に電力変換装置(AC/DC)は電力線を監視して、電圧や周波数等の実績値が閾値を超えた場合に、フェールセーフ(運転停止)を実行する。電力変換装置(DC/DC)は、上述のように、電力変換装置(AC/DC)経由の系統電源からの電力供給に加え、蓄電池/PV等の電源から電力供給を受けて運転するため、ブラックアウト時は、駆動する電力系を切り替えて動作を継続、通信することも出来る。電力変換装置(DC/DC)は、交流側に直接接続しないため、上記フェールセーフを実行することはない。蓄電池や発電装置に接続される電力変換装置(DC/DC)は、この時点で放電のための準備を行う。ブラックアウトが起こったときの各電力変換装置の出力は、図15Cの上から2番目の表に示される。ブラックアウトにより、これまで動作していた電力変換装置(AC/DC)、電力変換装置(DC/DC):負荷、の動作が停止している。電力変換装置(DC/DC)は、電力変換装置(AC/DC)のブラックアウトの発生を、たとえば電力変換装置(AC/DC)との通信の遮断により検出できる。この検出は、電力変換装置(DC/DC)の判定部75cが行う。
次に、電力変換装置(AC/DC)がフェールセーフしたら、残りの装置でマスター/スレーブを決定する(C104)。フェールソフト(縮退運転)のためには、異常時において生きている確率が一番高い電力変換装置をマスターに選定するという優先基準を採用する。すなわち、電力変換装置(DC/DC)の中でも、電源に接続した装置を、負荷に接続した装置よりも優先してマスターに決定する。更に電源の中でも、蓄電池に接続した電力変換装置(DC/DC)を、自然エネルギーの発電装置に接続した電力変換装置(DC/DC)よりも優先させる。本ステップC104の詳細な動作は、図9Aおよび図9BのステップS102〜S115の処理を適用できる。
マスター/スレーブが決定したら、これらの装置群でフェールソフト(縮退運転)を行う(C105)。縮退運転時の各電力変換装置の出力は、図15Cの上から3番目の表に示される。これまで電力を出力していなかった蓄電池および発電装置から電力が出力され、これらの電力で、負荷が駆動されている。なお、電力変換装置(AC/DC)は停止したままである。
ブラックアウトが復旧したら(C106)、電力変換装置(AC/DC)は運転を再開し(C107)、蓄電池や発電装置に接続される電力変換装置(DC/DC)は、蓄電池の放電から充電へ切り替えの準備を行う。運転再開時の各電力変換装置の出力は、図15Cの一番下の表のようになる。この後、復旧した電力変換装置(AC/DC)も含めて、マスター/スレーブの決定を行い(C108)、通常運転に戻る。各電力変換装置の出力も図15Cの一番上の表に戻る。本ステップC108の詳細な動作は、図9Aおよび図9BのステップS102〜S115の処理を適用できる。
構成決定が終わった後の通常運転時は、各装置間でリアルタイム制御/非リアルタイム制御に関する通信メッセージを交換しながら電力の監視制御を実施する。例えば、監視系の情報としては、有効電力の現在値(W)、無効電力の現在値(VAR)、位相あたりの単位電圧、力率の現在値等がある。また、制御系の情報としては、電力網への接続許可、PV出力の利用許可、蓄電池出力の利用許可、有効電力/無効電力制御の利用許可、有効電力の目標値(W)、無効電力の目標値(VAR)、力率の目標値、有効電力の出力レベル値(%)、無効電力の出力レベル値(%)、周波数値等がある。更に、定格系の情報としては、定格有効電力(W)、定格皮相電力(VA)、定格無効電力(VAR)等がある。制御情報は読み書き双方が可能であり、監視/定格情報は読み込みのみ可能であることが一般的な実施形態の可能性として考えられる。
以上、本発明の実施形態によれば、複数の電力変換装置の特性情報と構成情報に基づき、複数の電力変換装置間の電気制御の制御主体となるマスター装置と被制御主体となるスレーブ装置を判定し、複数装置間で当該構成情報が一致していることを確認した後、運転開始許可を判定することにより、電力変換装置の初期設置時や、運転開始後の異常発生時においても、複数装置間で自動的に論理構成を変更、運用の柔軟性を確保しながら、電力入出力スループットを増加出来る。これらの電力変換装置の機能は図1におけるスマートメータ等の機器の内部に搭載し、負荷や蓄電池/太陽光発電等電源以外の機器を含めた全体システムのトポロジー構成検出と監視・制御のマスター構成決定の自動化にも適用出来る。また、通信線・電力線は本実施形態で述べたように物理的に2つの媒体に分離した形態の他、PLC(Power Line Communication)のように1つの媒体に集約することも出来る。
[全体の電力接続情報の管理]
