JP6390594B2 - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
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Description
Cは鋼に不可避的に含まれる元素である。Cの含有量が多いと強度が向上し、少ないと加工性が向上する。十分な強度を得るためには、C含有量を0.001%以上にすることが適当である。一方、C含有量が0.030%を超えると加工性の低下が顕著となるうえ、Cr炭化物を析出して局所的なCr欠乏による耐食性の低下を起こしやすくなる。よって、C含有量は0.001〜0.030%とした。より好ましくは、0.002〜0.018%である。
Siは脱酸に有用な元素である。その効果はSi含有量を0.01%以上にすることで得られる。一方で、Siは、酸化スケールに濃化して、酸化スケールを強固なものとし、酸や電解による酸化スケールの除去を困難とする元素でもある。特に、本発明を完成するにあたって、多量のSiを含有することが、Alの酸化スケール中の狭い範囲への濃化を促進し、緻密な酸化スケールの形成を促進することが明らかにされた。そのため、Siの含有量の抑制は本発明にとって酸化スケールの除去性を向上するための重要な因子のひとつである。Siの含有量が0.15%を超えると、Alの酸化スケールの緻密化が顕著となる。よって、Siの含有量は0.01〜0.15%とした。より好ましくは、0.03〜0.12%である。
Mnは鋼に不可避的に含まれる元素であり、強度を高める効果がある。その効果はMn含有量を0.01%以上にすることで得られる。一方で、過剰のMn添加は腐食の起点となるMnSの析出を促進し、耐食性を低下させる。このため、Mn含有量は0.50%以下の含有が適当である。よって、Mnの含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.05〜0.40%である。
Pは鋼に不可避的に含まれる元素であり、過剰な含有は溶接性を低下させ、粒界腐食を生じやすくさせる。その傾向は0.05%超の含有で顕著となる。よって、P含有量は0.05%以下とした。より好ましくは0.04%以下である。
Sは鋼に不可避的に含まれる元素である。S含有量が0.01%を超えると、腐食の起点となるMnSの生成を促進して耐食性を低下させる。よって、S含有量は0.01%以下とした。
Crはステンレス鋼の耐食性を確保するために最も重要な元素である。その効果はCr含有量を18.0%以上にすることで得られる。一方で、Crは、酸化スケールに濃縮してその除去性を低減させる元素である。Cr含有量が24.0%を超えると緻密なCrの酸化スケールの形成が顕著となり、一層酸化スケールの除去が困難となる。よっで、Crの含有量は18.0〜24.0%とした。より好ましくは、19.0〜22.0%、さらに好ましくは20.1〜21.5%である。
Niはステンレス鋼の活性溶解を抑えて不動態皮膜が維持できない環境における腐食の進展を抑制する元素である。その効果はNi含有量を0.01%以上にすることで得られる。一方で、Ni含有量が0.20%以上になると、酸化スケール直下のステンレス鋼の溶解を抑制して酸化スケールの除去を難しくする。よって、Ni含有量は0.01%〜0.20%未満とした。より好ましくは、0.02〜0.16%である。
Moは不動態皮膜の再不動態化を促進し、ステンレス鋼の耐食性を向上する元素である。Crとともに含有することによってその効果はより顕著となる。Moによる耐食性向上効果は0.1%以上の含有で得られる。しかし、Mo含有量が3.0%を超えると酸化スケールの緻密化が顕著となりその除去が困難となる。よって、Mo含有量は0.1〜3.0%とした。より好ましくは、0.4〜1.8%である。
Alは、本発明において疎な酸化スケールを形成するために重要な元素である。Alは通常酸化スケールに濃化し、その溶解を妨げる元素である。しかし、本発明者らによる詳細な検討の結果、Siの含有量が少ない条件下において、0.15%超の多量のAlを含有した場合にはスケールの成長が促進され疎な酸化スケールを形成しやすくなることが見出された。即ち、Al含有量を0.15%超にすることで、後述する粒径が1μm以上のAl2O3を形成できる。一方で、Alの含有量が1.2%を超えると酸化スケールが厚くなりすぎてスケールの除去が困難になることに加えて、溶接の溶融部が溶け落ちやすくなるため適切ではない。よって、Alの含有量は0.15%超〜1.2%以下とした。より好ましくは、0.15%超〜1.0%以下である。
Vは、鋼中のNと結合して鋭敏化による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果はV含有量を0.01%以上にすることで得られる。しかし、V含有量が0.50%を超えると、加工性が低下するため好ましくない。よって、Vの含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.02〜0.40%である。