これまでの説明では、電力接続関係として主に電力変換装置間の接続関係(コントローラやEMSを含む場合もある)を対象としたが、ここでは、電力変換装置にその下位に接続され、当該電力変換装置が直接制御する対象となる蓄電池システム、自然エネルギーシステム、負荷等も含めた全体の電力接続関係を表す全体電力接続情報を生成および管理することを特徴とする。全体電力接続情報を作業員へ提示することにより、作業員に対し全体の電力接続関係を確認させることができる。また全体電力接続情報をEMSに通知することで、EMSが各々電力変換装置と蓄電池システム、自然エネルギーシステムの全体を把握した制御も可能となる。
本発明の実施形態では、電力接続関係の具体的な表現として、既存の電力接続設計システムを用いる。このために、既存電力設計システムが利用可能な情報へ電力接続情報等を変換する。本発明の実施形態では、電力接続関係を表現する方法として、IEC 61850 SCL(Substation Configuration Language/System Configuration Language)を用いる。IEC 61850-6 SCLは、変電所内に設置する機器の電力接続情報、通信情報、機器に設定する初期値、操作インターフェースの情報を、異なるベンダ間で交換するために用いる言語である。変電所内の機器に関する設計システムは、設計内容をIEC 61850-6 SCLで表現した情報を生成および利用できる。そして、変電所内の機器は、出力されたIEC 61850-6 SCLで表現された情報を元にした動作が可能である。本発明の実施形態では、全体の電力接続関係を表現した電力接続情報を生成し、このような設計システムに全体の電力接続情報の情報を渡し、当該情報の内容を表示することで、作業員は全体の電力接続関係を把握させることを可能にする。電力接続情報の表現方法はIEC 61850-6 SCLを用いた方法に限定されない。
[電力接続情報の管理に関する全体概要]
各装置で管理する電力接続情報の交換の概要を、図1を用いて説明する。ここではEMS14と、電力変換装置P1、P2間の交換を説明する。電力変換装置P1、P2は、自身が管理する電力接続情報を、EMS14に通知する。ここでいう自身が管理する電力接続情報は、これまで述べてきた電力接続情報(第1電力接続情報)のみならず、後述するように電力変換装置の下位に接続された、制御可能な機器(蓄電池システム、負荷等)の接続の有無および接続形態に関する電力接続情報(第2電力接続情報)も含む。これにより、たとえばEMS14は、先に図5Dに示した有効電力無効電力の監視制御をより細かく把握できる。以下、電力変換装置やコントローラ等が管理する電力接続情報の交換方式について詳細に説明する。
図23に、電力変換装置等が管理する電力接続情報の交換方式の概要を示す。図23には、複数の装置によって多段階に集約するシステムアーキテクチャの例が示される。サービスを提供する側の装置として電力会社、電力インフラ、産業等の各EMSが示される。電力会社のEMSは、中央給電指令所のシステムと接続されている。電力会社は、発電設備を有し、発電設備を稼働させて、原子力、火力、水力等により発電を行う。発電電力の需給制御を、EMSを介して行うことができる。EMSが提供するサービスとは、たとえばサービスと連携する動作機器をどのように制御するかといった機器のスケジュール運用などを含む。サービスと連携する動作機器は、電力変換装置、および電力変換装置の下位に接続される制御対象機器(蓄電池システム、自然エネルギー、負荷等)を含む。EMSは、サービスを柔軟にするため、複雑な通信方式を利用する。一方、サービスと連携する動作機器(電力変換装置)は、ハードウェアリソースに制約があるため、単純な通信方式を利用する。そして複数の動作機器を集約する制御装置であるローカルコントローラは、複雑な通信方式と単純な通信方式を交換する変換ゲートウェイとしての役割を担う。使用する通信方式は、階層ごとに異なってもよいが、本発明の実施形態では共通の通信方式を用いる場合を想定する。すなわち、本発明の実施形態では、EMS、ローカルコントローラ、電力変換装置間で共通の通信方式を用いる。
同一の通信方式であっても、通信方式がテキスト形式と、テキストを圧縮した非テキスト形式では、処理に関する負荷や消費するハードウェアリソースが異なる。本発明の実施形態では、ローカルコントローラとEMS間はテキスト形式で情報交換を行い、電力変換装置とローカルコントローラ間に非テキスト形式で情報交換を行う。具体的には、EMSとローカルコントローラ間の通信方式にはXML(Extensible Markup Language)形式で記述したテキストを交換する通信方式を利用し、ローカルコントローラと電力変換装置の間は、EXI(Efficient XML Interchange)を用いてXML文書を符号化した非テキスト形式(バイナリ形式)により情報交換を行う。なお、ここでは、非テキスト形式の情報交換とテキスト形式の情報交換の二つが用いられる例を示したが、非テキスト形式、テキスト形式のどちらか一方のみが用いられてもよい。
ローカルコントローラは複数の電力変換装置を集約するため、複数の電力変換装置の共通情報は、ローカルコントローラで保持してもよい。具体的には、電力変換装置から情報を収集するインターフェース情報が挙げられる。IEC 61850-6 SCLでは、装置にアクセスするためのインターフェース情報をDataTypeTemplate型要素内に記述するが、これはローカルコントローラ側で事前に管理してもよい。
図23に示したシステムアーキテクチャの例ではEMS、ローカルコントローラ、電力変換装置間に関する情報交換について示したが、それ以外にも図4に示したように、電力接続情報を、ローカルコントローラを介して表示端末69に通知することも可能である。ここでいう電力接続情報は、これまで述べてきた電力接続情報に含まれる情報のみならず、後述するように電力変換装置の下位に接続された、制御可能な機器(蓄電池システム、負荷等)の接続の有無および接続形態に関する情報も含んでよい。これにより、作業員に対して電力変換装置と、蓄電池システム、自然エネルギーまたは負荷間の接続関係も含めた全体の電力接続関係を提示できる。ここで、各装置間の全体の電力接続関係の把握および管理は、電力変換装置およびローカルコントローラのいずれで行ってもよい。
[電力接続情報管理の詳細]
図24に本発明の実施形態に係る電力変換装置のブロック図を示す。図6(A)と同一名称の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。図6(A)に示した構成に対して、電力接続情報取得部81と電力接続情報管理部82が追加されている。電力接続関係の把握および管理をローカルコントローラで行う場合は、ローカルコントローラに電力接続情報取得部81と電力接続情報管理部82と同様の機能を有する処理部を設ければよい。また電力接続情報取得部81と電力接続情報管理部82と通信部76と記憶部とを設けた通信装置を構成し、当該通信装置が図6(A)に示したような構成を有する電力変換装置等と通信することで各装置から電力接続情報を収集し、全体の電力接続関係の把握および管理を行うようにしてもよい。
図25に、電力接続情報の管理手順を示す。図26に本管理手順で行われる処理の概要を説明する図を示す。図25に示す管理手順を行う主体はローカルコントローラでもよいし電力変換装置でもよいし、上述の別途用意した通信装置でもよい。以下の説明では、主として、ローカルコントローラ側で全体の電力接続関係の把握および管理を実施することを想定する。本手順はステップS11、S12、S13を含む。ステップS11の処理は電力接続情報取得部81が実行し、ステップS12、S13の処理は電力接続情報管理部が実行する。
まず、電力接続情報取得部81が、通信部76を介して、複数の電力変換装置と通信を行い、各電力変換装置が制御対象とする機器との電力接続関係を表す電力接続情報(第2電力接続情報)を収集する。具体的には、電力変換装置と、当該電力変換装置が直接制御可能な蓄電池システム、自然エネルギー、負荷との電力接続関係を表す情報である(ステップS11)。図26に示す例では、(1)の矢印が本ステップS11の処理を模式的に表現している。電力変換装置1には制御可能な機器は接続されていないことを示す電力接続情報、電力変換装置2の終端(端子)2には蓄電池システムが接続されていることを示す電力接続情報、電力変換装置3の終端(端子)2には自然エネルギーシステムが接続されていることを示す電力接続情報が、各電力変換装置から収集される。
次に、電力接続情報管理部82が、電力接続の構成把握のために、各電力変換装置間の相互接続関係の確認を行う(ステップS12)。図26に示す例では、(2)の矢印が本ステップS11の処理を模式的に表現している。マスター/スレーブ構成決定時に利用した電力接続情報(第1電力接続情報、図7参照)から、電力変換装置間の相互接続関係を確認する。なお、マスター/スレーブ構成決定時に利用した電力接続情報と同様の情報を含む電力接続情報を、ステップS11で併せて取得してもよい。マスター/スレーブ構成決定時に利用した電力接続情報の一部が図26の右上の表に示されている(図7参照)。図26の左上に示す電力変換装置の接続は、右上の表に対応する構成である。この表の情報は、電力変換装置1、2、3が互いに通信を行って、これらすべての装置が同じ情報を共有している場合もあるし、そうでない場合もあるが、後者の場合も、電力変換装置1、2、3からそれぞれ電力接続情報を収集することで、右上の表を構成できる。このことは既にこれまでの実施形態での説明で述べた通りである。この表では、一例として、装置1(装置ID:1を有するとする)の終端1には、何ら接続されておらず、装置1の終端2には、電力変換装置2(装置ID:2を有するとする)と電力変換装置3(装置ID:3を有するとする)が接続されていることが示されている。装置2、3についても同様にして接続関係が示されている。詳細は後述する。