NbはC、Nと優先的に結合してCr炭窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果はNb含有量を0.01%以上にすることで得られる。しかし、Nb含有量が0.50%を超えると、熱間強度が増加して熱間圧延の負荷が増大し、製造性が低下する。また、溶接部の結晶粒界に析出して溶接割れを起こしやすくなる。よって、Nb含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.07〜0.38%である。
TiはC、Nと優先的に結合してCr炭窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果は、Ti含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Ti含有量が0.30%を超えると加工性が低下するとともに、Ti炭窒化物が粗大化し、表面欠陥を引き起こす。よって、Ti含有量は0.01〜0.30%とした。より好ましくは、0.07〜0.30%である。
Nは、Cと同様に鋼に不可避的に含まれる元素であり、固溶強化により鋼の強度を上昇させる効果がある。その効果はN含有量が0.001%以上で得られる。しかし、Cr窒化物を析出した場合には、耐食性を低下させるため、0.030%以下の含有が適当である。よって、Nの含有量は0.001〜0.030%とした。より好ましくは、0.002〜0.018%である。
ZrはC、Nと結合して、鋭敏化を抑制する効果がある。その効果はZr含有量を0.01%以上にすることで得られる。しかし、過剰のZr含有は加工性を低下させるうえ、Zrは非常に値段の高い元素であり、Zrの過剰の含有はコストの増大を招く。よって、Zrの含有量は1.0%以下とした。
WはMoと同様に耐食性を向上する効果がある。その効果はW含有量が0.01%以上の含有で得られる。しかし、過剰のW含有は強度を上昇させ、製造性を低下させる。よって、Wの含有量は1.0%以下とした。
REMは耐酸化性を向上して、酸化スケールの形成を抑制し、溶接のテンパーカラー直下のCr欠乏領域の形成を抑制する効果がある。その効果はREM含有量が0.0001%以上で得られる。しかし、REMの過剰の含有は酸洗性などの製造性を低下させるうえ、コストの増大を招く。よってREM含有量は0.1%以下とした。
Coは靭性を向上させる元素である。その効果はCo含有量が0.001%以上で得られる。しかし、過剰のCo含有は製造性を低下させる。よってCoの含有量は0.3%以下とした。
Bは二次加工脆性を改善する元素であり、その効果を得るためには、B含有量を0.0001%以上にすることが適当である。しかし、過剰の添加は、固溶強化による延性低下を引き起こす。よってB含有量は0.1%以下とした。
ステンレス鋼の酸化スケールの除去は酸もしくは電解液中での電解によって行われるのが一般的である。しかし、酸化スケールが十分に緻密であるとスケール直下の地鉄まで酸や電解液が浸透せずに酸化スケールの除去が困難となる。このとき、表面に粗大な介在物が存在すると酸の浸透が容易となることが、本発明者らによって、見出された。本発明では、Al含有量を多くしており、粒径1μm以上のAl2O3が多数生成している。酸化スケールの除去後に、Al2O3が表面に10個/mm2以上の密度で存在する場合に、酸化スケールの除去性が向上することが明らかとなった。よって、本発明では、表面に粒径1μm以上のAl2O3が10個/mm2以上の密度で存在することとした。表面に存在するAl2O3の密度は、製品となる直前の酸洗による酸洗減量の調整により調整が可能である。また、一方で多量のAl2O3が表面に存在すると凝集したAl2O3が表面疵を形成するため、表面に粒径1μm以上のAl2O3が1.0×105個/mm2以下の密度で存在することが好ましい。
Claims (2)
- 質量%でC:0.001〜0.030%、Si:0.01〜0.15%、Mn:0.01〜0.50%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cr:18.0〜24.0%、Ni:0.01%〜0.20%未満、Mo:0.1〜3.0%、Al:0.15%超〜1.2%、V:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.30%、N:0.001〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
表面に粒径1μm以上のAl2O3が10個/mm2以上の密度で存在することを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。 - 前記成分組成は、質量%で、さらに、Zr:1.0%以下、W:1.0%以下、REM:0.1%以下、Co:0.3%以下、B:0.1%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
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