最後に、電力接続情報管理部82が、ステップS11とS12で取得した電力接続情報から、電力変換装置、蓄電池システム、自然エネルギー、負荷を含む全体の電力接続関係を表す全体電力接続情報を生成および管理する(ステップS13)。図26に示す例では、(3)のブロックが本ステップS11の処理を模式的に表現している。生成した全体電力接続情報は構成情報記憶部74に記憶してもよいし、電力接続情報管理部82内に記憶部を設け、当該記憶部に記憶してもよいし、これらとは別の記憶装置を記憶してもよい。また生成した全体電力接続情報を電力変換装置やEMS等、他の装置に送信してもよいし、ユーザー端末に送信してもよい。本ステップS13の処理の結果、図26に右下に示すように、図26の上に示した電力変換装置間の接続関係に加え、電力変換装置2の終端2に蓄電池システム、電力変換装置の終端2に自然エネルギーシステムが接続された全体の電力接続関係が把握できる。
上述したように、ステップS11で交換する電力接続情報は、電力変換装置が直接制御する機器(蓄電池システム、自然エネルギーシステム、負荷等)との電力接続情報である。図27にこの具体例を示す。電力変換装置1には機器は接続されていない。したがって、この電力変換装置からステップS11で機器との接続はないことを示す電力接続情報が収集される(もしくは何ら情報を送信しない構成も考えられる)。電力変換装置2は蓄電池システムが接続されており、したがって蓄電池システムが接続されていることを示す電力接続情報を当該電力変換装置2から収集する。ここでは1台の蓄電池システムが接続されているのみであるが、複数台接続されているときは複数台分の機器の情報と、これらの機器との接続関係(たとえば複数の蓄電池システムが電力変換装置に並列または直列または直並列に接続されているなど)を、電力接続情報として収集する。電力変換装置3も自然エネルギーシステムが1つ接続されているため、ステップS11で当該電力変換装置から自然エネルギーシステムが1台接続されていることを示す電力接続情報を収集する。
ここで、ステップS11で収集する電力接続情報と、先に図7に示した、複数の電力変換装置間で交換する電力接続情報との違いを説明する。図7に示した情報は、電力変換装置の種別によって、その電力変換装置にどの機器が接続できるかは確認できるが、どの機器がどのように実際に電力変換装置に接続されているかは明らかでない。たとえばDC/DCの電力変換装置には、蓄電池、PV、負荷が接続され得ることが分かるものの、実際にこれらのうちのどれが接続されているか、またどのように接続されているかは明らかでない。
一方、ステップS11で収集する電力接続情報は、図27からも理解できるように、蓄電池システム、自然エネルギー、負荷と、電力変換装置との間の電力接続関係を明らかにする。電力接続情報は、電力結線、接続台数、各機器が持つ電力的な性能情報を含んでよい。
ここで、電力接続情報の表現方法について説明する。図28は、IEC 61850-6 SCLを用いて、電力変換装置と、蓄電池システム、自然エネルギー、負荷との電力接続を表現したものである。より詳細に、図28では、図27にも示した電力変換装置2と蓄電池システムが電気的に接続していることを表現している。IEC 61850-6 SCLは、電力接続情報を表現するだけでなく、機器機能、機器機能に関する初期値、通信情報、制御用インターフェースを表現することができる。図28は、電力接続情報の一部を抜粋したものである。詳細は後述する。
[IEC 61850-6についての説明]
IEC 61850-6 SCLを用いて電力接続関係を表現するためには、各要素(電力変換装置や機器等)に対して識別子を付与しなくてはならない。IEC 61850-6 SCLでは、図29に示す電力接続関係を表現するために、PowerTransformer型要素とVoltageLevel型要素とがそれぞれ複数存在する。破線L1、L2、L3でそれぞれ囲まれた要素(電力変換装置)がPowerTransformer型要素に対応し、破線B1、B2、B3でそれぞれ囲まれた要素が、VoltageLevel型要素に対応する。
PowerTransformer型要素とVoltageLevel型要素とはそれぞれname属性を持ち、name属性を用いて各データ型要素の識別を行う。そのため、同一階層中では、各データ型要素は必ず識別可能な任意の識別子が必要となる。電力接続関係の表現は、図28で示したようなIEC 61850-6 SCLを用いることに限定されず、電力変換装置と機器との電力接続が表現できれば、どのような表現形式を用いてもよい。
[電力接続情報の生成方法]
電力変換装置と機器間の電力接続情報の作成方法は次の2つの方法が考えられる。1つ目は、工場出荷時に、電力変換装置または蓄電池システム、自然エネルギー、負荷のいずれかに電力接続情報を表現する情報を含ませる方法である。具体的には、電力変換装置とそれに接続する蓄電池システム、自然エネルギー、負荷が固定され、出荷後も変わらない場合、その間の電力接続点(connectivity node)、機器に接続される終端(端子)(terminal)の情報は変わらない。電力接続点は、図29の表現形式では、connectivity nodeに対応し、終端(端子)はterminalに対応する。電力変換装置は、たとえば2つの終端(端子)を有している。
2つ目は、電力変換装置とそれに接続する蓄電池システム、自然エネルギー、負荷が、設置まで不明な場合、各装置(電力変換装置、蓄電池システム、自然エネルギー、負荷)間の電力接続点を動的に決定する方法である。この場合、電力変換装置とそれに繋がる蓄電池システム、自然エネルギー、負荷との間で、電力接続情報の管理を実施する。具体的には、出荷時に各装置には、自身の装置情報を持たせ、電力変換装置とそれに接続された装置との間で、電力接続情報を生成および管理することで、2つの装置間の電力接続情報を把握することができる。先に図28に示した電力接続情報の例は、1つ目の方法で作成した例であり、IEC 61850-6 SCLに従った記述形式を有している。
IEC 61850-6 SCLを用いて電力接続情報を記述する際には、同一階層内で異なる識別子を割り当てる必要がある。たとえば図27に示した電力変換装置2,3にはそれぞれ異なる識別子を割り当てる必要がある。例えば、装置IDを元に、接頭語または接尾語を付加することによって、ユニークな識別子を作成できる。
本発明の実施形態では、図29に示したVoltageLevel型要素、PowerTransformer型要素のname属性に対して、接頭語と接尾語をそれぞれ付加することで、識別子の重複を避ける。そのほかにも、通信で用いる任意のホスト名や、IPアドレスを用いて、識別子を生成することもできる。自身が管理する電力接続情報に識別子を付与するタイミングは、工場出荷時でもよいし、ホスト名やIPアドレス決定時に未確定部分のみを明示的に記述してもよい。ホスト名を利用する際には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を担う装置が、各装置に対してホスト名を自動で割り当てを行う。ホスト名は、その通信ネットワークにおいて重複しないため、各電力変換装置がホスト名を元にした識別子を利用できる。
[電力接続情報の取得(図25におけるステップS11)の詳細]
図30に、ローカルコントローラと複数の電力変換装置間の電力接続情報の交換シーケンスを示す。図30に示すシーケンスは、電力接続情報の取得に必要な情報を取得するシーケンスと、電力接続情報を取得するシーケンスの2つのシーケンスで構成される。
電力接続情報の取得に必要な情報とは、電力接続情報アクセス識別子、電力接続情報のサイズである。
電力接続情報アクセス識別子は、電力接続情報の状態と紐づいた識別子であり、例えば、電力接続情報を複数回に分けて取得する際に、電力接続情報アクセス識別子を要求に含める。これにより、要求を受信した側は、電力接続情報アクセス識別子に紐づいた電力接続情報を転送することができる。もし複数回に分けて取得を行っている途中で、電力接続情報アクセス識別子に紐づいた電力接続情報が受信側で更新された場合、それに対する取得要求を受信した際には、その電力接続アクセス識別子が利用できないことを応答として返す。すなわち、受信側では電力接続情報を更新すると、電力接続情報アクセス識別子も更新し、更新前の電力接続情報アクセス識別子は受け付けない。なお、電力接続情報の更新の際には、NOTIFYメッセージを送信する。
一方、電力接続情報のサイズは、電力接続情報のデータサイズである。このデータサイズを用いることで、電力接続情報の取得シーケンスを実施する際に、電力接続情報のすべてのデータを受信したのか、あるいは一部のデータしか受信していないのかを判断することができる。
電力接続情報の取得に必要な情報を取得するシーケンスでは、INFOリクエストメッセージとINFOレスポンスメッセージを利用する。図31にINFOリクエストメッセージのフォーマット、図32にINFOレスポンスメッセージのフォーマットを示す。
図31に示すINFOリクエストメッセージは、通信ヘッダ、メッセージ種別、シーケンス番号、電力接続情報識別子(電力接続情報に割り当てられる識別子であり、上述した電力接続情報アクセス識別子とは異なる)を含む。通信ヘッダは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)あるいはUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)等のヘッダである。メッセージ種別は、メッセージを区別するためのメッセージ種別の情報である。シーケンス番号フィールドは、メッセージのシーケンス番号が書き込まれ、リクエストとレスポンスで共通のシーケンス番号を利用する。通信ヘッダ、メッセージ種別、シーケンス番号は、INFOレスポンスメッセージ以外にも、本シーケンスで利用する他のメッセージ(図32、図33、図34)で利用する。
図32に示すINFOレスポンスメッセージは、通信ヘッダ、メッセージ種別、シーケンス番号、ステータスコード、電力接続情報アクセス識別子、電力接続情報サイズを含む。ステータスコードは、INFOリクエストおよびINFOレスポンスが正常に処理されたことを示す値や、処理中にエラーが発生した場合は発生したエラー内容を含む。エラーが発生する場合としては、たとえば、INFOリクエストメッセージが不適切なフォーマットや、電力接続情報識別子に対応する電力接続情報が存在しないといったことが挙げられる。
電力接続情報を取得するシーケンスでは、GET BLOCKリクエストメッセージと、GET BLOCK レスポンスメッセージを用いる。図33にGET BLOCKリクエストメッセージのフォーマット、図34にGET BLOCK レスポンスメッセージのフォーマットを示す。
図33に示すGET BLOCKリクエストメッセージは、通信ヘッダ、メッセージ種別、シーケンス番号、電力接続情報アクセス識別子、電力接続情報の取得開始ポイントを含む。電力接続情報アクセス識別子は、図32に示したINFOレスポンスメッセージで受信した値を用いる。電力接続情報の取得開始ポイントは、電力接続情報の取得開始位置を示している。例えば、0バイト目を指定した場合、電力接続情報の0バイト目から受信側から転送が開始される。
図34に示すGET BLOCKレスポンスメッセージは、通信ヘッダ、メッセージ種別、シーケンス番号、ステータスコード、データを含む。データは、GET BLOCKリクエストメッセージ中の電力接続情報の取得開始ポイントから始まる情報を含んだデータである。転送する際のデータ形式は、電力接続情報をそのままの形式で転送してもよいし、任意の圧縮アルゴリズムによってエンコードした形式でもよい。例えば、IEC 61850-6 SCLに従った文書をEXI(Efficient XML Interchange)を用いてエンコードし、エンコードしたデータを送信することもできる。
以下、図30を元に、電力接続情報の交換シーケンスについて詳細に説明する。図30に示す例では、ローカルコントローラが、3台の電力変換装置1、2、3から電力接続情報を取得するシーケンスを示している。事前に、ローカルコントローラには、電力変換装置1、2、3からNOTIFYメッセージが届いており、電力接続情報の登録または更新があったことが通知されている。
ローカルコントローラは、電力接続情報を取得するために必要な情報の取得シーケンスを実施する。ローカルコントローラは、電力変換装置1に対して、INFOリクエストメッセージを送信する(S301)。電力変換装置1は、INFOリクエストメッセージの妥当性を検証し、それに対するINFOレスポンスメッセージを送信する(S302)。ローカルコントローラは、INFOレスポンスメッセージの妥当性を検証し、エラー内容が含まれていなければ、次に電力接続情報取得を開始する。
電力接続情報取得には、GET BLOCKリクエストメッセージを電力変換装置1に送信する(S303)。このGET BLOCKリクエストメッセージには、電力変換装置1から送信されたINFOレスポンスメッセージに含まれていた電力接続情報アクセス識別子を含む。電力変換装置1は、GET BLOCKリクエストメッセージの妥当性を検証し、それに対する応答としてGET BLOCKレスポンスメッセージをローカルコントローラに送信する(S304)。
ローカルコントローラは、受信したGET BLOCKレスポンスの妥当性を検証し、エラーが含まれていれば、電力接続情報取得シーケンスの終了し、再度、電力接続情報概要取得シーケンスを実施する。エラーが含まれていなければ、メッセージ内に含まれている電力接続情報のデータを取得し、取得したデータのサイズと、INFOレスポンスメッセージに含まれていた電力接続情報サイズとを比較する。取得したデータサイズが電力接続情報サイズと一致しなければ、再度GET BLOCKリクエストメッセージを送信する(S305)。この時に、GET BLOCKリクエストメッセージに含まれる電力接続情報の取得開始ポイントは、これまでに取得したデータサイズの合計を指定する。これにより次のGET BLOCKレスポンスメッセージでは、直前にGET BLOCKレスポンスメッセージで受信した電力接続情報の続きを取得することができる(S306)。そして、受信したすべてのGET BLOCKレスポンスメッセージの電力接続情報のデータサイズが、INFOレスポンスメッセージ含まれていた電力接続情報サイズ以上になったら、電力接続情報取得シーケンスを終了する。上述したのと同様にして、電力接続情報交換シーケンスを、電力変換装置2,3に対しても実施する。電力変換装置2とのシーケンスをシーケンスS311〜S316、電力変換装置3とのシーケンスをシーケンスS321〜S326に示す。
[電力接続の構成把握(図25におけるステップS12)の詳細]
図25のステップS11で取得した電力接続情報に加え、マスター/スレーブ構成決定時に利用した電力変換装置間の電力接続情報を用いて、全体の相互接続関係の把握を行う。本発明の実施形態では、複数の電力変換装置間の電力接続情報を、装置IDを元に管理し、さらに電力線が接続される電力変換装置の終端(端子)を示す識別子を元に、電力接続情報(接続関係)を表現する。終端を示す識別子は、該当する装置IDの装置内でユニークであればよい。終端を示す識別子は、任意の数字や文字列またはその両方を組み合わせたものでもよい。本発明の実施形態では、数字を用いて、終端の識別子を表現する。また終端ごとに、図7に示した情報を別々に管理してもよい。
図35に、電力接続の把握構成の詳細フローチャートを示す。このフローチャートに従った動作を行うことで、相互接続関係を確認し、電力接続関係を把握する。
まず、マトリックス(テーブル)の初期化(S401)では、各電力変換装置の終端を元にしたマトリックスを作成する。図36(B)に示す電力接続情報を元にマトリックスを作成すると、図37(1)の通りになる。この電力接続情報は電力変換装置間の接続関係を終端を元に表現している。この情報はマスター/スレーブ決定処理の際に取得した電力接続情報から取得可能である。この情報は装置IDと、終端の識別子と、当該終端に接続されている装置の装置IDから構成されている。図36(A)には、この電力接続情報が取得された実際の接続構成が示されているが、この構成は現時点ではまだ把握できていなくてもよい。図37(1)の例では、“装置ID-終端番号”で、終端を表現しているが、終端を識別できる限り、別の形式を用いても良い。なお、以下では、ある装置IDを有する装置の終端のことを、装置IDの終端と呼ぶことがある。
次に、装置IDの終端情報の取得(S402)では、調査対象とする装置IDを決定し、その装置IDの終端に接続されている装置の装置IDを取得する。
次に、当該取得した装置IDの終端に、上記調査対象とする装置が接続されているかを図36(B)の情報に基づき確認する。もし、接続が確認できたならば、マトリックスの対象となる部分に1を設定し(S404)、接続が確認できなかった場合は0を設定する(S405)。全ての装置IDに対して、上記の手順を実施する(S406)。
図37を用いて、上記手順の詳細を述べる。まず、図37(1)のマトリックス状態において、図36(B)に示す電力接続情報に基づき、装置ID:1の終端:2に接続されている装置ID:2に着目する。装置ID:2は、その終端:1に装置ID:1が接続されていることが確認できる。このため、マトリックスの縦列の項目1-2、横列の項目2-1に対応するセルを1にする。引き続き、装置ID:1の終端:2に接続されている装置ID:3に着目する。装置ID:3は、その終端:1に装置ID:2が接続されていることが確認できるため、縦列の項目1-2、横列の項目3-1に対応するセルを1にする。この手順を、装置IDのすべての終端について繰り返し行う。図37(2)は装置ID:1、図37(3)は装置ID:2、図37(4)は装置ID:3に対して順次実行した結果を示す。図37(4)が最終的に得られたマトリックスに相当する。
最後に、作成したマトリックスを用いて相互接続性の有無を確認する(S407)。確認する方法の一例として図37(4)のマトリックスを元に述べる。まず、縦1-2,横2-1のセルの値と、縦1-2,横2-1の縦と横を逆にした縦2-1、横1-2のセルの値とを比較し、値の一致を確認する。マトリックスのすべての縦列と横列とに対して同様に確認を行い、不一致がなければ、次の電力接続情報の管理(図5のステップS13)に移行する(S408)。もし値の不一致があれば、処理を中断する(S409)。この際に、作業員へ相互接続性が確保されていない旨を通知してもよい(S409)。
[電力接続情報の管理(図5のステップS13)の詳細]
電力接続情報の管理では、図5のステップS11、S12で得られた情報を用いて、図29に示したように、全体の電力接続関係を表現する。各々の電力変換装置が管理する電力接続情報と、各々の電力変換装置間の電力接続関係に基づき統合して一つの電力接続情報としてまとめて記述でき、そのようにまとめて記述した全体電力接続情報は、図4に示した表示端末69などを通して作業員による確認が可能になる。以下、全体電力接続情報の管理の例を述べる。
先に少し述べた図28に示した記述について詳細に述べる。図28は、電力変換装置と蓄電池システムの接続を表現している。電力変換装置は、PowerTransformer型要素で表現されており、蓄電池システムはConductingEquipment型要素で表現されている。本実施形態では、上記に示したように、電力変換装置をPowerTransformer型要素、蓄電池システムをConductingEquipment型要素でそれぞれ表現しているが、この限りではなく、各機器の機能に一致したデータ型要素を利用することができる。IEC 61850-6 SCLでは、装置間の接続関係の表現に“接続点(あるいは電力接続点)”という考え方を利用する。図28に示す例では、電力変換装置と蓄電池システムは、自身に接続するための終端であるTerminal型要素(1)、(2)がConnectivityNode型要素(3)に接続していることが表現されている。これはTerminal型要素(1)、(2)の属性が、ConnectivityNode型要素(3)の属性と一致していることから把握できる。具体的には、(3)のConnectivityNode型要素のpathName属性と、(1)、(2)のTerminal型要素のconnectivityNode属性が一致していることである。
図35のステップS407で相互接続情報を確認したマトリックスを用いて、接続点を作成方法について述べる。本方法の処理の流れのフローチャートを図38に示す。まず、図37の(4)に示したマトリックスを用いて、各行ごとに1が入っている終端を元にした組を作成する(S501)。図37の(4)に示したマトリックスからは、図39の(1)に示すように、3つの組が生成できる。
次に、重複した組を削除する(S502)。この結果、図39の(2)に示すように、一つの組が残る。残った組に識別子を割り振ることで、組を区別できるようにする(S503)。この残った組は、機器ID:1の終端:2と、機器ID:2の終端:1、機器ID:3の終端:1が共通の接続点で繋がっていることを示す。よって、電力変換装置間の終端での接続関係が把握でき、また電力変換装置に接続されている制御可能機器の情報を取得済みであることから、電力変換装置、蓄電池システム、自然エネルギー、負荷間の全体の電力接続情報が管理できる。
次に、上記手順で生成した全体の電力接続情報を、設計システムで利用されているIEC 61850-6 SCLに反映する方法について、図40および図28を用いて説明する。図40にはIEC 61850-6 SCLにおいて接続点を付与する例が示されている。
複数の電力変換装置に関する電力接続情報を統合(結合)するためには、全体に関係する設定と各々の電力変換装置に関する設定の2つの設定を追加する必要がある。
全体に関する設定とは、全体の電力変換装置が共通して持つべき値であり、図28の例では、Substation型要素のname属性が該当する。図40の例では、Substation型要素のname属性として“E-NET”が与えられている。各々の電力変換装置に関する設定は、電力接続を表現するTerminal型要素と、ConnectivityNode型要素の記述である。図28の例では、電力変換装置と蓄電池システム間の接続関係は表現されているが、電力変換装置間の接続関係は表現されていない。
図40の例に示すように、各々電力変換装置の接続点の情報である図39の(2)に示した組に対応するConnectivityNode型要素が追加されている。ConnectivityNode型要素の追加時には、複数の属性(nameやpathName)を決定しなくてはならない。また、追加する接続点に対して、識別子を付与する必要がある。図示の例では接続点に対して、識別子として“C1”が付与されている。識別子は、同じsubstation要素内で他の接続点と重複しない任意の値を割り当てても良い。接続点に接続されている各装置の装置IDを元に生成してもよい。
また、上記組に記述されている機器IDに該当するPowerTransformer型要素に対してTerminal要素を作成する。すなわち、当該組に示される各電力変換装置のPowerTransformer型要素内にTerminal型要素を追加する(図示の例では、電力変換装置1、2のみ、追加の様子が示されている)。Terminal要素の作成時には、接続点であるConnectivityNode型要素の属性値を、Terminal要素内に保持する。
本発明の実施形態では、電力接続情報の管理をローカルコントローラで実施したが、電力変換装置で実施してもよい。そして管理する電力接続情報は、各電力変換装置に通知してもよい。各電力変換装置に対して、追加対象となるTerminal型要素、ConnectivityNode型要素を通知することで、全く異なるシステムが、各々電力変換装置から情報を収集する場合でも全体の電力接続関係を表示できる。
尚、この電力変換装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、電力変換装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいは通信網を介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に配置することで実現出来る。また、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスク又はCD-R、CD-RW、DVD-RAM、DVD-R等の記憶媒体などを利用することが出来る。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせて実施することも可能なことは言うまでもない。